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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】自動繊維束配置装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 70/38 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
B29C70/38
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020160322
(22)【出願日】2020-09-25
(65)【公開番号】P2021138128
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】P 2020032731
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「次世代構造部材創製・加工技術開発/研究開発項目(2)-2航空機用複合材料の複雑形状積層技術開発(第二期)」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000215109
【氏名又は名称】津田駒工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】安宅 威
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-501902(JP,A)
【文献】特開2019-130914(JP,A)
【文献】特表2014-511781(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 70/00-70/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維束が巻き付けられた複数のボビンが仕掛けられて各前記ボビンから前記繊維束を送り出すように構成された供給装置と、該供給装置から供給される各前記繊維束を導入するための導入部を備えると共に導入された各前記繊維束の配置型上への配置を行うための配置ヘッドと、該配置ヘッドが取り付けられるアームを有する多関節ロボットであって前記配置のために前記配置ヘッドを移動させる多関節ロボットとを備え、前記多関節ロボットが、前記アームの先端に対する前記導入部の位置を変更するヘッド旋回機構と、前記供給装置からの前記繊維束を前記配置ヘッドへ向けて案内すべく各前記繊維束に対応させて設けられた複数のトウガイドを含むガイド機構とを備える自動繊維束配置装置において、
前記ガイド機構は、前記トウガイドを支持する支持部材を含む位置変更機構であって、前記ヘッド旋回機構による前記導入部の位置の変更に応じて前記トウガイドを変位させる位置変更機構を備える
ことを特徴とする自動繊維束配置装置。
【請求項2】
前記位置変更機構は、アクチュエータを駆動源として前記支持部材における少なくとも前記トウガイドを支持する部分を変位させる変位機構を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の自動繊維束配置装置。
【請求項3】
前記変位機構は、前記支持部材をアームの延在方向に揺動させる縦揺動機構である
ことを特徴とする請求項2に記載の自動繊維束配置装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維束が巻き付けられた複数のボビンが仕掛けられて各ボビンから繊維束を送り出すように構成された供給装置と、供給装置から供給される各繊維束を導入するための導入部を備えると共に導入された各繊維束の配置型上への配置を行うための配置ヘッドと、配置ヘッドが取り付けられるアームを有する多関節ロボットであって配置のために配置ヘッドを移動させる多関節ロボットとを備え、多関節ロボットが、アームの先端に対する導入部の位置を変更するヘッド旋回機構と、供給装置からの繊維束を配置ヘッドへ向けて案内すべく各繊維束に対応させて設けられた複数のトウガイドを含むガイド機構とを備える自動繊維束配置装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動繊維束配置装置として、細幅の繊維束を配置型上に配置するAFP(Automated Fiber Placement)装置が知られている。なお、本出願において、「繊維束」とは、複数本の強化繊維(炭素繊維、ガラス繊維等)の束にマトリックス樹脂を含浸させてテープ状に形成された所謂トウプリプレグのような材料を指す。また、そのAFP装置としては、多関節ロボットを用いて繊維束の配置型上への配置を行うように構成された装置がある。
【0003】
特許文献1には、そのようなAFP装置として、繊維束が巻き付けられたボビンから繊維束を巻き出す(送り出す)ように構成された巻出機構と、前記配置を行うための配置ヘッドとしての貼付ヘッドと、その貼付ヘッド(配置ヘッド)が取り付けられるアームを有する多関節ロボットとを備える装置が開示されている。また、特許文献1には、その従来技術として、多関節ロボットとは別に設けられた巻出機構から送り出された繊維束が多関節ロボット(アーム)の上方を通過するかたちで配置ヘッドまで案内されるように構成された装置が開示されている。その上で、そのAFP装置(多関節ロボット)は、(特許文献1には具体的な説明は無いが、)前記のように繊維束を案内するための構成として、多関節ロボットのアームに取り付けられるかたちで設けられたガイド機構を有している。
【0004】
また、特許文献2には、同じくAFP装置として、多関節ロボットとしての変位システムと、配置ヘッドとしての繊維貼付ヘッドであって多関節ロボットの末端に取り付けられる繊維貼付ヘッドとを備え、樹脂を含浸させた平らな繊維から成る幅広の帯(繊維束)の前記配置を繊維貼付ヘッド(配置ヘッド)により行うように構成された装置が開示されている。また、特許文献2には、そのAFP装置が多関節ロボットとは別に設けられた繊維格納手段としてのクリール(供給装置)を備え、そのクリールに対し繊維束が巻かれたスプール(ボビン)が複数仕掛けられて複数の繊維束が配置ヘッドへ向けて供給されることが開示されている。その上で、その特許文献2のAFP装置は、供給装置と配置ヘッドとを繋ぐ可撓管が備えられ、繊維束がその可撓管内を通過するかたちで案内されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-130914号公報
