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特許7523451流体を保持する装置をクリーニングする方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】流体を保持する装置をクリーニングする方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   F28G 7/00 20060101AFI20240719BHJP
   B06B 1/02 20060101ALI20240719BHJP
   B08B 3/12 20060101ALI20240719BHJP
   B08B 7/00 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
F28G7/00 A
B06B1/02 K
B08B3/12 A
B08B7/00
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021545844
(86)(22)【出願日】2020-01-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-24
(86)【国際出願番号】 FI2020050016
(87)【国際公開番号】W WO2020161382
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】20195083
(32)【優先日】2019-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】518402059
【氏名又は名称】アルタム テクノロジーズ オサケユイチア
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100126848
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】ペトロ モイラネン
(72)【発明者】
【氏名】ティモ ラウハラ
(72)【発明者】
【氏名】カスペル ペテルツェンス
(72)【発明者】
【氏名】アリ サルミ
(72)【発明者】
【氏名】エドワルド ヘッグストローム
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第98/049671(WO,A1)
【文献】特開昭52-065349(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01149637(EP,A2)
【文献】米国特許出願公開第2018/0147610(US,A1)
【文献】国際公開第2017/194839(WO,A1)
【文献】特開2008-062162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28G 7/00
B08B 3/12
B08B 7/00 - 9/46
B06B 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を保持する装置をクリーニングする方法であって、前記装置は、外側表面及び内側表面を有する壁を有し、前記方法は、
a)システム(200、300、400、500、700)であって、
機械的波生成手段(201、301、401、501、70
第1端部(200a、300a、400a、500a、700a)であって、点状の圧力源のペアとして機能するように適合された突出部の少なくとも1つのペア(204a、b、304a、b、401a、b、704a、b)を有する第1端部(200a、300a、400a、500a、700a)
を有するシステム(200、300、400、500、700)を提供するステップと、
b)前記突出部の少なくとも1つのペア前記外側表面と接触させるステップと、
c)前記機械的波生成手段が、前記突出部の少なくとも1つのペアを介して実質的に前記第1端部において波腹を有する機械的波の連続体を前記内側表面に向かって放出するステップと、
d)前記機械的波が、前記内側表面上において干渉し、且つ、振動する内側表面を生成するステップと、
e)前記振動する内側表面が、圧力パルスを前記流体内に生成するステップと、
を有し、
前記突出部の少なくとも1つのペアは、第1部材(704a)と、第2部材(704b)と、を有し、且つ、前記第1部材を介して放出される機械的波と前記第2部材を介して放出される機械的波の間の位相差は、πの偶数倍とπの奇数倍の間である、方法。
【請求項2】
前記システムは、前記第1端部と前記機械的波生成手段の間において導波路(202、302、502)を有する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記突出部の少なくとも1つペアは、第1部材と、第2部材と、を有し、且つ、前記第1部材と前記第2部材の間の距離d1は、≦4hであり、hは、前記壁の厚さであ請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記外側表面との間における、前記突出部の少なくとも1つのペアの接触面積b1、b2の合計、前記第1端部の合計面積aの1~30%ある請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記システムは、1つ又は複数のフランジ部分(312)を有し、且つ、前記機械的波の連続体は、実質的に前記1つ又は複数のフランジ部分において波節を有する請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記壁の厚さは、5~30mmである請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記突出部の少なくとも1つのペア、前記装置の表面の材料よりも柔軟な材料から製造されている請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記装置は、熱交換機である請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記流体は、液体である請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
