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特許7523330選択的レーザー焼結ベースの付加製造システム用のマーキング添加剤を含む粒子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】選択的レーザー焼結ベースの付加製造システム用のマーキング添加剤を含む粒子
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/153 20170101AFI20240719BHJP
   B29C 64/264 20170101ALI20240719BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240719BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20240719BHJP
【FI】
B29C64/153
B29C64/264
B33Y10/00
B33Y70/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020197477
(22)【出願日】2020-11-27
(65)【公開番号】P2021098359
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2023-11-22
(31)【優先権主張番号】16/722,255
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ナンシン・フー
(72)【発明者】
【氏名】ユリン・ワン
【審査官】坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/052899(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/122734(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03265293(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3D印刷製造システム用の粒子であって、
3D印刷プロセスに適合して三次元(3D)物体を印刷するポリマー樹脂であって、微粒子の形態であり、かつ外面を有するポリマー樹脂と、
前記3D物体の選択的部分が、光に曝露されたときに色を変化させることを可能にする、前記ポリマー樹脂中のマーキング添加剤であって、.01~25.00質量パーセント(wt%)まで添加されるマーキング添加剤と、
前記ポリマー樹脂の前記外面上に分散している複数のナノ粒子と、
を含み、
前記マーキング添加剤が、金属酸化物、非化学量論的金属酸化物、金属水酸化物、ヒドロキシリン酸銅、ピロリン酸銅、塩基性炭酸銅、オクタモリブデン酸アンモニウム、ハロゲン化銀、フタロシアニン、ナフタロシアニン、グラファイト酸化物、又はグラフェン酸化物のうちの少なくとも1つを含み、
前記金属酸化物が、酸化チタン、ホウ素無水物、酸化スズ、酸化ビスマス、酸化銅、酸化鉄、酸化モリブデン、又は酸化バナジウムの1つである、粒子。
【請求項2】
前記ポリマー樹脂が、アクリル樹脂;アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン、アクリレート、メタクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択されるモノマーから製造されたポリマー若しくはコポリマー;ポリオレフィン;ポリエステル;ポリカーボネート;ポリ乳酸;熱可塑性ポリウレタン;ポリアミド;ポリイミド;ポリスルホン;ポリ(アリールエーテル);ポリ(アリールエーテルケトン);ポリ(アリールエーテルスルホン);ポリ(エーテルイミド);ポリアリーレンスルフィドポリ(ビニルアルコール)又はポリフッ化ビニリデンのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の粒子。
【請求項3】
前記マーキング添加剤が、80ナノメートル(nm)~11000nmの波長の光を吸収する赤外線吸収成分を含む、請求項1に記載の粒子。
【請求項4】
前記非化学量論的金属酸化物が、スズ、アンチモン、ビスマス、ホウ素、チタン、インジウム、鉄、銅、モリブデン、タングステン、又はバナジウムのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の粒子。
【請求項5】
前記金属水酸化物が、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、又は水酸化銅のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の粒子。
【請求項6】
ポリフェノール、メラミン樹脂、又は多糖類のうちの少なくとも1つを含む現像剤成分を更に含む、請求項1に記載の粒子。
【請求項7】
前記マーキング添加剤用の担体物質であって、シリカ、アルミナ、酸化チタン、雲母、カオリン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、タルク、又はセラミックのうちの少なくとも1つを含む担体物質を更に含む、請求項1に記載の粒子。
【請求項8】
顔料又は着色剤を更に含む、請求項1に記載の粒子。
【請求項9】
カーボンブラックを更に含む、請求項1に記載の粒子。
【請求項10】
前記マーキング添加剤が、非化学量論的金属酸化物、金属水酸化物、ヒドロキシリン酸銅、ピロリン酸銅、塩基性炭酸銅、オクタモリブデン酸アンモニウム、ハロゲン化銀、フタロシアニン、ナフタロシアニン、グラファイト酸化物、又はグラフェン酸化物のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の粒子。
【請求項11】
前記ナノ粒子が、前記ポリマー樹脂の質量に基づいて、.05~質量パーセント(wt%)で存在する、請求項1に記載の粒子。
【請求項12】
