IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 華為技術有限公司の特許一覧

特許7523570アンテナ、アンテナモジュール、および無線ネットワーク機器
<>
  • 特許-アンテナ、アンテナモジュール、および無線ネットワーク機器 図1
  • 特許-アンテナ、アンテナモジュール、および無線ネットワーク機器 図2
  • 特許-アンテナ、アンテナモジュール、および無線ネットワーク機器 図3
  • 特許-アンテナ、アンテナモジュール、および無線ネットワーク機器 図4
  • 特許-アンテナ、アンテナモジュール、および無線ネットワーク機器 図5
  • 特許-アンテナ、アンテナモジュール、および無線ネットワーク機器 図6
  • 特許-アンテナ、アンテナモジュール、および無線ネットワーク機器 図7
  • 特許-アンテナ、アンテナモジュール、および無線ネットワーク機器 図8
  • 特許-アンテナ、アンテナモジュール、および無線ネットワーク機器 図9
  • 特許-アンテナ、アンテナモジュール、および無線ネットワーク機器 図10
  • 特許-アンテナ、アンテナモジュール、および無線ネットワーク機器 図11
  • 特許-アンテナ、アンテナモジュール、および無線ネットワーク機器 図12
  • 特許-アンテナ、アンテナモジュール、および無線ネットワーク機器 図13
  • 特許-アンテナ、アンテナモジュール、および無線ネットワーク機器 図14
  • 特許-アンテナ、アンテナモジュール、および無線ネットワーク機器 図15
  • 特許-アンテナ、アンテナモジュール、および無線ネットワーク機器 図16
  • 特許-アンテナ、アンテナモジュール、および無線ネットワーク機器 図17
  • 特許-アンテナ、アンテナモジュール、および無線ネットワーク機器 図18
  • 特許-アンテナ、アンテナモジュール、および無線ネットワーク機器 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】アンテナ、アンテナモジュール、および無線ネットワーク機器
(51)【国際特許分類】
   H01Q 21/24 20060101AFI20240719BHJP
   H01Q 21/30 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
H01Q21/24
H01Q21/30
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022557971
(86)(22)【出願日】2021-03-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-02
(86)【国際出願番号】 CN2021081771
(87)【国際公開番号】W WO2021190411
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-10-31
(31)【優先権主張番号】202010215335.0
(32)【優先日】2020-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 進
(72)【発明者】
【氏名】邵 金▲進▼
(72)【発明者】
【氏名】石 操
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/035771(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 21/24
H01Q 21/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折返しアンテナと、ダイポールアンテナと、結合構造とを備えるアンテナであって、
前記折返しアンテナの一次ラジエータの拡張方向が第1の方向であり、前記ダイポールアンテナの一次ラジエータの拡張方向が第2の方向であり、前記第1の方向が前記第2の方向と直交し、
前記第2の方向において、前記折返しアンテナは、前記ダイポールアンテナの一端に配置されており、
前記折返しアンテナの動作周波数が第1の周波数帯域であり、前記ダイポールアンテナの前記動作周波数が第2の周波数帯域を含み、前記第1の周波数帯域が前記第2の周波数帯域よりも高く、
前記結合構造が、前記折返しアンテナと前記ダイポールアンテナとの間に接続されており、
前記折返しアンテナの前記一次ラジエータが、間隔をおいて対向して配置された第1の放射部および第2の放射部を備え、前記折返しアンテナが、前記第1の放射部と前記第2の放射部との間に接続され、かつ前記第1の放射部と前記第2の放射部と共にリング状アーキテクチャを構成する第1の接続部および第2の接続部をさらに備え、
前記第1の接続部が、第3の方向に相互に延びる、蛇行状、鋸歯状、または波状である拡張経路を含む第1のケーブル配線を備え、前記第1のケーブル配線が、無放射線誘導負荷を形成するように構成され、前記第3の方向が、前記第2の方向と角度を形成し、
前記第2の周波数帯域において、前記結合構造が共振を発生し、その結果、前記折返しアンテナの前記第1の接続部および前記第2の接続部と前記ダイポールアンテナとが放射を行い、
前記第1の周波数帯域において、前記結合構造がアイソレーション機能を有する、
アンテナ。
【請求項2】
前記結合構造が、第1の結合配線および第2の結合配線を含み、前記第1の結合配線が前記折返しアンテナに接続され、前記第2の結合配線が前記ダイポールアンテナに接続され、前記第1の結合配線と前記第2の結合配線との間に隙間が形成され、直列に接続された等価インダクタおよびキャパシタが構成されている、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項3】
前記第1の結合配線が、前記折返しアンテナの前記一次ラジエータに垂直であり、前記第2の結合配線が、前記第1の結合配線に平行である、請求項2に記載のアンテナ。
【請求項4】
2本の第2の結合配線があり、前記2本の第2の結合配線が前記第1の結合配線の2つの側に並列に配置されている、請求項2または3に記載のアンテナ。
【請求項5】
前記第1の放射部と前記第2の放射部との間に収容空間が形成され、前記第1のケーブル配線の前記拡張経路が前記収容空間内に位置する、請求項に記載のアンテナ。
【請求項6】
前記第1の接続部が、前記第1のケーブル配線の2つの側に対称に配置された第3の配線および第4の配線をさらに備え、前記第1のケーブル配線が、前記第3の配線を使用することによって前記第1の放射部に接続され、前記第1のケーブル配線が、前記第4の配線を使用することによって前記第2の放射部に接続されている、請求項からのいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項7】
前記第2の接続部が、前記第1の放射部と前記第2の放射部との間に順次接続された、第5の配線と、第2のケーブル配線と、第6の配線とを備え、前記第2のケーブル配線が、前記第3の方向に相互に延びるアーキテクチャであり、無放射誘導負荷を形成するように構成され、前記第5の配線が、前記第3の配線および前記第1の放射部と共に半波ラジエータを形成する、請求項に記載のアンテナ。
【請求項8】
前記第2の放射部が、第1の一次ボディ、第2の一次ボディ、および給電スタブを備え、前記第1の一次ボディが、第1の接続端、および第1の給電端を備え、前記第1の接続端が、前記第1の接続部に接続され、前記第2の一次ボディが、第2の接続端、および第2の給電端を備え、前記第2の接続端が前記第2の接続部に接続され、前記第1の給電端、および前記第2の給電端が、互いに対向して配置され、その間に隙間を形成し、前記給電スタブが、前記第1の給電端に接続され、前記給電スタブが、前記第2の一次ボディに対向する開口部を有するエンクロージャゾーンを形成し、前記第2の一次ボディの少なくとも一部が、前記エンクロージャゾーン内に延び、前記第2の給電端が前記エンクロージャゾーン内に位置し、前記給電スタブが、前記エンクロージャゾーンにおける前記第2の一次ボディの前記一部とコプレーナ導波路構造を形成し、給電穴が、前記第2の一次ボディに設けられ、前記給電コプレーナ導波路構造に第1の給電線を電気的に接続して前記折返しアンテナを給電するために、前記給電穴が、前記第1の給電線が通過するために使用される、請求項からのいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項9】
前記ダイポールアンテナが、高周波放射要素および低周波放射要素を備え、前記結合構造が、前記低周波放射要素に接続され、前記低周波放射要素の動作周波数が、第2の周波数帯域であり、前記高周波放射要素の動作周波数が、第3の周波数帯域および第4の周波数帯域であり、前記第4の周波数帯域が、前記第3の周波数帯域よりも高く、前記第3の周波数帯域が、前記第2の周波数帯域よりも高い、請求項1からのいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項10】
前記低周波放射要素が軸対称構造であり、前記低周波放射要素の対称軸が中心軸であり、それぞれ前記中心軸の2つの側に2つの結合構造がある、請求項に記載のアンテナ。
【請求項11】
前記高周波放射要素が、前記低周波放射要素の2つの側に対称に分布し、前記中心軸がまた前記高周波放射要素の対称軸であり、前記折返しアンテナの前記一次ラジエータが、間隔をおいて対向して配置された、第1の放射部および第2の放射部を備え、前記折返しアンテナが、前記第1の放射部と前記第2の放射部との間に接続され、かつ前記第1の放射部と前記第2の放射部と共にリング状のアーキテクチャを構成する、第1の接続部および第2の接続部をさらに備え、前記第2の周波数帯域において、前記第1の接続部および前記第2の接続部が前記低周波放射要素の放射に関与し、前記第2の方向において、前記高周波放射要素が前記第1の接続部および前記第2の接続部に対向している、請求項10に記載のアンテナ。
【請求項12】
第1の給電線と、第2の給電線と、請求項1から11のいずれか一項に記載のアンテナとを備えるアンテナモジュールであって、前記第1の給電線が前記折返しアンテナに接続されており、前記第2の給電線が前記ダイポールアンテナに接続されている、アンテナモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、2020年3月24日付で中国国家知識産権局に出願された、「ANTENNA,ANTENNA MODULE,AND WIRELESS NETWORK DEVICE」という名称の中国特許出願第202010215335.0号の優先権を主張するものである。
【0002】
本出願は、通信分野、特にアンテナ、アンテナモジュール、および無線ネットワーク機器に関する。
【背景技術】
【0003】
ホームネットワークの無線通信製品の仕様は、2×2、4×4から8×8へと急速に発展し、その周波数帯域も2G、5Gから6Gへと発展し、ミリ波帯でも拡大している。しかしながら、製品の外観デザイン、ユーザの習慣、およびシナリオによって制限され、ホームネットワークの無線装置は、サイズが無限に大きくなり得ない。したがって、既存の製品空間条件において、高仕様設計を実装し、より高性能なアンテナを内部的に統合し、互いに与える影響を少なくする方法が緊急の設計要件となる。特に、今後の6G周波数帯域の要求は、N*N MIMO設計においてアンテナおよび無線周波数チャネルの量がNの分増加することを意味し、既存の2/5GのWiFi性能を劣化させずに6Gのより良いカバレッジを確実にするために、既存のモジュールにN個の新たな独立周波数帯域を配置する方法は、WiFi6技術における技術的競争力を得るために製品が克服する必要のある課題となる。新たな技術または新たなアーキテクチャを既存の環境で使用して、アンテナのサイズまたは数量を削減し、アンテナの動作周波数帯域を増加させ、仕様のアップグレードを実装し、異なる周波数での高性能WiFiカバレッジ機能を確実にするには、アンテナエンジニアの緊急の考慮が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
