(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】コンクリートポンプ用切換装置
(51)【国際特許分類】
F04B 15/02 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
F04B15/02 A
(21)【出願番号】P 2022505443
(86)(22)【出願日】2020-07-30
(86)【国際出願番号】 EP2020071470
(87)【国際公開番号】W WO2021018994
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】102019120825.4
(32)【優先日】2019-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】519044656
【氏名又は名称】プツマイスター エンジニアリング ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】PUTZMEISTER ENGINEERING GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】カンドラー, アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ベンツ, アンドレアス
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-082374(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2005/0011350(US,A1)
【文献】米国特許第03085594(US,A)
【文献】実開昭63-138479(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 9/00-15/08
F16K 11/00-11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切換装置(100、200)を用いてコンクリートポンプの液圧媒体の流れを切換える方法であって、
前記切換装置(100、200)は、
コンクリートポンプの油圧流を切り換える切換装置(100、200)であって、
油圧ポンプ(40)に接続するための第1の接続コンポーネント(110、210)と、
駆動シリンダ(25、35)に接続するための第2の接続コンポーネント(120、220)と、
第1および第2の接続コンポーネント(110、210、120、220)の間に配置される分配ユニット(130、230)と、
を備え、
前記第1の接続コンポーネント(110、210)は、2つの流体ガイド(111a、111b、211a、211b)を有し、前記第2の接続コンポーネント(120、220)は、第1の流体ガイド対(121a、221b、221a、221b)および第2の流体ガイド対(123a、123b、223a、223b)を有し、
前記分配ユニット(130、230)は、前記第1の接続コンポーネント(110、210)の前記流体ガイド(111a、111b、211a、211b)が前記第2の接続コンポーネント(120、220)の前記第1の流体ガイド対(121a、221b、221a、221b)に流体的に接続された第1の位置と、前記第1の接続コンポーネント(110、210)の前記流体ガイド(111a、111b、211a、211b)が前記第2の接続コンポーネント(120、220)の前記第2の流体ガイド対(123a、123b、223a、223b)に流体的に接続された第2の位置との間で可逆的に移送可能であり、
前記分配ユニット(130、230)は、前記第1および第2の接続コンポーネント(110、120、210、220)に漏れなく接続されている、切換装置(100、200)であり、
前記第1および第2の接続コンポーネント(110、120、210、220)は、少なくとも1つの解除可能な締結手段(140、240)を介して互いに接続され、
前記第1および第2の接続コンポーネント(110、120、210、220)は、前記少なくとも1つの解除可能な締結手段(140、240)が解除されたときに、前記第1または第2の接続コンポーネント(110、120、210、220)と前記分配ユニット(130、230)との間で流体が逃げることができないように、互いに接続され、
前記方法は、
第1および第2の接続コンポーネント(110、210、120、220)の間に配置された締結手段(140、240)を解除するステップ
であって、前記分配ユニットがある程度の遊びを有する、ステップと、
