(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】複合不織布、及びそれを含む物品
(51)【国際特許分類】
D04H 3/16 20060101AFI20240719BHJP
D04H 3/14 20120101ALI20240719BHJP
A41D 13/11 20060101ALI20240719BHJP
B01D 39/16 20060101ALI20240719BHJP
B03C 3/28 20060101ALI20240719BHJP
B01D 39/14 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
D04H3/16
D04H3/14
A41D13/11 Z
B01D39/16 A
B03C3/28
B01D39/16 E
B01D39/14 E
(21)【出願番号】P 2022561583
(86)(22)【出願日】2021-03-22
(86)【国際出願番号】 KR2021003499
(87)【国際公開番号】W WO2021206312
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-12-05
(31)【優先権主張番号】10-2020-0043511
(32)【優先日】2020-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0030146
(32)【優先日】2021-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】504092127
【氏名又は名称】トーレ・アドバンスド・マテリアルズ・コリア・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】TORAY ADVANCED MATERIALS KOREA INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】300,3gongdan 2-ro,Gumi-si,Gyeongsangbuk-do 39389 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ド・キュン・ユン
(72)【発明者】
【氏名】グム・シグ・シン
【審査官】川口 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-147711(JP,A)
【文献】国際公開第2021/153296(WO,A1)
【文献】特開2010-058328(JP,A)
【文献】特開2007-037737(JP,A)
【文献】特開2001-355176(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H 3/16
D04H 3/14
A41D 13/11
B01D 39/16
B03C 3/28
B01D 39/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的に帯電処理されたメルトブローン不織布層、及びその一面または両面に配されたスパンボンド不織布層を含み、
圧力損失が5.0mmH
2O以下であり、マーティンデール(Martindale)摩耗性試験の毛羽立ちサイズが5mm未満であ
り、
エンボスパターン1個の平均面積が0.06~0.6mm
2
である、複合不織布。
【請求項2】
エンボス率が9~19%である、請求項1に記載の複合不織布。
【請求項3】
エンボスパターン1個の平均細長比が1.0~2.5である、請求項1に記載の複合不織布。
【請求項4】
前記複合不織布は、第1スパンボンド不織布層、メルトブローン不織布層及び第2スパンボンド不織布層を含み、前記メルトブローン不織布層は、少なくとも部分的に帯電処理された、請求項1に記載の複合不織布。
【請求項5】
前記複合不織布は、前記第1スパンボンド不織布層、前記メルトブローン不織布層及び前記第2スパンボンド不織布層を、その順に含む、請求項
4に記載の複合不織布。
【請求項6】
前記第1スパンボンド不織布層及び前記第2スパンボンド不織布層のうち少なくとも1層は、少なくとも1層のスパンボンド不織布サブ層を含む、請求項
4に記載の複合不織布。
【請求項7】
前記メルトブローン不織布層は、少なくとも1層の帯電処理されたメルトブローン不織布サブ層を含む、請求項
4に記載の複合不織布。
【請求項8】
