(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】超音波撮像装置、および、超音波撮像方法
(51)【国際特許分類】
A61B 8/14 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
A61B8/14
(21)【出願番号】P 2021019086
(22)【出願日】2021-02-09
【審査請求日】2023-07-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】320011683
【氏名又は名称】富士フイルムヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000888
【氏名又は名称】弁理士法人山王坂特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】岩下 貴之
(72)【発明者】
【氏名】網野 和宏
(72)【発明者】
【氏名】栗原 浩
【審査官】蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-033494(JP,A)
【文献】特開2019-024777(JP,A)
【文献】特開平01-256940(JP,A)
【文献】特開2012-183102(JP,A)
【文献】国際公開第2006/121034(WO,A1)
【文献】特開2016-077442(JP,A)
【文献】特開2006-051356(JP,A)
【文献】特開2005-253751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00-8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信部と、受信部と、
信号合成部と、画像形成部と、画像合成部とを有し、
前記送信部は、振動子が長軸方向と短軸方向にそれぞれ配列されたプローブに対して、前記短軸方向の口径サイズが所定の大きさの第1送信開口と、前記短軸方向の口径サイズが前記第1送信開口より大きい第2送信開口とを順に設定し、前記第1および第2送信開口内の前記振動子にそれぞれ送信信号を出力することにより、前記振動子から被検体に対して第1送信ビームと第2送信ビームをそれぞれ送信させ、
前記受信部は、前記第1および第2送信ビームの前記被検体からのそれぞれ反射波を前記プローブの前記振動子が受信して出力する受信信号を受け取って、前記長軸方向についてそれぞれビームフォーミングすることにより、第1受信ビーム信号および第2受信ビーム信号を生成し、
前記画像形成部は、前記第1受信ビーム信号および第2受信ビーム信号を用いてフレームデータを生成し、
前記画像合成部は、前記画像形成部が生成した複数のフレームデータを重み付けして合成し、
前記送信部は、送信ごとに前記第1送信開口と前記第2送信開口とを交互に、それらの位置を前記長軸方向に所定量ずつ移動させながら設定し、
前記受信部は、前記第1送信開口と前記第2送信開口の前記長軸方向の移動に伴って、前記第1および第2受信ビーム信号を形成する受信走査線の位置を前記長軸方向に移動させ、
前記
信号合成部は、隣同士の前記受信走査線の前記第1受信ビーム信号と第2受信ビーム信号とを重み付けして合成
し、
前記画像形成部は、前記信号合成部による合成後の受信ビーム信号を用いてフレームデータを生成する
ことを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項2】
送信部と、受信部と、画像形成部と、画像合成部とを有し、
前記送信部は、振動子が長軸方向と短軸方向にそれぞれ配列されたプローブに対して、前記短軸方向の口径サイズが所定の大きさの第1送信開口と、前記短軸方向の口径サイズが前記第1送信開口より大きい第2送信開口とを順に設定し、前記第1および第2送信開口内の前記振動子にそれぞれ送信信号を出力することにより、前記振動子から被検体に対して第1送信ビームと第2送信ビームをそれぞれ送信させ、
前記受信部は、前記第1および第2送信ビームの前記被検体からのそれぞれ反射波を前記プローブの前記振動子が受信して出力する受信信号を受け取って、前記長軸方向についてそれぞれビームフォーミングすることにより、第1受信ビーム信号および第2受信ビーム信号を生成し、
前記画像形成部は、前記第1受信ビーム信号および第2受信ビーム信号を用いてフレームデータを生成し、
前記画像合成部は、前記画像形成部が生成した複数のフレームデータを重み付けして合成し、
前記送信部は、送信ごとに前記第1送信開口と前記第2送信開口とを交互に、それらの位置を前記長軸方向に所定量ずつ移動させながら設定して、第1フレームデータを生成するのに必要な数の前記第1送信ビームおよび第2送信ビームを送信した後、前記送信部は、前記第1フレームデータを生成するための前記第1送信ビームおよび第2送信ビームを送信した際の前記第1送信開口を設定した前記長軸方向の位置に前記第2送信開口を設定し、前記第2送信開口を設定した前記長軸方向の位置に前記第1送信開口を設定し、第2フレームデータを生成するのに必要な数の前記第1送信ビームおよび第2送信ビームを送信し、
前記受信部は、
前記送信部が送信した前記第1フレームデータを生成するのに必要な数の前記第1送信ビームおよび第2送信ビームの前記受信信号から、前記第1フレームデータの生成のための前記第1受信ビーム信号および前記第2受信ビーム信号を生成し、前記送信部が送信した前記第2フレームデータを生成するのに必要な数の前記第1送信ビームおよび第2送信ビームの前記受信信号から、前記第2フレームデータの生成のための前記第1受信ビーム信号および前記第2受信ビーム信号を生成し、
前記画像形成部は、
前記受信部が生成した前記第1フレームデータの生成のための前記第1受信ビーム信号
および前記第2受信ビーム信号から前記第1フレームデータを生成し、
前記受信部が生成した前記第2フレームデータの生成のための前記第1受信ビーム信号および前記第2受信ビーム信号から前記第2フレームデータを生成し、
前記
画像合成部は
、前記第1フレームデータと第2フレームデータを重み付けして合成することを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項3】
送信部と、受信部と、画像形成部と、画像合成部とを有し、
前記送信部は、振動子が長軸方向と短軸方向にそれぞれ配列されたプローブに対して、前記短軸方向の口径サイズが所定の大きさの第1送信開口と、前記短軸方向の口径サイズが前記第1送信開口より大きい第2送信開口とを順に設定し、前記第1および第2送信開口内の前記振動子にそれぞれ送信信号を出力することにより、前記振動子から被検体に対して第1送信ビームと第2送信ビームをそれぞれ送信させ、
前記受信部は、前記第1および第2送信ビームの前記被検体からのそれぞれ反射波を前記プローブの前記振動子が受信して出力する受信信号を受け取って、前記長軸方向についてそれぞれビームフォーミングすることにより、第1受信ビーム信号および第2受信ビーム信号を生成し、
前記画像形成部は、前記第1受信ビーム信号および第2受信ビーム信号を用いてフレームデータを生成し、
前記画像合成部は、前記画像形成部が生成した複数のフレームデータを重み付けして合成し、
前記送信部は、前記第1送信開口を送信ごとにその位置を前記長軸方向に所定量ずつ移動させながら設定し、1番目のフレームデータを生成するのに必要な数の前記第1送信ビームの送信を行った後、前記第2送信開口を送信ごとにその位置を前記長軸方向に所定量ずつ移動させながら設定し、2番目のフレームデータを生成するのに必要な数の前記第2送信ビームの送信を行う動作を繰り返しながら、フレーム番号が増えるたびに、前記第1送信ビームおよび第2送信ビームの深度方向に対する照射角度を、所定の複数種類の角度に順次切り替え、
前記画像形成部は、それぞれのフレーム番号のフレームデータを生成し、
前記画像合成部は、前記照射角度の種類の数以上の前記フレームデータを、重み付けして合成することを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項4】
請求項3に記載の超音波撮像装置であって、前記送信部は、前記所定の複数種類の照射角度ごとに、予め定められた第1送信開口または第2送信開口を設定することを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項5】
請求項3に記載の超音波撮像装置であって、前記画像合成部は、前記照射角度の種類の数以上の前記フレームデータ合成する際に、前記照射角度の種類の数以上の前記フレームデータをそれぞれ構成する前記受信ビーム信号のうち、対応する長軸方向の位置の前記受信ビーム信号を重み付けして合成することを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項6】
送信部と、受信部と、画像形成部と、合成部とを有し、
前記送信部は、振動子が長軸方向と短軸方向にそれぞれ配列されたプローブに対して、前記短軸方向の口径サイズが所定の大きさの第1送信開口と、前記短軸方向の口径サイズが前記第1送信開口より大きい第2送信開口とを順に設定し、前記第1および第2送信開口内の前記振動子にそれぞれ送信信号を出力することにより、前記振動子から被検体に対して第1送信ビームと第2送信ビームをそれぞれ送信させ、
前記受信部は、前記第1および第2送信ビームの前記被検体からのそれぞれ反射波を前記プローブの前記振動子が受信して出力する受信信号を受け取って、前記長軸方向についてそれぞれビームフォーミングすることにより、第1受信ビーム信号および第2受信ビーム信号を生成し、
前記画像形成部は、前記第1受信ビーム信号および第2受信ビーム信号を用いてフレームデータを生成し、
前記合成部は、信号合成部と、画像合成部とを含み、