【文献】特表2014-511781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記のようなAFP装置においては、前記配置は、多関節ロボットにより配置ヘッドを移動させると共に、複雑な形状の配置型上へ繊維束を配置する場合などには、多関節ロボットにおいて配置ヘッドが取り付けられるアームを回動させる、あるいはアームに対し配置ヘッドを回動させるといった配置ヘッドが旋回するような動作(配置ヘッドの旋回動作)が行われることがある。なお、配置ヘッドに供給される繊維束は、配置ヘッドにおける導入部を経て配置ヘッド内に導入されているが、前記のような配置ヘッドの旋回動作が行われるのに伴い、その導入部の位置は、アームの先端に対し相対的に変化する。
【0007】
但し、特許文献1のAFP装置では、その繊維束は、その上流側において多関節ロボットのアームに取り付けられたガイド機構により案内されている。そして、そのガイド機構による繊維束を案内する位置は、アームに対し相対的に固定された位置となっている。そのため、前記のように配置ヘッドの旋回動作が行われて導入部の位置が変更されると、ガイド機構から導入部までの間において、繊維束の経路長が急激に変化し、それが前記配置に悪影響を及ぼす虞がある。さらに、前記のような配置ヘッドにおける導入部の変位に伴い、繊維束がアーム等に干渉して損傷を受ける場合がある。したがって、特許文献1のようなガイド機構を用いたガイド構成で繊維束を案内するAFP装置では、配置ヘッドの動作に制限を受ける、すなわち、複雑な形状の配置型に対応できないといった問題がある。
【0008】
さらに、特許文献2に開示されているような配置ヘッドが複数の繊維束の前記配置を行うように構成されているAFP装置において、特許文献1のようなガイド構成を採用した場合、配置ヘッドに対し複数の繊維束が供給(導入)されることから、前記のような問題がより発生し易くなる。
【0009】
なお、特許文献2のAFP装置では、前記のように繊維束が供給装置と配置ヘッドとを繋ぐ可撓管を通過するかたちで案内されている。したがって、前記配置を行う場合において、配置ヘッドに複雑な動作をさせたとしても、前記のような問題は発生し難い。しかし、そのような可撓管を用いたガイド構成で複数の繊維束を案内する装置では、各繊維束毎に可撓管が設けられることから、そのガイド構成が複雑なものとなってしまう。また、その構成の場合、前述のような繊維束が通過することにより可撓管内部に汚れや詰まり等が生じるため、可撓管内のメンテナンス作業を定期的に行う必要がある。そして、前記のようなメンテナンス作業は、各繊維束毎に設けられた可撓管毎に個別に行わなければならず、多大な労力と時間を要するという問題を有している。
【0010】
以上のような実情を鑑み、本発明は、供給装置からの複数の繊維束を配置ヘッドへ向けて案内するガイド機構を備える自動繊維束配置配置において、複数の繊維束を配置型上に配置する上で、前述ような問題が発生することが無いガイド機構の構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、繊維束が巻き付けられた複数のボビンが仕掛けられて各ボビンから繊維束を送り出すように構成された供給装置と、供給装置から供給される各繊維束を導入するための導入部を備えると共に導入された各繊維束の配置型上への配置を行うための配置ヘッドと、配置ヘッドが取り付けられるアームを有する多関節ロボットであって配置のために配置ヘッドを移動させる多関節ロボットとを備え、多関節ロボットが、アームの先端に対する導入部の位置を変更するヘッド旋回機構と、供給装置からの繊維束を配置ヘッドへ向けて案内すべく各繊維束に対応させて設けられた複数のトウガイドを含むガイド機構とを備える自動繊維束配置装置を前提とする。
【0012】
そして、本発明は、その前提とする自動繊維束配置装置において、前記ガイド機構が、トウガイドを支持する支持部材を含む位置変更機構であって、ヘッド旋回機構による導入部の位置の変更に応じてトウガイドを変位させる位置変更機構を備える、ことを特徴とする。
【0013】
但し、ここで言う「ヘッド旋回機構」とは、多関節ロボットにおけるアームをその中心軸線周りに回動させる機構、アームの先端で配置ヘッドを支持された状態とすべくアームと配置ヘッドとの間に介装される機構であって配置ヘッドをその支持の軸線周りに回動させる機構、あるいは、同じくアームと配置ヘッドとの間に介装される機構であって配置ヘッドをアームの延在方向に揺動させる機構等、アームの先端側において配置ヘッドに旋回するような動作を与える機構である。なお、配置ヘッドが前記のような旋回動作を行うことで、その配置ヘッドにおける繊維束の導入部は、その位置がアームの先端に対し変更されるように変位する。
【0014】
また、そのような本発明による自動繊維束配置装置において、位置変更機構を、アクチュエータを駆動源として前記支持部材における少なくとも前記トウガイドを支持する部分を変位させる変位機構を備えるように構成しても良い。さらに、変位機構は、支持部材をアームの延在方向に揺動させる縦揺動機構であっても良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明による自動繊維束配置装置においては、ガイド機構が、支持部材に支持されるトウガイドをヘッド旋回機構による導入部の位置の変更に応じて変位させるための位置変更機構を備えている。それにより、前述のような導入部の変位が行われたとしても、繊維束の経路長の変化を軽減することができる。
【0016】
より詳しくは、本発明による自動繊維束配置装置においては、ガイド機構は、トウガイドが前記した位置変更機構を介して変位されるように構成されている。そして、そのようなガイド機構の構成によれば、旋回機構による配置ヘッドの旋回に伴って導入部の位置がアームの先端に対し変化したとしても、位置変更機構によってトウガイドが変位されることで、トウガイドから導入部に至る繊維束の経路長の変化を軽減することができる。それにより、その経路長の変化に起因する前記配置への悪影響が可及的に除外される。
【0017】
しかも、そのようなガイド機構によれば、その導入部の変位に伴ってトウガイドが変位することで、繊維束が多関節ロボットのアーム等に干渉し難くなる。したがって、その構成によれば、従来技術のような繊維束を案内する可撓管を設けること無く、配置ヘッドに回動等の旋回動作を行わせることができる。
【0018】
以上により、本発明の自動繊維束配置装置によれば、複雑な形状の配置型に対しても安定して前記配置を行うことが可能となり、さらには、繊維束のガイド構成を複雑化すると共にメンテナンス作業に多大な労力を要するような構成となることを避けることもできる。