第1の位置と第2の位置との間で分配ユニット(130、230)を移送させるステップと、
前記締結手段(140)をしっかりと締め付けるステップと、
を有する、方法。
【請求項2】
前記分配ユニット(130、230)は、回転または平行移動によって前記第1の位置と前記第2の位置との間で移送することができる、請求項1に記載の
方法。
【請求項3】
前記分配ユニット(130、230)が前記第1の位置と前記第2の位置との間を移送するとき、第1および第2の接続
コンポーネント(110、210、120、220)の位置は変化しない、請求項1又は2に記載の
方法。
【請求項4】
前記分配ユニット(130、230)は、前記第1の接続コンポーネント(110、210)の封止面と相互作用する第1の封止面および/または前記第2の接続コンポーネント(120、220)の封止面と相互作用する第2の封止面を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の
方法。
【請求項5】
前記第1及び第2の接続コンポーネント(110、120、210、220)は、互いに弾性的に接続されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の
方法。
【請求項6】
前記第1および第2の接続コンポーネント(110、120、210、220)は、弾性的に装着された締結要素(142、242)を介して互いに接続され、前記分配ユニット(130、230)が前記第1および第2の接続
コンポーネント(110、120、210、220)に漏れないように接続される、請求項
1~5のいずれか一項に記載の
方法。
【請求項7】
前記締結手段(140、240)および/または弾性的に装着された締結要素(142、242)は、分配ユニット(130、230)を第1の位置と第2の位置との間で移送させるためのガイド補助として構成される、請求項
1~6のいずれか一項に記載の
方法。
【請求項8】
前記第1および/または第2の接続コンポーネントは、前記第1の位置および第2の位置の間で前記分配ユニット(130、230)を移送させるためのガイド要素(146、246)を有する、請求項
1~7のいずれか一項に記載の
方法。
【請求項9】
前記分配ユニット(130、230)は、前記第1の位置および第2の位置間の移送のための操作レバー(148、248)を有する、請求項
1~8のいずれか一項に記載の
方法。
【請求項10】
前記操作レバー(148、248)は、前記第1または第2の接続コンポーネント(110、120、210、220)のガイド要素(146、246)と相互作用する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記分配ユニット(130、230)は、前記第2の接続コンポーネント(120、220)に面する側に、前記第1および第2の流体ガイド対(121a、221b、221a、221b、123a、123b、223a、223b)に接続するための少なくとも4つの開口部を有する、請求項
1~10のいずれか一項に記載の
方法。
【請求項12】
第1の接続コンポーネント(110、210)の流体ガイド(111a、111b、211a、211b)に流体的に接続されていない第2の接続コンポーネントの流体ガイド対(121a、221b、221a、221b、123a、123b、223a、223b)が短絡される、請求項
1~11のいずれか一項に記載の
方法。
【請求項13】
2つの圧力ホース(112a、112b)が前記第1の接続コンポーネント(110、210)に装着され、さらに/または、4つの圧力ホース(122a、122b、124a、124b、222a、222b、224a、224b)が前記第2の接続コンポーネント(120、220)に装着される、請求項
1~12のいずれか一項に記載の
方法。
【請求項14】
前記分配ユニット(130、230)の位置決定は、センサを用いて実現される、請求項
1~13のいずれか一項に記載の
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートポンプの油圧流を切り換える切換装置及びコンクリートポンプに関する。さらに、本発明は、コンクリートポンプの油圧流を切り換える方法に関する。
【0002】
コンクリートポンプ内の油圧流を切り換えるために切換装置を使用することにより、駆動側を駆動シリンダのロッド側と底部側との間で柔軟に移送させることができる。コンクリートポンプのロッド側または底部側の操作は用途に応じて実現され、駆動シリンダはロッド側で駆動される。しかしながら、このためにコンクリートポンプおよび圧力媒体ラインの残りのコンポーネントが設計されている場合には、駆動シリンダの底部側の操作は容易に可能である。
