(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】電池組立体を統合する車両の車体下部構造のアレンジメント、および、そのようなアレンジメントを有する車両
(51)【国際特許分類】
B60K 1/04 20190101AFI20240719BHJP
B62D 25/20 20060101ALI20240719BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20240719BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
B62D25/20 F
H01M50/249
(21)【出願番号】P 2020573245
(86)(22)【出願日】2019-06-25
(86)【国際出願番号】 EP2019066828
(87)【国際公開番号】W WO2020007651
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2022-05-25
(32)【優先日】2018-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リウ, ジャン-クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】デュガルダン, ステファン
(72)【発明者】
【氏名】サリ ハスーン, サラ
(72)【発明者】
【氏名】シャファンジョン, ジャン-マルク
(72)【発明者】
【氏名】ゴティエ, クリスチャン ジェ.
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-256265(JP,A)
【文献】特開2017-196942(JP,A)
【文献】特開2005-231549(JP,A)
【文献】特開2018-090021(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/04
B62D 25/20
H01M 50/249
B60R 16/02
B60R 16/08
B60L 50/50
B60L 50/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池組立体(20)を保護するための保護デバイス(2)を有する車両(1)の車体下部構造のアレンジメントであり、前記車体下部構造が、スカート(31、32)と、前記スカートを互いに接続する少なくとも1つの横方向障壁(33)と、前記スカートおよび前記横方向障壁を覆うように配置された床(34)とを横方向に有し、前記車両が、前記車両の前記車体下部構造の下に延在する少なくとも1つの機能性要素(40)を有し、前記保護デバイス(2)が、前記車両を横切る軸に沿ってスカート(31、32)と前記電池組立体(20)の側縁部(23)との間に配置された少なくとも1つのインサート(10)を有する、アレンジメントであって、前記インサート(10)が、前記機能性要素(40)を受容するための少なくとも1つのハウジングにより、前記機能性要素に従った形状とされ、前記インサート(10)が、内側部分(12)、外側部分(11)、および、前記機能性要素(40)を前記保護デバイスに可逆的に取り付けることを可能にする少なくとも1つの固定インターフェース(13、14)を備え、前記インサートが、内側部分(12)が前記側縁部(23)の水平方向の輪郭に実質的に一致する水平方向の輪郭を有して前記側縁部(23)を覆うことになるように、前記電池組立体に固着される前記内側部分(12)を備えることを特徴とする、アレンジメント。
【請求項2】
前記インサートが、外側部分(11)の少なくとも一部、特に前方部
の側面が前記スカート(31、32)の
側面の水平方向の輪郭に実質的に一致
して隣接する水平方向の輪郭を有して前記スカートに沿っ
て延在するように、前記スカート(31、32)に固着される前記外側部分(11)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のアレンジメント。
【請求項3】
前記インサートが、外側部分(11)の少なくとも一部、特に後方部
の側面が前記機能性要素(40)の
側面の水平方向の輪郭に実質的に一致
して隣接する水平方向の輪郭を有して前記機能性要素(40)に沿っ
て延在するように、前記機能性要素(40)に固着される前記外側部分(11)を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載のアレンジメント。
【請求項4】
前記インサートが、プラスチック材料
または複合材料を成形することによって作製されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のアレンジメント。
【請求項5】
前記外側部分(11)が、前記内側部分(12)の高さよりも低い高さを有し、前記外側部分および前記内側部分が、補剛組立体(30)に固定されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のアレンジメント。
