(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】物品返送装置及び走行レールの段差測定方法、返送システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20240719BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20240719BHJP
B61B 13/06 20060101ALI20240719BHJP
G05D 1/43 20240101ALI20240719BHJP
【FI】
B65G1/04 551A
H01L21/68 A
B61B13/06 H
G05D1/43
(21)【出願番号】P 2022207749
(22)【出願日】2022-12-26
【審査請求日】2022-12-26
(31)【優先権主張番号】10-2021-0194296
(32)【優先日】2021-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518162784
【氏名又は名称】セメス カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ジョウン,ヒョ ジョー
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-043257(JP,A)
【文献】特開2008-184298(JP,A)
【文献】特開平09-249884(JP,A)
【文献】特開2008-207755(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/04
H01L 21/677
B61B 13/06
G05D 1/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井に設置された走行レールに沿って走行するビークルと、
前記ビークルに連結され、物品移送のためのホイストモジュールと、
前記ビークルに設置され、走行方向に沿って所定間隔で離隔されて配置された第1変位センサーと第2変位センサーが前記走行レールの走行面までの距離値をそれぞれ計測して前記走行レールの段差を測定する段差測定部と、
前記ビークルの前記走行レールに対する勾配角度を検知して前記勾配角度の値を制御部に提供する勾配センサー部と、及び
前記勾配角度を利用して前記ビークルの傾きによる前記第1変位センサーの第1測定値と前記第2変位センサーの第2測定値に対する誤差を補正して前記走行レールの段差如何を判別する制御部を含む物品返送装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記勾配角度を利用して前記第1測定値と前記第2測定値に対する誤差を補正して前記第1変位センサーと前記走行面が直交する第1距離値と前記第2変位センサーと前記走行面が直交する第2距離値を算出する請求項
1に記載の物品返送装置。
【請求項3】
前記段差は、前記第1距離値と前記第2距離値の差値である、請求項2に記載の物品返送装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記勾配角度のサイン値(sinθ)に前記第1変位センサーと前記第2変位センサー間の距離値を掛けて誤差値を算出し、前記第1距離値から前記誤差値を抜いて傾かない状態で前記第1変位センサーと前記走行面が直交する実際距離値を算出する請求項
2に記載の物品返送装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記勾配角度のコサイン値(cosθ)に前記第1測定値を掛けて前記第1距離値を算出する請求項
2に記載の物品返送装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記勾配角度のコサイン値(cosθ)に前記第2測定値を掛けて前記第2距離値を算出する請求項
2に記載の物品返送装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記走行レールの段差が既設定された臨界値以上の場合
、該
当点の補修を指示する請求項
1に記載の物品返送装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記走行レールの段差が既設定された臨界値以上の場合、該
当点を通過する時
に減速運行するように前記ビークルを制御する請求項
