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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】衣類処理装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/02 20060101AFI20240719BHJP
   D06F 37/28 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
D06F58/02 R
D06F37/28
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020187780
(22)【出願日】2020-11-11
(65)【公開番号】P2022077112
(43)【公開日】2022-05-23
【審査請求日】2023-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】曽我 浩二
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲也
(72)【発明者】
【氏名】恒川 郁朗
(72)【発明者】
【氏名】寺林 義史
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2010-0120049(KR,A)
【文献】国際公開第2017/130759(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/013092(WO,A1)
【文献】特開2016-059563(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0330008(US,A1)
【文献】特開2015-019866(JP,A)
【文献】特開2017-131387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/02
D06F 37/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、前記筐体の前板又は天板に設けられている開閉自在な扉体と、前記筐体の内部に配置され、前記扉体を介して投入された衣類を収容する収容室とを備え、前記収容室に収容された衣類を処理する衣類処理装置において、
前記扉体は、透明の材料で構成され、前記収容室の内部を外部から観察できる透過部と、前記透過部に設けられ、所定の情報を表示する透過型ディスプレイである表示部とを有しており、
前記表示部は、前記所定の状態を表示する表示領域を含み、前記表示領域に前記所定の情報を表示する表示状態と、前記表示領域を透明にして、該表示領域を介して前記収容室の内部を外部から観察できる透明状態とを、切り換え可能に構成されており、
少なくとも前記衣類処理装置の運転が終了したときに前記運転が終了した旨が表示されて前記表示状態となり、少なくとも前記収容室から前記衣類を取り出し終えたときに前記透明状態となるように構成されていることを特徴とする衣類処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の衣類処理装置において、
前記表示状態は、第1表示状態と該第1表示状態とは異なる第2表示状態とを含むものであり、
前記第1表示状態は、少なくともユーザの選択し得る運転コースを選択するためのボタン及び乾燥時間を指定するためのタイマーが表示され、前記第2表示状態は、少なくとも前記衣類の乾燥が終了するまでの残り時間が表示されることを特徴とする衣類処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の衣類処理装置において、
前記表示部は、前記透過部の周縁部に設けられていることを特徴とする衣類処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の衣類処理装置において、
前記筐体は、前記前板に前記扉体が取り付けられ、
前記表示部は、前記透過部の下方部分に設けられていることを特徴とする衣類処理装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の衣類処理装置において、
前記扉体は、該扉体の周縁に沿って設けられ、前記透過部が嵌め込まれている枠体を有することを特徴とする衣類処理装置。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の衣類処理装置において、