前記ナノ粒子が、シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ、酸化鉄、酸化銅、又は酸化スズのうちの少なくとも1つを含む、ナノメートル(nm)~00nmの平均直径を有する無機酸化物を含む、請求項11に記載の粒子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、選択的レーザー焼結(SLS)ベースの付加製造システム用の粒子に関し、より具体的には、SLSベースの付加製造システム用のマーキング添加剤を含む粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
三次元(3D)印刷は、コンピュータ支援設計(CAD)ファイルを使用して、制御された内部及び外部ジオメトリを用いて層ごとに3D物体を印刷することを可能にする技術である。例えば、出発物質を使用し、選択的に溶融及び結合して、3D物体を形成することができる。今日、異なるタイプの3Dプリンタが利用可能である。異なるタイプの3Dプリンタは、異なる種類の付加印刷を行うことができる。3D印刷技術の例としては、熱溶解積層法(FDM:fused deposition modeling)としても知られる溶融フィラメント製造(FFF:fused filament fabrication)、選択的レーザー焼結(SLS:selective laser sintering)、選択的レーザー溶融(SLM:selective laser melting)、電子ビーム溶融(EBM:electronic beam melting)、デジタルライトプロセッシング(DLP:digital light processing)、ステレオリソグラフィ(SLA)、薄膜積層法(LOM:laminated object manufacturing)、積層物体製造(LOM)、結合剤噴射などの押出ベースの印刷が挙げられ得る。
【発明の概要】
【0003】
本明細書に示される態様によると、三次元(3D)プリンタで使用するための粒子が提供される。実施形態の開示される1つの特徴は、3D物体を印刷する3D印刷プロセスに適合するポリマー樹脂と、3D物体の選択的部分が光に曝露されたときに色を変化させることを可能にするマーキング添加剤と、を含む粒子であり、マーキング添加剤は、約0.01~25.00重量パーセント(wt%)まで添加される。
【0004】
実施形態の開示される別の特徴は、3Dプリンタ用のマーキング添加剤を有する粒子を製造する方法である。本方法は、3Dプリンタに適合するポリマー樹脂を提供することと、ポリマー樹脂をマーキング添加剤と約0.01~25.00重量パーセント(wt%)の量で混合して、マーキング添加剤を有する粒子を形成することと、を含む。
【0005】
実施形態の開示される別の特徴は、マーキング添加剤を有する粒子で印刷された三次元(3D)印刷物体をマーキングする方法である。本方法は、プロセッサによって、3D印刷物体を印刷するための命令を受信することと、プロセッサによって、命令に従って3D印刷物体を印刷するように電力ベースの3Dプリンタを制御することであって、3D印刷物体は、マーキング添加剤を含有する粒子で印刷され、マーキング添加剤を含有する粒子は、ポリマー樹脂と、0.01~25.00重量パーセント(wt)のマーキング添加剤と、を含む、ことと、プロセッサによって、3D印刷物体のマーキングに関連付けられたマーキング命令を受信することと、プロセッサによって、マーキング命令に従って3D印刷物体の表面の部分を曝露するようにレーザーを制御して、3D印刷物体の表面の部分の色を変化させて、3D印刷物体の表面上にマーキングを書き込むことと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本開示の教示は、添付図面と併せて以下の詳細な説明を考慮することによって容易に理解することができる。
【0007】
図1】本開示のマーキング添加剤を有する粒子を使用する、選択的レーザー焼結(SLS)ベースのプリンタの一例を示す。
【0008】
図2】本開示のマーキング添加剤を含有する粒子で印刷された、マーキングされた物体を示す。
【0009】
図3】本開示のマーキング添加剤を含有する粒子で印刷された3D印刷物体をマーキングする、例示的なプロセスフロー図を示す。
【0010】
図4】SLSベースプリンタ用のマーキング添加剤を有する粒子を製造するための例示的な方法のフロー図を示す。
【0011】
図5】マーキング添加剤を含有する粒子で印刷された3D印刷物体をマーキングするための例示的な方法のフロー図を示す。
【0012】
理解を容易にするために、可能なかぎり、同一の参照番号が、図面に共通する同一の要素を示すのに使用されている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、マーキング添加剤を有する粒子及びその製造方法に関する。加えて、マーキング添加剤を有する粒子を使用して、3D物体を印刷し、3D物体の表面の選択された部分の色を変化させることによって、3D物体をマーキングすることができる。上述のように、様々な3D印刷技術が今日使用されている。粉末材料を使用する付加製造方法としては、粉末床溶融結合(PBF:powder bed fusion)、選択的レーザー焼結(SLS)、選択的加熱焼結(SHM:selective heat sintering)、結合剤噴射、及びマルチジェットフュージョン(MJF:multi jet fusion)が挙げられ得る。例えば、SLS印刷方法では、粒子は、レーザーからのエネルギーによって融合される。しかし、3D物体が印刷された後、マーキング画像を追加して、物体の識別、標識情報、セキュリティ情報などを提供することができる。
【0014】
