(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】ウェイト調整システム付きゴルフクラブ
(51)【国際特許分類】
A63B 53/06 20150101AFI20240719BHJP
A63B 53/04 20150101ALI20240719BHJP
A63B 60/04 20150101ALI20240719BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20240719BHJP
【FI】
A63B53/06 B
A63B53/04 A
A63B60/04
A63B102:32
(21)【出願番号】P 2021535969
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(86)【国際出願番号】 US2019067964
(87)【国際公開番号】W WO2020132512
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-12-16
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591086452
【氏名又は名称】カーステン マニュファクチュアリング コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ライアン ストック
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ヒグドン
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-194454(JP,A)
【文献】特開2009-160377(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0306473(US,A1)
【文献】国際公開第2018/005876(WO,A2)
【文献】特開2018-167064(JP,A)
【文献】特表2011-511664(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/04-53/06
A63B 60/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブヘッドであって、
前記ゴルフクラブヘッドは、クラウンと、ソールと、トウ領域と、ヒール領域と、リア部と、ストライクフェースを有するフロント部と、を備えており、
前記クラウンと前記ソールと前記トウ領域と前記ヒール領域と前記フロント部と前記リア部は、中空の内部を形成しており、
前記ストライクフェースはさらに、ストライクフェース幾何学的中心を有しており、
ロフト面が前記ストライクフェース幾何学的中心に接して定義され、
前記ゴルフクラブヘッドは、前記ストライクフェース幾何学的中心における座標系原点を通るx軸、y軸、およびz軸を有する座標系
を定義
し、
前記x軸は前記トウ領域から前記ヒール領域まで前記ストライクフェース幾何学的中心を通って延びており、前記y軸は前記クラウンから前記ソールへの方向に沿って前記ストライクフェース幾何学的中心を通って延びており、前記z軸は前記フロント部から前記リア部への方向に沿って前記ストライクフェース幾何学的中心を通って延びており、
前記x軸と前記y軸と前記z軸は互いに垂直であり、
前記ゴルフクラブヘッドはさらに、前記z軸に対して平行に前記ロフト面から前記リア部の最後方点まで測定される
クラブヘッド深さと、前記x軸に対して平行に前記トウ領域と前記ヒール領域の間の最大範囲で測定される
クラブヘッド長さと、を有しており、
前記リア部において単一スロットを備えており、
前記単一スロットは、スロット内面と、スロット底面と、スロット上面と、2つのスロット側壁と、を有しており、
前記スロットはさらに、前記スロット底面と前記スロット上面との間で測定されるスロット高さを有しており、
前記スロットは、前記2つのスロット側壁の間で測定されるスロット長さを有しており、
前記スロット高さは、前記スロット長さに沿って変化しており、
前記スロット内面と前記スロット底面と前記スロット上面と前記2つのスロット側壁は協働して、前記ゴルフクラブヘッドの後方および前記ソールに開口するスロットチャネルを形成しており、
前記スロット内面と前記スロット底面と前記スロット上面と前記2つのスロット側壁はさらに、前記中空の内部に露出しているスロット構造を形成しており、
前記スロット内面はさらに、
3つのアパーチャを有しており、
前記
3つのアパーチ
ャはそれぞれ、ウェイトアセンブリ取付け点を有しており、
前記ゴルフクラブヘッドはさらに、可動ウェイトアセンブリを備えており、
前記
可動ウェイトアセンブリは、単一のウェイト部材と、単一のファスナーと、を有しており、
前記
可動ウェイトアセンブリは、前記
3つのアパーチャのそれぞれに着脱可能であ
り、
前記スロット高さは、前記可動ウェイトアセンブリが前記スロットチャネルに沿って摺動しないが別の位置で前記ゴルフクラブヘッドに再度取り付けるために前記ゴルフクラブヘッドから取り外されるように、前記可動ウェイトアセンブリの断面形状が非対称となるように、変化しており、
前記スロット構造は、スロット構造最前方部分と、スロット構造最トウ側部分と、スロット構造最ヒール側部分と、を有しており、
スロット構造深さは、前記クラブヘッド深さと、前記スロット構造最前方部分と前記ロフト面との間の距離と、の間の差として定義され、
前記スロット構造深さは、0.9インチ~1.2インチの範囲である、
ゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記ウェイト部材は、ウェイト部材貫通開口を有しており、
前記ウェイト部材は、ウェイト部材重
心を有しており、
前記ウェイト部材
重心は、前記ウェイト部材
貫通開口内にあり、
ファスナーは、前記ウェイト部材
貫通開口
内に受け入れられ、
前記
可動ウェイトアセンブリは、前記ファスナーの長さを通るファスナー軸を有している、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記
可動ウェイトアセンブリは、16グラム~50グラムの範囲の質量を有している、請求項1又は2に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記3つのアパーチャは、ヒール側アパーチャと中央アパーチャとトウ側アパーチャであ
る、請求項1~3のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記
可動ウェイトアセンブリが前記トウ側アパーチャに固定されると、前記
可動ウェイトアセンブリはトウ側ファスナー軸を有し、
前記
可動ウェイトアセンブリが前記中
央アパーチャに固定されると、前記
可動ウェイトアセンブリは中
央ファスナー軸を有し、
前記
可動ウェイトアセンブリが前記ヒール側アパーチャに固定されると、前記
可動ウェイトアセンブリはヒール側ファスナー軸を有する、請求項4に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記トウ側ファスナー軸と前記ヒール側ファスナー軸は、それらが交差点を画定するように伸びており、
前記トウ側ファスナー軸と前記ヒール側ファスナー軸は、前記交差点を角度の頂点として、それらの間の分離角を有しており、
前記分離角が、40°~50°の範囲である、請求項5に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
前記ウェイト部材は、
前記スロット内面に適合するように構成された内側面と、
外側面と、
上側面と、
下側面と、
ウェイト部材側壁と、を有しており、
前記
可動ウェイトアセンブリは、前記ウェイト部材の外側面が前記リア部で露出され、前記ウェイト部材の
前記下側面が前記ソールで少なくとも部分的に露出されるように、前記
3つのアパーチャのそれぞれで前記スロットに着脱可能に構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
前記交差点は、前記z軸に対して平行に前記ロフト面から前記リア部に向かって測定される交差点深さを規定しており、
前記交差点深さは、2.8インチと3.2インチの間の範囲である、請求項6に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
スロット構造トウ側境界は、前記z軸に平行で前記スロット構造最トウ側部分に接する線として定義され、
スロット構造ヒール側境界は、前記z軸に平行で前記スロット構造最ヒール側部分に接する線として定義され、
スロット構
造長さは、前記スロット構造トウ側境界と前記スロット構造ヒール側境界との間の距離として定義され、
前記スロット構
造長さは、2.2インチ~2.8インチの範囲である、請求項1~8のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
前記ソールの後方延長部は、シュラウドを有しており、