【0019】
また、前記した位置変更機構を、アクチュエータを駆動源とする変位機構を備え、支持部材におけるトウガイドを支持する部分を積極的に変位させるようなものとすることで、配置ヘッドの旋回動作に応じた前記部分の変位を、より確実に行わせることができる。それにより、前記のような効果がより確実にされる。
【0020】
さらに、前記の位置変更機構における変位機構を、支持部材がアームの延在方向に積極的に揺動されるように構成された縦揺動機構とすることで、その変位機構を比較的に簡単な構成のものとすることができる。詳しくは、前記のようにトウガイドを変位させる構成としては、支持部材におけるトウガイドを支持する部分が直線的に変位するように変位機構を構成することも考えられる。それに対し、その変位機構を前記したように支持部材を揺動するような構成とすれば、トウガイドを直線的に変位させるように構成された変位機構と比べ、その変位機構を比較的に簡単な構成のものとすることができる。したがって、そのようにトウガイドを変位させるガイド構成が比較的に簡単なもので実現できることで、自動繊維束配置装置の構成が複雑化することを避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明による自動繊維束配置装置の一例を示す側面図である。
図2】本発明による自動繊維束配置装置のガイド機構周りを示す斜視図である。
図3図1で示すガイド機構の平面図である。
図4図1で示すガイド機構の側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下では、図1図4に基づき、本発明による自動繊維束配置装置の一実施例について説明する。
【0023】
図1に示すように、自動繊維束配置装置1は、繊維束2が巻き付けられたボビン3が仕掛けられた供給装置4と、その供給装置4から供給された繊維束2の配置型5上への配置を行うための配置ヘッド6と、前記配置のために配置ヘッド6を移動させる多関節ロボット7とを備えている。なお、本実施例においては、自動繊維束配置装置1は、16本の繊維束2の前記配置が同時に行えるように構成されている。したがって、供給装置4には、図では手前側の4個のみが示されているが、16個のボビン3が仕掛けられている。
【0024】
また、供給装置4は、各ボビン3から引き出された繊維束2を多関節ロボット7側へ向けて案内するガイド部9を備えている。そのガイド部9は、各繊維束2を個別に案内するために繊維束2毎に設けられたガイド部材(図示略)を備え、そのガイド部材により各繊維束2を多関節ロボット7よりも高い位置で案内するように構成されている。なお、その供給装置4において、各ボビン3とガイド部9との間の繊維束2の経路中には、各繊維束2の張力を調整するための構成として、各繊維束2に共通のダンサロール8を備えている。その構成により、各繊維束2は、ボビン3とガイド部9との間で適当な張力に調整され、適当な張力状態で多関節ロボット7側へ引き出される。
【0025】
また、図1に示すように、多関節ロボット7には、前記のようにガイド部9で案内された各繊維束2を案内するためのガイド機構20が取り付けられている。そのガイド機構20は、多関節ロボット7における先端側のアーム7a(関節部7bよりも先端側の部分)に取り付けられている。また、ガイド機構20は、各繊維束2を個別に案内するために繊維束2毎に設けられたトウガイドを備えており、各トウガイドが支持部材24により支持される構成となっている。そして、そのガイド機構20は、支持部材24がアーム7aの上方において上方へ向けて延びると共に、支持部材24の先端側で各繊維束2を案内するように設けられている。
【0026】
したがって、その自動繊維束配置装置1において、各ボビン3から引き出された繊維束2は、上下方向に関し多関節ロボット7よりも高い位置で供給装置4(ガイド部9)から引き出された後、多関節ロボット7の上方を通過するかたちでガイド機構20に至っている。そして、各繊維束2は、ガイド機構20に案内させるかたちで転向され、多関節ロボット7におけるアーム7aの先端に取り付けられた配置ヘッド6に導かれている。
【0027】
そして、そのように配置ヘッド6へ向けて導かれた各繊維束2は、配置ヘッド6の内部へ導入され、配置型5上に配置される。したがって、配置ヘッド6は、各繊維束2を内部へ導入するための導入部6aを、繊維束2毎に設けられるかたちで有している。
【0028】
なお、本実施例では、配置ヘッド6は、本発明で言うヘッド旋回機構としての回動機構10を介して、多関節ロボット7におけるアーム7aに取り付けられている。その回動機構10は、回転駆動される回動部10aを有しており、配置ヘッド6は、その回動部10aに対し取り付けられる。それにより、配置ヘッド6は、多関節ロボット7の先端側において、回動機構10により旋回駆動されるように設けられている。
【0029】
以上のように構成された自動繊維束配置装置1において、ガイド機構20は、トウガイドを支持する支持部材24及びその支持部材24を支持する支持機構を含み、その支持機構が支持部材24を自動繊維束配置装置1の幅方向に変位可能とするように構成されている。また、その支持機構は、本実施例では、支持部材24を積極的に変位させるための駆動機構であって駆動モータを駆動源とする駆動機構を備えるように構成されている。その上で、本実施例のガイド機構20は、本発明における変位機構としての縦揺動機構を備えており、支持部材24は、その縦揺動機構においてガイド機構20に支持されている。そのようなガイド機構20の構成について、図2~4に基づいて以下に詳述する。
【0030】
前述のように本実施例の自動繊維束配置装置1は、16本の繊維束2の配置が可能であるように構成されている。そこで、その自動繊維束配置装置1は、各繊維束2に対応させた16個のトウガイド22を備えている。そして、その各トウガイド22は、本実施例では、鍔部を有する中空円筒状の部材で構成されている。その上で、その16個のトウガイド22は、支持部材24によって支持されている。
【0031】
支持部材24は、一対の側板24a、24aを主体として構成されている。その支持部材24について、より詳しくは、各側板24aは、板状の部材であり、板厚方向に見て長辺方向の寸法が短辺方向の寸法に比べ十分に大きい長方形状を成すように形成された部材である。そして、支持部材24において、その一対の側板24a、24aは、板面を対向させるかたちで離間して設けられている。
【0032】