【請求項6】
前記機能性要素(40)が、電気制御系、ブレーキ系、および/または接地系に属することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のアレンジメント。
【請求項7】
前記固定インターフェース(13)が、前記外側部分(11)から作製され、前記固定インターフェースが、前記機能性要素(40)を固定することを可能にする変形可能なフックのタイプのものであることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のアレンジメント。
【請求項8】
前記インサートが、垂直保護梁(24)を介して前記電池組立体(20)の側縁部(23)に沿って側方衝撃を分散させることを可能にする交差した補剛リブのメッシュを備えることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のアレンジメント。
【請求項9】
前記内側部分(12)が、前記電池組立体を保護するための実質的に平坦な水平仕切り(25)によって定められる前記電池組立体の底面から垂直に突出することを特徴とする、請求項8に記載のアレンジメント。
【請求項10】
前記外側部分(11)が、前記内側部分(12)の周りにその内側縁部が延びる空中仕切り(35)によって覆われ、前記空中仕切りおよび前記外側部分(11)が、前記機能性要素(40)が長手方向に貫通するスペースを画定することを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のアレンジメント。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のアレンジメントを備えることを特徴とする、特に自動車両タイプの車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の分野に関し、より詳細には、自動車両の分野に関する。本発明は、電池組立体の組込みを必要とする、完全にまたは部分的に電気式の推進を伴う車両の設計に特に適用可能である。
【0002】
本発明は、電池および電池組立体を保護するためのデバイスを有する車両下部構造のアレンジメントに関する。
【背景技術】
【0003】
電池組立体に蓄えられた電気エネルギーを使用する駆動デバイスを有する車両、特に自動車両が知られている。一定の積載能力を維持するために、さらには優れた路面保持性能を持ち続けるために、そのような電池組立体を車両の車体の下に配置することが知られている。このことはまた、電池組立体のメンテナンスを行うこと、さらには必要に応じて電池組立体を迅速に交換することを可能にする。現在、そのようなアレンジメントの利点は証明されているが、そのような配置は、衝突が起きた際に、特に側面衝突が起きた際に電池組立体をしっかりと保護することに悪影響をもたらす。
【0004】
具体的には、自動車両車体の下部構造は、とりわけ、車両の動作時に利用される技術的要素を支持するように設計される。例として、車両のブレーキ系、接地系、および/または電気系統が、外側から、すなわち下側を介して車両の床に固定される。これは、車体底面(sous caisse)アーキテクチャの問題を生じさせる。電池組立体の位置決めとこれらの系の動作の両方を組み合わせることが必要である。そのため、電池組立体と下部構造の長手方向縁部すなわち車両のスカートとの間に、技術上のスペースが残されなければならない。
【0005】
電池組立体を長手方向縁部から分離するこの機能上のスペースに関して、欠点が指摘されてきた。この大部分は空のスペースは、側面衝突が起きた際に慣性を生じさせ、その結果、衝突の強さがほぼ完全に電池組立体に伝えられ、また、これは、修復不可能な損傷をこの組立体にもたらす場合があり、さらには極端な状況では火災の危険性をもたらす場合がある。車体底面の位置決めの結果として、電池組立体の垂直下方へのわずかな突出が、電池組立体を特に歩道への乗上げの際に衝突に対してより脆弱にすることも、指摘されている。
【発明の概要】
【0006】
本明細書において提示される本発明は、電池組立体を保護するためのデバイスを有する車体下部構造のアレンジメントと、特に側面衝突が起きた際に電池組立体の劣化を制限することにより車両の安全面を改善するためにそのようなデバイスを有する車両と、を提案することにより、従来技術の解決策の欠点を解消する。
【0007】
発明の主題
この目的のために、本発明の主題は、スカートと、スカートを互いに接続する少なくとも1つの横方向障壁と、スカートおよび障壁を覆うように配置された床と、を横方向に有する車体下部構造のアレンジメントに関するが、車両は、車両の下部構造の下に延在する少なくとも1つの機能性要素を有し、保護デバイスは、車両を横切る軸に沿ってスカートと電池組立体の側縁部との間に配置された少なくとも1つのインサートを有する。下部構造のアレンジメントは、インサートが、特に機能性要素を受容するための少なくとも1つのハウジングにより、機能性要素に従った形状とされるという点で、注目に値するものであり、このインサートは、内側部分、外側部分、および、前述の機能性要素を前述の保護手段に可逆的に取り付けることを可能にする少なくとも1つの固定インターフェースを備える。