1に記載の物品返送装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記走行レールの段差が既設定された臨界値以上の場合、該
当点を迂回するように前記ビークルを制御する請求項
1に記載の物品返送装置。
【請求項10】
物品返送装置が走行する走行レールの段差測定方法において:
前記物品返送装置の走行方向に沿って所定間隔で離隔されて配置された前方変位センサーと後方変位センサーが前記走行レールの走行面までの距離値をそれぞれ計測する距離計測段階と、
前記物品返送装置の
前記走行レールに対する勾配角度を計測する勾配計測段階と、
前記勾配角度を利用して前記前方変位センサーの第1測定値、そして、前記後方変位センサーの第2測定値に対する誤差を補正する補正段階と、及び
前記補正段階で算出された前記前方変位センサーと前記走行面が直交する第1距離値と前記後方変位センサーと前記走行面が直交する第2距離値を
算出して
、前記第1距離値と前記第2距離値の差値である前記走行レールの段差を判別する判別段階を含む走行レールの段差測定方法。
【請求項11】
前記第1距離値は、
前記勾配角度のコサイン値(cosθ)と前記第1測定値の積である請求項10に記載の走行レールの段差測定方法。
【請求項12】
前記判別段階は、
前記勾配角度のサイン値(sinθ)に前記前方変位センサーと前記第2変位センサーの間の距離値を掛けて誤差値を算出し、前記第1距離値から前記誤差値を抜いて傾かない状態で前記前方変位センサーと前記走行面が直交する実際距離値を算出する請求項11に記載の走行レールの段差測定方法。
【請求項13】
前記第2距離値は、
前記勾配角度のコサイン値(cosθ)に前記第2測定値の積である請求項11に記載の走行レールの段差測定方法。
【請求項14】
前記判別段階は、
前記走行レールの段差が既設定された臨界値以上の場合
、該
当点の補修を指示する請求項11に記載の走行レールの段差測定方法。
【請求項15】
前記判別段階は、
前記走行レールの段差が既設定された臨界値以上の場合、該
当点を通過する時
に減速運行するか、または該
当点を迂回するように前記物品返送装置を制御する請求項11に記載の走行レールの段差測定方法。
【請求項16】
返送システムにおいて:
走行経路に沿って配置される第1レールと第2レールを有する走行レールと、及び
前記走行レールに沿って走行する物品返送装置を含
み、
前記走行レールは直線区間と、前記直線区間に接続されたカーブ区間を有して、
前記物品返送装置は、
前記走行レールに沿って走行するビークルと、
前記ビークルに連結され、物品移送のためのホイストモジュールと、
前記ビークルに設置され、走行方向に沿って所定間隔で離隔されて配置された第1変位センサーと第2変位センサーが前記走行レールの走行面までの距離値をそれぞれ計測して前記走行レールの段差を測定する段差測定部と、
前記ビークルの前記走行レールに対する勾配角度を検知して前記勾配角度の値を制御部に提供する勾配センサー部と、及び
前記勾配角度を利用して前記ビークルの傾きによる前記第1変位センサーの第1測定値と前記第2変位センサーの第2測定値に対する誤差を補正して前記走行レールの段差如何を判別する制御部を含む返送システム。
【請求項17】
前記制御部は、
前記勾配角度を利用して前記第1測定値と前記第2測定値に対する誤差を補正して前記第1変位センサーと前記走行面が直交する第1距離値と前記第2変位センサーと前記走行面が直交する第2距離値を算出
し、
前記段差は、前記第1距離値と前記第2距離値の差値である
請求項16に記載の返送システム。
【請求項18】
前記制御部は、
前記勾配角度のコサイン値(cosθ)に前記第1測定値を掛けて前記第1距離値を算出し、
前記勾配角度のサイン値(sinθ)に前記第1変位センサーと前記第2変位センサーの間の距離値を掛けて誤差値を算出し、
前記第1距離値から前記誤差値を抜いて傾かない状態で前記第1変位センサーと前記走行面が直交する実際距離値を算出する請求項17に記載の返送システム。
【請求項19】
前記制御部は、
前記勾配角度のコサイン値(cosθ)に前記第2測定値を掛けて前記第2距離値を算出する請求項17に記載の返送システム。
【請求項20】
前記制御部は、
前記物品返送装置が前記走行レールの直線区間を通過する間のみに前記走行レールの段差如何を判別し、
前記走行レールの段差が既設定された臨界値以上の場合
、前記物品返送装置は
、該
当点を通過する時
に減速運行
する、または該
