(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】歯科用嵌合体を作製するための方法およびこの目的のための被加工物
(51)【国際特許分類】
A61C 13/083 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
A61C13/083
(21)【出願番号】P 2021526493
(86)(22)【出願日】2019-11-14
(86)【国際出願番号】 US2019061361
(87)【国際公開番号】W WO2020102473
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2022-11-10
(32)【優先日】2018-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517264281
【氏名又は名称】デンツプライ シロナ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】グリム,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ノワラ,オリバー
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-333667(JP,A)
【文献】特開2017-047175(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0148985(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102015010322(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102009011443(DE,A1)
【文献】米国特許第09050666(US,B2)
【文献】特表2006-521842(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 13/083
A61C 5/77
A61C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
指定またはカスタムの3次元に湾曲した外輪郭を有する歯科用嵌合体(3)または粗い外輪郭を有する前記嵌合体(3)のプリフォームを作製するための方法であって、工具(5)の外周面(7)に配置された1つまたは複数の切断エッジ(8)により被加工物(2)の中に係合する前記工具(5)によって材料を除去する方法で、そこから前記嵌合体(3)またはそのプリフォームが作製される前記被加工物(2)を機械加工し、前記工具(5)は工具軸(6)を有し、前記工具軸(6)の周りを回転し、かつ前記工具(5)および前記被加工物(2)は前記工具軸(6)に対して直交または傾斜している工具経路(1)に沿って相対的移動を行い、かつ前記工具経路(1)は生成される輪郭(3.1)のルートを横切る方向に構成され、前記1つ以上の切断エッジ(8)は規定の形状を有すること、前記工具(5)は平均して90°未満の前記外周面(7)の切断弧角αおよび工具径(D)の少なくとも2倍の挿入深さ(ta、tb、tg)で前記被加工物(2)の中に係合すること、および前記被加工物(2)の機械加工は前記外輪郭(20)または粗い輪郭(21)に従う機械加工方向とは違う方向に構成された前記工具経路(1)に沿って行われ、前記被加工物(2)の同時機械加工のために
前記工具(5)のうちの少なくとも2つの工具(5a、5b、15a、15b)が存在し、かつ前記被加工物(2)に係合し、ここでは前記2つの工具は互い
に前記工具軸(6)に平
行になるように配置されており、かつ前記被加工物(2)の対向する側面から案内および駆動されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記外周面(7)に配置された前記規定の切断エッジ(8)の機械加工長さは前記工具(5)の前記工具軸(6)の方向の前記被加工物(2)の厚さtよりも大きいかそれと等しいこと、および機械加工は前記被加工物(2)の前記厚さt全体にわたって前記外周面(7)に沿ってのみ行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記外周面(7)に配置された前記規定の切断エッジ(8)の機械加工長さtaは前記工具(5)の前記工具軸(6)の方向の前記被加工物(2)の厚さt未満であること、機械加工されていない残りの厚さがそのままであるように第1の機械加工は前記被加工物(2)の前記厚さt全体の一部にわたって前記外周面(7)に配置された1つまたは複数の前記切断エッジ(8)により行われること、および前記被加工物を180°回転させた後に、第2の機械加工は前記外周面(7)に沿って前記被加工物(2)の前記厚さ全体の残りにわたって行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記工具(5)は、前記外周面(7)に配置された1つまたは複数の前記切断エッジ(8)