流体を保持する装置をクリーニングするシステムであって、前記システムは、
機械的波生成手段(201、301、401、501、701)と、
点状の圧力源のペアとして機能するように適合された突出部の少なくとも1つのペア(04a、b)有する第1端部(200a、300a、400a、500a、700a)と、
を有し、
前記機械的波生成手段は、機械的波の連続体を前記突出部の少なくとも1つのペア向かって放出するように適合されており、且つ、前記機械的波の波形は、基本的に前記第1端部において波腹を生成するように適合されており
前記突出部の少なくとも1つのペアは、第1部材(704a)と、第2部材(704b)と、を有し、且つ、前記第1部材を介して放出される機械的波と前記第2部材を介して放出される機械的波の間の位相差は、πの偶数倍とπの奇数倍の間である、システム。
【請求項11】
前記第1端部と前記機械的波生成手段の間において導波路(202、302、502を有する請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記突出部の少なくとも1つのペア記突出部の少なくとも1つのペア接触面積の合計が、前記第1端部の合計面積の1~30%になるように、前記装置の外側表面と触状態となるように適合されている請求項10又は11に記載のシステム。
【請求項13】
流体を保持する装置をクリーニングする請求項10乃至12のいずれか1項に記載のシステムの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換機などの、流体を保持する装置をクリーニングする方法、特に、クリーニングが、装置の外側表面と接触状態にある点状の圧力源を有するトランスデューサ組立体を使用することにより、実行される方法に関する。又、本発明は、この方法において使用するのに適したトランスデューサ組立体などのシステムにも関する。
【背景技術】
【0002】
産業において、汚れは、資本費用及び運用費用の両方に対して影響を有する。内部汚れの増大は、乏しい熱効率を結果的にもたらす。これは、設計された熱交換機、パイプ、及びその他の機器の金属表面に対する乏しい熱伝達及び物質移動と結合されている。汚れた熱交換器のクリーニングは、例えば、化学、石油、及び食品プロセスの維持及び稼働に対して大きな課題を提示している。汚れを極小化するためのプロセス及びハードウェアの設計における努力にも拘わらず、交換機の複雑な内部表面は、結果的に、そのユニットを必要とされている効率に回復するべくクリーニングを必要としている。
【0003】
熱交換器は、通常、交換機を除去することにより、且つ、高圧水を噴霧して汚れを除去するべくユニットをウォッシュパッド上に配置することにより、現場においてクリーニングされている。超音波槽内における熱交換器のクリーニングは、その内部への音響の結合を許容し、且つ、クリーニングを実現するべく十分な流体を保持する能力を有し、且つ、浸漬された装置から汚れ物質の容易な除去を許容するべく特定の設計を有する、特別に設計された容器を必要としている。
【0004】
特許文献1は、チューブシート上に堆積されたスケール及び/又はスラッジを除去するように構成されたセグメント型の超音波クリーニング装置を開示している。セグメント型の超音波クリーニング装置は、スチーム生成器の内側壁に沿ってチューブシートの上部表面上でリング形状に構成された複数のセグメントグループを含み、フランジユニットのワイヤプーリーを介して金属ワイヤを締め付けることにより、前記セグメントグループがリング形状に緊密に接続された状態で、それぞれのセグメントグループは、超音波要素セグメントのそれぞれ内のトランスデューサから放射された超音波が、チューブシートの表面に沿って移動するように、スチーム生成器の相対的に低い部分に配置された金属ワイヤによって互いに緩く接続された超音波要素セグメント及びガイドレール支持セグメントを含む。
【0005】
特許文献2は、超音波が固定型の熱交換器に印加されるプロセスにより、熱交換表面の汚れが軽減されている、方法を開示している。この特許文献によれば、超音波は、熱交換機表面内において振動を励起し、且つ、熱交換表面に隣接した流体中において波を生成している。超音波は、熱交換構造に対する悪影響を極小化する制御された周波数及び振幅において振動を生成するべく、コントローラに結合された動的アクチュエータによって印加されている。動的アクチュエータは、熱交換機がオンライン状態にある間に、定位置において熱交換機に結合することができると共に、動作させることができる。
【0006】
特許文献3は、石油系の液体が流れる管状熱交換器の内側壁上の堆積物の形成を低減する方法を開示している。この方法は、管状熱交換表面の内側壁に隣接した粘性の境界層の低減を実現するべく、交換機のチューブを通じて流れる液体に対する流体圧力のパルス化と、熱交換機に対する振動と、のうちの1つを適用するステップを有する。汚れ及び腐食は、交換機チューブの内側壁表面上において被覆を使用することにより、更に低減されている。
【0007】
図1は、超音波トランスデューサなどの機械的波生成手段101と、導波路102と、を有する通常のトランスデューサ組立体100を示している。トランスデューサ組立体は、クリーニング対象の装置との接触状態となるように適合された第1端部100aを有する。トランスデューサ組立体の基本共振周波数は、20kHzであり、且つ、トランスデューサ組立体の両端部には、波腹が存在している。クリーニング対象の装置による機械的負荷印加の影響を模倣するべく、剛性の境界条件をトランスデューサ組立体の第1端部100aにおいて導入している。この負荷印加の結果として、波節(node)が第1端部において生成され、且つ、トランスデューサ組立体の新しい共振周波数が25kHzとなる。この図には、負荷印加されたトランスデューサ組立体の波形も提示されている。
