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特許7523560アンテナアレイを制御するための方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】アンテナアレイを制御するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/06 20060101AFI20240719BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20240719BHJP
   H01Q 3/26 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
H04B7/06 860
H01Q21/06
H01Q3/26 Z
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022550792
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-08
(86)【国際出願番号】 US2021028793
(87)【国際公開番号】W WO2021222012
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-12-06
(31)【優先権主張番号】63/017,938
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522243967
【氏名又は名称】キョーセラ・エイブイエックス・コンポーネンツ (サンディエゴ), インコーポレーティッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100162846
【弁理士】
【氏名又は名称】大牧 綾子
(72)【発明者】
【氏名】パジョナ,オリビエ
(72)【発明者】
【氏名】デクロ,ローラン
【審査官】吉江 一明
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-507230(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0394072(US,A1)
【文献】特表2016-536818(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/06
H01Q 21/06
H01Q 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナシステムであって、
複数のアンテナ素子を備えるアンテナアレイと、
前記アンテナアレイのビームフォーミングのために前記アンテナアレイの動作を制御するように構成されたアレイコントローラと、
無線周波数回路と、
前記無線周波数回路を前記アレイコントローラに結合する送信線路であって、前記アンテナアレイを介した通信のための無線周波数信号を搬送するように構成された、送信線路と
寄生素子に結合された調整回路であって、前記寄生素子は前記アンテナアレイに近接して配置される、調整回路と、
を備え、
前記無線周波数回路は、前記送信線路を介した前記アレイコントローラへの通信のために、アンテナアレイ制御信号および寄生素子制御信号を前記無線周波数信号に変調して送信信号を生成するように構成され、
前記アレイコントローラは、前記送信信号から前記アンテナアレイ制御信号を復調するように構成され、その結果、前記アレイコントローラは、前記アンテナアレイ制御信号に少なくとも部分的に基づいて前記アンテナアレイの動作を制御するように構成され
前記調整回路は、前記送信信号から前記寄生素子制御信号を復調し、前記寄生素子制御信号に基づいて、ビームステアリングのための前記寄生素子の動作を制御するように構成される、アンテナシステム。
【請求項2】
前記アンテナアレイ制御信号は、前記複数のアンテナ素子のうちの1つまたは複数のアンテナ素子の位相シフトを指定し、前記アレイコントローラは、前記複数のアンテナ素子のうちの1つまたは複数のアンテナ素子において、前記位相シフトを実施するように構成された、請求項1に記載のアンテナシステム。
【請求項3】
前記アンテナアレイ制御信号は、前記複数のアンテナ素子のうちの1つまたは複数のアンテナ素子の振幅を指定し、前記アレイコントローラは、前記複数のアンテナ素子のうちの1つまたは複数のアンテナ素子において、前記振幅を実施するように構成された、請求項1に記載のアンテナシステム。
【請求項4】
前記アンテナアレイは、第1のアンテナアレイであり、前記アンテナシステムはさらに、
第2のアレイコントローラに結合された第2のアンテナアレイを備え、前記第2のアレイコントローラは、前記第1のアンテナアレイとの多入力多出力(MIMO)通信をサポートするように前記第2のアンテナアレイを動作させるために、前記第2のアンテナアレイの動作を制御するように構成され、第2の送信線路は、前記第2のアレイコントローラに結合された、請求項1に記載のアンテナシステム。
【請求項5】
前記無線周波数回路は、振幅シフトキーイング変調によって、前記アンテナアレイ制御信号を前記無線周波数信号に変調するように構成された、請求項1に記載のアンテナシステム。
【請求項6】
前記送信線路は、単一の同軸ケーブルである、請求項1に記載のアンテナシステム。
【請求項7】
フロントエンドモジュールをさらに備え、前記フロントエンドモジュールの少なくとも第1の部分は、前記無線周波数回路に近接して配置された、請求項1に記載のアンテナシステム。
【請求項8】
前記フロントエンドモジュールの少なくとも第2の部分は、前記アンテナアレイに近接して配置された、請求項に記載のアンテナシステム。
【請求項9】
前記無線周波数信号は、約24GHzから約86GHzの周波数帯域にある、請求項1に記載のアンテナシステム。
【請求項10】
前記無線周波数回路は、前記アレイコントローラまたはアンテナアレイのうちの少なくとも一方から物理的に分離された、請求項1に記載のアンテナシステム。
【請求項11】
前記アンテナシステムは、モバイルデバイスに配置された、請求項1に記載のアンテナシステム。
【請求項12】
前記送信信号はさらに、前記アレイコントローラ用のDC電力を備えた、請求項1に記載のアンテナシステム。
【請求項13】
アンテナアレイを備えたアンテナシステムを動作させるための方法であって、前記方法は、
アンテナアレイ制御信号と寄生素子制御信号を無線周波数信号に変調して、送信信号を生成するステップと、
送信線路を介して、前記送信信号をアレイコントローラおよび調整回路に通信するステップと、
前記アレイコントローラにおいて、前記アンテナアレイ制御信号を復調するステップと、
前記調整回路において前記寄生素子制御信号を復調するステップと、
前記アンテナアレイ制御信号と前記寄生素子制御信号に少なくとも部分的に基づいて、前記アンテナアレイの動作を制御するステップとを含む、方法。
【請求項14】
