(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】キャリア箔付き極薄銅箔
(51)【国際特許分類】
C23C 28/02 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
C23C28/02
(21)【出願番号】P 2021118281
(22)【出願日】2021-07-16
(62)【分割の表示】P 2019559245の分割
【原出願日】2018-01-15
【審査請求日】2021-08-05
【審判番号】
【審判請求日】2023-06-21
(31)【優先権主張番号】10-2017-0007043
(32)【優先日】2017-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515059290
【氏名又は名称】ロッテエナジーマテリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(72)【発明者】
【氏名】ポム ウォン チン
(72)【発明者】
【氏名】イ ソン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】チェ ウン シル
(72)【発明者】
【氏名】ソン キ トク
(72)【発明者】
【氏名】キム ヒョン チョル
【合議体】
【審判長】粟野 正明
【審判官】井上 猛
【審判官】土屋 知久
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 28/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア箔、剥離層、第1極薄銅箔、Al層、前記第1極薄銅箔と前記Al層の間に形成された銅層、および第2極薄銅箔からなるキャリア箔付き極薄銅箔において、
前記剥離層は剥離性を有する第1金属(A3)、前記第1金属(A3)のメッキを容易にする第2金属(B3)および前記第1金属(A1)のメッキを容易にする第3金属(C3)を含み、
前記剥離層を構成する第1金属の含有量(a3)が30~89重量%、第2金属の含有量(b3)が10~60重量%および第3金属の含有量(c3)が1~20重量%であり、
前記第1金属は、MoまたはWであり、
前記第2金属および前記第3金属は、Fe、CoおよびNiからなる群から選択される2個の互いに異なる金属であることを特徴とし、
前記銅層の厚さは0.03~0.1μmであり、
前記Al層の厚さは0.5~1.0μmであ
り、
前記Al層の表面粗さは3.0μm以下である、
キャリア箔付き極薄銅箔。
【請求項2】
前記Al層と前記第2極薄銅箔間に第2の銅層が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のキャリア箔付き極薄銅箔。
【請求項3】
前記キャリア箔のマット面またはシャイニー面の表面粗さ(Rz)は3.0μm以下であり、
前記Al層は、
電解メッキまたはスパッタリング(sputtering)を通じて形成され
る、請求項1に記載のキャリア箔付き極薄銅箔。
【請求項4】
前記Al層は、電解メッキまたはスパッタリング(sputtering)を通じて形成され、
前記キャリア箔のマット面またはシャイニー面の表面粗さ(Rz)(r5)と前記Al層の表面粗さ(Rz)(r6)は、
r6/r5≦3.0の式を満足する、請求項1に記載のキャリア箔付き極薄銅箔。
【請求項5】
前記剥離層の付着量の合計が50~10000μg/dm
2であることを特徴とする、請求項1に記載のキャリア箔付き極薄銅箔。
【請求項6】
前記第1極薄銅箔および前記第2極薄銅箔は、
電解メッキまたはスパッタリング(sputtering)を通じて形成されることを特徴とする、請求項1に記載のキャリア箔付き極薄銅箔。
【請求項7】
キャリア箔、拡散防止層、剥離層、酸化防止層、第1極薄銅箔、Al層、前記第1極薄銅箔と前記Al層の間に形成された銅層、および第2極薄銅箔からなるキャリア箔付き極薄銅箔において、
前記剥離層は剥離性を有する第1金属(A3)、前記第1金属(A3)のメッキを容易にする第2金属(B3)および前記第1金属(A1)のメッキを容易にする第3金属(C3)を含み、
前記拡散防止層および前記酸化防止層は、
Ni、Co、Fe、Cr、Mo、W、AlおよびPからなる群から選択された一つ以上の元素を含み、
前記剥離層を構成する第1金属の含有量(a3)が30~89重量%、第2金属の含有量(b3)が10~60重量%および第3金属の含有量(c3)が1~20重量%であり、
前記第1金属は、MoまたはWであり、
前記第2金属および前記第3金属は、Fe、CoおよびNiからなる群から選択される2個の互いに異なる金属であることを特徴とし、
前記銅層の厚さは0.03~0.1μmであり、
前記Al層の厚さは0.5~1.0μmであ
り、
前記Al層の表面粗さは3.0μm以下である、
キャリア箔付き極薄銅箔。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はキャリア箔付き極薄銅箔であって、印刷回路基板のワイヤーとの接着性が優秀なキャリア箔付き極薄銅箔に関する。
【背景技術】
【0002】
通常的にワイヤーボンディングとは、半導体チップの入出力パッドとSubstrate(ex:リードフレーム、印刷回路基板など)の、リードまたは配線パターンなどの部分を互いに接続させることによって、前記半導体チップの入出力パッドとリードを互いに電気的に連結させる工程を意味する。
【0003】
また、PKG印刷回路基板ではワイヤーと接合する部位の回路に、抵抗を最小化して電力の損失を減らしつつ、伝導性を向上させるために電極を主にシーラー-パラジウム(Ag-Pd)のような高価な金属を使っている。
【0004】
前記したAgは金属中に熱伝導および電気伝導性が優秀であり、またPdも白金族元素の一つであって、軟性は白金より落ちるが展性は白金より優れており、価格も白金より安くて軽く、多様な種類の合金に使われているため、印刷回路基板では前記AgおよびPdの合金であるAg-Pdを多く使うことになる。
【0005】
このような、Ag-Pdなどの電極を使う工程は、まず半導体チップおよびアルミニウムワイヤーでボンディングされる部分の上部面に所定の銀(Ag)ペーストでスクリーンプリンティング(screen printing)してボンディングパッドを形成し、このようなボンディングパッドにアルミニウムワイヤーをエポキシ等で付着させて硬化させることによって超音波(ウェッジ)ボンディングを実行するようにしたが、このような従来の方法(韓国公開特許第2014-0049632号)は製造工程が複雑であり、銀ペーストを使ってパッドを製作するため、製造原価が増加するだけでなく製造装備も高価な問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、印刷回路基板のワイヤーとの接着性が優秀なキャリア箔付き極薄銅箔を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔は、キャリア箔、剥離層、第1極薄銅箔、Cu-Al接着力向上層、Al層および第2極薄銅箔からなるキャリア箔付き極薄銅箔において、前記剥離層は剥離性を有する第1金属A3、前記第1金属A3のメッキを容易にする第2金属B3および第3金属C3を含むことができる。
【0008】
本発明の一実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔の前記Cu-Al接着力向上層は、前記Al層と前記第1極薄銅箔間および前記Al層と前記第2極薄銅箔間に形成され得る。
【0009】
本発明の一実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔の前記第2極薄銅箔と前記Al層の間の接着力p3と前記剥離層の接着力p4は、約1≦p3/p4≦約30.0の式を満足することができる。
【0010】
本発明の一実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔の前記Al層の厚さt8と半導体チップのボンディング用パッドの厚さt9は約0.0005≦t8/t9≦約3.0の式を満足することができる。
【0011】
本発明の一実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔の前記Al層の厚さt8と半導体チップのボンディング用ワイヤーの厚さt10は、約0.0005≦t8/t10≦約3.0の式を満足することができる。
【0012】
本発明の一実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔の前記キャリア箔のマット面またはシャイニー面の表面粗さは約3.0μm以下であり、前記Al層は、電解メッキまたはスパッタリング(sputtering)を通じて形成され、表面粗さは約3.0μm以下であり得る。
【0013】
本発明の一実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔の前記Al層は、電解メッキまたはスパッタリング(sputtering)を通じて形成され、前記キャリア箔のマット面またはシャイニー面の表面粗さr5と前記Al層の表面粗さr6は、r6/r5≦約3.0の式を満足することができる。
【0014】
本発明の一実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔の前記第1金属は、MoまたはWであり、前記第2金属および前記第3金属は、Fe、CoおよびNiからなる群から選択される2個の互いに異なる金属であることを特徴とするキャリア箔付き極薄銅箔である。
【0015】
本発明の一実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔の前記剥離層を構成する第1金属の含有量a3が約30~約89重量%、第2金属の含有量b3が約10~約60重量%および第3金属の含有量c3が約1~約20重量%であり得る。
【0016】
本発明の一実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔の前記剥離層の付着量の合計が約50~約10000μg/dm2であり得る。