【0008】
図2においては、トランスデューサ組立体100は、クリーニング対象の装置の壁103の外側表面103a上に装着されている。壁は、金属から製造されており、且つ、その厚さhは、10mmである。トランスデューサ組立体の接触面積bは、基本的に第1端部の合計面積aの100%である。金属壁に対する接触は、トランスデューサの同調周波数を25kHzから27kHzに変化させている。従って、壁インターフェイスは、トランスデューサの基本共振を変化させ、且つ、27kHzにおける結合共振は、図3において示されているように、減衰している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許出願公開第2012055521号明細書
【文献】米国特許出願公開第2007267176号明細書
【文献】米国特許出願公開第2008073063号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図1図3において示されているように、クリーニングを目的とした、100のようなトランスデューサの使用は、その課題を有する。従って、装置のクリーニングのための更なる方法に対するニーズが存在している。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、熱交換機などの、流体を保持する装置のクリーニングに関係する問題の少なくともいくつかは、クリーニングが、クリーニング対象の装置との接触状態にある際にさえその基本共振周波数において動作しうる、トランスデューサ組立体などのシステムを使用することにより、実行される際に回避されうる、或いは、少なくとも軽減されうる、という観察に基づいている。
【0012】
従って、流体を保持する装置をクリーニングする方法を提供することが本発明の目的の1つであり、装置は、外側表面及び内側表面を有する壁を有し、方法は、
a)〇機械的波生成手段、及び
〇・点状の圧力源のペアとして機能するように適合された突出部の少なくとも1つのペア、或いは、
・実質的に円形の点状の圧力源として機能するように適合された少なくとも1つの実質的に円形の突出部、
を有する第1端部、
を有するシステムを提供するステップと、
b)突出部の少なくとも1つのペア又は少なくとも1つの実質的に円形の突出部を外側表面と接触させるステップと、
c)機械的波生成手段が、突出部の少なくとも1つのペアを介して又は少なくとも1つの実質的に円形の突出部を介して、内側表面に向かって実質的に第1端部において波腹を有する機械的波の連続体を生成するステップと、
d)機械的波が内側表面上において干渉し、且つ、振動する内側表面を生成するステップと、
e)振動する内側表面が、圧力パルスを生成し、且つ、流体内に放出するステップと、
を有する。
【0013】
別の態様によれば、本発明は、流体を保持する装置をクリーニングするシステムに関し、システムは、
〇機械的波生成手段と、
〇・点状の圧力源のペアとして機能するように適合された突出部の少なくとも1つのペア、或いは、
・実質的に円形の点状の圧力源として機能するように適合された少なくとも1つの実質的に円形の突出部、
を有する第1端部と、
を有し、
機械的波生成手段は、機械的波の連続体を突出部の少なくとも1つのペアに向かって又は少なくとも1つの実質的に円形の突出部に向かって放出するように適合されており、且つ、機械的波の波形は、実質的に第1端部において波腹が存在するようなものである。
【0014】
更に別の態様によれば、本発明は、
〇機械的波生成手段と、
〇・点状の圧力源のペアとして機能するように適合された突出部の少なくとも1つのペア、或いは、
・実質的に円形の点状の圧力源として機能するように適合された少なくとも1つの実質的に円形の突出部、
を有する第1端部と、
を有するシステムの使用に関し、
機械的波生成手段は、機械的波の連続体を突出部の少なくとも1つのペアに向かって又は少なくとも1つの実質的に円形の突出部に向かって放出するように適合されており、且つ、機械的波の波形は、流体を保持する装置をクリーニングするべく、実質的に第1端部において波腹が存在するようなものになっている。
【0015】
本発明の更なる目的は、添付の従属請求項において記述されている。
【0016】
その更なる目的及び利点と共に、構造と、動作の方法と、の両方に関する、本発明の例示の且つ非限定的な実施形態は、添付図面との関連において参照された際に、特定の例示の実施形態に関する以下の説明から、十分に理解することができる。
【0017】
「有する(to comprise)」及び「含む(to include)」という動詞は、本明細書においては、記述されていない特徴の存在を排除するものではなく、且つ、これを必須とするものでもない、開かれた限定(open limitation)として使用されている。添付の従属請求項において記述されている特徴は、そうではない旨が明示的に記述されていない限り、相互に自由に組み合わせることができる。更には、本明細書の全体を通じた、「1つの(a)」又は「1つの(an)」、即ち、単数形、の使用は、複数形を排除するものではないことを理解されたい。
【0018】
音響的(acoustic)、弾性動的(elastodynamic)、及び超音波的(ultrasonic)、という用語は、本明細書においては、同義語として使用されている。
【0019】
以下、以下の添付図面を参照し、本発明の例示の且つ非限定的な実施形態及びその利点について更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、クリーニング対象の装置と接触するように適合された端部において表面を有する導波路を有するトランスデューサ組立体を示す。
