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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】埋め込み可能な血管アクセスデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/36 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
A61M1/36 143
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021575917
(86)(22)【出願日】2020-06-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-22
(86)【国際出願番号】 IB2020055640
(87)【国際公開番号】W WO2020254976
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2023-06-14
(31)【優先権主張番号】102019000009318
(32)【優先日】2019-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】521552202
【氏名又は名称】エモディアル エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ペコラーリ,ジャンニ
【審査官】白土 博之
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-522735(JP,A)
【文献】米国特許第04822341(US,A)
【文献】特表2012-516223(JP,A)
【文献】特許第4815024(JP,B2)
【文献】特公昭57-045591(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動静脈瘻を有する患者に恒久的に埋め込み可能で、生体適合性材料及び殺菌材料で作られた、血液透析のための血管アクセスデバイスであって、
長手方向の関連の第1及び第2の端部(21、221、223)を有し、かつ前記第1の端部(2)から前記第2の端部(21、221、223)まで延びた第1の導管(22、222)を画定する、関連の第1の管状要素(2、202)と、
長手方向の関連の第1及び第2の端部(31、32、231、232)を有し、かつ関連の前記第1の端部から前記第2の端部(31、32、231、232)まで延びた第2の導管(33、233)を画定する、関連の第2の管状要素(3、303)であって、前記第2の管状要素(3、303)の前記第1の端部(31、231)は、前記第2の導管(33、233)が前記第1の導管(22)と流体連通するよう、かつ前記第2の管状要素(3、303)の前記第2の端部(32、232)が、前記第1の管状要素(2、202)に対して第1の側となるよう、前記第1の管状要素(2、202)の前記第1の端部と前記第2の端部(21、221)との間の中間位置において、前記第1の管状要素(2、202)に固定される、関連の第2の管状要素(3、203)と、
第1の複数の貫通穴(41)を備え、前記第1の管状要素(2、202)及び/または前記第2の管状要素(3、303)に固定され、前記第1の複数の貫通穴(41)は、前記第1の管状要素(2、202)に対して第1の側の、前記第2の管状要素(3、203)の第2の端部(32、232)に配置された、第1の固定手段(4)であって、前記血管アクセスデバイス(1)は、動静脈瘻の第1の部分(51)と第2の部分(52)との間で、その中の血液フローに対して動静脈瘻に連続して挟まれた前記第1の導管(22)を用いて、血液透析のための動静脈瘻を有する患者の腕に埋め込むよう、順応かつ寸法が決められ、前記第1の管状要素(2、202)の前記第1の端部(21)及び前記第2の端部(21)は、前記動静脈瘻の前記第1の部分(51)及び前記第2の部分(52)それぞれに、関連の部分(51、52)の関連の端部及び前記第2の管状要素(3、303)の前記第2の端部(32、232)において固定され、前記第1の複数の貫通穴(41)を、第1の複数の縫合ステッチ(60)によって固定し、それによって前記第2の導管(33、233)の前記第2の端部(32、232)を埋込皮膚領域(7)に固定することによって、前記埋込皮膚領域(7)に固定するために、前記第1の複数の貫通穴(41)が、前記埋込皮膚領域(7)において皮下に配置される、第1の固定手段(4)と、を備える、血管アクセスデバイス。
【請求項2】
記第2の管状要素(203)における前記第1の端部(231)は、前記第2の導管(233)が前記第1の導管(222)と流体連通するよう、かつ前記第2の管状要素(203)における前記第2の端部(232)が、前記第1の管状要素(202)に対して第1の側となるよう、前記第1の管状要素(202)における前記第1の端部(221)に近接した前記第1の管状要素(202)に固定される、関連の前記第2の管状要素(203)と、
長手方向の関連の第1及び第2の端部(331、332)を有し、かつ関連の前記第1の端部から前記第2の端部(331、332)まで延びた第3の導管(333)を画定する、第3の管状要素(303)であって、前記第3の管状要素(303)における前記第1の端部(331)は、前記第3の導管(333)が前記第1の導管(222)及び前記第2の導管(33、233)と流体連通するよう、かつ前記第3の管状要素(303)における前記第2の端部(332)が、前記第1の管状要素(202)に対して第1の側となるよう、前記第1の管状要素(202)における前記第2の端部(223)に近接した前記第1の管状要素(202)に固定される、関連の第3の管状要素(303)と
2の複数の貫通穴(41)を備え、前記第1の管状要素(202)及び/または前記第3の管状要素(303)に固定された、第2の固定手段(304)であって、前記第2の複数の貫通穴(41)は、前記第1の管状要素(202)に対して第1の側に、かつ前記第3の管状要素(303)の前記第2の端部(332)に配置された、第2の固定手段(304)と、を備え、
前記血管アクセスデバイス(1)は、
動脈(A)、静脈(V)、または予め存在する動静脈瘻(F)における、第1の位置であって、前記第1の導管は、動脈(A)、静脈(V)、または予め存在する動静脈瘻(F)それぞれの第1の部分(51)と第2の部分(52)との間に、血液フローに対してそれぞれ動脈(A)、静脈(V)、または予め存在する動静脈瘻(F)に連続して挟まれ、前記第1の管状要素(202)の前記第1の端部及び第2の端部(21、221、223)は、それぞれ前記第1の部分(51)及び前記第2の部分(52)に固定される、患者の第1の位置と、
動脈(A)と静脈(V)との間の第2の位置であって、前記第1の管状要素(202)の関連の前記第1または第2の端部(31、32、231、232)は動脈(A)に固定され、前記第1の導管(222)が動脈(A)を静脈(V)に液圧によって接続して、人工動静脈瘻(FA)を形成するよう、前記第1の管状要素(202)の関連の前記第1または第2の端部(31、32、231、232)のうち、動脈(A)に固定されていない残りは静脈(V)に固定される、患者の第2の位置と、
に埋め込まれるよう順応かつ寸法が決められ、
前記第2の管状要素(203)の前記第2の端部(32、232)、及び前記第3の管状要素(303)の前記第2の端部(332)における前記第1及び第2の複数の貫通穴(41)は、対応した第1及び対応した第2の複数の縫合ステッチ(60)によって、埋込皮膚領域(7)に固定できるよう、かつそれによって、前記第2の導管(233)の前記第2の端部(32、232)及び前記第3の管状要素(303)の前記第2の端部(33、332)を前記埋込皮膚領域(7)に固定できるように、前記第1及び第2の複数の貫通穴(41)は、前記第1の位置及び前記第2の位置に埋め込むための前記埋込皮膚領域(7)の皮下に配置される、請求項1に記載の血管アクセスデバイス。
【請求項3】
前記第1の固定手段(4)は、前記第2の管状要素(3、203)の前記第2の端部(32、232)を起点とし、及び/または存在する場合、前記第2の固定手段(304)は、前記第3の管状要素(3、303)の第2の端部(32、332)を起点とし、前記第1の固定手段(4)は、関連のメインの貫通穴(44)を有するプレート(4)を備え、前記第1の複数の貫通穴(41)は、前記メインの貫通穴(44)の周辺に配置され、前記プレート(4)は、前記第2の導管(33、233)が、関連の前記メインの貫通穴からアクセスできるよう、関連の第1の面において前記第2の管状要素(3、203)の前記第2の端部(32、232)に固定され、及び/または存在する場合、前記第2の固定手段は、関連の前記メインの貫通穴を有する第2のプレート(304)を備え、前記第2の複数の貫通穴(41)は、関連の前記メインの貫通穴に対して周辺に配置され、別の第2のプレート(304)は、前記第3の導管(333)が、関連の前記メインの貫通穴(44)からアクセスできるよう、関連の第1の面において前記第3の管状要素(303)の前記第2の端部(332)に固定される、請求項1または2に記載の血管アクセスデバイス。
【請求項4】
前記プレート(4)は、関連の第2の面を関連の前記第1の面に対して反対側の前記第2の端部(45)に向けて、前記第2の管状要素(3、203)に固定され、かつ前記第1の管状要素(2、202)の前記長手方向展開軸(24)に対して平行な面に沿って配置され、及び/または存在する場合、前記第2のプレート(304)は、関連の前記第1の面に対して反対側における関連の第2の面(45)によって前記第3の管状要素(303)に固定され、かつ前記第1の管状要素(2、202)の前記長手方向展開軸(24、224)に対して平行な面に沿って配置される、請求項3に記載の血管アクセスデバイス。
【請求項5】
前記第2の導管(33、233)に接続され、かつ関連の閉構成において、前記第2の導管(33、233)を液圧によって閉じ、関連の開構成において、前記第2の導管(33、233)を液圧で開けるように構成された、第1の弁(50)、及び/または前記第3の管状要素(303)が存在する場合、前記第3の導管(333)に接続され、かつ関連の閉構成において、前記第3の導管(333)を液圧によって閉じ、関連の開構成において、前記第3の導管(333)を開けるように構成された、第2の弁(50)、をさらに備える、請求項1~4のうちいずれか一項に記載の血管アクセスデバイス。
