(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】ハイブリッド温水暖房システム
(51)【国際特許分類】
F24H 1/48 20220101AFI20240719BHJP
F24D 3/00 20220101ALI20240719BHJP
F24H 4/02 20220101ALI20240719BHJP
F24H 15/156 20220101ALI20240719BHJP
F24H 15/212 20220101ALI20240719BHJP
F24H 15/258 20220101ALI20240719BHJP
F24H 15/269 20220101ALI20240719BHJP
F24H 15/36 20220101ALI20240719BHJP
F24H 15/38 20220101ALI20240719BHJP
【FI】
F24H1/48
F24D3/00 B
F24H4/02 B
F24H4/02 Z
F24H15/156
F24H15/212
F24H15/258
F24H15/269
F24H15/36
F24H15/38
(21)【出願番号】P 2021021677
(22)【出願日】2021-02-15
【審査請求日】2023-07-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大川原 巧実
(72)【発明者】
【氏名】菅 崇
(72)【発明者】
【氏名】下司 大弥
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 恵祐
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-134089(JP,A)
【文献】特開2020-159663(JP,A)
【文献】特開2016-151366(JP,A)
【文献】特開2000-111120(JP,A)
【文献】特開2016-040500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D1/00-3/18
F24H1/00-15/493
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス加熱器、前記ガス加熱器から受熱する第1熱源側熱交換器、及び、第1負荷側熱交換器、を温水配管で接続して、温水循環回路を形成し、
圧縮機、外気と熱交換可能な第2熱源側熱交換器、及び、第2負荷側熱交換器、を冷媒配管で接続して、冷媒循環回路を形成し、
前記第1負荷側熱交換器、前記第2負荷側熱交換器、少なくとも1つの負荷端末を、前記第2負荷側熱交換器と前記第1負荷側熱交換器とが直列に配設されるようにしつつ循環液配管で接続して、負荷側回路を形成し、
前記圧縮機を駆動して前記第2負荷側熱交換器における冷媒からの受熱により循環液を加温して前記負荷端末へ供給するヒートポンプ暖房運転、及び、前記ガス加熱器を駆動して前記第1負荷側熱交換器における温水からの受熱により前記循環液を加温して前記負荷端末へ供給するガス暖房運転、を含む複数種類の運転態様のうちいずれか1つを選択的に実行可能なハイブリッド温水暖房システムにおいて、
外気温を検出する温度検出手段と、
前記ガス暖房運転時において前記温度検出手段により検出される前記外気温を補正する温度補正手段と、
前記温度検出手段により検出された外気温
と、前記温度補正手段により補正された補正後外気温とに応じて、前記ヒートポンプ暖房運転若しくは前記ガス暖房運転に切り替えるように、前記ガス加熱器及び前記圧縮機を制御する運転切替手段と、
前記ヒートポンプ暖房運転時に駆動され、前記第2熱源側熱交換器に外気を通風する送風ファンと、
前記負荷側回路において前記第2負荷側熱交換器に流れる循環液温度を検出する循環液温度検出手段と、
を有し、
前記温度検出手段は、
前記送風ファンによる通風に臨む位置に設けられており、
前記温度補正手段は、
前記運転切替手段により前記ヒートポンプ暖房運転から若しくは運転停止状態から前記ガス暖房運転に切り替えられた際に、前記温度検出手段により随時検出される前記外気温を、前記循環液温度検出手段により随時検出される循環液温度を用いて補正する
ことを特徴とするハイブリッド温水暖房システム。
【請求項2】
前記温度補正手段は、
前記運転切替手段により前記ヒートポンプ暖房運転から若しくは運転停止状態から前記ガス暖房運転に切り替えられた第1タイミングから、当該第1タイミングより所定時間経過後の第2タイミングまでの間は、前記温度検出手段により随時検出される前記外気温を、前記第1タイミングにおける前記外気温の値に一律に補正する
ことを特徴とする
請求項1記載のハイブリッド温水暖房システム。
【請求項3】
ガス加熱器、前記ガス加熱器から受熱する第1熱源側熱交換器、及び、第1負荷側熱交換器、を温水配管で接続して、温水循環回路を形成し、
圧縮機、外気と熱交換可能な第2熱源側熱交換器、及び、第2負荷側熱交換器、を冷媒配管で接続して、冷媒循環回路を形成し、
前記第1負荷側熱交換器、前記第2負荷側熱交換器、少なくとも1つの負荷端末を、前記第2負荷側熱交換器と前記第1負荷側熱交換器とが直列に配設されるようにしつつ循環液配管で接続して、負荷側回路を形成し、
前記圧縮機を駆動して前記第2負荷側熱交換器における冷媒からの受熱により循環液を加温して前記負荷端末へ供給するヒートポンプ暖房運転、及び、前記ガス加熱器を駆動して前記第1負荷側熱交換器における温水からの受熱により前記循環液を加温して前記負荷端末へ供給するガス暖房運転、を含む複数種類の運転態様のうちいずれか1つを選択的に実行可能なハイブリッド温水暖房システムにおいて、
外気温を検出する温度検出手段と、
前記ガス暖房運転時において前記温度検出手段により検出される前記外気温を補正する温度補正手段と、
前記温度検出手段により検出された外気温と、前記温度補正手段により補正された補正後外気温とに応じて、前記ヒートポンプ暖房運転若しくは前記ガス暖房運転に切り替えるように、前記ガス加熱器及び前記圧縮機を制御する運転切替手段と、
前記ヒートポンプ暖房運転時に駆動され、前記第2熱源側熱交換器に外気を通風する送風ファンと、
を有し、
前記温度検出手段は、
前記送風ファンによる通風に臨む位置に設けられており、
前記温度補正手段は、
前記運転切替手段により前記ヒートポンプ暖房運転から若しくは運転停止状態から前記ガス暖房運転に切り替えられた際に、
前記運転切替手段により前記ヒートポンプ暖房運転から若しくは運転停止状態から前記ガス暖房運転に切り替えられた第1タイミングから、当該第1タイミングより所定時間経過後の第2タイミングまでの間は、前記温度検出手段により随時検出される前記外気温を、前記第1タイミングにおける前記外気温の値に一律に補正し、
前記第2タイミング以降は、前記温度検出手段により随時検出される前記外気温を、当該第2タイミングにおける前記外気温の値と前記第1タイミングにおける前記外気温の値との偏差を用いて補正する
ことを特徴とす
るハイブリッド温水暖房システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、圧縮機を備えた冷媒循環回路とガス加熱器を備えた温水循環回路とを有する、ハイブリッド温水暖房システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種の暖房システムにおいては、特許文献1に記載のように、負荷端末を備えた負荷側回路に、ガス加熱器により加熱された温水が流通する温水循環回路と熱交換する第1熱交換器と、圧縮機を備えたヒートポンプの冷媒循環回路と熱交換する第2熱交換器とを設け、冷媒側及び温水側それぞれから受熱可能に構成したものがあった。また、特許文献2には、ガス加熱による暖房運転とヒートポンプによる暖房運転とを切り替えるときの判断手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-159663号公報
