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特許7523467NOの酸化、NH3の酸化、NOxの選択的触媒還元のための多機能触媒
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  • 特許-NOの酸化、NH3の酸化、NOxの選択的触媒還元のための多機能触媒 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】NOの酸化、NH3の酸化、NOxの選択的触媒還元のための多機能触媒
(51)【国際特許分類】
   B01J 35/57 20240101AFI20240719BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20240719BHJP
   B01J 29/76 20060101ALI20240719BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20240719BHJP
   B01J 37/04 20060101ALI20240719BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20240719BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20240719BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
B01J35/57 L
B01D53/94 222
B01D53/94 228
B01J29/76 A
B01J37/02 301C
B01J37/02 301D
B01J37/04 102
B01J37/08 ZAB
F01N3/24 E
F01N3/28 301C
F01N3/28 301J
F01N3/28 301Q
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021564363
(86)(22)【出願日】2020-04-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(86)【国際出願番号】 EP2020062117
(87)【国際公開番号】W WO2020221891
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2023-04-28
(31)【優先権主張番号】19171851.9
(32)【優先日】2019-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ベアード,ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】ドルナー,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー,ヤン マルティン
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0286900(US,A1)
【文献】特表2018-526192(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0367973(US,A1)
【文献】国際公開第2018/224651(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 - 38/74
B01D 53/94
F01N 3/00 - 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
NOの酸化のため、アンモニアの酸化のため、及びNOの選択的接触還元のための触媒であって、
(i)入口端、出口端、前記入口端から前記出口端まで延びる基材の軸方向長さ、及びそれに沿って延びるフロースルー基材の内壁によって画定された複数の通路を含むフロースルー基材であって、前記通路と前記内壁の間の界面が前記内壁の表面によって画定されている、フロースルー基材、
(ii)バナジウム酸化物と、銅及び鉄の1種以上を含むゼオライト材料とのうちの1種以上を含む、第1コーティング、
(iii)非ゼオライト酸化物材料に担持される白金族金属成分を含み、かつ、さらにバナジウム酸化物と、銅及び鉄の1種以上を含むゼオライト材料とのうちの1種以上を含む、第2コーティング、
(iv)酸化物材料に担持される白金族金属成分を含む第3コーティング
を含み、
前記第3コーティングは、前記出口端から前記入口端まで、前記基材の前記軸方向長さのz%にわたって前記内壁の表面に配置され、zは20~80の範囲であり、
前記第2コーティングは、前記入口端から前記出口端まで、前記基材の前記軸方向長さのy%にわたって延び、前記内壁の表面に配置され、yは20~80の範囲であり、
前記第1コーティングは、前記入口端から前記出口端まで、前記基材の前記軸方向長さのx%にわたって延び、前記第2コーティング上及び前記第3コーティング上に配置され、xは95~100の範囲である、触媒。
【請求項2】
yが20~(100-z)の範囲であり、好ましくはyが(100-z)であり、zが、好ましくは30~70の範囲、より好ましくは40~60の範囲、より好ましくは45~55の範囲である、請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
前記第1コーティングが銅及び鉄の1種以上を含むゼオライト材料を含み、前記第1コーティングに含まれる前記ゼオライト材料は、AEI、GME、CHA、MFI、BEA、FAU、MOR、それらの2つ以上の混合物、及びそれらの2つ以上の混合タイプからなる群から選択され、好ましくはAEI、GME、CHA、BEA、FAU、MOR、それらの2つ以上の混合物、及びそれらの2つ以上の混合タイプからなる群から選択され、より好ましくはAEI、CHA、BEA、それらの2つ以上の混合物、及びそれらの2つ以上の混合タイプからなる群から選択されるフレームワークタイプを有し、前記第1コーティングに含まれる前記ゼオライト材料は、より好ましくは、フレームワークタイプCHA又はAEI、より好ましくはCHAを有する、請求項1又は2に記載の触媒。
【請求項4】
前記第1コーティングがバナジウム酸化物を含み、前記バナジウム酸化物が、好ましくは酸化バナジウム(V)、酸化バナジウム(IV)及び酸化バナジウム(III)の1種以上である、請求項1又は2に記載の触媒。
【請求項5】
前記第1コーティングの0~0.001質量%、好ましくは0~0.0001質量%、好ましくは0~0.00001質量%が、パラジウム、好ましくはパラジウム、白金及びロジウムからなる、請求項1から4のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項6】
前記第2コーティングに含まれる前記白金族金属成分が、白金、パラジウム及びロジウムの1種以上、好ましくは白金及びパラジウムの1種以上であり、より好ましくは、前記白金族金属成分が白金である、請求項1から5のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項7】
前記第2コーティングは、前記白金族金属成分を、元素の白金族金属として計算される、0.3~10g/ftの範囲、好ましくは0.5~5g/ftの範囲、より好ましくは1~3g/ftの範囲の担持量で含み、
前記第2コーティングは、前記第2コーティングの前記非ゼオライト酸化物材料の質量に基づいて、好ましくは0.1~2質量%の範囲、より好ましくは0.2~1質量%の範囲、より好ましくは0.3~0.6質量%の範囲の量で前記白金族金属成分を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項8】
前記第2コーティングの白金族金属成分がその上に担持される前記非ゼオライト酸化物材料は、アルミナ、ジルコニア、チタニア、シリカ、セリア、及びAl、Zr、Ti、Si及びCeの2種以上を含む混合酸化物の1種以上、好ましくはアルミナ、ジルコニア、チタニア及びシリカの1種以上、より好ましくはチタニア及びシリカの1種以上を含み、好ましくは、アルミナ、ジルコニア、チタニア、シリカ、セリア、及びAl、Zr、Ti、Si及びCeの2種以上を含む混合酸化物の1種以上、好ましくはアルミナ、ジルコニア、チタニア及びシリカの1種以上、より好ましくはチタニア及びシリカの1種以上からなり、
前記第2コーティングは、好ましくは0.1~3g/inの範囲、より好ましくは0.15~1.5g/inの範囲、より好ましくは0.2~0.5g/inの範囲の担持量で前記非ゼオライト酸化物材料を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項9】
前記第2コーティングは銅及び鉄の1種以上を含むゼオライト材料を含み、前記第2コーティングに含まれる前記ゼオライト材料は、AEI、GME、CHA、MFI、BEA、FAU、MOR、それらの2つ以上の混合物、及びそれらの2つ以上の混合タイプからなる群から選択され、好ましくはAEI、GME、CHA、BEA、FAU、MOR、それらの2つ以上の混合物、及びそれらの2つ以上の混合タイプからなる群から選択され、より好ましくはAEI、CHA、BEA、それらの2つ以上の混合物、及びそれらの2つ以上の混合タイプからなる群から選択されるフレームワークタイプを有し、前記第2コーティングの前記ゼオライト材料は、より好ましくはフレームワークタイプCHA又はAEI、より好ましくはCHAを有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項10】
前記第2コーティングと前記第3コーティングを合わせて、元素の白金族金属として計算される、前記触媒中の白金族金属成分の担持量が、1~40g/ftの範囲、好ましくは2.7~25g/ftの範囲、より好ましくは4.25~15g/ftの範囲、より好ましくは5.5~10.5g/ftの範囲である、請求項1から9のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項11】
前記第3コーティングの前記白金族金属成分が、白金、パラジウム及びロジウムの1種以上、好ましくは白金及びパラジウムの1種以上、より好ましくは白金である、請求項1から10のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項12】
前記第3コーティングに含まれる前記白金族金属成分を担持する前記酸化物材料は、アルミナ、ジルコニア、チタニア、シリカ、セリア、及びAl、Zr、Ti、Si及びCeの2種以上を含む混合酸化物の1種以上、好ましくはアルミナ、ジルコニア、チタニア及びシリカの1種以上、より好ましくはチタニア及びシリカの1種以上を含み、好ましくは、アルミナ、ジルコニア、チタニア、シリカ、セリア、及びAl、Zr、Ti、Si及びCeの2種以上を含む混合酸化物の1種以上、好ましくはアルミナ、ジルコニア、チタニア及びシリカの1種以上、より好ましくはチタニア及びシリカの1種以上からなり、
前記第3コーティングの前記酸化物材料の好ましくは90~100質量%、より好ましくは95~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、チタニア、及び任意にシリカからなる、請求項1から11のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項13】
NOの酸化のため、アンモニアの酸化のため、及びNOの選択的接触還元のための触媒、好ましくは請求項1から12のいずれか一項に記載の触媒を製造する方法であって、
(a)コーティングされていないフロースルー基材を提供する工程であって、前記基材は、入口端、出口端、前記入口端から前記出口端まで延びる基材の軸方向長さ、及びそれに沿って延びる前記基材の内壁によって画定された複数の通路を含み、前記通路と前記内壁との間の界面は前記内壁の表面によって画定されている、工程と、
(b)白金族金属成分、酸化物材料及び溶媒を含むスラリーを提供し、前記スラリーを、前記出口端から前記入口端まで、前記基材の前記軸方向長さのz%にわたって、前記基材の前記内壁の表面に配置し、前記基材上に配置された前記スラリーをか焼して、前記基材上に配置された第3コーティングを得る工程であって、zは20~80の範囲である、工程と、
(c)白金族金属成分、非ゼオライト酸化物材料、バナジウム酸化物と、銅及び鉄の1種以上を含むゼオライト材料とのうちの1種以上、及び溶媒を含むスラリーを提供し、前記スラリーを、前記入口端から前記出口端まで、前記基材の前記軸方向長さのy%にわたって、前記内壁の表面に配置し、前記基材上に配置された前記スラリーをか焼して、前記基材上に配置された第2コーティングを得る工程であって、yは20~80の範囲である、工程と、
(d)バナジウム酸化物と、銅及び鉄の1種以上を含むゼオライト材料とのうちの1種以上、及び溶媒を含むスラリーを提供し、前記スラリーを、前記入口端から前記出口端まで、前記第2コーティング上に、前記基材の前記軸方向長さのx%にわたって配置し、前記基材上に配置された前記スラリーをか焼して、NOの酸化のため、アンモニアの酸化のため、及びNOの選択的接触還元のための触媒を得る工程であって、xは95~100の範囲である、工程と
を含む、方法。
【請求項14】
NOの酸化のため、アンモニアの酸化のため、及びNOの選択的接触還元のための触媒、好ましくは請求項13に記載の方法により得ることができる又は得られる、NOの酸化のため、アンモニアの酸化のため、及びNOの選択的接触還元のための触媒。
【請求項15】
内燃機関、好ましくはディーゼルエンジンから出る排ガス流を処理するための排ガス処理システムであって、前記排ガス処理システムは、前記排ガス流を前記排ガス処理システムに導入するための上流端を有し、前記排ガス処理システムは、請求項1から12及び14のいずれか一項に記載の触媒と、選択的触媒還元触媒、アンモニア酸化触媒及びディーゼル粒子フィルタの1つ以上とを含む、排ガス処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材上に3つのコーティングを含む、NOの酸化、アンモニアの酸化及びNOの選択的触媒還元のための触媒、この触媒を用いた排ガス処理方法、この触媒を含む排ガス処理システム、及びNOの酸化、アンモニアの酸化及びNOの選択的触媒還元のための触媒の調製方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
US 2016/0367973は、第1SCR触媒を含有する第1ゾーン、及びアンモニアスリップ触媒を含有する第2ゾーンを有する触媒物品を開示しており、US 2016/0367974は、アンモニアスリップ触媒、及び第2触媒、例えばディーゼル酸化触媒、選択的触媒還元/受動的NO吸着剤又は三元変換触媒を有する触媒物品を開示している。しかしながら、US 2016/0367973に記載の触媒は、CSFに流入する排ガスのNO部分を増加させるためのNO酸化に関して最適化されていない。さらに、SCR機能と酸化機能が混合されている場合、触媒は、非選択的なDeNOを介して高いNOレベルを得ることができる。例えば、US 2016/0367974に記載されているように、ディーゼル酸化触媒、選択的触媒還元/受動的NO吸着剤又は三元変換触媒を有することは、上流のSCRからスリップすることができるNHの非選択的酸化により、高いNO選択性をもたらすことにもなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】US 2016/0367973