【請求項6】
前記第1の弁(50)及び/または前記第2の弁(50)は、2つの動作縁部を同一と見做す関連の貫通スロット(56)を備え、前記第1及び/または前記第2の弁(50)の関連の閉構成において、前記動作縁部は接触して前記弁(50)を介した流体の通過を防止し、前記第1及び/または前記第2の弁(50)は、弾性変形可能で、前記動作縁部が互いから離れて動き、前記スロット(50)を介して流体の通過を可能にする、関連の開構成を実現する、請求項5に記載の血管アクセスデバイス。
【請求項7】
前記第1の弁(50)は関連の周界を有し、前記第2の管状要素(203)の前記第1の端部(31、231)において第2の導管(33、233)に配置され、前記第2の導管(33、233)に固定された関連の前記周界における前記第1の部分(151)、及び自由な関連の前記周界の残りの第2の部分(152)を伴い、それは前記第2の導管(33、233)を液圧によって閉じるために、関連の閉位置において、第2の導管(33、233)に面しかつ接触し、及び/または存在する場合、前記第2の弁(50)は、関連の周界を有し、かつ前記第3の管状要素(303)における第1の端部(332)において前記第3の導管(333)に配置され、前記第3の導管(333)に固定された関連の前記周界における第1の部分(151)、及び自由な関連の前記周界における残りの第2の部分(152)を伴い、それは関連の前記閉構成において、前記第2の導管(33、233)を液圧によって閉じるために、前記第2の導管(33、233)に面しかつ接触し、前記第1及び/または第2の弁(50)は弾性変形可能で、前記第2の導管(3、233)及び/または前記第3の導管(33)それぞれを液圧によって開けるために、関連の前記周界における関連の前記第2の部分が、前記第2の導管(3、233)及び/または前記第3の導管(333)それぞれと接触しない、関連の開構成を実現する、請求項5に記載の血管アクセスデバイス。
【請求項8】
前記第1の管状要素(202)の前記第1及び第2の端部(221、223)それぞれを起点とする、第1及び第2の接触面(401、402)をさらに備え、前記第1及び第2の接触面(401、402)の各々は、血管(A、V)の外壁の横断セクションに部分的に面するよう構成され、そこには、外科的切開が作られており、前記第1の管状要素(202)の前記第1及び第2の端部(221、223)それぞれの、前記壁への固定を容易にするために、関連の外科的切開部を前記第1の導管(222)に液圧によって接続する目的で、外科的切開部を完全に取り囲む、請求項2~7のいずれか一項に記載の血管アクセスデバイス。
【請求項9】
前記第1及び第2の接触面(401、402)の各々は、第4の複数の貫通穴(48)を備え、前記第4の複数の貫通穴(48)は、前記第1及び第2の接触面(401、402)における関連の複数の前記貫通穴、ならびに血管(A、V)の壁を貫通する、対応した縫合ステッチによって固定するのを可能にするために、外科的切開部を取り囲んで予め
配設される、請求項8に記載の血管アクセスデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液透析デバイスの分野に関する。詳細には、本発明は、予め存在する動静脈瘻を有する患者に恒久的に埋め込み可能な、血液透析のための血管アクセスデバイスに関し、本発明は両方のデバイスを備え、本明細書で説明する手術法及び血液透析法を有利に実行可能である。
【背景技術】
【0002】
血液透析は、血液の体外循環によって、特別な血液透析装置で血液を純化することを可能にする治療であり、この装置は半透膜を備え、それを通して、除去されることになる毒物のみ(または少なくともその大部分)は透過する。重篤な腎不全を患う患者が、この治療の対象である。血液透析を実行するためには当然ながら、2つのポイントに血管アクセスを作り出すことが必要である。すなわち一方は、純化する血液が採取され、他方は濾過された血液が循環システムの中に再注入される。最も一般的に使用される血管アクセスは、動静脈瘻(FAVとしても公知)であり、それは外科手術で実現され、静脈と動脈との間に恒久的な接続を作り出す。それは、動脈圧は静脈圧よりも大幅に高いので、動静脈瘻の静脈部分を広げることを含む。このように、上述における2つの血管アクセスのポイントを、動静脈瘻に予め配設することができ、比較的多い血液流の通過を可能にし、血液透析に必要な時間を低減させる。これにも関わらず、血液透析は長い治療であり、実際に3時間から4時間必要で、週に2回または3回実行しなければならない。その結果、金属で作られ、1.6mmのオーダーの径ならびに鋭利なカッティング先端部を有する、瘻針として公知の金属製針の挿入から由来した外傷を、動静脈瘻は周期的かつ頻繁に受ける。これらの針は、動静脈瘻に挿入され、入口部分の反対側におけるFAVの壁部分に外傷を作り出す場合がある。詳細には、静脈に挿入するために、瘻針は皮膚に対して第1の傾斜で挿入される。瘻針をFAVに挿入するために、この傾斜を変え、針を瘻に対して平行に位置付ける必要がある。これは、患者のストレス、苦痛、及び外傷(これに対する証明は傷のみ)と、側部から側部へFAVを完全に貫通する危険と、静脈の脆弱性から被る個々の複雑さと、高い感染可能性と、を生じさせる。実際、局所麻酔を施すときでさえ、一旦麻酔効果が消えると、患者はやはり苦痛を感じる。これを未然に防ぐために、「ボタンホール」方法が開発されている。これは、皮膚表面からFAVに延びた瘢痕組織における、ある種の皮下チャネルを作り出すことを目標として、同じ角度及び深さを伴う常に同じ2つのポイント(採取及び戻し)のFAVにおいて、針を挿入することを含む。この皮下チャネルを通して、全ての血液透析セッションに先立ち針は挿入される。チャネルが安定的に形成されるまで、チャネルを開けたまま維持するために、透析セッションから透析セッションまで、チャネルの中に挿入される特別なデバイスも作り出されている。針の各々の挿入中に、同じ角度及び同じ深さを保証することが、根本的に重要であることは明白である。これに関して、まず、上述の(鋭利なカッティングの)瘻針を、特定の回数の透析セッションに使用する必要があり、その後初めて、ボタンホール方法に好適な針を使用できる。これらの針は、瘻針を同じ径、及びカットせず面取りした先端を有する。したがって、この方法を実施するため、特に治療の初期において、高度に専門化した人員が必要である。さらに、ボタンホール方法は、カッティング針の使用に対して、高い感染発生に相関し、さらに皮下組織が多すぎるか、または少なすぎる場合、及び傷がある皮膚の場合には推奨できない。近年、動静脈瘻を有する患者に恒久的に埋め込み可能な、血液透析のための血管アクセスデバイスが開発されている。これらのデバイスは、皮膚の近くにおけるFAVの外壁に固定されるよう定められた固定面を有し、この固定面の最も薄い部分の中に通じた漏斗状チャネルを備える。一旦その中に埋め込まれると、デバイスは筋肉に刺されたまま留まる。これらのデバイスを用いても、皮膚及び筋肉の中に挿入された瘻針を使用して、漏斗状チャネルの中心を探り、挿入しながら徐々に、デバイスの固定面においてFAVの壁を貫通させることが必要である。このデバイスは、瘻針を静脈(V)の側部から側部に横断させる危険を排除できず、さらには、漏斗状チャネルのために、瘻針の傾斜を変えることは不可能であり、したがって深く挿入することができず、ボタンホール方法と同様、瘻針の断面によって制限される治療時間を、短縮することもできない。
【0003】
米国特許出願公開第2010/318016号明細書、及び米国特許第4822341号明細書は、予め存在する動静脈瘻を有する患者に恒久的に埋め込み可能な、血液透析のための別の血管アクセスデバイスを記載している。米国特許第4822341号明細書によるデバイスは、血管に連続して埋め込まれる。一旦埋め込まれると、デバイスは、それぞれ血液の採取及び再注入のための、入口穴及び出口穴を有する。このデバイスは、血管に対して長手方向に摺動させることによって穴を開閉するための、摺動弁を含み、一旦デバイスが埋め込まれると、この摺動弁は皮下に配置される。穴を開閉するために、オペレータは摺動弁を患者の内部で摺動させて、弁において組織の作用に対抗しなければならないこと、ならびに、オペレータは瘻針を使用して皮膚及び筋肉の中に挿入して、一旦穴を開けると、穴の中心を探る必要があること、は明白である。体内に埋め込まれた弁を摺動させるという、客観的な困難のため、デバイスは実質的に実用適用とはならない。したがって、患者のストレス、苦痛、及び外傷と、FAVに対する損傷と、FAVの血液アクセス箇所における感染の可能性と、高度に専門化した人員の必要性と、関連のコストと、を制限しながら、血液透析セッションを実行する必要性が持ち上がる。患者の血液透析の準備をするために、手術、ならびに患者に生じる障害及び苦痛に関連した危険を軽減する目的と共に、患者が受ける必要がある手術の数を減らす、という追加の必要性が持ち上がる。さらに、血液透析のためのコスト及び/時間を低減させるという、認識された必要性、ならびに専門化した医療オペレータの必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2010/318016号明細書
