(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】不飽和ポリオレフィンを含む硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
C08F 255/00 20060101AFI20240719BHJP
C08F 2/44 20060101ALI20240719BHJP
H01B 7/02 20060101ALN20240719BHJP
【FI】
C08F255/00
C08F2/44 C
H01B7/02 Z
(21)【出願番号】P 2021538065
(86)(22)【出願日】2019-12-27
(86)【国際出願番号】 US2019068656
(87)【国際公開番号】W WO2020139993
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-12-13
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ムンロ、ジェフリー シー.
(72)【発明者】
【氏名】ブリガンディ、ポール ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】コーゲン、ジェフリー エム.
(72)【発明者】
【氏名】スン、リーシン
(72)【発明者】
【氏名】リーピーシャン、コリン
【審査官】久保 道弘
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-503048(JP,A)
【文献】特開2016-056337(JP,A)
【文献】特表2001-524996(JP,A)
【文献】特表2015-519447(JP,A)
【文献】特表2015-513583(JP,A)
【文献】T. Bremner et al,Effects of polyethylene molecular structure on peroxide crosslinking of low density polyethylene,POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE,1992年07月,939-943
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 255/00
C08F 2/44
H01B 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル断熱材用の硬化性組成物であって、(A)式A
1L
1L
2A
2のテレケリックポリオレフィンを含むポリオレフィン成分と、(B)架橋剤を含む硬化成分と、を含み、式中、
L
1が、ポリオレフィンであり、
A
1が、ビニル基、式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基、式Y
1CH=CH-のビニレン基、ビニル基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物、ビニル基と式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基との混合物、式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物、およびビニル基と式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物からなる群から選択され、
Y
1が、出現ごとに独立して、C
1~C
30ヒドロカルビル基であり、
L
2が、C
1~C
32ヒドロカルビレン基であり、
A
2が、立体障害のある二重結合を含むヒドロカルビル基である、硬化性組成物。
【請求項2】
ケーブル断熱材用の硬化性組成物であって、(A)式A
1L
1の不飽和ポリオレフィンおよび式A
1L
1L
2A
2のテレケリック
ポリオレフィンを含む、ポリオレフィン成分と、(B)架橋剤を含む硬化成分と、を含み、式中、
L
1が、出現ごとに独立して、ポリオレフィンであり、
A
1が、出現ごとに独立して、ビニル基、式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基、式Y
1CH=CH-のビニレン基、ビニル基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物、ビニル基と式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基との混合物、式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物、およびビニル基と式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物からなる群から選択され、
Y
1が、出現ごとに独立して、C
1~C
30ヒドロカルビル基であり、
L
2が、C
1~C
32ヒドロカルビレン基であり、
A
2が、立体障害のある二重結合を含むヒドロカルビル基である、硬化性組成物。
【請求項3】
前記テレケリックポリオレフィンが、1,000g/mol~1,000,000g/molの重量平均分子量を有する、
請求項1または2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記不飽和ポリオレフィンが、1,000g/mol~1,000,000g/molの重量平均分子量を有する、
請求項2に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記架橋剤が、過酸化ジクミルである、請求項1~
4のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項6】
前記硬化性組成物が、(C)抗酸化剤を含む添加剤成分をさらに含む、請求項1~
5のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項7】
前記(A)ポリオレフィン成分が、低密度ポリエチレンポリマーをさらに含む、請求項1~
6のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項8】
前記(B)硬化成分が、助剤をさらに含む、請求項1~
7のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項9】
前記助剤が、2,4,6,8-テトラメチル-2,4,6,8-テトラビニルシクロテトラシロキサンである、請求項
8に記載の硬化性組成物。
【請求項10】
前記架橋剤が、前記硬化性組成物の総重量に基づいて、1重量%以上~2重量%の量で存在し、
前記硬化性組成物が、180℃で15分間硬化させた後、35%以下の150℃または200℃での高温クリープを有する、請求項1~
9のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項11】
前記架橋剤が、前記硬化性組成物の総重量に基づいて、0.3重量%~0.36重量%の量で存在し、
前記硬化性組成物が、180℃で15分間硬化させた後、175%以下の150℃または200℃での高温クリープを有する、請求項1~
9のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項12】
式A
1L
1の前記不飽和ポリオレフィンのL
1が、炭素-炭素単結合を通じてA
1に共有結合している、
請求項2~11のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項13】
式A
1L
1L
2A
2の前記テレケリックポリオレフィンのL
1が、炭素-炭素単結合を通じてA
1およびL
2の各々に共有結合し、式A
1L
1L
2A
2の前記テレケリックポリオレフィンのL
2が、炭素-炭素単結合を通じてA
2に共有結合している、
請求項1~12のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項14】
ケーブル断熱材である、請求項1~
13のいずれかに記載の硬化性組成物から作製された、物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
2018年12月28日出願の米国仮出願第62/786084号、同第62/786100号、同第62/786119号、および同第62/786110号に対する優先権の利益を主張し、本出願は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
実施形態は、改善された架橋に有用な硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
LDPEなどのポリエチレンポリマーは、ワイヤーおよびケーブル用途で広く使用されている。一般に、ポリエチレン系電源ケーブル断熱材は、十分に高い程度の架橋に達するために、過酸化物などの架橋剤を一定量必要とする。しかしながら、過酸化物のこの必要量は、ケーブル性能に悪影響を与え得、時間およびコストのかかる脱気プロセスを介して除去する必要がある、副生成物(メタンなど)の生成に直接つながる。したがって、最先端技術では、組成物が、脱気が不要でありながらまた、業界での高温クリープ要件を実証するような、低減された量の過酸化物を用いて十分に高い架橋を可能にする、ケーブル断熱用の新規の組成物を必要としている。本開示の硬化性組成物は、この必要性に対処する。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、ケーブル断熱層用の硬化性組成物であって、(A)式A1L1の不飽和ポリオレフィンおよび/または式A1L1L2A2のテレケリックポリオレリンを含む、ポリオレフィン成分と、(B)架橋剤を含む硬化成分と、を含み、式中、
L1が、出現ごとに独立して、ポリオレフィンであり、
A1が、出現ごとに独立して、ビニル基、式CH2=C(Y1)-のビニリデン基、式Y1CH=CH-のビニレン基、ビニル基と式Y1CH=CH-のビニレン基との混合物、ビニル基と式CH2=C(Y1)-のビニリデン基との混合物、式CH2=C(Y1)-のビニリデン基と式Y1CH=CH-のビニレン基との混合物、およびビニル基と式CH2=C(Y1)-のビニリデン基と式Y1CH=CH-のビニレン基との混合物からなる群から選択され、
Y1が、出現ごとに独立して、C1~C30ヒドロカルビル基であり、
L2が、C1~C32ヒドロカルビレン基であり、
A2が、立体障害のある二重結合(hindered double bond)を含むヒドロカルビル基である、硬化性組成物に関する。
【0005】
硬化性組成物は、(C)抗酸化剤を含む添加剤成分をさらに含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1A】CTA1を合成するための1H NMRおよびGC/MSスペクトルを提供する。
【
図1B】CTA1を合成するための1H NMRおよびGC/MSスペクトルを提供する。
【0007】
【
図2】CTA2を合成するための1H NMRスペクトルを提供する。
【0008】
【
図3】CTA7を使用してテレケリックポリオレフィンを合成するための1H NMRスペクトルを提供する。
【0009】
【
図4】CTA8を使用してテレケリックポリオレフィンを合成するための1H NMRスペクトルを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
定義
本明細書における元素周期表への全ての言及は、CRC Press,Inc.によって2003年に出版および著作権化されている元素周期表を指すものとする。また、族(複数可)へのいずれの参照も、族の付番のためにIUPACシステムを使用して、元素のこの周期表に反映された族(複数可)に対するものとする。反対のことが記載されないか、文脈から示唆されないか、または当該技術分野で慣習的でない限り、全ての部およびパーセントは、重量に基づく。米国特許実務の目的のため、本明細書で参照される任意の特許、特許出願、または刊行物の内容は、特に当該技術分野における合成技法、定義(本明細書に提供される任意の定義と矛盾しない程度において)、および一般的な知識に関して、参照によってそれらの全体が本明細書に組み込まれる(または、それらの同等の米国版が、参照によってそのように組み込まれる)。
【0011】
本明細書に開示されている数値範囲は、下限値および上限値を含む、下限値から上限値の全ての値を含む。明確な数値(例えば、1または2、または3~5、または6、または7)を含む範囲については、いずれかの2つの明確な数値間の任意の部分範囲が含まれる(例えば、1~2、2~6、5~7、3~7、5~6など)。本明細書に開示される数値範囲は、任意の2つの明示的な値の間の分数をさらに含む。
【0012】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語、およびそれらの派生語は、任意の追加の成分、ステップ、または手順の存在を、それが具体的に開示されているかどうかにかかわらず除外することを意図しない。任意の疑義を回避するために、「含む(comprising)」という用語の使用を通じて特許請求される全ての組成物は、反対の記載がない限り、ポリマーであろうとなかろうと、任意の追加の添加剤、アジュバント、または化合物を含み得る。対照的に、「~から本質的になる」という用語は、任意の後続の詳述の範囲から、操作性に必要不可欠ではないものを除き、任意の他の成分、ステップ、または手順を除外する。「~からなる(consisting of)」という用語は、具体的に記述または列挙されていない任意の成分、ステップ、または手順を除外する。「または」という用語は、別途記載がない限り、列挙された部材を個々に、および任意の組み合わせで指す。
【0013】
「立体障害のある二重結合」という用語は、配位重合に容易に関与することができない炭素-炭素二重結合を指す。言い換えれば、立体障害のある二重結合は、配位重合に関与する反応性がごくわずかである。立体障害のある二重結合の例には、ビニリデン基の二重結合、ビニレン基の二重結合、三置換アルケンの二重結合、および分岐アルファ炭素に結合したビニル基の二重結合が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で定義される「立体障害のある二重結合」という用語は、配位重合に容易に関与することができる歪んだ環式オレフィンの二重結合を含まない。当業者が理解するであろうように、そのような歪んだ環式オレフィンの例には、ノルボルネン、エチリデンノルボルネン(ENB)、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)、ジシクロペンタジエン、ノルボルナジエン、5-メチレン-2-ノルボルネン(MNB)、5-プロペニル-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、5-(4-シクロペンテニル)-2-ノルボルネン、5-シクロヘキシリデン-2-ノルボルネンなどが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で定義される「立体障害のある二重結合」はさらに、非分岐アルファ炭素に結合したビニル基の二重結合を含まない。
【0014】
「組成物」という用語は、組成物を構成する材料または成分の混合物を指す。したがって、「を含む組成物」という用語および同様の用語は、それが具体的に開示されているかどうかにかかわらず、組成物の任意の追加の成分の存在を含まないことすることを意図するものではない。
【0015】
「非環式」という用語は、ポリマーまたは化合物中の一連の原子を指し、そのような一連の原子が線状または分岐している。したがって、「非環式ヒドロカルビル基」という用語は、線状または分岐状のヒドロカルビル基を指す。
【0016】
「環式」という用語は、ポリマーまたは化合物中の一連の原子を指し、そのような一連の原子が、1つ以上の環を含む。したがって、「環式ヒドロカルビル基」という用語は、1つ以上の環を含有するヒドロカルビル基を指す。本明細書で使用される「環式ヒドロカルビル基」は、1つ以上の環に加えて、非環式(線状または分岐状)部分を含有し得る。
【0017】
「置換された」という用語は、1つ以上の水素原子が、例えば、アルキル基で置換されていることを指す。「非置換」という用語は、そのような置換がないことを意味する。
【0018】
当業者が理解するであろうように、「ヘテロ原子」という用語は、炭素または水素ではない任意の主族原子を指す。好適なヘテロ原子には、窒素、酸素、硫黄、リン、およびハロゲンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
本明細書で使用される場合、「ヒドロカルビル」、「ヒドロカルビル基」などの用語は、脂肪族、芳香族、非環式、環式、多環式、分岐、非分岐、飽和、および不飽和化合物を含む、完全に水素および炭素で構成される化合物を指す。
【0020】
「ヒドロカルビル」、「ヒドロカルビル基」、「アルキル」、「アルキル基」、「アリール」、「アリール基」、「シクロアルケン」などの用語は、全ての構造異性体または立体異性体を含む全ての可能な異性体を含むことを意図する。同じことが、ヘテロヒドロカルビル、ヒドロカルビレン、ヘテロヒドロカルビレン、アルキレン、ヘテロアルキル、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリール、ヘテロアリーレン、シクロアルキル、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロシクロアルキレンを含むがこれらに限定されない同様の用語にも適用される。
【0021】
「環内二重結合」という用語は、環員である2つの炭素原子間の二重結合を指す。「環外二重結合」という用語は、2つの炭素原子間の二重結合を指し、炭素原子のうちの1つだけが環員である。
【0022】
「活性触媒」、「活性触媒組成物」などの用語は、助触媒の有無にかかわらず、不飽和モノマーの重合が可能である遷移金属化合物を指す。活性触媒は、助触媒なしで不飽和モノマーを重合するために活性になる「プロ触媒」であり得る。あるいは、活性触媒は、不飽和モノマーを重合するために助触媒と組み合わせて活性になる「プロ触媒」であり得る。
【0023】
「プロ触媒」という用語は、「触媒」、「プレ触媒」、「触媒前駆体」、「遷移金属触媒」、「遷移金属触媒前駆体」、「重合触媒」、「重合触媒前駆体」、「遷移金属錯体」、「遷移金属化合物」、「金属錯体」、「金属化合物」、「錯体」、「金属-配位子錯体」などの用語と互換的に使用される。
【0024】
「助触媒」は、特定のプロ触媒を活性化して、不飽和モノマーの重合が可能な活性触媒を形成することができる化合物を指す。「助触媒」という用語は、「活性化剤」などの用語と互換的に使用される。
【0025】
「ポリマー」は、同じであるかまたは異なる種類であるかにかかわらず、モノマーを重合することによって調製される化合物を指す。したがって、ポリマーという総称は、1つの種類のみのモノマーから調製されるポリマーを指す「ホモポリマー」という用語、および本明細書で定義されるような「インターポリマー」または「コポリマー」という用語を包含する。微量の不純物、例えば、触媒残渣が、ポリマー中および/またはポリマー内に組み込まれ得る。
【0026】
「インターポリマー」または「コポリマー」は、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合によって調製されるポリマーを指す。これらの総称は、2つの異なる種類のモノマーから調製されるポリマー、および3つ以上の異なる種類のモノマーから調製されるポリマー(例えば、ターポリマー、テトラポリマーなど)の両方を含む。これらの総称は、ランダム、ブロック、均一、不均一などの、全ての形態のインターポリマーまたはコポリマーを包含する。
【0027】
「エチレン系ポリマー」または「エチレンポリマー」は、ポリマーの重量に基づいて、過半量(50重量%超)の重合エチレンを含有し、任意選択で、少なくとも1つのコモノマーの重合単位をさらに含有し得る、ポリマーである。「エチレン系インターポリマー」は、インターポリマーの重量に基づいて、過半量(50重量%超)の重合形態のエチレンを含有し、少なくとも1つのコモノマーの重合単位をさらに含有する、インターポリマーである。好ましくは、エチレン系インターポリマーは、ランダムインターポリマーである(すなわち、ランダムに分布するそのモノマー構成成分で構成されている)。「エチレンホモポリマー」は、エチレンから誘導された繰り返し単位を含むが、残留量の他の成分を含むポリマーである。
【0028】
「プロピレン系ポリマー」または「プロピレンポリマー」は、ポリマーの重量に基づいて、過半量(50重量%超)の重合プロピレンを含有し、任意選択で、少なくとも1つのコモノマーの重合単位をさらに含有し得る、ポリマーである。「プロピレン系インターポリマー」は、インターポリマーの重量に基づいて、過半量(50重量%超)の重合形態のプロピレンを含有し、少なくとも1つのコモノマーの重合単位をさらに含有する、インターポリマーである。好ましくは、プロピレン系インターポリマーは、ランダムインターポリマーである(すなわち、ランダムに分布するそのモノマー構成成分で構成されている)。「プロピレンホモポリマー」は、プロピレンから誘導された繰り返し単位を含むが、残留量の他の成分を含むポリマーである。
【0029】
「エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー」は、インターポリマーの重量に基づいて、過半量(50重量%超)の重合エチレンを含有し、少なくとも1つのアルファ-オレフィンの重合単位をさらに含有する、インターポリマーである。好ましくは、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、ランダムインターポリマーである(すなわち、ランダムに分布するモノマー構成成分で構成されている)。「エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー」は、コポリマーの重量に基づいて、過半量(50重量%超)の重合エチレンを含有し、アルファ-オレフィンの重合単位をさらに含有するコポリマーである。好ましくは、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーは、ランダムコポリマーである(すなわち、ランダムに分布するそのモノマー構成成分で構成されている)。
【0030】
「プロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマー」は、インターポリマーの重量に基づいて、過半量(50重量%超)の重合プロピレンを含有し、少なくとも1つのアルファ-オレフィンの重合単位をさらに含有する、インターポリマーである。好ましくは、プロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、ランダムインターポリマーである(すなわち、ランダムに分布するそのモノマー構成成分で構成されている)。「プロピレン/アルファ-オレフィンコポリマー」は、コポリマーの重量に基づいて、過半量(50重量%超)の重合プロピレンを含有し、アルファ-オレフィンの重合単位をさらに含有するインターポリマーである。好ましくは、プロピレン/アルファ-オレフィンコポリマーは、ランダムコポリマーである(すなわち、ランダムに分布するそのモノマー構成成分で構成されている)。
【0031】
「ポリオレフィン」は、オレフィンモノマーから生成されるポリマーを指し、オレフィンモノマー(アルケンとも呼ばれる)が、少なくとも1つの二重結合を有する炭素および水素の線状、分岐状、または環式化合物である。
【0032】
本明細書で使用される「連鎖移動剤成分」および「連鎖移動剤」という用語は、活性触媒部位との可逆的または不可逆的なポリマー(polymeryl)交換を引き起こすことが可能である化合物または化合物の混合物を指す。不可逆的連鎖移動は、成長中のポリマー鎖を活性触媒から連鎖移動剤に移動させ、その結果、ポリマー鎖の成長が停止することを指す。可逆的連鎖移動とは、成長中のポリマー鎖を活性触媒と連鎖移動剤との間で行き来して移動させることを指す。
【0033】
「オレフィンブロックコポリマー」または「OBC」という用語は、エチレン/アルファ-オレフィンマルチブロックインターポリマーを指し、エチレンと、2つ以上(好ましくは3つ以上)の重合モノマー単位の複数のブロックまたはセグメント(ブロックまたはセグメントは化学的または物理的特性が異なる)を特徴とする1つ以上の共重合性アルファ-オレフィンコモノマーとを重合形態で含む。具体的には、「オレフィンブロックコポリマー」という用語は、線状の様式で結合した2つ以上(好ましくは3つ以上)の化学的に異なる領域またはセグメント(「ブロック」と称される)を含むポリマー、すなわち、ペンダント様式またはグラフト化様式ではなく、重合した官能基に対して、端と端とが結合(共有結合)した化学的に異なる単位を含むポリマーを指す。ブロックは、そこに組み込まれるコモノマーの量もしくは種類、密度、結晶化度の量、結晶化度の種類(例えば、ポリエチレン対ポリプロピレン)、そのような組成のポリマーに起因する結晶のサイズ、立体規則性の種類もしくは程度(アイソタクチックもしくはシンジオタクチック)、領域規則性もしくは領域不規則性、長鎖分岐もしくは超分岐を含む分岐の量、均一性、および/または任意の他の化学的もしくは物理的特性において異なる。ブロックコポリマーは、例えば、触媒系と組み合わせたシャトリング剤の使用効果に基づいて、ポリマー分子量分布(PDIまたはMw/Mn)およびブロック長分布の両方において独特の分布を持つことを特徴とする。本開示のオレフィンブロックコポリマーの非限定的な例、ならびにそれらを調製するためのプロセスは、全て参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第7,858,706(B2)号、同第8,198,374(B2)号、同第8,318,864(B2)号、同第8,609,779(B2)号、同第8,710,143(B2)号、同第8,785,551(B2)号、および同第9,243,090(B2)号に開示されている。
【0034】
「ブロック複合体」(「BC」)という用語は、(i)エチレン系ポリマー(EP)中の重合モノマー単位の総モル数に基づいて、10mol%~90mol%のエチレン含有量を有するエチレン系ポリマー(EP)(ソフトコポリマー)、(ii)アルファ-オレフィン系ポリマー(AOP)中の重合モノマー単位の総モル数に基づいて、90mol%超のアルファ-オレフィン含有量を有するアルファ-オレフィン系ポリマー(AOP)(ハードコポリマー)、ならびに(iii)エチレンブロック(EB)およびアルファ-オレフィンブロック(AOB)を有するブロックコポリマー(ジブロックコポリマー)であって、ブロックコポリマーのエチレンブロックが、ブロック複合体の成分(i)のEPと同じ組成であり、ブロックコポリマーのアルファ-オレフィンブロックが、ブロック複合体の成分(ii)のAOPと同じ組成である、ブロックコポリマー、の3つのポリマー成分を含むポリマーを指す。加えて、ブロック複合体中のEPの量とAOPの量との間の組成分配は、ブロックコポリマー中の対応するブロック間の組成分配と本質的に同じであろう。本開示のブロック複合体の非限定的な例、ならびにそれを調製するためのプロセスは、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,686,087号および同第8,716,400号に開示されている。
【0035】
「特定のブロック複合体」(「SBC」)という用語は、(i)エチレン系ポリマー(EP)中の重合モノマー単位の総モル数に基づいて、78mol%~90mol%のエチレン含有量を有するエチレン系ポリマー(EP)(ソフトコポリマー)、(ii)アルファ-オレフィン系ポリマー(AOP)中の重合モノマー単位の総モル数に基づいて、61mol%~90mol%のアルファ-オレフィン含有量を有するアルファ-オレフィン系ポリマー(AOP)(ハードコポリマー)、ならびに(iii)エチレンブロック(EB)およびアルファ-オレフィンブロック(AOB)を有するブロックコポリマー(ジブロックコポリマー)であって、ブロックコポリマーのエチレンブロックが、特定のブロック複合体の成分(i)のEPと同じ組成であり、ブロックコポリマーのアルファ-オレフィンブロックが、特定のブロック複合体の成分(ii)のAOPと同じ組成である、ブロックコポリマー、の3つのポリマー成分を含むポリマーを指す。加えて、特定のブロック複合体中のEPの量とAOPの量との間の組成分配は、ブロックコポリマー中の対応するブロック間の組成分配と本質的に同じであろう。本開示の特定のブロック複合体の非限定的な例、ならびにそれを調製するためのプロセスは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWO2017/044547に開示されている。
【0036】
「結晶質ブロック複合体」(「CBC」)という用語は、(i)結晶質エチレン系ポリマー(CEP)中の重合モノマー単位の総モル数に基づいて、90mol%超のエチレン含有量を有する結晶質エチレン系ポリマー(CEP)、(ii)結晶質アルファ-オレフィン系ポリマー(CAOP)中の重合モノマー単位の総モル数に基づいて、90mol%超のアルファ-オレフィン含有量を有する結晶質アルファ-オレフィン系ポリマー(CAOP)、ならびに(iii)エチレンブロック(CEB)および結晶質アルファ-オレフィンブロック(CAOB)を含むブロックコポリマーであって、ブロックコポリマーのCEBが、結晶質ブロック複合体の成分(i)のCEPと同じ組成であり、ブロックコポリマーのCAOBが、結晶質ブロック複合体の成分(ii)のCAOPと同じ組成である、ブロックコポリマー、の3つの成分を含むポリマーを指す。加えて、結晶質ブロック複合体中のCEPの量とCAOPの量との間の組成分配は、ブロックコポリマー中の対応するブロック間の組成分配と本質的に同じであろう。本開示の結晶質ブロック複合材料の非限定的な例、ならびにそれを調製するためのプロセスは、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,822,598(B2)号およびWO2016/01028961(A1)に開示されている。
【0037】
「結晶質」という用語は、示差走査熱量測定(DSC)または同等の技法によって決定して、一次転移または結晶融点(Tm)を有するポリマーを指す。この用語は、「半結晶質」という用語と互換的に使用され得る。「非晶質」という用語は、示差走査熱量測定(DSC)または同等の技法によって決定して、結晶融点を欠いているポリマーを指す。
【0038】
(A)ポリオレフィン成分
特定の実施形態では、本開示の硬化性組成物は、硬化性組成物の総重量に基づいて、5重量%~99.9重量%(25重量%~99.9重量%、または50重量%~99.9重量%、または80重量%~99.9重量%、または90重量%~99.9重量%、または95重量%~99.99重量%など)の(A)ポリオレフィン成分を含み得る。
【0039】
特定の実施形態では、(A)ポリオレフィン成分は、式A1L1の不飽和ポリオレフィンを含む。特定の実施形態では、(A)ポリオレフィン成分は、式A1L1L2A2のテレケリックポリオレフィンを含む。さらなる実施形態では、(A)ポリオレフィン成分は、式A1L1の不飽和ポリオレフィンおよび式A1L1L2A2のテレケリックポリオレフィンを含む。さらなる実施形態では、(A)ポリオレフィン成分は、式A1L1の不飽和ポリオレフィン、および式A1L1L2A2のテレケリックポリオレフィンを含み、(A)ポリオレフィン成分が、1:99~99:1、または10:90~90:10、または20:80~80:20、または30:70~70:30、または40:60~60:40、または50:50の、式A1L1の不飽和ポリオレフィン対式A1L1L2A2のテレケリックポリオレリンの比を含む。
【0040】
以下にさらに論じられるように、(A)ポリオレフィン成分は、エチレン系ポリマーなどの、式A1L1の不飽和ポリオレフィンおよび式A1L1L2A2のテレケリックポリオレフィン以外のポリマーをさらに含み得る。エチレン系ポリマーの例には、低密度ポリエチレン(LDPE)などのポリエチレンポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。これらのポリエチレンポリマーは、低い不飽和度を有するか、またはまったく不飽和を有さない。
【0041】
当業者が式A1L1L2A2を考慮して理解するであろうように、A1は、炭素-炭素単結合を通じてL1に共有結合し、L1は、炭素-炭素単結合を通じてL2に共有結合し、L2は、炭素-炭素単結合を通じてA2に共有結合している。したがって、本明細書において、式A1L1L2A2のL1がポリオレフィンであると述べられるとき、L1は、炭素-炭素単結合を通じて、A1およびL2基の各々に共有結合している二価ポリオレフィニル(polyolefinyl)基(2つの水素を欠くポリオレフィン)であると理解される。同様に、式A1L1L2A2のL1がポリマーであると述べられるとき、L1は、炭素-炭素単結合を通じて、A1およびL2基の各々に共有結合している二価ポリマー基(2つの水素を欠くポリマー)であると理解される。例えば、L1が、エチレンホモポリマーであると述べられるとき、L1は、炭素-炭素単結合を通じて、A1およびL2基の各々に共有結合している二価エチレンホモポリマー基(2つの水素を欠くエチレンホモポリマー)であると理解される。さらなる例として、L1が、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーであると述べられるとき、L1は、炭素-炭素単結合を通じて、A1およびL2基の各々に共有結合している二価エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー基(2つの水素を欠くエチレン/アルファ-オレフィンコポリマー)であると理解される。
【0042】
同様に、当業者が式A1L1を考慮して理解するであろうように、A1は、炭素-炭素単結合を通じてL1に共有結合している。したがって、本明細書において、式A1L1のL1がポリオレフィンであると述べられるとき、L1は、炭素-炭素単結合を通じてA1基に共有結合しているポリオレフィニル基(1つの水素を欠くポリオレフィン)であると理解される。
【0043】
L1が、出現ごとに独立して、不飽和モノマー(およびコモノマー)の配位重合から生じるポリオレフィンである。好適なモノマー(およびコモノマー)の例には、エチレン、ならびにプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、3,5,5-トリメチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、5-エチル-1-ノネン、1-オクタデセン、および1-エイコセンなどの3~30個の炭素原子、好ましくは3~20個の炭素原子のアルファ-オレフィン;ブタジエン、イソプレン、4-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ペンタジエン、1,4-ペンタジエン、1,5-ヘキサジエン、1,4-ヘキサジエン、1,3-ヘキサジエン、1,5-ヘプタジエン、1,6-ヘプタジエン、1,3-オクタジエン、1,4-オクタジエン、1,5-オクタジエン、1,6-オクタジエン、1,7-オクタジエン、1,9-デカジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン、および5,9-ジメチル-1,4,8-デカトリエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、3,7-ジメチル-1,7-オクタジエン、およびジヒドロミルセンとジヒドロオシメンとの混合異性体などの共役または非共役ジエン;5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-プロペニル-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、5-(4-シクロペンテニル)-2-ノルボルネン、5-シクロヘキシリデン-2-ノルボルネン、およびノルボルナジエンなどのノルボルネンおよびアルケニル、アルキリデン、シクロアルケニル、およびシクロアルキルデンノルボルネン;ならびに(スチレン、o-メチルスチレン、t-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、o,p-ジメチルスチレン、o-エチルスチレン、m-エチルスチレン、およびp-エチルスチレンを含む)スチレン、モノまたはポリアルキルスチレンなどの芳香族ビニル化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