前記表示部は、ユーザの手指の接触を検知するタッチセンサであることを特徴とする衣類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体の内部の収容室に収容された衣類等について、洗濯、乾燥等の処理を行うための衣類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗濯後の衣類等(いわゆる洗濯物であり、タオル、シーツ等の布製品も含む。)を、筐体に設けられている開閉自在な扉体を介して、筐体の内部に配置されている収容室に収容し、その衣類等について洗濯、乾燥等の処理を行う衣類処理装置がある。
【0003】
この種の衣類処理装置としては、筐体の前板又は天板に扉体を設けるとともに、その扉体にガラス、アクリル板等の透明な部材を用いた透過部(いわゆる窓部)を設け、その透過部を介して、収容室の内部を観察可能に構成したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-104492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような衣類処理装置では、透過部を介した観察の容易化、美観の向上等の理由から、できるだけ透過部を大きく構成したいという要望がある。その一方で、透過部の設けられている前板又は天板には、衣類等の処理状態等の所定の情報を示す表示機構、衣類処理装置への指示を入力するための操作部等の他の構成も設けなければならないことが多い。
【0006】
そのため、透過部を大きく構成すると、表示部、操作部等の配置位置が制限されてしまい、表示部に表示された内容を把握しにくくなってしまったり、操作部を介した操作が行いにくくなってしまったりするおそれがあった。
【0007】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、窓部を大きく構成することができ、且つ、窓部とともに配置される構成の機能を十分に発揮させることができる衣類処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の衣類処理装置は、
筐体と、前記筐体の前板又は天板に設けられている開閉自在な扉体と、前記筐体の内部に配置され、前記扉体を介して投入された衣類を収容する収容室とを備え、前記収容室に収容された衣類を処理する衣類処理装置において、
前記扉体は、透明の材料で構成され、前記収容室の内部を外部から観察できる透過部と、前記透過部に設けられ、所定の情報を表示する透過型ディスプレイである表示部とを有しており、
前記表示部は、前記所定の状態を表示する表示領域を含み、前記表示領域に前記所定の情報を表示する表示状態と、前記表示領域を透明にして、該表示領域を介して前記収容室の内部を外部から観察できる透明状態とを、切り換え可能に構成されており、
少なくとも前記衣類処理装置の運転が終了したときに前記運転が終了した旨が表示されて前記表示状態となり、少なくとも前記収容室から前記衣類を取り出し終えたときに前記透明状態となるように構成されていることを特徴とする。
また、本発明の衣類処理装置においては、
前記表示状態は、第1表示状態と該第1表示状態とは異なる第2表示状態とを含むものであり、
前記第1表示状態は、少なくともユーザの選択し得る運転コースを選択するためのボタン及び乾燥時間を指定するためのタイマーが表示され、前記第2表示状態は、少なくとも前記衣類の乾燥が終了するまでの残り時間が表示されることが好ましい。
【0009】
このように、本発明の衣類処理装置は、所定の情報を表示する表示部を扉体に設けている。すなわち、表示部を筐体の前板又は天板の透過部以外の部分に設ける必要がないので、従来では表示部を設けていたスペースにまで透過部(いわゆる窓部)を広げることができる。これにより、従来の衣類処理装置に比べ、透過部を大きく構成することができる。
【0010】
また、この衣類処理装置では、表示部として、透過型ディスプレイを採用している。これにより、表示部に所定の情報が表示されている状態でも、透過部を介してだけでなく、その情報以外の部分(例えば、文字以外の部分)を介して、収容室の内部を外部から観察することができる。そのため、表示部における表示を、十分に大きくして、ユーザが表示部に表示される所定の情報を把握しやすくすることができる。
【0011】
また
記表示部は、前記所定の状態を表示する表示領域を含み、前記表示領域に前記所定の情報を表示する表示状態と、前記表示領域を透明にして、該表示領域を介して前記収容室の内部を外部から観察できる透明状態とを、切り換え可能に構成されている
【0012】