前記送信線路は、単一の同軸送信線路である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記アンテナアレイ制御信号は、振幅シフトキーイング変調を使用して、前記無線周波数信号に変調され、前記送信信号を生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記アンテナアレイ制御信号は、オンオフキーイング変調を使用して、前記無線周波数信号に変調され、前記送信信号を生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記アンテナアレイ制御信号および前記寄生素子制御信号を前記無線周波数信号に変調することによって前記送信信号を生成するステップは、搬送波信号に関連付けられた振幅を、選択的に変化させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記アンテナアレイ制御信号は、前記アンテナアレイの複数のアンテナ素子のうちの1つまたは複数のアンテナ素子の振幅を指定する、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記アンテナアレイ制御信号は、前記アンテナアレイの複数のアンテナ素子のうちの1つまたは複数のアンテナ素子の位相シフトを指定する、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
[0001]本出願は、2020年4月30日の出願日を有し、「Method and System for Controlling an Antenna Array」(アンテナアレイを制御するための方法およびシステム)と題され、参照により本明細書に組み込まれる米国仮特許出願第63/017,938号の優先権の利益を主張する。
【0002】
[0002]本開示は、一般に、5Gセルラ通信システムにおいて使用するためのアンテナシステムなどのワイヤレス通信システムのためのアンテナシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]ラップトップ、タブレット、スマートフォン、IoT(モノのインターネット)デバイスなどの電子デバイスは、セルラネットワークを介して通信するように動作可能とすることができる。4Gで動作するセルラネットワークは豊富に使用されており、最近では、大規模な地域で安定した信頼性の高いネットワークで、音声通信とともに中程度から高程度のデータレートの送信を提供するように進化した。通信システムは、5Gプロトコルおよびネットワークに移行している。5Gネットワークは、大幅に高いデータレートおよび低いレイテンシを提供することができ、音声、データ、およびIoTアプリケーションに適用可能とすることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004]本開示の実施形態の態様および利点は、以下の説明に部分的に記載されるか、または説明から学習される場合があるか、または実施形態の実施を通じて学習される場合がある。
【0005】
[0005]本開示の1つの例示的な態様は、アンテナシステムに関する。アンテナシステムは、複数のアンテナ素子を備えるアンテナアレイを含むことができる。アンテナシステムは、アンテナアレイのビームフォーミング(beam forming)のためにアンテナアレイの動作を制御するように構成されたアレイコントローラを含むことができる。アンテナシステムは、無線周波数回路を含むことができる。アンテナシステムは、無線周波数回路をアレイコントローラに結合する送信線路を含むことができる。送信線路は、アンテナアレイを介した通信のための無線周波数信号を搬送するように構成される。無線周波数回路は、アンテナアレイ制御信号を、無線周波数信号に変調(modulate)して、送信線路を介したアレイコントローラへの通信のための送信信号を生成するように構成される。アレイコントローラは、送信信号からアンテナアレイ制御信号を復調(demodulate)するように構成され、その結果、アレイコントローラは、アンテナアレイ制御信号に少なくとも部分的に基づいてアンテナアレイの動作を制御するように構成される。
【0006】
[0006]本開示の別の例示的な態様は、アンテナアレイを含むアンテナシステムを動作させるための方法に関する。この方法は、アンテナアレイ制御信号を無線周波数信号に変調して、送信信号を生成することを含むことができる。この方法は、送信線路を介して送信信号をアレイコントローラに通信することを含むことができる。この方法は、アレイコントローラにおいてアンテナアレイ制御信号を復調することを含むことができる。この方法は、アンテナアレイ制御信号に少なくとも部分的に基づいて、アンテナアレイの動作を制御することを含むことができる。
【0007】
[0007]様々な実施形態のこれらおよび他の特徴、態様および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲を参照することにより、より良く理解されるようになるであろう。本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本開示の実施形態を例示し、説明とともに、関連付けられた原理を説明するのに役立つ。
【0008】
[0008]当業者に向けられた実施形態の詳細な議論は、添付の図面を参照する本明細書に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】[0009]本開示の例示的な実施形態によるアンテナシステムを有するモバイルデバイスを示す図である。
図2】[0010]図2Aは、本開示の例示的な実施形態による例示的なビームフォーミング構成を示す図である。図2Bは、本開示の例示的な実施形態による例示的なビームフォーミング構成を示す図である。図2Cは、本開示の例示的な実施形態による例示的なビームフォーミング構成を示す図である。
図3】[0011]本開示の例示的な実施形態によるアンテナシステムにおけるアンテナアレイの構成を示す図である。
図4】[0012]本開示の例示的な実施形態による例示的なアンテナシステムを示す図である。
図5】[0013]本開示の例示的な実施形態による、集中型フロントエンドモジュール構成を備えたアンテナシステムを有するモバイルデバイスを示す図である。
図6】[0014]本開示の例示的な実施形態による、分散型フロントエンドモジュール構成を備えたアンテナシステムを有するモバイルデバイスを示す図である。
図7】[0015]本開示の例示的な実施形態による例示的な方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0016]ここで、実施形態を詳細に参照し、その1つまたは複数の例が図面に例示される。各例は、本開示の限定ではなく、実施形態の説明として提供される。実際、本開示の範囲または精神から逸脱することなく、実施形態に対して様々な修正および変形がなされることが、当業者に明らかであろう。たとえば、1つの実施形態の一部として例示または説明された特徴が、別の実施形態とともに使用され、さらに別の実施形態が生成される。したがって、本開示の態様は、そのような修正および変形をカバーすることが意図される。
