(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】織機アクセサリーの取扱装置及び取扱方法
(51)【国際特許分類】
D03J 1/14 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
D03J1/14 A
D03J1/14 B
(21)【出願番号】P 2021576128
(86)(22)【出願日】2020-06-15
(86)【国際出願番号】 EP2020066487
(87)【国際公開番号】W WO2020254247
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2023-06-08
(32)【優先日】2019-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500131561
【氏名又は名称】グロッツ-ベッケルト・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガース、クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】カイラー、シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】プフェファー、ベルント
(72)【発明者】
【氏名】アッカー、ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ゲージング、カール‐ハインツ
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-081657(JP,A)
【文献】特開平03-069643(JP,A)
【文献】特開平09-296342(JP,A)
【文献】特開平09-170144(JP,A)
【文献】特開平05-117939(JP,A)
【文献】米国特許第04760628(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03J 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
織機アクセサリーを取り扱うための装置(1)であって、織機アクセサリーのための少なくとも1つの保持要素(2)を含み、前記少なくとも1つの保持要素(2)は、織機アクセサリーのための接触面(3)を含み、接触面(3)の長辺の延びる方向は、保持要素(2)の長手方向(L)を画成し、接触面(3)の短辺の延びる方向は、幅方向(B)を画成しており、
少なくとも1つの保持要素(2)が、保持要素(2)の長手方向(L)に対して垂直方向に延びる第1軸(4)の周りに揺動可能に配置されて、
これにより、保持要素(2)を第1軸(4)の周りに揺動させることによって、保持要素(2)の接触面(3)にある織機アクセサリーを、ピックアップ位置(5)から引き込み位置(6)へ移動させ
、
前記第1軸(4)は、前記保持要素(2)の接触面(3)から前記保持要素(2)の長手方向に沿って離間していることを特徴とする装置。
【請求項2】
織機アクセサリーを取り扱うための装置(1)であって、織機アクセサリーのための少なくとも1つの保持要素(2)を含み、前記少なくとも1つの保持要素(2)は、織機アクセサリーのための接触面(3)を含み、接触面(3)の長辺の延びる方向は、保持要素(2)の長手方向(L)を画成し、接触面(3)の短辺の延びる方向は、幅方向(B)を画成しており、
少なくとも1つの保持要素(2)が、保持要素(2)の長手方向(L)に対して垂直方向に延びる第1軸(4)の周りに揺動可能に配置されて、
これにより、保持要素(2)を第1軸(4)の周りに揺動させることによって、保持要素(2)の接触面(3)にある織機アクセサリーを、ピックアップ位置(5)から引き込み位置(6)へ移動させ
、
保持要素(2)は第2軸(8)を画成して、該第2軸は、長手方向軸(L)に平行に延び、幅方向(B)にて接触面(3)の中心であって、織機アクセサリーの平均厚さに対応する接触面(3)から上方の距離に配置され、