前記シュラウドは、前記スロット底面の少なくとも一部を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
前記ウェイト部材の
前記下側面は、前記スロット底面を受け入れるように構成された窪みを有している、請求項7に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項12】
前記スロット構造の質量は、前記ゴルフクラブヘッドの総質量の7.0%未満である、請求項1~
11のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項13】
ゴルフクラブヘッドであって、
前記ゴルフクラブヘッドは、クラウンと、ソールと、トウ領域と、ヒール領域と、リア部と、ストライクフェースを有するフロント部と、を備えており、
前記クラウンと前記ソールと前記トウ領域と前記ヒール領域と前記フロント部と前記リア部は、中空の内部を形成しており、
前記ストライクフェースはさらに、ストライクフェース幾何学的中心を有しており、
ロフト面が前記ストライクフェース幾何学的中心に接して定義され、
前記ゴルフクラブヘッドは、前記ストライクフェース幾何学的中心における座標系原点を通るx軸、y軸、およびz軸を有する座標系
を定義
し、
前記x軸は前記トウ領域から前記ヒール領域まで前記ストライクフェース幾何学的中心を通って延びており、前記y軸は前記クラウンから前記ソールへの方向に沿って前記ストライクフェース幾何学的中心を通って延びており、前記z軸は前記フロント部から前記リア部への方向に沿って前記ストライクフェース幾何学的中心を通って延びており、
前記x軸と前記y軸と前記z軸は互いに垂直であり、
前記ゴルフクラブヘッドはさらに、前記z軸に対して平行に前記ロフト面から前記リア部の最後方点まで測定される
クラブヘッド深さと、前記x軸に対して平行に前記トウ領域と前記ヒール領域の間の最大範囲で測定される
クラブヘッド長さと、を有しており、
前記リア部において単一スロットを備えており、
前記単一スロットは、スロット内面と、スロット底面と、スロット上面と、2つのスロット側壁と、を有しており、
前記スロットはさらに、前記スロット底面と前記スロット上面との間で測定されるスロット高さを有しており、
前記スロットは、前記2つのスロット側壁の間で測定されるスロット長さを有しており、
前記スロット高さは、前記スロット長さに沿って変化しており、
前記スロット内面と前記スロット底面と前記スロット上面と前記2つのスロット側壁は協働して、前記ゴルフクラブヘッドの後方および前記ソールに開口するスロットチャネルを形成しており、
前記スロット内面はさらに、
3つのアパーチャを有しており、
前記
3つのアパーチャは
それぞれ、ウェイトアセンブリ取付け点を有しており、
前記ゴルフクラブヘッドはさらに、可動ウェイトアセンブリを備えており、
前記
可動ウェイトアセンブリは、単一のウェイト部材と、単一のファスナーと、を有しており、
前記
可動ウェイトアセンブリは、前記
3つのアパーチャのそれぞれに着脱可能であ
り、
前記スロット高さは、前記可動ウェイトアセンブリが前記スロットチャネルに沿って摺動しないが別の位置で前記ゴルフクラブヘッドに再度取り付けるために前記ゴルフクラブヘッドから取り外されるように、前記可動ウェイトアセンブリの断面形状が非対称となるように、変化している、
ゴルフクラブヘッド。
【請求項14】
前記スロット内面と前記スロット底面と前記スロット上面と前記2つのスロット側壁はさらに、前記中空の内部に露出しているスロット構造を形成している、請求項
13に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項15】
前記スロット構造は、
スロット構造最前方部分と、
スロット構造最トウ側部分と、
スロット構造最ヒール側部分と、を有しており、
スロット構造深さは、前記
クラブヘッド深さと、前記スロット構
造最前方部分と前記ロフト面との間の距離と、の間の差として定義され、
前記スロット構
造深さは、0.9インチ~1.2インチの範囲であり、
スロット構造トウ側境界は、前記z軸に平行で前記スロット構造最トウ側部分に接する線として定義され、
スロット構造ヒール側境界は、前記z軸に平行で前記スロット構造最ヒール側部分に接する線として定義され、
スロット構
造長さは、前記スロット構造トウ側境界と前記スロット構造ヒール側境界との間の距離として定義され、
前記スロット構
造長さは、2.2インチ~2.8インチの範囲である、請求項
14に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項16】
ゴルフクラブヘッドであって、
前記ゴルフクラブヘッドは、クラウンと、ソールと、トウ領域と、ヒール領域と、リア部と、ストライクフェースを有するフロント部と、を備えており、
前記クラウンと前記ソールと前記トウ領域と前記ヒール領域と前記フロント部と前記リア部は、中空の内部を形成しており、
前記ストライクフェースはさらに、ストライクフェース幾何学的中心を有しており、
ロフト面が前記ストライクフェース幾何学的中心に接して定義され、
前記ゴルフクラブヘッドは、前記ストライクフェース幾何学的中心における座標系原点を通るx軸、y軸、およびz軸を有する座標系
を定義
し、
前記x軸は前記トウ領域から前記ヒール領域まで前記ストライクフェース幾何学的中心を通って延びており、前記y軸は前記クラウンから前記ソールへの方向に沿って前記ストライクフェース幾何学的中心を通って延びており、前記z軸は前記フロント部から前記リア部への方向に沿って前記ストライクフェース幾何学的中心を通って延びており、
前記x軸と前記y軸と前記z軸は互いに垂直であり、
前記ゴルフクラブヘッドはさらに、前記z軸に対して平行に前記ロフト面から前記リア部の最後方点まで測定される
クラブヘッド深さと、前記x軸に対して平行に前記トウ領域と前記ヒール領域の間の最大範囲で測定される
クラブヘッド長さと、を有しており、
前記リア部において単一スロットを備えており、
前記単一スロットは、スロット内面と、スロット底面と、スロット上面と、2つのスロット側壁と、を有しており、
前記スロットはさらに、前記スロット底面と前記スロット上面との間で測定されるスロット高さを有しており、
前記スロットは、前記2つのスロット側壁の間で測定されるスロット長さを有しており、
前記スロット高さは、前記スロット長さに沿って変化しており、
前記スロット内面と前記スロット底面と前記スロット上面と前記2つのスロット側壁は協働して、前記ゴルフクラブヘッドの後方および前記ソールに開口するスロットチャネルを形成しており、
前記スロット内面と前記スロット底面と前記スロット上面と前記2つのスロット側壁はさらに、前記中空の内部に露出しているスロット構造を形成しており、
前記スロット内面はさらに、
3つのアパーチャを有しており、
前記
3つのアパーチ
ャはそれぞれ、ウェイトアセンブリ取付け点を有しており、
前記ゴルフクラブヘッドはさらに、可動ウェイトアセンブリを備えており、
前記可動ウェイトアセンブリは、単一のウェイト部材と、単一のファスナーと、を有しており、
前記
可動ウェイトアセンブリは、前記
3つのアパーチャのそれぞれに着脱可能であり、
前記スロット高さは、前記可動ウェイトアセンブリが前記スロットチャネルに沿って摺動しないが別の位置で前記ゴルフクラブヘッドに再度取り付けるために前記ゴルフクラブヘッドから取り外されるように、前記可動ウェイトアセンブリの断面形状が非対称となるように、変化しており、
前記ウェイト部材は、ウェイト部材貫通開口を有しており、
前記ウェイト部材は、ウェイト部材重
心を有しており、
前記ウェイト部材
重心は、前記ウェイト部材
貫通開口内にあり、
ファスナーは、前記ウェイト部材
貫通開口
内に受け入れられ、
前記
可動ウェイトアセンブリは、前記ファスナーの長さを通るファスナー軸を有しており、
前記可動ウェイトアセンブリがトウ側アパーチャに固定されると、前記可動ウェイトアセンブリはトウ側ファスナー軸を有し、
前記可動ウェイトアセンブリが中央アパーチャに固定されると、前記可動ウェイトアセンブリは中央ファスナー軸を有し、
前記可動ウェイトアセンブリがヒール側アパーチャに固定されると、前記可動ウェイトアセンブリはヒール側ファスナー軸を有し、
前記トウ側ファスナー軸と前記ヒール側ファスナー軸は、それらが交点を画定するように伸びており
、
前記トウ側ファスナー軸と前記ヒール側ファスナー軸は、前記交点を角度の頂点として、それらの間の分離角を有しており、
前記分離角が、40°~50°の範囲である、ゴルフクラブヘッド。
【請求項17】
前記スロット構造の質量は、前記ゴルフクラブヘッドの総質量の7.0%未満である、請求項
16に記載のゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は2018年12月21日に出願された仮米国特許出願第62/784,190号、および2019年5月31日に出願された仮米国特許出願第62/855,751号の利益を主張し、これらはその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は概して、調整可能なウェイトを有するゴルフクラブヘッドに関し、ウェイトシステムは、周辺ウェイトおよびインパクト時のゴルフボール飛行の軌道操作を提供する。