【0011】
[0017]本開示の例示的な態様は、5G通信システムなどの通信システムにおいて、1つまたは複数のアンテナアレイを使用する、ビームフォーミングのためのシステムおよび方法に関する。たとえば、デバイスのアンテナシステムは、1つまたは複数のアンテナアレイを含むことができる。各アンテナアレイは、複数の異なるアンテナ素子を有することができる。アンテナ素子は、ビームフォーミングのためのアンテナアレイの動作を制御するように(たとえば、各アンテナ素子の位相および/または振幅を制御することによって)構成される。
【0012】
[0018]5G通信プロトコルは、たとえば、より高い周波数帯域(たとえば、約24GHzから約86GHzの範囲の周波数帯域)における通信、および/または、MIMO通信のために構成されたアンテナアレイを使用して実施される。これらのアンテナアレイの各々は、複数のアンテナ素子を含むことができる。たとえば、場合によっては、アンテナ素子は、MIMOモード(たとえば、4×4 MIMOモード)で信号(たとえば、無線周波数信号)を通信するために、個別におよび/または集合的に制御される。これらおよび他の適切な5G機能は、ワイヤレス通信において、より高いデータレートおよびより低いレイテンシを提供することができる。
【0013】
[0019]電子デバイス(たとえば、モバイルデバイス、IoTデバイス、または他の電子デバイス)は、複数のアンテナアレイ(たとえば、2つのアンテナアレイ、3つのアンテナアレイ、4つのアンテナアレイ)を含むことができる。たとえば、モバイルデバイスは、動作中にユーザの手に保持される(たとえば、完全に保持される)ことが可能なスマートフォン、タブレットコンピュータなどのデバイスとすることができる。本開示の例示的な態様によれば、アンテナアレイの複数のアンテナ素子は、アンテナアレイにおいて、ビームフォーミングをサポートするように制御することができる。ビームフォーミングとは、異なるアンテナビームを組み合わせて、特定の方向(たとえば、基地局の方向)における信号強度を高め、通信リンクを強化することである。1つの例として、1つまたは複数のアンテナアレイにおける複数のアンテナ素子の各々の位相および/または振幅は、(たとえば、ビームフォーミング処理において)放射パターンを生成するように構成することができる。
【0014】
[0020]アンテナアレイへ通信される信号、および/または、アンテナアレイから受信される信号(たとえば、制御信号)は、モバイルデバイスにおける中央プロセッサ(たとえば、ベースバンドプロセッサおよび/またはホストCPU)との間で通信することができる。モバイルデバイス内(たとえば、中央プロセッサとアンテナアレイとの間)で制御信号を送信すると、RF通信との課題をもたらす可能性がある。たとえば、複数のアンテナ素子を有するアンテナアレイの使用は、アンテナアレイを制御および/または他の方法で利用するために、信号リソース(たとえば、制御信号線路、配線など)の増加を必要とする場合がある。1つの例として、アンテナ素子は、送信のために、ビームフォーミングおよび/またはビームステアリング(beam steering)処理を実行するように制御されねばならない。たとえば、場合によっては、アンテナアレイにおけるアンテナ素子の各々は、動作するために(たとえば、バスにおいて)1つまたは複数の固有の制御信号線路を必要とする可能性がある。これら増加した信号リソースは、制御信号ライン専用のスペースの増加に寄与する。
【0015】
[0021]追加的および/または代替的に、信号を送信するように構成されたモバイルデバイス内の制御信号線路は、2つ以上の制御信号線路間の容量結合などの電気的干渉を受ける可能性がある。アンテナアレイのサイズが大きくなると、信号線路が分離されるように制御信号線路を提供するために利用可能なスペースが減少する可能性があり、これは、干渉を軽減する上で課題をもたらす可能性がある。これは、たとえばスマートフォンなど、利用可能なスペースが限られているモバイルデバイスにおいて、アンテナアレイを提供することが望ましい場合に、特に問題になる可能性がある。追加的に、場合によっては、信号線路が、スイッチや位相シフタなどの制御のようなデジタル制御と干渉する可能性がある。さらに、モバイルデバイスにおいて増加した送信線路のルーティングおよび/またはデバッグは、設計コストの増加をもたらす可能性がある。これらの問題は、信号線路の数および/または(たとえば、バスの)幅が、5G通信技術の出現(advent)とともに増加し続けるにつれて、特に明白になる。
【0016】
[0022]これらおよび他の問題を解決するために、アンテナアレイの制御信号は、アンテナアレイの制御信号を、無線周波数信号に変調することによって、同軸ケーブルなどの送信線路によって送信することができる。これにより、制御信号と無線周波数信号とを送信するために必要な配線の数を低減することができる。たとえば、無線周波数信号と、変調された制御信号とを含む送信信号を送信するために、単一の同軸ケーブルを使用することができる。
【0017】
[0023]追加的に、いくつかの実施形態では、アンテナアレイの動作のためのDC電力は、制御信号に加えて、送信信号によってアンテナアレイに送信することができる。これにより、アンテナアレイに結合された電力線路(たとえば、配線やコネクタ)に必要なスペース、および/または、干渉の可能性をさらに低減することができる。
【0018】
[0024]本開示の態様は、多くの技術的効果および利益を達成することができる。たとえば、1つの制御信号(および/または複数の制御信号)を、無線周波数信号に変調し、組み合わされた信号を、単一の送信線路を介して通信することにより、モバイルデバイス内で制御信号を通信するために必要なデバイススペースの低減を可能にすることができる。追加的および/または代替的に、これは、コネクタ、配線などのコストの低減など、全体的なコストの低減をもたらすことができる。たとえば、送信線路は、アンテナアレイを動作させるために必要な信号のいくつかまたはすべてのために、(たとえば、追加の制御信号線路を収容するための)追加のスペースおよび/または配線を必要とすることなく、アンテナアレイのいずれかの動作に必要な信号のほとんどまたはすべてを送信するように構成することができる。これにより、たとえば、送信線路および/またはモバイルデバイスの他の構成要素との間の干渉を低減することができる。
【0019】
[0025]本開示の例示的な態様によれば、アンテナシステムは、複数のアンテナ素子を含むアンテナアレイを含むことができる。アンテナシステムは、アンテナアレイを制御するように構成されたアレイコントローラを含むことができる。たとえば、アレイコントローラは、ビームフォーミングなどの無線周波数通信用のアンテナアレイを動作させるために、アンテナアレイの動作を制御するように構成することができる。たとえば、アンテナアレイは、アンテナアレイにおいてビームフォーミングするために、複数のアンテナ素子のいくつかまたはすべての位相(たとえば、位相シフト)および/または振幅を制御することができる。いくつかの実施形態では、無線周波数通信は、(たとえば、約24GHzから約86GHzの周波数帯域内において)5G通信とすることができる。