【文献】US 2016/0367974
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、亜酸化窒素(NO)の生成を最小限に抑えながら、大きな触媒活性(NH酸化、NO酸化及びNO変換)を示す、NOの酸化のため、アンモニアの酸化のため、及びNOの選択的触媒還元のための触媒を提供することであった。驚いたことには、本発明によるNOの酸化のため、アンモニアの酸化のため、及びNOの選択的接触還元のための触媒は、亜酸化窒素(NO)の生成を抑えながら、大きな触媒活性(NH酸化、NO酸化及びNO変換)を得ることを可能にすることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本発明は、NOの酸化のため、アンモニアの酸化のため、及びNOの選択的接触還元のための触媒に関し、この触媒は、
(i)入口端、出口端、入口端から出口端まで延びる基材の軸方向長さ、及びそれに沿って延びるフロースルー基材の内壁によって画定された複数の通路を含むフロースルー基材であって、通路と内壁の間の界面が内壁の表面によって画定されている、フロースルー基材、
(ii)バナジウム酸化物と、銅及び鉄の1種以上を含むゼオライト材料とのうちの1種以上を含む、第1コーティング、
(iii)非ゼオライト酸化物材料に担持される白金族金属成分を含み、かつ、さらにバナジウム酸化物と、銅及び鉄の1種以上を含むゼオライト材料とのうちの1種以上を含む、第2コーティング、
(iv)酸化物材料に担持される白金族金属成分を含む第3コーティング
を含み、
ここで、第3コーティングは、出口端から入口端まで、基材の軸方向長さのz%にわたって内壁の表面に配置され、zは20~80の範囲であり、
第2コーティングは、入口端から出口端まで、基材の軸方向長さのy%にわたって延び、内壁の表面に配置され、yは20~80の範囲であり、
第1コーティングは、入口端から出口端まで、基材の軸方向長さのx%にわたって延び、第2コーティング上及び第3コーティング上に配置され、xは95~100の範囲である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本発明による触媒の概略図を示す。特に、この図は、基材2、例えばフロースルー基材を含む本発明の触媒1を示し、この基材2の上には、本発明の第2コーティングである入口コーティング3が、基材の入口端から出口端に向かって、基材の軸方向長さの50%にわたって配置され、本発明の第3コーティングである出口コーティング4が、出口端から入口端に向かって、基材の軸方向長さの50%にわたって配置されている。触媒1は、基材の全長にわたって、コーティング3(第2コーティング)及びコーティング4(第3コーティング)の上に配置されたトップコーティング5をさらに含む。一般的には、選択的触媒還元触媒14は触媒1の上流に存在することができる。
図2図2は、約200~約500℃の入口温度、ANR=1.1、及び80k/hのSV(最高温度点は160k/hである)での、比較例1、2及び実施例1、2の触媒のDeNO性能を示している。
図3図3は、約200~約500℃の入口温度、ANR=1.0、及び80k/hのSV(最高温度点は160k/hである)での、比較例1、2及び実施例1、2の触媒のNO生成を示している。
図4図4は、約200~約450℃の入口温度及び100k/hのSVでの比較例1、2及び実施例1、2の触媒のNO酸化(NO/NO比)を示している。
【発明を実施するための形態】
【0007】
xが98~100の範囲であることが好ましく、より好ましくは99~100の範囲である。
【0008】
yが20~(100-z)の範囲であることが好ましく、より好ましくはyは(100-z)である。好ましくは、第2コーティングと第3コーティングとの間には隙間がない。
【0009】
zが30~70の範囲であることが好ましく、より好ましくは40~60の範囲、より好ましくは45~55の範囲である。yが20~(100-z)の範囲であることがより好ましく、より好ましくはyが(100-z)であり、zが30~70の範囲であることがより好ましく、より好ましくは40~60の範囲、より好ましくは45~55の範囲である。yが(100-z)であり、zが45~55の範囲であることがより好ましい。
【0010】
yが30~70の範囲であることが好ましく、より好ましくは40~60の範囲、より好ましくは45~55の範囲であり、zが30~70の範囲であることが好ましく、より好ましくは40~60の範囲、より好ましくは45~55の範囲である。第2コーティングと第3コーティングとの間には隙間があることが好ましく、あるいは第2コーティングが第3コーティングに重なっていることが好ましい。
【0011】
第1コーティングが、銅及び鉄の1種以上を含むゼオライト材料を含むことが好ましい。
【0012】
第1コーティングに含まれるゼオライト材料は、AEI、GME、CHA、MFI、BEA、FAU、MOR、それらの2つ以上の混合物、及びそれらの2つ以上の混合タイプからなる群から選択され、より好ましくはAEI、GME、CHA、BEA、FAU、MOR、それらの2つ以上の混合物、及びそれらの2つ以上の混合タイプからなる群から選択され、より好ましくはAEI、CHA、BEA、それらの2つ以上の混合物、及びそれらの2つ以上の混合タイプからなる群から選択されるフレームワークタイプを有することが好ましい。第1コーティングに含まれるゼオライト材料は、フレームワークタイプCHA又はAEI、より好ましくはフレームワークタイプCHAを有することがより好ましい。
【0013】
ゼオライト材料のフレームワーク構造の95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、Al、O、及び任意にPからなることが好ましく、ここで、フレームワーク構造において、SiのAlに対するモル比は、モル比SiO:Alとして計算され、より好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは4:1~40:1の範囲、より好ましくは10:1~40:1の範囲、より好ましくは15:1~40:1の範囲、より好ましくは15:1~25:1の範囲である。
【0014】
第1コーティングに含まれるゼオライト材料が銅を含むことが好ましく、ここで、ゼオライト材料に含まれる銅の量は、CuOとして計算され、ゼオライト材料の総質量に基づいて、より好ましくは1~10質量%の範囲、より好ましくは2~8質量%の範囲、より好ましくは3~6質量%の範囲、より好ましくは4.5~6質量%の範囲である。第1コーティングのゼオライト材料に含まれる鉄の量は、Feとして計算され、ゼオライト材料の総質量に基づいて、0~0.01質量%の範囲であることがより好ましく、より好ましくは0~0.001質量%の範囲、より好ましくは0~0.0001質量%の範囲である。言い換えれば、第1コーティングは、鉄を実質的に含まないことが好ましく、より好ましくは鉄を含まない。
【0015】
第1コーティングに含まれるゼオライト材料が鉄を含むことが好ましく、ここで、ゼオライト材料に含まれる鉄の量は、Feとして計算され、ゼオライト材料の総質量に基づいて、より好ましくは0.1~10.0質量%の範囲、より好ましくは1.0~7.0質量%の範囲、より好ましくは2.5~5.5質量%の範囲である。ゼオライト材料のフレームワーク構造の95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、Al、O、及び任意にPからなることがより好ましく、ここで、フレームワーク構造において、SiのAlに対するモル比は、モル比SiO:Alとして計算され、より好ましくは2:1~55:1の範囲、より好ましくは4:1~50:1の範囲、より好ましくは10:1~45:1の範囲、より好ましくは15:1~40:1の範囲である。鉄がゼオライト材料に存在する場合、ゼオライト材料はフレームワークタイプBEA又はMFIを有することが考えられる。
【0016】
第1コーティングは、0.5~4g/inの範囲、より好ましくは0.75~3.5g/inの範囲、より好ましくは0.8~3g/inの範囲、より好ましくは0.8~2.5g/inの範囲の担持量(loading)でゼオライト材料を含むことが好ましい。
【0017】
第1コーティングに含まれるゼオライト材料は、より好ましくはフレームワークタイプCHAを有し、走査電子顕微鏡で決定した平均結晶粒径が好ましくは少なくとも0.5マイクロメートル、より好ましくは0.5~1.5マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.6~1.0マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.6~0.8マイクロメートルの範囲である。
【0018】
第1コーティングが、酸化物バインダーをさらに含むことが好ましく、ここで、バインダーは、より好ましくはジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、及びZr、Al、Ti及びSiの2種以上を含む混合酸化物の1種以上を含み、より好ましくはアルミナ及びジルコニアの1種以上を含み、より好ましくはジルコニアを含む。
【0019】
第1コーティングは、第1コーティングのゼオライト材料の総質量に基づいて、好ましくは0.5~10質量%の範囲、より好ましくは2~8質量%の範囲、より好ましくは3~6質量%の範囲の量で酸化物バインダーを含む。
【0020】
第1コーティングは、好ましくは0.01~0.2g/inの範囲、より好ましくは0.02~0.15g/inの範囲、より好ましくは0.03~0.12g/inの範囲の担持量で酸化物バインダーを含む。
【0021】
第1コーティングに関して、それは、ゼオライト材料、より好ましくはフレームワークタイプAEI又はCHAを有し、Cuを含み、より好ましくは前記で定義された酸化物バインダーをさらに含むゼオライト材料を含むことが好ましい。
【0022】
したがって、本発明は、好ましくは、NOの酸化のため、アンモニアの酸化のため、及びNOの選択的接触還元のための触媒に関し、この触媒は、
(i)入口端、出口端、入口端から出口端まで延びる基材の軸方向長さ、及びそれに沿って延びるフロースルー基材の内壁によって画定された複数の通路を含むフロースルー基材であって、通路と内壁の間の界面が内壁の表面によって画定されている、フロースルー基材、
(ii)Cuを含むゼオライト材料、より好ましくはフレームワークタイプAEI又はCHAを有するゼオライト材料を含み、より好ましくは前記で定義された酸化物バインダーをさらに含む、第1コーティング、
(iii)非ゼオライト酸化物材料に担持される白金族金属成分を含み、かつ、さらにバナジウム酸化物と、銅及び鉄の1種以上を含むゼオライト材料とのうちの1種以上を含む、第2コーティング、
(iv)酸化物材料に担持される白金族金属成分を含む第3コーティング
を含み、
ここで、第3コーティングは、出口端から入口端まで、基材の軸方向長さのz%にわたって内壁の表面に配置され、zは20~80の範囲であり、
第2コーティングは、入口端から出口端まで、基材の軸方向長さのy%にわたって延び、内壁の表面に配置され、yは20~80の範囲であり、
第1コーティングは、入口端から出口端まで、基材の軸方向長さのx%にわたって延び、第2コーティング上及び第3コーティング上に配置され、xは95~100の範囲である。
【0023】
本発明の文脈において、第1コーティングの95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、銅及び鉄の1種以上を含むゼオライト材料、及び好ましくは前記で定義した酸化物バインダーからなることが好ましい。
【0024】
代替として、第1コーティングがバナジウム酸化物を含むことが好ましく、ここで、バナジウム酸化物が、より好ましくは酸化バナジウム(V)、酸化バナジウム(IV)及び酸化バナジウム(III)の1種以上であり、バナジウム酸化物が任意にタングステン、鉄及びアンチモンの1種以上を含む。バナジウム酸化物は、チタン、シリコン及びジルコニウムの1種以上を含む、より好ましくはチタン及びシリコンの1種以上を含む酸化物材料に担持されていることが好ましい。酸化物材料がチタニア及びシリカの1種以上、より好ましくはチタニア及びシリカであることがより好ましく、ここで、より好ましくは、酸化物材料の80~95質量%がチタニアからなる。
【0025】
第1コーティングは、バナジウム酸化物を、Vとして計算される、1~6g/inの範囲、より好ましくは2~4g/inの範囲の担持量で含むことが好ましい。
【0026】
第1コーティングの95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、酸化物材料に担持されるバナジウム酸化物からなることが好ましい。
【0027】
本発明の文脈において、第1コーティングの0~0.001質量%、好ましくは0~0.0001質量%、より好ましくは0~0.00001質量%が、好ましくはパラジウム、より好ましくはパラジウム、白金及びロジウム、より好ましくはパラジウム、白金、ロジウム、オスミウム及びイリジウム、より好ましくは貴金属からなる。言い換えれば、第1コーティングは、好ましくはパラジウム、より好ましくはパラジウム、白金及びロジウム、より好ましくはパラジウム、白金、ロジウム、オスミウム及びイリジウム、より好ましくは貴金属を実質的に含まない、より好ましくは含まない。
【0028】
第2コーティングについては、当該第2コーティングに含まれる白金族金属成分が、好ましくは白金、パラジウム及びロジウムの1種以上、より好ましくは白金及びパラジウムの1種以上である。また、第2コーティングに含まれる白金族金属成分が、白金であることがより好ましい。
【0029】
第2コーティングは、第2コーティングの非ゼオライト酸化物材料の質量に基づいて、好ましくは0.1~2質量%の範囲、より好ましくは0.2~1質量%の範囲、より好ましくは0.3~0.6質量%の範囲の量で白金族金属成分を含む。
【0030】
第2コーティングは、白金族金属成分を、白金族金属の元素として計算して、好ましくは0.3~10g/ftの範囲、より好ましくは0.5~5g/ftの範囲、より好ましくは1~3g/ftの範囲の担持量で含む。
【0031】
第2コーティングの白金族金属成分がその上に担持される非ゼオライト酸化物材料は、好ましくはアルミナ、ジルコニア、チタニア、シリカ、セリア、及びAl、Zr、Ti、Si及びCeの2種以上を含む混合酸化物の1種以上、より好ましくはアルミナ、ジルコニア、チタニア及びシリカの1種以上、より好ましくはチタニア及びシリカの1種以上を含む、より好ましくはそれらからなる。
【0032】
第2コーティングは、0.1~3g/inの範囲、より好ましくは0.15~1.5g/inの範囲、より好ましくは0.2~0.5g/inの範囲の担持量で非ゼオライト酸化物材料を含む。
【0033】
第2コーティングの非ゼオライト酸化物材料の90~100質量%、より好ましくは95~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、チタニア、及び任意にシリカからなることが好ましい。第2コーティングの非ゼオライト酸化物材料の60~100質量%、より好ましくは80~100質量%、より好ましくは85~95質量%がチタニアからなり、第2コーティングの非ゼオライト酸化物材料の0~40質量%、より好ましくは0~20質量%、より好ましくは5~15質量%がシリカからなることがより好ましい。
