IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社 資生堂の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】乳化型化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/85 20060101AFI20240719BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 8/40 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20240719BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
A61K8/85
A61K8/37
A61K8/40
A61K8/49
A61K8/41
A61K8/06
A61Q17/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020559948
(86)(22)【出願日】2019-12-04
(86)【国際出願番号】 JP2019047321
(87)【国際公開番号】W WO2020116487
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2022-10-04
(31)【優先権主張番号】P 2018229791
(32)【優先日】2018-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100092901
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 祐司
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 つかさ
(72)【発明者】
【氏名】山口 和弘
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 百合香
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/213903(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0116923(US,A1)
【文献】国際公開第2016/006119(WO,A1)
【文献】Luckiness Cosmetics, China,Light Isolation Sunscreen Lotion SPF 50+ PA+++,Mintel GNPD [online],2018年01月,Internet <URL:https://portal.mintel.com>,ID#5344071, [検索日:2020.01.16], 表題部分,成分
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/KOSMET(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3質量%~50質量%の油溶性紫外線吸収剤と、
紫外線散乱剤と、
油性成分と、
水性溶媒と、
界面活性剤と、
0.2質量%~20質量%のポリマー粉末と、を含み、
前記ポリマー粉末はポリブチレンサクシネート粉末を含むみ、
前記ポリブチレンサクシネート粉末は組成物中5~15質量%である、
油中水型化粧料組成物
【請求項2】
前記油溶性紫外線吸収剤は、ホモサレート、サリチル酸エチルヘキシル、オクトクリレン、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、及びジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
3質量%~50質量%の油溶性紫外線吸収剤と、
紫外線散乱剤と、
油性成分と、
水性溶媒と、
界面活性剤と、
0.2質量%~20質量%のポリマー粉末と、を含み、
前記ポリマー粉末はポリ乳酸粉末を含み、
前記ポリ乳酸粉末は組成物中0.5~10質量%であり、
前記油溶性紫外線吸収剤は、ホモサレート、サリチル酸エチルヘキシル、オクトクリレン、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、及びジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルのうちの少なくとも1つを含む、油中水型化粧料組成物。
【請求項4】
前記ポリマー粉末が、0.5μm~20μmの平均粒径を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記ポリマー粉末が、45mL/100g以上のスクワラン吸油量を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本発明は、日本国特許出願:特願2018-229791号(2018年12月7日出願)の優先権主張に基づくものであり、同出願の全記載内容は引用をもって本書に組み込み記載されているものとする。
【技術分野】
【0002】
本開示は、乳化型化粧料組成物に関する。例えば、本開示は、紫外線吸収剤を含有する乳化型化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
特許文献1及び2には、紫外線吸収剤を配合した水中油型日焼け止め化粧料が開示されている。
【0004】
特許文献1には、(a)油溶性紫外線吸収剤、(b)水溶性増粘剤、(c)水溶性紫外線吸収剤、および(d)脂肪酸PEGグリセリル系界面活性剤、水添ヒマシ油系界面活性剤、PEG・PPGアルキルエーテル系界面活性剤の中から選ばれる1種または2種以上の親水性非イオン性界面活性剤を含有する、水中油型乳化日焼け止め化粧料が開示されている。
【0005】
特許文献2においては、水中油型の日焼け止め化粧料において紫外線吸収剤の効果を高めることが試みられている。特許文献2には、水溶性紫外線吸収剤であるフェニルベンズイミダゾールスルホン酸と、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸の中和剤であるN,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンと、を組み合わせることによってサンプロテクションファクター(SPF)を高めた水中油型の日焼け止め化粧料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2008-162930号公報
【文献】特開2011-111444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以下の分析は、本開示の観点から与えられる。
【0008】
油溶性紫外線吸収剤を配合した化粧料においては、乳化形態が多用されている。しかしながら、特許文献1に記載のような油溶性紫外線吸収剤を配合した乳化型化粧料においては、油溶性紫外線吸収剤が紫外線防御効果を十分に発揮できていない場合がある。
【0009】
特許文献2に記載の紫外線防御効果を高める方法は、特定の水溶性紫外線吸収剤に対して有用な手段であって、汎用性のある方法ではない。また、特許文献2に記載の方法は油溶性の紫外線吸収剤に適用できるものではない。
【0010】
そこで、油溶性紫外線吸収剤の効用をより効率的に発揮させることができる乳化型化粧料組成物が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の第1視点によれば、3質量%~50質量%の油溶性紫外線吸収剤と、ポリマー粉末を含有する、0.2質量%~20質量%の粉末と、を含む乳化型化粧料組成物が提供される。ポリマー粉末を構成するモノマーの平均IOB値が1以上10以下である。