【0020】
[0026]別の例として、いくつかの実施形態では、無線周波数通信は、MIMO通信(たとえば、5G MIMO通信)とすることができる、および/または、それを含むことができる。たとえば、アンテナアレイは、(たとえば、第2、第3、第4などのアンテナアレイなどの1つまたは複数の追加のアンテナアレイと、および/または、これらからの)MIMO通信をサポートするために、1つまたは複数の追加のアンテナ素子を提供することができる。1つの例として、第2のアレイコントローラは、第1のアンテナアレイを備えたMIMO構成において、第2のアンテナアレイを動作させるために、第2のアンテナアレイの1つまたは複数の追加のアンテナ素子を提供するように構成することができる。
【0021】
[0027]アンテナシステムは、無線周波数(RF)回路を含むことができる。追加的に、アンテナシステムは、無線周波数回路をアレイコントローラに結合する送信線路を含むことができる。たとえば、送信線路は、アンテナアレイを介した通信のための無線周波数信号を搬送するように構成することができる。
【0022】
[0028]いくつかの実施形態では、送信線路は、単一の同軸ケーブルであってもよい。無線周波数回路は、(たとえば、制御回路からの)アンテナアレイ制御信号を無線周波数信号に変調して、送信線路を介したアレイコントローラへの通信のための送信信号を生成するように構成されてもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、無線周波数回路は、アンテナアレイ制御信号を無線周波数信号に変調するために、振幅シフトキーイング変調を実行することができる。いくつかの実施形態では、振幅シフトキーイング変調は、オンオフキーイング変調を含んでもよい。いくつかの実施形態では、送信信号は、アンテナアレイコントローラ用のDC電力をさらに含むことができる。たとえば、送信信号は、アンテナアレイコントローラを動作させるための十分な電力を提供することができる。
【0023】
[0029]送信信号は、送信線路を介してアレイコントローラに送信することができる。アレイコントローラは、アレイコントローラが、アンテナアレイ制御信号を介して、1つまたは複数のアンテナアレイの動作を制御できるように、アンテナアレイ制御信号を復調するように構成することができる。たとえば、アンテナアレイ制御信号は、アンテナアレイの複数のアンテナ素子のいくつかまたはすべて(たとえば、各々)の位相シフトおよび/または振幅を指定することができる。アレイコントローラは、アンテナアレイを制御するために複数のアンテナ素子の各々において、位相シフトおよび振幅を実施するように構成することができる。たとえば、アンテナアレイにおいて、ビームフォーミングを提供するために、位相シフトおよび振幅が実施することができる。
【0024】
[0030]追加的および/または代替的に、いくつかの実施形態では、アンテナアレイコントローラは、複数の独立したコントローラを含む多段アンテナアレイコントローラであることができる。たとえば、いくつかの実施形態では、送信信号は、第1のアンテナアレイコントローラによって受信および/または復号することができ、第2のアンテナアレイコントローラに転送することができる。いくつかの実施形態では、第1のアンテナアレイコントローラおよび第2のアンテナアレイコントローラは、近接することができる(たとえば、同じ回路基板および/または隣接する回路基板上に配置され、および/または、そうではない場合、隣接する要素である)。
【0025】
[0031]追加的および/または代替的に、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の寄生素子は、アンテナアレイに近接して配置することができる。寄生素子は、アンテナアレイにおいて、ビームステアリングを提供するように調整することができる。「ビームステアリング」は、アンテナビームの高利得の方向が、特定の方向(たとえば、基地局の方向)に向けられるようにアンテナビームを動的にステアリングすることを指す。たとえば、調整回路は、アンテナアレイからの放射パターンをステアリングするために、寄生素子を調整する(たとえば、寄生素子におけるリアクタンスを変化させる)ことができる。ビームステアリングのための調整回路において実施される寄生素子制御信号は、送信線路を介して(たとえば、制御回路から調整回路に)さらに送信することができる。1つの例として、寄生素子制御信号は追加的に(たとえば、無線周波数回路によって)(たとえば、振幅シフトキーイング変調によって)送信信号に変調される。
【0026】
[0032]たとえば、アンテナシステムは、寄生素子に結合された調整回路を含むことができる。寄生素子は、アンテナアレイに近接して配置することができる。無線周波数回路は、寄生素子制御信号を(たとえば、アンテナアレイ制御信号に加えて)無線周波数信号に変調して、送信線路を介した調整回路への通信のための送信信号を生成するように構成することができる。調整回路は、送信信号から寄生素子制御信号を復調し、寄生素子制御信号に基づいて、ビームステアリングのための寄生素子の動作を制御するように構成することができる。
【0027】
[0033]本明細書に説明されるような振幅シフトキーイング変調を採用することは、いくつかの利点を提供する場合がある。たとえば、無線周波数信号および/または制御信号(たとえば、アンテナアレイ制御信号)は、干渉および/またはノイズが低い単一の送信線路を介して(送信単一の構成要素として)送信されてもよい。たとえば、振幅シフトキーイングは、制御信号および/または無線周波数信号に関連付けられた高調波周波数における共振を低減してもよい。これにより、制御信号を無線周波数信号に変調し、制御信号を復調することに関連付けられたノイズを低減してもよい。結果として得られる高い忠実度の制御信号の送信は、アンテナアレイの動作に対する正確で効率的な制御を提供する場合がある。
【0028】
[0034]いくつかの実施形態では、無線周波数回路は、搬送波信号に関連付けられた振幅を選択的に変化させることによって、制御信号を無線周波数信号に変調するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、無線周波数回路は、振幅を、約ゼロと非ゼロ値との間で選択的に変化させるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、搬送波周波数信号は、繰り返しパターンを含んでもよい。たとえば、搬送波周波数信号は、一般に、一定の周波数を有する正弦波を含んでもよい。
【0029】