3D印刷物体をマーキングする現在利用可能な手段は、多くの欠点を有する。例えば、別個に印刷された標識を物体に適用することができる。しかしながら、標識は容易に除去される又は損傷する可能性がある。別の例は、印刷プロセスの一部として標識を物体に物理的に印刷することであり得る。換言すれば、所望のマークを3D印刷物体に物理的に印刷することができる(例えば、所望の文字は3D物体の表面上の隆起部分である)。別の例は、例えばレーザー彫刻を使用して、3D印刷物体の部分をエッチング又は溶融除去することであり得る。しかしながら、ほとんどの3D印刷物体は粗い表面質感を有するため、これらの解決策は、多くの適用領域に対して高コントラストマーキングを達成するのに好適ではない場合がある。更に、これらの解決策は、更なる複雑さ、材料の物理的特性による印刷可能なマーキングの小ささに対する制限などが問題になる場合がある。
【0015】
本開示は、SLSベースの3Dプリンタで使用され得るマーキング添加剤を有する粒子を提供する。マーキング添加剤は、光を吸収して、粒子の光学特性を変化させ得る。例えば、特定のマーキング添加剤は、赤外光に曝露されたときに、マーキング添加剤を有する粒子を用いて製造された3D印刷物体の部分の光学的変化又は色変化をもたらし得る。
【0016】
このように、マーキングは、表面上の所望の位置を光源に曝露することによって、3D印刷物体の表面に直接書き込まれ得る。光源に曝露された部分は、色を変化させることができ、マーキングは3D印刷物体の表面上に書き込まれ得る。マーキングは、任意の所望のサイズに書き込まれ得る。加えて、マーキング添加剤は、光に曝露されたときに、最大1秒毎8メートルの速度で色を変化させることができるため、マーキングは比較的迅速に追加され得る。このように、マーキング添加剤を有する粒子によって作り出されるマーキングは、現在利用可能なマーキング方法よりも永久的かつ安全であり得る。
【0017】
図1は、本開示のマーキング添加剤122(本明細書では粒子122(単数又は複数)とも称される)を有する粒子を使用する選択的レーザー焼結(SLS)ベースのプリンタ100の一例を示す。図1は、一例として特定のタイプのSLSベースのプリンタを示しているが、粒子122は、任意のタイプの粉末ベースのプリンタ又は付加印刷プロセスで使用され得ることに留意されたい。一実施形態では、SLSベースのプリンタ100は、粒子122が充填されたホッパー120を含んでもよい。ホッパー120は、可動プラットフォーム112に隣接する位置にあってもよい。プラットフォーム112は、粒子122のそれぞれの層が印刷される際に上下に移動してもよい。
【0018】
一実施形態では、ホッパー120は、ホッパーの縁部の上方に粒子122を押すことができる可動底部を有してもよい。ローラー116は、(矢印118によって示されるように)横方向に移動して、プラットフォーム112上に粒子122を分配し得る。ローラー116は、印刷された三次元(3D)印刷物体124の層ごとに、粒子122の平滑な均一層を提供し得る。図1は、粒子122がどのように分配され得るかの一例を示すことに留意されたい。他の実施例もまた、本開示の範囲内であり得る。
【0019】
一実施形態では、エネルギー源110(例えば、レーザー、紫外線(UV)光源、熱源など)がプラットフォーム112の上方に位置してもよい。エネルギー源110は、粒子122を選択的に焼結又は融合して、3D印刷物体124を印刷し得る。例えば、エネルギー源110は、3D印刷物体124全体が印刷されるまで、層ごとに粒子122を融合し得る。一実施形態では、エネルギー源110は、粒子122内のマーキング添加剤の色を変化させない特定の設定(例えば、電力、周波数、波長など)で動作してもよい。換言すれば、エネルギー源110は、粒子122の焼結又は融合を可能にして3D物体を印刷するが、後述する光源126によって放射される光の波長と重ならない設定で動作してもよい。
【0020】
一実施形態では、エネルギー源110は、エネルギー源110がプラットフォーム112上の粒子122の層に平行な二次元平面に沿って移動することを可能にするジンバル又は可動アームに連結されてもよい。別の実施形態では、エネルギー源110は静止していてもよく、プラットフォーム112はまた、エネルギー源110の下で横方向に移動してもよい。
【0021】
一実施形態では、焼結流体が粒子122の層上に分配されてもよい。焼結流体は、3D印刷物体124の特定の層の所望の形状又はパターンに従って分配されてもよい。エネルギー源110は、層に適用されてもよく、焼結流体を受容する粒子122の層の部分が融合されて、3D印刷物体124の層が形成され得る。
【0022】
一実施形態では、SLSベースのプリンタは、エネルギー源110、プラットフォーム112、及びローラー116に通信可能に連結されたプロセッサ102によって制御されてもよい。SLSベースのプリンタ100はまた、プロセッサ102に通信可能に連結されたメモリ104を含んでもよい。メモリ104は、任意のタイプの非一時的コンピュータ可読媒体であってもよい。例えば、メモリ104は、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリなどであってもよい。
【0023】
一実施形態では、メモリ104は、プロセッサ102によって実行される命令を含んでもよい。例えば、メモリ104は、印刷命令106及びマーキング命令108を含んでもよい。一実施形態では、プロセッサ102は、印刷命令106に従って、粒子122の供給、エネルギー源110の移動、及びプラットフォーム112を制御して、3D印刷物体124を印刷し得る。
【0024】
一実施形態では、プロセッサ102はまた、光源126を制御して、3D印刷物体124をマーキングし得る。光源126は、SLSベースのプリンタ100の一部として図1に示されているが、光源126は、別個のコントローラ又はプロセッサによって制御される別個のデバイスの一部であってもよいことに留意されたい。換言すれば、3D印刷物体124が完成した後、物体は、3D印刷物体124をマーキングするための光を受信するために、光源126を備えた別の装置に移され得る。
【0025】
プロセッサ102は、マーキング命令108に従って3D印刷物体124にマーキングし得る。光源126は、約700ナノメートル(nm)~10.6マイクロメートル(μm)の範囲の赤外線領域の波長で動作し得るレーザーであってもよい。レーザーの例としては、固体レーザー、ダイオード又はダイオードアレイレーザー、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)レーザー、ファイバレーザー、二酸化炭素(CO)レーザーなどが挙げられ得る。光源126は、パルスモード又は連続モードで動作されてもよい。