前記メルトブローン不織布層は、少なくとも1層の帯電処理されたメルトブローン不織布サブ層、及び少なくとも1層の帯電処理されていないメルトブローン不織布サブ層を含む、請求項
7に記載の複合不織布。
【請求項9】
少なくとも1層の追加層をさらに含む、請求項1に記載の複合不織布。
【請求項10】
請求項1ないし
9のうちいずれか1項に記載の複合不織布を含む、物品。
【請求項11】
前記物品は、微細ほこり除去用マスク、空気清浄器用フィルタまたはエアコン用フィルタである、請求項1
0に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合不織布、及びそれを含む物品に係り、さらに詳細には、抗ピリング性及び呼吸性にすぐれる複合不織布、及びそれを含む物品に関する。
【背景技術】
【0002】
微細ほこり除去用マスクの場合、内外覆素材と、中央部の微細ほこりをフィルタリングするフィルタ素材とが多層に複合化されて構成されている。
【0003】
フィルタ層としては、主に、帯電処理されたメルトブローン(meltblown)不織布が使用されている。該メルトブローン不織布は、低い機械的強度と、高柔軟性とにより、形態安定性が低く、外部衝撃や摩擦により、容易に構造変形が生じる。従って、メルトブローン不織布層を保護し、形態安定性を付与するために、該メルトブローン不織布層の両面または一面に、形態安定性や、引っ張り強度のような機械的物性が高い不織布を積層し、マスクを構成することになり、主に、スパンボンド不織布が、別途のラミネーティング工程を経て積層される。
【0004】
また、一般的に、帯電処理されたメルトブローン素材の一面や両面に、内外覆用素材として適用されているスパンボンド不織布は、フィラメントが太く、気孔が大きいために、微細ほこり除去効率がほとんどなく、形態安定性を付与する機能のみを有する。従って、多層のマスク不織布構成において、中央部に位置したフィルタ層でのみ微細ほこりをフィルタリングするために、微細ほこりがフィルタ層に集中的に積層され、フィルタリング効率が使用時間によって低下してしまうという問題点があり、特に、長期間マスクを着用しなければならない産業現場においては、そのような問題が、ユーザの呼吸器安全にも影響を及ぼしてしまう。
【0005】
また、内外皮層として使用される不織布は、主に、マスクの外形に沿い、超音波融着によって合紙されるために、融着工程時、内層の帯電処理されたメルトブローン不織布の構造が変更され、フィルタリング性能が低下してしまう。
【0006】
また、マスクに使用される内外覆素材としては、綿織物や、不織布短繊維及びスパンボンド不織布などがある。マスク用内外覆素材は、ユーザの皮膚に直接触れ、摩擦によって生じる素材の表面変形、またはユーザの利用環境において、手との接触や、保管時の接触による素材表面の変形が容易に生じる。そのような場合、外観、及び皮膚接触部位の異質的な皮膚触感により、ユーザに不都合を感じさせてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一具現例は、抗ピリング性及び呼吸性にすぐれる複合不織布を提供する。
【0008】
本発明の他の具現例は、前記複合不織布を含む物品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面は、
少なくとも部分的に帯電処理されたメルトブローン不織布層、及びその一面または両面に配されたスパンボンド不織布層を含み、
圧力損失が5.0mmH2O以下であり、マーティンデール(Martindale)摩耗性試験の毛羽立ちサイズが5mm未満である複合不織布を提供する。
【0010】
前記複合不織布は、エンボス率が9~19%でもある。
【0011】
前記複合不織布は、エンボスパターン1個の平均面積が0.06~0.6mm2でもある。
【0012】
前記複合不織布は、エンボスパターン1個の平均細長比が1.0~2.5でもある。
【0013】
前記複合不織布は、第1スパンボンド不織布層、メルトブローン不織布層及び第2スパンボンド不織布層を含み、前記メルトブローン不織布層は、少なくとも部分的に帯電処理されたものでもある。
【0014】
前記複合不織布は、前記第1スパンボンド不織布層、前記メルトブローン不織布層及び前記第2スパンボンド不織布層を、その順に含むものでもある。
【0015】
前記第1スパンボンド不織布層及び前記第2スパンボンド不織布層のうち少なくとも1層は、少なくとも1層のスパンボンド不織布サブ層を含むものでもある。
【0016】