【背景技術】
【0003】
概して、ゴルフクラブヘッドの全性能に影響を及ぼす多くの重要な物理的なパラメータ(すなわち、体積、質量など)が存在する。最も重要な物理的パラメータの1つは、ゴルフクラブヘッドの重心(CG)である。ゴルフクラブヘッドのCGは、性能特性(すなわち、慣性力モーメント、打ち上げ、ボールスピードなど)に直接的に影響を及ぼす。ゴルフクラブヘッドの望ましいCG位置は、ゴルフボールの打ち出し角およびMOIを最適に上昇させるために、ストライクフェースから低く、後方である。さらに、CG位置はゴルフボールのサイドスピンにさらに影響を及ぼすために、ゴルフクラブヘッドのトウ端部またはヒール端部により近くに移動され得る。
【0004】
多くの現在のウッドタイプのゴルフクラブヘッドは、ゴルフクラブヘッドのソール上の摺動可能なスイングウェイトを使用することによって、または、1つ以上のウェイトをその中に取り付けることができる複数のスイングウェイトポートを使用することによって、所望のCG位置を達成する。しかしながら、摺動可能なスイングウェイトおよび複数のウェイト構成は、複数のウェイトおよび/またはウェイトの異なる位置決めを支持するために、大きな内部構造を必要とする。さらに、クラブヘッドの任意の質量がウェイトシステムを支持するために割り当てられるので、これらのかさばるウェイトシステムは、CG位置決めに悪影響を及ぼす可能性がある。当技術分野では、摺動可能なシステムまたは複数のウェイトポートを必要とせずに、ゴルフクラブヘッドのCGに対して可変的に影響を及ぼすことができるウェイトシステムが必要とされている。
【0005】
ゴルフクラブヘッドの重心をゴルフクラブヘッドのヒールまたはトウに向かって移動させることは、フェードバイアスまたはドローバイアスに向かうゴルフボール飛行の形成に寄与する。このようなショット形成は、ゴルファーのショットを改善するのを助けるために望ましい。しかしながら、調整可能なウェイトシステムがゴルフクラブヘッドの容積にわたって調整可能なウェイトの比較的大きな移動を必要とする場合、ゴルフクラブヘッドのCGは、ゴルフクラブヘッドのストライクフェースに向かって前方に移動され、通常、ゴルフクラブヘッドの容積においてソールよりも上方に移動される。ストライクフェースに向かうとともにクラブヘッドの容積において上方に向かうCGの移動は、ゴルフクラブヘッドの複合慣性力モーメントを減少させる。オフセンターヒットの許容度が低下するため、クラブヘッドMOIの減少は望ましくない。したがって、従来の調整可能なウェイトシステムでは、ユーザがショット形成と許容度との間で選択しなければならない。さらに、従来の調整可能なウェイトシステムでは、より大きな又はより多くの分散されたウェイトポート構造は恒久的に配置された質量であり、ゴルフクラブヘッド上の他の位置への調整可能なウェイト部材の移動の影響をしばしば相殺する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本開示は概して、スポーツ用具に関し、より詳細には、ゴルフクラブヘッドおよび関連する方法に関する。
【0007】
【
図1】
図1は、ゴルフクラブヘッドの正面図を示す。
【0008】
【
図2】
図2は、ゴルフクラブヘッドの側断面図を示す。
【0009】
【
図3】
図3は、ゴルフクラブヘッドのリアソール図を示す。
【0010】
【
図4】
図4は、ウェイトアセンブリスロット構造の側断面を示す。
【0011】
【
図5】
図5は、可変ウェイトアセンブリを有するウェイトアセンブリスロット構造の側断面を示す。
【0012】
【
図6】
図6は、可変ウェイトアセンブリの水平断面を示す。
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【
図11】
図11は、ゴルフクラブのリア部内面の切欠図を示す。
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【
図17】
図17は、スロット構造の範囲を示すゴルフクラブヘッドの底面図を示す。
【0024】
本開示の他の態様は、詳細な説明および添付の図面を考慮することによって明らかになるのであろう。
【発明を実施するための形態】
【0025】
調整可能なウェイトアセンブリを有するゴルフクラブヘッドが本明細書に記載される。ゴルフクラブヘッドは、ゴルフクラブヘッドのソール上のスロット内に機械的に固定される、重くて大きな質量のウェイト部材を含む。スロットはゴルフクラブヘッドの最も遠い後方点に位置し、ゴルフクラブヘッドのリア部の比較的小さい円弧に限定される。調整可能なウェイトアセンブリの位置決め、ウェイト部材の大きな質量、およびウェイト部材の小さな運動の円弧が組み合わさって、ゴルフクラブヘッドのための調整可能なウェイトシステムに関連する現在の問題に対処する。
【0026】
従来の調整可能なウェイトシステムでは、移動されるウェイトの質量が比較的小さいため、ボール飛行に影響を及ぼすためには調整可能なウェイトの大きな移動が必要である。しかし、ウェイト質量の大きな移動は、ゴルフクラブヘッドの総慣性力モーメントにおいても比較的大きな減少を引き起こす。従って、従来の調整可能なウェイトシステムにおいて、ユーザはショット形成を達成するために、ミスヒットに対する許容度の低下を受け入れることを余儀なくされる。
【0027】
本明細書に記載のウェイトアセンブリスロットは、互いに比較的近接して配置された2~6のねじ付きレシーバを備える。ウェイト部材はスロット内の2~6の位置に配置することができ、直線ボール飛行、右から左へのボール飛行、および左から右へのボール飛行に影響を及ぼす。ソール上の単一のより小さなスロットと単一の重いウェイト部材との組合せは、CG移動とMOI保存の改善につながる。これは、スロットをゴルフクラブヘッドのリア部の比較的小さな円弧に制限することによって達成される。円弧が小さければ小さいほど、ゴルフクラブヘッドのヒール又はトウに向かってより小さな変位が得られるが、重いウェイトはウェイト部材の小さな変位を相殺し、比較的小さいウェイト部材変位を使用することによってユーザがゴルフボール飛行を形成することができる。
【0028】
さらに、単一のより小さなウェイトスロットのみを有することから節約される任意の質量は、ゴルフクラブヘッドのCGおよびMOIをさらに改善するために、好ましい位置に割り当てられ得る。ウェイト部材構成は、ゴルフクラブヘッドの総合的なCGおよび総合的な慣性力に大きな影響を与えることなく、CGのヒールおよびトウの動きの改善を可能にする。さらに、ウェイト部材とスロットの組合せは、ゴルフクラブヘッドの質量をゴルフクラブヘッドの全く異なった部分に物理的に再割り当てすることなく、CGのヒールとトウの動きを改善する。したがって、ウェイト部材構成は、ユーザがゴルフクラブヘッドの総合的な慣性力および打ち上げに影響を及ぼすことなく、ゴルフクラブヘッドのショット形成を変更することを可能にする。
【0029】
もしあれば、本明細書および特許請求の範囲における用語「第1」、「第2」、「第3」、「第4」等は、類似要素を区別するために使用され、必ずしも特定の連続した順序または古い順を記述するためのものではない。そのように使用された用語は、本明細書に記載される実施形態が例えば、例示されているかまたは別様に本明細書に記載されているもの以外の順序で操作可能であるように、適切な状況において置き換え可能であると理解すべきである。さらに、用語「含む」および「有する」ならびにこれらの任意の活用形は、要素のリストを含むプロセス、方法、システム、物品、デバイス、もしくは装置が必ずしもそれらの要素に限定されていないが、明示的に列挙されていないか、またはかかるプロセス、方法、システム、物品、デバイス、もしくは装置に固有ではない他の要素を含んでもよいように、非排他的包含を網羅することが意図される。
【0030】
もしあれば、本明細書および特許請求の範囲における用語「左」、「右」、「前」、「後」、「上」、「下」、「の上」、「の下」等は、説明目的で使用され、必ずしも永久的な相対位置を記述するためのものではない。そのように使用された用語は、本明細書に記載される製造装置、製造方法、および/または製造物品の実施形態が、例えば、例示されているかまたは別様に本明細書に記載されているもの以外の配向で操作可能であるように、適切な状況において置き換え可能であると理解すべきである。
【0031】
本開示の任意の実施形態が詳細に説明される前に、本開示は、その適用において、以下の説明に記載されるかまたは以下の図面に示される構造の詳細および構成要素の配置に限定されないことを理解されたい。本開示は他の実施形態に適用可能であり、様々な方法で実施または実行することができる。
【0032】
I)ゴルフクラブヘッド - 序文
ゴルフクラブヘッド100、300は、ホーゼル130と、ストライクフェース108と、クラウン110と、ソール116と、ヒール領域120と、トウ領域124と、リア部128と、を備えている。一緒に、ストライクフェース108とクラウン110とソール116とヒール領域120とトウ領域124とリア部128は、クラブヘッド100の中空の内部を形成する。ゴルフクラブヘッド100は、リア部128およびソール116にスロット240をさらに備える。ウェイトアセンブリ380は、スロット240内に配置され、固定され得る。