L1は、線状(非分岐状)、分岐状、または環式であり得る。L1に分岐が存在するか存在しないか、および分岐の量(分岐が存在する場合)は、広範に変動し得、所望の加工条件および所望のポリマー特性に依存し得る。分岐がL1に存在する場合、分岐は、短鎖分岐または長鎖分岐であり得る。L1に存在し得る長鎖分岐の例示的な種類には、T型分岐およびH型分岐が挙げられるが、これらに限定されない。したがって、いくつかの実施形態では、L1は、長鎖分岐を含み得る。言い換えれば、いくつかの実施形態では、L1は、1つ以上の長鎖分岐を含み得、各長鎖分岐が、本明細書で定義される、A2基を任意選択で含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、式A1L1およびA1L1L2A2の各々のA1基は、L1を形成するように、モノマーおよびコモノマーの配位重合に基づいて最後に挿入されたモノマーまたはコモノマーと相関する。したがって、L1の配位重合のためにモノマーおよびコモノマーを選択することにより、A1基およびY1基が何であり得るかが示されるであろう。いくつかの実施形態では、A1基は、ビニル基である。いくつかの実施形態では、A1基は、式CH2=C(Y1)-のビニリデン基であり、式中、Y1が、C1~C30ヒドロカルビル基である。いくつかの実施形態では、A1基は、式Y1CH=CH-のビニレン基であり、式中、Y1が、C1~C30ヒドロカルビル基である。いくつかの実施形態では、A1基は、ビニル基と式Y1CH=CH-のビニレン基との混合物であり、式中、Y1が、C1~C30ヒドロカルビル基である。いくつかの実施形態では、A1基は、ビニル基と式CH2=C(Y1)-のビニリデン基との混合物であり、式中、Y1が、C1~C30ヒドロカルビル基である。いくつかの実施形態では、A1基は、式CH2=C(Y1)-のビニリデン基と式Y1CH=CH-のビニレン基との混合物であり、式中、Y1が、C1~C30ヒドロカルビル基である。いくつかの実施形態では、A1基は、ビニル基と式CH2=C(Y1)-のビニリデン基と式Y1CH=CH-のビニレン基との混合物であり、式中、Y1が、C1~C30ヒドロカルビル基である。
【0046】
さらなる実施形態では、A1基は、ビニル基と式Y1CH=CH-のビニレン基との混合物であり、式中、A1が、0.99:0.01~0.01:0.99のビニル基対式Y1CH=CH-のビニレン基の比を含み、Y1が、C1~C30ヒドロカルビル基である。
【0047】
さらなる実施形態では、A1基は、ビニル基と式CH2=C(Y1)-のビニリデン基との混合物であり、式中、A1が、0.99:0.01~0.01:0.99のビニル基対式CH2=C(Y1)-のビニリデン基の比を含み、Y1が、C1~C30ヒドロカルビル基である。
【0048】
さらなる実施形態では、A1基は、式CH2=C(Y1)-のビニリデン基と式Y1CH=CH-のビニレン基との混合物であり、式中、A1が、0.99:0.01~0.01:0.99の式CH2=C(Y1)-のビニリデン基対式1CH=CH-のビニレン基の比を含み、Y1が、C1~C30ヒドロカルビル基である。
【0049】
さらなる実施形態では、A1基は、ビニル基と式CH2=C(Y1)-のビニリデン基と式Y1CH=CH-のビニレン基との混合物であり、式中、A1が、0.99:0.01~0.01:0.99のビニル基対式Y1CH=CH-のビニレン基と式CH2=C(Y1)-のビニリデン基とビニル基との合計の比を含み、Y1が、C1~C30ヒドロカルビル基である。
【0050】
特定の実施形態では、L1は、1つのモノマーから誘導された単位を含むホモポリマーである。モノマーは、前述の好適なモノマーのうちのいずれかから選択することができる。さらなる実施形態では、L1は、エチレンから誘導された単位を含むエチレンホモポリマーである。さらなる実施形態では、L1は、プロピレンから誘導された単位を含むプロピレンホモポリマーである。
【0051】
いくつかの実施形態では、L1は、モノマーおよびコモノマーなどの少なくとも2つの異なる種類のモノマーから誘導された単位を含むインターポリマーである。したがって、特定の実施形態では、L1は、モノマー、およびモノマーとは異なる少なくとも1つのコモノマーから誘導された単位を含むインターポリマーである。モノマー、およびモノマーとは異なる少なくとも1つのコモノマーの各々は、前述の好適なモノマーのうちのいずれかから選択することができる。
【0052】
さらなる実施形態では、L1は、モノマーおよびコモノマーなどの2つの異なる種類のモノマーから誘導された単位を含むコポリマーである。したがって、特定の実施形態では、L1は、モノマー、およびモノマーとは異なるコモノマーから誘導された単位を含むコポリマーである。モノマーおよびコモノマーの各々は、前述の好適なモノマーのうちのいずれかから選択することができる。
【0053】
特定の実施形態では、L1は、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーである。いくつかの実施形態では、L1は、エチレンから誘導された単位およびC3~C30アルファ-オレフィンを含むエチレン/アルファ-オレフィンコポリマーであり、式A1L1およびA1L1L2A2のポリオレフィンの各々が、式A1L1およびA1L1L2A2のポリオレフィンの各々の総重量に基づいて、50重量%以上、または60重量%以上、または70重量%以上、または75重量%以上、または80重量%以上、または85重量%以上、または88重量%以上、または89重量%以上、または90重量%以上であるエチレンの量を含む。C3~C30アルファ-オレフィンは、前述の好適なアルファ-オレフィンのうちのいずれかから選択することができる。特定の実施形態では、C3~C30アルファ-オレフィンは、プロピレン、イソブチレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセンなどであり得る。いくつかの実施形態では、L1は、エチレンから誘導された単位およびC3~C30アルファ-オレフィンを含むエチレン/アルファ-オレフィンコポリマーであり、C3~C30アルファ-オレフィンが、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンからなる群から選択される。
【0054】
さらなる実施形態では、L1は、プロピレン/アルファ-オレフィンコポリマーである。L1は、プロピレン、およびエチレンまたはC4~C30アルファ-オレフィンのいずれかから誘導された単位を含むプロピレン/アルファ-オレフィンコポリマーであり得、式A1L1およびA1L1L2A2のポリオレフィンの各々が、式A1L1およびA1L1L2A2のポリオレフィンの各々の総重量に基づいて、50重量%以上、または60重量%以上、または70重量%以上、または75重量%以上、または80重量%以上、または85重量%以上、または88重量%以上、または89重量%以上、または90重量%以上であるプロピレンの量を含む。C4~C30アルファ-オレフィンは、上述の好適なアルファ-オレフィンのうちのいずれかであり得る。特定の実施形態では、C4~C30アルファ-オレフィンは、イソブチレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセンなどであり得る。特定の実施形態では、L1は、プロピレン、およびエチレンまたはC4~C30アルファ-オレフィンのいずれかから誘導された単位を含むプロピレン/アルファ-オレフィンコポリマーであり得、C4~C30アルファ-オレフィンが、1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンからなる群から選択される。
【0055】
特定の実施形態では、L1は、3つの異なる種類のモノマーから誘導された単位を含むターポリマーであり、それらの各々が、上述の好適なモノマーのうちのいずれかから選択され得る。さらなる実施形態では、L1は、第1のモノマーとしてエチレンまたはプロピレン、第2のモノマーとしてC3~C30アルファ-オレフィンまたはスチレン、および第3のモノマーとしてジエンまたは極性モノマーを含む、ターポリマーである。
【0056】
いくつかの実施形態では、L1は、ジエンモノマーから誘導された単位を0~10重量%含む。例えば、L1は、ジエンモノマーから誘導された単位を1~8重量%、または1~5重量%、または1~3重量%含み得る。さらなる実施形態では、L1は、ジエンモノマーから誘導された単位を実質的に含まなくてもよい。例えば、特定の実施形態では、L1は、ジエンモノマーから誘導された単位を0~0.2重量%、または0~0.01重量%、または0~0.001重量%、または0~0.0001重量%含み得る。
【0057】
特定の実施形態では、L1は、本明細書で定義されるオレフィンブロックコポリマーである。さらなる実施形態では、L1は、本明細書で定義されるブロック複合体、特定のブロック複合体、または結晶質ブロック複合体である。
【0058】
特定の実施形態では、L2は、テレケリックポリオレフィンが、A1L1CH2CH(Y2)A2であり、式中、Y2が、水素またはC1~C30ヒドロカルビル基であるような、-CH2CH(Y2)-である。特定の実施形態では、Y2基は、水素である。さらなる実施形態では、Y2基は、C1~C10アルキル基、またはC1~C6アルキル基、またはC1~C3アルキル基である。さらなる実施形態では、Y2基は、エチル基である。
【0059】
いくつかの実施形態では、A2は、立体障害のある二重結合を含むヒドロカルビル基である。さらなる実施形態では、A2は、立体障害のある2つ以上の二重結合を含むヒドロカルビル基である。
【0060】
特定の実施形態では、立体障害のある二重結合に起因して、A2基は、ポリオレフィンL1を作製するために使用されるプロセス条件下で活性触媒によって容易に組み込まれない基であるので、L1の骨格に沿って直接組み込まれるA2が、本明細書に記載の13C NMR法または同様の13C NMRによって決定して、0.5mol%以下、または0.1mol%以下であるか、または検出されない。
【0061】
いくつかの実施形態では、A2は、立体障害のある二重結合を含むヒドロカルビル基であり、立体障害のある二重結合が、ビニリデン基の二重結合、ビニレン基の二重結合、三置換アルケンの二重結合、および分岐アルファ炭素に結合したビニル基の二重結合からなる群から選択される。
【0062】
さらなる実施形態では、A2は、立体障害のある2つ以上の二重結合を含むヒドロカルビル基であり、各立体障害のある二重結合が、独立して、ビニリデン基の二重結合、ビニレン基の二重結合、三置換アルケンの二重結合、および分岐アルファ炭素に結合したビニル基の二重結合からなる群から選択される。
【0063】
特定の実施形態では、A2は、官能基を含むヒドロカルビル基であり、官能基が、ビニリデン基、ビニレン基、三置換アルケン、および分岐アルファ炭素に結合したビニル基からなる基から選択される。
【0064】
さらなる実施形態では、A2は、2つ以上の官能基を含むヒドロカルビル基であり、各官能基が、独立して、ビニリデン基、ビニレン基、三置換アルケン、および分岐アルファ炭素に結合したビニル基からなる群から選択される。
【0065】
A2基は、環式または非環式(線状または分岐状)ヒドロカルビル基であり得る。A2が、環式ヒドロカルビル基である場合、A2は、1つ以上の環を含み得、各環が、単環式、二環式、または多環式環であり得、各環が、立体障害のある1つ以上の二重結合を含み得る。
【0066】
さらに、A2が環式ヒドロカルビル基である場合、その中の各立体障害のある二重結合または官能基の各々は、環内二重結合、環外二重結合、または非環式二重結合であり得る。例えば、A2は、ビニレン基を含む環式ヒドロカルビル基であり得、ビニレン基の二重結合が、環内二重結合または非環式二重結合であり得る。さらなる実施形態では、A2は、ビニリデン基を含む環式ヒドロカルビル基であり得、ビニリデン基の二重結合が、環外二重結合または非環式二重結合であり得る。さらなる実施形態では、A2は、三置換アルケンを含む環式ヒドロカルビル基であり得、三置換アルケンの二重結合が、環内二重結合、環外二重結合、または非環式二重結合であり得る。さらなる実施形態では、A2は、分岐アルファ炭素に結合したビニル基を含む環式ヒドロカルビル基であり得、分岐アルファ炭素に結合したビニル基が、非環式二重結合である。
【0067】
本明細書に記載の実施形態のうちのいずれかでは、A2は、3~30個の炭素原子、または3~25個の炭素原子、または3~20個の炭素原子、または3~15個の炭素原子、または3~10個の炭素原子、または3~9個の炭素原子、または3~8個の炭素原子、または3~7個の炭素原子、または3~6個の炭素原子、または3~5個の炭素原子、または3~4個の炭素原子、または3個の炭素原子を含み得る。
【0068】
特定の実施形態では、A2は、アルキル置換または非置換シクロアルケンを含むC3~C30環式ヒドロカルビル基である。さらなる実施形態では、A2は、3~30個の炭素原子、または3~25個の炭素原子、または3~20個の炭素原子、または3~15個の炭素原子、または3~10個の炭素原子、または3~9個の炭素原子、または3~8個の炭素原子、または3~7個の炭素原子、または3~6個の炭素原子を含む、アルキル置換または非置換シクロアルケンである。
【0069】
例示的な非置換シクロアルケンには、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、1,3-シクロヘキサジエン、1,4-シクロヘキサジエン、および1,5-シクロオクタジエンが挙げられるが、これらに限定されない。例示的なアルキル置換シクロアルケンには、アルキル置換シクロヘキセン、アルキル置換シクロヘプテン、アルキル置換シクロオクテン、アルキル置換1,3-シクロヘキサジエン、アルキル置換1,4-シクロヘキサジエン、およびアルキル置換1,5-シクロオクタジエンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
いくつかの実施形態では、A2は、メチル置換または非置換シクロヘキセン、メチル置換または非置換シクロヘプテン、およびメチル置換または非置換シクロオクテンからなる群から選択されるメチル置換または非置換シクロアルケンである。いくつかの実施形態では、A2は、メチル置換または非置換シクロヘキセンである。
【0071】
いくつかの実施形態では、A2は、C1~C10非環式アルキル基、またはC3~C10非環式アルキル基、またはC4~C8非環式アルキル基である。
【0072】
例示的なA
2基には、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化1】
【0073】
(AA)~(AZ)および(AZ1)の各々に関して、
【化2】
記号(波線記号)は、式A
1L
1L
2A
2のL
2との結合点、例えば、式A
1L
1CH
2CH(Y
2)A
2の水素に結合した炭素、「Y
2」、および「A
1L
1CH
2」との結合点を表す。加えて、(AA)~(AZ)、および(AZ1)の各々に関して、
【化3】
記号(波線記号)は、以下に論じる式Al(CH
2CH(Y
2)A
2)
3およびZn(CH
2CH(Y
2)A
2)
2の連鎖移動剤の水素に結合した炭素およびY
2との結合点を表す。
【0074】
(AA)~(AF)の各々に関して、環内二重結合は、環員である任意の2つの隣接する炭素原子の間にあり得る。
【0075】
(AD)~(AF)の各々に関して、ペンダントメチル基は、環員である任意の炭素原子に結合し得る。
【0076】
(AG)~(AL)の各々に関して、環外二重結合は、3つ以上の炭素原子にまだ結合していない任意の環員炭素原子に結合し得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、(A)ポリオレフィン成分(または式A1L1およびA1L1L2A2のポリオレフィンの各々)は、本明細書に記載のGPC法または同様のGPC法に従って、1,000~10,000,000g/mol、または1,000~5,000,000g/mol、または1,000~1,000,000g/mol、または1,000~750,000g/mol、または1,000~500,000g/mol、または1,000~250,000g/molの重量平均分子量(Mw)を含むかまたは有する。
【0078】
いくつかの実施形態では、(A)ポリオレフィン成分(または式A1L1およびA1L1L2A2のポリオレフィンの各々)は、本明細書に記載のGPC法または同様のGPC法に従って、1,000~10,000,000g/mol、または1,000~5,000,000g/mol、または1,000~1,000,000g/mol、または1,000~750,000g/mol、または1,000~500,000g/mol、または1,000~250,000g/molの数平均分子量(Mn)を含むかまたは有する。
【0079】
いくつかの実施形態では、(A)ポリオレフィン成分(または式A1L1およびA1L1L2A2のポリオレフィンの各々)は、本明細書に記載のGPC法または同様のGPC法に従って、1,000~10,000,000g/mol、または1,000~5,000,000g/mol、または1,000~1,000,000g/mol、または1,000~750,000g/mol、または1,000~500,000g/mol、または5,000~500,000g/mol、または10,000~500,000g/molの平均モル質量(Mz)を含むかまたは有する。
【0080】
いくつかの実施形態では、(A)ポリオレフィン成分(または式A1L1およびA1L1L2A2のポリオレフィンの各々)は、本明細書に記載のGPC法または同様のGPC法に従って、1~10、または1~7、または1~5、または1.5~4、または2~4のMw/Mn(PDI)を含むかまたは有する。
【0081】
いくつかの実施形態では、(A)ポリオレフィン成分(または式A1L1およびA1L1L2A2のポリオレフィンの各々)は、ASTM D-792、方法Bに従って、0.850~0.965g/cc、または0.854~0.950g/cc、または0.854~0.935g/cc、または0.854~0.925g/cc、または0.854~0.910g/cc、または0.854~0.900g/cc、または0.854~0.885g/cc、または0.854~0.880g/cc、または0.854~0.875g/ccの密度を含むかまたは有する。
【0082】
いくつかの実施形態では、(A)ポリオレフィン成分(または式A1L1およびA1L1L2A2のポリオレフィンの各々)は、ASTM D-1238、条件190℃/2.16kgに従って、0.01~2000g/10分、0.01~1,500g/10分、0.01~1,000g/10分、または0.01~500g/10分、または0.01~100g/10分、または0.5~50g/10分、または0.5~30g/10分のメルトインデックス(I2)を含むかまたは有する。
【0083】
いくつかの実施形態では、(A)ポリオレフィン成分(または式A1L1およびA1L1L2A2のポリオレフィンの各々)は、本明細書に記載のDSC法または同様のDSC法に従って、-25℃~165℃、または-25℃~150℃、または-25℃~125℃、または-25℃~100℃、または0℃~80℃、または10℃~60℃の範囲のTmを含むかまたは有する。
【0084】
いくつかの実施形態では、(A)ポリオレフィン成分(または式A1L1およびA1L1L2A2のポリオレフィンの各々)は、ASTM D-3236に従って、10~108cP、または10~107cP、または10~106cP、または10~750,000cP、または10~500,000cP、または10~250,000cP、または10~100,000cP、または10~75,000cP、または10~50,000cP、または10~40,000cPの(177℃で測定した)Brookfield粘度を含むかまたは有する。
【0085】
いくつかの実施形態では、(A)ポリオレフィン成分(または式A1L1およびA1L1L2A2のポリオレフィンの各々)は、本明細書に記載のDSC法または同様のDSC法に従って、0~235J/g、または0~200J/g、または10~175J/g、または10~150J/g、または10~125J/g、または20~117J/gの融解エンタルピー(ΔHm)を含むかまたは有する。
【0086】
いくつかの実施形態では、(A)ポリオレフィン成分(または式A1L1およびA1L1L2A2のポリオレフィンの各々)は、本明細書に記載のDSC法または同様のDSC法に従って、292J/gのPEΔHmに基づいて、0~80%、または0~60%、または5~50%、または7~40%の結晶化度重量%を含むかまたは有する。
【0087】
いくつかの実施形態では、(A)ポリオレフィン成分(または式A1L1およびA1L1L2A2のポリオレフィンの各々)は、本明細書に記載のDSC法または同様のDSC法に従って、-80~100℃、または-80~75℃、または-80~50℃、または-80~25℃、または-80~0℃、または-80~-15℃、または-70~-30℃のTgを含むかまたは有する。
【0088】
いくつかの実施形態では、L1は、ジエンモノマーから誘導された単位を実質的に含まず、式A1L1のポリオレフィンは、0.6以上、または0.7以上、または0.8以上、または0.9以上、または1.0以上、または1.1以上、または1.2以上、または1.3以上の不飽和度の総数を含み、式A1L1L2A2のポリオレフィンは、1.1以上、または1.2以上、または1.3以上、または1.4以上、または1.5以上、または1.6以上、または1.7以上、または1.8以上、または1.9以上の不飽和度の総数を含む。不飽和度の総数は、(不飽和度/1000C)*(1000C/鎖)=(不飽和度/1000C)*(Mn/MCH2/1000)として定義され得、式中、不飽和度/1000Cが、1H NMRによって測定され、Mnが、GPCによって測定され、13C NMRによって測定した組成に対して補正された数平均分子量であり、MCH2=14g/molである。報告されているように、GPCによって測定されたMnは、ポリマー骨格の数平均分子量である。1H NMRによって測定した不飽和度/1000Cは、ポリマー鎖の総炭素数を基準にしている。エチレン、プロピレン、オクテン、およびエチリデンノルボルネンでは、2つの骨格炭素原子当たりそれぞれ2、3、8、および9個の総炭素原子がある。したがって、組成物に対して補正されたMnは、GPCによって測定したMnに(C2のmol%/2+C3のmol%/3+C8のmol%/8+ENBのmol%/9)/2を乗算したものである。ここでの13C NMR、1H NMR、およびGPCは、本明細書に記載の方法または同様の方法を指す。本明細書で使用される「実質的に含まない」は、例えば、L1が、式A1L1およびA1L1L2A2のポリオレフィンの各々の総重量に基づいて、ジエンモノマーから誘導された単位を0~0.001重量%含むことを指す。
【0089】
いくつかの実施形態では、L1は、式A1L1およびA1L1L2A2のポリオレフィンの各々の総重量に基づいて、ジエンモノマーから誘導された単位を1~8重量%、または1~5重量%、または1~3重量%含み、式A1L1のポリオレフィンは、(XD+0.6)以上、(XD+0.7)以上、(XD+0.8)以上、(XD+0.9)以上、(XD+1)以上、(XD+1.1)以上、(XD+1.2)以上、または(XD+1.3)以上の不飽和度の総数を含み、式A1L1L2A2のポリオレフィンは、(XD+1.1)以上、(XD+1.2)以上、(XD+1.3)以上、(XD+1.4)以上、(XD+1.5)以上、(XD+1.6)以上、(XD+1.7)以上、(XD+1.8)以上、または(XD+1.9)以上の不飽和度の総数を含み、式中、XDが、L1のジエンモノマーから誘導された単位からの不飽和度数であり、不飽和度が、前の段落で説明したように測定される。
【0090】
(A)ポリオレフィン成分の調製
本開示はさらに、式A1L1の不飽和ポリオレフィンを含むポリオレフィン成分を調製するためのプロセスであって、
1)(a1)モノマー成分、(b1)連鎖移動剤成分、および(c1)プロ触媒を含む触媒成分、を含む出発材料を組み合わせて溶液を形成し、溶液中の10mol%超~99mol%以下の(a1)モノマー成分を重合することと、
2)溶液を加熱することと、
3)式A1L1の不飽和ポリオレフィンを含むポリオレフィン成分を含む生成物を回収することと、を含み、
(b1)連鎖移動剤成分が、式Al(d)3のアルキルアルミニウムを含み、
dが、出現ごとに独立して、C1~C10アルキル基であり、
L1が、ポリオレフィンであり、
A1が、ビニル基、式CH2=C(Y1)-のビニリデン基、式Y1CH=CH-のビニレン基、ビニル基と式Y1CH=CH-のビニレン基との混合物、ビニル基と式CH2=C(Y1)-のビニリデン基との混合物、式CH2=C(Y1)-のビニリデン基と式Y1CH=CH-のビニレン基との混合物、およびビニル基と式CH2=C(Y1)-のビニリデン基と式Y1CH=CH-のビニレン基との混合物からなる群から選択され、
Y1が、出現ごとに独立して、C1~C30ヒドロカルビル基である、プロセスに関する。
【0091】
本開示はさらに、式A1L1L2A2のテレケリックポリオレフィンを含むポリオレフィン成分を調製するためのプロセスであって、
1)(a1)モノマー成分、(b1)連鎖移動剤成分、および(c1)プロ触媒を含む触媒成分、を含む出発材料を組み合わせて溶液を形成し、溶液中の10mol%超~99mol%以下の(a1)モノマー成分を重合することと、
2)溶液を加熱することと、
3)式A1L1L2A2のテレケリックポリオレフィンを含むポリオレフィン成分を含む生成物を回収することと、を含み、
(b1)連鎖移動剤成分が、式Al(CH2CH(Y2)A2)3の有機アルミニウム化合物を含み、
L1が、出現ごとに独立して、ポリオレフィンであり、
A1が、出現ごとに独立して、ビニル基、式CH2=C(Y1)-のビニリデン基、式Y1CH=CH-のビニレン基、ビニル基と式Y1CH=CH-のビニレン基との混合物、ビニル基と式CH2=C(Y1)-のビニリデン基との混合物、式CH2=C(Y1)-のビニリデン基と式Y1CH=CH-のビニレン基との混合物、およびビニル基と式CH2=C(Y1)-のビニリデン基と式Y1CH=CH-のビニレン基との混合物からなる群から選択され、
Y1が、出現ごとに独立して、C1~C30ヒドロカルビル基であり、
L2が、C1~C32ヒドロカルビレン基であり、
Y2が、出現ごとに独立して、水素またはC1~C30ヒドロカルビル基であり、
A2が、出現ごとに独立して、立体障害のある二重結合を含むヒドロカルビル基である、プロセスに関する。
【0092】
本開示はさらに、式A1L1のポリオレフィンおよび式A1L1L2A2のテレケリックポリオレフィンを含む、ポリオレフィン成分を調製するためのプロセスであって、
1)(a1)モノマー成分、(b1)連鎖移動剤成分、および(c1)プロ触媒を含む触媒成分、を含む出発材料を組み合わせて溶液を形成し、溶液中の10mol%超~99mol%以下の(a1)モノマー成分を重合することと、
2)溶液を加熱することと、
3)式A1L1のポリオレフィンおよび式A1L1L2A2のテレケリックポリオレフィンを含むポリオレフィン成分を含む生成物を回収することと、を含み、
(b1)連鎖移動剤成分が、式Al(d)3のアルキルアルミニウムおよび式Al(CH2CH(Y2)A2)3の有機アルミニウム化合物を含み、
dが、出現ごとに独立して、C1~C10アルキル基であり、
L1が、出現ごとに独立して、ポリオレフィンであり、
A1が、出現ごとに独立して、ビニル基、式CH2=C(Y1)-のビニリデン基、式Y1CH=CH-のビニレン基、ビニル基と式Y1CH=CH-のビニレン基との混合物、ビニル基と式CH2=C(Y1)-のビニリデン基との混合物、式CH2=C(Y1)-のビニリデン基と式Y1CH=CH-のビニレン基との混合物、およびビニル基と式CH2=C(Y1)-のビニリデン基と式Y1CH=CH-のビニレン基との混合物からなる群から選択され、
Y1が、出現ごとに独立して、C1~C30ヒドロカルビル基であり、
L2が、C1~C32ヒドロカルビレン基であり、
Y2が、出現ごとに独立して、水素またはC1~C30ヒドロカルビル基であり、
A2が、出現ごとに独立して、立体障害のある二重結合を含むヒドロカルビル基である、プロセスに関する。
【0093】
上のプロセスによって調製される式A1L1の不飽和ポリオレフィンおよび式A1L1L2A2のテレケリックポリオレフィンの各々は、1,000~10,000,000g/mol、または1,000~5,000,000g/mol、または1,000~1,000,000g/mol、または1,000~750,000g/mol、または1,000~500,000g/molの重量平均分子量を含み得る。(A)ポリオレフィン成分中に含まれるのに好適である(以下に論じられる)、式A1L1の不飽和ポリオレフィンおよび式A1L1L2A2のテレケリックポリオレフィン以外のポリマーを、上のプロセスから独立して調製し、その後式A1L1の不飽和ポリオレフィンおよび/または式A1L1L2A2のテレケリックポリオレフィンとブレンドすることができる。
【0094】
式A1L1の不飽和ポリオレフィンおよび式A1L1L2A2のテレケリックポリオレフィンを含むポリオレフィン成分を調製するプロセスでは、(b1)連鎖移動剤成分は、1:99~99:1、または10:90~90:10、または20:80~80:20、または30:70~70:30、または40:60~60:40、または50:50の、式Al(d)3のアルキルアルミニウム対式Al(CH2CH(Y2)A2)3の有機アルミニウム化合物の比を含み得る。
【0095】
L1、A1、Y1、L2、Y2、およびA2基の各々について前述の実施形態は、本明細書に開示の本プロセスに対して適用される。同様に、式A1L1の不飽和ポリオレフィンおよび式A1L1L2A2のテレケリックポリオレフィンについて前述の実施形態は、本明細書に開示の本プロセスに対して適用される。
【0096】
上のプロセスのうちのいずれかのステップ1)の出発材料は、(d1)溶媒をさらに含み得る。出発材料の(d1)溶媒は、任意の芳香族または脂肪族炭化水素であり得る。好適な溶媒には、トルエン、キシレン、ヘキサン、ペンタン、ベンゼン、ヘプタン、Isopar(商標)、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。これ以外に、ステップ1)の出発材料は、水素、アジュバント、捕捉剤、および/または重合助剤をさらに含み得る。
【0097】
上のプロセスのうちのいずれかのステップ1)は、(a1)モノマー成分のモノマーおよびコモノマーからL1を形成するための配位重合ステップである。ステップ1)の間に、ポリマーアルミニウム種は、(b1)連鎖移動剤成分と(c1)触媒成分からの活性触媒との間の連鎖移動を介して形成することができる。その後、ポリマーアルミニウム種は、ステップ2)の間にベータ-水素化物脱離を受けて、(A)ポリオレフィン成分の式A1L1の不飽和ポリオレフィンおよび/または式A1L1L2A2のテレケリックポリオレフィンを含む生成物を形成し、これは、ステップ3)の間に回収される。
【0098】
上のプロセスのうちのいずれかのステップ1)は、好ましくは、溶液重合ステップとして行われる。最も好ましくは、ステップ1)は、出発材料が反応ゾーンに連続的に供給され、ポリマー生成物が反応ゾーンから連続的に取り出される連続溶液重合ステップとして実施される。この文脈において使用される場合、「連続的」および「連続的に」という用語の範囲内にあるのは、反応物質の断続的な添加および規則的または不規則な間隔での生成物の除去が存在し、そのため経時的に、全体的なプロセスが実質的に連続的であるそれらのプロセスである。
【0099】
上のプロセスのうちのいずれかのステップ1)は、60℃、または80℃、または100℃、または110℃、または115℃~120℃、または130℃、または140℃、または150℃の温度で実施され得る。例えば、特定の実施形態では、ステップ1)は、60~150℃、または80~140℃、または100~130℃の温度で実施され得る。
【0100】
当業者は、1つ以上の化学的または物理的特性が異なるポリマーを生成するために、成分(a1)~(d1)を含む出発材料の各成分の量を変動させてもよいことを理解するであろう。
【0101】
本発明の範囲を何ら限定することはないが、ステップ1)を実行するための1つの手段は、以下のとおりである。撹拌槽反応器には、任意の溶媒または希釈剤と一緒に(a1)モノマー成分のモノマーが連続的に導入される。反応器は、任意の溶媒または希釈剤および溶解ポリマーと共にモノマーから実質的に構成される液相を含有する。好ましい溶媒としては、C4~10の炭化水素またはそれらの混合物、特に、ヘキサンなどのアルカンまたはアルカンの混合物、および重合に用いられるモノマーのうちの1つ以上が挙げられる。(b1)連鎖移動剤成分および(c1)触媒成分は、反応器液相またはその任意のリサイクル部分に連続的または断続的に導入される。反応器温度および圧力は、溶媒/モノマー比、(c1)触媒成分の添加速度を調節することによって、ならびに冷却もしくは加熱コイル、ジャケット、またはそれらの両方によって制御され得る。重合速度は、(c1)触媒成分の添加速度によって制御される。(a1)モノマー成分がエチレンおよび少なくとも1つのコモノマーを含む場合、ポリマー生成物中のエチレン含有量は、反応器内のエチレン対コモノマーの比によって決定され、この比は、これらの成分の反応器へのそれぞれの供給速度を操作することによって制御される。ポリマー生成物の分子量は、温度、モノマー濃度、または当該技術分野において他の既知のものなどの他の重合変数を制御することによって、任意選択で制御される。連続プロセスにおいて、反応器内の活性触媒およびポリマーの平均滞留時間は、一般に、5分間~8時間、好ましくは10分間~6時間である。
【0102】
あるいは、上のプロセスのうちのいずれかのステップ1)は、直列に接続され定常状態の重合条件下で動作する2つ以上の反応器で、またはプラグフロー重合条件下で動作する反応器の2つ以上のゾーンで、異なるプロセス条件下で実施され得る。あるいは、上のプロセスのうちのいずれかのステップ1)は、異なる領域間で確立されるモノマー、触媒、または連鎖移動剤の勾配を用いてまたは用いずに、触媒および/または連鎖移動剤の別々の添加を任意選択で伴い、断熱もしくは非断熱溶液重合条件下、または前述の反応器条件の組み合わせで動作する、1つ以上の連続ループ反応器で実施され得る。
【0103】
ステップ1)に続いて、ポリマー溶液は、以下でさらに説明されるステップ2)に従って加熱される。そのような加熱には、反応器後の加熱器での加熱が挙げられるが、これに限定されない。ステップ2)に続いて、ポリマー生成物は、当該技術分野において既知の手段によって、ステップ3)で回収される。そのような手段は、ポリマー溶液を水、蒸気、またはアルコールなどの触媒失活剤(catalyst kill agent)と接触させることと、ガス状モノマーならびに残留溶媒または希釈剤を減圧で脱気分離することと、必要に応じて、脱気押し出し機などの装置でさらに脱気を実施することと、を含む。
【0104】
いくつかの実施形態では、上のプロセスのうちのいずれかのステップ2)の溶液は、少なくとも160℃、または少なくとも180℃、または少なくとも200℃、または少なくとも210℃、または少なくとも220℃、または少なくとも230℃、または少なくとも240℃、または少なくとも250℃、または少なくとも260℃、または少なくとも270℃、または少なくとも280℃、または少なくとも290℃、または少なくとも300℃の温度で加熱される。
【0105】
いくつかの実施形態では、上のプロセスのうちのいずれかのステップ2)の溶液は、少なくとも160℃、または少なくとも180℃、または少なくとも200℃、または少なくとも210℃、または少なくとも220℃、または少なくとも230℃、または少なくとも240℃、または少なくとも250℃、または少なくとも260℃、または少なくとも270℃、または少なくとも280℃、または少なくとも290℃、または少なくとも300℃の温度で、少なくとも30秒、または少なくとも1分、または少なくとも5分、または少なくとも10分、または少なくとも15分、または少なくとも20分、または少なくとも30分、または少なくとも45分、または少なくとも1時間、または少なくとも6時間、または少なくとも12時間、または少なくとも18時間、または少なくとも24時間の時間の間加熱される。
【0106】
いくつかの実施形態では、上のプロセスのうちのいずれかのステップ2)の溶液は、少なくとも160℃、または少なくとも180℃、または少なくとも200℃、または少なくとも210℃、または少なくとも220℃、または少なくとも230℃、または少なくとも240℃、または少なくとも250℃、または少なくとも260℃、または少なくとも270℃、または少なくとも280℃、または少なくとも290℃、または少なくとも300℃の温度に加熱され、少なくとも160℃、または少なくとも180℃、または少なくとも200℃、または少なくとも210℃、または少なくとも220℃、または少なくとも230℃、または少なくとも240℃、または少なくとも250℃、または少なくとも260℃、または少なくとも270℃、または少なくとも280℃、または少なくとも290℃、または少なくとも300℃の温度で、少なくとも30秒、または少なくとも1分、または少なくとも5分、または少なくとも10分、または少なくとも15分、または少なくとも20分、または少なくとも30分、または少なくとも45分、または少なくとも1時間、または少なくとも6時間、または少なくとも12時間、または少なくとも18時間、または少なくとも24時間の時間の間保持される。
【0107】
例えば、特定の実施形態では、上のプロセスのうちのいずれかのステップ2)の溶液は、160~300℃、または180~300℃、または200~300℃、または210~300℃、または220~290℃、または230~290℃、または240~280℃の温度で加熱される。
【0108】