保持要素(2)は、引き込み、ピックアップおよび引き渡しのために織機アクセサリーを方向付けるために第2軸(8)の周りを揺動自在であることを特徴とする装置。
【請求項3】
織機アクセサリーを取り扱うための装置(1)であって、織機アクセサリーのための少なくとも1つの保持要素(2)を含み、前記少なくとも1つの保持要素(2)は、織機アクセサリーのための接触面(3)を含み、接触面(3)の長辺の延びる方向は、保持要素(2)の長手方向(L)を画成し、接触面(3)の短辺の延びる方向は、幅方向(B)を画成しており、
少なくとも1つの保持要素(2)が、保持要素(2)の長手方向(L)に対して垂直方向に延びる第1軸(4)の周りに揺動可能に配置されて、
これにより、保持要素(2)を第1軸(4)の周りに揺動させることによって、保持要素(2)の接触面(3)にある織機アクセサリーを、ピックアップ位置(5)から引き込み位置(6)へ移動させ
、
保持要素(2)は、保持要素(2)の長手方向(L)に沿って、織機アクセサリーの凹部における引張力下で、その間に織機アクセサリーを保持するための第1ばね要素(9)と第2ばね要素(10)とを含むことを特徴とする装置。
【請求項4】
織機アクセサリーを取り扱うための装置(1)であって、織機アクセサリーのための少なくとも1つの保持要素(2)を含み、前記少なくとも1つの保持要素(2)は、織機アクセサリーのための接触面(3)を含み、接触面(3)の長辺の延びる方向は、保持要素(2)の長手方向(L)を画成し、接触面(3)の短辺の延びる方向は、幅方向(B)を画成しており、
少なくとも1つの保持要素(2)が、保持要素(2)の長手方向(L)に対して垂直方向に延びる第1軸(4)の周りに揺動可能に配置されて、
これにより、保持要素(2)を第1軸(4)の周りに揺動させることによって、保持要素(2)の接触面(3)にある織機アクセサリーを、ピックアップ位置(5)から引き込み位置(6)へ移動させ
、
保持要素(2)の接触面(3)は、開口部(11)を含み、そして、
揺動によって、保持要素(2)は、織機アクセサリーのスタック(12)から最も外側の織機アクセサリーをピックアップできるために、織機アクセサリーのスタック(12)の最も外側の織機アクセサリーにその接触面(3)を適用させることができ、および/または、
織機アクセサリーを保持した保持要素(2)は、織機アクセサリーのための引き渡しレール(13)の上方に揺動できることを特徴とする装置。
【請求項5】
織機アクセサリーを取り扱うための装置(1)であって、織機アクセサリーのための少なくとも1つの保持要素(2)を含み、前記少なくとも1つの保持要素(2)は、織機アクセサリーのための接触面(3)を含み、接触面(3)の長辺の延びる方向は、保持要素(2)の長手方向(L)を画成し、接触面(3)の短辺の延びる方向は、幅方向(B)を画成しており、
少なくとも1つの保持要素(2)が、保持要素(2)の長手方向(L)に対して垂直方向に延びる第1軸(4)の周りに揺動可能に配置されて、
これにより、保持要素(2)を第1軸(4)の周りに揺動させることによって、保持要素(2)の接触面(3)にある織機アクセサリーを、ピックアップ位置(5)から引き込み位置(6)へ移動させ
、
複数の同一の保持要素(2)が、第1軸(4)に沿って、その方向に互いに間隔を置いて配置される共に、第1軸(4)の周りに揺動可能に配置され、
複数のスタック(12)のうちの1つのスタック(12)と、複数の引き渡しレール(13)のうちの1つの引き渡しレールとが、それぞれの保持要素(2)毎に割り当てられることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1
~5いずれかに記載の装置(1)であって、
少なくとも1つの保持要素(2)は、引き込み位置(6)から引き渡し位置(7)へ移動し、再びピックアップ位置(5)に戻ることができるように、第1軸(4)の周りを揺動自在に配置されていることを特徴とする装置。
【請求項7】