図2図2は、図1のトランスデューサ組立体が、クリーニング対象の装置の外側表面に接続されている、状況を示す。
図3図3は、図1のトランスデューサ組立体が、10mmの厚さの金属壁と接続されている、状況の電気インピーダンス曲線を示す。
図4図4は、例示の非限定的なトランスデューサ組立体を使用することによって例示される、流体を保持する装置をクリーニングする本発明の方法の原理を示す。
図5図5は、本発明の方法及びその導波路に適する例示のトランスデューサ組立体を示す。
図6図6は、クリーニング対象の装置の10mmの厚さの金属壁に接続された図5のトランスデューサを有するシステムを示す。
図7図7は、図6のシステムによる10mm厚さの金属壁における電気インピーダンス曲線を示す。
図8図8は、本発明の方法に適した更なる例示のトランスデューサ組立体を更に示す。
図9図9は、本発明の方法に適した更なる例示のトランスデューサ組立体を更に示す。
図10図10A図10Fは、本発明の方法に適するトランスデューサ組立体の第1端部及び点状の圧力源の例示の設計を示す。
図11図11は、本発明の方法に適した更なる例示のトランスデューサ組立体を更に示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1図3については、本明細書の「背景技術」の節において説明済みである。
【0022】
本明細書において定義されている点状の圧力源は、クリーニング対象の装置内の、且つ/又は、クリーニング対象の装置の壁内の、流体中において圧力によって生成される波長よりも、小さい、例えば、少なくとも2分の1以下である、クリーニング対象の装置との接触状態となるように適合されたその寸法の少なくとも1つを有する圧力源である。例えば、長手方向の20kHzの超音波を利用する金属表面に接触したポイント源の場合には、点状の圧力源は、例えば、12.5mmなどの、25mmを大幅に下回る接触直径を有する供給源であり、且つ、100kHz超音波の場合には、例えば、2.5mmなどの、5mmを大幅に下回る接触直径を有する供給源である。様々な波モードにおいて、これらの直径は、そのモードの音波の速度に従って調節されている。
【0023】
例示の実質的に円形の点状の圧力源は、トランスデューサ組立体の音響軸を取り囲む実質的に円形の突出部である。例示の点状の圧力源のペアは、トランスデューサの組立体の第1端部における隆起の形をした2つの平行ラインなどの、平行な突出部のペアである。
【0024】
以下の説明においては、本発明の方法において使用されるシステムは、異なるトランスデューサ組立体によって例示されている。
【0025】
液体などの、流体を保持する装置をクリーニングする本発明の方法の原理は、図4に示されている例示の非限定的なトランスデューサ組立体を使用することにより、提示されている。従って、この方法に適したトランスデューサ組立体200は、機械的波生成手段201と、トランスデューサ組立体の第1端部200aにおける点状の圧力源の少なくとも1つのペア又は少なくとも1つの実質的に円形の点状の圧力源と、を有する。図4において、点状の圧力源は、突出部のペア、即ち、第1突出部204a及び第2突出部204b、により、表されている。又、図4の例示の非限定的なトランスデューサ組立体は、第1端部200aと機械的波生成手段201の間において任意選択の導波路202をも含む。
【0026】
機械的波生成手段201は、点状の圧力源に向かって機械的波の連続体を放出するように適合されている。機械的波の波形は、実質的にトランスデューサ組立体の第1端部200aにおいて波腹が存在するようなものである。波腹の正しい位置は、更に詳細に後述するように、トランスデューサ組立体の適切な設計により、調節することができる。
【0027】
突出部のペアは、好ましくは、トランスデューサ組立体の音響軸206の周りに配置されており、且つ、距離d1だけ、互いに分離されている。音響軸からの突出部の距離は、シンボルd’によってマーキングされている。
【0028】
トランスデューサ組立体は、突出部のペアを介して、クリーニング対象の装置の壁203の外側表面203aとの機械的接触状態で配置されている。図において、第1突出部204aの接触表面及び第2突出部204bの接触表面は、それぞれ、シンボルb1及びb2により、マーキングされている。突出部の接触面積の合計、即ち、b1+b2、は、トランスデューサ組立体の第1端部の面積aを格段に下回っている。例示の一実施形態によれば、接触面積の合計は、第1表面の面積の1~30%である。
【0029】
トランスデューサ組立体が動作中である際に、機械的波生成手段は、突出部204a及び204bを介して、機械的波の連続体205a、205bを内側表面203bに向かって放出している。従って、クリーニング対象の装置に対するトランスデューサ組立体の質量負荷が、例えば、トランスデューサ組立体100との比較において、低減されるのに伴って、その自然共振周波数に近接したトランスデューサの動作が許容されている。剛性接触が、点状の圧力源に、即ち、突出部の接触表面のみに、限定された際に、トランスデューサ組立体の第1端部上の自由表面積は、実質的にトランスデューサ組立体の第1端部における波腹の変位及び形成を許容するべく、十分に大きな状態に留まっている。この結果、トランスデューサは、実質的にその基本共振周波数において動作することが可能であり、且つ、突出部は、装置内への超音波パワーの供給を依然として許容している。
【0030】
機械的波の放出は、特に、実質的に内側表面上へのd1の投射である距離d2内で、内側表面において干渉している。干渉する機械的波は、内側表面を振動させる。振動する内側表面が運動するのに伴って、この運動が、装置内の流体207中において圧力パルス206を生成する。この変位が、図には、拡大208として示されている。圧力パルスは、装置をクリーニングし、例えば、装置から汚れを除去する。
【0031】