さらなる実施形態では、上のプロセスのうちのいずれかのステップ2)の溶液は、160~300℃、または180~300℃、または200~300℃、または210~300℃、または220~290℃、または230~290℃、または240~280℃の温度で、30秒~24時間、または30秒~18時間、または30秒~12時間、または30秒~6時間、または30秒~1時間、または30秒~45分、または30秒~30分、または30秒~20分、または1分~20分、または5分~20分の時間の間加熱される。
【0109】
さらなる実施形態では、上のプロセスのうちのいずれかのステップ2)の溶液は、160~300℃、または180~300℃、または200~300℃、または210~300℃、または220~290℃、または230~290℃、または240~280℃の温度に加熱され、160~300℃、または180~300℃、または200~300℃、または210~300℃、または220~290℃、または230~290℃、または240~280℃の温度で、30秒~24時間、または30秒~18時間、または30秒~12時間、または30秒~6時間、または30秒~1時間、または30秒~45分、または30秒~30分、または30秒~20分、または1分~20分、または5分~20分の時間の間保持される。
【0110】
(a1)モノマー成分
(a1)モノマー成分は、L1に関して本明細書で論じられるモノマーおよびコモノマーから選択される任意のモノマーを含む。好適なモノマーおよびコモノマーの例には、エチレン、ならびにプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、3,5,5-トリメチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、5-エチル-1-ノネン、1-オクタデセン、および1-エイコセンなどの3~30個の炭素原子、好ましくは3~20個の炭素原子のアルファ-オレフィン;ブタジエン、イソプレン、4-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ペンタジエン、1,4-ペンタジエン、1,5-ヘキサジエン、1,4-ヘキサジエン、1,3-ヘキサジエン、1,5-ヘプタジエン、1,6-ヘプタジエン、1,3-オクタジエン、1,4-オクタジエン、1,5-オクタジエン、1,6-オクタジエン、1,7-オクタジエン、1,9-デカジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン、および5,9-ジメチル-1,4,8-デカトリエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、3,7-ジメチル-1,7-オクタジエン、およびジヒドロミルセンとジヒドロオシメンとの混合異性体などの共役または非共役ジエン;5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-プロペニル-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、5-(4-シクロペンテニル)-2-ノルボルネン、5-シクロヘキシリデン-2-ノルボルネン、およびノルボルナジエンなどのノルボルネンおよびアルケニル、アルキリデン、シクロアルケニル、およびシクロアルキルデンノルボルネン;(スチレン、o-メチルスチレン、t-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、o,p-ジメチルスチレン、o-エチルスチレン、m-エチルスチレン、およびp-エチルスチレンを含む)スチレン、モノまたはポリアルキルスチレンなどの芳香族ビニル化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0111】
いくつかの実施形態では、(a1)モノマー成分は、エチレンモノマーを含む。いくつかの実施形態では、(a1)モノマー成分は、プロピレンモノマーを含む。いくつかの実施形態では、(a1)モノマー成分は、エチレンモノマーおよびC3~C30アルファ-オレフィンコモノマーを含む。C3~C30アルファオレフィンは、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、3,5,5-トリメチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、5-エチル-1-ノネン、1-オクタデセン、および1-エイコセンから選択され得る。いくつかの実施形態では、(a1)モノマー成分は、プロピレンモノマー、およびエチレンまたはC4~C30アルファ-オレフィンのコモノマーを含む。C4~C30アルファ-オレフィンは、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、3,5,5-トリメチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、5-エチル-1-ノネン、1-オクタデセン、および1-エイコセンから選択され得る。
【0112】
特定の実施形態では、(a1)モノマー成分は、エチレンモノマーおよびC3~C30アルファ-オレフィンコモノマーを含み、C3~C30アルファ-オレフィンが、プロピレン、1-ヘキセン、1-ブテン、および1-オクテンからなる群から選択される。さらなる実施形態では、(a1)モノマー成分は、エチレンモノマーおよびプロピレンコモノマーを含む。さらなる実施形態では、(a1)モノマー成分は、エチレンモノマーおよび1-ヘキセンコモノマーを含む。さらなる実施形態では、(a1)モノマー成分は、エチレンモノマーおよび1-ブテンコモノマーを含む。さらなる実施形態では、(a1)モノマー成分は、エチレンモノマーおよび1-オクテンコモノマーを含む。
【0113】
さらなる実施形態では、(a1)モノマー成分は、プロピレンモノマー、およびエチレンまたはC4~C30アルファ-オレフィンのコモノマーを含み、C4~C30アルファ-オレフィンが、1-ヘキセン、1-ブテン、および1-オクテンからなる群から選択される。さらなる実施形態では、(a1)モノマー成分は、プロピレンモノマーおよびエチレンコモノマーを含む。さらなる実施形態では、(a1)モノマー成分は、プロピレンモノマーおよび1-ヘキセンコモノマーを含む。さらなる実施形態では、(a1)モノマー成分は、プロピレンモノマーおよび1-ブテンコモノマーを含む。さらなる実施形態では、(a1)モノマー成分は、プロピレンモノマーおよび1-オクテンコモノマーを含む。
【0114】
特定の実施形態では、(a1)モノマー成分は、50重量%以上~99重量%以下(例えば、60重量%以上~99重量%以下、または70重量%以上~99重量%以下、または75重量%以上~99重量%以下、または80重量%以上~99重量%以下、または85重量%以上~99重量%以下、または90重量%以上~99重量%以下)のエチレンモノマー、および1重量%以上~50重量%(例えば、1重量%以上~40重量%以下、または1重量%以上~30重量%以下、または1重量%以上~25重量%以下、または1重量%以上~20重量%以下、または1重量%以上~15重量%以下、または1重量%以上~10重量%以下)のC3~C30アルファ-オレフィンコモノマーを含み、C3~C30アルファ-オレフィンが、プロピレン、1-ヘキセン、1-ブテン、および1-オクテンからなる群から選択される。
【0115】
特定の実施形態では、(a1)モノマー成分は、50重量%以上~99重量%以下(例えば、60重量%以上~99重量%以下、または70重量%以上~99重量%以下、または75重量%以上~99重量%以下、または80重量%以上~99重量%以下、または85重量%以上~99重量%以下、または90重量%以上~99重量%以下)のプロピレンモノマー、および1重量%以上~50重量%(例えば、1重量%以上~40重量%以下、または1重量%以上~30重量%以下、または1重量%以上~25重量%以下、または1重量%以上~20重量%以下、または1重量%以上~15重量%以下、または1重量%以上~10重量%以下)のエチレンまたはC4~C30アルファ-オレフィンのコモノマーを含み、C4~C30アルファ-オレフィンが、1-ヘキセン、1-ブテン、および1-オクテンからなる群から選択される。
【0116】
いくつかの実施形態では、(a1)モノマー成分は、0~10重量%のジエンモノマーを含む。例えば、(a1)モノマー成分は、0.5~8重量%、または1~5重量%、または1~3重量%のジエンモノマーを含み得る。さらなる実施形態では、(a1)モノマー成分は、ジエンモノマーを実質的に含まなくてもよい。例えば、特定の実施形態では、(a1)モノマー成分は、0~0.2重量%、または0~0.01重量%、または0~0.001重量%、または0~0.0001重量%のジエンモノマーを含み得る。
【0117】
(b1)連鎖移動剤成分
(b1)連鎖移動剤成分は、本明細書に記載の、または米国仮出願第62/786084号、同第62/786100号、同第62/786119号、および同第62/786110号に開示の任意の連鎖移動剤を含み得る。
【0118】
式Al(d)3のアルキルアルミニウムは、トリ(C1-8)アルキルアルミニウムであり得る。式Al(d)3のアルキルアルミニウムの非限定的な例は、トリエチルアルミニウム、トリ(i-プロピル)アルミニウム、トリ(i-ブチル)アルミニウム、トリ(n-ヘキシル)アルミニウム、およびトリ(n-オクチル)アルミニウムである。
【0119】
任意の特定の理論に拘束されることなく、式Al(d)3のアルキルアルミニウムは式A1L1の不飽和ポリオレフィンの形成に寄与し、式Al(CH2CH(Y2)A2)3の有機アルミニウム化合物は式A1L1L2A2のテレケリックポリオレフィンの形成に寄与する。
【0120】
特定の実施形態では、(b1)連鎖移動剤成分は、式Al(CH2CH(Y2)A2)3の有機アルミニウム化合物を含み、式中、Y2が、出現ごとに独立して、水素またはC1~C30ヒドロカルビル基であり、A2が、出現ごとに独立して、立体障害のある二重結合を含むヒドロカルビル基である。さらなる実施形態では、(b1)連鎖移動剤成分は、式Al(CH2CH(Y2)A2)3の有機アルミニウム化合物である。Y2およびA2は、前述の実施形態のうちのいずれかであり得る。特定の実施形態では、式Al(CH2CH(Y2)A2)3の有機アルミニウム化合物のY2は、水素、メチル基、およびエチル基からなる基から選択され得る。特定の実施形態では、式Al(CH2CH(Y2)A2)3の有機アルミニウム化合物のA2は、前述の(AA)~(AZ)および(AZ1)の中から選択され得る。さらなる実施形態では、式Al(CH2CH(Y2)A2)3の有機アルミニウム化合物のA2は、(AC)、(AF)、(AM)、(AO)、(AP)、(AS)、および(AZ1)からなる群から選択される。(AF)のペンダントメチル基は、環員である任意の炭素原子に結合し得る。
【0121】
式Al(CH2CH(Y2)A2)3の有機アルミニウム化合物は、(a)式CH2=C(Y2)A2の炭化水素、式Al(d)3のアルキルアルミニウム、および任意選択の溶媒を含む出発材料を組み合わせて有機アルミニウム溶液を形成することと、(b)有機アルミニウム溶液を60~200℃、または80~180℃、または100~150℃、または110~130℃の温度に加熱し、有機アルミニウム溶液を60~200℃、または80~180℃、または100~150℃、または110~130℃の温度で、30分~200時間、または30分~100時間、または30分~50時間、または30分~25時間、または1時間~10時間、または1時間~5時間、または3時間~5時間の時間の間保持することと、(c)式Al(CH2CH(Y2)A2)3の有機アルミニウム化合物を含む生成物を回収することと、を含み、式中、dが、出現ごとに独立して、C1~C10アルキル基であり、Y2が、出現ごとに独立して、水素、またC1~C30ヒドロカルビル基であり、A2が、出現ごとに独立して、立体障害のある二重結合を含むヒドロカルビル基である、熱プロセスによって調製され得る。特定の実施形態では、Alに結合しているdの炭素は、三級炭素に結合している炭素である。例えば、特定の実施形態では、式Al(d)3のアルキルアルミニウムは、トリイソブチルアルミニウムである。特定の実施形態では、ステップ(b)において、有機アルミニウム溶液は、60~200℃、または80~180℃、または100~150℃、または110~130℃の温度で加熱される。さらなる実施形態では、ステップ(b)において、有機アルミニウム溶液は、60~200℃、または80~180℃、または100~150℃、または110~130℃の温度で、30分~200時間、または30分~100時間、または30分~50時間、または30分~25時間、または1時間~10時間、または1時間~5時間、または3時間~5時間の時間の間加熱される。
【0122】
式Al(CH2CH(Y2)A2)3の有機アルミニウム化合物を調製する熱プロセスでは、Y2およびA2は、前述の実施形態のうちのいずれかであり得る。任意選択の溶媒は、本明細書で論じられるいずれかであり得る。ステップ(a)の出発材料は、1:10、または1:5、または1:3の式Al(d)3のアルキルアルミニウム対式CH2=C(Y2)A2の炭化水素の比を含み得る。ステップ(a)の出発材料は、式CH2=C(Y2)A2の1つ以上の炭化水素を含み得、式中、各炭化水素のY2が、出現ごとに独立して、水素、またはC1~C30ヒドロカルビル基であり、各炭化水素のA2が、出現ごとに独立して、立体障害のある二重結合を含むヒドロカルビル基であり、出発材料が、1:10、または1:5、または1:3の式Al(d)3のアルキルアルミニウム対式CH2=C(Y2)A2の1つ以上の炭化水素の比を含む。特定の実施形態では、Y2は、水素、メチル基、およびエチル基からなる基から選択され得、A2は、前述の(AA)~(AZ)および(AZ1)の中から選択され得る。さらなる実施形態では、A2は、(AC)、(AF)、(AM)、(AO)、(AP)、(AS)、および(AZ1)からなる群から選択され得る。(AF)のペンダントメチル基は、環員である任意の炭素原子に結合し得る。式Al(CH2CH(Y2)A2)3の有機アルミニウム化合物を調製するこのプロセスでは、式CH2=C(Y2)A2の過剰な炭化水素は、真空および任意選択の加熱の使用を通じて除去することができる。
【0123】
あるいは、式Al(CH2CH(Y2)A2)3の有機アルミニウム化合物は、(a)式CH2=CHA2の炭化水素、式Al(Y2)3のアルキルアルミニウム、プロ触媒、任意選択の助触媒、および任意選択の溶媒を含む、出発材料を組み合わせることと、(b)式Al(CH2CH(Y2)A2)3の有機アルミニウム化合物を含む生成物を回収することと、を含み、ステップ(a)が、1℃~50℃、または10℃~40℃、または20℃~30℃の温度で、1~50時間、または10~40時間、または15~25時間の時間の間実施され、Y2が、出現ごとに独立して、C1~C30のヒドロカルビル基であり、A2が、出現ごとに独立して、立体障害のある二重結合を含むヒドロカルビル基である、触媒プロセスによって調製され得る。
【0124】
式Al(CH2CH(Y2)A2)3の有機アルミニウム化合物を調製する触媒プロセスでは、Y2は、C1~C30ヒドロカルビル基であり、A2は、前述の実施形態のうちのいずれかであり得る。プロ触媒、任意選択の助触媒、および任意選択の溶媒の各々は、本明細書に開示のいずれかであり得る。ステップ(a)の出発材料は、1:10、または1:5、または1:3の式Al(Y2)3のアルキルアルミニウム対式CH2=CHA2の炭化水素の比を含み得る。ステップ(a)の出発材料は、式CH2=CHA2の1つ以上の炭化水素を含み得、式中、各炭化水素のA2が、出現ごとに独立して、立体障害のある二重結合を含むヒドロカルビル基であり、出発材料が、1:10、または1:5、または1:3の式Al(Y2)3のアルキルアルミニウム対式CH2=C(Y2)A2の1つ以上の炭化水素の比を含む。特定の実施形態では、Y2は、C1~C10のアルキル基であり得、A2は、前述の(AA)~(AZ)および(AZ1)の中から選択され得る。さらなる実施形態では、A2は、(AC)、(AF)、(AM)、(AO)、(AP)、(AS)、および(AZ1)からなる群から選択され得る。(AF)のペンダントメチル基は、環員である任意の炭素原子に結合し得る。
【0125】
(c1)触媒成分
特定の実施形態では、(c1)触媒成分は、プロ触媒を含む。これらの実施形態では、プロ触媒は、助触媒を用いずに不飽和モノマーを重合するための活性触媒になる。さらなる実施形態では、(c1)触媒成分は、プロ触媒および助触媒を含み、それにより、活性触媒は、プロ触媒と助触媒との組み合わせによって形成される。これらの実施形態では、(c1)活性触媒成分は、1:2、または1:1.5、または1:1.2のプロ触媒対助触媒の比を含み得る。
【0126】
好適なプロ触媒には、WO2005/090426、WO2005/090427、WO2007/035485、WO2009/012215、WO2014/105411、WO2017/173080、米国特許公開第2006/0199930号、同第2007/0167578号、同第2008/0311812号、ならびに米国特許第7,858,706(B2)号、同第7,355,089(B2)号、同第8,058,373(B2)号、および同第8,785,554(B2)号に開示されているものが挙げられるが、これらに限定されない。以下の段落を参照すると、「プロ触媒」という用語は、「触媒」、「プレ触媒」、「触媒前駆体」、「遷移金属触媒」、「遷移金属触媒前駆体」、「重合触媒」、「重合触媒前駆体」、「遷移金属錯体」、「遷移金属化合物」、「金属錯体」、「金属化合物」、「錯体」、および「金属-配位子錯体」などの用語と互換的である。
【0127】
不均一系触媒および均一系触媒の両方が用いられ得る。不均一系触媒の例としては、周知のチーグラー・ナッタ組成物、特に2族金属ハライドまたは混合ハライド上に担持された4族金属ハライド、およびアルコキシド、ならびに周知のクロムまたはバナジウム系触媒が挙げられる。好ましくは、本明細書で使用するための触媒は、比較的純粋な有機金属化合物または金属錯体、特に3~10族または元素周期表のランタニド系列から選択される金属をベースとする化合物または錯体を含む、均一系触媒である。
【0128】
本明細書で使用するための金属錯体は、1つ以上の非局在化π結合配位子または多価ルイス塩基配位子を含有する元素周期表の3~15族から選択することができる。例としては、メタロセン、ハーフメタロセン、拘束幾何、および多価ピリジルアミン、または他のポリキレート化塩基錯体が挙げられる。錯体は、一般的に、式:MKkXxZzによって表されるか、またはその二量体であり、式中、
Mは、元素周期表の3~15族、好ましくは3~10族、より好ましくは4~10族、最も好ましくは4族から選択される金属であり、
Kは、出現ごとに独立して、それを介してKがMに結合される非局在化π電子または1以上の電子対を含有する基であり、該K基は、水素原子を含まない最大50個の原子を含有し、任意選択で、2つ以上のK基は、一緒になって接合して架橋構造を形成してもよく、さらに任意選択で1個以上のK基は、Z、XまたはZとXの両方に結合してもよく、
Xが、出現ごとに独立して、最大40個の非水素原子を有する一価のアニオン性部分であり、任意選択で1つ以上のX基は一緒になって結合し、それによって二価または多価アニオン基を形成してもよく、さらに任意選択で、1つ以上のX基および1つ以上のZ基が、一緒になって結合し、それによってMに共有結合しそれに配位している部分を形成してもよく、あるいは2つのX基が、一緒になって最大40個の非水素原子の二価アニオン性配位子基を形成するか、または一緒に非局在化π電子によってMに結合した4~30個の非水素原子を有する共役ジエンであり、その際、Mが、+2の形式的な酸化状態にあり、
Zが、出現ごとに独立して、ZがMに配位する少なくとも1つの非共有電子対を含有する最大50個の非水素原子の中性ルイス塩基ドナー配位子であり、
kは、0~3の整数であり、xは、1~4の整数であり、Zは、0~3の数であり、
和、k+xは、Mの形式酸化状態に等しい。
【0129】
好適な金属錯体としては、環式または非環式の非局在化π結合アニオン配位子基であり得る、1~3個のπ結合アニオンまたは中性配位子基を含有するものが挙げられる。このようなπ結合基の例は、共役または非共役の、環式または非環式のジエンおよびジエニル基、アリル基、ボラタベンゼン基、ホスホール、ならびにアレーン基である。「π結合」という用語は、部分的に非局在化したπ結合からの電子を共有することによって、配位子基が遷移金属に結合していることを意味する。
【0130】
非局在化したπ結合基中の各原子は、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル、ハロヒドロカルビル、ヒドロカルビル置換ヘテロ原子からなる群から選択されるラジカルで独立して置換されてもよく、ヘテロ原子は、周期表の14~16族から選択され、そのようなヒドロカルビル置換ヘテロ原子ラジカルは、15族または16族のヘテロ原子含有部分でさらに置換される。さらに、2つ以上のそのようなラジカルが一緒になって、部分的にまたは完全に水素化された縮合環系を含む縮合環系を形成してもよく、またはそれらは金属と共に金属環を形成してもよい。「ヒドロカルビル」という用語に含まれるのは、C1~20直鎖、分岐鎖および環式のアルキルラジカル、C6~20芳香族ラジカル、C7~20アルキル置換芳香族ラジカル、およびC7~20アリール置換アルキルラジカルである。好適なヒドロカルビル置換ヘテロ原子ラジカルとしては、各々のヒドロカルビル基が1~20個の炭素原子を含有する、ホウ素、ケイ素、ゲルマニウム、窒素、リンまたは酸素の一置換、二置換および三置換ラジカルが挙げられる。例としては、N、N-ジメチルアミノ、ピロリジニル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、メチルジ(t-ブチル)シリル、トリフェニルゲルミル、およびトリメチルゲルミル基が挙げられる。15族または16族ヘテロ原子含有部分の例としては、アミノ、ホスフィノ、アルコキシ、またはアルキルチオ部分もしくはそれらの二価誘導体、例えば遷移金属またはランタニド金属に結合し、かつヒドロカルビル基、π結合基、またはヒドロカルビル置換ヘテロ原子に結合したアミド、ホスフィド、アルキレンオキシまたはアルキレンチオ基が挙げられる。
【0131】
好適なアニオン性、非局在化π-結合基の例としては、シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニル、テトラヒドロインデニル、テトラヒドロフルオレニル、オクタヒドロフルオレニル、ペンタジエニル、シクロヘキサジエニル、ジヒドロアントラセニル、ヘキサヒドロアントラセニル、デカヒドロアントラセニル基、ホスホール、およびボラタベンジル基、ならびにそれらの不活性置換誘導体、特にそれらのC1~10ヒドロカルビル置換またはトリス(C1~10ヒドロカルビル)シリル置換誘導体が挙げられる。好ましいアニオン性非局在化π結合基は、シクロペンタジエニル、ペンタメチルシクロペンタジエニル、テトラメチルシクロペンタジエニル、テトラメチルシリルシクロペンタジエニル、インデニル、2,3-ジメチルインデニル、フルオレニル、2-メチルインデニル、2-メチル-4-フェニルインデニル、テトラヒドロフルオレニル、オクタヒドロフルオレニル、1-インダセニル、3-ピロリジノインデン-1-イル、3,4-(シクロペンタ(1)フェナントレン-1-イル、およびテトラヒドロインデニルである。
【0132】
ボラタベンゼニル配位子は、ベンゼンに対するホウ素含有類似体であるアニオン配位子である。これらは、G.Herberich,et al.,Organometallics,14,1,471-480(1995)に記載されていることで、当該技術分野において以前から既知である。好ましいボラタベンゼニル配位子は、以下の式に対応し、
【化4】
式中、R
1は、好ましくは水素、ヒドロカルビル、シリル、ハロ、またはゲルミルからなる群から選択される不活性置換基であり、該R
1は、水素を含まない最大20個の原子を有し、任意選択的に、隣接する2つのR
1基が一緒結合し得る。このような非局在化π結合基の二価誘導体を含む錯体において、その1つの原子は、共有結合または共有結合した二価基によって錯体の他の原子に結合し、それによって架橋系を形成する。
【0133】
ホスホールは、シクロペンタジエニル基に対するリン含有類似体であるアニオン性配位子である。これらは、WO98/50392、および他の箇所に記載されている当該技術分野において以前から既知である。好ましいホスホール配位子は、以下の式に対応し、
【化5】
式中、R
1は、以前に定義されたとおりである。
【0134】
本明細書における使用に好適な遷移金属錯体は、式:MKkXxZzまたはその二量体に対応し、式中、
Mは、4族の金属であり、
Kは、KがMに結合される非局在化π電子を含有する基であり、該K基は、水素原子を含まない最大50個の原子を含有し、任意選択で、2つのK基は、一緒になって接合して架橋構造を形成してもよく、さらに任意選択で1個のK基は、XまたはZに結合してもよく、
Xは、出現ごとに、最大40個の非水素原子を有する一価のアニオン性部分であり、任意選択で1つ以上のXおよび1つ以上のK基は、一緒になって結合して金属環を形成し、さらに任意選択で1つ以上のX基および1つ以上のZ基は一緒になって結合し、それによって、Mに共有結合し、かつそれに配位している部分を形成し、
Zが、出現ごとに独立して、ZがMに配位する少なくとも1つの非共有電子対を含有する最大50個の非水素原子の中性ルイス塩基ドナー配位子であり、
kは、0~3の整数であり、xは、1~4の整数であり、Zは、0~3の数であり、和、k+xは、Mの形式酸化状態に等しい。
【0135】
好適な錯体は、1つまたは2つのK基を含有するものを含む。後者の錯体は、2つのK基を連結する架橋基を含むものを含む。好適な架橋基は、式(ER’2)eに対応するものであり、式中、Eは、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、または炭素であり、R’は、出現ごとに独立して、水素、またはシリル、ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ、およびそれらの組み合わせから選択される基であり、該R’は、30個までの炭素原子またはケイ素原子を有し、eは、1~8である。例示的には、R’は、出現ごとに独立して、メチル、エチル、プロピル、ベンジル、tert-ブチル、フェニル、メトキシ、エトキシまたはフェノキシである。
【0136】
2つのK基を含有する錯体の例は、以下の式に対応する化合物であり、
【化6】
式中、
Mは、+2または+4の形式酸化状態にあるチタン、ジルコニウム、またはハフニウム、好ましくはジルコニウムまたはハフニウムであり、R
3は、出現ごとに独立して、水素、ヒドロカルビル、シリル、ゲルミル、シアノ、ハロ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、該R
3は、20個の非水素原子を有し、または隣接R
3基が一緒になって二価誘導体(すなわち、ヒドロカルバジイル、シラジイルまたはゲルマジイル基)を形成し、それにより縮合環系を形成し、
X”は、出現ごとに独立して、40個までの非水素原子のアニオン性配位子基であり、または、2つのX”基が一緒になって最大40個の非水素原子の二価アニオン性配位子基を形成し、もしくは一緒になって、非局在化π電子によりMに結合した4~30個の非水素原子を有する共役ジエンであり、Mは、+2の形式酸化状態にあり、
R’、E、およびeは、以前に定義されたとおりである。
【0137】
2つのπ結合基を含有する例示的な架橋配位子は、ジメチルビス(シクロペンタジエニル)シラン、ジメチルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)シラン、ジメチルビス(2-エチルシクロペンタジエン-1-イル)シラン、ジメチルビス(2-t-ブチルシクロペンタジエン-1-イル)シラン、2,2-ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)プロパン、ジメチルビス(インデン-1-イル)シラン、ジメチルビス(テトラヒドロインデン-1-イル)シラン、ジメチルビス(フルオレン-1-イル)シラン、ジメチルビス(テトラヒドロフルオレン-1-イル)シラン、ジメチルビス(2-メチル-4-フェニルインデン-1-イル)-シラン、ジメチルビス(2-メチルインデン-1-イル)シラン、ジメチル(シクロペンタジエニル)(フルオレン-1-イル)シラン、ジメチル(シクロペンタジエニル)(オクタヒドロフルオレン-1-イル)シラン、ジメチル(シクロペンタジエニル)(テトラヒドロフルオレン-1-イル)シラン、(1,1,2,2-テトラメチル)-1、2-ビス(シクロペンタジエニル)ジシラン、(1,2-ビス(シクロペンタジエニル)エタン、およびジメチル(シクロペンタジエニル)-1-(フルオレン-1-イル)メタンである。
【0138】
好適なX”基は、ヒドリド、ヒドロカルビル、シリル、ゲルミル、ハロヒドロカルビル、ハロシリル、シリルヒドロカルビル、およびアミノヒドロカルビル基から選択されるか、または2つのX”基は、一緒になって、共役ジエンの二価誘導体を形成するか、さもなければこれらは、一緒になって、中性のπ結合した共役ジエンを形成する。例示的なX”基は、C1~20ヒドロカルビル基である。
【0139】
本開示において利用されるさらなるクラスの金属錯体は、前述の式MKZzXxまたはその二量体に対応し、式中、M、K、X、x、およびzは、以前に定義されたとおりであり、Zは、Kと一緒になってMを伴う金属環を形成する、最大50個の非水素原子の置換基である。
【0140】
好適なZ置換基は、酸素、硫黄、ホウ素、またはKに直接結合した元素周期表の14族の構成要素である少なくとも1個の原子を含む、最大30個の非水素原子と、Mに共有結合している窒素、リン、酸素、または硫黄からなる群から選択される異なる原子とを含有する基を含む。
【0141】
より具体的には、本発明に従って使用されるこのクラスの4族の金属錯体には、以下の式に対応する「拘束幾何触媒」が含まれ、
【化7】
式中、Mは、チタンまたはジルコニウム、好ましくは+2、+3、または+4の形式酸化状態のチタンであり、
K
1は、1~5個のR
2基で任意選択で置換された非局在化π結合配位子基であり、
R
2は、出現ごとに独立して、水素、ヒドロカルビル、シリル、ゲルミル、シアノ、ハロ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、該R
2は、20個までの非水素原子を有し、または、隣接R
2基が一緒になって二価誘導体(即ち、ヒドロカルバジイル、シラジイル、またはゲルマジイル基)を形成し、それにより縮合環系を形成し、
各Xは、ハロ、ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシまたはシリル基であり、該基は、20個までの非水素原子を有し、または、2個のX基が一緒になって中性C5~30共役ジエンもしくはその二価誘導体を形成し、
xは、1または2であり、
Yは、-O-、-S-、-NR’-、-PR’-であり、
X’は、SiR’
2、CR’
2、SiR’
2SiR’
2、CR’
2CR’
2、CR’=CR’、CR’
2SiR’
2、またはGeR’
2であり、式中、
R’は、出現ごとに独立して、水素、またはシリル、ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ、およびそれらの組み合わせから選択される基であり、該R’は、最大30個の炭素原子またはケイ素原子を有する。
【0142】
前述の拘束幾何構造の金属錯体の具体例としては、以下の式に対応する化合物が挙げられ、
【化8】
式中、
Arは、水素を含まない6~30個の原子のアリール基であり、
R
4は、出現ごとに独立して、水素、Ar、または、ヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル、トリヒドロカルビルゲルミル、ハライド、ヒドロカルビルオキシ、トリヒドロカルビルシロキシ、ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ、ジ(ヒドロカルビル)アミノ、ヒドロカルバジイルアミノ、ヒドロカルビルイミノ、ジ(ヒドロカルビル)ホスフィノ、ヒドロカルバジイルホスフィノ、ヒドロカルビルスルフィド、ハロ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ置換ヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル置換ヒドロカルビル、ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ置換ヒドロカルビル、ジ(ヒドロカルビル)アミノ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビレンアミノ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビレンホスフィノ置換ヒドロカルビル、もしくはヒドロカルビルスルフィド置換ヒドロカルビルから選択されるAr以外の基であり、該R基は、水素原子を含まない40個までの原子を有し、任意選択で2つの隣接R
4基が一緒になって接合して多環式縮合環基を形成してもよく、
Mは、チタンであり、
X’が、SiR
6
2、CR
6
2、SiR
6
2SiR
6
2、CR
6
2CR
6
2、CR
6=CR
6、CR
6
2SiR
6
2、BR
6、BR
6L”、またはGeR
6
2であり、
Yは、-O-、-S、-NR
5-、-PR
5-、-NR
5
2、または-PR
5
2であり、
R
5は、出現ごとに独立して、ヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル、またはトリヒドロカルビルシリルヒドロカルビルであり、該R
5は、水素以外の20個までの原子を有し、任意選択で2つのR
5基またはR
5とYまたはZとが一緒になって環系を形成し、
R
6は、出現ごとに独立して、水素、またはヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ、シリル、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリール、-NR
5
2およびそれらの組み合わせから選択されるメンバーであり、該R
6は、20個までの非水素原子を有し、任意選択で2つのR
6基またはR
6とZとが一緒になって環系を形成し、
Zは、任意選択でR
5、R
6、またはXに結合した中性ジエンまたは単座もしくは多座ルイス塩基であり、
Xは、水素原子、水素原子を含まない最大60個の原子を有する一価のアニオン性配位子基、または2つのX基が、一緒になって接合し、それによって二価配位子基を形成し、
xは、1または2であり、
zは、0、1、または2である。
【0143】
本明細書における好適な金属錯体の追加の例は、以下の式に対応する多環式錯体であり、
【化9】
式中、Mは、+2、+3、または+4の形式酸化状態のチタンであり、
R
7は、出現ごとに独立して、水素化物、ヒドロカルビル、シリル、ゲルミル、ハライド、ヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルビルシロキシ、ヒドロカルビルシリルアミノ、ジ(ヒドロカルビル)アミノ、ヒドロカルビレンアミノ、ジ(ヒドロカルビル)ホスフィノ、ヒドロカルビレン-ホスフィノ、ヒドロカルビルスルフィド、ハロ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ置換ヒドロカルビル、シリル置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルシロキシ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルシリルアミノ置換ヒドロカルビル、ジ(ヒドロカルビル)アミノ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビレンアミノ置換ヒドロカルビル、ジ(ヒドロカルビル)ホスフィノ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビレン-ホスフィノ置換ヒドロカルビル、またはヒドロカルビルスルフィド置換ヒドロカルビルであり、該R
7基は、水素を含まない40個までの原子を有し、任意選択で2つ以上の前述の基が一緒になって二価誘導体を形成してもよく、
R
8は、金属錯体の残りの部分と縮合系を形成する二価ヒドロカルビレンまたは置換ヒドロカルビレン基であり、該R
8は、水素を含まない1~30個の原子を含み、
X
aが、二価部分、または1つのπ結合およびMと配位共有結合を形成することができる中性の2つの電子対とを含む部分であり、該X
aが、ホウ素、または元素周期表の14族のメンバーを含み、また窒素、リン、硫黄または酸素を含み、
Xは、環式、非局在化、π結合配位子基である配位子のクラスを除く60個までの原子を有する一価のアニオン性配位子基であり、任意選択で2つのX基が一緒になって二価配位子基を形成し、
Zは、出現ごとに独立して、20個までの原子を有する中性配位化合物であり、
xは、0、1、または2であり、
zは、ゼロまたは1である。
【0144】