【0017】
本発明の一実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔の前記第1金属A3、前記第2金属B3および前記第3金属C3のうち少なくとも一つは有機金属であり得る。
【0018】
本発明の一実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔の前記第1極薄銅箔および前記第2極薄銅箔は、電解メッキまたはスパッタリング(sputtering)を通じて形成され得る。
【0019】
本発明の一実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔のキャリア箔、拡散防止層、剥離層、酸化防止層、第1極薄銅箔、Cu-Al接着力向上層、Al層および第2極薄銅箔からなるキャリア箔付き極薄銅箔において、前記剥離層は剥離性を有する第1金属A3、前記第1金属A3のメッキを容易にする第2金属B3および第3金属C3を含み、前記拡散防止層および前記酸化防止層は、Ni、Co、Fe、Cr、Mo、W、AlおよびPからなる群から選択された一つ以上の元素を含むことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、半導体パッケージのワイヤーボンディング工程でチップと基板の間のWire接着性が優秀である。
【0021】
また、基板製作時、接着強度および耐熱接着強度、耐薬品性、エッチング性などの銅箔としての要求特性が優秀である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第1実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔の断面模式図。
【
図2】本発明の第1実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔の断面をFIB(Focused Ion Beam)で撮影したイメージ。
【
図3】Al層が形成されない場合のマット面とシャイニー面の表面イメージ。
【
図4】本発明の第1実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔のマット面とシャイニー面の表面イメージ。
【
図5】本発明の第1実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔の断面をFIBで撮影したイメージ。
【
図6】本発明の第1実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔の他の実施例に係る断面模式図。
【
図7】本発明の第2実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔の断面模式図。
【
図8】本発明の第2実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔の断面をFIB(Focused Ion Beam)で撮影したイメージ。
【
図9】Al層が形成されない場合のマット面とシャイニー面の表面イメージ。
【
図10】本発明の第2実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔のマット面とシャイニー面の表面イメージ。
【
図11】本発明の第2実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔の他の実施例に係る断面模式図。
【
図12】本発明の第3実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔の断面模式図。
【
図13】本発明の第3実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔の断面をFIB(Focused Ion Beam)で撮影したイメージ。
【
図14】Al層が形成されない場合のマット面とシャイニー面の表面イメージ。
【
図15】本発明の第3実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔のマット面とシャイニー面の表面イメージ。
【
図16】本発明の第3実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔の他の実施例に係る断面模式図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では図面を参照して本発明の具体的な実施例を詳細に説明する。ただし、本発明の思想は提示される実施例に制限されず、本発明の思想を理解する当業者は同一思想の範囲内で他の構成要素を追加、変更、削除等を通して、退歩的な他の発明や本発明思想の範囲内に含まれる他の実施例を容易に提案できるはずであるが、これも本願発明思想範囲内に含まれるものと言える。
【0024】
また、各実施例の図面に示される同一思想範囲内の機能が同じである構成要素は同じ参照符号を使って説明する。
【0025】
本発明は、印刷回路基板のワイヤーと印刷回路基板間の接着性を向上させるとともに半導体substrateの製造工程を単純化して、製造時間を減らし、歩留まりを高め、製造原価の節減効果に優秀な印刷回路基板用銅箔を提供する。
【0026】
通常的に、ワイヤーボンディングとは、半導体チップの入出力パッドとSubstrate(ex:リードフレーム、印刷回路基板など)の、リードまたは配線パターンなどの部分を互いに接続させることによって、前記半導体チップの入出力パッドとリードを互いに電気的に連結させる工程を意味する。
【0027】
既存のPKG印刷回路基板では、ワイヤーと接合する部位の回路に、抵抗を最小化して電力の損失を減らしつつ、伝導性を向上させるために電極を主にシーラー-パラジウム(Ag-Pd)のような高価な金属を使っている。
【0028】
ここで、Agは金属中に熱伝導および電気伝導性が優秀であり、またPdも白金族元素の一つであって、軟性は白金より落ちるが展性は白金より優れており、価格も白金より安くて軽く、多様な種類の合金に使われているため、印刷回路基板ではAgおよびPdの合金であるAg-Pdを多く使う。
【0029】
ただし、Ag-Pdなどの電極を使う工程は、まず半導体チップおよびアルミニウムワイヤーでボンディングされる部分の上部面に所定の銀(Ag)ペーストでスクリーンプリンティング(screen printing)してボンディングパッドを形成し、このようなボンディングパッドにアルミニウムワイヤーをエポキシ等で付着させて硬化させることによって超音波(ウェッジ)ボンディングを実行したが、このような従来の方法は製造工程が複雑であり、銀ペーストを使ってパッドを製作するため、製造原価が増加するだけでなく製造装備も高価な問題点があった。
【0030】
以下、各実施例に係る本発明のキャリア付き極薄銅箔は、Al層を形成して半導体パッケージのワイヤーボンディング工程で、半導体チップと基板間のWire接着性を向上させ、基板製作時、接着強度および耐熱接着強度、耐薬品性、エッチング性などの銅箔としての要求特性が優秀な極薄銅箔を提供する。
【0031】
[第1実施例]
図1は本発明の第1実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔の断面模式図であり、
図2は本発明の第1実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔の断面をFIB(Focused Ion Beam)で撮影したイメージであり、
図3はAl層が形成されない場合のマット面とシャイニー面の表面イメージである。
【0032】
また、
図4は本発明の第1実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔のマット面とシャイニー面の表面イメージであり、
図5は本発明の第1実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔の断面をFIBで撮影したイメージである。
【0033】
図6は、本発明の第1実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔の他の実施例に係る断面模式図である。
【0034】
図1~
図5を参照すると、本発明の第1実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔100は、キャリア箔1、剥離層2、第1極薄銅箔3、Al層4および第2極薄銅箔5で形成され得る。
【0035】
キャリア箔付き極薄銅箔100は、キャリア箔1、剥離層2、第1極薄銅箔3、Al層4および第2極薄銅箔5が順次積層されて形成され得る。
【0036】
キャリア箔1は、アルミ箔、ステンレス鋼箔、チタン箔、銅箔または銅合金箔を使うことができる。例えば、電解銅箔、電解銅合金箔、圧延銅箔または圧延銅合金箔を使うことができる。
【0037】
また、前記キャリア箔1の表面は、未処理電解銅箔または未処理電解銅合金箔のマット面またはシャイニー面、圧延銅箔または圧延銅合金箔の圧延仕上げ面であり得る。例えば、前記キャリア箔の表面は未処理電解銅箔または未処理電解銅合金箔のマット面または光沢面に粗化処理を実施した箔、または圧延銅箔または圧延銅合金箔の圧延仕上げ面の少なくとも一側面に粗化処理を実施した箔であり得る。
【0038】
第1極薄銅箔3および第2極薄銅箔5のうち少なくとも一つは、電解メッキ、無電解メッキまたはスパッタリング(sputtering)を通じて形成され得る。
【0039】
好ましくは、第1極薄銅箔3は電解メッキで形成され、第2極薄銅箔5はスパッタリング(sputtering)を通じて形成され得る。
【0040】
剥離層2は、剥離性を有する第1金属A1、第1金属A1のメッキを容易にする第2金属B1および第3金属C1を含むことができる。
【0041】
第1金属A1は、MoまたはWであり、第2金属B1および第3金属C1は、Fe、CoおよびNiからなる群から選択される2個の互いに異なる金属であり得る。
【0042】
ここで、第1金属A1、第2金属B1および第3金属C1のうち少なくとも一つは有機金属であり得る。
【0043】
