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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】水力発電装置
(51)【国際特許分類】
   F03B 3/04 20060101AFI20240719BHJP
   F03B 7/00 20060101ALI20240719BHJP
   F03B 11/00 20060101ALI20240719BHJP
   F03B 13/10 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
F03B3/04
F03B7/00
F03B11/00 Z
F03B13/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020201033
(22)【出願日】2020-12-03
(65)【公開番号】P2022088900
(43)【公開日】2022-06-15
【審査請求日】2023-11-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】向井 浩氣
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-048753(JP,A)
【文献】特開昭59-221472(JP,A)
【文献】登録実用新案第3182673(JP,U)
【文献】特開2015-014219(JP,A)
【文献】特表2018-501428(JP,A)
【文献】国際公開第2010/122566(WO,A2)
【文献】特開2018-076790(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03B 1/00-11/08
F03B 13/00-13/26
F03B 17/00-17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向において互いに間隔を空けて対向している第1側壁及び第2側壁を有し、水が前記第1方向に交差する第2方向に流れる水路に設置される水力発電装置であって、
前記第1方向に延在し、かつ前記第1方向における両端がそれぞれ前記第1側壁上及び前記第2側壁上に配置される第1梁及び第2梁と、
前記第1方向及び前記第2方向に交差する第3方向に延在し、かつ前記第1梁に取り付けられている第1ガイドレールと、
前記第3方向に延在し、かつ前記第2梁に取り付けられている第2ガイドレールと、
発電機と、
前記発電機を支持している内籠とを備え、
前記第1梁及び前記第2梁は、前記第2方向において、間隔を空けて配置されており、
前記第1梁は、前記第2梁よりも上流側に配置されており、
前記内籠は、前記第1ガイドレール及び前記第2ガイドレールに沿って前記第3方向に移動可能であり、
前記内籠は、底枠と、前記底枠に取り付けられており、かつ前記発電機を支持している支持板と、前記底枠から前記発電機よりも上方まで前記第3方向に沿って延在している第1ガイド部材及び第2ガイド部材とを有し、
前記第1ガイド部材及び前記第2ガイド部材は、それぞれ、前記第2方向において前記第1ガイドレール及び前記第2ガイドレールに対向しており、
前記内籠は、前記第3方向に対して傾斜した際、前記第1ガイド部材及び前記第2ガイド部材がそれぞれ前記第1ガイドレールの前記第1ガイド部材に対向している面及び前記第2ガイドレールの前記第2ガイド部材に対向している面に接触する、水力発電装置。
【請求項2】
前記第1ガイド部材の前記第1ガイドレールと対向している面及び前記第1ガイドレールの前記第1ガイド部材と対向している面のいずれか一方には、第1車輪が取り付けられている、請求項1に記載の水力発電装置。
【請求項3】
前記第2ガイド部材の前記第2ガイドレールと対向している面及び前記第2ガイドレールの前記第2ガイド部材と対向している面のいずれか一方には、第2車輪が取り付けられている、請求項1又は請求項2に記載の水力発電装置。
【請求項4】
前記第1梁及び前記第2梁に取り付けられる固定部材と、
前記固定部材に取り付けられ、かつ前記内籠を前記第3方向に沿って移動させるクレーンとをさらに備える、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の水力発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水力発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2015-14219号公報)には、軸流水車発電設備が記載されている。特許文献1に記載の軸流水車発電設備は、第1方向において間隔を空けて互いに対向している水路に設置される。水は、この水路を、第1方向に交差する第2方向に沿って流れる。特許文献1に記載の軸流水車発電設備は、軸流水車発電装置と、支持部材と、支柱と、支柱ガイドと、プーリと、ワイヤと、重錘とを有している。
