(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】車両の制御方法及び車両の制御システム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20240719BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20240719BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20240719BHJP
B60L 50/16 20190101ALI20240719BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240719BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20240719BHJP
B60K 6/46 20071001ALI20240719BHJP
B60W 10/06 20060101ALI20240719BHJP
B60W 10/08 20060101ALI20240719BHJP
B60W 10/26 20060101ALI20240719BHJP
B60W 20/17 20160101ALI20240719BHJP
B60W 20/12 20160101ALI20240719BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/0969
B60L15/20 J ZHV
B60L50/16
B60L50/60
B60L58/12
B60K6/46
B60W10/06 900
B60W10/08 900
B60W10/26 900
B60W20/17
B60W20/12
(21)【出願番号】P 2020194185
(22)【出願日】2020-11-24
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤田 孝信
【審査官】宮本 礼子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-177089(JP,A)
【文献】国際公開第2019/176230(WO,A1)
【文献】特開2010-138868(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
G08G 1/00-99/00
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
B60L 15/20
B60L 50/16
B60L 50/60
B60L 58/12
B60K 6/46
B60W 20/17
B60W 20/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を駆動する駆動モータと、前記駆動モータに供給する電力を発電する発電機を駆動するエンジンと、前記発電機により充電可能に構成されるとともに前記駆動モータに電気的に接続されたバッテリとを備え、目的地までの経路を設定可能な車両の制御方法であって、
前記目的地に前記車両が到着するまでの間に、前記エンジンを停止させた状態で前記駆動モータにより前記車両を走行させる特定区間が含まれる場合において、前記特定区間に前記車両が到着するまでの間に前記エンジンの駆動が必要であるときには、前記特定区間までの経路として、粗い路面を含む経路を選択する選択ステップと、
前記選択された前記特定区間までの経路において、前記車両が粗い路面を走行するときには、前記エンジンを駆動させて発電を行う制御ステップとを備え
、
前記選択ステップでは、前記バッテリのSOCに基づいて、前記特定区間において前記エンジンによる発電をせずに前記車両を走行させることが可能か否かを判定し、前記特定区間において前記エンジンによる発電をせずに前記車両を走行させることが可能である場合には、前記特定区間までの経路として、粗い路面を含まない経路を選択し、前記特定区間において前記エンジンによる発電をせずに前記車両を走行させることが不可能である場合には、前記特定区間までの経路として、粗い路面を含む経路を選択する、
車両の制御方法。
【請求項2】
車両を駆動する駆動モータと、前記駆動モータに供給する電力を発電する発電機を駆動するエンジンと、前記発電機により充電可能に構成されるとともに前記駆動モータに電気的に接続されたバッテリとを備え、目的地までの経路を設定可能な車両の制御方法であって、
前記目的地に前記車両が到着するまでの間に、前記エンジンを停止させた状態で前記駆動モータにより前記車両を走行させる特定区間が含まれる場合において、前記特定区間に前記車両が到着するまでの間に前記エンジンの駆動が必要であるときには、前記特定区間までの経路として、粗い路面を含む経路を選択する選択ステップと、
前記選択された前記特定区間までの経路において、前記車両が粗い路面を走行するときには、前記エンジンを駆動させて発電を行う制御ステップとを備え
、
前記選択ステップでは、前記特定区間までの経路候補として、粗い路面を含む経路が複数存在する場合には、前記バッテリのSOCと、前記特定区間における走行で消費する電力量と、前記経路候補に含まれる粗い路面における走行で前記エンジンにより発電可能な前記経路候補毎の電力量とに基づいて、粗い路面を含む複数の前記経路候補のうちから、前記特定区間までの経路を選択する、
車両の制御方法。
【請求項3】
請求項
2に記載の車両の制御方法であって、
前記選択ステップでは、
前記粗い路面を含む複数の経路候補のうちに、粗い路面における走行で前記エンジンにより発電可能な電力量と前記バッテリの電力量とにより、前記特定区間における走行で消費する電力量を賄える経路が存在する場合には、当該経路を前記特定区間までの経路として選択し、
粗い路面における走行で前記エンジンにより発電可能な電力量と前記バッテリの電力量とにより、前記特定区間における走行で消費する電力量を賄える経路が存在しない場合には、前記複数の経路候補のうちで粗い路面が最も長い経路候補を、前記特定区間までの経路として選択する、
車両の制御方法。
【請求項4】
請求項
2に記載の車両の制御方法であって、
前記選択ステップでは、前記粗い路面を含む複数の経路候補のうちに、粗い路面における走行で前記エンジンにより発電可能な電力量と前記バッテリの電力量とにより、前記特定区間における走行で消費する電力量を賄える経路が複数存在する場合には、当該電力量を賄える複数の経路のうちから、所定の選択条件に基づいて、前記特定区間までの経路を選択する、
車両の制御方法。
【請求項5】
車両を駆動する駆動モータと、前記駆動モータに供給する電力を発電する発電機を駆動するエンジンと、前記発電機により充電可能に構成されるとともに前記駆動モータに電気的に接続されたバッテリとを備え、目的地までの経路を設定可能な車両の制御方法であって、
前記目的地に前記車両が到着するまでの間に、前記エンジンを停止させた状態で前記駆動モータにより前記車両を走行させる特定区間が含まれる場合において、前記特定区間に前記車両が到着するまでの間に前記エンジンの駆動が必要であるときには、前記特定区間までの経路として、粗い路面を含む経路を選択する選択ステップと、
前記選択された前記特定区間までの経路において、前記車両が粗い路面を走行するときには、前記エンジンを駆動させて発電を行う制御ステップとを備え
、
前記選択ステップでは、前記バッテリのSOCと、前記特定区間における走行で消費する電力量と、前記選択された前記特定区間までの経路に含まれる粗い路面における走行で前記エンジンにより発電可能な電力量とに基づいて、前記選択された前記特定区間までの経路に含まれる粗い路面における発電区間を求め、
前記制御ステップでは、前記選択された前記特定区間までの経路に含まれる粗い路面において、前記発電区間では、前記エンジンを駆動させて発電を行い、前記発電区間以外の区間では、前記エンジンを停止させて発電を行わない、
車両の制御方法。
【請求項6】
請求項
5に記載の車両の制御方法であって、
前記選択ステップでは、前記選択された前記特定区間までの経路に含まれる粗い路面における統計車速と、当該粗い路面の粗さの程度と、当該粗い路面における前記エンジンの必要駆動力の効率とのうちの少なくとも1つに基づいて、前記発電区間を設定する、
車両の制御方法。
【請求項7】
車両を駆動する駆動モータと、前記駆動モータに供給する電力を発電する発電機を駆動するエンジンと、前記発電機により充電可能に構成されるとともに前記駆動モータに電気的に接続されたバッテリとを備え、目的地までの経路を設定可能な車両の制御方法であって、
前記目的地に前記車両が到着するまでの間に、前記エンジンを停止させた状態で前記駆動モータにより前記車両を走行させる特定区間が含まれる場合において、前記特定区間に前記車両が到着するまでの間に前記エンジンの駆動が必要であるときには、前記特定区間までの経路として、粗い路面を含む経路を選択する選択ステップと、
前記選択された前記特定区間までの経路において、前記車両が粗い路面を走行するときには、前記エンジンを駆動させて発電を行う制御ステップとを備え
、
前記選択ステップでは、前記エンジンを冷却する冷媒の温度が基準値以下である場合には、前記目的地に前記車両が到着するまでの間に前記エンジンの駆動が必要であると判定し、前記目的地までの経路として、粗い路面を含む経路を選択する、
車両の制御方法。
【請求項8】
請求項
7に記載の車両の制御方法であって、
前記制御ステップでは、前記冷媒の温度に基づいて、前記エンジンの回転数を制御する、
車両の制御方法。
【請求項9】
車両を駆動する駆動モータと、前記駆動モータに供給する電力を発電する発電機を駆動するエンジンと、前記発電機により充電可能に構成されるとともに前記駆動モータに電気的に接続されたバッテリとを備え、目的地までの経路を設定可能な車両の制御方法であって、
前記目的地に前記車両が到着するまでの間に、前記エンジンを停止させた状態で前記駆動モータにより前記車両を走行させる特定区間が含まれる場合において、前記特定区間に前記車両が到着するまでの間に前記エンジンの駆動が必要であるときには、前記特定区間までの経路として、粗い路面を含む経路を選択する選択ステップと、
前記選択された前記特定区間までの経路において、前記車両が粗い路面を走行するときには、前記エンジンを駆動させて発電を行う制御ステップとを備え