【0003】
ロッド側で駆動される駆動シリンダの場合、比較的速いストローク時間のために、比較的大量の搬送用コンクリートを搬送することができる。底部側で駆動される駆動シリンダの場合には、駆動シリンダの大きな底部側が使用されるので、利用可能な最大油圧でコンクリートの比較的大きな搬送圧力を達成することができる。
【0004】
ロッド側操作の場合に、最大送出ヘッドが達成されていれば、操作者は、コンクリートポンプを底部側操作に切り換えて、最大送出ヘッドを増加させ、このようにして、より高いレベルに到達させることができる。さらに、より多くの搬送量が必要な場合、操作者は、コンクリートポンプを底部側操作からロッド側操作に切り換えることができる。後者の場合,コンクリートライン中のコンクリートが硬化しないためには、操作モードの迅速な切換えが重要である。
【0005】
従来技術は、ロッド/底部切換装置を開示しており、その場合、大きくて柔軟性のない圧力ホース装着を解除して、別の位置に再装着する必要がある。圧力ホースの再装着中に、油圧油が漏れたり、不純物がシステムに流入したりすることがある。さらに、機械内の圧力ホースへのアクセス可能性は、部分的には限られた範囲でしか可能ではなく、その結果、追加のより長い/追加の圧力ホースを外側の接続点に経由しなければならない。これは、時間および組立に関して多大な出費を必要とし、さらに誤差の影響を受けやすい。
【0006】
本発明は、従来技術に対して改良された切換装置を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【0007】
この目的は、請求項1に記載の切換装置、請求項16に記載のコンクリートポンプ、及び請求項17に記載のコンクリートポンプの油圧流を切り換える方法によって達成される。
【0008】
したがって、本発明は、コンクリートポンプの油圧流を切り換える切換装置であって、油圧ポンプに接続するための第1の接続コンポーネントと、駆動シリンダに接続するための第2の接続コンポーネントと、第1および第2の接続コンポーネントの間に配置された分配ユニットとを有する切換装置に関する。第1の接続コンポーネントは2つの流体ガイドを有し、第2の接続コンポーネントは第1および第2の流体ガイド対を有する。分配ユニットは、第1の接続コンポーネントの流体ガイドが第2の接続コンポーネントの第1の流体ガイド対に流体的に接続される第1の位置と、第1の接続コンポーネントの流体ガイドが第2の接続コンポーネントの第2の流体ガイド対に流体的に接続される第2の位置との間で可逆的に移送可能であり、分配ユニットは、第1および第2の接続コンポーネントに漏れないように接続される。
【0009】
本発明は、分配ユニットを第1の位置と第2の位置との間で移送させることによって、駆動シリンダを作動させるための流体の流れが、第1の接続コンポーネントと第2の接続コンポーネントと、場合によってはそれに接続された更なる流体ガイドとを移動させたり、再装着したりする必要なしに向け直すことができるという認識に基づいている。従って、本発明に係る切換装置は、組立や特別に訓練された人員の使用に関して追加的な費用を必要とすることなく、非常に短い時間内にロッド側操作から底部側操作への切換え、およびその逆の切換えを可能にする。
【0010】
まず、幾つかの表現について説明する。
【0011】
流体ガイドは、加圧された液圧媒体のような流体を案内するのに適した任意の型式の流体ラインを意味するものとして理解されるべきである。最も単純な形態において、流体ガイドは、たとえば圧力媒体ラインとして機能するボアである。流体ガイドとは、可撓性のある圧力ホースまたは可撓性の低い圧力ホースも指す。流体ガイド対という表現は、機能的な意味で理解されるべきであり、互いに分離されているが共通の目的のために接続されている2つの流体ガイドを記述する。
【0012】
接続コンポーネントは、任意の所望の形態を有することができ、1つまたは複数の流体ガイドを収容するように構成される。接続コンポーネントは、切換装置の外部を形成し、圧力媒体ホース用のポートを有してもよい。接続コンポーネントは、接続プレート又は接続ブロックとして構成することが可能であり、これらは、圧力媒体ホースのための固着装着されたポートを外側に設けることが可能である。
【0013】
分配ユニットは、接続コンポーネントの間に配置される。前記分配ユニットは同様に任意の所望の形状を有することができるが、しかしながら、分配ユニットが第1および第2の接続コンポーネントに対して同じ高さで支えることが有利である。次に、分配ユニットをサンドイッチ型構造の接続コンポーネント間に固着することができる。分配ユニットは、第1および第2の接続コンポーネントの流体ガイド間に流体接続を選択的に生成するように構成される。この目的のために、分配ユニットは同様に流体ガイドを有してもよい。