当点を迂回する請求項16に記載の返送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品返送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体素子を製造するためには蒸着、写真、そして、蝕刻工程のような多様な種類の工程らが遂行され、これらそれぞれの工程を遂行する装置らは半導体製造ライン内に配置される。半導体素子製造工程を遂行するためのウェハーなどの対象物らはフープ(FOUP)などの容器に収納された状態で各半導体工程装置に提供されることができる。また、工程が遂行された対象物らは各半導体工程装置から容器に回収され、回収された容器は外部に返送されることができる。
【0003】
容器はオーバーヘッドホイストトランスファー(Overhead Hoist Transport、以下OHT)によって移送される。OHTは対象物が収納された容器を半導体工程装置らのうちで何れか一つのロードポートに移送する。また、OHTは工程処理された対象物が収納された容器をロードポートからピックアップして外部に返送するか、または、半導体工程装置らのうちで他の一つで返送することができる。
【0004】
OHTは走行レールに沿って動くが、走行レールの組み立て部分に一定以上の段差がある場合OHTと容器に加えられる振動が増加され、ホイールなどの一部モジュールにダメージで作用するようになる。
【0005】
既存には2個の変位センサーを利用して走行レールを段差を検出して異常有無を判別したが、OHTが加速及び減速する区間ではOHTが微細浮揚に影響を受けて傾くようになって、OHTの傾きによって変位センサーらの検出値の正確度が下がる問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】韓国特許公開第10-2017-0026176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、加速及び減速区間でも走行レールの段差を正確に測定することができる物品返送装置及び走行レールの段差測定方法、返送システムを提供することを一目的とする。
【0008】
本発明の目的はこれに制限されないし、言及されなかったまた他の目的らは下の記載から当業者が明確に理解されることができるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面によれば、天井に設置された走行レールに沿って走行するビークルと、前記ビークルに連結され、物品移送のためのホイストモジュールと、前記ビークルに設置され、走行方向に沿って所定間隔離隔されて配置された第1変位センサーと第2変位センサーが前記走行レールの走行面までの距離値をそれぞれ計測して前記走行レールの段差を測定する段差測定部と、及び前記ビークルの傾きによる前記第1変位センサーの第1測定値と前記第2変位センサーの第2測定値に対する誤差を補正して前記走行レールの段差如何を判別する制御部を含む物品返送装置が提供されることができる。
【0010】
また、前記ビークルの勾配角度を検知して前記勾配角度値を前記制御部に提供する勾配センサー部をさらに含むことができる。
【0011】
また、前記制御部は前記勾配角度を利用して前記第1測定値と前記第2測定値に対する誤差を補正して前記第1変位センサーと前記走行面が直交する第1距離値と前記第2変位センサーと前記走行面が直交する第2距離値を算出することができる。
【0012】
また、前記制御部は前記勾配角度のサイン値(sinθ)に前記第1変位センサーと前記第2変位センサーの間の距離値を掛けて誤差値を算出し、前記第1距離値から前記誤差値を抜いて傾かない状態で前記第1変位センサーと前記走行面が直交する実際距離値を算出することができる。
【0013】
また、前記制御部は前記勾配角度のコサイン値(cosθ)に前記第1測定値を掛けて前記第1距離値を算出することができる。
【0014】
また、前記制御部は前記勾配角度のコサイン値(cosθ)に前記第2測定値を掛けて前記第2距離値を算出することができる。
【0015】
また、前記制御部は前記走行レールの段差が既設定された臨界値以上の場合該当支点の補修を指示することができる。
【0016】
また、前記制御部は前記走行レールの段差が既設定された臨界値以上の場合、該当支点を通過する時減速運行するように前記ビークルを制御することができる。
【0017】
また、前記制御部は前記走行レールの段差が既設定された臨界値以上の場合、該当支点を迂回するように前記ビークルを制御することができる。
【0018】