【0026】
上述したように、粒子122は、マーキング添加剤を含んでもよい。マーキング添加剤を有する粒子122が光源126からの特定の波長の光に曝露されたとき、光に曝露された3D印刷物体124の表面は色を変化させ得る。このようにして、マーキングは、光源126によって3D印刷物体124上に直接「書き込まれる」ことができる。とりわけ、マーキングは、エッチングされておらず、粒子122の追加印刷によって物理的に形成されてもいない。むしろ、マーキング添加剤を有する粒子122の光学特性は、マーキングを作製するために変更されている。結果として、マーキングは、3D印刷物体にマーキングを追加する現在の方法を使用して製造されるものよりも、安全かつ永久的であり得る。
【0027】
一実施形態では、粒子122は、ポリマー樹脂をマーキング添加剤と混合することによって配合又は作製されてもよい。ポリマー樹脂は、SLSベースのプリンタ100に適合する任意の種類のポリマー樹脂であってもよい。例えば、ポリマー樹脂は融解温度及び粘度を有し、SLSベースのプリンタ100が、ポリマー樹脂がどのように堆積されるかを制御することを可能にし得る。ポリマー樹脂は、結晶性、半結晶性、又は非晶質ポリマー樹脂を含む熱可塑性樹脂であってもよい。使用可能なポリマー樹脂の例としては、アクリル樹脂;アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン、アクリレート、メタクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択されるモノマーから製造されるポリマー若しくはコポリマー;ポリオレフィン;ポリエステル;ポリカーボネート;ポリ乳酸;熱可塑性ポリウレタン;ポリアミド;ポリイミド;ポリスルホン;ポリ(アリールエーテル);ポリ(アリールエーテルケトン);ポリ(アリールエーテルスルホン);ポリ(エーテルイミド);ポリアリーレンスルフィド、ポリ(ビニルアルコール)、ポリフッ化ビニリデン、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。ポリマー樹脂の具体例は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、ナイロン-6、ナイロン-12、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレン、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリ乳酸(PLA)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)など、又はこれらの任意の組み合わせである。
【0028】
一実施形態では、本開示の粒子122に使用されるマーキング添加剤は、良好な耐光性及び耐候性を有するべきである。加えて、マーキング添加剤は、本明細書に記載される粒子122の製造プロセス及び3D印刷プロセスに適合すべきである。例えば、マーキング添加剤は、少なくとも粒子122の融点又は軟化温度である温度で、良好な熱安定性を有し得る。更に、マーキング添加剤は、粒子122に使用されるポリマー樹脂に適合し、環境に優しく、容易に入手可能であり、非毒性であり得る。
【0029】
一実施形態では、マーキング添加剤は、光吸収性マーキング添加剤であってもよい。一実施形態では、マーキング添加剤は、赤外光吸収性マーキング添加剤であってもよい。マーキング添加剤は、光源126の波長領域内での光放射の効率的な吸収を有してもよい。マーキング添加剤は、約0.01重量パーセント(wt%)~25.00wt%で添加、又はポリマー樹脂と混合されてもよい。一実施形態では、マーキング添加剤は、約0.50wt%~10.00wt%で添加されてもよい。一実施形態では、マーキング添加剤は、約0.50wt%~5.00wt%で添加されてもよい。重量パーセントは、粒子122の総重量に対するマーキング添加剤の比率であってもよい。
【0030】
一実施形態では、本明細書に記載のマーキング添加剤の量は、ポリマー樹脂がSLSベースのプリンタ100において良好な印刷適性を維持することを可能にし得る。加えて、マーキング添加剤の量は、ポリマー樹脂が、マーキング添加剤を含まないポリマー樹脂と比較して、3D印刷物体124の同様の機械的強度を維持することを可能にし得る。
【0031】
一実施形態では、マーキング添加剤は、光源126によって放射された光に曝露されたときに色を変化させるか又は反応する添加剤であってもよい。一実施形態では、マーキング添加剤は、約700ナノメートル(nm)~11,000nmの波長を吸収する赤外線吸収成分を含んでもよい。例えば、光は、連続モード又はパルスモードで動作するレーザービームによって放射されてもよい。一実施形態では、マーキング添加剤は、約780nm~約2500nmの波長を吸収してもよい。例えば、光は、約1064nmの赤外スペクトルで動作する、オルトバナジウム酸イットリウム(Nd:YVO4)、イットリウムフッ化リチウム(Nd:YLF)、及びイットリウムアルミニウムガーネット(Nd:YAG)を含む固体レーザーによって放射されてもよい。一実施形態では、赤外線吸収成分の例としては、金属酸化物、非化学量論的金属酸化物、金属水酸化物、ヒドロキシリン酸銅、ピロリン酸銅、塩基性炭酸銅、オクタモレブジン酸アンモニウム、ハロゲン化銀、フタロシアニン、ナフタロシアニン、グラファイト酸化物、グラフェン酸化物、カーボンブラック、又はこれらの混合物が挙げられ得る。
【0032】