【文献】特許第6712505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の従来技術では、負荷側回路が冷媒側から受熱するヒートポンプの運転時には、冷媒循環回路の冷媒が、空気熱交換器において外気と熱交換し吸熱した後に第2熱交換器に導かれ、当該第2熱交換器において負荷側回路内の循環液と熱交換することで循環液が加熱される。加温された循環液は、負荷側回路内に設けられた循環ポンプが駆動されることにより循環液配管内を負荷端末へと導かれる。このとき空気熱交換器にはファンが設けられており、ファンが駆動されて空気熱交換器に通風することで前記した外気と冷媒との熱交換が行われる。ファンの駆動制御のために、空気熱交換器の近傍には外気温センサが設けられる。
【0005】
また、負荷側回路が温水側から受熱するガス加熱器の運転時には、ガス加熱器の駆動により加熱された温水循環回路の温水が第1熱交換器に導かれ、当該第1熱交換器において負荷側回路内の循環液と熱交換することで循環液が加熱される。加温された循環液は、負荷側回路内に設けられた循環ポンプが駆動されることにより循環液配管内を負荷端末へと導かれる。
【0006】
一方、特許文献2に記載の従来技術では、ヒートポンプ側の成績係数及びガス加熱器側の成績係数に基づき、その時点でヒートポンプ及びガス加熱器のうちどちらを用いて暖房を行うのが低コストであるかが判断される。したがって、この手法を上記特許文献1に記載の構成におけるヒートポンプの運転及びガス加熱器の運転の切り替えに適用し、より低コストである運転態様に切り替えることが考えられる。その低コスト側への切り替えを高い精度で行うにはその時点での外気温を参照するのが好ましいことから、前記の空気熱交換器の近傍の外気温センサにより検出された外気温が用いられることとなる。
【0007】
ここで、特許文献1に記載のようなヒートポンプの構成においては、一般に、圧縮機及び前記空気熱交換器等を含む前記冷媒循環回路の構成要素は、前記ファン及び前記外気温センサとともに室外機内に組み込まれる場合が多い。またその際、前記冷媒側からの循環液側への放熱を行う前記第2熱交換器も、前記室外機に組み込まれる場合がある。
【0008】
そして、その室外機内の機器配置レイアウトによっては、前記第2熱交換器及びこれに通じる前記循環液配管が、前記外気温センサの近傍に位置する場合がある。この場合に、循環液配管内に加温された循環液が循環することで循環液配管の周囲雰囲気への放熱が生じた際、前記のヒートポンプの運転時にはファンが駆動されて空気が流通するため、循環液配管の近傍の前記外気温センサによる検出への影響はほとんどない。しかしながら、前記ガス加熱器の運転時にはファンが駆動されないことから、前記の循環液配管から周囲への放熱により外気温センサの検出結果に誤差が生じ外気温が正しく取得されない可能性がある。その場合、前記のヒートポンプの運転及びガス加熱器の運転の切り替えを適正に行えない可能性があるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、ガス加熱器、前記ガス加熱器から受熱する第1熱源側熱交換器、及び、第1負荷側熱交換器、を温水配管で接続して、温水循環回路を形成し、圧縮機、外気と熱交換可能な第2熱源側熱交換器、及び、第2負荷側熱交換器、を冷媒配管で接続して、冷媒循環回路を形成し、前記第1負荷側熱交換器、前記第2負荷側熱交換器、少なくとも1つの負荷端末を、前記第2負荷側熱交換器と前記第1負荷側熱交換器とが直列に配設されるようにしつつ循環液配管で接続して、負荷側回路を形成し、前記圧縮機を駆動して前記第2負荷側熱交換器における冷媒からの受熱により循環液を加温して前記負荷端末へ供給するヒートポンプ暖房運転、及び、前記ガス加熱器を駆動して前記第1負荷側熱交換器における温水からの受熱により前記循環液を加温して前記負荷端末へ供給するガス暖房運転、を含む複数種類の運転態様のうちいずれか1つを選択的に実行可能なハイブリッド温水暖房システムにおいて、外気温を検出する温度検出手段と、前記ガス暖房運転時において前記温度検出手段により検出される前記外気温を補正する温度補正手段と、前記温度検出手段により検出された外気温と、前記温度補正手段により補正された補正後外気温とに応じて、前記ヒートポンプ暖房運転若しくは前記ガス暖房運転に切り替えるように、前記ガス加熱器及び前記圧縮機を制御する運転切替手段と、前記ヒートポンプ暖房運転時に駆動され、前記第2熱源側熱交換器に外気を通風する送風ファンと、前記負荷側回路において前記第2負荷側熱交換器に流れる循環液温度を検出する循環液温度検出手段と、を有し、前記温度検出手段は、前記送風ファンによる通風に臨む位置に設けられており、前記温度補正手段は、前記運転切替手段により前記ヒートポンプ暖房運転から若しくは運転停止状態から前記ガス暖房運転に切り替えられた際に、前記温度検出手段により随時検出される前記外気温を、前記循環液温度検出手段により随時検出される循環液温度を用いて補正するものである。
【0013】
また、請求項2では、前記温度補正手段は、前記運転切替手段により前記ヒートポンプ暖房運転から若しくは運転停止状態から前記ガス暖房運転に切り替えられた第1タイミングから、当該第1タイミングより所定時間経過後の第2タイミングまでの間は、前記温度検出手段により随時検出される前記外気温を、前記第1タイミングにおける前記外気温の値に一律に補正するものである。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明の請求項3では、ガス加熱器、前記ガス加熱器から受熱する第1熱源側熱交換器、及び、第1負荷側熱交換器、を温水配管で接続して、温水循環回路を形成し、圧縮機、外気と熱交換可能な第2熱源側熱交換器、及び、第2負荷側熱交換器、を冷媒配管で接続して、冷媒循環回路を形成し、前記第1負荷側熱交換器、前記第2負荷側熱交換器、少なくとも1つの負荷端末を、前記第2負荷側熱交換器と前記第1負荷側熱交換器とが直列に配設されるようにしつつ循環液配管で接続して、負荷側回路を形成し、前記圧縮機を駆動して前記第2負荷側熱交換器における冷媒からの受熱により循環液を加温して前記負荷端末へ供給するヒートポンプ暖房運転、及び、前記ガス加熱器を駆動して前記第1負荷側熱交換器における温水からの受熱により前記循環液を加温して前記負荷端末へ供給するガス暖房運転、を含む複数種類の運転態様のうちいずれか1つを選択的に実行可能なハイブリッド温水暖房システムにおいて、外気温を検出する温度検出手段と、前記ガス暖房運転時において前記温度検出手段により検出される前記外気温を補正する温度補正手段と、前記温度検出手段により検出された外気温と、前記温度補正手段により補正された補正後外気温とに応じて、前記ヒートポンプ暖房運転若しくは前記ガス暖房運転に切り替えるように、前記ガス加熱器及び前記圧縮機を制御する運転切替手段と、前記ヒートポンプ暖房運転時に駆動され、前記第2熱源側熱交換器に外気を通風する送風ファンと、を有し、前記温度検出手段は、前記送風ファンによる通風に臨む位置に設けられており、前記温度補正手段は、前記運転切替手段により前記ヒートポンプ暖房運転から若しくは運転停止状態から前記ガス暖房運転に切り替えられた際に、前記運転切替手段により前記ヒートポンプ暖房運転から若しくは運転停止状態から前記ガス暖房運転に切り替えられた第1タイミングから、当該第1タイミングより所定時間経過後の第2タイミングまでの間は、前記温度検出手段により随時検出される前記外気温を、前記第1タイミングにおける前記外気温の値に一律に補正し、前記第2タイミング以降は、前記温度検出手段により随時検出される前記外気温を、当該第2タイミングにおける前記外気温の値と前記第1タイミングにおける前記外気温の値との偏差を用いて補正するものである。