さらに、支持部材24は、両側板24a、24aに架設されるかたちで設けられた支軸24bを有している。言い換えれば、一対の側板24a、24aは、その支軸24bによって連結されている。その支軸24bは、トウガイド22を支持するための軸であって、側板24aの前記長辺方向(=側板24aの長手方向)における一端側において、4本設けられている。そして、16個のトウガイド22は、その4個ずつが各支軸24bに支持されるかたちで設けられている。なお、支軸24bによるトウガイド22の支持は、中空円筒状のトウガイド22の孔に支軸24bが挿通されるかたちで行われており、各トウガイド22は、支軸24bに対し回転可能となっている。
【0033】
因みに、図示の例では、支持部材24は、両側板24a、24aを連結する補強部材24cも有している。その補強部材24cは、側板24aの長手方向における中間部付近に架設されるかたちで、両側板24a、24aを連結している。
【0034】
その上で、その支持部材24は、多関節ロボット7のアーム7aに取り付けられた支持機構26に対し支持されている。但し、本実施例のガイド機構20(支持機構26)は、支持部材24をアーム7aの延在方向に揺動させる縦揺動機構50(詳細は後述)を有している。そして、支持部材24は、その縦揺動機構50を介して支持機構26に支持されている。そこで、支持部材24は、側板24aの長手方向における他端側において、両側板24a、24a間に縦揺動機構50が位置するかたちで、縦揺動機構50に対し取り付けられている。
【0035】
そのように支持部材24を支持する支持機構26について、本実施例では、その支持機構26は、支持部材24を支持すると共に駆動モータ31を駆動源として支持部材24を積極的に変位させる駆動機構30、及びその駆動機構30をアーム7aに対し支持するガイド支持構造40を備えている。また、その駆動機構30は、ガイド支持構造40を介してアーム7aに対し支持されるレール部材32と、そのレール部材32上を変位する可動部材であって支持部材24が取り付けられる可動部材33と、レール部材32上で可動部材33を変位させるための駆動手段34とで構成されている。
【0036】
その駆動機構30の各構成要素について、より詳しくは、レール部材32は、ベースとなる板状のベース部32aを主体として構成されている。但し、そのベース部32aは、その板厚方向に見て、2/3円程度の円弧状に形成されている。また、そのベース部32aは、その内径がその内側に多関節ロボット7のアーム7aを配置可能であるような大きさに形成されている。
【0037】
また、レール部材32は、可動部材33の変位を案内するためのガイドレール32b、及び駆動手段34の一部として機能するラック32cを有している。それらのうち、ガイドレール32bは、断面形状が略矩形状であって、ベース部32aにおける板厚方向における一方の端面である表面上で延在するように設けられたレール状の部分である。但し、そのガイドレール32bは、ベース部32aの周縁に沿って延在するように円弧状に形成されている。そして、そのガイドレール32bは、前記表面上において、ベース部32aの外周縁側に位置すると共に、ベース部32aの円弧方向の範囲に亘って延在するように設けられている。
【0038】
また、ラック32cは、ピニオンと噛み合う歯が形成された所謂ラックであって、ガイドレール32bと同じく、ベース部32aにおける前記表面上で延在するように設けられている。また、そのラック32cも、ガイドレール32bと同じく、ベース部32aの周縁に沿って延在するように円弧状に形成されている。但し、そのラック32cは、前記歯が円弧の内側を向くように形成されている。そして、そのラック32cは、前記表面上において、ガイドレール32bと離間してベース部32aの内周縁側に位置すると共に、ベース部32aの円弧方向の範囲に亘って延在するように設けられている。
【0039】
可動部材33は、その可動部材33の主体であって支持部材24を支持する支持体33aと、その支持体33aのレール部材32上での変位を案内すべくレール部材32のガイドレール32bと係合する係合部材33bとで構成されている。また、そのように支持体33a(可動部材33)を変位させるための駆動手段34は、前記のように駆動モータ31を駆動源としており、その駆動モータ31は、支持体33aに支持されている。それらの構成について、詳しくは、以下の通りである。
【0040】
支持体33aは、板状の部材であり、その板厚方向に見て長方形状を成す(その板厚方向における両板面が長方形状を成す)部材である。但し、その支持体33aは、その両板面の長辺方向の寸法がレール部材32におけるガイドレール32bとラック32cとの間隔よりも十分に大きい寸法(その間隔の2倍程度の寸法)であるように形成されている。
【0041】
また、係合部材33bは、厚みのある板状に形成されたブロック状の部材である。その係合部材33bは、その厚さ方向を支持体33aの板厚方向に一致させる向きで支持体33aに取り付けられるものであり、その厚さ方向における両端面の一方が取付面となっている。
【0042】
また、係合部材33bは、その前記両端面のうちの他方の端面に開口すると共に、その他方の端面の長辺方向における両側の面にも開口するように形成された案内溝33b1を有している。但し、その案内溝33b1は、レール部材32におけるガイドレール32bと同じ曲率で円弧を成すように形成されている。また、その案内溝33b1は、ガイドレール32bが係合し得るような大きさに形成されている。すなわち、その案内溝33b1は、その溝幅がガイドレール32bの幅と略一致する(僅かに大きい)ような大きさに形成されている。なお、その案内溝33b1の深さ寸法は、ガイドレール32bの高さ寸法よりも小さく、図示の例では半分程度となっている。
【0043】
その上で、係合部材33bは、支持体33aにおける前記両板面のうちの一方の板面に対し、その前記取付面を当接させた状態で、ネジ部材等により取り付けられる。但し、その取り付けについては、係合部材33bが支持体33aの前記板面の長辺方向(=支持体33aの長辺方向)における中間部付近に位置すると共に、係合部材33bの前記取付面の長辺方向と支持体33aの前記板面の短辺方向とを一致させた状態で、その取り付けが行われている。
【0044】
駆動手段34は、駆動源である駆動モータ31と、その駆動モータ31の出力軸に取り付けられたピニオン31aと、そのピニオン31aと噛合するラック32cとで構成されている。すなわち、前記したレール部材32に設けられるラック32cは、駆動手段34の一部としても機能する。
【0045】