この技術的効果は、突出部のペアの代わりに、少なくとも1つの実質的に円形の点状の圧力源を使用することにより、実現することもできる。図9には、円形の点状の圧力源を有する例示のトランスデューサ組立体が示されている。この図に示されているトランスデューサ組立体は、機械的波生成手段が動作中である際に、第1端部において位置決めされた波腹が存在するように構成されたものである。
【0032】
第1の点状の圧力源から放出された機械的波と第2の点状の圧力源から放出された機械的波の間の位相差が、πの偶数倍である際に、波ベクトルは、座標系299のy方向に沿っている。波ベクトルは、図には、点線矢印として示されている。これは、等しい長さの点状の圧力源を使用することにより、実現することができる。
【0033】
第1の点状の圧力源から放出された超音波と第2の点状の圧力源から放出された超音波の間の位相差が、πの偶数倍とπの奇数倍の間である場合、波ベクトルの方向は、座標系299のy方向とは異なっている。波ベクトルの方向は、適宜、調節することができる。これは、点状の圧力源として機能するように適合された突出部を使用することにより、実現することが可能であり、この場合に、突出部の長さは、互いに異なっている。
【0034】
従って、一実施形態によれば、本発明の方法は、流体を保持する装置をクリーイングする方法に関し、装置は、外側表面及び内側表面を有する壁を有し、方法は、
a)〇機械的波生成手段201、及び、
〇・点状の圧力源のペアとして機能するように適合された突出部の少なくとも1つのペア204a、b、或いは、
・実質的に円形の点状の圧力源として機能するように適合された少なくとも1つの実質的に円形の突出部、
を有する第1端部200a、
を有するシステム200を提供するステップと、
b)突出部の少なくとも1つのペア又は少なくとも1つの実質的に円形の突出部を外側表面と接触させるステップと、
c)機械的波生成手段が、突出部の少なくとも1つのペアを介して又は少なくとも1つの実質的に円形の突出部を介して、内側表面に向かって基本的に第1端部におい波腹を有する機械的波の連続体を放出するステップと、
d)機械的波が、内側表面において干渉し、且つ、振動する内側表面を生成するステップと、
e)振動する内側表面が、圧力パルスを生成し、且つ、流体内に放出するステップと、
を有する。
【0035】
図5は、本発明の方法に適する別の例示のトランスデューサ組立体300を示している。トランスデューサ組立体は、ランジュバントランスデューサなどの、機械的波生成手段301と、機械的波生成手段とトランスデューサ組立体の第1端部300aの間の導波路302と、を有する。トランスデューサ組立体の同調周波数は、20kHzである(即ち、トランスデューサの基本共振周波数と一貫性を有する)。図には、波形の形状も、提示されている。図に示されているように、実質的にトランスデューサ組立体の第1端部300aにおいて波腹が存在している。第1端部は、第1突出部304a及び第2突出部304b、即ち、突出部のペア、を有する。第1突出部は、距離dだけ、第2突出部から分離されている。距離は、例えば、30mmである。例示の一実施形態によれば、座標系399のy方向における突出部の高さは、1~100mmである。突出部の長さは、例えば、10mmである。突出部は、点状の圧力源として機能するように適合されている。
【0036】
座標系399のx方向における2つの突出部の間の距離dは、好ましくは、例えば、20kHzにおいて、d<38mmなどのように、流体及び/又は装置の壁内の音響波長の半分を下回っている。クリーニング対象の装置の壁厚さが、例えば、<10mmのように、薄いことを要する場合には、突出部は、互いに近接することになろう。距離dは、20kHzの場合には、例えば、5~25mmである。これは、干渉ポイントが壁の内側表面上において形成されることを保証するためのものである。
【0037】
図6は、トランスデューサ組立体300が、クリーニング対象の装置の壁303の外側表面303aとの接触状態にある、状況を示している。壁の厚さhは、10mmである。図に示されているように、導波路の第1端部において依然として波腹が存在しており、これにより、自由トランスデューサの状況に似ている。これは、クリーニング対象の装置の外側表面との接触状態にある際にも、トランスデューサ組立体が、その自然周波数において動作することを許容している。従って、第1突出部は、第1の点状の圧力源として機能し、且つ、第2突出部は、第2の点状の圧力源として機能している。トランスデューサ組立体100との厳格な対比において、その基本共振周波数におけるトランスデューサ組立体300の動作が許容されている。又、これは、トランスデューサ組立体100を使用して金属壁において動作するトランスデューサと自由空間300内において動作するトランスデューサ組立体の電気インピーダンス曲線(図3図7)を比較することによっても、明瞭に示されている。図は、インピーダンスの大きさ(Magn)及び位相(Arg)を示している。図7は、部分的に機械的に負荷印加されたトランスデューサ(即ち、突出部の接触を特徴とするトランスデューサ)の曲線を示している。共振周波数は、20.4kHzであり、即ち、トランスデューサの基本共振と一貫性を有しており、インピーダンスの大きさは、相対的に小さく(100Ω)、且つ、位相曲線は、共振において負から正にシフトしている。曲線は、負荷印加されていないトランスデューサのものに非常に近接している。対照的に、図3は、十分に質量負荷が印加されたトランスデューサの曲線を示している。共振周波数は、26kHzにシフトしており、インピーダンスの大きさは、相対的に大きく(550Ω)、且つ、位相曲線は、共振において負から正にシフトしてはいない。
【0038】
図4及び図5において示されている一実施形態によれば、トランスデューサ組立体は、任意選択の導波路を有する。導波路の利点は、第1端部において波腹が存在するように、トランスデューサ組立体の長さLを合わせるべく、即ち、第1端部200a、300aと第2端部200b、300bの間の距離を合わせるべく、使用されうるという点にある。更には、導波路は、トランスデューサ組立体が、熱源から機械的波生成手段を隔離することにより、高温表面との接触状態となる必要がある、用途において有用でありうる。