前記送信部は、送信ごとに前記第1送信開口と前記第2送信開口とを交互に、それらの位置を前記長軸方向に所定量ずつ移動させながら設定して、第1フレームデータを生成するのに必要な数の前記第1送信ビームおよび第2送信ビームを送信した後、前記送信部は、前記第1フレームデータを生成するための前記第1送信ビームおよび第2送信ビームを送信した際の前記第1送信開口を設定した前記長軸方向の位置に前記第2送信開口を設定し、前記第2送信開口を設定した前記長軸方向の位置に前記第1送信開口を設定し、第2フレームデータを生成するのに必要な数の前記第2送信ビームおよび第1送信ビームを送信する動作を
繰り返しながら、フレーム番号が増えるたびに、前記第1送信ビームおよび第2送信ビームの深度方向に対する照射角度を、所定の複数種類の角度に順次切り替え、
前記受信部は、前記第1および第2送信開口の前記長軸方向の移動にともなって、受信走査線を前記長軸方向に移動させながら前記第1受信ビーム信号および第2受信ビーム信号をそれぞれ生成し、
前記信号合成部は、前記第1フレームデータを生成するための前記第1および第2送信ビームに基づいて前記受信部が生成した前記第1受信ビーム信号および第2受信ビーム信号と、前記第2フレームデータを生成するための前記第1および第2送信ビームに基づいて前記受信部が生成した前記第1受信ビーム信号および第2受信ビーム信号のうち、長軸方向の位置が同じもの同士を重み付けして合成し、
前記画像形成部は、前記信号合成部が合成後の受信ビーム信号を用いて、フレームデータを生成し、
前記画像合成部は、前記照射角度の種類の数以上の前記フレームデータを合成することを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項7】
振動子が長軸方向と短軸方向にそれぞれ配列されたプローブに対して、前記短軸方向の口径サイズが所定の大きさの第1送信開口と、前記短軸方向の口径サイズが前記第1送信開口より大きい第2送信開口とを順に設定し、前記第1および第2送信開口内の前記振動子にそれぞれ送信信号を出力して、前記振動子から被検体に対して第1送信ビームと第2送信ビームをそれぞれ送信させる送信ステップと、
前記第1および第2送信ビームの前記被検体からのそれぞれ反射波を前記プローブの前記振動子が受信して出力する受信信号を受け取って、前記長軸方向についてそれぞれビームフォーミングすることにより、第1受信ビーム信号および第2受信ビーム信号を生成する受信ステップと、
前記第1受信ビーム信号および第2受信ビーム信号を用いてフレームデータを生成するフレームデータ生成ステップと、
複数の前記フレームデータを重み付けして合成する合成ステップとを有し、
前記送信ステップは、前記第1送信開口を送信ごとにその位置を前記長軸方向に所定量ずつ移動させながら設定し、1番目のフレームデータを生成するのに必要な数の前記第1送信ビームの送信を行った後、前記第2送信開口を送信ごとにその位置を前記長軸方向に所定量ずつ移動させながら設定し、2番目のフレームデータを生成するのに必要な数の前記第2送信ビームの送信を行う動作を繰り返しながら、フレーム番号が増えるたびに、前記第1送信ビームおよび第2送信ビームの深度方向に対する照射角度を、所定の複数種類の角度に順次切り替え、
前記フレームデータ生成ステップは、それぞれのフレーム番号のフレームデータを生成し、
前記合成ステップは、前記照射角度の種類の数以上の前記フレームデータを、重み付けして合成する
ことを特徴とする超音波撮像方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、超音波プローブを用いて被検体内に超音波を送信してその反射波を受信することにより、被検体の生体情報(被検体内の画像)を取得するものである。
【0003】
装置本体から、超音波プローブ内の複数の電気音響変換素子(振動子)毎に対して異なる遅延時間で電気パルスが印加される。複数の振動子により送信ビームが形成され、当該送信ビームは被検体内に照射される。そして、被検体内からの反射波を、同超音波プローブで受信する。受信された反射波に対して、信号処理回路等で増幅、遅延加算、検波、圧縮処理を行い、また画像処理などを行った後、画像化される。このような超音波診断装置に用いられる超音波プローブとしては、1Dアレイプローブや2Dアレイプローブが特に知られている。
【0004】
1Dアレイプローブは、振動子を1方向(以下、長軸方向もしくは方位方向と呼ぶ)に複数個アレイ状に配置した構造である。送信時に長軸方向に配列された振動子ごとに入力される電気パルスの時間にそれぞれ遅延時間を与えることにより、長軸方向を含み、振動子面と垂直な断面内の所望の位置に焦点を結ぶ送信ビームを送信することができる。この送信により生じた被検体からの反射波を画像化することができる。1Dアレイプローブの長軸方向と垂直な方向(以下、短軸方向もしくはエレベーション方向と呼ぶ)において、1Dアレイプローブの送信時の焦点位置や開口幅は、音響レンズや凹面振動子により一意に決定される。
【0005】
2Dアレイプローブは、複数の振動子を長軸方向と短軸方向に2次元的に配列した構成である。2Dアレイプローブは、振動子毎に送受信回路を有しており、それぞれの振動子を個別に駆動させることによって送信ビームの焦点位置や開口幅を3次元空間の中で任意に設定することができる。長軸および短軸の開口幅にもよるが、基本的に方位方向とエレベーション方向の深度依存性が低減される。しかしながら2Dアレイプローブは一般的にサイズや重量が増加するとともに、制御の回路規模が増大し、製造コストも高くなることから多くの超音波診断装置に普及するには至っていない。
【0006】
特許文献1には、2Dアレイプローブから送信ビームを送信する際に、生体に照射される音響パワーを低減しながらも、良好な空間分解能を得るために、第1軸方向に長い第1送信開口から第1送信ビームを送信した後に、同じ位置に対して、第2軸方向に長い第2送信開口から第2送信ビームを送信する超音波診断装置が開示されている。同じ位置について、第1送信ビームおよび第2送信ビームによってそれぞれ得られたフレームデータまたはボリュームデータを合成する。
【0007】
一般的な2Dアレイプローブよりも短軸方向の振動子数が少なく(数個もしくは10数個程度)、スイッチ操作によって短軸方向における開口サイズを可変にする機能を有するプローブが知られており、1.25Dアレイプローブと呼ばれている。また、短軸方向の中央の振動子を中心として短軸方向に対称に遅延時間を与えることが可能なプローブも知られている。このプローブは、1.5Dアレイプローブと呼ばれている。さらに、送信ビームの長軸方向の走査と同時に、短軸方向への走査をある程度可能とするプローブも考案されており、1.75Dアレイプローブと呼ばれている。
【0008】
特許文献2には、短軸方向の複数の振動子をスイッチにより選択的に駆動する機能と複数回の送受信により、限られた本体装置の回路規模であっても実効的に1.5D相当の画像を得る装置が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2020-65629号公報
【文献】特許第5921133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
1Dアレイプローブは、短軸方向における送信時の焦点位置や開口幅が音響レンズ等により一意に決定されるため、短軸面においては、所定の焦点位置では送信ビーム径が小さいが、それ以外の部分では送信ビームが広がり、エレベーション方向の分解能が低下する。
【0011】
一方、2Dアレイプローブは、長軸方向のみならず短軸方向においても焦点位置を所望の位置に設定したり、走査したりすることができるが、プローブのサイズや重量が増加するとともに、制御の回路規模が増大する。
【0012】
特許文献1の2Dアレイのように、第1軸方向に長い第1送信開口から第1送信ビームを送信した後に、第2軸方向に長い第2送信開口から第2送信ビームを送信し、それぞれの送信で得られたフレームデータまたはボリュームデータを合成する方法は、一つの画像を生成するために、長手方向の異なる複数の開口を用いた送信が必要であるため、画像の更新に時間を要する。
【0013】
本発明の目的は、プローブの短軸方向に配列された振動子毎に入力する電気パルスを独立に遅延させる構成を備えない簡素な構成でありながら、短軸方向における解像度の高い画像を得ることができる超音波撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、以下のような、送信部と、受信部と、画像形成部と、合成部とを有する超音波撮像装置が提供される。送信部は、振動子が長軸方向と短軸方向にそれぞれ配列されたプローブに対して、短軸方向の口径サイズが所定の大きさの第1送信開口と、短軸方向の口径サイズが第1送信開口より大きい第2送信開口とを順に設定し、第1および第2送信開口内の振動子にそれぞれ送信信号を出力することにより、振動子から被検体に対して第1送信ビームと第2送信ビームをそれぞれ送信させる。受信部は、第1および第2送信ビームの被検体からのそれぞれ反射波をプローブの振動子が受信して出力する受信信号を受け取って、長軸方向についてそれぞれビームフォーミングすることにより、第1受信ビーム信号および第2受信ビーム信号を生成する。画像形成部は、第1受信ビーム信号および第2受信ビーム信号を用いてフレームデータを生成する。合成部は、第1受信ビーム信号および第2受信ビーム信号を重み付けして合成する信号合成部、および、第1受信ビーム信号から画像形成部が生成した第1フレームデータおよび第2受信ビーム信号から画像形成部が生成した第2フレームデータを重み付けして合成する画像合成部のうち少なくとも一方を含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、短軸方向に口径サイズの異なる送信開口から第1および第2の送信ビームのビームが絞られる位置が深度方向に異なることを利用して、短軸方向の受信信号の解像度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施の形態1の超音波撮像装置の全体の構成を示すブロック図。
【
図2】(a-1)および(b-1)は、実施の形態1で用いるプローブの振動子を上面から見た配列と、駆動される振動子(送信開口)を示す図であり、(a-2)、(b-2)および(c)は、プローブの振動子の短軸方向の側面から見た配列と駆動される振動子(送信開口)と第1送信ビーム10の形状を示す図である。