【0003】
支持部材は、第1方向に延在している。支持部材の第1方向における両端は、それぞれ第1側壁上及び第2側壁上に配置されている。支持部材には、貫通穴が形成されている。貫通穴には、支柱ガイドが配置されている。支柱ガイドには、支柱が通されている。支柱は、第1方向及び第2方向に交差する第3方向に延在している。支柱の一方端には、軸流水車発電装置が取り付けられている。支柱の他方端には、ワイヤの一方端が取り付けられている。ワイヤは、プーリに巻き掛けられている。ワイヤの他方端に重錘が取り付けられることにより、支柱は、第3方向に沿って引き上げられる。その結果、軸流水車発電装置は、水路を流れる水から引き上げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-14219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の軸流水車発電設備では、水路を流れる水から、軸流水車発電装置に力が加わる。この力に起因するモーメントは、支柱ガイドにより支持される。しかしながら、特許文献1に記載の軸流水車発電設備では、軸流水車発電装置に加わる力が大きくなると、支柱ガイドのみでは上記のモーメントを支持することが困難になる。
【0006】
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。より具体的には、本発明は、水路を流れる水からの力が大きくなっても当該力に起因したモーメントを支持することが可能な水力発電装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の水力発電装置は、第1方向において互いに間隔を空けて対向している第1側壁及び第2側壁を有し、水が第1方向に交差する第2方向に流れる水路に設置される。水力発電装置は、第1方向に延在し、かつ第1方向における両端がそれぞれ第1側壁上及び第2側壁上に配置される第1梁及び第2梁と、第1方向及び第2方向に交差する第3方向に延在し、かつ第1梁に取り付けられている第1ガイドレールと、第3方向に延在し、かつ第2梁に取り付けられている第2ガイドレールと、発電機と、発電機を支持している内籠とを備える。第1梁及び第2梁は、第2方向において、間隔を空けて配置されている。第1梁は、第2梁よりも上流側に配置されている。内籠は、第1ガイドレール及び第2ガイドレールに沿って第3方向に移動可能である。内籠は、第3方向に対して傾斜した際、第1ガイドレールの内籠に対向している面に接触する。
【0008】
上記の水力発電装置では、内籠は、第1ガイド部材及び第2ガイド部材を有していてもよい。第1ガイド部材及び第2ガイド部材は、それぞれ、第1ガイドレール及び第2ガイドレールにそれぞれ対向していてもよい。
【0009】
上記の水力発電装置では、第1ガイド部材の第1ガイドレールと対向している面及び第1ガイドレールの第1ガイド部材と対向している面のいずれか一方には、第1車輪が取り付けられていてもよい。
【0010】
上記の水力発電装置では、第2ガイド部材の第2ガイドレールと対向している面及び第2ガイドレールの第2ガイド部材と対向している面のいずれか一方には、第2車輪が取り付けられていてもよい。
【0011】
上記の水力発電装置は、第1梁及び第2梁に取り付けられる固定部材と、固定部材に取り付けられ、かつ内籠を第3方向に沿って移動させるクレーンとをさらに備えていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の水力発電装置によると、水路を流れる水からの力が大きくなっても当該力に起因したモーメントを支持することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】水力発電装置100の正面図である。
図2】水力発電装置100の第1斜視図である。
図3】水力発電装置100の第2斜視図である。
図4】水力発電装置100の側面図である。
図5】水力発電装置100の効果を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。以下の図面においては、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0015】
(実施形態に係る水力発電装置の構成)
以下に、実施形態に係る水力発電装置(「水力発電装置100」とする)の構成を説明する。
【0016】