このように構成すると、表示状態で所定の情報を大きく表示したとしても、透過状態とすることによって、表示部を含む透過部全体を介して、収容室の内部を外部から容易に観察することができる。また、透過部全体を透明状態にするという選択肢が増えることにより、透過部の形状の選択肢も増えるので、美観の向上を図りやすくなる。
【0013】
また、本発明の衣類処理装置においては、
前記表示部は、前記透過部の周縁部に設けられていることが好ましい。
【0014】
このように構成すると、所定の情報も透過部の周縁部に表示されることになる。その状態では、所定の情報が透過部の中央部に表示されている状態に比べ、所定の情報が収容室の内部を観察する際に邪魔になりにくい。
【0015】
また、本発明の衣類処理装置においては、表示部が透過部の周縁部に設けられている場合、
前記筐体は、前記前板に前記扉体が取り付けられ、
前記表示部は、前記透過部の下方部分に設けられていることが好ましい。
【0016】
例えば、衣類処理装置が衣類乾燥機である場合等には、その衣類処理装置は、ユーザが操作する際の姿勢に対して、比較的高い位置(例えば、洗濯機の上方等)に配置される場合がある。そこで、このように、扉体を前板に取り付けるとともに表示部を透過部の下方部分に設けると、表示部がユーザの視線に近い位置に位置するので、ユーザが所定の情報を把握しやすくすることができる。
【0017】
また、本発明の衣類処理装置においては、表示部が透過部の周縁部に設けられている場合、
前記扉体は、該扉体の周縁に沿って設けられ、前記透過部が嵌め込まれている枠体を有することが好ましい。
【0018】
このように構成すると、表示部が枠体の周縁に沿って配置されることになる。ひいては、所定の情報も枠体に沿って表示されるようになる。これにより、所定の情報を読み取る際に、枠体に沿って視線が誘導されるようになるので、その内容を把握しやすくなる。
【0019】
また、本発明の衣類処理装置においては、
前記表示部は、ユーザの手指の接触を検知するタッチセンサであることが好ましい。
【0020】
従来、筐体の前板又は天板には、扉体とともに衣類処理装置の操作部が設けられていることが多い。そこで、このように構成すると、表示部に操作部としての機能を持たせることができるので、その分、操作部のサイズを小さくしたり、操作部を省略したりすることができるようになる。すなわち、従来では操作部を設けていたスペースにまで、透過部を広げることができる。これにより、さらに透過部を大きく構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態に係る衣類乾燥機の構成を模式的に示す縦断面図。
図2図1の衣類乾燥機の斜視図。
図3図1の衣類乾燥機の配置された状態を模式的に示す側面図。
図4図1の衣類乾燥機の扉体を正面図であって、表示状態のうち操作ボタンを表示している状態を示す図。
図5図1の衣類乾燥機の扉体を正面図であって、表示状態のうち残り時間を表示している状態を示す図。
図6図1の衣類乾燥機の扉体を正面図であって、透過状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図1図6を参照して、実施形態に係る衣類乾燥機D(衣類処理装置)について説明する。
【0023】
なお、以下の説明においては、本発明の衣類処理装置が、衣類乾燥機である場合について説明する。しかし、本発明の衣類処理装置は、衣類乾燥機に限定されるものではなく、衣類(いわゆる洗濯物であり、衣服の他、タオル、シーツ等の布製品も含む。)等について洗濯、乾燥等の処理を行う者であればよい。そのため、例えば、衣類洗濯機であってもよい。
【0024】
[衣類乾燥機の概略構成]
まず、図1図3を参照して、衣類乾燥機Dの概略構成について説明する。
【0025】
図1に示すように、衣類乾燥機Dは、衣類Wを収容して回転しつつ乾燥する回転式のドラム1(収容室)を備えている。ドラム1は、回動自在な状態で筐体2の内部に配置されている。
【0026】
筐体2の背面壁2aには、正面に向かって延びる支持軸3が設けられている。支持軸3には、ドラム1のドラム回転軸1aが回転自在に装着されている。これにより、ドラム1は、横倒姿勢(軸線が水平方向となる姿勢)で、筐体2に対し、回転自在に支持されている。
【0027】
ドラム1の前端には、正面開放部1bが形成されている。筐体2の正面側には、ドラム1の正面開放部1bに対応する位置に、片開き式の扉体4で覆われた衣類投入口2bが設けられている。衣類投入口2bの外周には、リング板5が装着されている。リング板5には、正面開放部1bを介して、ドラム1が回動自在な状態で支持されている。
【0028】