【
図3】実施の形態1において合成部が重み付けに用いる重みの一例を示すグラフである。
【
図4】実施の形態1の超音波撮像装置のラインデータ合成モードにより撮像する際の各部の動作を示すフローチャートである。
【
図5】実施の形態1の超音波撮像装置のラインデータ合成モードにより撮像する際のシーケンスを説明するための図である。
【
図6】実施の形態1の超音波撮像装置のフレームデータ合成モードにより撮像する際の各部の動作を示すフローチャートである。
【
図7】実施の形態1の超音波撮像装置のフレームデータ合成モードにより撮像する際のシーケンスを説明するための図である。
【
図8】実施の形態1において画像合成部がフレームデータの重み付けに用いる重みを示す説明図である。
【
図9】実施の形態2の超音波撮像装置の撮像時の各部の動作を示すフローチャートである。
【
図10】実施の形態2の超音波撮像装置の撮像時のシーケンスを説明するための図である。
【
図11】実施の形態3の超音波撮像装置の撮像時の各部の動作を示すフローチャートである。
【
図12】実施の形態3の超音波撮像装置の撮像時のシーケンスを説明するための図である。
【
図13】実施の形態4の超音波撮像装置の撮像時のシーケンスを説明するための図である。
【
図14】実施の形態5の超音波撮像装置の撮像時の各部の動作を示すフローチャートである。
【
図15】実施の形態5の超音波撮像装置の撮像時のシーケンスを説明するための図である。
【
図16】実施の形態6の超音波撮像装置の撮像時の各部の動作を示すフローチャートである。
【
図17】実施の形態6の超音波撮像装置の撮像時のシーケンスを説明するための図である。
【
図18】実施の形態6の超音波撮像装置の撮像時に送信する角度と短軸方向の口径サイズとの組み合わせを固定化したシーケンスを説明するための図である。
【
図19】実施の形態6の超音波撮像装置の撮像時に送信する角度を5方向にしたシーケンスを説明するための図である。
【
図20】実施の形態6の超音波撮像装置の撮像時に送信する5方向の角度と短軸方向の口径サイズとの組み合わせを固定化したにしたシーケンスを説明するための図である。
【
図21】実施の形態6の超音波撮像装置の撮像時に位相情報を持つ受信ビーム信号(RFデータ)を合成する場合の各部の動作を示すフローチャートである。
【
図22】実施の形態6の超音波撮像装置の撮像時に位相情報を持つ受信ビーム信号(RFデータ)を合成する場合のシーケンスを説明するための図である。
【
図23】実施の形態6の超音波撮像装置の撮像時に送信のたびに第1送信開口と第2送信開口を切り替える場合の各部の動作を示すフローチャートである。
【
図24】実施の形態6の超音波撮像装置の撮像時に送信のたびに第1送信開口と第2送信開口を切り替える場合のシーケンスを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0018】
また、実施の形態を説明する図面においては、構成を分かり易くするために、平面図であってもハッチングを付す場合もあるし、断面図であってもハッチングを省略する場合もある。
【0019】
<<実施の形態1>>
まず、実施の形態1の超音波撮像装置の構造について
図1、
図2を用いて説明する。
図1は、超音波撮像装置の全体の構成を示す図である。
図2(a-1)および(b-1)は、プローブの振動子を上面から見た配列と駆動される振動子(送信開口)を示す図であり、
図2(a-2)、(b-2)および(c)は、プローブの振動子の側面の配列と駆動される振動子と送信ビームの形状を示す図である。
【0020】
まず、超音波撮像装置100が簡素な構成でありながら、短軸方向における解像度の高い画像を得ることができる原理を説明する。本実施の形態に係る超音波撮像装置100には、
図1、
図2(a-1)および(b-1)に示すとおり、振動子3が長軸方向と短軸方向にそれぞれ配列されたプローブ1が接続されている。
【0021】
超音波撮像装置100は、
図1に示すように、送受信制御部111およびラインデータ合成/フレームデータ合成選択部112を含む制御部2、送信部101、受信部102、受信信号を保存する信号メモリ部103、信号合成部104、画像形成部105、画像データを保存する画像メモリ部106、画像合成部107、表示処理部108、表示部112、および、操作パネル113を含む。
【0022】
送信部101は、
図2(a-1)、(a-2)、(b-1)および(b-2)に示すように、プローブ1に送信開口4を設定し、送信開口4内の振動子3にそれぞれ送信信号を出力する。このとき、送信部101は、短軸方向の口径サイズが所定の大きさの第1送信開口4aと、短軸方向の口径サイズが第1送信開口4aより大きい第2送信開口4bを順次設定し、第1および第2送信開口4a、4bからそれぞれ振動子3から被検体5に対して第1および第2送信ビーム10、11を送信する。第1送信開口4aと第2送信開口4bは、短軸方向の中心位置が一致していることが望ましい。
【0023】
図2(a-2)のように、短軸方向の口径サイズが小さい第1送信開口4aから送信された第1送信ビーム10は、短軸方向において、所定の深度位置でビーム径が絞られるため、ビーム径が絞られた第1深度領域10aにおいては短軸方向のビーム幅が狭い。
【0024】
一方、
図2(b-2)のように、短軸方向の口径サイズが第1送信開口4aよりも大きい第2送信開口4bから送信された第2送信ビーム11は、短軸方向において、第1送信ビーム10よりも深い所定の第2深度領域でビーム径が絞られる。よって、短軸方向のビーム幅が狭い第2深度領域11aは、第1送信ビーム10のビーム幅が狭い第1深度領域10aよりも深い位置に現れる。
【0025】
第1および第2送信ビーム10,11の被検体5からの反射波は、プローブ1の振動子3により受信される。受信部102は、振動子3の受信信号を受け取って、プローブ1の長軸方向について、振動子3ごとの受信信号に遅延させて加算することによりビームフォーミングして第1および第2受信ビーム信号(整相加算信号)20,21を得る。
【0026】
第1および第2送信ビーム10,11が短軸方向に絞られて照射された第1および第2深度領域10a,11aでは、第1および第2受信ビーム信号20,21の短軸方向の信号解像度がそれぞれ高くなる。
【0027】
画像形成部105は、第1受信ビーム信号20および第2受信ビーム信号21を用いて画像フレームデータを生成する。
【0028】
合成部は、信号合成部104と画像合成部107の少なくとも一方を備えている。信号合成部104は、信号の位相情報を含む第1受信ビーム信号20と第2受信ビーム信号21とを重み付けして合成する。また画像合成部107は、第1受信ビーム信号20から画像形成部105が生成した第1画像フレームデータおよび第2受信ビーム信号21から画像形成部105が生成した第2画像フレームデータを重み付けして合成する。
【0029】
このとき、重み付けの重みを一例として
図3に示す。被検体5の深度が浅い第1領域10aでは第1受信ビーム信号20または第1フレームデータの重みが、第2受信ビーム信号21または第2フレームデータの重みより大きくなるように設定される。また、被検体5の深度が深い第2領域11aおよびそれ以上の深度では、第2受信ビーム信号21または第2フレームデータの重みが、第1受信ビーム信号20または第1フレームデータの重みより大きくなるように設定される。
【0030】
ただし、第1送信開口4a、第2送信開口4bとレンズによる短軸フォーカス点の関係によっては、第2領域11aより深い深度で、第1送信ビームが再び第2送信ビームよりも短軸方向のビーム幅が狭くなる条件もありうる。そのため、重み付の方法は
図3に示した例に限らず、設計に応じて適切に設定すればよい。すなわち、信号合成部104の重み付けの重みは、被検体の深度が浅い第1領域10aでは、第1受信ビーム信号20および第2受信ビーム信号21のうち一方の重みが他方の重みより大きく、深度が第1領域10aよりも深い第2領域11aのうち少なくとも一部の領域では、他方の重みが一方の重みよりも大きくなるように設定する。同様に、画像合成部107の重み付けの重みは、被検体の深度が浅い第1領域10aでは、第1フレームデータおよび第2フレームデータのうちの一方の重みが他方の重みより大きく、深度が第1領域10aよりも深い第2領域11aのうち少なくとも一部の領域では、他方の重みが前記一方の重みよりも大きくなるように設定する。
【0031】
この合成処理により、第1および第2送信ビーム10,11を合成した合成ビーム212(
図2(c)参照)を照射した場合と同様に、第1および第2深度領域10aおよび10bで信号解像度の高い合成受信ビーム信号122または合成後のフレームデータを得ることができる。これによって、第1および第2送信ビーム10,11の短軸方向に絞られた第1および第2深度領域10a,10bの第1および第2受信ビーム信号20,21が反映された、より短軸方向に解像度が高く、かつ、深度方向により均一な合成受信ビーム信号122または合成後のフレームデータが得られる。
【0032】
図1に示した例では、プローブ1として、短軸方向に3つの振動子3が配列されたプローブ、もしくは、短軸方向に3以上に振動子3が配列され、3つの領域(列)に分割されたプローブを用いる。短軸方向の振動子(または領域)の3つの列のうち、中央の列をA列、その両脇の列をB1列とB2列と呼ぶ。図示していないが、プローブ1の超音波の出射面には音響レンズが固定されており、この音響レンズは、短軸方向について超音波を集束させる。音響レンズの代わりに、短軸方向の複数の振動子の超音波の出射面が湾曲するように配置することにより、音響レンズと同様に短軸方向について超音波を集束させることも可能である。なお、プローブ1は、音響レンズや振動子の配列を湾曲させる構造を備えていなくともよい。プローブ1の送信開口の短軸方向の口径を変化させるだけで、送信ビームの短軸方向のビーム径が絞られる深さは変化する。
【0033】