【0033】
図1を参照すると、クラブヘッド100のストライクフェース108は、幾何学的中心140、340を画定する。いくつかの実施形態では、幾何学的中心140、340は、ストライクフェース周囲142の幾何学的中心点、およびフェース高さ144の中点に配置することができる。同じまたは他の例では、幾何学的中心140、340はまた、ストライクフェース上の溝150の領域によって画定することができる設計されたインパクトゾーン148に関して中心に置くことができる。別のアプローチとして、ストライクフェースの幾何学的中心は、米国ゴルフ協会(USGA)などのゴルフ運営団体の定義に基づいて配置することができる。例えば、打撃面の幾何学的中心は、USGAのゴルフクラブヘッドの可撓性を測定する手順(USGA-TPX3004、Rev.1.0.0,2008年5月1日)(http://www.usga.org/equipment/testing/protocols/Procedure-For-Measuring-The-Flexibility-Of-A-Golf Club-Head/)(「可撓性の手順」)のセクション6.1に従って決定することができる。
【0034】
A) ゴルフクラブヘッド座標系
図1を参照すると、クラブヘッド100は、ストライクフェース108の幾何学的中心140、340に接するロフト面1010をさらに画定する。フェース高さ144は、クラウン110付近のストライクフェース周囲142の上端部と、ソール116付近のストライクフェース周囲142の底端部との間で、ロフト面1010に対して平行に測定することができる。これらの実施形態では、ストライクフェース周囲142は、曲面がストライクフェース108の膨らみおよび/または起伏から逸脱するストライクフェース108の外縁に沿って位置することができる。
【0035】
図1および
図2を参照すると、ストライクフェース108の幾何学的中心140、340は、ストライクフェース108の幾何学的中心140、340を原点とする座標系を規定し、この座標系はX軸1050、Y軸1060、およびZ軸1070を有する。X軸1050は、クラブヘッド100のヒール120からトウ124への方向にストライクフェース108の幾何学的中心140、340を通って延びている。Y軸1060は、クラブヘッド100のクラウン110からソール116への方向にストライクフェース108の幾何学的中心140、340を通って延びており、X軸1050に垂直である。Z軸1070は、クラブヘッド100のフロント端部112、312から後端部114への方向にストライクフェース108の幾何学的中心140を通って延びており、X軸1050およびY軸1060に垂直である。
【0036】
図1および
図2を参照すると、座標系はX軸1050およびY軸1060を通って延びるXY平面、X軸1050およびZ軸1070を通って延びるXZ平面、ならびにY軸1060およびZ軸1070を通って延びるYZ平面を規定し、ここで、XY平面、XZ平面、およびYZ平面はすべて互いに垂直であり、ストライクフェース108の幾何学的中心140、340に位置する座標系の原点で交差する。XY平面はホーゼル軸132に平行に延びており、クラブヘッド100のロフト角度に対応する角度で、ロフト平面1010から位置決めされる。さらにX軸1050は、XY平面に垂直な方向から見てホーゼル軸132に対して60度の角度で位置決めされる。
【0037】
これらまたは他の実施形態では、ストライクフェース108をXY平面に垂直な方向から見たときに、クラブヘッド100を正面図(
図1)から見ることができる。さらに、これらまたは他の実施形態では、ヒール120をYZ平面に垂直な方向から見たとき、クラブヘッド100を側面図または側面断面図(
図2)から見ることができる。
【0038】
クラブヘッド100、300は、深さ160、360、長さ162、362、および高さ164、364を規定する。
図3を参照すると、クラブヘッドの深さ160、360は、Z軸1070に平行な方向において、フロント端部112、312から後端部114までのクラブヘッド100、300の最も遠い範囲として測定することができる。
【0039】
クラブヘッド100の長さ162は、正面図(
図1)から見たときに、X軸1050に平行な方向において、ヒール120からトウ124までのクラブヘッド100の最も遠い範囲として測定することができる。多くの実施形態では、クラブヘッド100の長さ162は、米国ゴルフ協会(USGA)などのゴルフ運営団体の定義に基づいて測定することができる。例えば、クラブヘッド100の長さ162は、ウッドクラブのクラブヘッドサイズを測定するためのUSGAの手順(USGA-TPX3003、Rev.1.0.0,2003年11月21日)(https://www.usga.org/content/dam/usga/pdf/Equipment/TPX3003-procedure-for-measuring-the-club-head-size-of-wood-clubs.pdf)(「ウッドクラブのクラブヘッドサイズの測定手順」)に従って決定することができる。
【0040】
クラブヘッド100の高さ164は、正面図(
図1)から見たときに、Y軸1060に平行な方向において、クラウン110からソール116までのクラブヘッド100の最も遠い範囲として測定することができる。多くの実施形態では、クラブヘッド100の高さ164は、米国ゴルフ協会(USGA)などのゴルフ運営団体の定義に基づいて測定することができる。例えば、クラブヘッド100の高さ164は、ウッドクラブのクラブヘッドサイズを測定するためのUSGAの手順(USGA-TPX3003、Rev.1.0.0,2003年11月21日)(https://www.usga.org/content/dam/usga/pdf/Equipment/TPX3003-procedure-for-measuring-the-club-head-size-of-wood-clubs.pdf)(「ウッドクラブのクラブヘッドサイズの測定手順」)に従って決定することができる。
【0041】
図1および
図2を参照すると、クラブヘッド100はさらに、ヘッド重心(CG)180と、クラブヘッド100のヒール120からトウ124への方向に、ロフト面1010に垂直な、ストライクフェース108の幾何学的中心140、340を通って延びるヘッド深さ平面1040と、を備える。多くの実施形態では、ヘッドCG180は、XY平面に対して垂直な方向に測定された、XY平面からのヘッドCG深さ182に位置する。いくつかの実施形態では、ヘッドCG180がロフト面に垂直な方向に測定された、ロフト面1010からのヘッドCG深さ182に位置することができる。ヘッドCG180はさらに、ヘッド深さ平面1040に対して垂直な方向に測定された、ヘッド深さ平面1040からのヘッドCG高さ184に位置する。さらに、ヘッドCG高さ184は、ヘッド深さ平面1040に垂直な方向におけるヘッド深さ平面1040からクラウン110またはソール116に向かってのオフセット距離として測定される。多くの実施形態では、ヘッドCG高さ184は、ヘッドCGがヘッド深さ平面1040の上方(すなわち、ヘッド深さ平面1040とクラウン110との間)に位置する場合に正であり、ヘッドCG高さ184は、ヘッドCGがヘッド深さ平面1040の下方(すなわち、ヘッド深さ平面1040とソール116との間)に位置する場合に負である。いくつかの実施形態では、ヘッドCG高さ184の絶対値がヘッド深さ平面1040の上方又は下方(すなわち、ヘッド深さ平面1040とクラウン110との間、又はヘッド深さ平面1040とソール116との間)に配置されたヘッドCG180を記述することができる。多くの実施形態では、ヘッドCG180が以下で説明するように、容量およびロフト角などの様々なクラブヘッドパラメータに基づいて、クラブヘッド100のソール116および後端114に向かって戦略的に配置される。さらに、多くの実施形態では、ヘッドCG180は、空気抵抗の低減と組み合わせて、クラブヘッド100のソール116および後端114に向かって戦略的に配置されている。
【0042】
クラブヘッド100は、クラブヘッドCG180を通るX軸に平行な軸の周りの慣性力Ixxモーメント(すなわち、クラウンからソールへの慣性力モーメント)と、クラブヘッドCG180を通るY軸に平行な軸の周りの慣性力Iyyモーメント(すなわち、ヒールからトウへの慣性力モーメント)と、クラブヘッドCG180を通るZ軸に平行な軸の周りの慣性力Izzモーメントと、をさらに含むことができる。Ixx、Iyy、およびIzzの合計は、ゴルフクラブヘッド100の総慣性力モーメントまたは複合モーメントである。多くの実施形態では、クラウンからソールへの慣性力Ixxモーメントおよびヒールからトウへの慣性力Iyyモーメントが以下でさらに詳細に説明するように、容量およびロフト角などの様々なクラブヘッドパラメータに基づいて増加または最大化される。さらに、多くの実施形態では、クラウンからソールへの慣性力Ixxモーメントおよびヒールからトウへの慣性力Iyyモーメントは、空気抵抗の低減と組み合わされて増加または最大化される。