【0039】
上述のように、導波路は、任意選択である。図8には、導波路を有していないトランスデューサ組立体400が示されている。図に示されているトランスデューサ組立体は、機械的波生成手段401と、トランスデューサ組立体の第1端部400aにおいて位置決めされた点状の圧力源のペアとして機能するように適合された突出部のペア404a、404bと、を有する。機械的波生成手段は、機械的波の連続体を点状の圧力源に向かって放出するように適合されている。波形の形状は、実質的にトランスデューサ組立体の第1端部400aにおいて波腹が存在するようなものである。
【0040】
図9には、本発明の方法に適する更なるトランスデューサ組立体が示されている。このトランスデューサ組立体500は、図5に開示されているとおりであり、即ち、これは、機械的波生成手段501と、任意選択の導波路と、第1端部500aにおける点状の圧力源と504と、を有するが、点状の圧力源504は、実質的に円形の突出部の形態を有する。例示の実質的に円形の形態は、円形、楕円、及びオーバルの形態である。円形の点状の圧力源の例示の構造は、図9の右側において最良に観察され、接触表面のエリアは、シンボルb3によって提示されている。円形の点状の圧力源は、通常、トランスデューサ組立体の音響軸506の周りにおいて位置決めされている。シンボルd3は、音響軸と円形の点状の圧力源の内側エッジの間の距離を表している。
【0041】
図10A~Fは、本発明の方法に適するトランスデューサ組立体の第1端部及び点状の圧力源の例示の非限定的な構造を表している。
【0042】
図10Aにおいて、第1端部は、矩形であり、且つ、これは、2つの突出部607a及び607bを有する。これらの突出部は、2つの平行なラインの形態を有し、且つ、音響軸606からのその距離d’は、同一である。
【0043】
図10Bにおいて、第1端部は、矩形であり、且つ、これは、平行なラインの形態の突出部の2つのペア、即ち、608a、b及び609a、b、を有する。音響軸606からの突出部608a及び突出部608bの距離は、同一である。又、これは、突出部609a及び突出部609bのケースにも当て嵌まる。
【0044】
図10Cにおいて、導波路の第1端部は、矩形であり、且つ、これは、第1端部のコーナーにおいて、三角形状の突出部610a~dを4つ有する。音響軸からのそれぞれの突出部の距離は、同一である。
【0045】
図10Dにおいて、導波路の第1端部は、円形であり、且つ、これは、音響軸の周りにおいて1つの円形の突出部611を有する。
【0046】
図10Eにおいて、第1端部は、円形であり、且つ、これは、音響軸の周りにおいて3つの円形の突出部612a~cを有する。
【0047】
特定の一実施形態によれば、トランスデューサ組立体600の第1端部600aの面積は、導波路602の断面積を上回っている。これは、トランスデューサの音響放射インピーダンス対超音波インピーダンスを増大させることにより、音響放射効率の増大を許容している。図10Fには、このタイプの例示のトランスデューサ組立体600の側面図が示されている。
【0048】
一実施形態によれば、機械的波生成手段は、ランジュバントランスデューサである。ランジュバントランスデューサは、前部質量(頭部)、後部質量(尾部)、及び圧電セラミックを有する。ランジュバントランスデューサは、高出力超音波作動のための共振トランスデューサである。トランスデューサは、それぞれ、トランスデューサの前部質量及び後部質量を構成する、通常、アルミニウム、チタニウム、又はステンレス鋼である、2つの金属製棒状体の間に固定された、例えば、2つ、4つ、6つ、又は8つ、の円板などの、圧電円板301aの積層体によって構成されている。トランスデューサの前部及び後部の長さは、トランスデューサが、半波長共振器として振る舞うように、即ち、基本定在波が、トランスデューサの長軸に沿って存在し、これにより、トランスデューサの両端部において波腹を有するように、同調されている。これは、トランスデューサ組立体の第1端部300aにおける且つ第2端部300bにおける波腹と、導波路の中間における節(nodal point)と、を結果的にもたらす。このようなトランスデューサは、例えば、通常は1kHzなどの狭い周波数インターバルによって分離された鋭い共振及び反共振を特徴とするナローバンドである。最適な且つ自然な共振の振る舞いは、トランスデューサが自由空間において(機械的負荷を伴わない状態において)駆動された際に、発生する。任意の負荷印加は、共振を減衰させ、帯域幅を増大させ、且つ、共振周波数に影響を及ぼす。大きな負荷印加は、基本共振を無効にする。トランスデューサ組立体は、大きな負荷が印加された際にも、依然として、相対的に高い共振周波数で動作可能ではあるが、その効率が低減される。相対的に高い共振周波数は、このケースにおいては、結合されたシステムのもの、即ち、トランスデューサ組立体の負荷印加によって変更された相対的に高い共振周波数、である。
【0049】
図5に示されているトランスデューサ組立体300は、点状の圧力源の接触面積b1、b2を介してクリーニング対象の装置との接触状態にある。接触面積は、例えば、110mm2であり、これは、第1端部300aの面積の10%であり、この場合に、変動は、例えば、表面積の1%~30%である。
【0050】
好適な一実施形態によれば、点状の圧力源、即ち、第1突出部及び第2突出部、の間の距離dは、4h以下であり、この場合に、hは、装置の壁の厚さである。d≦4hである場合、装置の壁の内側表面における超音波干渉が最適である。同様に、トランスデューサ組立体が、図9に示されているように、少なくとも1つの円形の突出部を有する場合、少なくとも1つの円形の突出部の半径d3は、好ましくは、≦2hであり、この場合に、hは、壁の厚さである。