本発明の他側面によれば、物品返送装置の走行方向に沿って所定間隔離隔されて配置された前方変位センサーと後方変位センサーが前記走行レールの走行面までの距離値をそれぞれ計測する距離計測段階と、前記物品返送装置の勾配角度を計測する勾配計測段階と、前記勾配角度を利用して前記前方変位センサーの第1測定値そして、前記後方変位センサーの第2測定値に対する誤差を補正する補正段階と、及び前記補正段階で算出された前記前方変位センサーと前記走行面が直交する第1距離値と前記後方変位センサーと前記走行面が直交する第2距離値を通じて前記走行レールの段差を判別する判別段階を含む走行レールの段差測定方法を提供することができる。
【0019】
また、前記第1距離値は前記勾配角度のコサイン値(cosθ)と前記第1測定値の積であることができる。
【0020】
また、前記判別段階は前記勾配角度のサイン値(sinθ)に前記前方変位センサーと前記第2変位センサーとの間の距離値を掛けて誤差値を算出し、前記第1距離値から前記誤差値を抜いて傾かない状態で前記前方変位センサーと前記走行面が直交する実際距離値を算出することができる。
【0021】
また、前記第2距離値は前記勾配角度のコサイン値(cosθ)に前記第2測定値の積であることができる。
【0022】
また、前記判別段階は前記走行レールの段差が既設定された臨界値以上の場合該当支点の補修を指示することができる。
【0023】
また、前記判別段階は前記走行レールの段差が既設定された臨界値以上の場合、該当支点を通過する時減速運行するか、または該当支点を迂回するように前記物品返送装置を制御することができる。
【0024】
本発明の他側面によれば、走行経路に沿って配置される第1レールと第2レールを有する走行レールと、及び前記走行レールに沿って走行する物品返送装置を含むが、前記走行レールは直線区間と、前記直線区間に接続されたカーブ区間を有して、前記物品返送装置は前記走行レールに沿って走行するビークルと、前記ビークルに連結され、物品移送のためのホイストモジュールと、前記ビークルに設置され、走行方向に沿って所定間隔で離隔されて配置された第1変位センサーと第2変位センサーが前記走行レールの走行面までの距離値をそれぞれ計測して前記走行レールの段差を測定する段差測定部と、及び前記ビークルの傾きによる前記第1変位センサーの第1測定値と前記第2変位センサーの第2測定値に対する誤差を補正して前記走行レールの段差如何を判別する制御部を含む返送システムを提供しようとする。
【0025】
また、前記ビークルの勾配角度を検知して前記勾配角度値を前記制御部に提供する勾配センサー部をさらに含み、前記制御部は前記勾配角度を利用して前記第1測定値と前記第2測定値に対する誤差を補正して前記第1変位センサーと前記走行面が直交する第1距離値と前記第2変位センサーと前記走行面が直交する第2距離値を算出することができる。
【0026】
また、前記制御部は前記勾配角度のコサイン値(cosθ)に前記第1測定値を掛けて前記第1距離値を算出し、前記勾配角度のサイン値(sinθ)に前記第1変位センサーと前記第2変位センサーとの間の距離値を掛けて誤差値を算出し、前記第1距離値から前記誤差値を抜いて傾かない状態で前記第1変位センサーと前記走行面が直交する実際距離値を算出することができる。
【0027】
また、前記制御部は前記勾配角度のコサイン値(cosθ)に前記第2測定値を掛けて前記第2距離値を算出することができる。
【0028】
また、前記制御部は前記物品返送装置が前記走行レールの直線区間を通過する間だけに前記走行レールの段差如何を判別し、前記走行レールの段差が既設定された臨界値以上の場合前記物品返送装置は該当支点を通過する時減速運行または該当支点を迂回することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の一実施例によれば、変位センサーらの測定値ではない実際距離値を算出して実際走行レールの段差如何を検出することができる。
【0030】
本発明の一実施例によれば、変位センサーらの誤感知を最小化することができる。
【0031】
本発明の効果が前述した効果らに限定されるものではなくて、言及されない効果らは本明細書及び添付された図面から本発明が属する技術分野で通常の知識を有した者に明確に理解されることができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】物品返送装置を具備した返送設備の平面図である。
【
図2】返送対象物を搭載場所に受けて渡す状況を示した物品返送装置の側面図である。
【
図4】同じく、物品返送装置を説明するための図面である。
【
図5】段差測定部が設置されたビークルの凹部拡大図である。
【
図6】段差測定部の実際距離値算出方法を説明するための図面である。
【