【0008】
有利には、横方向衝撃の力の吸収は、下部構造と電池組立体との間の距離が最小限にまで短縮されるので、改善される。したがって、インサートは、機能性要素を少なくとも部分的に取り囲むように設計され、これは、スカートと電池組立体との間の材料を含まないスペースを縮小する傾向がある。結果として、車両に横からぶつかる障害物によってもたらされる衝撃の力は、保護デバイスによって吸収される前に、まず、電池組立体を取り囲む力伝達手段に迅速に伝達される。
【0009】
他の特性によれば、本発明の主題であるアレンジメントは、以下の特性を単独でまたは互いに組み合わせて含むことができる:
- インサートは、内側部分が側縁部の輪郭に実質的に一致する輪郭を有して側縁部を下から垂直に覆うことになるように、電池組立体に固着される内側部分を備え、
- インサートは、外側部分の少なくとも一部分、特に前方部がスカートの輪郭に実質的に一致する輪郭を有してスカートに沿って特におおよそ一定の間隔で横方向に延在するように、スカートに固着される外側部分を備え、
- インサートは、外側部分の少なくとも一部分、特に後方部が機能性要素の輪郭と実質的に同一の輪郭を有して機能性要素に沿っておおよそ一定の間隔で横方向に延在するように、機能性要素に固着される外側部分を備え、
- インサートは、プラスチック材料、特に複合材料を鋳造することによって作製され、
- 外側部分は、内側部分の高さよりも低い高さを有し、これらの部分は、補剛組立体に固定される単一のおおよそ平坦な内側面を画定し、
- 機能性要素は、電気制御系、ブレーキ系、および/または接地系に属し、
- 固定インターフェースは、外側部分を鋳造することによって作製され、インターフェースは、機能性要素を固定することを可能にする変形可能なフックのタイプのものであり、
- インサートは、垂直保護梁を介してスカートおよび/または電池組立体の側縁部に沿って側方衝撃を分散させることを可能にする、交差した補剛リブのメッシュを備え、
- 内側部分は、電池組立体を保護するための実質的に平坦な水平仕切りによって区切られる電池組立体の底面の外へ垂直に突出し、
- 外側部分は、内側部分の周りにその内側縁部が延びる空中仕切り(cloison aeraulique)によって覆われ、空中仕切りおよび外側部分は、機能性要素が長手方向に貫通するスペースを画定する。
【0010】
本発明はまた、上記の特性のうちの少なくともいずれか1つを有するアレンジメントを備える、特に自動車両タイプの車両に関する。
【0011】
本発明のいくつかの目標、特性、および利点は、添付の図面を参照しながら、単に非限定的な例として記載された以下の説明を読めば、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明による車両の下方からの部分的な概略図である。
【
図2】本発明による、電池組立体のインサートを示す、空中仕切りが取り除かれた
図1における車両の側面の拡大図である。
【
図3】インサートが取り除かれた、
図1における車両の反対側の側面の拡大図である。
【
図4】本発明による車両の車体下部構造の側面のアレンジメントを
図2における断面線A-Aでの斜視図で概略的に示す図である。
【
図5】本発明による車両の車体下部構造の反対側の側面のアレンジメントを
図2における断面線B-Bにおいて概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の好ましい実施形態の説明
説明全体にわたって、前方および後方は、自動車両の移動方向に従って定められる。一直線に前進する場合、車両は、X軸に沿って後方から前方へ進む。さらに、車両は、X軸およびY軸を含む水平な地面上にあると見なされる。「下部の(inferieur)」および「上部の(superieur)」という用語は、垂直軸Zを参照する。
【0014】
図1は、下から見た車両1を概略的に示し、少なくとも車両の一部分は、電池組立体20に隣接するように配置された後輪車軸3を有し、それらはどちらも車両の車体下部構造に接続されている。電池組立体20は、単体で実現されたモジュールであり、かつ、電気駆動系を装備した車両のための優れた路面保持性能を維持することを目的として、後輪車軸3に近接して横方向軸に沿って車両の中心に優先的に配置される。車体下部構造は、横方向障壁33により互いに接続されたスカート31、32と、それらに覆い被さる床34と、を備える。スカート31、32は、車体側部ライニング38(図示せず)で構成され、このライニング38は、