【0034】
第2コーティングは、銅及び鉄の1種以上を含むゼオライト材料を含むことが好ましい。
【0035】
第2コーティングに含まれるゼオライト材料は、好ましくはAEI、GME、CHA、MFI、BEA、FAU、MOR、それらの2つ以上の混合物、及びそれらの2つ以上の混合タイプからなる群から選択され、より好ましくはAEI、GME、CHA、BEA、FAU、MOR、それらの2つ以上の混合物、及びそれらの2つ以上の混合タイプからなる群から選択され、より好ましくはAEI、CHA、BEA、それらの2つ以上の混合物、及びそれらの2つ以上の混合タイプからなる群から選択されるフレームワークタイプを有する。第2コーティングのゼオライト材料は、フレームワークタイプCHA又はAEI、より好ましくはフレームワークタイプCHAを有することがより好ましい。
【0036】
第2コーティングのゼオライト材料が銅を含むことが好ましく、ここで、ゼオライト材料に含まれる銅の量は、CuOとして計算され、ゼオライト材料の総質量に基づいて、より好ましくは1~10質量%の範囲、より好ましくは2~8質量%の範囲、より好ましくは3~6質量%の範囲、より好ましくは4.5~6質量%の範囲である。
【0037】
第2コーティングのゼオライト材料に含まれる鉄の量は、Feとして計算され、ゼオライト材料の総質量に基づいて、0~0.01質量%の範囲であることがより好ましく、より好ましくは0~0.001質量%の範囲、より好ましくは0~0.0001質量%の範囲である。言い換えれば、第2コーティングは、鉄を実質的に含まないことが好ましく、より好ましくは鉄を含まない。
【0038】
第2コーティングのゼオライト材料のフレームワーク構造の95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、Al、O、及び任意にPからなることが好ましく、ここで、フレームワーク構造において、SiのAlに対するモル比は、SiO:Alとして計算され、より好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは4:1~40:1の範囲、より好ましくは10:1~40:1の範囲、より好ましくは15:1~40:1の範囲、より好ましくは15:1~25:1の範囲である。
【0039】
第2コーティングに含まれるゼオライト材料が鉄を含むことが好ましく、ここで、ゼオライト材料に含まれる鉄の量は、Feとして計算され、ゼオライト材料の総質量に基づいて、より好ましくは0.1~10.0質量%の範囲、より好ましくは1.0~7.0質量%の範囲、より好ましくは2.5~5.5質量%の範囲である。ゼオライト材料のフレームワーク構造の95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、Al、O、及び任意にPからなることがより好ましく、ここで、フレームワーク構造において、SiのAlに対するモル比は、SiO:Alとして計算され、より好ましくは2:1~55:1の範囲、より好ましくは4:1~50:1の範囲、より好ましくは10:1~45:1の範囲、より好ましくは15:1~40:1の範囲である。鉄がゼオライト材料に存在する場合、ゼオライト材料はフレームワークタイプBEA又はMFIを有することが考えられる。
【0040】
本発明の文脈において、第2コーティングは、0.5~4g/inの範囲、より好ましくは0.75~3g/inの範囲、より好ましくは0.8~2.5g/inの範囲の担持量でゼオライト材料を含むことが好ましい。
【0041】
第2コーティングに含まれるゼオライト材料は、より好ましくはフレームワークタイプCHAを有し、走査電子顕微鏡で決定した平均結晶粒径が好ましくは少なくとも0.5マイクロメートル、より好ましくは0.5~1.5マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.6~1.0マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.6~0.8マイクロメートルの範囲である。
【0042】
第2コーティングが、酸化物バインダーをさらに含むことが好ましい。バインダーは、好ましくはジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、及びZr、Al、Ti及びSiの2種以上を含む混合酸化物の1種以上、より好ましくはアルミナ及びジルコニアの1種以上、より好ましくはジルコニアを含む。
【0043】
第2コーティングは、第2コーティングのゼオライト材料の総質量に基づいて、好ましくは0.5~10質量%の範囲、より好ましくは2~8質量%の範囲、より好ましくは3~6質量%の範囲の量で酸化物バインダーを含む。
【0044】
第2コーティングは、より好ましくは0.01~0.25g/inの範囲、より好ましくは0.02~0.1g/inの範囲の担持量で酸化物バインダーを含むことが好ましい。
【0045】
第2コーティングに関して、それは、非ゼオライト酸化物材料に担持されている白金族金属成分、銅及び鉄の1種以上を含むゼオライト材料、及び前記で定義した酸化性バインダーを含むことが好ましい。
【0046】
したがって、本発明は、好ましくは、NOの酸化のため、アンモニアの酸化のため、及びNOの選択的接触還元のための触媒に関し、この触媒は、
(i)入口端、出口端、入口端から出口端まで延びる基材の軸方向長さ、及びそれに沿って延びるフロースルー基材の内壁によって画定された複数の通路を含むフロースルー基材であって、通路と内壁の間の界面が内壁の表面によって画定されている、フロースルー基材、
(ii)Cuを含むゼオライト材料、より好ましくはフレームワークタイプAEI又はCHAを有するゼオライト材料を含み、より好ましくは前記で定義された酸化物バインダーをさらに含む、第1コーティング、
(iii)非ゼオライト酸化物材料に担持される白金族金属成分を含み、銅及び鉄の1種以上を含むゼオライト材料をさらに含み、より好ましくは前記で定義された酸化物バインダーをさらに含む、第2コーティング、
(iv)酸化物材料に担持される白金族金属成分を含む第3コーティング
を含み、
ここで、第3コーティングは、出口端から入口端まで、基材の軸方向長さのz%にわたって内壁の表面に配置され、zは20~80の範囲であり、
第2コーティングは、入口端から出口端まで、基材の軸方向長さのy%にわたって延び、内壁の表面に配置され、yは20~80の範囲であり、
第1コーティングは、入口端から出口端まで、基材の軸方向長さのx%にわたって延び、第2コーティング上及び第3コーティング上に配置され、xは95~100の範囲である。
【0047】
本発明の文脈において、第2コーティングの90~100質量%、より好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%が、非ゼオライト酸化物材料に担持される白金族金属成分、銅及び鉄の1種以上を含むゼオライト材料、及びより好ましくは前記で定義された酸化物バインダーからなることが好ましい。
【0048】
代替として、第2コーティングがバナジウム酸化物を含むことが好ましく、ここで、バナジウム酸化物が、より好ましくは酸化バナジウム(V)、酸化バナジウム(IV)及び酸化バナジウム(III)の1種以上であり、バナジウム酸化物が任意にタングステン、鉄及びアンチモンの1種以上を含む。
【0049】
バナジウム酸化物は、チタン、シリコン、タングステン及びジルコニウムの1種以上を含む酸化物材料、より好ましくはチタン及びシリコンの1種以上を含む酸化物材料、より好ましくはチタニア及びシリカに担持されていることが好ましく、ここで、より好ましくは、酸化物材料の80~95質量%がチタニアからなる。
【0050】
第2コーティングの90~100質量%、より好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、非ゼオライト酸化物材料に担持される白金族金属成分、及び酸化物材料に担持されるバナジウム酸化物からなることが好ましい。
【0051】
第2コーティングは、バナジウム酸化物を、Vとして計算される、1~6g/inの範囲、より好ましくは2~4g/inの範囲の担持量で含むことが好ましい。
【0052】
白金族金属成分の含有量については、第2コーティングと第3コーティングを合わせて、元素の白金族金属として計算される、触媒中の白金族金属成分の担持量が、1~40g/ftの範囲、より好ましくは2.7~25g/ftの範囲、より好ましくは4.25~15g/ftの範囲、より好ましくは5.5~10.5g/ftの範囲であることが好ましい。
【0053】
第3コーティングにおける白金族金属成分の担持量の、第2コーティングにおける白金族金属成分の担持量に対する比は、1:1~20:1の範囲であることが好ましく、より好ましくは2:1~15:1の範囲、より好ましくは3:1~12:1の範囲、より好ましくは4:1~10:1の範囲、より好ましくは5:1~9:1の範囲である。
【0054】
第3コーティングについては、第3コーティングの白金族金属成分が、白金、パラジウム及びロジウムの1種以上であることが好ましく、より好ましくは白金及びパラジウムの1種以上、より好ましくは白金である。
【0055】
第3コーティングは、第3コーティングの酸化物材料の質量に基づいて、0.5~2質量%、好ましくは0.6~1質量%の範囲の量で白金族金属成分を含むことが好ましい。
【0056】
第3コーティングは、好ましくは5~40g/ftの範囲、より好ましくは8~25g/ftの範囲、より好ましくは10~18g/ftの範囲の、元素の白金族金属として計算された担持量で白金族金属成分を含む。
【0057】
第3コーティングに含まれる白金族金属成分を担持する酸化物材料は、好ましくはアルミナ、ジルコニア、チタニア、シリカ、セリア、及びAl、Zr、Ti、Si及びCeの2種以上を含む混合酸化物の1種以上、より好ましくはアルミナ、ジルコニア、チタニア及びシリカの1種以上、より好ましくはチタニア及びシリカの1種以上を含み、より好ましくはそれらからなる。
【0058】
第3コーティングの酸化物材料の90~100質量%、より好ましくは95~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、チタニア、及び任意にシリカからなることが好ましい。
【0059】
第3コーティングの酸化物材料の60~100質量%、より好ましくは80~100質量%、より好ましくは85~95質量%がチタニアからなり、第3コーティングの酸化物材料の0~40質量%、より好ましくは0~20質量%、より好ましくは5~15質量%がシリカからなることが好ましい。
【0060】
第3コーティングは、好ましくは0.25~3g/inの範囲、より好ましくは0.5~2.5g/inの範囲、より好ましくは0.75~2g/inの範囲、より好ましくは0.8~1.5g/inの範囲の担持量で、白金族金属成分を担持する酸化物材料を含む。
【0061】
第3コーティングが、酸化物バインダーを含むことが好ましく、ここで、酸化物バインダーは、より好ましくはシリカ、ジルコニア、アルミナ、チタニア、及びZr、Al、Ti及びSiの2種以上を含む混合酸化物の1種以上を含み、より好ましくはシリカ及びアルミナの1種以上、より好ましくはシリカを含む。
【0062】
第3コーティングは、第3コーティングの酸化物材料の質量に基づいて、1~7質量%の範囲、より好ましくは1.5~4質量%の範囲の量で、酸化物バインダーを含むことが好ましい。
【0063】
第3コーティングについては、それは酸化物材料に担持されている白金族金属成分を含むことが好ましく、ここで、白金族金属成分は、より好ましくは白金であり、より好ましくは前記で定義された酸化物バインダーを含む。
【0064】
したがって、本発明は、好ましくは、NOの酸化のため、アンモニアの酸化のため、及びNOの選択的接触還元のための触媒に関し、この触媒は、
(i)入口端、出口端、入口端から出口端まで延びる基材の軸方向長さ、及びそれに沿って延びるフロースルー基材の内壁によって画定された複数の通路を含むフロースルー基材であって、通路と内壁の間の界面が内壁の表面によって画定されている、フロースルー基材、
(ii)Cuを含むゼオライト材料、より好ましくはフレームワークタイプAEI又はCHAを有するゼオライト材料を含み、より好ましくは前記で定義された酸化物バインダーをさらに含む、第1コーティング、
(iii)非ゼオライト酸化物材料に担持される白金族金属成分を含み、銅及び鉄の1種以上を含むゼオライト材料をさらに含み、より好ましくは前記で定義された酸化物バインダーをさらに含む、第2コーティング、
(iv)酸化物材料に担持される白金族金属成分を含む第3コーティングであって、白金族金属成分が白金であり、より好ましくは、前記で定義された酸化物バインダーをさらに含む、第3コーティング
を含み、
ここで、第3コーティングは、出口端から入口端まで、基材の軸方向長さのz%にわたって内壁の表面に配置され、zは20~80の範囲であり、
第2コーティングは、入口端から出口端まで、基材の軸方向長さのy%にわたって延び、内壁の表面に配置され、yは20~80の範囲であり、
第1コーティングは、入口端から出口端まで、基材の軸方向長さのx%にわたって延び、第2コーティング上及び第3コーティング上に配置され、xは95~100の範囲である。
【0065】
本発明の文脈において、第3コーティングの90~100質量%、より好ましくは95~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、酸化物材料に担持される白金族金属成分、及び好ましくは前記で定義した酸化物バインダーからなることが好ましい。
【0066】
第3コーティングの、好ましくは最大0.01質量%、より好ましくは0~0.01質量%、より好ましくは0~0.001質量%、より好ましくは0~0.0001質量%がゼオライト材料からなる。言い換えれば、第3コーティングは、好ましくはゼオライト材料を実質的に含まない、より好ましくはゼオライト材料を含まない。
【0067】
第3コーティングの、好ましくは最大0.01質量%、より好ましくは0~0.01質量%、より好ましくは0~0.0001質量%、より好ましくは0~0.00001質量%が1種以上のバナジウム酸化物からなる。言い換えれば、第3コーティングは、好ましくは1種以上のバナジウム酸化物を実質的に含まない、より好ましくは1種以上のバナジウム酸化物を含まない。
【0068】
第3コーティングは、好ましくはディーゼル酸化触媒成分を含み、より好ましくはディーゼル酸化触媒成分からなる。
【0069】
触媒は、好ましくは0.4~3.25g/inの範囲、より好ましくは0.55~2.75g/inの範囲、より好ましくは0.8~2.25g/inの範囲、より好ましくは0.85~1.75g/inの範囲の担持量で第3コーティングを含む。
【0070】
第2コーティングは、好ましくは1種以上の窒素酸化物(NO)還元成分及び1種以上のアンモニア酸化(AMO)成分を含み、より好ましくは1種以上の窒素酸化物(NO)還元成分及び1種以上のアンモニア酸化(AMO)成分からなる。
【0071】
触媒は、好ましくは0.6~5.25g/inの範囲、より好ましくは0.8~3.25g/inの範囲、より好ましくは0.9~2.75g/inの範囲の担持量で第2コーティングを含む。
【0072】
第1コーティングは、好ましくは窒素酸化物(NO)還元成分を含み、より好ましくは窒素酸化物(NO)還元成分からなる。
【0073】
触媒は、好ましくは0.6~5.25g/inの範囲、より好ましくは0.8~3.25g/inの範囲、より好ましくは0.9~2.75g/inの範囲の担持量で第1コーティングを含む。