金属酸化物又は非化学量論的金属酸化物の金属の例としては、スズ、アンチモン、ビスマス、ホウ素、チタン、インジウム、鉄、銅、モリブデン、タングステン、バナジウム、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられ得る。金属酸化物又は非化学量論的金属酸化物の例としては、酸化チタン、無水ホウ素、酸化スズ、酸化ビスマス、酸化銅、酸化鉄、酸化モリブデン、酸化バナジウム、アンチモンドープ酸化スズ、アンチモンドープ酸化インジウムスズ、還元酸化インジウムスズ、酸素欠乏酸化ビスマス、金属水酸化物、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられ得る。金属水酸化物の例としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化銅、及びこれらの混合物が挙げられ得る。フタロシアニンの例としては、無金属フタロシアニン、及び銅フタロシアニンなどの金属フタロシアニンが挙げられる。同様に、ナフタロシアニンの例としては、無金属又は金属ナフタルシアニンが挙げられ得る。
【0033】
一実施形態では、粒子122は、近赤外レーザーによって放射された約780nm~2500nmの波長の光を吸収するマーキング添加剤を含んでもよい。例えば、近赤外レーザーは、約1064nmの波長で動作するYAGレーザーであってもよい。一実施形態では、粒子122は、約10.6μmで動作するCOレーザーを使用して、2500nmを超える波長で光を吸収するマーキング添加剤を含んでもよい。
【0034】
一実施形態では、本明細書に開示される粒子122に使用されるマーキング添加剤は、現像剤成分を更に含んでもよい。現像剤成分自体は、光源126によって放射される放射線に敏感ではない場合がある。しかしながら、上述のマーキング添加剤(例えば、金属酸化物、金属塩、及び/若しくは金属化合物、カーボンブラック、グラフェン酸化物、又はこれらの任意の組み合わせ)と組み合わせて使用されるとき、現像剤成分は、粒子122で印刷された3D印刷物体124の部分の色変化を補助するように反応し得る。好適な現像剤成分としては、ポリフェノール、メラミン樹脂、多糖類、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられ得る。
【0035】
一実施形態では、マーキング添加剤は、粒子状で提供されてもよい。マーキング添加剤は、約10nm~5000nmの平均直径を有する粒子であってもよい。一実施形態では、粒子は、約10nm~1000nmの平均直径を有してもよい。
【0036】
一実施形態では、マーキング添加剤はまた、不活性支持材料を含んでもよい。不活性支持材料の例としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、雲母、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、セラミックなどが挙げられ得る。
【0037】
一実施形態では、粒子122はまた、顔料又は着色剤を含んでもよい。顔料又は着色剤は、マーキングプロセス中に受容される放射線に対して不活性であってもよい。しかしながら、顔料又は着色剤は、マーキングのコントラスト又は視認性を向上させる背景を提供し得る。使用可能な顔料又は着色剤の例としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、カーボンブラック、有機顔料などが挙げられる。
【0038】
一実施形態では、粒子122は、ポリマー樹脂とマーキング添加剤との混合物から形成されてもよい。粒子122は、約5μm~約200μm、約30μm~約70μm、約60μm~約110μm、又は約100μm~約200μmの平均粒径を有してもよい。例えば、粒子122は、ポリマーとマーキング添加剤とのブレンドを使用して、極低温研削又は沈殿プロセスによって得られ得る。
【0039】
一実施形態では、粒子122は、溶融乳化プロセスに従って製造される。一実施形態では、このプロセスは、ポリマーとマーキング添加剤とのブレンドを含む混合物と、ポリマーブレンドと不混和性のキャリア流体とを混合することを含んでもよい。一実施形態では、無機酸化物ナノ粒子が任意追加的に添加され得る。混合物は、ポリマー樹脂の融点又は軟化温度よりも高い温度まで加熱されてもよい。剪断力は、キャリア流体中にポリマー樹脂を分散させるのに十分に高い剪断速度で混合物に適用されてもよい。次いで、混合物は、ポリマー及びマーキング添加剤を含む固化粒子又は微粒子を形成するために、ポリマー樹脂の融点又は軟化温度未満まで冷却されてもよい。次いで、微粒子は、キャリア流体から分離され得る。
【0040】
本明細書に記載されるプロセスでは、無機酸化物ナノ粒子は、より良好に制御された粒径及び粒径分布を有する粒子122を生成するため、表面活性剤及び/又は安定剤成分として任意選択的に添加されてもよい。更に、得られた粒子122の外面に関連付けられた無機酸化物ナノ粒子は、3D印刷粉末の追従性を改善するための流動助剤として機能し得る。
【0041】
溶融乳化プロセスに好適なキャリア流体は、25℃で約1,000センチストークス(cSt)~約150,000cSt(又は約1,000cSt~約60,000cSt、又は約40,000cSt~約100,000cSt、又は約75,000cSt~約150,000cSt)の粘度を有し得る。キャリア流体の例としては、限定するものではないが、シリコーン油、脂肪酸変性ポリシロキサン、脂肪族アルコール変性ポリシロキサン、ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサンなど、フッ素化シリコーン油、ポリエチレングリコール、パラフィン、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられ得る。シリコーンオイルの例としては、限定するものではないが、ポリジメチルシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アルキル変性ポリジメチルシロキサン、アルキル変性メチルフェニルポリシロキサン、アミノ変性ポリジメチルシロキサン、アミノ変性メチルフェニルポリシロキサン、フッ素変性ポリジメチルシロキサン、フッ素変性メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性メチルフェニルポリシロキサンなど、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。キャリア流体は、組み合わされたポリマー及びキャリア流体の約40wt%~約90wt%(又は約75wt%~約95wt%、又は約70wt%~約90wt%、又は約55wt%~約80wt%、又は約50wt%~約75wt%、又は約40wt%~約60wt%)で混合物中に存在し得る。