その駆動手段34において、駆動モータ31は、前記のように支持体33aに支持されるかたちで設けられており、支持体33aにおける前記両板面のうちの他方の板面に対し、ネジ部材等により取り付けられている。なお、その取り付けは、駆動モータ31の出力軸の軸線方向を支持体33aの板厚方向に一致させるかたちで行われている。そこで、支持体33aには、その駆動モータ31が取り付けられる位置における出力軸に対応する部分に、出力軸の通過を許容する貫通孔が形成されている。但し、その取り付け位置は、同じく支持体33aに取り付けられる係合部材33bとの位置関係において、支持体33aの長辺方向に関し係合部材33bにおける円弧状の案内溝33b1の内周側の位置であって、駆動モータ31の出力軸と係合部材33bの案内溝33b1との間隔がレール部材32におけるガイドレール32bとラック32cとの間隔と略同じになるような位置に設定されている。
【0046】
その上で、前記のように支持体33aに駆動モータ31が取り付けられた状態において、駆動モータ31の出力軸は、支持体33aを貫通し、その先端部が支持体33aの前記一方の板面側に位置する状態となっている。その上で、その出力軸の先端部には、ピニオン31aが取り付けられている。なお、前記のようにピニオン31aは、レール部材32のラック32cに噛合される。したがって、支持体33aに対する駆動モータ31の取り付け位置は、支持体33aに取り付けられた係合部材33bがレール部材32のガイドレール32bと係合した状態で、駆動モータ31に取り付けられたピニオン31aとラック32cとが噛合するような位置となっている。
【0047】
そして、そのような各構成要素を備えた駆動機構30は、可動部材33における係合部材33bをその案内溝33b1においてレール部材32におけるガイドレール32bに係合させるかたちで、可動部材33とレール部材32とが組み合わされた構成となっている。なお、そのように係合部材33bとガイドレール32bとを係合させた状態では、駆動手段34における駆動モータ31は、支持体33aに対し前記のような位置で取り付けられていることから、レール部材32に対しガイドレール32bよりもラック32c側に位置する状態となる。そして、その状態において、駆動機構30は、駆動モータ31に取り付けられたピニオン31aとレール部材32のラック32cとが噛合した状態となっている。
【0048】
その上で、駆動機構30は、前述のようにガイド支持構造40を介して多関節ロボット7のアーム7aに対し支持されている。そのガイド支持構造40は、一対の支持バー40a、40aにより駆動機構30を支持するように構成されている。その各支持バー40aは、本実施例では、角柱状の部材となっている。
【0049】
また、ガイド支持構造40は、各支持バー40aをアーム7aに対し取り付けるための取付部40bであって、アーム7aに対し取り付けられた一対の取付部40b、40bを有している。その各取付部40bは、アーム7aにおける配置ヘッド6が取り付けられる先端部とは反対側の後端部に取り付けられている。また、その一対の取付部40b、40bは、アーム7aの両側部からアーム7aの両側へ向けて延びるようなかたちで設けられている。そして、各支持バー40aは、その取付部40bが取り付けられたアーム7aの後端部からアーム7aの先端側へ向けて延在するようなかたちで、その一端部において取付部40bに取り付けられている(支持されている)。なお、各支持バー40aは、そのように取り付けられた状態で、他端部がアーム7aよりも上方に位置すると共に、アーム7aを側方から見てその延在方向がアーム7aの延在方向に対し30°程度の角度を成すようなかたちで設けられている。
【0050】
また、図示の例では、ガイド支持構造40は、両支持バー40a、40aを連結する補強部材40dを有している。その補強部材40dは、支持バー40aの他端部付近に架設されるかたちで、両支持バー40a、40aを連結している。
【0051】
さらに、ガイド支持構造40は、各支持バー40aの他端部に設けられる支持部40cであって、各支持バー40aに対し駆動機構30(レール部材32)を取り付けて駆動機構30を両支持バー40a、40aに支持された状態とする一対の支持部40c、40cを有している。
【0052】
その各支持部40cは、板材から成る2枚の板状部40c1、40c1を対向させるかたちで構成されたものとなっている。なお、その各板状部40c1は、支持バー40aに取り付けられる矩形状の部分と、その矩形状の部分の一側縁から短辺方向に延びるように形成された三角形状の部分とを有する略L字形に形成されている。また、三角形状の部分は、その傾斜する側縁が矩形状の部分の前記一側縁に対し鈍角を成すように形成されており、その角度は、図示の例では概ね140°程度となっている。さらに、各板状部40c1は、図示は省略するが、三角形状の部分における前記傾斜側縁から板厚方向に延びる板面を有している。
【0053】
その上で、支持部40cを構成する2枚の板状部40c1,40c1は、対応する支持バー40aの側面に対し、前記板面が支持バー40aと対向する向きで、その矩形状の部分の端面において取り付けられている。したがって、そのように各板状部40c1が取り付けられた状態では、2つの前記板面が、支持バー40aに対向すると共に、支持バー40aの延在方向に対し略140°の角度を成して存在するかたちとなる。そして、その2つの前記板面が、支持部40cにおける駆動機構30(レール部材32)が取り付けられる面(取付面)となる。
【0054】
そして、駆動機構30は、レール部材32におけるベース部32aの裏面(ガイドレール32b等が設けられる側とは反対側の端面)を各支持部40cにおける前記取付面に当接させた状態で、ガイド支持構造40に取り付けられている。
なお、その取り付けは、ガイド支持構造40をそのベース部32aの内側に両支持バー40a、40a(アーム7a)が位置する向きとし、且つ、平面視においてベース部32aの中央をアーム7aの中心に一致させた状態で行われている。そして、そのように取り付けられた状態では、駆動機構30は、アーム7aを側方から見て、ベース部32aがアーム7aの延在方向に対し70°程度の角度を成してアーム7aの位置から上方に延在するような状態となっている。
【0055】
また、駆動機構30(支持機構26)は、前述のように支持部材24をアーム7aの延在方向に揺動させる縦揺動機構50を有している。その上で、支持部材24は、その縦揺動機構50において駆動機構30に対し支持されている。その縦揺動機構50は、アクチュエータとしての駆動モータ51aを駆動源として支持部材24を揺動させるための揺動駆動機構51と、その揺動駆動機構51と支持部材24とを連結する一対の揺動アーム52,52とを含んでいる。そして、そのように構成された縦揺動機構50と支持部材24との組み合わせが、本発明で言う位置変更機構に相当する。
