(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】縦型ブラインド
(51)【国際特許分類】
E06B 9/36 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
E06B9/36 B
E06B9/36 D
E06B9/36 F
(21)【出願番号】P 2020180468
(22)【出願日】2020-10-28
【審査請求日】2023-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000109923
【氏名又は名称】トーソー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】飯泉 智司
(72)【発明者】
【氏名】金子 敦
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/054410(WO,A1)
【文献】特開2016-172974(JP,A)
【文献】特開2008-13989(JP,A)
【文献】特開2010-255252(JP,A)
【文献】米国特許第5029413(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/00
E06B 9/24-9/50
F21S 11/00
F21V 5/00-5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンガーレールと、
前記ハンガーレール内で軸線周りに回転可能に支持されたチルトシャフトと、
前記チルトシャフトに対して移動可能に支持された第1ランナー及び第2ランナーと、
前記第1ランナー及び前記第2ランナーそれぞれに吊り下げられているルーバーと、
を備える縦型ブラインドであって、
前記第1ランナー及び前記第2ランナーはそれぞれ、前記チルトシャフトに嵌挿されているウォームと、該ウォームと係合するウォームホイールと、該ウォームホイールが取り付けられていてかつ前記ルーバーを回転可能に支持するフックと、を有し、
前記第1ランナーの前記ウォームホイール及び前記第2ランナーの前記ウォームホイールはそれぞれ、前記チルトシャフトを挟んで異なる側に配置されており、互いに異なる方向に回転する
ことを特徴とする縦型ブラインド。
【請求項2】
前記第1ランナー及び前記第2ランナーはそれぞれ、前記ウォーム及び前記フックを収容し、前記チルトシャフトに嵌挿されているケースを有し、
前記ケースは、前記チルトシャフトを挟んで異なるいずれの側においても前記フックを収容可能な孔として形成された2つの収容部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の縦型ブラインド。
【請求項3】
複数の前記第1ランナー及び複数の前記第2ランナーは、前記チルトシャフトにおいて交互に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の縦型ブラインド。
【請求項4】
前記第1ランナーの前記ルーバーは、全閉時に隣接する前記第1ランナーの前記ルーバーと端部同士が重なり、前
記第2ランナーの前記ルーバーは、全閉時に隣接する前記第2ランナーの前記ルーバーと端部同士が重なり、
前記第1ランナーの前記ルーバーは、回転時に隣接する前記第2ランナーの前記フックに接触せず、前
記第2ランナーの前記ルーバーは、回転時に隣接する前記第1ランナーの前記フックに接触しないようになっている
ことを特徴とする請求項1から3までのいずれか一項に記載の縦型ブラインド。
【請求項5】
前記第1ランナーの前記ルーバーは、透光性又は非透光性であり、
前記第2ランナーの前記ルーバーは、非透光性又は透光性である
ことを特徴とする請求項1から4までのいずれか一項に記載の縦型ブラインド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦型ブラインドに関する。
【背景技術】
【0002】
ハンガーレールと、ハンガーレールに移動可能に取り付けられた複数のランナーと、各ランナーに吊り下げられたルーバー(スラット)と、を備え、ルーバーの角度を変えて室内への採光量を調節可能とする縦型ブラインドが知られている。ルーバーは、ハンガーレール内で各ランナーに吊下支持されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の縦型ブラインドにおいては、光が透過する透光性及び光の一部が透過する半透光性の2種類のルーバーを備えている。2種類のルーバーは、ハンガーレール内で長手方向に沿って交互にランナーに吊り下げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載されている縦型ブラインドにおいて、各ランナーに設けられてルーバーを回転可能に支持する全てのフックは、ハンガーレールの長手方向に沿って一直線上に直列に並んでいる。