従来技術における集積化プロセスにおけるマルチ帯域アンテナの放射性能における低下を克服するために、本出願は、複数の周波数帯域におけるアンテナの水平全方向放射および垂直方向放射を実装するアンテナを提供する。
【0005】
第1の態様によれば、本出願は、折返しアンテナ、ダイポールアンテナ、および結合構造を含むアンテナを提供する。折返しアンテナの一次ラジエータの拡張方向が第1の方向であり、ダイポールアンテナの一次ラジエータの拡張方向が第2の方向であり、第1の方向が第2の方向と直交する。第2の方向において、折返しアンテナはダイポールアンテナの一端に配置され、折返しアンテナの動作周波数は第1の周波数帯域であり、ダイポールアンテナの動作周波数は第2の周波数帯域を含み、第1の周波数帯域は第2の周波数帯域よりも高い。結合構造は、折返しアンテナとダイポールアンテナとの間に接続されており、第2の周波数帯域において、結合構造が共振を発生し、その結果、折返しアンテナがダイポールアンテナの放射に関与し、第1の周波数帯域において、結合構造がアイソレーション機能を有する。
【0006】
折返しアンテナは、2つの一次ラジエータを含む折返しダイポールアンテナとも呼ばれる。一次ラジエータにおいて、通常、半波長主ダイポールと半波長寄生ダイポールとが互いに近接しており、一次ラジエータ同士は接続部を使用して接続されている。寄生ダイポールにより誘起された定在波電流と定在波電圧と、主ダイポールにより誘起された定在波電流と定在波電圧とは、同じ分布を有し、距離が近く、結合がきつく、サイズが同じであるので、位相遅延は無視してもよい。主双極子および寄生双極子は互いに近接しているので、両者の接続部は非常に短く、放射にはほとんど関与しない。
【0007】
本出願では、折返しアンテナとダイポールアンテナとが結合構造を使用することによって統合されている。結合構造の第1の周波数帯域におけるアイソレーション効果と第2の周波数帯域におけるストレートスルー効果とを使用することによって、折返しアンテナは、それ自体の動作周波数帯域を実行するだけでなく、第2の周波数帯域におけるダイポールアンテナの放射にも関与してもよく、折返しアンテナのラジエータは、異なるアンテナの放射に関与してもよく、性能において互いに独立している。折返しアンテナの一次ラジエータの拡張方向を第1の方向とし、ダイポールアンテナの一次ラジエータの拡張方向を第2の方向とし、第1の方向を第2の方向と直交させることにより、折返しアンテナの偏波とダイポールアンテナの偏波とが直交し、これにより、折返しアンテナとダイポールアンテナとの間に高いアイソレーション偏波分離および空間ダイバーシチを実装する。本出願で提供されるアンテナは、小型で放射性能が良いという利点がある。
【0008】
具体的には、本出願で提供されるアンテナは、無線ネットワーク機器、例えばWIFI製品に適用される。折返しアンテナは水平偏波の半波折返しアンテナであり、第1の周波数帯域は6GHz~7.8GHzをカバーする高周波数である。ダイポールアンテナは、高周波ラジエータおよび低周波ラジエータを含む垂直偏波アンテナである。ダイポールアンテナは、3つの異なる周波数帯域範囲、例えば、2.4G、5G、および6Gをカバーしてもよい。第2の周波数帯域は、低周波ラジエータの動作周波数帯域である。折返しアンテナは方向性放射特性を有し、ダイポールアンテナは全方向性放射特性を有する。本出願では、折返しアンテナおよびダイポールアンテナが1つのアーキテクチャに統合され、小型で高性能の利点が達成される。
【0009】
可能な実装形態では、結合構造が、第1の結合配線および第2の結合配線を含み、第1の結合配線が折返しアンテナに接続され、第2の結合配線がダイポールアンテナに接続され、第1の結合配線と第2の結合配線との間に隙間が形成され、直列に接続された等価インダクタおよびキャパシタが構成されている。第1の結合配線と第2の結合配線との間の電磁結合効果を使用することによって、折返しアンテナとダイポールアンテナとが互いに接続されて、統合アンテナアーキテクチャを形成する。
【0010】
アンテナを第2の周波数帯域で動作するとき、第1の結合配線と第2の結合配線とで形成される分布インダクタとキャパシタとが共振し、その結果、直列回路のインピーダンスは小さく、直接の通過接続に近い。アンテナが第1の周波数帯域で動作するとき、第1の結合配線と第2の結合配線とで形成される直列回路は非共振状態であり、高インピーダンス特性を提示し、非接続効果に近い。本実装形態では、2本の結合配線を使用して直列接続されたLC回路を形成しているので、低周波を通過する機能および高周波を防止する機能を実装してもよい。本出願で提供される結合構造は、折返しアンテナとダイポールアンテナとの間に接続され、構造が簡単で省スペースであるという利点を有し、アンテナの小型化設計を容易にする。
【0011】
特定のデバッグプロセスでは、第1の結合配線および第2の結合配線の各々の長さおよび幅ならびにそれらの間の隙間は、異なる動作周波数および帯域幅要件に基づいて調整されてもよく、または共振周波数は、第1の結合配線および第2の結合配線の拡張形状を調整することによって調整されてもよい。
【0012】
可能な実装形態では、第1の結合配線および第2の結合配線は直線状であり、第1の結合配線および第2の結合配線の拡張方向の両方が第2の方向である。第1の方向において、第1の結合配線の一部と第2の結合配線の一部とが積層配置され、隙間が形成されている。第1の結合配線および第2の結合配線は平行に配置されていてもよく、すなわち、それらの間の隙間が均等に分布していてもよく、これは共振周波数を調整するのに役立つ。
【0013】
具体的には、第1の結合配線が、折返しアンテナの一次ラジエータに垂直であり、第2の結合配線が、第1の結合配線に平行である。
【0014】
可能な実装形態では、2本の第2の結合配線があり、2本の第2の結合配線が第1の結合配線の2つの側に並列に配置されている。具体的には、ダイポールアンテナの一次ラジエータは、第2の方向において第1の端部から第2の端部まで延び、第1の端部は折返しアンテナに隣接し、第2の端部は折返しアンテナから離れている。第1の端部と折返しアンテナとの間に間隔空間が形成され、この間隔空間に結合構造が配置される。2本の第2の結合配線は、第1の結合配線の2つの側に2つの並列キャパシタ構造を形成し、コプレーナ導波路様構造を形成する。周波数同調を実装するように、二重隙間を使用して結合係数を増加される。このアーキテクチャでは、折返しアンテナとダイポールアンテナとの間の距離を短くし得、すなわち、第2の方向における結合ストリップラインの長さを短くし得、アンテナの全体的な小型化を容易にし得る。
【0015】
可能な実装形態では、折返しアンテナの一次ラジエータは、間隔をおいて対向して配置された第1の放射部と第2の放射部とを含み、折返しアンテナは、第1の放射部と第2の放射部との間に接続され、かつ第1の放射部と第2の放射部と共にリング状のアーキテクチャを構成する、第1の接続部と第2の接続部とをさらに含み、第2の周波数帯域において、第1の接続部と第2の接続部とがダイポールアンテナの放射に関与する。折返しアンテナは、第1の放射部および第2の放射部の拡張方向が第1の方向であり、第1の放射部および第2の放射部が折返しアンテナの一次ラジエータである。動作状態において、第1の放射部および第2の放射部の電流分布を同じ方向とし、第1の放射部と第2の放射部との間に第1の接続部および第2の接続部を接続して、第1の放射部の放射エネルギーの同位相重畳、および第2の放射部の放射エネルギーの同位相重畳を実装する。
【0016】
本出願では、従来の折返しアンテナの2つのラジエータが互いに近接しているという制限が突破され、水平方向の長さおよび垂直方向の間隔がバランスがとられ、小型化された設計が実装されてもよい。小型化されたアンテナを設計するには、折返しアンテナの放射性能が影響されないことを前提として、第1の方向において、第1の放射部のサイズおよび第2の放射部のサイズをλh/4~λh/3と設計され、第2の方向において、第1の接続部のサイズおよび第2の接続部のサイズをλh/10~λh/2と設計され、λhが折返しアンテナの共振波長である。本出願では、従来の折返しアンテナに基づいて、水平方向の長さを短くし、第1の放射部と第2の放射部との間の隙間を開いて空間差を持たせることにより、バイナリーアレイ効果を実装する。本出願で提供される折返しアンテナでは、第1の放射部に接続された、第1の接続部の一部および第2の接続部の一部が、第1の放射部と共に半波ラジエータを構成しており、すなわち、半波ラジエータの全体構造は非線形形状であるが、直線の両端は屈曲した構造を有する。
【0017】
可能な実装形態では、第1の接続部が、第3の方向に相互に延びる第1のケーブル配線を含み、第1のケーブル配線が、折返しアンテナのサイズを小さくするように無放射線誘導負荷を形成するように構成され、第3の方向が、第2の方向と角度を形成する。本出願では、第1のケーブル配線を配置することによって、第1の放射部と第2の放射部との間の垂直方向の間隔が開かれる。また、第1の放射部および第2の放射部の各々の水平方向の長さを短くし、この場合、水平方向の長さと垂直方向の間隔とのバランスがとられ、小型化した設計が実装される。
【0018】
可能な実装形態では、第1の放射部と第2の放射部との間に収容空間が形成され、第1のケーブル配線の拡張経路が収容空間内に位置する。第1のケーブル配線は、第1の放射部と第2の放射部との間の収容空間を占有し、このアーキテクチャにより、アンテナによって占有される空間を小さくすることを助ける。
【0019】
第1のケーブル配線が相互に延びる複数の期間がある。第1の放射部の端点と第2の放射部の端点との間の接続配線は、第1の接続部と第2の接続部とに対して設定された基準位置であり、第1のケーブル配線は、基準位置から収容空間内に延び、第1のケーブル配線が延びる1つの期間は、基準位置から収容空間内に延び、その後、基準位置に戻る1つの往復経路として理解され得る。第1のケーブル配線が相互に延びる1つ、2つ、またはそれ以上の期間があってもよい。第1のケーブル配線は、折返しアンテナにおけるインダクタンス負荷機能を有する分布インダクタを形成する。線形構造に比べて、第1のケーブル配線は高い誘導性の値を有するので、線形構造に比べて折返しアンテナのサイズを小さくし得る。第1のケーブル配線が延びる期間の量が異なるとき、分布インダクタが変化する。周期の量が多いということは、より多くの直線部分(この直線部分は、第1の放射部の端部と第2の放射部の端部との間に直接接続されたアーキテクチャを指す)を交換し得ることを示し、第1のケーブル配線は、折返しアンテナの帯域幅を調整する機能を有し、これにより、折返しアンテナが良好な共振放射を達成し、折返しアンテナの放射性能を小型で保護するのを助ける。
【0020】
第1のケーブル配線の拡張経路は、規則的であってもよく、または不規則であってもよい。確かに、規則的なパス設計は、アンテナの帯域幅を調整するのに役立つ。
【0021】