図1は、水力発電装置100の正面図である。図2は、水力発電装置100の第1斜視図である。図3は、水力発電装置100の第2斜視図である。図3には、図2よりも内籠30が引き上げられた状態の水力発電装置100の斜視図が示されている。図1図2及び図3に示されるように、水力発電装置100は、第1梁10aと、第2梁10bと、第1ガイドレール20aと、第2ガイドレール20bと、内籠30と、発電機40と、翼50と、ギアボックス60と、支柱70と、固定部材80と、クレーン90(図1図3中において図示せず、図4参照)を有している。
【0017】
水力発電装置100は、水路200に設置される。水路200は、第1側壁210と、第2側壁220とを有している、第1側壁210及び第2側壁220は、第1方向DR1において互いに間隔を空けて対向している。水は、第2方向DR2に沿って水路200内を流れる。第2方向DR2は、第1方向DR1に交差する(好ましくは直交する)方向である。第1方向DR1及び第2方向DR2は、例えば水平方向に対応している。
【0018】
第1梁10aは、第1方向DR1に延在している。第1梁10aの第1方向DR1における両端は、それぞれ、第1側壁210上及び第2側壁220上に配置されている。すなわち、第1梁10aは、水路200を横切るように配置されている。
【0019】
第2梁10bは、第1方向DR1に延在している。第2梁10bの第1方向DR1における両端は、それぞれ、第1側壁210上及び第2側壁220上に配置されている。すなわち、第2梁10bは、水路200を横切るように配置されている。第2梁10bは、第2方向において、第1梁10aと離間して配置されている。第2梁10bは、第1梁10aよりも下流側にある(第1梁10aは、第2梁10bよりも上流側にある)。
【0020】
第1梁10aと第1側壁210及び第2側壁220との間には、板部材11が介在されている。第2梁10bと第1側壁210及び第2側壁220との間には、板部材11が介在されている。但し、第1梁10aの両端は板部材11を介在させずに第1側壁210及び第2側壁220に接触していてもよく、第2梁10bの両端は板部材11を介在させずに第1側壁210及び第2側壁220に接触していてもよい。
【0021】
第1ガイドレール20aの数は、例えば、複数である。但し、第1ガイドレール20aの数は、1つであってもよい。以下においては、第1ガイドレール20aの数が2つである場合を例として説明し、これら2つの第1ガイドレール20aを第1ガイドレール20aa及び第1ガイドレール20abということがある。
【0022】
第2ガイドレール20bの数は、例えば、複数である。但し、第2ガイドレール20bの数は、1つであってもよい。以下においては、第2ガイドレール20bの数が2つである場合を例として説明し、これら2つの第2ガイドレール20bを第2ガイドレール20ba及び第2ガイドレール20bbということがある。
【0023】
第1ガイドレール20aa及び第1ガイドレール20abは、第3方向DR3に延在している。第3方向DR3は、第1方向DR1及び第2方向DR2に交差する(好ましくは直交する)方向である。第3方向DR3は、例えば鉛直方向に対応している。第1ガイドレール20aa及び第1ガイドレール20abは、第1梁10aに取り付けられている。第1ガイドレール20aa及び第1ガイドレール20abは、第1方向DR1において、間隔を空けて配置されている。第1ガイドレール20aa及び第1ガイドレール20abは、第3方向DR3に直交する断面視において、例えば、L字形である。
【0024】
第2ガイドレール20ba及び第2ガイドレール20bbは、第3方向DR3に延在している。第2ガイドレール20ba及び第2ガイドレール20bbは、第2梁10bに取り付けられている。第2ガイドレール20ba及び第2ガイドレール20bbは、第1方向DR1において、間隔を空けて配置されている。第2ガイドレール20ba及び第2ガイドレール20bbは、第3方向DR3に直交する断面視において、例えば、L字形である。
【0025】
第2ガイドレール20ba及び第2ガイドレール20bbは、それぞれ、第2方向DR2において、第1ガイドレール20aa及び第1ガイドレール20abと間隔を空けて対向している。このことを別の観点から言えば、平面視において(第3方向DR3に沿って見た際に)、第1ガイドレール20aa、第1ガイドレール20ab、第2ガイドレール20ba及び第2ガイドレール20bbは、仮想的な矩形の四隅に位置している。
【0026】
内籠30は、底板31と、底枠32と、第1ガイド部材33と、第2ガイド部材34とを有している。底板31上には、発電機40が配置されている。つまり、発電機40は、底板31により支持されている。底板31は、底枠32に取り付けられることにより、底枠32により支持されている。