【文献】米国特許第4822341号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、FAVを使用した血液透析に相関する欠点を未然に防ぐか、または制限することである。詳細には、本発明の主な目的は、患者のストレス、苦痛、及び外傷と、FAVまたは他の血管に対する損傷と、FAVの血液アクセス箇所の感染可能性と、高度に専門化した人員の必要性と、関連のコストと、を制限しながら、血液透析治療を提供することである。追加として、本発明の別の目的は、構造的に簡単かつ経済的、及び使用において信頼できる、血管アクセスデバイスを実現することである。本発明の別の目的は、血液透析時間を減らすのを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的は、独立請求項の内容によって実現される。請求項1の、血液透析のための血管アクセスデバイスは、予め存在するFAV、静脈または動脈に連続して恒久的に埋め込むことができるか、または液圧によって静脈を動脈に接続することができる。動静脈瘻において血液を採取及び/または注入するための、少なくとも1つの使い捨てデバイスを含んだ無菌パッケージを開けて、各血液透析セッションに使用し、フロー制御及び/または遮断デバイスに作用してカニューレのフローを可能にして、本発明による血管アクセスデバイスの第2及び第1の導管を介して、医療カニューレの第1の端部を挿入する(可能であれば第2の導管における第2の管状要素の、第2の端部においてのみ、患者の皮膚に針を用いて穴を開ける)ことによって、使い捨てデバイスの接続要素を、血液透析装置の血液の入口管または血液の出口管に、液圧によって接続することができる。穴を開けられる体の要素は皮膚のみなので、容易に治癒する。特に、銀及び/もしくは別の殺菌剤、ならびに/または治癒剤を備えた、適切な瘻用圧力パッドを用いて治療した場合、血液透析セッション中に患者に生じる苦痛は、大幅に軽減される。本発明によると、血液透析セッション中に、静脈から採取、または静脈に戻すための挿入がカニューレで実現されるとき、及び血管アクセスデバイスで行なうとき、ならびにカニューレ処置のための治療カニューレの自由端を挿入するとき、血液透析セッション中に、静脈、動脈、または動静脈瘻の側部から側部に貫通する危険は存在しないことも明白である。この端部は、当然ながら非カッティングであり、初めに血液透析のための血管アクセスデバイスにおける第2の導管に、次に第1の導管に順応させて挿入するために、十分に柔軟性がある。その結果、FAVを損傷させる危険は存在しない。追加として、第1の導管は、FAVと同じ内径を有することができ、静脈または動脈、及びカニューレは、関連した厚さに応じて、第1の導管の内径に対して0.1~0.2mm小さい径、すなわち2.0~4.0mmの内径を有することができる。したがって、1.6mmの瘻針の径よりも大幅に大きい。これは、血液透析中に、FAVにおいて採取する血液量、及び戻す血液量を、大幅に増加させるのを可能にする。したがって、内径2.0~4.0mmの内径を有するカニューレの中に流れることができる血液フローに基づいて、血液透析装置における半透膜の濾過表面を適切に寸法決めすることによって、人員の生産性を増加させながら、単一の血液透析治療に関する人員の時間及びコストを大幅に制限することが可能になる。
【0007】
血管アクセス治癒デバイスの使用は、体の血管アクセスポインにおいて、第2の導管、及び/または第3の導管に挿入することによって、治癒デバイスのシリンダ周りにおける、治癒デバイスの弁アクセスを可能にすることに留意されたい。実際、この箇所に数日治癒デバイスを残し、周期的な血管アクセスの治療(少なくとも週に2、3回)のために除去し、各治療後に再設置することによって、比較的短時間で、治癒して恒久的に開いた血管アクセス穴を有する、恒久的な血管アクセスを得ることが可能である。血管アクセス穴は、本発明の血管アクセスデバイスにおける第2の導管及び/または第3の導管に通じ、そこに好ましくは、第1及び第2の弁それぞれが接続され、これらの弁は第2または第3の導管を、それぞれ液圧によって閉じる。これによって血液の損失は劇的に制限される。治癒したアクセス穴を有する恒久的な血管アクセスは、カニューレ処置のためのカニューレ、詳細には無菌パッケージに含まれたカニューレによって、貫通される。したがって、透析を実行するために、瘻針を使用する必要はない。その結果、透析に対して高度に専門化していないオペレータによって、透析を実行することができる。なぜなら、恒久的な血管アクセスにおけるカニューレの入口は、先行技術に対して大幅に簡略化されており、血液透析装置の患者への接続を、さらに容易にするからである。さらに、瘻針を使用しないため、静脈、動脈、またはFAVを損傷させる可能性のある、患者が感じる不快及び苦痛は軽減される。
【0008】
透析を受ける人の特徴に従って、治癒して恒久的に開いた血管アクセス穴を伴う、恒久的な血管アクセスを得るために必要な時間は、4~12週間、または8~10週間と変化する場合がある。この期間、及び任意の場合において、治癒デバイスが使用されない場合、血管アクセスデバイスの埋め込みが順応する(すなわち使用の準備ができる)まで、透析は実行されないか、または中心静脈カテーテルを使用して実行され、それはその後排除されることになる。上記で述べた利点に加え、請求項1における血液透析のための血管アクセスデバイスは、さらに、埋め込む血管を選択することを有利に可能にする。実際、動脈(A)、静脈、予め存在する動静脈瘻に連続して埋め込むことができる。または、より好ましくは、血管アクセスデバイス自体が人工動静脈瘻を構築するように、動脈と静脈との間に埋め込みことができる。この場合、単一の手術で、恒久的な血管アクセス及び出口、ならびに人工動静脈瘻が作り出される。それによって、患者が受ける必要がある手術の回数と、同様にその結果として生じる術後の合併症の危険と、患者が被る不快と、を制限する。
【0009】
本発明の特徴は以下で表わし、関連の好ましいが非排他的な実施形態を、添付の図表を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】本発明による血液透析のための血管アクセスデバイスにおける、第1の実施形態の概略斜視図である。
図1B】本発明による血液透析のための血管アクセスデバイスにおける、第1の実施形態の概略側面図である。
図1C】本発明による血液透析のための血管アクセスデバイスにおける、第1の実施形態の概略上面図である。
図1D】本発明による血液透析のための血管アクセスデバイスにおける、第1の実施形態の概略正面図である。
図1E】本発明による血液透析のための血管アクセスデバイスにおける、第1の実施形態の、図1DのIE-IE面における概略断面図である。
図2A】本発明による血液透析のための血管アクセスデバイスにおける、第2の実施形態の概略斜視図である。
図2B】本発明による血液透析のための血管アクセスデバイスにおける、第2の実施形態の概略側面図である。
図2C】本発明による血液透析のための血管アクセスデバイスにおける、第2の実施形態の概略上面図である。
図2D】本発明による血液透析のための血管アクセスデバイスにおける、第2の実施形態の概略正面図である。
図2E】本発明による血液透析のための血管アクセスデバイスにおける、第2の実施形態の、図2Dの2E-2E面における概略断面図である。
図3図2Bの詳細部Kの拡大図である。
図4】本発明の血液透析のための血管アクセスデバイスにおける、第3の実施形態の概略斜視図である。
図5A無菌パッケージの上面図である。
図5B】本発明による、血液を採取及び/または注入する使い捨てデバイスの、別の実施形態の側面図である。
図5C図5Bの使い捨てデバイスの上面図である。
図5D図5Bの使い捨てデバイスの、図5CのV-V軸における断面図である。
図5E図5Bの使い捨てデバイスの正面図である。
図5F図5Dの詳細部Aの拡大図である。
図5G図5Bの使い捨てデバイスの斜視図である。
図5H図5Gの詳細部Cの拡大図である。
図5I図5Gの詳細部Bの拡大図である。
図5L】血液を採取及び/または注入する使い捨てデバイスの、別の実施形態の側面図である。
図5M図5Lの使い捨てデバイスの上面図である。
図5N図5Lの使い捨てデバイスの、図5MのV-V軸における断面図である。
図5O図5Lの使い捨てデバイスの正面図である。
図5P図5Nの詳細部Dの拡大図である。
図5Q図5Lの使い捨てデバイスの斜視図である。
図5R図5Gの詳細部Dの拡大図である。
図5S図5Gの詳細部Dの拡大図である。
図6】使用構成で動静脈瘻に連結された、血液透析のための採取及び/または注入システムの一部における、第1の実施形態の概略断面図である。
図7】使用構成で動静脈瘻に連結された、血液透析のための採取及び/または注入システムの一部における、第2の実施形態の概略断面図である。
図8】使用構成で動静脈瘻に連結された、血液透析のための採取及び/または注入システムの一部における、第3の実施形態の概略断面図である。
図9A】本発明による血管アクセスデバイスの、第4の実施形態の側面図である。
図9B図9Aのデバイスの背面図である。
図9C図9Aのデバイスの上面図である。
図9D図9Aのデバイスの、図9CのIX-IX面に沿った断面図である。
図9E図9のデバイスの、図9BのIX-IX面に沿った断面図である。
図9F図9Dの詳細部Jの拡大図である。
図9G図9Aのデバイスの、図9DのIX-IX面における断面図である。
図9H図9Aのデバイスの、図9GのIX-IX面における断面図である。
図9I図9Hの詳細部Kの拡大図である。
図9L図9Aのデバイスを下から見た概略斜視図である。
図9M図9Aのデバイスを上から見た概略斜視図である。
図10A図9Aのデバイスを上から見た分解組立図である。
図10B図10Aの分解したデバイスの背面図である。
図10C図10Aの分解したデバイスの、図10AのX-X面における断面図である。
図10D図10Aの分解したデバイスの、図10BのX-X面における断面図である。
図10E図10Aの分解したデバイスの斜視図である。
図10F図10Dの詳細部Xの拡大図である。
図11A】本発明による血液透析のための血管アクセスデバイスの、第5の実施形態の側面図である。
図11B図11Aのデバイスの背面図である。
図11C図11Aのデバイスの上面図である。
図11D図11Aのデバイスの、図11CのXI-XI面における断面図である。
図11E図11Aのデバイスの、図11BのXI-XI面における断面図である。
図11F図11Dの詳細部Kの拡大図である。
図11G図11Aのデバイスの、図11DのXI-XI面における断面図である。
図11L図11Aを下から見た概略斜視図である。
図11M図11Aを上から見た概略斜視図である。
図12A図11Aのデバイスの分解組立図である。
図12B図12Aの分解したデバイスの背面図である。
図12C図12Aの分解したデバイスの、図12AのXII-XII面における断面図である。
図12D図12Aの分解したデバイスの、図12BのXII-XII面における断面図である。
図12E図12Aの分解したデバイスの斜視図である。
図12F図12Dの詳細部Kの拡大図である。
図13A】本発明による血管アクセスデバイスの、第6の実施形態の側面図である。
図13B図13Aのデバイスの背面図である。
図13C図13Aのデバイスの上面図である。
図13D図13Aのデバイスの、図13CのXIII-XIII面における断面図である。
図13E図13Aのデバイスの、図13DのXIII-XIII面に沿った断面図である。
図13F図13Dの詳細部Kの拡大図である。
図13G図13Aのデバイスを下から見た斜視図である。
図13H図13Aのデバイスを上から見た斜視図である。
図14A図13Aのデバイスの分解組立図である。