【0042】
溶融乳化プロセスに好適な無機酸化物ナノ粒子としては、限定するものではないが、シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ、酸化鉄、酸化銅、酸化スズなど、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられ得る。酸化物ナノ粒子は、親水性であっても又は疎水性であってもよく、天然の粒子であっても又は粒子の表面処理の結果であってもよい。酸化物ナノ粒子の例示的な例としては、ジメチルシリル、トリメチルシリルなどの疎水性表面処理を有するシリカナノ粒子が挙げられる。シリカナノ粒子の市販の例としては、限定するものではないが、Evonikから入手可能なAEROSIL(登録商標)粒子、例えばAEROSIL(登録商標)R812S、AEROSIL(登録商標)RX50、AEROSIL(登録商標)380などが挙げられる。酸化ナノ粒子は、約1nm~約500nm(又は約10nm~約150nm、又は約25nm~約100nm、又は約100nm~約250nm、又は約250nm~約500nm)の平均直径を有し得る。酸化ナノ粒子は、ポリマーの重量に基づいて、約0.01wt%~約10wt%(又は約0.01wt%~約1wt%、又は約0.1wt%~約3wt%、又は約1wt%~約5wt%、又は約5wt%~約10wt%)の濃度で混合物中に含まれ得る。
【0043】
溶融乳化プロセスは、例えば、押出機(例えば、連続押出機、バッチ押出機)、混合又はインラインホモジナイザ系を有する反応器、及びそれから導出される装置を使用して実施されてもよい。
実施例1:
【0044】
バッチベースのプロセスでは、ポリジメチルシロキサン油(室温で測定された粘度10,000cSt)400グラム(g)と、2.5重量パーセント(wt%)のアンチモン(Sb)ドープ酸化スズを含有するポリアミド(PA12)ペレット120gと、R812Sシリカ0.4gと、を1リットルのガラス製ケトル型反応器に添加した。混合物を摂氏220度(℃)まで90分以上かけて加熱し、毎分260回転(RPM)で混合して溶融分散液を形成した。次いで、溶融分散液を1250RPMで更に40分間機械的に撹拌又は混合した。加熱及び撹拌をオフにした後、混合物スラリーを室温に放ち、次いでヘプタンで3回洗浄してシリコーン油を除去した。得られた粉末をドラフト内で乾燥させて、約50μmの平均粒径を有する粉末を生成した。
実施例2:
【0045】
押出成形ベースのプロセスでは、ELASTOLLAN(登録商標)1190A10熱可塑性ポリウレタン(TPU)45部と、水酸化銅1.6部と、AEROSIL(登録商標)RX50シリカ0.6部と、ポリジメチルシロキサン油(室温で測定された粘度10,000cSt)52.8部と、を25mm二軸押出機(Werner&Pfleiderer ZSK-25)に供給し、これを240~260℃の温度に設定し、900~1100RPMで混合する。得られたスラリーをヘプタンで希釈し、濾過して、25~75μmの平均粒径を有する粒子を収集する。
実施例3:
【0046】
一実施例では、PA12粒子(約50μmの平均直径を有する)100部と、二酸化チタン顔料(100~500nmの範囲の粒径)2部と、Sbドープ酸化スズ2部と、を混合反応器に入れた。得られた混合物を、ポリマー粒子上への金属酸化物の接着を可能にするのに十分な剪断レベルでブレンドした。
【0047】
図2は、マーキングされる3D印刷物体124の例を示す。例えば、光源126は、マーキング202を有する3D印刷物体124の表面の部分を露出させるために使用されてもよい。マーキング202は、光源126を用いて3D印刷物体124の表面の選択された部分の色を変化させることによって作製されてもよい。
【0048】
一実施形態では、マーキング202は英数字テキストであってもよい。一実施形態では、マーキング202は記号又は図形であってもよい。例えば、マーキング202は、スキャナによって読み取ることができるバーコードあってもよい。3D印刷物体124上のマーキング202は、3D印刷物体124に関連付けられた識別情報、セキュリティ情報、製品情報などを提供してもよい。
【0049】
図3は、本開示のマーキング添加剤を有する粒子122で印刷された3D印刷物体124をマーキングする例示的なプロセスフロー図300を示す。
【0050】
ブロック302において、3D印刷物体124が提供され得る。ブロック304において、光源310は、3D印刷物体124の表面上に光312を放射し得る。光源310及び光源126は同じであってもよい。例えば、光源310は、パルスレーザー光源又は連続レーザー光源を提供するレーザー光源であってもよい。光312は、マーキング添加剤を有する粒子122の露出した部分の反応及び変色を引き起こす波長で放射されてもよい。一実施形態では、光312は、約1060nm~1070nmの波長で動作するYAGレーザーから放射されてもよい。
【0051】
ブロック306において、光源310は、マーキング302が完了するまで移動されてもよい。例えば、光源310は、マーキング命令108に従って移動されてもよく、又は3D印刷物体124は、マーキング命令108に従って光源310の下に移動されてもよい。
【0052】
一実施形態では、マーキング添加剤を有する粒子122は、光源310を用いて効率的にマーキングされてもよい。例えば、マーキング202は、最大毎秒8メートル(8m/s)の速度で書き込まれてもよい。このように、光源210は、毎秒1,000字以上の英数字を「書き込む」ことが可能であり得る。このように、マーキング添加剤を有する粒子122は、3D印刷物体124が、現在使用されている他のマーキング方法(例えば、エッチング、付加3D印刷など)よりも効率的に又は迅速にマーキングされることを可能にする。