【0056】
その縦揺動機構50について、より詳しくは、揺動駆動機構51は、略直方体状の支持筐体51bを基体としており、その支持筐体51bにおいて可動部材33における支持体33aに対し取り付けられている。その支持筐体51bの支持体33aに対する取り付けは、支持体33aの長辺方向における係合部材33bに対する駆動モータ31側とは反対の側において、支持体33aにおける前記一方の板面(係合部材33bが取り付けられる側の板面)に対し取り付けるかたちで行われている。なお、支持筐体51bは、その端面を支持体33aに対し当接させると共に、その支持体33aに当接する端面に対し直交する4つの側面のうちの2つが支持体33aの長辺方向と平行を成すような向きで、支持体33aに対し取り付けられる。
【0057】
その上で、駆動モータ51aは、支持筐体51bにおける前記側面のうちの支持体33aの長辺方向と直交する側面であって係合部材33bに対し遠い側の側面に対し、ネジ部材等により取り付けられている。すなわち、支持筐体51bにおいては、その側面がモータ取付面と成っている。また、駆動モータ51aは、その出力軸を支持体33aの長辺方向に一致させると共に、その出力軸が支持筐体51bにおける前記モータ取付面を含む側壁を貫通する状態で、支持筐体51bに対し取り付けられている。
【0058】
また、揺動駆動機構51は、支持筐体51bにおける前記モータ取付面と平行を成す向きで支持筐体51bに設けられた揺動軸51cを有している。その揺動軸51cは、支持体33aの長辺方向と平行を成す支持筐体51bにおける2つの側面(横側面)に関し、支持筐体51bにおける各前記横側面を含む側壁を貫通し、その両側壁に支持されるかたちで設けられている。すなわち、その揺動軸51cは、支持筐体51bに支持されると共に、その両端部が支持筐体51bの前記横側面から突出するかたちで、揺動駆動機構51において設けられている。
【0059】
その上で、揺動駆動機構51においては、支持筐体51bの内部において、駆動モータ51aの出力軸と揺動軸51cとが、歯車機構(図示略)を用いて連結されている。なお、駆動モータ51aの出力軸と揺動軸51cとはその軸線方向が直交していることから、その歯車機構は、傘歯車(ベベルギア)等を用いたものとなっている。そして、そのように構成されることで、揺動駆動機構51は、駆動モータ51aが正逆転駆動されることで、揺動軸51cが揺動駆動されるものとなっている。
【0060】
各揺動アーム52は、厚みのある板状の部材であり、その板厚方向に見て長方形状に形成された部材である。また、各揺動アーム52は、その長手方向における一端部に形成された割締め機構を有している。そして、一対の揺動アーム52、52は、それぞれの割締め機構により、揺動駆動機構51における揺動軸51cの両端部に対し、割締め固定によって相対回転不能に取り付けられている。なお、その揺動軸51cに対する各揺動アーム52の取り付けは、揺動軸51cに対する両揺動アーム52、52の位相を一致させると共に、各揺動アーム52が揺動軸51cの位置から駆動モータ51a側へ向けて延在するようなかたちで行われている。
【0061】
そして、支持部材24は、その一対の揺動アーム52、52に取り付けられるかたちで、駆動機構30における縦揺動機構50に対し支持されている。なお、その揺動アーム52に対する支持部材24の取り付けは、支持部材24における一対の側板24a、24aが、その側板24aの長手方向を揺動アーム52の延在方向に一致させた状態で、側板24aの長手方向におけるそれぞれの他端部の部分において取り付けられるかたちで行われている。したがって、支持部材24は、その側板24aが縦揺動機構50(揺動軸51c)から前記延在方向に向けて延びるかたちで、縦揺動機構50に支持された状態となっている。
【0062】
その上で、その縦揺動機構50は、前述のように支持機構26における駆動機構30に含まれており、駆動機構30におけるレール部材32上に設けられる可動部材33に対し、その可動部材33における支持体33aにおいて支持されている。そして、その駆動機構30がガイド支持構造40によって多関節ロボット7のアーム7aに支持されていることから、支持部材24は、そのガイド支持構造40及び駆動機構30を備える支持機構26により、アーム7aに対し支持された状態となっている。
【0063】
なお、そのようにアーム7aに支持された状態では、支持部材24は、アーム7aを側方から見てそのアーム7aの延在方向に対しアーム7aの先端側へ向けて70°程度の角度を成してアーム7aに支持されているレール部材32に対し、そのレール部材32の前記表面に略沿った方向でアーム7aの先端側へ向けて延在する状態となっている。そして、繊維束2を直接的に案内するように繊維束2の数(本実施例では16本)に応じて設けられたトウガイド22は、以上のようなかたちでアーム7aに支持された支持部材24における一対の側板24a、24aの先端側で支持されている。因みに、そのように支持されたトウガイド22の位置は、本実施例では、図1、2に示すような前記幅方向に関し可動部材33がレール部材32(ベース部32a)の中央に位置する状態で、アーム7aの先端よりも前方の上方となっている。
【0064】
そして、以上のように構成されたガイド機構20(支持機構26)を備えた自動繊維束配置装置1によれば、予め設定されたプログラムに従って多関節ロボット7(アーム7a)を動作させることで、配置型5上への複数本の繊維束2の前記配置が行われる。また、その前記配置においては、繊維束2の配置が行われる配置型5上の形状に応じて、アーム7aに対し配置ヘッド6を取り付けている回動機構10(回動部10a)が旋回駆動され、それにより、配置ヘッド6をその回動部10aの軸線周りに旋回させる配置ヘッド6の旋回駆動が行われる場合もある。なお、そのような配置ヘッド6が旋回駆動されると、配置ヘッド6における導入部6aの位置は、多関節ロボット7におけるアーム7aの先端に対し相対的に変化する(変更される)。
【0065】
その上で、そのように配置ヘッド6が旋回駆動されるのに伴い、支持機構26における駆動機構30において、可動部材33をレール部材32上で変位させるべく、駆動手段34における駆動モータ31が駆動される。駆動モータ31が駆動されると、その出力軸に取り付けられたピニオン31aがレール部材32上のラック32cと噛合していることから、その駆動モータ31が取り付けられた可動部材33における支持体33a及びその支持体33aに取り付けられた係合部材33bが、係合部材33bによってレール部材32上のガイドレール32bに案内されるかたちで、ガイドレール32bに沿ってレール部材32の円弧方向に変位する。なお、その駆動モータ31の駆動(駆動時期等)も、配置ヘッド6の旋回駆動に合せるかたちで、プログラムにおいて予め設定されている。したがって、その可動部材33の変位駆動は、配置ヘッド6の旋回駆動に合せるかたちで実行される。