に加えて、前記工具(5)の工具先端(10)に配置された軸方向の材料除去を伴う規定の切断エッジ(11)を有すること、第1の機械加工はさらに軸方向の材料除去を伴う前記規定の切断エッジにより前記被加工物(2)の前記厚さt全体の一部にわたって行われること、および前記第2の機械加工は軸方向の材料除去を伴う前記切断エッジ(11)がない状態で行われることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記工具(5、5a、5b)を前記外周面(7)に配置された前記切断エッジ(8)の一部に係合させ、その一部は前記工具先端(10)までの最大可能距離を有することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記被加工物(2)における前記工具(5)の前記挿入深さ(ta、tb、tg)を前方移動および/または側方および後方移動中に前記工具軸(6)に沿って変化させ、この変化は最大0.2×工具径(D)であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記被加工物(2)のさらなる機械加工が行われ、ここでは前記被加工物(2)および前記工具(5)は前の機械加工の方法とは違う方法で互いに位置合わせされていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記被加工物(2)の機械加工中に、作製される前記嵌合体(3)または前記嵌合体のプリフォームは内側支持部(4.1)を介して被加工物残部(4)に接続されていること、および前記工具(5)の前記被加工物(2)内への侵入は前記嵌合体(3)またはそのプリフォームの赤道線(20)の外側で前記
内側支持部(4.1)の側方から行われることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記被加工物(2)の機械加工中に、作製される前記嵌合体(3)またはそのプリフォームは前記内側支持部(4.1)を介して前記被加工物残部(4)に接続されていること、および前記工具(5)の前記被加工物(2)内への侵入は、前記
内側支持部(4.1)から離れ、かつ前記嵌合体(3)またはそのプリフォームの赤道線(20)への方向に方向づけられた状態で行われることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
トロコイドミリングによる前記被加工物(2)の機械加工のための前記工具(5)の前記被加工物(2)内への侵入は前記工具軸(6)を横断させて行われることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記被加工物(2)の凹部(18)における前記工具(5)の位置決めは前記工具(5)の前記被加工物(2)内への侵入の前に行われることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記工具(5)によるトロコイドミリングによる前記被加工物(2)の機械加工の前に凹部(18)を生成するために、前記工具(5、5a、5b、15a、15b)または別の機械加工工具(5c)の侵入は前記工具(5、5a、5b、15a、15b)の前記工具軸(6)の方向に行われることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記被加工物(2)は、
-ガラスセラミック、ジルコニウムジオキシドなどの予備焼結された状態のセラミックス、
-充填もしくは非充填プラスチック、
-予備焼結された状態の金属
から選択される先端を形成している材料からなることを特徴とする、請求項1
~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
歯科用嵌合体(3)を作製するための、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法を実施するための被加工物であって、ホルダー(16)に接続させるかホルダー(16’)内に固定するための少なくとも1つの第1の外面(2.3)と、
前記工具(5)との接触により被加工物を機械加工するための少なくとも1つの他の第2の外面とを有し、前記被加工物(2)は少なくとも1つの凹部(18)を有し、前記凹部(18)は完全に前記被加工物の第2の外面(2.1)内に位置しており、前記凹部(18)は前記第1の外面(2.3)から離間されていること、および前記凹部(18)は前記被加工物(2)に少なくとも部分的に貫入していることを特徴とする被加工物。
【請求項15】
前記凹部(18)は、前記歯科用嵌合体(3)を作製するための前記被加工物(2)を機械加工するために使用される
前記工具(5)の直径Dの少なくとも1.2倍であって最大で10倍の直径を有することを特徴とする、請求項14に記載の被加工物。
【請求項16】
前記凹部(18)は、前記歯科用嵌合体(3)を作製するための前記被加工物(2)を機械加工するために使用される前