【0074】
触媒のフロースルー基材はセラミック又は金属物質を含むことが好ましい。
【0075】
触媒のフロースルー基材が、好ましくはセラミック物質を含み、より好ましくはセラミック物質からなり、ここで、セラミック物質が、より好ましくはアルミナ、シリカ、シリケート、アルミノシリケートの1種以上、より好ましくはコーディエライト又はムライト、アルミノチタネート、炭化ケイ素、ジルコニア、マグネシア、好ましくはスピネル、及びチタニアの1種以上、より好ましくは炭化ケイ素及びコーディエライトの1種以上、より好ましくはコーディエライトを含み、より好ましくはそれらからなる。あるいは、触媒のフロースルー基材が、好ましくは金属物質を含み、より好ましくは金属物質からなり、ここで、金属物質が、より好ましくは酸素、並びに鉄、クロム及びアルミニウムの1種以上を含み、より好ましくは酸素、並びに鉄、クロム及びアルミニウムの1種以上からなる。
【0076】
本発明の触媒は、フロースルー基材、第1コーティング、第2コーティング及び第3コーティングからなることが好ましい。
【0077】
さらに、本発明は、NOの酸化のため、アンモニアの酸化のため、及びNOの選択的接触還元のための触媒、好ましくは本発明による触媒を製造する方法に関し、この方法は、
(a)コーティングされていないフロースルー基材を提供する工程であって、この基材は、入口端、出口端、入口端から出口端まで延びる基材の軸方向長さ、及びそれに沿って延びる基材の内壁によって画定された複数の通路を含み、通路と内壁との間の界面は内壁の表面によって画定されている、工程と、
(b)白金族金属成分、酸化物材料及び溶媒を含むスラリーを提供し、前記スラリーを、出口端から入口端まで、基材の軸方向長さのz%(zは20~80の範囲である)にわたって、基材の内壁の表面に配置し、基材上に配置されたスラリーをか焼して、基材上に配置された第3コーティングを得る工程と、
(c)白金族金属成分、非ゼオライト酸化物材料、バナジウム酸化物と、銅及び鉄の1種以上を含むゼオライト材料とのうちの1種以上、及び溶媒を含むスラリーを提供し、前記スラリーを、入口端から出口端まで、基材の軸方向長さのy%(yは20~80の範囲である)にわたって、内壁の表面に配置し、基材上に配置されたスラリーをか焼して、基材上に配置された第2コーティングを得る工程と、
(d)バナジウム酸化物と、銅及び鉄の1種以上を含むゼオライト材料とのうちの1種以上、及び溶媒を含むスラリーを提供し、前記スラリーを、入口端から出口端まで、第2コーティング上に、基材の軸方向長さのx%(xは95~100の範囲である)にわたって配置し、基材上に配置されたスラリーをか焼して、NOの酸化のため、アンモニアの酸化のため、及びNOの選択的接触還元のための触媒を得る工程と
を含む。
【0078】
工程(b)について、好ましくは、それは、
(b.1) 水と、アルコールと、白金族金属前駆体、より好ましくは白金前駆体との水性混合物、及び酸化物材料でスラリーを形成するステップであって、より好ましくは、この酸化物材料が前記で定義した通りであり、より好ましくは酸化物バインダーの源、より好ましくはコロイダルシリカを添加し、任意に、より好ましくはこのバインダーを添加する前にpHを3~5の範囲に調整する、ステップと、
(b.2) ステップ(b.1)で得られたスラリーを、出口端から入口端まで、基材の軸方向長さのz%にわたって、基材の内壁の表面に配置するステップと、
(b.3) 任意に、ステップ(b.2)で得られた基材上に配置されたスラリーを乾燥させ、乾燥したスラリー処理基材を得るステップと、
(b.4) ステップ(b.2)で得られた基材上に配置されたスラリー、又はステップ(b.3)で得られた乾燥したスラリー処理基材を、より好ましくは400~800℃の範囲、より好ましくは450~700℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼するステップであって、このガス雰囲気は、より好ましくは空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気を含み、より好ましくは空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気である、ステップと、
を含む。
【0079】
ステップ(b.3)によれば、90~180℃の範囲、より好ましくは110~130℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で、乾燥を行うことが好ましく、ここで、このガス雰囲気は、より好ましくは空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気を含み、より好ましくは空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気である。
【0080】
ステップ(b.3)によれば、ガス雰囲気中で10分~1.5時間の範囲、より好ましくは20分~50分の範囲の持続時間で、乾燥を行うことが好ましく、ここで、このガス雰囲気は、より好ましくは空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気を含み、より好ましくは空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気である。
【0081】
ステップ(b.4)によれば、500~650℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼を行うことが好ましく、ここで、このガス雰囲気は、より好ましくは空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気を含み、より好ましくは空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気である。
【0082】
工程(c)について、好ましくは、それは、
(c.1) 水と、白金族金属の前駆体、より好ましくは白金前駆体と、非ゼオライト酸化物材料と、より好ましくはフレームワークタイプCHAを有し、銅及び鉄の1種以上を含むゼオライト材料との水性混合物でスラリーを形成し、より好ましくは酸化物バインダーの前駆体、より好ましくはZr含有前駆体、より好ましくはジルコニルアセテートを添加するステップ;又は
水源、白金族金属前駆体、より好ましくは白金前駆体、非ゼオライト酸化物材料、及びバナジウム酸化物、より好ましくはシュウ酸バナジウムでスラリーを形成し、より好ましくは酸化物材料、より好ましくは分散剤を添加するステップと、
(c.2) ステップ(c.1)で得られたスラリーを、入口端から出口端まで、基材の軸方向長さのy%にわたって、内壁の表面に配置するステップと、
(c.3) 任意に、ステップ(c.2)で得られた基材上に配置されたスラリーを乾燥させ、乾燥したスラリー処理基材を得るステップと、
(c.4) ステップ(c.2)で得られた基材上に配置されたスラリー、又はステップ(c.3)で得られた乾燥したスラリー処理基材を、より好ましくは300~600℃の範囲、より好ましくは350~550℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼するステップであって、このガス雰囲気は、より好ましくは空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気を含み、より好ましくは空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気である、ステップと、
を含む。
【0083】
ステップ(c.3)によれば、90~180℃の範囲、より好ましくは120~140℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で、乾燥を行うことが好ましく、ここで、このガス雰囲気は、より好ましくは空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気を含み、より好ましくは空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気である。
【0084】
ステップ(c.3)によれば、ガス雰囲気中で10分~1.5時間の範囲、より好ましくは20分~50分の範囲の持続時間で、乾燥を行うことが好ましく、ここで、このガス雰囲気は、より好ましくは空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気を含み、より好ましくは空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気である。
【0085】
ステップ(c.4)によれば、350~500℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼を行うことが好ましく、ここで、このガス雰囲気は、より好ましくは空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気を含み、より好ましくは空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気である。
【0086】
工程(d)について、好ましくは、それは、
(d.1) 水と、より好ましくはフレームワークタイプCHAを有し、銅及び鉄の1種以上を含むゼオライト材料と、酸化物バインダーの前駆体、より好ましくはZr含有前駆体、より好ましくはジルコニルアセテートとを含むスラリーを形成するステップ;又は
水、及びバナジウム酸化物の源、より好ましくはシュウ酸バナジウムでスラリーを形成し、より好ましくは酸化物材料、より好ましくは分散剤を添加するステップと、
(d.2) 得られたスラリーを、第2コーティングの基材の軸方向長さのx%にわたって、入口端から出口端まで配置するステップであって、xは、より好ましくは98~100の範囲、より好ましくは99~100の範囲である、ステップと、
(d.3) 任意に、ステップ(d.2)で得られた基材上に配置されたスラリーを乾燥させ、乾燥したスラリー処理基材を得る、ステップと、
(d.4) ステップ(d.2)で得られた基材上に配置されたスラリー、又はステップ(d.3)で得られた乾燥したスラリー処理基材を、より好ましくは300~600℃の範囲、より好ましくは350~550℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼するステップであって、このガス雰囲気は、より好ましくは空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気を含み、より好ましくは空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気である、ステップと、
を含む。
【0087】
ステップ(d.3)によれば、90~180℃の範囲、より好ましくは110~130℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で、乾燥を行うことが好ましく、ここで、このガス雰囲気は、より好ましくは空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気を含み、より好ましくは空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気である。
【0088】
ステップ(d.4)によれば、350~500℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼を行うことが好ましく、ここで、このガス雰囲気は、より好ましくは空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気を含み、より好ましくは空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気である。
【0089】
yが20~(100-z)の範囲であることが好ましく、より好ましくはyが(100-z)であり、zが、好ましくは30~70の範囲、より好ましくは40~60の範囲、より好ましくは45~55の範囲である。
【0090】
工程(b)、(c)及び(d)の1つ以上における配置、より好ましくは工程(b)、(c)及び(d)における配置は、スラリーを基材上に噴霧することにより、又は基材をスラリー中に浸漬することにより、より好ましくは基材をスラリー中に浸漬することにより行われることが好ましい。
【0091】
本発明の文脈において、この方法が、工程(a)、(b)、(c)及び(d)からなることが好ましい。
【0092】
さらに、本発明は、本発明による方法により得ることができる又は得られる、NOの酸化のため、アンモニアの酸化のため、及びNOの選択的接触還元のための触媒、好ましくは本発明によるNOの酸化のため、アンモニアの酸化のため、及びNOの選択的接触還元のための触媒に関する。
【0093】
さらに、本発明は、NOの選択的触媒還元、アンモニアの酸化、及びNOの酸化を同時に行うために、本発明によるNOの酸化のため、アンモニアの酸化のため、及びNOの選択的接触還元のための触媒を使用する方法に関する。
【0094】
さらに、本発明は、内燃機関、好ましくはディーゼルエンジンから出る排ガス流を処理するための排ガス処理システムに関し、ここで、前記排ガス処理システムは、前記排ガス流を前記排ガス処理システムに導入するための上流端を有し、前記排ガス処理システムは、本発明による触媒と、選択的触媒還元触媒、アンモニア酸化触媒及びディーゼル粒子フィルタの1つ以上とを含む。本発明の排ガス処理システムが、ディーゼル酸化触媒を含んでいてもよいことが考えられる。しかしながら、本発明の排ガス処理システムにおける本発明による触媒の使用の観点からは、そのようなディーゼル酸化触媒の存在は必要ないと考えられる。

【0095】
このシステムが、基材上に配置されたコーティングを含む第1選択的触媒還元触媒、及び本発明による触媒を含むことが好ましく、ここで、第1選択的触媒還元触媒が、排ガス処理システムの入口端の下流に位置し、本発明による触媒が、第1選択的触媒還元触媒の下流に位置する。第1選択的触媒還元触媒について、それは、バナジウム酸化物と、銅及び鉄の1種以上を含むゼオライト材料とのうちの1種以上を含むことが好ましい。
【0096】
このシステムがディーゼル粒子フィルタをさらに含むことが好ましく、ここで、前記フィルタが本発明による触媒の下流に位置する。
【0097】
このシステムが、第2選択的触媒還元触媒及びアンモニア酸化触媒をさらに含むことが好ましく、ここで、第2選択的触媒還元触媒がディーゼル粒子フィルタの下流に位置し、アンモニア酸化触媒が第2選択的触媒還元の下流に位置する。
【0098】
このシステムが、エンジンから排出される排ガス流に流体を注入するための第1インジェクタをさらに含むことが好ましく、ここで、前記インジェクタは、第1選択的触媒還元触媒の上流、及び排ガス処理システムの上流端の下流に位置し、流体は、より好ましくは尿素水溶液である。このシステムが、ディーゼル粒子フィルタから出る排ガス流に流体を注入するための第2インジェクタをさらに含むことが好ましく、ここで、前記インジェクタは、第2選択的触媒還元触媒の上流、及びディーゼル粒子フィルタの下流に位置し、流体は、より好ましくは尿素水溶液である。
【0099】
このシステムが、第1選択的触媒還元触媒、本発明による触媒、及び好ましくは前記で定義されたディーゼル粒子フィルタ、及びより好ましくは前記で定義された第2選択的触媒還元触媒及び前記で定義されたアンモニア酸化触媒、及びより好ましくは前記で定義された第1インジェクタ及び第2インジェクタからなることがより好ましい。