触媒として有用に用いられる金属錯体の追加の例は、多価ルイス塩基の錯体、例えば、以下の式に対応する化合物であり、
【化10】
式中、T
bは、架橋基であり、好ましくは水素以外の2個以上の原子を含み、
X
bおよびY
bは、それぞれ独立して、窒素、硫黄、酸素およびリンからなる群から選択され、より好ましくは、X
bおよびY
bの両方が窒素であり、
R
bおよびR
b’は、出現ごとに独立して、水素または1個以上のヘテロ原子を任意選択で含むC
1~50ヒドロカルビル基もしくはそれらの不活性に置換された誘導体である。好適なR
bおよびR
b’基の非限定的な例としては、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、(ポリ)アルキルアリール、およびシクロアルキル基、ならびにそれらの窒素、リン、酸素、およびハロゲン置換誘導体が挙げられる。好適なR
bおよびR
b’基の具体例には、メチル、エチル、イソプロピル、オクチル、フェニル、2,6-ジメチルフェニル、2,6-ジ(イソプロピル)フェニル、2,4,6-トリメチルフェニル、ペンタフルオロフェニル、3,5-トリフルオロメチルフェニル、およびベンジルが挙げられ、
gおよびg’は、それぞれ独立して、0または1であり、
M
bは、元素周期表の3~15族、またはランタニド系列から選択される金属元素である。好ましくは、M
bは、3~13族金属であり、より好ましくは、M
bは、4~10族金属であり、
L
bは、水素を含まない1~50個の原子を含む一価、二価、または三価のアニオン性配位子である。好適なL
b基の例としては、ハライド;水素化物;ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ、ジ(ヒドロカルビル)アミド、ヒドロカルビレンアミド、ジ(ヒドロカルビル)ホスフィド;ヒドロカルビルスルフィド;ヒドロカルビルオキシ、トリ(ヒドロカルビルシリル)アルキル;およびカルボキシレートが挙げられる。より好ましいL
b基は、C1~20アルキル、C
7~20アラルキル、およびクロリドであり、
hおよびh’は、それぞれ独立して、1~6、好ましくは1~4、より好ましくは1~3の整数であり、jは、1または2であり、h×jの値は、電荷平衡を提供するように選択され、
Z
bは、M
bに配位した中性配位子基であり、水素を含まない原子を最大50個含有する。好ましいZ
b基としては、脂肪族および芳香族アミン、ホスフィン、ならびにエーテル、アルケン、アルカジエン、およびそれらの不活性に置換された誘導体が挙げられる。好適な不活性置換基としては、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ジ(ヒドロカルビル)アミン、トリ(ヒドロカルビル)シリル、およびニトリル基が挙げられる。好ましいZ
b基としては、トリフェニルホスフィン、テトラヒドロフラン、ピリジン、および1,4-ジフェニルブタジエンが挙げられ、
fは、1~3の整数であり、
T
b、R
b、およびR
b’のうちの2つまたは3つは、一緒になって接合して、単一または複数の環構造を形成してもよく、
hは、1~6、好ましくは1~4、より好ましくは1~3の整数であり、
【0145】
一実施形態では、Rbは、Xbに対して比較的低い立体障害を有することが好ましい。この実施形態では、最も好ましいRb基は、直鎖アルキル基、直鎖アルケニル基、最も近い分岐点がXbから除去された少なくとも3個の原子である分岐鎖アルキル基、およびそれらのハロ、ジヒドロカルビルアミノ、アルコキシまたはトリヒドロカルビルシリル置換誘導体である。この実施形態では極めて好ましいRb基は、C1~8直鎖アルキル基である。
【0146】
同時に、この実施形態では、R
b’は、好ましくは、Y
bに関して比較的高い立体障害を有する。この実施形態に好適なR
b’基の非限定的な例には、1つ以上の二級または三級炭素中心を含有するアルキルまたはアルケニル基、シクロアルキル、アリール、アルカリール、脂肪族または芳香族複素環式基、有機または無機オリゴマー、ポリマーまたは環式基、およびそれらのハロ、ジヒドロカルビルアミノ、アルコキシ、またはトリヒドロカルビルシリル置換誘導体が挙げられる。この実施形態における好ましいR
b’基は、水素を含まない3~40個、より好ましくは3~30個、最も好ましくは4~20個の原子を含み、分岐鎖または環式である。好ましいT
b基の例は、以下の式に対応する構造であり、
【化11】
式中、
各R
dは、C1~10ヒドロカルビル基、好ましくはメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、t-ブチル、フェニル、2,6-ジメチルフェニル、ベンジル、またはトリルである。各R
eは、C1~10ヒドロカルビル、好ましくはメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、t-ブチル、フェニル、2,6-ジメチルフェニル、ベンジル、またはトリルである。加えて、2つ以上のR
d基もしくはR
e基、またはRd基とRe基との混合物が一緒になって、1,4-ブチレン、1,5-ペンチレン、または環式環、または多環式縮合環、ナフタレン-1,8-ジイルなどの多価ヒドロカルビルもしくはヘテロヒドロカルビル基などのヒドロカルビル基の二価または多価誘導体を形成し得る。
【0147】
前述の多価ルイス塩基錯体の好適な例としては、以下が挙げられ、
【化12】
式中、R
d’は、出現ごとに独立して、水素、および任意選択で1個以上のヘテロ原子を含むC1~50ヒドロカルビル基、もしくその不活性に置換された誘導体からなる群から選択され、または、さらに任意選択で、2つの隣接するR
d’基が一緒になって二価架橋基を形成してもよく、
d’は、4であり、
M
b’は、4族金属、好ましくはチタンもしくはハフニウム、または10族金属、好ましくはNiもしくはPdであり、
L
b’は、水素を含まない50個までの原子の一価配位子、好ましくはハライドもしくはヒドロカルビルであるか、または2つのL
b’基が一緒になって二価もしくは中性配位子基、好ましくはC
2~50ヒドロカルビレン、ヒドロカルバジイルもしくはジエン基である。
【0148】
本発明において使用するための多価ルイス塩基錯体としては、特に、4族の金属誘導体、特に、以下の式に対応するヒドロカルビルアミン置換ヘテロアリール化合物のハフニウム誘導体が挙げられ、
【化13】
式中、
R
11は、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、および水素を含まない1~30個の原子を含むそれらの不活性に置換された誘導体またはそれらの二価誘導体から選択され、
T
1は、水素以外の1~41個の原子、好ましくは水素以外の1~20個の原子の二価架橋基、最も好ましくはモノ-またはジ-C1~20ヒドロカルビル置換メチレンまたはシラン基であり、
R
12は、ルイス塩基官能基を含むC
5~20ヘテロアリール基、特にピリジン-2-イル-もしくは置換ピリジン-2-イル基、またはそれらの二価誘導体であり、
M
1は、4族金属、好ましくはハフニウムであり、
X
1は、アニオン性、中性またはジアニオン性の配位子基であり、
x’は、そのようなX
1基の数を示す0~5の数であり、結合、任意選択の結合および電子供与性相互作用は、それぞれ線、点線および矢印で表される。
【0149】
好適な錯体は、配位子形成が、アミン基からの、および任意選択で1つ以上の追加の基、特にR
12からの水素脱離から生じる錯体である。さらに、ルイス塩基官能基、好ましくは電子対からの電子供与は、金属中心に追加の安定性を提供する。好適な金属錯体は、以下の式に対応し、
【化14】
式中、M
1、X
1、x’、R
11およびT
1は、以前に定義されたとおりであり、
R
13、R
14、R
15、およびR
16が、水素、ハロ、または水素を含まない最大20個の原子のアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、もしくはシリル基であるか、あるいは隣接するR
13、R
14、R
15、またはR
16基が、一緒になって接合し、それによって縮合環誘導体を形成してもよく、結合、任意選択の結合、および電子対供与性相互作用が、それぞれ線、点線、および矢印で表される。前述の金属錯体の好適例は、以下の式に対応し、
【化15】
式中、
M
1、X
1、およびx’は、以前に定義されたとおりであり、
R
13、R
14、R
15およびR
16が、以前に定義されたとおりであり、好ましくは、R
13、R
14、およびR
15が、水素、またはC1~4アルキルであり、R
16は、C
6~20アリール、最も好ましくはナフタレニルであり、
R
aは、出現ごとに独立して、C
1~4アルキルであり、aは、1~5であり、最も好ましくは、窒素への2つのオルト位置のR
aは、イソプロピルまたはt-ブチルであり、
R
17およびR
18は、出現ごとに独立して、水素、ハロゲン、またはC
1~20アルキルもしくはアリール基であり、最も好ましくは、R
17およびR
18の一方が水素であり、他方がC6~20アリール基、特に2-イソプロピル、フェニルまたは縮合多環式アリール基、最も好ましくはアントラセニル基であり、結合、任意選択の結合および電子対供与性相互作用は、それぞれ線、点線および矢印で表される。
【0150】
触媒として本明細書で使用するための例示的な金属錯体は、以下の式に対応し、
【化16】
式中、X
1は、出現ごとに、ハライド、N,N-ジメチルアミド、またはC
1~
4アルキルであり、好ましくは出現ごとに、X
1はメチルであり、
R
fは、出現ごとに独立して、水素、ハロゲン、C1~20アルキル、もしくはC6~20アリールであるか、または2つの隣接するR
f基が一緒になって接合して環を形成し、fは1~5であり、
R
cは、出現ごとに独立して、水素、ハロゲン、C
1~20アルキル、もしくはC
6~20アリールであるか、または2つの隣接するR
c基が一緒になって接合して環を形成し、cは1~5である。
【0151】
本発明に従う触媒として使用するための金属錯体の好適な例は、以下の式の錯体であり、
【化17】
式中、R
xは、C1~4アルキルまたはシクロアルキル、好ましくはメチル、イソプロピル、t-ブチルまたはシクロヘキシルであり、
X
1は、出現ごとに、ハライド、N,N-ジメチルアミド、またはC1~4アルキル、好ましくはメチルである。
【0152】
本発明に従う触媒として有用に用いられる金属錯体の例としては、以下のものが挙げられる。
[N-(2,6-ジ(1-メチルエチル)フェニル)アミド)(o-トリル)(α-ナフタレン-2-ジイル(6-ピリジン-2-ジイル)メタン)]ジメチルハフニウム、
[N-(2,6-ジ(1-メチルエチル)フェニル)アミド)(o-トリル)(α-ナフタレン-2-ジイル(6-ピリジン-2-ジイル)メタン)]ハフニウムジ(N,N-ジメチルアミド)、
[N-(2,6-ジ(1-メチルエチル)フェニル)アミド)(o-トリル)(α-ナフタレン-2-ジイル(6-ピリジン-2-ジイル)メタン)]ハフニウムジクロリド、
[N-(2,6-ジ(1-メチルエチル)フェニル)アミド)(2-イソプロピルフェニル)(α-ナフタレン-2-ジイル(6-ピリジン-2-ジイル)メタン)]ジメチルハフニウム、
[N-(2,6-ジ(1-メチルエチル)フェニル)アミド)(2-イソプロピルフェニル)(α-ナフタレン-2-ジイル(6-ピリジン-2-ジイル)メタン)]ハフニウムジ(N,N-ジメチルアミド)、
[N-(2,6-ジ(1-メチルエチル)フェニル)アミド)(2-イソプロピルフェニル)(α-ナフタレン-2-ジイル(6-ピリジン-2-ジイル)メタン)]ハフニウムジクロリド、
[N-(2,6-ジ(1-メチルエチル)フェニル)アミド)(フェナントレン-5-イル)(α-ナフタレン-2-ジイル(6-ピリジン-2-ジイル)メタン)]ジメチルハフヒウム(hafhium)、
[N-(2,6-ジ(1-メチルエチル)フェニル)アミド)(フェナントレン-5-イル)(α-ナフタレン-2-ジイル(6-ピリジン-2-ジイル)メタン)]ハフヒウム(ジ(N,N-ジメチルアミド)、および
[N-(2,6-ジ(1-メチルエチル)フェニル)アミド)(フェナントレン-5-イル)(α-ナフタレン-2-ジイル(6-ピリジン-2-ジイル)メタン)]ハフニウムジクロリド。
【0153】
本開示において使用される金属錯体を調製するために使用される反応条件下で、ピリジン-2-イル基の6位で置換されたα-ナフタレン基の2位の水素は、脱離に供され、それによって、得られたアミド基とα-ナフタレニル基の2位との両方に金属が共有結合し、かつ窒素原子の電子対を介してピリジニル窒素原子に配位することにより安定化された、金属錯体を形成する。
【0154】
好適なさらなるプロ触媒には、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、WO2007/130307A2、WO2007/130306A2、および米国特許出願公開第20090306318A1号に開示のものに対応するイミダゾール-アミン化合物が挙げられる。そのようなイミダゾール-アミン化合物には、以下の式に対応するものが挙げられ、
【化18】
式中、Xが、出現ごとに独立して、アニオン性配位子であるか、または2つのX基が、一緒になってジアニオン性配位子基もしくは中性ジエンを形成し、Tが、1つ以上の環を含有する脂環式または芳香族基であり、R
1が、出現ごとに独立して、水素、ハロゲン、もしくは一価の多原子アニオン性配位子であるか、または2つ以上のR
1基が、一緒に結合し、それによって多価縮合環系を形成し、R
2が、出現ごとに独立して、水素、ハロゲン、もしくは一価の多原子アニオン性配位子であるか、または2つ以上のR
2基が、一緒に結合し、それによって多価縮合環系を形成し、R
4が、水素、アルキル、アリール、アラルキル、トリヒドロカルビルシリル、または1~20個の炭素のトリヒドロカルビルシリルメチルである。
【0155】
そのようなイミダゾール-アミン化合物のさらなる例には、これらに限定されないが、以下のものが挙げられ、
【化19】
式中、R
1が、出現ごとに独立して、C
3~12アルキル基であり、フェニル環に結合した炭素が、二級または三級置換されており、R
2が、出現ごとに独立して、水素またはC
1~2アルキル基であり、R
4が、メチルまたはイソプロピルであり、R
5が、水素またはC
1~6アルキルであり、R
6が、水素、もしくはC
1~6アルキルもしくはシクロアルキルであるか、または2つの隣接するR
6基が、一緒になって縮合芳香族環を形成し、T’が、酸素、硫黄、またはC
1~20ヒドロカルビル置換窒素もしくはリン基であり、T”が、窒素またはリンであり、Xが、メチルまたはベンジルである。
【0156】
本明細書で使用するための多価ルイス塩基の追加の好適な金属錯体としては、以下の式に対する化合物が挙げられ、
【化20】
式中、
R
20は、水素を含まない5~20個の原子を含む芳香族もしくは不活性に置換された芳香族基、またはそれらの多価誘導体であり、
T
3は、水素を含まない1~20個の原子を有するヒドロカルビレンもしくはヒドロカルビルシラン基、またはそれらの不活性に置換された誘導体であり、
M
3は、4族金属、好ましくはジルコニウムまたはハフニウムであり、
Gは、アニオン性、中性またはジアニオン性配位基;好ましくは、水素を含まない20個までの原子を有するハライド、ヒドロカルビル、シラン、トリヒドロカルビルシリルヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル、またはジヒドロカルビルアミド基であり、
gは、そのようなG基の数を示す1~5の数であり、結合および電子供与性相互作用は、それぞれ、線および矢印で表される。
【0157】
例示的に、そのような錯体は、以下の式に対応し、
【化21】
式中、
T
3は、水素を含まない2~20個の原子の二価架橋基、好ましくは置換または非置換のC3~6アルキレン基であり、
Ar
2は、出現ごとに独立して、水素を含まない6~20個の原子のアリーレンまたはアルキルもしくはアリール置換アリーレン基であり、
M
3は、4族金属、好ましくはハフニウムまたはジルコニウムであり、
Gは、出現ごとに独立して、アニオン性、中性またはジアニオン性配位基であり、
gは、そのようなX基の数を示す1~5の数であり、電子供与性相互作用は矢印で表される。
【0158】
前述の式の金属錯体の好適な例としては、以下の化合物が挙げられ、
【化22】
式中、M
3は、HfまたはZrであり、
Ar
4が、C
6~20アリールまたはその不活性に置換された誘導体、特に、3,5-ジ(イソプロピル)フェニル、3,5-ジ(イソブチル)フェニル、ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル、またはアントラセン-5-イルであり、
T
4は、出現ごとに独立して、C
3~6アルキレン基、C
3~6シクロアルキレン基、またはそれらの不活性に置換された誘導体を含み、
R
21は、出現ごとに独立して、水素、ハロ、ヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル、または水素を含まない最大50個の原子のトリヒドロカルビルシリルヒドロカルビルであり、
Gは、出現ごとに独立して、ハロ、または水素を含まない最大20個の原子のヒドロカルビルもしくはトリヒドロカルビルシリル基であるか、あるいは2個のG基は、一緒になって、前述のヒドロカルビルまたはトリヒドロカルビルシリル基の二価誘導体である。
【0159】
好適な化合物は、以下の式の化合物であり、
【化23】
式中、Ar
4が、3,5-ジ(イソプロピル)フェニル、3,5-ジ(イソブチル)フェニル、ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル、またはアントラセン-5-イルであり、
R
21は、水素、ハロ、またはC1~4アルキル、特にメチルであり、
T
4は、プロパン-1,3-ジイルまたはブタン-1,4-ジイルであり、
Gは、クロロ、メチル、またはベンジルである。
【0160】
前述の式の例示的な金属錯体は、以下である。
【化24】
【0161】
本開示に従う使用のための好適な金属錯体としては、以下の式に対応する化合物がさらに挙げられ、
【化25】
式中、
Mが、ジルコニウムまたはハフニウムであり、
R
20は、出現ごとに独立して、水素を含まない5~20個の原子を含有する二価の芳香族基または不活性に置換された芳香族基であり、
T
3は、水素を含まない3~20個の原子を有する二価の炭化水素もしくはシラン基、またはそれらの不活性に置換された誘導体であり、
R
Dは、出現ごとに独立して、水素を含まない1~20個の原子の一価配位子基であるか、または2つのR
D基は、一緒になって、水素を含まない1~20個の原子の二価配位子基である。
【0162】
そのような錯体は、以下の式に対応してもよく、
【化26】
式中、
Ar
2は、出現ごとに独立して、水素を含まない6~20個の原子または任意の置換基の任意の原子の、アリーレン、またはアルキル、アリール、アルコキシ、もしくはアミノ置換アリーレン基であり、
T
3は、水素を含まない3~20個の原子の二価炭化水素架橋基、好ましくは、酸素原子を隔てる少なくとも3個の炭素原子を有する二価の置換または非置換C
3~6脂肪族、脂環式、またはビス(アルキレン)置換脂環式の基であり、
R
Dは、出現ごとに独立して、水素を含まない1~20個の原子の一価配位子基であるか、または2つのR
D基は、一緒になって、水素を含まない1~40個の原子の二価配位子基である。
【0163】
本明細書における使用に好適な金属錯体のさらなる例には、以下の式の化合物が挙げられ、
【化27】
式中、
Ar
4は、出現ごとに独立して、C
6~20アリールまたはその不活性に置換された誘導体、特に、3,5-ジ(イソプロピル)フェニル、3,5-ジ(イソブチル)フェニル、ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル、ナフチル、アントラセン-5-イル、1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イルであり、
T
4は、出現ごとに独立して、プロピレン-1,3-ジイル基、ビス(アルキレン)シクロヘキサン-1,2-ジイル基、または各々最大20個の炭素を有する1~5個のアルキル、アリール、もしくはアラルキル置換基で置換された、それらの不活性に置換された誘導体であり、
R
21は、出現ごとに独立して、水素、ハロ、水素を含まない最大50個の原子のヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル、トリヒドロカルビルシリルヒドロカルビル、アルコキシ、またはアミノであり、
R
Dは、出現ごとに独立して、ハロ、または水素を含まない最大20個の原子のヒドロカルビルもしくはトリヒドロカルビルシリル基であるか、あるいは2つのR
D基は、一緒になって、水素を含まない最大40個の原子の二価ヒドロカルビレン、ヒドロカルバジイル、またはトリヒドロカルビルシリル基である。
【0164】
例示的な金属錯体は、以下の式の化合物であり、
【化28】
式中、Ar
4は、出現ごとに独立して、3,5-ジ(イソプロピル)フェニル、3,5-ジ(イソブチル)フェニル、ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル、またはアントラセン-5-イルであり、
R
21は、出現ごとに独立して、水素、ハロ、水素を含まない最大50個の原子のヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル、トリヒドロカルビルシリルヒドロカルビル、アルコキシ、またはアミノであり、
T
4は、プロパン-1,3-ジイルまたはビス(メチレン)シクロヘキサン-1,2-ジイルであり、
R
Dは、出現ごとに独立して、ハロ、または水素を含まない最大20個の原子のヒドロカルビルもしくはトリヒドロカルビルシリル基であるか、あるいは2つのR
D基は、一緒になって、水素を含まない最大40個の原子のヒドロカルビレン、ヒドロカルバジイル、またはヒドロカルビルシランジイル基である。
【0165】
本開示に従う好適な金属錯体は、以下の式に対応し、
【化29】
式中、R
Dは、出現ごとに独立して、クロロ、メチル、またはベンジルである。
【0166】
好適な金属錯体の具体例は、以下の化合物である。
A)ビス((2-オキソイル-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-1,3-プロパンジイルハフニウム(IV)ジメチル、
ビス((2-オキソイル-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-1,3-プロパンジイルハフニウム(IV)ジクロリド、
ビス((2-オキソイル-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-1,3-プロパンジイルハフニウム(IV)ジベンジル、
ビス((2-オキソイル-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-1,3-プロパンジイルハフニウム(IV)ジメチル、
ビス((2-オキソイル-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-1,3-プロパンジイルハフニウム(IV)ジクロリド、
ビス((2-オキソイル-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-1,3-プロパンジイルハフニウム(IV)ジベンジル、
B)ビス((2-オキソイル-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシメチル)-1,4-ブタンジイルハフニウム(IV)ジメチル、
ビス((2-オキソイル-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシメチル)-1,4-ブタンジイルハフニウム(IV)ジクロリド、
ビス((2-オキソイル-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシメチル)-1,4-ブタンジイルハフニウム(IV)ジベンジル、
ビス((2-オキソイル-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシメチル)-1,4-ブタンジイルハフニウム(IV)ジメチル、
ビス((2-オキソイル-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシメチル)-1,4-ブタンジイルハフニウム(IV)ジクロリド、
ビス((2-オキソイル-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシメチル)-1,4-ブタンジイルハフニウム(IV)ジベンジル、
C)ビス((2-オキソイル-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-2,4-ペンタンジイルハフニウム(IV)ジメチル、
ビス((2-オキソイル-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-2,4-ペンタンジイルハフニウム(IV)ジクロリド、
ビス((2-オキソイル-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-2,4-ペンタンジイルハフニウム(IV)ジベンジル、
ビス((2-オキソイル-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-2,4-ペンタンジイルハフニウム(IV)ジメチル、
ビス((2-オキソイル-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-2,4-ペンタンジイルハフニウム(IV)ジクロリド、
ビス((2-オキソイル-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシ)-2,4-ペンタンジイルハフニウム(IV)ジベンジル、
D)ビス((2-オキソイル-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシメチル)-メチレンtrans-1,2-シクロヘキサンジイルハフニウム(IV)ジメチル、
ビス((2-オキソイル-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシメチル)-メチレンtrans-1,2-シクロヘキサンジイルハフニウム(IV)ジクロリド、
ビス((2-オキソイル-3-(1,2,3,4,6,7,8,9-オクタヒドロアントラセン-5-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシメチル)-メチレンtrans-1,2-シクロヘキサンジイルハフニウム(IV)ジベンジル、
ビス((2-オキソイル-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシメチル)-メチレンtrans-1,2-シクロヘキサンジイルハフニウム(IV)ジメチル、
ビス((2-オキソイル-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシメチル)-メチレンtrans-1,2-シクロヘキサンジイルハフニウム(IV)ジクロリド、および
ビス((2-オキソイル-3-(ジベンゾ-1H-ピロール-1-イル)-5-(メチル)フェニル)-2-フェノキシメチル)-メチレンtrans-1,2-シクロヘキサンジイルハフニウム(IV)ジベンジル。
【0167】
前述の金属錯体は、遷移金属源および中性多官能配位子源を含む標準的な金属化および配位子交換手順によって都合よく調製され得る。用いられる技術は、USP6,827,976およびUS2004/0010103、ならびに他の場所で開示されているものと同じであるか、または類似している。
【0168】
前述の多価ルイス塩基錯体は、(周期表の)4族金属源および中性多官能配位子源を含む標準的な金属化および配位子交換手順によって都合よく調製され得る。さらに、錯体はまた、対応する4族金属テトラアミドおよびトリメチルアルミニウムのようなヒドロカルビル化剤から出発するアミド除去およびヒドロカルビル化プロセスによっても調製され得る。他の技術も同様に使用され得る。これらの錯体は、とりわけ、米国特許第6,320,005号、同第6,103,657号、WO02/38628、WO03/40195、およびUS04/0220050の開示から知られている。
【0169】
高いコモノマー組み込み特性を有する触媒はまた、重合中にβ-ヒドリドの除去および成長中のポリマーの連鎖停止を介して偶然に生じる、その場で調製された長鎖オレフィンを再組み込みすること、または他の方法で知られる。このような長鎖オレフィンの濃度は、高い転化率、特に95%以上のエチレン転化率、より好ましくは97%以上のエチレン転化率での連続溶液重合条件の使用により特に高められる。このような条件下では、少量だが検出可能な量のオレフィン末端ポリマーが成長中のポリマー鎖に再組み込みされ、長鎖分岐、すなわち他の意図的に添加されたコモノマーから生じるよりも長い炭素長の分岐の形成をもたらす。さらに、このような鎖は反応混合物中に存在する他のコモノマーの存在を反映している。すなわち、鎖は、反応混合物のコモノマー組成に応じて、短鎖または長鎖分岐も同様に含み得る。オレフィンポリマーの長鎖分岐は、USP5,272,236、5,278,272、および5,665,800においてさらに説明されている。
【0170】
あるいは、超分岐を含む分岐は、得られるポリマーに「連鎖移動(chain-walking)」をもたらすことが知られている特定の触媒を使用することによって、本マルチブロックコポリマーの特定のセグメントに誘導され得る。例えば、Kaminski,et al.,J.Mol.Catal.A:Chemical,102(1995)59-65、Zambelli,et al.,Macromolecules,1988,21,617-622、またはDias,et al.,J.Mol.Catal.A:Chemical,185(2002)57-64によって開示された特定の均一架橋ビスインデニル-または部分的水素化ビスインデニル-ジルコニウム触媒を使用して、エチレンを含む単一のモノマーから分岐コポリマーを調製し得る。
【0171】
使用に適したさらなる錯体としては、以下の式に対応する4~10族の誘導体が挙げられ、
【化30】
式中、
M
2は、元素周期表の4~10族の金属、好ましくは4族金属、Ni(II)またはPd(II)、最も好ましくはジルコニウムであり、
T
2は、窒素、酸素、またはリン含有基であり、
X
2は、ハロ、ヒドロカルビル、またはヒドロカルビルオキシであり、
tは、1または2であり、
x”は、電荷平衡を提供するように選択される数であり、
T
2およびNは、架橋配位子によって連結されている。
そのような触媒は、以前に、他の開示の中でも、J.Am.Chem.Soc.,118,267-268(1996)、J.Am.Chem.Soc.,117,6414-6415(1995)、およびOrganometallics,16,1514-1516,(1997)に開示されている。
【0172】
触媒としての使用のための前述の金属錯体の好適な例は、以下の式に対応する4族金属、特にジルコニウムの芳香族ジイミンまたは芳香族ジオキシイミン錯体であり、
【化31】
式中、
M
2、X
2、およびT
2は、以前に定義されたとおりであり、
R
dは、出現ごとに独立して、水素、ハロゲン、またはR
eであり、
R
eは、出現ごとに独立して、C1~20ヒドロカルビルまたはそのヘテロ原子、特にそのF、N、SまたはP置換誘導体、より好ましくはC1~20ヒドロカルビルまたはそのFまたはN置換誘導体、最も好ましくはアルキル、ジアルキルアミノアルキル、ピロリル、ピペリデニル、ペルフルオロフェニル、シクロアルキル、(ポリ)アルキルアリール、またはアラルキルである。
【0173】
触媒として使用するための前述の金属錯体の好適な例は、以下の式に対応するジルコニウムの芳香族ジオキシイミン錯体であり、
【化32】
式中、
X
2は、以前に定義されたとおりであり、好ましくはC1~10ヒドロカルビル、最も好ましくはメチルまたはベンジルであり、
R
e’は、メチル、イソプロピル、t-ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、2-メチルシクロヘキシル、2,4-ジメチルシクロヘキシル、2-ピロリル、N-メチル-2-ピロリル、2-ピペリデニル、N-メチル-2-ピペリデニル、ベンジル、o-トリル、2,6-ジメチルフェニル、ペルフルオロフェニル、2,6-ジ(イソプロピル)フェニル、または2,4,6-トリメチルフェニルである。
【0174】
特定のホスフィンイミン錯体も含むものとして使用するための前述の錯体は、EP-A-890581に開示されている。これらの錯体は、式:[(Rf)3-P=N]fM(K2)(Rf)3-fに対応し、式中、Rfは、一価配位子であるか、または2つのRf基が一緒になって二価配位子であり、好ましくは、Rfは、水素またはC1~4アルキルであり、
Mは、4族金属であり、
K2は、それを介してK2がMに結合される非局在化π電子を含有する基であり、該K2基は、水素原子を含まない最大50個の原子を含有し、fは、1または2である。
【0175】
さらに好適なプロ触媒には、WO2017/173080(A1)に開示のものが挙げられ、参照によりその全体が組み込まれる。そのようなプロ触媒には、式(i)の金属-配位子錯体が挙げられ、
【化33】
式中、Mは、チタン、ジルコニウム、またはハフニウムであり、
各Z1は、独立して、中性、モノアニオン性、またはジアニオン性の単座または多座配位子であり、nnは整数であり、Z1およびnnは、式(i)の金属-配位子錯体が全体として中性であるように選択され、
各Q
1およびQ
10は、独立して、(C
6~C
40)アリール、置換(C
6~C
40)アリール、(C
3~C
40)ヘテロアリール、および置換(C
3~C
40)ヘテロアリールからなる群から選択され、
各Q
2、Q
3、Q
4、Q
7、Q
8、およびQ
9は、独立して、水素、(C
1~C
40)ヒドロカルビル、置換(C
1~C
40)ヒドロカルビル、(C
1~C
40)ヘテロヒドロカルビル、置換(C
1~C
40)ヘテロヒドロカルビル、ハロゲン、およびニトロ(NO
2)からなる群から選択され、
各Q
5およびQ
6は、独立して、(C
1~C
40)アルキル、置換(C
1~C
40)アルキル、および[(Si)
1-(C+Si)
40]置換オルガノシリルからなる群から選択され、
各Nは、独立して、窒素であり、
任意選択で、Q
1~5基のうちの2つ以上は、一緒に組み合わさって、環構造を形成することができ、かかる環構造は、いずれの水素原子も除いて環中に5~16個の原子を有し、
任意選択で、Q
6~10基のうちの2つ以上は、一緒に組み合わさって、環構造を形成することができ、かかる環構造は、いずれの水素原子も除いて環中に5~16個の原子を有する。
【0176】
上記の式(i)の金属配位子錯体および本明細書のその全ての特定の実施形態は、その配位異性体を含む全ての可能性のある立体異性体を含むことが意図される。
【0177】
上記の式(i)の金属配位子は、ホモレプティックプロ触媒成分およびヘテロレプティックプロ触媒成分を提供する。
【0178】
代替的な実施形態では、Q1、Q2、Q3、Q4、Q5、Q6、Q7、Q8、Q9、およびQ10のうちのいずれか1つ以上の(C1~C40)ヒドロカルビルおよび(C1~C40)ヘテロヒドロカルビルの各々は、それぞれ独立して、非置換または1つ以上のRS置換基で置換され、各RSは、独立して、ハロゲン原子、ポリフルオロ置換、ペルフルオロ置換、非置換(C1~C18)アルキル、(C6~C18)アリール、F3C、FCH2O、F2HCO、F3CO、(RC1)3Si、(RC1)3Ge、(RC1)O、(RC1)S、(RC1)S(O)、(RC1)S(O)2、(RC1)2P、(RC1)2N、(RC1)2C=N、NC、NO2、(RC1)C(O)O、(RC1)OC(O)、(RC1)C(O)N(RC1)、または(RC1)2NC(O)であるか、あるいはRSのうちの2つは、一緒になって、非置換(C1~C18)アルキレンを形成し、各RSは、独立して、非置換(C1~C18)アルキルであり、独立して、各RC1は、水素、非置換(C1~C18)ヒドロカルビル、または非置換(C1~C18)ヘテロヒドロカルビルであるか、または存在しない(例えば、Nが-N=を含む場合、存在しない)。特定の実施形態では、Q5およびQ6は、各々独立して、親配位子構造のアミン窒素へのその接続に関して、(C1~C40)の一級または二級アルキル基である。一級および二級アルキル基という用語は、本明細書ではそれらの通常の慣習的な意味を持ち、すなわち、一級は、配位子窒素に直接連結した炭素原子が少なくとも2つの水素原子を担持することを示し、二級は、配位子窒素に直接連結した炭素原子が1つのみの水素原子を担持することを示す。
【0179】
任意選択で、2つ以上のQ1~5基または2つ以上のQ6~10基は、それぞれ独立して、一緒に組み合わさって、環構造を形成し、かかる環構造は、いずれの水素原子も除いて環中に5~16個の原子を有する。
【0180】
好ましい実施形態では、Q5およびQ6は、それぞれ独立して、(C1~C40)の一級または二級アルキル基であり、最も好ましくは、Q5およびQ6は、それぞれ独立して、プロピル、イソプロピル、ネオペンチル、ヘキシル、イソブチル、およびベンジルである。