[0035]いくつかの実施形態では、無線周波数信号は、第1の周波数帯域内で定義されてもよく、制御信号は、第1の周波数帯域とは異なる第2の周波数帯域内で定義されてもよい。たとえば、第1の周波数帯域は、約24GHzから約86GHzの範囲であってもよい。別の例として、第2の周波数帯域は、約10MHzから約1GHzの範囲であってもよい。
【0030】
[0036]いくつかの実施形態では、アンテナシステムは、第1の回路基板と、第1の回路基板から物理的に分離された第2の回路基板とを含んでもよい。無線周波数回路は、第1の回路基板上に配置することができ、アレイコントローラ、調整回路、またはアンテナアレイのうちの少なくとも1つが、第2の回路基板上に配置することができる。
【0031】
[0037]いくつかの実施形態では、無線周波数回路は、制御信号を生成するように構成された制御回路を含んでもよい。追加的および/または代替的に、無線周波数回路は、(たとえば、振幅シフトキーイング変調を使用して)制御信号を、無線周波数信号に変調して、送信信号を生成するように構成された変調器回路を含むことができる。
【0032】
[0038]追加的および/または代替的に、いくつかの実施形態では、複数のアンテナアレイの構成は、MIMO通信をサポートすることができる。たとえば、メインアンテナアレイの1つまたは複数のアンテナ素子が、MIMOおよび/またはダイバーシティをサポートするために使用されるものから、ビームステアリングまたはビームフォーミング用に使用されるものに切り替えることができる。それに加えて、および/または、代替で、異なるアンテナアレイからの1つまたは複数の追加のアンテナ素子が、MIMOおよび/またはダイバーシティをサポートするために使用されるものから、ビームステアリングまたはビームフォーミング用に使用されるものに切り替えることができる。いくつかの実施形態では、アンテナアレイの各々は、(たとえば、固有の受信機との)固有の動作のために構成することができる。たとえば、アンテナアレイにおける複数のアンテナ素子の各々の位相および/または振幅は、(たとえば、放射パターンを確立するために)ビームフォーミングおよび/またはビームステアリングのために構成することができる。いくつかの実施形態では、アンテナアレイのうちの1つ(たとえば、メインアンテナアレイ)は、通信プロトコル(たとえば、3G、4G(LTE)、5Gプロトコルなどのセルラ通信プロトコル)を介した主通信のために使用することができ、メインアンテナアレイの通信をサポートするための二次機能を提供するために、1つまたは複数の異なるアンテナアレイを使用することができる。たとえば、メインアンテナアレイのMIMOおよび/またはダイバーシティ動作をさらに強化するために、異なるアンテナアレイを使用することができる。
【0033】
[0039]本開示の別の例示的な実施形態は、アンテナアレイを制御するための方法に関する。この方法は、送信信号を作成するために、無線周波数回路において、振幅シフトキーイング変調を使用して、制御信号(たとえば、アンテナアレイ制御信号)を、無線周波数信号に変調することを含んでもよい。この方法は、送信信号を、単一の同軸送信線路を介して、アレイコントローラに通信することを含んでもよい。この方法は、無線周波数信号から制御信号を抽出するために、アレイコントローラにおいて、送信信号を復調することを含んでもよい。この方法は、無線周波数回路から、無線周波数通信(たとえば、ビームフォーミング)用のアンテナアレイを動作させるために、制御信号およびアレイコントローラを介して、アンテナアレイ(たとえば、アンテナアレイの複数のアンテナ素子)の構成を制御することを含んでもよい。たとえば、無線周波数通信は、5G通信、MIMO通信などとすることができる。1つの例として、アンテナアレイにおける1つまたは複数のアンテナ素子の位相シフトおよび/または振幅が、アンテナアレイにおいて、ビームフォーミングするように制御することができる。
【0034】
[0040]いくつかの実施形態では、無線周波数回路において、振幅シフトキーイング変調を使用して、制御信号を、無線周波数信号に変調することは、オンオフキーイング変調を使用して、無線周波数信号を変調することを含むことができる。
【0035】
[0041]いくつかの実施形態では、制御信号を、無線周波数信号に変調することは、搬送波信号に関連付けられた振幅を、選択的に変化させることを含むことができる。いくつかの実施形態では、搬送波信号に関連付けられた振幅を、選択的に変化させることは、振幅を、約ゼロと非ゼロ値との間で変化させることを含んでもよい。いくつかの実施形態では、搬送波信号は、一般に、一定の周波数または任意の繰り返しパターンを有する正弦波のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0036】
[0042]本明細書で使用される場合、「モバイルデバイス」は、ワイヤレスで通信することができ、通常の動作中に、ユーザの手によって携帯されることが可能な電子デバイスである。例示的なモバイルデバイスは、スマートフォン、タブレット、ラップトップ、ウェアラブルデバイス、携帯情報端末、およびポータブルデジタル音楽プレーヤを含む。本明細書で使用される場合、数値と組み合わせた「約」という用語の使用は、記載された数値の10%以内を指す。
【0037】
[0043]図1は、セルラ通信および/または他のワイヤレス通信をサポートし、本開示の例示的な実施形態によるビームステアリングまたはビームフォーミング機能を有する例示的なモバイルデバイス100を示す。図示されるように、モバイルデバイスは、ハウジング104を含む。ハウジング104は、複数の異なる表面(たとえば、エッジ表面)を含むことができる。
【0038】
[0044]例示されるように、ハウジング104は、4つのアンテナアレイである第1のアンテナアレイ110、第2のアンテナアレイ120、第3のアンテナアレイ130、および第4のアンテナアレイ140を収容する。例示および議論のために、3つのアンテナアレイが例示される。本明細書で提供される開示を使用する当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、より多い、またはより少ないアンテナアレイを使用することができることを理解するであろう。
【0039】
[0045]第1のアンテナアレイ110、第2のアンテナアレイ120、第3のアンテナアレイ130、および第4のアンテナアレイ140の各々は、複数のアンテナ素子を含むことができる。各アンテナ素子は、5G通信プロトコルなどのセルラ通信プロトコルを介して、1つまたは複数の信号を通信するように構成することができる。各アンテナ素子は、周波数帯域(たとえば、約24GHzから約86GHzの範囲)において、1つまたは複数の信号を通信するように構成することができる。いくつかの実施形態では、各アンテナアレイ110、120、130、140は、基板(たとえば、回路基板)上に配置された複数のアンテナ素子(たとえば、放射素子)を含むことができる。
【0040】