図7】物品返送装置での走行レール段差測定方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下では添付した図面を参照にして本発明の実施例に対して本発明が属する技術分野で通常の知識を有した者が容易に実施できるように詳しく説明する。しかし、本発明はいろいろ相異な形態で具現されることができるし、ここで説明する実施例で限定されない。また、本発明の望ましい実施例を詳細に説明するにおいて、関連される公知機能または構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を不必要に曇ることがあると判断される場合にはその詳細な説明を略する。また、類似機能及び作用をする部分に対しては図面全体にかけて等しい符号を使用する。
【0034】
ある構成要素を‘包含'すると称することは、特別に反対される記載がない限り他の構成要素を除くことではなく、他の構成要素をさらに含むことができると称することを意味する。具体的に,“含む”または“有する”などの用語は明細書上に記載した特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとすることであって、一つまたはその以上の他の特徴らや数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加可能性をあらかじめ排除しないものとして理解されなければならない。
【0035】
単数の表現は文脈上明白に異なるように志さない限り、複数表現を含む。また、図面で要素らの形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0036】
第1、第2などの用語は多様な構成要素らを説明するのに使用されることができるが、前記構成要素らは前記用語によって限定されてはいけない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的で使用されることができる。例えば、本発明の権利範囲から離脱されないまま第1構成要素は第2構成要素で命名されることができるし、類似第2構成要素も第1構成要素に命名されることができる。
【0037】
ある構成要素が異なる構成要素に“連結されて”いるか、または“接続されて”いると言及された時には、その他の構成要素に直接的に連結されているか、または接続されていることもあるが、中間に他の構成要素が存在することもあると理解されなければならないであろう。反面に、ある構成要素が異なる構成要素に“直接連結されて”いるか、または“直接接続されて”いると言及された時には、中間に他の構成要素が存在しないことで理解されなければならないであろう。構成要素らとの関係を説明する他の表現ら、すなわち“~間に”と“すぐ~間に”または“~に隣合う”と“~に直接隣合う”なども同じく解釈されなければならない。
【0038】
異なるように定義されない限り、技術的であるか科学的な用語を含んでここで使用されるすべての用語らは、本発明が属する技術分野で通常の知識を有した者によって一般的に理解されることと等しい意味である。一般に使用される前もって定義されているもののような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味であることで解釈されなければならないし、本出願で明白に定義しない限り、理想的や過度に形式的な意味で解釈されない。
【0039】
以上の詳細な説明は本発明を例示するものである。また、前述した内容は本発明の望ましい実施形態を示して説明するものであり、本発明は多様な他の組合、変更及び環境で使用することができる。すなわち、本明細書に開示された発明の概念の範囲、著わした開示内容と均等な範囲及び/または当業界の技術または知識の範囲内で変更または修正が可能である。著わした実施例は本発明の技術的思想を具現するための最善の状態を説明するものであり、本発明の具体的な適用分野及び用途で要求される多様な変更も可能である。したがって、以上の発明の詳細な説明は開示された実施状態で本発明を制限しようとする意図ではない。また、添付された請求範囲は他の実施状態も含むことで解釈されなければならない。
【0040】
図1は、物品返送装置を具備した返送設備の平面図であり、
図2は返送対象物を搭載場所に受けて渡す状況を示した物品返送装置の側面図である。
【0041】
図1及び
図2に示したところのように、物品返送装置100は返送対象物20を返送対象場所10に返送する返送台車を含むことができる。
【0042】