【0181】
特定の実施形態では、式(i)のオレフィン重合プロ触媒のQ
1およびQ
10は、式(ii)に示されるような置換フェニル基であり、
【化34】
式中、J
1~J
10が、各々独立して、R
s置換基および水素からなる群から選択され、各R
Sが、独立して、ハロゲン原子、ポリフルオロ置換、ペルフルオロ置換、非置換(C
1~C
18)アルキル、(C
6~C
18)アリール、F
3C、FCH
2O、F
2HCO、F
3CO、(R
C1)
3Si、(R
C1)
3Ge、(R
C1)O、(R
C1)S、(R
C1)S(O)、(R
C1)S(O)
2、(R
C1)
2P、(R
C1)
2N、(R
C1)
2C=N、NC、NO
2、(R
C1)C(O)O、(R
C1)OC(O)、(R
C1)C(O)N(R
C1)、または(R
C1)
2NC(O)であるか、あるいはR
Sのうちの2つが、一緒になって、非置換(C
1~C
18)アルキレンを形成し、各R
Sが、独立して、非置換(C
1~C
18)アルキルであり、各R
C1が、独立して、水素、非置換(C
1~C
18)ヒドロカルビルもしくは非置換(C
1~C
18)ヘテロヒドロカルビルであるか、または存在しない(例えば、Nが-N=を含むとき、存在しない)。より好ましくは、式(ii)のJ
1、J
5、J
6、およびJ
10は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、(C
1~C
8)アルキル基、および(C
1~C
8)アルコキシル基からなる群から選択される。最も好ましくは、式(ii)のJ
1、J
5、J
6、およびJ
10は、それぞれ独立して、メチル、エチル、またはイソプロピルである。
【0182】
「[(Si)1-(C+Si)40]置換オルガノシリル」は、炭素原子とケイ素原子との合計数が1~40になるように、1~40個のケイ素原子と0~39個の炭素原子とを有する置換シリルラジカルを意味する。[(Si)1-(C+Si)40]置換オルガノシリルの例としては、トリメチルシリル、トリイソプロピルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、およびトリエチルシリルが挙げられる。
【0183】
好ましくは、式(i)の金属-配位子錯体において、S(O)またはS(O)2ジラジカル官能基中のO-S結合以外に、O-O、S-S、またはO-S結合は存在しない。より好ましくは、式(i)の金属-配位子錯体において、S(O)またはS(O)2ジラジカル官能基中のO-S結合以外に、O-O、P-P、S-S、またはO-S結合は存在しない。
【0184】
Mは、チタン、ジルコニウム、またはハフニウムである。一実施形態では、Mはチタンである。別の実施形態では、Mはジルコニウムである。別の実施形態では、Mはハフニウムである。いくつかの実施形態では、Mは、+2、+3、または+4の形式酸化状態にある。各Z1は、独立して、中性、モノアニオン性、またはジアニオン性の単座または多座配位子である。Z1およびnnは、式(i)の金属-配位子錯体が全体として中性であるように選択される。いくつかの実施形態では、各Z1は、独立して、単座配位子である。一実施形態では、2つ以上のZ1単座配位子がある場合、各Z1は同一である。いくつかの実施形態では、単座配位子は、モノアニオン性配位子である。モノアニオン性配位子は、-1の正味形式酸化状態を有する。各モノアニオン性配位子は、独立して、水素化物、(C1-C40)ヒドロカルビルカルバニオン、(C1-C40)ヘテロヒドロカルビルカルバニオン、ハロゲン化物、硝酸塩、炭酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、水素化ホウ素、硫酸塩、HC(O)O-、アルコキシドまたはアリールオキシド(RO-)、(C1-C40)ヒドロカルビルC(O)O-、HC(O)N(H)-、(C1-C40)ヒドロカルビルC(O)N(H)-、(C1-C40)ヒドロカルビルC(O)N((C1-C20)ヒドロカルビル)-、RKRLB-、RKRLN-、RKO-、RKS-、RKRLP-、またはRMRKRLSi-であり得、各RK、RL、およびRMは、独立して、水素、(C1-C40)ヒドロカルビル、または(C1-C40)ヘテロヒドロカルビルであるか、またはRKおよびRLは、一緒になって(C2-C40)ヒドロカルビレンまたは(C1-C40)ヘテロヒドロカルビレンを形成し、RMは、上記に定義されたとおりである。
【0185】
いくつかの実施形態では、Z1の少なくとも1つの単座配位子は、独立して、中性配位子である。一実施形態では、中性配位子は、RX1NRKRL、RKORL、RKSRL、またはRX1PRKRLである中性ルイス塩基基であり、式中、各RX1は、独立して、水素、(C1~C40)ヒドロカルビル、[(C1~C10)ヒドロカルビル]3Si、[(C1~C10)ヒドロカルビル]3Si(C1~C10)ヒドロカルビル、または(C1~C40)ヘテロヒドロカルビルであり、各RKおよびRLは、独立して、上記に定義されたとおりである。
【0186】
いくつかの実施形態では、各Z1は、独立してハロゲン原子、非置換(C1~C20)ヒドロカルビル、非置換(C1~C20)ヒドロカルビルC(O)O-、またはRKRLN-である単座配位子であり、RKおよびRLの各々は、独立して、非置換(C1~C20)ヒドロカルビルである。いくつかの実施形態では、各単座配位子Z1は、塩素原子、(C1~C10)ヒドロカルビル(例えば、(C1~C6)アルキルまたはベンジル)、非置換(C1~C10)ヒドロカルビルC(O)O-、またはRKRLN-であり、RKおよびRLの各々は、独立して、非置換(C1~C10)ヒドロカルビルである。
【0187】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つのZ1sが存在し、2つのZ1sは、一緒になって二座配位子を形成する。いくつかの実施形態では、二座配位子は、中性二座配位子である。一実施形態では、中性二座配位子は、式(RD1)2C=C(RD1)-C(RD1)=C(RD1)2のジエンであり、式中、各RD1は、独立して、H、非置換(C1~C6)アルキル、フェニル、またはナフチルである。いくつかの実施形態では、二座配位子は、モノアニオン性-モノ(ルイス塩基)配位子である。モノアニオン性モノ(ルイス塩基)配位子は、式(D):RE1-C(O-)=CH-C(=O)-RE1(D)の1,3-ジオナートであり得、式中、各RE1は、独立して、H、非置換(C1~C6)アルキル、フェニル、またはナフチルである。いくつかの実施形態では、二座配位子は、ジアニオン性配位子である。ジアニオン性配位子は、-2の正味形式酸化状態を有する。一実施形態では、各ジアニオン性配位子は、独立して、炭酸塩、シュウ酸塩(すなわち、-O2CC(O)O-)、(C2~C40)ヒドロカルビレンジカルバニオン、(C1~C40)ヘテロヒドロカルビレンジカルバニオン、リン酸塩、または硫酸塩である。
【0188】
前述のように、Z1の数および電荷(中性、モノアニオン性、ジアニオン性)は、式(i)の金属-配位子錯体が全体として中性になるように、Mの形式的酸化状態に応じて選択される。
【0189】
いくつかの実施形態では、各Z1は同一であり、各Z1は、メチル、イソブチル、ネオペンチル、ネオフィル、トリメチルシリルメチル、フェニル、ベンジル、またはクロロである。いくつかの実施形態では、nnは2であり、各Z1は同一である。
【0190】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つのZ1は異なる。いくつかの実施形態では、各Z1は、メチル、イソブチル、ネオペンチル、ネオフィル、トリメチルシリルメチル、フェニル、ベンジル、およびクロロのうちの異なるものである。
【0191】
一実施形態では、式(i)の金属-配位子錯体は、単核金属錯体である。
【0192】
さらに好適なプロ触媒には、Acc.Chem.Res.,2015,48(8),pp2209-2220に開示のものが挙げられ、これらに限定されないが以下の構造のものを含む。
【化35】
【0193】
好適なプロ触媒には、助触媒を使用することなくオレフィン重合を触媒することができる「単一成分触媒」がさらに挙げられる。そのような単純成分触媒には、Watson,P.L.J.Am.Chem.Soc.1982,104,337-339、Yasuda,H.;Ihara,E.Adv.Polym.Sci.1997,133,53-101、Ihara,E.;Nodono,M.;Katsura,K.;Adachi,Y.;Yasuda,H.;Yamagashira,M.;Hashimoto,H.;Kanehisa,N.;and Kai,Y.Organometallics 1998,17,3945-3956、Long,D.P.;Bianconi,P.A.J.Am.Chem.Soc.1996,118,12453-12454、Gilchrist,J.H.;Bercaw,J.E.J.Am.Chem.Soc.1996,118,12021-12028、Mitchell,J.P.;Hajela,S.;Brookhart,S.K.;Hardcastle,K.I.;Henling,L.M.;Bercaw,J.E.J.Am.Chem.Soc.1996,118,1045-1053、Evans,W.J.;DeCoster,D.M.;Greaves,J.Organometallics 1996,15,3210-3221、Evans,W.J.;DeCoster,D.M.;Greaves,J.Macromolecules 1995,28,7929-7936、Shapiro,P.J.;Cotter,W.D.;Schaefer,W.P.;Labinger,J.A.;Bercaw,J.E.J.Am.Chem.Soc.1994,116,4623-4640、Schaverien,C.J.Organometallics 1994,13,69-82、Coughlin,E.B.J.Am.Chem.Soc.1992,114,7606-7607、Piers,W.E.;Bercaw,J.E.J.Am.Chem.Soc.1990,112,9406-9407、Burger,B.J.;Thompson,M.E.,Cotter,W.D.;Bercaw,J.E.J.Am.Chem.Soc.1990,112,1566-1577、Shapiro,P.J.;Bunel,E.;Schaefer,W.P.Organometallics 1990,9,867-869、Jeske,G.;Lauke,H.;Mauermann,H.;Swepston,P.N.;Schumann,H.;Marks,T.J.J.Am.Chem.Soc.1985,107,8091-8103、Jeske,G.;Schock,L.E.;Swepston,P.N.;Schumann,H.;Marks,T.J.J.Am.Chem.Soc.1985,107,8103-8110、およびOrganometallics,2001,20(9),pp1752-1761に開示のものが挙げられる。そのような単純成分触媒の例示的な非限定的な式には、以下が挙げられ、
【化36】
式中、
Mが、SmまたはYであり、Rが、水素を数えずに最大50個の原子の一価配位子、好ましくはハロゲン化物またはヒドロカルビルである。
【0194】
好適なプロ触媒には、(触媒1)~(触媒17)と名付けられた以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0195】
(触媒1)は、WO03/40195および米国特許第6,953,764(B2)号の教示に従って調製することができ、以下の構造を有する:
【化37】
。
【0196】
(触媒2)は、WO03/40195およびWO04/24740の教示に従って調製することができ、以下の構造を有する:
【化38】
。
【0197】
(触媒3)は、当該技術分野において既知の方法に従って調製することができ、以下の構造を有する:
【化39】
。
【0198】
(触媒4)は、米国特許出願公開第2004/0010103号の教示に従って調製することができ、以下の構造を有する:
【化40】
。
【0199】
(触媒5)は、米国特許第7,858,706(B2)号の教示に従って調製することができ、以下の構造を有する:
【化41】
。
【0200】
(触媒6)は、米国特許第7,858,706(B2)号の教示に従って調製することができ、以下の構造を有する:
【化42】
。
【0201】
(触媒7)は、米国特許第6,268,444号の教示に従って調製することができ、以下の構造を有する:
【化43】
。
【0202】
(触媒8)は、米国特許公開第2003/004286号の教示に従って調製することができ、以下の構造を有する:
【化44】
。
【0203】
(触媒9)は、米国特許公開第2003/004286号の教示に従って調製することができ、以下の構造を有する:
【化45】
。
【0204】
(触媒10)は、Sigma-Aldrichから市販されており、以下の構造を有する:
【化46】
。
【0205】
(触媒11)は、WO2017/173080(A1)の教示に従って調製することができ、以下の構造を有する:
【化47】
。
【0206】
(触媒12)は、WO2017/173080(A1)の教示に従って調製することができ、以下の構造を有する:
【化48】
。
【0207】
(触媒13)は、Macromolecules(Washington,DC,United States),43(19),7903-7904(2010)の教示に従って調製することができ、以下の構造を有する:
【化49】
。
【0208】
(触媒14)は、WO2011/102989(A1)の教示に従って調製することができ、以下の構造を有する:
【化50】
。
【0209】
(触媒15)は、米国特許第8,101,696(B2)の教示に従って調製することができ、以下の構造を有する:
【化51】
。
【0210】
(触媒16)は、WO2018/170138(A1)の教示に従って調製することができ、以下の構造を有する:
【化52】
。
【0211】
(触媒17)は、WO2018/170138(A1)の教示に従って調製することができ、以下の構造を有する:
【化53】
。
【0212】
特定の実施形態では、(c1)触媒成分は、プロ触媒および助触媒を含む。これらの実施形態では、プロ触媒は、助触媒(活性化剤)、好ましくはカチオン形成助触媒、強ルイス酸、またはそれらの組み合わせと組み合わせることによって活性化されて、活性触媒組成物を形成することができる。
【0213】
好適なカチオン形成助触媒としては、金属オレフィン重合錯体について当該技術分野において以前から知られているものが挙げられる。例には、中性ルイス酸、例えばC1~30ヒドロカルビル置換13族化合物、特にトリ(ヒドロカルビル)ホウ素化合物および各ヒドロカルビルもしくはハロゲン化ヒドロカルビル中に1~10個の炭素を有するそのハロゲン化(過ハロゲン化を含む)誘導体、より特にペルフルオロ化トリ(アリール)ホウ素化合物、およびとりわけトリス(ペンタフルオロ-フェニル)ボラン;非ポリマー性、相溶性、非配位性、イオン形成化合物(酸化条件下でのそのような化合物の使用を含む)、特に相溶性、非配位性アニオンのアンモニウム塩、ホスホニウム塩、オキソニウム塩、カルボニウム塩、シリリウム塩もしくはスルホニウム塩、または相溶性、非配位性アニオンのフェロセニウム塩、鉛塩もしくは銀塩の使用;ならびに前述のカチオン形成助触媒および技法の組み合わせが挙げられる。前述の活性化助触媒および活性化技術は、オレフィン重合用の種々の金属錯体に関して以下の参考文献中で以前に教示されている:EP-A-277,003、米国特許第5,153,157号、同第5,064,802号、同第5,321,106号、同第5,721,185号、同第5,350,723号、同第5,425,872号、同第5,625,087号、同第5,883,204号、同第5,919,983号、同第5,783,512号、WO99/15534、およびWO99/42467。
【0214】
中性ルイス酸の組み合せ、特に各アルキル基中に1~4個の炭素を有するトリアルキルアルミニウム化合物および各ヒドロカルビル基中に1~20個の炭素を有するハロゲン化トリ(ヒドロカルビル)ホウ素化合物、特にトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランの組み合せ、このような中性ルイス酸混合物とポリマーまたはオリゴマーアルモキサンとのさらなる組み合わせ、および単一の中性ルイス酸、特にトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランとポリマーまたはオリゴマーアルモキサンとの組み合わせを、活性化助触媒として使用することができる。金属錯体:トリス(ペンタフルオロフェニル-ボラン:アルモキサン)の例示的なモル比は、1:1:1~1:5:20、例えば1:1:1.5~1:5:10である。
【0215】
本開示の一実施形態では助触媒として有用な好適なイオン形成化合物は、プロトンを供与することができるブレンステッド酸であるカチオン、および相溶性の非配位性アニオン、A-を含む。本明細書で使用されるとき、「非配位性」という用語は、4族金属含有前駆体錯体およびそれから誘導される触媒誘導体に配位しないか、またはそのような錯体に弱く配位するだけで、それによって、中性ルイス塩基によって置き換えられるには十分に不安定なままである、アニオンまたは物質を指す。非配位性アニオンは、カチオン性金属錯体中で電荷均衡アニオンとして機能するときに、アニオン性置換基またはそのフラグメントを該カチオンに移動させず、それによって中性錯体を形成しないアニオンを具体的に指す。「相溶性アニオン」は、最初に形成された錯体が分解したときに中性まで分解せず、所望のその後の重合または錯体の他の用途を妨げないアニオンである。
【0216】
好適なアニオンは、2つの成分が組み合わされるときに形成され得る活性触媒種(金属カチオン)の電荷を均衡させることができる電荷保有金属または半金属コアを含む単一配位錯体を含有するものである。また、該アニオンは、オレフィン系、ジオレフィン系およびアセチレン系不飽和化合物、または他の中性ルイス塩基、例えばエーテルまたはニトリルによって置換されるのに十分に不安定であるべきである。好適な金属としては、アルミニウム、金および白金が挙げられるが、これらに限定されない。好適な半金属としては、ホウ素、リン、およびケイ素が挙げられるが、これらに限定されない。単一の金属原子または半金属原子を含む配位錯体を含むアニオンを含有する化合物は、もちろんよく知られており、そして多くの、特にアニオン部分に単一のホウ素原子を含有するこのような化合物は市販されている。
【0217】
一態様では、好適な助触媒は、以下の一般式:
(L*-H)g
+(A)g-によって表すことができ、式中、
L*は、中性ルイス塩基であり、
(L*-H)+は、L*の共役ブレンステッド酸であり、
Ag-は、g-の電荷を有する非配位性の相溶性アニオンであり、gは1~3の整数である。
【0218】
より詳細には、Ag-は、式:[M’Q4]-に相当し、式中、
M’は、+3の形式的な酸化状態のホウ素またはアルミニウムであり、
Qは、各出現ごとに独立して、ヒドリド、ジアルキルアミド、ハロゲン化物、ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシド、ハロ置換ヒドロカルビル、ハロ置換ヒドロカルビルオキシ、およびハロ置換シリルヒドロカルビルラジカル(過ハロゲン化ヒドロカルビル-過ハロゲン化ヒドロカルビルオキシ-および過ハロゲン化シリルヒドロカルビルラジカルを含む)から選ばれ、各Qは、1回以下の出現において、Qがハロゲン化物であるという条件で、最大20個の炭素を有する。好適なヒドロカルビルオキシドQ基の例は、米国特許第5,296,433号に開示されている。
【0219】
例示的な実施形態では、gは1である、すなわち、対イオンは、単一の負電荷を有し、A-である。本開示の触媒の調製において特に有用であるホウ素を含む活性化助触媒は、以下の一般式:
(L*-H)+(BQ4)-によって表すことができ、式中、
L*は前に定義した通りであり、
Bは、3の形式的なホルマール酸化状態のホウ素であり、
Qは、最大20個の非水素原子のヒドロカルビル-、ヒドロカルビルオキシ-、フッ素化ヒドロカルビル-、フッ素化ヒドロカルビルオキシ-、またはフッ素化シリルヒドロカルビル基である(但し、1度限りにおいて、Qはヒドロカルビルである)。
【0220】
特に有用なルイス塩基塩は、アンモニウム塩であり、より好ましくは、1つ以上のC12~40アルキル基を含有するトリアルキル-アンモニウム塩である。この態様では、例えば、各出現におけるQは、フッ素化アリール基、特にペンタフルオロフェニル基であり得る。
【0221】
本開示の改良された触媒の調製において活性化助触媒として使用され得るホウ素化合物の例示的であるが、限定されない例としては、三置換アンモニウム塩、例えば、
トリメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリ(sec-ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N、N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N、N-ジメチルアニリニウムn-ブチルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N、N-ジメチルアニリニウムベンジルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N、N-ジメチルアニリニウムテトラキス(4-(t-ブチルジメチルシリル)-2,3,5,6テトラフルオロフェニル)ボレート、
N、N-ジメチルアニリニウムテトラキス(4-(トリイソプロピルシリル)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)ボレート、
N、N-ジメチルアニリニウムペンタフルオロフェノキシトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N、N-ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N、N-ジメチル-2,4,6-トリメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート。
ジメチルオクタデシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
メチルジオクタデシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート。
多くのジアルキルアンモニウム塩、例えば、
ジ-(i-プロピル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
メチルオクタデシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
メチルオクタドデシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、および
ジオクタデシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;
様々な三置換ホスホニウム塩、例えば、
トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
メチルジオクタデシルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、および
トリ(2,6-ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;
二置換オキソニウム塩、例えば、
ジフェニルオキソニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
ジ(o-トリル)オキソニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート。
ジ(オクタデシル)オキソニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ならびに
二置換スルホニウム塩、例えば、
ジ(o-トリル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、および
メチルコタデシルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。
【0222】
本開示のこの態様に加えて、有用な(L*-H)+カチオンの例には、メチルジオクタデシルアンモニウムカチオン、ジメチルオクタデシルアンモニウムカチオン、および1または2個のC14~18アルキル基を含有するトリアルキルアミンの混合物から誘導されるアンモニウムカチオンが含まれるが、これらに限定されない。
【0223】
他の好適なイオン形成性活性化助触媒は、カチオン性酸化剤の塩と、下記式:
(Oxh+)g(Ag-)hで表される非配位性の相溶性アニオンとを含み、式中、
Oxh+は、h+の電荷を有するカチオン性酸化剤であり、
hは、1~3の整数であり、
A g-およびgは、先に定義した通りである。
【0224】
カチオン性酸化剤の例としては、フェロセニウム、ヒドロカルビル置換フェロセニウム、Ag+、またはPb+2が挙げられる。Ag-の特に有用な例は、ブレンステッド酸含有活性化助触媒に関して以前に定義されたアニオン、特にテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
【0225】
他の好適なイオン形成性活性化助触媒は、カルベニウムイオンの塩と以下の式:
[C]+A-で表される非配位性の相溶性アニオンである化合物であることができ、
式中、
[C]+は、C1~20カルベニウムイオンであり、
これは、-1の電荷を有する非配位性、相溶性アニオンである。例えば、うまく機能する1つのカルベニウムイオンは、トリチルカチオン、すなわちトリフェニルメチリウムである。
【0226】
さらなる好適なイオン形成性活性化助触媒は、シリリウムイオンの塩と以下の式:
(Q1
3Si)+A-によって表される式非配位性の相溶性アニオンであり
式中、
Q1は、C1~10ヒドロカルビルであり、A-は先に定義した通りである。
【0227】
好適なシリリウム塩活性化助触媒としては、トリメチルシリルテトラキスペンタフルオロフェニルボレート、トリエチルシリリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート、およびそれらのエーテル置換付加物が挙げられる。シリリウム塩は、以前にJ.Chem.Soc.Chem.Comm.1993,383-384、ならびにLambert,J.B.,et al.,Organometallics 1994,13,2430-2443に概ね開示されている。付加重合触媒用の活性化助触媒としての上のシリリウム塩の使用は、米国特許第5,625,087号にも記載されている。
【0228】
アルコール、メルカプタン、シラノール、およびオキシムと、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランとの特定の錯体も有効な触媒活性化剤であり、本開示に従って使用することができる。そのような助触媒は米国特許第5,296,433号に開示されている。
【0229】
本明細書での使用に適した活性化助触媒はまた、ポリマーまたはオリゴマーアルモキサン(アルミノキサンとも呼ばれる)、特にメチルアルモキサン(MAO)、トリイソブチルアルミニウム変性メチルアルモキサン(MMAO)、またはイソブチルアルモキサン;ルイス酸変性アルモキサン、特に、各ヒドロカルビルまたはハロゲン化ヒドロカルビル基中に1~10個の炭素を有する、過ハロゲン化トリ(ヒドロカルビル)アルミニウム-または過ハロゲン化トリ(ヒドロカルビル)ホウ素変性アルモキサン、およびとりわけ、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン変性アルモキサンも含む。このような助触媒は、米国特許第6,214,760号、同第6,160,146号、同第6,140,521号、および同第6,696,379号に以前に開示されている。
【0230】
米国特許第6,395,671号にさらに開示されている、一般に膨張アニオンと呼ばれる非配位性アニオンを含む助触媒の部類は、オレフィン重合のために本開示の金属錯体を活性化するために好適に用いられ得る。一般に、これらの助触媒(イミダゾリド、置換イミダゾリド、イミダゾリニド、置換イミダゾリニド、ベンズイミダゾリド、または置換ベンズイミダゾリドアニオンを有するものによって例示される)は、以下のように表すことができる。
【化54】
式中、
A
*+はカチオン、特にプロトン含有カチオンであり、1または2個のC
10~40アルキル基を含有するトリヒドロカルビルアンモニウムカチオン、特にメチルジ(C
14~20アルキル)アンモニウムカチオンであることができ、
Q
3は、出現ごとに独立して、水素、または水素を含まない最大30個の原子のハロ、ヒドロカルビル、ハロカルビル、ハロヒドロカルビル、シリルヒドロカルビル、またはシリル(例えば、モノ-、ジ-およびトリ(ヒドロカルビル)シリル)基、例えば、C
1~20アルキルなどであり、
Q
2は、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、またはトリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)である。
【0231】
これらの触媒活性化剤の例には、以下のもののトリヒドロカルビルアンモニウム塩、特にメチルジ(C14~20アルキル)アンモニウム塩が挙げられる:
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)イミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)-2-ウンデシルイミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)-2-ヘプタデシルイミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)-4,5-ビス(ウンデシル)イミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)-4,5-ビス(ヘプタデシル)イミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)イミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)-2-ウンデシルイミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)-2-ヘプタデシルイミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)-4,5-ビス(ウンデシル)イミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)-4,5-ビス(ヘプタデシル)イミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)-5,6-ジメチルベンズイミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)-5,6-ビス(ウンデシル)ベンズイミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)イミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)-2-ウンデシルイミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)-2-ヘプタデシルイミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)-4,5-ビス(ウンデシル)イミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)-4,5-ビス(ヘプタデシル)イミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)イミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)-2-ウンデシルイミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)-2-ヘプタデシルイミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)-4,5-ビス(ウンデシル)イミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)-4,5-ビス(ヘプタデシル)イミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)-5,6-ジメチルベンズイミダゾリド、および
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)-5,6-ビス(ウンデシル)ベンズイミダゾリド。
【0232】
他の活性剤としては、トリス(2,2’,2”-ノナフルオロビフェニル)フルオロアルミネートなどのPCT公開WO98/07515に記載されているものが挙げられる。活性化剤の組み合わせ、例えば、アルモキサンとイオン化活性化剤との組み合わせもまた本開示によって企図されており、例えば、EP-A-0573120、PCT公開WO94/07928およびWO95/14044、ならびに米国特許第5,153,157号および同第5,453,410号を参照されたい。例えば、そして一般論として、WO98/09996は、過塩素酸塩、過ヨウ素酸塩およびヨウ素酸塩(それらの水和物を含む)を用いて触媒化合物を活性化することを記載している。WO99/18135は、有機ホウ素アルミニウム活性剤の使用を記載している。WO03/10171は、ブレンステッド酸とルイス酸との付加物である触媒活性化剤を開示している。触媒化合物を活性化するための他の活性剤または方法は、例えば、米国特許第5,849,852号、同第5,859,653号、および同第5,869,723号に、EP-A-615981に、ならびにPCT公開WO98/32775に記載されている。本開示によれば、前述の触媒活性化剤の全てならびに遷移金属錯体触媒用の他の任意の既知の活性化剤を、単独でまたは組み合わせて用いられ得る。しかしながら、一態様では、助触媒はアルモキサンを含まなくてもよい。別の態様では、例えば、助触媒は、本明細書に開示されるように、いかなる具体的に命名された活性剤または活性剤の部類も含まないことがあり得る。
【0233】
さらなる態様では、用いられるプロ触媒/助触媒のモル比は、一般に、1:10,000~100:1、例えば1:5000~10:1、または1:1000~1:1の範囲である。アルモキサンは、活性化助触媒としてそれ自体で使用される場合、大量に、一般にモル基準で金属錯体の量の少なくとも100倍の量で使用することができる。
【0234】
活性化助触媒として使用される場合、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランは、一般に0.5:1~10:1、例えば1:1~6:1および1:1~5:1の金属錯体に対するモル比で使用することができる。残りの活性化助触媒は、一般に金属錯体とほぼ等モル量で使用される。
【0235】
本開示の例示的実施形態では、助触媒は[(C16~18H33~37)2CH3NH]テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート塩である。
【0236】
好適な助触媒にはまた、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国仮特許出願第62650423号、同第62650412号、および同第62650453号に開示のものが挙げられる。そのような助触媒には、アニオンおよび対カチオンを含むイオン性錯体のものが挙げられ、アニオンが、以下の構造を有し、
【化55】
式中、Mが、アルミニウム、ホウ素、またはガリウムであり、nが、2、3、または4であり、各Rが、独立して、ラジカル(II)およびラジカル(III)からなる群から選択され、
【化56】
各Yが、独立して、炭素またはケイ素であり、各R
11、R
12、R
13、R
21、R
22、R
23、R
24、およびR
25が、独立して(C
1~C
40)アルキル、(C
6~C
40)アリール、-OR
C、-O-、-SR
C、-H、または-Fから選択され、Rが、ラジカル(III)に従ったラジカルであるとき、ハロゲン置換R
21~25のうちの少なくとも1つが、(C
1~C
40)アルキル、ハロゲン置換(C
6~C
40)アリール、または-Fであるが、ただし、各Rが、ラジカル(II)であり、Yが、炭素であるとき、R
11~13のうちの少なくとも1つが、ハロゲン置換(C
1~C
40)アルキル、ハロゲン置換(C
6~C
40)アリール、もしくは-Fであるか、または、Mが、アルミニウムであり、nが、4であり、各Rが、ラジカル(II)であり、各Yが、炭素であるとき、各Rの各R
11、R
12、およびR
13が、ハロゲン置換(C
1~C
40)アルキル、ハロゲン置換(C
6~C
40)アリール、もしくは-Fであるか、または各RのR