そのため、隣接するルーバーは、全閉時に互いに重なることになる。例えば、外観が異なる2種類のルーバーが交互に重なり合うことにより、ルーバーの全閉時における縦型ブラインド全体としての意匠性の統一感が失われることになる。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、ルーバーの全閉状態において統一感のある意匠性を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る縦型ブラインドは、ハンガーレールと、前記ハンガーレール内で軸線周りに回転可能に支持されたチルトシャフトと、前記チルトシャフトに対して移動可能に支持された第1ランナー及び第2ランナーと、前記第1ランナー及び前記第2ランナーそれぞれに吊り下げられているルーバーと、を備える縦型ブラインドであって、前記第1ランナー及び前記第2ランナーはそれぞれ、前記チルトシャフトに嵌挿されているウォームと、該ウォームギアと係合するウォームホイールと、該ウォームホイールが取り付けられていてかつ前記ルーバーを回転可能に支持するフックと、を有し、前記第1ランナーの前記ウォームホイール及び前記第2ランナーの前記ウォームホイールはそれぞれ、前記チルトシャフトを挟んで異なる側に配置されており、互いに異なる方向に回転することを特徴とする。
【0008】
本発明の一態様に係る縦型ブラインドにおいて、前記第1ランナー及び前記第2ランナーはそれぞれ、前記ウォーム及び前記フックを収容し、前記チルトシャフトに嵌挿されているケースを有し、前記ケースは、前記チルトシャフトを挟んで異なるいずれの側においても前記フックを収容可能な孔として形成された2つの収容部を有する。
【0009】
本発明の一態様に係る縦型ブラインドにおいて、複数の前記第1ランナー及び複数の前記第2ランナーは、前記チルトシャフトにおいて交互に配置されている。
【0010】
本発明の一態様に係る縦型ブラインドにおいて、前記第1ランナーの前記ルーバーは、全閉時に隣接する前記第1ランナーの前記ルーバーと端部同士が重なり、前記第2ランナーの前記ルーバーは、全閉時に隣接する前記第2ランナーの前記ルーバーと端部同士が重なり、前記第1ランナーの前記ルーバーは、回転時に隣接する前記第2ランナーの前記フックに接触せず、前記第2ランナーの前記ルーバーは、回転時に隣接する前記第1ランナーの前記フックに接触しないようになっている。
【0011】
本発明の一態様に係る縦型ブラインドにおいて、前記第1ランナーの前記ルーバーは、透光性又は非透光性であり、前記第2ランナーの前記ルーバーは、非透光性又は透光性である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ルーバーの全閉状態において統一感のある意匠性を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る縦型ブラインドの構成を説明するための正面図である。
【
図2】(a)は、ルーバーが全開状態にある
図1に示す縦型ブラインドの正面図であり、(b)は、(a)のA-A線に沿った縦型ブラインドにおける断面図である。
【
図3】縦型ブラインドのうちチルトシャフト及びランナーのみを示す斜視図である。
【
図4】(a)は、第1ランナーの分解斜視図であり、(b)は、第2ランナーの分解斜視図である。
【
図5】ランナーケースの構成を説明するための図であり、(a)は上方から見たランナーケースの斜視図であり、(b)は下方から見たランナーケースの斜視図であり、(c)は(a)におけるB-B線に沿ったランナーケースの断面図である。
【
図6】ランナーがチルトシャフトに取り付けられた状態を示す平面図である。
【
図7】縦型ブラインドにおける各ルーバーの回転範囲を概略的に示す図である。
【
図8】縦型ブラインドにおける各ルーバーの所定の角度毎の回転経過を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施の形態に係る縦型ブラインド100の構成を説明するための正面図である。
図2(a)は、ルーバー141,142が全開状態にある
図1に示す縦型ブラインド100の正面図であり、
図2(b)は、(a)のA-A線に沿った縦型ブラインド100における断面図である。本発明の一実施の形態に係る縦型ブラインド100は、複数のルーバー141,142を備え、ルーバー141,142の角度(正確にはルーバー141,142の水平断面における水平面内での回転角度)を調整可能とすることにより、例えば、室内からの外部の視認を可能にしたり、外部からの室内の視認を妨げたり、また、室内への入射する光の量を調整可能である日射遮蔽装置である。本実施の形態に係る縦型ブラインド100は、窓枠等に取り付けられる公知の縦型ブラインドであり、特定の縦型ブラインドには限定されない。
【0016】