【0014】
第1の位置と第2の位置との間の分配ユニットの可逆的な移送は、分配ユニットの位置または配向における任意の変化を意味するものとして理解されるべきである。移送は、手動で、電気的に、油圧的に、または空気圧的に行うことができる。
【0015】
分配ユニットの第1の位置において、第1の接続コンポーネントの流体ガイドは、第2の接続コンポーネントの第1の流体ガイド対に流体的に接続される。分配ユニットの第2の位置では、第1の接続コンポーネントの流体ガイドが、第2の接続コンポーネントの第2の流体ガイド対に流体的に接続される。いずれの場合も、流体は、異なる出口を介してではあるが、切換装置を介して駆動シリンダに移送することができる。第1の流体ガイド対から第2の流体ガイド対への切り換えは、たとえば、駆動側をロッド側から駆動シリンダの底部側に移送させることを可能にする。
【0016】
本発明は、簡単な機械的手段によって、特に高価な液圧弁および電気弁を使用することなく、液圧流の切り換えを可能にする。さらに、接続コンポーネントの位置は、油圧流が切り換えられたときに変化しないままである。これは、いかなる接続コンポーネントおよびそれに接続されたコンポーネントに対しても、完全なネジ外しまたは回転が不要であるという利点を有する。その結果、切換えの間、流体ガイドが自由にアクセスできないので、作動油が逃げることができず、また不純物が油圧システムに入ることもない。
【0017】
好ましくは、分配ユニットは、回転または並進によって第1の位置と第2の位置との間で移送可能である。ここで、分配ユニットは、中心軸を中心に回転するか、または横方向に変位することが好ましい。移送は、操作者によって手動で実現されてもよいし、電気的に実現されてもよく、可逆的である。
【0018】
さらに好ましくは、分配ユニットを第1の位置と第2の位置との間で移送させるときに、第1および第2の接続コンポーネントの位置を変更しない。従って、据付の接続コンポーネントは、それに接続された流体ガイド(例えば、圧力ホース)と共に、切換えの影響を受けず、それに応じて設計される必要がない。
【0019】
有利な実施形態において、分配ユニットは、第1の接続コンポーネントのシール面と相互作用するための第1のシール面および/または第2の接続コンポーネントのシール面と相互作用するための第2のシール面を有する。シール面の相互作用は、切換えの間、(流体ガイド内の圧力が高い場合でさえも)切換装置が漏れに強いことを保証する。シール面は、シールリング(例えば、Oリング)によって形成されてもよい。
【0020】
第1および第2の接続コンポーネントは、切換え処理の間に、分配ユニットと接続コンポーネントとの間の隙間から流体が漏れないことが保証されるように、弾性的に互いに接続されてもよい。
【0021】
第1および第2の接続コンポーネントは、少なくとも1つの解除可能な締結手段を介して互いに接続されてもよい。締結手段は、例えばネジであってもよい。このようにして、接続コンポーネントは、それらの間に分配ユニットをクランプするように互いに固着することができる。分配ユニットに作用する接続コンポーネント間のクランプ力は、締結手段を介して設定することができる。油圧ポンプの操作中、締結手段は接続コンポーネントをしっかりと固着すべきであり、分配ユニットの移送中は、分配ユニットがある程度の遊びを有するように、締結手段を僅かに緩めるべきである。切換装置の幾何学的形状により、力の均一な分配を達成するために、複数の締結手段を対称的な配置で使用することが有利である。
【0022】
第1および第2の接続コンポーネントは、分配ユニットが第1および第2の接続コンポーネントに漏れなく接続されるように、弾性的に装着された締結要素を介して互いに接続されてもよい。たとえば、既知のバネ定数を有するバネを使用することによって、接続プレートは、常に力によって互いに保持され、それによって、流体がそれぞれの接続コンポーネントと分配ユニットとの間で逃げることができないことが保証される。これは、分配ユニットを別の位置に移送させるために、締結手段を僅かに緩める場合に特に重要であるが、同時に、流体ガイドが流体で充填され、その漏出が回避されるべきである。弾性的に装着された締結要素という表現は、分配ユニットへの接続コンポーネントの弾性的にシールされた接続を保証する任意の型式の接続手段を意味するものとして理解されるべきである。したがって、締結要素は、たとえば、締結要素が開放されたときに、接続コンポーネントと分配ユニットとの間の規定された隙間のみが生じ得ることを保証するスペーサとして構成することもでき、これは、対応する(弾性)シールによって補償される。