【発明の効果】
【0015】
この発明の請求項1によれば、ヒートポンプ暖房運転又はガス暖房運転を選択的に実行可能である。
【0016】
ヒートポンプ暖房運転が行われる際には、圧縮機が駆動されることで冷媒が第2熱源側熱交換器において外気と熱交換し吸熱した後に第2負荷側熱交換器に導かれ、当該第2負荷側熱交換器において負荷側回路内の循環液と熱交換することで循環液が加熱される。前記第2負荷側熱交換器における冷媒からの受熱により加温された循環液が循環液配管を介し負荷端末へ供給され、対象空間の暖房が行われる。
【0017】
ガス暖房運転が行われる際には、温水循環回路においてガス加熱器により加熱された温水が第1負荷側熱交換器に導かれ、当該第1負荷側熱交換器において負荷側回路内の循環液と熱交換することで循環液が加熱される。前記第1負荷側熱交換器における冷媒からの受熱により加温された循環液が循環液配管を介し負荷端末へ供給され、対象空間の暖房が行われる。
【0018】
それらヒートポンプ暖房運転及びガス暖房運転のいずれを実行するかは、運転切替手段によって切り替えられる。運転切替手段は、温度検出手段が検出した外気温に基づき、前記の運転の切り替えを行う。その際、ガス暖房運転が行われるときには、温度補正手段によって前記温度検出手段が検出した外気温の補正が行われる。これにより、前記のようにして循環液配管の近傍に配置された温度検出手段の検出結果においてガス暖房運転時の循環液の循環により誤差が生じたとしても、その誤差分を適宜に補正することができる。運転切替手段は、こうして補正された補正後外気温に基づいて前記の運転の切り替えを行うので、前記の弊害を回避し、ヒートポンプの運転及びガス加熱器の運転の切り替えを適正に行うことができる。
【0019】
また、請求項1によれば、ヒートポンプ暖房運転時においては、送風ファンが駆動されて第2熱源側熱交換器に外気が通風される。これにより、冷媒循環回路内の冷媒と外気との熱交換を確実に行うことができる。また温度検出手段は、送風ファンによる前記通風に臨む位置に設けられている。これにより、送風ファンが駆動されると外気の風が温度検出手段に当たるため、前記のように循環液配管の近傍に温度検出手段が設けられていたとしても、循環液配管からの放熱の影響で検出精度が阻害されることなく正しい外気温を取得することができる。
【0020】
また、請求項1によれば、温度補正手段は、ヒートポンプ暖房運転から若しくは運転停止状態からガス暖房運転への切り替えが行われる際に、前記温度検出手段が検出した外気温の補正を行う。これにより、前記のように温度検出手段の検出結果における誤差が、ガス暖房運転において生じるようになっても、その誤差を確実に補正することができる。運転切替手段は、補正後外気温に基づき、ヒートポンプ暖房運転若しくはガス暖房運転に切り替えることができる。
【0021】
また、請求項1によれば、温度補正手段が補正を行う際、前記のようにして随時検出される外気温を循環液温度検出手段により随時検出される循環液温度を用いて可変に補正する。これにより、外気温の変化を、前記した循環液配管からの放熱による影響をなるべく少なくしつつ、検知することができる。
【0022】
また、請求項2によれば、温度補正手段が補正を行う際、ヒートポンプ暖房運転から若しくは運転停止状態からガス暖房運転に切り替わった第1タイミングから、その第1タイミングから所定時間経過後の第2タイミングまでの間は、一律に同じ値への補正とする。具体的には、前記のようにして随時検出される外気温を、前記第1タイミングにおける外気温の値に一律に補正する。これにより、送風ファンの停止状態のまま循環液配管からの放熱の影響を受けることとなる、第1タイミング以降の外気温の検出値に含まれる誤差を低減することができる。
【0023】
また、請求項3によれば、温度補正手段が補正を行う際、第1タイミングから所定時間経過後の前記第2タイミング以降は、可変に補正する。具体的には、前記のようにして随時検出される外気温を、前記第2タイミングにおける外気温の値と前記第1タイミングにおける外気温の値との偏差を用いて、可変に補正する。すなわち、第1タイミングと第2タイミングとの間で生じた前記偏差を、前記した循環液配管からの放熱により生じた誤差分であるとみなし、これを用いて第2タイミング以降の外気温を補正する。これにより、第2タイミング以降の外気温の変化を、前記した循環液配管からの放熱による影響をなるべく少なくしつつ、検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態のハイブリッド温水暖房システム全体の回路構成図
【
図2】ヒートポンプ単独暖房運転時の作動を説明する図
【
図7】外気温センサが検出した値と実際の外気温とを対比して表したグラフ図
【
図8】外気温センサが検出した値と実際の外気温とを対比して表した表
【
図9】温度補正部によって行われる補正の一例を表すグラフ図
【
図10】温度補正部によって行われる補正の他の例を表すグラフ図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態を
図1~
図10に基づいて説明する。
【0026】
本実施形態は、本発明を複合熱源型のハイブリッド温水暖房システムに適用した場合の実施形態である。
【0027】
<全体回路構成>
本実施形態のハイブリッド温水暖房システム1全体の回路構成を
図1に示す。
図1に示すように、前記ハイブリッド温水暖房システム1は、熱交換ユニット4Aと、ガス暖房給湯器ユニット4Bと、ヒートポンプユニット5と、を備えている。このハイブリッド温水暖房システム1には、熱交換端末36(負荷端末に相当)に循環液L(例えば、水や不凍液)を循環させる、負荷側回路としての端末循環回路30と、前記熱交換ユニット4A及び前記ガス暖房給湯器ユニット4Bに備えられ、ガス加熱による熱源を利用して前記熱交換端末36側の循環液Lを加熱可能な温水循環回路40と、前記ヒートポンプユニット5に備えられ、空気熱源を利用して前記熱交換端末36側の循環液Lを加熱又は冷却可能な冷媒循環回路50と、が設けられている。
【0028】
<温水循環回路>
温水循環回路40は、出力可変のガス加熱器(気体又は液体燃料の燃焼ガスで加熱する燃焼式加熱器であり、いわゆるバーナー)43と、第1負荷側熱交換器としての第1熱交換器41と、第1熱源側熱交換器としての暖房熱交換器45と、温水循環ポンプ44と、が、温水配管42によって環状に接続されている。
【0029】
前記第1熱交換器41は、例えばプレート式熱交換器で構成されている。このプレート式熱交換器は、複数の伝熱プレートが積層され、温水C1(例えば、水や不凍液。後述の
図3等参照)を流通させる冷媒流路と前記循環液Lを流通させる流体流路とが各伝熱プレートを境にして交互に形成されているものである。
【0030】