ドラム1の奥壁1cには、前述したドラム回転軸1aが設けられている。ドラム回転軸1aのドラム1の内部側の端部には、フィルタユニット6が取り付けられている。また、ドラム回転軸1aのドラム1の外部側の端部には、軸支されたドラム1の奥壁1cを補強するための補強板1dが取り付けられている。
【0029】
ドラム1の奥壁1cと筐体2の背面壁2aとの間には、ドラム1の内部の空気を筐体2の外部に導く排気路7が設けられている。排気路7の下流端には、筐体2の上部で開口する排気口7aが設けられている。排気路7の上流側には、ファンケース8aが配置されている。
【0030】
ファンケース8aの内部には、排湿ファン8bが収容されている。排湿ファン8bは、支持軸3に回転自在に支持されたファン回転軸8cを備えている。排湿ファン8bは、衣類Wの乾燥に伴い高湿度となったドラム1の内部の空気を排出するとともに、ドラム1の内部に温風を引き込む気流を発生させる。
【0031】
具体的には、排湿ファン8bが回転すると、まず、外気が筐体2の底部に形成されている給気口2cから筐体2の内部に取り込まれる。次に、筐体2の内部に取り込まれた外気は、後述するガスバーナ10aの炎に加熱されて温風となり、後述する温風ダクト11を通ってドラム1の内部に送られる。
【0032】
筐体2の内部には、ドラム1及び排湿ファン8bを回転させるためのモータ9(電動機)と、温風を生成する温風生成ユニット10と、生成された温風をドラム1の内部へ導く温風ダクト11と、乾燥運転時にモータ9の駆動、温風生成ユニット10の点消火動作等を制御する制御装置12とが、配置されている。
【0033】
モータ9は、第1駆動軸9a及び第2駆動軸9bの2つの駆動軸を備えている。第1駆動軸9aとドラム1とには、第1伝動ベルト9cが掛け渡されている。第2駆動軸9bと排湿ファン8bのファン回転軸8cとには、第2伝動ベルト9dが掛け渡されている。
【0034】
第1駆動軸9aの回転力は、第1伝動ベルト9cを介してドラム1に伝達され、ドラム1を回転させる。このドラム1の回転により、ドラム1の内部に収容されている衣類Wは、定位置に留まることなく常に動かされる。
【0035】
第2駆動軸9bの回転力は、第2伝動ベルト9dを介してファン回転軸8cに伝達され、排湿ファン8bを回転させる。この排湿ファン8bの回転により、ドラム1の内部に気流が形成される。
【0036】
温風生成ユニット10は、ガスバーナ10aと、ガス噴射ノズル10bと、ガス供給弁装置10cと、放電装置10dとを備えている。
【0037】
ガス供給弁装置10cから供給された燃料ガスは、ガス噴射ノズル10bからガスバーナ10aのガス入口10eへ向けて噴射される。噴射された燃料ガスは、ガス入口10e周辺の燃焼用空気とともにガスバーナ10aに導かれる。その後、その燃焼ガス及び燃焼用空気は、放電装置10dによって着火されて燃焼し、その燃焼によって外気が加熱され温風が生成される。
【0038】
なお、燃焼ガスとともにガスバーナ10aに供給される燃焼用空気は、加熱するための外気と同様に筐体2の底部の給気口2cから取り込まれる。
【0039】
温風ダクト11は、ガスバーナ10aの上方からリング板5に形成された温風出口5aまで延設されている。ガスバーナ10aにより加熱生成された温風は、温風ダクト11を通って温風出口5aへ導かれ、ドラム1の内部へ送り込まれる。
【0040】
ドラム1の内部に送り込まれた温風は、ドラム1に収容されている衣類Wから湿気を吸収してその衣類Wを乾燥させる。衣類Wの乾燥に伴い高湿度となった温風(高湿温風)は、フィルタユニット6を通過して排湿ファン8bへ向かう。このとき、衣類Wから発生した糸屑類がフィルタユニット6に捕捉される。
【0041】
フィルタユニット6を経て排湿ファン8bへ向かった高湿温風は、排湿ファン8bの正面側から入って排湿ファン8bの外周に向かい、排気路7に集約されて排気口7aから機外に排出される。
【0042】
制御装置12は、後述するように扉体4に設けられたタッチパネル42(図4参照)を介してユーザUに入力された内容に基づいて、乾燥運転時におけるモータ9の駆動、温風生成ユニット10の点火・消火動作等に関する制御を行う。
【0043】
図2に示すように、筐体2は、略立方体をしており、天板20、底板21、並びに、天板20と底板21との間に位置し、上下方向に延設されている前板22、後蓋23、及び、左右一対の側板24により構成されている。
【0044】
前板22の中央には、ドラム1に衣類を投入するための衣類投入口2bが設けられている。衣類投入口2bは、前述のように片開き式の扉体4で覆われている。後蓋23は、前述の背面壁2aを構成している。
【0045】
このように構成されている衣類乾燥機Dは、例えば、図3に示すように、洗濯機Lの上方等、比較的高い位置(例えば、ユーザUの視線よりも高い位置等)に設置される。