【0051】
図11は、座標系799のy方向における第1突出部704aの長さが第2突出部704bの長さを上回っている、一実施形態を表している。この実施形態によれば、第1突出部によって生成される装置の内側表面上の圧力最大値が、まず、発生し、且つ、第2突出部によって生成される装置の内側表面上の圧力最大値が、後から発生する。従って、座標系799のy軸に沿った突出部の長さを同調することにより、流体中の波ベクトルの方向及び圧力パルスの方向を適宜変更することができる。異なる長さの突出部は、壁表面上のポイント源の間の位相差を提供する。位相差は、干渉ポイントの場所及び形成される波ベクトルの方向に影響を与えるので、流体中に打ち込まれる音響圧力波の方向に、影響を及ぼす。
【0052】
位相差は、波の周期との関係における異なる長さの突出部内の機械的波の飛行時間の差により、判定することができる。例えば、2つの突出部の高さの差が60mmである場合、突出部内の音波(sound)の速度が5km/sであると仮定することにより、20kHzにおいて、π/2の位相差をもたらし、30mmの差は、π/4の位相差をもたらし、且つ、15mmの差は、π/8の位相差をもたらす。突出部内の音波速度は、突出部の形状に依存していることから、位相の調節は、しばしば、有限要素シミュレーションを必要としている。
【0053】
好適な一実施形態によれば、トランスデューサ組立体は、1つ又は複数のフランジ312を有し、即ち、トランスデューサ組立体は、異なる断面積を有し、且つ、導波路は、機械的波生成手段とクリーニング対象の装置の間の接続要素として、のみならず、機械的増幅器としても機能している。
【0054】
トランスデューサ100とは対照的に、本発明の方法において使用するのに適したトランスデューサの導波路の第1表面の接触面積、即ち、突出部の接触面積、は、100%未満である。好適な一実施形態によれば、突出部の少なくとも1つのペアの接触面積は、第1表面の合計面積の1~30%、更に好ましくは、1~20%、最も好ましくは、約10%である。点状の圧力源として機能する突出部又は円形の突出部の接触面積は、例えば、110~330mm2である。
【0055】
クリーニング対象の装置の容器壁の厚さは、通常、2~30mmである。トランスデューサの導波路の突出部などの、点状の圧力源は、好ましくは、装置の表面の材料よりも柔軟な材料から製造されている。例示の一実施形態によれば、装置の表面は、ステンレス鋼から製造されており、且つ、突出部は、アルミニウムから製造されている。
【0056】
別の実施形態によれば、本発明は、
〇機械的波生成手段201、301、401、501、701と、
〇・点状の圧力源のペアとして機能するように適合された突出部の少なくとも1つのペア204a、b、304a、b、404a、b、704a、b、或いは、
・円形の点状の圧力源として機能するように適合された少なくとも1つの実質的に円形の突出部504、
を有する第1端部200a、300a、400a、500a、700aと、
を有するシステムに関し、
機械的波生成手段は、機械的波の連続体を突出部の少なくとも1つのペア又は少なくとも1つの実質的に円形の突出部に向かって放出するように適合されており、且つ、機械的波の波形は、基本的に第1端部において波腹が存在するようなものである。
【0057】
点状の圧力源は、クリーニング対象の装置の外側表面との接触状態となるように適合されている。突出部又は実質的に円形の突出部の接触面積の合計は、トランスデューサの第1端部300a、400aの合計面積aの1~30%、更に好ましくは、1~20%、最も好ましくは、約10%である。突出部の間の距離は、通常、5~50mmであり、好ましくは、4h以下であり、この場合に、hは、クリーニング対象の装置の壁の厚さである。合計接触面積は、例えば、110~330mm2である。
【0058】
好適な一実施形態によれば、システムは、機械的波生成手段によって生成された波形の波節において基本的に位置決めされた1つ又は複数のフランジ部分を有する。
【0059】
実験
トランスデューサ組立体の設計
トランスデューサ組立体を圧電超音波積層体トランスデューサ(ランジュバントランスデューサ、サンドイッチトランスデューサ)及び任意選択の導波路から構成した。トランスデューサは、市販のモデル又はカスタムメイドのものであった。トランスデューサは、トランスデューサの前部及び後部を構成する2つの金属製棒状体(通常は、アルミニウム、チタニウム、又はステンレス鋼)の間に固定された圧電円板の積層体(例えば、2つ、4つ、6つ、又は8つの円板)によって構成されたナローバンド(通常、例えば、1kHz帯域幅を特徴とする)共振トランスデューサであった。
【0060】
トランスデューサ設計は、圧電円板の選択肢(材料及び寸法)を決定する、選択された共振周波数(例えば、20kHz)に基づくものであった。圧電円板の積層体は、ナローバンド共振器を特徴としている。前部及び後部の長さは、結合された共振器(即ち、トランスデューサ)が、選択された周波数において半波長(λ/2)共振器として振る舞うように、同調させた。これは、トランスデューサの基本共振である。帯域幅は、狭い状態(例えば、1kHz)において留まっていた。トランスデューサ設計は、理論的且つ/又は数値的なモデル化(有限要素シミュレーション)に基づくものであった。
【0061】
任意選択の導波路をトランスデューサの第1端部上における延長部としてフィットした。導波路の長さは、トランスデューサの基本共振振る舞いを維持するように選択/同調した。これを目的として、導波路長は、λ/2の倍数でなければならない。導波路は、例えば、トランスデューサ組立体のq値を増大させるべく、トランスデューサとクリーニング対象のシステムの間の断熱を提供するべく、或いは、トランスデューサがクリーニング対象の装置に直接的にフィットしえない状況においてトランスデューサの配置の柔軟性を提供するべく、有用である。導波路設計は、理論的且つ/又は数値的なモデル化(例えば、有限要素シミュレーション)に基づいている。