剥離層2は第1金属A1の含有量a1が約30~約89重量%、第2金属B1の含有量b1が約10~約60重量%および第3金属C1の含有量c1が約1~約20重量%であり得る。
【0044】
前記金属の含有量a1、b1およびc1は剥離層2の1dm2の単位面積当たりの第1金属A1の付着量(被膜量)を同一面積当たりの第1金属A1、第2金属B1および第3金属C1の付着量(被膜量)の合計で割った値に100をかけてそれぞれ求める。
【0045】
前記第1金属の含有量a1および前記第2金属の含有量b1が前記含有量範囲からそれぞれ外れると、極薄銅箔の剥離性が低下し得、前記第3金属の含有量c1が前記含有量範囲から外れると剥離層が不均一にメッキされ得る。
【0046】
前記第1金属A1と第2金属B1のみで剥離層を形成した場合、剥離層の剥離性が不均一な現象が発生し得る。
【0047】
そして、剥離時に剥離層が極薄銅箔と共に剥離される性向を示し得る。
【0048】
これに反し、本発明では第1金属A1と第2金属B1のみで剥離層を形成した場合(例えば、Mo-Ni合金層)、その剥離性が不安定であるため、剥離層の剥離性の主な要因となる第1金属A1のMo金属のメッキ量を増加させるために、Mo金属のメッキに触媒の役割をするFeイオンを第3金属C1としてさらに添加する。Feイオンの添加は剥離層の均一なメッキを可能にする。
【0049】
また、剥離層の付着量の合計は約50~約10000μg/dm2であり得る。
【0050】
前記付着量が約50μg/dm2未満であると剥離層の役割を遂行できなくなり得、前記付着量が約10000μg/dm2を超過すると剥離可能な物質である酸化性物質ではなく金属性物質となるため剥離性がなくなり得る。
【0051】
一方、Al層の厚さt1と半導体チップのボンディング用パッドの厚さt2は約0.0005≦t1/t2≦約3.0の式を満足する。前記Al層の厚さと半導体チップボンディング用パッドの厚さの比率t1/t2を約0.0005~約3.0の範囲で具現することによって、より優秀な効果を得ることができる。
【0052】
具体例において、前記Al層の厚さと半導体チップボンディング用パッドの厚さの比率t1/t2は、約0.0005、0.001、0.01、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、または3.0であり得る。また、前記Al層の厚さと半導体チップボンディング用パッドの厚さの比率t1/t2は、約前記数値のうち一つ以上および約前記数値のうち一つ以下の範囲であり得る。
【0053】
また、Al層の厚さt1と半導体チップのボンディング用ワイヤーの厚さt3は、約0.0005≦t1/t3≦約3.0の式を満足する。前記Al層の厚さと半導体チップボンディング用ワイヤー厚さの比率t1/t3を約0.0005~約3.0の範囲で具現することによって、より優秀な効果を得ることができる。
【0054】
具体例において、前記Al層の厚さと半導体チップボンディング用ワイヤー厚さの比率t1/t3は、約0.0005、0.001、0.01、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、または3.0であり得る。また、前記Al層の厚さと半導体チップボンディング用ワイヤー厚さの比率t1/t3は、約前記数値のうち一つ以上および約前記数値のうち一つ以下の範囲であり得る。
【0055】
一方、キャリア箔のマット面またはシャイニー面の表面粗さは約2.0μm以下であり、Al層は電解メッキまたはスパッタリング(sputtering)を通じて形成され、表面粗さは約2.0μm以下である。
【0056】
また、キャリア箔のマット面またはシャイニー面の表面粗さr1と前記Al層の表面粗さr2は、r2/r1≦約3.0の式を満足する。前記Al層の表面粗さとキャリア箔のマット面またはシャイニー面の表面粗さの比率r2/r1が約3.0以下の範囲で具現されることによって、より優秀な効果を得ることができる。
【0057】
具体例において、前記Al層の表面粗さとキャリア箔のマット面またはシャイニー面の表面粗さの比率r2/r1は、約0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、または3.0であり得る。また、前記Al層の表面粗さとキャリア箔のマット面またはシャイニー面の表面粗さの比率r2/r1は、約前記数値のうち一つ以上および約前記数値のうち一つ以下の範囲であり得る。
【0058】
図6を参照すると、本発明の他の実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔10は前述したキャリア箔付き極薄銅箔100に拡散防止層16および酸化防止層17をさらに含むことができる。
【0059】
具体的には、キャリア箔付き極薄銅箔10は、キャリア箔11、拡散防止層16、剥離層12、酸化防止層17、第1極薄銅箔13、Al層14および第2極薄銅箔15が順次積層されて形成され得る。
【0060】
拡散防止層16と酸化防止層17が同じメッキ条件を使って形成されるので実質的に同じ組成を有し、ただし拡散防止層16が酸化防止層17に比べて金属付着量が増加するため、より厚い。
【0061】
前記キャリア箔付き極薄銅箔10で拡散防止層16が存在することによって、高温の加工環境においてもキャリア箔と極薄銅箔の剥離強度が一定に低い値に維持されることによって、これらの剥離が容易である。
【0062】
また、前記キャリア箔付き極薄銅箔10で拡散防止層16に比べて酸化防止層17の厚さが薄くなることによって、安定した剥離強度、酸化防止層17の優秀な食刻性および向上したレーザー加工性を同時に具現することができる。
【0063】
また、前記キャリア箔付き極薄銅箔10で拡散防止層16と酸化防止層17が実質的に同じメッキ液を使うことができるため製造工程が単純化され得る。
【0064】
前記拡散防止層16および酸化防止層17はNi、Co、Fe、Cr、Mo、W、AlおよびPからなる群から選択された一つ以上の元素を含むことができる。例えば、前記拡散防止層および酸化防止層は単一の金属層であり得、2種以上の金属の合金層または1種以上の金属酸化物層であり得る。
【0065】
例えば、単一の金属層を形成するメッキとしては、ニッケルメッキ、コバルトメッキ、鉄メッキ、アルミニウムメッキなどが使われ得る。2元系合金層を形成するメッキとしては、ニッケル-コバルトメッキ、ニッケル-鉄メッキ、ニッケル-クロムメッキ、ニッケル-モリブデンメッキ、ニッケル-タングステンメッキ、ニッケル-銅メッキ、ニッケル-リンメッキ、コバルト-鉄メッキ、コバルト-クロムメッキ、コバルト-モリブデンメッキ、コバルト-タングステンメッキ、コバルト-銅メッキ、コバルト-リンメッキなどが使われ得る。3元系合金層を形成するメッキとしては、ニッケル-コバルト-鉄メッキ、ニッケル-コバルト-クロムメッキ、ニッケル-コバルト-モリブデンメッキ、ニッケル-コバルト-タングステンメッキ、ニッケル-コバルト-銅メッキ、ニッケル-コバルト-リンメッキ、ニッケル-鉄-クロムメッキ、ニッケル-鉄-モリブデンメッキ、ニッケル-鉄-タングステンメッキ、ニッケル-鉄-銅メッキ、ニッケル-鉄-リンメッキ、ニッケル-クロム-モリブデンメッキ、ニッケル-クロム-タングステンメッキ、ニッケル-クロム-銅メッキ、ニッケル-クロム-リンメッキ、ニッケル-モリブデン-タングステンメッキ、ニッケル-モリブデン-銅メッキ、ニッケル-モリブデン-リンメッキ、ニッケル-タングステン-銅メッキ、ニッケル-タングステン-リンメッキ、ニッケル-銅-リンメッキ、コバルト-鉄-クロムメッキ、コバルト-鉄-モリブデンメッキ、コバルト-鉄-タングステンメッキ、コバルト-鉄-銅メッキ、コバルト-鉄-リンメッキ、コバルト-クロム-モリブデンメッキ、コバルト-クロム-タングステンメッキ、コバルト-クロム-銅メッキ、コバルト-クロム-リンメッキ、コバルト-モリブデン-リンメッキ、コバルト-タングステン-銅メッキ、コバルト-モリブデン-リンメッキ、コバルト-タングステン-銅メッキ、コバルト-タングステン-リンメッキ、コバルト-銅-リンメッキなどが使われ得る。
【0066】
例えば、前記拡散防止層および酸化防止層はNiおよびPを含むことができる。
【0067】
また、酸化物としては、ニッケル酸化物、コバルト酸化物、鉄酸化物、クロム酸化物、モリブデン酸化物、タングステン酸化物、銅酸化物、アルミニウム酸化物、リン酸化物などが挙げられる。また、2種以上の前記酸化物の混合物などが使われ得る。
【0068】
また、単一金属のメッキ層、合金メッキ層および酸化物層から選択された層を2層以上に形成させることができる。
【0069】
前記拡散防止層は前記キャリア箔付き極薄銅箔を絶縁基板と高温でプレスする場合に、銅が剥離層に拡散することを抑制する役割をすることができる。前記拡散防止層を形成させずにキャリア箔付き極薄銅箔を絶縁基板と高温でプレスすると、キャリア箔と極薄銅箔で銅が剥離層に拡散してキャリア箔と極薄銅箔間に金属結合が生成され、これら間の強い結合力によりキャリア箔を剥離することが困難となり得る。
【0070】
以下、好ましい実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、これに限定されるものではない。
【0071】
(キャリア箔付き極薄銅箔の製造)
【0072】
実施例1
1.キャリア箔の準備
キャリア箔の表面粗さは1.5μm、厚さは18μmの電解銅箔を使った。
2.拡散防止層の形成
下記の条件でNi-Pメッキによる拡散防止層を形成した。
Ni濃度:15g/L、P濃度:8g/L
pH4.0
温度:30℃
電流密度:1.5A/dm2
メッキ時間:2秒
前記条件で形成した拡散防止層の付着量は金属(Ni)付着量301ug/dm2であった。
3.剥離層の形成
下記の条件でMo-Ni-Feメッキによる剥離層を形成した。
Mo濃度:20g/L、Ni濃度:6.5g/L、Fe濃度:3g/L、クエン酸ナトリウム:150g/L
pH10.2(アンモニア水30ml/L添加)
温度:30℃
電流密度:10A/dm2
メッキ時間:7秒
前記条件で形成した剥離層の付着量は1.07mg/dm2、剥離層の組成はMo60.55重量%、Ni29.8重量%、Fe5.99重量%であった。
4.酸化防止層の形成