図14B図14Aの分解したデバイスの背面図である。
図14C図14Aの分解したデバイスの、図14AのXIV-XIV面における断面図である。
図14D図14Aのデバイスの、図14BのXIV-XIV面における断面図である。
図14E図14Dの詳細部Zの拡大図である。
図14F図14Aのデバイスの斜視図である。
図15A】本発明による血管アクセスデバイスの、第7の実施形態の側面図である。
図15B】本発明による血管アクセスデバイスの、第7の実施形態の下から見た斜視図である。
図15C】本発明による血管アクセスデバイスの、第7の実施形態の上から見た斜視図である。
図16A】本発明による血管アクセスデバイスの、第8の実施形態の側面図である。
図16B】本発明による血管アクセスデバイスの、第8の実施形態の下から見た斜視図である。
図16C】本発明による血管アクセスデバイスの、第8の実施形態の上から見た斜視図である。
図17A】本発明による血管アクセスデバイスの、第9の実施形態の側面図である。
図17B】本発明による血管アクセスデバイスの、第9の実施形態の長手方向断面図である。
図17C】本発明による血管アクセスデバイスの、第9の実施形態の下から見た斜視図である。
図17D】本発明による血管アクセスデバイスの、第9の実施形態の上から見た斜視図である。
図18A】本発明による血管アクセスデバイスの、第10の実施形態の側面図である。
図18B図18Aのデバイスの背面図である。
図18C図18Aのデバイスの上面図である。
図18D図18Aのデバイスの、図18BのXIIX-XIIX面における断面図である。
図18E図18AのデバイスをP側から見た図である。
図18F図18Aのデバイスの、図18AのXIIX-XIIX面における断面図である。
図18G図18Dの詳細部Jの拡大図である。
図18H図18Aのデバイスの、図18AのXIIXーXIIX面における断面図である。
図18I図18Aのデバイスの、図18HのXIIX-XIIX面における断面図である。
図18M図18Aのデバイスを下から見た斜視図である。
図18N図18Aのデバイスを上から見た斜視図である。
図19A】本発明による血管アクセスデバイスの、第11の実施形態の側面図である。
図19B図19Aのデバイスの背面図である。
図19C図19Aのデバイスの上面図である。
図19D図19Aのデバイスの、図19BのXIX-XIX面における断面図である。
図19E図19Aのデバイスの、図19BのXIX-XIX面における断面図である。
図19F図19Dの詳細部Bの拡大図である。
図19G図19Eの詳細部Cの拡大図である。
図19H図19Aのデバイスの、図19AのXIX-XIX面における断面図である。
図19I図19Aのデバイスの、図19HのXIIX-XIIX面における断面図である。
図19M図19Aのデバイスを下から見た斜視図である。
図19N図19Aのデバイスを上から見た斜視図である。
図20A】本発明による血管アクセスデバイスを、埋め込むことができる位置を例示する図である。
図20B】本発明による血管アクセスデバイスを、埋め込むことができる位置を例示する図である。
図20C】本発明による血管アクセスデバイスを、埋め込むことができる位置を例示する図である。
図21A】関連の第1の構成にある、本発明による弁アクセスのための治癒デバイスの概略正面図である。
図21B】関連の第1の構成にある、本発明による弁アクセスのための治癒デバイスの概略側面図である。
図21C】関連の第1の構成にある、本発明による弁アクセスのための治癒デバイスの概略上面図である。
図21D】関連の第1の構成にある、本発明による弁アクセスのための治癒デバイスの概略斜視図である。
図21E】関連の第2の構成にある、図2Aのデバイスの概略側面図である。
図21F】関連の第2の構成にある、図2Aのデバイスの概略正面図である。
図21G】関連の第2の構成にある、図2Aのデバイスの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照すると、参照番号(1)は、動静脈瘻を有する患者に恒久的に埋め込み可能な、血液透析のための血管アクセスデバイスに関する。(1)は、患者に恒久的に埋め込み可能な(シングル及びダブル両方の血管アクセスを伴う)血液透析のための血管アクセスデバイスを示し、(102)は、血液の採取及び/または注入の使い捨てデバイスに関し、(500)は、弁アクセスのための治癒デバイスを示し、(100)は無菌パッケージを示し、(1000)は、血液透析のための採取及び/または注入システムを示す。図から判るように、第1から第3の実施形態は、シングルアクセスの発明による血管アクセスデバイスに関し(図1A図4、及び図6図8参照)、一方で第4から第11の実施形態は、本発明のダブルアクセスの血管アクセスデバイスに関し、それはダブル血管アクセスを可能にする(図9図19N参照)。発明におけるダブルアクセスの血管アクセスデバイスは、実際に、透析を受ける血液を患者から採取すること、及び透析された血液を患者に再注入すること、例えば血液を第2の管状要素(203)から採取し、第3の管状要素(303)に血液を再注入すること、またはその逆、が可能である。しかし、シングルアクセスの血管アクセスデバイスは、入口または出口のいずれか一方のアクセスのみ可能であり、したがってそれらの2つは、各患者に埋め込む必要がある。
【0012】
本発明によると、シングルアクセスの血管アクセスデバイス(1)は、生体適合性材料及び殺菌材料で作られた血管アクセスデバイス(1)であり:
-長手方向の関連の第1及び第2の端部(21)を有し、かつ第1から第2の端部(21)まで延びた第1の導管(22)を画定する、関連の第1の管状要素(2)と;
-長手方向の関連の第1及び第2の端部(31、32)を有し、かつ関連の第1から第2の端部(31、32)まで延びた第2の導管(33)を画定する、関連の第2の管状要素(3)であって、第2の管状要素(3)における第1の端部(31)は、第2の導管(33)が第1の導管(22)と流体連通するよう、かつ第2の管状要素(3)の第2の端部(32)が第1の管状要素(2)に対して第1の側となるよう、第2の管状要素(3)における第1の端部と第2の端部(21)との間の中間位置において、第1の管状要素(2)に固定される(図1A図1B図1E図2A図2B図2E、及び図4参照)、関連の第2の管状要素(3)と;
-第1の複数の貫通穴(41)を備え、第1の管状要素(202)及び/または第2の管状要素(3)に固定され(好ましくは、それらは第2の管状要素(3)に固定され)、第1の複数の貫通穴(41)は、第1の管状要素(2)に対して第1の側の、第2の管状要素(3)における第2の端部(32)に配置された、第1の固定手段(4)であって、血管アクセスデバイス(1)は、動静脈瘻の第1の部分(51)と第2の部分(52)との間で、血液フローに対して動静脈瘻に連続して挟まれた第1の導管(22)を用いて、血液透析のための動静脈瘻を有する患者の腕に埋め込むよう、順応かつ寸法が決められ、第1の管状要素(2)における第1の端部(21)及び第2の端部(21)は、動静脈瘻の第1の部分(51)及び第2の部分(52)それぞれに、関連の部分(51、52)の関連の端部及び第2の管状要素(3)における第2の端部(32)において固定され、第1の複数の貫通穴(41)を、第1の複数の縫合ステッチ(60)によって固定し、それによって第2の導管(33)における第2の端部(32)を埋込皮膚領域(7)に固定することによって、埋込皮膚領域(7)に固定するために、第1の複数の貫通穴(41)が、埋込皮膚領域(7)において皮下に配置される、第1の固定手段(4)と、を備える。第1の導管(22)と流体連通することになる第2の導管(33)のため、かつ第2の管状要素(3)における第2の端部(32)が第1の管状要素(2)おける第1の側に載るように、第2の管状要素(3)における第1の端部(31)は、第2の管状要素(3)における第1の端部と第2の端部(21)との間の中間位置における第1の管状要素(2)に、固定することはできないことに留意されたい。実際、第2の管状要素(3)における第1の端部(31)は、図1A図1B図1E図2A図2B図2E、及び図4で確認できるように、第1の管状要素(2)における第1の端部と第2の端部(21)との間の中間位置に固定される。
【0013】
図9図19に示されるような、ダブルアクセスタイプの本発明の血管アクセスデバイス(1)は、患者に恒久的に埋め込み可能な血液透析のための血管アクセスデバイス(1)であり、生体適合材料及び殺菌材料で作られ:
-長手方向の関連の第1及び第2の端部(221、223)を有し、かつ第1から第2の端部(221、223)まで延びた第1の導管(222)を画定する、関連の第1の管状要素(202)と;
-長手方向の関連の第1及び第2の端部(231、232)を有し(図10F参照)、かつ関連の第1から第2の端部(231、232)まで延びた第2の導管(233)を画定する、関連の第2の管状要素(203)であって、第2の管状要素(203)における第1の端部(231)は、第2の導管(233)が第1の導管(222)と流体連通するよう、かつ第2の管状要素(203)における第2の端部(232)が、第1の管状要素(202)に対して第1の側となるよう、第1の管状要素(202)における第1の端部(221)に近接した第1の管状要素(202)に固定される、関連の第2の管状要素(203)と;
-長手方向の関連の第1及び第2の端部(331、332)を有し、かつ関連の第1の端部から第2の端部(331、332)まで延びた第3の導管(333)を画定する、関連の第3の管状要素(303)であって(図19G参照)、第3の管状要素(303)における第1の端部(331)は、第3の導管(333)が第1の導管(222)及び第2の導管(233)と流体連通するよう、かつ第3の管状要素(303)における第2の端部(332)が、第1の管状要素(202)に対して第1の側となるよう、第1の管状要素(202)における第2の端部(223)に近接して固定される、関連の第3の管状要素(303)と;
-第1の複数の貫通穴(41)を備え、第1の管状要素(202)及び/または第2の管状要素(203)に固定された、第1の固定手段(4)であって、第1の複数の貫通穴(41)は、第1の管状要素(202)に対して第1の側に、かつ第2の管状要素(203)における第2の端部(232)に配置された、第1の固定手段(4)と;
-第2の複数の貫通穴(41)を備え、第1の管状要素(202)及び/または第3の管状要素(303)に固定された、第2の固定手段(304)であって、第2の複数の貫通穴(41)は、第1の管状要素(202)に対して第1の側に、かつ第3の管状要素(303)における第2の端部(332)に配置された、第2の固定手段(304)と、