また、プローブ1の3つの列の振動子には、それぞれ短軸口径切り替えスイッチ14が接続されている。送信時に、短軸口径切り替えスイッチ14を超音波撮像装置100が切り替えることにより、超音波撮像装置100の出力する送信信号(電気パルス)を3つの列のうちの1以上の列の振動子3に選択的に入力することができる。また、受信時に、短軸口径切り替えスイッチ14を超音波撮像装置100が切り替えることにより、3つの列の振動子3が被検体からの超音波を受信して出力する受信信号(電気信号)のうち、1つの列の振動子3の受信信号のみを選択的に超音波診断装置100に入力することが可能であるし、2以上の列の振動子3の受信信号を加算して(短絡させて)超音波撮像装置100に入力することも可能である。
【0034】
なお、プローブ1は、短軸口径切り替えスイッチ14を備えていなくてもよい。その場合、送信時には、送信部101が、3つの列のうち1以上の列の振動子に選択的に送信信号を入力することで第1および第2送信開口4a,4bを設定する。受信時には、受信部102が、3つの列のうち1以上の列の振動子の受信信号を選択的に受け取り、また、受け取った後に加算することにより受信開口を設定する。
【0035】
<<撮像時の各部の動作>>
以下、実施の形態1の超音波撮像装置100が、被検体5を撮像する際の各部の動作について、
図4および
図6のフローと、送信ごとの送信開口を示す
図5および
図7を用いて説明する。
【0036】
ラインデータ合成/フレームデータ合成選択部112は、操作パネル113を介して、操作者からラインデータ合成モードの選択を受け付けている場合には、
図4のフローにより各部の動作を制御し、フレームデータ合成モードの選択を受け付けている場合には、
図6のフローにより各部の動作を制御する。
【0037】
なお、本実施の形態において、送信部101、受信部102、制御部110および信号合成部104は、ハードウエアにより構成することができる。例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)のようなカスタムICや、FPGA(Field-Programmable Gate Array)のようなプログラマブルICを用いて、各部の機能を実現するように回路設計を行えばよい。なお、送信部101、受信部102、制御部110および信号合成部104は、その一部および全部をソフトウエアでその機能を実現することも可能である。その場合、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサーと、メモリとを備えたコンピュータ等によって送信部101、受信部102、送受信制御部111および信号合成部104を構成し、CPUが、メモリに格納されたプログラムを読み込んで実行することにより、それらの機能を実現する構成にすればよい。
【0038】
<<ラインデータ合成モード>>
以下、ラインデータ合成/フレームデータ合成選択部112がラインデータ合成モードの選択を受け付けている場合について各部の動作の一例を説明する。
【0039】
<ステップ130、131>
1回目の送信(t=1)において、送受信制御部111は、プローブ1の長軸方向の開口位置iに、短軸方向が小口径の第1送信開口4aを設定する。例えば、送受信制御部111は、プローブ1の短軸口径切り替えスイッチ14を切り替えることにより、短軸方向の中心のA列に位置する振動子3を選択するとともに、長軸方向の開口位置iから予め定めた数(例えばP個)の振動子3を選択することにより第1送信開口4aを設定する。もしくは、送受信制御部111は、送信部101に対して、短軸方向がA列で長軸方向の位置iから予め定めた数(例えばP個)の振動子3を第1送信開口4aとして指示することにより第1送信開口4aを設定する。
【0040】
<ステップ132>
送信部101は、第1送信開口4a内の振動子3に送信信号を出力する。これにより第1送信開口4aから、第1送信ビーム10が被検体5に対して送信される。
【0041】
第1送信ビーム10の短軸方向のビーム幅が最も狭くなる深度領域10aは、浅い位置に現れる。
【0042】
長軸方向については、所定の位置に焦点を結ぶよう、送信部101は、振動子3に出力される送信信号に遅延量をそれぞれ設定するため、長軸方向のビーム幅が最も狭くなる位置は、設定した焦点位置になる。
【0043】
<ステップ133>
第1送信ビーム10は、被検体5内で反射や散乱等された超音波のうちプローブ1に到達した超音波は、振動子3によって受信される。
【0044】
受信部102は、ここでは一例として、第1送信開口4a内の振動子3から受信信号を受け取る。すなわち、短軸方向については、中央のA列であって、長軸方向については、長軸方向の開口位置iから予め定めた数(例えばP個)の振動子3から受信信号を受け取る。なお、受信部102が受信信号を受け取る振動子3は、送信開口内の振動子3に限られるものではなく、送信開口とは異なる受信開口を設定し、受信開口内の振動子3から受信信号を受け取ってもよいし、プローブ1のすべての振動子3から受信信号を受け取ってもよい。
【0045】
<ステップ134>
受信部102は、長軸方向について所定の遅延量で遅延させて加算することにより受信ビームフォーミングし、所定の受信走査線について第1受信ビーム信号(RF(高周波)信号とも呼ぶ)20を生成する。受信部102は、生成した第1受信ビーム信号20を信号メモリ部103に格納する。
【0046】
なお、受信走査線は、第1送信開口4aの長軸方向の中心位置(位置i+P/2)に設定した1本であってもよいし、この1本を中心に複数の受信走査線を設定し、それぞれについて第1受信ビーム信号を生成してもよい。
【0047】
<ステップ135、136>
2回目の送信(t=2)において、送受信制御部111は、ステップ131と同じ長軸方向の位置iに、短軸方向が大口径の第2送信開口4bを設定する。例えば、送受信制御部111は、プローブ1の短軸口径切り替えスイッチ14を切り替えることにより、短軸方向のA列とB1列とB2列に位置する振動子3を選択するとともに、長軸方向の開口位置iから予め定めた数(例えばP個)の振動子3を選択することにより第2送信開口4bを設定する。もしくは、送受信制御部111は、送信部101に対して、短軸方向がA列とB1列とB2列で長軸方向の開口位置iから予め定めた数(例えばP個)の振動子3を第2送信開口4bとして指示することにより第2送信開口4bを設定する。
【0048】
<ステップ137>
送信部101は、第2送信開口4b内の振動子3に送信信号を出力する。これにより、第2送信開口4bから、第2送信ビーム11が被検体5に対して送信される。第2送信ビーム11の短軸方向のビーム幅が最も狭くなる深度領域11aは、ステップ132の第2送信ビーム11のビーム幅が最も狭くなる深度領域10aよりも深くなる。
【0049】
<ステップ138>
第1送信ビーム10は、被検体5内で反射や散乱等された超音波のうちプローブ1に到達した超音波は、振動子3によって受信される。
【0050】
受信部102は、ここでは一例として、第2送信開口4b内の振動子3から受信信号を受け取る。すなわち、短軸方向については、A列とB1列とB2列であって、長軸方向については、長軸方向の開口位置iから予め定めた数(例えばP個)の振動子3から受信信号を受け取る。なお、短軸方向については、短軸口径切り替えスイッチ14によりA列とB1列とB2列の振動子3を短絡させて3つの振動子が合算された受信信号を出力する。もしくは、A列とB1列とB2列の振動子3の受信信号を受け取った受信部102が、合算して受信ビームフォーミングに用いる。なお、ステップ133と同様に、受信部102が受信信号を受け取る振動子3は、送信開口4a内の振動子3に限られるものではなく、送信開口とは異なる受信開口を設定し、受信開口内の振動子3から受信信号を受け取ってもよいし、プローブ1のすべての振動子3から受信信号を受け取ってもよい。
【0051】
<ステップ139>
受信部102は、長軸方向について所定の遅延量で遅延させて加算することにより受信ビームフォーミングし、所定の受信走査線について第2受信ビーム信号(RF(高周波)信号とも呼ぶ)21を生成する。受信部102は、生成した第2受信ビーム信号21を信号メモリ部103に格納する。
【0052】
<ステップ140>
信号合成部104は、信号メモリ103から第1受信ビーム信号20と第2受信ビーム信号21を読みだして、
図3に示した重みで重み付けして加算し、合成受信ビーム信号122を生成する。これにより、短軸方向について、広い深度領域10a,11aで解像度の高い合成受信ビーム信号122を得ることができる。
【0053】
<ステップ141、142>
送受信制御部111は、長軸方向の第1および第2送信開口4a,4bの位置をずらしながら、上記ステップ131~140を、1フレームの作成に必要な数の合成受信ビーム信号122が得られるまで、繰り返す。
【0054】
<ステップ143>
ステップ141において、1フレームの作成に必要な数の合成受信ビーム信号122が得られたならば、画像形成部105は、合成受信ビーム信号122からフレームデータを生成し、表示処理部108に出力する。表示処理部108は、フレームデータを表示部109に表示させる。
【0055】
以上により、ラインデータ合成モードにより、短軸方向について小口径の第1送信開口4aから第1送信ビーム10を送信して得た第1受信ビーム20と、大口径の第1送信開口4aから第2送信ビーム11を送信して得た第2受信ビーム21とを深度方向に重み付けして合成し、短軸方向に解像度が高く、かつ、深度方向により均一なフレームデータを表示することができる。
【0056】
なお、上述してきた
図4のフローのラインデータ合成モードでは、第1および第2受信ビーム信号20,21をRF信号(位相成分を持った信号)の状態で信号合成部104が重み付けして合成する構成について説明したが、本実施の形態はこの構成に限定されるものではない。走査ライン(受信走査線)毎に短軸方向の開口サイズを変えて送信した後、得られた受信走査線のデータを合成処理する構成であれば、合成する受信走査線のデータがRFデータであっても、輝度データであってもよい。すなわち、受信ビーム信号20,21を輝度データ(位相成分を持たない絶対値データ)に変換してから合成してもよい。具体的には例えば、長軸方向の開口位置iに設定した第1送信開口4aおよび第2送信開口4bから送信した送信ビームからそれぞれ得た受信ビーム(ライン)信号20,21を、画像形成部105において受信走査線(ライン)毎の輝度(画像)データに変換し、画像メモリ部106にストアしておき、画像合成部107が同一ライン(受信走査線)の輝度データを重み付けして合成し、合成輝度データを生成する構成としてもよい。位置i+1において同様のことを繰り返し、ライン毎の合成輝度データを画像メモリ部106に格納していき、1フレーム分の各ラインの合成輝度データがたまったならば、1フレームの画像データとして表示処理部108に出力してもよい。