【0043】
可動ウェイトアセンブリ380を有するゴルフクラブヘッド100の様々な実施形態を本明細書に記載する。多くの実施形態では、ゴルフクラブヘッド100がウッドタイプのゴルフクラブヘッド(すなわち、ドライバー、フェアウェイウッド、ハイブリッド)とすることができる。
【0044】
B) ドライバー
いくつかの実施形態では、ゴルフクラブヘッド100はドライバーを備えることができる。これらの実施形態では、クラブヘッドのロフト角が約16°未満、約15°未満、約14°未満、約13°未満、約12°未満、約11°未満、または約10°未満とすることができる。さらに、これらの実施形態では、クラブヘッドの容量が約400ccを超え、約425ccを超え、約450ccを超え、約475ccを超え、約500ccを超え、約525ccを超え、約550ccを超え、約575ccを超え、約600ccを超え、約625ccを超え、約650ccを超え、約675ccを超え、または約700ccを超えることができる。いくつかの実施形態では、クラブヘッドの容量が約400cc~600cc、425cc~500cc、約500cc~600cc、約500cc~650cc、約550cc~700cc、約600cc~650cc、約600cc~700cc、または約600cc~800ccとすることができる。
【0045】
C) フェアウェイ・ウッド
いくつかの実施形態では、ゴルフクラブヘッドがフェアウェイウッドを備えることができる。これらの実施形態では、ゴルフクラブヘッドのロフト角が約35°未満、約34°未満、約33°未満、約32°未満、約31°未満、または約30°未満とすることができる。さらに、これらの実施形態では、クラブヘッドのロフト角が約12°より大きく、約13°より大きく、約14°より大きく、約15°より大きく、約16°より大きく、約17°より大きく、約18°より大きく、約19°より大きく、または約20°より大きくすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、クラブヘッドのロフト角が12度~35度、15度~35度、20度~35度、または12度~30度であり得る。
【0046】
ゴルフクラブヘッドがフェアウェイウッドを含む実施形態では、クラブヘッドの容量が約400cc未満、約375cc未満、約350cc未満、約325cc未満、約300cc未満、約275cc未満、約250cc未満、約225cc未満、または約200cc未満である。これらの実施形態では、クラブヘッドの容量が約160cc~200cc、約160cc~250cc、約160cc~300cc、約160cc~350cc、約160cc~400cc、約300cc~400cc、約325cc~400cc、約350cc~400cc、約250cc~400cc、約250cc~350cc、または約275cc~375ccとすることができる。
【0047】
D) ハイブリッド
いくつかの実施形態では、ゴルフクラブヘッドがハイブリッドを備えることができる。これらの実施形態では、クラブヘッドのロフト角が約40°未満、約39°未満、約38°未満、約37°未満、約36°未満、約35°未満、約34°未満、約33°未満、約32°未満、約31°未満、または約30°未満とすることができる。さらに、これらの実施形態では、クラブヘッドのロフト角が約16°より大きく、約17°より大きく、約18°より大きく、約19°より大きく、約20°より大きく、約21°より大きく、約22°より大きく、約23°より大きく、約24°より大きく、または約25°より大きくすることができる。
【0048】
ゴルフクラブヘッドがハイブリッドを含む実施形態では、クラブヘッドの容量が約200cc未満、約175cc未満、約160cc未満、約125cc未満、約100cc未満、または約75cc未満である。いくつかの実施形態では、クラブヘッドの容量が約100cc~160cc、約75cc~160cc、約100cc~125cc、または約75cc~125ccとすることができる。
【0049】
いくつかの実施形態において、ゴルフクラブヘッド100はステンレススチール、チタン、アルミニウム、スチール合金(例えば、455スチール、475スチール、431スチール、17-4ステンレススチール、マルエージングスチール)、チタン合金(例えば、Ti 7-4、Ti 6-4、T-9S)、アルミニウム合金、又は複合材料を含むことができる。いくつかの実施形態において、ゴルフクラブヘッド100のストライクフェース108はステンレススチール、チタン、アルミニウム、スチール合金(例えば、455スチール、475スチール、431スチール、17-4ステンレススチール、マルエージングスチール)、チタン合金(例えば、Ti 7-4、Ti 6-4、T-9S)、アルミニウム合金、又は複合材料を含むことができる。他の実施形態では、ゴルフクラブヘッド100がストライクフェース108と同じ材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、ゴルフクラブヘッド100がストライクフェース108とは異なる材料を含むことができる。
【0050】
II) ゴルフクラブヘッドのウェイトアセンブリ
図1~7は、可変ウェイトアセンブリ380(ウェイトアセンブリとも呼ばれる)を有するゴルフクラブヘッド100の実施形態を示す。
【0051】
図1、
図2、および
図4を参照すると、上述のゴルフクラブヘッド100はソール116のリア部に単一のスロット240をさらに備え、単一のスロット240はウェイトアセンブリ380のための受容形状である。ゴルフクラブヘッド100は、複数のスロットを備えていない。
【0052】
図4、
図5、
図6、
図7、および
図16を参照すると、ゴルフクラブヘッド100のソール116のスロット240はスロット内面242を含み、スロット内面242は、ソール116にほぼ垂直である。スロット内面242はスロット長257を有する。スロット240は、スロット内面242に対して垂直で、ソール116に対してほぼ平行なスロット底面244を備える。スロット240は、スロット内面242に対して垂直で、ソール116に対してほぼ平行な上面245を備える。スロット240の底面244は、スロットの上面245ほどゴルフクラブヘッド100のリア部に向かって延びていない。スロット240は、2つの側壁246をさらに備える。2つのスロット側壁246は、スロット内面242のトウ側端部及びヒール側端部にある。スロット内面242と底面244と上面245と2つの側壁246は、スロット240がウェイトアセンブリ380を受け入れると、ウェイトアセンブリ380の外側面362および下側面369の少なくとも一部が両方とも露出するような、ゴルフクラブヘッド100のリア部および底部に開口するチャネル248を画定する。ウェイトアセンブリ380の外側面362および下側面369は、スロット底面244によって隠されていないか、または完全に囲まれていない。
【0053】
スロット240は、2~6のアパーチャを含むことができる。スロット240は、2個、3個、4個、5個、または6個のアパーチャを含むことができる。ほとんどの実施形態では、アパーチャは等しい間隔で配置されるが、いくつかの実施形態ではアパーチャがスロット240の内面242に亘って不均一に配置することができる。例示的な実施形態では、スロット240は、各アパーチャ中心が隣接するアパーチャから0.5インチと0.6インチとの間で離間するように、スロット242の内面に沿って離間された3つのアパーチャを含む。
【0054】
ウェイトアセンブリ380は、単一のスロット240内に配置され、固定され得る。単一スロット240内のウェイトアセンブリ380の位置は、ウェイトアセンブリ380の質量が及ぼすゴルフクラブヘッド100の全CG180の位置における効果を決定する。ゴルフクラブヘッド100のトウ124またはヒール120に向かうウェイトアセンブリ380の移動は、CG180を移動させ、ゴルフボールがゴルフクラブヘッド100で打たれたときに、ゴルフボールの飛行を形成するのに役立つ。
【0055】
単一のスロット240は、少なくとも中央アパーチャ部252と、ヒール側アパーチャ部254と、トウ側アパーチャ部256と、をさらに備えることができる。アパーチャの各々は、単一のスロット240内にウェイトアセンブリ380の取付け点を含む。トウ側、中央、およびヒール側のアパーチャのそれぞれは、円形断面とアパーチャ中心とを備える。トウ側、中央、およびヒール側のアパーチャの各々は、ねじを切られたファスナー390を受け入れるようにねじが切られている。
【0056】
ゴルフクラブヘッド100はシュラウド220をさらに備えることができる。シュラウド220は、ゴルフクラブヘッド100のソール116の一部であり、スロット240を跨ぐように延びることができる。シュラウド220は、底面244の一部又は全部を含むことができる。
【0057】
ほとんどの実施例では、スロット242の内面の形状がウェイト部材370の内側面364の形状と相補的である。例示的な実施形態では、スロット242の内面は凸状であり、ウェイト部材370の凹状の内側面364と相補的である。
【0058】