を備え、ここで血管アクセスデバイス(1)は:
-動脈(A)、静脈(V)、または予め存在する動静脈瘻(F)における、第1の位置であって(図20C図20B、及び図20Aをそれぞれ参照)、第1の導管は、動脈(A)、静脈(V)、または予め存在する動静脈瘻(F)それぞれの第1の部分と第2の部分との間に、血液フローに対してそれぞれ動脈(A)、静脈(V)、または予め存在する動静脈瘻(F)に連続して挟まれ、第1の管状要素(202)における第1の端部及び第2の端部(221、223)は、それぞれ第1の部分(51)及び第2の部分(52)に固定された、第1の位置と;
-動脈(A)と静脈(V)との間の、第2の位置であって(図20D参照)、第1の管状要素(202)における関連の第1または第2の端部(231、232)は、動脈(A)に固定され、かつ第1の管状要素(202)における関連の第1または第2の端部(231、232)のうちで動脈(A)に固定されない残りは、第1の導管(222)が動脈(A)を静脈(V)に液圧によって接続して人口動静脈瘻(FA)を構築するよう、静脈(V)に固定された、第2の位置と、
において患者に、好ましくは患者の腕に埋め込むよう、順応され、かつ寸法が決められる。ここで、第1の位置及び第2の位置において、第2の管状要素(203)における第2の端部(232)、及び第3の管状要素(303)における第2の端部(332)の、第1及び第2の複数の貫通穴(41)を、対応した第1及び対応した第2の複数の縫合スティッチ(60)によって、埋込皮膚領域(7)に固定できるよう、かつそれによって、第2の導管(233)における第2の端部(232)及び第3の管状要素(303)における第2の端部(332)を埋込皮膚領域(7)に固定できるように、第1及び第2の複数の貫通穴(41)は、埋込皮膚領域(7)の皮下に配置される。
【0014】
ダブルアクセスの血管アクセスデバイスは、血管(静脈、動脈、及び予め存在する動静脈瘻)に連続して埋め込み可能であるだけではなく、デバイスを埋め込むための以下の手術方法を実行するのを有利に可能にする。それは以下のステップを含む:
本発明のダブルアクセスの血管アクセスデバイスを予め配設するステップ;埋込箇所における静脈(V)の壁に外科的切開を実行するステップ;埋込箇所における動脈(A)の壁に外科的切開を実行するステップ;関連の端部で第2の導管(233)及び第3の導管(333)にそれぞれ液圧によって接続された、第1の導管(222)を介して、静脈及び動脈を液圧によって接続するステップ;関連の外科的切開において動脈(A)に固定された第1の管状要素(202)の、関連の第1または第2の端部(231、232)を固定するステップ;第1の管状要素(202)における関連の第1または第2の端部(231、232)のうちで、関連の外科的切開部において動脈(A)に固定されていない残りを用いて、第1の導管(222)が動脈(A)を静脈(V)に液圧によって接続して、人工の動静脈瘻(FA)を構築し、第2の管状要素(203)における第2の端部(232)及び第3の管状要素(303)における第2の端部(332)を配置して、第1及び第2の複数の貫通穴(41)が、埋込皮膚領域(7)の皮下に配置されるように、静脈(V)に固定するステップ;ならびに対応する第1及び対応する第2の複数の縫合ステッチ(60)によって、第1及び第2の複数の貫通穴(41)を埋込皮膚領域(7)に固定するステップ。
【0015】
治癒して恒久的に開いた血管アクセス穴を有する、恒久的な血管アクセスを得る目的で、出願者は、血管アクセスの治癒デバイス(500)も開発し:
-血管アクセスの内部に挿入可能で、関連の長手方向展開軸を有するシリンダ(505)と;長手方向の関連の第1及び第2の端部と、シリンダ(505)の第1の端部に固定された(好ましくはシリンダと同軸の)遠位にテーパーが付いた先端(503)と、を備えた、関連の挿入部(502)であって、この挿入部は、第1の弁(50)と第1のプレート(4)との間、または第2の弁(50)と第2のプレート(304)との間それぞれに構成された、第2の導管(33、233)または第3の導管(333)の一部を独占的に塞ぐように、関連の第2の端部(32、232、332)から、請求項4、7、8、9、及び10のうちいずれか一項による、血液透析のための血管アクセスデバイス(1)における、第2の導管(33、233)または第3の導管(333)に挿入可能である、関連の挿入部(502)と;
-シリンダ(505)の第2の端部に固定された関連の接続部(504)と;
-関連の第1及び関連の第2の把持タブ(501)であって、第1及び第2の把持タブ(501)が実質的に同一平面上にある、関連の第1の構成(図21A図21D参照)、及びこれらのタブが互いに対向する、第2の構成(図21E図21F)を想定可能にするために、それら両方の接続部(504)、かつシリンダ軸に対して両側に接続され、接続部(504)に対する相対運動の可能性を有し、第1及び第2の構成の両方において、第1及び第2の把持タブ(501)は、第2の導管(33、233)または第3の導管(333)に挿入できない、関連の第1及び関連の第2の把持タブ(501)と、を備える。
【0016】
血管アクセス治癒デバイスの、関連の実施形態において、関連のシリンダは、接続部に対して角度β(図1A参照)と同一である角度(λ)だけ傾斜しており(図21B図21D、及び図21Gをそれぞれ参照)、その角度で第2の管状要素(3、203)または第3の管状要素(303)は、第1のプレート(4)または第2のプレート(304)それぞれに対して傾斜する。
【0017】
図21A図21Gを参照すると、挿入部(502)の長さL3は、弁(50)に接触するのを避けるために2mmまたは2.5~5mmで、好ましくは1~3mmで構成される。把持タブ(501)は以下の寸法を有することができる。L4は3~6mm、好ましくは4.5mmで構成され、L5は4.5~6mm、好ましくは5mmで構成される。シリンダの径θは、当然ながら第2及び第3の導管の寸法に依存するが、有利には1.5~2mm、好ましくは1.75mmである。血管アクセスの治癒デバイス(500)の幅L6は、10~15mm、好ましくは約12.5mm、一方で長さL7は7~10mm、好ましくは約8.5mmとすることができる。
【0018】
無菌パッケージ(100)は、動静脈瘻における血液の採取及び/または注入のための、少なくとも1つの使い捨てデバイス(102)を含み、それは:
-関連の第1の端部(108)及び関連の第2の端部(109)を有する、カニューレ処置のための治療カニューレ(103)であって、第1の端部(108)は自由で、患者の予め存在する動静脈瘻(F)、動脈(A)、もしくは静脈(V)に、第2の導管(33、233)及び第1の導管(22、222)を介して、または第3の導管(333)及び第1の導管(222)を介して、ダブル及びシングルのアクセスデバイスの両方で、カニューレ使用可能である、治療カニューレ(103)と;
-治療カニューレ(103)における液体のフローを制御及び/または遮断するために、予め配設された、フロー制御及び/または遮断デバイス(104)と;
-血液透析装置の血液の入口管または血液の出口管への液圧による接続を可能にする、治療カニューレ(103)の第2の端部(109)に固定された、接続要素(106)と;
-カニューレの第1の端部(108)と制御及び/または遮断デバイス(104)との間に配置され、カニューレの第1の端部(108)に液圧によって接続されたアクセスチャネル(181)(図5F及び図5P参照)を画定する、任意選択のアクセス要素;ならびに、アクセスチャネル(181)の中に液体の注入を可能にし、かつこの液体を治療カニューレ(103)の第1の端部(108)に向けて流すために、アクセス要素の遠位端においてアクセスチャネル(181)を可逆的に閉鎖するための、可逆的閉鎖手段(180)と;
-第1の端部(108)と制御及び/もしくは遮断デバイス(104)との間に配置された、任意選択の第1の把持要素(120)、ならびに/または、接続要素(106)に近接して配置された、第2の把持要素(130)と、で構築される。当然ながら、パッケージは内容物の無菌を可能にするために好適な材料で封止かつ作られた、関連ラッピング(101)も備える。例えば、ラッピング(101)は、紫外線、及び/またはイオン化放射線(ガンマ及び/またはベータ線)、及び/またはマイクロウェーブを透過できるシート材料を用いて作ることができる。血管アクセスデバイス(1)、ならびに無菌パッケージ(100)に含まれた採取及び/または注入の使い捨てデバイス(102)の、関連の構成及び寸法の両方を適切に選択することによって、血管アクセスデバイス(1)ならびに採取及び/または注入の使い捨てデバイス(102)の両方を備えた、血液透析のための採取及び/または注入システム(1000)を容易に得るためには、各血液透析セッションにおいてパッケージを開けることで十分である。治療カニューレ(103)の第1の自由端(108)は自由で、患者の動静脈瘻、静脈、または動脈に、血管アクセスデバイス(1)の、第2の導管(33、233)及び第1の導管(22、222)を介して、ならびに/または第3の導管(333)及び第1の導管(22、222)を介して、カニューレを使用可能である。システム1000は、先行技術に対する上述の目的を達成するのを可能にする。
【0019】
したがって、血液透析のための採取及び/または注入システム(1000)は、ダブルアクセスまたはシングルアクセスとすることができる、本発明による血液透析のための血管アクセスデバイス(1)と、動静脈瘻(F)、静脈(V)、または動脈(A)において血液を採取及び/または注入する、少なくとも1つの使い捨てデバイス(102)と、を備え、使い捨てデバイス(102)は:
-関連の第1の端部(108)及び関連の第2の端部(109)を有する、カニューレ処置のための治療カニューレ(103)であって、第1の端部(108)は自由で、患者の予め存在する動静脈瘻(F)、動脈(A)、もしくは静脈(V)に、血管アクセスデバイス(1)の第2の導管(33、203)及び第1の導管(22、222)を介して、または第3の導管(333)及び第1の導管(22、222)を介して、カニューレ使用可能である、治療カニューレ(103)と;
-治療カニューレ(103)における液体のフローを制御及び/または遮断するために、予め配設された、フロー制御及び/または遮断デバイス(104)と;