織機アクセサリーのための少なくとも1つの保持要素(2)が適用され、前記少なくとも1つの保持要素(2)は、織機アクセサリーのための接触面(3)を含み、接触面(3)の長辺の延びる方向は、保持要素(2)の長手方向(L)を画成し、接触面(3)の短辺の延びる方向は、保持要素(2)の幅方向(B)を画成している、織機アクセサリーを取り扱うための方法であって、
少なくとも1つの保持要素(2)は、保持要素(2)の長手方向(L)に対して垂直方向に延びる第1軸(4)の周りに揺動し、
保持要素(2)に保持された織機アクセサリーは、第1軸(4)の周りで保持要素(2)を揺動することによって、ピックアップ位置(5)から引き込み位置(6)へ移動され、
第1保持要素(2)は、引き込みのために織機アクセサリーを方向付けるために、ピックアップ位置(5)から引き込み位置(6)、および/または引き込み位置(6)から引き渡し位置(7)への第1軸(4)周りの揺動と同時に第2軸(8)周りを回動されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項
7に記載の方法であって、
少なくとも1つの保持要素(2)が、引き込み位置(6)から引き渡し位置(7)に移動し、織機アクセサリーが引き渡された後、再びピックアップ位置(5)に戻るように、第1軸(4)の周りをさらに揺動されること特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、織機アクセサリーを取り扱うための引き込み機などの装置、及び織機アクセサリーの取扱方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
引き込み機とは、糸または経糸を織機アクセサリーに引き込むための機械である。それは、様々な機能ユニットに分解することができ、その対応する装置及びその部品を含む。これらは、例えば、糸が引き込まれるヘルドやドロップワイヤーを供給するための装置を含む。これらの供給装置では、一般的なケースとして、例えば販売目的のためまたは製織中に、織機アクセサリーがレール状のガイドウェイに連続的に吊り下げられている。いわゆる「搬入側」では、さらに、リードを保持して待機させるための装置が必要である。引き込み機の中心的な装置としては、リード、ヘルド、ドロップワイヤー及びリースの構成部品を介して糸をガイドする一般的な引き込み装置である。いわゆる「搬出側」、すなわち引き込みが完了した後、後方の密集を防ぐために、ドロップワイヤーやヘルドを引き込み装置付近から撤去する必要がある。引き込み装置では、高い引き込み反復速度を実現するために、ヘルド及びドロップワイヤーが短い距離を大抵高速で移動される。引き込んだ後、織機アクセサリーは、主に長尺のレール状のガイドウェイ上を押される必要がある。織機アクセサリーは、比較的長い距離を移動しなければならないが、その移動は大抵遅くなる。この距離は、通常2~3mであるが、時には6mの距離が要求される。「搬出側」では、ドロップワイヤー及びヘルドは、互いに近接して配置された装置にて、頻繁に平行に搬出される。本発明は、織機アクセサリーにおける、ピックアップ位置から引き込み位置を経て、引き渡し位置までの搬送に関するものである。本発明は、ドロップワイヤーを搬送するためのモジュールに有利に関連するが、ヘルドが除外されるものではない。
【0003】
国際公開92/05303号(WO9205303A1)には、織機アクセサリーを取り扱うための装置が開示されており、この装置は、ピンに吊り下げられたドロップワイヤーをガイド方式で連続的に搬送するものである。ガイドレールは、ドロップワイヤーがピンから落下するのを防止するためのものである。同じピンでの連続搬送とそれに伴うインターフェースの削減は、エラー源とトラブルの原因を減らすことを目的としている。
【0004】
欧州特許第1105558号明細書(EP1105558B1)は、ドロップワイヤーが反対方向に作用する2つのクランプ面間に強固にクランプされる点でWO9205303A1よりも性能が高いものである。その目的は、特別な「スプリング」パターンの繰り返しを開発することである。
【0005】