【0100】
さらに、本発明は、NOの選択的触媒還元、アンモニアの酸化、及び一酸化窒素の酸化を同時に行うための方法に関し、この方法は、
(1) NO、アンモニア及び一酸化窒素の1種以上を含むガス流を提供すること、
(2) (1)で提供されたガス流を、本発明によるNOの酸化のため、アンモニアの酸化のため、及びNOの選択的触媒還元のための触媒と接触させること
を含む。
【0101】
本発明は、以下の一連の実施態様、及び示された従属関係及び後方参照から生じる実施態様の組み合わせによって説明される。特に、例えば「実施態様1から4のいずれか一項に記載の触媒」などの用語の文脈において、実施形態の範囲が言及される各例では、この範囲内のすべての実施態様が当業者に明示的に開示されることを意味し、すなわち、この用語の文言は「実施態様1、2、3、4のいずれか一項に記載の触媒」と同義であると当業者に理解されることに留意されたい。さらに、以下の一連の実施態様は、保護の範囲を決定する特許請求の範囲のセットではなく、本発明の一般的かつ好ましい態様に向けられた説明の好適に構成された部分を示すことに明示的に留意されたい。
【0102】
1.NOの酸化のため、アンモニアの酸化のため、及びNOの選択的接触還元のための触媒であって、
(i)入口端、出口端、前記入口端から前記出口端まで延びる基材の軸方向長さ、及びそれに沿って延びるフロースルー基材の内壁によって画定された複数の通路を含むフロースルー基材であって、前記通路と前記内壁の間の界面が前記内壁の表面によって画定されている、フロースルー基材、
(ii)バナジウム酸化物と、銅及び鉄の1種以上を含むゼオライト材料とのうちの1種以上を含む、第1コーティング、
(iii)非ゼオライト酸化物材料に担持される白金族金属成分を含み、かつ、さらにバナジウム酸化物と、銅及び鉄の1種以上を含むゼオライト材料とのうちの1種以上を含む、第2コーティング、
(iv)酸化物材料に担持される白金族金属成分を含む第3コーティング
を含み、
前記第3コーティングは、前記出口端から前記入口端まで、前記基材の前記軸方向長さのz%にわたって前記内壁の表面に配置され、zは20~80の範囲であり、
前記第2コーティングは、前記入口端から前記出口端まで、前記基材の前記軸方向長さのy%にわたって延び、前記内壁の表面に配置され、yは20~80の範囲であり、
前記第1コーティングは、前記入口端から前記出口端まで、前記基材の前記軸方向長さのx%にわたって延び、前記第2コーティング上及び前記第3コーティング上に配置され、xは95~100の範囲である、触媒。
【0103】
2.xが、98~100の範囲、好ましくは99~100の範囲である、実施態様1に記載の触媒。
【0104】
3.yが20~(100-z)の範囲であり、好ましくはyが(100-z)であり、zが、好ましくは30~70の範囲、より好ましくは40~60の範囲、より好ましくは45~55の範囲である、実施態様1又は2に記載の触媒。
【0105】
4.yが、30~70の範囲、好ましくは40~60の範囲、より好ましくは45~55の範囲であり、zが、30~70の範囲、好ましくは40~60の範囲、より好ましくは45~55の範囲である、実施態様1又は2に記載の触媒。
【0106】
5.前記第1コーティングが、銅及び鉄の1種以上を含むゼオライト材料を含む、実施態様1から4のいずれか一項に記載の触媒。
【0107】
6.前記第1コーティングに含まれる前記ゼオライト材料は、AEI、GME、CHA、MFI、BEA、FAU、MOR、それらの2つ以上の混合物、及びそれらの2つ以上の混合タイプからなる群から選択され、好ましくはAEI、GME、CHA、BEA、FAU、MOR、それらの2つ以上の混合物、及びそれらの2つ以上の混合タイプからなる群から選択され、より好ましくはAEI、CHA、BEA、それらの2つ以上の混合物、及びそれらの2つ以上の混合タイプからなる群から選択されるフレームワークタイプを有し、より好ましくは、前記第1コーティングに含まれる前記ゼオライト材料は、フレームワークタイプCHA又はAEI、より好ましくはCHAを有する、実施態様1から5のいずれか一項に記載の触媒。
【0108】
7.前記ゼオライト材料のフレームワーク構造の95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、Al、O、及び任意にPからなり、前記フレームワーク構造において、SiのAlに対するモル比は、モル比SiO:Alとして計算され、好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは4:1~40:1の範囲、より好ましくは10:1~40:1の範囲、より好ましくは15:1~40:1の範囲、より好ましくは15:1~25:1の範囲である、実施態様1から6のいずれか一項に記載の触媒。
【0109】
8.前記第1コーティングに含まれる前記ゼオライト材料が銅を含み、前記ゼオライト材料に含まれる銅の量は、CuOとして計算され、前記ゼオライト材料の総質量に基づいて、好ましくは1~10質量%の範囲、より好ましくは2~8質量%の範囲、より好ましくは3~6質量%の範囲、より好ましくは4.5~6質量%の範囲であり、前記第1コーティングの前記ゼオライト材料に含まれる鉄の量は、Feとして計算され、前記ゼオライト材料の総質量に基づいて、好ましくは0~0.01質量%の範囲、より好ましくは0~0.001質量%の範囲、より好ましくは0~0.0001質量%の範囲である、実施態様1から7のいずれか一項に記載の触媒。
【0110】
9.前記第1コーティングに含まれる前記ゼオライト材料が鉄を含み、前記ゼオライト材料に含まれる鉄の量は、Feとして計算され、前記ゼオライト材料の総質量に基づいて、好ましくは0.1~10.0質量%の範囲、より好ましくは1.0~7.0質量%の範囲、より好ましくは2.5~5.5質量%の範囲であり、前記ゼオライト材料のフレームワーク構造の好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、Al、O、及び任意にPからなり、前記フレームワーク構造において、SiのAlに対するモル比は、SiO:Alとして計算され、好ましくは2:1~55:1の範囲、より好ましくは4:1~50:1の範囲、より好ましくは10:1~45:1の範囲、より好ましくは15:1~40:1の範囲である、実施態様1から7のいずれか一項に記載の触媒。
【0111】
10.前記第1コーティングは、0.5~4g/inの範囲、好ましくは0.75~3.5g/inの範囲、より好ましくは0.8~3g/inの範囲、より好ましくは0.8~2.5g/inの範囲の担持量で前記ゼオライト材料を含む、実施態様1から9のいずれか一項に記載の触媒。
【0112】
11.前記第1コーティングに含まれる前記ゼオライト材料は、好ましくはフレームワークタイプCHAを有し、走査電子顕微鏡で決定した平均結晶粒径が少なくとも0.5マイクロメートル、好ましくは0.5~1.5マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.6~1.0マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.6~0.8マイクロメートルの範囲である、実施態様1から10のいずれか一項に記載の触媒。
【0113】
12.前記第1コーティングが酸化物バインダーをさらに含み、このバインダーは、好ましくはジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、及びZr、Al、Ti及びSiの2種以上を含む混合酸化物の1種以上を含み、より好ましくはアルミナ及びジルコニアの1種以上を含み、より好ましくはジルコニアを含み、
前記第1コーティングは、より好ましくは、前記第1コーティングの前記ゼオライト材料の総質量に基づいて、0.5~10質量%の範囲、好ましくは2~8質量%の範囲、より好ましくは3~6質量%の範囲の量で前記酸化物バインダーを含み、
前記第1コーティングは、より好ましくは0.01~0.2g/inの範囲、より好ましくは0.02~0.15g/inの範囲、より好ましくは0.03~0.12g/inの範囲の担持量で前記酸化物バインダーを含む、実施態様1から11のいずれか一項に記載の触媒。
【0114】
13.前記第1コーティングの95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、銅及び鉄の1種以上を含むゼオライト材料、及び好ましくは実施態様12で定義した酸化物バインダーからなる、実施態様1から12のいずれか一項に記載の触媒。
【0115】
14.前記第1コーティングがバナジウム酸化物を含み、前記バナジウム酸化物が、好ましくは酸化バナジウム(V)、酸化バナジウム(IV)及び酸化バナジウム(III)の1種以上であり、前記バナジウム酸化物が任意にタングステン、鉄及びアンチモンの1種以上を含む、実施態様1から12のいずれか一項に記載の触媒。
【0116】
15.前記バナジウム酸化物が、チタン、シリコン及びジルコニウムの1種以上を含む、好ましくはチタン及びシリコンの1種以上を含む酸化物材料に担持され、前記酸化物材料が、より好ましくはチタニア及びシリカの1種以上、より好ましくはチタニア及びシリカであり、好ましくは、前記酸化物材料の80~95質量%がチタニアからなる、実施態様14に記載の触媒。
【0117】
16.前記第1コーティングは、前記バナジウム酸化物を、Vとして計算される、1~6g/inの範囲、好ましくは2~4g/inの範囲の担持量で含む、実施態様14又は15に記載の触媒。
【0118】
17.前記第1コーティングの95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、前記酸化物材料に担持されるバナジウム酸化物からなる、実施態様15又は16に記載の触媒。
【0119】
18.前記第1コーティングの0~0.001質量%、好ましくは0~0.0001質量%、より好ましくは0~0.00001質量%が、パラジウム、好ましくはパラジウム、白金及びロジウム、より好ましくはパラジウム、白金、ロジウム、オスミウム及びイリジウム、より好ましくは貴金属からなる、実施態様1から17のいずれか一項に記載の触媒。
【0120】
19.前記第2コーティングに含まれる前記白金族金属成分が、白金、パラジウム及びロジウムの1種以上、好ましくは白金及びパラジウムの1種以上であり、より好ましくは、前記白金族金属成分が白金である、実施態様1から18のいずれか一項に記載の触媒。
【0121】
20.前記第2コーティングは、前記白金族金属成分を、元素の白金族金属として計算される、0.3~10g/ftの範囲、好ましくは0.5~5g/ftの範囲、より好ましくは1~3g/ftの範囲の担持量で含み、
前記第2コーティングは、前記第2コーティングの前記非ゼオライト酸化物材料の質量に基づいて、好ましくは0.1~2質量%の範囲、より好ましくは0.2~1質量%の範囲、より好ましくは0.3~0.6質量%の範囲の量で前記白金族金属成分を含む、実施態様1から19のいずれか一項に記載の触媒。
【0122】
21.前記第2コーティングの白金族金属成分がその上に担持される前記非ゼオライト酸化物材料は、アルミナ、ジルコニア、チタニア、シリカ、セリア、及びAl、Zr、Ti、Si及びCeの2種以上を含む混合酸化物の1種以上、好ましくはアルミナ、ジルコニア、チタニア及びシリカの1種以上、より好ましくはチタニア及びシリカの1種以上を含み、好ましくは、アルミナ、ジルコニア、チタニア、シリカ、セリア、及びAl、Zr、Ti、Si及びCeの2種以上を含む混合酸化物の1種以上、好ましくはアルミナ、ジルコニア、チタニア及びシリカの1種以上、より好ましくはチタニア及びシリカの1種以上からなり、
前記第2コーティングは、好ましくは0.1~3g/inの範囲、より好ましくは0.15~1.5g/inの範囲、より好ましくは0.2~0.5g/inの範囲の担持量で前記非ゼオライト酸化物材料を含む、実施態様1から20のいずれか一項に記載の触媒。
【0123】
22.前記第2コーティングの前記非ゼオライト酸化物材料の90~100質量%、好ましくは95~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、チタニア、及び任意にシリカからなり、
前記第2コーティングの前記非ゼオライト酸化物材料の好ましくは60~100質量%、より好ましくは80~100質量%、より好ましくは85~95質量%がチタニアからなり、前記第2コーティングの前記非ゼオライト酸化物材料の好ましくは0~40質量%、より好ましくは0~20質量%、より好ましくは5~15質量%がシリカからなる、実施態様21に記載の触媒。
【0124】
23.前記第2コーティングは、銅及び鉄の1種以上を含むゼオライト材料を含む、実施態様1から22のいずれか一項に記載の触媒。
【0125】
24.前記第2コーティングに含まれる前記ゼオライト材料は、AEI、GME、CHA、MFI、BEA、FAU、MOR、それらの2つ以上の混合物、及びそれらの2つ以上の混合タイプからなる群から選択され、好ましくはAEI、GME、CHA、BEA、FAU、MOR、それらの2つ以上の混合物、及びそれらの2つ以上の混合タイプからなる群から選択され、より好ましくはAEI、CHA、BEA、それらの2つ以上の混合物、及びそれらの2つ以上の混合タイプからなる群から選択されるフレームワークタイプを有し、前記第2コーティングの前記ゼオライト材料は、より好ましくはフレームワークタイプCHA又はAEI、より好ましくはCHAを有する、実施態様1から23のいずれか一項に記載の触媒。
【0126】
25.前記第2コーティングの前記ゼオライト材料が銅を含み、前記ゼオライト材料に含まれる銅の量は、CuOとして計算され、前記ゼオライト材料の総質量に基づいて、好ましくは1~10質量%の範囲、より好ましくは2~8質量%の範囲、より好ましくは3~6質量%の範囲、より好ましくは4.5~6質量%の範囲である、実施態様1から24のいずれか一項に記載の触媒。
【0127】
26.前記第2コーティングの前記ゼオライト材料のフレームワーク構造の95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、Al、O、及び任意にPからなり、前記フレームワーク構造において、SiのAlに対するモル比は、SiO:Alとして計算され、好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは4:1~40:1の範囲、より好ましくは10:1~40:1の範囲、より好ましくは15:1~40:1の範囲、より好ましくは15:1~25:1の範囲である、実施態様1から25のいずれか一項に記載の触媒。
【0128】
27.前記第2コーティングの前記ゼオライト材料に含まれる鉄の量は、Feとして計算され、前記ゼオライト材料の総質量に基づいて、0~0.01質量%の範囲、好ましくは0~0.001質量%の範囲、より好ましくは0~0.0001質量%の範囲である、実施態様25又は26に記載の触媒。
【0129】