記工具(5)の前記直径Dの少なくとも2倍であって、好ましくは最大で50倍に対応する前記第1の外面(2.3)までの距離を有することを特徴とする、請求項15に記載の被加工物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は2018年11月15日に出願された欧州特許出願第18206375.0号の利益および優先権を主張するものであり、全ての目的のためにその内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、指定またはカスタムの3次元に湾曲した外輪郭を有する医療用、特に歯科用嵌合体、または外輪郭に対して削り代を有する粗い外輪郭を有する嵌合体のプリフォームを作製するための方法に関する。歯科用嵌合体を作製するための被加工物は、少なくともホルダーに接続するかホルダー内に固定するための第1の外面と、機械加工工具との接触により被加工物を機械加工するための少なくとも1つのさらなる第2の外面とを有する。
【背景技術】
【0003】
セラミックまたはセラミック-プラスチック複合体材料ブランクを研削することにより歯科用物体を作製するための方法が欧州特許第3199124A1号から知られており、ここでは作製される歯科用物体の最終的な外輪郭とは異なる外輪郭を有するプリフォームを作製するために、ブランクまたは研削装置の研削工具によってブランクから既に削られているプレプリフォーム内に研削溝が研削される。プリフォームの外輪郭はその縁部のうちの1つに研削溝が形成されており、プリフォームの外輪郭とは反対側の研削溝の縁部にある少なくとも1つの残部はブランクまたはプレプリフォームから少なくとも面積方向に切り離される。
【0004】
ブランクまたはプレプリフォーム内に研削溝が研削されているため、研削工具の移動は、その長手軸の周りでの研削工具の回転と、研削溝の長手方向への前送り移動と、研削溝の長手方向に直交する少なくとも1つの移動部品によるその長手軸を有する研削工具の移動との組み合わせであってもよい。
【0005】
これの欠点は、研削では時間単位当たりで小さい体積しか除去できないことにある。故に4mm/秒の速度で自由表面に沿って材料を除去するために、当該工具の8mmの挿入深さおよび0.05mmのサイドステップにより除去される体積は1.6mm3/秒となる。これは最先端技術によれば、残部を材料の除去により除去するのではなくブランクから切り離さなければならないという意味で重要である。
【0006】
被加工物をミリングするための方法はドイツ特許第102015010322A1号から知られており、ここではエンドミルの係合角度は凹曲面の機械加工中の前記エンドミルの円形移動によって制限される。このミリング経路はトロコイド様である。
【0007】
歯科用物品のプリフォームを予備焼結された歯科用ミリングブランクからミリングまたは研削などの機械加工により作製することは、欧州特許第2692311B1号から知られている。歯科用物品を解放するために歯科用物品の輪郭を一度に1つの平面において層方向に除去するので、次いで次の平面の層を新しい侵入深さで除去することができる。この方法は、例えばSIRONA Dental Systems社(ベンスハイム)のMCXLおよびMCX5ミリングおよび研削機械に用いられている。従って平面におけるこの層の最大厚は工具径に等しい。
【0008】
故に歯科用物品は歯科用ミリングブランク内に残ったままであるが、その大部分はその中で解放されているので、ダイヤモンドドリルによる手動の切り離しが可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、耐用年数を引き延ばしながらも歯科用嵌合体の作製中の機械加工速度を上昇させる方法を明記することからなる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
指定またはカスタムの3次元に湾曲した外輪郭を有する医療用、特に歯科用嵌合体または外輪郭に対して削り代を有する粗い外輪郭を有する嵌合体のプリフォームを作製するための本発明に係る方法では、そこから嵌合体またはプリフォームが作製される被加工物は、被加工物内に係合する工具の外周面に配置された1つまたは複数の切断エッジにより前記工具によって材料を除去する方法で機械加工される。機械加工のために、工具軸を有する当該工具を前記工具軸の周りで回転させ、当該工具および被加工物は工具軸に対して直交または傾斜している工具経路に沿って相対的移動を行う。工具経路は生成される輪郭のルートを横切る方向指示部品をさらに有する。
【0011】
1つ以上の切断エッジは規定の形状を有し、かつ当該工具は少なくとも平均して90°未満の外周面の切断弧角および工具径の少なくとも2倍の挿入深さで被加工物内に挿入する。
【0012】
被加工物は外輪郭または粗い輪郭に従う機械加工方向とは違って、方向指示部品による工具経路に沿って機械加工される。
【0013】
本発明の意味では歯科用嵌合体は、その最終的な機械加工された形態で歯の代わりとして使用することが意図されており、従ってカスタムの3次元に湾曲した外輪郭を有する構成要素を意味するものと理解される。この外輪郭は公知である。但し本発明は特に、そこから前記嵌合体が削られる被加工物の機械加工中に生じる嵌合体のプリフォームも含み、プリフォームは嵌合体の外輪郭に対して削り代を有する粗い外輪郭を有し、この外輪郭は嵌合体の最終的なサイズに到達するまで1つの機械加工工程またはさらなる複数の機械加工工程によって材料を除去することによって減少させることができる。