[0046]モバイルデバイス100は、中央回路150を含むことができる。たとえば、中央回路150は、ベースバンドプロセッサ(たとえば、ホストCPU)、無線周波数回路、変調器回路、制御回路、および/または他の任意の適切な要素を含むことができる。中央回路150は、図1においてモバイルデバイス100の中心近くにあるように描かれているが、中央回路は、モバイルデバイス100内の任意の適切な場所に配置することができる。
【0041】
[0047]中央回路150は、アンテナアレイ110、120、130、140から物理的に分離することができる。たとえば、第1のアンテナアレイ110、第2のアンテナアレイ120、第3のアンテナアレイ130、および第4のアンテナアレイ140の各々は、1つまたは複数の送信線路105によって中央回路150に結合することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、送信線路105は、同軸ケーブルとすることができる。たとえば、同軸ケーブルは、(たとえば、いくつかの送信線路と比較して)通信のための追加のスペースを必要とせずに、アンテナアレイ110、120、130、140のいずれかの動作に必要な信号のほとんどまたはすべてを送信するように構成することができる。本開示の例示的な態様によれば、中央回路150からの信号は、制御信号(たとえば、アンテナアレイ制御信号)を、無線周波数信号に変調して、送信信号を形成し、送信信号を、送信線路105を介して(たとえば、単一の同軸ケーブルを介して)通信することによって、アンテナアレイ110、120、130、140に通信することができる。アレイコントローラは、その後、アンテナアレイ110、120、130、140を動作させるために、制御信号を復調することができる。
【0042】
[0048]図2A図2Cは、3つの異なる位相シフトに対応する3つの異なる放射パターンの例を例示する。この例では、モバイルデバイスは、Y方向において最大利得を有する第1の放射パターンを生成する、第1のアンテナアレイ、または、第1のアンテナアレイの1つまたは複数の第1のアンテナ素子と、Z方向において最大利得を有する第2の放射パターンを生成する、第2のアンテナアレイ、または、第2のアンテナアレイの1つまたは複数の第2のアンテナ素子とを含むように構成される。図2Aは、時間遅延または位相シフトが、第2の放射パターンからの寄与がほとんど無視できるように設定され、Y方向において最大利得を有する複合放射パターンをもたらす第1のモードを例示する。図2Bは、時間遅延または位相シフトが、第1および第2の放射パターンが同相で共存するように設定され、Y+Z方向において最大利得を有する複合放射パターンをもたらす第2のモードを例示する。図2Cは、時間遅延または位相シフトが、第1の放射パターンからの寄与がほとんど無視できるように設定され、Z方向において最大利得を有する複合放射パターンをもたらす第3のモードを例示する。
【0043】
[0049]図3は、本開示の例示的な実施形態による、MIMO動作における第1のアンテナアレイ110および第2のアンテナアレイ120の例示的な構成を示す。本明細書で使用される場合、1つまたは複数のアンテナアレイの構成は、1つまたは複数のアンテナアレイの1つまたは複数のアンテナ素子(たとえば、アンテナ素子の各々)に関連付けられた位相および/または振幅(たとえば、位相シフトおよび/または振幅シフト)の仕様を含むことができる。追加的および/または代替的に、アンテナアレイの構成は、第1のアンテナアレイを備えたMIMO構成において動作する、第2のアンテナアレイのいくつかまたはすべてのアンテナ素子の仕様を含むことができる。たとえば、構成202では、複数の第1のアンテナ素子112が、通信プロトコル(たとえば、5G通信プロトコル)を介した主通信をサポートするように構成される。複数の第1のアンテナ素子112は、MIMOモードにおいて、通信プロトコルを介して通信することができる。たとえば、複数の第1のアンテナ素子112は、4×4 MIMOモードにおける動作のために構成することができる。
【0044】
[0050]構成202において、第2のアンテナアレイ120に関連付けられた複数の第2のアンテナ素子122は、第1のアンテナアレイ110における第1のアンテナ素子112の主通信をサポートするための二次機能を提供するように構成される。たとえば、第2のアンテナアレイ120の複数の第2のアンテナ素子122は、第1のアンテナアレイ110における第1のアンテナ素子112のために、追加のMIMO機能および/またはダイバーシティを提供することができる。
【0045】
[0051]この構成202では、第2のアンテナ素子122の第1のサブセット126は、第1のアンテナアレイ110の第1のアンテナ素子112をサポートするための二次機能を提供するように構成される。第1のサブセット126は、第2のアンテナアレイ120における第2のアンテナ素子122のすべてを含む。第2のアンテナアレイ120の第2のサブセット(アンテナ素子なし)は、第1のアンテナアレイ110の第1のアンテナ素子112のビームステアリングまたはビームフォーミングをサポートするように構成される。
【0046】
[0052]本開示の例示的な態様によれば、制御回路は、第1のアンテナアレイ110および第2のアンテナアレイ120の構成を、構成202から構成204に調節することができる。構成204において、第2のアンテナ素子122のサブセット124は、第1のアンテナアレイ110の第1のアンテナ素子112のビームステアリングまたはビームフォーミングをサポートするように構成された。第2のアンテナ素子122のサブセット126は、第1のアンテナアレイ110の第1のアンテナ素子112の二次機能(たとえば、MIMO、ダイバーシティ)をサポートするように、依然として構成されている。
【0047】
[0053]図3の例は、例示および議論の目的で、2つのアンテナアレイにわたるアンテナ素子の構成を論じる。本明細書で提供される開示を使用する当業者は、アンテナ素子が、本開示の範囲から逸脱することなく、単一のアンテナアレイ、または2つより多いアンテナアレイと関連付けることができることを理解するであろう。たとえば、アンテナ素子112、122は、本開示の範囲から逸脱することなく、単一のアンテナアレイのすべてのパーツであることができる。別の例として、第1のアンテナアレイ110、第2のアンテナアレイ120、第3のアンテナアレイ130、および/または第4のアンテナアレイ140にわたるアンテナ素子は各々、本開示の範囲から逸脱することなく、(たとえば、単独でおよび/または組み合わせて)使用することができる
【0048】
[0054]いくつかの実施形態では、この例におけるビームフォーミングまたはビームステアリングのためのアンテナ素子を構成するためのメカニズムは、たとえば、アンテナ素子に通信される信号に、位相シフトおよび/または振幅シフトを導入することによって実施することができる。いくつかの実施では、位相シフトおよび/または振幅シフトは、遅延線路を使用して通信される信号に、時間遅延を導入する遅延線路を使用して実施することができる。いくつかの実施形態では、位相シフトは、位相シフタを使用して実施することができる。1つの例として、位相シフトおよび/または振幅は、アレイコントローラにおいて実施することができる。