前記暖房熱交換器45は、ガス加熱器43から受熱することで、温水配管42内の温水を加熱する。なお、このとき、暖房熱交換器45と同様に、ガス加熱器43から受熱可能に給湯熱交換器46が設けられている。給湯熱交換器46に備えられた水配管47には外部からの市水が供給されており、ガス加熱器43からの受熱により加熱された温水は、水配管47に接続された給湯栓48へと供給される。すなわち、ガス加熱器43、暖房熱交換器45、及び給湯熱交換器46は、いわゆるボイラーを構成している。
【0031】
また、ガス加熱器43から導出された温水C1の温度は、ボイラー往き温度センサ42aによって検出され、その検出結果は、ボイラー制御装置63へ入力される。また、ボイラー制御装置63にはリモコン60が接続されており、リモコン60での手動操作によりガス加熱器43の加熱能力を調節することもできる。
【0032】
<冷媒循環回路>
冷媒循環回路50は、能力可変の圧縮機53と、第2負荷側熱交換器としての第2熱交換器51と、膨張弁54と、外気と熱交換可能に構成された第2熱源側熱交換器としての空気熱交換器55とが、冷媒配管52によって環状に接続されている。この冷媒配管52には、前記冷媒循環回路50における冷媒C2(後述の
図2等参照)の流れ方向を切り換える切換弁としての四方弁58が設けられている。また前記空気熱交換器55には、送風ファン56が設けられている。
【0033】
前記第2熱交換器51は、前述と同様、例えばプレート式熱交換器で構成されており、前記冷媒C2を流通させる冷媒流路と前記循環液Lを流通させる流体流路とが各伝熱プレートを境にして交互に形成されているものである。
【0034】
また、圧縮機53から吐出された冷媒C2の温度は、冷媒吐出温度センサ52aによって検出される。同様に、膨張弁54から空気熱交換器55までの冷媒配管52に設けられた冷媒温度センサ52bによって、低圧側(暖房時)又は高圧側(冷房時)の冷媒C2の温度が検出される。さらに、外気の温度が、例えば空気熱交換器55又はその近傍に設置された外気温センサ57(温度検出手段に相当)によって検出される。なお、外気温センサ57は、送風ファン56により誘起される外気の通風路(通風に臨む位置)に設けられ、送風ファン56の回転時に生じる通風は外気温センサ57に当たるようになっている。そして、前記冷媒吐出温度センサ52a、冷媒温度センサ52b、及び前記外気温センサ57の検出結果は、ヒートポンプ制御装置62へ入力される。また、ヒートポンプ制御装置62にはリモコン60が通信可能に接続されており、リモコン60での手動操作により冷媒循環回路50の能力を調節することができる(詳細は後述)。
【0035】
なお、前記冷媒循環回路50の前記冷媒C2としては、例えばR410AやR32等のHFC冷媒や二酸化炭素冷媒等の任意の冷媒を用いることができる。
【0036】
<端末循環回路>
端末循環回路30は、前記第1熱交換器41と、前記第2熱交換器51と、少なくとも1つの熱交換端末36とが、循環液配管としての負荷配管31によって上流側から順に環状に接続されている。熱交換端末36としては、例えば、床暖房パネル、暖房パネル、冷温水パネル、ラジエータ、ファンコイル、パネルコンベクタ等が含まれる。図示の例では、1つの床暖房パネルが接続された例を示している。この負荷配管31には、端末循環回路30に前記循環液Lを循環させる循環液循環ポンプ32と、循環液Lを貯留し端末循環回路30の圧力を調整する圧力調整タンク(図示省略)とが設けられている。また、前記熱交換端末36は、端末用リモコン(図示省略)によって操作可能である。なお、熱交換端末36は、
図1では1つ設けられているが、2つ以上であってもよく、数量や仕様が特に限定されるものではない。
【0037】
このとき、端末循環回路30においては、前記第1熱交換器41と前記第2熱交換器51とが直列に接続されており、かつ、前記したように、端末循環回路30を循環する循環液Lの流れに対して、前記第2熱交換器51が前記第1熱交換器41よりも上流側に配設されている。なお、前記第2熱交換器51が前記第1熱交換器41よりも下流側に配設される構成でもよい。すなわち、前記ハイブリッド温水暖房システム1は、ガス加熱による熱源を利用して前記熱交換端末36側の循環液Lを加熱可能な温水循環回路40の第1熱交換器41と、空気熱源を利用して熱交換端末36側の循環液Lを加熱又は冷却する冷媒循環回路50の第2熱交換器51とが、端末循環回路30に対して直列に接続された、複合熱源ヒートポンプ装置となっているものである。
【0038】
なお、負荷配管31には、熱交換端末36から第2熱交換器51に流入する循環液Lの温度を検出する戻り温度センサ34(循環液温度検出手段に相当)と、第2熱交換器51から第1熱交換器41側へ流出する循環液Lの温度を検出する第2往き温度センサ35(循環液温度検出手段に相当)と、第1熱交換器41から熱交換端末36側へ流出する循環液Lの温度を検出する第1往き温度センサ33と、が設けられている。第1往き温度センサ33の検出結果は、熱交換ユニット制御装置61へ入力される。戻り温度センサ34及び第2往き温度センサ35の検出結果は、ヒートポンプ制御装置62へ入力される。また本実施形態においては、ヒートポンプユニット5内の機器配置レイアウトにおいて、前記第2熱交換器51及びこれに通じる前記負荷配管31が、前記外気温センサ57の近傍に位置している。具体的には、負荷配管31内に前記加温された循環液Lが通じるときの負荷配管31からの放熱が届き、その放熱を検知可能な範囲内に外気温センサ57が配置されている。
【0039】
また、前記ヒートポンプ制御装置62、前記熱交換ユニット制御装置61、及び、前記ボイラー制御装置63は、互いに情報送受信可能に接続されており、前述のように入力された各センサの検出結果を互いに共有することができる。
【0040】
<暖房運転>
ここで、前記ハイブリッド温水暖房システム1は、前記の四方弁58の切替によって暖房運転を行う暖房装置、若しくは、冷房運転を行う冷房装置として選択的に機能させることができる。特に暖房運転の場合は、冷媒循環回路50を介した空気熱源の利用のみにより循環液Lの加熱を行う暖房運転(以下適宜、「HP単独暖房運転」という。ヒートポンプ暖房運転に相当)と、温水循環回路40を介したガス加熱による熱源の利用のみにより循環液Lの加熱を行う暖房運転(以下適宜、「ガス単独暖房運転」という。ガス暖房運転に相当)との2つを選択的に実行することができる。
【0041】
<HP単独暖房運転>
図2に、HP単独暖房運転時の状態を示す。なお、図示の煩雑を防止するために、
図1に示していた各種の信号線は省略している。この
図2に示すHP単独暖房運転時においては、前記冷媒循環回路50では、図示のように前記四方弁58が切り替えられることで、圧縮機53から吐出された冷媒C2を、第2熱交換器51、膨張弁54、空気熱交換器55の順に流通させた後、圧縮機53に戻す流路を形成する。これにより、低温・低圧で吸入されたガス状態の冷媒C2が前記圧縮機53で圧縮されて高温・高圧のガスとなった後、凝縮器として機能する前記第2熱交換器51において前記端末循環回路30を流れる循環液Lと熱交換を行って前記循環液Lを加熱しながら高圧の液体に変化する。こうして液体となった冷媒C2は前記膨張弁54において減圧されて低圧の液体となって蒸発しやすい状態となり、蒸発器として機能する前記空気熱交換器55において、送風ファン56の作動により送られる空気との熱交換を行って蒸発してガスに変化することで吸熱した後、低温・低圧のガスとして再び前記圧縮機53へと戻る。
【0042】