可能な実装形態では、第1のケーブル配線の拡張経路が、蛇行状、鋸歯状、または波状である。
【0022】
可能な実装形態では、第1のケーブル配線は、互いに平行な複数の第1の配線を含み、隣接する第1の配線は、連続して延びる第1のケーブル配線を形成するように、第2の配線を使用することによって互いに接続される。第1の配線の拡張方向は、第1の放射部と平行であってもよく、または第1の放射部と角度を形成してもよい。言い換えれば、第1の配線の拡張方向は、第1の方向であってもよく、または第1の方向に対して角度を形成してもよく、第2の配線は、第2の方向に対して平行であってもよく、または第2の方向に対して角度を形成してもよい。
【0023】
可能な実装形態では、第1の接続部は、第1のケーブル配線の2つの側に対称的に分布された第3の配線および第4の配線をさらに含み、第1のケーブル配線は、第3の配線を使用することによって第1の放射セクションに接続され、第1のケーブル配線は、第4の配線を使用することによって第2の放射セクションに接続されている。この実装形態では、第1のケーブル配線は、第3の配線および第4の配線を2つの側にさらに含み、第3の配線は、第1の放射部の拡張部として使用してもよく、第1の放射部の放射に関与する。同様に、第4の配線は、第2の放射部の拡張部として使用してもよく、第2の放射部の放射に関与する。この場合、折返しアンテナは、小型のアーキテクチャを形成してもよい。
【0024】
可能な実装形態では、第3の配線の拡張方向および第4の配線の拡張方向の両方が第2の方向であり、すなわち、第3の配線が第1の放射部に垂直に接続され、第4の配線が第2の放射部に垂直に接続されてもよい。別の実装形態では、第3の配線と第1の放射部との間に鋭角または鈍角の接続関係を代替的に形成してもよい。同様に、第4の配線と第2の放射部との間に鋭角または鈍角の接続関係を代替的に形成してもよい。
【0025】
可能な実装形態では、第2の接続部は、第1の放射部と第2の放射部との間に順次接続される、第5の配線、第2のケーブル配線、および第6の配線を含み、第2のケーブル配線は、第3の方向に相互に延びるアーキテクチャであって、折返しアンテナのサイズを小さくするように無放射誘導負荷を形成するように構成され、第5の配線、第3の配線、および第1の放射部は、一緒に半波ラジエータを形成する。
【0026】
中心線は、第1の放射部の中点を通過し、第2の方向に延びており、中心線の両側に第1のケーブル配線と第2のケーブル配線とが対称に分布している。第1の放射部は、直線状であってもよく、または別の形状に延びるストリップラインであってもよく、第1の放射部は、中心線を中心として使用することによって対称に分布している。
【0027】
本出願では、折返しアンテナにおいて2つの一次ラジエータ(すなわち、第1の放射断面と第2の放射断面)が第2の方向に互いに適切に分離され、第1のケーブル配線および第2のケーブル配線のアーキテクチャが第1の接続部および第2の接続部に導入され、誘導性負荷が形成されてサイズが小さくされ、折返しアンテナが広いビームおよび高い利得を有する前方および後方双方向放射特性を有することを実装してもよい。
【0028】
可能な実装形態では、第2の放射部は、第1の一次ボディ、第2の一次ボディ、および給電スタブを含む。第1の一次ボディが、第1の接続端、および第1の給電端を含み、第1の一次ボディが、第1の接続部に接続され、第2の一次ボディが、第2の接続端、および第2の給電端を含み、第2の接続端が第2の接続部に接続され、第1の給電端、および第2の給電端が、互いに対向して配置され、その間に隙間を形成し、給電スタブが、第1の給電端に接続され、給電スタブが、第2の一次ボディに対向する開口部を有するエンクロージャゾーンを形成し、第2の一次ボディの少なくとも一部が、エンクロージャゾーン内に延び、第2の給電端がエンクロージャゾーン内に位置し、給電スタブが、エンクロージャゾーンにおける第2の一次ボディの一部とコプレーナ導波路構造を形成し、給電穴が、第2の一次ボディに設けられ、給電コプレーナ導波路構造に第1の給電線を電気的に接続して折返しアンテナを給電するために、給電穴が、第1の給電線が通過するために使用される。
【0029】
本出願では、折返しアンテナの給電側の半波ラジエータ(すなわち、第2の放射断面)にコプレーナ導波路構造を導入することにより、トライデント形状の給電構造を形成する。アンテナ励磁は、直交レイアウト方式で実装され、すなわち、(無線周波数同軸配線であってもよい)給電線は、折返しアンテナが配置される平面に対して垂直である。例えば、折返しアンテナは、誘電体プレートの一方の表面上に配置されたマイクロストリップ形態であり、給電線は、誘電体プレート上のビアを通過して折返しアンテナを給電し、給電線の外部導体は、ビアを通過して、ビアが配置されている放射アームに直接接続される。すなわち、給電線が第2の一次ボディの給電穴を通過し、給電線の外部導体が第2の一次ボディに接続され、外部導体が溶接されて固定され、第2の一次ボディに電気的に接続されてもよい。内部導体と給電線の絶縁媒体とが給電穴を通過して屈曲し、内部導体が第1の一次ボディに電気的に接続される。同様に、内部導体が溶接されて固定され、第1の一次ボディに電気的に接続されてもよい。絶縁媒体は、内部導体を第2の一次ボディから絶縁する機能を有し、短絡のリスクを低減する。
【0030】
可能な実装形態では、ダイポールアンテナは、高周波放射要素および低周波放射要素を含み、高周波放射要素の主放射部および低周波放射要素の主放射部が共に第2の方向に延びている構成としてもよい。ダイポールアンテナは、矩形状に配置され、矩形状の長辺が第2の方向にある。結合構造は、低周波放射要素に接続され、低周波放射要素の動作周波数は、第2の周波数帯域であり、高周波放射要素の動作周波数は、第3の周波数帯域および第4の周波数帯域であり、第4の周波数帯域は、第3の周波数帯域よりも高く、第3の周波数帯域は、第2の周波数帯域よりも高い。高周波放射要素は、比較的広い周波数帯域範囲、例えば5.1GHz~7GHzを有する。特定の適用シナリオでは、異なる適用シナリオの要件に基づいて、いくつかの周波数帯域を1つの動作周波数帯域として選択してもよく、高周波放射要素は、異なる放射機能を有する第3の周波数帯域および第4の周波数帯域を実行してもよい。このようにして、ダイポールアンテナは、3帯域の垂直偏波アンテナアーキテクチャを形成し、3つの周波数帯域、第2の周波数帯域2.4GHz~2.5GHz、第3の周波数帯域5.1GHz~5.9GHz、第4の周波数帯域Sub7G:6~7GHzがそれぞれ形成される。
【0031】
ダイポールアンテナは給電ポートを含み、折返しアンテナはまた給電ポートを含み、ダイポールアンテナの偏波は折返しアンテナの偏波と直交する。本出願で提供されるアンテナは、4帯域二重偏波二重給電アンテナアーキテクチャである。
【0032】
可能な実装形態では、低周波放射要素は軸対称構造であり、低周波放射要素の対称軸は中心軸であり、それぞれ中心軸の2つの側にある2つの結合構造がある。具体的には、中心軸の拡張方向が第2の方向である。中心軸は、折返しアンテナにおける第1の放射部の対称中心の中心線と同一直線上にある。
【0033】
可能な実装形態では、高周波放射要素は、低周波放射要素の2つの側に対称的に分布し、中心軸も高周波放射要素の対称軸であり、折返しアンテナの一次ラジエータは、間隔をおいて対向して配置された、第1の放射部および第2の放射部を含み、折返しアンテナは、第1の放射部と第2の放射部との間に接続され、第1の放射部と第2の放射部と共にリング状アーキテクチャを構成する第1の接続部および第2の接続部をさらに含む。第2の周波数帯域において、第1の接続部および第2の接続部が低周波放射要素の放射に関与し、第2の方向において、高周波放射要素が第1の接続部および第2の接続部に対向する。
【0034】
可能な実装形態では、低周波放射要素は、低周波上部ラジエータおよび低周波下部ラジエータを含み、高周波放射要素は、高周波上部ラジエータおよび高周波下部ラジエータを含む。高周波上部ラジエータは低周波上部ラジエータの2つの側に分布し、高周波下部ラジエータは低周波下部ラジエータの2つの側に分布する。高周波下部ラジエータおよび低周波下部ラジエータは下部スタブを形成し、高周波上部ラジエータおよび低周波上部ラジエータは上部スタブを形成する。上部スタブは、折返しアンテナと下部スタブとの間に配置され、上部スタブと下部スタブとの間に隙間が形成される。ダイポールアンテナの給電ポートは、上部スタブと下部スタブとの間に位置し、低周波放射要素の中心軸上に位置する。具体的には、低周波放射要素と高周波放射要素との間の衝撃を最小にするために、高周波放射要素は低周波放射要素の2つの側に分布する。低周波放射要素の放射アームのサイズを大きくする必要があるので、低周波放射要素は結合構造を使用することによって折返しアンテナに接続し、折返しアンテナの一部が低周波放射要素の放射に関与することで小型化を図り、すなわち、折返しアンテナの一部と低周波放射要素とを合わせて第2の周波数帯域の放射作業を完了する。
【0035】
低周波上部ラジエータは、平行に配置され、かつ第2の方向に共に延びる2本の伝送配線を含む。2本の伝送配線は、低周波放射要素の中心軸の2つの側に対称に分布し、折返しアンテナに近い2本の伝送配線の端部は、結合構造の第2の結合配線に接続され、折返しアンテナから離れた2本の伝送配線の端部は、上部接続配線を使用することによって接続され、上部接続配線は、第1の方向に延びる、すなわち、上部接続配線は、2本の伝送配線に垂直に接続される。
【0036】
可能な実装形態では、低周波下部ラジエータは、平行に配置され第2の方向に延びる2本の伝送配線を含み、低周波下部ラジエータの2本の伝送配線は、低周波放射要素の中心軸の2つの側に対称に分布する。低周波下部ラジエータの2本の伝送配線と低周波上部ラジエータの2本の伝送配線とは、第2の方向において一対一に対応して同一直線上にあってもよい。低周波放射要素に対して、第1の方向のサイズは、低周波放射要素の伝送配線の幅である。この実装形態では、低周波下部ラジエータの伝送配線の幅は、低周波上部ラジエータの伝送配線の幅と同じであってもよく、低周波下部ラジエータの伝送配線の幅は、代替的に低周波上部ラジエータの伝送配線の幅よりも大きくてもよい。上部スタブに近接する低周波下部ラジエータの2本の伝送配線の端部を下部接続配線を使用することによって接続する。下部接続配線は第1の方向に延び、下部接続配線は低周波下部ラジエータの2本の伝送配線に垂直に接続され、下部接続配線は上部接続配線に平行であり、上部接続配線と下部接続配線との間に隙間が形成される。ダイポールアンテナの給電ポートは、上部接続配線と下部接続配線との間に位置し、低周波放射要素の中心軸上に位置する。
【0037】
別の可能な実装形態では、低周波下部ラジエータは、統合アーキテクチャであってもよく、すなわち、低周波下部ラジエータは、比較的幅の広い放射スタブを含み、これは、前述の実装形態における2本の伝送配線が相互接続される統合アーキテクチャと同等である。この実装形態では、低周波下部ラジエータは、代替的に、低周波放射要素の中心軸を対称中心とする対称アーキテクチャであってもよく、例えば、低周波下部ラジエータは矩形形状である。
【0038】