【0049】
[0055]図4は、本開示の例示的な態様による例示的なアンテナシステム400を例示する。アンテナシステム400は、無線周波数回路410および2つのアンテナアレイ420を含むことができる。例示の目的で2つのアンテナアレイ420が例示され、本開示の態様にしたがって、それよりも多い、または少ないアンテナアレイ420を使用することができることを理解されたい。たとえば、いくつかの実施形態では、4つのアンテナアレイ420を使用することができる。いくつかの実施形態では、無線周波数回路410およびアンテナアレイ420の各々は、別個の回路基板上に配置することができる。たとえば、無線周波数回路410およびその構成要素は、第1の回路基板上に配置され、第1のアンテナアレイ420およびその構成要素(たとえば、アンテナ素子422、フロントエンドモジュール424、アレイコントローラ426)は、第2の回路基板上に配置することができる。追加のアンテナアレイ420は、追加の回路基板上に配置することができる。1つの例として、アンテナシステム400は、第1の回路基板と、第1の回路基板から物理的に分離された第2の回路基板とを含むことができる。変調器回路406が、第1の回路基板上に配置することができ、アレイコントローラ426またはアンテナアレイ(たとえば、複数のアンテナ素子422)のうちの少なくとも1つが、第2の回路基板上に配置することができる。
【0050】
[0056]無線周波数回路410は、送信線路415によってアンテナアレイ420に結合することができる。たとえば、送信線路415は、アンテナアレイ420および/または無線周波数信号のための制御信号を含む送信信号を送信するように構成された同軸ケーブルとすることができる(たとえば、各送信線路415は、単一の同軸ケーブルとすることができる)。
【0051】
[0057]無線周波数回路410は、ホストCPU402を含むことができる。ホストCPU402は、アンテナシステム400によって信号を受信および/または送信するステップを含む動作を実行するように構成することができる。1つの例として、ホストCPU402は、アンテナシステム400を収容するモバイルデバイスの中央プロセッサであることができる。たとえば、ホストCPU402は、セル電話および/またはスマートフォンの中央プロセッサであることができる。
【0052】
[0058]無線周波数回路410は、制御回路404を含むことができる。制御回路404は、信号に固有の(native)周波数(たとえば、ベースバンド周波数)において、ホストCPU402からの信号を処理するように構成することができる。たとえば、制御回路404は、ホストCPU402への送信、および/または、ホストCPU402からの送信のための信号を準備するように動作可能とすることができる。いくつかの実施形態では、ホストCPU402および制御回路404は、信号トレースによって(たとえば、プリント回路基板などの回路基板上で)結合することができる。
【0053】
[0059]無線周波数回路410は、変調器回路406を含むことができる。変調器回路406は、アンテナアレイ制御信号(たとえば、制御回路404からの)を無線周波数信号に変調して、送信線路415を介した通信のための送信信号を生成するように構成することができる。たとえば、送信信号は、送信線路415を介して、フロントエンドモジュール424および/またはアレイコントローラ426などのアンテナアレイ420に通信することができる。
【0054】
[0060]アンテナアレイ420は、複数のアンテナ素子422を含むことができる。複数のアンテナ素子422は、図2を参照して論じられるように構成可能とすることができる。たとえば、複数のアンテナ素子422の構成は、無線周波数通信(たとえば、5G通信、MIMO通信)用のアンテナアレイ420を動作させるように調節することができる。
【0055】
[0061]アンテナアレイ420は、フロントエンドモジュール424を含むことができる。フロントエンドモジュール424は、複数のアンテナ素子422に送信する前に、および/または、複数のアンテナ素子422から受信した後に、信号を処理するように構成することができる。たとえば、フロントエンドモジュール424は、信号をアップサンプリングおよび/またはダウンサンプリングし、位相シフト、エンベロープ追跡、および/またはフロントエンドモジュールの他の任意の適切な機能を実行するように構成することができる。図4に例示されるように、フロントエンドモジュール424は、アンテナアレイ420に近接して(たとえば、アンテナアレイ420と同じ回路基板上に)配置することができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、フロントエンドモジュール424は、無線周波数回路410に近接して(たとえば、無線周波数回路410と同じ回路基板上に)配置することができる。いくつかの実施形態では、フロントエンドモジュール424の一部は、無線周波数回路410および/またはアンテナアレイ420の両方の間に分散することができる。これは、図5および図6に関して以下でさらに論じられる。
【0056】
[0062]アンテナアレイ420は、アレイコントローラ426を含むことができる。アレイコントローラ426は、アレイコントローラ426が、アンテナアレイ制御信号を介して、アンテナアレイ420(たとえば、複数のアンテナ素子422)の動作を制御できるように、送信信号から(たとえば、変調器回路406から、および送信線路415を介して)アンテナアレイ制御信号を復調するように構成することができる。1つの例として、アレイコントローラ426は、複数のアンテナ素子422のいくつかまたはすべての位相シフトおよび/または振幅を構成することができる。別の例として、いくつかの実施形態では、アレイコントローラ426は、追加のアンテナアレイ420の複数のアレイ素子422と連携して、MIMO通信のための追加のアンテナ素子として機能するように、複数のアンテナ素子422を構成することができる。
【0057】
[0063]図5は、本開示の例示的な実施形態による、集中型フロントエンドモジュール構成を備えたアンテナシステムを有するモバイルデバイス500を示す。モバイルデバイス500は、集中型フロントエンドモジュール510を含むことができる。図5に例示されるように、集中型フロントエンドモジュール510は、中央回路150に近接して配置することができる。たとえば、集中型フロントエンドモジュールは、中央回路150と同じ回路基板上に配置することができる。集中型フロントエンドモジュールは、アンテナアレイ110、120、130、140の一部またはすべてのために、フロントエンド処理を実行するように構成することができる。
【0058】