【0057】
<<フレームデータ合成モード>>
つぎに、ラインデータ合成/フレームデータ合成選択部112が、操作者からフレームデータ合成モードの選択を受け付けている場合について各部の動作について、
図6~
図8を説明する。フレームデータ合成モードでは、短軸方向において小口径の第1送信開口4aで送信してフレームデータを生成した後、大口径の第2送信開口4bで送信してフレームデータを生成し、それらを重み付けして合成する。
【0058】
<ステップ230>
フレームN(N=1)のフレームデータの撮像を以下のステップ231~238により生成する。
【0059】
<ステップ231~238>
図4の受信ビーム合成モードのフローのステップ130~134と同様に、ステップ231~237において、送受信制御部111は、短軸方向において小口径の第1送信開口4aをプローブ1または送信部101に設定し(ステップ231)、送信部101は、第1送信ビーム10を送信させ(ステップ231,232)、受信部102は、被検体5からの反射波を受信し、長軸方向にビームフォーミングして第1受信ビーム信号20を生成する(ステップ234,235)。ただし、
図4のラインデータ合成モードとは異なり、
図6のフレームデータ合成モードは、
図7のように長軸方向の開口位置をずらしながら(ステップ237)、連続して短軸方向に小口径の第1送信開口4aから送信を繰り返し、1フレームの生成に必要な数の第1受信ビーム20を取得する(ステップ236)。
【0060】
画像形成部105は、得られた第1受信ビーム20を用いてフレームN(N=1)のフレームデータ(例えば輝度データ(画像))を生成し、画像メモリ部106に格納する(ステップ238)。
【0061】
<ステップ239>
画像合成部107は、フレームNと、画像メモリ部106に格納されているフレームN-1のフレームデータを深度方向に重み付けして合成する。初回のN=1のフレーム1の場合は、画像メモリ106には、フレームN-1のフレームデータは格納されていないので、そのままステップ240に進む。
【0062】
<ステップ240、241>
送受信制御部111は、つぎのフレームN+1(フレーム2)の撮像を行うため、短軸方向において送信開口4の口径サイズを小口径と大口径とで切り替え、ステップ232に戻る(ステップ231)。フレーム2の場合、フレーム1で短軸方向小口径を設定していたので、短軸方向大口径の第2送信開口4bに切り替える(
図7参照)。
【0063】
<ステップ232~238>
設定された第2送信開口4bにより、上述したステップ232~238を繰り返す。すなわち、第2送信ビーム11を送信し、被検体5からの反射波を受信し、長軸方向にビームフォーミングして第2受信ビーム信号21を生成する処理を、長軸方向の開口位置をずらしながら連続して繰り返し、1フレームの生成に必要な数の第2受信ビーム21を取得する(ステップ232~237)。画像形成部105は、得られた受信ビーム21を用いてフレーム2のフレームデータ(画像)を生成し、画像メモリ部106に格納する(ステップ238)。
【0064】
<ステップ239>
画像合成部107は、フレーム2と、画像メモリ部106に格納されているフレーム1のフレームデータとを深度方向に重み付けして合成する。重みは、
図8に示すように、フレームデータの長軸方向については一様であり、深度方向については、
図3のように分布している。すなわち、深度が浅い領域10aでは短軸方向に小口径の第1送信開口4aを設定して得たフレームデータNの重みが、短軸方向に大口径の第2送信開口4bを設定して得たフレームデータN+1の重みより大きくなるようにする。被検体5の深度が深い領域11aおよびそれ以上の深度では、第2送信開口4bを設定して得たフレームデータN+1の重みが、第1送信開口4aを設定して得たフレームデータNの重みより大きくなるように設定される。
【0065】
画像合成部107は、合成後のフレームデータ(フレームデータN+フレームデータN+1)を表示処理部108に出力する。表示処理部108は、合成後のフレームデータを表示部109に表示させる。
【0066】
以上により、フレームデータ合成モードにより、短軸方向について小口径の第1送信開口4aから第1送信ビーム10を送信して得たフレームデータと、大口径の第2送信開口4bから第2送信ビーム11を送信して得たフレームデータとを深度方向に重み付けして合成し、短軸方向に解像度が高く、かつ、深度方向により均一なフレームデータを表示することができる。
【0067】
なお、上述してきた
図6のフローのフレームデータ合成モードでは、輝度データ(画像データ)に変換したフレームデータを画像合成部107が重み付けして合成する構成について説明したが、本実施の形態はこの構成に限定されるものではない。一旦、短軸方向の口径サイズをあるサイズ(小口径または大口径)に設定して1フレーム分のデータ(1枚の画像に必要なデータ量)を取得し、つぎに、短軸方向の口径サイズを別のサイズ(大口径または小口径)に設定して1フレーム分のデータ(1枚の画像に必要なのデータ量)を取得し、得られた2フレーム分のデータを合成処理する構成であれば、合成するフレームデータがRFデータであっても、輝度データであっても構わない。例えば、短軸方向について小口径の第1送信開口4aから第1送信ビーム10を送信開口4aを長軸方向に順次ずらしながら送信し、得られた受信ビーム信号20をRFデータのまま1フレーム分信号メモリ部103に格納する。次に、短軸方向について大口径の第2送信開口4bから第2送信ビーム11を送信開口4bを長軸方向に順次ずらしながら送信し、得られた受信ビーム信号21をRFデータのまま1フレーム分信号メモリ部103に格納する。信号合成部104は、それぞれ1フレーム分の受信ビーム信号20,21を重み付けして合成し、合成後のフレームデータを画像形成部105が輝度データに変換し、表示処理部108に出力する構成としてもよい。
【0068】
図6および
図7に示したフレームデータ合成モードは、
図4および
図5のラインデータ合成モードと比較して、次のフレームデータとその前のフレームデータを用いることで、フレームレート自体の低下を抑えることができるというメリットがる。
【0069】
本実施の形態1の超音波撮像装置は、信号合成部104と画像合成部107は必ずしも両方同時に備えられている必要はなく、どちらか一方だけがあってもよい。
【0070】
また、実施の形態1では、超音波撮像装置100とプローブ1とは、別々の装置であるが、プローブ1内に、超音波撮像装置の送信部101や受信部102の全体または一部を配置した構成してもよい。また、短軸口径切り替えスイッチ14が、プローブ1の筐体の外に別デバイスとして存在してもよい。短軸口径切り替えスイッチ14が、超音波撮像装置100内に備えらえていてもよい。
【0071】
実施の形態1では、送信開口4内の振動子3によって、受信信号を受信部102が受け取る構成としたが、1例に過ぎず、本発明においては送信開口4とは、異なる振動子3からも受信信号を受け取って受信ビームフォーミングに用いてもなんら本質的に変わるものではない。
【0072】
また、プローブ1は、短軸方向の分割数が3に限定されるものではない。
【0073】
尚、上述のラインデータ合成モードでは、遅延加算後の受信ビーム信号を合成する構成について説明した(
図4のステップ140参照)が、振動子3から取得した受信データ(チャネルデータ)を合成してもよい。具体的には、ステップ133において振動子3から取得した受信データ(チャネルデータ)と、ステップ138で取得した受信データ(チャネルデータ)を対応する振動子(チャネル)ごとにステップ140で合成し、合成後の受信データをステップ139と同様に受信ビームフォーミングすればよい。
【0074】
<<実施の形態2>>
実施の形態2の超音波撮像装置の撮像時の動作について
図9および
図10を用いて説明する。実施の形態2の超音波撮像装置の構成は、実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0075】
実施の形態2では、一つのフレームNのフレームデータを得るために、方位方向(長軸方向)に送信開口4を移動させるたびに、短軸方向の口径サイズを小口径と大口径とで切り替える。これにより、方位方向に互いに隣り合う第1および第2受信ビーム信号は、短軸方向の口径サイズが異なる第1送信開口4aまたは第2送信開口4bを設定して得られたものになる。本実施の形態では、隣合う第1および第2受信ビーム信号20,21を深さ方向に重み付けして合成することで、一つの方位方向の合成ビーム信号を形成する。
【0076】
これを方位方向の送受信で繰り返すことで、フレームレートを低下させることなく、短軸方向の解像度が高く、深度方向に均一性の優れたフレームデータを得ることができる。
【0077】
また、一つのフレームの中に、短軸方向の送信開口サイズの異なる受信ビーム信号201,21が均等に含まれているため、プローブ操作や生体の動きに対する追随性が高く、浅部と深部で同期した情報を提示することができる。
【0078】
実施の形態2の超音波撮像装置の動作について、
図9、
図10を用いて具体的に説明する。
【0079】
<ステップ330>
フレームN(N=1)のフレームデータの撮像を以下のステップ331~340により生成する。
【0080】
<ステップ331~335>