このとき、端末循環回路30では、循環液循環ポンプ32により第2熱交換器51に流入した循環液Lは、蒸発器として機能する前記第2熱交換器51において、前記空気熱交換器55で外気と熱交換し前記のように加熱された前記冷媒C2との熱交換を行って受熱する。こうして加温された循環液Lは、その後、前記熱交換端末36に供給されて被空調空間を加温する。
【0043】
なお、以上においては暖房運転を例にとって説明したが、熱交換端末36として冷房可能な端末が用いられる場合には、四方弁58が切り替えられることで、圧縮機53から吐出された冷媒C2を、空気熱交換器55、膨張弁54、第2熱交換器51の順に流通させた後、圧縮機53に戻す流路を形成し、冷房運転を行うこともできる(詳細な説明は省略)。
【0044】
<ガス単独暖房運転>
図3に、ガス単独暖房運転時の状態を示す。前述と同様、
図1に示していた各種の信号線は省略している。この
図3に示すガス単独暖房運転時においては、温水循環ポンプ44により暖房熱交換器45に流入した温水C1が、暖房熱交換器45においてガス加熱器43の火力により加熱され、高温となる。その後、高温となっている温水C1は、前記第1熱交換器41において前記端末循環回路30を流れる循環液Lと熱交換を行って前記循環液Lを加熱して温度降下した後、再び暖房熱交換器45へと戻る。
【0045】
このとき、端末循環回路30では、循環液循環ポンプ32により第1熱交換器41に流入した循環液Lは、前記第1熱交換器41において、前記ガス加熱器43で前記のように加熱された前記温水C1との熱交換を行って受熱する。こうして加温された循環液Lは、その後、前記熱交換端末36に供給されて被空調空間を加温する。
【0046】
<制御装置の機能的構成>
次に、本実施形態における熱交換ユニット制御装置61、ボイラー制御装置63、及びヒートポンプ制御装置62について説明する。前記熱交換ユニット制御装置61、ボイラー制御装置63、及び前記ヒートポンプ制御装置62は、詳細な図示を省略するが、各種のデータやプログラムを記憶する記憶部と、演算・制御処理を行う制御部とを備えている。これら前記熱交換ユニット制御装置61、ボイラー制御装置63、及び前記ヒートポンプ制御装置62の機能的構成を
図4、
図5、及び
図6により説明する。なお、以下の
図4、
図5、
図6においては、前述のように互いに送受信可能である熱交換ユニット制御装置61、ボイラー制御装置63、ヒートポンプ制御装置62同士の信号送受信、及び、各制御装置を介した信号送受信については、適宜図示を省略し、実質的に後述の各制御部に入出力される信号を示している。
【0047】
<ヒートポンプ制御装置>
図4に示すように、前記ヒートポンプ制御装置62は、圧縮機制御部62Aと、膨張弁制御部62Bと、ポンプ制御部62Cと、ファン制御部62Dと、四方弁制御部62Eと、を機能的に備えている。
【0048】
圧縮機制御部62Aは、例えば前記戻り温度センサ34及び第2往き温度センサ35により検出された循環液Lの温度に応じて、前記圧縮機53の回転数を制御する。特にこの例では、圧縮機制御部62Aは、前記第2往き温度センサ35が検出する前記循環液Lの往き温度が、例えば前記リモコン60の操作に対応した所望の目標温度となるように、前記圧縮機53の回転数を制御する。
【0049】
膨張弁制御部62Bは、前記冷媒吐出温度センサ52aにより検出される冷媒C2の温度に応じて、前記膨張弁54の弁開度を制御する。特にこの例では、膨張弁制御部62Bは、冷媒吐出温度センサ52aにより検出される冷媒C2の温度が、例えば前記リモコン60の操作に対応した制御上の目標温度となるように、前記膨張弁54の弁開度を制御する。
【0050】
ポンプ制御部62Cは、例えば循環液Lの所望の目標温度や運転の種類に応じて、前記循環液循環ポンプ32の回転数を制御する。
【0051】
ファン制御部62Dは、前記外気温センサ57により検出された外気の温度に応じて、前記送風ファン56の回転数を制御する。
【0052】
前記四方弁制御部62Eには、前記リモコン60からの運転指示(暖房運転、冷風運転等のうちいずれの運転開始及び運転停止を指示する制御信号)、及び、熱交換ユニット制御装置61からの運転ON・OFF信号、が入力される。四方弁制御部62Eは、上記運転指示に応じて、実際に冷媒循環回路50をどのような運転態様で運転するかを決定し、対応する運転情報を、圧縮機制御部62A、膨張弁制御部62B、ポンプ制御部62C、ファン制御部62D、及び熱交換ユニット制御装置61へと出力する。また四方弁制御部62Eは、上記決定された運転態様に対応する制御信号を四方弁58へ出力し、四方弁58を切り替える。
【0053】
<熱交換ユニット制御装置>
図5に示すように、前記熱交換ユニット制御装置61は、運転制御部61Aと、加熱制御部61Bと、ポンプ制御部61Cと、を機能的に備えている。
【0054】
運転制御部61Aは、運転切替部61Aaと、温度補正部61Abとを備える。運転切替部61Aaは、例えば前記外気温センサ57により検出された外気の温度、第1往き温度センサ33により検出された第1熱交換器41からの循環液Lの往き温度、戻り温度センサ34により検出された熱交換端末36から第2熱交換器51に流入する循環液Lの戻り温度、及び、ヒートポンプ制御装置62から入力された前述の運転情報等に基づき、温水循環回路40のガス加熱器43等の運転・非運転、詳細には、冷媒循環回路50の圧縮機53等のみの運転とし温水循環回路40のガス加熱器43等を運転しない(前述のHP単独暖房運転)か、あるいは(冷媒循環回路50の圧縮機53等が運転されていない状態で)温水循環回路40のガス加熱器43等を運転する(前述のガス単独暖房運転)か、等を判定する。そして、その判定結果に基づき、ヒートポンプ制御装置62及びボイラー制御装置63に対し、運転を行う場合に対応する運転ON又は運転を行わない場合に対応する運転OFF信号を出力する。
【0055】
加熱制御部61Bは、例えば第1往き温度センサ33により検出された第1熱交換器41からの循環液Lの往き温度に基づき、ガス加熱器43の出力の大小を制御するための加熱制御信号をボイラー制御装置63へと出力する。
【0056】
ポンプ制御部61Cは、例えば循環液Lの所望の目標温度や運転の種類に応じて、温水循環ポンプ44の回転数を制御するための回転制御信号をボイラー制御装置63へと出力する。
【0057】
<ボイラー制御装置>
図6に示すように、ボイラー制御装置63は、例えば前記加熱制御部61Bからの加熱制御信号、前記ポンプ制御部61Cからの回転制御信号、及び、ボイラー往き温度センサ42aによって検出された温水C1の往き温度、等に基づき、温水循環ポンプ44の回転数及びガス加熱器43の出力を制御する。
【0058】
<実施形態の特徴>
以上の基本構成及び作動であるハイブリッド温水暖房システム1において、本実施形態の特徴は、前述の運転制御部61Aに備えられた運転切替部61Aaによる、前記のヒートポンプ単独暖房運転とガス単独暖房運転との切替態様にある。なお本願明細書でいうこの「切替」とは、ヒートポンプ単独暖房運転及びガス単独暖房運転のいずれに切り替わって運転が行われるか、という意味である。したがって、ヒートポンプ単独暖房運転からガス単独暖房運転へ運転態様が変わる場合、ガス単独暖房運転からヒートポンプ単独暖房運転へ運転態様が変わる場合、のほか、運転停止状態からヒートポンプ単独暖房運転へと運転態様が変わる場合、及び、運転停止状態からガス単独暖房運転へと運転態様が変わる場合も含まれるものである。
【0059】