低周波下部ラジエータについては、2本の伝送配線が並列に配置されるアーキテクチャ、または比較的幅の広い放射スタブを有する統合アーキテクチャにかかわらず、屈曲および延びる拡張スタブが、低周波上部ラジエータから離れた低周波下部ラジエータの一端に配置されてもよい。低周波下部ラジエータの拡張スタブは、低周波放射要素の中心軸の2つの側にペアで配置され、拡張スタブは、2本の伝送配線が並列に配置されているアーキテクチャの2つの側に分布、または比較的幅の広い放射スタブを有する統合アーキテクチャの2つの側に分布する。拡張スタブは、アンテナの物理的なサイズを改善するように構成されており、その結果、共振周波数が満たされることを前提としてアンテナ全体のサイズを小さくし得、それにより、アンテナの小型化設計が容易になる。
【0039】
高周波放射要素は、高周波上部ラジエータおよび高周波下部ラジエータを含む。可能な実装形態では、高周波上部ラジエータは、第2の方向に共に延びる2本の伝送配線を含み、2本の伝送配線は、低周波上部ラジエータの2つの側上に対称的に分布する。また、折返しアンテナに近い高周波上部ラジエータの伝送配線の端部は、折返しアンテナの第1の接続部および第2の接続部にそれぞれ対向し、折返しアンテナから離れた高周波上部ラジエータの伝送配線の端部は、上部接続配線を使用することによって接続される。上部接続配線は、高周波上部ラジエータの2本の伝送配線および低周波上部ラジエータの2本の伝送配線のすべてに垂直に接続される。
【0040】
可能な実装形態では、高周波下部ラジエータは、並列に配置され第2の方向に延びる2本の伝送配線を含み、高周波下部ラジエータの2本の伝送配線は、低周波下部ラジエータの2つの側に対称に分布する。高周波下部ラジエータの2本の伝送配線と高周波上部ラジエータの2本の伝送配線とは、第2の方向において一対一に対応して同一直線上にあってもよい。上部スタブに近接する高周波下部ラジエータの2本の伝送配線の端部を下部接続配線を使用することによって接続し、下部接続配線を高周波下部ラジエータの2本の伝送配線の端部および低周波下部ラジエータの第1の方向の一端部のすべてに接続する。
【0041】
低周波下部ラジエータの拡張スタブは、上部スタブから離れた高周波下部ラジエータの一方の側に配置される。すなわち、低周波下部ラジエータの拡張スタブは、高周波下部ラジエータの上部スタブから離れた片側の空きスペースを占有し、アンテナの全体サイズを変更することなく、低周波下部ラジエータの物理サイズを変更し、それにより、小型化されたアンテナの設定が容易になる。
【0042】
具体的には、ダイポールアンテナは、高周波特性および低周波特性を有する。高周波放射要素および低周波放射要素の偏波を折返しアンテナの偏波と直交させることにより、ダイポールアンテナの偏波を折返しアンテナの偏波と直交させ、これにより、異なる動作周波数帯域におけるダイポールアンテナと折返しアンテナとの間の影響を低減する。
【0043】
第2の態様によれば、本出願は、第1の給電線、第2の給電線、および前述のアンテナのいずれか1つを含むアンテナモジュールを提供する。第1の給電線は折返しアンテナに電気的に接続され、第2の給電線はダイポールアンテナに電気的に接続される。第1の給電線を使用して折返しアンテナを励振して水平偏波を発生させ、第2の給電線を使用してダイポールアンテナを励振して垂直偏波を発生させ、これにより、4帯域二重偏波アンテナを形成する。
【0044】
可能な実装形態では、アンテナは第1の平面上に配置され、第1の給電線は第1の平面に対して垂直であり、第2の給電線は第1の平面に対して平行である。電流は、第1の給電線および第2の給電線を通過し、これは、必然的に、給電線の周囲に電磁場を発生させる。直交設計の選択は、第1の給電線と第2の給電線の周りの誘導場を直交させ、その結果、誘導場間の衝撃が最小であり、伝送効率が最高である。
【0045】
具体的には、アンテナは、誘電体プレート上に配置されたマイクロストリップ構造である。第1の給電線は、第1の外部導体、第1の内部導体、および第1の誘電体絶縁部を含む。第1の給電線は誘電体板上のビアを通過し、第1の外部導体は折返しアンテナの第2の放射部の第2の一次ボディに電気的に接続され、第1の誘電体絶縁部および第1の内部導体は誘電体板上のビアを通過して屈曲し、第1の内部導体は折返しアンテナの第2の放射部の第1の一次ボディに電気的に接続され、すなわち、第1の一次ボディおよび第2の一次ボディにそれぞれ第1の給電点および第2の給電点が配置され、第1の給電線の第1の外部導体は第2の給電点に固定されて電気的に接続されるように溶接され、第1の給電線の第1の内部導体は第1の一次ボディの第1の給電点に屈曲して延び、固定されて電気的に接続され、第1の誘電体絶縁部は第1の内部導体を包囲して、第1の内部導体と第2の一次ボディとの間の絶縁アイソレーションを確実にする。
【0046】
第2の給電線は、第2の外部導体、第2の内部導体、および第2の誘電体絶縁部を含む。第2の外部導体および第2の内部導体は、第1の平面に取り付けられ、第2の外部導体は、ダイポールアンテナの第3の給電点に接続され、第2の誘電体絶縁部は、第3の給電点から導出され、第2の内部導体は、ダイポールアンテナの第4の給電点に接続され、第2の誘電体絶縁部は、第2の内部導体を包囲して、第2の内部導体と、第3の給電点が位置するラジエータとの間の絶縁アイソレーションを確実にする。具体的には、第3の給電点および第4の給電点は、ダイポールアンテナの下部スタブおよび上部スタブにそれぞれ配置され、上部スタブと下部スタブとの間に隙間が配置され、上部スタブは、折返しアンテナと下部スタブとの間に位置し、第3の給電点および第4の給電点は、ダイポールアンテナの中心軸上に位置する。
【0047】
第3の態様によれば、本出願は、給電ネットワークと、前述のアンテナモジュールのいずれか1つとを含む無線ネットワーク機器を提供し、給電ネットワークは、アンテナモジュールの第1の給電線および第2の給電線に接続され、折返しアンテナおよびダイポールアンテナに励磁を実装する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】本出願の実装形態による無線ネットワーク機器の応用シナリオ図である。
図2】本出願の実装形態によるアンテナモジュールの概略図である。
図3】本出願の実装形態によるアンテナの概略図である。
図4】本出願の実装形態によるアンテナの概略図である。
図5】本出願の実装形態によるアンテナにおける折返しアンテナの概略図である。
図6】本出願の実装形態によるアンテナの折返しアンテナにおける第3の接続部の拡大概略図である。
図7】本出願の実装形態によるアンテナの概略図である。
図8】本出願の実装形態によるアンテナの概略図である。
図9】本出願の実装形態によるアンテナの概略図である。
図10】本出願の実装形態によるアンテナにおける折返しアンテナの給電構造の概略図である。
図11】ダイポールアンテナの給電構造を含む、本出願の実装形態によるアンテナの概略図である。
図12】本出願の実装形態による第1の周波数帯域状態におけるアンテナの電流分布の概略図である。
図13】本出願の実装形態による、アンテナが第1の周波数帯域状態にあるときの折返しアンテナの電流分布の概略図である。
図14】本出願の実装形態による第2の周波数帯域状態におけるアンテナの電流分布の概略図である。
図15】本出願の実装形態による第4の周波数帯域状態におけるアンテナの電流分布の概略図である。
図16】本出願の実装形態によるアンテナのリターンロス曲線の図である。
図17】本出願の実装形態による2G周波数におけるアンテナのダイポールアンテナに対応するアンテナ放射パターンである。
図18】本出願の実装形態による6G周波数におけるアンテナのダイポールアンテナに対応するアンテナ放射パターンである。
図19】本出願の実装形態による周波数6Gのアンテナの折返しアンテナに対応するアンテナ放射パターンである。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下で、添付の図面を参照して本出願の実施形態を説明する。
【0050】
通信技術の発展に伴い、ホームシナリオの無線通信伝送要求も増加している。図1に示すように、本出願は、無線ネットワーク機器200を提供する。無線ネットワーク機器200は、WIFI製品であってもよく、無線ネットワーク機器200内に配置されたアンテナ(不図示)は、良好な水平全方向性特性および垂直方向性特性を有し、異なる家庭シナリオにおける無線通信要件に適合し得る。通常、一般的な世帯の住宅タイプは、平屋建ての住宅タイプであり、このような住宅タイプのホーム無線通信に対するカバレッジ要件は、水平全方向機能に集中しており、すなわち、同じ階の住宅タイプの異なる部屋を無線ネットワーク機器200でカバーし得る。しかしながら、二世帯または別荘タイプの一部の世帯では、無線ネットワークの垂直カバレッジ機能をさらに満たす必要があり、異なる階で無線通信を実装するためには、この場合、無線ネットワーク機器200のエネルギー集中が良好であり、無線ネットワーク機器200が垂直方向特性を有する必要がある。
【0051】
特定の実施形態では、図2に示すように、無線ネットワーク機器200内のアンテナモジュールは、ベース基板140上に配置されたアンテナ100と、アンテナ100を励起するように構成された、第1の給電線110と、第2の給電線120と、給電ネットワーク160とを含む。本実施形態では、アンテナ100は、折返しアンテナ10およびダイポールアンテナ20を含む。給電ネットワーク160の信号が入力されるとき、折返しアンテナ10およびダイポールアンテナ20が励振されて、折返しアンテナ10とダイポールアンテナ20との共振モードが異なる周波数で得られ、折返しアンテナ10の垂直方向性放射とダイポールアンテナ20の水平全方向性放射とが実装されて、異なる周波数帯域における無線ネットワーク機器200の水平全方向性機能と垂直方向性機能とが確実にされる。
【0052】
図3を参照すると、本出願で提供されるアンテナ100は、折返しアンテナ10、ダイポールアンテナ20、および結合構造30を含む。
【0053】
折返しアンテナは、2つの一次ラジエータを含む折返しダイポールアンテナとも呼ばれる。一次ラジエータにおいて、通常、半波長主ダイポールと半波長寄生ダイポールとが互いに近接しており、一次ラジエータ同士は接続部を使用して接続されている。寄生ダイポールにより誘起された定在波電流と定在波電圧と、主ダイポールにより誘起された定在波電流と定在波電圧とは、同じ分布を有し、距離が近く、結合がきつく、サイズが同じであるので、位相遅延は無視してもよい。主双極子および寄生双極子は互いに近接しているので、両者の接続部は非常に短く、放射にはほとんど関与しない。
【0054】
折返しアンテナ10の一次ラジエータの拡張方向を第1の方向A1とし、ダイポールアンテナ20の一次ラジエータの拡張方向を第2の方向A2とし、第1の方向A1を第2の方向A2と直交させる。第2の方向A2において、折返しアンテナ10はダイポールアンテナ20の一端に配置され、折返しアンテナ10の動作周波数は第1の周波数帯域であり、ダイポールアンテナ20の動作周波数は第2の周波数帯域を含み(ダイポールアンテナ20は、マルチ帯域アンテナ、例えば、後で説明する3帯域アンテナであってもよい)、第1の周波数帯域は第2の周波数帯域よりも高く、結合構造30は、折返しアンテナ10とダイポールアンテナ20との間に接続される。第2の周波数帯域において、結合構造30が共振を発生させて、折返しアンテナ10がダイポールアンテナ20の放射に関与し、第1の周波数帯域において、結合構造30がアイソレーション機能を有する。
【0055】
第1の方向A1および第2の方向A2の各々の定義は以下のように理解されてもよい。図3に示すように、両端に矢印を有する指示線を、直線の拡張方向を示す第1の方向A1および第2の方向A2とし、直線が延びる特定の端部を限定するものではない。例えば、第1の方向A1は、直線に沿って左方向に延びていると理解してもよく、または、第1の方向A1が直線であるときに、直線に沿って右方向に延びていると理解してもよい。