【0066】
そして、そのように可動部材33が変位するように駆動されると、その可動部材33に取り付けられている支持部材24が、配置ヘッド6の旋回動作に合せ、レール部材32に沿って変位する。なお、レール部材32がアーム7aに対し前述のように設けられていることから、その変位は、支持部材24の位置が、前記幅方向に変化するように行われるものとなる。それにより、繊維束2が配置ヘッド6の旋回動作によって多関節ロボット7のアーム7a等に干渉するといったことが避けられるため、配置ヘッド6の動作に対する制限を可及的に少なくすることが出来る。
【0067】
さらに、ガイド機構20(支持機構26)における駆動機構30は、前述のように構成された縦揺動機構50を有しており、支持部材24は、その縦揺動機構50を介してレール部材32(可動部材33)に支持されている。そして、その縦揺動機構50において支持部材24が取り付けられる一対の揺動アーム52、52は、駆動モータ51aにより、アーム7aの延在方向において揺動駆動されるようになっている。したがって、その一対の揺動アーム52、52が揺動駆動されることで、支持部材24が、縦揺動機構50における揺動軸51cの位置を中心として、アーム7aの延在方向において揺動駆動される。
【0068】
そこで、前記した配置ヘッド6の旋回駆動に応じて縦揺動機構50を駆動することで、支持部材24に支持されているトウガイド22の位置が、前記のような導入部6aの位置の変化に合せるかたちでアーム7aの延在方向に変化する。それにより、前述したように配置ヘッド6の旋回等の動作に伴ってアーム7aの先端に対する導入部6aの位置が変化するが、トウガイド22から導入部6aに至る繊維束2の経路長の変化が軽減される。したがって、その経路長の変化に起因する前記配置への悪影響が可及的に抑えられることで、前記配置が安定して行われることとなる。しかも、本実施例のガイド機構20においては、その縦揺動機構50が駆動モータ51aにより支持部材24の揺動駆動を積極的に行うように構成されており、それにより、配置ヘッド6の旋回動作に応じた各トウガイド22の変位がより確実に行われることとなる。
【0069】
因みに、本実施例の縦揺動機構50は、支持部材24の揺動が許容範囲を超えたことを検知する揺動検知装置53を備えている。その揺動検知装置53は、揺動アーム52に取り付けられる被検知体53aと、その被検知体53aを検出する検知機構53bとで構成されている。
【0070】
その揺動検知装置53について、より詳しくは、被検知体53aは、薄い板材で形成され、主として円板状を成す部材である。また、被検知体53aは、その主体的な円盤状の部分(円盤状部)53a1の外周縁から半径方向に延びるように形成された突出部分(突出部)53a2を有している。なお、その突出部53a2は、検知機構53bに検出される部分であり、被検知体53aにおける被検知部である。そして、被検知体53aは、揺動アーム52の他端部の部分に対し、複数のネジ部材によって取り付けられている。
【0071】
但し、その取り付けは、揺動アーム52が取り付けられる揺動軸51cの軸線方向に見て、円盤状部53a1の中心が揺動軸51cの軸心に一致するような位置で行われている。したがって、揺動アーム52が揺動駆動されるのに伴い、その被検知体53aにおける突出部(被検知部)53a2は、揺動軸51cの軸心を中心として、揺動アーム52の揺動量と同じだけ揺動する。また、図示の例では、その揺動アーム52に対する被検知体53aの取り付けは、その突出部53a2が支持体33aの方を向くような位相で行われている。
【0072】
また、検知装置53bは、一対の検知器53b1、53b1と、その両検知器53b1、53b1を支持体33aに対し取り付けて支持された状態とするための取付機構とで構成されている。また、その取付機構は、両検知器53b1、53b1が取り付けられる取付板53b2と、その取付板53b2を支持体33aに取り付けるための取付ブラケット53b3とで構成されている。そして、一対の検知器53b1、53b1は、被検知体53aに対する支持体33a側の位置で被検知体53aにおける円盤状部53a1の外周面に対向するような配置で、取付ブラケット53b3により支持体33aに支持された取付板53b2に対し、複数のネジ部材によって取り付けられている。
【0073】
なお、各検知器53b1は、その検知部において、被検知体53a(被検知部53a2)が検知器53b1の位置に達したことを検知するようなものとなっている。そして、その両検知器53b1、53b1の被検知体53aに対する配置は、揺動アーム52の揺動に伴う被検知部53a2の揺動の経路上に各検知器53b1における検知部が位置するような位置に設定されている。さらに、両検知器53b1、53b1の配置は、揺動アーム52の揺動に対し予め設定された許容し得る揺動範囲(許容範囲)における両揺動限に対応する被検知部53a2の位置(境界位置)に対し、被検知部53a2の揺動方向においてその境界位置を超えた位置に設定されている。
【0074】
そして、その揺動検知装置53は、検知機構53bにおける検知器53b1が被検知体53a(被検知部53a2)を検知するのに伴い、自動繊維束配置装置1における制御装置(図示略)に対し、その検知信号を出力するものとなっている。それにより、例えば縦揺動機構50における駆動部分等に異常が発生し、揺動アーム52(支持部材24)が前記した許容範囲を超えて揺動した場合に、それが揺動検知装置53によって検知され、前記制御装置に対しその検知信号が出力されることとなる。したがって、その検知信号によって前記のような異常が発生したことが前記制御装置において把握されるため、前記制御装置に対し多関節ロボット7の制御等に関する適切な処理(停止等)を行わせることができる。
【0075】
以上では、本発明が適用された自動繊維束配置装置の一実施形態(以下、「前記実施例」と言う。)について説明した。しかし、本発明では、前記実施例において説明したものに限定されるものではなく、以下のような別の実施形態(変形例)での実施も可能である。
【0076】