前記メルトブローン不織布層は、少なくとも1層の帯電処理されたメルトブローン不織布サブ層を含むものでもある。
【0017】
前記メルトブローン不織布層は、少なくとも1層の帯電処理されたメルトブローン不織布サブ層、及び少なくとも1層の帯電処理されていないメルトブローン不織布サブ層を含むものでもある。
【0018】
前記複合不織布は、少なくとも1層の追加層をさらに含むものでもある。
【0019】
本発明の他の側面は、
前記複合不織布を含む物品を提供する。
前記物品は、微細ほこり除去用マスク、空気清浄器用フィルタまたはエアコン用フィルタでもある。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一具現例による複合不織布は、耐汚染性及び形態安定性にすぐれるだけではなく、寿命が延長され、フィルタ層の多層化により、マスク全体の性能向上、及び除去効率安定性が向上されうる。
【0021】
また、前記複合不織布は、抗ピリング性及び呼吸性にすぐれる。
【0022】
また、前記複合不織布は、各種ほこり、微細ほこり、細菌などの除去目的にも活用され、医療用または保健用のマスクとしても使用される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一具現例による複合不織布を概略的に示した図である。
【
図2】本発明の一具現例による複合不織布を連続して製造するために使用される複合不織布の製造装置を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一具現例による複合不織布について詳細に説明する。
【0025】
本明細書において、「複合不織布(non-woven fabric composite)」は、2種以上の不織布が個別的に製造された後、別途のラミネーティング(合紙)後工程を経て製造された不織布積層体ではなく、2種以上の不織布が1つの連続工程によって製造されて一体化された不織布を意味する。従って、本明細書において「複合不織布」は、「モノリシック不織布(monolithic non-woven fabric)」とも称される。前記複合不織布は、前記不織布積層体に比べ、層間結合が強く、形態安定性及び濾過性能にすぐれるという特徴を有する。
【0026】
また、本明細書において、「帯電処理された不織布層」、または「帯電処理された不織布サブ層」は、連続工程によって製造されたものでもある。具体的には、「帯電処理された不織布層」、または「帯電処理された不織布サブ層」は、連続工程により、「不織布の製造」と、「帯電処理」とを、順次または同時に実施することによって製造されたものでもある。
【0027】
また、本明細書において、「帯電処理された」ということは、不織布繊維上に、電荷が半永久的に付与され、隣接した繊維間に静電気場を形成することができる状態を意味し、帯電処理された不織布は、帯電処理されていない不織布に比べ、電荷密度及び微細ほこり除去効率が高いという特徴がある。
【0028】
また本明細書において、「少なくとも部分的に帯電処理された」ということは、ただ1層だけで構成された場合には、当該層全体が帯電処理されたことを意味し、複数層のサブ層によって構成された場合には、一部サブ層は、帯電処理され、残りサブ層は、帯電処理されていないか、あるいは全てのサブ層が帯電処理されたことを意味する。
【0029】
また、本明細書において、「電荷増強剤」は、電荷密度を増大させる物質を意味する。
【0030】
また、本明細書において、「微細ほこり透過率」、「微細ほこり除去効率」及び「圧力損失」は、作製後であり、使用前の複合不織布につき、下記方法で評価した:
(1)測定装置:TSI社のTSI-8130モデルを使用した。
(2)エアロゾル形成:前記測定装置は、微細エアロゾル生成装置で生じた塩化ナトリウム水溶液ミストの水を蒸発させ、空気中に分散された塩化ナトリウムエアロゾルを形成した。前記形成された塩化ナトリウムエアロゾルにおいて、塩化ナトリウム粒子の平均粒径が0.3μmであり、エアロゾル内塩化ナトリウムの濃度は、18.5mg/m3である。
(3)微細ほこり透過率評価:エアロゾルの透過面速度は、16cm/secであり、不織布の評価面積は、100cm2であった。前記エアロゾル粒子の透過率を微細ほこり透過率として記録した。
(4)微細ほこり除去効率評価:下記数式1によって評価した:
[数式1]
微細ほこり除去効率=100%-微細ほこり透過率
(5)圧力損失評価:エアロゾルの透過面速度は、5cm/secであり、不織布の評価面積は、100cm2であった。
【0031】