【0014】
切断弧角は接触弧としても知られており、機械加工中に被加工物と接触している工具の外周面の領域である。少なくとも平均して最大で60°の切断弧角が有利であり得ることが分かった。
【0015】
規定の形状を有する1つまたは複数の切断エッジを備えた工具はミリング工具であってもよい。
【0016】
挿入深さは、被加工物の安定性が十分である限り、好ましくは嵌合体の場合には工具径の2.5~6倍であり、さらにはより大きい被加工物の場合には最大8倍以上であってもよい。
【0017】
ミリングと研削との違いは一つにはその工具にあり、研削工具は未知の数の非指向性切断要素を有するが、ミリング工具は公知の数の指向性切断要素を有する。また切断要素間の先端空間はミリング工具よりも研削工具において非常に小さい。これらの工具の特性により両方の方法において非常に異なるプロセスパラメータおよび機械加工戦略が選択される。研削により時間単位当たりの許容体積を達成するために、小さい先端空間を理由に大きい挿入深さが選択され、それに応じて外周面に対する応力が高くなり、かつサイドステップが小さくなる。対照的にミリングの場合は、規定の切断要素間の大きい先端空間を理由に大きいサイドステップと共に比較的小さい挿入深さが選択される。従って単位時間当たりの体積は研削の際よりも大きい。
【0018】
本発明に係る方法を用いれば、規定の切断エッジによる機械加工が大きい挿入深さにより可能であることも分かった。
【0019】
従って規定の切断エッジによる機械加工の場合に、それに応じた被加工物内への深い侵入を必要とする残部材料の切り離しも可能である。全幅切断を回避することにより、どんな大きな問題もなく、さらには特別に設計されたミリング工具を必要とすることなく2×Dを超える切断深さが達成可能である。
【0020】
ここに記載されている問題が原因で、標準的なミリングは低い前送り速度および浅い切断深さで行われる。工具径の1×の最大ミリング深さが典型的である。
【0021】
工具軸に直交するかその対角にある工具経路(ここでは前記工具経路は生成される輪郭のルートを横切る方向指示部品を有し、かつその輪郭に従う機械加工方向とは違う)は、例えばトロコイドミリングにおいて知られており、それはウェーブ(カット)ミリング、円形スロットミリング、トロコイドスピード切断などとしても知られている。
【0022】
残部材料を切り離すための切断深さおよびひいては挿入深さは、ブロックの高さおよび用いられる工具の切断要素の長さによって決まる。
【0023】
有利には、外周面に配置された規定の切断エッジの機械加工長さは当該工具の工具軸の方向の被加工物の厚さよりも大きいかそれと等しくてもよく、かつ機械加工は被加工物の厚さ全体にわたってもっぱら外周面に沿って行うことができる。
【0024】
これの利点は、対応する長さのための先端の摩耗が少なく、従って耐用年数が引き延ばされることにある。
【0025】
外周面に配置された規定もしくは未規定の切断エッジの機械加工長さが当該工具の工具軸の方向の被加工物の厚さ未満である場合には、第1の機械加工は外周面に配置された切断エッジもしくは要素により被加工物の厚さ全体の一部にわたって行うことができる。これにより機械加工されていない残りの厚さが残り、第2の機械加工は被加工物の180°の回転後に被加工物の厚さ全体の残りにわたって外周面に沿って行うことができる。
【0026】
有利には、外周面に配置された切断エッジもしくは要素に加えて、当該工具はその軸方向端部に配置された軸方向の材料除去を伴う規定の切断エッジを有していてもよく、軸方向の材料除去を伴う規定の切断エッジにより機械加工を行うこともできる。軸方向の材料除去を伴う切断エッジがない状態で第2の機械加工を行うことができる。
【0027】
これらの切断エッジは端部表面に配置することができるが、ボール先端または円錐先端として形成することもできる。
【0028】
当該工具は有利には外周面に配置された切断エッジの一部と係合させることができ、この切断エッジは当該工具先端までの最大可能距離を有する。
【0029】
これの利点は、当該工具の安定性が高められること、および非常に摩耗しやすく、かつ最終的な輪郭を生成するためのその後の機械加工工程で使用される当該先端の領域が保護されることにある。
【0030】
有利には、前方移動および/または側方および後方移動中に当該工具の対称軸に沿った当該工具の被加工物内への挿入深さを、好ましくは最大0.2×D、特に0.1×Dの範囲で変化させることができる。
【0031】
従って同じブロック高さの頻繁かつ一貫した使用により、切断エッジの同じ場所がブロックの上部または底部に常に接触し、かつこうして境界がはっきりした段階的摩耗が生じるのを回避することができる。
【0032】