【発明の効果】
【0012】
本開示の乳化型化粧料組成物によれば、油溶性紫外線吸収剤の紫外線防御効果を十分に発揮させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上記各視点の好ましい形態を以下に記載する。
【0014】
上記第1視点の好ましい形態によれば、ポリマー粉末が、0.5μm~20μmの平均粒径を有する。
【0015】
上記第1視点の好ましい形態によれば、ポリマー粉末が、45mL/100g以上のスクワラン吸油量を有する。
【0016】
上記第1視点の好ましい形態によれば、ポリマー粉末は、ポリブチレンサクシネート粉末及びポリ乳酸粉末のうちの少なくとも1つを含む。
【0017】
上記第1視点の好ましい形態によれば、油溶性紫外線吸収剤は、ホモサレート、サリチル酸エチルヘキシル、オクトクリレン、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、及びジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルのうちの少なくとも1つを含む。
【0018】
以下の説明において、POEはポリオキシエチレン、POPはポリオキシプロピレンの略記で、POE又はPOPの後ろのカッコ内の数字は当該化合物中におけるPOE基又はPOP基の平均付加モル数を表す。
【0019】
本開示において「実質量」とは、その化合物の添加による作用効果が生じ得る量をいう。
【0020】
本開示の第1実施形態に係る乳化型化粧料組成物について説明する。本開示の乳化型化粧料組成物は、水中油型組成物であってもよいし、油中水型組成物であってもよい。
【0021】
第1実施形態に係る乳化型化粧料組成物は、(A)油溶性紫外線吸収剤、及び(B)粉末を含有する。(B)成分は、(A)成分の紫外線防御効果を高めることができる。
【0022】
[(A)油溶性紫外線吸収剤]
油溶性紫外線吸収剤としては、例えば、安息香酸系紫外線吸収剤(例えば、パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N-ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N-ジエトキシPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAブチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル等);アントラニル酸系紫外線吸収剤(例えば、ホモメンチル-N-アセチルアントラニレート等);サリチル酸系紫外線吸収剤(例えば、サリチル酸エチルヘキシル、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p-イソプロパノールフェニルサリシレート、ホモサレート等);桂皮酸系紫外線吸収剤(例えば、オクチルメトキシシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、メチル-2,5-ジイソプロピルシンナメート、エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、メチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、プロピル-p-メトキシシンナメート、イソプロピル-p-メトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、オクチル-p-メトキシシンナメート(2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル)、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート、シクロヘキシル-p-メトキシシンナメート、エチル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、2-エチルヘキシル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメート等);3-(4’-メチルベンジリデン)-d,l-カンファー、3-ベンジリデン-d,l-カンファー;2-フェニル-5-メチルベンゾキサゾール;2,2’-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール;2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル) ベンゾトリアゾール;2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニルベンゾトリアゾール;ジベンザラジン;ジアニソイルメタン;4-メトキシ-4’-t-ブチルジベンゾイルメタン;5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン、ジモルホリノピリダジノン;2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート(オクトクレリン);2,4-ビス-{[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-(1,3,5)-トリアジン、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-メチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-フェニルベンゾフェノン、2-エチルヘキシル-4’-フェニル-ベンゾフェノン-2-カルボキシレート、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシ-3-カルボキシベンゾフェノン等)等が挙げられる。
【0023】
上記紫外線吸収剤のうち、紫外線防御効果の観点から、例えば、ホモサレート、サリチル酸エチルヘキシル、オクトクリレン、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、及びジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルのうちの少なくとも1つを選択することができる。
【0024】
乳化型化粧料組成物中の油溶性紫外線吸収剤の含有率は、目的に応じて適宜設定することができる。油溶性紫外線吸収剤の含有率は、例えば、組成物の質量に対して、1質量%以上、2質量%以上、3質量%以上、又は5質量%以上とすることができる。油溶性紫外線吸収剤の含有率は、例えば、組成物の質量に対して、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、12質量%以下、10質量%以下、又は8質量%以下とすることができる。
【0025】
[(B)紫外線防御効果を高める粉末]
(B)成分は、ポリマー粉末とすることができる。ポリマー粉末は、例えば、有機ポリマー粉末とすることができる。ポリマーの平均IOB値は、1以上、1.5以上、1.8以上、又は2以上とすることができる。ポリマーの平均IOB値は、10以下、8以下、7以下、6以下、5以下、又は4以下とすることができる。平均IOB値がこの範囲にあると、油溶性紫外線吸収剤の紫外線防御効果を高めることができる。
【0026】