28.前記第2コーティングに含まれる前記ゼオライト材料が鉄を含み、前記ゼオライト材料に含まれる鉄の量は、Feとして計算され、前記ゼオライト材料の総質量に基づいて、好ましくは0.1~10.0質量%の範囲、より好ましくは1.0~7.0質量%の範囲、より好ましくは2.5~5.5質量%の範囲であり、前記ゼオライト材料のフレームワーク構造の好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、Al、O、及び任意にPからなり、前記フレームワーク構造において、SiのAlに対するモル比は、SiO:Alとして計算され、好ましくは2:1~55:1の範囲、より好ましくは4:1~50:1の範囲、より好ましくは10:1~45:1の範囲、より好ましくは15:1~40:1の範囲である、実施態様1から26のいずれか一項に記載の触媒。
【0130】
29.前記第2コーティングは、0.5~4g/inの範囲、好ましくは0.75~3g/inの範囲、より好ましくは0.8~2.5g/inの範囲の担持量で前記ゼオライト材料を含む、実施態様1から28のいずれか一項に記載の触媒。
【0131】
30.前記第2コーティングに含まれる前記ゼオライト材料は、好ましくはフレームワークタイプCHAを有し、走査電子顕微鏡で決定した平均結晶粒径が少なくとも0.5マイクロメートル、好ましくは0.5~1.5マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.6~1.0マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.6~0.8マイクロメートルの範囲である、実施態様1から29のいずれか一項に記載の触媒。
【0132】
31.前記第2コーティングが酸化物バインダーをさらに含み、このバインダーは、好ましくはジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、及びZr、Al、Ti及びSiの2種以上を含む混合酸化物の1種以上、より好ましくはアルミナ及びジルコニアの1種以上、より好ましくはジルコニアを含み、
前記第2コーティングは、前記第2コーティングの前記ゼオライト材料の総質量に基づいて、より好ましくは0.5~10質量%の範囲、より好ましくは2~8質量%の範囲、より好ましくは3~6質量%の範囲の量で前記酸化物バインダーを含み、
前記第2コーティングは、より好ましくは0.01~0.25g/inの範囲、より好ましくは0.02~0.1g/inの範囲の担持量で前記酸化物バインダーを含む、実施態様1から30のいずれか一項に記載の触媒。
【0133】
32.前記第2コーティングの90~100質量%、好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%が、前記非ゼオライト酸化物材料に担持される前記白金族金属成分、銅及び鉄の1種以上を含む前記ゼオライト材料、及び好ましくは実施態様31で定義された酸化物バインダーからなる、実施態様1から31のいずれか一項に記載の触媒。
【0134】
33.前記第2コーティングがバナジウム酸化物を含み、前記バナジウム酸化物が、好ましくは酸化バナジウム(V)、酸化バナジウム(IV)及び酸化バナジウム(III)の1種以上であり、前記バナジウム酸化物が任意にタングステン、鉄及びアンチモンの1種以上を含む、実施態様1から31のいずれか一項に記載の触媒。
【0135】
34.前記バナジウム酸化物は、チタン、シリコン、タングステン及びジルコニウムの1種以上を含む酸化物材料、好ましくはチタン及びシリコンの1種以上を含む酸化物材料、より好ましくはチタニア及びシリカに担持され、好ましくは、前記酸化物材料の80~95質量%がチタニアからなる、実施態様33に記載の触媒。
【0136】
35.前記第2コーティングの90~100質量%、好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、前記非ゼオライト酸化物材料に担持される前記白金族金属成分、及び前記酸化物材料に担持されるバナジウム酸化物からなる、実施態様34に記載の触媒。
【0137】
36.前記第2コーティングは、前記バナジウム酸化物を、Vとして計算される、1~6g/inの範囲、好ましくは2~4g/inの範囲の担持量で含む、実施態様33から35のいずれか一項に記載の触媒。
【0138】
37.前記第2コーティングと前記第3コーティングを合わせて、元素の白金族金属として計算される、前記触媒中の白金族金属成分の担持量が、1~40g/ftの範囲、好ましくは2.7~25g/ftの範囲、より好ましくは4.25~15g/ftの範囲、より好ましくは5.5~10.5g/ftの範囲である、実施態様1から36のいずれか一項に記載の触媒。
【0139】
38.前記第3コーティングの前記白金族金属成分が、白金、パラジウム及びロジウムの1種以上、好ましくは白金及びパラジウムの1種以上、より好ましくは白金である、実施態様1から37のいずれか一項に記載の触媒。
【0140】
39.前記第3コーティングは、5~40g/ftの範囲、好ましくは8~25g/ftの範囲、より好ましくは10~18g/ftの範囲の、元素の白金族金属として計算された担持量で前記白金族金属成分を含み、
前記第3コーティングは、前記第3コーティングの前記酸化物材料の質量に基づいて、0.5~2質量%、好ましくは0.6~1質量%の範囲の量で前記白金族金属成分を含む、実施態様1から38のいずれか一項に記載の触媒。
【0141】
40.前記第3コーティングに含まれる前記白金族金属成分を担持する前記酸化物材料は、アルミナ、ジルコニア、チタニア、シリカ、セリア、及びAl、Zr、Ti、Si及びCeの2種以上を含む混合酸化物の1種以上、好ましくはアルミナ、ジルコニア、チタニア及びシリカの1種以上、より好ましくはチタニア及びシリカの1種以上を含み、好ましくは、アルミナ、ジルコニア、チタニア、シリカ、セリア、及びAl、Zr、Ti、Si及びCeの2種以上を含む混合酸化物の1種以上、好ましくはアルミナ、ジルコニア、チタニア及びシリカの1種以上、より好ましくはチタニア及びシリカの1種以上からなる、実施態様1から39のいずれか一項に記載の触媒。
【0142】
41.前記第3コーティングの前記酸化物材料の90~100質量%、好ましくは95~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、チタニア、及び任意にシリカからなり、
前記第3コーティングの前記酸化物材料の好ましくは60~100質量%、より好ましくは80~100質量%、より好ましくは85~95質量%がチタニアからなり、前記第3コーティングの前記酸化物材料の好ましくは0~40質量%、より好ましくは0~20質量%、より好ましくは5~15質量%がシリカからなる、実施態様40に記載の触媒。
【0143】
42.前記第3コーティングは、0.25~3g/inの範囲、好ましくは0.5~2.5g/inの範囲、より好ましくは0.75~2g/inの範囲、より好ましくは0.8~1.5g/inの範囲の担持量で、前記白金族金属成分を担持する前記酸化物材料を含む、実施態様1から41のいずれか一項に記載の触媒。
【0144】
43.前記第3コーティングが酸化物バインダーを含み、前記酸化物バインダーは、好ましくはシリカ、ジルコニア、アルミナ、チタニア、及びZr、Al、Ti及びSiの2種以上を含む混合酸化物の1種以上を含み、より好ましくはシリカ及びアルミナの1種以上、より好ましくはシリカを含み、
前記第3コーティングは、前記第3コーティングの前記酸化物材料の質量に基づいて、好ましくは1~7質量%の範囲、より好ましくは1.5~4質量%の範囲の量で、前記酸化物バインダーを含む、実施態様1から42のいずれか一項に記載の触媒。
【0145】
44.前記第3コーティングの90~100質量%、好ましくは95~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、前記酸化物材料に担持される前記白金族金属成分、及び好ましくは実施態様43で定義した酸化物バインダーからなる、実施態様1から43のいずれか一項に記載の触媒。
【0146】
45.前記第3コーティングの最大0.01質量%、好ましくは0~0.01質量%、より好ましくは0~0.001質量%、より好ましくは0~0.0001質量%がゼオライト材料からなり、より好ましくは、前記第3コーティングがゼオライト材料を含まない、実施態様1から44のいずれか一項に記載の触媒。
【0147】
46.前記第3コーティングの最大0.01質量%、好ましくは0~0.01質量%、より好ましくは0~0.0001質量%、より好ましくは0~0.00001質量%が1種以上のバナジウム酸化物からなり、より好ましくは、前記第3コーティングがバナジウム酸化物を含まない、実施態様1から45のいずれか一項に記載の触媒。
【0148】
47.前記第3コーティングは、ディーゼル酸化触媒成分を含み、好ましくはディーゼル酸化触媒成分からなる、実施態様1から46のいずれか一項に記載の触媒。
【0149】
48.前記触媒は、0.4~3.25g/inの範囲、好ましくは0.55~2.75g/inの範囲、より好ましくは0.8~2.25g/inの範囲、より好ましくは0.85~1.75g/inの範囲の担持量で前記第3コーティングを含む、実施態様1から47のいずれか一項に記載の触媒。
【0150】
49.前記第2コーティングは、1種以上の窒素酸化物(NO)還元成分及び1種以上のアンモニア酸化(AMO)成分を含み、好ましくは1種以上の窒素酸化物(NO)還元成分及び1種以上のアンモニア酸化(AMO)成分からなる、実施態様1から48のいずれか一項に記載の触媒。
【0151】
50.前記触媒は、0.6~5.25g/inの範囲、好ましくは0.8~3.25g/inの範囲、より好ましくは0.9~2.75g/inの範囲の担持量で前記第2コーティングを含む、実施態様1から49のいずれか一項に記載の触媒。
【0152】
51.前記第1コーティングは、窒素酸化物(NO)還元成分を含み、好ましくは窒素酸化物(NO)還元成分からなる、実施態様1から50のいずれか一項に記載の触媒。
【0153】
52.前記触媒は、0.6~5.25g/inの範囲、好ましくは0.8~3.25g/inの範囲、より好ましくは0.9~2.75g/inの範囲の担持量で前記第1コーティングを含む、実施態様1から50のいずれか一項に記載の触媒。
【0154】
53.前記触媒の前記フロースルー基材はセラミック又は金属物質を含む、実施態様1から52のいずれか一項に記載の触媒。
【0155】
54.前記触媒の前記フロースルー基材が、セラミック物質を含み、好ましくはセラミック物質からなり、前記セラミック物質が、好ましくは、アルミナ、シリカ、シリケート、アルミノシリケート、好ましくはコーディエライト又はムライト、アルミノチタネート、炭化ケイ素、ジルコニア、マグネシア、好ましくはスピネル、及びチタニアの1種以上、より好ましくは炭化ケイ素及びコーディエライトの1種以上、より好ましくはコーディエライトを含み、より好ましくは、アルミナ、シリカ、シリケート、アルミノシリケート、好ましくはコーディエライト又はムライト、アルミノチタネート、炭化ケイ素、ジルコニア、マグネシア、好ましくはスピネル、及びチタニアの1種以上、より好ましくは炭化ケイ素及びコーディエライトの1種以上、より好ましくはコーディエライトからなる、実施態様1から53のいずれか一項に記載の触媒。
【0156】
55.前記触媒の前記フロースルー基材が、金属物質を含み、好ましくは金属物質からなり、前記金属物質が、好ましくは、酸素、並びに鉄、クロム及びアルミニウムの1種以上を含み、より好ましくは酸素、並びに鉄、クロム及びアルミニウムの1種以上からなる、実施態様1から53のいずれか一項に記載の触媒。
【0157】
56.前記フロースルー基材、前記第1コーティング、前記第2コーティング及び前記第3コーティングからなる、実施態様1から55のいずれか一項に記載の触媒。
【0158】
57.NOの酸化のため、アンモニアの酸化のため、及びNOの選択的接触還元のための触媒、好ましくは実施態様1から56のいずれか一項に記載の触媒を製造する方法であって、
(a)コーティングされていないフロースルー基材を提供する工程であって、前記基材は、入口端、出口端、前記入口端から前記出口端まで延びる基材の軸方向長さ、及びそれに沿って延びる前記基材の内壁によって画定された複数の通路を含み、前記通路と前記内壁との間の界面は前記内壁の表面によって画定されている、工程と、
(b)白金族金属成分、酸化物材料及び溶媒を含むスラリーを提供し、前記スラリーを、前記出口端から前記入口端まで、前記基材の前記軸方向長さのz%にわたって、前記基材の前記内壁の表面に配置し、前記基材上に配置された前記スラリーをか焼して、前記基材上に配置された第3コーティングを得る工程であって、zは20~80の範囲である、工程と、
(c)白金族金属成分、非ゼオライト酸化物材料、バナジウム酸化物と、銅及び鉄の1種以上を含むゼオライト材料とのうちの1種以上、及び溶媒を含むスラリーを提供し、前記スラリーを、前記入口端から前記出口端まで、前記基材の前記軸方向長さのy%にわたって、前記内壁の表面に配置し、前記基材上に配置された前記スラリーをか焼して、前記基材上に配置された第2コーティングを得る工程であって、yは20~80の範囲である、工程と、
(d)バナジウム酸化物と、銅及び鉄の1種以上を含むゼオライト材料とのうちの1種以上、及び溶媒を含むスラリーを提供し、前記スラリーを、前記入口端から前記出口端まで、前記第2コーティング上に、前記基材の前記軸方向長さのx%にわたって配置し、前記基材上に配置された前記スラリーをか焼して、NOの酸化のため、アンモニアの酸化のため、及びNOの選択的接触還元のための触媒を得る工程であって、xは95~100の範囲である、工程と
を含む、方法。
【0159】
58.工程(b)は、
(b.1) 水と、アルコールと、白金族金属前駆体、より好ましくは白金前駆体との水性混合物、及び酸化物材料でスラリーを形成するステップであって、好ましくは、前記酸化物材料が実施態様40又は41で定義した通りであり、好ましくは酸化物バインダーの源、より好ましくはコロイダルシリカを添加し、任意に、好ましくは前記バインダーを添加する前にpHを3~5の範囲に調整する、ステップと、
(b.2) ステップ(b.1)で得られた前記スラリーを、前記出口端から前記入口端まで、前記基材の前記軸方向長さのz%にわたって、前記基材の前記内壁の表面に配置するステップと、
(b.3) 任意に、ステップ(b.2)で得られた前記基材上に配置された前記スラリーを乾燥させ、乾燥したスラリー処理基材を得るステップと、
(b.4) ステップ(b.2)で得られた前記基材上に前記配置された前記スラリー、又はステップ(b.3)で得られた前記乾燥したスラリー処理基材を、好ましくは400~800℃の範囲、より好ましくは450~700℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼するステップであって、前記ガス雰囲気は、好ましくは空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気を含み、より好ましくは空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気である、ステップと、
を含む、実施態様57に記載の方法。
【0160】
59.ステップ(b.3)によれば、90~180℃の範囲、好ましくは110~130℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で、乾燥を行い、前記ガス雰囲気は、好ましくは、空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気を含み、より好ましくは、空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気である、実施態様58に記載の方法。
【0161】