欧州特許出願公開第777005号明細書(EP777005A2)には、ドロップワイヤーが異なる保持要素に数回移送される際の、離間と押し出しとの間における、ドロップワイヤーの取扱装置が開示されている。様々な保持要素は、ある程度直線的に再配置可能であり、また、軸の周りに回転可能である。言及される目的は、信頼性の高い引き込み機を提供することである。
【0006】
欧州特許出願公開第806506号明細書(EP806506A2)には、ドロップワイヤーがマガジンから取り出され、さらに特定されない引き込み装置に供給される装置が開示されている。揺動可能なピックアップ要素は、ドロップワイヤーの引き込み装置への供給をサポートするが、ドロップワイヤーを引き込み装置に供給するようには構成されていない。それよりむしろ、ドロップワイヤーは、単に、引き込み装置の更なる保持要素を通り過ぎるだけである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この先行技術を前提として、本発明の目的は、織機アクセサリーの迅速かつ確実な取扱いを可能にする、織機アクセサリーの取扱装置および取扱方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
織機アクセサリーを取り扱うための本発明に係る装置は、織機アクセサリーのための少なくとも1つの保持要素を含む。少なくとも1つの保持要素は、織機アクセサリーのための接触面を含む。接触面の長辺の延びる方向は、保持要素の長手方向に沿って画成され、接触面の短辺の延びる方向は、保持要素の幅方向に沿って画成される。少なくとも1つの保持要素は、保持要素の長手方向に対して垂直方向に延びる第1軸の周りに揺動可能に配置され、これは、保持要素を第1軸の周りに揺動させることによって、保持要素の接触面における織機アクセサリーをピックアップ位置から引き込み位置に移動させるためである。
【0009】
第1軸の周りの揺動により、織機アクセサリーは、保持要素から解放されることなく、また織機アクセサリーを搬送するための追加の保持要素またはガイドウェイを必要とせずに、ピックアップ位置から引き込み位置へ搬送される。これにより、信頼性及び生産性が向上する。
【0010】
少なくとも1つの保持要素は、引き込み位置から引き渡し位置まで移動し、そこからピックアップ位置まで戻ることができるように、第1軸の周りを揺動可能に配置される。織機アクセサリーは、引き渡し位置に到達するまで、保持要素の接触面から離れないので、確実な信頼性のある搬送が可能となる。このように、ピックアップ位置から引き渡し位置までの搬送において、非常に信頼性が高くなる。ピックアップ位置では、保持要素の幅方向は、第1軸と平行に配向されてもよい。引き渡し位置では、保持要素の幅方向は、第1軸に平行に配向されてもよい。引き込み位置では、保持要素の幅方向は、第1軸に平行に配向されてもよい。
【0011】
第1軸は、保持要素の接触面から保持要素の長手方向に沿って間隔をあけて配置されている。回転軸と、接触面、ひいては織機アクセサリーとの間に空間があるので、織機アクセサリーが揺動(回転運動)によって搬送され得る距離がより大きくなる。このようにして、ピックアップ位置、引き込み位置、引き渡し位置のそれぞれの装置に対して十分な空間が確保される。
【0012】
保持要素は、第2軸を画成して、この第2軸は、長手方向に沿う軸に平行に延び、幅方向において、接触面の中心であって、且つ織機アクセサリーの平均厚さに対応する、接触面の上の適宜距離に配置される。接触面から上方の距離は、長手方向に対して垂直方向で、且つ幅方向に対して垂直方向に沿って測定される。織機アクセサリーの平均的な厚さは、数十分の一ミリメートルである。ドロップワイヤーのような織機アクセサリーの厚さは、0.2mm~1mmの範囲である。平均値は、例えば、0.3mm、または0.5mm、またはその間の任意値を含む。保持要素は、引き込み、ピックアップおよび引き渡しのために織機アクセサリーを方向付けるために、第2軸の周りに回動させることができる。スタックとして準備、保持された織機アクセサリーは、織機アクセサリーが第1軸の周りで揺動した後、織機アクセサリーの幅狭側が引き込み装置に向かっているので、糸が引き込まれるのを防ぐような態様で方向付けられると有利である。