【0023】
有利な実施形態において、締結手段および/または弾性的に装着された締結要素は、分配ユニットの移送のためのガイド補助として構成される。締結手段および/または弾性的に装着された締結要素は、たとえば、分配要素が回転する中心軸を予め規定することができる。この目的のために、締結手段および/または締結要素は、分配ユニット内の切欠きを通って案内される。また、切欠きは、スロットに沿って分配ユニットを横方向に変位させることができるスロットの形態であってもよい。
【0024】
第1および/または第2の接続構要素は、第1および第2の位置の間で分配ユニットを移送させるためのガイド要素を有してもよい。ガイド要素は、たとえば、分配ユニットの突出部が係合する溝の形態であってもよく、またはその逆の形態であってもよい。溝は、たとえばオフセット形状で、円形または直線的に延びることができる。
【0025】
好ましくは、切換装置は、分配ユニットが第1の位置と第2の位置との間の移送のための操作レバーを有するように設計される。さらに好ましくは、操作レバーは、第1または第2の接続コンポーネントのガイド要素と相互作用する。操作レバーを介して、操作者は手動で、たとえば分配ユニットを回転させたり変位させたりすることができる。この目的のために、操作レバーは、接続コンポーネントのうちの1つの切り欠きを通って案内可能である。操作レバーの位置を介して、切換要素の設定を表示することもできる。
【0026】
分配ユニットは、第2の接続コンポーネントに面する側に、第1および第2の流体ガイド対に接続するための少なくとも4つの開口部を有してもよい。
【0027】
有利な実施形態において、第1の接続コンポーネントの流体ガイドにそれぞれ流体的に接続されていない第2の接続コンポーネントのガイド対が短絡される。従って、第2の流体ガイド対は、オイル振動ラインとして好適に使用することができる。短絡は、好ましくは、分配ユニット内の流体ガイドを介して実現される。
【0028】
好ましくは、2つの圧力ホースが第1の接続コンポーネントに装着され、さらに/または、4つの圧力ホースが第2の接続コンポーネントに装着される。圧力ホースは、切換装置の位置に合わせて特別に設計することができ、迂回の配置または再装着のために構成する必要はない。
【0029】
切換装置の好ましい実施形態において、分配ユニットの位置決定は、センサを使用して実現される。センサは、たとえば、光学式、誘導式または機械式の位置センサ、または流体ガイド内に配置された圧力センサであってよい。センサの助けを借りて、分配ユニットが存在する位置、及び場合によっては分配ユニットが不確定な中間状態にあるか否かを操作者に知らせることができる。
【0030】
さらに、本発明は、切換装置を有するコンクリートポンプに関する。切換装置を介して、油圧駆動コンクリートポンプの駆動側をロッド側から底部側に移送することができる。
【0031】
さらに、本発明は、切換装置を使用してコンクリートポンプの液圧媒体の流れを切り換える方法に関し、この方法は、
第1および第2の接続コンポーネントの間に配置された締結手段、または弾性的に装着された締結要素を解除するステップと、
第1の位置と第2の位置との間で分配ユニットを移送させるステップと、
締結手段または弾性的に装着された締結要素をしっかりと締め付けるステップと、
を有する。
【0032】
コンクリートポンプの液圧媒体の流れを切り換える方法は、簡単な機械的手段を用いて、面倒な組立作業なしに、駆動シリンダの駆動側をロッド側と底部側との間で移送することを可能にする。操作中、締結手段はしっかりと締め付けられるべきであり、その結果、切換装置は漏れに対して耐性を維持し、流体ガイド内の高圧に耐えることができる。分配ユニットの移送中、分配ユニットは、たとえば、回転又は変位を行うために、順にある程度の遊びを必要とする。しかしながら、接続コンポーネントは、流体が切換装置から逃げることができないように分配ユニットに対して常に作用すべきである。
【0033】
本発明による方法は、本発明による切換装置に関連して説明される更なる特徴によって進化されてもよい。本発明による切換装置は、本発明による方法に関連して説明される更なる特徴によって進化されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
以下、添付の図面に基づいて、本発明の有利な実施形態を実施例として説明する。
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る切換装置を用いたロッド/底部切換えのシステムベースの接続図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る切換装置の3次元概略図である。