(B)成分は、使用性の観点から有機ポリマーであると好ましい。有機ポリマー粉末としては、例えば、ポリブチレンサクシネート粉末及びポリ乳酸粉末のうちの少なくとも1つを使用することができる。ポリブチレンサクシネート及びポリ乳酸は、一般的に生分解性樹脂として知られている。
【0027】
ここにいうIOB値とは、有機概念図における有機性値(OV;Organic Value)に対する無機性値(IV;Inorganic Value)の比(無機性値(IV)/有機性値(OV))のことをいう。IOB値については、特開2010-100553の記載を援用することによって本書に繰り込み記載されていることとする。
【0028】
ポリマーの平均IOB値は、ポリマーを構成するモノマーのIOB値の平均値とする。例えば、ポリブチレンサクシネートの平均IOB値は、コハク酸のIOB値と1,4-ヘキサンジオールのIOB値の平均値である。例えば、ポリ乳酸の平均IOB値は、乳酸のIOB値である。
【0029】
(B)成分のスクワラン吸油量は、例えば、45mL/100g以上、48mL/100g以上、50mL/100g以上、又は55mL/100g以上とすることができる。スクワラン吸油量が45mL/100g以上であると、油溶性紫外線吸収剤の紫外線防御効果をより高めることができる。(B)成分のスクワラン吸油量は、例えば、85mL/100g以下、80mL/100g以下、75mL/100g以下、70mL/100g以下、65mL/100g以下、又は60mL/100g以下とすることができる。
【0030】
(B)成分のスクワラン吸油量は、JISK5101-13-1に準拠して測定することができる。
【0031】
(B)成分の平均粒子径D50は、例えば、0.5μm以上、1μm以上、2μm以上、3μm以上、又は4μm以上とすることができる。特に、平均粒子径を2μm以上とすると、きしみを抑制して化粧料組成物の使用感触を高めることができる。(B)成分の平均粒子径D50は、例えば、20μm以下、15μm以下、又は10μm以下とすることができる。平均粒子径が20μm以下であると、油溶性紫外線吸収剤の紫外線防御効果をより高めることができる。
【0032】
(B)成分における粒子の形状は、例えば、球状とすることができる。
【0033】
(B)成分の含有率は、組成物の質量に対して、0.2質量%以上であると好ましく、0.5質量%以上であるとより好ましく、0.8質量%以上であるとさらに好ましい。
【0034】
(B)成分の含有率は、例えば、組成物の質量に対して、1質量%以上、2質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、又は10質量%以上とすることができる。(B)成分の含有率は、例えば、組成物の質量に対して、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、又は5質量%以下とすることができる。
【0035】
[(B’)その他粉末]
第1実施形態に係る乳化型化粧料組成物は、(B)成分以外の(B’)その他粉末を含有することができる。
【0036】
(B’)成分は、紫外線散乱剤を含有することができる。紫外線散乱剤の含有率は、組成物の質量に対して、例えば、2質量%以上、5質量%以上、又は10質量%以上とすることができる。紫外線散乱剤の含有率は、例えば、組成物の質量に対して、20質量%以下、15質量%以下、又は10質量%以下とすることができる。紫外線散乱剤の含有率は、用途によって適宜設定することができる。
【0037】
本明細書において使用する用語「粉体」は「粉末」と同義である。(B’)成分は、化粧料用途等、一般に用い得るものであれば特に限定されるものではない。(B’)成分としては、例えば、無機粉末(例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、焼成雲母、焼成タルク、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、ガラス、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、フッ素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、窒化ホウ素等);有機粉末(例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四フッ化エチレン粉末、セルロース粉末、シリコーン樹脂粉末、シルクパウダー、ウールパウダー、ウレタンパウダー等);無機白色顔料(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛等);無機赤色系顔料(例えば、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等);無機褐色系顔料(γ-酸化鉄等)、無機黄色系顔料(黄酸化鉄、黄土等)、無機黒色系顔料(黒酸化鉄、カーボンブラック、低次酸化チタン等)、無機紫色系顔料(例えば、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等);無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等);無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等);パール顔料(例えば、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等);金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等);ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料(例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号などの有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号等);天然色素(例えば、クロロフィル、β-カロチン等);ワックス粉末(例えば、カルナバワックス粉末等);デンプン粉末(例えば、トウモロコシデンプン粉末、コメデンプン粉末等)等を使用することができる。
【0038】
第1実施形態に係る乳化型化粧料組成物において、シリコーン粉末の含有率は、組成物の質量に対して、2質量%以下、1質量%以下、又は0.5質量%以下とすることができる。乳化型化粧料組成物は、シリコーン粉末を実質的に含有しないことができる。乳化型化粧料組成物がシリコーン粉末を実質的に含まないと、よりさらさらした使用感を得ることができる。
【0039】
(B’)成分の含有率は、例えば、組成物の質量に対して、1質量%以上、2質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、又は10質量%以上とすることができる。(B’)成分の含有率は、例えば、組成物の質量に対して、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、又は5質量%以下とすることができる。
【0040】
[(C)油性成分]
本開示の乳化型化粧料組成物は、油性成分をさらに含むことができる。油性成分の少なくとも一部は油溶性紫外線吸収剤を溶解可能なものであると好ましい。油性成分は、全体として液状であればよく、固体成分を含有してもよい。油性成分としては、例えば、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、合成エステル油、シリコーン油等を使用することができる。