第2軸の周りの回動は、糸が引き込み装置により、織物用アクセサリーの幅広側の適切な孔を介して引き込まれるようにすることができるので、織物用アクセサリーを有利に方向づけることができる。この機能の設定により、織機アクセサリーのスタックに係る配置を有利にすることができる。保持要素は、伝送配置の積極的な制御を介して、第1軸及び第2軸の周りに同時に回動(揺動)できるように配置されてもよい。第1及び第2の回転軸の周りの回動(揺動)は、限られた角度範囲内においてのみ迅速に移動することができる。より詳細には、保持要素は、回転軸の一方の周りを完全に回転することができない。引き込み位置において、保持要素の幅方向は、第1軸に平行に配向することができない。
【0013】
第1保持要素は、保持要素の長手方向に沿って、織機アクセサリーの凹部における引張力下で、その間に織機アクセサリーを保持するための第1ばね要素と第2ばね要素とを含む。従って、保持要素は、付勢力によって、織機アクセサリーを非固定的に保持することができる。弾性力による接続により、確実な搬送が可能になる。織布アクセサリーは、その幅広側を保持要素の接触面に載せてもよい。保持要素は、少なくとも部分的に、例えば外縁部のはめあいによって、織布アクセサリーを保持することもできる。第1ばね要素は、織機アクセサリーを解放するために、保持要素に配置されていない装置要素によって変位させることが可能な態様で配置されてもよい。第1ばね要素は、その付勢作用によって織機アクセサリーにはめあい可能となるような態様で配置されてもよい。第1ばね要素の付勢力は、長手方向及び幅方向に対して垂直方向に作用してもよい。第2ばね要素は、織機アクセサリーが第1ばね要素から解放されたときに、その付勢力によって、織機アクセサリーをその長手方向に移動させるような態様で配置されてもよい。織機アクセサリーへの引張力は、第2ばね要素の付勢によってもたらされる。
【0014】
保持要素の接触面は、揺動によって、保持要素がその接触面を織機アクセサリーのスタックの最も外側の織機アクセサリーに適用させ、スタックから最も外側の織機アクセサリーをピックアップできるように開口部を有する。さらに、または言い換えれば、織機アクセサリーを保持した保持要素は、織機アクセサリーのための引き渡し用レールの上方に開口部があるように揺動可能であってもよい。この装置は、各スタックのためのプッシャー要素を備え、該プッシャー要素は、保持要素の接触面に位置する最も外側の織布アクセサリーをスタックから保持要素内に挿入されるように長手方向に沿って押し出すように構成される。このとき、織布アクセサリーは、第2ばね要素に張力を付与して、第1ばね要素とのはめあいにより、保持要素に保持される。織布アクセサリーの保持要素への引張力による保持は、以下に説明する手順とセットアップを使用して実現することができる。織機アクセサリーは、その幅広側が閉じられた凹部を有する。この凹部は、ドロップワイヤーの長手方向において、第1内縁と第2内縁とによってその範囲が設定される。第1内縁は、ドロップワイヤーの長手方向に沿ってその端部近傍に位置する。保持要素は、ドロップワイヤーの凹部の第1内縁が第1ばね要素の近傍にあり、ドロップワイヤーの凹部の第2内縁が第2ばね要素の近傍にあるように、スタックの最も外側のドロップワイヤーの周りに揺動する。両方の内縁は、長手方向に沿って同じ向きで各ばね要素から間隔をあけている。ドロップワイヤーは、第1内縁が第1ばね要素と接触し、第2内縁が第2ばね要素と接触するように、プッシャー要素によって長手方向に沿って押される。第1ばね要素は、第1ばね要素の付勢力に抗して、第1ばね要素がドロップワイヤーの凹部に係合して、ドロップワイヤーの凹部の第1内縁とはめあいするまで、ドロップワイヤーの端縁に沿って高さ方向に変位されてもよい。このはめあいにより、ドロップワイヤーが第1ばね要素の下に引き出されることが抑制される。ドロップワイヤーを解放するために、第1ばね要素を、保持要素から離れた装置に配置された装置要素によって、その付勢力に抗して変位させる必要がある。第2ばね要素は、ドロップワイヤーの凹部の第2内縁によって、その付勢力に抗して、長手方向に変位される。第1ばね要素がドロップワイヤーを保持要素に保持させる限り、第2ばね要素は、ドロップワイヤーに対して引張力を付与する。これにより、ドロップワイヤーが高速で長距離移動させるように揺動しても、ドロップワイヤーを保持要素に確実に保持することができる。