【
図3】
図3は、別の透視画からの
図2からの切換装置の三次元概略図を示す。
【
図4】
図4は、第1の位置における第1の実施形態に係る切換装置の概略的な機能図である。
【
図5】
図5は、第2の位置における
図4からの切換装置の概略的な機能図を示す。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る切換装置付きコンクリートポンプ(図示せず)の油圧駆動式駆動シリンダの3次元概略図である。
【
図7】
図7は、本発明の第2の実施形態に係る切換装置の3次元概略図である。
【
図8】
図8は、第2の実施形態に係る切換装置付きコンクリートポンプ(図示せず)の油圧駆動式駆動シリンダの3次元概略図である。
【
図9】
図9は、第1の位置における第2の実施形態に係る切換装置の概略的な機能図である。
【
図10】
図10は、第2の位置における、
図9による切換装置の概略的な機能図を示す。
【詳細な説明】
【0035】
図1は、コンクリートポンプ(図示せず)の2つの油圧駆動搬送シリンダ20、30の概略接続図を示す。これは、据付のコンクリートポンプであることが好ましい。搬送シリンダ20、30のピストン21、31は、油圧駆動シリンダ25、35を介して前後に移動されるが、油圧駆動シリンダ25、35のピストン26、36は、ピストンロッド23、33を介して搬送シリンダ20、30のピストン21、31に接続される。駆動シリンダ25、35のピストン26、36の変位は、図示された圧力媒体ライン27、37を介して駆動シリンダ25、35のピストンロッド側圧力室の圧力媒体と交互に装填することによって実現される。ピストン26、36の全面に対向する駆動シリンダ25、35の圧力室は、油圧リンクのように圧力媒体ライン28、38によって接続されている。全ての圧力媒体ライン27、37、28、38は、切換装置100を通って導かれ、この切換装置は、その配置を明確にするために、
図1に非常に簡略化された形態で示されている。
【0036】
切換装置100の記号図に示すように、第1および第2の接続コンポーネント110、120の間に配置された分配ユニット130は、その軸を中心に180°回転することによって2つの位置に設定することができる。第1の位置(
図1参照)において、圧力媒体ライン27、37は、圧力媒体の供給および圧力媒体の排出に役立つ圧力媒体ライン41、42に接続され、一方、圧力媒体ライン28、38は、油圧リンクを形成するように接続される(ロッド側動作)。第2の位置(
図1には図示せず)において、圧力媒体ライン28、38は圧力媒体の供給および排出のために圧力媒体ライン41、42に接続され、一方、圧力媒体ライン27、37は油圧リンクを形成するように接続される(底部側操作)。圧力媒体ライン41、42の圧力を交互に加えるために、切換弁50を設けてもよい。しかしながら、自由流油圧(FFH)制御を有する可動式コンクリートポンプの場合には、そのような切換弁50は必要とされない。圧力媒体ポンプは符号40で示される。
【0037】
図2~
図6および
図7~
図10は、それぞれ、切換装置100および200の第1および第2の例示的実施形態を詳細に示す。
【0038】
図2および
図3は、2つの異なる透視画から、第1の実施形態による3部品型切換装置100を示す。切換装置100は、第1の接続コンポーネント110と、第2の接続コンポーネント120とを備える。接続コンポーネント110、120の間には、分配ユニット130が配置されている。分配ユニット130は、接続コンポーネント110、210の間にサンドイッチ状にクランプされる。切換装置の3つのコンポーネントはすべて、等しい長さの側縁を有する実質的にプレート状に形成されるが、これは、いかなる意味においても必須ではない。
【0039】
第1の接続コンポーネント110は、その外側に、第1の接続コンポーネント110内の流体ガイド(図示せず)に接続された圧力ホース112a、112b用の2つのポートを有する。第2の接続コンポーネント120は、その外側に、第2の接続コンポーネント120内の流体ガイド(図示せず)に同様に接続される、いわゆるネジ付きエルボ継手を備えた圧力ホース122a、122b、124a、124b用の4つのポートを有する。第1および第2の接続コンポーネント110、120の流体ガイドは、以下により詳細に説明するように、分配ユニット130によって互いに分離される。
【0040】