【0041】
液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。
【0042】
固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0043】
ロウ類としては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。
【0044】
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
【0045】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
【0046】
高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等);分枝鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等を使用することができる。
【0047】
合成エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
【0048】
シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ステアロキシメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、フルオロアルキル・ポリオキシアルキレン共変性オルガノポリシロキサン、アルキル変性オルガノポリシロキサン、末端変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン、アミノ変性オルガノポリシロキサン、シリコーンゲル、アクリルシリコーン、トリメチルシロキシケイ酸、シリコーンRTVゴム、シクロペンタシロキサン等のシリコーン化合物等が挙げられる。
【0049】
油性成分は揮発性油性成分を含有すると好ましい。揮発性油性成分は、油溶性紫外線吸収剤を溶解可能であるものであってもよいし、油溶性紫外線吸収剤の溶解が困難なものであってもよい。揮発性油性成分としては、炭化水素、シリコーン油等を挙げることができる。揮発性油性成分としては、例えば、直鎖状シリコーン油(例えば、揮発性ジメチコン)、揮発性の環状シリコーン油(例えば、揮発性シクロメチコン)、イソドデカン、イソヘキサデカン等を挙げることができる。
【0050】
油性成分(油溶性紫外線吸収剤含む)における揮発性油性成分が占める割合は、例えば、油性成分の質量に対して、5質量%以上、10質量%以上、20質量%以上、又は30質量%以上とすることができる。油性成分(油溶性紫外線吸収剤含む)における揮発性油性成分が占める割合は、例えば、油性成分の質量に対して、60質量%以下、50質量%以下、又は40質量%以下とすることができる。
【0051】
揮発性油性成分の含有率は、例えば、組成物の質量に対して、1質量%以上、2質量%以上、3質量%以上、又は5質量%以上とすることができる。揮発性油性成分の含有率は、例えば、組成物の質量に対して、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、又は10質量%以下とすることができる。揮発性油性成分の含有率は、用途によって適宜設定することができる。
【0052】
油性成分(油溶性紫外線吸収剤含む)の含有率は、例えば、組成物の質量に対して、15質量%以上、20質量%以上、又は30質量%以上とすることができる。油性成分(油溶性紫外線吸収剤含む)の含有率は、例えば、組成物の質量に対して、60質量%以下、50質量%以下、又は40質量%以下とすることができる。油性成分の含有率は、用途によって適宜設定することができる。
【0053】
[(D)水性溶媒]
本開示の乳化型化粧料組成物は、水性溶媒をさらに含むことができる。水性溶媒は水を含有すると好ましい。水としては、化粧料、医薬部外品等に使用される水を使用することができ、例えば、精製水、イオン交換水、水道水等を使用することができる。
【0054】
水性溶媒は、水溶性アルコールをさらに含有することができる。水溶性アルコールとしては、例えば、低級アルコール、多価アルコール、多価アルコール重合体、2価のアルコールアルキルエーテル類、2価アルコールアルキルエーテル類、2価アルコールエーテルエステル、グリセリンモノアルキルエーテル、糖アルコール、単糖、オリゴ糖、多糖およびそれらの誘導体等から選ばれる少なくとも1つを挙げることができる。
【0055】
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコール等が挙げられる。
【0056】
多価アルコールとしては、例えば、2価のアルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等);3価のアルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等);4価アルコール(例えば、1,2,6-ヘキサントリオール等のペンタエリスリトール等);5価アルコール(例えば、キシリトール等);6価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール等);多価アルコール重合体(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等);2価のアルコールアルキルエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2-メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等);2価アルコールアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル等);2価アルコールエーテルエステル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアジベート、エチレングリコールジサクシネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等);グリセリンモノアルキルエーテル(例えば、キミルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等);糖アルコール(例えば、ソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、ショ糖、エリトリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解糖、マルトース、キシリトール、デンプン分解糖還元アルコール等);グリコリド;テトラハイドロフルフリルアルコール;POE-テトラハイドロフルフリルアルコール;POP-ブチルエーテル;POP・POE-ブチルエーテル;トリポリオキシプロピレングリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテルリン酸;POP・POE-ペンタンエリスリトールエーテル、ポリグリセリン等が挙げられる。
【0057】