、
前記車両では、前記目的地までの距離を優先的な選択条件として前記目的地までの経路を選択する第1選択モードと、前記車両の走行時の騒音を優先的な選択条件として前記目的地までの経路を選択する選択モードであり、前記特定区間に前記車両が到着するまでの間に前記エンジンの駆動が必要である場合には粗い路面を含む経路を選択する第2選択モードとの何れかの選択モードを設定可能であり、
前記選択ステップでは、設定された前記選択モードに基づいて、前記目的地までの経路を選択する、
車両の制御方法。
【請求項10】
車両を駆動する駆動モータと、前記駆動モータに供給する電力を発電する発電機を駆動するエンジンと、前記発電機により充電可能に構成されるとともに前記駆動モータに電気的に接続されたバッテリとを備え、目的地までの経路を設定可能な車両の制御方法であって、
前記目的地に前記車両が到着するまでの間に、前記エンジンを停止させた状態で前記駆動モータにより前記車両を走行させる特定区間が含まれる場合において、前記特定区間に前記車両が到着するまでの間に前記エンジンの駆動が必要であるときには、前記特定区間までの経路として、粗い路面を含む経路を選択する選択ステップと、
前記選択された前記特定区間までの経路において、前記車両が粗い路面を走行するときには、前記エンジンを駆動させて発電を行う制御ステップと
、
前記選択された前記特定区間までの経路として、粗い路面とこれ以外の路面とを識別可能に案内する案内ステップとを備える、
車両の制御方法。
【請求項11】
請求項1から
10の何れかに記載の車両の制御方法であって、
前記制御ステップでは、前記選択された前記特定区間までの経路において、粗い路面での前記発電により、前記バッテリのSOCが基準値以上となった場合には、前記エンジンの駆動を停止させて当該発電を停止させる、
車両の制御方法。
【請求項12】
車両を駆動する駆動モータと、前記駆動モータに供給する電力を発電する発電機を駆動するエンジンと、前記発電機により充電可能に構成されるとともに前記駆動モータに電気的に接続されたバッテリと、前記駆動モータと前記エンジンと前記バッテリとを制御し、目的地までの経路を選択して乗員に案内するコントローラとを備える車両の制御システムであって、
前記コントローラは、
前記目的地に前記車両が到着するまでの間に、前記エンジンを停止させた状態で前記駆動モータにより前記車両を走行させる特定区間が含まれる場合において、前記特定区間に前記車両が到着するまでの間に前記エンジンの駆動が必要であるときには、前記特定区間までの経路として、粗い路面を含む経路を選択
する選択処理と、
前記選択された前記特定区間までの経路において、前記車両が粗い路面を走行するときには、前記エンジンを駆動させて発電を行う
制御処理とを実行し、
前記選択処理では、前記バッテリのSOCに基づいて、前記特定区間において前記エンジンによる発電をせずに前記車両を走行させることが可能か否かを判定し、前記特定区間において前記エンジンによる発電をせずに前記車両を走行させることが可能である場合には、前記特定区間までの経路として、粗い路面を含まない経路を選択し、前記特定区間において前記エンジンによる発電をせずに前記車両を走行させることが不可能である場合には、前記特定区間までの経路として、粗い路面を含む経路を選択する、
車両の制御システム。
【請求項13】
車両を駆動する駆動モータと、前記駆動モータに供給する電力を発電する発電機を駆動するエンジンと、前記発電機により充電可能に構成されるとともに前記駆動モータに電気的に接続されたバッテリと、前記駆動モータと前記エンジンと前記バッテリとを制御し、目的地までの経路を選択して乗員に案内するコントローラとを備える車両の制御システムであって、
前記コントローラは、
前記目的地に前記車両が到着するまでの間に、前記エンジンを停止させた状態で前記駆動モータにより前記車両を走行させる特定区間が含まれる場合において、前記特定区間に前記車両が到着するまでの間に前記エンジンの駆動が必要であるときには、前記特定区間までの経路として、粗い路面を含む経路を選択
する選択処理と、
前記選択された前記特定区間までの経路において、前記車両が粗い路面を走行するときには、前記エンジンを駆動させて発電を行う
制御処理とを実行し、
前記選択処理では、前記特定区間までの経路候補として、粗い路面を含む経路が複数存在する場合には、前記バッテリのSOCと、前記特定区間における走行で消費する電力量と、前記経路候補に含まれる粗い路面における走行で前記エンジンにより発電可能な前記経路候補毎の電力量とに基づいて、粗い路面を含む複数の前記経路候補のうちから、前記特定区間までの経路を選択する、
車両の制御システム。
【請求項14】
車両を駆動する駆動モータと、前記駆動モータに供給する電力を発電する発電機を駆動するエンジンと、前記発電機により充電可能に構成されるとともに前記駆動モータに電気的に接続されたバッテリと、前記駆動モータと前記エンジンと前記バッテリとを制御し、目的地までの経路を選択して乗員に案内するコントローラとを備える車両の制御システムであって、
前記コントローラは、
前記目的地に前記車両が到着するまでの間に、前記エンジンを停止させた状態で前記駆動モータにより前記車両を走行させる特定区間が含まれる場合において、前記特定区間に前記車両が到着するまでの間に前記エンジンの駆動が必要であるときには、前記特定区間までの経路として、粗い路面を含む経路を選択
する選択処理と、
前記選択された前記特定区間までの経路において、前記車両が粗い路面を走行するときには、前記エンジンを駆動させて発電を行う
制御処理とを実行し、
前記選択処理では、前記バッテリのSOCと、前記特定区間における走行で消費する電力量と、前記選択された前記特定区間までの経路に含まれる粗い路面における走行で前記エンジンにより発電可能な電力量とに基づいて、前記選択された前記特定区間までの経路に含まれる粗い路面における発電区間を求め、
前記制御処理では、前記選択された前記特定区間までの経路に含まれる粗い路面において、前記発電区間では、前記エンジンを駆動させて発電を行い、前記発電区間以外の区間では、前記エンジンを停止させて発電を行わない、
車両の制御システム。
【請求項15】
車両を駆動する駆動モータと、前記駆動モータに供給する電力を発電する発電機を駆動するエンジンと、前記発電機により充電可能に構成されるとともに前記駆動モータに電気的に接続されたバッテリと、前記駆動モータと前記エンジンと前記バッテリとを制御し、目的地までの経路を選択して乗員に案内するコントローラとを備える車両の制御システムであって、
前記コントローラは、
前記目的地に前記車両が到着するまでの間に、前記エンジンを停止させた状態で前記駆動モータにより前記車両を走行させる特定区間が含まれる場合において、前記特定区間に前記車両が到着するまでの間に前記エンジンの駆動が必要であるときには、前記特定区間までの経路として、粗い路面を含む経路を選択
する選択処理と、
前記選択された前記特定区間までの経路において、前記車両が粗い路面を走行するときには、前記エンジンを駆動させて発電を行う
制御処理とを実行し、
前記選択処理では、前記エンジンを冷却する冷媒の温度が基準値以下である場合には、前記目的地に前記車両が到着するまでの間に前記エンジンの駆動が必要であると判定し、前記目的地までの経路として、粗い路面を含む経路を選択する、
車両の制御システム。
【請求項16】
車両を駆動する駆動モータと、前記駆動モータに供給する電力を発電する発電機を駆動するエンジンと、前記発電機により充電可能に構成されるとともに前記駆動モータに電気的に接続されたバッテリと、前記駆動モータと前記エンジンと前記バッテリとを制御し、目的地までの経路を選択して乗員に案内するコントローラとを備える車両の制御システムであって、
前記コントローラは、
前記目的地に前記車両が到着するまでの間に、前記エンジンを停止させた状態で前記駆動モータにより前記車両を走行させる特定区間が含まれる場合において、前記特定区間に前記車両が到着するまでの間に前記エンジンの駆動が必要であるときには、前記特定区間までの経路として、粗い路面を含む経路を選択
する選択処理と、
前記選択された前記特定区間までの経路において、前記車両が粗い路面を走行するときには、前記エンジンを駆動させて発電を行う
制御処理とを実行し、
前記車両では、前記目的地までの距離を優先的な選択条件として前記目的地までの経路を選択する第1選択モードと、前記車両の走行時の騒音を優先的な選択条件として前記目的地までの経路を選択する選択モードであり、前記特定区間に前記車両が到着するまでの間に前記エンジンの駆動が必要である場合には粗い路面を含む経路を選択する第2選択モードとの何れかの選択モードを設定可能であり、
前記選択処理では、設定された前記選択モードに基づいて、前記目的地までの経路を選択する、
車両の制御システム。
【請求項17】
車両を駆動する駆動モータと、前記駆動モータに供給する電力を発電する発電機を駆動するエンジンと、前記発電機により充電可能に構成されるとともに前記駆動モータに電気的に接続されたバッテリと、前記駆動モータと前記エンジンと前記バッテリとを制御し、目的地までの経路を選択して乗員に案内するコントローラとを備える車両の制御システムであって、
前記コントローラは、
前記目的地に前記車両が到着するまでの間に、前記エンジンを停止させた状態で前記駆動モータにより前記車両を走行させる特定区間が含まれる場合において、前記特定区間に前記車両が到着するまでの間に前記エンジンの駆動が必要であるときには、前記特定区間までの経路として、粗い路面を含む経路を選択
する選択処理と、
前記選択された前記特定区間までの経路において、前記車両が粗い路面を走行するときには、前記エンジンを駆動させて発電を行う
制御処理と、
前記選択された前記特定区間までの経路として、粗い路面とこれ以外の路面とを識別可能に案内する案内処理とを実行する、
車両の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地までの経路を設定可能な車両の制御方法及び車両の制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、現在地から目的地までの車両の経路探索を行う技術が存在する。例えば、エネルギ消費率が最も良好な経路を探索する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、到着時間や料金、距離等を用いて目的地までの経路を検索している。このような経路探索が行われた場合には、目的地までの経路として、ロードノイズ(騒音)の少ないきれいな路面の経路が選択されることがある。このような経路が選択されると、きれいな路面においてハイブリッド車両の充電タイミングとなり、エンジンによる発電が行われることも想定される。しかし、きれいな路面においてエンジンによる発電が行われると、エンジン音が乗員によく聞こえてしまい、乗員に不快感を与えるおそれがある。
