(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】リードスイッチ制御装置及びこれを備えた押しボタンスイッチ
(51)【国際特許分類】
H01H 36/00 20060101AFI20240719BHJP
H01H 13/00 20060101ALI20240719BHJP
B61D 19/02 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
H01H36/00 302P
H01H36/00 301B
H01H13/00 D
B61D19/02 L
(21)【出願番号】P 2022123242
(22)【出願日】2022-08-02
【審査請求日】2024-03-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594124281
【氏名又は名称】大光電気株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】593185050
【氏名又は名称】入江 寿一
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】入江 寿一
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-096209(JP,A)
【文献】特開2021-190252(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 36/00
H01H 13/00
B61D 19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定されたリードスイッチの電極軸方向と直交する方向に磁化し、その磁化方向に移動可能な駆動磁石と、当該駆動磁石の磁極の磁束を前記リードスイッチの電極に伝える固定された磁気ヨークとを備え、
前記駆動磁石が、前記リードスイッチの近傍を通過して、前記磁化方向の一方に移動するとき、
前記駆動磁石のN磁極またはS磁極のうちの一方の磁極が、前記リードスイッチの2つの電極のうちの一方の電極に接近して当該一方の電極を磁化し、同時に、前記駆動磁石のN磁極またはS磁極のうちの他方の磁極が前記磁気ヨークに接近し、
前記磁気ヨークは、前記駆動磁石の前記他方の磁極の磁束を前記リードスイッチの前記2つの電極のうちの他方の電極に導き、当該他方の電極を前記駆動磁石の前記他方の磁極の極性に磁化し、その結果、前記リードスイッチの前記一方の電極と前記他方の電極とは互いに逆極性に磁化され、これにより、前記両電極間のギャップに強い磁束の流れを生じて、前記リードスイッチをオンに駆動し、
前記駆動磁石が、前記リードスイッチの近傍を通過して、前記磁化方向の他方に移動するとき、
前記駆動磁石の前記他方の磁極が、前記リードスイッチの前記一方の電極に接近して、当該一方の電極を磁化し、前記駆動磁石は前記磁気ヨークから離れるが、前記駆動磁石の前記他方の磁極が前記磁気ヨークに対向しており、前記リードスイッチの前記他方の電極は前記駆動磁石の前記他方の磁極の極性に磁化されており、その結果、前記リードスイッチの前記一方の電極と前記他方の電極は同極性に磁化され、前記両電極間のギャップの磁束の流れは弱くなり、前記リードスイッチをオフに駆動し、これにより前記リードスイッチをオンまたはオフに駆動する、
ことを特徴とするリードスイッチ制御装置。
【請求項2】
固定されたバイアス磁石を備え、当該バイアス磁石は前記リードスイッチの前記両電極間ギャップに前記駆動磁石のオン動作時と同じ極性に磁束を生じる配置とし、前記駆動磁石のオン動作を助けることを特徴とする請求項1に記載のリードスイッチ制御装置。
【請求項3】
押しボタンと、
前記請求項1または2に記載のリードスイッチ制御装置と、
前記押しボタンを動かすことで前記駆動磁石を前記磁化方向に移動する構造と、
を備えることを特徴とする押しボタンスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リードスイッチのオン・オフ駆動を制御するリードスイッチ制御装置、及び、このリードスイッチ制御装置を備えた押しボタンスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
乗客が少ない路線の電車や気動車には、駅に停車中、不必要に長くドアが開放されたままになって、冬場では暖房による暖気が流出して温度が低下したり、また、夏場では冷房による車内温度が上昇したりするのを防止するために、乗客自らが開閉操作できる半自動ドアを備えたものがある。