本実施形態では、物品返送装置100は複数の返送対象場所10を具備する返送設備内において、前記返送対象場所10のそれぞれに返送対象物20を返送する。返送対象物20は、返送の対象になるものであり、例えば、単一の物品であることができるし、または収容物と前記収容物を収容する容器などの複数の物品が組合されたものであることができる。本実施形態では、返送対象物20は複数の基板らが収納されるFOUP(Front Opening Unified Pod)のような基板収納容器であることができる。
【0043】
本実施形態では、返送対象場所10は、半導体基板の処理を行うための処理装置12と、返送対象物20である基板収納容器が搭載されるための搭載場所14を含んで構成されている。例えば、処理装着12は、搭載場所14に搭載された基板収納容器20のうちで半導体基板を引き出して、前記半導体基板を処理する。また、処理装着12は、処理を終わらせた半導体基板を、搭載場所14に搭載された基板収納容器20に収容する。
【0044】
図1に示したところのように、返送対象場所10は、返送設備内に複数具備されている。例えば、返送設備には、複数の返送対象場所10を経由するように返送経路30が設置されている。
【0045】
図2に示したところのように、本実施形態では、返送経路30は、天井に連結された走行レール32によって決まっている。そして、搭載場所14は、走行レール32の下側に設置されている同時に走行レール32と平面から見る時重複されるように設置されることができる(
図1参照)。
図1を参照すれば、走行レール32は直線区間と曲線区間を含むことができる。走行レール32の走行面は
図6に示したところのように、例えば、走行レール32を構成する第1レール32-1と第2レール32-2がお互いに連結される部分に段差が形成されることができる。
【0046】
本実施形態では、物品返送装置100はOHT(Overhead Hoist Transport)装置であることができる。物品返送装置は走行レール32を走行して返送対象物20を返送対象場所10に返送することができる。本実施形態では、このような物品返送装置100が、返送設備内に複数具備されている。そして、
図2に示したところのように、物品返送装置100は、返送対象物を移送することができるし、搭載場所14に返送対象物20を返送する。変えて言えば、物品返送装置100は、物品返送装置100が配置される高さ[走行レール32の高さ]から、それよりも下側に設置された搭載場所14に向けて返送対象物20を下降させ、前記返送対象物20を搭載場所14に搭載する。
【0047】
以下では、物品返送装置100がウェハーなどの基板が収納された容器を半導体製造ラインに配置された半導体工程装置らに返送することを例で挙げて説明する。しかし、これに限定されるものではなくて本実施例の物品返送装置は物品及び/または物品が収納された容器の返送が要求される多様な製造ラインにも同一または類似に適用されることができる。
【0048】
図3乃至
図4は、物品返送装置を説明するための図面らであり、
図5は段差測定部を説明するための凹部拡大図である。
【0049】
図3乃至
図5に示したところのように、物品返送装置100は、返送対象物20(以下、基板収納容器と称する)を返送する。本実施例で、物品返送装置は基板収納容器を懸垂状態で返送する。
【0050】
本実施例で、物品返送装置100はビークル200、車両本体800、段差測定部700、ホイストモジュール300、そして、制御部900を含む返送台車であることができる。
【0051】
ビークル200は別途の駆動部によって半導体製造ラインの天井に沿って具備された走行レール32に沿って走行する走行モジュールである。ビークル200は両側面に走行ホイール212を有する胴体210を含むことができる。胴体210には走行ホイール212を回転させるためのアクチュエータ(例えば、駆動モータ)が具備されることができる。胴体210は走行レール32に沿って走行する。具体的には、走行ホイール212が走行レール32と接触した状態で回転しながら胴体210が走行することができる。一方、胴体210の上面にはステアリングホイールが提供されることができる。ステアリングホイールは胴体210の走行方向と垂直の水平方向に沿って移動可能になるように具備される。例えば、ステアリングホイールは胴体210の左右方向に移動することができる。ステアリングホイールは直進走行を案内する直進ステアリングレール(図示せず)及び分岐走行を案内する分岐ステアリングレール(図示せず)と選択的に接触することができる。
【0052】