-血液透析装置の血液の入口管または血液の出口管への液圧による接続を可能にする、治療カニューレ(108)の第2の端部(109)に固定された、接続要素(106)と;
-カニューレの第1の端部(108)と制御及び/または遮断デバイス(104)との間に配置され、カニューレの第1の端部(108)に液圧によって接続されたアクセスチャネル(181)(図5F及び図5P参照)を画定する、任意選択のアクセス要素;ならびに、アクセスチャネル(181)の中に液体の注入を可能にし、かつこの液体を治療カニューレ(103)の第1の端部(108)に向けて流すために、アクセス要素の遠位端においてアクセスチャネル(181)を可逆的に閉鎖するための、可逆的閉鎖手段(180)と;
-第1の端部(108)と制御及び/もしくは遮断デバイス(104)との間に配置された、任意選択の第1の把持要素(120)、ならびに/または、接続要素(106)に近接して配置された、第2の把持要素(130)と、で構築され、
-ここで、採取及び/または注入システム(1000)は、任意選択で血管アクセスの少なくとも1つの治癒デバイス(500)、好ましくは複数、有利には8~30個の治癒デバイス(500)、を備えることができる。
【0020】
ダブルアクセスの血管アクセスデバイスの場合、採取及び/または注入のための、2つのシングルアクセスのデバイス(102)を備えることが、システムに好ましい。
【0021】
アクセス要素及び閉鎖手段が、シングル及びダブルアクセス両方のアクセスデバイスに存在する任意の血栓を吸引可能であることに、留意されたい。追加として、アクセス要素及び閉鎖手段は、第1の導管(22、222)の中に抗凝血剤を注入可能にする。この抗凝血剤は、例えばヘパリンロックなどのヘパリン、クエン酸ナトリウム、ウロキナーゼ、及びそれらの混合物、とすることができる。
【0022】
血管アクセスデバイス(1)の殺菌及び機械抵抗を向上させるために、好ましくは金属、より好ましくはチタンで作られる。しかし本発明は、生体適合材料及び殺菌プラスチック材料を使用して、以下で説明するように体に再吸収されないように構築することも含むことができる。血液透析のための血管アクセスデバイスに、第2の管状要素(3、203)における第2の端部(32、232)、及び第3の管状要素(303)における第2の端部(332)が存在する場合、それらを埋め込むための皮膚領域(7)に対して固定するのを向上させる目的で、第1及び第2の複数の貫通穴(41)が、2つの貫通穴(41)によって、好ましくは反対側に、それぞれ第2の導管(33、232)及び導管(333)に配置して、構築することができる。3つの貫通穴によって構築される場合、それらを第2の導管(33、233)及び第3の導管(333)の周りに120°の角度で離して配置するのが好ましい。より多い数の貫通穴(41)が含まれる場合、それらは第2の管状要素(3、203)における第2の端部(32、232)において、第2の導管(33、233)を取り囲む閉ループに沿って配置することができる(図1C及び図2C参照)。それらは、等角度であるとさらに好ましい場合がある。貫通穴(41)は、好ましくは少なくとも6つである。存在する場合、第3の管状要素(303)における第2の端部(332)の穴にも同じことが当てはまる。治療カニューレ(103)を、第2の導管(33)及び第1の導管(22、222)の中、及び/または第1の導管(222)及び第3の導管(333)の中に、有利に容易に挿入するために、カニューレ及び導管の2つのうち少なくとも一方、好ましくは両方に、関連の楕円形の内部断面、またはより好ましくは円形の内部断面を有する。導管(22、33)は、有利に円筒形の内壁を有する。
【0023】
当然ながら、第1の管状要素(2、202)及び第2の管状要素(3、203)は、関連の長手方向の展開軸(24、34)を有し、それらは互いに対して入射して、一方が他方を補足する2つの入射角を画定する。これは、ダブルアクセスの血管アクセスデバイスの場合、第1及び第3の管状要素にも当てはまる。血液透析のための血管アクセスデバイス(1)の、好ましい実施形態は、第1の管状要素(2)及び第2の管状要素(3)が、鋭角である最小角度(α)で互いに対して入射する、関連の長手方向展開軸を有するものである。この角度は好ましくは25~60°、より好ましくは25~50°、さらに好ましくは28~30°もしくは43~48°、25°、及び45°で構成することができ、ならびに/または(好ましくは)ここで、関連の第3の管状要素(303)が存在する場合、第1の管状要素(202)及び第3の管状要素(303)は、25~50°、好ましくは25°で構成された最小角度(α)で互いに入射する、関連の長手方向展開軸を有する。最小角度(α)を、有利には25°、35°、または45°とすることができる。当然ながら、角度(α)に応じて、計測された第2の管状要素(3)の長さ(L2)は、第1の管状要素(2)をFAVに固定することによって、第2の管状要素(3)における第2の端部(32)が皮膚(7)の下にくるよう、血管アクセスデバイス(1)の寸法を決めるために、関連の長手方向展開軸に沿って適切に寸法を決める必要がある。しかし、執刀医は、患者の身体特性(性別、対角、筋肉量、脂肪量)に基づき、関連の第1の管状要素(2)を連続してのFAVに、かつ第2の管状要素(3)における第2の端部(32)を皮膚(7)の下に、患者に対して埋め込むために好適な、血管アクセスデバイス(1)を完璧に選択可能となる。
【0024】
本発明の血液透析のための血管アクセスデバイス(1)の実施形態において、第1の固定手段(4)は、第2の管状要素(3、203)における第2の端部(32、232)を起点とすることができ、及び/または(好ましくは)存在する場合、第2の固定手段(304)は、第3の管状要素(303)における第2の端部(332)を起点とすることができる。例えば第1及び/または第2の固定手段(4)を、第2の導管(33)に対してスポーク状に配置された、図示しない複数のアーム装具によって構築することができ、各アームバンドは、第1の複数の貫通穴(41)のうち1つまたは複数の貫通穴を備える。
【0025】
第1の固定手段(4)が、関連のメインの貫通穴(44)を有するプレート(4)を備えることは、特に好ましい。ここで第1の複数の貫通穴(41)は、メインの貫通穴(44)の周辺に配置され、プレート(4)は、関連の第1の面において第2の管状要素(3、203)における第2の端部(32)に固定され、それによって第2の導管(33、233)は、関連のメインの貫通穴からアクセスできる。及び/または(好ましくは)存在する場合、第2の固定手段が関連のメインの貫通穴を有する第2のプレート(304)を備えることは、特に好ましい。ここで第2の複数の貫通穴(41)は、関連のメインの貫通穴に対して周辺に配置され、別の第2のプレート(304)は、関連の第1の面において第3の管状要素(303)における第2の端部(332)に固定され、それによって第3の導管(333)は、関連のメインの貫通穴(44)からアクセスできる。これは、血管アクセスデバイス(1)の実現を簡略化する。メインの貫通穴(44)は、有利には第2の端部において第2の導管(33)と同じ断面を有し、それらは一致し、治療カニューレ(103)を第1の導管(22)の中に挿入するのを容易にする。
【0026】
本発明の有利な態様において、プレート(4)は、関連の第2の面を関連の第1の面に対して反対側の第2の端部(45)に向けて第2の管状要素(3)に固定し、かつ第1の管状要素(2、202)の長手方向展開軸(24)に対して平行な面に沿って配置される。及び/または(好ましくは)存在する場合、第2のプレート(304)は、関連の第1の面に対して反対側における関連の第2の面(45)によって第3の管状要素(303)に固定され、かつ第1の管状要素(2、202)の長手方向展開軸(24、224)に対して平行な面に沿って配置される。図9図19の実施形態に示されるように、第2及び第3の管状要素(203、303)は、好ましくは、関連の長手方向展開軸が第1の管状要素(202)における第1の側から横断するよう配置される。なぜならこれは、透析を受ける血液を採取すること、及び透析された血液を患者に戻すことを容易にするからである。第2の面(44)は、皮膚(7)の内側に面するよう定められ、5~10mm、好ましくは6.5~8.0mmで構成された、第1の管状要素(2、202)の長手方向展開軸(24)に対する相対距離(D2)で、好ましくは配置される。この距離(D2)も、当然ながら最小角度(α)に依存し、上記の考察は、血管アクセスデバイス(1)の寸法決め及び執刀医の選択に関して有効である。
【0027】
シングル及びダブルアクセスの両方の、血液透析のための血管アクセスデバイス(1)を容易に固定する目的で、血管アクセスが、予め存在するFAV、及び動脈(A)または静脈(V)に連続して恒久的に埋め込まれる場合、第1の管状要素(2、202)における第1の端部及び第2の端部(21、221、223)は、各々有利には、第3の複数の貫通穴(28)(図1A図1C図6、及び図16A図17D参照)を備えることができる。それらは、関連の横断固定セクタに沿って配置され、第1の管状要素(2、202)の第1及び第2の端部(21、221、223)をそれぞれ、図6で視認できる第3の複数の縫合ステッチ(80)によって、動静脈瘻の第1の部分(51)及び第2の部分(52)の端部に固定可能となる。縫合は、第1の管状部分の第1及び/または第2の端部の外側(図6参照)または内側に配置された、動脈(A)、静脈(V)、または予め存在する動静脈瘻(F)の第1及び第2の部分の端部を用いて、実行することができる。後者の場合、動脈(A)、静脈(V)、または予め存在する動静脈瘻(F)の第1の部分(51)及び第2の部分(52)それぞれの端部と、動脈(A)(図20C参照)または静脈(図20B参照)の動静脈瘻(図7及び20A参照)における第1の部分(51)、及び第2の部分(52)それぞれの端部における終端環状面と、に適合される場合、第1の管状要素(2、202)における第1の端部と第2の端部(21、221、223)との間の少なくとも一方、好ましくは両方(図1Eに示されるように)の各々は、第1の導管(22、222)によって画定され、(好ましくは全体に)当接するための、関連の内部環状当接面(27)を備えた関連の内部ハウジングを備えることは好ましい。これは、固定を改善するだけではなく、動脈(A)、静脈(V)、または予め存在する動静脈瘻(F)の一部における自由端(108)のカニューレ処置の間、一旦治療カニューレ(103)の自由端(108)が第2の導管(33)及び第1の導管(22)に挿入されたとき、カニューレが、端部の終端環状面に対してぶつかるのを防止する。当然ながら、ハウジング(25)が、第1の管状要素(2、202)における第1の端部と第2の端部(21、221、223)との間の一方のみに存在する場合、これは最小角度(α)の反対側の端部となる。