図4および5において可視とされているように、好ましくはU形状断面の補強材37に接続されている。したがって、車両の車体下部構造は、車両の左手下部または右手下部に位置するスカート31、32を備え、これは、閉じたセクションを有する。各スカート31、32は、接続部品36、39、46および補強部品51、52で部分的に構成された補剛組立体30により、車両の内側に向かって側方に延長される。接続部品36、39、46は、床34に加えてスカート31、32を互いに接続することを可能にする。接続部品39は、床34とともに横方向梁を形成するように床34に接続されたクロスメンバであってもよい。他の接続部品36および46は、それぞれスペーサおよび固定板であってもよく、スペーサは、固定板をクロスメンバに接合するが、固定板は、片側ではスカート31、32の補強材37に溶接され、反対側ではスペーサに溶接される。補強部品52は、接続部品36および39を互いに接続する。補強部品51は、接続部品36およびスカート31、32を互いに接続することにより、接続部品46を部分的に覆うことになる。
【0015】
補剛組立体30は、電池組立体20の重量を支持することを可能にする剛性を保証し、電池組立体20は、車両の下側を介して床34に取り付けられ、かつ、床34に例えば直接に固定される。
【0016】
補剛組立体30の配置は、スカート31、32および電池組立体20と相まって、機能性要素40が収容されるスペースを区切る。
【0017】
機能性要素40は、車両の電気制御系に属してもよく、この電気制御系は、機能制御を行うために車両に搭載されたセンサまたはコンピュータに特に接続されるように構成された電気ケーブル41、43、44のタイプのものであり得る。電気制御系は、アクチュエータ、例えば車両の電気駆動モータに給電するために電流が流れるケーブルのタイプのものであってもよい。
【0018】
機能性要素40は、液圧ライン45のタイプのものであり得るブレーキ系に属してもよい。
【0019】
機能性要素40は、後輪車軸3に接続された関節アーム42のタイプのものであり得る接地系に属してもよい。関節アーム42は、一方の端部では車軸に接続され他方の端部ではクレビス422に取り付けられた軸受423により床34に接続された、レバー421を含み得る。クレビス422はまた、制動系の液圧ライン45を支持するための手段を形成し得る。
【0020】
したがって、床34の下部は、電池組立体20の側縁部を介して両側で電池組立体20の周りに延びる、複数の機能性要素40を備える。床34の下部はまた、電池組立体20を車両の車体下部構造に固定するための手段21、22を備える。この手段は、前方支持体および後方支持体で構成されてもよく、これらの支持体は、一方の側では例えばかみ合いにより電池組立体20の横方向フランクに取り付けられ、もう一方の側では例えばねじ込み(vissage)により床34に取り付けられる。これは、有利には、電池組立体のメンテナンスを確実にするために、電池組立体20の取付けを可逆的にする。
【0021】
電池組立体20は、電池組立体20の縁部を、最低限でも電池組立体20の側縁部を、部分的に包囲する、少なくとも1つの垂直梁24で構成された力伝達手段を備える。前方横方向縁部は、スカート31、32を接続する横方向障壁33の近位に配置される。横方向障壁33は、内側に電池組立体20の前方縁部が配置される凹形の輪郭を有するように、型打ちされた部分を中心に有し得る。したがって、正面衝突が起きた際に、電池組立体20を保護するために、衝突のエネルギーは、スカート31、32のそれぞれに伝達され得る。
【0022】
下部構造のアレンジメントは、スカート31、32と電池組立体20との間に横方向に収容されたインサート10を含む、電池保護デバイス2を備える。
【0023】
図1では、車両の下側は、左側インサートおよび右側インサートを対称的に備え、それぞれのインサートは、電池組立体20とそれぞれのスカート31、32との間に収容されている。
【0024】
各インサート10は、スカート31、32を電池組立体20から分離する領域内に存在する機能性要素に従った形状とされる。
【0025】
車両の左手側を示す
図2における下部構造のアレンジメントの実施形態では、機能性要素40は、電気ケーブル41、44であり、別の機能性要素は、接地系の関節アーム42であり、別の機能性要素は、前述の固定手段21、22である。
【0026】
インサート10は、内側部分12および外側部分11を備える。
【0027】
インサート10は、鋳造により単体で実現される。
【0028】
変形実施形態によれば、外側部分11および内側部分12のうちの一方は、異なるプラスチック材料さらには例えば複合材料による外側部分11および内側部分12のうちのもう一方をオーバモールドすることによって実現される。
【0029】
内側部分12は、外側部分11を鋳造することによって実現された固定インターフェース13、14をそれが有するという点で、電気ケーブル41、43、44に従った形状とされる。固定インターフェースは、固定されるべき機能要素の寸法に従った形状とされた変形可能なフックのタイプのものであることが好ましい。固定インターフェースの全てが、この場合では電池組立体20を保護するためのデバイスのインサートの外側部分であるたった1つの部品上に組み付けられるので、そのような設計は、機能性要素を迅速に取り付けることを可能にする。