図4のラインデータ合成モードのフローのステップ130~134と同様に、ステップ331~335において、送受信制御部111は、1回目の送信t=1において、プローブ1の長軸方向の開口位置iに、短軸方向が小口径の第1送信開口4aを設定する(ステップ331、332)。送信部101は、第1送信開口4aから第1送信ビーム10を送信させ(ステップ333)、受信部102は、被検体5からの反射波を受信した受信信号を振動子3から受け取り、長軸方向にビームフォーミングして第1受信ビーム信号(i)20を生成し、信号メモリ103に格納する(ステップ334,335)。
【0081】
<ステップ336>
信号合成部は、受信ビーム信号(i)と、信号メモリ部103に格納されている、隣の受信ビーム信号(i-1)を深度方向に重み付けして合成し、合成受信ビーム信号(i)を得て、信号メモリ103に格納する。初回のi=1の受信ビーム(i)の場合は、信号メモリ103には、受信ビーム(i-1)の受信ビーム信号はまだ格納されていないので、そのままステップ337に進む。
【0082】
<ステップ337>
送受信制御部111は、1フレームの作成に必要な数の合成受信ビーム信号(i)が得られたかどうか判定し、得られていない場合には、ステップ338に進む。
【0083】
<ステップ338、339>
2回目の送信t=2において、プローブ1の長軸方向の開口位置i+1に、1回目の送信とは短軸方向の口径サイズを切り替えた、短軸方向に大口径の第2送信開口4bを設定し、ステップ333に戻る。
【0084】
<ステップ333~335>
ステップ333~335において、送信部101は、設定された短軸方向が大口径の第2送信開口4bから第2送信ビーム11を送信させ、受信部102は、受信信号を振動子3から受け取り、長軸方向にビームフォーミングして受信ビーム信号(i+1)21を生成し、信号メモリ103に格納する。
【0085】
<ステップ336>
信号合成部は、受信ビーム信号(i+1)と、信号メモリ部103に格納されている、隣の受信ビーム信号(i)を深度方向に
図3に示した重みにより重み付けして合成し、合成受信ビーム信号(i+1)を得て、信号メモリ103に格納する。
【0086】
<ステップ337>
上記ステップ331~336を、1フレームの作成に必要な数の合成受信ビーム信号(i)が得られるまで、長軸方向の開口位置をずらしながら繰り返す。
【0087】
<ステップ340>
1フレームの生成に必要な数の合成受信ビーム信号が得られたならば、画像形成部105は、フレームN(N=1)のフレームデータ(画像)を生成し、表示処理部108に出力する。表示処理部108は、フレームデータを表示部109に表示させる。
【0088】
<ステップ341>
フレーム番号をインクリメントし、ステップ331に戻って上記処理を繰り返す。
【0089】
このように実施の形態2では、一つのフレームデータを形成する長軸方向に位置のずれた複数の受信ビーム信号の隣合う二つの受信ビーム信号を深さ方向に重み付けして合成することで、一つの方位方向の合成ビーム信号を形成する。よって、フレームレートを低下させることなく、短軸方向の解像度が高く、深度方向に均一性の優れたフレームデータを得ることができる。また、一つのフレームの中に、短軸方向の送信開口サイズの異なる受信ビーム信号が均等に含まれているため、プローブ操作や生体の動きに対する追随性が高く、浅部と深部で同期した情報を提示することができる。
【0090】
なお、実施の形態2においても実施の形態1と同様に、合成受信ビーム信号を生成するために合成する受信ビーム信号は、RF信号に限られるものではなく、受信ビーム信号を輝度データに変換した後、合成してもよい。
【0091】
<<実施の形態3>>
実施の形態3の超音波撮像装置の撮像時の動作について
図11および
図12を用いて説明する。
図11および
図12から明らかなように、実施の形態3の超音波撮像装置の撮像時の動作は、実施の形態2の
図9および
図10と共通する動作が多いため、同様の処理には同じステップ番号を付し、異なる点のみ説明する。また、実施の形態3の超音波撮像装置の構成は、実施の形態1と同様である。
【0092】
実施の形態3の超音波撮像装置の撮像動作は、
図11および
図12に示すように、実施の形態2の
図9および
図10と同様に、最初のフレームN(N=1)の1回目の送信では、送信開口4の短軸方向の口径サイズとして小口径を設定し(ステップ330~333)、方位方向(長軸方向)に送信開口4を移動させるたびに、短軸方向の送信開口4の口径サイズを小口径と大口径とで切り替える(ステップ338、339)。これを交互に繰り返して、一つフレームデータを生成するのに必要な第1および第2受信ビーム信号20,21を取得する(ステップ334、335、337)。
【0093】
ここで、実施の形態3は、実施の形態2とは異なり、取得した第1および第2受信ビーム信号20,21を用いて、フレームデータNを生成し、画像メモリ部106に格納する(ステップ438)。
【0094】
次のフレームN+1においては、前フレームNと同様に方位方向(長軸方向)に送信開口4を移動させるたびに短軸方向の口径サイズを切り替えるが、前フレームNと同じ長軸方向の位置においては、前フレームNにおいて設定した短軸方向口径サイズとは異なる口径サイズとなるようにする。すなわち、前フレームNにおいて短軸方向の口径サイズとして小口径が設定されていた位置では、フレームN+1では短軸方向に大口径の送信開口を設定する。また、前フレームNにおいて、短軸方向の口径サイズとして大口径が設定されていた位置では、フレームN+1では短軸方向に小口径の送信開口を設定する。
【0095】
これが実現されるように、フレームN+1の最初の送信(t=1)においては、前のフレームの最初の送信とは異なる短軸方向に大口径の送信開口を設定する(ステップ440,441)。そのため、ステップ440においてフレーム番号NをN=N+1にインクリメントした後、ステップ441ではインクリメント後のフレーム番号N(=N+1)が、偶数の時には、短軸方向に大口径の第2送信開口4bを設定し、奇数の時には、短軸方向に小口径の第1送信開口4aを設定する。この後、ステップ333~339を繰り返し、第1および第2受信ビーム信号20、21を得て、フレームデータN(=N+1)を生成し、画像メモリ部106に格納する(ステップ438)。
【0096】
画像合成部107は、ステップ438で生成したフレームN(=N+1)と、画像メモリ部106に格納されている前回のフレーム(N-1)のフレームデータとを深度方向に重み付けして合成する(ステップ439)。重みは、各フレームデータを構成する走査線(受信ビーム)ごとに深度方向に重み付けする。具体的には、
図3のように、深度が浅い領域では、第1送信開口4aを設定して得た第1受信ビーム信号20の重みが大きく、それよりも深い深度領域では、第2送信開口4bを設定して得た第2受信ビーム信号21の重みが大きくなるようにする。ここで示した重み付は1例であって、設計値によって変わりうる短軸ビーム形状によって適切に設定すればよい。
【0097】
画像合成部107は、合成後のフレームデータを表示処理部108に出力する。表示処理部108は、合成後のフレームデータを表示部109に表示させる(ステップ439)。
【0098】
このように、本実施の形態では、2つのフレームデータを合成することにより、第1および第2受信ビーム信号20、21を合成したのと同様な合成フレームデータを得ることができる。
【0099】
本実施の形態の撮像方法は、実施の形態1の
図6および
図7のフレームデータ合成モードと同様に、フレームレートの更新速度を低下させることなく、短軸方向の解像度が高く、深度方向に一様なフレームデータを表示することができる。
【0100】
また、本実施の形態の撮像方法は、合成前の一つのフレームデータの中に、短軸方向の口径サイズが異なる送信開口を設定して得た第1および第2受信ビーム信号20,21の情報が均等に含まれているため、被検体5の動きに対する追随性が高いというメリットもある。
【0101】
さらに、本実施の形態では、2つのフレームデータの合成時に、長軸方向の同じ位置に設定した送信開口により取得した送受信データを用いるため、実施の形態2により得られる画像と比較して、高画質でアーチファクトの発生が低減される。
【0102】
なお、実施の形態3においても実施の形態1と同様に、合成するフレームデータは、輝度データに変換された画像データに限られるものではなく、受信ビーム信号(RFデータ)を並べたフレームデータの状態で合成してもよい。
【0103】
<<実施の形態4>>
実施の形態4の超音波撮像装置の撮像時の動作について
図13を用いて説明する。
【0104】
実施の形態1~3においては、短軸方向に小口径の第1送信開口4aとして、プローブ1の短軸方向の中心に位置するA列の振動子3を選択し、短軸方向に大口径の第2送信開口4bとして短軸方向のA列の振動子3と、A列の両側に隣接するB1列およびB2列の振動子3とを選択する構成であったが、本発明はこれらの第1および第2送信開口4a、4bに限られるものではない。送信される第1および第2送信ビーム10、11のビーム径が短軸方向において絞られる位置が、深さ方向に異なる第1および第2送信開口4a,4bであれば、どのような開口形状であってもよい。
【0105】
例えば、
図13に示すように、短軸方向に小口径の第1送信開口4aとして、短軸方向においてA列の振動子3を選択し、短軸方向に大口径の第2送信開口4bとして、A列を含まず、B1列およびB2列のみを選択してもよい。短軸方向においてB1列およびB2列のみを選択した第2送信開口4bの場合、中心のA列の振動子が選択されていないため、プローブ1(振動子3)近傍の信号強度は落ちるものの遠方では第2送信ビーム11が絞られる。よって、短軸方向においてA列の振動子3を選択した第1送信開口4aの第1送信ビーム10が短軸方向で絞られる位置よりも深い位置で、第2送信開口4bの第2送信ビーム11が絞られるため、本実施の形態においても、実施の形態1~3と同様の効果を発揮することができる。
【0106】
図13に示した撮像の際の各部の動作は、実施の形態3の超音波撮像装置の
図11のフローと同様であるので説明を省略する。また、実施の形態4の超音波撮像装置の構成は、実施の形態1と同様である。
【0107】
また、
図13に示した第1および第2送信開口4a、4bを用いて、実施の形態1や実施の形態2の撮像方法を行うことももちろん可能である。