本実施形態において、切換装置100は、ネジ形態の角部に配置された4つの締結手段140を有している。締結手段140は、第1および第2の接続コンポーネント110、120を互いに接続し、分配ユニット130が接続コンポーネント110、120の間に安全にしっかりとクランプされる程度に締め付けることができる。さらに、切換装置100は、中央に配置され、弾性的に装着された締結要素142を有する。締結要素142は、ネジとバネとの組合せとして設計されており、締結手段140が部分的に緩められた後であっても、バネの力によって第1および第2の接続コンポーネント110、120が引き続き一緒に押圧される効果を有する。このようにして、液圧媒体のような流体は、好ましくないことに、切換装置100から逃げることができない。
【0041】
分配ユニット130を第1の位置から第2の位置に移送させるためには、まず、締結手段140を僅かに緩めて、分配ユニットが最早接続コンポーネント110、120の間に固着されないようにする必要がある。分配ユニット130は、第1の接続コンポーネント110に対向する側に操作レバー148を有する。分配ユニット130の機械的作動の代わりに、電気的、油圧的または空気圧的作動も可能である。操作レバー148は、接続コンポーネント110、120のうちの1つの一部として形成されるガイド要素146に沿って案内することができる。操作レバー148をガイド要素146に沿って移動させることによって、分配ユニット130を180°まで回転させることができる。
【0042】
図4および
図5は、第1の位置および第2の位置にある切換装置100を示す。分配ユニット130の異なる向きは、特に操作レバー148の異なる位置によっても示される。
図4および
図5は、接続コンポーネント110、120および分配ユニット130の内部に配置された流体ガイドを示す。第1の接続コンポーネント110は、圧力ホース112a、112b用のポートに接続された流体ガイド111a、111bを有する。第2の接続コンポーネント120は、4つの流体ガイド121a、121b、123a、123bを有し、これらの流体ガイドは、圧力ホース122a、122b、124a、124b用のポートに接続される。流体ガイド121a、121bおよび123a、123bは、それぞれ流体ガイド対と呼ばれる。流体ガイド111a、111b、121a、121b、123a、123bは、接続コンポーネント110、120の内部にボアとして延びる。
【0043】
本実施形態において、分配ユニット130は3つの流体ガイド131a、131b、133cを有し、これらの流体ガイドは、分配ユニット130の位置に応じて、第1および第2の接続コンポーネント110、120の異なる流体ガイド間に流体接続をもたらす。この例示的な実施形態において、分配ユニットの流体ガイドは、圧力媒体を輸送するのに適したボアとして形成される。また、流体ガイド131a,131b,133cは、分配ユニット130の外側にシールリングを備えている。
【0044】
分配ユニット130の流体ガイド131aは、第1の接続コンポーネント110の流体ガイド122bを第2の接続コンポーネント120の流体ガイド123bに接続する。分配ユニット130の流体ガイド131bは、第1の接続コンポーネント110の流体ガイド112aを第2の接続コンポーネント120の流体ガイド123aに接続する。流体ガイド123a、123bは、流体ガイド対に属する。流体ガイド131cは、第2の接続コンポーネント120の流体ガイド121aおよび121bを接続し、それによって、流体ガイド対121a、121bを短絡する。
【0045】
操作者が
図4に示す操作レバー148を第1の接続コンポーネント110のガイド要素146に沿って移動させると、
図5に示す設定が得られる。この場合、分配ユニット130は、自身の軸を中心に180°回転する。この中心軸は、本実施形態において、弾性的に装着された締結要素142によって決定され、この締結要素142は、分配ユニット130内の切欠きを通って案内される。この設定において、流体ガイド131cは、流体ガイド123aおよび123bによって形成される第2の接続コンポーネント120の流体ガイド対を接続し、流体ガイド131aおよび131bは、それぞれ、第1の接続コンポーネント110の流体ガイド112aおよび112bを第2の接続コンポーネント120の流体ガイド21aおよび121bに接続する。したがって、分配ユニット130を第1の位置から第2の位置に移送させることにより、流体ガイド対間の操作の型式を切り換えることができる。このようにして、操作者は、組立に多大な費用をかけることなく、かつ短時間で、機械をロッド側操作から底部側操作に、または底部側操作からロッド側操作に切り換えることができる。
【0046】
図6は、圧力ホースの形態で固着接続された圧力媒体ライン27、37、28、38を有する切換装置100を示す。圧力ホースは、第2の接続コンポーネント120の圧力ホースポート122a、122b、124a、124bを駆動シリンダ25、35のロッド側または底部側に接続する(