下記の条件でNi-Pメッキによる酸化防止層を形成した。
Ni濃度:15g/L、P濃度8g/L
pH4.0
温度:30℃
電流密度:0.5A/dm2
メッキ時間:2秒
前記条件で形成した酸化防止層の付着量は金属(Ni)付着量30ug/dm2であった。
5.第1極薄銅箔の形成
下記の条件で第1極薄銅箔を形成した。
CuSO4-5H2O:300g/L、H2SO4:150g/L
温度:30℃
電流密度:20A/dm2
メッキ時間:25秒
前記条件で形成した第1極薄銅箔の厚さは2μmであった。
6.Al層の形成
ワイヤー接合層であるAlの厚さは0.5μmに形成され、表面粗さは前記キャリア箔の粗さと同じである1.5μmを有するように形成した。
7.第2極薄銅箔の形成
下記の条件で第2極薄銅箔を形成した。
CuSO4-5H2O:300g/L、H2SO4:150g/L
温度:30℃
電流密度:20A/dm2
メッキ時間:5秒
前記条件で形成した第2極薄銅箔の厚さは0.5μmであった。
【0073】
実施例2
Al層を下記のように変更したことを除いては実施例1と同じ条件で実施した。
6.Al層の形成
ワイヤー接合層であるAlの厚さは1.0μmに形成され、表面粗さはキャリア箔の粗さと同じである1.5μmを有するように形成した。
【0074】
実施例3
キャリア箔およびAl層を下記のように変更したことを除いては実施例1と同じ条件で実施した。
1.キャリア箔の準備
キャリアの表面粗さは3.0μm、厚さは18μmの電解銅箔を使った。
6.Al層の形成
ワイヤー接合層であるAl厚さは0.5μmに形成し、表面粗さはキャリア箔の粗さと同じである3.0μmを有するように形成した。
【0075】
実施例4
剥離層を下記のように変更したことを除いては実施例1と同じ条件で実施した。
4.剥離層の形成
下記の条件でMo-Ni-Feメッキによる剥離層を形成した。
Mo濃度:20g/L、Ni濃度:6.5g/L、Fe濃度:3g/L、クエン酸ナトリウム:150g/L
pH10.2(アンモニア水30ml/L添加)
温度:30℃
電流密度:18A/dm2
メッキ時間:7秒
前記条件で形成した剥離層の付着量は1.89mg/dm2、剥離層の組成はMo51.99重量%、Ni38.8重量%、Fe5.55重量%であった。
【0076】
比較例1
剥離層を下記のように変更したことを除いては実施例1と同じ条件で実施した。
4.剥離層の形成
下記の条件でMo-Ni-Feメッキによる剥離層を形成した。
Mo濃度:20g/L、Ni濃度:6.5g/L、Fe濃度:3g/L、クエン酸ナトリウム:150g/L
pH10.2(アンモニア水30ml/L添加)
温度:30℃
電流密度:3A/dm2
メッキ時間:7秒
前記条件で形成した剥離層の付着量は0.31mg/dm2、剥離層の組成はMo23.42重量%、Ni69.81重量%、Fe2.55重量%であった。
【0077】
比較例2
剥離層およびAl層を下記のように変更したことを除いては実施例1と同じ条件で実施した。
3.剥離層の形成
剥離層の付着量を0.89mg/dm2に形成した。
6.Al層の形成
Al層の厚さを0.05μmに形成し、表面粗さは1.5μmを有するように形成した。
【0078】
以下、表1を参照して実施例1~4、比較例1および2の剥離強度、Al層の表面粗さおよびワイヤーを通じての半導体チップとの接合性について説明する。
【0079】
【0080】
剥離強度の評価
実施例1~3の場合、Al層の上下の銅層との剥離強度およびAl層とキャリア箔の剥離強度は非常に良好であったし、実施例4の場合、極薄銅箔とキャリアの剥離強度は付着量が高いためキャリア間の剥離強度が低下する問題が発生した。
【0081】
また、比較例1の場合、Al層とキャリアの剥離強度は付着量が低いため極薄銅箔層とキャリアが剥離されない問題が発生したし、比較例2の場合、Al層とキャリアの剥離強度は良好であった。
【0082】
Al層の表面粗さ
実施例1、2および4の場合、Al層の表面粗さが低くてエッチングレートが優秀であるため回路形成時にファインパターンを得ることができたが、実施例3の場合、Al層の表面粗さが高いため実施例1、2よりエッチングレートが低下したし、回路形成時に所望のファインパターンを得ることができなかった。
【0083】
比較例1の場合、前記処理で実施した時、Al層の表面粗さが低くてエッチングレートが優秀であるため、回路形成時にファインパターンを得ることができたが、比較例2の場合、Al層の厚さが薄いため回路エッチング液のダメージによって所望の形状の回路を得ることができなかった。
【0084】
ワイヤーを通じての半導体チップとの接合性
実施例1~4の場合、前記キャリア箔付き極薄銅箔を利用して半導体substrateを製作し、半導体チップと直径25~70μmのワイヤー(金、アルミニウムなど)を利用して電気的に連結した時、Al層とワイヤー間のボンディング接着性も優秀であった。
【0085】
比較例1の場合、キャリア箔付き極薄銅箔が剥離されないため半導体substrateを製作することができなかったし、比較例2の場合、キャリア箔付き極薄銅箔を利用して半導体substrateを製作し、半導体チップと直径25~70μmのワイヤー(金、アルミニウムなど)を利用して電気的に連結した時、Al層の薄い厚さによって接合時に発生するダメージによってワイヤー間のボンディング接着性が低下した。
【0086】
[第2実施例]
図7は本発明の第2実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔の断面模式図であり、
図8は本発明の第2実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔の断面をFIB(Focused Ion Beam)で撮影したイメージであり、
図9はAl層が形成されない場合のマット面とシャイニー面の表面イメージであり、
図10は本発明の第2実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔のマット面とシャイニー面の表面イメージである。
【0087】
また、
図11は、本発明の第2実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔の他の実施例に係る断面模式図である。
【0088】
図7~
図10を参照すると、本発明の第2実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔20は、キャリア箔21、剥離層22、第1極薄銅箔23、Cu-Al接着力向上層24、Cu拡散防止層25、Al層26および第2極薄銅箔27で形成され得る。
【0089】
図7では、Cu拡散防止層25がAl層26の上、下にすべて形成されたものと図示されたが、Al層26の上または下のうちいずれか一つにのみ形成されてもよい。
【0090】
キャリア箔付き極薄銅箔20は、キャリア箔21、剥離層22、第1極薄銅箔23、Cu-Al接着力向上層24、Cu拡散防止層25、Al層26および第2極薄銅箔27が順次積層されて形成され得る。
【0091】
キャリア箔21は、アルミ箔、ステンレス鋼箔、チタン箔、銅箔または銅合金箔を使うことができる。例えば、電解銅箔、電解銅合金箔、圧延銅箔または圧延銅合金箔を使うことができる。
【0092】
また、前記キャリア箔21の表面は、未処理電解銅箔または未処理電解銅合金箔のマット面またはシャイニー面、圧延銅箔または圧延銅合金箔の圧延仕上げ面であり得る。例えば、前記キャリア箔の表面は未処理電解銅箔または未処理電解銅合金箔のマット面または光沢面に粗化処理を実施した箔、または圧延銅箔または圧延銅合金箔の圧延仕上げ面の少なくとも一側面に粗化処理を実施した箔であり得る。
【0093】
第1極薄銅箔23および第2極薄銅箔27のうち少なくとも一つは、電解メッキ、無電解メッキまたはスパッタリング(sputtering)を通じて形成され得る。
【0094】
好ましくは、第1極薄銅箔23は電解メッキで形成され、第2極薄銅箔27はスパッタリング(sputtering)を通じて形成され得る。
【0095】
剥離層22は、剥離性を有する第1金属A2、第1金属A2のメッキを容易にする第2金属B2および第3金属C2を含むことができる。
【0096】
第1金属A2は、MoまたはWであり、第2金属B2および第3金属C2は、Fe、CoおよびNiからなる群から選択される2個の互いに異なる金属であり得る。
【0097】
ここで、第1金属A2、第2金属B2および第3金属C2のうち少なくとも一つは有機金属であり得る。
【0098】
剥離層22は第1金属A2の含有量a2が約30~約89重量%、第2金属B2の含有量b2が約10~約60重量%および第3金属C2の含有量c2が約1~約20重量%であり得る。
【0099】
前記金属の含有量a2、b2およびc2は剥離層1dm2の単位面積当たりの第1金属A2の付着量(被膜量)を同一面積当たりの第1金属A2、第2金属B2および第3金属C2の付着量(被膜量)の合計で割った値に100をかけてそれぞれ求める。
【0100】
前記第1金属の含有量a2および前記第2金属の含有量b2が前記含有量範囲からそれぞれ外れると、極薄銅箔の剥離性が低下し得、前記第3金属の含有量c2が前記含有量範囲から外れると剥離層が不均一にメッキされ得る。
【0101】
前記第1金属A2と第2金属B2だけで剥離層を形成した場合、剥離層の剥離性が不均一な現象が発生し得る。
【0102】
そして、剥離時に剥離層が極薄銅箔と共に剥離される性向を示し得る。
【0103】
これに反し、本発明では第1金属A2と第2金属B2だけで剥離層を形成した場合(例えば、Mo-Ni合金層)、その剥離性が不安定であるため、剥離層の剥離性の主な要因となる第1金属A2のMo金属のメッキ量を増加させるために、Mo金属のメッキに触媒の役割をするFeイオンを第3金属C2としてさらに添加する。Feイオンの添加は剥離層の均一なメッキを可能にする。
【0104】
また、剥離層22の付着量の合計は約50~約10000μg/dm2であり得る。
【0105】
前記付着量が約50μg/dm2未満であると剥離層の役割を遂行できなくなり得、前記付着量が約10000μg/dm2を超過すると剥離可能な物質である酸化性物質ではなく金属性物質となるため剥離性がなくなり得る。
【0106】