【0056】
本出願では、折返しアンテナ10およびダイポールアンテナ20は、結合構造30を使用することによって統合されている。結合構造30の第1の周波数帯域におけるアイソレーション効果と第2の周波数帯域におけるストレートスルー効果とを使用することによって、折返しアンテナ10は、それ自体の動作周波数帯域を実行するだけでなく、第2の周波数帯域におけるダイポールアンテナ20の放射にも関与してもよく、折返しアンテナ10のラジエータは、異なるアンテナの放射に関与してもよく、性能において互いに独立している。折返しアンテナ10の一次ラジエータの拡張方向を第1の方向A1とし、ダイポールアンテナ20の一次ラジエータの拡張方向を第2の方向A2とし、第1の方向A1を第2の方向A2に直交させて配置することにより、折返しアンテナ10の偏波とダイポールアンテナ20の偏波とを直交させ、折返しアンテナ10とダイポールアンテナ20との間に高いアイソレーション偏波分離と空間ダイバーシチを実装する。本出願で提供されるアンテナ100は、小型で放射性能が良いという利点がある。
【0057】
図4を参照すると、折返しアンテナ10の一次ラジエータは、間隔をおいて対向して配置された第1の放射部11と第2の放射部12とを含み、折返しアンテナ10は、第1の放射部11と第2の放射部12との間に接続され、かつ第1の放射部11と第2の放射部12と共にリング状のアーキテクチャを構成する、第1の接続部13と第2の接続部14とをさらに含む。図4に示すように、折返しアンテナ10は、全体として矩形アーキテクチャであり、第1の放射部11および第2の放射部12は長辺を構成している。ダイポールアンテナ20もまた全体として矩形アーキテクチャであるが、ダイポールアンテナ20の長辺方向は第2の方向A2であり、折返しアンテナ10の長辺方向と直交している。第1の接続部13および第2の接続部14は、ダイポールアンテナ20の長辺方向に延びており、第2の周波数帯域において、第1の接続部13および第2の接続部14は、ダイポールアンテナ20の放射に関与するように構成されている。折返しアンテナ10は、第1の放射部11および第2の放射部12の拡張方向が第1の方向A1であり、第1の放射部11および第2の放射部12が折返しアンテナ10の一次ラジエータである。動作状態では、第1の放射部11および第2の放射部12の電流分布が同じ方向となり、第1の放射部11と第2の放射部12との間に第1の接続部13と第2の接続部14とが接続されて、第1の放射部11および第2の放射部12の放射エネルギーが同位相で重畳されることが実装される。
【0058】
本出願では、折返しアンテナ10は、従来の折返しアンテナに基づいて改良された設計であり、従来の折返しアンテナの2つのラジエータが互いに近接しているという制限を突破し、水平方向の長さと垂直方向の間隔とがバランスがとられ、小型化された設計を実装してもよい。小型化されたアンテナを設計するためには、折返しアンテナ10の放射性能が影響を受けないことを前提として、第1の方向A1において、第1の放射部11と第2の放射部12とのサイズをλh/4~λh/3と設計され、第2の方向A2において、第1の接続部13と第2の接続部14とのサイズをλh/10~λh/2と設計され、λhが折返しアンテナ10の共振波長である。本出願では、従来の折返しアンテナ10に基づいて、水平方向の長さを短くし、第1の放射部11と第2の放射部12との間の隙間を開いて空間差を持たせることにより、バイナリーアレイ効果を実装する。本出願で提供される折返しアンテナ10では、第1の放射部11と、第1の接続部13の一部と、第2の接続部14の一部とで、連続して延びる半波ラジエータを構成しており、すなわち、半波ラジエータの全体構造は非線形形状であるが、直線の両端は屈曲した構造を有する。
【0059】
第1の放射部11の拡張方向が第1の方向A1であるという限定は、第1の放射部11の拡張方向が第1の方向A1であると理解してもよく、第1の放射部11が線形構造のみである場合、第1の放射部11の拡張方向は第1の方向A1のみであり、第1の方向A1から逸脱するスタブは存在しないと理解してもよい。本出願では、第1の放射部11は線形に限定されず、第1の放射部11は、代替的に非線形形状であってもよく、または線形形状に基づいてショートスタブが付加されてもよく、かつショートスタブは第1の放射部11の拡張傾向に影響を与えない。代替的に、第1の放射部11は、代替的に線形伝送配線に基づいて変形してもよく、例えば、図5は、折返しアンテナ10のアーキテクチャを簡潔に示す。第1の放射部11および第2の放射部12は、規則的または不規則な波状の伝送配線拡張構造を有するように設計されており、波状の伝送配線拡張傾向が第1の方向A1であることは、波状の伝送配線の一端から波状の伝送配線の他端までの方向が第1の方向A1であると理解してもよい。波状配線を比較的広い矩形の伝送構造として見ると、全体的な拡張傾向は矩形の長辺方向、すなわち、第1の方向A1である。
【0060】
本出願では、折返しアンテナ10の放射能力は、第1の放射部11(すなわち、第2の方向における第1の放射部11のサイズ)の幅を大きくすることによって向上してもよく、例えば、図11に示される実施形態における第1の放射部11の幅は、図4および図7図9の各々に示される実施形態における第1の放射部11の幅よりも大きい。
【0061】
図4および図6を参照すると、第1の接続部13は、順次接続されている、第3の配線131、第1のケーブル配線132、および第4の配線133を含む。第1のケーブル配線132は、第3の方向(第3の方向は、図4には示されておらず、この実装形態では、第3の方向は、第1の方向A1と同じであり、別の実装形態では、第3の方向は、第1の方向A1と角度を形成してもよい)に相互に延び、第1のケーブル配線132は、代替的に、折返しアンテナ10のサイズを小さくするように無放射線誘導負荷を形成するように構成され、第3の方向は、第2の方向A2と角度を形成する。第2の接続部14は、第1の放射部11と第2の放射部12との間に順次接続された、第5の配線141、第2のケーブル配線142、および第6の配線143を含み、第2のケーブル配線142は、第3の方向に相互に延びるアーキテクチャであり、折返しアンテナ10のサイズを小さくするように無放射誘導負荷を形成するように構成され、第5の配線141、第3の配線131、および第1の放射部11は、共に半波ラジエータを形成する。本出願では、第1のケーブル配線132および第2のケーブル配線142を配置することによって、第1の放射部11と第2の放射部12との間の垂直方向の間隔が開かれる。また、第1の放射部11の第1の方向A1における長さ(すなわち、水平方向の長さ)が短くなり、この場合、水平方向の長さと垂直方向の間隔とがバランスがとられ、折返しアンテナ10の小型化が実装される。
【0062】
その後、第1のケーブル配線132の具体的な構造を中心に詳細に説明する。第2のケーブル配線142の具体的な構成は、第1のケーブル配線132と同じであってもよく、詳細な説明は省略する。
【0063】
収容空間101が第1の放射部11と第2の放射部12との間に形成され、第1のケーブル配線132および第2のケーブル配線142が延びる経路が収容空間101に設けられている。第1のケーブル配線132は、第1の放射部11と第2の放射部12との間の収容空間101を占有し、このアーキテクチャによって、アンテナ100の占有空間を小さくすることが助けられる。第1のケーブル配線132は、第1の放射部11の一端の縁部領域に対応して配置され、第2のケーブル配線142は、第1の放射部11の他端の縁部領域に対応して配置される。第1のケーブル配線132が第1の方向A1に延びるサイズはλh/4より大きくなく、λhは折返しアンテナ10の共振波長である。折返しアンテナ10の放射効果を確実にするために、第2のケーブル配線142と第1のケーブル配線132との間の間隔が維持される。電流は第1の放射部11と第2の放射部12に主に集中する。
【0064】
具体的には、図6を参照すると、第1のケーブル配線132は、互いに平行な複数の第1の配線1321を含み、隣接する第1の配線1321は、連続して延びる第1のケーブル配線132を形成するように、第2の配線1322を使用することによって互いに接続される。第1の配線1321の拡張方向は、第1の放射部11と平行であってもよく、または第1の放射部11と角度を形成してもよい。言い換えれば、第1の配線1321の拡張方向は、第1の方向A1であってもよく、第1の方向A1に対して角度を形成してもよく、第2の配線1322は、第2の方向A2に対して平行であってもよく、または第2の方向A2に対して角度を形成してもよい。
【0065】
第1のケーブル配線132が相互に延びる複数の期間がある。第1の放射部11の端点と第2の放射の端点との接続配線は、第1の接続部13と第2の接続部14(例えば、図4において破線Lが位置する接続配線位置)に設定された基準位置であり、第1のケーブル配線132は、基準位置から収容空間内に延びている。第1のケーブル配線132が延びる一期間は、基準位置から収容空間に延び、その後、基準位置に戻る一往復経路として理解してもよい。第1のケーブル配線132が相互に延びる1つ、2つ、またはそれ以上の期間があってもよい。第1のケーブル配線132は、折返しアンテナ10においてインダクタンス負荷機能を有する分布インダクタを形成する。線状構造に比べて、第1のケーブル配線132は高い誘導性の値を有するので、折返しアンテナ10のサイズを線状構造に比べて小さくし得る。第1の直線が延びる周期の量が異なるとき、分布インダクタが変化する。周期量が多いほど、より多くの直線部分(この直線部分は、第1の放射部11の端部と第2の放射部12の端部との間に直接接続されたアーキテクチャを指す)を交換し得、それによって、折返しアンテナ10が良好な共振放射を達成するのを助け得、折返しアンテナ10の放射性能を小型で保護するのを助け得る。
【0066】
第1のケーブル配線132の拡張経路は、規則的であってもよく、または不規則であってもよい。確かに、規則的なパス設計は、アンテナの帯域幅を調整するのに役立つ。第1のケーブル配線132の拡張経路は、蛇行状、鋸歯状、または波状であってもよい。
【0067】
第3の配線131および第4の配線133は、第1のケーブル配線132の2つの側に対称に分布し、第1のケーブル配線132は第3の配線131を使用することによって第1の放射部11に接続され、第1のケーブル配線132は第4の配線133を使用することによって第2の放射部12に接続される。この実装形態では、第3の配線131は、第1の放射部11の拡張部として使用してもよく、第1の放射部11の放射に関与する。同様に、第4の配線133は、第2の放射部12の拡張部として使用してもよく、第2の放射部12の放射に関与する。このようにして、折返しアンテナ10は、小型のアーキテクチャを形成してもよい。
【0068】
可能な実装形態では、第3の配線131および第4の配線133の拡張方向の両方が第2の方向であり、すなわち、第3の配線131は第1の放射部11に垂直に接続され、第4の配線133は第2の放射部12に垂直に接続されてもよい。別の実装形態では、第3の配線131と第1の放射部11との間に鋭角または鈍角の接続関係を、代替的に形成してもよい。同様に、第4の配線133と第2の放射部12との間に鋭角または鈍角の接続関係を、代替的に形成してもよい。
【0069】