単糖としては、例えば、三炭糖(例えば、D-グリセリルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン等)、四炭糖(例えば、D-エリトロ-ス、D-エリトルロ-ス、Dートレオ-ス、エリスリトール等)、五炭糖(例えば、L-アラビノ-ス、D-キシロ-ス、L-リキソ-ス、D-アラビノ-ス、D-リボ-ス、D-リブロ-ス、D-キシルロ-ス、L-キシルロ-ス等)、六炭糖(例えば、D-グルコ-ス、D-タロ-ス、D-プシコ-ス、D-ガラクト-ス、D-フルクト-ス、L-ガラクト-ス、L-マンノ-ス、D-タガト-ス等)、七炭糖(例えば、アルドヘプト-ス、ヘプツロース等)、八炭糖(例えば、オクツロース等)、デオキシ糖(例えば、2-デオキシ-D-リボ-ス、6-デオキシ-L-ガラクト-ス、6-デオキシ-L-マンノ-ス等)、アミノ糖(例えば、D-グルコサミン、D-ガラクトサミン、シアル酸、アミノウロン酸、ムラミン酸等)、ウロン酸(例えば、D-グルクロン酸、D-マンヌロン酸、L-グルロン酸、D-ガラクツロン酸、L-イズロン酸等)等から選ばれる少なくとも1つを挙げることができる。
【0058】
オリゴ糖としては、例えば、ショ糖、グンチアノース、ウンベリフェロース、ラクトース、プランテオース、イソリクノース類、α,α-トレハロース、ラフィノース、リクノース類、ウンビリシン、スタキオース、ベルバスコース類等から選ばれる少なくとも1つを挙げることができる。
【0059】
多糖としては、例えば、セルロース、クインスシード、コンドロイチン硫酸、デンプン、ガラクタン、デルマタン硫酸、グリコーゲン、アラビアガム、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、キサンタンガム、ムコイチン硫酸、グアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロニン酸等から選ばれる少なくとも1つを挙げることができる。
【0060】
その他のポリオールとしては、例えば、ポリオキシエチレンメチルグルコシド(グルカムE-10)、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド(グルカムP-10)等から選ばれる少なくとも1つを挙げることができる。
【0061】
水性溶媒の含有率は、例えば、組成物の質量に対して、10質量%以上、20質量%以上、又は30質量%以上とすることができる。水性溶媒の含有率は、組成物の質量に対して、例えば、60質量%以下、50質量%以下、又は40質量%以下とすることができる。水性溶媒の含有率は、用途によって適宜設定することができる。
【0062】
油性成分と水性成分の比率は適宜設定することができる。
【0063】
[(E)界面活性剤]
本開示の乳化型化粧料組成物は、界面活性剤をさらに含有することができる。界面活性剤の例としては、以下の界面活性剤を挙げることができる。
【0064】
[アニオン性界面活性剤]
アニオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン(例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等);高級アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等);アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POE-ラウリル硫酸トリエタノールアミン、POE-ラウリル硫酸ナトリウム等);N-アシルサルコシン酸(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム等);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N‐ステアロイル‐N‐メチルタウリンナトリウム、N-ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ラウリルメチルタウリッドナトリウム等);リン酸エステル塩(POE-オレイルエーテルリン酸ナトリウム、POE-ステアリルエーテルリン酸等);スルホコハク酸塩(例えば、ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等);アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等);高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等);N-アシルグルタミン酸塩(例えば、N-ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸モノナトリウム等);硫酸化油(例えば、ロート油等);POE-アルキルエーテルカルボン酸;POE-アルキルアリルエーテルカルボン酸塩;α-オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N-パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;カゼインナトリウム等を使用することができる。
【0065】
[カチオン性界面活性剤]
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等);アルキルピリジニウム塩(例えば、塩化セチルピリジニウム等);ジアルキルジメチルアンモニウム塩(例えば、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム);塩化ポリ(N,N’-ジメチル-3,5-メチレンピペリジニウム);アルキル四級アンモニウム塩;アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;POE-アルキルアミン;アルキルアミン塩;ポリアミン脂肪酸誘導体;アミルアルコール脂肪酸誘導体;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
【0066】
[両性界面活性剤]
両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリン系両性界面活性剤(例えば、2-ウンデシル-N,N,N-(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)-2-イミダゾリンナトリウム、2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等);ベタイン系界面活性剤(例えば、2-ヘプタデシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)等が挙げられる。
【0067】
[親水性非イオン性界面活性剤]
親水性非イオン界面活性剤としては、例えば、POE-ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンモノステアレート、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンテトラオレエート等);POE-ソルビット脂肪酸エステル(例えば、POE-ソルビットモノラウレート、POE-ソルビットモノオレエート、POE-ソルビットペンタオレエート、POE-ソルビットモノステアレート等);POE-グリセリン脂肪酸エステル(例えば、POE-グリセリンモノステアレート、POE-グリセリンモノイソステアレート、POE-グリセリントリイソステアレート等のPOE-モノオレエート等);POE-脂肪酸エステル(例えば、POE-ジステアレート、POE-モノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POE-アルキルエーテル(例えば、POE-ラウリルエーテル、POE-オレイルエーテル、POE-ステアリルエーテル、POE-ベヘニルエーテル、POE-2-オクチルドデシルエーテル、POE-コレスタノールエーテル等);プルロニック型(例えば、プルロニック等);POE・POP-アルキルエーテル(例えば、POE・POP-セチルエーテル、POE・POP-2-デシルテトラデシルエーテル、POE・POP-モノブチルエーテル、POE・POP-水添ラノリン、POE・POP-グリセリンエーテル等);テトラPOE・テトラPOP-エチレンジアミン縮合物(例えば、テトロニック等);POE-ヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POE-ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE-硬化ヒマシ油マレイン酸等);POE-ミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POE-ソルビットミツロウ等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等);POE-プロピレングリコール脂肪酸エステル;POE-アルキルアミン;POE-脂肪酸アミド;ショ糖脂肪酸エステル;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;トリオレイルリン酸等が挙げられる。
【0068】
[親油性非イオン性界面活性剤]
親油性非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリンポリグリセリン脂肪酸(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α'-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等);プロピレングリコール脂肪酸エステル(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);硬化ヒマシ油誘導体;グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。
【0069】
界面活性剤の含有率は、組成物の質量に対して、0.1質量%以上であると好ましく、0.5質量%以上であるとより好ましい。界面活性剤が0.1質量%未満であると、乳化組成物を得ることができない。界面活性剤の含有率は、組成物の質量に対して、10質量%以下であると好ましい。界面活性剤の含有率が10質量%を超えると、皮膚への刺激が強くなりすぎてしまう。
【0070】
[(F)その他]
本開示の乳化型化粧料組成物は、本開示の効果を阻害しない範囲において、他の成分、例えば、水溶性ポリマー、増粘剤、保湿剤、皮膜剤、水溶性紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料等を必要に応じて適宜含有することができる。
【0071】
天然の水溶性ポリマーとしては、例えば、植物系高分子(例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸);微生物系高分子(例えば、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等);動物系高分子(例えば、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等)等が挙げられる。
【0072】
半合成の水溶性ポリマーとしては、例えば、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等);セルロース系高分子(メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末等);アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等)等が挙げられる。
【0073】
合成の水溶性ポリマーとしては、例えば、ビニル系高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等);ポリオキシエチレン系高分子(例えば、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,000のポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体等);アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等);ポリエチレンイミン;カチオンポリマー等が挙げられる。
【0074】
増粘剤としては、例えば、アラビアガム、カラギーナン、カラヤガム、トラガカントガム、キャロブガム、クインスシード(マルメロ)、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、ペクチン酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルメチルエーテル(PVM)、PVP(ポリビニルピロリドン)、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ローカストビーンガム、グアガム、タマリントガム、ジアルキルジメチルアンモニウム硫酸セルロース、キサンタンガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ベントナイト、ヘクトライト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(ビーガム)、ラポナイト、無水ケイ酸、タウレート系合成高分子、アクリレート系合成高分子等が挙げられる。
【0075】
保湿剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル-12-ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl-ピロリドンカルボン酸塩、アルキレンオキシド誘導体、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。
【0076】
皮膜剤としては、例えば、アニオン性皮膜剤(例えば、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸高重合体等)、カチオン性皮膜剤(例えば、カチオン化セルロース、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合体、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド/アクリルアミド共重合体等)、ノニオン性皮膜剤(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリルアミド、高分子シリコーン、シリコーンレジン、トリメチルシロキシケイ酸等)が挙げられる。
【0077】
水溶性紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(例えば、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩等)、ベンジリデンショウノウ系紫外線吸収剤(ベンジリデンショウノウスルホン酸、テレフタリリデンジショウノウスルホン酸等)、フェニルベンゾイミダゾール系紫外線吸収剤(フェニルベンズイミダゾールスルホン酸等)等が挙げられる。
【0078】
金属イオン封鎖剤としては、例えば、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸3ナトリウム等が挙げられる。
【0079】