本発明の一具現例による複合不織布は、少なくとも部分的に帯電処理されたメルトブローン不織布層、及びその一面または両面に配されたスパンボンド不織布層を含む。
【0032】
前記複合不織布は、微細ほこり除去効率が、20~99.9%、30~99.9%、40~99.9%、50~99.9%、60~99.9%、70~99.9%、80~99.9%または90~99.9%でもある。
【0033】
前記複合不織布は、圧力損失が、5.0mmH2O以下、4.0mmH2O以下、3.0mmH2O以下または2.0mmH2O以下でもある。
【0034】
また、前記複合不織布は、マーティンデール(Martindale)摩耗性試験の毛羽立ちサイズが、5mm未満、4mm未満、3mm未満または2mm未満でもある。従って、前記複合不織布は、毛羽の発生が抑制され、空気透過性が高いという利点を有する。
【0035】
また、前記複合不織布は、エンボス率(=エンボスパターンの総面積/複合不織布の総面積×100=カレンダーロールにおける、パターンロールのエンボスパターンの総面積/カレンダーロールにおける、パターンロールの上部表面の総面積×100)が9~19%でもある。前記複合不織布のエムボス面積が前記範囲以内であるならば、毛羽発生率が低くありながらも、圧力損失が少ない複合不織布を得ることができる。
【0036】
また、前記複合不織布は、エンボスパターン1個の平均面積が0.06~0.6mm2でもある。前記複合不織布のエンボスパターン1個の平均面積が前記範囲以内であるならば、毛羽発生率が低くありながらも、圧力損失が少ない複合不織布を得ることができる。
【0037】
また、前記複合不織布は、エンボスパターン1個の平均細長比(長軸/短軸)が1.0~2.5でもある。前記複合不織布のエンボスパターン1個の平均細長比が前記範囲以内であるならば、毛羽発生率が低い複合不織布を得ることができる。
【0038】
前記複合不織布は、少なくとも部分的に帯電処理されたメルトブローン不織布層を含むことにより、優秀な微細粒子捕集機能を有することを特徴とする。しかしながら、従来のスパンボンド・メルトブローン多層不織布は、平均気孔が数なく、数十μmレベルであるために、0.1~0.6μmレベルの微細粒子を除去する機能がほとんどない。
【0039】
前記複合不織布は、第1スパンボンド不織布層、メルトブローン不織布層及び第2スパンボンド不織布層を含むものでもある。
【0040】
前記メルトブローン不織布層は、少なくとも部分的に帯電処理されたものでもある。
【0041】
前記複合不織布は、前記第1スパンボンド不織布層、前記メルトブローン不織布層及び前記第2スパンボンド不織布層を、その順に含むものでもある。しかしながら、本発明は、それに限定されるものではなく、前記複合不織布は、前記第1スパンボンド不織布層、前記メルトブローン不織布層及び前記第2スパンボンド不織布層を、それとは異なる順に含むものでもある。
【0042】
前記メルトブローン不織布層は、後述する電荷増強剤を含むものでもある。
【0043】
前記第1スパンボンド不織布層及び前記第2スパンボンド不織布層のうち少なくとも1層は、少なくとも1層のスパンボンド不織布サブ層を含むものでもある。例えば、前記第1スパンボンド不織布層及び前記第2スパンボンド不織布層のうち少なくとも1層は、連続工程によって製造され、互いに一体化された複数のスパンボンド不織布サブ層を含むものでもある。
【0044】
前記メルトブローン不織布層は、少なくとも1層の帯電処理されたメルトブローン不織布サブ層を含むものでもある。例えば、前記メルトブローン不織布層は、それぞれ連続工程によって製造され、互いに一体化された複数の帯電処理されたメルトブローン不織布サブ層を含むものでもある。
【0045】
前記メルトブローン不織布層は、少なくとも1層の帯電処理されたメルトブローン不織布サブ層、及び少なくとも1層の帯電処理されていないメルトブローン不織布サブ層を含むものでもある。具体的には、前記メルトブローン不織布層は、それぞれ連続工程によって製造され、互いに一体化された少なくとも1層の帯電処理されたメルトブローン不織布サブ層、及び少なくとも1層の帯電処理されていないメルトブローン不織布サブ層を含むものでもある。
【0046】
前記複合不織布に含まれた少なくとも1つのスパンボンド不織布、少なくとも1つの帯電処理されたメルトブローン不織布、及び/または少なくとも1つの帯電処理されていないメルトブローン不織布は、それぞれ互いに独立して、非伝導性重合体を含むものでもある。
【0047】