【0053】
加えて、マーキング添加剤を有する粒子122は、マーキング202を書き込むときにより微細な精度を可能にする。これにより、マーキング202は、現在使用されている方法よりもはるかに小さいサイズのフォントで書き込まれることが可能になり得る。例えば、エッチングすると、材料は溶融する場合があり、文字が書き込まれたときに小さすぎて読み取りにくい場合がある。あるいは、プリンタは、小さすぎるマーキングを印刷することができない場合がある(例えば、マーキングは、プリンタのボクセル印刷サイズよりも小さい場合がある)。このように、マーキング添加剤を有する粒子122は、マーキング202が印刷され得るサイズ及び場所の柔軟性を高める。
【0054】
図4は、本開示の3Dプリンタ(例えば、選択的レーザー焼結(SLS)ベースのプリンタ)用のマーキング添加剤を有する粒子を製造するための例示的な方法400のフロー図を示す。方法400は、上述の実施例によって説明されるように、プロセッサの制御下で、ツール又は反応器によって実行されてもよい。
【0055】
ブロック402において、方法400は開始する。ブロック404において、方法400は、3Dプリンタに適合するポリマー樹脂を提供する。ポリマー樹脂は、SLSベースのプリンタに適合する任意の種類のポリマー樹脂であってもよい。例えば、ポリマー樹脂は、溶融温度及び粘度を有し、SLSベースのプリンタが、ポリマー樹脂がどのように堆積されるかを制御することを可能にし得る。使用可能なポリマー樹脂の例としては、アクリル樹脂;アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン、アクリレート、メタクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択されるモノマーから製造されるポリマー若しくはコポリマー;ポリオレフィン;ポリエステル;ポリカーボネート;ポリ乳酸;熱可塑性ポリウレタン;ポリアミド;ポリイミド;ポリスルホン;ポリ(アリールエーテル);ポリ(アリールエーテルケトン);ポリ(アリールエーテルスルホン);ポリ(エーテルイミド);ポリアリーレンスルフィド、ポリ(ビニルアルコール)、ポリフッ化ビニリデン、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。ポリマー樹脂の具体例は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、ナイロン-6、ナイロン-12、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレン、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリ乳酸(PLA)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)など、又はこれらの任意の組み合わせである。
【0056】
ブロック406において、方法400は、ポリマー樹脂を約0.01~25.00重量パーセント(wt%)の量でマーキング添加剤と混合して、マーキング添加剤を有する粒子を形成する。一実施形態では、マーキング添加剤は、光吸収性マーキング添加剤であってもよい。一実施形態では、マーキング添加剤は、赤外光吸収性マーキング添加剤であってもよい。
【0057】
一実施形態では、本明細書に記載のマーキング添加剤の量は、ポリマー樹脂がSLSベースのプリンタにおいて良好な印刷適性を維持することを可能にし得る。加えて、マーキング添加剤の量は、ポリマー樹脂が、マーキング添加剤を含まないポリマー樹脂と比較して、3D印刷物体の同様の機械的強度を維持することを可能にし得る。
【0058】
一実施形態では、マーキング添加剤は、約780ナノメートル(nm)~11,000nmの波長で放射された光によって色を変化させる又は反応する添加剤であってもよい。一実施形態では、波長は、波長がSLSベースのプリンタのエネルギー源によって放射される波長と重複しないように、より狭くてもよい。例えば、マーキングに使用される光の波長は、約1060nm~1070nmであってもよい。
【0059】
一実施形態では、光は、連続的に放射される又はパルス化される半導体レーザービームによって放射されてもよい。好適なマーキング添加剤の例としては、金属酸化物、非化学量論的金属酸化物、金属水酸化物、ヒドロキシリン酸銅、ピロリン酸銅、塩基性炭酸銅、オクタモレブジン酸アンモニウム、ハロゲン化銀、フタロシアニン、ナフタロシアニン、グラファイト酸化物、グラフェン酸化物、カーボンブラック、又はこれらの混合物が挙げられ得る。
【0060】
一実施形態では、ポリマー樹脂及びマーキング添加剤が一緒に混合されて混合物が形成された後、混合物は、約5μm~約200μm、約30μm~約70μm、約60μm~約110μm、又は約100μm~約200μmの平均粒径を有する粒子を有する粉末を形成するように更に処理されてもよい。一実施形態では、混合物は、溶融され、撹拌され、ドラフト内で乾燥されてもよい(例えば、上の実施例1)。一実施形態では、混合物は、ポリマー樹脂の粒子へのマーキング添加剤の接着を生むのに十分な剪断速度で機械的に撹拌されてもよい。ブロック408において、方法400は終了する。
【0061】
図5は、マーキング添加剤を含有する粒子で印刷された三次元(3D)印刷物体をマーキングするための例示的な方法500のフロー図を示す。方法500は、上述のSLSベースのプリンタ100又はプロセッサ102によって実行されてもよい。
【0062】
ブロック502において、方法500は開始する。ブロック504において、方法500は、3D印刷物体を印刷するための命令を受信する。例えば、3D印刷物体の設計は、コンピューティングデバイス(例えば、コンピューティングデバイス上で実行されるコンピュータ支援描画(CAD)プログラム)上で作製されてもよい。この設計は、X-Y座標系に沿ってそれぞれの層に分配される粒子の量に関するパラメータを含んでもよい。この設計は、SLSベースのプリンタに提供され、SLSベースのプリンタ内のメモリに記憶される印刷命令として記憶されてもよい。