11、R
12、およびR
13のハロゲン原子の総数が、少なくとも6であることを条件とし、各Xが、ハロゲン置換(C
1~C
20)アルキル、(C
1~C
20)アルキル、ハロゲン置換(C
6~C
40)アリール、(C
6~C
40)アリール、トリフラート、または-S(O)
3から独立して選択される単座配位子であり、任意選択で、2つのR基が、共有結合しており、各R
NおよびR
Cが、独立して、(C
1~C
30)ヒドロカルビルまたは-Hである。
【0237】
そのような助触媒には、アニオンおよび対カチオンを含む二金属性活性化剤錯体がさらに挙げられ、アニオンが、以下の構造を有し、
【化57】
式中、各Mが、独立して、アルミニウム、ホウ素、またはガリウムであり、Lが、少なくとも2つのルイス塩基性部位を有する種から選択され、各Qが、独立して、単座配位子であり、nが、0、1、または2であり、nが0であるとき、Qが存在せず、xが、0、1、または2であり、xが、0であるとき、Qが存在せず、各Rが、独立して、ラジカル(II)およびラジカル(III)からなる群から選択され、
【化58】
各Yが、独立して、炭素またはケイ素であり、各R
11、R
12、R
13、R
21、R
22、R
23、R
24、およびR
25が、独立して、(C
1~C
40)アルキル、(C
6~C
40)アリール、-H、-NR
N
2、-OR
C、-SR
C、またはハロゲンから選択され、Rが、ラジカル(II)であるとき、R
11~13のうちの少なくとも1つが、過ハロゲン化(C
1~C
40)アルキル、過ハロゲン化(C
6~C
40)アリール、または-Fであり、Rが、ラジカル(III)であるとき、R
21~25のうちの少なくとも1つが、過ハロゲン化(C
1~C
40)アルキル、過ハロゲン化(C
6~C
40)アリール、または-Fであり、任意選択で、nが0または1であるとき、2つのR基が共有結合しており、R
NまたはR
Cが、独立して、(C
1~C
30)ヒドロカルビルまたは-Hである。
【0238】
そのような助触媒には、アニオンおよび対カチオンを含む金属性活性化剤錯体がさらに挙げられ、アニオンが、以下の構造を有し、
【化59】
式中、nが、0、または1であり、各Rが、独立して、ラジカル(II)およびラジカル(III)からなる群から選択され、
【化60】
各Yが、独立して、炭素またはケイ素であり、各R
11、R
12、R
13、R
21、R
22、R
23、R
24、およびR
25が、独立して、(C
1~C
40)アルキル、ハロゲン置換(C
1~C
40)アルキル、(C
6~C
40)アリール、ハロゲン置換(C
6~C
40)アリール、-OR
C、-SR
C、-H、-F、またはClから選択され、R
11~13のうちの少なくとも1つおよびR
21~25のうちの1つが、ハロゲン置換(C
1~C
40)アルキル、ハロゲン置換(C
6~C
40)アリール、または-Fであり、各Xが、ハロゲン置換(C
1~C
20)アルキル、またはハロゲン置換(C
6~C
40)アリールから独立して選択された単座配位子であり、任意選択で、2つのX基が、共有結合しており、各R
Cが、独立して、ハロゲン置換(C
1~C
30)ヒドロカルビルであるが、ただし、対カチオンが、(Ph)
3C
+であるとき、アニオンが、Al(C
6F
5)
4であることを条件とする。
【0239】
(B)硬化成分
硬化性組成物は、(B)架橋剤を含む硬化成分をさらに含む。特定の実施形態では、本開示の硬化性組成物は、硬化性組成物の総重量に基づいて、0.1重量%~10重量%(または0.1重量%~7重量%、または0.1重量%~5重量%)の(B)架橋剤を含む硬化成分を含み得る。
【0240】
さらなる実施形態では、(B)硬化成分は、架橋剤のみを含有する。さらなる実施形態では、(B)硬化成分中の架橋剤は、硬化性組成物の総重量に基づいて、0.36重量%以下(ゼロ~0.36重量%以下、または0.1重量%~0.36重量%以下、または0.2重量%~0.36重量%以下、または0.3重量%~0.36重量%以下など)の量で存在する。
【0241】
特定の実施形態では、(B)硬化成分は、助剤、硬化添加剤、促進剤、および/またはスコーチ抑制剤をさらに含む。特定の実施形態では、(B)硬化成分は、架橋剤および助剤を含む。さらなる実施形態では、(B)硬化成分は、架橋剤、助剤、およびスコーチ抑制剤を含む。
【0242】
好適な架橋剤の非限定的な例には、過酸化物;フェノール;アジド;アルデヒド-アミン反応生成物;置換尿素;置換グアニジン;置換キサントゲン酸塩;置換ジチオカルバメート;チアゾール、スルフェンアミド、チウラムジスルフィド、パラキノンジオキシム、ジベンゾパラキノンジオキシム、硫黄などの硫黄含有化合物;イミダゾール;シラン;亜鉛、マグネシウム、および鉛酸化物などの金属酸化物;p-キノン-ジオミシムおよびp,p’-ジベンゾイルキノン-ジオキシムなどのジニトロソ化合物;ならびにヒドロキシメチルまたはハロメチル官能基を含有するフェノール-ホルムアルデヒド樹脂、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。これらの架橋剤のうちのいずれかの適合性は、調合の分野の当業者には周知であるように、ポリマーの選択によって大きく支配される。
【0243】
架橋剤は、過酸化アルキル、過酸化アリール、過酸化エステル、過酸化炭酸塩、過酸化ジアシル、過酸化ケタール、環式過酸化物、過酸化ジアルキル、過酸化エステル、過酸化二炭酸塩、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含むがこれらに限定されない、1つ以上の有機過酸化物を含み得る。過酸化物の例には、ジ-tertブチル過酸化物、過酸化ジクミル、ジ(3,3,5-トリメチルヘキサノイル)ペルオキシド、t-ブチルペルオキシピバレート、t-ブチルペルオキシネオデカノエート、ジ(sec-ブチル)ペルオキシジカーボネート、t-アミルペルオキシネオデカノエート、1,1-ジ-t-ブチルペルオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、t-ブチル-クミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチル-ペルオキシ)ヘキサン、1,3-ビス(tert-ブチル-ペルオキシル-イソプロピル)ベンゼン、またはそれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。例示的な架橋剤は、Arkemaから商品名LUPEROX(登録商標)、またはAkzo Nobelから商品名TRIGONOX(登録商標)で市販されている過酸化ジクミルである。さらなる例示的な架橋剤は、Vanderbilt ChemicalsからのVAROX(登録商標)DBPH-50である。架橋剤が過酸化物であるとき、ステアリン酸およびZnOなどの特定の加工助剤および硬化活性化剤も使用することができる。
【0244】
過酸化物系硬化剤を使用するとき、共活性化剤、または助剤を過酸化物系硬化剤と組み合わせて使用してもよい。好適な助剤には、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)、トリアリルシアヌレート(TAC)、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、および1,4-フェニレンジマレイミド(TCI Chemicalsから入手可能)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0245】
好適な助剤には、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、WO2019/000311およびWO2019/000654に開示のアルケニル官能性単環式オルガノシロキサンがさらに挙げられるが、これらに限定されない。例えば、助剤は、式[R1,R2SiO2/2]n(式中、下付き文字nが、3以上の整数であり、各R1が、独立して、(C2~C4)アルケニルまたはH2C=C(R1a)-C(=O)-O-(CH2)m-であり、R1aが、Hまたはメチルであり、下付き文字mが、1~4の整数であり、各R2が、独立して、H、(C1~C4)アルキル、フェニル、またはR1である)の単環式オルガノシロキサンであり得る。そのような単環式オルガノシロキサンの例には、2,4,6,8-テトラメチル-2,4,6,8-テトラビニルシクロテトラシロキサン、2,4,6-トリメチル-2,4,6-トリビニル-シクロトリシロキサン、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0246】
スコーチ抑制剤/遅延剤は、早期硬化を阻害する分子、またはそのような分子の集合である。スコーチ抑制剤/遅延剤の例は、ヒンダードフェノール、セミヒンダードフェノール、TEMPO、TEMPO誘導体、1,1-ジフェニルエチレン、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン(アルファ-メチルスチレンダイマーまたはAMSDとも呼ばれる)、およびUS6277925B1、第2欄第62行~第3欄第46行に記載されているアリル含有化合物である。
【0247】
好適な架橋剤には、元素硫黄などの硫黄系ものが挙げられる。硫黄系硬化剤を用いるとき、アミン、ジスルフィド、グアニジン、チオ尿素、チアゾール、チウラム、スルフェンアミド、ジチオカルバメート、キサントゲン酸塩、4,4’-ジチオジモルホリン、チウラムジ-およびポリスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、および2-モルホリノ-ジチオベンゾチアゾール、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)、2-メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、2-メルカプトベンゾチアゾレートジスルフィド(MBTS)、亜鉛-2-メルカプトベンゾチアゾレート(ZMBT)、亜鉛ジエチルジチオカルバメート亜鉛(ZDEC)、亜鉛ジブチルジチオカルバメート(ZDBC)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)、N-t-ブチルベンゾチアゾール-2-スルファンアミド(TBBS)、およびそれらの混合物などの促進剤および硬化活性化剤も同様に使用することができる。
【0248】
追加の架橋剤には、フェノール樹脂、アジド、アルデヒド-アミン反応生成物、ビニルシラン、ヒドロシリル化剤、置換尿素、置換グアニジン、置換キサントゲン酸塩、置換ジチオカルバメート、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。架橋剤は、任意選択の助剤を伴うフェノール系硬化剤もしくは過酸化物硬化剤、またはヒドロシリル化触媒を伴うヒドロシリル化架橋剤、または任意選択の助剤アルミナ三水和物(「ATH」)を伴うジブチルスズジラウレート(「DBTDL」)であってよい。一般的な工業用触媒は、H2PtCl6である「Speierの触媒」、およびアルケンで安定化された白金(0)触媒であるKarstedtの触媒である。
【0249】
架橋剤が使用されるとき、架橋は、硬化性配合物中の架橋剤を活性化することによって誘導され得る。架橋剤は、その分解温度より上の温度にそれを曝すことによって活性化され得る。温度範囲は、80℃~275℃などの、50℃~300℃である。時間は、選択されたポリマーおよび硬化成分に応じて、当業者によって決定され得る。
【0250】
あるいは、架橋剤は、架橋剤からフリーラジカルの生成を引き起こす放射線にそれを曝すことによって活性化され得る。好適な放射線の非限定的な例には、UVもしくは可視光線、電子ビーム、またはベータ線、ガンマ線、X線、もしくは中性子線が挙げられる。放射線は、ポリマー中にラジカルを生成することによって架橋を活性化させると考えられ、これは引き続き結合し、架橋し得る。放射線量は多くの要因に依存し、当業者によって決定され得る。架橋剤が過酸化ジベンゾイル、クメンヒドロペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、ジアセチルペルオキシド、過酸化水素、ペルオキシジサルフェート、および2,2-ビス(テルブチルペルオキシ(terbutylperoxy))-2,5-ジメチルヘキサンなどの過酸化物光開始剤であるとき、UVまたは可視光線の活性化が起こり得る。
【0251】
いくつかの実施形態では、熱、湿気硬化、および放射線から選択される組み合わせなどの、少なくとも2つの活性化方法を含む二重硬化系を効果的に用いてもよい。例えば、過酸化物架橋剤をシラン架橋剤と併用して、過酸化物架橋剤を放射線と併用して、硫黄含有架橋剤をシラン架橋剤と併用することなどが望ましい場合がある。当業者は、所望の架橋レベル、ポリマーの特性、例えば、分子量、分子量分布、コモノマー含有量、架橋促進助剤、他の添加剤などの存在に基づいて、架橋剤の量を容易に選択することができるであろう。
【0252】
(A)ポリオレフィン成分が、少なくとも部分的に架橋しているとき、架橋の程度は、組成物を特定の期間溶媒に溶解させ、ゲルまたは抽出不可能な成分のパーセントを計算することによって測定することができる。ゲルのパーセントは、通常、架橋レベルの増加と共に増加する。本発明に従った硬化物品では、ゲル含有量パーセントは、5~100パーセント、または10~95パーセント、または20~90パーセント、または30~85パーセント、または40~80パーセントであり得る。
【0253】
用途および最終使用
本開示の組成物は、鋳造、ブロー、カレンダー、または押し出しプロセスによって調製された物体;ブロー成形、射出成形、または回転成形物品などの成形物品;押し出し物;繊維;および織布または不織布を含む、有用な物品を製造するための多様な従来の製造プロセスで用いることができる。本開示の組成物は、限定されないが、他の天然または合成ポリマー、油、UV安定剤、顔料、粘着付与剤、充填剤(タルク、炭酸カルシウム、ガラス繊維、炭素繊維など)、添加剤、炭酸カルシウムまたは炭酸マグネシウム、それらの脂肪酸および塩などの強化剤、難燃性添加剤、スコーチ抑制剤、抗酸化剤、安定剤、着色剤、増量剤、カーボンブラック、架橋剤、発泡剤、酸化亜鉛またはステアリン酸亜鉛などの活性化剤、シリカ、ケイ酸アルミニウム、ジカルボン酸のジアルキルエステルなどの可塑剤、劣化防止剤、軟化剤、ワックス、(ポリ)アルコール、(ポリ)アルコールエーテル、ポリエステル、金属塩、捕捉剤、核剤、安定性制御剤、難燃剤、潤滑剤、加工助剤、押し出し助剤、ならびに化学防護剤がさらに挙げられ得る。
【0254】
繊維は、本組成物から調製することができる。調製され得る繊維には、ステープルファイバー、粗麻、多成分繊維、鞘/芯、撚合、およびモノフィラメントが挙げられる。好適な繊維形成プロセスには、米国特許第4,430,563号、同第4,663,220号、同第4,668,566号、および同第4,322,027号に開示のスピンボンド、メルトブロー技法、米国特許第4,413,110号に開示のゲルスパン繊維、米国特許第3,485,706号に開示の織布および不織布、またはポリエステル、ナイロン、もしくは綿などの他の繊維とのブレンド、熱成形物品、異形押し出しもしくは共押し出しを含む押し出し形材、カレンダー成形物品、ならびに延伸、撚合、もしくは捲縮糸もしくは繊維を含むそのような繊維から作製される構造物が挙げられる。本明細書に記載の新しいポリマーはまた、ワイヤーおよびケーブルのコーティング作業、ならびに真空形成作業用のシート押し出し、および射出成形、ブロー成形プロセス、または回転成形プロセスの使用を含む、成形物品の形成に有用である。組成物はまた、ポリオレフィン加工の当業者に周知である従来のポリオレフィン加工技法を使用して、前述のものなどの加工物品に形成することができる。
【0255】
分散液(水性および非水性の両方)もまた、組成物を含む本配合物を使用して形成することができる。
【0256】
添加剤およびアジュバントは、任意の配合物に含まれ得る。好適な添加剤には、粘土、タルク、二酸化チタン、ゼオライト、トリー遅延剤、粉末状金属を含む有機または無機粒子、炭素繊維、窒化ケイ素繊維、鋼線またはメッシュを含む有機または無機繊維、およびナイロンまたはポリエステルコーディング、ナノサイズの粒子、有機粘土など;粘着付与剤、パラフィン油またはナフテン油を含む油増量剤;ならびに他の天然ポリマーおよび本発明に従った他のポリマーを含む合成ポリマーなどの充填剤が挙げられる。
【0257】
ブレンドするのに(および(A)ポリオレフィン成分中に含めるのに)好適なポリマーには、天然および合成ポリマーを含む熱可塑性および非熱可塑性ポリマーが挙げられる。そのようなポリマーには、不飽和ポリオレフィン熱プラスチック(EPDM、ポリブタジエンなど)、低い不飽和度を有するかまたはまったく飽和を有さないポリオレフィン熱プラスチック(PE、PP、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー)、他のエラストマー(SBC、PVC、EVA、アイオノマーなど)、および他のエンジニアリング熱プラスチック(スチレン系、ポリアミド、ポリエステルなど)が挙げられる。ブレンド用の例示的なポリマーには、ポリプロピレン(耐衝撃性改質ポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレン、およびランダムエチレン/プロピレンコポリマーの両方)、(米国特許第6,545,088号、同第6,538,070号、同第6,566,446号、同第5,844,045号、同第5,869,575号、および同第6,448,341号に開示の生成物などの、チーグラー・ナッタPEおよびメタロセンPEの「反応器内」ブレンド)を含む高圧、フリーラジカルLDPE、チーグラー・ナッタLLDPE、複数反応器PEメタロセンPEを含む、様々な種類のポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル(EVA)、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、ポリスチレン、耐衝撃性改質ポリスチレン、ABS、スチレン/ブタジエンブロックコポリマーおよびそれらの水素化誘導体(SBSおよびSEBS)、エチレン系オレフィンブロックコポリマー(Dow Chemical Companyから入手可能な商品名INFUSE(商標)で入手可能なものなど)、プロピレン系オレフィンブロックコポリマー(The Dow Chemical Companyから入手可能な商品名INTUNE(商標)で入手可能なものなど)、ならびに熱可塑性ポリウレタンが挙げられる。オレフィンプラストマーなどの均一なポリマー、ならびにエチレン/アルファ-オレフィンコポリマーおよび低い不飽和度を有するか不飽和を全く有さないプロピレン系コポリマーなどのエラストマー(例えば、The Dow Chemical Companyから入手可能なVERSIFY(商標)、The Dow Chemical CompanyからのENGAGE(商標)、Mitsui ChemicalsからのTAFMER(商標)、ExxonMobilからのExact(商標)、およびExxonMobilから入手可能なVISTAMAXX(商標)の商標名で入手可能なポリマー)はまた、本ポリマーを含むブレンドの成分として有用であり得る。
【0258】
好適な最終使用には、フィルム;繊維;歯ブラシの持ち手および器具の持ち手などの柔らかい触感の商品;ガスケットおよび輪郭;接着剤(機能性接着剤、架橋接着剤、ホットメルト接着剤);履物(靴底および靴中敷きを含む);自動車内装部品および輪郭;発泡体商品(連続気泡および独立気泡の両方);高密度ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン、または他のオレフィンポリマーなどの他の熱可塑性ポリマー用の耐衝撃性改質剤;コーティングされた生地;ホース;導管;目張り;キャップライナー;フローリング;建設または建築部品;木工;コーティング(粉体コーティング、飲料および食品ライナー用の水性コーティング、工業用金属コーティング用の溶剤系コーティング);防水;太陽光発電用途;ワイヤーおよびケーブル用途;熱可塑性加硫物(TPV)用途;EPDM熱硬化性樹脂;封止材、ベルト、コンベヤーベルト、自動車用タイミングベルトなど、ガスケット、衝撃吸収材;タイヤコンパウンド;高充填コンパウンド、サイドウォールおよびトレッドコンパウンド;熱硬化性ゴム用助剤;架橋チューブ;液体(低粘度)反応射出成形;射出成形スキン;3Dプリント;ならびに配管用の架橋性または非架橋性配合物が挙げられる。
【0259】
組成物はまた、ゴム化学の当業者に既知である抗オゾン剤または抗酸化剤を含有し得る。抗オゾン剤は、表面に出て、部品を酸素もしくはオゾンから保護するワックス状材料などの物理的保護剤であり得るか、または酸素もしくはオゾンと反応する化学的保護剤であり得る。好適な化学的保護剤には、スチレン化フェノール、ブチル化オクチル化フェノール、ブチル化ジ(ジメチルベンジル)フェノール、p-フェニレンジアミン、p-クレゾールとジシクロペンタジエン(DCPD)とのブチル化反応生成物、ポリフェノール系抗酸化剤、ヒドロキノン誘導体、キノリン、ジフェニレン抗酸化剤、チオエステル抗酸化剤、およびそれらのブレンドが挙げられる。そのような製品のいくつかの代表的な商品名は、Wingstay(商標)S抗酸化剤、Polystay(商標)100抗酸化剤、Polystay(商標)100AZ抗酸化剤、Polystay(商標)200抗酸化剤、Wingstay(商標)L抗酸化剤、Wingstay(商標)LHLS抗酸化剤、Wingstay(商標)K抗酸化剤、Wingstay(商標)29抗酸化剤、Wingstay(商標)SN-1抗酸化剤、およびIrganox(商標)抗酸化剤である。いくつかの用途では、使用される抗酸化剤および抗オゾン剤は、好ましくは、非汚染性かつ非移動性であろう。
【0260】
UV光線に対する追加の安定性を提供するために、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)およびUV吸収剤も使用され得る。好適な例には、Ciba Specialty Chemicalsから入手可能なTinuvin(商標)123、Tinuvin(商標)144、Tinuvin(商標)622、Tinuvin(商標)765、Tinuvin(商標)770、およびTinuvin(商標)780、ならびにCytex Plastics(Houston Tex.,USA)から入手可能なChemisorb(商標)T944が挙げられる。米国特許第6,051,681号に開示のように、優れた表面品質を達成するために、HALS化合物に追加して、ルイス酸を含んでもよい。
【0261】
いくつかの組成物では、追加の混合プロセスを用いて、抗酸化剤、抗オゾン剤、カーボンブラック、UV吸収剤、および/または光安定剤を事前に分散させてマスターバッチを形成し、その後マスターバッチからポリマーブレンドを形成してもよい。
【0262】
本発明に従った組成物はまた、有機もしくは無機充填剤、またはデンプン、タルク、炭酸カルシウム、ガラス繊維、ポリマー繊維(ナイロン、レヨン、綿、ポリエステル、およびポリアラミドを含む)、金属繊維、フレークもしくは粒子、粘土、雲母、シリカ、アルミナ、アルミノケイ酸塩もしくはアルミノリン酸塩などの膨張性層状ケイ酸塩、リン酸塩、もしくは炭酸塩、カーボンウィスカー、炭素繊維、ナノチューブを含むナノ粒子、ウォラストナイト、グラファイト、ゼオライト、および炭化ケイ素、窒化ケイ素もしくはチタニアなどのセラミックスなどの他の添加剤を含有し得る。また、より良好な充填剤結合のために、シラン系または他のカップリング剤を用いてもよい。好適なシランカップリング剤の非限定的な例には、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル-トリス-(β-メトキシ)シラン、アリルトリメトキシシラン、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エトキシ-シクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、および3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、ビニルトリアセトキシシラン、γ-(メタ)アクリルオキシ、プロピルトリメトキシシラン、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0263】
好適な発泡体には、無機発泡剤、有機発泡剤、化学的発泡剤、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。好適な無機発泡剤の非限定的な例としては、二酸化炭素、窒素、アルゴン、水、空気、窒素、およびヘリウムが挙げられる。好適な有機発泡剤の非限定的な例としては、1~6個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素、1~3個の炭素原子を有する脂肪族アルコール、および1~4個の炭素原子を有する完全および部分ハロゲン化脂肪族炭化水素が挙げられる。好適な脂肪族炭化水素の非限定的な例としては、メタン、エタン、プロパン、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、ネオペンタンなどが挙げられる。好適な脂肪族アルコールの非限定的な例には、メタノール、エタノール、n-プロパノール、およびイソプロパノールが挙げられる。好適な完全および部分ハロゲン化脂肪族炭化水素の非限定的な例としては、フルオロカーボン、クロロカーボン、およびクロロフルオロカーボンが挙げられる。好適なフルオロカーボンの非限定的な例には、フッ素化メチル、ペルフルオロメタン、フッ素化エチル、1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)、1,1,1,2-テトラフルオロ-エタン(HFC-134a)、ペンタフルオロエタン、ジフルオロメタン、ペルフルオロエタン、2,2-ジフルオロプロパン、1,1,1-トリフルオロプロパン、ペルフルオロプロパン、ジクロロプロパン、ジフルオロプロパン、ペルフルオロブタン、ペルフルオロシクロブタンが挙げられる。好適な部分ハロゲン化クロロカーボンおよびクロロフルオロカーボンの非限定的な例には、塩化メチル、塩化メチレン、塩化エチル、1,1,1-トリクリロロエタン(tricliloroethane)、1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン(HCFC-14 Ib)、1-クロロ-1,1ジフルオロエタン(HCFC-142b)、1,1-ジクロロ-2,2,2-トリフルオロエタン(HCFC-123)、および1-クロロ-1,2,2,2-テトラフルオロエタン(HCFC-124)が挙げられる。好適な完全ハロゲン化クロロフルオロカーボンの非限定的な例には、トリクロロモノフルオロメタン(CFC-11)、ジクロロジフルオロメタン(CFC-12)、トリクロロトリフルオロエタン(CFC-113)、1,1,1-トリフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン(CFC-114)、クロロヘプタフルオロプロパン、およびジクロロヘキサフルオロプロパンが挙げられる。好適な化学的発泡剤の非限定的な例には、アゾジカルボンアミド、アゾジイソブチロ-ニトリル、ベンゼンスルホンヒドラジド、4,4-オキシベンゼンスルホニル-セミカルバジド、p-トルエンスルホニルセミ-カルバジド、バリウムアゾジカルボキシレート、N,N’-ジメチル-N,N’-ジニトロソテレフタルアミド、およびトリヒドラジノトリアジンが挙げられる。いくつかの実施形態では、発泡剤は、アゾジカルボンアミドイソブタン、CO2、またはそれらの混合物である。
【0264】
本開示の(A)ポリオレフィン成分はまた、グラフト化(例えば、無水マレイン酸(MAH)、シラン、グリシジルメタクリレート、または他のグラフト化剤の使用による)、ハロゲン化、アミノ化、スルホン化、または他の化学修飾などによって化学的に修飾され得る。
【0265】
具体的な実施形態
ポリエチレン系電源ケーブル断熱材が十分に高い程度の架橋に達するには、一般に、1重量%超の過酸化物を必要とする。ケーブル用途で最も一般的に使用される過酸化物は、過酸化ジクミルであり、架橋反応からの過酸化物分解による典型的な副生成物には、メタン、アセトフェノン、クミルアルコール、およびアルファメチルスチレンが挙げられる。これらの副生成物は、ケーブル性能に悪影響を与え得、時間およびコストのかかる脱気プロセスを介して除去する必要がある。主な関心事はメタンレベルであることが一般に認められており、メタンレベルが100ppm以下に低減されるまで脱気を行うことが一般的である。ケーブル用の組成物が脱気を必要としない(すなわち、ゼロ脱気と見なされる)ためには、約0.36重量%の過酸化ジクミルがおよそ100ppmのメタンを生成するので、過酸化ジクミルのレベルは、0.36重量%未満であるべきである。現在、クラス最高の性能は、WO2019/000654に記載されており、これは、0.5重量%の過酸化ジクミルとの十分な架橋を有する組成物を対象としている。驚くべきことに、本開示は、改善された架橋性能、ゼロ脱気、および/または改善された高温クリープ性能を有する本発明の硬化性組成物を用いて、さらなる改善を実証する。
【0266】
以下は、本発明を例示し、本出願における任意の特許請求の範囲について詳細な開示を提供する、非限定的な実施形態である。特に明記しない限り、以下の実施形態で測定された特性または特徴評価は、本明細書に開示の試験方法に従う。
1.ケーブル断熱層用の硬化性組成物であって、(A)式A
1L
1の不飽和ポリオレフィンを含むポリオレフィン成分と、(B)架橋剤を含む硬化成分と、を含み、式中、
L
1が、ポリオレフィンであり、
A
1が、ビニル基、式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基、式Y
1CH=CH-のビニレン基、ビニル基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物、ビニル基と式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基との混合物、式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物、およびビニル基と式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物からなる群から選択され、
Y
1が、出現ごとに独立して、C
1~C
30ヒドロカルビル基である、硬化性組成物。
2.ケーブル断熱層用の硬化性組成物であって、(A)式A
1L
1L
2A
2のテレケリックポリオレフィンを含むポリオレフィン成分と、(B)架橋剤を含む硬化成分と、を含み、式中、
L
1が、ポリオレフィンであり、
A
1が、ビニル基、式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基、式Y
1CH=CH-のビニレン基、ビニル基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物、ビニル基と式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基との混合物、式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物、およびビニル基と式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物からなる群から選択され、
Y
1が、出現ごとに独立して、C
1~C
30ヒドロカルビル基であり、
L
2が、C
1~C
32ヒドロカルビレン基であり、
A
2が、立体障害のある二重結合を含むヒドロカルビル基である、硬化性組成物。
3.ケーブル断熱層用の硬化性組成物であって、(A)式A
1L
1の不飽和ポリオレフィンおよび式A
1L
1L
2A
2のテレケリックポリオレリンを含む、ポリオレフィン成分と、(B)架橋剤を含む硬化成分と、を含み、式中、
L
1が、出現ごとに独立して、ポリオレフィンであり、
A
1が、出現ごとに独立して、ビニル基、式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基、式Y
1CH=CH-のビニレン基、ビニル基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物、ビニル基と式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基との混合物、式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物、およびビニル基と式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物からなる群から選択され、
Y
1が、出現ごとに独立して、C
1~C
30ヒドロカルビル基であり、
L
2が、C
1~C
32ヒドロカルビレン基であり、
A
2が、立体障害のある二重結合を含むヒドロカルビル基である、硬化性組成物。
4.(A)ポリオレフィン成分が、10:90~90:10、または20:80~80:20、または40:60~60:40、または50:50の、式A
1L
1の不飽和ポリオレフィン対式A
1L
1L
2A
2のテレケリックポリオレフィンの比を含む、実施形態3に記載の硬化性組成物。
5.(A)ポリオレフィン成分が、エチレン系ポリマーをさらに含む、実施形態1~4のいずれかに記載の硬化性組成物。
6.(A)ポリオレフィン成分が、エチレン系ポリマーをさらに含み、(A)ポリオレフィン成分が、10:90~90:10、または20:80~80:20、または40:60~60:40、または50:50の、式A
1L
1の不飽和ポリオレフィン対エチレン系ポリマーの比を含む、実施形態1に記載の硬化性組成物。
7.(A)ポリオレフィン成分が、エチレン系ポリマーをさらに含み、(A)ポリオレフィン成分が、10:90~90:10、または20:80~80:20、または40:60~60:40、または50:50の、式A
1L
1L
2A
2のテレケリックポリオレフィン対エチレン系ポリマーの比を含む、実施形態2に記載の硬化性組成物。
8.エチレン系ポリマーが、ポリエチレンポリマーである、実施形態5~7のいずれかに記載の硬化性組成物。
9.エチレン系ポリマーが、低密度ポリエチレン(LDPE)ポリマーである、実施形態8に記載の硬化性組成物。
10.エチレン系ポリマーが、0.860~0.970g/cc、または0.875~0.960g/cc、または0.890~0.950g/cc、または0.900~0.940g/cc、または0.910~0.930g/ccの密度を有する、実施形態5~9のいずれかに記載の硬化性組成物。
11.エチレン系ポリマーが、0.01~500g/10分、または0.01~100g/10分、または0.5~50g/10分、または0.5~30g/10分、または1~5g/10分のメルトインデックス(I2)を有する、実施形態5~10のいずれかに記載の硬化性組成物。
12.架橋剤が、過酸化物である、実施形態1~11のいずれかに記載の硬化性組成物。
13.架橋剤が、過酸化ジクミルである、実施形態1~12のいずれかに記載の硬化性組成物。
14.硬化性組成物が、(C)抗酸化剤を含む添加剤成分をさらに含む、実施形態1~13のいずれかに記載の硬化性組成物。
15.(B)硬化成分が、助剤をさらに含む、実施形態1~14のいずれかに記載の硬化性組成物。
16.助剤が、単環式オルガノシロキサンである、実施形態1~15のいずれかに記載の硬化性組成物。
17.助剤が、2,4,6,8-テトラメチル-2,4,6,8-テトラビニルシクロテトラシロキサンである、実施形態15または16に記載の硬化性組成物。
18.(B)硬化成分が、スコーチ抑制剤をさらに含む、実施形態1~17のいずれかに記載の硬化性組成物。
19.スコーチ抑制剤が、アルファ-メチルスチレン二量体である、実施形態18に記載の硬化性組成物。
20.硬化性組成物が、
硬化性組成物の総重量に基づいて、5重量%~99.9重量%、または25重量%~99.9重量%、または50重量%~99.9重量%、または80重量%~99.9重量%、または90重量%~99.99重量%、または95重量%~99.99重量%の量で(A)ポリオレフィン成分と、
硬化性組成物の総重量に基づいて、0.1重量%~10重量%、または0.1重量%~7重量%、または0.1重量%~5重量%の量で(B)硬化成分と、
硬化性組成物の総重量に基づいて、0重量%~10重量%、または0.1重量%~5重量%、または0.1重量%~3重量%の量で(C)添加剤成分と、を含む、実施形態1~19のいずれかに記載の硬化性組成物。
21.(B)架橋剤を含む硬化成分が、硬化性組成物の総重量に基づいて、0.1重量%~5重量%以下、または0.1重量%~2重量%以下、または0.3重量%~2重量%以下の量で存在する、実施形態1~20のいずれかに記載の硬化性組成物。
22.架橋剤が、硬化性組成物の総重量に基づいて、0.1重量%~5重量%以下、または0.1重量%~2重量%以下または0.1重量%~1重量%以下、または0.1重量%~0.5重量%以下、または0.1重量%~0.36重量%以下、または0.3重量%~0.36重量%以下の量で存在する、実施形態1~21のいずれかに記載の硬化性組成物。
23.