【0108】
<<実施の形態5>>
実施の形態5の超音波撮像装置について
図14、
図15を用いて説明する。
【0109】
実施の形態1~4では、便宜的にプローブ1の短軸方向の振動子3の数(分割数)を3つとし、短軸方向に小口径の第1送信開口4aと、短軸方向の振動子3の数(分割数)は、3つに制限されるものではない。
図15には、一例として、短軸方向の振動子3の数(分割数)5の場合の撮像動作の一例を示す。このプローブは、短軸方向の振動子3が、列Aと、その両側に隣接する列B1、B2と、さらにその両側に隣接する列C1、C2の5列で構成されている。
【0110】
短軸方向の送信開口は、列Aのみを選択する第1送信開口4aと、列Aと列B1と列B2とを選択する第2送信開口4bと、すべての列(列A+列B1およびB2+列C1およびC2)を選択する送信開口4cとの3種類が一例として設定可能である。ここでは、第1送信開口4aを小口径、第2送信開口4bを中口径、送信開口4cを大口径と呼ぶ。
【0111】
図14、
図15に示すように、本実施の形態の超音波撮像装置の撮像時の動作は、実施の形態3の
図11、
図12の撮像時の動作と同様であるが、ステップ539、639、641が実施の形態3とは異なっている。
【0112】
いずれのフレームにおいても、ステップ539のように、送受信制御部111は、短軸方向の送信開口の口径サイズを、小口径→中口径→大口径の順に設定し、1フレームの生成に必要な数の受信ビーム信号を取得する。このとき、フレームNと、次のフレームN+1と、さらに次のフレームN+2において、同じ位置の受信ビーム信号が、短軸方向の口径の異なる送信開口4a,4b,4cをそれぞれ設定して得られるように、送受信制御部111は、送信開口を設定する。すなわち、送受信制御部111は、フレームNでは、小口径→中口径→大口径の順に送信開口を設定し、次のフレーム(N+1)では、中口径→大口径→小口径の順に送信開口を設定し、さらに次のフレーム(N+2)では、大口径→小口径→中口径の順に送信開口を設定する。
【0113】
これを実現するために、送受信制御部111は、ステップ332,641において、各フレームの先頭の送信回数t=1の送信開口の口径サイズが、フレーム1では小口径、フレーム2では中口径、フレーム3では、大口径が設定されるようにする。すなわち、フレームNのNの値がN=3k+1で表されるときは小口径、N=3k+2で表されるときは中口径、N=3kで表されるときは大口径を設定する。ただし、kは、整数である。
【0114】
また、各フレームの撮像時に、送受信制御部111は、プローブ1の長軸方向に送信開口をずらすたびに(ステップ338)、小口径→中口径→大口径の順に短軸方向の送信開口の口径サイズを切り替える(ステップ539)。
【0115】
さらに、画像形成部105は、得られた受信ビーム信号からフレームデータNを生成し(ステップ438)、画像合成部107は、今回のフレームデータNと、前回のフレームデータN-1と、前々回のフレームデータNー2とを重み付けして合成する。画像合成部107は、それぞれの送信開口4a,4b,4cから送信された送信ビームの短軸方向のビーム径が狭くなる領域で、その送信開口から得た受信ビーム信号の重みが他の送信開口から得た受信ビーム信号よりも大きくなるように、走査線(受信ビーム)ごとに深度方向に重み付けする。具体的には、深度が浅い領域では、第1送信開口4aを設定して得た第1受信ビーム信号20の重みが最も大きく、中くらいの深度領域では、第2送信開口4bを設定して得た第2受信ビーム信号21の重みが最も大きく、深い深度領域では、第3送信開口4cを設定して得た第3受信ビーム信号22の重みが最も大きくなるようにする。ここで示した重み付は1例であって、設計値によって変わりうる短軸ビーム形状によって適切に設定すればよい。
【0116】
尚、本実施の形態においては、画像合成部107が合成する際に、それぞれ短軸方向に異なる口径サイズの送信開口4a,4b,4cを設定して得た受信ビーム信号20,21,22が必要であるが、それらを取得する順番は問わない。したがって、送受信制御部111は、各フレームの送信開口4a,4b,4cの設定順を変えても良い。例えば、送受信制御部111は、フレームNにおいて、第1送信開口4a(列Aのみ)→第3送信開口4c(列A+B1+B2+C1+C2)→第2送信開口4b(列A+B1+B2)の順番で設定してもよい。
【0117】
また、ステップ539において画像合成部107が合成するフレーム数が3枚である場合、実効的なフレームレートが低下する。フレームレート低下を抑制するために、送受信制御部111は、例えば第1送信開口4aを用いず、第2送信開口4b(列A+B1+B2)と送信開口4c(列A+B1+B2+C1+C2)を交互に設定してフレームデータを得て、画像合成部107が2枚のフレームデータを合成する構成にしてもよい。同様に、第1送信開口4a(列A)と送信開口4c(列A+B1+B2+C1+C2)を交互に設定して、2枚のフレームデータを合成する構成にしてもよい。あるいはプローブの短軸方向の振動子3の数(分割数)が5であっても、送受信制御部111が、列A、列B1+B2および列C1+C2のうち2組しか使用しない構成としてもよい。
【0118】
以上のように、本実施の形態は、プローブの短軸方向の振動子3の数(分割数)によってなんら本質的に異なる技術は必要ではなく、利用する短軸方向の振動子3の列の組み合わせの数が増えるだけであり、用途に応じて適宜変更してもよい。
【0119】
また、本実施の形態は、実施の形態1および2に適用することももちろん可能である。
【0120】
なお、実施の形態5においても実施の形態1と同様に、合成するフレームデータは、輝度データに変換された画像データに限られるものではなく、受信ビーム信号(RFデータ)を並べたフレームデータの状態で合成してもよい。
【0121】
<<実施の形態6>>
実施の形態6の超音波撮像装置について、
図16、
図17を用いて説明する。
【0122】
超音波撮像装置は、プローブの長軸を含む断面においてその送信ビームの照射の角度を複数種類に異ならせ、得られた受信ビーム信号またはフレームデータを合成することにより、高画質化を図るものが知られている。本機能は、角度コンパウンドまたは空間コンパウンドなどと呼ばれる。
【0123】
本実施の形態では、角度コンパウンドと、本発明のプローブの短軸方向の送信開口を複数種類に異ならせる技術を併用した超音波撮像装置について説明する。角度コンパウンドは、長軸方向と深度方向を含む断面において、深度方向に対して複数の角度(
図16および
図17の例では3方向、深度方向に対して0度、+α度、-α度)でそれぞれの送信ビームを照射して、画像データを取得する必要があるため、角度コンパウンドを用いない場合と比較して撮像時間を要する。そのため、角度コンパウンドに、短軸口径の異なる送受信を単純に併用した場合、すなわち、ある角度の送信ビームの送信を、短軸方向の複数種類の口径サイズの送信開口で行う場合、さらに撮像に必要な時間が増えることになる。これを回避するため、本実施の形態では、送受信制御部111は、送信する角度を切り替える際に、同時に短軸方向の口径サイズを切り替える。
【0124】
以下、本実施の形態の超音波撮像装置の撮像時の各部の動作について、
図16および
図17を用いて説明する。
図16のフローにおいて、実施の形態5の
図14のフローと共通するステップについては同じステップ番号を付け、説明を省略する。
【0125】
なお、ここでは、プローブ1の短軸方向の振動子3の数(分割数)が3の場合について説明する。短軸方向のA列のみを選択する小口径の第1送信開口4aを、本実施の形態では、短軸口径1とも呼び、短軸方向のA列とB1列とB2列を選択する大口径の第2送信開口4bを短軸口径2とも呼ぶ。
【0126】
図16および
図17に示すように、最初のフレームN(N=1)の最初の送信(t=1)において、送受信制御部111は、プローブ1の短軸方向の送信開口4の口径サイズとして、大口径(短軸口径2)を設定し(ステップ330、331,732)、さらに送信開口3からの長軸方向の送信角度を0度に設定する(ステップ751)。送受信制御部111が長軸方向の送信開口の位置をずらしながら、送信部101は、送信ビームの送信を繰り返し、受信部102は、1フレームの生成に必要な受信ビームを取得して、画像形成部105は、角度0度、短軸口径2(大口径)の第2送信開口4bでフレームデータを生成する(ステップ333~339、438)。
【0127】
次に、送受信制御部111は、フレームNをN=2にインクリメントし(ステップ440)、短軸方向の送信開口4の口径サイズを小口径(短軸口径1)に切り替え(ステップ741)、送信角度を+α度に切り替える(ステップ752)。送信角度を+α度にするために、送信部101は、送信開口4内の長軸方向の振動子3に出力する送信信号の遅延時間を調整する。そして、ステップ333に戻り、送受信制御部111が長軸方向の送信開口の位置をずらしながら、送信部101は、送信ビームの送信を繰り返し、受信部102は、1フレームの生成に必要な受信ビームを取得し、画像形成部105は、角度+α度、短軸口径1(小口径)の第1送信開口4aでフレームデータを生成する(ステップ333~339、438)。
【0128】
次に、送受信制御部111は、フレームNをN=3にインクリメントし(ステップ440)、短軸方向の送信開口4の口径サイズを大口径(短軸口径2)に切り替え(ステップ741)、送信角度を-α度に切り替える(ステップ752)。そして、ステップ333に戻り、送受信制御部111が長軸方向の送信開口の位置をずらしながら、送信部101は、送信ビームの送信を繰り返し、受信部102は、1フレームの生成に必要な受信ビームを取得し、画像形成部105は、角度-α度、短軸口径2(大口径)の第2送信開口4bでフレームデータを生成する(ステップ333~339、438)。
【0129】
すなわち、本実施の形態では、ステップ741においては、送信開口4の短軸方向の口径サイズをフレームNのNの値に応じて、送信開口を切り替える。具体的には、Nが偶数のとき小口径(短軸口径1)の第1送信開口4aに切り替え、Nが奇数のとき大口径(短軸口径2)の第2送信開口4bに切り替える。