スロット内面242のスロット長257は、1.6インチ~2.0インチの間で変化し得る。スロット長257は、1.6インチ、1.7インチ、1.8インチ、1.9インチ、または2.0インチとすることができる。スロット内面242のスロット長257は、2.0インチ以下である。
【0059】
さらに、いくつかの実施形態では、スロット240が非対称形状を含むことができ、ヒールからトウへのスロット240の断面形状は非均一である。スロットチャネル248の非対称断面形状がウェイトアセンブリ380をヒール側アパーチャ254とトウ側アパーチャ256と中央アパーチャ252のうちの1つと位置合わせするための3つの位置を可能にするので、スロット240の形状はスロット240内のウェイトアセンブリの安全性にとって必須である。スロット240の非対称形のために、ウェイトアセンブリ380は、チャネル248全体にわたって摺動することができない。むしろ、ウェイトアセンブリ380は、取り外され、3つの別の位置のうちの1つに配置されなければならない。
【0060】
さらに、スロット240は、スロット244の底面からソール116まで測定された高さ247を含むことができる。ここで、スロット240の高さ247はチャネル248の高さである。ほとんどの実施形態では、スロット240が可変高さ247を備えることができ、その高さはヒールからトウへの方向に一貫していない。チャネル248の可変高さ247がウェイトアセンブリ380をヒール側アパーチャ254とトウ側アパーチャ256と中央アパーチャ252のうちの1つと位置合わせするための3つの位置を可能にするので、スロット240の非均一高さはスロット240内のウェイトアセンブリ380の安全性にとって必須である。スロット240の非均一高さ247のために、ウェイトアセンブリ380は、チャネル248全体にわたって横方向に摺動することができない。むしろ、ウェイトアセンブリ380は、取り外され、3つの別の位置のうちの1つに配置されなければならない。これは、ゴルファーがゴルフボールのショット形成および飛行を決定する際に、混乱を引き起こす無制限の位置選択肢が提供されることを防止する。
【0061】
スロット240の可変高さ247は、0.2~0.6インチの範囲で変化してもよい。スロット240の可変高さ247は、0.2インチ、0.3インチ、0.4インチ、0.5インチ、または0.6インチとすることができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、ゴルフクラブヘッド100がシュラウド220を含むことができ、ゴルフクラブヘッドのソール116の一部はスロット240上にわたることができる。シュラウド220は、チャネル248の空気力学を増大させ、ウェイト部材370をスロット240内に適切に挿入するのを助けるように機能する。シュラウド220は、スロットの特定の部分又はスロット240全体を覆うように任意の所望の幾何学的形状を有することができる。いくつかの実施形態では、シュラウド220がスロットの5%~10%、スロットの10%~15%、スロットの15%~20%、スロットの20%~25%、スロットの25%~30%、スロットの30%~35%、スロットの35%~40%、スロットの40%~45%、スロットの45%~50%、スロットの50%~55%、スロットの55%~60%、スロットの60%~65%、スロットの65%~70%、スロットの70%~75%、スロットの75%~80%、スロットの80%~85%、スロットの85%~90%、スロットの90%~95%、またはスロットの95%~100%をカバーすることができる。
【0063】
A) ウェイトアセンブリ
図6、
図7、および
図12~
図14を参照すると、可変ウェイトアセンブリ380(ウェイトアセンブリとも呼ばれる)は、単一のウェイト部材370および単一の機械的ファスナー390(またはファスナー)を備える。ウェイト部材370は、ゴルフクラブヘッド100のスロット240内に配置されるように構成される。ウェイト部材370は、外側面362と、内側面364と、外側面362と内側面364との間に延在する側壁366と、上側面368と、下側面369と、外側面362から内側面364までウェイト部材370を通って延在する開口375と、を備える。開口375は、開口375の内部に開口ねじ山377をさらに備える。ファスナー390は、ウェイトアセンブリ370がスロット240から取り外されるときに、ウェイト部材開口375内の開口ねじ山377の手段によってウェイト部材370内に保持される。ウェイト部材370の下側面369は、ソール116の延長部によって形成されたスロット底面244を受け入れるように構成された窪み371をさらに備える。ソール116の延長部はシュラウド220を含む。シュラウド220は、ウェイトアセンブリ380がスロット240に螺着されたときにウェイトアセンブリ380に付加的な安定性を与える。
【0064】
いくつかの実施形態では、2つ以上のウェイト部材370がゴルフクラブヘッドに取り付けられるために利用可能であり得る。2つのウェイト部材370は、異なった質量を有する可能性がある。しかしながら、一度に1つのウェイトアセンブリ380のみがゴルフクラブヘッドに固定されてもよい。2つ以上のウェイト部材370または2つ以上のウェイトアセンブリ380は、一度にゴルフクラブヘッドに固定されなくてもよい。
【0065】
ウェイト部材370は金属、ポリマー(例えば、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性エラストマ)、複合材料、またはそれらの任意の組合せなどの任意の物質から作製することができる。ウェイト部材370は同じ容量を維持しながら、様々な質量の後方ウェイトを達成するために、様々な量の高密度材料(例えば、金属粉末)または様々な密度の材料で射出成形された高分子であってもよい。異なった密度を有する射出成形されたウェイト部材は、同一の容量及び幾何学的形状を有する広範囲のウェイト部材を可能にする。
【0066】
多くの実施形態では、ウェイト部材の質量が14g~48gの範囲である。いくつかの実施形態では、ウェイト部材の質量が14g~16g、16g~18g、18g~20g、20.0g~22.0g、22.0g~24.0g、24.0g~26.0g、26.0g~28.0g、28.0g~30.0g、30.0g~32.0g、32.0g~34.0g、34.0g~36.0g、または36.0g~38.0gの範囲である。ウェイトアセンブリの質量は、14g、15、16、17、18、19、20g、21g、22g、23g、24g、25g、26g、27g、28g、29g、30g、31g、32g、33g、34g、35g、36g、37g、38g、39g、40g、41g、42g、43g、44g、45g、46g、47g、または48gとすることができる。多くの実施形態では、ウェイトアセンブリの質量(ウェイト部材及びファスナー)が16グラム~50グラムの範囲である。いくつかの実施形態では、後方ウェイトアセンブリの質量が16g~18g、18g~20g、20g~22g、22.0g~24.0g、24.0g~26.0g、26.0g~28.0g、28.0g~30.0g、30.0g~32.0g、32.0g~34.0g、34.0g~36.0g、36.0g~38.0g、または38.0g~40.0g、40g~42g、42g~44g、44g~46g、46g~48g、または48g~50gの範囲である。ウェイトアセンブリの質量は、16g、17g、18g、19g、20g、21g、22g、23g、24g、25g、26g、27g、28g、29g、30g、31g、32g、33g、34g、35g、36g、37g、38g、39g、40g、41g、42g、43g、44g、45g、46g、47g、48g、49g、または50gとすることができる。
【0067】
ウェイト部材370は、14グラム未満の質量を有していなくてもよい。ウェイトアセンブリは、16グラム未満のウェイトアセンブリ380質量を有していなくてもよい。ウェイト部材370またはウェイトアセンブリ380のより低い質量は、スロット240の大きさおよび位置がウェイトアセンブリ380の移動に負わせる移動の制約を考慮すると、意味のある方法でゴルフクラブヘッド性能に影響を及ぼすのに十分な質量を提供しない。
【0068】
図9~
図11を参照すると、図示の実施形態では、ウェイト部材370がほぼ長方形である。他の実施形態では、ウェイト部材が任意の形を含むことができる。例えば、ウェイト部材の形状は、円、楕円、三角形、長方形、八角形、または少なくとも2つの曲面を含む任意の他の多角形または形状を含むことができる。
【0069】
ウェイト部材370は、ウェイト部材370がスロット240内に固定されたときに、トウからヒールに向けて測定された長さ374を有する。ウェイト部材370は、ウェイト部材370がスロット240内に固定されたときに、前方から後方に向けて測定された幅376を有する。ウェイト部材370は、ウェイト部材370がスロット240内に固定されたときに、ウェイト外側面362に沿ってソールからクラウンに向けて測定された最高外側面高さ363を有する。ウェイト部材370は、ウェイト部材370がスロット240内に固定されたときに、ウェイト内側面364に沿ってソールからクラウンに向けて測定された最高内側面高さ365を有する。ウェイト部材370は、ウェイト部材重心すなわちCG500を含む。ウェイト部材370は、ウェイト部材CG500がウェイト部材開口375内にあるように構成される。