【0005】
本発明は、目的地までの車両の経路として乗員に快適な経路を選択することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、車両を駆動する駆動モータと、駆動モータに供給する電力を発電する発電機を駆動するエンジンと、発電機により充電可能に構成されるとともに駆動モータに電気的に接続されたバッテリとを備え、目的地までの経路を設定可能な車両の制御方法である。この制御方法は、目的地に前記車両が到着するまでの間に、エンジンを停止させた状態で駆動モータにより車両を走行させる特定区間が含まれる場合において、特定区間に車両が到着するまでの間にエンジンの駆動が必要であるときには、特定区間までの経路として、粗い路面を含む経路を選択する選択ステップと、選択された特定区間までの経路において、車両が粗い路面を走行するときには、エンジンを駆動させて発電を行う制御ステップとを備え、選択ステップでは、バッテリのSOCに基づいて、特定区間においてエンジンによる発電をせずに車両を走行させることが可能か否かを判定し、特定区間においてエンジンによる発電をせずに車両を走行させることが可能である場合には、特定区間までの経路として、粗い路面を含まない経路を選択し、特定区間においてエンジンによる発電をせずに車両を走行させることが不可能である場合には、特定区間までの経路として、粗い路面を含む経路を選択する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、目的地までの車両の経路として乗員に快適な経路を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態における車両の構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、車両の現在地から目的地までの経路と、エンジンによる発電状態と、バッテリのSOCとの関係を示す図である。
【
図3】
図3は、車両の現在地から目的地までの経路を簡略化して示す図である。
【
図4】
図4は、車両コントロールモジュール及びナビゲーションコントロールユニットによる車両制御処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、車両の現在地から目的地までの経路を簡略化して示す図である。
【
図6】
図6は、車両コントロールモジュール及びナビゲーションコントロールユニットによる車両制御処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、車両コントロールモジュール及びナビゲーションコントロールユニットによる車両制御処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0010】
[車両の構成例]
図1は、本実施形態における車両100の構成例を示すブロック図である。本実施形態では、エンジン1を発電用動力源とし、駆動モータ3を走行用駆動源としてシリーズ走行するシリーズハイブリッド車両(ハイブリッド車両の一例)を車両100の一例として説明する。また、
図1では、車両100の全体システム構成における駆動系及び制御系を示す。
【0011】
車両100の駆動系は、エンジン1と、発電モータ2と、駆動モータ3と、ギヤボックス4と、フロントドライブシャフト5L、5Rと、前輪6L、6R(駆動輪)とを備えている。発電モータ2と駆動モータ3に接続される構成要素として、インバータ7と、バッテリ8とを備えている。また、車両100は、後輪9L、9R(従動輪)を備える。
【0012】
エンジン1は、車両前部のパワーユニットルーム内に配置され、クランク軸方向を車幅方向とする横置きエンジンである。このエンジン1の本体は、ギヤボックス4のギヤケース側面に連結固定される。
【0013】
発電モータ2、駆動モータ3は、何れも三相交流による永久磁石型同期モータ/ジェネレータであり、車両前部のパワーユニットルーム内に配置され、ギヤボックス4のエンジン固定側面とは反対のギヤケース側面に並べて連結固定される。発電モータ2は、エンジン1による駆動エネルギを発電エネルギに変換する発電機能と、エンジン1のスタータモータ機能とを併せて有する。駆動モータ3は、発電モータ2とバッテリ8の少なくとも一方の電力により前輪6L、6Rを駆動する駆動機能と、前輪6L、6Rの回転エネルギを発電エネルギに変換してバッテリ8へ充電する回生機能と、を有する。
【0014】
ギヤボックス4は、エンジン1と発電モータ2と駆動モータ3が連結固定されるギヤケース内に、ギヤトレーン4aと、減速ギヤトレーン4bと、デファレンシャルギヤユニット4cと、を配置することで構成される。ギヤトレーン4aは、エンジン1と発電モータ2を駆動連結する。減速ギヤトレーン4bは、駆動モータ3とデファレンシャルギヤユニット4cを駆動連結する。デファレンシャルギヤユニット4cは、減速ギヤトレーン4bとフロントドライブシャフト5L、5Rを、フロントドライブシャフト5L、5Rの差動を許容しながら駆動連結する。
【0015】
インバータ7は、車両前部のパワーユニットルーム内に配置され、発電モータ2と駆動モータ3に対してそれぞれ3本のACハーネス10、11を介して接続され、バッテリ8に対して2本のDCハーネス12を介して接続される。インバータ7は、発電モータ2による発電時に三相交流を直流に変換し、発電モータ2によるエンジン始動時にバッテリ8からの直流を三相交流に変換する。また、駆動モータ3による駆動時にバッテリ8からの直流を三相交流に変換し、駆動モータ3による回生時に駆動モータ3で発生した三相交流を直流に変換し、バッテリ8へ充電する。
【0016】
車両100の制御系は、車両コントロールモジュール(VCM)20と、エンジンコントローラ(EC)21と、モータジェネレータコントローラ(MGC)22と、バッテリコントローラ(BC)23と、を備えている。さらに、ナビゲーションコントロールユニット(NAVICU)24と、運転支援コントロールユニット(ADASCU)25と、を備えている。なお、これらの制御デバイス20乃至25は、情報交換が可能なCAN(Controller Area Network)通信線26により接続されている。
【0017】
車両コントロールモジュール20は、車両100全体の消費エネルギを適切に管理する機能を担い、エンジン1と発電モータ2と駆動モータ3の動作制御を行う統合制御手段である。車両コントロールモジュール20には、アクセル開度センサ27、車速センサ28、車輪の角速度センサ51、冷媒温度センサ52等の車載センサ情報が入力される。バッテリコントローラ23からバッテリ充電容量(バッテリSOC(States Of Charge))の情報が、CAN通信線26を介して入力される。加えて、ナビゲーションコントロールユニット24から必要情報が、CAN通信線26を介して入力される。そして、エンジンコントローラ21への制御指令の出力によりエンジン1の運転/停止制御を行い、モータジェネレータコントローラ22への制御指令の出力により発電モータ2や駆動モータ3の動作制御を行う。
【0018】
また、車両コントロールモジュール20は、シリーズ走行中において、エンジン停止モードと、エンジン発電モードとの切り替え制御を実行する。ここで、エンジン停止モードとは、エンジン1を停止し、駆動モータ3への電力供給をバッテリ8から行う制御モードである。エンジン発電モードは、エンジン1を始動し、駆動モータ3へ電力供給をバッテリ8と発電モータ2から行う制御モードである。なお、本実施形態では、エンジン停止モードでの走行をEV(Electric Vehicle)走行と称して説明する。
【0019】
ナビゲーションコントロールユニット24は、走行中に現在の自車位置を自動的に割り出し、記録保存されている地図データと照らし合わせて、入出力装置31の画面上地図に経路を表示し、音声等で道案内を行い、ドライバーを目的地まで導く機能を有する。このナビゲーションコントロールユニット24は、入出力装置31と記憶装置32と通信装置33を備える。なお、入出力装置31としては、操作部、スピーカ、表示部、ディスプレイなどが用いられる。例えば、入出力装置31として、車室内のインストルメントパネル位置に配置されるモニターやフロントウインドウに画像表示するヘッドアップディスプレイが用いられる。
【0020】
ナビゲーションコントロールユニット24は、GPS衛星34からの信号を受信し、この自車両の地球上の絶対位置(経度と緯度と高度で特定される位置)を検出する。そして、記憶装置32に記憶されている地図を参照し、自車両が現在存在している位置である現在地を特定するとともに、この現在地から目的地までの予定走行経路を設定する。
【0021】
記憶装置32は、道路曲率半径、勾配、交差点、信号、踏み切り、横断歩道、制限速度、料金所等の道路環境情報や、道路属性情報(高速道路・幹線道路・一般道・住宅街、粗い路面、きれいな路面等)を含む地図情報を記憶している。さらに、記憶装置32には、過去の走行区間における自車のドライブスタイルデータ(アクセル操作、前後G、横G、車輪の角速度、車輪の角加速度等)も保存する。
【0022】
通信装置33は、無線基地局およびインターネット等の通信ネットワーク(図示省)を介して、交通情報や統計交通データを有するデータセンタ35との無線通信(テレマティクス通信)を行う。この「通信」は双方向であり、ナビゲーションコントロールユニット24からデータセンタ35へ情報を送信可能であり、逆に、データセンタ35から情報を受信して、走行予定道路の状態(渋滞情報等)を入力することが可能である。
【0023】
また、車両100には、車輪の近傍において、車輪の角速度(回転速度)を測定する車輪の角速度センサ51がサスペンションよりも下方の車輪の側に設けられる。具体的には、前輪6L、6R、後輪9L、9Rのうちの少なくとも1つの近傍に車輪の角速度センサ51が設けられる。なお、車輪の角速度は、車輪の回転速度、車輪速と称することもある。