前記非伝導性重合体は、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、それらの共重合体、またはそれらの組み合わせを含むものでもある。
【0048】
前記ポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ-4-メチル-1-ペンテン、ポリ塩化ビニル、またはそれらの組み合わせを含むものでもある。
【0049】
前記ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、またはそれらの組み合わせを含むものでもある。
【0050】
前記それぞれのスパンボンド不織布、前記それぞれの帯電処理されたメルトブローン不織布、及び/または前記それぞれの帯電処理されていないメルトブローン不織布は、それぞれ互いに独立して、添加剤をさらに含むものでもある。
【0051】
前記添加剤は、顔料、光安定剤、一次酸化防止剤、二次酸化防止剤、金属不活性化剤、ヒンダードアミン、ヒンダードフェノール、脂肪酸金属塩、トリエステルホスファイト、リン酸塩、フッ素含有化合物、核化剤、またはそれらの組み合わせを含むものでもある。
【0052】
また、一具現例において、酸化防止剤が電荷増強剤として機能することができる。可能な電荷増強剤は、熱安定性有機トリアジン化合物、オリゴマー、またはそれらの組み合わせを含み、それらの化合物またはオリゴマーは、トリアジン環内の窒素以外に、少なくとも1つの窒素原子を追加して含む。
【0053】
例えば、帯電特性向上目的の電荷増強剤は、米国登録特許第6,268,495号、同第5,976,208号、同第5,968,635号、同第5,919,847号及び同第5,908,598号に開示されている。例えば、前記電荷増強剤は、ヒンダードアミン系添加剤(hindered amine-based additive)、トリアジン系添加剤(triazine additive)、またはそれらの組み合わせを含むものでもある。
【0054】
他の例として、前記電荷増強剤は、ポリ[((6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル)((2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ)](CHIMASSORB 944(BASF製))、(2,4,6-卜リクロロ-1,3,5-トリアジンとの1,6-ヘキサンジアミン-N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)重合体、N-ブチル-1-ブタンアミンとN-ブチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンアミンとの反応生成物)(CHIMASSORB 2020(BASF製))、または前記電荷増強剤は、N-置換されたアミノ芳香族化合物、特に、トリ-アミノ置換された化合物、例えば、2,4,6-トリアニルリノ-p-(カルボ-2’-エチルヘキシル-1’-オキシ)-1,3,5-トリアジン(UVINUL T-150(BASF製))でもある。他の電荷増強剤としては、トリステアリルメラミン(「TSM」)としても知られた2,4,6-トリス-(オクタデシルアミノ)-トリアジン、alpha-alkenes(C20-C24)無水マレイン酸-4-アミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(Uvinul 5050H(BASF製))または4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノール混合物(Tinuvin 622SF(BASF製))がある。
【0055】
前記電荷増強剤の含量は、それぞれのスパンボンド不織布の総重量100重量部、またはそれぞれの帯電処理されたメルトブローン不織布の総重量100重量部に対し、0.25~5重量部でもある。前記電荷増強剤の含量が、前記範囲以内であるならば、本発明が目標とする高レベルの帯電性能を得ることができるだけではなく、紡糸性が良好であり、不織布の強度が高く維持され、コスト側面において有利である。
【0056】
前記複合不織布は、前記添加剤以外に、熱安定剤、耐候剤(weathering agent)のような、一般的に知られた公知の添加剤をさらに含むものでもある。
【0057】