【0015】
この装置は、第1軸に沿って、その方向に互いに間隔を置いて配置され、第1軸の周りに揺動可能に配置された複数の同一の保持要素を有してもよい。複数のスタックのうちの正確には1つと、複数の引き渡しレールのうちの正確には1つとが、各保持要素毎に割り当てられてもよい。装置は、2つ、4つ、6つ又は8つの対応する、支持された保持要素、スタック及び引き渡しレールを含んでもよい。より多くのスタックを使用することにより、スタックの1つを補充する必要なしに、より多くの織機アクセサリーを引き込むことができる。
【0016】
織機アクセサリーを取り扱うための方法は、織機アクセサリーのための少なくとも1つの保持要素を適用し、少なくとも1つの保持要素は、織機アクセサリーのための接触面を有し、接触面の長辺の延びる方向が保持要素の長手方向を画成し、接触面の短辺の延びる方向が保持要素の幅方向を画成する。少なくとも1つの保持要素は、保持要素の長手方向に対して垂直方向に延びる第1軸の周りを揺動する。保持要素が第1軸の周りを揺動する結果、保持要素に保持された織機アクセサリーは、ピックアップ位置から引き込み位置へと移動する。
【0017】
少なくとも1つの保持要素は、引き込み位置から引き渡し位置に移動し、織機アクセサリーが引き渡された後、再び引き込み位置に戻るように、第1軸の周りをさらに揺動される。
【0018】
引き込みのために織機アクセサリーを方向付けるために、第1保持要素は、ピックアップ位置から引き込み位置まで、及び/又は引き込み位置から引き渡し位置までの第1軸の周りの揺動と同時に第2軸の周りを回動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る装置の要部を示す象徴的な斜視図である。
【
図2】
図1の装置を第1軸の方向から見た図である。
【
図3】
図1及び
図2に示す保持要素の接触面の象徴的な上面図である。
【
図4】例示的なドロップワイヤーの幅広側の象徴的な上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明に係る装置の要部を示す象徴的な斜視図である。保持要素2において、その連続した運動における3つの可能な位置が示されている。保持要素2は、ワープ停止動作のための例示的なドロップワイヤー14と共に示されている。
図1の左側部分には、保持要素2が、ピックアップ位置5にあることが示されている。保持要素は、ドロップワイヤー14のスタック12の下方に配置され、最も外側のドロップワイヤーに沿って配置される。スタック12において、その他のドロップワイヤー14と比較すると、最も外側の、
図1では底部の、ドロップワイヤー15は、保持要素2の長手方向Lを示す矢印とは反対方向に、第1軸4に向かって変位しており、結果として、保持要素2に保持されている。
【0021】
図1の中央部には、保持要素2が引き込み位置6にあることが示される。この位置では、保持要素2の幅方向Bが矢印で示されている。
図1に示された象徴的な三次元図から明らかなように、ドロップワイヤー14を有する保持要素2は、第1軸4の周りだけでなく、第2軸8の周りにも回動(揺動)している。第1軸4と第2軸8は、破線で示されている。
【0022】
図1の右側部分には、同じ保持要素2が、第3位置である引き渡し位置7にあることが示されている。引き込み位置6と比較して、保持要素が第1軸4と第2軸8の周りを同様に揺動(回動)していることが同様に明らかである。引き渡しレール13は、ドロップワイヤー14の開口部を介して、保持要素の接触面3に到達している。引き渡し位置7にあるドロップワイヤー14が、図示しない装置要素によって解放されると、ドロップワイヤーは、引き渡しレール13の傾斜上を滑り落ちることが可能である。その後、保持要素2は、次のドロップワイヤーをピックアップするためにピックアップ位置5まで振り戻される。引き渡し位置7からピックアップ位置5へ戻る揺動は、ピックアップ位置5から引き渡し位置7への揺動と同じ経路で作用される。