図1も参照)が、切換装置100のその他の構成は上述した通りである。切換装置100は、機械の任意の位置、たとえば、駆動シリンダ25、35に沿った任意の位置に配置することができる。
【0047】
図7は、本発明の第2の例示的な実施形態による3部品型切換装置200を示す。切換装置200は、第1の接続コンポーネント210と、第2の接続コンポーネント220と、第1および第2の接続コンポーネント210、220の間に配置された分配ユニット230とを備える。切換装置200が切換装置素子100と異なる点は、分配ユニット230の第1の位置と第2の位置との可逆的な移送が、分配ユニット130の横方向の変位によって行われる点である。分配ユニット130の変位は、同様に、操作レバー248を介して実現することができる。
【0048】
第1および第2の接続コンポーネント210、220は、それぞれ、圧力ホース212a、212b、22a、22b、224a、224b用のポートを有する。第1および第2の接続コンポーネント210、220は、さらに、ネジの形態の締結手段240を介して互いに接続され、さらに、バネとネジの組合せの形態の弾性的に装着された締結要素242を有する。締結手段240は、第1および第2の接続コンポーネント210、220のスロット内に配置され、これらのスロットは、分配ユニット130の変位中にガイド要素246として機能する。分配ユニット230は、各々の場合において、第1および第2の位置で、第1および第2の接続コンポーネント210、220の間に完全に配置され、それらの間にクランプされる。
【0049】
図8は、第2の接続プレート230において圧力ポート222a、222b、224a、244bに固着して接続された圧力ホースを有する切換装置200を示す。圧力ホースは、圧力ポート222a、222b、224a、244bを駆動シリンダ25、35のロッド側または底部側に接続する。切換装置200は、たとえば、駆動シリンダ25、35に沿って、機械の任意の所望の位置に配置されてもよい。
【0050】
図9および
図10は、第1の位置および第2の位置にある切換装置200を示す。分配ユニット130の異なる位置は、分配ユニット130が圧力ポート212a、212bの方向にほぼ水平方向に変位していることを特徴とする。
図9に示す設定において、第1の接続コンポーネント211の第1の流体ガイド210aは、分配ユニット231の流体ガイド230bを介して第2の接続コンポーネント230の流体ガイド223bに接続され、第1の接続コンポーネント210の第2の流体ガイド211bは、分配ユニット230の流体ガイド231cを介して第2の接続コンポーネント220の流体ガイド223aに流体的に接続される。第2の接続コンポーネント220の流体ガイド221aおよび221bは、共に分配ユニット230の流体ガイド231dと接触しており、それによって分配ユニット230(油圧リンク)を介して短絡される。流体ガイド223aおよび223bは、流体ガイド対に属する。
【0051】
図10に示す設定において、第1の接続コンポーネント210の流体ガイド211aは、分配ユニット230の流体ガイド231bを介して第2の接続コンポーネント220の流体ガイド221bに流体的に接続される。第1の接続コンポーネント210の第2の流体ガイド221bは、分配ユニット230の流体ガイド231cを介して、第2の接続コンポーネント220の流体ガイド221aに流体的に接続される。全ての流体ガイドはボアとして形成され、第1の接続コンポーネントの流体ガイド211a、211bは、互いにオフセットした複数の出口を有する分岐を有する。しかしながら、接続コンポーネント210、220は、弾性的に装着された締結要素240および任意のシール要素(図示せず)を介して、切換装置200が漏れないように常に一緒に保持されるので、これは問題ではない。
【0052】
切換装置100、200を介してコンクリートポンプの油圧流を切り換える方法を実行するために、第1に、締結手段140、240(または弾性的に装着された締結要素142、242)は、第1および第2の接続コンポーネント110、120、210、220の間の接続を解除することなく、僅かにネジが外される。これにより、分配ユニット130、230は、接続コンポーネント間の回転または並進を可能にするのに十分な量の遊びを有することが可能になる。分配ユニット230の最終的な位置に到達するとすぐに、締結手段140、240(または弾性的に装着された締結要素)は、操作中に切換装置100、200を使用することができるようになる前に、操作者によって再びネジ締めされる。