前記複合不織布において、帯電処理されたメルトブローン不織布の総含量は、前記複合不織布の総重量100重量部に対し、3~50重量部でもある。前記帯電処理されたメルトブローン不織布の総含量が、前記範囲以内であるならば、濾過性能、形態安定性及び耐久性にすぐれる複合不織布を得ることができる。
【0058】
前記複合不織布は、坪量(単位面積当たり質量)が10~500g/m2、例えば、20~100g/m2の範囲でもある。
【0059】
前記複合不織布に含まれた複数の不織布は、超音波融着ではなく、熱融着によって互いに一体化(すなわち、結合)されたものでもある。
【0060】
前記複合不織布は、少なくとも1層の追加層をさらに含むものでもある。
【0061】
一例として、前記各追加層は、スパンボンド不織布でもなく、メルトブローン不織布でもない、別個の不織布を1枚以上含むものでもある。
【0062】
他の例として、前記各追加層は、不織布ではなく、他材質の層を1層以上含むものでもある。
【0063】
以下、本発明の一具現例による複合不織布の製造方法について詳細に説明する。
【0064】
本発明の一具現例による複合不織布の製造方法は、スパンボンド不織布層を連続して形成する段階(S10)、及び前記スパンボンド不織布層上に、メルトブローン不織布層を連続して形成する段階(S20)を含む。
【0065】
前記スパンボンド不織布層連続形成段階(S10)は、熱可塑性である非伝導性重合体を、溶融押出、冷却及び延伸して繊維原糸を形成した後、前記繊維原糸をスクリーンベルト上に積層し、ウェブ化(webforming)するものでもある。
【0066】
前記メルトブローン不織布層連続形成段階(S20)は、熱可塑性である非伝導性重合体(電荷増強剤が追加されもする)を溶融押出、熱風延伸及び冷却して繊維原糸を形成した後、前記繊維原糸を、前記スパンボンド不織布層連続形成段階(S10)において、ウェブ化されたスパンボンド上に積層し、ウェブ化するものでもある。
【0067】
具体的には、前記メルトブローン不織布層連続形成段階(S20)は、非伝導性重合体(電荷増強剤が追加されもする)でもって、自由繊維を連続して形成する段階(S20-1)、前記自由繊維を連続して紡糸する段階(S20-2)、前記自由繊維に極性溶媒(例えば、水)を連続して噴射し、前記自由繊維を連続して帯電させる段階(S20-3)、及び前記自由繊維を連続して集積し、メルトブローン不織布を連続して形成する段階(S20-4)を含むものでもある。
【0068】
前記自由繊維連続帯電段階(S20-3)は、前記極性溶媒を、気体(例えば、空気)と共に連続して噴射することによっても遂行される。
【0069】
以下、前記自由繊維連続帯電段階(S20-3)が、従来技術に比べ、異質的であるか、あるいは顕著な効果を有するということを詳細に説明する。
【0070】
(1)一般的に、メルトブローン工程中、帯電処理することができる方法としては、米国登録特許第6,375,886号のように、極性溶媒と、溶融紡糸中のフィラメントとの摩擦を介して帯電処理する方法と、米国登録特許第6,969,484号のように、メルトブローン不織布を極性溶媒に浸漬させ、吸引(suction)装置により、不織布間に水が透過されながら、水と不織布との摩擦を介して帯電処理する方法とが、産業界で主に適用され、帯電処理されたメルトブローン不織布を製造した。そのように極性溶媒を利用した帯電処理方法は、帯電処理後、極性溶媒を乾燥させる後工程が別途に必要であり、従って、連続工程でもって、不織布を積層したり、複合化したりすることが基本的に不可能である。米国登録特許第6,375,886号及び米国登録特許第6,969,484号は、その全体が、引用によって本明細書に統合される。
【0071】
(2)米国登録特許第5,227,172号は、メルトブローン口金(die)と捕集体(collector)との間に高電位差を印加し、溶融紡糸される樹脂がフィラメント化されながら、周囲電場によって誘導帯電処理されるようにする方法を開示しているが、該方法は、別途の後加工処理なしに、帯電処理されたメルトブローン不織布を得ることができる。しかしながら、そのように電位差によって誘導帯電処理された不織布は、熱や周囲環境により、帯電処理効率が急激に低下する現象が示されるために、微細ほこり除去用マスクのように、販売過程において、長期保管が必要であるか、空気清浄器用フィルタのように、長期間使用寿命が保証されなければならない用途としては、適用し難いという短所がある。米国登録特許第5,227,172号は、その全体が、引用によって本明細書に統合される。
【0072】