(1)トウガイド(支持部材)を変位させるための位置変更機構について、前記実施例では、その位置変更機構は、アクチュエータを駆動源として支持部材24を変位させる変位機構を備えている。すなわち、前記実施例の位置変更機構は、トウガイド22(支持部材24)を積極的に変位させる変位機構を備えるように構成されたものとなっている。その上で、前記実施例では、その変位機構は、支持部材24をアーム7aの延在方向に揺動駆動させる縦揺動機構50となっている。しかし、本発明において、位置変更機構が前記のように変位機構を備える場合であっても、その変位機構は、前記実施例のように構成されたものに限らず、支持部材をアームの延在方向に直線的に変位させるように構成されたものであっても良い。
【0077】
例えば、変位機構を、前記実施例における構成と同様に構成された支持部材が、アーム7aに支持された部分(前記実施例では可動部材33)に対し、支持部材がその側板の長手方向に変位可能であるように構成された直動案内部によって支持されるように構成されたものとする。その上で、変位機構が、そのように変位可能に支持された支持部材を前記長手方向に変位させるボールネジ機構を含むように構成されたものとすれば良い。
【0078】
具体的には、前記直動案内部には駆動源としての駆動モータが、その出力軸を前記長手方向における支持部材側へ向けて固定されているものとする。そして、その駆動モータの出力軸にボールネジが取り付けられると共に、そのボールネジに螺合するナットが支持部材に対し相対回転不能に取り付けられているものとする。そのように構成された変位機構によれば、駆動モータが正逆回転駆動されることで、支持部材が前記直動案内部に案内されるかたちで前記長手方向に変位し、トウガイドが直線的に変位することとなる。
【0079】
また、そのように位置変更機構がトウガイドを直線的に変位させるように構成されている場合には、その位置変更機構は、トウガイドの変位が消極的に行われるように構成することも可能である。例えば、支持部材が前記のように前記直動案内部に支持される構成において、位置変更機構を、前記直動案内部と支持部材との間に支持部材を前記長手方向におけるトウガイド側へ向かって弾性的に付勢するバネ部材が備えられた構成とすれば良い。
【0080】
そして、そのように構成された位置変更機構によれば、配置ヘッドの旋回動作に伴って前記導入部の位置がその旋回方向に変位することで各トウガイドがそれぞれに案内している繊維束によって引っ張られるかたちとなる。それにより、前記長手方向に変位可能な支持部材に支持されたトウガイドが配置ヘッドの旋回に応じて直線的に変位することとなる。このように、本発明における位置変更機構は、アクチュエータを駆動源とする変位機構を備えてトウガイドを積極的に変位させるように構成されたものに限らず、トウガイドの変位が消極的に行われるように構成されたものであっても良い。
【0081】
(2)位置変更機構を備えるガイド機構について、前記実施例では、そのガイド機構20は、トウガイド22(支持部材)を自動繊維束配置装置1の幅方向にも変位可能となるように構成されている。そして、そのような幅方向の変位を実現するための構成(幅変位機構)として、ガイド機構20は、アーム7aに対し支持されるレール部材32と、そのレール部材32上を前記幅方向に変位する可動部材33と、その可動部材33をレール部材32上で変位させるための駆動手段34とを備えるように構成されている。その上で、支持部材24及び変位機構(縦揺動機構)の組み合わせから成る位置変更機構は、前記幅変位機構を介してアーム7aに支持されており、前記幅方向にも変位されるようになっている。
【0082】
しかし、本発明におけるガイド機構は、トウガイドが配置ヘッドの旋回に応じて変位するように構成されていれば良く、位置変更機構が備えられている構成において、前記のような幅変位機構は、省略可能である。なお、ガイド機構がそのように前記幅変位機構を備えない場合、アームに対する支持部材の支持は、例えば、アームに対し適当なブラケット等を取り付け、そのブラケット等に対し位置変更機構を取り付けるかたちで行うようにすれば良い。
【0083】
(3)導入部の位置を変更するヘッド旋回機構について、前記実施例では、そのヘッド旋回機構は、アーム7aと配置ヘッド6との間に介装される回動機構10を備えており、その回動機構10によって配置ヘッド6をその軸線周りに旋回駆動させるように構成されたものとなっている。しかし、本発明において、そのヘッド旋回機構は、前記実施例のように構成されたものに限らない。
【0084】
例えば、ヘッド旋回機構は、アームをその中心軸線周りに回動させるように構成された機構であっても良い。そして、その構成の場合には、アームが回動駆動されることで、配置ヘッドが前記中心軸線周りで揺動変位し、導入部がアームの先端に対し相対的に変位することとなる。但し、その構成の場合において、前記実施例のように支持部材がアームに支持されるように自動繊維束配置装置が構成される場合には、アームは、前記のように回動される部分に加え、支持部材を支持する部分として回動駆動されない部分(固定部分)も有するように構成されている必要がある。
【0085】
さらに、ヘッド旋回機構は、アームと配置ヘッドとの間に介装される機構であってアームに対し配置ヘッドを揺動変位させるように構成された機構であっても良い。なお、以上で説明したヘッド旋回機構について、それぞれが単独で備えられるのには限らず、2種類以上の機構が組み合わされてヘッド旋回機構が構成されていても良い。
【0086】
また、本発明は、以上で説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々に変更することが可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 自動繊維束配置装置
2 繊維束
3 ボビン
4 供給装置
5 配置型
6 配置ヘッド
6a 導入部
7 多関節ロボット
7a アーム
7b 関節部
8 ダンサロール
9 ガイド部
10 回動機構
10a 回動部
20 ガイド機構
22 トウガイド
24 支持部材
24a 側板
24b 支軸
24c 補強部材
26 支持機構
30 駆動機構
31 駆動モータ
31a ピニオン
32 レール部材
32a ベース部
32b ガイドレール
32c ラック
33 可動部材
33a 支持体
33b 係合部材
33b1 案内溝
34 駆動手段
40 ガイド支持構造
40a 支持バー
40b 取付部
40c 支持部
40c1 板状部
40d 補強部材
50 縦揺動機構
51 揺動駆動機構
51a 駆動モータ
51b 支持筐体
51c 揺動軸
52 揺動アーム
53 揺動検知装置
53a 被検知体
53a1 円盤状部
53a2 突出部(被検知部)
53b 検知機構
53b1 検知器
53b2 取付板
53b3 取付ブラケット
図1
図2
図3
図4