図4に示すような)中心線B1は、第1の放射部11の中点を通過し、第2の方向に延びており、中心線B1の両側に第1のケーブル配線132と第2のケーブル配線142とが対称に分布している。図4に示す実装形態では、第1のケーブル配線132の拡張方向と第2のケーブル配線142の拡張方向とは同じであり、第1の方向A1である。別の実装形態では、図7に示すように、第1のケーブル配線132の拡張方向と第2のケーブル配線142の拡張方向との両方が第1の方向A1と角度を形成し、第1のケーブル配線132の拡張方向と第2のケーブル配線142の拡張方向とが中心線B1の2つの側に対称に分布している。
【0070】
第1の放射部11が別の形状に延びるストリップライン(例えば、波状配線)であるとき、第1の放射部11はまた、折返しアンテナ10の放射方向を確実にするように、中心線B1の周りに対称に分布する。
【0071】
本出願では、折返しアンテナ10の2つの一次ラジエータ(すなわち、第1の放射部11および第2の放射部12)は、第2の方向において互いに適切に分離されており、第1の方向A1における、第1の放射部11のサイズおよび第2の放射部12のサイズは、波長の半分未満になるように設計されている。第1の放射部11と、第1の接続部13の一部と、第2の接続部14の一部とが一体となって半波ラジエータを構築し、第1の放射部11の端部に屈曲した電流路を形成し、第1の方向A1において折返しアンテナ10のサイズを小さくし得る。第1の接続部13および第2の接続部14に第1のケーブル配線132および第2のケーブル配線142のアーキテクチャを導入し、誘導性負荷を形成してサイズを小さくすることにより、折返しアンテナ10が広いビームおよび高い利得を有する前方および後方双方向放射特性を有するように実装してもよい。
【0072】
折返しアンテナ10の給電ポートを第2の放射部12に配置する。第2の放射部12は、第1の一次ボディ121、第2の一次ボディ122、および給電スタブ123を含む。第1の一次ボディ121は直線状の伝送配線であり、第1の方向A1に延び、第1の一次ボディ121は第1の接続端1211および第1の給電端1212を含み、第1の接続端1211は第1の接続部13に接続されている。第2の一次ボディ122は、第2の接続端1223および第2の給電端1224を含み、第2の接続端1223は第2の接続部14に接続されている。第1の給電端1212は、第2の給電端1224に対向して配置され、その間に隙間が形成されている。具体的には、折返しアンテナ10の中心線B1に隙間が位置していてもよく、言い換えれば、中心線B1が隙間を通過している。第1の接続部13および第2の接続部14は、中心線B1を対称中心として対称に分布しており、第1の放射部11の中点も中心線B1上に位置している。給電スタブ123は、第1の給電端1212に接続され、給電スタブ123は、開口部が第2の一次ボディ122に対向するエンクロージャゾーンを形成し、給電スタブ123は、順次垂直に接続された、第1のスタブ1231、第2のスタブ1232、および第3のスタブ1233を含む。第1のスタブ1231と第3のスタブ1233は互いに平行で対向し、第2のスタブ1232は第1のスタブ1231と第3のスタブ1233との間に垂直に接続され、第1の一次ボディ121の第1の給電端1212は第2のスタブ1232の中点に接続される。別の実装形態では、給電スタブ123は、代替的に、円弧形状、例えば、C形状であってもよい。第2の一次ボディ122の少なくとも一部はエンクロージャゾーン内に延び、第2の給電端1224はエンクロージャゾーン内に位置し、給電スタブ123と、エンクロージャゾーン内の第2の一次ボディ122の一部とは、コプレーナ導波路構造を構成する。
【0073】
図7を参照すると、第2の一次ボディ122に給電穴1225を設け、この給電穴1225を第1の給電線が通過するように使用されて、給電コプレーナ導波路構造に第1の給電線を電気的に接続することにより折返しアンテナ10を給電する。第2の一次ボディ122は、互いに接続された第1の部分1221と第2の部分1222とを含み、第1の部分1221と第2の部分1222との幅が異なる。幅とは、第2の一次ボディ122の第2の方向A2におけるサイズを指し、第1の部分1221の幅は、第2の部分1222の幅よりも大きい。したがって、給電穴1225は、第1の部分1221に配置され、第1の給電線が給電穴1225を通過した後に、第1の給電線の外部導体を第1の部分1221に溶接するのに役立つ。第1の部分1221は、第2の部分1222と第2の接続部14との間に接続され、第2の接続端1223は、第1の部分1221と第2の接続部14との間の接続位置である。第2の給電端1224は、第1の一次ボディ121に対向する、第2の部分1222の端部である。第2の給電端1224は、給電スタブ123のエンクロージャゾーン内に位置する。給電穴1225は、第2の部分1222に隣接する第1の部分1221の位置にある。第1の放射部11に対向する第1の部分1221の縁部と、第1の放射部11に対向する第2の部分1222の縁部とは、同一直線上にある。
【0074】
本出願では、折返しアンテナ10の給電側の半波ラジエータ(すなわち、第2の放射部12)にコプレーナ導波路構造を導入することにより、トライデント形状の給電構造を形成する。アンテナ励磁は、直交レイアウト方式で実装され、すなわち、給電線(無線周波数同軸線であってもよい)は、折返しアンテナ10が配置される平面に対して垂直である。例えば、折返しアンテナ10は、誘電体プレートの1つの表面上に配置されたマイクロストリップ形態であり、給電線は、誘電体プレート上のビアを通過して折返しアンテナ10を給電し、給電線の外部導体は、ビアを通過して、ビアが配置されている放射アームに直接接続される。すなわち、給電線は、第2の一次ボディ122の給電穴1225を通過しており、給電線の外部導体は、第2の一次ボディ122に接続されており、この第2の一次ボディ122は溶接固定されて電気的に接続されてもよい。内部導体と給電線の絶縁媒体とが給電穴を通過して屈曲し、内部導体が第1の一次ボディ121に電気的に接続され、内部導体が溶接されて固定され、第1の一次ボディ121に電気的に接続されてもよい。絶縁媒体は、内部導体を第2の一次ボディ122から絶縁する機能を有し、短絡のリスクを低減する。
【0075】
具体的には、第1の一次ボディ121および第2の一次ボディ122は、それぞれ第1の給電点D1および第2の給電点D2が配置されている。第1の給電線の第1の外部導体は、第2の給電点D2に固定されて電気的に接続されるように溶接され、第1の給電線の第1の内部導体は、屈曲して延び、第1の一次ボディ121の第1の給電点D1に固定されて電気的に接続されるように溶接され、第1の内部導体は、第1の誘電体絶縁部によって包囲され、第1の内部導体と第2の一次ボディ122との間の絶縁されたアイソレーションが確実にされる。
【0076】
可能な実装形態では、ダイポールアンテナ20は、高周波放射要素21および低周波放射要素22を含み、高周波放射要素21の主放射部および低周波放射要素22の主放射部が共に第2の方向A2に延びている。ダイポールアンテナ20は、全体として矩形状に配置されており、矩形状の長辺が第2の方向A2にある。結合構造30は、低周波放射要素22に接続され、低周波放射要素22の動作周波数は、第2の周波数帯域であり、高周波放射要素21の動作周波数は、第3の周波数帯域および第4の周波数帯域であり、第4の周波数帯域は、第3の周波数帯域よりも高く、第3の周波数帯域は、第2の周波数帯域よりも高い。高周波放射要素21は、比較的広い周波数帯域範囲、例えば5.1GHz~7GHzを有する。特定の適用シナリオでは、異なる適用シナリオの要件に基づいて一部の周波数帯域を1つの動作周波数帯域として選択し、異なる適用シナリオの要件に基づいて異なる周波数帯域を給電のために選択し、その結果、高周波放射要素21は、異なる放射機能を有する第3の周波数帯域および第4の周波数帯域を実行し得る。このように、ダイポールアンテナ20は、3帯域の垂直偏波アンテナアーキテクチャを形成しており、3つの周波数帯域がそれぞれ、第2の周波数帯域が2.4GHz~2.5GHzに、第3の周波数帯域が5.1GHz~5.9GHzに、第4の周波数帯域がSub7G:6~7GHzに形成されている。
【0077】
ダイポールアンテナ20は給電ポートを含み、折返しアンテナ10はまた給電ポートを含み、ダイポールアンテナ20の偏波は折返しアンテナ10の偏波と直交する。本出願で提供されるアンテナは、4帯域二重偏波二重給電アンテナアーキテクチャである。
【0078】
可能な実装形態では、低周波放射要素22は軸対称構造であり、低周波放射要素22の対称軸は中心軸B2である。2つの結合構造30があり、それぞれ中心軸B2の2つの側にある。具体的には、中心軸B2の拡張方向が第2の方向A2である。図4に示すように、中心軸B2は、折返しアンテナ10における第1の放射部11の対称中心の中心線B1と同一直線上にある。
【0079】
可能な実装形態では、高周波放射要素21は、低周波放射要素22の2つの側に対称に分布し、中心軸B2はまた、高周波放射要素21の対称軸である。第2の周波数帯域において、第1の接続部13および第2の接続部14が低周波放射要素22の放射に関与し、第2の方向A2において、高周波放射要素21が第1の接続部13および第2の接続部14に対向している。
【0080】
図4を参照すると、可能な実装形態では、低周波放射要素22は、低周波上部ラジエータ221および低周波下部ラジエータ222を含み、高周波放射要素21は、高周波上部ラジエータ211および高周波下部ラジエータ212を含む。高周波上部ラジエータ211は低周波上部ラジエータ221の2つの側に分布し、高周波下部ラジエータ212は低周波下部ラジエータ222の2つの側に分布する。高周波下部ラジエータ212および低周波下部ラジエータ222は下部スタブを形成し、高周波上部ラジエータ211および低周波上部ラジエータ221は上部スタブを形成する。上部スタブは、折返しアンテナ10と下部スタブとの間に位置し、上部スタブと下部スタブとの間に隙間が形成される。ダイポールアンテナ20の給電ポートは、上部スタブと下部スタブとの間に位置し、低周波放射要素22の中心軸上に位置する。具体的には、高周波放射要素21は、低周波放射要素22の2つの側に配置されて、低周波放射要素22と高周波放射要素21との間の衝撃を最小にする。低周波放射要素22の放射アームのサイズを大きくする必要があるので、結合構造30を使用することによって低周波放射要素22を折返しアンテナ10に接続し、折返しアンテナ10の一部が低周波放射要素22の放射に関与することで小型化を図り、すなわち、折返しアンテナ10の一部と低周波放射要素22とで第2の周波数帯域の放射作業を完結させる。
【0081】
図7を参照すると、低周波上部ラジエータ221は、平行に配置され、かつ第2の方向A2に共に延びる2本の伝送配線2211および2212を含む。2本の伝送配線2211および2212は、低周波放射要素22の中心軸B2の2つの側に対称に分布し、折返しアンテナ10に近い2本の伝送配線2211および2212の端部は結合構造30に接続され、折返しアンテナ10から遠い2本の伝送配線2211および2212の端部は上部接続配線23を使用することによって接続され、上部接続配線23は第1の方向A1に延びており、すなわち、上部接続配線23は2本の伝送配線2211および2212に垂直に接続されている。
【0082】