本発明に係る縦型ブラインド100は、ハンガーレール110と、ハンガーレール110内で軸線x1周りに回転可能に支持されたチルトシャフト150と、チルトシャフト150に対して移動可能に支持された第1ランナー1及び第2ランナー3と、第1ランナー1及び第2ランナー3それぞれに吊り下げられているルーバー141,142と、を備える。第1ランナー1及び第2ランナー3はそれぞれ、チルトシャフト150に嵌挿されているウォーム11,31と、該ウォーム11,31と係合するウォームホイール12,32と、ウォームホイール12,32が取り付けられていてかつルーバー141,142を回転可能に支持するフック(以下、「ランナーフック」ともいう)13,33と、を有し、第1ランナー1のウォームホイール12及び第2ランナー3のウォームホイール32はそれぞれ、チルトシャフト150を挟んで異なる側に配置されており、互いに異なる方向に回転する。以下、縦型ブラインド100の構成について具体的に説明する。
【0017】
<縦型ブラインドの構成>
縦型ブラインド100は、ハンガーレール110と、駆動機構(図示せず)と、操作棒120と、操作コード130と、2種類のルーバー141,142と、チルトシャフト150と、ランナー1,3と、を備える。なお、説明の便宜上、図面において、
図1に示すように、縦型ブラインド100のハンガーレール110の延び方向を長手方向LRとする。また、ハンガーレール110からルーバー141,142が垂れ下がる方向を高さ方向UDとする。また、
図2(b)において左右方向を前後方向(幅方向)FBとする。なお、操作棒120が縦型ブラインド100に取り付けられている側が室内側Fであり、縦型ブラインド100が窓枠等に取り付けられる側を室外側Bとする。
【0018】
ハンガーレール110は、長手方向LRに沿って延びる中空の筺状部材であり、幅方向FBにおける断面形状が略矩形になっている。ハンガーレール110の長手方向LRにおける両端は、エンドキャップにより閉鎖されている。縦型ブラインド100が取り付けられた状態における高さ方向UDにおいて、ハンガーレール110には、ハンガーレール110から複数のルーバー141,142が吊り下げられるように下側Dに向かって開口した開口111が形成されている。
【0019】
ハンガーレール110の閉鎖された端部の一方の端部の側(右側R)には、操作棒120と、操作コード130と、駆動機構とが設けられている。操作棒120は、ハンガーレール110から吊り下げられてハンガーレール110に支持されている。操作棒120を回転させることにより駆動機構のギア(図示せず)を介して後述するチルトシャフト150が回転させられる。チルトシャフト150の回転に伴って後述するランナー1,3のランナーフック13,33が回転し、ランナー1,3に吊り下げられて支持されたルーバー141,142が回転するようになっている。
【0020】
一方のエンドキャップから垂れ下がった操作コード130は、ハンガーレール110内で周回可能に設けられており、具体的には複数の後述するランナー1,3のうち、他方のエンドキャップ側のランナー1又はランナー3に取り付けられている。
【0021】
例えば、ルーバー141は、光を通す透光性(透過性)の材料により形成されており、ルーバー142は、光を通さない非透光性(非透過性)の材料により形成されている。本実施の形態においては、ルーバー141は、ランナー1に取り付けられ、ルーバー142は、ランナー3に取り付けられるようになっているが、逆であってもよい。なお、ルーバー141は、光を一部通す半透光性(半透過性)の材料により形成されていてもよい。
【0022】
ハンガーレール110内には、チルトシャフト150がその軸線x1周りに回転可能に支持されている。チルトシャフト150は、チルトシャフト150の外周面には周方向に等間隔をあけて形成された複数のスプラインを有する軸部材である。スプラインは、軸線x1に沿って延びている。
【0023】
縦型ブラインド100は、複数のランナー(第1ランナー)1及び複数のランナー(第2ランナー)3を有する。各ランナー1,3は、長手方向LRに沿ってチルトシャフト150に相対的に移動可能に設けられている。
【0024】
図3は、縦型ブラインド100のうちチルトシャフト150及びランナー1,3のみを示す斜視図である。ランナー1,3は、長手方向LRに沿って交互に設けられている。隣り合うランナー1,3は、互いにスペーサリンク(図示せず)によって連結されており、互いが最も離れた最大離間が制限されている。
【0025】
図4(a)は、ランナー(第1ランナー)1の分解斜視図であり、
図4(b)は、ランナー(第2ランナー)3の分解斜視図である。ランナー1は、ウォームギア(ウォーム11及びウォームホイール12)10と、ランナーフック13と、ランナーケース20と、を有する。ランナー3も、ウォームギア(ウォーム31及びウォームホイール32)30と、ランナーフック33と、ランナーケース40と、を有する。なお、ランナー1,3のウォームギア(ウォーム11,31及びウォームホイール31,32)10,30と、ランナーフック13,33及びランナーケース20,40は、互いに共通する部材である。