【0024】
また、車両100には、エンジン1を冷却するための冷却媒体の温度を測定する冷媒温度センサ52が設けられる。
【0025】
また、車両100には、エアコン110が設けられる。エアコン110は、車両コントロールモジュール20の制御に基づいて、車室の温度を制御する機器である。
【0026】
[経路選択と発電状態とSOCとの関係例]
図2は、車両100の現在地A1から目的地B1までの経路P10と、エンジン1による発電状態と、バッテリ8のSOCとの関係を示す図である。
【0027】
図2の上側には、車両100の現在地A1から目的地B1までの経路P10を簡略化して示す。なお、目的地B1は、ナビゲーションコントロールユニット24において運転者により設定されるものとする。また、
図2に示す経路P10では、車両100の現在地A1を左側に矢印で示し、設定された目的地B1を右側に矢印で示す。
【0028】
また、
図2に示す例では、車両100の現在地A1から目的地B1までの経路P10において、共通する道路P11が分岐BR11において2つの経路(道路P12、道路P13→道路P14)に分かれ、その2つの経路が分岐BR12において合流するものとする。すなわち、
図2では、現在地A1から目的地B1までの経路P10として、道路P11→道路P12→道路P15を経由する第1経路と、道路P11→道路P13→道路P14→道路P15を経由する第2経路とが存在する例を示す。なお、第1経路及び第2経路については、道路P11、P15が共通するが、道路P12と、道路P13→道路P14とは異なる経路であるものとする。また、道路P12、P14は、比較的きれいな路面であるのに対し、太線で示す道路P13は、粗い路面であるものとする。また、道路P15は、エンジン1を停止させた状態で駆動モータ3により車両100を走行させるEV走行をすることが好ましい区間(特定区間)であるものとする。なお、
図2に示す例では、第1経路及び第2経路の何れを選択した場合でも、全ての経路をバッテリ8のSOCのみでEV走行することはできないものとする。また、第1経路及び第2経路の後半部分に特定区間がある場合の例を示す。
【0029】
図2の中段には、車両100が現在地A1から目的地B1まで走行する場合におけるエンジン1の駆動状態(すなわち発電状態)の一例を示す。具体的には、第2経路を選択して車両100が現在地A1から目的地B1まで走行する場合におけるエンジン1の駆動状態を線L1で示す。また、第1経路を選択して車両100が現在地A1から目的地B1まで走行する場合におけるエンジン1の駆動状態を点線L2で示す。
【0030】
図2の下側には、車両100が現在地A1から目的地B1まで走行する場合におけるバッテリ8のSOCの遷移例を示す。具体的には、第2経路を選択して車両100が現在地A1から目的地B1まで走行する場合におけるバッテリ8のSOCの遷移を実線L11、L12で示す。また、第1経路を選択して車両100が現在地A1から目的地B1まで走行する場合におけるバッテリ8のSOCの遷移を実線L11、点線L13で示す。なお、バッテリ8のSOCが充電開始SOCまで低下した場合には、エンジン1による発電が行われる。
【0031】
ここで、上述した特定区間は、車両100において発生する音に気づき易い路面の区間である。このような特定区間は、例えば、車両100の車輪と路面との接触音に起因する音(いわゆる、走行時に発生する騒音、ロードノイズ)が小さい、きれいな路面である。また、渋滞している道路、統計車速が低い道路では、車両100が低速でゆっくりと走行するため、車両100の車輪と路面との接触音に起因する音が小さくなる。このため、渋滞している道路、統計車速が低い道路も、特定区間とすることができる。
【0032】
また、車両100の周囲の環境を考慮して特定区間を設定することができる。例えば、自宅周辺の道路、住宅街の周辺道路では、住人に聞こえる音を考慮して静かに走行することが好ましい。また、例えば、地下の駐車場では、車両100の音が響くことが多い。また、地下の駐車場では、車両100から排気ガスを出すことは好ましくないと考えられる。そこで、これらの環境では、エンジン1を停止させて走行するEV走行が好ましい。このように、特定区間として、渋滞している道路、自宅周辺の道路、住宅街の周辺道路、駐車場、統計車速が低い道路等を設定することができる。
【0033】
なお、特定区間に関する情報については、地図情報における道路環境情報や道路属性情報として記憶装置32に記憶しておくことができる。また、特定区間に関する情報(例えば、渋滞情報)を通信装置33を介してデータセンタ35から取得するようにしてもよい。
【0034】
このような特定区間において、車両100の充電タイミングとなり、エンジン1による発電が行われると、エンジン音が乗員によく聞こえてしまい、乗員に不快感を与えるおそれがある。または、車両100の周囲にエンジン音がよく聞こえてしまい、周囲の住人に不快感を与えるおそれがある。また、エンジン音が大きくならないように、エンジン1の回転数を下げると、エンジン1の燃費が悪化するおそれがある。
【0035】
例えば、
図2に示す例において、到着時間や料金、距離等を用いて目的地までの経路を選択することを想定する。例えば、第1経路(道路P11→道路P12→道路P15)が選択された場合を想定する。この場合に、
図2の下側の実線L11、点線L13に示すように、バッテリ8のSOCが充電開始SOCまで低下した場合には、道路P11、P12を通過した後に、道路P15においてエンジン1を駆動させて発電させる必要がある。このように、エンジン1を駆動させたくない道路P15においてエンジン1を駆動させる必要が生じるため、乗員や周囲の住人に不快感を与えるおそれがある。
【0036】
そこで、本実施形態では、目的地までの間に存在する特定区間において車両100の充電タイミングとなることが想定される場合には、目的地までの経路として、粗い路面を含む経路を選択する。すなわち、車両100の現在地から目的地までの経路において、特定区間が存在する場合には、その特定区間に到着するまでの間にエンジン1を駆動させて発電するための粗い経路を選択するようにする。そして、特定区間に到達するまでの間に存在する粗い路面において、エンジン1による発電を行うことにより、特定区間においてエンジン1による発電が行われることを防止することができる。これにより、乗員や周囲の住人にエンジン音が聞こえることを防止することができる。このように、本実施形態では、目的地までの車両の経路として、車両100の乗員や車両100の周囲の住人に快適な経路を選択することができる。
【0037】
図2に示す例では、車両100の現在地A1から目的地B1までの経路において、特定区間である道路P15が存在する。この場合には、ナビゲーションコントロールユニット24は、バッテリ8のSOCに基づいて、道路P15において車両100をEV走行させることが可能か否かを判定する。この判定では、特定区間までの2つの経路(道路P11→P12、道路P11→P13→P14)において車両100をEV走行させる際の消費電力量と、特定区間(道路P15)において車両100をEV走行させる際の消費電力量とを用いる。この消費電力量は、公知の演算方法により求めることができる。例えば、対象区間における車両100の走行距離と、対象区間の勾配と、対象区間における車両100の統計車速とに基づいて、対象区間での消費電力量を演算することができる。なお、これらの演算に用いられる各情報については、記憶装置32に記憶されている地図情報やデータセンタ35から送信される各情報から取得可能である。
【0038】
そして、道路P15において車両100をEV走行させることが可能である場合には、ナビゲーションコントロールユニット24は、目的地B1までの経路として、粗い路面を含まない第1経路を選択する。一方、道路P15において車両100をEV走行させることが不可能である場合には、ナビゲーションコントロールユニット24は、目的地B1までの経路として、粗い路面を含む第2経路を選択する。すなわち、道路P15に到着するまでの間にエンジン1を駆動させて発電するための道路P13を選択する。これにより、実線L1に示すように、粗い路面である道路P13においてエンジン1を駆動させて発電することができる。このため、
図2の下側の実線L11、L12に示すように、バッテリ8のSOCの低下を防止することができる。これにより、特定区間である道路P15では、エンジン1を駆動させる必要がないため、車両100の乗員や車両100の周囲の住人に与える不快感を軽減することができる。
【0039】
なお、本実施形態では、粗い路面は、エンジン音よりもロードノイズが大きくなる路面を意味するものとする。また、粗い路面に関する情報については、地図情報における道路属性情報として記憶装置32に記憶しておくことができる。また、粗い路面に関する情報を通信装置33を介してデータセンタ35から取得するようにしてもよい。
【0040】
[経路選択例]
図2では、車両100の現在地から目的地までの経路として、2つの経路から1つの経路を選択する例を示した。
図3では、車両100の現在地から目的地までの経路として、3つの経路から1つの経路を選択する例を示す。なお、
図2、
図3では、2、3のルートから1つの経路を選択する例を示すが、4以上のルートから1つの経路を選択する場合についても同様に本実施形態を適用可能である。
【0041】
図3は、車両100の現在地A2から目的地B2までの経路P20を簡略化して示す図である。また、経路P20では、車両100の現在地A2を左側に矢印で示し、設定された目的地B2を右側に矢印で示す。また、
図3に示す例では、現在地A2から目的地B2までの経路P20において、共通する道路P21が分岐BR21において3つの経路(道路P22、道路P23→道路P24、道路P25→道路P26)に分かれ、その3つの経路が分岐BR22において合流するものとする。すなわち、
図3では、現在地A2から目的地B2までの経路P20として、道路P21→道路P22→道路P27を経由する第1経路と、道路P21→道路P23→道路P24→道路P27を経由する第2経路と、道路P21→道路P25→道路P26→道路P27を経由する第3経路とが存在する例を示す。また、道路P21、P22、P24、P26、P27は、比較的きれいな路面であるのに対し、太線で示す道路P23、道路P25は、粗い路面であるものとする。また、道路P27における一部区間は、特定区間EV1であるものとする。なお、