【0027】
第1ガイド部材33及び第2ガイド部材34は、底枠32に取り付けられている。第1ガイド部材33及び第2ガイド部材34の数は、例えば、複数である。但し、第1ガイド部材33の数は1つであってもよく、第2ガイド部材34の数は1つであってもよい。以下においては、第1ガイド部材33の数及び第2ガイド部材34の数がそれぞれ2つである場合を例として説明する。これら2つの第1ガイド部材33をそれぞれ第1ガイド部材33a及び第1ガイド部材33bということがあり、これら2つの第2ガイド部材34をそれぞれ第2ガイド部材34a及び第2ガイド部材34bということがある。
【0028】
第1ガイド部材33a、第1ガイド部材33b、第2ガイド部材34a及び第2ガイド部材34bは、第3方向DR3に延在している。第1ガイド部材33a、第1ガイド部材33b、第2ガイド部材34a及び第2ガイド部材34bは、第3方向DR3に直交する断面視において、例えば、L字形である。第1ガイド部材33a及び第1ガイド部材33bは、それぞれ、第1ガイドレール20aa及び第1ガイドレール20abに対向している。第2ガイド部材34a及び第2ガイド部材34bは、それぞれ、第2ガイドレール20ba及び第2ガイドレール20bbに対向している。
【0029】
平面視において、内籠30(底板31、底枠32、第1ガイド部材33a及び第1ガイド部材33b並びに第2ガイド部材34a及び第2ガイド部材34b)は、第1ガイドレール20aa、第1ガイドレール20ab、第2ガイドレール20ba及び第2ガイドレール20bbの内側に配置されている。これにより、内籠30は、第1ガイドレール20aa、第1ガイドレール20ab、第2ガイドレール20ba及び第2ガイドレール20bbに沿って、第3方向DR3に移動可能である。
【0030】
内籠30は、第3方向DR3に対して傾斜した際、第1ガイドレール20aの内籠30と対向している面に接触する。より具体的には、内籠30が第3方向DR3に対して傾斜した際、第1ガイド部材33a及び第1ガイド部材33bは、それぞれ、第1ガイドレール20aaの第1ガイド部材33aに対向している面及び第1ガイドレール20abの第1ガイド部材33bに対向している面に接触する。
【0031】
内籠30は、さらに、第1車輪35と、第2車輪36とを有していてもよい。以下においては、第1ガイド部材33aに取り付けられる第1車輪35を第1車輪35aとすることがあり、第1ガイド部材33bに取り付けられる第1車輪35を第1車輪35bとすることがある。また、以下においては、第2ガイド部材34aに取り付けられる第2車輪36を第2車輪36aとすることがあり、第2ガイド部材34bに取り付けられる第2車輪36を第2車輪36bとすることがある。
【0032】
第1車輪35a及び第1車輪35bは、それぞれ、第1ガイド部材33aの第1ガイドレール20aaに対向している面及び第1ガイド部材33bの第1ガイドレール20abに対向している面に取り付けられている。第2車輪36a及び第2車輪36bは、それぞれ、第2ガイド部材34aの第2ガイドレール20baに対向している面及び第2ガイド部材34bの第2ガイドレール20bbに対向している面に取り付けられている。第1車輪35a及び第1車輪35bの数並びに第2車輪36a及び第2車輪36bの数は、1つであってもよく、複数であってもよい。
【0033】
なお、第1車輪35a及び第1車輪35bは、それぞれ、第1ガイドレール20aaの第1ガイド部材33aに対向している面及び第1ガイドレール20abの第1ガイド部材33bに対向している面に取り付けられていてもよい。また、第2車輪36a及び第2車輪36bは、それぞれ、第2ガイドレール20baの第2ガイド部材34aに対向している面及び第2ガイドレール20bbの第2ガイド部材34bに対向している面に取り付けられていてもよい。
【0034】
翼50は、水路200を流れる水により回転する。翼50が回転することにより、ギアボックス60に接続されており、かつ第2方向DR2に延在している回転軸61(図示せず)を回転させる。翼50は、上流側を向いている。支柱70は、第3方向DR3に延在している筒状である。支柱70の内部は、中空になっている。支柱70の一方端は、ギアボックス60に取り付けられている。支柱70の他方端は、発電機40に取り付けられている。すなわち、支柱70は、発電機40から、第3方向DR3に沿って下方に延在している。
【0035】
支柱70の内部には、第3方向DR3に延在している回転軸71(図示せず)が収納されている。回転軸71の一方端はギアボックス60に接続されている。ギアボックス60は、回転軸61の回転を、回転方向を変えて回転軸71に伝達する。回転軸71の他方端は、発電機40に接続されている。発電機40は、回転軸71の回転により、発電動作を行う。そのため、発電機40は、翼50の回転に伴い、発電動作を行うことになる。