一方、Al層の厚さt4と半導体チップのボンディング用パッドの厚さt5は約0.0005≦t4/t5≦約3.0の式を満足する。前記Al層の厚さと半導体チップボンディング用パッドの厚さの比率t4/t5を約0.0005~約3.0の範囲で具現することによって、より優秀な効果を得ることができる。
【0107】
具体例において、前記Al層の厚さと半導体チップボンディング用パッドの厚さの比率t4/t5は、約0.0005、0.001、0.01、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、または3.0であり得る。また、前記Al層の厚さと半導体チップボンディング用パッドの厚さの比率t4/t5は、約前記数値のうち一つ以上および約前記数値のうち一つ以下の範囲であり得る。
【0108】
また、Al層の厚さt4と半導体チップのボンディング用ワイヤーの厚さt6は、約0.0005≦t4/t6≦約3.0の式を満足する。前記Al層の厚さと半導体チップボンディング用ワイヤー厚さの比率t4/t6を約0.0005~約3.0の範囲で具現することによって、より優秀な効果を得ることができる。
【0109】
具体例において、前記Al層の厚さと半導体チップボンディング用ワイヤー厚さの比率t4/t6は、約0.0005、0.001、0.01、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、または3.0であり得る。また、前記Al層の厚さと半導体チップボンディング用ワイヤー厚さの比率t4/t6は、約前記数値のうち一つ以上および約前記数値のうち一つ以下の範囲であり得る。
【0110】
一方、キャリア箔のマット面またはシャイニー面の表面粗さは約3.0μm以下であり、Al層は電解メッキまたはスパッタリング(sputtering)を通じて形成され、表面粗さは約3.0μm以下である。
【0111】
また、キャリア箔のマット面またはシャイニー面の表面粗さr3と前記Al層の表面粗さr4は、r4/r3≦約3.0の式を満足する。前記Al層の表面粗さとキャリア箔のマット面またはシャイニー面の表面粗さの比率r2/r1が約3.0以下の範囲で具現されることによって、より優秀な効果を得ることができる。
【0112】
前記Al層の表面粗さとキャリア箔のマット面またはシャイニー面の表面粗さの比率r2/r1は、約0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、または3.0であり得る。また、前記Al層の表面粗さとキャリア箔のマット面またはシャイニー面の表面粗さの比率r2/r1は、約前記数値のうち一つ以上および約前記数値のうち一つ以下の範囲であり得る。
【0113】
Cu拡散防止層25は、Al層26と第1極薄銅箔23の間およびAl層26と第2極薄銅箔27の間に形成され得る。Cu拡散防止層25は、Al層26のアルミニウムと第1極薄銅箔23または第2極薄銅箔27の銅がCu-Al系金属管化合物(intermetallic compound)を形成することを防止するためのものである。
【0114】
具体的には、Al層と極薄銅箔層(第1極薄銅箔または第2極薄銅箔)が強く結合して合金内で混在する場合、不均質組織をなす中間相(intermediate phase)を作るようになるが、このような中間相はそれぞれの金属の性質を帯びないまま、衝撃に脆弱であり、電気抵抗が大きくなる性質を有する問題点が発生する。
【0115】
すなわち、Cu拡散防止層25は、Al層26のアルミニウムと第1極薄銅箔23または第2極薄銅箔27の銅が金属管化合物を形成しないようにする。
【0116】
また、Cu拡散防止層の厚さt7とAl層の厚さt4は、約0.5≦t7/t4≦約1.0の式を満足する。前記Cu拡散防止層の厚さと前記Al層の厚さの比率t7/t4が約0.5~約1.0の範囲で具現されることによって、より優秀な効果を得ることができる。
【0117】
具体例において、前記Cu拡散防止層の厚さと前記Al層の厚さの比率t7/t4は、約0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、または1.0であり得る。また、前記Cu拡散防止層の厚さと前記Al層の厚さの比率t7/t4は、約前記数値のうち一つ以上および約前記数値のうち一つ以下の範囲であり得る。
【0118】
第1極薄銅箔とAl層間または第2極薄銅箔とAl層間の接着力p1と剥離層の接着力p2は、約1≦p1/p2≦約30.0の式を満足する。第1極薄銅箔とAl層間または第2極薄銅箔とAl層間の接着力と剥離層の接着力の比率p1/p2が約1~約30.0の範囲で具現されることによって、より優秀な効果を得ることができる。
【0119】
具体例において、前記第1極薄銅箔とAl層間または第2極薄銅箔とAl層間の接着力と剥離層の接着力の比率p1/p2は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30であり得る。また、前記第1極薄銅箔とAl層間または第2極薄銅箔とAl層間の接着力と剥離層の接着力の比率p1/p2は、約前記数値のうち一つ以上および約前記数値のうち一つ以下の範囲であり得る。
【0120】
Cu-Al接着力向上層24は、Al層26とCu拡散防止層25の間に形成されてAl層26とCu拡散防止層25間の接着力を向上させるために、銅または銅とアルミニウムの中間物質で形成され得る。
【0121】
図11を参照すると、本発明の一実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔30は拡散防止層38、酸化防止層39をさらに含むことができる。
【0122】
キャリア箔付き極薄銅箔30は、キャリア箔31、拡散防止層38、剥離層32、酸化防止層39、第1極薄銅箔33、Cu-Al接着力向上層34、Cu拡散防止層35、Al層36および第2極薄銅箔37が順次積層されて形成され得る。
【0123】
拡散防止層38と酸化防止層39が同じメッキ条件を使って形成されるので実質的に同じ組成を有し、ただし拡散防止層38が酸化防止層39に比べて金属付着量が増加するため、より厚い。
【0124】
前記キャリア箔付き極薄銅箔30で拡散防止層38が存在することによって、高温の加工環境においてもキャリア箔と極薄銅箔の剥離強度が一定に低い値に維持されることによって、これらの剥離が容易である。
【0125】
また、前記キャリア箔付き極薄銅箔30で拡散防止層38に比べて酸化防止層39の厚さが薄くなることによって、安定した剥離強度、酸化防止層の優秀な食刻性および向上したレーザー加工性を同時に具現することができる。
【0126】
また、前記キャリア箔付き極薄銅箔30で拡散防止層38と酸化防止層39が実質的に同じメッキ液を使うことができるため製造工程が単純化され得る。
【0127】
前記拡散防止層38および酸化防止層39はNi、Co、Fe、Cr、Mo、W、AlおよびPからなる群から選択された一つ以上の元素を含むことができる。例えば、前記拡散防止層および酸化防止層は単一の金属層であり得、2種以上の金属の合金層または1種以上の金属酸化物層であり得る。
【0128】
例えば、単一の金属層を形成するメッキとしては、ニッケルメッキ、コバルトメッキ、鉄メッキ、アルミニウムメッキなどが使われ得る。2元系合金層を形成するメッキとしては、ニッケル-コバルトメッキ、ニッケル-鉄メッキ、ニッケル-クロムメッキ、ニッケル-モリブデンメッキ、ニッケル-タングステンメッキ、ニッケル-銅メッキ、ニッケル-リンメッキ、コバルト-鉄メッキ、コバルト-クロムメッキ、コバルト-モリブデンメッキ、コバルト-タングステンメッキ、コバルト-銅メッキ、コバルト-リンメッキなどが使われ得る。3元系合金層を形成するメッキとしては、ニッケル-コバルト-鉄メッキ、ニッケル-コバルト-クロムメッキ、ニッケル-コバルト-モリブデンメッキ、ニッケル-コバルト-タングステンメッキ、ニッケル-コバルト-銅メッキ、ニッケル-コバルト-リンメッキ、ニッケル-鉄-クロムメッキ、ニッケル-鉄-モリブデンメッキ、ニッケル-鉄-タングステンメッキ、ニッケル-鉄-銅メッキ、ニッケル-鉄-リンメッキ、ニッケル-クロム-モリブデンメッキ、ニッケル-クロム-タングステンメッキ、ニッケル-クロム-銅メッキ、ニッケル-クロム-リンメッキ、ニッケル-モリブデン-タングステンメッキ、ニッケル-モリブデン-銅メッキ、ニッケル-モリブデン-リンメッキ、ニッケル-タングステン-銅メッキ、ニッケル-タングステン-リンメッキ、ニッケル-銅-リンメッキ、コバルト-鉄-クロムメッキ、コバルト-鉄-モリブデンメッキ、コバルト-鉄-タングステンメッキ、コバルト-鉄-銅メッキ、コバルト-鉄-リンメッキ、コバルト-クロム-モリブデンメッキ、コバルト-クロム-タングステンメッキ、コバルト-クロム-銅メッキ、コバルト-クロム-リンメッキ、コバルト-モリブデン-リンメッキ、コバルト-タングステン-銅メッキ、コバルト-モリブデン-リンメッキ、コバルト-タングステン-銅メッキ、コバルト-タングステン-リンメッキ、コバルト-銅-リンメッキなどが使われ得る。
【0129】
例えば、前記拡散防止層および酸化防止層はNiおよびPを含むことができる。
【0130】
また、酸化物としては、ニッケル酸化物、コバルト酸化物、鉄酸化物、クロム酸化物、モリブデン酸化物、タングステン酸化物、銅酸化物、アルミニウム酸化物、リン酸化物などが挙げられる。また、2種以上の前記酸化物の混合物などが使われ得る。
【0131】
また、単一金属のメッキ層、合金メッキ層および酸化物層から選択された層を2層以上に形成させることができる。
【0132】
前記拡散防止層は前記キャリア箔付き極薄銅箔を絶縁基板と高温でプレスする場合に、銅が剥離層に拡散することを抑制する役割をすることができる。前記拡散防止層を形成させずにキャリア箔付き極薄銅箔を絶縁基板と高温でプレスすると、キャリア箔と極薄銅箔で銅が剥離層に拡散してキャリア箔と極薄銅箔間に金属結合が生成され、これら間の強い結合力によりキャリア箔を剥離することが困難となり得る。
【0133】
以下、好ましい実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、これに限定されるものではない。
【0134】
(キャリア箔付き極薄銅箔の製造)
【0135】
実施例1
1.キャリア箔準備