【0028】
好ましくは、第3の複数の貫通穴(28)は、少なくとも4つ、好ましくは少なくとも6つ、より好ましくは少なくとも8つである。それらは、有利には等角度で配置される。第1、第2,及び第3の複数の貫通穴における貫通穴(41、28)は、当然ながら外科用縫合針が横断可能なような寸法及び構造を有しなければならない。第1及び第2の複数の貫通穴(28)それぞれについて、執刀医によって切開された皮膚(7)、及び予め存在するFAV(F)の2箇所、静脈(V)、または動脈(A)の2つの部分への縫合動作中、執刀医は、各々の縫合ステッチを、異なる貫通穴に通過させることになる。
【0029】
予め存在するFAV(F)の2箇所、静脈(V)、または切開した動脈(A)への、第1の管状要素(2、202)における第1及び第2の端部(21)の、別の固定モードにおいて、端部を、静脈(V)または動脈(A)の予め存在する動静脈瘻の第1の部分(51)及び第2の部分(52)の端部それぞれに、手術用接着剤(図示せず)を使用して固定することができる。
【0030】
第1の管状要素(2、202)の第1及び/または第2の端部を、手術用接着剤を用いて固定するのを向上させる目的のため、各々は、例えば複数の凹面、スロット、または溝を備えた比較的不規則な外面を有する、関連の横断固定セクタを備えることができる。本発明の好ましい態様において、関連の横断固定セクションは、第1の管状要素(2,202)の長手方向展開軸(24)と同軸の、関連の複数の外部環状溝(29)(図2A図2E及び図3参照)を有し、手術用接着剤による第1の管状要素(2、202)の第1及び第2の端部(21)の、静脈(F)または動脈(A)の予め存在する動静脈瘻の第1の部分及び第2の部分それぞれに対する固定を向上させる。
【0031】
患者の平均的な体サイズを考慮すると、シングルまたはダブルアクセスの本発明における血液透析のための血管アクセスデバイス(1)が、以下の特徴を単独または組み合わせて有することは、好ましい:
-第1の導管(22、222)は、2~5mm、好ましくは2.5~4.0mmで構成された関連の最小内径、及び/もしくは3~7mm、4~6.0mm、好ましくは4~6.0mmで構成された関連の外径、を有すること、ならびに/または、
-第2の導管(33、233)及び/もしくは第3の導管(333)が存在する場合、2.0~5.0mm、好ましくは2.5~4mmで構成された関連の最小内径、及び/もしくは3.0~6.0mm、好ましくは3.5~5.0mmで構成された関連の外径、を有すること、ならびに/または、
-第1の複数の貫通穴(41)及び/もしくは第2の複数の貫通穴(41)が存在する場合、第1の管状要素(2、202)の長手方向展開軸(24)から5~9mm、好ましくは6.5~8mmで構成された距離で配置され、かつ長手方向展開軸間の角度に依存すること、ならびに/または、
-第1及び/もしくは第2の複数の貫通穴(41)における穴(41)は、1.1~2mm、好ましくは1.6×0.9の寸法を有すること、ならびに/または、
-第3の複数の貫通穴(28)における穴は、0.6~0.9mm、好ましくは0.7×0.85、好ましくは0.8の寸法を有すること。
【0032】
特にダブルアクセスの血管アクセスデバイスの場合、第1の管状要素の長さが3~10cm、より好ましくは4~12cm、8~12cm、または有利に4~6cmであると、特に好ましい。なぜならこのように、特に患者の腕または脚における静脈と動脈との間に埋め込むことか可能であること、ならびに、この長さの人工導管において、静脈及び動脈の内部に自然に存在する、同じ解剖学的構造が、導管の内部構造に再現されるのを可能にすること、の両方のためである。これは、血栓及び第1の導管(22、222)における閉塞の危険を、大幅に減少させる。さらに、少なくとも4cm、好ましくは5~6cmである第1の管状要素(2、202)の長さは、透析中に採取された血液が、透析中に戻ったばかりの血液を含まないことを保証する。血液透析のための血管アクセスデバイスがダブルアクセスタイプである場合、かつ人工動静脈瘻を得るために使用される場合、長さは好ましくは少なくとも8~12cmで、それは当然ながら患者の体構造に依存する。追加として、デバイス、または第1、第2、及び第3の導管(22、222、33、233、333)の少なくとも内壁が、金属または生体適合プラスチック材料で作られると、非常に好ましい。第2の場合において、デバイスは成形または3D印刷で作ることができる。特にダブルアクセスのデバイスを作るための、好ましい材料は、シリコーン、ポリジメチルシロキサンPDMS、PTFE好ましくはePTFE、DACRON、好ましくはシリコーン及び/またはポリジメチルシロキサン、ならびにePTFE、より好ましくはePTFEである。なぜならそれらは、血栓を形成しにくい傾向があり、かつ関連の第1の導管(22、220)の、より良好なエンドセリン化を可能にするためであり、それはアクセスデバイスが塞がれるのを防止し、拒絶反応も低減される。
【0033】
本発明による血液透析のための血管アクセスデバイス(1)は、第1の弁(50)をさらに備えると好ましい。第1の弁(50)は、第2の導管(33,233)に接続され、かつ関連の閉構成において液圧によって第2の導管(33、233)を閉じ、関連の開構成において液圧によって第2の導管(33、233)を開けるよう構成される。詳細には、ダブルアクセスの血管アクセスデバイスの場合、したがって関連の第3の管状要素(303)を備える場合において、第2の弁(50)をさらに備えると有利である。第2の弁(50)は、第3の導管(333)に接続され、かつ関連の閉構成において液圧によって第3の導管(333)を閉じ、関連の開構成において液圧によって第3の導管(333)を開けるよう構成される。詳細には、シングルアクセスの血管アクセスデバイスの場合における第1の弁(50)の存在、ならびにダブルアクセスの場合における第1及び第2の弁(50)の存在は、一旦血液透析が終了した際の血液損失を制限するのを有利に可能にし、患者によるその許容性を改善する。弁(50)は、本発明による血液の採取及び/または注入の使い捨てデバイス(102)のカニューレが、透析の最後において第1の導管から、または第2の導管から引き出されると直ちに、血液フローを有利に止める。このように、特に患者が、欧州特許第2296717号明細書及びITBO20080303号明細書に記載されている、EMODIAL S.r.l.として市販されている、銀を含んだ血液アクセスにおけるフィステル圧力パッドを用いて治療されるとき、透析を受ける患者からの血液損失を最小にするのを可能にする。
【0034】
第1及び/または第2の弁(50)は、好ましくはそれぞれ、第2の導管(3、33)及び/または第3の導管(333)の、第2の端部の遠位に配置される。血管アクセス治癒デバイスの使用を、体の血管アクセスポイントにおいて、第2の導管及び/または第3の導管に挿入することによって、前述のように、治癒デバイスのシリンダ周りの弁アクセス部を治癒するのを可能にする。
【0035】
第1及び/または第2の弁(50)は、採取及び/または注入の使い捨てデバイス(102)の治療カニューレ(103)における、第1の端部(108)の関連の管状要素(2、203、303)における関連の第2の端部(21、232)を介して、関連の導管(3、233、33)の中に入るのを可能にするよう、有利に構成される。
【0036】
シングル及びダブルアクセスの、血液透析のための血管アクセスデバイスにおける代替の好ましい実施形態において、第1の弁(50)は、第2の管状要素(2、203)における第2の端部(21、232)と、第1のプレート(4)との間に配置される。第1のプレート(4)は、関連の第1の面において、第2の管状要素(203)おける第2の端部(21、232)、及び/または、第3の管状要素(303)が存在する場合、第2のプレート(304)及び第2の弁(50)に係合した、第1の係合手段(41)を備える。第2の弁(50)は、第3の管状要素(303)における第2の端部(332)と、第2のプレート(304)との間に配置され、第2のプレート(304)は、関連の第1の面において、第3の管状要素(303)における第2の端部(21、232)に係合するための、第2の係合手段(41)を備える(図9A図10F参照)。
【0037】
シングル及びダブルアクセスの両方の、血液透析のための血管アクセスデバイスにおける好ましい実施形態において、第1の弁(50)は、関連の第1の面に対して反対側の、第1のプレート(4)における第2の面に配置され、かつ第2の管状要素(203)における第2の端部(21、232)、及び/または第1のプレート(4)に予め配設された第4の係合手段(55)に摩擦係合するための、第3の係合手段(54)を備える。第3の管状要素(303)、第2のプレート(304)、及び第2の弁(50)が存在する場合、第2の弁(50)は、関連の第1の面に対して反対側における第2のプレート(304)における第2の面に配置され、かつ第3の管状要素(303)における第2の端部(332)及び/または第2のプレート(304)に予め配設された第6の係合手段(55)に摩擦係合するための、第5の係合手段(54)を備える(図11A図14E参照)。第1の係合手段(41)、及び/または第2の係合手段(41)、及び/または第3の係合手段(54)、及び/または第5の係合手段(54)は、第2の端部(21、232)との摩擦係合によって第1の面から突出した、関連の複数の係合要素(41、54)を備えることができる。
【0038】
しかし、シングル及びダブルアクセスの、血液透析のための血管アクセスデバイスの図面に示されるように、第1の弁(50)及び/または第2の弁(50)が存在する場合、2つの動作縁部を同一と見做す関連の貫通スロット(56)を備えることは好ましい。第1及び/または第2の弁(50)の、関連の閉構成において、動作縁部は接触して弁(50)を介した流体の通過を防止する。第1及び/または第2の弁(50)は、弾性変形可能で、動作縁部が互いから離れて動き、スロット(50)を介して流体の通過を可能にする、関連の開構成を実現する(図18A図18N、特に18F参照)。シングル及びダブルアクセスの両方で、血液透析のための血管アクセスデバイスにおける本発明の好ましい態様において、第1の弁(50)及び/または第2の弁(50)が存在する場合、弾性変形可能な要素を備えることができる。それは、関連の閉構成において変形せずに関連の第2の導管(33、233)及び/または関連の第3の導管(333)それぞれを遮ぎり、関連の開構成において圧縮され、関連の第2の導管(33、233)及び/または関連の第3の導管(333)を遮ぎらない。