車両本体800は走行レール32の下方にビークル200と連結される。車両本体800は上側がビークル200の下側に少なくとも一つ以上の連結部によって連結されることができる。車両本体800は基板収納容器20が位置される内部空間802を提供する。車両本体800は基板収納容器20を内部空間802から左右方向に移動させて下側方向に移動させることができるように両側及び下側が開放された構造を有するように形成されることができる。ここで、両側は物品返送装置100の走行方向と垂直の方向であることができる。
【0053】
例えば、ホイストモジュール300は基板収納容器20を搭載場所から内部空間802に運搬するか、または内部空間802から搭載場所に基板収納容器20を運ぼうとする時車両本体の開放された底面を通じて基板収納容器20が移送される。
【0054】
ホイストモジュール300は車両本体800に提供される。ホイストモジュール300は基板収納容器を離積載(load and unload)することができる。一例で、ホイストモジュール300は基板収納容器20をピックアップするためのグリッパーユニット320と、グリッパーユニット320を昇降させるための昇降ユニット330を含むことができる。
【0055】
グリッパーユニット320は基板収納容器20をグリップするか、またはアングリップする。グリッパーユニット320は昇降ユニット330と複数の昇降ベルトら336を通じて連結されることができるし基板収納容器20を把持するためのグリッパーら322を具備することができる。同時に、基板収納容器20の上部にはグリッパーら322によって把持可能になるように構成されたフランジが具備されることができる。
【0056】
グリッパーユニット320はグリッパーら322を駆動するためのグリッパー駆動部(図示せず)を含むことができる。例えば、グリッパー駆動部はカムプレートとカムフォロアを利用してグリッパーら322を動作させることができるし、同時にカムプレートを移動させるためのモータとボールスクリューなどを含むことができる。しかし、グリッパーユニット320自らの構成は多様に変更可能であるので、これによって本発明の範囲が制限されないであろう。グリッパーユニット320は昇降ユニット330によって上下方向に移動されることができる。
【0057】
昇降ユニット330はグリッパーユニット320を上下方向に移動させる。昇降ユニット330は駆動機、そして、昇降ベルト336を含むことができる。昇降ユニット330の昇降ベルトはグリッパーユニット320と連結されることができる。昇降ベルト336は駆動機が発生させる駆動力によってグリッパーユニット320を上下方向に移動させることができる。例えば、駆動機は駆動力を発生させて昇降ベルト336を巻くか、または解いてグリッパーユニット320を上下方向に移動させることができる。しかし、これに限定されるものではなくて昇降ユニットは、グリッパーユニット320を昇下降させることができる多様な公知の装置で変形されることができる。
【0058】
段差測定部700はビークル200に設置される。段差測定部700はビークル200の走行方向(X1)を向ける前方に位置される。段差測定部700はブラケット730と前方変位センサー710、そして、後方変位センサー720を含むことができる。前方変位センサー710と後方変位センサー720は所定距離程度離隔されるようにブラケット730に設置される。前方変位センサー710と後方変位センサー720は走行レール32の走行面までの距離値をそれぞれ計測することができる。一例で、前方変位センサー710と後方変位センサー720は超音波、電磁放射線のうちで何れか一つを利用することができる。
【0059】
一方、ビークル200には勾配センサー部790が装着されることができる。勾配センサー部790はビークル200の勾配角度を計測して制御部900に提供することができる。勾配センサー部790は車両本体800に設置されることもできる。
【0060】
前方変位センサー710と後方変位センサー720で測定された測定値と勾配センサー部790で測定された勾配角度は制御部900に提供されることができる。
【0061】
制御部900はビークル200の傾きによる前方変位センサー710の第1測定値と後方変位センサー720の第2測定値に対する誤差を補正して走行レール32の段差如何を判別する。制御部900は勾配角度を利用して第1測定値と第2測定値に対する誤差を補正して前方変位センサー710と走行面が直交する第1距離値と後方変位センサー720と走行面が直交する第2距離値を算出することができる。
【0062】
ここで、制御部900は走行レール32の直線区間のみで段差如何を判別することが望ましい。また、制御部900は物品返送装置が等速で移動する区間よりは加速または減速区間で段差如何を判別することができる。
【0063】