キャリア箔の表面粗さは1.5μm、厚さは18μmの電解銅箔を使った。
2.拡散防止層の形成
下記の条件でNi-Pメッキによる拡散防止層を形成した。
Ni濃度:15g/L、P濃度8g/L
pH4.0
温度:30℃
電流密度:1.5A/dm2
メッキ時間:2秒
前記条件で形成した拡散防止層の付着量は金属(Ni)付着量301ug/dm2であった。
3.剥離層の形成
下記の条件でMo-Ni-Feメッキによる剥離層を形成した。
Mo濃度:20g/L、Ni濃度:6.5g/L、Fe濃度:3g/L、クエン酸ナトリウム:150g/L
pH10.2(アンモニア水30ml/L添加)
温度:30℃
電流密度:10A/dm2
メッキ時間:7秒
前記条件で形成した剥離層の付着量は1.07mg/dm2、剥離層の組成はMo60.55重量%、Ni29.8重量%、Fe5.99重量%であった。
4.酸化防止層の形成
下記の条件でNi-Pメッキによる酸化防止層を形成した。
Ni濃度:15g/L、P濃度8g/L、
pH4.0
温度:30℃
電流密度:0.5A/dm2
メッキ時間:2秒
前記条件で形成した酸化防止層の付着量は金属(Ni)付着量30ug/dm2であった。
5.第1極薄銅箔の形成
下記の条件で第1極薄銅箔を形成した。
CuSO4-5H2O:300g/L、H2SO4:150g/L
温度:30℃
電流密度:20A/dm2
メッキ時間:25秒
前記条件で形成した第1極薄銅箔の厚さは2μmであった。
6.Cu-Al接着力向上層の形成
第1極薄銅箔とAl層間の接着力を向上させる層であって、Cuの厚さは0.03μmに形成した。
7.Cu拡散防止層の形成
銅層(Cu Layer)とAl層の熱処理後に合金形成を防止するAl2O3層を0.005μmでAl層の上下に形成した。
8.Al層の形成
ワイヤー接合層であるAlの厚さは0.5μmに形成され、表面粗さは前記キャリア箔の粗さと同じである1.5μmを有するように形成した。
9.第2極薄銅箔の形成
下記の条件で第2極薄銅箔を形成した。
CuSO4-5H2O:300g/L、H2SO4:150g/L
温度:30℃
電流密度:20A/dm2
メッキ時間:5秒
前記条件で形成した第2極薄銅箔の厚さは0.5μmであった。
【0136】
実施例2
Al層を下記のように変更したことを除いては実施例1と同じ条件で実施した。
8.Al層の形成
ワイヤー接合層であるAlの厚さは1.0μmに形成され、表面粗さはキャリア箔の粗さと同じである1.5μmを有するように形成した。
【0137】
実施例3
キャリア箔およびAl層を下記のように変更したことを除いては実施例1と同じ条件で実施した。
1.キャリア箔の準備
キャリアの表面粗さは3.0μm、厚さは18μmの電解銅箔を使った。
8.Al層の形成
ワイヤー接合層であるAl厚さは0.5μmに形成し、表面粗さはキャリア箔の粗さと同じである3.0μmを有するように形成した。
【0138】
実施例4
剥離層、Cu-Al接着力向上層およびCu拡散防止層を下記のように変更したことを除いては実施例1と同じ条件で実施した。
3.剥離層の形成
下記の条件でMo-Ni-Feメッキによる剥離層を形成した。
Mo濃度:20g/L、Ni濃度:6.5g/L、Fe濃度:3g/L、クエン酸ナトリウム:150g/L
pH10.2(アンモニア水30ml/L添加)
温度:30℃
電流密度:18A/dm2
メッキ時間:7秒
前記条件で形成した剥離層の付着量は1.89mg/dm2、剥離層の組成はMo51.99重量%、Ni38.8重量%、Fe5.55重量%であった。
6.Cu-Al接着力向上層の形成
第1極薄銅箔とAl層間の接着力を向上させる層であって、Cuの厚さは0.01μmに形成した。
7.Cu拡散防止層の形成
銅層(Cu Layer)とAl層の熱処理後に合金形成を防止するAl2O3層を0.015μmでAl層の上下に形成した。
【0139】
比較例1
剥離層を下記のように変更したことを除いては実施例1と同じ条件で実施した。
3.剥離層の形成
下記の条件でMo-Ni-Feメッキによる剥離層を形成した。
Mo濃度:20g/L、Ni濃度:6.5g/L、Fe濃度:3g/L、クエン酸ナトリウム:150g/L
pH10.2(アンモニア水30ml/L添加)
温度:30℃
電流密度:3A/dm2
メッキ時間:7秒
前記条件で形成した剥離層の付着量は0.31mg/dm2、剥離層の組成はMo23.42重量%、Ni69.81重量%、Fe2.55重量%であった。
【0140】
比較例2
剥離層、Cu-Al接着力向上層およびAl層を下記のように変更したことを除いては実施例1と同じ条件で実施した。
3.剥離層の形成
剥離層の付着量を0.89mg/dm2に形成した。
6.Cu-Al接着力向上層の形成
Cu-Al接着力向上層の接着力は8程度に製作した。
8.Al層の形成
Al層の厚さを0.4μmに形成し、表面粗さは1.5μmを有するように形成した。
【0141】
以下、表2を参照して実施例1~4、比較例1および2の剥離強度、Al層の表面粗さおよびワイヤーを通じての半導体チップとの接合性について説明する。
【0142】
【0143】
剥離強度およびAl層の接合性
実施例1の場合、Al層の上下の銅層との剥離強度は非常に良好であったし、特にCCL化をさせた後、Al層と極薄銅箔層の接着力が優秀であった。実施例2および3の場合、Al層とキャリアの剥離強度は非常に良好であったし、実施例4の場合、極薄銅箔とキャリアの剥離強度は付着量が高いため極薄銅箔とキャリア間の剥離強度が低下する問題が発生した。
【0144】
比較例1の場合、Al層とキャリアの剥離強度は付着量が低いため極薄銅箔層とキャリアが剥離されない問題が発生したし、剥離層は良好であったが、Alと極薄銅箔の間の接着力が弱いためAl層の浮き現象が発生した。
【0145】
Al層の表面粗さ
実施例1、2および4の場合、Al層の表面粗さが低くてエッチングレートが優秀であるため回路形成時にファインパターンを得ることができたが、実施例3の場合、Al層の表面粗さが高いため実施例1、2よりエッチングレートが低下したし、回路形成時に所望のファインパターンを得ることができなかった。
【0146】
比較例1の場合、前記処理で実施した時、Al層の表面粗さが低くてエッチングレートが優秀であるため、回路形成時にファインパターンを得ることができたが、比較例2の場合、Al層と極薄銅箔の間の接着力が弱いためAl層の浮き現象により回路エッチング液のダメージを受けて所望の形状の回路を得ることができなかった。
【0147】
ワイヤーを通じての半導体チップとの接合性
実施例1~4の場合、前記キャリア箔付き極薄銅箔を利用して半導体substrateを製作し、半導体チップと直径25~70μmのワイヤー(金、アルミニウムなど)を利用して電気的に連結した時、Al層とワイヤー間のボンディング接着性も優秀であった。
【0148】
比較例1の場合、キャリア箔付き極薄銅箔が剥離されないため半導体substrateを製作することができなかったし、比較例2の場合、Al層と極薄銅箔上の剥離によって半導体substrateは製作することができなかった。
【0149】
[第3実施例]
図12は本発明の第3実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔の断面模式図であり、
図13は本発明の第3実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔の断面をFIB(Focused Ion Beam)で撮影したイメージであり、
図14はAl層が形成されない場合のマット面とシャイニー面の表面イメージであり、
図15は本発明の第3実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔のマット面とシャイニー面の表面イメージである。
【0150】
また、
図16は、本発明の第3実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔の他の実施例に係る断面模式図である。
【0151】
図13~
図15を参照すると、本発明の第3実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔40は、キャリア箔41、剥離層42、第1極薄銅箔43、Cu-Al接着力向上層44、Al層45および第2極薄銅箔46で形成され得る。
【0152】
キャリア箔付き極薄銅箔40は、キャリア箔41、剥離層42、第1極薄銅箔43、Cu-Al接着力向上層44、Al層45および第2極薄銅箔46が順次積層されて形成され得る。
【0153】
キャリア箔41は、アルミ箔、ステンレス鋼箔、チタン箔、銅箔または銅合金箔を使うことができる。例えば、電解銅箔、電解銅合金箔、圧延銅箔または圧延銅合金箔を使うことができる。
【0154】
また、前記キャリア箔41の表面は、未処理電解銅箔または未処理電解銅合金箔のマット面またはシャイニー面、圧延銅箔または圧延銅合金箔の圧延仕上げ面であり得る。例えば、前記キャリア箔の表面は未処理電解銅箔または未処理電解銅合金箔のマット面または光沢面に粗化処理を実施した箔、または圧延銅箔または圧延銅合金箔の圧延仕上げ面の少なくとも一側面に粗化処理を実施した箔であり得る。
【0155】
第1極薄銅箔43および第2極薄銅箔46のうち少なくとも一つは、電解メッキ、無電解メッキまたはスパッタリング(sputtering)を通じて形成され得る。
【0156】
好ましくは、第1極薄銅箔43は電解メッキで形成され、第2極薄銅箔46はスパッタリング(sputtering)を通じて形成され得る。
【0157】
剥離層42は、剥離性を有する第1金属A3、第1金属A3のメッキを容易にする第2金属B3および第3金属C3を含むことができる。
【0158】
第1金属A3は、MoまたはWであり、第2金属B3および第3金属C3は、Fe、CoおよびNiからなる群から選択される2個の互いに異なる金属であり得る。
【0159】
ここで、第1金属A3、第2金属B3および第3金属C3のうち少なくとも一つは有機金属であり得る。
【0160】
剥離層42は第1金属A3の含有量a3が約30~約89重量%、第2金属B3の含有量b3が約10~約60重量%および第3金属C3の含有量c3が約1~約20重量%であり得る。
【0161】