【0003】
上記のような車両では、ドア収容部の車外側と車内側とにそれぞれ、ドア開閉用のスイッチとして押しボタンスイッチが設置されている。
【0004】
この種の押しボタンスイッチには、従来、
図4に示すものがある。
図4において、x、y、zは三次元直交座標系のx軸方向(x方向)、y軸方向(y方向)、及びz軸方向(z方向)を示す。この三次元直交座標系は各図共通である。
共通である。
【0005】
図4に示す押しボタンスイッチにおいては、ケーシング(図示略)内に固定的に設けられたリードスイッチ2と、このケーシングに対して出没自在の押しボタン3とを備え、押しボタン3のリードスイッチ2側の面部にはリードスイッチ2を駆動するための磁石4が取り付けられている。この押しボタンスイッチでは、リードスイッチ2が当該押しボタンスイッチの接点部分を構成する。
【0006】
この押しボタンスイッチでは、押しボタン3の操作に伴い、磁石4により、リードスイッチ2の接点間隔(ギャップ)を持って相対する一対の電極(強磁性体リード)のうちの一方の電極を磁化し、リードスイッチ2の両電極間ギャップに発生する磁束による磁気吸引力で、対向する前記両電極間の接点を閉じたり、あるいは開けたりすることで、導通(オン)あるいは非導通(オフ)としてリードスイッチ2をオン・オフ制御するようになっている。
【0007】
なお、
図4の押しボタンスイッチにおいて、磁石4の磁極軸の方向は、リードスイッチ2の電極軸の方向 (x方向、長さ方向)と直交するy方向に設定されていて、磁石4の磁極軸におけるN極もしくはS極の一方はリードスイッチ2の側に向いている。
【0008】
上記構成の押しボタンスイッチでは、その両電極間の接点部分が上記のようにリードスイッチ2であることで、比較的高い電圧での使用が可能となり、電車等の車両に設置することが容易になるほか、リードスイッチ2が押しボタン3の矢印で示す操作方向の変位経路の脇に位置するので、全体の厚みが、押しボタン3の奥行き長さにその変位ストロークを加えた程度の厚みに収まり、薄型化できる等の利点がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【文献】日本ハムリン株式会社「リードスイッチの知識」玄同社 昭和55年1月6日発行
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記のように、リードスイッチ制御装置をリードスイッチ2と磁石4とで構成する場合、リードスイッチ2に対する磁石4の作用には、改良の余地があり、リードスイッチ2のオン・オフ動作の確実性を損なうことなく、さらに押しボタン3の移動ストロークを短くし、薄型にすることが望まれる。
【0012】
以下、従来のリードスイッチ制御装置(1)(2)の動作と課題について述べる。
【0013】
従来のリードスイッチ制御装置(1)におけるリードスイッチ2と磁石4との配置は、
図5の配置図のようになる。
図5(a)は平面図、
図5( b)は側面図である。これらの図において、リードスイッチ2の電極軸方向はx方向であり、磁石4の磁極方向は、y方向に設定され、磁石4は、z方向に移動するようになっている。また、
図5(a)においてz方向は紙面を垂直に貫通する方向であり、
図5( b)においてx方向は紙面を垂直に貫通する方向である。
【0014】
押しボタン3が押されて、磁石4が、
図5(b)のように破線4´で示す位置から実線で示す位置z=0に移動すると、磁石4はリードスイッチ2に最接近しているので磁化力は最大で、リードスイッチ2はオンの状態である。
【0015】
磁石4の位置がz=0の位置から増加もしくは減少するにつれてリードスイッチ2に対する磁化力は緩やかに減少し、さらに離れた位置ではリードスイッチ2はオフとなる。
【0016】
磁石4がz軸上の位置z=0に向って移動するときは、磁化力がオン磁化力以上になった位置で、リードスイッチ2はオンとなる。
【0017】
このように、磁石4の磁極方向がy方向で、磁石4がz方向に移動する方式では、磁化力の変化が緩やかであるから、リードスイッチ2をオン・オフするための磁石4の移動距離が長くなる。そのため、このリードスイッチ制御装置では、押しボタン3の操作ストロークが長くなり、この方式による押しボタンスイッチでは、その薄型化に限度がある。
【0018】
本発明は、上述に鑑みてなされたものであって、 リードスイッチ制御装置や、これを備える押しボタンスイッチに対して、その薄型化を図れるようにすることを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