各L
1が、独立して、エチレンから誘導された単位を含むエチレンホモポリマーであり、
各A
1が、独立して、ビニル基、式Y
1CH=CH-のビニレン基、またはビニル基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物であり、
各Y
1が、独立して、メチル基である、実施形態1~22のいずれかに記載の硬化性組成物。
24.
各L
1が、独立して、プロピレンから誘導された単位を含むプロピレンホモポリマーであり、
各A
1が、独立して、式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基、式Y
1CH=CH-のビニレン基、または式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物であり、
Y
1が、出現ごとに独立して、メチル基である、実施形態1~22のいずれかに記載の硬化性組成物。
25.各L
1が、独立して、エチレンから誘導された単位およびC
3~C
30アルファ-オレフィンを含むエチレン/アルファ-オレフィンコポリマーであり、C
3~C
30アルファ-オレフィンが、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンからなる群から選択される、実施形態1~22のいずれかに記載の硬化性組成物。
26.C
3~C
30アルファ-オレフィンが、プロピレンであり、各L
1が、独立して、エチレン/プロピレンコポリマーであり、
各A
1が、独立して、ビニル基、式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基、式Y
1CH=CH-のビニレン基、ビニル基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物、ビニル基と式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基との混合物、またはビニル基と式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物であり、
Y
1が、出現ごとに独立して、メチル基である、実施形態25に記載の硬化性組成物。
27.C
3~C
30アルファ-オレフィンが、1-ブテンであり、各L
1が、独立して、エチレン/1-ブテンコポリマーであり、
各A
1が、独立して、ビニル基、式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基、式Y
1CH=CH-のビニレン基、ビニル基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物、ビニル基と式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基との混合物、またはビニル基と式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物であり、
Y
1が、出現ごとに独立して、エチル基である、実施形態25に記載の硬化性組成物。
28.C
3~C
30アルファ-オレフィンが、1-ヘキセンであり、各L
1が、独立して、エチレン/1-ヘキセンコポリマーであり、
各A
1が、独立して、ビニル基、式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基、式Y
1CH=CH-のビニレン基、ビニル基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物、ビニル基と式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基との混合物、またはビニル基と式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物であり、
Y
1が、出現ごとに独立して、ブチル基である、実施形態25に記載の硬化性組成物。
29.C
3~C
30アルファ-オレフィンが、1-オクテンであり、各L
1が、独立して、エチレン/1-オクテンコポリマーであり、
各A
1が、独立して、ビニル基、式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基、式Y
1CH=CH-のビニレン基、ビニル基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物、ビニル基と式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基との混合物、またはビニル基と式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物であり、
Y
1が、出現ごとに独立して、C6アルキル基である、実施形態25に記載の硬化性組成物。
30.各L
1が、独立して、プロピレンから誘導された単位、およびエチレンまたはC
4~C
30アルファ-オレフィンのいずれかを含むプロピレン/アルファ-オレフィンコポリマーであり、C
4~C
30アルファ-オレフィンが、1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンからなる群から選択される、実施形態1~22のいずれかに記載の硬化性組成物。
31.各L
1が、独立して、プロピレン/エチレンコポリマーであり、
各A
1が、独立して、ビニル基、式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基、式Y
1CH=CH-のビニレン基、ビニル基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物、ビニル基と式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基との混合物、またはビニル基と式CH
2=C(Y
1)-のビニリデン基と式Y
1CH=CH-のビニレン基との混合物であり、
Y
1が、出現ごとに独立して、メチル基である、実施形態30に記載の硬化性組成物。
32.L
2が、-CH
2CH(Y
2)-であり、式中、Y
2が、水素またはC
1~C
30ヒドロカルビル基である、実施形態2~31のいずれかに記載の硬化性組成物。
33.Y
2が、水素またはC1~C10アルキル基である、実施形態32に記載の硬化性組成物。
34.立体障害のある二重結合が、ビニリデン基の二重結合、ビニレン基の二重結合、三置換アルケンの二重結合、および分岐アルファ炭素に結合したビニル基の二重結合からなる群から選択される、実施形態2~33のいずれかに記載の硬化性組成物。
35.各A
2が、独立して、C
3~C
30環式ヒドロカルビル基またはC
3~C
30非環式ヒドロカルビル基である、実施形態2~34のいずれかに記載の硬化性組成物。
36.各A
2が、独立して、非置換シクロアルケン、アルキル置換シクロアルケン、および非環式アルキル基からなる群から選択される、実施形態2~35のいずれかに記載の硬化性組成物。
37.各A
2が、独立して、以下からなる群から選択される、実施形態2~36のいずれかに記載の硬化性組成物。
【化61】
38.各A
2が、独立して、(AC)、(AF)、(AM)、(AO)、(AP)、(AS)、および(AZ1)からなる群から選択される、実施形態2~37のいずれかに記載の硬化性組成物。
39.式A
1L
1の不飽和ポリオレフィンおよび式A
1L
1L
2A
2のテレケリックポリオレフィンの各々が、1,000~10,000,000g/mol、または1,000~5,000,000g/mol、または1,000~1,000,000g/mol、または1,000~750,000g/mol、または1,000~500,000g/mol、または1,000~250,000g/mol、または40,000~150,000g/molの重量平均分子量(Mw)を有する、実施形態1~38のいずれかに記載の硬化性組成物。
40.式A
1L
1の不飽和ポリオレフィンおよび式A
1L
1L
2A
2のテレケリックポリオレフィンの各々が、1,000~10,000,000g/mol、または1,000~5,000,000g/mol、または1,000~1,000,000g/mol、または1,000~750,000g/mol、または1,000~500,000g/mol、または1,000~250,000g/mol、または15,000~500,000g/molの数平均分子量(Mn)を有する、実施形態1~39のいずれかに記載の硬化性組成物。
41.式A
1L
1の不飽和ポリオレフィンおよび式A
1L
1L
2A
2のテレケリックポリオレフィンの各々が、1,000~10,000,000g/mol、または1,000~5,000,000g/mol、または1,000~1,000,000g/mol、または1,000~750,000g/mol、または1,000~500,000g/mol、または5,000~500,000g/mol、または10,000~500,000g/mol、または10,000~300,000g/molの平均モル質量(Mz)を有する、実施形態1~40のいずれかに記載の硬化性組成物。
42.式A
1L
1の不飽和ポリオレフィンおよび式A
1L
1L
2A
2のテレケリックポリオレフィンの各々が、1~10、または1~7、または1~5、または1.5~4、およびまたは2~4のMw/Mn(PDI)を有する、実施形態1~41のいずれかに記載の硬化性組成物。
43.式A
1L
1の不飽和ポリオレフィンおよび式A
1L
1L
2A
2のテレケリックポリオレフィンの各々が、0.850~0.965g/cc、または0.854~0.950g/cc、または0.854~0.935g/cc、または0.854~0.925g/cc、または0.854~0.910g/cc、または0.854~0.900g/cc、または0.854~0.885g/cc、または0.854~0.880g/cc、または0.854~0.875g/cc、または0.865~0.875g/ccの密度を有する、実施形態1~42のいずれかに記載の硬化性組成物。
44.式A
1L
1の不飽和ポリオレフィンおよび式A
1L
1L
2A
2のテレケリックポリオレフィンの各々が、0.01~2000g/10分、または0.01~1,500g/10分、または0.01~1,000g/10分、または0.01~500g/10分、または0.01~100g/10分、または0.5~50g/10分、または0.5~30g/10分のメルトインデックス(I2)を有する、実施形態1~43のいずれかに記載の硬化性組成物。
45.式A
1L
1の不飽和ポリオレフィンおよび式A
1L
1L
2A
2のテレケリックポリオレフィンの各々が、-25℃~165℃、または-25℃~150℃、または-25℃~125℃、または-25℃~100℃、または0℃~80℃、または10℃~70℃、または30℃~65℃のT
mを有する、実施形態1~44のいずれかに記載の硬化性組成物。
46.式A
1L
1の不飽和ポリオレフィンおよび式A
1L
1L
2A
2のテレケリックポリオレフィンの各々が、0~235J/g、または0~200J/g、または10~175J/g、または10~150J/g、または10~125J/g、または20~117J/g、または40~80J/gの融解エンダルピー(ΔHm)を有する、実施形態1~45のいずれかに記載の硬化性組成物。
47.式A
1L
1の不飽和ポリオレフィンおよび式A
1L
1L
2A
2のテレケリックポリオレフィンの各々が、-80~100℃、または-80~75℃、または-80~50℃、または-80~25℃、または-80~0℃、または-80~-15℃、または-70~-30℃のT
gを有する、実施形態1~46のいずれかに記載の硬化性組成物。
48.式A
1L
1の不飽和ポリオレフィンおよび式A
1L
1L
2A
2のテレケリックポリオレフィンの各々が、ジエンモノマーから誘導された単位を0重量%~0.001重量%含む、実施形態1~47のいずれかに記載の硬化性組成物。
49.式A
1L
1L
2A
2のテレケリックポリオレフィンが、1.1以上、または1.2以上、または1.3以上、または1.4以上、または1.5以上、または1.6以上、または1.7以上、または1.8以上、または1.9以上の不飽和度の総数を含む、実施形態2~48のいずれかに記載の硬化性組成物。
50.式A
1L
1の不飽和ポリオレフィンが、0.6以上、または0.7以上、または0.8以上、または0.9以上、または1.0以上、または1.1以上、または1.2以上、または1.3以上の不飽和度の総数を含む、実施形態1および3~48のいずれかに記載の硬化性組成物。
51.
架橋剤が、硬化性組成物の総重量に基づいて、1重量%以上~2重量%の量で存在し、
硬化性組成物が、180℃で15分間硬化させた後、35%以下、または31%以下、または25%以下、または20%以下、または15%以下、または10%以下の200℃での高温クリープを有する、実施形態1~50のいずれかに記載の硬化性組成物。
52.
架橋剤が、硬化性組成物の総重量に基づいて、1重量%以上~2重量%の量で存在し、
硬化性組成物が、180℃で15分間硬化させた後、ゼロ超~35%以下、または5以上~31%以下、または7以上~31%以下の200℃での高温クリープを有する、実施形態1~51のいずれかに記載の硬化性組成物。
53.
架橋剤が、硬化性組成物の総重量に基づいて、1重量%以上~2重量%の量で存在し、
硬化性組成物が、180℃で15分間硬化させた後、35%以下、または30%以下、または25%以下、または23%以下、または15%以下、または10%以下の150℃での高温クリープを有する、実施形態1~50いずれかに記載の硬化性組成物。
54.
架橋剤が、硬化性組成物の総重量に基づいて、1重量%以上~2重量%の量で存在し、
硬化性組成物が、180℃で15分間硬化させた後、ゼロ超~35%以下、または5以上~30%以下、または6以上~25%以下の150℃での高温クリープを有する、実施形態1~50のいずれかに記載の硬化性組成物。
55.
架橋剤が、硬化性組成物の総重量に基づいて、1重量%以上~2重量%の量で存在し、
硬化性組成物が、182℃で12分間硬化させた後、5dNm以上、または8dNm以上、または10dNm以上、または12dNm以上のMHを有する、実施形態1~54のいずれかに記載の硬化性組成物。
56.
架橋剤が、硬化性組成物の総重量に基づいて、1重量%以上~2重量%の量で存在し、
硬化性組成物が、182℃で12分間硬化させた後、5dNm以上~20dNm以下、または5dNm以上~15dNm以下、または7.5dNm以上~15dNm以下のMHを有する、実施形態1~55のいずれかに記載の硬化性組成物。
57.
架橋剤が、硬化性組成物の総重量に基づいて、0.3重量%~0.36重量%の量で存在し、
硬化性組成物が、180℃で15分間硬化させた後、175%以下、または120%以下、または100%以下、または80%以下、または60%以下、または40%以下、または30%以下、または25%以下の200℃での高温クリープを有する、実施形態1~50のいずれかに記載の硬化性組成物。
58.
架橋剤が、硬化性組成物の総重量に基づいて、0.3重量%~0.36重量%の量で存在し、
硬化性組成物が、180℃で15分間硬化させた後、ゼロ以上~175%以下、または20%以上~120%以下の200℃での高温クリープを有する、実施形態1~50のいずれかに記載の硬化性組成物。
59.
架橋剤が、硬化性組成物の総重量に基づいて、0.3重量%~0.36重量%の量で存在し、
硬化性組成物が、180℃で15分間硬化させた後、175%以下、または130%以下、または110%以下、または90%以下、または70%以下、または50%以下、または30%以下、または20%以下の150℃での高温クリープを有する、実施形態1~50のいずれかに記載の硬化性組成物。
60.
架橋剤が、硬化性組成物の総重量に基づいて、0.3重量%~0.36重量%の量で存在し、
硬化性組成物が、180℃で15分間硬化させた後、ゼロ以上~175%以下、または15%以上~130%以下の150℃での高温クリープを有する、実施形態1~50のいずれかに記載の硬化性組成物。
61.
架橋剤が、硬化性組成物の総重量に基づいて、0.3重量%~0.36重量%の量で存在し、
硬化性組成物が、182℃で12分間硬化させた後、2.1dNm以上、または3dNm以上、または4dNm以上、または5dNm以上のMHを有する、実施形態1~50および57~60のいずれかに記載の硬化性組成物。
62.
架橋剤が、硬化性組成物の総重量に基づいて、0.3重量%~0.36重量%の量で存在し、
硬化性組成物が、182℃で12分間硬化させた後、2.1dNm以上~20dNm以下、または2.1dNm以上~10dNm以下、または2.1dNm以上~6dNm以下のMHを有する、実施形態1~50および57~60のいずれかに記載の硬化性組成物。
63.式A
1L
1の不飽和ポリオレフィンのL
1が、炭素-炭素単結合を通じてA
1に共有結合している、実施形態1および3~62のいずれかに記載の硬化性組成物。
64.式A
1L
1L
2A
2の前記テレケリックポリオレフィンのL
1が、炭素-炭素単結合を通じてA
1およびL
2の各々に共有結合し、式A
1L
1L
2A
2の前記テレケリックポリオレフィンのL
2が、炭素-炭素単結合を通じてA
2に共有結合している、実施形態2~63のいずれかに記載の硬化性組成物。
65.式A
1L
1の不飽和ポリオレフィンのL
1が、水素が1つ欠けているポリオレフィンであり、炭素-炭素単結合を通じてA
1に共有結合している、実施形態1および3~63のいずれかに記載の硬化性組成物。
66.式A
1L
1L
2A
2のテレケリックポリオレフィンのL
1が、水素が2つ欠けているポリオレフィンであり、炭素-炭素単結合を通じてA
1およびL
2の各々に共有結合している、実施態様2~65に記載の硬化性組成物。
67.実施形態1~66のいずれかに記載の硬化性組成物から作製された、物品。
68.ケーブル断熱層である、実施形態67に記載の物品。
【0267】
試験方法
特に明記しない限り、前述の開示および以下の実施例で論じられる測定可能な特性は、以下の分析方法に従っている。
【0268】
密度
密度を測定した試料を、全体が参照により本明細書に組み込まれるASTM D-1928に従って調製した。測定は、全体が参照により本明細書に組み込まれるASTM D-792、方法Bを使用して、試料プレスの1時間以内に行った。
【0269】
メルトインデックス/メルトフローレート
メルトインデックス(I2)は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるASTM D-1238、条件190℃/2.16kgに従って測定し、10分当たりに溶出したグラム数で報告した。メルトフローレート(I10)は、ASTM D-1238、条件190℃/10kgに従って測定し、10分当たりに溶出したグラム数で報告した。
【0270】
GPC
以下に従ってGPCを介して、試料ポリマーのそれらの特性について試験した。PolymerChar Inc(スペイン、バレンシア)からの赤外線濃度検出器(IR-5)からなる高温ゲル浸透クロマトグラフィーシステム(GPC IR)が、分子量(MW)および分子量分布(MWD)の決定に使用された。担体溶媒は、1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)であった。オートサンプラーコンパートメントは160℃で操作され、カラムコンパートメントが150℃で操作された。使用したカラムは、4つのPolymer Laboratories Mixed A LS、20ミクロンカラムであった。クロマトグラフィー溶媒(TCB)および試料調製溶媒は、250ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)および窒素を散布した同じ溶媒源からであった。試料は、TCB中で2mg/mLの濃度で調製された。160℃で2時間、ポリマー試料を穏やかに振とうさせた。注入量が200μLであり、流速が1.0mL/分であった。
【0271】
GPCカラムセットの較正は、21の狭い分子量分布のポリスチレン標準物を用いて実施した。標準物の分子量は、580~8,400,000g/molの範囲であり、個々の分子量は少なくとも一桁の間隔で、6つの「カクテル」混合物に配置した。
【0272】
実施例を実行する前に、21個の狭い分子量分布のポリスチレン標準物質を実行することによって、GPCカラムセットを較正した。標準物質の分子量(Mw)は、1モル当たり580-8,400,000グラム(g/mol)の範囲であり、標準は6つの「カクテル」混合物に含有された。各標準混合物には、個々の分子量間で少なくとも1桁の分離があった。標準混合物は、Polymer Laboratories(シュロップシャー、UK)から購入した。ポリスチレン標準は、1,000,000g/mol以上の分子量については50mLの溶媒中0.025g、および1,000,000g/mol未満の分子量については50mLの溶媒中0.05gで調製した。ポリスチレン標準を、30分間優しくかき混ぜながら、80℃で溶解した。劣化を最小限に抑えるために、まず、狭い標準混合物を、そして最も高い分子量(Mw)成分から降順で流した。ポリスチレン標準ピーク分子量は、Mark-Houwink定数を用いてポリエチレンMwに変換された。定数を得たら、溶出カラムの関数としてのポリエチレン分子量およびポリエチレン固有粘度に関する2つの線形基準通常較正を構築するために2つの値を使用した。
【0273】
ポリスチレン標準ピーク分子量を、以下の等式を使用してポリエチレン分子量に変換した(Williams and Ward,J.Polym.Sci.,Polym.Let.,6,621(1968)):
Mポリエチレン=A(Mポリスチレン)B(1)
【0274】
ここで、Bは1.0の値を有し、実験的に決定されたAの値は、約0.41である。
【0275】
三次多項式が使用され、方程式(1)から得られたそれぞれのポリエチレン等価較正点を、それらの観察されたポリスチレン標準の溶出堆積に適合させた。
【0276】
数平均、重量平均、およびz平均分子量は、以下の式に従って計算した。
【数1】
【0277】
式中、Wfiは、i番目の成分の重量分率であり、Miは、i番目の成分の分子量である。
【0278】
MWDは、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比として表した。
【0279】
正確なA値は、方程式(3)を使用して計算されたMwおよび対応する保持堆積多項式が、標準線状ポリエチレンホモポリマー参照物の既知のMw値120,000g/molに一致するまで、方程式(1)のA値を調整することにより決定された。
【0280】
GPCシステムは、オンボード示差屈折計(RI)を備えた、Waters(ミルフォード、マサチューセッツ)製のオンボード示差屈折計(RI)を装備した150℃高温クロマトグラフからなる(他の好適な高温GPC機器としては、Polymer Laboratories(Shropshire、UK)モデル210およびモデル220が挙げられる)。追加の検出器としては、Polymer ChAR(Valencia,Spain)のIR4赤外線検出器、Precision Detectors(Amherst,Mass.)の2角度レーザー光散乱検出器モデル2040、およびViscotek(ヒューストン、テキサス)製の150R4-毛管溶液粘度計を挙げることができる。最後の2つの独立した検出器と、少なくとも1つの最初の検出器と、を有するGPCは、時に「3D-GPC」と称されるが、用語「GPC」単独では一般に従来のGPCを指す。試料に応じて、光散乱検出器の15度または90度のいずれかが計算のために使用された。
【0281】
データ収集は、Viscotek TriSEC software,Version 3および4-channel Viscotek Data Manager DM400を使用して行った。このシステムには、Polymer Laboratories(シュロップシャー、UK)製のオンライン溶媒脱気機器も備わっていた。4つの長さ30cmのShodex HT803 13ミクロンカラムまたは4つの20ミクロンの混合細孔サイズパッキングの30cmのPolymer Labカラムなどの好適な高温GPC(MixA LS、Polymer Lab)カラムを使用することができた。試料のカルーセルコンパートメントを140℃で操作し、カラムコンパートメントは150℃で操作した。50ミリリットルの溶媒中の0.1グラムのポリマーの濃度で試料を調製した。クロマトグラフ溶媒および試料調製溶媒は、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する。両方の溶媒に窒素を散布した。ポリエチレン試料を160℃で4時間(4h)優しく撹拌した。注入量は200マイクロリットル(μL)であった。GPCを通る流量を、1ml/分に設定した。
【0282】
NMR(13Cおよび1H)
試料調製:13C NMR用に、10mm NMRチューブ内でおよそ2.7gのストック溶媒を0.20~0.40gの試料に添加することによって、試料を調製した。ストック溶媒は、0.025Mのクロムアセチルアセトナート(緩和剤)を含有するテトラクロロエタン-d2である。試料に蓋をして、テフロンテープで密封した。チューブおよびその内容物を135℃~140℃に加熱することにより、試料を溶解させ、均一化させた。
【0283】
試料調製:1H NMR用に、10mm NMRチューブ内で130mgの試料を0.001MのCr(AcAc)3を含む50/50重量のテトラクロロエタン-d2/ペルクロロエチレン3.25gに添加することによって、試料を調製した。酸化を防止するために、チューブに挿入したピペットを通して、N2をおよそ5分間溶媒に通して通気させることによって、試料をパージし、蓋をし、テフロンテープで密封した。試料を115℃で加熱し、ボルテックスして、均質性を確保した。
【0284】
データ取得パラメータ:Bruker高温CryoProbeを装備したBruker 400/600MHz分光計を使用して、13C NMR用にデータを収集した(下記の参考文献1を参照されたい)。データファイル当たり256~8000回の過渡応答、7.3秒のパルス繰り返し遅延(6秒の遅延+1.3秒の取得時間)、90度のフリップ角、および120℃の試料温度での逆ゲート付きデカップリング修正を使用して、データを取得した(下記の参考文献2を参照されたい)。全ての測定を、固定様式の非回転サンプルに対して実施した。加熱した(125℃)NMRサンプル交換器に挿入する直前にサンプルを均質化し、データ取得前に7分間プローブ中で熱平衡化した。
【0285】
データ取得パラメータ:Bruker高温CryoProbeを装備したBruker AVANCE 400/600MHz分光計、および120℃の試料温度で、1H NMRを実施した。スペクトル、合計ポリマープロトンを定量化するための対照スペクトル、および強いポリマー骨格ピークを抑圧し末端基の定量化のための高感度スペクトルを可能にする、二重予備飽和実験を得るために、2つの実験が実行された。制御は、ZGパルス、4回のスキャン、SWH10,000Hz、AQ1.64s、D114sで実行した。二重飽和実験を、修正されたパルスシーケンス、lc1prf2.zz1、TD 32768,100スキャン、DS 4、SWH 10,000Hz、AQ 1.64s、D1 1s、D13 13sを用いて実行した。
【0286】
データ分析:対応するマトリックスまたは代数法を用いて、コモノマー含有量を分析した。不飽和度は、下記の参考文献3の方法を用いて分析した。
【0287】
参考文献1:Z.Zhou,R.Kuemmerle,J.C.Stevens,D.Redwine,Y.He,X.Qiu,R.Cong,J.Klosin,N.Montanez,G.Roof,Journal of Magnetic Resonance,2009,200,328.
【0288】
参考文献2:Z.Zhou,R.Kummerle,X.Qiu,D.Redwine,R.Cong,A.Taha,D.Baugh,B.Winniford,Journal of Magnetic Resonance:187(2007)225.
【0289】
参考文献3:Z.Zhou,R.Cong,Y.He,M.Paradkar,M.Demirors,M.Cheatham,W.deGroot,Macromolecular Symposia,2012,312,88.