60.ステップ(b.3)によれば、ガス雰囲気中で10分~1.5時間の範囲、好ましくは20分~50分の範囲の持続時間で、乾燥を行い、前記ガス雰囲気は、好ましくは、空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気を含み、より好ましくは、空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気である、実施態様58又は59に記載の方法。
【0162】
61.ステップ(b.4)によれば、500~650℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼を行い、前記ガス雰囲気は、好ましくは、空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気を含み、より好ましくは、空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気である、実施態様58から60のいずれか一項に記載の方法。
【0163】
62.工程(c)は、
(c.1) 水と、白金族金属の前駆体、好ましくは白金前駆体と、非ゼオライト酸化物材料と、好ましくはフレームワークタイプCHAを有し、銅及び鉄の1種以上を含むゼオライト材料との水性混合物でスラリーを形成し、好ましくは酸化物バインダーの前駆体、より好ましくはZr含有前駆体、より好ましくはジルコニルアセテートを添加するステップ;又は
水源、白金族金属前駆体、好ましくは白金前駆体、非ゼオライト酸化物材料、及びバナジウム酸化物、好ましくはシュウ酸バナジウムでスラリーを形成し、好ましくは酸化物材料、より好ましくは分散剤を添加するステップと、
(c.2) ステップ(c.1)で得られた前記スラリーを、前記入口端から前記出口端まで、前記基材の前記軸方向長さのy%にわたって、前記内壁の表面に配置するステップと、
(c.3) 任意に、ステップ(c.2)で得られた前記基材上に配置された前記スラリーを乾燥させ、乾燥したスラリー処理基材を得るステップと、
(c.4) ステップ(c.2)で得られた前記基材上に配置された前記スラリー、又はステップ(c.3)で得られた前記乾燥したスラリー処理基材を、好ましくは300~600℃の範囲、より好ましくは350~550℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼するステップであって、前記ガス雰囲気は、好ましくは空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気を含み、より好ましくは空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気である、ステップと、
を含む、実施態様57から61のいずれか一項に記載の方法。
【0164】
63.ステップ(c.3)によれば、90~180℃の範囲、好ましくは120~140℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で、乾燥を行い、前記ガス雰囲気は、好ましくは、空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気を含み、より好ましくは、空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気である、実施態様62に記載の方法。
【0165】
64.ステップ(c.3)によれば、ガス雰囲気中で10分~1.5時間の範囲、好ましくは20分~50分の範囲の持続時間で、乾燥を行い、前記ガス雰囲気は、好ましくは、空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気を含み、より好ましくは、空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気である、実施態様62又は63に記載の方法。
【0166】
65.ステップ(c.4)によれば、350~500℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼を行い、前記ガス雰囲気は、好ましくは、空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気を含み、より好ましくは、空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気である、実施態様62から64のいずれか一項に記載の方法。
【0167】
66.工程(d)は、
(d.1) 水と、好ましくはフレームワークタイプCHAを有し、銅及び鉄の1種以上を含むゼオライト材料と、酸化物バインダーの前駆体、好ましくはZr含有前駆体、より好ましくはジルコニルアセテートとを含むスラリーを形成するステップ;又は
水、及びバナジウム酸化物の源、好ましくはシュウ酸バナジウムでスラリーを形成し、好ましくは酸化物材料、より好ましくは分散剤を添加するステップと、
(d.2) 得られた前記スラリーを、前記第2コーティングの前記基材の前記軸方向長さのx%にわたって、前記入口端から前記出口端まで配置するステップであって、xは、好ましくは98~100の範囲、より好ましくは99~100の範囲である、ステップと、
(d.3) 任意に、ステップ(d.2)で得られた前記基材上に配置された前記スラリーを乾燥させ、乾燥したスラリー処理基材を得る、ステップと、
(d.4) ステップ(d.2)で得られた前記基材上に配置された前記スラリー、又はステップ(d.3)で得られた前記乾燥したスラリー処理基材を、好ましくは300~600℃の範囲、より好ましくは350~550℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼するステップであって、前記ガス雰囲気は、好ましくは空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気を含み、より好ましくは空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気である、ステップと、
を含む、実施態様57から65のいずれか一項に記載の方法。
【0168】
67.ステップ(d.3)によれば、90~180℃の範囲、好ましくは110~130℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で、乾燥を行い、前記ガス雰囲気は、好ましくは、空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気を含み、より好ましくは、空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気である、実施態様66に記載の方法。
【0169】
68.ステップ(d.4)によれば、350~500℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼を行い、前記ガス雰囲気は、好ましくは、空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気を含み、より好ましくは、空気、リーンエア及び酸素の1種以上、より好ましくは空気である、実施態様66又は67に記載の方法。
【0170】
69.yが20~(100-z)の範囲であり、好ましくはyが(100-z)であり、zが、好ましくは30~70の範囲、より好ましくは40~60の範囲、より好ましくは45~55の範囲である、実施態様57から68のいずれか一項に記載の方法。
【0171】
70.工程(b)、(c)及び(d)の1つ以上における配置、好ましくは工程(b)、(c)及び(d)における配置は、前記スラリーを前記基材上に噴霧することにより、又は前記基材を前記スラリー中に浸漬することにより、好ましくは前記基材を前記スラリー中に浸漬することにより行われる、実施態様57から69のいずれか一項に記載の方法。
【0172】
71.工程(a)、(b)、(c)及び(d)からなる、実施態様57から70のいずれか一項に記載の方法。
【0173】
72.実施態様57から71のいずれか一項に記載の方法により得ることができる又は得られる、NOの酸化のため、アンモニアの酸化のため、及びNOの選択的接触還元のための触媒、好ましくは実施態様1から56のいずれか一項に記載のNOの酸化のため、アンモニアの酸化のため、及びNOの選択的接触還元のための触媒。
【0174】
73.NOの選択的触媒還元、アンモニアの酸化、及びNOの酸化を同時に行うために、実施態様1から56及び72のいずれか一項に記載のNOの酸化のため、アンモニアの酸化のため、及びNOの選択的接触還元のための触媒を使用する方法。
【0175】
74.内燃機関、好ましくはディーゼルエンジンから出る排ガス流を処理するための排ガス処理システムであって、前記排ガス処理システムは、前記排ガス流を前記排ガス処理システムに導入するための上流端を有し、前記排ガス処理システムは、実施態様1から56及び72のいずれか一項に記載の触媒と、選択的触媒還元触媒、アンモニア酸化触媒及びディーゼル粒子フィルタの1つ以上とを含む、排ガス処理システム。
【0176】
75.基材上に配置されたコーティングを含む第1選択的触媒還元触媒、及び実施態様1から56及び72のいずれか一項に記載の触媒を含み、
前記第1選択的触媒還元触媒が、前記排ガス処理システムの前記上流端の下流に位置し、実施態様1から56及び72のいずれか一項に記載の触媒が、前記第1選択的触媒還元触媒の下流に位置する、実施態様74に記載の排ガス処理システム。
【0177】
76.前記第1選択的触媒還元触媒が、バナジウム酸化物と、銅及び鉄の1種以上を含むゼオライト材料とのうちの1種以上を含む、実施態様74又は75に記載の排ガス処理システム。
【0178】
77.ディーゼル粒子フィルタをさらに含み、前記フィルタが実施態様1から56及び72のいずれか一項に記載の触媒の下流に位置する、実施態様75又は76に記載の排ガス処理システム。
【0179】
78.第2選択的触媒還元触媒及びアンモニア酸化触媒をさらに含み、前記第2選択的触媒還元触媒が前記ディーゼル粒子フィルタの下流に位置し、前記アンモニア酸化触媒が前記第2選択的触媒還元の下流に位置する、実施態様77に記載の排ガス処理システム。
【0180】
79.エンジンから排出される排ガス流に流体を注入するための第1インジェクタをさらに含み、前記インジェクタは、前記第1選択的触媒還元触媒の上流、及び前記排ガス処理システムの前記上流端の下流に位置し、前記流体は、好ましくは尿素水溶液である、実施態様74から78のいずれか一項に記載の排ガス処理システム。
【0181】
80.前記ディーゼル粒子フィルタから出る排ガス流に流体を注入するための第2インジェクタをさらに含み、前記インジェクタは、前記第2選択的触媒還元触媒の上流、及び前記ディーゼル粒子フィルタの下流に位置し、前記流体は、好ましくは尿素水溶液である、実施態様79に記載の排ガス処理システム。
【0182】
81.前記第1選択的触媒還元触媒、実施態様1から56及び72のいずれか一項に記載の触媒、及び好ましくは実施態様77で定義した前記ディーゼル粒子フィルタ、及びより好ましくは実施態様78で定義した前記第2選択的触媒還元触媒及びアンモニア酸化触媒、及びより好ましくは実施態様79及び80で定義した前記第1インジェクタ及び前記第2インジェクタからなる、実施態様75から80のいずれか一項に記載の排ガス処理システム。
【0183】
82.NOの選択的触媒還元、アンモニアの酸化、及び一酸化窒素の酸化を同時に行うための方法であって、
(1) NO、アンモニア及び一酸化窒素の1種以上を含むガス流を提供すること、
(2) (1)で提供された前記ガス流を、実施態様1から56及び72のいずれか一項に記載のNOの酸化のため、アンモニアの酸化のため、及びNOの選択的触媒還元のための触媒と接触させること
を含む、方法。
【0184】
本発明の文脈において、「所定の成分/コーティングの担持量」(g/in又はg/ft)という用語は、基材の体積あたりの前記成分/コーティングの質量を指すものであり、ここで、基材の体積は、前記成分/コーティングが存在する前記基材の軸方向長さに前記基材の断面を乗じて定義される体積である。例えば、基材の軸方向長さのx%にわたって延び、Xg/inの担持量を有する第1コーティングの担持量について言及する場合、前記担持量は、基材全体の体積(inで)のx%あたりの第1コーティングのXグラムを意味する。
【0185】
さらに、本発明の文脈において、「XはA、B及びCの1つ以上である」(ここで、Xが所定の特徴であり、A、B及びCのそれぞれが前記特徴の具体的な実現を表す)という用語は、Xが、A、又はB、又はC、又はAとB、又はAとC、又はBとC、又はAとBとCのいずれかであることを開示していると理解されるべきである。これに関連して、当業者は、上記の抽象的な用語を具体的な例、例えば、Xが化学元素であり、A、B及びCがLi、Na及びKなどの具体的な元素である場合、又はXが温度であり、A、B及びCが10℃、20℃及び30℃などの具体的な温度である場合に移すことができることに留意されたい。これに関連して、当業者は、上記の用語を、前記特徴のより具体的でない実現、例えば、XがA、又はB、又はAとBのいずれかであることを開示する「XはA及びBの1つ以上である」、又は前記特徴のより具体的な実現、例えば、XがA、又はB、又はC、又はD、又はAとB、又はAとC、又はAとD、又はBとC、又はBとD、又はCとD、又はAとBとC、又はAとBとD、又はBとCとD、又はAとBとCとDのいずれかであることを開示する「XはA、B、C及びDの1つ以上である」に拡張することができることにさらに留意されたい。
【0186】
さらに、本発明の文脈において、「内壁の表面」という用語は、壁の「裸の」又は「露出した(ベア、bare)」又は「空白の(ブランク、blank)」表面、すなわち、表面が汚染される可能性のある不可避の不純物を除いて、壁の材料からなる未処理状態の壁の表面と理解される。
【0187】
本発明の文脈において、1つ以上の成分の質量%に関する「からなる」という用語は、当該実体(entity)の100質量%に基づいて前記成分(単数又は複数)の質量%の量を示す。例えば、「第1コーティングの0~0.001質量%がパラジウムからなる」という表現は、前記コーティングが構成される成分100質量%のうち、0~0.001質量%がパラジウムであることを示している。
【0188】
以下の参考例、比較例及び実施例によって、本発明をさらに説明する。
【実施例
【0189】
参考例1:Dv20、Dv50及びDv90の値の決定
Sympatec HELOS装置を用いて、静的光散乱法によって粒径分布を決定し、ここで、サンプルの光学濃度は5~10%の範囲であった。
【0190】
参考例2:BET比表面積の測定
液体窒素を用いて、DIN 66131又はDIN ISO 9277に従って、BET比表面積を決定した。
【0191】
参考例3:一般的なコーティング方法
フロースルー基材に1つ以上のコーティングを適用するために、フロースルー基材を、適用するコーティングの目標長さに等しい基材の特定の長さで、所定のスラリーの一部に垂直に適切に浸漬した。このようにして、スラリーは基材の壁に接触した。
【0192】
比較例1:本発明によらない触媒の調製(単一のコーティングを有する)