【0030】
インサート10は、その中にクレビス442が配置されるハウジングを備え、クレビス442には、関節アーム42のための関節軸受423が取り付けられる。ハウジングは、インサートの外側部分11の厚さ全体にわたって延在する。
【0031】
インサート10はまた、その中に前述の固定手段21、22が配置される凹部を備える。
【0032】
図2では、ケーブル41、43、44は、内側部分12の厚さよりも薄い厚さを有するインサートの外側部分11の下を通過する。
【0033】
図1では、外側部分11だけが、空中仕切り35によって覆われている。そのような覆いは、
図5において可視とされているように、ケーブル41、43、44が通過する、Z方向におけるスペースを作り出すことを可能にする。
【0034】
図3では、下部構造の右側は、車両のブレーキ系に属する液圧ライン45のタイプのものである機能性要素40を有して示されている。この場合も先と同様に、ブレーキ系は、電池組立体20とスカート3との間に延在する。電池組立体20を保護するためのデバイス2は、液圧ライン45に適応される。この目的のために、インサート10は、補剛デバイス30に直接面するその内側面上に形成された溝を、その外側部分11に有する。
【0035】
外側部分11のそのような成形は、液圧ライン45の位置決めを可能にする。
【0036】
外側部分11の外側縁部は、Y方向において実質的に一定の距離を保ちながら、スカート31、32の補強材37によって画定された輪郭に従う。結果として、インサート10は、スカート31、32に対して加えられる側面衝突のエネルギーを伝達するために、迅速に利用される。
【0037】
内側部分12の内側縁部は、垂直梁24が接して配置される電池組立体20の縁部23によって画定された輪郭に実質的に従う。そのような設計は、スカート31、32に加えられた側面衝突の力を、電池組立体20を包囲するように成形された垂直梁24で部分的に構成されたフレームに沿って直接分散させることを有利に可能にする。
【0038】
例えば車両が歩道に乗り上げる際に車体の下側から生じ得るいかなる衝撃からも電池組立体20の底部を保護するために、保護デバイス2は、電池組立体20を局所的に覆うことになるように成形され、その結果、保護デバイス2は、電池組立体20の下に延在する。この目的のために、保護デバイス2は、車体構造に固定されると、電池組立体20の下面を覆うことになる実質的に平坦な水平保護仕切り25によって区切られる電池組立体20の底面から内側部分12が垂直に突出するような高さを備える。したがって、インサート10の下部と水平仕切り25との間の距離は、5から10mmの間である。
【0039】
内側部分12はまた、長手方向溝15を備え、この長手方向溝15は、垂直梁24により電池組立体20が対接する、Z方向における止め具として機能する。内側部分12の外へ横方向に突出する溝15は、電池組立体20に対するインサート10の割出しを可能にする。
【0040】
インサート10の外側部分11のみを覆う空中仕切り35は、その側方領域のうちの一方により、スカート31、32の補強材37に直接固定され、それに対向する空中仕切り35の側方領域のうちの他方は、実質的に内側部分12と一直線になることになる。内側部分12は、リブのメッシュによって分離される中実領域および中空領域を有するので、空中仕切り35によって実現されるのと同一の、車体底面乱流の影響の局所的な低減を確実にする。
【0041】
上記で説明されたような車体下部構造のアレンジメントは、電池組立体20を保護するためのデバイス2のインサート10のそれぞれを固定することによって部分的に可能とされる。各外側部分11または内側部分12は、この目的のために、少なくとも1つのバレルを備え、車両の車体を補剛するためのデバイス30にインサート10を直接固定するためのねじが、このバレルを通して配置される。
【0042】
上記で説明された車体下部構造のアレンジメントは、衝突が起きた際の動的慣性を低減することを狙いとする電池組立体20を保護するためのデバイスを組み込むことを提案することにより車両の乗員の保護を改善することを可能にするという点で、注目に値する。車体下部構造の構造要素に対する、また、下部構造に存在する機能性要素に対する、インサート10の近接性は、スカート31、32に加わる側面衝突の力をほぼ瞬時に分散させることを有利に可能にする。
【0043】
各インサート10はまた、固定手段を組み込むように成形され、これにより、車両が電気駆動系を備えるかどうかによって、様々なタイプの車両のための車体底面機能要素を共有することが可能になる。
【0044】
保護デバイス2は、電池組立体20のほぼ全長にわたって長手方向に延在し、これは、スカート31、32に加えられる側方衝撃の激しさを軽減する傾向があるので、保護デバイス2を組み込むことは、なおさら注目に値する。
【0045】
補剛リブのメッシュに基づくインサート10の構造は、剛性と低重量の両方を組み合わせることを可能にする。