有利には、被加工物のさらなる機械加工は前の機械加工の際よりも当該工具および被加工物を互いに対して位置合わせした状態で行うことができる。これは特に機械加工の休止中に被加工物を被加工物軸の周りで回転させることにより行うことができる。この回転は前の位置合わせに対して90°であってもよいが、1回の機械加工プロセスによりそれぞれ他の回転角度および数回の回転も可能である。
【0033】
従って後続の機械加工工程、すなわち微細機械加工を伴う工程の時間を短縮させることができる。これは特に被加工物が立方体または直方体の主要平面以外の平面にさらなる表面、例えば被加工物を作製される嵌合体の外輪郭にさらに近づける面取りまたは平坦化を既に有する場合であってもよい。
【0034】
被加工物の機械加工において、作製される嵌合体またはプリフォームを有利には機械加工中に形成される内側支持部を介して被加工物残部に接続することができ、かつ研削による機械加工のための最先端技術において公知の方法で嵌合体またはプリフォームの赤道線の外側で形成される支持部の側方から当該工具を被加工物内に挿入することができる。被加工物がバーの領域における材料除去によって弱くなっている場合であっても、この機械加工方法は十分な向上をなおもたらすことができる。
【0035】
被加工物の機械加工では代わりとして、作製される嵌合体またはプリフォームを機械加工中に形成される内側支持部を介して被加工物残部に接続することができ、かつまだ形成されていない支持体から離れ、かつそれが嵌合体またはプリフォームの赤道線上で方向づけられるような方法で、当該工具を被加工物内に挿入することができる。
【0036】
これの利点は、作製されるバーの領域にある被加工物の安定性がその作製中により長く維持されることにある。
【0037】
有利には、トロコイドミリングにより被加工物を機械加工するために工具軸のもっぱら側方から機械加工工具を被加工物内に挿入することができる。従って当該工具の先端を保護することができ、これを任意に最終的な輪郭を生成するために使用することができる。
【0038】
被加工物内への機械加工工具の挿入前に、機械加工工具を有利には被加工物の凹部内に位置決めすることができる。予めドリルであけられた凹部または穴を有する被加工物が提供される場合、機械加工はこれらの凹部から開始することができ、当該工具を被加工物縁部の機械加工の一部としての赤道線の近くまで移動させる必要はない。これによりトロコイドミリングのための工具の耐用年数が延びる。
【0039】
トロコイドミリングによる被加工物の機械加工前に凹部を生成するために、当該機械加工工具または別の機械加工工具を有利には当該機械加工工具または他の機械加工工具の工具軸の方向に挿入することができる。従って特に凹部を創出するのに特に好適な別の工具を使用すれば、トロコイドミリングのための工具の耐用年数を引き延ばすことができる。標準的な穴あけ工具は凹部を創出するのに特に好適である。
【0040】
有利には、少なくとも2つの工具が存在し、かつそれらの同時機械加工のためにそれらを被加工物に係合させてもよく、ここでは2つの工具は互いに対して工具軸に平行な距離で配置され、かつ対向する側面から案内および駆動される。
【0041】
同時に2つの工具を使用することにより機械加工時間をさらに短縮させる。
【0042】
さらに被加工物は有利には先端を形成している材料からなっていてもよく、かつ
-ガラスセラミック、ジルコニウムジオキシドなどの予備焼結された状態のセラミックス、
-充填もしくは非充填プラスチック、
-予備焼結された状態の金属
から選択されてもよい。
【0043】
特にこれらの材料を用いて機械加工時間を短縮させることができ、かつ当該工具の耐用年数を引き延ばすことができる。
【0044】
本発明のさらなる主題は、歯科用嵌合体を作製するため、特に上に記載されている方法を実施するための被加工物によって構成される。本被加工物はホルダーに接続するかホルダー内に固定するための少なくとも1つの第1の外面と、機械加工工具との接触により被加工物を機械加工するための少なくとも1つのさらなる第2の外面とを有する。被加工物は完全にその第2の外面内に位置する少なくとも1つの凹部を有し、凹部は第1の外面から離間されている。凹部は少なくとも部分的に、特に完全に被加工物に貫入している。
【0045】
これの利点は、被加工物の機械加工をその縁部から開始する必要はなく、内部から、言い換えるとその縁部の中から外に向かって開始することもできることにある。凹部は穴あけによって被加工物内に形成することができ、あるいは被加工物の作製中に既に形成されていてもよい。従って被加工物は圧縮により粉粒体、例えば粉末から成形することができ、従って凹部は既に被加工物内に設けられていてもよい。
【0046】
凹部は有利には、歯科用嵌合体の作製のための被加工物を機械加工するために典型的に使用される機械加工工具の直径の少なくとも1.2倍であって最大で10倍の直径を有する。ミリング工具または研削工具として具体化することができるこれらの機械加工工具の直径は、典型的には0.8~5mm、特に2.5mm~3.5mmである。
【0047】
凹部は有利には、歯科用嵌合体の作製のための被加工物を機械加工するために典型的に使用される機械加工工具の直径の少なくとも2倍であって好ましくは最大で50倍に対応する第1の外面までの距離を有する。