【0026】
ランナー1,3において、ウォーム11,31及びウォームホイール12,32によりウォームギア10,30が形成されている。ウォーム11,31はそれぞれ、中空の円筒状に形成されており、外周面に複数条の歯11a,31aを有する。歯11a,31aは、ウォーム11,31の中心を通り回転中心となる軸線x2,x3周りに螺旋状に形成されている。ウォーム11,31は、チルトシャフト150に軸線x1に沿って摺動可能に嵌め合わされる。
【0027】
図4において、ウォーム11の左側にウォームホイール12が配置されていて、ウォーム31の右側にウォームホイール32が配置されている。つまり、ウォーム11,31それぞれにチルトシャフト150が挿通されている状態において、ウォームホイール12,32それぞれは、互いに異なる側から対応するウォームホイール12,32に係合する。ウォーム11,31における歯11a,31aのねじれ方向は右上がりになっている。つまり、ウォーム11,31における歯11a,31aのねじれ方向は、互いに同じ方向になっている。
【0028】
ウォーム11,31はそれぞれ、内周面に周方向において等間隔に配置されていて、軸線x2,x3に向かって突出する凸状の突条部11b,31bを有する。各突条部11b,31bは、軸線x2,x3に沿って延びており、チルトシャフト150の、例えばスプライン溝(
図3参照)Nに係合する。
【0029】
ウォームホイール12,32は、中空の円筒状に形成されており、後述するランナーフック13,33に嵌め合わされる。ウォームホイール12,32は、外周面に複数条の歯12a,32aを有する。歯12a,32aは、ウォームホイール12,32の中心を通り回転中心となる軸線x4,x5に沿って斜めに延びている。
図4において、ウォームホイール12,32における歯12a,32aのねじれ方向は、例えば、右上がりになっている。ウォームホイール12,32における歯12a,32aのねじれ方向は、互いに同じ方向になっていればよく、左上がりでもよい。
【0030】
ランナーフック13,33は、棒状の部材であり、ランナー1,3に支持された状態において部分的にランナー1,3の外側に突出する下部分13a,33aと、収容空間S内に収容されている上部分13b,33bとを有する。下部分13aにはルーバー141がランナーフック13の軸線x4周りに回転するように取り付けられる。下部分33aにはルーバー142がランナーフック33の軸線x5周りに回転するように取り付けられる。
【0031】
ランナーフック13,33の上部分13b,33bには、ウォームホイール12,32が取り付けられている。ランナーフック13,33の上部分13b,33bにウォームホイール12,32が嵌め込まれた状態において、ウォームホイール12,32及びランナーフック13,33は互いに相対的に回動しないようになっている。
【0032】
ウォームホイール12,32は、チルトシャフト150とともに回転するウォーム11,31と噛み合う。ウォームホイール12,32がウォーム11,31と噛み合った状態において、チルトシャフト150が回転すると、回転出力がウォーム11,31及びウォームホイール12,32を介してランナーフック13,33に伝達され、ランナーフック13,33の回転とともにルーバー141,142が互いに異なる方向に回転するようになっている。
【0033】
図5は、ランナーケース20;40の構成を説明するための図であり、(a)は上方から見たランナーケース20;40の斜視図であり、(b)は下方から見たランナーケース20;40の斜視図であり、(c)は(a)におけるB-B線に沿ったランナーケース20;40の断面図である。ランナーケース20;40は、ハンガーレール110内においてハンガーレール110とチルトシャフト150とに対して長手方向LRに沿って摺動可能に支持されている。ランナーケース20;40は、ウォーム11;31と、ウォームホイール12;32と、ランナーフック13:33と、を収容する筺状部材である。
【0034】
ランナーケース20;40は、チルトシャフト150が挿通される一対の第1壁部21;41と、ハンガーレール110に支持される一対の第2壁部23,25;43,45と、を有する。ランナーケース20;40においては、一対の第1壁部21;41と、一対の第2壁部23,25;43,45とによって収容空間Sが画定されている。ランナーケース20;40は、ランナー1;3がハンガーレール110内に収容された状態において、ハンガーレール110からルーバー141,142が吊り下がっている側が底壁部27;47によって閉鎖されていて、底壁部27;47とは反対の側に向かって開口している。
【0035】