本発明者らは、メルトブローン不織布層に、極性溶媒を、空気と共に、二流体形態で噴射し、少ない噴射量でもって、十分な運動エネルギーを有する極性溶媒粒子を、溶融紡糸中のフィラメントに摩擦させ、高効率の摩擦帯電効果を有するように帯電処理装置を開発し、そのような帯電処理装置は、少ない噴射量により、DCD(die to collector distance)区間内で加熱された空気により、十分に加熱蒸発されるために、別途の乾燥設備が必要ないことがその特徴である。そのような特徴により、前記帯電処理装置は、不織布製造工程と結合し、連続積層によって不織布を複合化することができるという利点を有する。
【0073】
前記メルトブローン不織布を帯電処理して得られた不織布は、負電荷と正電荷とが半永久的に存在するように、持続的に分極された状態になり、そのような不織布をエレクトレット(electret)不織布と言う。
【0074】
前述のように、前記複合不織布の製造方法は、前記自由繊維連続帯電段階(S20-3)で噴射された前記極性溶媒を除去するための別途の乾燥段階を含まないのである。
【0075】
また、前述のように、前記自由繊維連続帯電段階(S20-3)で連続して噴射された前記極性溶媒は、複合不織布製造装置のDCD(die to collector distance)区間内において、加熱された空気により、連続して加熱されて蒸発されうる。
【0076】
前記複合不織布の製造方法は、前記スパンボンド不織布層連続形成段階(S10)と同一方式により、前記メルトブローン不織布層上に他のスパンボンド不織布層を連続して形成する段階(S30)をさらに含むものでもある。
【0077】
前記複合不織布の製造方法は、前記メルトブローン不織布層連続形成段階(S20)後、または前記他のスパンボンド不織布層連続形成段階(S30)後、前記メルトブローン不織布層の一面または両面に、前記各スパンボンド不織布層を連続して熱圧着する段階(S40)をさらに含むものでもある。
【0078】
前記熱圧着段階(S40)は、同一形状を有する多数のエンボスパターンが形成されている第1ロール(すなわち、パターンロール)と、凹凸がない第2ロール(平滑ロール)とを含むカレンダーロール間に、前記メルトブローン不織布層、及び前記1層以上のスパンボンド不織布層を通過させることによっても遂行される。前記カレンダーロールにおいて、前記第1ロールの表面に形成されているエンボスパターンの上部表面積の比率(第1ロールのエンボスパターンの総面積/第1ロールの上部表面の総面積×100)、上部表面積の大きさ、及び上部表面積の形状を調節することにより、最終的に生産される複合不織布のエンボス率、エンボスパターン1個の平均面積、及びエンボスパターン1個の平均細長比を調節することができる。
【0079】
図1は、本発明の一具現例による複合不織布10を概略的に示した図面である。
【0080】
本発明の一具現例による複合不織布10は、第1スパンボンド不織布層11、少なくとも部分的に帯電処理されたメルトブローン不織布層12、及び第2スパンボンド不織布層13を含む。
【0081】
また、前記複合不織布の製造方法を変形することにより、多様な構造及び/または構成を有する複合不織布が製造されうる。
【0082】
以下、本発明の一具現例による物品について詳細に説明する。
【0083】
本発明の一具現例による物品は、前述の複合不織布を含む。
【0084】
前記物品は、微細ほこり除去用マスク、空気清浄器用フィルタまたはエアコン用フィルタでもある。
【実施例】
【0085】
以下、実施例を介し、本発明について詳細に説明する。本実施例は、本発明について、さらに具体的に説明するためのものであるが、本発明の範囲は、それら実施例に限定されるものではない。
【0086】
実施例1:複合不織布の製造
スパンボンド不織布層(SB)形成用重合体としては、溶融指数(MI)が34g/10分であるプロピレン単独重合体(H7900(LG化学製))を使用し、メルトブローン不織布層(MB)形成用重合体としては、溶融フロー指数(MFR)が1,000g/10分である樹脂(H7910(LG化学製))を使用した。また、メルトブローン不織布層(MB)形成用重合体には、ヒンダードアミン光安定剤であるChimasorb 944を0.5wt%の含量で添加した。その後、