図3に示す例では、第1経路乃至第3経路の何れを選択した場合でも、全ての経路をバッテリ8のSOCのみでEV走行することはできないものとする。また、第1経路乃至第3経路の後半部分に特定区間がある場合の例を示す。
【0042】
図3に示す例のように、現在地A2から目的地B2までの経路において、粗い路面を含む経路が複数存在する場合には、特定区間で消費する電力量と、粗い路面で発電できる電力量とを演算し、これらの演算結果に基づいて経路を選択する。
【0043】
具体的には、ナビゲーションコントロールユニット24は、バッテリ8のSOCに基づいて、特定区間EV1において車両100をEV走行させることが可能であるか否かを判定する。そして、特定区間EV1において車両100をEV走行させることが不可能であると判定した場合には、特定区間EV1までの経路として、粗い路面を含む第2経路または第3経路を選択する。この場合には、特定区間EV1において消費する電力量を賄える経路を選択するようにする。
【0044】
すなわち、ナビゲーションコントロールユニット24は、第2経路または第3経路に含まれる粗い路面(道路P23、P25)における走行でエンジン1により発電可能な電力量を、粗い路面(道路P23、P25)毎に求める。この電力量は、公知の演算方法により求めることができる。例えば、粗い路面における車両100の走行距離と、粗い路面の勾配と、粗い路面における車両100の統計車速とに基づいて、粗い路面において発電可能な電力量を演算することができる。なお、これらの演算に用いられる各情報については、記憶装置32に記憶されている地図情報やデータセンタ35から送信される各情報から取得可能である。
【0045】
そして、ナビゲーションコントロールユニット24は、特定区間EV1において車両100をEV走行させることが可能となる電力量を賄える粗い路面(道路P23またはP25)を選択する。
【0046】
例えば、
図3に示す例において、バッテリ8のSOCにより、特定区間EV1までの経路において車両100をEV走行させる際の消費電力量を賄えるが、車両100が特定区間EV1に到達する際には、バッテリ8のSOCが下限値に達するような状態を想定する。この場合に、特定区間EV1において消費される電力量(推定消費量)が0.2kWhであり、粗い路面である道路P23において発電可能な電力量(推定発電量)が0.3kWhであり、粗い路面である道路P25において発電可能な電力量(推定発電量)が0.1kWhである場合を想定する。この場合には、特定区間EV1において消費される消費量0.2kWhを賄える道路P23を含む第2経路が選択される。
【0047】
[車両制御処理例]
図4は、車両コントロールモジュール20及びナビゲーションコントロールユニット24による車両制御処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、この処理手順は、記憶部(図示省略)に記憶されているプログラムに基づいて実行される。また、車両コントロールモジュール20及びナビゲーションコントロールユニット24間では、所定タイミングで情報のやり取りが適宜行われる。なお、本実施形態では、車両コントロールモジュール20及びナビゲーションコントロールユニット24により車両制御処理を実行する例を示すが、1つのコントローラにより車両制御処理を実行するようにしてもよい。
【0048】
ステップS301において、ナビゲーションコントロールユニット24は、入出力装置31において乗員により操作された内容に基づいて車両100の目的地を設定する。例えば、地図上における目的地のタッチ操作や目的地に関する文字入力操作により目的地の設定操作が行われる。例えば、
図3に示すように、目的地B2が設定される。
【0049】
ステップS302において、ナビゲーションコントロールユニット24は、車両100の現在地から、設定された目的地までの経路候補を検索する。例えば、
図3に示すように、現在地A2から目的地B2までの経路候補として、第1経路(道路P21→P22→P27)と、第2経路(道路P21→P23→P24→P27)と、第3経路(道路P21→P25→P26→P27)とが検索される。
【0050】
ステップS303において、ナビゲーションコントロールユニット24は、探索された経路候補上に特定区間が存在するか否かを判定する。この特定区間が存在するか否かは、記憶装置32に記憶されている地図情報や、通信装置33を介してデータセンタ35から受信した情報に基づいて判定することができる。
【0051】
例えば、
図3に示す例では、道路P27における区間EV1が特定区間である。このため、
図3に示す例では、探索された経路候補上に特定区間が存在すると判定される。探索された経路候補上に特定区間が存在する場合には、ステップS305に進む。一方、探索された経路候補上に特定区間が存在しない場合には、ステップS304に進む。
【0052】
ステップS304において、ナビゲーションコントロールユニット24は、探索された経路候補のうちから、目的地までの経路として、きれいな路面を含む経路を選択する。この場合には、予め設定されている選択条件に基づいて目的地までの経路が選択される。なお、予め設定されている選択条件は、例えば、短い距離を優先的に選択する選択条件、目的地までの到達時間が短い経路を優先的に選択する選択条件、目的地までに支払う料金が最も安い経路を優先的に選択する選択条件などである。この場合に、きれいな路面を含む経路と、粗い路面を含む経路とが経路候補とされている場合において、双方の経路候補が略同じ選択条件となっているときには、きれいな路面を含む経路が選択される。
【0053】
ステップS305において、ナビゲーションコントロールユニット24は、探索された経路候補上における特定区間に到達するまでの消費電力量と、特定区間での消費電力量とを演算する。なお、探索された経路候補上において特定区間が複数存在する場合には、探索された全ての経路候補について、特定区間毎の消費電力量が演算される。
【0054】
例えば、目的地までの経路候補として、3つの経路候補A乃至Cが探索されている場合を想定する。なお、経路候補Aには、特定区間EVAが含まれ、特定区間EVAよりも現在地寄りに2つの粗い路面RRA1、RRA2が含まれるものとする。また、経路候補Bには、特定区間EVBが含まれ、特定区間EVBよりも現在地寄りに3つの粗い路面RRB1乃至RRB3が含まれるものとする。また、経路候補Cには、特定区間EVCが含まれ、特定区間EVCよりも現在地寄りに4つの粗い路面RRC1乃至RRC4が含まれるものとする。
【0055】
この場合には、全ての経路候補A乃至Cについて、特定区間毎の発電量が演算される。すなわち、経路候補Aについて、特定区間EV1に到達するまでの消費電力量E_Aと、特定区間EVAでの消費電力量E_EVAとが演算される。また、経路候補Bについて、特定区間EVBに到達するまでの消費電力量E_Bと、特定区間EVBでの発電量E_EVBとが演算される。また、経路候補Cについて、特定区間EVCに到達するまでの消費電力量E_Cと、特定区間EVCでの発電量E_EVCとが演算される。
【0056】
なお、経路候補A乃至Cの例では、1つの経路候補に1つの特定区間が含まれる場合の例を示すが、1つの経路候補に複数の特定区間が含まれる場合についても本実施形態を適用可能である。この場合には、1つの経路候補における2つの特定区間の間に存在する経路の消費電力量について考慮する必要がある。
【0057】
ステップS306において、ナビゲーションコントロールユニット24は、バッテリ8のSOCを取得し、そのSOCに基づいて、エンジン1を駆動させずに経路候補に存在する特定区間をEV走行可能であるか否かを判定する。具体的には、ステップS305で求められた消費電力量の合計値(特定区間に到達するまでの消費電力量+特定区間での消費電力量)を、バッテリ8のSOCにより賄うことができる場合には、エンジン1を駆動させずに特定区間をEV走行可能であると判定される。一方、ステップS305で求められた消費電力量の合計値を、バッテリ8のSOCにより賄うことができない場合には、エンジン1を駆動させずに特定区間をEV走行することが不可能であると判定される。エンジン1を駆動させずに特定区間をEV走行可能である場合には、ステップS304に進む。一方、エンジン1を駆動させずに特定区間をEV走行することは不可能である場合には、ステップS307に進む。
【0058】
ステップS307において、ナビゲーションコントロールユニット24は、探索された経路候補上における粗い路面で発電可能な電力量(発電量)を演算する。なお、探索された経路候補上において粗い路面が複数存在する場合には、探索された全ての経路候補について、粗い路面毎の発電量が演算される。
【0059】
上述したように、目的地までの経路候補として、3つの経路候補A乃至Cが探索されている場合を想定する。この場合には、全ての経路候補A乃至Cについて、粗い路面毎の発電量が演算される。すなわち、経路候補Aについて、2つの粗い路面RRA1、RRA2での発電量EC_RRA1、EC_RRA2が演算される。また、経路候補Bについて、3つの粗い路面RRB1乃至RRB3の発電量EC_RRB1乃至EC_RRB3が演算される。また、経路候補Cについて、4つの粗い路面RRC1乃至RRC4の発電量EC_RRC1乃至EC_RRC4が演算される。
【0060】
ステップS308において、ナビゲーションコントロールユニット24は、探索された経路候補のうちに、粗い路面で発電することにより特定区間をEV走行可能となる経路が存在するか否かを判定する。具体的には、ナビゲーションコントロールユニット24は、ステップS305で求められた消費電力量の合計値(特定区間に到達するまでの消費電力量+特定区間での消費電力量)を、賄うことが可能となる電力量を発電可能な粗い路面を含む経路候補が存在するか否かを判定する。すなわち、以下の式1を満たす経路候補が存在するか否かを判定する。
(E_m)+(E_EVm)<(EC_SOC)+(EC_RRm1+…+EC_RRmn) …式1
【0061】
なお、(E_m)+(E_EVm)は、経路候補m(mは、m≧2を満たす整数)に関する消費電力量の合計値(特定区間に到達するまでの消費電力量+特定区間での消費電力量)である。また、(EC_SOC)は、バッテリ8のSOCに基づいて消費可能な電力量である。また、(EC_RRm1+…+EC_RRmn)は、経路候補mに含まれる粗い路面での発電量の合計値である。なお、nは、n≧1を満たす整数である。