可能な実装形態では、低周波下部ラジエータ222は、平行に配置され、かつ第2の方向A2に延びる2本の伝送配線2221および2222を含み、低周波下部ラジエータ222の2本の伝送配線2221および2222は、低周波放射要素22の中心軸B2の2つの側に対称に分布する。低周波下部ラジエータ222の2本の伝送配線2221および2222と、低周波上部ラジエータ221の2本の伝送配線2211および2212とは、第2の方向A2において一対一に対応して同一直線上にあってもよい。低周波放射要素22に対して、第1の方向A1のサイズは、低周波放射要素22の伝送配線の幅である。この実装形態では、低周波下部ラジエータ222の伝送配線2221および2222の各々の幅は、低周波上部ラジエータ221の伝送配線2211および2212の各々の幅と同じであってもよく、また、低周波下部ラジエータ222の伝送配線2221および2222の各々の幅は、代替的に低周波上部ラジエータ221の伝送配線2211および2212の各々の幅よりも大きくてもよい。上部スタブに近接する低周波下部ラジエータ222の2本の伝送配線2221および2222の端部が、下部接続配線24を使用することによって接続される。下部接続配線24は第1の方向A1に延び、下部接続配線24は低周波下部ラジエータ222の2本の伝送配線2221および2222に垂直に接続され、下部接続配線24は上部接続配線23に平行であり、隙間が上部接続配線23と下部接続配線24との間に形成されている。ダイポールアンテナ20の給電ポートは、上部接続配線23と下部接続配線24との間に位置し、低周波放射要素22の中心軸B1上に位置している。
【0083】
別の可能な実装形態では、低周波下部ラジエータ222は、統合構造であってもよい。図8に示すように、低周波下部ラジエータ222は、比較的幅の広い放射スタブを含み、これは、図4に示される実装形態における2本の伝送配線2221および2222が相互接続される統合アーキテクチャと同等である。この実装形態では、低周波下部ラジエータ222は、代替的に、低周波放射要素22の中心軸B2を対称中心とする対称アーキテクチャであってもよく、例えば、低周波下部ラジエータ222は矩形形状である。
【0084】
図7および図9を参照すると、低周波下部ラジエータ222については、2本の伝送配線が並列に配置されるアーキテクチャまたは比較的幅の広い放射スタブを有する統合アーキテクチャにかかわらず、屈曲して延びる拡張スタブ223が、低周波上部ラジエータ221から離れた低周波下部ラジエータ222の一端に配置されてもよい。低周波下部ラジエータ222の拡張スタブ223は、低周波放射要素22の中心軸B2の2つの側に一対で配置され、拡張スタブ223は、低周波下部ラジエータ222の2つの側に分散されている。拡張スタブ223は、アンテナ100の物理的なサイズを改善するように構成されており、その結果、共振周波数が満たされることを前提としてアンテナ100の全体的なサイズが小さくされ得、アンテナ100の小型化設計を容易にする。具体的には、拡張スタブ223は、第1の拡張線2231および第2の拡張線2232を含み、第1の拡張線2231の幅は、第2の拡張線2232の幅よりも小さく、第1の拡張線2231は、第2の拡張線2232と低周波下部ラジエータ222との間に接続され、第1の拡張線2231および第2の拡張線2232の各々の幅は、第1の方向A1のサイズを指す。
【0085】
図4に示すように、高周波放射要素21は、高周波上部ラジエータ211および高周波下部ラジエータ212を含む。可能な実装形態では、高周波上部ラジエータ211は、第2の方向A2に共に延びる2本の伝送配線2111および2112を含み、2本の伝送配線2111および2112は、低周波上部ラジエータ221の2つの側に対称に分布される。また、折返しアンテナ10に近接する高周波上部ラジエータ211の2本の伝送配線2111および2112の端部は、折返しアンテナ10の第1の接続部13および第2の接続部14に対向し、折返しアンテナ10から離れた高周波上部ラジエータ211の2本の伝送配線2111および2112の端部は、上部接続配線23を使用することによって接続されている。上部接続配線23は、高周波上部ラジエータ211の2本の伝送配線2111および2112と、低周波上部ラジエータ221の2本の伝送配線2211および2212とのすべてに垂直に接続されている。
【0086】
可能な実装形態では、高周波下部ラジエータ212は、並列に配置され、かつ第2の方向に延びる2本の伝送配線2121および2122を含み、高周波下部ラジエータ212の2本の伝送配線2121および2122は、低周波下部ラジエータ222の2つの側に対称に分布することが可能である。高周波下部ラジエータ212の2本の伝送配線2121および2122と、高周波上部ラジエータ211の2本の伝送配線2111および2112とは、第2の方向において一対一に対応して同一直線上にあってもよい。上部スタブに近接する高周波下部ラジエータ212の2本の伝送配線2121および2122の端部は、下部接続配線24を使用することによって接続され、下部接続配線24は、高周波下部ラジエータ212の2本の伝送配線2121および2122の端部および低周波下部ラジエータ222の第1の方向A1の一端部のすべてに接続される。
【0087】
低周波下部ラジエータ222の拡張スタブ223は、高周波下部ラジエータ212の上部スタブから離れた1つの側に配置される。すなわち、低周波下部ラジエータ222の拡張スタブ223は、高周波下部ラジエータ212の上部スタブから離れた片側の空きスペースを占有しており、アンテナ全体のサイズを変えることなく、低周波下部ラジエータ222の物理的なサイズを変えられ、これによって、小型化されたアンテナの設定が容易になる。
【0088】
折返しアンテナ10の給電構造は、具体的には以下のようなものである。図7および図8を参照すると、折返しアンテナ10は、第2の放射部12上に配置された2つの給電点を含み、2つの給電点は、それぞれ、第1の一次ボディ121上に配置された第1の給電点D1および第2の一次ボディ122上に配置された第2の給電点D2である。図10を参照すると、第1の給電線110を使用して折返しアンテナ10を給電する。第1の給電線110は、第1の外部導体111、第1の誘電体絶縁部112、および第1の内部導体113を含む。第1の給電線110は、誘電体板上のビア、すなわち、(図7を参照すると、)給電穴1225を通過している。第1の外部導体111は、第2の給電点D2に電気的に接続され、第1の外部導体111と第2の給電点D2との間の電気的接続は、溶接によって実装されてもよい。第1の誘電体絶縁部112と第1の内部導体113とが給電穴1225を通過して屈曲し、第1の内部導体113が屈曲して延びて、折返しアンテナ10の第2の放射部12の第1の一次ボディ121に電気的に接続され、第1の内部導体113が第1の給電点D1に電気的に接続され、第1の誘電体絶縁部112が第1の内部導体113を包囲して、その結果、第1の内部導体113と第2の一次ボディ122との間の絶縁されたアイソレーションを確実にする。
【0089】
ダイポールアンテナ20の給電構造は、具体的には以下のようなものである。図7および図8を参照すると、ダイポールアンテナ20は、第3の給電点D3および第4の給電点D4の2つの給電点を含む。ダイポールアンテナ20の2つの給電点は、それぞれ上部接続配線23および下部接続配線24上に位置している。具体的には、第4の給電点D4は、上部接続配線23とダイポールアンテナ20の中心軸B2との間の交点(すなわち、前述の低周波放射要素22の中心軸)に位置し、第3の給電点D3は、下部接続配線24とダイポールアンテナ20の中心軸B2との交点に位置する。
【0090】
図11を参照すると、ダイポールアンテナ20は、第2の給電線120を使用して給電され、第2の給電線120は、同軸ケーブルであってもよく、給電ネットワークとダイポールアンテナ20との間で電磁波信号を伝送するように構成されている。第2の給電線120は、第2の外部導体121、第2の内部導体123、および第2の誘電体絶縁部122を含む。具体的には、ダイポールアンテナ20は、誘電体プレート上に配置されたマイクロストリップ形態であってもよい。ダイポールアンテナ20は、第1の平面上に配置され、第1の平面は、誘電体板の表面であってもよい。ダイポールアンテナ20および第2の給電線120は、誘電体基板の同じ表面上に配置されてもよく、またはそれぞれ2つの対向する表面上に配置されてもよい。この場合、第2の給電線120は、誘電体板のビアを通過してダイポールアンテナ20の給電点に電気的に接続されていてもよい。第2の給電線120は、第1の平面に取り付けられてもよい。第2の給電線120は、第1の平面上で第2の方向A2に延び、上部スタブから離れたダイポールアンテナ20の下部スタブの一端から上部スタブまで延びている。具体的には、第2の給電線120は、低周波放射要素22の中心軸B2に沿って延びている。第2の外部導体121は、第3の給電点D3に電気的に接続されている。第2の誘電体絶縁部122は、第2の内部導体123と第2の外部導体121との間の絶縁体として機能し、第2の誘電体絶縁部122は、第2の外部導体121から上部接続配線23と下部接続配線24との間の隙間に延びている。第2の内部導体123は、第2の誘電体絶縁部122から伸びており、ダイポールアンテナ20の第4の給電点D4に電気的に接続されている。
【0091】
本実施形態では、電流は、第1の給電線110および第2の給電線120を通過し、これは、必然的に、給電線の周囲に電磁場を発生させる。第1の給電線110および第2の給電線120の周囲の誘導磁界を直交させるように、第1の給電線110および第2の給電線120が直交するように設計されており、その結果、誘導磁界間の衝撃が最も小さく、伝送効率が最も高い。
【0092】
具体的には、ダイポールアンテナ20は、高周波特性および低周波特性を有する。高周波放射要素21および低周波放射要素22の偏波を折返しアンテナ10の偏波と直交させることにより、ダイポールアンテナ20の偏波を、折返しアンテナ10の偏波と直交させ、それによって、異なる動作周波数帯域におけるダイポールアンテナ20と折返しアンテナ10との間の衝撃が低減される。
【0093】
本出願では、結合構造30は、折返しアンテナ10とダイポールアンテナ20との間に配置され、結合構造30は、固定周波数帯域の電磁波を選択的に通過してもよい。例えば、本出願の特定の実装形態では、ダイポールアンテナ20の低周波ラジエータが第2の周波数帯域で動作するとき、結合構造30は共振を発生して電流を通過させ、その結果、折返しアンテナ10はダイポールアンテナ20の低周波放射要素22の放射に関与する。折返しアンテナ10の動作周波数帯域、すなわち、第1の周波数帯域において、結合構造30が電流の通過を防止する。具体的には、結合構造30は、低周波を通過させ、高周波を防止する機能を有する。結合構造30の具体的な形態は以下の通りである。
【0094】
図7図8、および図9を参照すると、可能な実装形態では、結合構造30は、第1の結合配線31および第2の結合配線32を含み、第1の結合配線31は折返しアンテナ10に接続され、第2の結合配線32はダイポールアンテナ20に接続され、第1の結合配線31と第2の結合配線32との間に隙間が形成され、直列に接続された等価インダクタおよびキャパシタが構成される。第1の結合配線31と第2の結合配線32との間の電磁結合効果を使用することによって、折返しアンテナ10とダイポールアンテナ20とが互いに接続されて、統合アンテナアーキテクチャを形成する。
【0095】