【0048】
図面を参照しながら本発明に係る方法を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】歯科用嵌合体の作製のための被加工物を機械加工するための最先端技術から公知の工具経路の斜視図である。
【
図1B】3つの切断エッジを有するミリング工具の正面図である。
【
図2A】上から見た2つの工具による被加工物の同時機械加工の概略図である。
【
図2B】ブロック高さ未満の限られた切断エッジ長さによる同時機械加工の上面図である。
【
図2C】ブロック高さ全体を超える同時機械加工の上面図である。
【
図2D】ブロック内のクラウンの位置の側面図である。
【
図2E】ブロック高さ未満の限られた切断エッジ長さによる同時機械加工の斜視図である。
【
図2F】ブロック高さ全体を超える同時機械加工の斜視図である。
【
図4A】0°の機械加工方向からの第1の機械加工工程の断面図である。
【
図4B】90°の機械加工方向からの第2の機械加工工程の断面図である。
【
図5A】0°の機械加工方向からの赤道線の投影である。
【
図5B】90°の機械加工方向からの赤道線の投影である。
【
図6A】
図5Aからの支持部を含む削り代を有する赤道線である。
【
図6B】
図5Bからの支持部を含む削り代を有する赤道線である。
【
図7A】凹部を有する円板の形状の被加工物の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1は、歯科用嵌合体のための輪郭3.1を有するプリフォーム3の作製のために被加工物2を機械加工するため、研削すなわち不特定の切断エッジ形状を有する工具による機械加工のための最先端技術から公知の工具経路1の斜視図を示す。ここに示されている被加工物2では、直方体の元の形状は機械加工されていない被加工物残部4および生成される輪郭3.1からまだ見分けることができ、被加工物2の機械加工は、矢印5.1によって表されているように機械加工中に工具5の長手軸である工具軸6の周りを回転する工具5に対する被加工物2の第1の位置合わせ状態で行われる。その工具軸6を有する工具5は被加工物2の外側面2.1の1つに本質的に直交しており、かつその他の2つの外側面2.2、2.3に平行である。
【0051】
さらに工具5は矢印5.2によって表されているようにその長手軸6の方向に移動させることができる。
【0052】
プリフォーム3は支持部4.1を介して機械加工されていない被加工物残部4に接続されており、支持部4.1は、プリフォームを嵌合体の最終的な寸法にするためにプリフォームのさらなる機械加工が可能であるように寸法決めされている。
【0053】
ミリング工具として設計されている工具5は、直径Dを有する当該工具の外周面7に配置され、かつ規定の形状を有し、かつそこに先端空間9が隣接している1つまたは複数の切断エッジ8(
図1A、1B)により被加工物2の中に係合し、従って被加工物2は材料を除去することにより機械加工される。
【0054】
工具5は、工具5がその明示的に図示されていない工具先端10(
図1A、
図2Cも参照)によって被加工物2から突出するような十分な大きさの被加工物2への挿入深さta、tb、tg(
図2B、
図2C)を有する。
【0055】
図1Aから見分けることができるように、規定の形状を有する切断要素11は工具5の先端10にも配置されている。これらの切断要素により工具5の軸方向の材料の除去が可能になる。機械加工は外周面7の切断エッジ8により行われるため、工具5の先端10に切断要素11を設けることは必須ではない。
【0056】
3つの切断エッジ8を有するミリング工具が
図1Bに示されている。2つ以上の切断要素を有する円筒状のエンドミリング工具は特に好適である。
【0057】
図1は、工具5および被加工物2が工具軸6に直交している(図示されていない実施形態ではその対角にあってもよい)工具経路1に沿って相対的に移動させられることを示し、ここでは工具経路1は、生成される輪郭3.1のルートを横切る方向指示部品ならびに生成される輪郭3.1から離れる方向指示部品を有する。ここに図示されている経路はトロコイドミリングにおいて公知の経路に対応しているが、本発明によれば当該工具の挿入深さは公知のトロコイドミリングよりも大きい。
【0058】
当該工具と被加工物との間での相対的移動は、以下の移動の種類:
a)工具5の長手軸6に本質的に垂直であり、かつ生成される輪郭3.1に従う前送り方向の被加工物2に向かう工具5の前方移動、
b)工具5の長手軸6に本質的に垂直な平面において指定された経路に沿った被加工物2に対する工具5の2次元の側方および後方移動、
c)当該工具の対称軸に沿った被加工物における当該工具の不変の挿入深さ
を含む。
【0059】
c)の代わりとして、特に0.1×Dのオーダーで矢印5.2によって表されている挿入深さの僅かな調整を行うことができる。
【0060】
図1に示されている工具経路1は、工具5が、作製される嵌合体3またはプリフォームを被加工物残部4に接続している内側支持部4.1の側方から被加工物2の中に侵入するような経路である。従ってこの侵入は、生成される輪郭3.1の赤道線20(