【0062】
また、
図3に示す例では、特定区間EV1までの消費電力量と、特定区間EV1における消費電力量との合計値を、粗い路面である道路P23における発電電力量で賄うことができると判定される。
【0063】
粗い路面で発電することにより特定区間をEV走行可能となる経路候補が存在しない場合には、ステップS309に進む。一方、粗い路面で発電することにより特定区間をEV走行可能となる経路が存在する場合には、ステップS310に進む。
【0064】
ステップS309において、ナビゲーションコントロールユニット24は、粗い路面を含む経路候補のうちから、粗い路面が最も長い経路を、目的地までの経路として選択する。すなわち、粗い路面で発電することにより特定区間をEV走行可能となる経路候補が存在しないため、粗い路面での発電量を多くするため、粗い路面が最も長い経路候補を選択する。
【0065】
ステップS310において、ナビゲーションコントロールユニット24は、粗い路面で発電することにより特定区間をEV走行可能となる経路候補のうちから、粗い路面が最も短い路面を、目的地までの経路として選択する。
図3に示す例では、粗い路面で発電することにより特定区間をEV走行可能となる経路候補は、道路P23を含む第2経路であるため、目的地までの経路として第2経路が選択される。
【0066】
このように、上述した式1を満たす経路候補が複数存在する場合には、所定の選択条件に基づいて、式1を満たす経路候補のうちから1つの経路を選択する。例えば、式1を満たす経路候補のうちから、粗い路面の合計距離が最も短い経路候補を選択する。また、例えば、式1の左辺の値と右辺の値との差分値が最小値となる経路候補を選択するようにしてもよい。
【0067】
上述したように、目的地までの経路候補として、3つの経路候補A乃至Cが探索されている場合には、3つの経路候補A乃至Cについて求められた各値を用いて、式1を満たす経路候補が存在するか否かが判定される。例えば、経路候補A、Cが上述した式1を満たす経路候補である場合を想定する。この場合には、経路候補Aに含まれる2つの粗い路面RRA1、RRA2の合計距離と、経路候補Cに含まれる4つの粗い路面RRC1乃至RRC4の合計距離とを比較し、その合計距離が短い経路候補を選択することができる。または、例えば、式1の左辺の値と右辺の値との差分値が最小値となる経路候補を選択することができる。
【0068】
ステップS311において、ナビゲーションコントロールユニット24は、ステップS309またはS310で選択された目的地までの経路を乗員に案内する。例えば、ナビゲーションコントロールユニット24は、目的地までの経路の一部または全部を含む地図情報を入出力装置31の表示部に表示させる。また、例えば、ナビゲーションコントロールユニット24は、目的地までの経路を通知するための音声情報を入出力装置31のスピーカから出力させる。このように、目的地までの経路に関する情報を入出力装置31から出力させることにより、目的地までの経路を乗員に案内する。なお、目的地までの経路として、粗い路面を含む経路が選択されている場合には、粗い路面とこれ以外の路面とを識別可能に案内するようにしてもよい。例えば、地図情報を表示部に表示させる場合には、粗い路面の色と、粗い路面以外の路面の色とを異なる色とすることにより、粗い路面とこれ以外の路面とを識別可能に案内することができる。また、例えば、音声情報をスピーカから出力させる場合には、粗い路面の位置が乗員にわかるような音声情報、例えば、道路の名称や住所を音声出力することにより、粗い路面とこれ以外の路面とを識別可能に案内することができる。これにより、車両100の乗員は、目的地までの経路における粗い路面の位置やエンジン1による発電区間等を容易に把握することができる。また、ナビゲーションコントロールユニット24は、ステップS309またはS310で選択された目的地までの経路に関する情報を、車両コントロールモジュール20に出力する。
【0069】
ステップS312において、車両コントロールモジュール20は、車両100が粗い路面を走行しているか否かを判定する。例えば、車両コントロールモジュール20は、ナビゲーションコントロールユニット24から出力される地図情報や、車両100の現在位置情報に基づいて、車両100が粗い路面を走行しているか否かを判定することができる。また、車両コントロールモジュール20は、前輪の角速度センサ51により取得された車輪の角速度(回転速度)に基づいて、車両100が粗い路面を走行しているか否かを判定するようにしてもよい。例えば、車輪の角速度に基づいて求められる車輪の角加速度(またはその変動値)が基準値以上である場合に、車両100が粗い路面を走行していると判定することができる。また、車輪の角速度に基づく粗い路面の判定結果と、ナビゲーションコントロールユニット24から出力される情報に基づく粗い路面の判定結果との双方が粗い路面である場合に、車両100が粗い路面を走行していると判定するようにしてもよい。車両100が粗い路面を走行している場合には、ステップS313に進む。一方、車両100が粗い路面を走行していない場合には、ステップS314に進む。
【0070】
ステップS313において、車両コントロールモジュール20は、エンジン1を駆動させて発電モータ2による発電を実行する。これにより、車両100が粗い路面を走行している場合にバッテリ8への充電が行われる。ただし、粗い路面での発電により、バッテリ8のSOCがすでに上限値(基準値)以上となっている場合には、エンジン1を駆動させず発電は行わないようにする。また、発電中に、バッテリ8のSOCが上限値以上となった場合には、エンジン1の駆動を停止させて発電を停止させるようにする。
【0071】
なお、目的地までの間に存在する粗い路面での発電により、バッテリ8のSOCがすでに上限値以上となり、目的地までの間に存在する特定区間でのEV走行が可能となっていることも想定される。このような場合には、粗い道を含まない経路を新たに選択して乗員に案内するようにしてもよい。この場合には、ステップS312の前の段階において、目的地までの間に存在する粗い路面での発電により、バッテリ8のSOCがすでに上限値以上となり、目的地までの間に存在する特定区間でのEV走行が可能となっているか否かを判定する。そして、特定区間でのEV走行が可能となっている場合には、ステップS301に戻り、目的地までの経路を新たに選択するようにする。
【0072】
ステップS314において、ナビゲーションコントロールユニット24は、入出力装置31において乗員により操作された内容に基づいて車両100の目的地が変更されたか否かを判定する。車両100の目的地が変更された場合には、ステップS301に戻る。一方、車両100の目的地が変更されていない場合には、ステップS315に進む。
【0073】
ステップS314において、ナビゲーションコントロールユニット24は、設定された目的地に車両100が到着したか否かを判定する。設定された目的地に車両100が到着した場合には、車両制御処理の動作を終了する。一方、設定された目的地に車両100が到着していない場合には、ステップS312に戻る。
【0074】
なお、本実施形態では、複数の選択モードを設定可能とすることができる。例えば、目的地までの距離を優先的な選択条件として目的地までの経路を選択する第1選択モードと、車両100の走行時の騒音を優先的な選択条件として目的地までの経路を選択する第2選択モードとの何れかの選択モードを設定可能とすることができる。なお、第2選択モードは、
図2乃至
図4に示す例に対応するモードであり、目的地に車両100が到着するまでの間にエンジン1の駆動が必要である場合には粗い路面を含む経路を選択するモードである。そして、ナビゲーションコントロールユニット24は、設定された選択モードに基づいて、目的地までの経路を選択する。
【0075】
[経路選択例]
図2、
図3では、選択された経路における粗い路面で発電する例を示した。ここで、選択された経路における粗い路面が十分に長いことも想定される。この場合には、粗い路面の全てで発電をしなくても、特定区間でのEV走行を賄える電力量を確保することが可能となることがある。そこで、
図5では、粗い路面が十分に長い経路が選択された場合における発電制御例を示す。
【0076】
図5は、車両100の現在地A3から目的地B3までの経路P30を簡略化して示す図である。また、経路P30では、車両100の現在地A3を左側に矢印で示し、設定された目的地B3を右側に矢印で示す。また、
図5に示す例では、現在地A3から目的地B3までの経路P30において、共通する道路P31が分岐BR31において2つの経路(道路P32、道路P33→道路P34)に分かれ、その2つの経路が分岐BR32において合流するものとする。すなわち、
図5では、現在地A3から目的地B3までの経路P30において、道路P31→道路P32→道路P35を経由する第1経路と、道路P31→道路P33→道路P34→道路P35を経由する第2経路とが存在する例を示す。また、道路P31、P32、P34、P35は、比較的きれいな路面であるのに対し、太線で示す道路P33は、粗い路面であるものとする。また、道路P35における一部区間は、特定区間EV2であるものとする。
【0077】
図5では、車両100が特定区間EV2をEV走行するため、目的地B3までの経路として、第2経路(道路P31→道路P33→道路P34→道路P35)が選択された場合の例を示す。
【0078】
図5に示す例のように、選択された第2経路における粗い路面(道路P33)が十分に長い場合には、粗い路面である道路P33で発電できる電力量が、特定区間EV2で消費される電力量よりも十分多いことも想定される。この場合には、粗い路面である道路P33の全ての区間において充電せずに、一部の区間でのみ充電することが可能である。
【0079】
例えば、