【0070】
ウェイト部材の長さ374は、ウェイト部材370の内側面364に沿ってトウからヒールに向けて測定される。ウェイト部材の長さ374は、0.5インチから2.0インチの間で変化してもよい。ウェイト部材の長さ374は、0.5インチ、0.6インチ、0.7インチ、0.8インチ、0.9インチ、1.0インチ、1.1インチ、1.2インチ、1.3インチ、1.4インチ、1.5インチ、1.6インチ、1.7インチ、1.8インチ、1.9インチ、又は2.0インチであってもよい。ウェイト部材の長さ374は、2.0インチ以下であってもよい。
【0071】
ウェイト部材の幅376は、0.4インチ~2.0インチの範囲で変化してもよい。ウェイト部材の幅376は、0.4インチ、0.5インチ、0.6インチ、0.7インチ、0.8インチ、0.9インチ、1.0インチ、1.1インチ、1.2インチ、1.3インチ、1.4インチ、1.5インチ、1.6インチ、1.7インチ、1.8インチ、1.9インチ、又は2.0インチであってもよい。
【0072】
ウェイト部材の最大外側面高さ363は、0.2インチ~0.6インチの範囲で変化してもよい。最大外側面高さ363は、0.2インチ、0.3インチ、0.4インチ、0.5インチ、又は0.6インチとすることができる。
【0073】
ウェイト部材の最高内側面高さ365は、0.1インチ~0.5インチの範囲で変化してもよい。内側面高さ365は、0.1インチ、0.2インチ、0.3インチ、0.4インチ、または0.5インチであってもよい。
【0074】
ウェイトアセンブリ380がゴルフクラブヘッド100に取り付けられると、ウェイト部材370はウェイト部材370の質量のより多くがゴルフクラブヘッド100のリア部128及びソール116に向かって分配されるように、内側面364から外側面362に向かって下方に傾斜する。これは、ゴルフクラブヘッド100の全CG180の後方および下方への移動にさらに寄与する。
【0075】
外側面高さ363は内側面高さ365よりも大きく、ウェイト部材370の下向きに傾斜した形を作り出す。下側面傾斜又は角度373は、外側面高さ363及び内側面高さ365の差によって規定される。下側面角度373は、1°~30°の範囲で変化してもよい。下側面角度373は、1°、2°、3°、4°、5°、6°、7°、8°、9°、10°、11°、12°、13°、14°、15°、16°、17°、18°、19°、20°、21°、22°、23°、24°、25°、26°、27°、28°、29°、30°とすることができる。
【0076】
ウェイト部材370は、ウェイト部材の長さ374に沿ってそれぞれの端部に向かってその最大高さを傾斜して減少させることをさらに含む。ウェイト部材の減少した高さの2つの傾斜した肩部は、ウェイト部材370をスロット240内に保持するのにさらに役立つ。スロット高さ247が非対称に変化すると、ウェイト部370を取り付けることができるスロット240内の位置は、より大きな高さを有する。ウェイト部370の傾斜した肩部は、ウェイト部材370が固定され得る位置の周りでスロット240の可変高さ247が減少することにつれて、ウェイト部材370のいずれかの端部がスロット240内に嵌合することを可能にする。したがって、傾斜した肩部はスロット240内のウェイト部材370の保持に寄与し、スロット240の可変高さ247内に嵌合するように構成される。
【0077】
B) ウェイトアセンブリの調整
図12および
図13を参照すると、ファスナー390と共にウェイト部材370をヒール側、中央、またはトウ側のねじを切ったアパーチャの1つにねじで取り付けることによって、ウェイトアセンブリ380がゴルフクラブヘッド100に固定されると、ウェイトアセンブリ380はファスナー軸510を備える。ウェイトアセンブリ380のファスナー軸510は、ウェイトアセンブリ380がヒール側、中央、トウ側のねじ切りアパーチャの1つにファスナー390で固定されるとき、ファスナー390の長手方向中心を通る軸である。ウェイトアセンブリ380がヒール側アパーチャ254に固定されると、ファスナー軸は、ヒール側ファスナー軸線512を画定する。ウェイトアセンブリ380が中央アパーチャ部252に固定されると、ファスナー軸は、中央ファスナー軸線514を画定する。ウェイトアセンブリ380がトウ側アパーチャ256に固定されると、ファスナー軸は、トウ側ファスナー軸線516を画定する。
【0078】
スロット242の内面は凸状であるので、トウ側ファスナー軸516及びヒール側ファスナー軸512の各々は、延長された軸線が交差点に来るように、ゴルフクラブヘッド前端部112に向かう線に伸びる。2つの軸の交差点は、ロフト面1010からの深さを含む。ファスナー軸交差点深さ540は、2.8インチと3.2インチとの間で変化してもよい。ファスナー軸交差点深さ540は、2.8インチ、2.9インチ、3.0インチ、3.1インチ、または3.2インチであってもよい。
【0079】
トウ側ファスナー軸516およびヒール側ファスナー軸512は、ファスナー軸交差点540において頂点を有する角度の2つの放射線を形成する。トウ側ファスナー軸516とヒール側ファスナー軸512との間の角度の大きさは、2つの軸の間の分離角を含む。さらに、トウ側及びヒール側のアパーチャはスロット内で最も離れたアパーチャであるので、2つのファスナー軸は最大分離角である。
【0080】
図15を参照すると、例示的なゴルフクラブヘッドにおいて、トウ側アパーチャ256及びヒール側アパーチャ254は、スロット240内で互いに最も遠いアパーチャである。トウ側ファスナー軸516およびヒール側ファスナー軸512の最大角度ファスナー軸分離520は、40度および55度の範囲内で変化する。最大角度ファスナー軸分離520は、40度、41度、42度、43度、44度、45度、46度、47度、48度、49度、50度、51度、52度、53度、54度、または55度であってもよい。例示的なゴルフクラブヘッドでは、最大角度ファスナー軸分離520が約45度である。トウ側ファスナー軸516およびヒール側ファスナー軸512の比較的小さな最大角度ファスナー軸分離520は、スロットおよびウェイトアセンブリ可変ウェイトシステムのコンパクト性をさらに示す。
【0081】
あるいは、ゴルフクラブヘッド深さ160が3.0インチから6.0インチの範囲である。
図15を参照すると、スロット支持構造深さ412は、ゴルフクラブヘッド100の全深さ160と、ロフト面1010からスロット支持構造410の最前方部分411までの距離と、の間の差を含む。スロット構造410の最もヒール側の部分に接するZ軸1070に平行な線は、スロット構造410のヒール側の境界416である。スロット構造410の最もトウ側の部分に接するZ軸1070に平行な線は、スロット構造410のトウ側の境界418である。ヒール側の境界416とトウ側の境界418との間の距離は、スロット構造長414である。
【0082】
スロット構造の深さ412は、0.9インチから1.2インチの範囲で変化してもよい。スロット構造の長さ414は、2.2インチから2.8インチの範囲で変化してもよい。
【0083】
スロット構造の深さ412は、0.9インチ、1.0インチ、1.1インチ、または1.2インチであってもよい。
【0084】
スロット構造の長さ414は、2.2インチ、2.3インチ、2.4インチ、2.5インチ、2.6インチ、2.7インチ、または2.8インチであってもよい。
【0085】
スロット構造の深さ412は、1.2インチ以下であってもよい。スロット構造の長さ414は、2.8インチ以下であってもよい。
【0086】
スロット構造240のサイズが限られているため、スロット構造240の質量は、ゴルフクラブヘッド100の総質量に比べて非常に小さい。スロット構造240の質量は、ゴルフクラブヘッド100の総質量の7.0%未満であってもよい。
【0087】
図11を参照すると、スロット支持構造410は、1つまたは複数のリブ420をさらに備える。1つまたは複数のリブ420は、ゴルフクラブヘッド100の中空の内部にあり、ゴルフクラブヘッド100の外部からは見えない。1つまたは複数のリブ420は、スロット支持構造410及びソール116の内面から突出し、且つこれに一体的に取り付けられている。1つまたは複数のリブ420は、スロットアパーチャハウジング450のいずれにも取り付けられておらず、又はこれから突出していない。また、1つまたは複数のリブ420は、スロット240内に固定されたウェイトアセンブリの高い質量が与えられた場合、ゴルフボールによるゴルフクラブヘッドのインパクト中にスロット構造の振動を防止するためにスロット構造を強化することができる。ゴルフクラブヘッド100は、1つの支持リブに限定されず、複数のリブ420を含んでもよいことが理解される。図示の実施形態は、前方から後方に延在するほぼ平面状のリブ420を示す。1つまたは複数のリブ420は、複数の端部点および縁部によって画定される幾何学的形状を有することができる。
【0088】
図13及び