図4A、
図4B、
図5A、
図5B)までの最短距離にわたり、かつそれに沿って生じないが、支持部4.1の指定された形態に到達するまでこの赤道線20から離れた状態のままであり、赤道線20は嵌合体またはそのプリフォームを創出するために支持部に到達した後にのみ横切られる。当該工具は支持部4.1に到達すると工具経路を赤道線20に沿ったままにし、被加工物2から取り出される。
【0061】
図1Bには、機械加工中に工具5が90°未満の外周面7の切断弧角αで被加工物2内に挿入することがさらに示されている。切断弧角αがいくつかの状況において90°を超えたとしても、本発明によれば切断弧角αは平均して90°未満であり、すなわち工具経路1全体を一望できる。
【0062】
図2Aは、2つの工具5a、5bによる被加工物2の同時機械加工によって被加工物から削られるクラウンの形態の嵌合体3の上面図を示す。
図1とは対照的に、工具5a、5bは生成される輪郭3.1の赤道線20の方向に、支持部に対向する側面2.4から被加工物2内に侵入し、支持部4の赤道線20の対応する部分に沿ってそれぞれ別々に案内される。
【0063】
図2Bは、第1の正面図および上面図として下に配置されている第2の図では2つの工具15a、15bによるブロックの形態の被加工物2の同時機械加工を示し、ここでは工具15a、15bはブロック厚tよりも短い長さta、tbまでブロックに貫入する。結果として工具15a、15bは、支持部4.1を除いて生成される輪郭3.1の赤道線20の一部に沿ってブロックのおよそ半分のみをそれぞれ機械加工する。機械加工は当該工具の先端から始まる外周面および任意に当該先端それ自体により行われる。工具15a、15bは支持部4.1に対向する側面2.4において被加工物2の中に侵入する。
【0064】
ブロックの形状の被加工物2はホルダー軸17を有するホルダー16を有し、ホルダー16は支持部に面している側面2.3に配置されており、かつ被加工物2はそのホルダー軸17の周りで回転可能である。
【0065】
図2Cは、第1の正面図および上面図として下に配置されている第2の図では、2つの工具5a、5bによる被加工物2の同時機械加工を示し、ここでは工具5a、5bはブロック厚tよりも長い長さtgを有し、それにより工具5a、5bはブロック全体に貫入し、先端10は突出している。先端10はどんな役割も担っていない。工具5は矢印5.2によって示されているように長手方向に前後に移動させることができるため、工具5a、5bの外周面全体を使用することができる。
図2Bと同様に、工具は赤道線の一部のみをそれぞれ機械加工する。ここでも当該工具は支持部4.1に対向する側面において被加工物2の中に侵入する。被加工物2がそのホルダー軸17の周りを回転することができるホルダー16がこの側面に位置している。
【0066】
図3は、それらの上に設定された2つの側面から被加工物2を機械加工する工具5a、5bを含む
図2Aおよび
図2Cの斜視図を示す。
【0067】
図2Dは、被加工物2のホルダー軸17に対して90°回転されている別の位置合わせにおいて被加工物2から削られる
図2A~
図2Cの嵌合体を示す。但し、図示されていない機械加工工具の位置は
図2A~
図2Cに関して変わっておらず、すなわちそれらは描画面の中または外へそれぞれ伸長する。
【0068】
図2A、
図2Dの断面が
図4A、
図4Bに表されている。被加工物2の一部は単一の機械加工工具5によりアウトラインに沿って既に機械加工されており(以下の
図5A、
図5Bを参照)、被加工物2の別の一部は機械加工工具5に係合している。機械加工がもっぱら工具5の外周面で行われるように、被加工物はブロックを貫入しているか、それどころか先端5.3はブロックから突出している。
図4Aでは、残部材料3.2は機械加工されていない作製される嵌合体またはプリフォームに対する平面において被加工物2上に残っている。90°の回転により、
図4Bに示すように、この残部材料3.2も除去することができる。しかし残部材料3.2がまだ残されていることも明らかであり、これはさらなる機械加工プロセスにおいて除去される。完全性のために、この表示はプリフォームまたは嵌合体3の削り代を説明していないことに留意されたい。
【0069】
プリフォームを創出するために、工具軸6を有する工具5による被加工物2の機械加工(
図1を参照)は作製される嵌合体の赤道線20に沿って行うことができ、ここでは
図5A、
図5Bに示すように、赤道線20は工具軸6に平行な3D輪郭3.1の2D投影によって形成されている。これは平面22内のアウトラインに対応している。一例として、2つの点P1、P2が断面にプロットされており、これらの点はこの断面において工具5に垂直な嵌合体3の最も大きい変化を含む。これらの点P1、P2は点P1’およびP2’として投影されており、全断面の点P1、P2の総和は機械加工方向に見られる嵌合体3の赤道線を提供するか、それどころか全ての断面の点P1’、P2’の総和は機械加工の削り代の中に赤道線20を提供する。従って赤道線20に削り代21を設けることができる。この削り代21により、最終的な嵌合体3の外輪郭を常にプリフォームの粗い輪郭内に確実に位置させることができる。