図5に示す例において、バッテリ8のSOCにより、特定区間EV2までの経路において車両100をEV走行させる際の消費電力量を賄えるが、車両100が特定区間EV2に到達する際には、バッテリ8のSOCが下限値に達するような状態を想定する。この場合に、特定区間EV2において消費される電力量(推定消費量)が0.1kWhであり、粗い路面である道路P33において発電可能な電力量(推定発電量)が1.0kWhである場合を想定する。この場合には、特定区間EV2における推定消費量0.1kWhよりも、粗い路面である道路P33における推定発電量1.0kWhが十分に多いため、粗い路面である道路P33における全ての路面で発電する必要はない。そこで、特定区間EV2においてEV走行ができる程度の消費電力量を確保できるように、粗い路面である道路P33の一部区間で充電するようにする。すなわち、粗い路面である道路P33では、特定区間EV2における推定消費量0.1kWhと同程度またはこれ以上の電力量を発電するようにする。また、この発電量を確保するための発電区間の長さが設定される。
【0080】
なお、粗い路面における発電区間の位置および長さについては、所定条件に基づいて設定可能である。なお、所定条件として、例えば、粗い路面における統計車速、粗い路面における路面の粗さのレベル、粗い路面におけるエンジン1の必要駆動力の最高効率点の近さを用いることができる。
【0081】
例えば、粗い路面における統計車速が早い区間を優先的に発電区間として設定することができる。すなわち、記憶装置32に記憶されている地図情報やデータセンタ35から取得可能な情報(例えば、渋滞情報)を用いて、比較的空いている道路を選択することにより統計車速が早い区間を選択することができる。
【0082】
また、例えば、粗い路面における路面の粗さのレベルが高い区間(より粗い区間)を優先的に発電区間として設定することができる。例えば、記憶装置32に記憶されている地図情報において、路面の粗さのレベルとして複数のレベルを設定しておくことができる。例えば、砂利道を一番高いレベルの粗い路面とすることができる。
【0083】
また、例えば、粗い路面において、エンジン1の必要駆動力が最高効率点に近い区間を優先的に発電区間として設定することができる。すなわち、エンジン1の出力として最も効率が良くなる区間を、ロードノイズ、統計車速や路面の勾配等に基づいて選択することができる。これにより、燃費を向上させることができる。
【0084】
[車両制御処理例]
図6は、車両コントロールモジュール20及びナビゲーションコントロールユニット24による車両制御処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、この処理手順は、記憶部(図示省略)に記憶されているプログラムに基づいて実行される。また、
図6に示す処理手順は、
図4に示す処理手順の一部を変形した例であり、
図4に示す処理手順と共通する部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0085】
ステップS321において、ナビゲーションコントロールユニット24は、ステップS310で選択された経路に含まれる粗い路面における発電区間を所定条件に基づいて設定する。例えば、粗い路面における統計車速、粗い路面における路面の粗さのレベル、粗い路面におけるエンジン1の必要駆動力の最高効率点の近さ等の所定条件に基づいて、粗い路面における発電区間を設定することができる。なお、粗い路面における発電区間に関する情報は、地図情報に関連付けて記憶装置32に記憶するとともに、車両コントロールモジュール20に出力される。
【0086】
なお、ステップS321で発電区間が設定された場合には、ステップS311において、その発電区間を識別可能に案内するようにしてもよい。例えば、選択された目的地までの経路を乗員に案内する場合において、粗い路面とこれ以外の路面とを識別可能にするとともに、粗い路面においても発電区間とこれ以外の路面とを識別可能にして案内するようにしてもよい。すなわち、選択された目的地までの経路において、粗い路面における発電区間と、粗い路面における発電区間以外の路面と、粗い路面以外の路面とを識別可能にして案内するようにしてもよい。
【0087】
ステップS322において、車両コントロールモジュール20は、車両100が粗い路面における発電区間を走行しているか否かを判定する。例えば、車両コントロールモジュール20は、ナビゲーションコントロールユニット24から出力される地図情報や、車両100の現在位置情報に基づいて、車両100が発電区間を走行しているか否かを判定することができる。車両100が発電区間を走行している場合には、ステップS313に進む。一方、車両100が発電区間を走行していない場合には、ステップS314に進む。
【0088】
[冷媒温度に基づく経路選択例]
図2乃至
図6では、目的地までの間に存在する特定区間を車両100がEV走行できるか否かに基づいて、目的地までの経路を選択する例を示した。すなわち、目的地に到着するまでの間に存在する特定区間を車両100がEV走行できるか否かに基づいて、その特定区間までの経路として、粗い路面を含む経路を選択する例を示した。
【0089】
ここで、冬場の車両100の外気温が低い場合において、エンジン1を駆動していないときには、エンジン1やエンジン1を冷却する冷媒(冷却媒体)の温度が低いと想定される。また、冬場において車両100の外気温が低い場合には、エアコン110により車両100の室内温度を早く上げることを乗員が希望することが多い。しかし、エンジン1の温度が低い場合には、エンジン1が暖機温度になるまでの間、エンジン1の回転数を増加させることができない。
【0090】
そこで、
図7では、エンジン1の冷媒の温度に基づいて、車両100の目的地までの経路を選択する例を示す。すなわち、エンジン1の冷媒の温度が基準値以下であるか否かに基づいて、目的地に車両100が到着するまでの間にエンジン1の駆動が必要であるか否かを判定し、その判定結果に基づいて、その目的地までの経路として、粗い路面を含む経路を選択する例を示す。
【0091】
図7は、車両コントロールモジュール20及びナビゲーションコントロールユニット24による車両制御処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、この処理手順は、記憶部(図示省略)に記憶されているプログラムに基づいて実行される。また、
図7に示す処理手順は、
図4に示す処理手順の一部を変形した例であり、
図4に示す処理手順と共通する部分については、その説明を省略する。
【0092】
具体的には、
図7に示すステップS401、S402、S405乃至S410は、
図4に示すステップS301、S302、S304、S311乃至S315に対応する。
【0093】
ステップS403において、ナビゲーションコントロールユニット24は、エンジン1の冷媒の温度が基準値以下であるか否かを判定する。ナビゲーションコントロールユニット24は、車両コントロールモジュール20を介して、冷媒温度センサ52により計測された温度を取得して用いることができる。ここで、基準値は、エンジン1の暖気温度とすることができる。エンジン1の冷媒の温度が基準値以下である場合には、ステップS404に進む。一方、エンジン1の冷媒の温度が基準値よりも高い場合には、ステップS405に進む。
【0094】
ステップS404において、ナビゲーションコントロールユニット24は、エンジン1の冷媒の温度に基づいて、目的地までの経路として、粗い路面を含む経路を選択する。すなわち、エンジン1の冷媒の温度に基づいて、車両100の現在地からの粗い路面の位置や、粗い路面の長さを選択する。例えば、エンジン1の冷媒の温度が低くなるのに応じて、車両100の現在地から近い粗い路面を含む経路を選択するようにする。また、エンジン1の冷媒の温度が低くなるのに応じて、長い粗い路面を含む経路を選択するようにする。なお、また、エンジン1の冷媒の温度が低くなるのに応じて、粗い路面でのエンジン1の回転数を増加させるように設定してもよい。これらにより、暖機を促進することができる。すなわち、エンジン1の暖機時間を短くすることができ、車両100の居室内の暖房時間を短くすることができる。このように、暖機促進による暖房性能を向上させることができ、燃費を向上させることができる。
【0095】
なお、
図7に示す経路の選択条件と、
図2乃至
図6に示す経路の選択条件とを組み合わせて、目的地までの経路を選択するようにしてもよい。
【0096】
また、車両100が粗い路面を走行している場合には、音発生デバイスから発生される音量を変化させるようにしてもよい。音発生デバイスは、音を発生する機器であり、例えば、強電系を冷却するファン、音楽などの音声をスピーカから出力するオーディオ、エンジン1の駆動音を模擬した音を鳴動する走行音生成器、入出力装置31である。例えば、車両コントロールモジュール20は、目的地までの経路として、粗い路面を含む路面が選択された場合において、車両100が粗い路面を走行している場合には、発生される音量が大きくなるように音発生デバイスを制御することができる。
【0097】
[本実施形態の構成及び効果]
本実施形態に係る車両100の制御方法は、車両100を駆動する駆動モータ3と、駆動モータ3に供給する電力を発電する発電モータ2(発電機の一例)を駆動するエンジン1と、発電モータ2により充電可能に構成されるとともに駆動モータ3に電気的に接続されたバッテリ8とを備え、目的地までの経路を設定可能な車両の制御方法である。この制御方法では、目的地に車両100が到着するまでの間に、エンジン1を停止させた状態で駆動モータ3により車両100をEV走行させる特定区間が含まれる場合において、特定区間に車両100が到着するまでの間にエンジン1の駆動が必要であるときには、特定区間までの経路として、粗い路面を含む経路を選択する選択ステップ(ステップS303乃至S310、S321)と、選択された特定区間までの経路において、車両100が粗い路面を走行するときには、エンジン1を駆動させて発電を行う制御ステップ(ステップS312、S313、S322、S407、S408)とを備える。
【0098】
このような車両100の制御方法によれば、特定区間に車両100が到着するまでの間にエンジン1の駆動が必要である場合には、特定区間までの経路として、粗い路をあえて選択し、その粗い路面でこっそりと充電できる。このように、路面状態及びSOC状態を考慮して経路選択をすることにより、特定区間では静かにEV走行できるようになり、走行性を向上させることができ、燃費も向上させることができる。また、乗員に快適な経路を選択することができる。また、騒音の大きい環境である粗い路面でエンジン1を駆動させることにより、スムーズな路面では乗員に静かな運転環境をもたらすことができる。このように、充電タイミングを考慮したハイブリッド車両の適切な経路選択を実現することができる。