【0290】
Brookfield粘度
Brookfield粘度は、Brookfield RV-DV-II-Pro粘度計およびスピンドルSC-31を使用して、ASTM D-3236に従って、177℃で測定した。
【0291】
GC/MS
電子衝撃イオン化(EI)を用いたタンデムガスクロマトグラフィー/低分解能質量分析は、Agilent Technologies 5975不活性XL質量選択検出器およびAgilent Technologies Capillaryカラム(HP1MS、15m×0.25mm、0.25ミクロン)を装備したAgilent Technologies 6890Nシリーズガスクロマトグラフ上で70eVで、以下に関して実施される:
プログラムされた方法:
50℃で0.5分間のオーブン平衡化時間
次いで、200℃まで25℃/分、および5分間保持
実行時間11分
【0292】
DSC
示差走査熱量測定(DSC)は、RCS冷却ユニットおよびオートサンプラーを装備したTA Instruments Discovery DSCを使用して実施した。50 mL/分の窒素パージガス流量を使用した。高分子量試料(190℃で<50dg/分のメルトインデックス)を、Carver Hydraulicプレスで190℃、圧力20,000psiで4分の時間の間、薄いフィルムにプレスし、続いて23℃の温度、20,000psiの圧力で1分の時間の間冷却した。約3~10 mgの材料をプレスフィルムから切り取り、重量を測定し、軽いアルミニウムのパンに入れ、圧着して閉じた。低分子量試料(190℃で>50dg/分のメルトインデックス)では、受け取ったままの包みから約3~10mgの材料を切り取り、秤量し、軽いアルミニウム鍋に入れ、圧着して閉じた。サンプルの熱挙動は、以下の温度プロファイルを使用して調査した。サンプルは急速に180℃に加熱され、5分間等温で保持された。次に、サンプルを10℃/分で-90℃に冷却し、5分間等温で保持した。次いで、試料を10℃/分で150℃に加熱した。冷却曲線および第2の加熱曲線を分析に使用した。ガラス転移温度(Tg)、融解温度(Tm)、およびエンタルピー熱(ΔHm)は、2番目の熱データから取得された。結晶化温度(Tc)は、最初のクールデータから取得された。Tgは、半値高法(half-height method)を使用して決定された。TmおよびTcは、それぞれ融解吸熱および結晶化発熱のピークとして決定された。第2の熱曲線から決定した融解熱(Hf)を、PEの場合292J/gの理論融解熱で除算し、この量に100を乗算することによって、結晶化度パーセントを計算する(例えば、結晶化度%=(Hf/292J/g)×100(PEの場合))。実施例が大部分のプロピレンを含有する場合、PPの理論上の融解熱165J/gを使用する。
【0293】
DMS
レオロジーは、「25mm」ステンレス鋼平行板を装備したAdvanced Rheometric Expansion System(ARES)で測定した。0.1~100 rad/sの周波数範囲での一定温度の動的周波数掃引は、190℃の窒素パージ下で実行された。約「直径25.4 mm」および「厚さ3.2 mm」のサンプルを、Carver油圧式ホットプレスで、温度190℃、圧力20,000 psiで4分間圧縮成形し、その後、温度23℃、圧力20,000 psi、1分間冷却した。サンプルを下部プレートに置き、5分間融解させた。次に、プレートを2.0 mmのギャップまで閉じ、サンプルを「直径25 mm」にトリミングした。テストを開始する前に、サンプルを190℃で5分間平衡化させた。複素粘度は、10%の一定の歪み振幅で測定された。0.1 rad/s(V0.1)および100 rad/s(V100)での粘度と、2つの粘度値の比(V0.1/V100)が報告されている。
【0294】
移動式ダイレオメーター(MDR)
ASTM D5289に従って、MDR-2000機器を使用して、182℃での各配合物の硬化速度プロファイル(硬化曲線としても知られている)を測定した。2枚のポリエステルMelinex Sフィルムの間に、樹脂の4グラムの試料を置いた。試験は、182℃で12分間の期間をかけて、1.67Hzで0.5度のアーク振動で行った。各配合組成物についての時間の関数としてのレオロジーまたはトルク曲線を、未硬化の試料から測定し、次いでこれを分析中に硬化させた。最小S’トルク(ML)および最大S’トルク(MH)などの粘弾性特性を、硬化サイクル中に測定した。
【0295】
高温クリープ
高温クリープを測定して硬化の程度を決定し、高温クリープによる伸長後、熱間硬化を使用して試料の弛緩を測定した。試験は、電源ケーブル断熱材料用のICEA-T-28-562-2003法に基づいた。高温クリープ試験は、150℃または200℃のガラス扉を備えたオーブンで、厚さ50ミルの試料に対して、試験片の底部に0.2MPaの応力を印加して実施した。各試料の3つの試験試験片を、ASTM D 412タイプD引張棒を使用して切り取った。試料を15分間伸長させ、長さの増加割合を測定し、3つの試験片の平均値を報告した。加熱下で5分間負荷を取り除き、10分間室温で冷却した後、高温クリープ試験を受けた同じ試料で、高温クリープ値を得た。「不合格」と報告された試料は、試験中に破損したか、または劣化オーブンの底まで伸びたかのいずれかであるので、高温クリープ値を測定することができなかった。
【実施例】
【0296】
連鎖移動剤(CTA)の調製
特に明記されない限り、全ての出発試薬および材料は、Sigma-Aldrichから入手した。以下の実施例で使用されるプロ触媒(触媒1)、(触媒13)、(触媒14)、および(触媒17)、ならびに任意の他のものは、前述のものと同じであり、前述の方法に従って調製する。プロ触媒(触媒1)はまた、[N-(2,6-ジ(1-メチルエチル)フェニル)アミド)(2-イソプロピルフェニル)(α-ナフタレン-2-ジイル(6-ピリジン-2-ジイル)メタン)]ジメチルハフニウムとして同定することができる。「助触媒A」は、以下の実施例で使用される助触媒であり、ビス(水素化タローアルキル)メチル、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(1-)アミンである。
【0297】
トリス(2-(シクロヘキサ-3-エン-1-イル)エチル)アルミニウム(「CTA1」)の合成。本開示の例示的な連鎖移動剤を、以下のように調製した。ドライボックス内で、4-ビニル-1-シクロヘキセン(3.2mL、24.6mmol)およびトリイソブチルアルミニウム(2.0ml、7.92mmol)を、蓋に撹拌棒および通気針を装備したバイアル内の5mLのデカンに添加した。この混合物を3時間撹拌しながら120℃で加熱した。3時間後、
1H NMR分析用に試料をベンゼン-d6に溶解させ、別のアリコートを水で加水分解させ、GC/MSによって分析した。
1H NMRは、全てのビニル基が反応し、内部二重結合が残っていることを示した(
図1A)。GC/MSは、エチルシクロヘキセンの分子量と一致して、110のm/zで明確なピークを示した(
図1B)。したがって、
1H NMRおよびGC/MSにより、非限定的なスキーム1を介したトリス(2-(シクロヘキサ-3-エン-1-イル)エチル)アルミニウム(「CTA1」)の合成を確認した。
【化62】
【0298】
トリス(3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-イル)アルミニウム(「CTA2」)の合成:窒素を充填したドライボックス内で、40mlバイアルに撹拌棒を装備し、DIBAL-H(8.10ml、9.64mmol、トルエン中20重量%溶液)およびシトロネレン(4.00g、28.93mmol、異性体の混合物)を充填した。バイアルを加熱ブロックに置き、通気針をヘッドスペースに挿入した。溶液を110~112℃で9時間加熱して、無色透明の溶液([Al]=0.88M)を得た。材料が、
1H NMRを介して、C
6D
6に溶解させたアリコートであること、ならびにGC/MSで加水分解させたアリコート(M/Z=140)の、所望の生成物であることを決定した(
図2)。したがって、
1H NMRおよびGC/MSにより、非限定的なスキーム2を介したトリス(3,7-(ジメチルオクタ-6-エン-1-イル)アルミニウム(「CTA2」)の合成を確認した。
【化63】
【0299】
ヘキサ-4-エン-1-イルジイソブチルアルミニウム(「CTA3」)の合成:本開示の例示的な連鎖移動剤は、以下のように調製した。窒素を充填したドライボックス内で、DIBAL-H(0.800g、5.63mmol)および1,4-ヘキサジエン(0.65ml、5.63mmol、d 0.710、シスおよびトランス異性体の混合物)を3mLの乾燥した脱気トルエンに添加した。反応混合物を25℃で14時間撹拌した。加水分解させた試料(以下の加水分解手順を参照されたい)の
1H NMR分析は、反応を示さなかった。溶液を22時間撹拌しながら60℃で加熱した。バイアルを25℃に冷却した後、アリコートを加水分解させ分析した。開始ジエンの消失および加水分解生成物:イソブタンおよび2-ヘキセンと一致するシグナルの出現によって示される、完全な反応を
1H NMRによって観察した。分析用の加水分解は、バイアル内で、約0.1mLの試料をC
6D
6で約2mlまで希釈し、グローブボックスから試料を取り出し、シリンジを介して窒素パージした水約0.1mLを添加することによって行った。バイアルを振とうさせた後、混合物を0.45μmシリンジフィルターに通した。有機相は水相よりも容易に通過するので、分析用の有機相を迅速に単離することが可能である。次いで、試料を少量のシリカゲルと混合し、再度ろ過した。これは、ゲル化を引き起こし得る残留Al種の除去に役立つ。したがって、
1H NMRにより、非限定的なスキーム3を介したヘキサ-4-エン-1-イルジイソブチルアルミニウム(「CTA3」)の合成を確認した。
【化64】
【0300】
ビス(-2-エチルヘキサ-4-エン-1-イル)亜鉛(「CTA4」)の合成:窒素を充填したドライボックス内で、ジエチル亜鉛(3.40ml、5.00mmol、トルエン中20重量%)、1,4-ヘキサジエン(1.16ml、10.00mmol、d 0.710、シスおよびトランス異性体の混合物)、および活性化剤[HNMe(C
18H
37)
2][B(C
6F
5)
4](1.40ml、0.09mmol、メチルシクロヘキサン中0.064M)をバイアル内で混合した。(触媒13)(0.045g、0.08mmol))を固体として添加し、反応混合物を25℃で20時間撹拌した。加水分解させた試料(以下の加水分解手順を参照されたい)の
1H NMRおよびGC/MS分析は、完全な反応を示さなかった。
1H NMRは、開始ジエンの消失および加水分解生成物5-メチルヘプタ-2-エンと一致するシグナルの出現によって示した。GC/MSは、同じ予想される加水分解生成物を示した。したがって、
1H NMRおよびGC/MSにより、非限定的なスキーム4を介したビス(-2-エチルヘキサ-4-エン-1-イル)亜鉛(「CTA4」)の合成を確認した。
【化65】
【0301】
「CTA5」の合成:メチルシクロヘキサン(0.60ml、0.039mmol、0.0644M)およびトリエチルアルミニウム(0.53ml、3.88mmol、未希釈、93%)中のジエチル亜鉛(0.66ml、0.97mmol、トルエン中1.47Mの溶液)、4-ビニルシクロヘキセン(1.77ml、13.58mmol、d 0.832)、活性化剤([HNMe(C
18H
37)
2][B(C
6F
5)
4])の溶液をトルエン(~10ml)に溶解させた。(触媒13)(0.023g、0.039mmol)を固体として添加し、反応混合物を25℃で14時間撹拌した。アリコートをC
6D
6に溶解させ、水でクエンチした。GC/MSおよび
1H NMRにより、4-ビニルシクロヘキセンの消費および所望の生成物(m/z=138)の形成を確認した。したがって、これにより、CTA5が非限定的なスキーム5を介して調製されたことを確認する。
【化66】
【0302】
「CTA6」の合成:トリス(2-(シクロヘキサ-3-エン-1-イル)エチル)アルミニウム(10mL、[Al]=0.424M)のトルエン溶液をジイソブチル亜鉛(0.286g、1.59mmol)および4-ビニルシクロヘキセン(0.416ml、3.19mmol、d 0.830)と混合した。溶液を110℃で4時間加熱し、通気針をバイアルのセプタムキャップに通して挿入して、イソブチレンを逃がした。この処理中に、DIBZからの
iBu基がAlに移動し、イソブチレンの熱脱離、それに続く4-ビニルシクロヘキセンの挿入により、AlおよびZnの全てのアルキル基がシクロヘキセニルエチル基であることを確実にした。
1H NMR分析用に、この混合物のアリコート(0.1ml)をC
6D
6(0.5ml)で希釈し、加水分解させた。
1H NMR分析により、CTAが非限定的なスキーム6を介して合成されたことを確認した。
【化67】
【0303】
「CTA7」の合成:CTA7の合成は、非限定的なスキーム7に例示され、以下に記載されている。それを2つのステップで行った。第1のステップでは、トリビニルシクロヘキサン(TVCH)を、触媒量のDIBAL-Hの存在下で分子内環化を介してジエンに変換し、第2のステップでは、追加のDIBAL-Hを添加してCTAを形成した。したがって、窒素を充填したドライボックス内で、DIBAL-H(0.30g、2.11mmol)をTVCH(4.09ml、21.1mmol、d 0.836)に添加した。混合物を160℃で加熱し、2時間撹拌して環化TVCHを形成した。別々のバイアルに、追加のDIBAL-H(0.35g、2.46mmol)をデカン(5ml)に溶解させ、続いて上で得た環化TVCH(2.05ml、10.5mmol)の一部分を添加した。溶液を130℃で2時間維持してAl-TVCH溶液を得た。
【化68】
【0304】
「CTA8」の合成:CTA8の合成は、非限定的なスキーム8に例示され、以下に記載されている。窒素を充填したドライボックス内で、20mlバイアルに撹拌棒を装備し、DIBAL-H(2.00ml、2.39mmol、トルエン中20重量%(1.196M))および(R)-(+)-リモネン(2.32ml、14.35mmol、d 0.842)を充填した。バイアルを加熱ブロックに置き、通気針をセプタムキャップに通して挿入し、溶液を110~112℃で11時間加熱した。溶媒および過剰なリモネンを、真空下50℃で一晩除去して、所望の生成物を無色の粘稠な油として得た(0.870g、83%)。
【化69】
【0305】
「CTA9」の合成:CTA9の合成は、非限定的なスキーム9に例示され、以下に記載されている。窒素を充填したドライボックス内で、40mlバイアルに撹拌棒を装備し、DIBAL-H(2.00g、14.06mmol)、トルエン(9.2ml)、および7-メチル-1,6-オクタジエン(5.24g、42.19mmol)を充填した。即時の発熱(いくらかの気泡を伴う)が観察された。バイアルを加熱ブロックに置き、通気針をセプタムキャップに通して挿入し、溶液を110~112℃で3時間加熱した。3時間の反応時間の後、アリコートは反応の進行を示した。溶液は、少量の懸濁した白い固体粒子を含有していた。反応をさらに22時間続けた。反応をほぼ完了させた。アルケン試薬から少量の二量体形成が観察された。反応をさらに16時間続けた。アリコートの分析は、有意な変化を示さなかった。
【化70】
【0306】
テレケリックポリオレフィンのバッチ反応器合成
式A1L1L2A2のテレケリックポリオレフィンの3セットの非限定的な実施例を、以下のようにバッチ反応器を介して合成した。
【0307】
セット1
表1A~1Cを参照すると、セット1は、以下のように調製した、実験BR1~BR12で作製した本発明のテレケリックポリマーを含む。各実験では、1ガロンの撹拌オートクレーブ反応器に、Isopar(商標)E混合アルカン溶媒(~1.3kg)、所望の質量のプロピレン、またはオクテン、および/またはエチリデンノルボルネン(ENB)(60g)、ならびにCTAを充填する。反応器を120℃に加熱し、エチレン(20g)を充填する。不活性雰囲気下のドライボックス内で、プロ触媒と活性化剤混合物(1.2当量の助触媒Aと10当量の修飾メチルアルミノキサン(MMAO-3A)との混合物)とを混合することにより、活性触媒溶液(活性触媒溶液が、1:1.2のプロ触媒対助触媒Aの比を有する)を調製する。活性触媒溶液を反応器に注入して、重合を開始する。重合中にエチレンを供給し、必要に応じて反応器を冷却することによって、反応器圧力および温度を一定に保持する。10分後、反応器を200℃に加熱し、その温度で20分間保持した。エチレンの供給を遮断し、窒素パージした樹脂ケトルにポリマー溶液を移動させる。リン安定剤およびフェノール系抗酸化剤(トルエン中2:1の重量比のIrgafos(登録商標)168およびIrganox(登録商標)1010)を含有する添加剤溶液を添加して、ポリマー中およそ0.1%の総添加剤含有量を得る。真空オーブンで、ポリマーを完全に乾燥させる。
【表1】
【表2】
【表3】
【0308】
セット2
表2を参照すると、セット2は、セット1と同様の手順を介して実験B1~B7で作製した本発明のテレケリックポリマーを含む。実験B1は、1:1.2:10の(触媒1):助触媒A:捕捉剤比を有する捕捉剤MMAO-3Aを使用した。実験B2~B7は、1:1.2のプロ触媒対助触媒の比を使用した。表2の全ての実験は、水素を用いずに行った。全ての実験は、以下の条件:エチレン(g):20、1-オクテン(g):60、圧力(psi):55、溶媒(Isopar E、g):1325を有した。CTA5の充填は、移動可能な基の数に基づいた。実験B1、B2、B4、およびB6は、120℃で10分間であった。実験B3、B5、およびB7は、200℃で20分間(120~200℃への移行時間を除く)の追加の加熱ステップを含んだ。
【表4】
【0309】
セット3
セット3は、本発明のテレケリックポリエチレンポリマーを合成するための以下の実施例を含む。
【0310】
窒素を充填したドライボックス内で、撹拌棒を装備したバイアルに、オクテン(10ml)、助触媒A(0.023mLの0.075M溶液、0.0017mmol)、およびCTA7(0.402mLの0.5M溶液、0.2mmol)を充填する。バイアルをセプタムキャップで密封し、100℃に設定された加熱ブロックに入れる。(小さなシリンダーからの)エチレンラインが接続され、バイアルのヘッドスペースを針を介してゆっくりとパージする。触媒13(0.067mLの0.02M溶液、0.0013mmol)を注入し、パージ針を取り外して、全圧を20psigに維持する。重合を20分間維持し、次いでエチレンラインを取り外し、ポリマー溶液を冷却した。このポリマー溶液を600mLのParr反応器に移動させ密封した。反応器を200psigのエチレン圧力下で摂氏200度に30分間加熱した。ポリマーを大量のメタノールによってクエンチし、濾過し、真空下で一晩乾燥させた。1H NMR(
図3)により、以下に示される非限定的反応スキームを介して合成が起こったことを確認した。
【化71】
【0311】
窒素を充填したドライボックス内で、撹拌棒を装備したバイアルに、オクテン(10ml)、助触媒A(0.023mLの0.075M溶液、0.0017mmol)、およびCTA8(0.088g、0.2mmol)を充填する。バイアルをセプタムキャップで密封し、100℃に設定された加熱ブロックに入れる。(小さなシリンダーからの)エチレンラインが接続され、バイアルのヘッドスペースを針を介してゆっくりとパージする。触媒13(0.067mLの0.02M溶液、0.0013mmol)を注入し、パージ針を取り外して、全圧を20psigに維持する。重合を20分間維持し、次いでエチレンラインを取り外し、ポリマー溶液を冷却した。このポリマー溶液を600mLのParr反応器に移動させ密封した。反応器を200psigのエチレン圧力下で摂氏200度に30分間加熱した。ポリマーを大量のメタノールによってクエンチし、濾過し、真空下で一晩乾燥させた。1H NMR(
図4)分析により、以下の非限定的反応スキームを介して合成が起こったことを確認した。
【化72】
【0312】
連続溶液重合
非限定的な実施例の式A1L1L2A2のテレケリックポリオレフィンおよび式A1L1の不飽和ポリオレフィンを、以下の連続溶液重合を介して作製した。
【0313】
内部撹拌機を備えたコンピューター制御オートクレーブ反応器内で、連続溶液重合を行う。精製した混合アルカン溶媒(ExxonMobilから入手可能なIsopar(商標)E)、モノマー、および分子量調節剤(水素または連鎖移動剤)を、温度制御用のジャケットを装備した3.8L反応器に供給する。反応器への溶媒供給量は、質量流量コントローラーによって測定される。可変速ダイヤフラムポンプが、溶媒の流量と反応器への圧力を制御する。ポンプの放出口では、プロ触媒、活性化剤、および連鎖移動剤(触媒成分溶液)注入ラインに急な流れを提供するために側流を取る。これらの流れはMicro-Motion質量流量計によって測定され、制御弁によって制御される。残りの溶媒をモノマーおよび水素と混合し、反応器に供給する。溶媒/モノマー溶液の温度は、反応器に入る前に熱交換器を使用することによって制御される。この流れは反応器の底部に入る。触媒成分溶液は、ポンプおよび質量流量計を使用して計量され、触媒フラッシュ溶媒と組み合わされて、反応器の底部に導入される。反応器は、激しく撹拌しながら、500psigで液体で一杯である。反応器の頂部の出口ラインを通して、ポリマーを取り出す。反応器からの全ての出口ラインは、蒸気トレースされて断熱されている。次いで、生成物流を、反応器後加熱器(PRH)に通過させることによって230℃で加熱し、反応器後加熱器でポリマー-Alのベータ-H除去を行う。脱気分離の前、(比較例では)PRHの前または(本発明の実施例では)PRHの後のいずれかに、少量のイソプロピルアルコールを任意の安定剤または他の添加剤と共に添加する。脱揮押し出し機を使用する押し出しによって、ポリマー生成物を回収する。
【0314】
本発明および比較例の反応後加熱(PRH)前の重合プロセス条件および結果を、表A1~B2に列挙する。式A1L1の本発明の不飽和ポリオレフィンを、Inv.MP1~MP4と名付ける。式A1L1L2A2の本発明のテレケリックポリオレフィンを、Inv.TP1~TP10と名付ける。比較ポリマーは、Comp.AおよびBと名付ける。表の追加の略語を以下のように説明する:「Co.」は、コモノマーの略であり、「sccm」は、標準cm3/分の略であり、「T」は、温度を指し、「触媒」はプロ触媒の略であり、「触媒1」は、プロ触媒(触媒1)の略であり、「触媒17」は、プロ触媒(触媒17)の略であり、「助触媒」は、助触媒Aの略であり、「Al CTA」はアルミニウム連鎖移動剤の略であり、「TEA」は、トリエチルアルミニウムの略であり、「TOA」は、トリオクチルアルミニウムの略であり、「Poly Rate」は、ポリマー生産速度の略であり、「Conv」は、反応器内のエチレン変換率の略であり、「Eff」は、効率、kgポリマー/g触媒金属の略である。
【0315】
加えて、[CTA]/[C2H4]は、反応器内のモル比を指し、Al/C2*1000=(Al供給流量*Al濃度/1000000/AlのMw)/(総エチレン供給流量*(1-部分的エチレン変換率)/エチレンのMw)*1000である。「Al/C2*1000」の「Al」は、重合プロセスで使用されるCTA中のAlの量を指し、「C2」は、重合プロセスで使用されるエチレンの量を指す。
【0316】
反応器後加熱および回収後の本発明のポリマーおよび比較ポリマーの特性を、表C1~E2に提供する。
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【0317】
上記の表に見られるように、1H NMRおよび13C NMR分析により、本開示の発明プロセスを介して、新しいテレケリックポリオレフィンTP1~TP10の合成を確認する。具体的には、当業者が理解するであろうように、1H NMRおよび13C NMR分析により、そのようなポリオレフィンが両端に不飽和を有するTP1~TP10の新しいテレケリックポリオレフィンの形成を確認する。具体的には、そのようなポリオレフィンは、一端にA1基(ビニル、ビニレン、ビニリデン)、他端に立体障害のある二重結合(シクロヘキセンまたは三置換アルケン)を有するA2基を有する。対照的に、本開示の本発明のプロセスに従って調製しなかった比較ポリマーAおよびBは、1H NMRおよび13C NMR分析を介して見られるような低不飽和度を有するポリマーである。
【0318】
Inv.TP5では、A2基の立体障害のある二重結合は、三置換不飽和であり、上の表に報告されているように、多数の三置換不飽和/1000000Cを生じる。TP5の三置換不飽和の数は、同様の反応器条件下で同じ触媒を用いるが、分子量を制御するために水素を用いて生成した比較Bのものよりも多い。少数の三置換不飽和は、ベータ-水素化物除去およびその後のエチレン/アルファ-オレフィンの不飽和の再配置を介して形成され得る。この熱停止メカニズムによって形成される三置換不飽和の数は、使用される触媒およびプロセス条件に依存する。この熱停止メカニズムからの少数の三置換不飽和は、全ての比較例および本発明の実施例に存在するが、三置換不飽和の大部分がA2基からのものであるTP5を除いて、ビニルおよびビニリデンよりも低いレベルで存在する。
【0319】
上記のように、本開示の新規のテレケリックポリオレフィンは、ポリマー骨格に沿ってランダムに分布するのではなく、鎖の末端に不飽和を含有する。そのようなテレケリックポリオレフィンは、硬化性配合物に好適であり得、架橋を改善し得る。不飽和の位置をポリマー鎖末端に制御することにより、より制御されたネットワーク構造が形成され(架橋間の均一なMw)、ポリマー鎖の不飽和がより効率的に使用されるようになる。これにより、所与の分子量に対して良好な機械的特性を備えた架橋ネットワークを形成するために必要な不飽和が少なくなるので、良好な熱劣化およびUV劣化の安定性が提供されるはずである。本開示の低Mwテレケリックポリオレフィンの低粘度は、高MwのEPDMとは異なり、架橋前に優れた加工性および流動性を提供するであろう。
【0320】
加えて、本開示のテレケリックポリオレフィンは、はるかに高価かつ複雑な合成経路を介して文献で生成されてきたテレケリックポリオレフィンと比べて特異である、エチレンおよびアルファ-オレフィンからの低コストな溶液重合で生成される。さらに、テレケリックポリオレフィンはまた、不飽和を有するランダムコポリマーとは異なり、高分子量の熱プラスチックへの鎖延長を制御する機会も可能にする。不飽和は鎖の端にあるので、テレケリックポリオレフィンを鎖延長させて高分子量の熱可塑性樹脂を形成することができる。好適な架橋および鎖延長化学には、過酸化物、チオレン、硫黄硬化、フェノール硬化などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0321】
ケーブル断熱用の硬化性組成物
以下の非限定的な実施例は、本発明の硬化性組成物が、本発明のポリオレフィンTP3、TP9、TP4、またはMP4を含む本開示の本発明の硬化性組成物を実証する。
【0322】
以下の実施例では、以下の材料も使用した。
【0323】
LDPE:The Dow Chemical Companyからの0.9183g/cm3の密度(ASTM D792)および1.9g/10分(ASTM D1238、190℃/2,16kg)のメルトインデックスを有する低密度ポリエチレン。
【0324】
ENGAGE(商標)8100:The Dow Chemical Companyから入手可能な、0.870g/cm3の密度(ASTM D792)および1.0g/10分のメルトインデックス(ASTM D1238、190℃/2.16kg)を有するエチレン/1-オクテンコポリマー。
【0325】
ENGAGE(商標)8100:The Dow Chemical Companyから入手可能な、0.870g/cm3の密度(ASTM D792)および5.0g/10分のメルトインデックス(ASTM D1238、190℃/2.16kg)を有するエチレン/1-オクテンコポリマー。
【0326】
4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールは、市販の抗酸化剤である。
【0327】
AMSDは、スコーチ抑制剤であるアルファ-メチルスチレン二量体を指す。
【0328】
Fangruidaから入手可能な過酸化ジクミル(DCP)。
【0329】
単環式オルガノシロキサン:The Dow Chemical Companyから入手した、2,4,6,8-テトラメチル-2,4,6,8-テトラビニル-シクロテトラシロキサン、「(DVi)4」(CAS番号2554-06-5)。
【0330】
試料調製
最終組成物は、LDPEを含む組成物では70℃、および他の全ての組成物では50℃で4時間の間、ガラスジャー(満杯の50%以下)で各試料の150グラムのペレットを予熱することによって調製した。2つのポリマー樹脂を含有する実施例を融解ブレンドおよびペレット化した(40rpmおよび120/117/115/113℃の温度プロファイルで、単軸スクリュー押し出し機を使用して融解ブレンドし、次いでストランドダイを通して押し出し、ベルト上で冷却し、ペレット化した-ベルト速度を調整して、受け取ったままのLDPEペレットと同等のサイズのペレットを得た)、その後、過酸化ジクミルおよび他の添加剤に浸漬させた。別で過酸化ジクミルを60℃(40℃の融点以上)に予熱した。融解したら、液体過酸化ジクミルおよび他の添加剤を、シリンジを使用してジャー内の予熱されたポリマーペレットに添加し、室温で5分間タンブルブレンドした。次いで、液体が吸収されるまでジャーをオーブンに戻した。
【0331】
高温クリープ試験用に、組成物を厚さ50ミルのプラークに圧縮成形した。プラークを圧縮成形し、プレスで硬化させた。125℃で3分間低圧力下で、次いで3分間高圧力下で試料をプレスした。次に、試料を取り出し、切片に切り取り、再充填し、低圧力下125℃で3分間プレスし、次いでプレスを180℃に上げ、高圧力で15分間硬化させた。15分後、プレスを高圧力で30℃に冷却した。30℃になったら、プレスを開き、プラークを取り出した。
【0332】
性能および特性
以下に示す表WC1~WC5は、例示的な硬化性組成物のMHおよび高温クリープを報告している。IEは、本発明の硬化性組成物を示す。CEは、ケーブル断熱材用の硬化性組成物に関する最先端技術を表す比較例を示す。
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【0333】
表WC1~WC5に見られるように、本開示のテレケリックポリオレフィンおよび/または不飽和ポリオレフィンを含む本発明の硬化性組成物は、驚くべきことにかつ予想外にも、最先端技術を表す比較例と比較して、少ない架橋剤を用いてでさえ改善された硬化レベル(より高いMH)およびより低い高温クリープを実証している。本発明の実施例は、表WC1およびWC2が、同様のメルトインデックスの比較例よりも高いMHおよび低い高温クリープを実証している。したがって、より低いレベルの過酸化物で業界の高温クリープ要件(150℃および/または200℃で<175%)を満たすことができる。あるいは、所与の過酸化物レベルで、より高いメルトインデックス/より低い粘度を有する本発明の本発明のテレケリックおよび/または不飽和ポリオレフィンを含む硬化性組成物を使用して、比較硬化性組成物よりも高温クリープ要件を満たすことができる。より低粘度の配合物は、押し出し中にスコーチをもたらし得る剪断加熱が低く、したがって、より速い押し出し速度を可能にすることができることによって、有益であり得る。例えば、5g/10分のメルトインデックスおよび1.6重量%のDCPを有する、低い不飽和度を有するか、またはまったく不飽和を有さないポリオレフィンで作製されたCE-3Bは、200℃では高温クリープ要件を満たしていない。しかし、17g/10分のメルトインデックスおよび1.6重量%のDCPを有する本発明のテレケリックポリオレフィンで作製されたIE-4Bは、200℃での高温クリープ要件(<175%)に合格する。表WC3~WC5において、0.36重量%の過酸化物を含む本発明の実施例(IE-6B、IE-6C、IE-6E、IE-8D、IE-8E、IE-9D、IE-9E、IE-11B、IE-11C、IE-11D)または0.3重量%の過酸化物(IE-6D)を含む本発明の実施例は、業界の高温クリープ要件(150℃および/または200℃で<175%)を満たすことができるが、0.36重量%DCPを使用すると、比較例(CE-6)は高温クリープ要件を満たしていない。むしろ、現在の最先端技術を代表するLDPEポリマーを使用すると、高温クリープ要件を満たすには0.5重量%のDCP(CE-5A)が必要である。IE-11B、IE-11C、およびIE-11Dは、本発明のテレケリックポリオレフィンがLDPEとブレンドされた本発明の硬化性組成物を調製することができることを実証している。したがって、これらの予想外の結果から、本開示の本発明の硬化性組成物は、過酸化物レベルを低減して副生成物を100ppm未満のメタンに低減して、ゼロ脱気配合物を達成する必要性に対処し、これは断熱ケーブルの製造における時間およびコストのかかる脱気プロセスの低減またはさらには排除をもたらすことは明らかである。
本願発明には以下の態様が含まれる。
項1.
ケーブル断熱層用の硬化性組成物であって、(A)式A1L1の不飽和ポリオレフィンを含むポリオレフィン成分と、(B)架橋剤を含む硬化成分と、を含み、式中、
L1が、ポリオレフィンであり、
A1が、ビニル基、式CH2=C(Y1)-のビニリデン基、式Y1CH=CH-のビニレン基、ビニル基と式Y1CH=CH-のビニレン基との混合物、ビニル基と式CH2=C(Y1)-のビニリデン基との混合物、式CH2=C(Y1)-のビニリデン基と式Y1CH=CH-のビニレン基との混合物、およびビニル基と式CH2=C(Y1)-のビニリデン基と式Y1CH=CH-のビニレン基との混合物からなる群から選択され、
Y1が、出現ごとに独立して、C1~C30ヒドロカルビル基である、硬化性組成物。
項2.
ケーブル断熱層用の硬化性組成物であって、(A)式A1L1L2A2のテレケリックポリオレフィンを含むポリオレフィン成分と、(B)架橋剤を含む硬化成分と、を含み、式中、
L1が、ポリオレフィンであり、
A1が、ビニル基、式CH2=C(Y1)-のビニリデン基、式Y1CH=CH-のビニレン基、ビニル基と式Y1CH=CH-のビニレン基との混合物、ビニル基と式CH2=C(Y1)-のビニリデン基との混合物、式CH2=C(Y1)-のビニリデン基と式Y1CH=CH-のビニレン基との混合物、およびビニル基と式CH2=C(Y1)-のビニリデン基と式Y1CH=CH-のビニレン基との混合物からなる群から選択され、
Y1が、出現ごとに独立して、C1~C30ヒドロカルビル基であり、
L2が、C1~C32ヒドロカルビレン基であり、
A2が、立体障害のある二重結合を含むヒドロカルビル基である、硬化性組成物。
項3.
ケーブル断熱層用の硬化性組成物であって、(A)式A1L1の不飽和ポリオレフィンおよび式A1L1L2A2のテレケリックポリオレリンを含む、ポリオレフィン成分と、(B)架橋剤を含む硬化成分と、を含み、式中、
L1が、出現ごとに独立して、ポリオレフィンであり、
A1が、出現ごとに独立して、ビニル基、式CH2=C(Y1)-のビニリデン基、式Y1CH=CH-のビニレン基、ビニル基と式Y1CH=CH-のビニレン基との混合物、ビニル基と式CH2=C(Y1)-のビニリデン基との混合物、式CH2=C(Y1)-のビニリデン基と式Y1CH=CH-のビニレン基との混合物、およびビニル基と式CH2=C(Y1)-のビニリデン基と式Y1CH=CH-のビニレン基との混合物からなる群から選択され、
Y1が、出現ごとに独立して、C1~C30ヒドロカルビル基であり、
L2が、C1~C32ヒドロカルビレン基であり、
A2が、立体障害のある二重結合(hindered double bond)を含むヒドロカルビル基である、硬化性組成物。
項4.
前記テレケリックポリオレフィンが、1,000g/mol~1,000,000g/molの重量平均分子量を有する、項2または3に記載の硬化性組成物。
項5.
前記不飽和ポリオレフィンが、1,000g/mol~1,000,000g/molの重量平均分子量を有する、項1または3に記載の硬化性組成物。
項6.
前記架橋剤が、過酸化ジクミルである、項1~5のいずれかに記載の硬化性組成物。
項7.
前記硬化性組成物が、(C)抗酸化剤を含む添加剤成分をさらに含む、項1~6のいずれかに記載の硬化性組成物。
項8.
前記(A)ポリオレフィン成分が、低密度ポリエチレンポリマーをさらに含む、項1~7のいずれかに記載の硬化性組成物。
項9.
前記(B)硬化成分が、助剤をさらに含む、項1~8のいずれかに記載の硬化性組成物。
項10.
前記助剤が、2,4,6,8-テトラメチル-2,4,6,8-テトラビニルシクロテトラシロキサンである、項9に記載の硬化性組成物。
項11.
前記架橋剤が、前記硬化性組成物の総重量に基づいて、1重量%以上~2重量%の量で存在し、
前記硬化性組成物が、180℃で15分間硬化させた後、35%以下の150℃または200℃での高温クリープを有する、項1~10のいずれかに記載の硬化性組成物。
項12.
前記架橋剤が、前記硬化性組成物の総重量に基づいて、0.3重量%~0.36重量%の量で存在し、
前記硬化性組成物が、180℃で15分間硬化させた後、175%以下の150℃または200℃での高温クリープを有する、項1~10のいずれかに記載の硬化性組成物。
項13.
式A1L1の前記不飽和ポリオレフィンのL1が、炭素-炭素単結合を通じてA1に共有結合している、項1および3~12のいずれかに記載の硬化性組成物。
項14.
式A1L1L2A2の前記テレケリックポリオレフィンのL1が、炭素-炭素単結合を通じてA1およびL2の各々に共有結合し、式A1L1L2A2の前記テレケリックポリオレフィンのL2が、炭素-炭素単結合を通じてA2に共有結合している、項2~13のいずれかに記載の硬化性組成物。
項15.
ケーブル断熱層である、項1~14のいずれかに記載の硬化性組成物から作製された、物品。