【0070】
図5A、
図5Bでは、矢印23によって表されている機械加工工具5の長手軸6に平行な赤道線20の2D投影の平面22において削り代21が説明されている。
図5Aは作製される嵌合体3、この場合は
図2A~
図2Dからのクラウンと、2D投影から得られた削り代21を有する赤道線20のアウトラインとを示す。
【0071】
図5Bは、作製される嵌合体3、この場合は
図2A~
図2Dからのクラウンを示し、クラウンはこの場合も削り代21を有する赤道線20と共に
図5Aに関して90°回転されている。
【0072】
この削り代は0.1×D~0.02×Dである。工具径D=2.5mmおよび1.5×Dのスロット幅を有するミリング工具の場合、0.08×Dに対応する0.2mmの削り代が好適であることが分かった。
【0073】
図5A、
図5Bからのクラウン3のアウトラインからの典型的な赤道線20が
図6A、
図6Bに示されており、ここでは削り代21が設けられている。
図5A、
図5Bとは違って支持部4.1が設けられており、その上の作製される嵌合体は、機械加工されていない被加工物残部4への接続を保証するために機械加工されていないままである。
【0074】
被加工物の2つの位置、すなわち0°および90°での機械加工は十分であると思われるが、それにも関わらず工具軸6またはホルダー軸17に対する被加工物2の中間の傾斜位置が可能である。
【0075】
ブロックの高さ全体にわたる機械加工の場合、工具5の先端10が保護され、従って工具5は残部材料を切り離すための切断中に被加工物2を超えて突出するので、15mmの高さを有する標準的なブロックにより17.5mmの切断深さが生じる。従って使用されるミリング工具は18mmの有効な切断要素長さを有しなければならない。切断深さは他のブロックサイズまたは他の工具に好適に適合させなければならない。
【0076】
保護される先端の長さはその実施形態によって決まり、典型的には0.5×D~1×Dの範囲である。半球状先端の場合、この長さは0.5×Dである。
【0077】
15mmの高さdHおよび2.5mmの工具径Dを有するブロックの場合、これにより工具径Dの6倍の高さdHが生じる。
【0078】
当該工具の先端を保護するために必要な挿入深さを維持するために、17.5mmでは当該工具の有効長さlWは工具径の7倍である。先端lSの長さは工具径Dの約1×である。
【0079】
全幅切断によって生成される溝の溝幅はたった1.0×Dではなく1.5×Dである。D=2.5mmを有するミリング工具の場合、溝幅は1.5×2.5mm=3.75mmとなる。
【0080】
前送りとしても知られている送りは1つのトロコイド当たり0.1×D~0.5×Dである。工具径D=2.5mmおよび1.5×Dの溝幅を有するミリング工具の場合、0.12Dに対応する0.3mmの送りが好適であることが分かった。
【0081】
いずれの場合も1つの凹部18を有する、ホルダー16に接続された円板の形態の被加工物2が
図7A、
図7Bに示されており、ここでは凹部18は被加工物2の作製中に既に設けられているか穴あけ工具による穴あけによってミリング前に設けることができる。円板形状の被加工物2はホルダー16に接続するための第1の外面2.3と、機械加工工具5との接触による被加工物の機械加工のための別の第2の外面2.1とを有する。凹部18が第1の外面2.3から離間されるように、凹部18は完全に第2の外面2.1内に位置している。従って凹部18は被加工物2を完全に貫入しており、さらに当該工具の長手軸方向に平行に位置合わせすることができる。
【0082】
当該工具の外周面による機械加工はこの凹部18から開始することができる。そのために、嵌合体5を少なくとも機械加工工具5の長手軸17に垂直な平面においてニアネットシェイプ法で削るために、当該工具の外周面により被加工物の機械加工が行われる前に、好ましくは機械加工工具5を被加工物2に接触させることなくz方向に摺動させることにより被加工物2の凹部18内に位置決めする。
【0083】
凹部18は典型的には、歯科用嵌合体3を作製するための被加工物2を機械加工するために使用される機械加工工具5の直径Dの約2倍の直径を有し、その上に被加工物が保持される第1の外面2.3までの距離は典型的には、歯科用嵌合体3を作製するための被加工物2を機械加工するために使用される機械加工工具5の直径のおよそ5倍に対応する。
【0084】
被加工物の異なる場所で機械加工を開始することができるように、他の凹部18’、18’’(
図7B)も設けることができる。
【0085】
外面2.3に配置されたホルダー16への円板形状の被加工物2の片側での固定の代わりに、円形のブランクまたは円板として公知の最先端技術の被加工物のために知られている方法で被加工物2をホルダー16’内にその縁部の周り、言い換えると第1の外面2.3に沿ってクランプすることもできる。そのためにホルダー16’は外面2.3を被加工物2の全外周にわたって取り囲んでいる。
【0086】
この場合も被加工物は外面2.1にわたって機械加工される。