アミノ酸としては、例えば、中性アミノ酸(例えば、スレオニン、システイン等);塩基性アミノ酸(例えば、ヒドロキシリジン等)等が挙げられる。また、アミノ酸誘導体として、例えば、アシルサルコシンナトリウム(ラウロイルサルコシンナトリウム)、アシルグルタミン酸塩、アシルβ-アラニンナトリウム、グルタチオン、ピロリドンカルボン酸等が挙げられる。
【0080】
有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等が挙げられる。
【0081】
高分子エマルジョンとしては、例えば、アクリル樹脂エマルジョン、ポリアクリル酸エチルエマルジョン、アクリルレジン液、ポリアクリルアルキルエステルエマルジョン、ポリ酢酸ビニル樹脂エマルジョン、天然ゴムラテックス等が挙げられる。
【0082】
pH調整剤としては、例えば、乳酸-乳酸ナトリウム、クエン酸-クエン酸ナトリウム、コハク酸-コハク酸ナトリウム等の緩衝剤等が挙げられる。
【0083】
ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、B1、B2、B6、C、E及びその誘導体、パントテン酸及びその誘導体、ビオチン等が挙げられる。
【0084】
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類等が挙げられる。
【0085】
酸化防止助剤としては、例えば、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、ケファリン、ヘキサメタフォスフェイト、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。
【0086】
その他の配合可能成分としては、例えば、防腐剤(エチルパラベン、ブチルパラベン、クロルフェネシン、フェノキシエタノール等);消炎剤(例えば、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等);美白剤(例えば、胎盤抽出物、ユキノシタ抽出物、アルブチン等);各種抽出物(例えば、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、セージ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキョウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、海藻等)、賦活剤(例えば、ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等);血行促進剤(例えば、ノニル酸ワニリルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β-ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、タンニン酸、α-ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ-オリザノール等);抗脂漏剤(例えば、硫黄、チアントール等);抗炎症剤(例えば、トラネキサム酸、チオタウリン、ヒポタウリン等)等が挙げられる。
【0087】
さらに、本開示の組成物は、カフェイン、タンニン、ベラパミル、トラネキサム酸及びその誘導体、甘草、カリン、イチヤクソウ等の各種生薬抽出物、酢酸トコフェロール、グリチルレジン酸、グリチルリチン酸及びその誘導体又はその塩等の薬剤、ビタミンC、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、コウジ酸等の美白剤、アルギニン、リジン等のアミノ酸及びその誘導体、も適宜含有することができる。
【0088】
本開示の乳化型化粧料組成物によれば、配合された油溶性紫外線吸収剤をより効率的に作用させることができる。これにより、紫外線防御効果を高めることができる。
【0089】
本開示の乳化型化粧料組成物によれば、水相を含有する日焼け止め化粧料を作製することができる。水相の存在によって、使用者にみずみずしい使用感を与えることができる。
【0090】
[製造方法]
本開示の乳化型化粧料組成物の製造方法について説明する。本開示の乳化型化粧料組成物は特定の方法にされることなく、一般に公知の方法によって作製することができる。例えば、上記各成分を混合することによって乳化型化粧料組成物を作製することができる。
【0091】
本開示の乳化型化粧料組成物において、相構造等が、組成によって直接特定することが困難であるか、又はおよそ実際的ではない場合がある。このような場合には、本開示の乳化型化粧料組成物は、その製造方法によって特定することが許されるべきものである。
【0092】
[使用方法]
本開示の乳化型化粧料組成物の使用方法及び紫外線防御効果を高める方法について説明する。まず、油溶性紫外線吸収剤と、ポリマー粉末と、を含む乳化型化粧料組成物を準備する。次に、乳化型化粧料組成物を肌に塗布する。油溶性紫外線吸収剤、ポリマー粉末、及び乳化型化粧料組成物については上記記載を援用する。
【実施例
【0093】
本開示の乳化型化粧料組成物について、以下に例を挙げて説明する。しかしながら、本開示の乳化型化粧料組成物は以下の例に限定されるものではない。また、以下の実施例では、各試験例の乳化型化粧料組成物を日焼け止め化粧料に適用した例について説明するが、本開示の組成物は日焼け止め化粧料に限定されるものでもない。各表に示す各成分の含有率の単位は質量%である。
【0094】
各試験例における組成物に配合した成分(B)粉末の平均IOB値、及びスクワラン吸油量を表1に示す。平均IOB値は、重合前のモノマーのIOB値の平均値とした。スクワラン吸油量は、JISK5101-13-1に準拠して測定した。表1に示す粉末における粒子形状はいずれも球状であった。
【0095】
【表1】
【0096】
室温25℃において疑似皮膚としてのポリメタクリル酸メチル(PMMA)プレート(SPFMASTER-PA01)に2mg/cmの量で各組成物を60秒間指で塗布し、15分間乾燥させて日焼け止め化粧料の塗膜を形成した。各塗膜について280nm~400nmの吸光度を吸光光度計(日立製作所社製U-3500)を用いてを測定し、吸光度積算値を算出した。同じ油溶性紫外線吸収剤を配合した組成物において、成分(B)としてポリブチレンサクシネート粉末及びポリ乳酸粉末を添加していない組成物を対照例として、ポリブチレンサクシネート粉末又はポリ乳酸粉末を配合した試験例に係る組成物の吸光度積算値の増加率を以下の式から計算した。吸光度積算値の増加率は、紫外線吸収剤に基づく紫外線防御効果の指標となり得る。
【0097】
吸光度積算値の増加率(%)=(成分(B)含有組成物の吸光度積算値)/(成分(B)を含有していない組成物の吸光度積算値)×100
【0098】
[試験例1~6]
表2及び表3に示す組成を有する油中水型化粧料組成物を作製した。各試験例に係る油中水型化粧料組成物は日焼け止め化粧料である。吸光度積算値及びその増加率を表2及び表3に示す。試験例1~3、5及び6における吸光度積算値の増加率は、試験例4の吸光度積算値に対する増加率である。
【0099】
試験例5及び6においては、成分(A)油溶性紫外線吸収剤を添加しなかった。成分(B)を添加した試験例5と、成分(B)を添加しなかった試験例6とを比較すると、吸光度積算値に有意な差は認められなかった。これより、成分(A)が不存在の組成物に成分(B)を添加しても、油溶性紫外線吸収剤の紫外線防御効果を高めることはできないと考えられる。
【0100】