【0062】
点状の接点(例えば、接触突出又は円)は、トランスデューサ組立体の第1端部上における延長部として機械加工した。接触構造の形状は、理論的且つ/又は数値的なモデル化(有限要素シミュレーション)により、評価及び最適化した。
【0063】
実施例
以上において記述されているように、接触突出を特徴とするトランスデューサ組立体を設計した。これは、従来の機械的接触を有する類似のトランスデューサとの比較において、9dBだけ多くの音響パワーを鋼の容器内の水中に供給した。この実験は、同一の電気的入力を使用することにより、トランスデューサの基本周波数(20kHz)において、断熱された容器内で熱量計測手段によって実施した。
なお、本発明の実施形態の態様として、以下に示すものがある。
[態様1]
流体を保持する装置をクリーニングする方法であって、前記装置は、外側表面及び内側表面を有する壁を有し、前記方法は、
a)機械的波生成手段(201、301、401、501、700)、並びに、
点状の圧力源のペアとして機能するように適合された突出部の少なくとも1つのペア(204a、b、304a、b、401a、b、704a、b)、或いは、
実質的に円形の点状の圧力源として機能するように適合された少なくとも1つの実質的に円形の突出部(504)、
を有する第1端部(200a、300a、400a、500a、700a)、を有するシステム(200、300、400、500、700)を提供するステップと、
b)前記突出部の少なくとも1つのペア又は前記少なくとも1つの円形の突出部を前記外側表面と接触させるステップと、
c)前記機械的波生成手段が、前記突出部の少なくとも1つのペアを介して又は前記少なくとも1つの実質的に円形の突出部を介して、実質的に前記第1端部において波腹を有する機械的波の連続体を前記内側表面に向かって放出するステップと、
d)前記機械的波が、前記内側表面上において干渉し、且つ、振動する内側表面を生成するステップと、
e)前記振動する内側表面が、圧力パルスを前記流体内に生成するステップと、
を有する、方法。
[態様2]
前記システムは、前記第1端部と前記機械的波生成手段の間において導波路(202、302、502)を有する態様1に記載の方法。
[態様3]
前記突出部の少なくとも1つのペアは、第1部材(204a、304a、401a)と、第2部材(204b、304b、401b)と、を有し、前記第1部材を介して放出される機械的波と前記第2部材を介して放出される機械的波の間の位相差は、πの偶数倍である態様1又は2に記載の方法。
[態様4]
前記突出部の少なくとも1つのペアは、第1部材(704a)と、第2部材(704b)と、を有し、且つ、前記第1部材を介して放出される機械的波と前記第2部材を介して放出される機械的波の間の位相差は、πの偶数倍とπの奇数倍の間である態様1又は2に記載の方法。
[態様5]
前記突出部の少なくとも1つペアは、第1部材と、第2部材と、を有し、且つ、前記第1部材と前記第2部材の間の距離d1は、≦4hであり、hは、前記壁の厚さであり、或いは、前記第1端部が、少なくとも1つの実質的に円形の突出部を有する際に、前記少なくとも1つの実質的に円形の突出部の半径d3は、≦2hであり、hは、前記壁の厚さである態様1乃至4のいずれかに記載の方法。
[態様6]
前記外側表面との間における、前記突出部の少なくとも1つのペアの接触面積b1、b2の合計、或いは、前記少なくとも1つの実質的に円形の突出部の接触面積b3は、前記第1端部の合計面積aの1~30%、好ましくは、1~20%、更に好ましくは、10%である態様1乃至5のいずれかに記載の方法。
[態様7]
前記システムは、1つ又は複数のフランジ部分(312)を有し、且つ、前記機械的波の連続体は、実質的に前記1つ又は複数のフランジ部分において波節を有する態様1乃至6のいずれかに記載の方法。
[態様8]
前記壁の厚さは、5~30mmである態様1乃至7のいずれかに記載の方法。
[態様9]
前記突出部の少なくとも1つのペア又は前記少なくとも1つの実質的に円形の突出部は、前記装置の表面の材料よりも柔軟な材料から製造されている態様1乃至8のいずれかに記載の方法。
[態様10]
前記装置は、熱交換機である態様1乃至9のいずれかに記載の方法。
[態様11]
前記流体は、液体である態様1乃至10のいずれかに記載の方法。
[態様12]
流体を保持する装置をクリーニングするシステムであって、前記システムは、
機械的波生成手段(201、301、401、501、701)と、
点状の圧力源のペアとして機能するように適合された突出部の少なくとも1つのペア(204a、b、304a、b、404a、b、704a、b)、或いは、
円形点状の圧力源として機能するように適合された少なくとも1つの実質的に円形の突出部(504)、を有する第1端部(200a、300a、400a、500a、700a)と、
を有し、
前記機械的波生成手段は、機械的波の連続体を前記突出部の少なくとも1つのペア又は前記少なくとも1つの実質的に円形の突出部に向かって放出するように適合されており、且つ、前記機械的波の波形は、基本的に前記第1端部において波腹を生成するように適合されている、システム。
[態様13]
前記第1端部と前記機械的波生成手段の間において導波路(202、302、502、702)を有する態様12に記載のシステム。
[態様14]
前記突出部の少なくとも1つのペア又は前記少なくとも1つの実質的に円形の突出部は、前記装置の外側表面との間における、前記突出部の少なくとも1つのペア又は前記少なくとも1つの実質的に円形の突出部の接触面積の合計が、前記第1端部の合計面積の1~30%になるように、前記装置の外側表面との接触状態となるように適合されている態様12又は13に記載のシステム。
[態様15]
流体を保持する装置をクリーニングする態様12乃至14のいずれかに記載のシステムの使用。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11