【0046】
[扉体の構成]
次に、図4図6を参照して、衣類乾燥機Dの扉体4の構成について、詳細に説明する。
【0047】
図4に示すように、扉体4は、筐体2の前板22の中央部に、開閉自在となるように設けられている。扉体4を閉鎖した状態では、その扉体4によって、前板22に設けられている衣類投入口2bが閉鎖される(図1参照)。一方、扉体4を開放した状態では、衣類投入口2bも開放されるので、扉体4(すなわち、衣類投入口2b)を介して、ドラム1の内部に衣類Wを収容したり、ドラム1の内部から衣類Wを取り出したりすることができるようになっている。
【0048】
扉体4は、扉体4の周縁に沿って設けられ、扉体4の外形を規定する環状の枠体40と、枠体40に嵌め込まれている窓部41(透過部)と、窓部41の下方部分で、窓部41と一体に設けられている透過型ディスプレイであるタッチパネル42(表示部、タッチセンサ)とを備えている。
【0049】
窓部41は、筐体2の外側から順に配置されているアクリル板と耐熱ガラスとによる二層構造となっている。このアクリル板と耐熱ガラスは、いずれも透明の材料であるので、窓部41を介して、ドラム1の内部を外部から観察可能となっている。そのアクリル板と耐熱ガラスとの間には、無機エレクトロルミネッセンス(以下、「無機EL」という。)が配置されている。
【0050】
なお、窓部となる透過部は、このような構成に限定されるものではない。そのため、必ずしもアクリル板と耐熱ガラスを用いた二層構造にする必要はなく、一層構造又は三層以上の構造であってもよい。また、無機ELに代わり、有機ELを用いてもよい。
【0051】
タッチパネル42は、窓部41の内部に配置されている無機ELのうち、窓部41の周縁部であって窓部41の下方部分に位置する表示領域を用いて構成されている。このタッチパネル42は、所定の情報を表示するとともに、ユーザUの手指の接触を検知して、その検知内容を制御装置12へと送信する。
【0052】
衣類乾燥機Dの使用を開始する状態(すなわち、ユーザUがドラム1に衣類Wを投入した後、衣類乾燥機Dの運転内容を設定する状態)では、タッチパネル42は、所定の情報を表示するための第1表示状態となる。
【0053】
この第1表示状態では、図4に示すように、タッチパネル42には、各種入力を行うための情報が表示される。具体的には、ユーザUの選択し得る運転コース(速乾コース等)を選択するためのボタン、乾燥時間を指定するためのタイマー等が表示される。
【0054】
その後、第1表示状態のタッチパネル42にユーザUが手指を接触させて入力を行うと、タッチパネル42は、第1表示状態とは異なる情報を表示する第2表示状態となる。
【0055】
この第2表示状態では、図5に示すように、タッチパネル42には、衣類Wの乾燥が終了するまでの残り時間が表示される。すなわち、時間を表示する部分以外の部分が透明化される。なお、この第2表示状態では、運転状態の変化(例えば、停電による運転の停止等)が発生した場合には、時間の表示も消えて、その内容及び対処法が表示される。また、残り時間の他に、現在実行中の運転の内容(選択されている運転コース、その進捗状況等)が表示されるように構成されていてもよい。
【0056】
なお、この第2表示状態では、窓部41のうちタッチパネル42以外の領域は、半透明状態となっており、乾燥中の衣類Wが、外部から観察できないようになっている。ただし、ユーザUの操作(不図示のボタンの押圧等)によって、ユーザUの意図に応じて、窓部41の一部又は全部が透明状態に切り換わるようになっている。
【0057】
その後、衣類乾燥機Dの運転が終了すると、タッチパネル42には、終了した旨が表示される。そして、ユーザUが衣類Wを取り出し終わると、タッチパネル42は、透明状態となる。
【0058】
この透明状態では、タッチパネル42を含めた窓部41全体が透明となり、窓部41を介して、ドラム1の内部を外部から観察可能となる。これにより、衣類Wの取り出し忘れが抑制される。
【0059】
以上説明したように、衣類処理装置Dは、所定の情報を表示するタッチパネル42を扉体4に設けている。すなわち、タッチパネル42を筐体2の前板22の窓部41以外の部分に設ける必要がないので、従来ではタッチパネル42を設けていたスペースにまで窓部41を広げることができる。これにより、従来の衣類処理装置に比べ、窓部41を大きく構成することができる。
【0060】
また、この衣類処理装置Dでは、タッチパネル42として、透過型ディスプレイを採用している。これにより、タッチパネル42に所定の情報が表示されている状態でも、窓部41を介してだけでなく、その情報以外の部分(例えば、文字以外の部分)を介して、ドラム1の内部を外部から観察することができる。そのため、タッチパネル42における表示を、十分に大きくして、ユーザUがタッチパネル42に表示される所定の情報を把握しやすくすることができる。