すなわち、本実施形態では、運転切替部61Aaは、圧縮機53を備えた冷媒循環回路50側の成績係数(以下適宜、単に「COP」と称する)、及び、ガス加熱器43を備えた温水循環回路40側の熱効率に基づき、前記のヒートポンプ単独暖房運転とガス単独暖房運転とのうち、より低コストである運転態様のほうへと切り替えが行われる。
【0060】
このとき、前記成績係数は、冷媒循環回路50側の暖房能力を消費電力で除した値であり、予め外気温度毎の成績係数の値が算出され、ヒートポンプ制御装置62内に記憶されている。ヒートポンプ単独暖房運転に係わるコストは、予め記憶されている電力単価に前記COPを乗じることで、運転切替部61Aaにより単位暖房能力当たりのコストの形で算出される。なお、前記電力単価は、電力会社の料金体系に合わせ、時間帯ごとにユーザがリモコン60を介し適宜に入力し設定可能である。
また、前記熱効率は、温水循環回路40側の暖房能力をガス燃焼の発熱量で除した値である(事前に算出され記憶済の熱効率を読みだして固定的に使用してもよい)。ガス単独暖房運転に係わるコストは、予め記憶されている燃料単価(kW換算)に前記熱効率を乗じることで、運転切替部61Aaにより単位暖房能力当たりのコストの形で算出される。なお、前記燃料単価は、ユーザがリモコン60を介し適宜に入力し設定可能である。
【0061】
前記のようにして運転切替部61Aaにより算出されたヒートポンプ単独暖房運転及びガス単独暖房運転それぞれにおける単位暖房能力当たりのコストに基づき、そのときの外気温が所定の切替温度以上であればヒートポンプ単独暖房運転のほうが低コスト、当該切替温度未満であればガス単独暖房運転のほうが低コスト、のように切替温度を決定することができる。この場合、その時点の外気温を前記切換温度と比較するだけで、運転切替部61Aaがより低コストな運転態様へと切り替えを行うことができる。
【0062】
なお、上記のように単位暖房能力当たりのコストの比較で運転態様を決定する手法に限られず、単に外気温度の高・低のみで運転態様を決定する手法も考えられる。
【0063】
<外気温の検出誤差>
運転態様の決定及び切替に関する前記のいずれの手法においても、外気温を正確に取得することが好ましい。ここで、前記したように、本実施形態のハイブリッド温水暖房システム1では、ヒートポンプユニット5において、負荷配管31が前記外気温センサ57の近傍に位置し、外気温センサ57は、負荷配管31内に前記加温された循環液Lが通じるときの負荷配管31からの放熱の影響を受けてしまう範囲内に配置されている。前記のHP単独暖房運転時には送風ファン56が駆動されて空気が流通するため、負荷配管31の近傍の前記外気温センサ57による検出への影響はほとんどない。しかしながら、前記ガス単独暖房運転時には送風ファン56が駆動されないことから、前記の負荷配管31から周囲への放熱により外気温センサ57の検出結果に誤差が生じ外気温が正しく取得されない可能性がある。そのような誤差の一例を
図7及び
図8により説明する。
【0064】
図7及び
図8は、ハイブリッド温水暖房システム1と同様の構成において本願発明者等が実際に前記ガス単独暖房運転を行ったときの、外気温センサ57が検出した値と実際の外気温(別途の計測機器で計測)とを対比して表したグラフ及び表である。
【0065】
これら
図7及び
図8において、この実験では、実際の外気温が-15[℃]のとき、負荷配管31内の循環液温度が40[℃]の場合には外気温センサ57の検出値は-7[℃]となり、それらの間の偏差は8[℃]であった。循環液温度が50[℃]の場合には外気温センサ57の検出値は-6[℃]となって前記偏差は9[℃]に増大し、循環液温度が60[℃]の場合には外気温センサ57の検出値は-5[℃]となって前記偏差はさらに増大して10[℃]であった。
【0066】
また実際の外気温が-5[℃]のとき、負荷配管31内の循環液温度が40[℃]の場合には外気温センサ57の検出値は1[℃]となり、それらの間の偏差は6[℃]であった。循環液温度が50[℃]の場合には外気温センサ57の検出値は2[℃]となって前記偏差は7[℃]に増大し、循環液温度が60[℃]の場合には外気温センサ57の検出値は2.5[℃]となって前記偏差はさらに増大して7.5[℃]であった。
【0067】
また実際の外気温が10[℃]のとき、負荷配管31内の循環液温度が40[℃]の場合には外気温センサ57の検出値は12[℃]となり、それらの間の偏差は2[℃]であった。循環液温度が50[℃]の場合には外気温センサ57の検出値は12.5[℃]となって前記偏差は2.5[℃]に増大し、循環液温度が60[℃]の場合には外気温センサ57の検出値は13[℃]となって前記偏差はさらに増大して3[℃]であった。
【0068】
以上により、外気温がある温度となっている状態では、循環液Lの温度との温度差が大きいほど、実際の外気温と外気温センサ57の検出値との偏差すなわち誤差が大きくなることが分かる。また循環液Lの温度がある特定温度になっている状態でも、実際の外気温との温度差が大きいほど、前記誤差が大きくなることが分かる。
【0069】
このように、ガス単独暖房運転を行った場合には、そのままでは、負荷配管31から周囲への放熱により外気温センサ57の検出結果に誤差が生じる。このため、前記のヒートポンプ単独暖房運転及びガス単独暖房運転に関する上記切替を適正に行えない可能性がある。前記のように、概略的には、相対的に外気温が高い場合にはヒートポンプ単独暖房運転への切替が行われ、相対的に外気温が低い場合にはガス単独暖房運転への切替が行われる。しかしながら例えば前記
図7及び
図8の例では、実際の外気温が-5[℃]で循環液温度が60[℃]であった場合に、外気温が-3[℃]以下であることから本来はガス単独暖房運転への切替が行われるべきところ、外気温センサ57の検出値が2.5[℃]であるためにHP単独暖房運転への切替が行われてしまう、といったことが起こり得る。
【0070】
<温度補正部及び運転切替部>
そこで本実施形態では、前記したように、運転制御部61Aに温度補正部61Ab(温度補正手段に相当)が設けられ、ガス単独暖房運転が行われる際は、前記のように誤差を含む外気温センサ57の検出値に対し所定の補正(後述)が行われる。前記運転切替部61Aa(運転切替手段に相当)では、温度補正部61Abによる補正後の検出値(補正後外気温に相当)に基づき、ヒートポンプ単独暖房運転への切替やガス単独暖房運転への切替が行われる。
【0071】
すなわち、運転切替部61Aaは、外気温センサ57の検出値が温度補正部61Abによって補正された、補正後検出値を用いて、ヒートポンプ単独暖房運転及びガス単独暖房運転のいずれかに運転態様を決定する。これにより、運転制御部61Aは、運転切替部61Aaによってヒートポンプ単独暖房運転が決定された場合には、ヒートポンプ制御装置62に対し運転ON信号を出力するとともに、ボイラー制御装置63に対し運転OFF信号を出力する。また運転制御部61Aは、運転切替部61Aaによってガス単独暖房運転が決定された場合には、ヒートポンプ制御装置62に対し運転OFF信号を出力するとともに、ボイラー制御装置63に対し運転ON信号を出力する。
【0072】