(1)本発明に係るリードスイッチ制御装置は、上述の課題を解決するため、固定されたリードスイッチの電極軸方向と直交する方向に磁化し、その磁化方向に移動可能な駆動磁石と、当該駆動磁石の磁極の磁束を前記リードスイッチの電極に伝える固定された磁気ヨークとを備え、
前記駆動磁石が、前記リードスイッチの近傍を通過して、前記磁化方向の一方に移動するとき、
前記駆動磁石のN磁極またはS磁極のうちの一方の磁極が、前記リードスイッチの2つの電極 のうちの一方の電極に接近して当該一方の電極を磁化し、同時に、前記駆動磁石のN磁極またはS磁極のうちの他方の磁極が前記磁気ヨークに接近し、
前記磁気ヨークは、前記駆動磁石の前記他方の磁極の磁束を前記リードスイッチの前記2つの電極のうちの他方の電極に導き、当該他方の電極を前記駆動磁石の前記他方の磁極の極性に磁化し、その結果、前記リードスイッチの前記一方の電極と前記他方の電極とは互いに逆極性に磁化され、これにより、前記両電極間のギャップに強い磁束の流れを生じて、前記リードスイッチをオンに駆動し、
前記駆動磁石が、前記リードスイッチの近傍を通過して、前記磁化方向の他方に移動するとき、
前記駆動磁石の前記他方の磁極が、前記リードスイッチの前記一方の電極に接近して、当該一方の電極を磁化し、前記駆動磁石は前記磁気ヨークから離れるが、前記駆動磁石の前記他方の磁極が前記磁気ヨークに対向しており、前記リードスイッチの前記他方の電極は前記駆動磁石の前記他方の磁極の極性に磁化されており、その結果、前記リードスイッチの前記一方の電極と前記他方の電極は同極性に磁化され、前記両電極間のギャップの磁束の流れは弱くなり、前記リードスイッチをオフに駆動し、これにより前記リードスイッチをオンまたはオフに駆動することを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、前記磁気ヨークの働きによって、前記駆動磁石を一方に移動するときは前記リードスイッチの前記両電極間の磁束の流れを強め、前記駆動磁石を他方に移動するときは前記両電極間の磁束の流れを弱め、非接触で容易に前記リードスイッチのオンまたはオフを制御することができる。
【0021】
その結果、前記駆動磁石は、小型の磁石で良い。また、前記駆動磁石の磁化方向の長さを短くし板状にすることが可能で、前記駆動磁石の移動距離を短くし、これにより、リードスイッチ制御装置や、これを備える押しボタンスイッチに対して、その薄型化を図ることができるようになる。
【0022】
(2)本発明に係る押しボタンスイッチは、押しボタンと、本発明のリードスイッチ制御装置と、前記押しボタンを動かすことで前記駆動磁石を磁化方向に移動する構造とを有することを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、上記リードスイッチ制御装置を用いるので、その薄型化を図ることができるようになるとともに、摩擦部がないため、その長寿命化を達成することができる。
【発明の効果】
【0024】
(1)本発明のリードスイッチ制御装置によれば、前記リードスイッチの電極に磁化力を伝える前記磁気ヨークを備えることにより、前記駆動磁石は、前記リードスイッチの電極の近傍を通過して短い距離を移動させるだけで、前記リードスイッチのオンまたはオフを制御することができ、かつ、非接触で容易に、リードスイッチのオンまたはオフを制御することができる。
【0025】
このように、本発明のリードスイッチ制御装置によれば、前記駆動磁石は、前記リードスイッチの長手方向である電極軸方向と直交方向に動かす構成にでき、また、前記駆動磁石は小さな磁石を使用できる。
(2)本発明の押しボタンスイッチによれば、本発明のリードスイッチ制御装置を用いるので、その薄型化を図れるようになるとともに、摩擦部がないため、その長寿命化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るリードスイッチ制御装置およびそれを備える押しボタンスイッチの斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態のリードスイッチ制御装置において、(a)は主要部の平面図、(b)は主要部の側面図である。
【
図3】
図3は、バイアス磁石を併用した、本発明の他の実施形態に係るリードスイッチ制御装置およびそれを備える押しボタンスイッチの斜視図である。
【
図4】
図4は、従来の押しボタンスイッチの概略斜視図である。
【
図5】