【0061】
[その他の実施形態]
以上、図示の実施形態について説明したが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。
【0062】
例えば、上記実施形態では、図3に示すように、衣類処理装置が、洗濯機Lの上方等の比較的高い位置に配置される衣類乾燥機Dである。そのため、衣類乾燥機Dでは、扉体4をユーザUの視線に近い位置に位置させて、ユーザUの観察、入力を容易にするために、扉体4(ひいては、透過部である窓部41)を筐体2の前板22に設けるとともに、表示部であるタッチパネル42を窓部41の下方部分に設けている。
【0063】
しかし、本発明の衣類処理装置は、このような構成に限定されるものではなく、衣類処理装置の種類、配置位置等によっては、扉体を前板と天板のいずれに設けてもよいし、表示部の位置を透過部の他の部分に設けてもよい。そのため、例えば、衣類処理装置が、縦型の洗濯機の場合には、扉体を天板に設けるとともに、表示部を透過部の中央部分又は上方部分に設けてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、図4に示すように、タッチセンサであるタッチパネル42は、窓部41に一体に設けられている。これは、制御装置12に対する操作部を表示部であるタッチパネル42に一体化させることによって、操作部の配置スペースを省略して、透過部である窓部41をさらに大きく構成するためである。
【0065】
しかし、本発明の衣類処理装置は、このような構成に限定されるものではなく、表示部が透過部に設けられていればよく、必ずしもタッチセンサ等の入力手段を透過部に設ける必要はない。そのため、例えば、透過部には表示部だけを設け、天板若しくは前板、又は、扉体透過部以外の部分(例えば、枠体)に、別途操作パネルを設けてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、図4に示すように、強度の確保、構成のしやすさの観点から、枠体40に透過部である窓部41を嵌め込んで、扉体4を構成している。また、そのような枠体40を備えるとともに、表示部であるタッチパネル42を周縁部に沿って設けることによって、タッチパネル42に表示される情報の読む方向を誘導して、ユーザUに情報を読み取りやすくしている。
【0067】
しかし、本発明の衣類処理装置は、そのような構成に限定されるものではなく、枠体の構造は、適宜変更してもよい。例えば、透過部を構成する材料がそれのみで十分な強度を有する場合には、枠体を省略してもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、図4及び図5図6とに示すように、表示部であるタッチパネル42を、表示状態と透明状態とを切り換え可能に構成している。これにより、表示状態で所定の情報を大きく表示したとしても透明状態とすることによって、タッチパネル42を含む窓部41全体を介して、ドラム1の内部を外部から容易に観察することができるようになっている。また、窓部41全体を透明状態にするという選択肢が増えることにより、窓部41の形状の選択肢も増えるので、美観の向上を図りやすくなっている。
【0069】
しかし、本発明の衣類処理装置は、そのような構成に限定されるものではなく、表示部は、表示状態と透明状態とを切り換え可能ではなく、常時所定の情報(例えば、時間等)を表示するように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1…ドラム(収容室)、1a…ドラム回転軸、1b…正面開放部、1c…奥壁、1d…補強板、2…筐体、2a…背面壁、2b…衣類投入口、2c…給気口、3…支持軸、4…扉体、5…リング板、5a…温風出口、6…フィルタユニット、7…排気路、7a…排気口、8a…ファンケース、8b…排湿ファン、8c…ファン回転軸、9…モータ、9a…第1駆動軸、9b…第2駆動軸、9c…第1伝動ベルト、9d…第2伝動ベルト、10…温風生成ユニット、10a…ガスバーナ、10b…ガス噴射ノズル、10c…ガス供給弁装置、10d…放電装置、10e…ガス入口、11…温風ダクト、12…制御装置、12a…操作パネル、20…天板、21…底板、22…前板、23…後蓋、24…側板、40…枠体、41…窓部(透過部)、42…タッチパネル(表示部、タッチセンサ)、D…衣類乾燥機(衣類処理装置)、L…洗濯機、U…ユーザ、W…衣類。
図1
図2
図3
図4
図5
図6