特に、温度補正部61Abは、運転切替部61Aaによってヒートポンプ単独暖房運転からガス単独暖房運転に切り替えられたときに前記のように送風ファン56が駆動状態から駆動停止状態となること、あるいは運転停止状態からガス単独暖房運転に切り替えられたときに送風ファン56が駆動状態とならず駆動停止状態が維持されること、に鑑み、外気温センサ57の検出値に対してその切替タイミング以降、前記補正を開始する。運転切替部61Aaは、その補正開始に伴い、補正後の検出値に基づき運転態様を決定する。すなわち例えば、ヒートポンプ単独暖房運転からガス単独暖房運転への切替の際には、そのままガス単独暖房運転を継続したほうが低コストとなるのか、ガス単独暖房運転からヒートポンプ単独暖房運転へ再度切り替えたほうが低コストとなるのか、が判定される。運転停止状態からヒートポンプ単独暖房運転又はガス単独暖房運転への切替が行われる際には、ガス単独暖房運転としたほうが低コストとなるのか、ヒートポンプ単独暖房運転としたほうが低コストとなるのか、が判定される。
【0073】
<補正手法の一例>
次に、前記温度補正部61Abによって行われる補正の一例を
図9を用いて説明する。
図9は、前記HP単独暖房運転から前記ガス単独暖房運転に切り替えられたときの、外気温センサ57による検出値Tsと、温度補正部61Abにより補正された後の検出値(以下適宜、「補正後外気温」と称する。図示も同様)Tcorと、の時間推移を示している。
【0074】
図9において、この例では、時間t0で前記HP単独暖房運転から前記ガス単独暖房運転に切り替えられており、この切り替えられたタイミング(この例での第1タイミングに相当)での外気温センサ57の検出値Ts=T0となっている。この切替によって前記送風ファン56が駆動状態から停止状態となる結果、検出値Tsはじわじわと上昇し、所定時間(この例では30分)が経過した時間t1のタイミング(この例での第2タイミングに相当)でTs=T1となっている。この例では例えばT1-T0=4[℃]である。
【0075】
このような挙動の外気温センサ57の検出値Tsに対し、温度補正部61Abは、以下のような補正を行う。まず、前記時間t0~時間t1の間は、温度補正部61Abは、外気温センサ57により随時検出される検出値Tsを、前記T0に一律に補正し、補正後外気温Tcor=T0とする。言い換えれば、温度補正部61Abは、時間t0~時間t1の間は、補正後外気温の値を、一律にTcor=T0に据え置く。
【0076】
そして、時間t1以降は、温度補正部61Abは、前記Tsから後述の補正値△Tyを減じて、補正後外気温Tcor=Ts-△Tyとする。このときの前記補正値△Tyは、前記戻り温度センサ34により検出される、第2熱交換器51に流入する循環液Lの戻り温度をTaとして、例えば以下の式で表される。
△Ty=-0.35×T0+0.1×Ta (式1)
なお、Taとして、前記往き温度センサ35により検出される往き温度を用いてもよい。
【0077】
すなわち、時間t1以降は、前記外気温センサ57により随時検出される検出値Tsは、前記時間t0における検出値T0と前記戻り温度センサ34により随時検出される戻り温度Taとを用いて補正され、補正後の外気温Tcorは下記の式で表される。
Tcor=Ts-△Ty
=Ts-(-0.35×T0+0.1×Ta) (式2)
これにより、
図9に示すように、補正後の外気温を実際の外気温に近い値とすることができる。特にこの例では、時間t1以降、実際の外気温が変動しているにも関わらず、補正後の外気温も類似の挙動で変動し、実際の外気温との間にあまり偏差が生じていない。なお、前記時間t0~t1の間においても、前記と同様、検出値T0と前記戻り温度センサ34により随時検出される戻り温度Taとを用いて補正後の外気温Tcorを算出するようにしてもよい。
【0078】
<補正手法の他の例>
次に、前記温度補正部61Abによって行われる補正の他の例を
図10を用いて説明する。
図10は、前記HP単独暖房運転から前記ガス単独暖房運転に切り替えられたときの、外気温センサ57による検出値Tsと、温度補正部61Abによる補正後外気温Tcorと、の時間推移を示している。
【0079】
図10において、前記
図9と同様、時間t10で前記HP単独暖房運転から前記ガス単独暖房運転に切り替えられており、この切り替えられたタイミング(この例での第1タイミングに相当)での外気温センサ57の検出値Ts=T0となっている。この切替によって前記送風ファン56が駆動状態から停止状態となる結果、検出値Tsは上昇し、所定時間(この例では60分)が経過した時間t11のタイミング(この例での第2タイミングに相当)でTs=T1となっている。この例では例えばT1-T0=6[℃]である。
【0080】
このような挙動の外気温センサ57の検出値Tsに対し、温度補正部61Abは、以下の補正を行う。まず、
図9の例と同様、前記時間t10~時間t11の間は、温度補正部61Abは、外気温センサ57により随時検出される検出値Tsを、前記T0に一律に補正し、補正後外気温Tcor=T0とする。言い換えれば、温度補正部61Abは、時間t10~時間t11の間は、補正後外気温の値を、一律にTcor=T0に据え置く。
【0081】
そして、時間t11以降は、温度補正部61Abは、前記Tsから後述の補正値△Tzを減じて、補正後外気温Tcor=Ts-△Tzとする。この例では、前記補正値△Tzは、例えば以下の式で表される。
△Tz=T1-T0 (式3)
【0082】
すなわち、時間
t11以降は、前記外気温センサ57により随時検出される検出値Tsは、前記時間
t11における検出値T1と前記時間t10における検出値T0との偏差T1-T0を用いて補正され、補正後の外気温Tcorは下記の式で表される。
Tcor=Ts-△Tz
=Ts-(T1-T0) (式4)
これにより、時間t11以降は、外気温センサ57の検出値が、時間t10~時間t11において検出した温度上昇挙動分T1-T0を差し引いた値に補正されることとなる。その結果、
図10に示すように、補正後の外気温を実際の外気温に近い値とすることができる。
なお、上記
図9及び
図10では、前記HP単独暖房運転から前記ガス単独暖房運転に切り替えられたときを例にとって説明したが、上記補正手法の適用はこれに限られない。すなわち、運転停止状態から前記ガス単独暖房運転に切り替えられるときにおいても上記
図9及び
図10で説明した補正手法を適用することができる。
【0083】
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態のハイブリッド温水暖房システム1によれば、ヒートポンプ暖房運転又はガス暖房運転を選択的に実行可能である。ヒートポンプ暖房運転が行われる際には、圧縮機53が駆動されることで冷媒C2が空気熱交換器55において外気と熱交換し吸熱した後に第2熱交換器51に導かれ、当該第2熱交換器51において端末循環回路30内の循環液Lと熱交換することで循環液Lが加熱される。前記第2熱交換器51における冷媒C2からの受熱により加温された循環液Lが負荷配管31を介し熱交換端末36へ供給され、対象空間の暖房が行われる。
【0084】
ガス暖房運転が行われる際には、温水循環回路40においてガス加熱器43により加熱された温水C1が第1熱交換器41に導かれ、当該第1熱交換器41において端末循環回路30内の循環液Lと熱交換することで循環液Lが加熱される。前記第1熱交換器41における冷媒C2からの受熱により加温された循環液Lが負荷配管31を介し熱交換端末36へ供給され、対象空間の暖房が行われる。
【0085】
それらヒートポンプ暖房運転及びガス暖房運転のいずれを実行するかは、運転切替部61Aaによって切り替えられる。運転切替部61Aaは、外気温センサ57が検出した外気温に基づき、前記の運転の切り替えを行う。その際、ガス暖房運転が行われるときには、温度補正部61Abによって前記外気温センサ57が検出した外気温の補正が行われる。これにより、前記のようにして負荷配管31の近傍に配置された外気温センサ57の検出結果においてガス暖房運転時の循環液Lの循環により誤差が生じたとしても、その誤差分を適宜に補正することができる。運転切替部61Aaは、こうして補正された補正後外気温に基づいて前記の運転の切り替えを行うので、前記の弊害を回避し、ヒートポンプの運転及びガス加熱器43の運転への切り替えを適正に行うことができる。