前記金属の含有量a3、b3およびc3は剥離層1dm2の単位面積当たりの第1金属A3の付着量(被膜量)を同一面積当たりの第1金属A3、第2金属B3および第3金属C3の付着量(被膜量)の合計で割った値に100をかけてそれぞれ求める。
【0162】
前記第1金属の含有量a3および前記第2金属の含有量b3が前記含有量範囲からそれぞれ外れると、極薄銅箔の剥離性が低下し得、前記第3金属の含有量c3が前記含有量範囲から外れると剥離層が不均一にメッキされ得る。
【0163】
前記第1金属A3と第2金属B3だけで剥離層を形成した場合、剥離層の剥離性が不均一な現象が発生し得る。
【0164】
そして、剥離時、剥離層が極薄銅箔と共に剥離される性向を示し得る。
【0165】
これに反し、本発明では第1金属A3と第2金属B3だけで剥離層を形成した場合(例えば、Mo-Ni合金層)、その剥離性が不安定であるため、剥離層の剥離性の主な要因となる第1金属A3のMo金属のメッキ量を増加させるために、Mo金属のメッキに触媒の役割をするFeイオンを第3金属C3としてさらに添加する。Feイオンの添加は剥離層の均一なメッキを可能にする。
【0166】
また、剥離層42の付着量の合計は約50~約10000μg/dm2であり得る。
【0167】
前記付着量が約50μg/dm2未満であると剥離層の役割を遂行できなくなり得、前記付着量が約10000μg/dm2を超過すると剥離可能な物質である酸化性物質ではなく金属性物質となるため剥離性がなくなり得る。
【0168】
一方、Al層の厚さt8と半導体チップのボンディング用パッドの厚さt9は約0.0005≦t8/t9≦約3.0の式を満足する。前記Al層の厚さと半導体チップボンディング用パッドの厚さの比率t8/t9を約0.0005~約3.0の範囲で具現することによって、より優秀な効果を得ることができる。
【0169】
具体例において、前記Al層の厚さと半導体チップボンディング用パッドの厚さの比率t8/t9は、約0.0005、0.001、0.01、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、または3.0であり得る。また、前記Al層の厚さと半導体チップボンディング用パッドの厚さの比率t8/t9は、約前記数値のうち一つ以上および約前記数値のうち一つ以下の範囲であり得る。
【0170】
また、Al層の厚さt8と半導体チップのボンディング用ワイヤーの厚さt10は、約0.0005≦t8/t10≦約3.0の式を満足する。前記Al層の厚さと半導体チップボンディング用ワイヤー厚さの比率t8/t10を約0.0005~約3.0の範囲で具現することによって、より優秀な効果を得ることができる。
【0171】
具体例において、前記Al層の厚さと半導体チップボンディング用ワイヤー厚さの比率t8/t10は、約0.0005、0.001、0.01、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、または3.0であり得る。また、前記Al層の厚さと半導体チップボンディング用ワイヤー厚さの比率t8/t10は、約前記数値のうち一つ以上および約前記数値のうち一つ以下の範囲であり得る。
【0172】
一方、キャリア箔のマット面またはシャイニー面の表面粗さは約3.0μm以下であり、Al層は電解メッキまたはスパッタリング(sputtering)を通じて形成され、表面粗さは約3.0μm以下である。
【0173】
また、キャリア箔のマット面またはシャイニー面の表面粗さr5と前記Al層の表面粗さr6は、r6/r5≦約3.0の式を満足する。前記Al層の表面粗さとキャリア箔のマット面またはシャイニー面の表面粗さの比率r6/r5が約3.0以下の範囲で具現されることによって、より優秀な効果を得ることができる。
【0174】
具体例において、前記Al層の表面粗さとキャリア箔のマット面またはシャイニー面の表面粗さの比率r6/r5は、約0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、または3.0であり得る。また、前記Al層の表面粗さとキャリア箔のマット面またはシャイニー面の表面粗さの比率r6/r5は、約前記数値のうち一つ以上および約前記数値のうち一つ以下の範囲であり得る。
【0175】
Cu-Al接着力向上層44は、Al層45と第1極薄銅箔43の間およびAl層45と第2極薄銅箔46の間に形成され得、Al層45のアルミニウムと第1極薄銅箔43または第2極薄銅箔46の銅間の接着力を向上させるために、銅または銅とアルミニウムの中間物質で形成され得る。
【0176】
第1極薄銅箔とAl層間または第2極薄銅箔とAl層間の接着力p3と剥離層の接着力p4は、約1≦p3/p4≦約30.0の式を満足する。第1極薄銅箔とAl層間または第2極薄銅箔とAl層間の接着力と剥離層の接着力の比率p3/p4が約1~約30.0の範囲で具現されることによって、より優秀な効果を得ることができる。
【0177】
具体例において、前記第1極薄銅箔とAl層間または第2極薄銅箔とAl層間の接着力と剥離層の接着力の比率p3/p4は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30であり得る。また、前記第1極薄銅箔とAl層間または第2極薄銅箔とAl層間の接着力と剥離層の接着力の比率p3/p4は前記数値のうち一つ以上および約前記数値のうち一つ以下の範囲であり得る。
【0178】
図16を参照すると、本発明の一実施例に係るキャリア箔付き極薄銅箔50は拡散防止層57および酸化防止層58をさらに含むことができる。
【0179】
具体的には、キャリア箔付き極薄銅箔50は、キャリア箔51、拡散防止層57、剥離層52、酸化防止層58、第1極薄銅箔53、Cu-Al接着力向上層54、Al層55および第2極薄銅箔56が順次積層されて形成され得る。
【0180】
拡散防止層57と酸化防止層58が同じメッキ条件を使って形成されるので実質的に同じ組成を有し、ただし拡散防止層57が酸化防止層58に比べて金属付着量が増加するため、より厚い。
【0181】
前記キャリア箔付き極薄銅箔50で拡散防止層57が存在することによって、高温の加工環境においてもキャリア箔と極薄銅箔の剥離強度が一定に低い値に維持されることによって、これらの剥離が容易である。
【0182】
また、前記キャリア箔付き極薄銅箔で拡散防止層に比べて酸化防止層の厚さが薄くなることによって、安定した剥離強度、酸化防止層の優秀な食刻性および向上したレーザー加工性を同時に具現することができる。
【0183】
また、前記キャリア箔付き極薄銅箔50で拡散防止層57と酸化防止層58が実質的に同じメッキ液を使うことができるため製造工程が単純化され得る。
【0184】
前記拡散防止層57および酸化防止層58はNi、Co、Fe、Cr、Mo、W、AlおよびPからなる群から選択された一つ以上の元素を含むことができる。例えば、前記拡散防止層および酸化防止層は単一の金属層であり得、2種以上の金属の合金層または1種以上の金属酸化物層であり得る。
【0185】
例えば、単一の金属層を形成するメッキとしては、ニッケルメッキ、コバルトメッキ、鉄メッキ、アルミニウムメッキなどが使われ得る。2元系合金層を形成するメッキとしては、ニッケル-コバルトメッキ、ニッケル-鉄メッキ、ニッケル-クロムメッキ、ニッケル-モリブデンメッキ、ニッケル-タングステンメッキ、ニッケル-銅メッキ、ニッケル-リンメッキ、コバルト-鉄メッキ、コバルト-クロムメッキ、コバルト-モリブデンメッキ、コバルト-タングステンメッキ、コバルト-銅メッキ、コバルト-リンメッキなどが使われ得る。3元系合金層を形成するメッキとしては、ニッケル-コバルト-鉄メッキ、ニッケル-コバルト-クロムメッキ、ニッケル-コバルト-モリブデンメッキ、ニッケル-コバルト-タングステンメッキ、ニッケル-コバルト-銅メッキ、ニッケル-コバルト-リンメッキ、ニッケル-鉄-クロムメッキ、ニッケル-鉄-モリブデンメッキ、ニッケル-鉄-タングステンメッキ、ニッケル-鉄-銅メッキ、ニッケル-鉄-リンメッキ、ニッケル-クロム-モリブデンメッキ、ニッケル-クロム-タングステンメッキ、ニッケル-クロム-銅メッキ、ニッケル-クロム-リンメッキ、ニッケル-モリブデン-タングステンメッキ、ニッケル-モリブデン-銅メッキ、ニッケル-モリブデン-リンメッキ、ニッケル-タングステン-銅メッキ、ニッケル-タングステン-リンメッキ、ニッケル-銅-リンメッキ、コバルト-鉄-クロムメッキ、コバルト-鉄-モリブデンメッキ、コバルト-鉄-タングステンメッキ、コバルト-鉄-銅メッキ、コバルト-鉄-リンメッキ、コバルト-クロム-モリブデンメッキ、コバルト-クロム-タングステンメッキ、コバルト-クロム-銅メッキ、コバルト-クロム-リンメッキ、コバルト-モリブデン-リンメッキ、コバルト-タングステン-銅メッキ、コバルト-モリブデン-リンメッキ、コバルト-タングステン-銅メッキ、コバルト-タングステン-リンメッキ、コバルト-銅-リンメッキなどが使われ得る。
【0186】
例えば、前記拡散防止層および酸化防止層はNiおよびPを含むことができる。
【0187】
また、酸化物としては、ニッケル酸化物、コバルト酸化物、鉄酸化物、クロム酸化物、モリブデン酸化物、タングステン酸化物、銅酸化物、アルミニウム酸化物、リン酸化物などが挙げられる。また、2種以上の前記酸化物の混合物などが使われ得る。
【0188】
また、単一金属のメッキ層、合金メッキ層および酸化物層から選択された層を2層以上に形成させることができる。
【0189】
前記拡散防止層は前記キャリア箔付き極薄銅箔を絶縁基板と高温でプレスする場合に、銅が剥離層に拡散することを抑制する役割をすることができる。前記拡散防止層を形成させずにキャリア箔付き極薄銅箔を絶縁基板と高温でプレスすると、キャリア箔と極薄銅箔で銅が剥離層に拡散してキャリア箔と極薄銅箔間に金属結合が生成され、これら間の強い結合力によりキャリア箔を剥離することが困難となり得る。
【0190】
以下、好ましい実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、これに限定されるものではない。
【0191】
(キャリア箔付き極薄銅箔の製造)
【0192】
実施例1
1.キャリア箔準備
キャリア箔の表面粗さは1.5μm、厚さは18μmの電解銅箔を使った。
2.拡散防止層の形成
下記の条件でNi-Pメッキによる拡散防止層を形成した。