【0099】
また、本実施形態に係る車両100の制御方法において、選択ステップ(ステップS306乃至S310)では、バッテリ8のSOCに基づいて、特定区間においてエンジン1による発電をせずに車両100を走行させることが可能か否かを判定し、特定区間においてエンジン1による発電をせずに車両100を走行させることが可能である場合には、特定区間までの経路として、粗い路面を含まない経路を選択し、特定区間においてエンジン1による発電をせずに車両100を走行させることが不可能である場合には、特定区間までの経路として、粗い路面を含む経路を選択する。
【0100】
このような車両100の制御方法によれば、バッテリ8のSOCを用いて、特定区間をEV走行できる経路を選択することができる。
【0101】
また、本実施形態に係る車両100の制御方法において、選択ステップ(ステップS308、S310)では、特定区間までの経路候補として、粗い路面を含む経路が複数存在する場合には、バッテリ8のSOCと、特定区間における走行で消費する電力量と、経路候補に含まれる粗い路面における走行でエンジン1により発電可能な経路候補毎の電力量とに基づいて、粗い路面を含む複数の経路候補のうちから、特定区間までの経路を選択する。
【0102】
このような車両100の制御方法によれば、複数のパラメータを用いて、複数の経路候補の中から、特定区間をEV走行できるより最適な経路を選択することができる。
【0103】
また、本実施形態に係る車両100の制御方法において、選択ステップ(ステップS306乃至S310)では、粗い路面を含む複数の経路候補のうちに、粗い路面における走行でエンジン1により発電可能な電力量とバッテリ8の電力量とにより、特定区間における走行で消費する電力量を賄える経路が存在する場合には、その経路を特定区間までの経路として選択し、一方、粗い路面における走行でエンジン1により発電可能な電力量とバッテリ8の電力量とにより、特定区間における走行で消費する電力量を賄える経路が存在しない場合には、複数の経路候補のうちで粗い路面が最も長い経路候補を、特定区間までの経路として選択する。
【0104】
このような車両100の制御方法によれば、複数の経路候補のうちに、特定区間における走行で消費する電力量を賄える経路が存在しない場合でも、特定区間をより長くEV走行できる最適な経路を選択することができる。
【0105】
また、本実施形態に係る車両100の制御方法において、選択ステップ(ステップS308、S310)では、粗い路面を含む複数の経路候補のうちに、粗い路面における走行でエンジン1により発電可能な電力量とバッテリ8の電力量とにより、特定区間における走行で消費する電力量を賄える経路が複数存在する場合には、その電力量を賄える複数の経路のうちから、所定の選択条件に基づいて、特定区間までの経路を選択する。
【0106】
このような車両100の制御方法によれば、複数の経路候補の中から、所定の選択条件(例えば、粗い路面の合計距離が最も短い経路候補を選択する)を用いて、より最適な経路を選択することができる。
【0107】
また、本実施形態に係る車両100の制御方法において、選択ステップ(ステップS321)では、バッテリ8のSOCと、特定区間で消費する電力量と、選択された特定区間までの経路に含まれる粗い路面における走行でエンジン1により発電可能な電力量とに基づいて、選択された特定区間までの経路に含まれる粗い路面における発電区間を求める。また、制御ステップ(ステップS322、S313)では、選択された特定区間までの経路に含まれる粗い路面において、発電区間では、エンジン1を駆動させて発電を行い、発電区間以外の区間では、エンジン1を停止させて発電を行わない。
【0108】
このような車両100の制御方法によれば、特定区間までの経路に含まれる粗い路面が十分長い場合には、エンジン1の駆動に適した適切な発電区間を設定できる。
【0109】
また、本実施形態に係る車両100の制御方法において、選択ステップ(ステップS321)では、選択された特定区間までの経路に含まれる粗い路面における統計車速と、粗い路面の粗さの程度と、粗い路面におけるエンジン1の必要駆動力の効率とのうちの少なくとも1つに基づいて、発電区間を設定する。
【0110】
このような車両100の制御方法によれば、エンジン1の駆動に適した適切な発電区間を設定できる。また、粗い路面におけるエンジン1の必要駆動力の効率が良い区間を選択することにより、燃費を向上させることができる。
【0111】
また、本実施形態に係る車両100の制御方法において、エンジン1を冷却する冷媒の温度が基準値以下である場合には、目的地までの経路として、粗い路面を含む経路を選択する選択ステップ(ステップS403、S404)を備える。
【0112】
このような車両100の制御方法によれば、エンジン1の暖機時間を短くすることができ、車両100の居室内の暖房時間を短くすることができる。すなわち、暖機促進による暖房性能を向上させることができ、燃費を向上させることができる。
【0113】
また、本実施形態に係る車両100の制御方法において、制御ステップ(ステップS407、S408)では、冷媒の温度に基づいて、エンジン1の回転数を制御する。
【0114】
このような車両100の制御方法によれば、冷媒の温度に応じた適切なエンジン1の制御を実行することができる。
【0115】
また、本実施形態に係る車両100の制御方法では、車両100では、目的地までの距離を優先的な選択条件として目的地までの経路を選択する第1選択モードと、車両100の走行時の騒音を優先的な選択条件として目的地までの経路を選択する選択モードであり、特定区間に車両100が到着するまでの間にエンジン1の駆動が必要である場合には粗い路面を含む経路を選択する第2選択モードとの何れかの選択モードを設定可能である。また、選択ステップ(ステップS301乃至S310、S321、S401乃至S405)では、設定された選択モードに基づいて、目的地までの経路を選択する。
【0116】
このような車両100の制御方法によれば、乗員の好みに応じた適切な経路を選択できる。
【0117】
また、本実施形態に係る車両100の制御方法では、選択された特定区間や目的地までの経路として、粗い路面とこれ以外の路面とを識別可能に案内する案内ステップ(ステップS311、S406)をさらに備える。
【0118】
このような車両100の制御方法によれば、選択された目的地までの経路を音声や画面表示で案内された乗員が、粗い路面とこれ以外の路面とを容易に把握することができる。
【0119】
また、本実施形態に係る車両100の制御方法において、制御ステップ(ステップS313、S408)では、選択された特定区間までの経路において、粗い路面での発電により、バッテリ8のSOCが基準値以上となった場合には、エンジン1の駆動を停止させて発電を停止させる。
【0120】
このような車両100の制御方法によれば、バッテリ8のSOCに応じて適切なエンジン1の制御を実行することができる。
【0121】
また、本実施形態に係る車両100の制御システムは、車両100を駆動する駆動モータ3と、駆動モータ3に供給する電力を発電する発電モータ2(発電機の一例)を駆動するエンジン1と、発電モータ2により充電可能に構成されるとともに駆動モータ3に電気的に接続されたバッテリ8と、駆動モータ3とエンジン1とバッテリ8とを制御する車両コントロールモジュール20(コントローラの一例)と、目的地までの経路を選択して乗員に案内するナビゲーションコントロールユニット24(コントローラの一例)とを備える。ナビゲーションコントロールユニット24は、目的地に車両100が到着するまでの間に、エンジン1を停止させた状態で駆動モータ3により車両100をEV走行させる特定区間が含まれる場合において、特定区間に車両100が到着するまでの間にエンジン1の駆動が必要であるときには、特定区間までの経路として、粗い路面を含む経路を選択する。また、車両コントロールモジュール20は、ナビゲーションコントロールユニット24により選択された特定区間までの経路において、車両100が粗い路面を走行するときには、エンジン1を駆動させて発電を行う。なお、本実施形態では、複数のコントローラ(車両コントロールモジュール20及びナビゲーションコントロールユニット24)により車両制御処理を実行する例を示すが、1つのコントローラにより車両制御処理を実行するようにしてもよい。
【0122】
このような車両100の制御システムによれば、特定区間に車両100が到着するまでの間にエンジン1の駆動が必要である場合には、特定区間までの経路として、粗い路をあえて選択し、その粗い路面でこっそりと充電できる。このように、路面状態及びSOC状態を考慮して経路選択をすることにより、特定区間では静かにEV走行できるようになり、走行性を向上させることができ、燃費も向上させることができる。また、乗員に快適な経路を選択することができる。また、騒音の大きい環境である粗い路面でエンジン1を駆動させることにより、スムーズな路面では乗員に静かな運転環境をもたらすことができる。このように、充電タイミングを考慮したハイブリッド車両の適切な経路選択を実現することができる。
【0123】
なお、本実施形態で示した各処理は、各処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムに基づいて実行されるものである。このため、本実施形態は、それらの各処理を実行する機能を実現するプログラム、そのプログラムを記憶する記録媒体の実施形態としても把握することができる。例えば、車両に新機能を追加するためのアップデート作業により、そのプログラムを車両の記憶装置に記憶させることができる。これにより、そのアップデートされた車両に本実施形態で示した各処理を実施させることが可能となる。なお、そのアップデートは、例えば、車両の定期点検時等に行うことができる。また、ワイヤレス通信によりそのプログラムをアップデートするようにしてもよい。
【0124】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0125】
1 エンジン
2 発電モータ
3 駆動モータ
8 バッテリ
20 車両コントロールモジュール(VCM)
24 ナビゲーションコントロールユニット(NAVICU)
51 車輪の角速度センサ
52 冷媒温度センサ
100 車両
110 エアコン