【0063】
ブロック506において、方法500は、命令に従って3D印刷物体を印刷するように粉末ベースの3Dプリンタ(例えば、選択的レーザー焼結(SLS)ベースのプリンタ)を制御し、3D印刷物体は、マーキング添加剤を含有する粒子で印刷され、マーキング添加剤を含有する粒子は、ポリマー樹脂と0.01~25.00重量パーセント(wt%)のマーキング添加剤とを含む。粒子は、マーキング添加剤と混合されたポリマー樹脂を含んでもよい。ポリマー樹脂は、粉末ベースの3Dプリンタと適合性がある任意の種類のポリマー樹脂であってもよい。例えば、ポリマー樹脂は融解温度及び粘度を有し、SLSベースのプリンタが、ポリマー樹脂がどのように分配されるかを制御することを可能にし得る。使用可能なポリマー樹脂の例としては、アクリル樹脂;アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン、アクリレート、メタクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択されるモノマーから製造されるポリマー若しくはコポリマー;ポリオレフィン;ポリエステル;ポリカーボネート;ポリ乳酸;熱可塑性ポリウレタン;ポリアミド;ポリイミド;ポリスルホン;ポリ(アリールエーテル);ポリ(アリールエーテルケトン);ポリ(アリールエーテルスルホン);ポリ(エーテルイミド);ポリアリーレンスルフィド、ポリ(ビニルアルコール)、ポリフッ化ビニリデン、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。ポリマー樹脂の具体例は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、ナイロン-6、ナイロン-12、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレン、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリ乳酸(PLA)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)など、又はこれらの任意の組み合わせである。
【0064】
一実施形態では、マーキング添加剤は、光吸収性マーキング添加剤であってもよい。一実施形態では、マーキング添加剤は、赤外光吸収性マーキング添加剤であってもよい。
【0065】
一実施形態では、本明細書に記載のマーキング添加剤の量は、ポリマー樹脂がSLSベースのプリンタにおいて良好な印刷適性を維持することを可能にし得る。加えて、マーキング添加剤の量は、ポリマー樹脂が、マーキング添加剤を含まないポリマー樹脂と比較して、3D印刷物体の同様の機械的強度を維持することを可能にし得る。
【0066】
一実施形態では、マーキング添加剤は、約780ナノメートル(nm)~11,000nmの波長で放射された光によって色を変化させる又は反応する添加剤であってもよい。例えば、光は、連続モード又はパルスモードで動作するレーザービームによって放射されてもよい。好適なマーキング添加剤の例としては、金属酸化物、非化学量論的金属酸化物、金属水酸化物、ヒドロキシリン酸銅、ピロリン酸銅、塩基性炭酸銅、オクタモレブジン酸アンモニウム、ハロゲン化銀、フタロシアニン、ナフタロシアニン、グラファイト酸化物、グラフェン酸化物、カーボンブラック、又はこれらの混合物が挙げられ得る。
【0067】
粒子は、プラットフォーム上に分配されてもよい。3D印刷物体は、上述のように、粒子の選択的部分を焼結することによって、層ごとに印刷されてもよい。
【0068】
ブロック508において、方法500は、3D印刷物体のマーキングに関連付けられたマーキング命令を受信する。一実施形態では、マーキング命令は、粉末ベースの3Dプリンタのユーザーインターフェースを介して提供されてもよい。一実施形態では、マーキング命令は、別個のコンピューティングデバイス上に作成され、粉末ベースの3Dプリンタに送信され、メモリに記憶されてもよい。
【0069】
3D印刷物体のマーキングは、英数字文字、グラフィック、画像、又はこれらの任意の組み合わせであってもよい。マーキングは、識別情報、セキュリティ情報、製品情報などを含んでもよい。マーキングは、リーダーによってスキャンされ得るバーコードあってもよい。マーキングは会社のロゴなどであってもよい。
【0070】
ブロック510において、方法500は、マーキング命令に従って、3D印刷物体の表面の部分を曝露するようにレーザーを制御して、3D印刷物体の表面の部分の色を変化させて、3D印刷物体の表面上にマーキングを書き込む。一実施形態では、粉末ベースの3Dプリンタは、マーキング命令に従ってマーキングを作製するためのレーザーを含んでもよい。一実施形態では、粉末ベースの3Dプリンタを制御するプロセッサは、レーザーに通信可能に連結されてもよい。一実施形態では、3D印刷物体は、粉末ベースの3Dプリンタから、レーザーを含むマーキング装置に移動されてもよい。
【0071】
一実施形態では、レーザーは、粒子の選択部分に適用され得るパルスレーザー光源又は連続レーザー光源を提供してもよい。光は、約780nm~11,000nmの波長で放射されてもよい。3D印刷物体の表面上にマーキングを「書き込む」ために、レーザーが移動されてもよく、3D印刷物体が移動されてもよく、又はレーザー及び3D印刷物体の両方が移動されてもよい。マーキングは、レーザーによって放射された光に対する、粒子中のマーキング添加剤の反応によって形成されてもよい。この反応により、マーキング添加剤は粒子中の色を変化させ得る。ブロック512において、方法500は終了する。
【0072】
上で開示されたものの変形例、並びに他の特徴及び機能、又はこれらの代替物が、他の異なるシステム又は用途に組み合わされ得ることが理解されるであろう。様々な現在予期されていない、又は先行例のない代替物、修正、変形、又は改善が、その後に当業者によってなされてもよく、それらも以下の特許請求の範囲によって包含されることを意図している。

図1
図2
図3
図4
図5