【0130】
つぎにステップ752において、送信開口4の長軸方向の送信角度をフレームNのNの値に応じて、送信ビームの送信角度を切り替える。具体的には、NがN=3k+1で表されるとき、深度方向に対して+α度、N=3k+2で表されるのとき-α度、N=3kで表されるとき0度に切り替える。ただし、kは整数である。
【0131】
画像合成部107は、ステップ438で生成したフレームデータNと、直近の過去3回分のフレームデータN-1、N-2、N-3を画像メモリ部106から読み出して、重み付けして合成する。重みは、実施の形態1のステップ239と同様に、送信時に設定した短軸方向の送信開口の口径サイズに応じた重み(
図8参照)とする。表示処理部108は合成後のフレームデータを表示部109に表示する(ステップ739)。なお、重み付けは、画像データ生成前のRFデータを並べたフレームデータの状態で行ってもよいし、画像データ生成後に重み付けしてもよい。
【0132】
このように、本実施の形態では、各撮像フレームで得られた画像データを合成することで、角度コンパウンドと、短軸方向に複数種類の口径サイズの送信開口を設定してそれぞれ得たフレームデータの合成とを同時に行うことができる。したがって、撮像に必要な時間を増加させることなく、二つの合成を行うことが可能となる。
【0133】
尚、角度コンパウンドが3方向、短軸方向の口径サイズの種類が2段階の場合、角度が異なる3つのフレームデータを画像合成部104が画像合成部105が合成した場合、2段階の短軸方向の口径サイズの送信開口のうちどちらか一つを設定して得たフレームデータが、他方の送信開口を設定した得たフレームデータより多くなり、合成後のフレームデータの信号に非対称性が生じる。
図17の例では、これを回避するために、画像合成部105は、直近4回分のフレームデータを用いて合成処理を行っている。
【0134】
図16および
図17では、送受信制御部111は、送信する角度と、短軸方向の口径サイズをそれぞれフレーム番号が進むたびに切り替える構成であったが、この構成に限られるものではない。例えば
図18に示すように、送受信制御部111は、送信する角度と、短軸方向の口径サイズとの組み合わせを固定化してもよい。一例としては、送受信制御部111は、送信する角度が0度のとき、短軸口径2(大口径)の第2送信開口4bを設定し、送信する角度が±α度のとき短軸口径1(小口径)の第1送信開口4aを設定する。このように送信する角度と送信開口の短軸方向の口径サイズとの組み合わせを固定化することで、角度に対する短軸方向の口径サイズの非対称性を回避することが可能となる。ただし、送信する角度を0度、+α度、-α度の順に変化させる場合、短軸口径1(小口径)が、+α度、-α度の2回のフレームで連続することになるが、
図18の例では、画像合成部107が合成するフレームの数を増やすことなく、角度コンパウンドで必要な3つ角度(0度、+α度、-α度)のフレームを重み付けして合成している。重みは、実施の形態1のステップ239と同様に、送信時に設定した短軸方向の送信開口の口径サイズに応じた重みとする。
【0135】
なお、
図18の例において、当然ながら、角度と短軸方向の口径サイズとの組み合わせを変えてもよい。
【0136】
また、角度コンパウンドの角度は3方向に限られるものではなく、
図19に示すように、例えば5方向(0度、+α度、-α度、+β度、-β度)に増やしてもよい。
図19の例では、
図17と同様に、フレーム番号が進むたびに、送受信制御部111は、送信する角度を切り替え、同時に送信開口の短軸方向の口径サイズも切り替える。
図19では、合成するフレームに、短軸口径1(小口径)を設定したフレームと短軸口径2(大口径)を設定したフレームが同じ数含まれるように、画像合成部107は、6枚のフレームを合成して合成画像を得ている。しかしながら、フレームレート等を向上させるために、画像合成部107は、5枚のフレームを合成してもよい。
【0137】
図20に示した例では、送信する角度5方向(0度、+α度、-α度、+β度、-β度)であって、
図18と同様に、送信する角度と、送信開口の短軸方向の口径サイズとの組み合わせを固定化している。
図20の例では送信する角度が0度および±β度のとき、送信開口を短軸口径2(大口径)に設定し、角度が±α度のとき、送信開口を短軸口径1(小口径)に設定する例である。
【0138】
なお、送信する角度と、送信開口の短軸方向の口径サイズとの組みあわせは、用途や効果に応じて適宜変えてもよい。
【0139】
図16から
図20では、画像合成部107が合成処理をすべて画像データ(絶対値化したフレームデータ)で行う構成であったが、短軸方向の送信口径が異なる送信開口を設定して得た受信ビーム信号を、位相情報を持つ受信ビーム信号(RFデータ)の段階で合成してもよい。例えば、
図21および
図22に示すように、
図16および
図17と同様に送受信制御部111は、送信する角度と、短軸方向の口径サイズをそれぞれフレーム番号が進むたびに切り替える構成であって、
図16のステップ337とステップ438の間に、ステップ801を行う。
【0140】
ステップ801では、信号合成部104が、フレームNの受信ビーム信号とフレームデータN-1の対応する受信ビーム信号とをそれぞれ重み付けして合成する。信号合成部104は、重みを、短軸方向の送信開口の口径サイズに応じて、
図3のように設定する。これにより、短軸方向の送信口径が異なる送信開口を設定して得た受信ビーム信号を、位相情報を持つ受信ビーム信号(RFデータ)の段階で合成することができる。
【0141】
画像形成部105は、信号合成部104が合成した受信ビーム信号を絶対値化して並べる等の処理により画像データ(フレームデータ)を生成し、画像メモリ部106に格納する(ステップ438)。
【0142】
画像合成部107は、画像メモリ部106に格納されたフレームデータNと過去2回分のフレームデータN-1、N-2を合成し、表示する(ステップ802)。これにより、角度コンパウンドを行うことができる。
【0143】
なお、
図21のフローにおいて、
図16と同じ処理については、同じステップ番号を付し、説明を省略する。
【0144】
図21および
図22の撮像動作により、短軸方向において異なる口径サイズを設定して得た受信ビーム信号の合成は、RFデータで行いながら、角度コンパウンドは、画像データで行うことができる。
【0145】
尚、
図22で示した送信する角度と送信開口の口径サイズとを組み合わせは1例に過ぎず、適宜変更することが可能である。
【0146】
また、
図22では、送信する角度と送信開口の短軸方向の口径サイズが、フレーム番号が進むたびに切り替わる構成を示したが、
図18の例と同様に、送信する角度と送信開口の口径サイズとの組みあわせを固定してもよい。また、送信する角度を3方向ではなく、5方向以上に増やすことも可能である。さらに、送信開口の短軸方向の口径サイズを、2段階ではなく3段階以上に増やしてもよい。
【0147】
図23および
図24に示した撮像動作は、
図21および
図22と同様に、送受信制御部111が、短軸方向において異なる口径サイズを設定して得た受信ビーム信号を、信号合成部104がRFデータで合成する構成である。ただし、送受信制御部111は、短軸方向における口径サイズを、
図11と同様に、1送受信毎に切り替える構成とした点で、
図21および
図22とは異なる。
【0148】
すなわち、
図23ではステップ339において、送受信制御部111は、
図11と同様に1送受毎に送信開口の短軸方向の口径サイズを小口径(短軸口径1)と大口径(短軸口径2)とで切り替え、かつ、ステップ441において、フレーム毎に、最初の送信の送信開口の短軸方向の口径サイズを小口径(短軸口径1)と大口径(短軸口径2)とで切り替える。このようにすることで1フレーム内に小口径(短軸口径1)の送信開口を設定して得た受信ビーム信号と大口径(短軸口径2)の送信開口を設定して得た受信ビーム信号とが交互に含まれるため、実効的なフレームレートの向上が可能する。
【0149】
なお、
図23のフローにおいて、
図21のフローと同じ処理については、同じステップ番号を付し、説明を省略する。
【0150】
また、
図23で示した送信する角度と送信開口の口径サイズとを組み合わせは1例に過ぎず、適宜変更することが可能である。また、送信する角度と送信開口の口径サイズとの組みあわせを固定してもよい。また、送信する角度を5方向以上に増やすことも可能である。さらに、送信開口の短軸方向の口径サイズを、2段階ではなく3段階以上に増やしてもよい。
【0151】
なお、
図23および
図24の撮像動作においても、送信する角度の方向の数は3より多くてもよい。また、短軸口径サイズと段数とその組み合わせは適宜変えても何ら本質的な違いはない。
【0152】
上述してきたように、送信開口の短軸方向において異なる口径サイズを設定して得られた受信ビーム信号の合成は、位相情報を含むRFデータで実施してもよいし、絶対値化された画像データで実施してもよい。両者で得られる画像の質感などは異なる場合があるため、ユーザは、操作パネル113を操作することにより、RFデータで合成するか、画像データで合成するかを選択し、ラインデータ合成/フレームデータ合成選択部112が、信号合成部104および画像合成部107の動作を切り替える制御を行う構成にすればよい。これにより、適宜最適な合成方法をユーザは選択することが可能である。
【符号の説明】
【0153】
1:プローブ、3:振動子、4:送信開口、4a:第1送信開口、4b:第2送信開口、5:被検体、10:第1送信ビーム、10a:第1深度領域、11:第2送信ビーム、11a:第2深度領域、14:短軸口径切り替えスイッチ、20:第1受信ビーム信号、21:第2受信ビーム信号、22:第3受信ビーム信号、100:超音波撮像装置、101:送信部、102:受信部、103:信号メモリ部、104:信号合成部、105:画像形成部、106:画像メモリ部、107:画像合成部、108:表示処理部、109:表示部、111:送受信制御部、112:ラインデータ合成/フレームデータ合成選択部110:制御部、113:操作パネル、122:合成受信ビーム、212:合成送信ビーム