Zrでドープしたアルミナ粉末(20質量%のZrO、200m/gのBET比表面積、125ミクロンのDv90、0.425ml/gの全細孔容積)に、白金アンミン溶液を添加した。590℃でか焼した後、最終的なPt/Zr-アルミナは、Zr-アルミナの質量に基づいて1.85質量%のPt含有量を有していた。この材料を水に添加し、参考例1に記載されているように、得られるDv90が10ミクロンになるまでスラリーを粉砕した。Cu-CHAゼオライト材料(約3.75質量%のCuO、及び約25のSiO:Alモル比を有する)の水性スラリーに、ジルコニル-アセテート溶液を添加して、ゼオライト材料の質量に基づいて、か焼後に5質量%のZrOを達成した。粉砕したPt/Zr-アルミナスラリーを、Zr/Cu-CHAスラリーに添加して、混合した。その後、最終的なスラリーを、コーティングされていないハニカムフロースルーコーディエライトモノリス基材(直径:26.67cm(10.5インチ)×長さ:7.62cm(3インチ)、1平方センチメートルあたり400/(2.54)個のセル、及び0.1mm(4ミル)の壁厚を有する、円筒形の基材)の全長にわたって配置した。その後、基材を乾燥させ、か焼した。か焼後の触媒におけるコーティングの担持量は約3.0g/inであり、ここで、Cu-CHAの担持量が2.6g/inで、ZrOの担持量が0.13g/inで、Zr-アルミナの担持量が0.25g/inで、Ptの担持量が8g/ftであった。
【0193】
比較例2:本発明によらない触媒の調製(3つのコーティングを有する)
第3コーティング(出口の底部コーティング):
か焼後にSi-チタニアがSi-チタニアの質量に基づいて1.1質量%のPt含有量を有するように、Siでドープしたチタニア粉末(10質量%のSiO、200m/gのBET比表面積、20マイクロメートルのDv90)に白金アンミン溶液を添加した。この材料を水に添加し、参考例1に記載されているように、得られたDv90が10ミクロンになるまで、得られたスラリーを粉砕した。その後、参考例3に記載されているコーティング方法を用いて、得られたスラリーを、コーティングされていないハニカムフロースルーコーディエライトモノリス基材(直径:26.67cm(10.5インチ)×長さ:7.62cm(3インチ)、1平方センチメートルあたり400/(2.54)個のセル、及び0.1mm(4ミル)の壁厚を有する、円筒形の基材)の出口側から入口側に向かって、基材の長さの半分にわたって配置して、第3コーティングを形成した。その後、コーティングした基材を乾燥させ、か焼した。か焼後の第3コーティングの担持量は約0.51g/inであり、ここで、10g/ftの第3コーティングにおける最終的な白金の担持量を含んでいた。
【0194】
第2コーティング(全長の中間層コーティング):
か焼後にSi-チタニアがSi-チタニアの質量に基づいて0.35質量%のPt含有量を有するように、Siでドープしたチタニア粉末(10質量%のSiO、200m/gのBET比表面積、20マイクロメートルのDv90)に白金アンミン溶液を添加した。この材料を水に添加し、参考例1に記載されているように、得られたDv90が10ミクロンになるまで、得られたスラリーを粉砕した。Cu-CHAゼオライト材料(5.1質量%のCuO及び18のSiO:Alモル比)の水性スラリーにジルコニル-アセテート溶液を添加して、ゼオライト材料の質量に基づいて、か焼後に5質量%のZrOを達成した。このCu-CHAスラリーに、Pt含有スラリーを添加し、撹拌し、最終スラリーを作成した。その後、参考例3に記載されているコーティング方法を用いて、第3コーティングを覆うように、この最終スラリーを、基材の入口側から出口側に向かって、既に第3コーティングでコーティングしたハニカムコーディエライトモノリス基材の全長にわたって配置した。その後、コーティングした基材を乾燥させ、か焼した。か焼後の第2コーティングの担持量は2.5g/inであり、ここで、1.9g/inのCu-CHA、0.1g/inのZrO、0.5g/inのSi-TiO、及び3g/ftの最終的な白金の担持量を含んでいた。
【0195】
第1コーティング(全長のトップコーティング):
Cu-CHAゼオライト材料(5.1質量%のCuO及び18のSiO:Alモル比)の水性スラリーにジルコニル-アセテート溶液を添加して、ゼオライト材料の質量に基づいて、か焼後に5質量%のZrOを達成した。その後、参考例3に記載されているコーティング方法を用いて、この最終スラリーを、基材の入口側から出口側に向かって、第2及び第3コーティングでコーティングしたハニカムフロースルーコーディエライトモノリス基材の全長にわたって配置した。その後、コーティングした基材を乾燥させ、か焼した。か焼後の第1コーティングの担持量は1.0g/inであった。か焼後の触媒における最終的な触媒の担持量(第1、第2及び第3コーティング)は3.75g/inであった。
【0196】
実施例1:本発明による触媒の調製(3つのコーティングを有する)
第3コーティング(出口の底部コーティング):
か焼後にSi-チタニアがSi-チタニアの質量に基づいて0.81質量%のPt含有量を有するように、Siでドープしたチタニア粉末(10質量%のSiO、200m/gのBET比表面積、20マイクロメートルのDv90)に白金アンミン溶液を添加した。この材料を水に添加し、参考例1に記載されているように、得られたDv90が5.2ミクロンになるまで、スラリーを粉砕した。最後に、コロイダルシリカバインダーを、か焼後にSi-チタニアの質量に基づいて(バインダーから)2.5質量%のSiOになるように計算されたレベルで、スラリーに混合した。その後、参考例3に記載されているコーティング方法を用いて、得られた混合物を、コーティングされていないハニカムフロースルーコーディエライトモノリス基材(直径:26.67cm(10.5インチ)×長さ:7.62cm(3インチ)、1平方センチメートルあたり400/(2.54)個のセル、及び0.1mm(4ミル)の壁厚を有する、円筒形の基材)の出口側から入口側に向かって、基材の長さの半分にわたって配置して、第3コーティングを形成した。その後、コーティングした基材を乾燥させ、か焼した。か焼後の第3コーティングの担持量は約1g/inであり、ここで、14g/ftの第3コーティングにおける白金の担持量を含んでいた。
【0197】
第2コーティング(入口の底部コーティング):
Siでドープしたチタニア粉末(10質量%のSiO、200m/gのBET比表面積、20ミクロンのDv90)に白金アンミン溶液を添加した。590℃でか焼した後、最終的なPt/Si-チタニアはSi-チタニアの質量に基づいて0.46質量%のPt含有量を有していた。この材料を水に添加し、参考例1に記載されているように、得られたDv90が10ミクロンになるまでスラリーを粉砕した。Cu-CHAゼオライト材料(5.1質量%のCuO及び18のSiO:Alモル比)の水性スラリーにジルコニル-アセテート溶液を添加して、ゼオライト材料の質量に基づいて、か焼後に5質量%のZrOを達成した。このCu-CHAスラリーに、Pt含有スラリーを添加し、撹拌し、最終スラリーを作成した。その後、参考例3に記載されているコーティング方法を用いて、第2コーティングが第3コーティングと重ならないように、この最終スラリーを、基材の入口側から出口側に向かって、第3コーティングでコーティングしたハニカムコーディエライトモノリス基材の長さの半分にわたって配置した。その後、コーティングした基材を乾燥させ、か焼した。か焼後の第2コーティングの担持量は約2g/inであり、ここで、Cu-CHAの担持量が1.67g/inで、ZrOの担持量が0.08g/inで、Si-チタニアの担持量が0.25g/inで、PGMの担持量が2g/ftであった。
【0198】
第1コーティング(全長のトップコーティング):
Cu-CHAゼオライト材料(5.1質量%のCuO及び18のSiO:Alモル比)の水性スラリーにジルコニル-アセテート溶液を添加して、ゼオライト材料の質量に基づいて、か焼後に5質量%のZrOを達成した。その後、参考例3に記載されているコーティング方法を用いて、第2及び第3コーティングを覆うように、スラリーを、基材の入口側から出口側に向かって、第3及び第2コーティングでコーティングしたハニカムコーディエライトモノリス基材の全長にわたって配置した。その後、コーティングした基材を乾燥させ、か焼した。か焼後のこの第1コーティングの担持量は1.0g/inであった。か焼後の触媒における最終的な触媒の担持量(第1、第2及び第3コーティング)は約2.5g/inであった。
【0199】
実施例2:本発明による触媒の調製(3つのコーティングを有する)
第3コーティング(出口の底部コーティング):
Siでドープしたチタニア粉末(10質量%のSiO、200m/gのBET比表面積、20ミクロンのDv90)に白金アンミン溶液を添加した。590℃でか焼した後、最終的なPt/Si-チタニアはSi-チタニアの質量に基づいて0.81質量%のPt含有量を有していた。この材料を水に添加し、参考例1に記載されているように、得られたDv90が5.2ミクロンになるまで、スラリーを粉砕した。最後に、コロイダルシリカバインダーを、か焼後にSi-チタニアの質量に基づいて(バインダーから)2.5質量%になるように計算されたレベルで、スラリーに混合した。その後、参考例5に記載されているコーティング方法を用いて、得られたスラリーを、コーティングされていないハニカムフロースルーコーディエライトモノリス基材(直径:26.67cm(10.5インチ)×長さ:7.62cm(3インチ)、1平方センチメートルあたり400/(2.54)個のセル、及び0.1mm(4ミル)の壁厚を有する、円筒形の基材)の出口側から入口側に向かって、基材の長さの半分にわたって配置して、第3コーティングを形成した。その後、コーティングした基材を乾燥させ、か焼した。か焼後の触媒における第3コーティングの担持量は約1g/inであり、ここで、14g/ftの白金の担持量を含んでいた。
【0200】
第2コーティング(入口の底部コーティング):
Siでドープしたチタニア粉末(10質量%のSiO、200m/gのBET比表面積、20ミクロンのDv90)に白金アンミン溶液を添加した。590℃でか焼した後、最終的なPt/Si-チタニアはSi-チタニアの質量に基づいて0.46質量%のPt含有量を有していた。この材料を水に添加し、参考例1に記載されているように、得られたDv90が10ミクロンになるまでスラリーを粉砕した。Cu-CHAゼオライト材料(5.1質量%のCuO及び18のSiO:Alモル比)の水性スラリーにジルコニル-アセテート溶液を添加して、ゼオライト材料の質量に基づいて、か焼後に5質量%のZrOを達成した。このCu-CHAスラリーに、Pt含有スラリーを添加し、撹拌し、最終混合物を作成した。その後、参考例3に記載されているコーティング方法を用いて、第2コーティングが第3コーティングと重ならないように、この最終混合物を、基材の入口側から出口側に向かって、第3コーティングでコーティングしたハニカムコーディエライトモノリス基材の長さの半分にわたって配置した。その後、コーティングした基材を乾燥させ、か焼した。か焼後の第2コーティングの担持量は1g/inであり、ここで、Cu-CHAが0.71g/inで、Si-チタニアが0.25g/inで、PGMの担持量が2g/ftであった。
【0201】
第1コーティング(全長のトップコーティング):
Cu-CHAゼオライト材料(5.1質量%のCuO及び18のSiO:Alモル比)の水性スラリーにジルコニル-アセテート溶液を添加して、ゼオライト材料の質量に基づいて、か焼後に5質量%のZrOを達成した。その後、参考例3に記載されているコーティング方法を用いて、第2及び第3コーティングを覆うように、スラリーを、基材の入口側から出口側に向かって、第3及び第2コーティングでコーティングしたハニカムコーディエライトモノリス基材の全長にわたって配置した。その後、コーティングした基材を乾燥させ、か焼した。この第1コーティングの担持量は2.0g/inであった。か焼後の触媒における最終的な触媒の担持量(第1、第2及び第3コーティング)は約3g/inであった。
【0202】
実施例3:比較例1、2及び実施例1、2の触媒の試験-DeNO性能及びNO生成
モーターテストセルで、これらの触媒を評価した。この場合のモーターは6.7Lのオフロード較正エンジン(off-road calibrated engine)であった。すべての場合において、各触媒は、上流の酸化触媒又は下流のSCR触媒なしで、単独で試験した。得られた空間速度は、SCR試験では、80k/hであった(最高温度点では160k/h)。SCR試験は、評価したNHとNOとの間の異なる化学量論比でのアンモニアとNOの比(ANR)のスイープ試験であった。図2及び図3に示すデータでは、NOの変換を常にANR=1.1で行い、NOの生成をANR=1.0で行った(ANRは、アンモニアとNOとの化学量論比であり、所定の排気マスフロー及びNO濃度に基づいて噴射する尿素の正しい量を決定することができる)。5つのSCR入口温度を選択し、目標とする空間速度に達するようにエンジン条件を適切に設定した。次のステップに移す前に、触媒活性は、各エンジン負荷(温度)及びANRステップで定常状態の平衡に達することができた。図2に示すNOの変換率及び図3に示すNOの生成を同じ試験で測定した。
【0203】
図2は、実施例1及び実施例2の本発明の触媒が、本発明によらない比較例1及び比較例2の触媒と比較して、広い温度範囲、すなわち、200~500℃の範囲で改善されたDeNOを示すことを示している。特に、250℃超、例えば300~500℃の温度では、SCRのみの触媒を有するトップコーティングを含む触媒のDeNO活性は、混合触媒の単一のコーティングで調製した触媒と比較して、大きく改善されている。450℃(入口温度)では、本発明による触媒は約95%のDeNOを示すのに対し、比較例1の触媒(単一のコーティング)は約50%のDeNOを示す。
【0204】
図3は、本発明による触媒がNOの生成を低減することを可能にすることを示し、特に、生成した亜酸化窒素の濃度が15ppm未満であるのに対し、比較例1の触媒では、約350℃で生成したNOの濃度が20ppmを超え、最大で約60ppmであった。いかなる理論に縛られることを望まないが、これらの結果は、250℃を超える温度でアンモニアの酸化を制御するには、SCRのみの触媒を含むトップコーティングが必要であることを示していると考えられる。
【0205】
実施例4:比較例1、2及び実施例1、2の触媒の試験-NO酸化
モーターテストセルで、これらの触媒を評価した。この場合のモーターは6.7Lのオフロード較正エンジンであった。すべての場合において、各触媒は、上流の酸化触媒又は下流のSCR触媒なしで、単独で試験した。NO酸化試験では、得られた空間速度が100k/hであった。この試験の前に、その場で、触媒を450℃で2時間デグリーンした(degreened)。NO酸化試験では、空間速度を一定に維持しながら、出口排気温度を200℃から500℃、それから200℃まで、25℃ごとに段階的に上昇及び下降した。触媒の平衡状態に達するために、各段階を15分間保持した。NOの合計NOに対する比(又はNO/NO%)として、NO酸化活性を報告した。
【0206】
図4は、実施例1及び実施例2の本発明の触媒は、比較例1及び比較例2の触媒と比較して、改善されたNO酸化を示すことを示している。これは、運動制御領域である200~350℃の低温で特に明らかである。さらに、この条件は日常の使用の最も代表的なものであるため、この低温領域は、受動的すす酸化(passive soot oxidation)に最も関連している。拡散制限領域における400℃超の温度では、比較例1の単一のコーティングは、実施例1及び2の場合と比較して、NO酸化が多少大きくなっているが、性能の差の大きさは、運動制御領域ほど顕著ではない。
【0207】
引用文献
- US 2016/0367973
- US 2016/0367974
図1
図2
図3
図4