本実装形態では、第1の結合配線31および第2の結合配線32は直線状であり、第1の結合配線31および第2の結合配線32の拡張方向の両方が第2の方向A2である。第1の方向A1において、第1の結合配線31の一部と第2の結合配線32の一部とが積層配置され、隙間が形成されている。第1の結合配線31は、折返しアンテナ10の一次ラジエータに垂直である。具体的には、第1の結合配線31は第2の放射部12に垂直であり、第2の結合配線32は第1の結合配線31に平行である。第1の結合配線31と第2の結合配線32との間の隙間は均等に分布し、これは共振周波数を調整するのに役立つ。
【0096】
図11を参照すると、別の実装形態では、2本の第2の結合配線32があり、2本の第2の結合配線32は、第1の結合配線31の2つの側に平行に配置される。具体的には、ダイポールアンテナ20の低周波上部放射要素221と折返しアンテナ10との間に間隔空間を形成し、この間隔空間に結合構造30を配置する。2本の第2の結合配線32は、第1の結合配線31の2つの側に2つの並列キャパシタ構造を形成し、コプレーナ導波路状構造を形成する。二重隙間を使用して結合係数を増加させ、周波数を調整した。このアーキテクチャでは、折返しアンテナ10とダイポールアンテナ20との間の距離を小さくし得、すなわち、第2の方向における結合ストリップラインの長さを短くし得、アンテナの全体的な小型化を容易にし得る。
【0097】
別の実装形態では、第1の結合配線31および第2の結合配線32は、それぞれ、屈曲した拡張部分を代替的に有してもよい。例えば、第1の結合配線31および第2の結合配線32は、第1の結合配線31と第2の結合配線32との間に隙間が形成され、直列に接続された等価コンデンサおよびインダクタが構成されていれば、それぞれL字状または円弧状の構造として設計される。
【0098】
特定のデバッグプロセスでは、第1の結合配線31および第2の結合配線32の各々の長さおよび幅ならびにそれらの間の隙間は、異なる動作周波数および帯域幅要件に基づいて調整されてもよく、または共振周波数は、第1の結合配線31および第2の結合配線32の拡張形状を調整することによって調整されてもよい。
【0099】
アンテナを第2の周波数帯域で動作するとき、第1の結合配線31と第2の結合配線32とで形成される分布インダクタとキャパシタとが共振し、その結果、直列回路のインピーダンスは小さく、直接の通過接続に近い。アンテナが第1の周波数帯域で動作するとき、第1の結合配線31と第2の結合配線32とで形成される直列回路は非共振状態であり、高インピーダンス特性を示し、非接続効果に近い。本実装形態では、2本の結合配線を使用して直列接続されたLC回路を形成しているので、低周波を通過する機能および高周波を防止する機能を実装してもよい。本出願で提供される結合構造30は、折返しアンテナ10とダイポールアンテナ20との間に接続され、構造が簡単で省スペースであるという利点を有し、アンテナの小型化設計を容易にする。
【0100】
折返しアンテナ10が第1の給電線110により給電されるとき、折返しアンテナ10は第1の周波数帯域、すなわち、Sub7G:6GHz~7GHzの状態で動作する。アンテナの電流分布を図12および図13に示す。図の中の矢印で示す方向は電流分布および電流方向である。図12から明らかなように、ダイポールアンテナ20にはほとんど電流が流れない。図13図12の取り込まれた図であり、図13は主に折返しアンテナ10上の電流分布を示している。特に、図13を見ると、第1の放射部11と第2の放射部12とがエネルギーの重畳を形成しているので、第2の放射部12の電流分布は第1の放射部11の電流分布と同じであることが分かる。本出願におけるアンテナが第1の周波数帯域の動作状態にあるとき、結合構造30は高インピーダンス特性を有するので、電流は折返しアンテナ10に集中し、ダイポールアンテナ20に分布する電流はわずかでしかなく、結合構造30は、ダイポールアンテナ20と折返しアンテナ10との間にアイソレーション効果を形成する。第1の放射部11および第2の放射部12の電流分布は水平状態であり、図中の矢印方向は右から左である。また、第1の接続部13の一部と第2の接続部14の一部との双方が放射に関与する。上半分の電流は、第2の接続部14の第5の配線141が第2の接続部14の第2のケーブル配線142に接続された位置から第1の放射部11に向かって上方に流れ、第1の放射部11に沿って第1の接続部13の第3の配線131に向かって左方に流れ、その後、第3の配線131に沿って第1のケーブル配線132に流れる。下半分の電流は、第2の接続部14の第6の配線が第2の接続部14の第2のケーブル配線142に接続された位置から第2の放射部12に向かって下向きに流れ、第2の放射部12に沿って第1の接続部13の第4の配線133に向かって左方向に流れ、その後、第4の配線133に沿って第1のケーブル配線132に向かって上向きに流れる。第1のケーブル配線132および第2のケーブル配線142の第2の方向の中心位置は、電流0である。
【0101】
ダイポールアンテナ20が第2の給電線120から給電され、かつダイポールアンテナ20が第2の周波数帯域、すなわち、2.4GHz~2.5GHzの状態で動作するとき、この場合、2.45GHzの信号を例として、ダイポールアンテナ20の低周波放射要素22が動作し、アンテナの電流分布が図14に示される。第2の周波数帯域において、結合構造30が共振するので、直列回路のインピーダンスは小さく、短い像に近い。折返しアンテナ10は、低周波放射要素22の動作に関与する。電流は第2の方向に流れ、図14における左側の矢印で示す方向が電流分布および電流方向である。明らかに、電流は、折返しアンテナ10から離れた低周波放射要素22の一端から、低周波放射要素22に近い折返しアンテナ10の一端に流れ、すなわち、電流は、アンテナの下端から上端に流れ、中央の結合構造30を直接通過する。
【0102】
ダイポールアンテナ20が、6.5GHzの信号を例として、第4の周波数帯域、すなわち、Sub7G:6~7GHzで動作するときのアンテナの電流分布を図15に示す。第4の周波数帯域において、ダイポールアンテナ20の高周波放射要素21に主に電流が分配される。例えば、電流分布および電流方向は、図15における右側の矢印で示されている。この場合、結合構造30は高インピーダンス特性を有するので、高周波放射要素21に電流が集中し、高周波放射要素21の折返しアンテナ10に近い側の一端から、高周波放射要素21の折返しアンテナ10から離れた側の一端まで第2の方向に電流が流れる。結合構造30は、ダイポールアンテナ20と折返しアンテナ10との間にアイソレーション効果を形成する。
【0103】
図16は、WIFI製品に適用され、かつ本出願で提供されるアンテナのリターンロス曲線である。S11はダイポールアンテナ20のポート特性を反映しており、S11からダイポールアンテナ20が2G、5G、および6Gの3つの周波数スペクトル間隔をカバーしていることが分かる。S22は折返しアンテナ10のポート特性を反映し、アンテナは6Gの周波数帯域を個別にカバーする。S1、2は、折返しアンテナ10およびダイポールアンテナ20の2つのポート間のアイソレーションを反映する。値が低いほど、この2つの間の影響がより小さいことを示す。この図から、WiFi周波数帯域のアイソレーションが-30dBを超えていることが分かる。本出願で提供されるアンテナによってカバーされる3つの周波数帯域、例えば、それぞれ2G、5G、および6Gがある。アンテナは、2つのアンテナ給電ポートを含み、4つの周波数帯域、すなわち、2G、5G、6G、および6Gの出力を実装してもよい。また、本出願で提供されるアンテナは、4帯域二重偏波アンテナであるので、折返しアンテナ10の偏波とダイポールアンテナ20の偏波とは直交している。折返しアンテナ10のラジエータは非常に良好な広帯域特性を有し、周波数は6GHz~7.8GHzをカバーし、ダイポールアンテナ20のラジエータは2.4G、5G、および6Gをカバーする3帯域特性を有することが、図から分かる。
【0104】
図17および図18は、ダイポールアンテナ20に対応する2Gおよび6Gの周波数のアンテナ放射パターンである。図19は、6G周波数における折返しアンテナ10に対応するアンテナ放射パターンである。折返しアンテナ10の水平偏波ラジエータは、広いビームと高い利得を有する前方および後方の双方向の放射特性を有し、ダイポールアンテナ20は全方向性の放射性能を有することが分かる。
【0105】
本出願で提供されるアンテナは、折返しアンテナ10およびダイポールアンテナ20の放射性能を満たすことを前提として、小型であるという利点を有する。具体的には、第2の方向A2において、アンテナの全長はλL/2であり、λLはダイポールアンテナ20の低周波放射要素22の共振波長である。第1の方向A1において、アンテナの全長はλh/2未満であり、λhは折返しアンテナ10の共振波長である。特定の実装形態では、第1の方向A1において、アンテナの全長は、λh/4~λh/3である。第2の方向A2における折返しアンテナ10のサイズは、λh/10~λh/2である。
【0106】
本出願で提供されるアンテナは、誘電体プレート上に印刷されたマイクロストリップ形態に限定されず、または金属構造であってもよく、もしくはマイクロストリップと金属構造との組合せであってもよい。例えば、折返しアンテナ10は金属構造であり、ダイポールアンテナ20は誘電体プレート上に印刷されたマイクロストリップ構造であり、結合構造はマイクロストリップ構造であってもよい。結合構造30および折返しアンテナ10は、溶接により固定してもよく、または金属ドームを使用することによって電気的に接続する等してもよい。
【0107】
上で開示したものは、本出願の単なる例示的な実施形態であり、当然のことながら、本出願の保護範囲を限定することを意図するものではない。当業者は、前述の実施形態および本出願の特許請求の範囲に従ってなされる同等な修正形態を実装するプロセスのすべてまたは一部が本出願の保護範囲内に含まれるものであることを理解するであろう。
【符号の説明】
【0108】
10 折返しアンテナ
11 第1の放射部
12 第2の放射部
13 第1の接続部
14 第2の接続部
20 ダイポールアンテナ
21 高周波放射要素
22 低周波放射要素
23 上部接続配線
24 下部接続配線
30 結合構造
31 第1の結合配線
32 第2の結合配線
100 アンテナ
101 収容空間
110 第1の給電線
111 第1の外部導体
112 第1の誘電体絶縁部
113 第1の内部導体
120 第2の給電線
121 第1の一次ボディ、外部導体
122 第2の一次ボディ、誘電体絶縁部
123 給電スタブ、第2の内部導体
131 第3の配線
132 第1のケーブル配線
133 第4の配線
140 ベース基板
141 第5の配線
142 第2のケーブル配線
160 給電ネットワーク
200 無線ネットワーク機器
211 高周波上部ラジエータ
212 高周波下部ラジエータ
221 低周波上部ラジエータ、低周波上部放射要素
222 低周波下部ラジエータ
223 拡張スタブ
1211 第1の接続端
1212 第1の給電端
1221 第1の部分
1222 第2の部分
1223 第2の接続端
1224 第2の給電端
1225 給電穴
1231 第1のスタブ
1232 第2のスタブ
1233 第3のスタブ
1321 第1の配線
1322 第2の配線
2111 伝送配線
2121 伝送配線
2211 伝送配線
2221 伝送配線
2231 第1の拡張線
2232 第2の拡張線
A1 第1の方向
A2 第2の方向
B1 中心軸、中心線
B2 中心軸
D1 第1の給電点
D2 第2の給電点
D3 第3の給電点
D4 第4の給電点
L 破線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19