Ni濃度:15g/L、P濃度8g/L
pH4.0
温度:30℃
電流密度:1.5A/dm2
メッキ時間:2秒
前記条件で形成した拡散防止層の付着量は金属(Ni)付着量301ug/dm2であった。
3.剥離層の形成
下記の条件でMo-Ni-Feメッキによる剥離層を形成した。
Mo濃度:20g/L、Ni濃度:6.5g/L、Fe濃度:3g/L、クエン酸ナトリウム:150g/L
pH10.2(アンモニア水30ml/L添加)
温度:30℃
電流密度:10A/dm2
メッキ時間:7秒
前記条件で形成した剥離層の付着量は1.07mg/dm2、剥離層の組成はMo60.55重量%、Ni29.8重量%、Fe5.99重量%であった。
4.酸化防止層の形成
下記の条件でNi-Pメッキによる酸化防止層を形成した。
Ni濃度:15g/L、P濃度8g/L
pH4.0
温度:30℃
電流密度:0.5A/dm2
メッキ時間:2秒
前記条件で形成した酸化防止層の付着量は金属(Ni)付着量30ug/dm2であった。
5.第1極薄銅箔の形成
下記の条件で第1極薄銅箔を形成した。
CuSO4-5H2O:300g/L、H2SO4:150g/L
温度:30℃
電流密度:20A/dm2
メッキ時間:25秒
前記条件で形成した第1極薄銅箔の厚さは2μmであった。
6.Cu-Al接着力向上層の形成
第1極薄銅箔とAl層間の接着力を向上させる層であって、Cuの厚さは0.03μmに形成した。
7.Al層の形成
ワイヤー接合層であるAlの厚さは0.5μmに形成され、表面粗さは前記キャリア箔の粗さと同じである1.5μmを有するように形成した。
8.第2極薄銅箔の形成
下記の条件で第2極薄銅箔を形成した。
CuSO4-5H2O:300g/L、H2SO4:150g/L
温度:30℃
電流密度:20A/dm2
メッキ時間:5秒
前記条件で形成した第2極薄銅箔の厚さは0.5μmであった。
【0193】
実施例2
Al層を下記のように変更したことを除いては実施例1と同じ条件で実施した。
7.Al層の形成
ワイヤー接合層であるAlの厚さは1.0μmに形成され、表面粗さはキャリア箔の粗さと同じである1.5μmを有するように形成した。
【0194】
実施例3
キャリア箔およびAl層を下記のように変更したことを除いては実施例1と同じ条件で実施した。
1.キャリア箔の準備
キャリアの表面粗さは3.0μm、厚さは18μmの電解銅箔を使った。
7.Al層の形成
ワイヤー接合層であるAl厚さは0.5μmに形成し、表面粗さはキャリア箔の粗さと同じである3.0μmを有するように形成した。
【0195】
実施例4
剥離層およびCu-Al接着力向上層を下記のように変更したことを除いては実施例1と同じ条件で実施した。
3.剥離層の形成
下記の条件でMo-Ni-Feメッキによる剥離層を形成した。
Mo濃度:20g/L、Ni濃度:6.5g/L、Fe濃度:3g/L、クエン酸ナトリウム:150g/L
pH10.2(アンモニア水30ml/L添加)
温度:30℃
電流密度:18A/dm2
メッキ時間:7秒
前記条件で形成した剥離層の付着量は1.89mg/dm2、剥離層の組成はMo51.99重量%、Ni38.8重量%、Fe5.55重量%であった。
6.Cu-Al接着力向上層形成
第1極薄銅箔とAl層間の接着力を向上させる層であって、Cuの厚さは0.1μmに形成した。
【0196】
比較例1
剥離層を下記のように変更したことを除いては実施例1と同じ条件で実施した。
3.剥離層の形成
下記の条件でMo-Ni-Feメッキによる剥離層を形成した。
Mo濃度:20g/L、Ni濃度:6.5g/L、Fe濃度:3g/L、クエン酸ナトリウム:150g/L
pH10.2(アンモニア水30ml/L添加)
温度:30℃
電流密度:3A/dm2
メッキ時間:7秒
前記条件で形成した剥離層の付着量は0.31mg/dm2、剥離層の組成はMo23.42重量%、Ni69.81重量%、Fe2.55重量%であった。
【0197】
比較例2
剥離層、Cu-Al接着力向上層およびAl層を下記のように変更したことを除いては実施例1と同じ条件で実施した。
3.剥離層の形成
剥離層の付着量を0.89mg/dm2に形成した。
6.Cu-Al接着力向上層形成
Cu-Al接着力向上層の接着力は8程度に製作した。
7.Al層の形成
Al層の厚さを0.4μmに形成し、表面粗さは1.5μmを有するように形成した。
【0198】
以下、表3を参照して実施例1~4、比較例1および2の剥離強度、Al層の表面粗さおよびワイヤーを通じての半導体チップとの接合性について説明する。
【0199】
【0200】
剥離強度およびAl層の接合性
実施例1の場合、Al層の上下の銅層との剥離強度は非常に良好であったし、特にCCL化をさせた後、Al層と極薄銅箔層の接着力が優秀であった。実施例2および3の場合、Al層とキャリアの剥離強度は非常に良好であったし、実施例4の場合、極薄銅箔とキャリアの剥離強度は付着量が高いため極薄銅箔とキャリア間の剥離強度が低下する問題が発生した。
【0201】
比較例1の場合、Al層とキャリアの剥離強度は付着量が低いため極薄銅箔層とキャリアが剥離されない問題が発生したし、剥離層は良好であったが、Alと極薄銅箔の間の接着力が弱いためAl層の浮き現象が発生した。
【0202】
Al層の表面粗さ
実施例1、2および4の場合、Al層の表面粗さが低くてエッチングレートが優秀であるため回路形成時にファインパターンを得ることができたが、実施例3の場合、Al層の表面粗さが高いため実施例1、2よりエッチングレートが低下したし、回路形成時に所望のファインパターンを得ることができなかった。
【0203】
比較例1の場合、前記処理で実施した時、Al層の表面粗さが低くてエッチングレートが優秀であるため、回路形成時にファインパターンを得ることができたが、比較例2の場合、Al層と極薄銅箔の間の接着力が弱いためAl層の浮き現象により回路エッチング液のダメージを受けて所望の形状の回路を得ることができなかった。
【0204】
ワイヤーを通じての半導体チップとの接合性
実施例1~4の場合、前記キャリア箔付き極薄銅箔を利用して半導体substrateを製作し、半導体チップと直径25~70μmのワイヤー(金、アルミニウムなど)を利用して電気的に連結した時、Al層とワイヤー間のボンディング接着性も優秀であった。
【0205】
比較例1の場合、キャリア箔付き極薄銅箔が剥離されないため半導体substrateを製作することができなかったし、比較例2の場合、Al層と極薄銅箔上の剥離によって半導体substrateは製作することができなかった。
【0206】
前記では本発明に係る実施例を基準に本発明の構成と特徴を説明したが本発明はこれに限定されず、本発明の思想と範囲内で多様に変更または変形できることは本発明が属する技術分野の当業者に明白なものであり、したがって、このような変更または変形は添付された特許請求の範囲に属するものであることを明らかにする。
本発明に関連する発明の実施態様の一部を以下に示す。
[態様1]
キャリア箔、剥離層、第1極薄銅箔、Cu-Al接着力向上層、Al層および第2極薄銅箔からなるキャリア箔付き極薄銅箔において、
前記剥離層は剥離性を有する第1金属(A3)、前記第1金属(A3)のメッキを容易にする第2金属(B3)および第3金属(C3)を含むキャリア箔付き極薄銅箔。
[態様2]
前記Cu-Al接着力向上層は、
前記Al層と前記第1極薄銅箔間および前記Al層と前記第2極薄銅箔間に形成されることを特徴とする、態様1に記載のキャリア箔付き極薄銅箔。
[態様3]
前記第2極薄銅箔と前記Al層の間の接着力(p3)と前記剥離層の接着力(p4)は、
約1≦p3/p4≦約30.0の式を満足する、態様1に記載のキャリア箔付き極薄銅箔。
[態様4]
前記Al層の厚さ(t8)と半導体チップのボンディング用パッドの厚さ(t9)は
約0.0005≦t8/t9≦約3.0の式を満足する、態様1に記載のキャリア箔付き極薄銅箔。
[態様5]
前記Al層の厚さ(t8)と半導体チップのボンディング用ワイヤーの厚さ(t10)は、
約0.0005≦t8/t10≦約3.0の式を満足する、態様1に記載のキャリア箔付き極薄銅箔。
[態様6]
前記キャリア箔のマット面またはシャイニー面の表面粗さは約3.0μm以下であり、
前記Al層は、
電解メッキまたはスパッタリング(sputtering)を通じて形成され、表面粗さは約3.0μm以下である、態様1に記載のキャリア箔付き極薄銅箔。
[態様7]
前記Al層は、電解メッキまたはスパッタリング(sputtering)を通じて形成され、
前記キャリア箔のマット面またはシャイニー面の表面粗さ(r5)と前記Al層の表面粗さ(r6)は、
r6/r5≦約3.0の式を満足する、態様1に記載のキャリア箔付き極薄銅箔。
[態様8]
前記第1金属は、MoまたはWであり、
前記第2金属および前記第3金属は、Fe、CoおよびNiからなる群から選択される2個の互いに異なる金属であることを特徴とする、態様1に記載のキャリア箔付き極薄銅箔。
[態様9]
前記剥離層を構成する第1金属の含有量(a3)が約30~約89重量%、第2金属の含有量(b3)が約10~約60重量%および第3金属の含有量(c3)が約1~約20重量%である、態様1に記載のキャリア箔付き極薄銅箔。
[態様10]
前記剥離層の付着量の合計が約50~約10000μg/dm2であることを特徴とする、態様1に記載のキャリア箔付き極薄銅箔。
[態様11]
前記第1金属(A3)、前記第2金属(B3)および前記第3金属(C3)のうち少なくとも一つは有機金属であることを特徴とする、態様1に記載のキャリア箔付き極薄銅箔。
[態様12]
前記第1極薄銅箔および前記第2極薄銅箔は、
電解メッキまたはスパッタリング(sputtering)を通じて形成されることを特徴とする、態様1に記載のキャリア箔付き極薄銅箔。
[態様13]
キャリア箔、拡散防止層、剥離層、酸化防止層、第1極薄銅箔、Cu-Al接着力向上層、Al層および第2極薄銅箔からなるキャリア箔付き極薄銅箔において、
前記剥離層は剥離性を有する第1金属(A3)、前記第1金属(A3)のメッキを容易にする第2金属(B3)および第3金属(C3)を含み、
前記拡散防止層および前記酸化防止層は、
Ni、Co、Fe、Cr、Mo、W、AlおよびPからなる群から選択された一つ以上の元素を含む、キャリア箔付き極薄銅箔。