一対の第1壁部21;41は、チルトシャフト150が挿通された状態において、チルトシャフト150の延び方向に互いに所定の間隔をあけてかつ延び方向に交差するように設けられている。第1壁部21;41はそれぞれ、挿通孔22;42を有しており、挿通孔22;42にチルトシャフト150が挿通されるようになっている。
【0036】
一対の第2壁部23,25;43,45は、ランナー1;3にチルトシャフト150が挿通された状態において、チルトシャフト150の延在方向に沿って延びており、一対の第1壁部21;41を連結している。第2壁部23;43は、チルトシャフト150の延び方向に沿った面に上記スペーサリンクを摺動可能に保持する腕部24;44を有する。腕部24;44は、張出部位24a;44aと、対向部位24b;44bと、を有する。
【0037】
張出部位24a;44aは、第2壁部23;43から離れる方向に所定の量だけ延びている。対向部位24b;44bは、第2壁部23;43とは反対側の張出部位24a;44aの先端から底壁部27;47とは反対の側に延び、第2壁部23;43に対向している。第2壁部23;43と対向部位24b;44bとの間のスペースは、スペーサリンクが収容されるように形成されている。
【0038】
腕部24;44は、対向部位24b;44bの第2壁部23;43とは反対側を向く面に突出部24c;44cを有する。突出部24c;44cは、
図5に示すように、逆C字状又は略逆C字状に形成されている。突出部24c;44cは、操作コード130が通されるようになっている。
【0039】
第2壁部25;45は、チルトシャフト150の延び方向に沿った面に、ハンガーレール110に移動可能に支持される突出部26;46を有する。突出部26;46は、
図5に示すように、C字状又は略C字状に形成されている。突出部26;46は、操作コード130が通されるようになっている。
【0040】
底壁部27;47は、ランナーフック13;33が挿通される孔である2つの孔部27a,27b;47a,47bを有する。2つの孔部27a,27b;47a,47bは、第1壁部21;41に沿って所定の間隔をあけて設けられており、第1壁部21;41における挿通孔22;42を挟んで対称的に配置されている。本実施の形態においては、ランナーフック13は、孔部27aに挿通されるようになっており、ランナーフック33は、孔部47bに挿通されるようになっている。
【0041】
ウォーム11,31、ウォームホイール12,32及びランナーフック13:33がランナーケース20,40に収容された状態において、ウォーム11,31は、ランナーケース20;40の挿通孔22;42に対して同心的に配置されている。また、互いに相対回動不能に取り付けられたウォームホイール12,32及びランナーフック13,33は、ランナーケース20,40に収容された状態において、収容空間S内に位置すると共に、ランナーフック13,33の下部分13a,33aは、孔部27a,47bから突出している。
【0042】
図6は、ランナー1,3がチルトシャフト150に取り付けられた状態を示す平面図である。チルトシャフト150には複数のウォーム11,31がチルトシャフト150の延在方向に沿って等間隔に交互に取り付けられている。図示のように例えば、ランナー1におけるウォームホイール12は、チルトシャフト150に対して室内側Fにあり、ランナー3におけるウォームホイール32は、チルトシャフト150に対して室外側Bにある。つまり、ランナー1におけるウォームホイール12及びランナー3におけるウォームホイール32は、チルトシャフト150に対してそれぞれ異なる側にある。ランナー1のランナーフック13は、時計回りに回転し(矢印参照)、ランナー3のランナーケース40は、反時計回りに回転する(矢印参照)。
【0043】
図7は、縦型ブラインド100における各ルーバー141,142の回転範囲R1,R2を概略的に示す図である。ランナー1及びランナー3は、ルーバー141の回転時に隣接するランナー3のランナーフック33にルーバー141が接触せず、ルーバー142の回転時に隣接するランナー1のランナーフック13にルーバー142が接触しないように、チルトシャフト150に取り付けられている。つまり、各ルーバー141,142の回転範囲R1,R2内には、他のルーバー141,142が取り付けられているランナーフック13,33が含まれないようになっている。
【0044】
図8は、縦型ブラインド100における各ルーバー141,142の所定の角度毎の回転経過を示す図である。ランナー1及びランナー3は、全閉(0°及び180°)時に隣接するルーバー141の端部同士が重なり、全閉時に隣接するルーバー142の端部同士が重なるようにチルトシャフト150に取り付けられている。操作棒120を回転させると、チルトシャフト150が回転し、ルーバー141は、時計回りに180°回転し、ルーバー142は、反時計回りに180°回転するようになっている。
【0045】