以下では前記のような構成を有する物品返送装置で走行レールの段差を判別する過程を説明する。
【0064】
図6は、段差測定部の実際距離値算出方法を説明するための図面である。
【0065】
図4及び
図6を参照すれば、制御部900は勾配角度のコサイン値(cosθ)に第2測定値(B)を掛けて第2距離値(b)を算出する。
b=B*cosθ
【0066】
制御部900は勾配角度のコサイン値(cosθ)に第1測定値(A)を掛けて第1距離値(a)を算出する。
a=A*cosθ
【0067】
制御部900は勾配角度のサイン値(sinθ)に前方変位センサー710と後方変位センサー720の間の距離値を掛けて誤差値(c)を算出する。
c=C*sinθ
【0068】
制御部900は第1距離値(a)から誤差値(c)を抜けば正常な走行状態(ビークルが傾かない状態)で前方変位センサー710と走行面が直交する実際距離値(a1)を算出することができる。
a1=a-c
【0069】
走行レール32の段差(G)は実際距離値(a1)と第2距離値(b)の差値であり、制御部900は段差(G)が既設定された臨界値以上の場合走行レール32の段差が異常があることを判別する。
G=a1-b
【0070】
制御部900は走行レール32の段差(G)が既設定された臨界値以上の場合上位システムに該当支点の補修を要請する。また、制御部900は走行レール32の段差(G)が既設定された臨界値以上の場合、該当支点を通過する時減速運行するようにビークル200を制御するか、または該当支点を迂回するようにビークルを制御することができる。
【0071】
図7は、物品返送装置での走行レール段差測定方法を説明するためのフローチャートである。
【0072】
図7を参照すれば、物品返送装置が走行する走行レールの段差測定方法は距離計測段階(S110)、勾配計測段階(S120)、補正段階(S130)、そして、判別段階(S140)を含むことができる。
【0073】
距離計測段階(S110)は前方変位センサー710と後方変位センサー720が走行レール32の走行面までの距離値をそれぞれ計測する。
【0074】
勾配計測段階(S120)は勾配センサー部790からビークル200の勾配角度を計測する。距離計測段階(S110)と勾配計測段階(S120)は同時に進行するか、または勾配計測が先行されることができる。
【0075】
補正段階(S130)は勾配角度を利用して前方変位センサー710の第1測定値、そして、後方変位センサー720の第2測定値に対する誤差を補正する。第1距離値は勾配角度のコサイン値(cosθ)と第1測定値の積であり、第2距離値は勾配角度のコサイン値(cosθ)に第2測定値を掛けた値である。このような誤差補正過程は前で詳しく説明したので、略することにする。
【0076】
判別段階(S140)は補正段階(S130)で算出された前方変位センサー710と走行面が直交する第1距離値と後方変位センサー720と走行面が直交する第2距離値を通じて走行レール32の段差を判別する。判別段階(S140)は走行レール32の段差が既設定された臨界値以上の場合上位システムに該当支点の補修を要請する。また、判別段階は走行レールの段差が既設定された臨界値以上の場合、該当支点を通過する時減速運行するか、または該当支点を迂回するように物品返送装置を制御する。
【0077】
前述した実施例で、方法は一連の段階またはブロックとして流れ図を基礎に説明されているが、本発明は段階らの手順に限定されるものではなくて、ある段階は前述したところと異なる段階と異なる手順でまたは同時に発生することができる。また、当業者なら流れ図に示した段階らが排他的ではなくて、他の段階が含まれるか、または流れ図の一つまたはその以上の段階が本発明の範囲に影響を及ぼさないで削除されることができることを理解することができるであろう。
【0078】
以上の実施例らは本発明の理解を助けるために提示されたものであり、本発明の範囲を制限しないし、これから多様な変形可能な実施例らも本発明の範囲に属するものであることを理解しなければならない。本発明の技術的保護範囲は特許請求範囲の技術的思想によって決まらなければならないはずであるし、本発明の技術的保護範囲は特許請求範囲の文言的記載その自体に限定されるものではなく、実質的には技術的価値が均等な範疇の発明に対してまで及ぶものであることを理解しなければならない。
【符号の説明】
【0079】
100 物品返送装置
200 ビークル
300 ホイストモジュール
800 車両本体
320 グリッパーユニット
330 昇降ユニット
700 段差測定部
710 前方変位センサー
720 後方変位センサー
790 勾配センサー部
900 制御部