【0036】
固定部材80は、第1支柱81と、第2支柱82と、梁83とを有している。第1支柱81は、第1梁10aに取り付けられている。第2支柱82は、第2梁10bに取り付けられている。第1支柱81及び第2支柱82は、第3方向DR3に沿って上方に延在している。梁83は、第2方向DR2に延在している。梁83の第2方向DR2における両端は、それぞれ、第1支柱81の上端及び第2支柱82の上端に取り付けられている。
【0037】
図4は、水力発電装置100の側面図である。図4に示されるように、固定部材80には、クレーン90が取り付けられている。より具体的には、クレーン90は、梁83に取り付けられている。クレーン90は、ワイヤ91を介して、内籠30を第3方向DR3に沿って移動させる。ワイヤ91は、内籠30、発電機40、翼50、ギアボックス60、回転軸61、支柱70及び回転軸71からなる構造体の第3方向DR3における重心位置Pに取り付けられていることが好ましい。
【0038】
(実施形態に係る水力発電装置の効果)
以下に、水力発電装置100の効果を説明する。
【0039】
図5は、水力発電装置100の効果を説明するための説明図である。図5に示されるように、翼50は、水路200を流れる水から、力を受ける。この力に起因して、発電機40が取り付けられている内籠30にモーメントが加わり(図5中の実線矢印参照)、第3方向DR3に対して内籠30を傾斜させる。
【0040】
この傾斜に伴って、内籠30(第1ガイド部材33)は、第1ガイドレール20aの内籠30(第1ガイド部材33)に対向している面に接触し、第1ガイドレール20aにより支持される。水力発電装置100では、内籠30(第1ガイド部材33)に接触している第1ガイドレール20aの部分と重心位置Pとの間の距離が大きい。その結果、上記のモーメントに対して内籠30を支持するために第1ガイドレール20aから加わる力は、小さくなる。そのため、水力発電装置100によると、水路200を流れる水からの力が大きくなっても、当該力に起因したモーメントを支持することが可能である。
【0041】
水路200を流れる水の流量が増大した際には、クレーン90で内籠30を第3方向DR3に沿って上方に吊り上げることにより、翼50を水路200の外に退避させる。この際にも、翼50には水路200を流れる水からの力が加わるが、当該力に起因するモーメントは第1ガイドレール20aにより支持されるため、翼50が下流側に流されることなく、翼50の退避が可能になる。
【0042】
水力発電装置100では、クレーン90により内籠30の第3方向DR3における位置が調整可能であるため、水路200が深い又は浅い場合であっても、支柱70及び回転軸71の長さを変更する必要が無くなる。そのため、水力発電装置100によると、設計変更コストを低減することができる。
【0043】
水力発電装置100は、第1車輪35を有しているため、内籠30が第3方向DR3に対して傾斜して第1ガイドレール20aに接触しても、内籠30を第3方向DR3に沿って滑らかに移動させることができる。また、水力発電装置100は、第2車輪36を有しているため、第3方向DR3に対して傾斜した内籠30が第1ガイドレール20aと第2ガイドレール20bとの間に挟まり、第3方向DR3に沿って移動できなくなることが抑制されている。
【0044】
以上のように本発明の実施形態について説明を行ったが、上記の実施形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は、上記の実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むことが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0045】
上記の実施形態は、水力発電装置に特に有利に適用される。
【符号の説明】
【0046】
10a 第1梁、10b 第2梁、11 板部材、20a,20aa,20ab 第1ガイドレール、20b,20ba,20bb 第2ガイドレール、30 内籠、31 底板、32 底枠、33,33a,33b 第1ガイド部材、34,34a,34b 第2ガイド部材、35,35a,35b 第1車輪、36,36a,36b 第2車輪、40 発電機、50 翼、60 ギアボックス、61,71 回転軸、70 支柱、80 固定部材、81 第1支柱、82 第2支柱、83 梁、90 クレーン、91 ワイヤ、100 水力発電装置、200 水路、210 第1側壁、220 第2側壁、DR1 第1方向、DR2 第2方向、DR3 第3方向、P 重心位置。
図1
図2
図3
図4
図5