【0039】
シングル及びダブルアクセスの、血液透析のための血管アクセスデバイスにおける代替の好ましい実施形態において、第1の弁(50)は関連の周界を有し、第2の管状要素(3、203)における第1の端部(31、231)において第2の導管(33、233)に配置され、第2の導管(33、233)に固定された関連の周界における第1の部分(151)、及び関連の周界の残りにおいて自由な第2の部分(152)を伴う。それは、閉構成において第2の導管(3、233)に面し、第2の導管及び/または(好ましくは)存在する場合は第3の管状要素(303)、第2のプレート(304)、及び第2の弁(50)を液圧によって閉じるために、第2の導管(3、233)と接触する。第2の弁(50)は、関連の周界を有し、第3の管状要素(303)における第1の端部(332)において第3の導管(333)に配置され、第3の導管(333)に固定された関連の周界における第1の部分(151)、及び関連の周界における残りの自由な第2の部分(152)を伴う。それは、閉構成において第2の導管(233)に面し、第2の導管(233)を液圧によって閉じるために第2の導管(233)と接触する。第1及び/または第2の弁(50)は弾性変形可能で、関連の周界における関連の第2の部分が、第2の導管(3、233)及び/または第3の導管(333)それぞれと接触せずに、第2の導管(3、233)及び/または第3の導管(333)それぞれを液圧によって開ける、関連の開構成を実現する(図19A図19M、特に図19F及び図19G参照)。
【0040】
本発明の特に好ましい態様において、ダブルアクセスの本発明に従って第3の管状要素(303)を備えた、血液透析のための血管アクセスデバイスは、第1の管状要素(202)の第1及び第2の端部(221、223)を起点とする、第1及び第2の接触面(401、402)(図18D図18N図19E、及び図19N参照)をさらに備える。第1及び第2の接触面(401、402)の各々は、血管(A、V)の外壁の横断セクションに部分的に面するよう構成される。血管(A、V)の外壁の横断セクションには、外科的切開部が作られており、第1の管状要素(202)の第1及び第2の端部(221、223)それぞれの、壁への固定を容易にするために、関連の外科的切開部を第1の導管(222)に液圧によって接続する目的で、外科的切開部を取り囲む。この場合、上述の手術方法において、血液透析のための血管アクセスデバイス(1)を予め配設するステップは、ダブルアクセスの血管アクセスデバイス(1)が、第1及び第2の接触面(401、402)を有することを含む。第1の管状要素(202)の第1及び第2の端部(231、232)を、静脈及び動脈に固定するステップは、第1及び第2の接触面(401、402)を、関連の横断セクションに面し、かつ関連の外科的切開部を完全に取り囲んだ、静脈及び動脈それぞれの横断セクションにおいて位置付けすることを、有利に含むことができる。さらにこの場合、本発明の特に好ましい態様によると、第1及び第2の接触面(401、402)の各々は、第4の複数の貫通穴(48)を備える(図19E及び図1M)。第4の複数の貫通穴(48)は、第1及び第2の接触面(401、402)における関連の複数の貫通穴(図18D図18N図19E、及び図19N参照)、ならびに血管(A、V)の壁を貫通する、対応した縫合ステッチによって固定するのを可能にするために、外科的切開部を取り囲んで予め配設される。代替として、第1及び第2の接触面(401、402)(図18D図18N図19E、及び図19N参照)の各々が連続した面で、円滑、及び/またはギザギザがあり、手術用接着剤を使用して血管(A、V)の壁に固定するのを向上させることが好ましい。この場合、上述の手術方法において、及び第1の管状要素(202)の第1または第2の端部(231、232)を、静脈及び動脈に固定するステップは、第1及び第2の接触面(401、402)が静脈及び動脈それぞれの横断セクションに面し、関連の外科的切開部を完全に取り囲みながら、手術用接着剤を使用して、第1及び第2の接触面(401、402)を、静脈及び動脈それぞれの横断セクションに接着することを、有利に含むことができる。
【0041】
血液透析中に血液の採取及び注入速度を最大にすることを目的として、無菌パッケージ、ならびに血液透析の採取及び/または注入システム(1000)の両方は特に好ましい。第1の導管(22)及び第2の導管(33)は、関連の最小内径を有し、カニューレは、第1の導管(22)の最小内径と、第2の導管(33)の最小内径との間よりも0.2~0.3mmだけ小さい、関連の外径を有する。これは実際、より多くの血液フローで採取及び/または注入を可能にする。
【0042】
殺菌を維持する目的のため、無菌パッケージ、及び血液透析の採取及び/または注入システムの両方において、アクセス要素が関連の接続端部を有することが好ましい。この接続端部は、治療カニューレ(103)における第1の端部(108)の遠位にあり、針の無いシリンジと係合可能である。アクセス要素は、アクセスチャネル(181)に配置された弾性変形可能な要素を備える。アクセスチャネル(181)及び弾性変形可能な要素は、液体及びエアロゾルの通過を防止するために、接続端部が係合解除されたとき、弾性変形可能な要素が変形せずアクセスチャネル(181)を遮ぎるように、ならびに、接続端部が針の無いシリンジと係合されたときに、シリンジを治療カニューレ(103)の第1の端部(108)に、液圧によって接続するために、弾性変形可能な要素は、針の無いシリンジによって圧縮され、アクセスカニューレ(181)を遮ぎらないように、構成されかつ共に配置される。このパッケージ及びシステムにおいて、アクセス要素は、一旦埋め込まれると、任意の抗凝血剤をアクセスデバイスの中に挿入するのを可能にし、その一方で、閉鎖手段(180)を構築することができ、または好ましくは摩擦連結されたキャップもしくは蓋、もしくは弁を備えることができる。第1の把持手段が存在する場合、アクセス要素は、第1の把持手段(120)と、制御及び/または遮断デバイス(104)との間の、第1の把持手段(120)に配置することができる(図5C参照)。第1及び/または第2の把持手段を、通常は治療カニューレに適用される、典型的な「バタフライ」要素によって構築することができる。


【0043】
第1の導管(2、202)の正確な側に、血管アクセスデバイス(1)の、第2の導管(33、203)及び第1の導管(22、222)を介した、または第3の導管(333)及び第1の導管(22、222)を介した、治療カニューレ(103)の第1の端部(108)の挿入を容易にするために、第1の導管(22、222)は、第1及び/または第2の突起部(250)を備えることができる。第1及び/または第2の突起部(250)は、それぞれ、第2の導管(33、202)と第1の管状要素(2、202)における第1の端部(221)との間、及び第3の導管(333)と第1の管状要素(202)における第2の端部(223)との間に、それぞれ第2の導管(33、203)の反対側及び第3の導管(333)の反対側に配置され、治療カニューレ(103)の第1の端部(108)が突起部を越えて通過できるよう、かつ第1の管状要素(202)における第1及び第2の端部(221、223)それぞれに向けて進めるよう、順応される。突起部(250)を実現するために、第1の管状要素(202)を外側から変形させ、第2及び/または第3の管状要素(3、202、303)に対して反対側に対応した凹面(251)を得ることが可能である(図17A図17C参照)。
【0044】
このシステムは、薬剤注入可能な抗凝血剤の液体組成物を含んだシリンジ、より好ましくはシリンジにパッケージ化されたもの、有利には針の無いシリンジも、好ましくは備える。
【0045】
前述は、非限定例として説明してきたこと、ならびに実際の適用性質における任意の変形は、前述の説明、及び以下の特許請求の範囲のように、本発明の保護範囲内に入ることを、理解されたい。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4
図5
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
【図 】
図5I
図5L
図5M
図5N
図5O
図5P
図5Q
図5R
図5S
図6
図7
図8
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図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図9G
図9H
図9I
図9L
図9M
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
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図11G
図11H
図11I
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図12F
図13A
図13B
図13C
図13D
【図 】
図13E
図13F
図13G
図13H
図14A
図14B
図14C
図14D
図14E
図14F
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図15B
図15C
図16A
図16B
図16C
図17A
図17B
図17C
図17D
図18A
図18B
図18C
図18D
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図18F
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図18I
図18M
図18N
図19A
図19B
図19C
図19D
図19E
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図19M
図19N
図20A
図20B
図20C
図20D
図21A
図21B
図21C
図21D
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図21F
図21G