図5は、従来の押しボタンスイッチの磁石とリードスイッチとの配置図を示し、(a)はその主要部の平面図、(b)はその主要部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付した図面を参照して本発明の一実施形態を詳細に説明する。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態に係るリードスイッチ制御装置の構成を示す。
図2はリードスイッチ制御装置の主要部の配置で(a)はその平面図、同図(b)はその側面図である。図中のx、y、zは 直交三次元座標におけるx軸方向(x方向)、y軸方向(y方向)、z軸方向(z方向)を示す。なお、
図1で図示される押しボタン3は、
図2では図示されない。
【0029】
図1及び
図2を参照して、本実施形態に係る押しボタンスイッチは、リードスイッチ2のオン・オフを制御するリードスイッチ制御装置1と、押しボタン3と、板バネ4と、押しボタン3が出没するケーシング(図示略)とを備える。押しボタン3は、板バネ4のz方向への押し込み操作あるいは押し込み操作の解除による戻りで、ケーシング内外を出没するように構成されている。
【0030】
押しボタン3は、板バネ5の略中央に固定され、z方向に押しボタン操作可能になっている。板バネ5は、押しボタン3が押されていないときは、x、y平面内に配置された板状であり、そのy方向一端側5aが固定され、y方向他端側5bは、自由端となっていて、その略中央に固定されている押しボタン3のz方向の押し込み、あるいは、戻し操作により、y方向他端側5bがz方向に撓み、あるいは、戻るようになっている。
【0031】
リードスイッチ制御装置1は、駆動磁石42、及び、磁気ヨーク6を備える。
【0032】
駆動磁石42は、リードスイッチ2の一方の電極(右側電極)21の近傍で、板バネ5の他端側5bに、固定され、その磁極N、Sをz方向に向けた状態で、押しボタン3の操作により、z方向に移動可能になっている。磁気ヨーク6は、x、y平面内で、平面略L形の薄板状に形成された例を示し、その一端側6aが、リードスイッチ2の他方の電極(左側電極)22にその近傍で対向し、その他端側6bが、駆動磁石42のN磁極とS磁極とのうちの一方の磁極であるS磁極に対して、z方向で対向している。
【0033】
磁気ヨーク6は、駆動磁石42の磁気をリードスイッチ2の電極に伝えるためのもので、上記のように駆動磁石42とリードスイッチ2の電極22との間に配置され、その材料は、例えば軟鉄等、磁気抵抗が小さく残留磁束が小さい鉄材が適しているが、特に限定されない。
【0034】
磁気ヨーク6により、駆動磁石42とリードスイッチ2の電極との距離が縮まったのと同等であり、その形状は、図示の例のように、磁気ヨーク6とリードスイッチ2の電極との距離が近く、対向面積が広い形状となっている。例えば、磁気ヨーク6は鉄材であるので、その磁気抵抗は空気のほぼ1/1000であり、そのため、磁気ヨーク6の長さが20mmであれば、磁気ヨーク6で磁路の長さを20mm近く縮めたことになる。
【0035】
リードスイッチ2は、その電極軸がx方向に図示略のケーシング内に固定され、駆動磁石42に上記のように対向して配置されている。押しボタン3がz方向の押しボタン操作により板バネ5を押しながらケーシング内外を出没するとき、板バネ5のy方向他端側5bに取り付けられた駆動磁石42はケーシング内において、z方向に移動する。
【0036】
リードスイッチ2は、前記右側電極21と、前記左側電極22とを含み、両電極21、22の対向間のギャップ23に接点が設けられ、両電極21、22は不活性ガスと共にガラス容器24に封入されている。リードスイッチ2のオン・オフは、端子25を通じてガラス容器24外に導かれる。
【0037】
このリードスイッチ2において、その電極軸方向(長手方向)は三次元直交座標系におけるx方向であり、リードスイッチ2の電極軸方向と直交する方向はy方向であり、これらx方向とy方向とに直交する方向はz方向である。
【0038】
リードスイッチ2の電極は、x方向において前記右側電極21と前記左側電極22とを含み、リードスイッチ2がオフの状態では両電極21、22間にギャップ23が介在して両電極21、22は非導通であり、リードスイッチ2がオン状態では両電極21、22は接触により導通している。
【0039】
駆動磁石42は、前述のように板バネ5のy方向他端側5bに取り付けられ、前記押しボタン3に繋がっており、押しボタン3の操作に伴い、板バネ5が変形して、z方向に移動するようになっている。
【0040】
図1、
図2のように駆動磁石42は、前述のようにz方向に移動し,その磁極軸はz方向である。駆動磁石42は、リードスイッチ2の右側電極21のy方向近傍を通過するようになっており、z方向に移動するとき、押しではそのN極が、戻しではS極が、リードスイッチ2の右側電極21に接近する。