図14を参照すると、ウェイト部材重心又はCG500は、ウェイトアセンブリ380のファスナー軸510上に位置している。したがって、ウェイトアセンブリ380が、スロット240(トウ側アパーチャ256およびヒール側アパーチャ254)内で互いに最も遠いアパーチャに固定されると、各位置におけるウェイト部材重心またはCG500もまた、最大角度ファスナー軸分離520によって分離される。
【0089】
C) ウェイトアセンブリの変位の影響
ウェイトアセンブリ380は、スロットアパーチャの各々に移動可能である。スロットアパーチャの各々は、アパーチャ分離距離610だけ隣接するアパーチャから分離されている。アパーチャ分離距離610は、0.5インチから0.6インチの範囲で変化してもよい。アパーチャ分離距離610は、0.5インチまたは0.6インチであってもよい。例示的な実施形態では、アパーチャ分離距離610が0.6インチである。ウェイトアセンブリを中央アパーチャ位置252からトウ側アパーチャ256またはヒール側アパーチャ254のいずれかに移動させると、ウェイトアセンブリ380の大きな質量が移動し、ゴルフクラブヘッド100の全体的なCG180が変位する。
【0090】
一実施形態では、ストレートゴルフショットを打つために、ウェイトアセンブリ380がゴルフクラブヘッド100のスロット240内でニュートラル位置にセットアップするように構成することができる。ファスナー390は、スロット240の中央アパーチャ252内に固定される。スロット240内のウェイト部材370の中央配置は、ゴルフクラブヘッド100全体の重心又はCG180が良くバランスしているので、ほぼ直線的なボール飛行をもたらす。
【0091】
別の実施形態では、フェードタイプのゴルフショットを打つために、ウェイトアセンブリ380がゴルフクラブヘッド100のスロット240内でヒール側位置にセットアップするように構成することができる。ファスナー390は、スロット240のヒール側アパーチャ254内に固定される。スロット240内のウェイト部370のヒール方向配置は、ゴルフクラブヘッドCG180全体がゴルフクラブヘッド100のヒール側120、320に向かって中心からオフセットされているので、ほぼ左から右へのボール飛行(左利きのゴルファーの場合、右から左へのボール飛行)をもたらす。
【0092】
別の実施形態では、ドロータイプのゴルフショットを打つために、ウェイトアセンブリ380がゴルフクラブヘッド100のスロット240内でトウ側位置にセットアップするように構成することができる。ファスナー390は、スロット240のトウ側アパーチャ256内に固定される。スロット240内のウェイト部材370のトウ側配置は、ゴルフクラブヘッドCG180全体がゴルフクラブヘッド100のトウ側124、324に向かって中心からオフセットされているので、ほぼ右から左へのボール飛行(右利きのゴルファーにとっては左から右へのボール飛行)をもたらす。
【0093】
以下の表1は、ウェイトアセンブリ380がスロット240内で再構成されるときの、ゴルフクラブヘッドのCG180の位置を示す。ゴルフクラブヘッドCG180は、X軸1050、Y軸1060、及びZ軸1070に平行な移動に関して変位する。X軸に平行なインチ単位の差移動CG180はCGx185であり、Y軸に平行なインチ単位の差移動はCGy186であり、Z軸に相対的なインチ単位の差移動はCGz187である。以下の結果は、35グラムのタングステン重量、199gのゴルフクラブヘッド重量、およびウェイトアセンブリ380をヒール側アパーチャ254またはトウ側アパーチャ256のいずれかに移動させたときの中央アパーチャ252に対してスロット240内の0.6インチの再構成(またはアパーチャ分離距離610)でまとめたものである。
【表1】
【0094】
表1を参照すると、上述のように、ウェイト部材370がヒール側アパーチャ254またはトウ側アパーチャ256のいずれかに配置される場合、CGxの動きは、開始中心位置からヒールに向かって約0.04インチまたはトウに向かって約0.09インチである。しかしながら、CGyおよびCGzの移動は、著しく小さい(それぞれ0.01インチおよび0.04インチ未満)。さらに、ゴルフクラブヘッド100の総慣性力モーメントまたはMOI低下が最小限に抑えられる。
【表2】
【0095】
上記の表2を参照すると、同じゴルフクラブヘッド100の総MOIの変化はウェイトアセンブリ380がヒール側アパーチャ254にシフトされたときに非常にわずか3.4%減少し、ウェイトアセンブリがトウ側アパーチャ256にシフトされたときに総ゴルフクラブヘッドMOIは実際に1.7%増加する。したがって、ゴルフクラブヘッド100のCG180がヒール側またはトウ側に移動すると、ゴルフクラブヘッド100の寛容性が大幅に維持される。
【表3】
【0096】
上記の表3を参照すると、同様の従来技術のゴルフクラブヘッドの比較は、ウェイトアセンブリが最もヒール側の位置に移動されるときに総ゴルフクラブヘッドMOIの11.0%の減少を有し、ウェイトアセンブリが最もトウ側の位置に移動されるときに3.4%の減少を有する。
【0097】
例示的なゴルフクラブヘッド100のCG180をゴルフクラブヘッド100のヒール120またはトウ124に向かって移動させることは、フェードバイアスまたはドローバイアスに向かうゴルフボール飛行の形成に寄与する。このようなショット形成は、ゴルファーのショットを改善するのを助けるために望ましい。しかしながら、調整可能なウェイトシステムがゴルフクラブヘッドの容積にわたって調整可能なウェイトの比較的大きな移動を必要とする場合、ゴルフクラブヘッドのCGは、ゴルフクラブヘッドのストライクフェースに向かって前方に移動され、通常、ゴルフクラブヘッドの容積においてソールよりも上方に移動される。ストライクフェースに向かうとともにクラブヘッドの容積において上方に向かうCGの移動は、ゴルフクラブヘッドの複合または総慣性力モーメントを減少させる。オフセンターヒットの許容度が低下するため、クラブヘッドMOIの減少は望ましくない。したがって、表3に示すように、従来の調整可能なウェイトシステムでは、ユーザがショット形成と許容度との間で選択しなければならない。さらに、従来の調整可能なウェイトシステムでは、より大きな又はより多くの分散されたウェイトポート構造は恒久的に配置された質量であり、ゴルフクラブヘッド上の他の位置への調整可能なウェイト部材の移動の影響をしばしば相殺する。
【0098】
本明細書に記載のウェイトアセンブリスロット240は、互いに比較的近接して配置された3つのねじ付きレシーバを備える。ウェイト部材370は、スロット240内の3つの異なった位置に配置され、直線ボール飛行、右から左へのボール飛行、および左から右へのボール飛行に影響を及ぼすことができる。リア部128の単一の小さなスロット240と単一のウェイト部材370との組合せは、CGの移動及びMOIの保存の改善につながる。これは、スロット240をゴルフクラブヘッド100のリア部128上の比較的小さな円弧に制限することによって達成される。より小さな最大角度ファスナー軸分離520は、ゴルフクラブヘッド100のヒール120またはトウ124に向かうウェイト部材370のより小さな変位を提供するが、より重いウェイト部材370はウェイト部材370のより小さな最大角度ファスナー軸分離520を相殺し、比較的小さいウェイト部材変位を使用することによってユーザがゴルフボール飛行を形成することを可能にし、同時に、より多くの総MOIおよびゴルフクラブヘッド100の許容度を保持する。
【0099】
1つまたは複数の請求された要素の置き換えは、再構成を構成するものであり、修復は構成しない。さらに、利益、他の利点、および問題に対する解決法を、特定の実施形態に関して説明した。しかし、利益、利点、問題に対する解決法、および任意の利益、利点、または解決法を生じさせ得るかまたはそれらをより明白にし得るいずれの要素も、そのような請求項の重要、必要、または不可欠な特徴または要素として解釈すべきではない。
【0100】
ゴルフの規則は時々変更されることがあり(例えば、ゴルフの標準団体及び/又は全米ゴルフ協会(USGA)、英国ゴルフ協会(R&A)等の統治体によって、新しい規則が適用され、又は古い規則が撤廃又は改変されることがある)、本願に開示される装置、方法及び/又は製造品に関するゴルフ道具は、どのような時もゴルフの規則に適合してもよく、適合しなくてもよい。したがって、本願に開示される装置、方法及び/又は製造品に関するゴルフ道具は、広告、販売の申し出、及び/又はゴルフ道具に適合する又は適合しない販売であってもよい。本願に開示される装置、方法及び/又は製造品がこの点において限定されるものではない。
【0101】
上記の実施例は、本明細書に記載されるウッドタイプのゴルフクラブ、装置、方法、および製造物品に関連して記載されてもよい。あるいは、本明細書に記載の装置、方法、および製造物品は、他の種類のスポーツ道具、例えば、ホッケー用スティック、テニスラケット、釣竿、スキーポール等にも適用できる。
【0102】
さらに、本明細書に開示される実施形態および制限は、実施形態および/または制限が(1)請求項に明示的に特許請求されておらず、(2)均等論下で請求項の明白な要素および/または制限の潜在的な等価物である場合に、公有の原則下で公衆に供されない。