【0086】
また、本実施形態では特に、ヒートポンプ暖房運転時においては、送風ファン56が駆動されて空気熱交換器55に外気が通風される。これにより、冷媒循環回路50内の冷媒C2と外気との熱交換を確実に行うことができる。また外気温センサ57は、送風ファン56による前記通風に臨む位置に設けられている。これにより、送風ファン56が駆動されると外気の風が外気温センサ57に当たるため、前記のように負荷配管31の近傍に外気温センサ57が設けられていたとしても、負荷配管31からの放熱の影響で検出精度が阻害されることなく正しい外気温を取得することができる。
【0087】
また、本実施形態では特に、温度補正部61Abは、ヒートポンプ暖房運転から若しくは運転停止状態からガス単独暖房運転への切り替えが行われる際に、前記外気温センサ57が検出した外気温の補正を行う。これにより、前記のように外気温センサ57の検出結果における誤差が、ガス単独暖房運転において生じるようになっても、その誤差を確実に補正することができる。運転切替部61Aaは、補正後外気温に基づき、ヒートポンプ暖房運転若しくはガス単独暖房運転に切り替えることができる。
【0088】
また、本実施形態では特に、温度補正部61Abが補正を行う際、ヒートポンプ暖房運転から若しくは運転停止状態からガス単独暖房運転に切り替わった第1タイミング(時間t0又は時間t10)から、所定時間経過後の第2タイミング(時間t1又は時間t11)までの間は、一律に同じ値への補正とする。具体的には、前記のようにして随時検出される外気温の検出値Tsを、前記第1タイミングにおける外気温の値T0に一律に補正する。これにより、送風ファン56の停止状態のまま負荷配管31からの放熱の影響を受けることとなる、第1タイミング以降の外気温の検出値Tsに含まれる誤差をなくすことができる。なお、上記所定時間は、外気温の変動があまり大きくなることがないであろう時間(例えば90分)以下であって、かつ、循環液Lの影響が出てくるであろう時間(例えば10分)以上の時間である。
【0089】
また、本実施形態では特に、
図9を用いて説明した例において、温度補正部61Abが補正を行う際、第1タイミングから所定時間経過後の前記第2タイミング以降は、可変に補正する。具体的には、前記のようにして随時検出される外気温の検出値Tsを、前記第1タイミングにおける外気温の値T0と、戻り温度センサ34により随時検出される循環液Lの温度(前記の例では戻り温度Ta)とを加味しつつ、可変に補正する。これにより、第2タイミング以降の外気温の変化を、前記した負荷配管31からの放熱による影響をなるべく少なくしつつ、検知することができる。なお、上記と異なり、第1タイミングから温度補正部61Abが前記のように外気温の検出値Tsを可変に補正するようにしてもよい。
【0090】
また、本実施形態では特に、
図10を用いて説明した例において、温度補正部61Abが補正を行う際、第1タイミングから所定時間経過後の前記第2タイミング以降は、可変に補正する。具体的には、前記のようにして随時検出される外気温の検出値Tsを、前記第2タイミングにおける検出値Tsの値T1と前記第1タイミングにおける検出値Tsの値T0との偏差T1-T0を用いて、可変に補正する。すなわち、第1タイミングと第2タイミングとの間で生じた前記偏差T1-T0を、前記した負荷配管31からの放熱により生じた誤差分であるとみなし、これを用いて第2タイミング以降の外気温の検出値Tsを補正する。これにより、第2タイミング以降の外気温の変化を、前記した負荷配管31からの放熱による影響をなるべく少なくしつつ、検知することができる。
【0091】
<変形例>
なお、以上においては、端末循環回路30において、循環する循環液Lの流れに対して前記第2熱交換器51が前記第1熱交換器41よりも上流側に配設されている場合を例にとって説明したが、これに限られず、反対に前記第1熱交換器41が前記第2熱交換器51よりも上流側に配設されてもよい。
【0092】
また、以上においては、前記第2熱交換器51の出口側(流出側)の前記第2往き温度センサ35により検出された循環液Lの往き温度に応じて、前記圧縮機53の回転数を制御する、いわゆる往き温度制御を行ったが、これに限られない。第2熱交換器51の入口側(流入側)の前記戻り温度センサ34により検出された循環液Lの戻り温度に応じて、前記圧縮機53の回転数を制御する、いわゆる戻り温度制御を行ってもよい。
【0093】
また、上記実施形態では、暖房運転の場合に、HP単独暖房運転と、ガス単独暖房運転とが選択的に実行される場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、冷媒循環回路50を介した空気熱源の利用と温水循環回路40を介したガス加熱による熱源の利用との両方により循環液Lの加熱を行う暖房運転(HP・ガス暖房運転)を含む、複数種類の運転態様を選択的に実行可能に構成してもよい。この場合、
図2を用いて前述した前記冷媒循環回路50における空気熱交換器55による冷媒C2の加熱と、
図3を用いて前述した前記温水循環回路40におけるガス加熱器43による温水C1の加熱と、の両方が行われる。そして、端末循環回路30では、循環液循環ポンプ32により第2熱交換器51に流入した循環液Lが、前記第2熱交換器51において、前述のように加熱された前記冷媒C2との熱交換を行って受熱した後、第1熱交換器41に流入する。第1熱交換器41に流入した循環液Lは、前述のように加熱された前記温水C1との熱交換を行ってさらに受熱する。これらのようにして空気熱源とガス加熱による熱源とにより加温された循環液Lは、その後前記熱交換端末36に供給され、被空調空間を加温する。このHP・ガス暖房運転に関する運転切替時に前記の手法を適用してもよい。
【0094】
また、以上では、1台の熱交換端末が接続される場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち2台以上の熱交換端末が接続される構成でも良い。
【0095】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0096】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0097】
1 ハイブリッド温水暖房システム
30 端末循環回路(負荷側回路)
31 負荷配管(循環液配管)
32 循環液循環ポンプ
34 戻り温度センサ(循環液温度検出手段)
35 第2往き温度センサ(循環液温度検出手段)
36 熱交換端末(負荷端末)
40 温水循環回路
41 第1熱交換器(第1負荷側熱交換器)
42 温水配管
43 ガス加熱器
45 暖房熱交換器(第1熱源側熱交換器)
50 冷媒循環回路
51 第2熱交換器(第2負荷側熱交換器)
52 冷媒配管
53 圧縮機
54 膨張弁
55 空気熱交換器(第2熱源側熱交換器)
56 送風ファン
57 外気温センサ(温度検出手段)
61 熱交換ユニット制御装置
61Aa 運転切替部(運転切替手段)
61Ab 温度補正部(温度補正手段)
62 ヒートポンプ制御装置
63 ボイラー制御装置
C1 温水
C2 冷媒
L 循環液