図2(b)では押し位置の駆動磁石を42で、戻し位置の駆動磁石を42´で示している。
【0041】
押しボタン3が押され、駆動磁石42はz方向すなわち下方に動くことによって、そのN磁極がリードスイッチ2の右側電極21に近づき、この右側電極21をN極に磁化すると共に、駆動磁石42のS極が磁気ヨーク6の他端側6bに近づく。これにより、磁気ヨーク6はS極に磁化されると共に、この磁化をリードスイッチ2の左側電極22に伝え、リードスイッチ2の左側電極22をS極に磁化する。リードスイッチ2の電極21と22は、それぞれ、N極とS極とに磁化され、2つの電極間ギャップ23に強い吸引力が発生し、リードスイッチ2は、接点が閉じてオンとなる。
【0042】
押しボタン3が戻され、駆動磁石42は、-z方向すなわち上方に動くことによって、
図2(b)における駆動磁石42´の位置となり、駆動磁石42´のS磁極がリードスイッチ2の右側電極21に近づき、当該右側電極21をS極に磁化する。駆動磁石42´のS磁極は磁気ヨーク6を離れ、磁気ヨーク6は弱くS極に磁化され、リードスイッチ2の左側電極22の磁化も弱くS極に磁化される。リードスイッチ2の両電極21と22は共にS極に磁化され、電極間ギャップ23の吸引力は弱くなり両電極21、22は離れ、リードスイッチ2は接点が開いてオフとなる。
【0043】
図1、
図2で示したリードスイッチ制御装置または押しボタンスイッチの構成で、駆動磁石42の磁極の極性N、Sは交換可能である。また、リードスイッチ2の左右の電極は交換可能である。
【0044】
駆動磁石42は、
図2(b)に示すように、側面視が矩形をなす板状の磁石であり、短辺はz方向である。この短辺は、駆動磁石42の磁化方向および駆動方向である。駆動磁石42は、上記形状により磁化方向および駆動方向の長さが短い板状で、これにより、リードスイッチ2をオンまたはオフに駆動するに必要な移動距離が小さく設定可能となっている。
〔他の実施形態〕
以上における本発明の一実施形態においては、磁気ヨーク6を備えたことにより、リードスイッチ2の電極間ギャップに生じる吸引力が強くなり、駆動磁石の小型化、必要な駆動磁石の移動距離減少が達成することができるようにしているが、以下、本発明の他の実施形態において説明するように、さらに固定のバイアス磁石を併用して、両電極間ギャップ23に生じる吸引力を強くする効果を高めることが出来るようにしてもよい。
【0045】
図3は、本発明の他の実施形態に係るリードスイッチ制御装置およびそれを備える押しボタンスイッチの斜視図である。
【0046】
当該他の実施形態では、
図1の押しボタンスイッチ構成図にバイアス磁石4を追加したことを特徴とする。以下、本発明の他の実施形態について説明すると、バイアス磁石4は、N磁極とS磁極との磁極軸がy方向となる向きに、かつ、例えばリードスイッチ2の右側電極21に近い位置に固定されており、押しの状態での駆動磁石42と同じ極性に、リードスイッチ2の電極21をN極に磁化して両電極間ギャップ23に吸引力を与えて、リードスイッチ2のオン動作を助ける。戻しの状態では、駆動磁石42とバイアス磁石4とがリードスイッチ2の一方の電極21に与える磁化力は逆極性となり、駆動磁石42の磁化力を弱め、リードスイッチ2のオフを助ける。その結果、駆動磁石42をさらに小形にできる。
【0047】
バイアス磁石4は,駆動磁石42のオン動作に加算できるように両電極間ギャップ23に磁束を生じるようにすれば良いので,磁化方向はN極がリードスイッチ2の一方の電極21に向かう配置、S極がリードスイッチ2の他方の電極22に向かう配置、あるいはN極がリードスイッチ2の一方の電極21に、S極がリードスイッチ2の他方の電極22に同時に向かう配置がいずれも可能であり、位置は特に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、リードスイッチのオン・オフ駆動を制御するリードスイッチ制御装置、及び、このリードスイッチ制御装置を備えた押しボタンスイッチにおける技術として有用である。
【符号の説明】
【0049】
2 リードスイッチ
21 リードスイッチの電極
22 リードスイッチの電極
23 リードスイッチの両電極間ギャップ
24 リードスイッチのガラス容器
25 リードスイッチの端子
3 押しボタン
4 バイアス磁石
42 駆動磁石(押し位置)、
42´ 駆動磁石(戻し位置)
5 板バネ
5a 板バネの一端側(固定)
5b 板バネの他端側(駆動磁石42取り付け)
6 (磁気)ヨーク
6a ヨークの一端側(リードスイッチ側)
6b ヨークの他端側(駆動磁石側)