[0064]図6は、本開示の例示的な実施形態による、分散型フロントエンドモジュール構成を備えたアンテナシステムを有するモバイルデバイス600を示す。図6に例示されるように、フロントエンドシステムは、フロントエンドモジュールシステムの中央部分(たとえば、中央フロントエンドモジュール)650と、フロントエンドモジュールシステムの複数のアンテナ近接部分(たとえば、アンテナ近接フロントエンドモジュール)610、620、630、640とを含むことができる。たとえば、中央フロントエンドモジュール650は、中央回路150に近接して配置することができる。1つの例として、中央フロントエンドモジュール650は、中央回路150と同じ回路基板上に配置することができる。中央フロントエンドモジュール650は、送信線路105による信号の送信前に、信号のフロントエンド処理の少なくとも一部を実行するように構成することができる。たとえば、中央フロントエンドモジュール650は、アンテナアレイ110、120、130、140の各々に共通のフロントエンド処理を実行することができる。追加的および/または代替的に、アンテナ近接フロントエンドモジュール610、620、630、640は、アンテナアレイ110、120、130、140の各々に対して一意にフロントエンド処理を実行することができる。いくつかの実施形態では、アンテナ近接フロントエンドモジュール610、620、630、640は、それぞれのアンテナアレイ110、120、130、140と同じ回路基板上に配置することができる。たとえば、中央フロントエンドモジュール650は、送信線路105を介してアンテナ近接フロントエンドモジュール610、620、630、640の各々と信号通信することができる。
【0059】
[0065]図7は、本開示の例示的な実施形態によるアンテナアレイを動作させるための例示的な方法700のフロー図を示す。図7は、例示および議論の目的で特定の順序で実行されるステップを示す。本明細書に提供される開示を使用する当業者は、本明細書に記載の方法のいずれかの様々なステップが、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な手法で省略、拡張、同時実行、再配置、および/または修正できることを理解するであろう。それに加えて、本開示の範囲から逸脱することなく、様々なステップ(図示せず)を実行することができる。追加的に、方法700は、一般に、図1から図6を参照して上述されたコンピューティングデバイスおよび/またはアンテナシステム100~600を参照して論じられる。しかしながら、本方法700の態様は、アンテナアレイを含む任意の適切なアンテナシステムとの用途を見出す場合があることを理解されたい。
【0060】
[0066]方法700は、(702)において、無線周波数回路において、アンテナアレイ制御信号を、無線周波数信号に変調して、送信信号を生成することを含むことができる。たとえば、アンテナアレイ制御信号は、振幅シフトキーイング変調を使用して、無線周波数信号に変調することができ、送信信号を生成する。たとえば、アンテナアレイ制御信号は、(たとえば、複数のアンテナ素子の)アンテナアレイの構成を変更するための、または、そうではない場合、アンテナアレイの放射パターンの方位または周波数を調節するための制御命令を含んでもよい。たとえば、無線周波数回路は、図1から図6を参照して上述したように、振幅シフトキーイング変調を使用して、アンテナアレイ制御信号を無線周波数信号に変調して、送信信号を生成するように構成された制御回路を含んでもよい。いくつかの実施形態では、無線周波数回路において、振幅シフトキーイング変調を使用して、制御信号を無線周波数信号に変調することは、オンオフキーイング変調を使用して無線周波数信号を変調することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、制御信号を無線周波数信号に変調することは、搬送波信号に関連付けられた振幅を選択的に変化させることを含んでもよい。いくつかの実施形態では、搬送波信号に関連付けられた振幅を選択的に変化させることは、振幅を、約ゼロと非ゼロ値との間で変化させることを含んでもよい。いくつかの実施形態では、搬送波信号は、正弦波を含んでもよい。正弦波は、一般に、一定の周波数を有してもよく、またはいくつかの実施形態では、任意の適切な繰り返しパターンを含んでもよい。
【0061】
[0067]方法700は、(704)において、送信線路を介して、送信信号をアレイコントローラに通信することを含むことができる。送信線路は、単一の同軸送信線路とすることができる。たとえば、図1から図6を参照して上述したように、無線周波数回路は、無線周波数信号を、送信線路を介してアレイコントローラに通信してもよいフロントエンドモジュールを含んでもよい。
【0062】
[0068]方法700は、(706)において、アレイコントローラにおいて、アンテナアレイ制御信号を復調することを含んでもよい。たとえば、図4を参照して上述したように、アレイコントローラは、送信信号から、アンテナアレイ制御信号を復調するように構成されてもよい。アレイコントローラはまた、制御信号をフィルタリングおよび/または増幅して、搬送波信号に関連付けられた搬送波信号周波数の強度を分離または相対的に増加させるように構成されてもよい。(たとえば、アレイコントローラに含まれる)論理回路は、アンテナアレイ制御信号に関連付けられた(たとえば、含まれた)制御命令を解釈するように構成されてもよい。
【0063】
[0069]方法700は、(708)において、アンテナアレイ制御信号に少なくとも部分的に基づいて、アンテナアレイの動作を制御することを含んでもよい。たとえば、アレイコントローラは、無線周波数通信用のアンテナアレイを動作させるために、アンテナアレイの動作を制御するように構成することができる。1つの例として、無線周波数通信は、5G通信とすることができる。別の例として、無線周波数通信は、MIMO通信(たとえば、5G MIMO通信)とすることができる。1つの例として、アンテナアレイにおける複数のアンテナ素子の各々の位相シフトおよび/または振幅は、アレイコントローラによって実施することができる。
【0064】
[0070]別の例として、いくつかの実施形態では、アンテナアレイは、(たとえば、第2、第3、第4などのアンテナアレイのような、1つまたは複数の追加のアンテナアレイを備えた、および/または、それらからの)MIMO通信をサポートするための1つまたは複数の追加のアンテナ素子を提供することができる。1つの例として、第2のアレイコントローラは、第1のアンテナアレイを備えたMIMO構成において、第2のアンテナアレイを動作させるために、第2のアンテナアレイの1つまたは複数の追加のアンテナ素子を提供するように構成することができる。
【0065】
[0071]本主題は、その特定の例示的な実施形態に関して詳細に説明されたが、当業者は、前述の理解を得ると、そのような実施形態に対する変更、変形、および同等物を容易に生成してもよいことが認識されるであろう。したがって、本開示の範囲は、限定ではなく例によるものであり、主題の開示は、当業者に容易に明らかであるような本主題へのそのような修正、変形、および/または追加を含むことを排除するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7