一方、試験例1~4においては、成分(A)を添加した。成分(B)を添加した試験例1~3と、成分(B)を添加しなかった試験例4とを比較すると、成分(B)の添加によって吸光度積算値の増加が認められた。すなわち、成分(A)と成分(B)とを組み合わせると吸光度積算値の増加が認められた。これより、成分(B)は、成分(A)に対して作用し、油溶性紫外線吸収剤の紫外線防御効果を高めることができると考えられる。
【0101】
試験例1においては、成分(B)としてポリブチレンサクシネート粉末を使用した。試験例2及び3においては、ポリ乳酸粉末を使用した。ポリブチレンサクシネート粉末及びポリ乳酸粉末いずれにおいても吸光度積算値の増加が認められた。すなわち、ポリブチレンサクシネート粉末及びポリ乳酸粉末は、乳化型組成物における油溶性紫外線吸収剤の紫外線防御効果を高める作用を有することが分かった。
【0102】
試験例1~3より、成分(B)の平均IOB値は1以上であると紫外線防御効果を高めることができると考えられる。成分(B)の平均IOB値は、10以下とすることができると考えられる。
【0103】
試験例1~3より、成分(B)のスクワラン吸油量は、45mL/100g以上とすることができると考えられる。成分(B)の平均粒子径は、85mL/100g以下とすることができると考えられる。
【0104】
【表2】
【0105】
【表3】
【0106】
[試験例7~14]
試験例1~6と同様にして、表4及び表5に示す組成を有する油中水型化粧料組成物を作製した。各試験例に係る油中水型化粧料組成物は日焼け止め化粧料である。吸光度積算値及びその増加率を表4及び表5に示す。試験例7~9における吸光度積算値の増加率は、試験例10の吸光度積算値に対する増加率である。試験例11~13における吸光度積算値の増加率は、試験例14の吸光度積算値に対する増加率である。
【0107】
試験例7~10と、試験例11~14とにおいては、鉱物系粉末、アクリル樹脂系粉末、及びシリコーン系粉末の含有の有無が異なっている。しかしながら、試験例7~10においても、試験例11~14においても、成分(B)を添加することによる吸光度積算値の増加が認められた。鉱物系粉末、アクリル樹脂系粉末、及びシリコーン系粉末は、ポリブチレンサクシネート粉末及び/又はポリ乳酸粉末による紫外線防御効果の改善に影響を及ぼさないと考えられる。
【0108】
【表4】
【0109】
【表5】
【0110】
[試験例15~23]
試験例1~6と同様にして、表7及び表8に示す組成を有する油中水型化粧料組成物を作製した。各試験例に係る油中水型化粧料組成物は日焼け止め化粧料である。吸光度積算値及びその増加率を表7及び表8に示す。試験例16~23における吸光度積算値の増加率は、試験例15の吸光度積算値に対する増加率である。
【0111】
試験例16~18における組成物に配合した成分(B)粉末は、表1に示す乳酸Aである。試験例19~21における組成物に配合した成分(B)粉末は、表1に示すポリブチレンサクシネートAである。試験例22及び23における組成物に配合したポリメタクリル酸メチル及びポリメチルシルセスキオキサン粉末の平均IOB値、及びスクワラン吸油量を表6に示す。平均IOB値は、重合前のモノマーのIOB値の平均値とした。スクワラン吸油量は、JISK5101-13-1に準拠して測定した。表6に示す粉末における粒子形状はいずれも球状であった。
【0112】
【表6】
【0113】
成分(B)であるポリ乳酸を0.1質量%添加した試験例16及びポリブチレンサクシネートを0.1質量%添加した試験例19においては吸光度積算値の増加が認められなかった。一方、ポリ乳酸を0.5質量%添加した試験例17においては吸光度積算値の増加が認められた。これより、成分(B)は、0.2質量%以上であると好ましく、0.5質量%以上であるとより好ましいと考えられる。
【0114】
成分(B)であるポリ乳酸を10質量%添加した試験例18、並びにポリブチレンサクシネートを10質量%、15質量%添加した試験例20及び21においては吸光度積算値の増加が認められた。これより、成分(B)は少なくとも20質量%以下とすることができると考えられる。
【0115】
モノマーの平均IOB値が約0.8のポリメタクリス酸メチル及び約0.5のポリメチルシルセスキオキサンを添加した試験例22及び23においては、吸光度積算値の低下が認められた。これより、平均IOB値は1以上であると好ましいと考えられる。
【0116】
【表7】



【0117】
【表8】




【0118】
本発明の乳化型化粧料組成物は、上記実施形態及び実施例に基づいて説明されているが、上記実施形態及び実施例に限定されることなく、本発明の範囲内において、かつ本発明の基本的技術思想に基づいて、各開示要素(請求の範囲、明細書及び図面に記載の要素を含む)に対し種々の変形、変更及び改良を含むことができる。また、本発明の請求の範囲の範囲内において、各開示要素の多様な組み合わせ・置換ないし選択が可能である。
【0119】
本発明のさらなる課題、目的及び形態(変更形態含む)は、請求の範囲を含む本発明の全開示事項からも明らかにされる。
【0120】
本書に記載した数値範囲については、別段の記載のない場合であっても、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし範囲が本書に具体的に記載されているものと解釈されるべきである。
【0121】
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下の記載には限定されない。各付記は、特許請求の範囲に記載の各請求項と組み合わせることもできる。
【0122】
[付記1]
油溶性紫外線吸収剤と、ポリマー粉末と、を含む乳化型化粧料組成物を準備する工程と、
前記乳化型化粧料組成物を肌に塗布する工程と、を含み、
前記ポリマー粉末を構成するモノマーの平均IOB値が1以上10以下である、紫外線防御効果を高める方法。
【0123】
[付記2]
前記乳化型化粧料組成物は、
3質量%~50質量%の前記油溶性紫外線吸収剤と、
0.2質量%~20質量%の前記ポリマー粉末と、を含む、付記に記載の方法。
【0124】
[付記3]
前記ポリマー粉末は、ポリブチレンサクシネート粉末及びポリ乳酸粉末のうちの少なくとも1つを含む、付記に記載の方法。
【0125】
[付記4]
3質量%~50質量%の油溶性紫外線吸収剤と、
0.2質量%~20質量%のポリマー粉末と、を含み、
前記ポリマー粉末は、ポリブチレンサクシネート粉末及びポリ乳酸粉末のうちの少なくとも1つを含む、乳化型化粧料組成物。
【0126】
[付記5]
前記ポリマー粉末が、0.5μm~20μmの平均粒径を有する、付記に記載の方法及び/又は組成物。
【0127】
[付記6]
前記ポリマー粉末が、45mL/100g以上のスクワラン吸油量を有する、付記に記載の方法及び/又は組成物。
【0128】
[付記7]
前記油溶性紫外線吸収剤は、ホモサレート、サリチル酸エチルヘキシル、オクトクリレン、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、及びジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルのうちの少なくとも1つを含む、付記に記載の方法及び/又は組成物。
【0129】
[付記8]
前記乳化型化粧料組成物におけるシリコーン粉末の含有率が前記乳化型化粧料組成物の質量に対して2質量%以下である、付記に記載の方法及び/又は組成物。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本開示の乳化型化粧料組成物は、肌に適用する化粧料、洗浄料等に適用することができる。特に、本開示の乳化型化粧料組成物は、日焼け止め化粧料に好適に適用することができる。