以上のような縦型ブラインド100において、各ランナー1,3においてそれぞれのウォームホイール12,32は、ウォーム11,31を挟んで異なる側に位置している。これにより、チルトシャフト150が所定の回転方向に回転させられると、ランナー1におけるウォームホイール12及びランナーフック13と、ランナー3におけるウォームホイール32及びランナーフック33とは、互いに異なる方向、例えば、時計回り及び反時計回りに回転する。
【0046】
例えば、従来の縦型ブラインドでは、ルーバーが全開状態になるまで、ルーバー同士は、互いに並行状態を維持して同じ方向に回転するため、窓から斜めに入射する光の量を調整するだけであった。つまり、ルーバー間の隙間は、室内に対して正面側から徐々に斜めに向かうようになって、狭まることにより室内に入射する光の量を調整するだけであった。
【0047】
これに対して、縦型ブラインド100においてはチルトシャフト150が回転すると、
図8に示すように、ルーバー141,142は、常に、室内及び室外に対して対抗する方向(正対する方向)において互いの間隔(隙間量)を段階的(例えば、45°~135)に調整することができる。これにより、窓から室内に正面から入射する光の量を細かく調整(調光)することができる。
【0048】
さらに、ルーバー141,142の開閉調整(調光)時(例えば、15°~60°)には、透光性のルーバー142の間からは非透光性のルーバー141が見えるようになっており、室外から室内への視認性を妨げることができ、プライバシー性を維持することができる。
【0049】
さらに、ルーバー141,142の全閉状態において、例えば、室内側からは非透光性のルーバー141のみが見える状態、つまり、透光性のルーバー142が室内側から見えない状態になっており縦型ブラインド100の意匠性(統一感)が高められる。
【0050】
さらに、ルーバー141,142の全閉状態(0°及び180°)において、ルーバー141とルーバー142との間には、所定の空間が設けられるようになっている。これにより、全閉時のルーバー141,142間に空気層が形成され、断熱効果を奏することができる。
【0051】
また、ランナー1,3のランナーケース20,40はそれぞれ、ランナーフック13,33を収容する2つの孔部27a,27b;47a,47bを有しているので、各ランナー1,3に対して同一のランナーケース20,40を用いることができる。
【0052】
また、ランナー1同士のルーバー141及びランナー3同士のルーバー142の端部が重なることにより、例えば、室内側Fから縦型ブラインド100を見た場合には、ルーバー141だけが見え、室外側Bから見た縦型ブラインド100を見た場合には、ルーバー142だけが見え、統一された意匠性を得ることができる。
【0053】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記の第1の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。また、例えば、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。例えば、上記の実施の形態においてランナー1,3には、透光性のルーバー141及び非透光性のルーバー142が支持されていたが、ルーバーの種類は特に限定されず、使用される2種類のルーバーは、色違い等、インテリア設計に応じて適宜決めることができる。
【0054】
また、上記の実施の形態においては、ランナーケース20,40は互いに同じものが使用されていたが、支持するルーバー141,142に合わせた側に特定のランナーフック13,33を収容する孔部だけを有するようになっていてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1・・・ランナー(第1ランナー)、3・・・ランナー(第2ランナー)、10・・・ウォームギア、11・・・ウォーム、11a・・・歯、11b・・・突条部、12・・・ウォームホイール、12a・・・歯、13・・・ランナーフック(フック)、13a・・・下部分、13b・・・上部分、20・・・ランナーケース、21・・・第1壁部、22・・・挿通孔、23,25・・・第2壁部、24・・・腕部、24a・・・張出部位、24b・・・対向部位、24c・・・突出部、26・・・突出部、
27・・・底壁部、27a,27b・・・孔部、30・・・ウォームギア、31・・・ウォーム、31a・・・歯、31b・・・突条部、32・・・ウォームホイール、32a・・・歯、33・・・ランナーフック(フック)、33a・・・下部分、33b・・・上部分、40・・・ランナーケース、41・・・第1壁部、42・・・挿通孔、43,45・・・第2壁部、44・・・腕部、44a・・・張出部位、44b・・・対向部位、44c・・・突出部、46・・・突出部、47・・・底壁部、47a,47b・・・孔部、100・・・縦型ブラインド、110・・・ハンガーレール、111・・・開口、120・・・操作棒、130・・・操作コード、141,142・・・ルーバー、150・・・チルトシャフト