【0023】
図2は、
図1と全く同様に、同じ単一の保持要素2が、その連続した運動において同じ3つの位置5、6、7にあることを示している。円内に点を有する記号で示すように、第1軸4が図面の平面内に配置されている描写が選択されている。この図は、
図1を補充する目的であって、例示的な装置1の三次元的な配置をより明確にするためのものである。この上面図では、保持要素2がピックアップ位置5および引き渡し位置7にそれぞれあるとき、ドロップワイヤー14の幅狭側、及び最外側のドロップワイヤー15の幅狭側のみが視認可能である。これに対して、ドロップワイヤーが引き込み位置6にある状態では、ドロップワイヤー14の幅広側が視認される。こうして、ドロップワイヤーの糸目16を通して、公知の方法で、第1軸の方向に糸を引くことができる。
【0024】
図3は、
図1及び
図2に係る保持要素2の接触面3の象徴的な上面図である。接触面3は開口部11を有し、この開口部を、引き渡しレール13の上方の位置に揺動させることができる。しかしながら、ドロップワイヤー14をドロップワイヤー14の開口部に保持するスタック12の要素の上方の位置に開口部11を揺動させることも可能である。ドロップワイヤー14は、保持要素が位置に振られたとき、最初に保持要素2の接触面3の上方に位置決めすることができる。長手方向Lの変位によって、ドロップワイヤー4は、第1ばね要素9の下に押し込まれ、同時に、凹部17の第2内縁19で、第2ばね要素10を上に押し、それによって、ドロップワイヤーに対してプレテンションを得ることができる。第1ばね要素9は、保持要素2において、長手方向Lおよび幅方向Bに対して垂直方向に沿う高さ方向Hに、移動可能に配置される。第1ばね要素9の付勢力は、高さ方向Hに作用する。接触面3に静止しているドロップワイヤー14が、第1ばね要素9、すなわち高さ方向Hの付勢力に抗して長手方向Lに沿って押されて、その結果、ドロップワイヤー14が、接触面3と第1ばね要素9との間を通じて押され、当該ドロップワイヤー14によって押される態様にて、第1ばね要素9が保持要素2に配置される。第1ばね要素9がドロップワイヤー14の凹部17に係合すれば、第1ばね要素9により、ドロップワイヤー14が引き戻されないように、ドロップワイヤー14を確実に保持することができる。第1ばね要素9は、付勢力により高さ方向Hに移動し、それによって、ドロップワイヤー14の凹部17の第1内縁18とはめあうことができる。第2ばね要素10は、保持要素2に対して、その幅方向Bの中央部において接触面3のみを挿通する態様で配置されている。凹部17が第2ばね要素10の上方にあるドロップワイヤー14は、その凹部17の内縁19を第2ばね要素10に押し当てて、第2ばね要素10を、長手方向Lに沿って、第1ばね要素9に向けて変位させることができる。このようにして、ドロップワイヤー14は、第1ばね要素9と第2ばね要素10との間で、保持要素2に対して長手方向Lに張力を付与された状態で保持される。
【0025】
図4は、例示的なドロップワイヤー14の幅方向の象徴的な上面図である。ドロップワイヤー14は、第1内縁18と第2内縁19とによって、ドロップワイヤー14の長手方向Lに沿う範囲が限定される凹部17を有する。第1内縁18は、ドロップワイヤー14の長手方向Lの端部近傍に位置している。ドロップワイヤー14は、引き込み工程で糸が引き通される糸目16を有している。
【符号の説明】
【0026】
1 装置,2 保持要素,3 保持要素(2)の接触面,4 第1軸,5 ピックアップ位置,6 引き込み位置,7 引き渡し位置,8 第2軸,9 第1ばね要素,10 第2ばね要素,11 保持要素(2)の開口部,12 スタック,13 引き渡しレール,14 ドロップワイヤー,15 スタック(12)の最も外側のドロップワイヤー,16 ドロップワイヤー14の糸目,17 ドロップワイヤーの凹部,18 ドロップワイヤー14の凹部17の第1内縁,19 ドロップワイヤー14の凹部17の第2内縁,L 保持要素(2)の長手方向,B 保持要素(2)の幅方向,H 保持要素(2)の高さ方向