図2に図示されているような複合不織布の製造装置を利用し、スパンボンド・メルトブローン・スパンボンド(SMS)形態の複合不織布を連続して製造した。具体的には、メルトブローン不織布層(MB)は、前記複合不織布の製造装置において、二流体ノズルを介し、空気と共に水と接触することによって連続して帯電処理された後、スパンボンド不織布層(SB)の上部に積層され、前記メルトブローン不織布層(MB)の上部に、他のスパンボンド不織布層(SB)が積層される。結果として、SMS不織布積層体を得た。その後、前記SMS不織布積層体は、同一形状を有する多数のエンボスパターンが形成されている第1ロールと、凹凸がない第2ロールとを含むカレンダーロール間において、熱圧着工程を経て、1つの複合不織布形態に製造された。ここで、前記カレンダーロールは、エンボス率が14%であり、エンボスパターン1個の平均面積が0.33mm
2であり、エンボスパターン1個の平均細長比が1.75であった。また、ここで、SMS複合不織布の全体坪量は、100gsm(g/m
2)に調節し、二重メルトブローン不織布層(MB)の坪量は、22gsmに調節した。
【0087】
実施例2:複合不織布の製造
カレンダーロールを、エンボス率が9%であり、エンボスパターン1個の平均面積が0.33mm2であり、エンボスパターン1個の平均細長比が1.75であるカレンダーロールに替えたことを除いては、前記実施例1と同一方法でもって、SMS複合不織布を製造した。
【0088】
実施例3:複合不織布の製造
カレンダーロールを、エンボス率が19%であり、エンボスパターン1個の平均面積が0.33mm2であり、エンボスパターン1個の平均細長比が1.75であるカレンダーロールに替えたことを除いては、前記実施例1と同一方法でもって、SMS複合不織布を製造した。
【0089】
実施例4:複合不織布の製造
カレンダーロールを、エンボス率が14%であり、エンボスパターン1個の平均面積が0.06mm2であり、エンボスパターン1個の平均細長比が1.75であるカレンダーロールに替えたことを除いては、前記実施例1と同一方法でもって、SMS複合不織布を製造した。
【0090】
実施例5:複合不織布の製造
カレンダーロールを、エンボス率が14%であり、エンボスパターン1個の平均面積が0.6mm2であり、エンボスパターン1個の平均細長比が1.75であるカレンダーロールに替えたことを除いては、前記実施例1と同一方法でもって、SMS複合不織布を製造した。
【0091】
実施例6:複合不織布の製造
カレンダーロールを、エンボス率が14%であり、エンボスパターン1個の平均面積が0.33mm2であり、エンボスパターン1個の平均細長比が1.0であるカレンダーロールに替えたことを除いては、前記実施例1と同一方法でもって、SMS複合不織布を製造した。
【0092】
実施例7:複合不織布の製造
カレンダーロールを、エンボス率が14%であり、エンボスパターン1個の平均面積が0.33mm2であり、エンボスパターン1個の平均細長比が2.5であるカレンダーロールに替えたことを除いては、前記実施例1と同一方法でもって、SMS複合不織布を製造した。
【0093】
比較例1:複合不織布の製造
カレンダーロールを、エンボス率が8%であり、エンボスパターン1個の平均面積が0.33mm2であり、エンボスパターン1個の平均細長比が1.75であるカレンダーロールに替えたことを除いては、前記実施例1と同一方法でもって、SMS複合不織布を製造した。
【0094】
比較例2:複合不織布の製造
カレンダーロールを、エンボス率が20%であり、エンボスパターン1個の平均面積が0.33mm2であり、エンボスパターン1個の平均細長比が1.75であるカレンダーロールに替えたことを除いては、前記実施例1と同一方法でもって、SMS複合不織布を製造した。
【0095】
比較例3:複合不織布の製造
カレンダーロールを、エンボス率が14%であり、エンボスパターン1個の平均面積が0.05mm2であり、エンボスパターン1個の平均細長比が1.75であるカレンダーロールに替えたことを除いては、前記実施例1と同一方法でもって、SMS複合不織布を製造した。
【0096】
比較例4:複合不織布の製造
カレンダーロールを、エンボス率が14%であり、エンボスパターン1個の平均面積が0.7mm2であり、エンボスパターン1個の平均細長比が1.75であるカレンダーロールに替えたことを除いては、前記実施例1と同一方法でもって、SMS複合不織布を製造した。
【0097】
比較例5:複合不織布の製造
カレンダーロールを、エンボス率が14%であり、エンボスパターン1個の平均面積が0.33mm2であり、エンボスパターン1個の平均細長比が3.0であるカレンダーロールに替えたことを除いては、前記実施例1と同一方法でもって、SMS複合不織布を製造した。
【0098】
前述の実施例1~7及び比較例1~5で製造された複合不織布のエンボス率(%)(第1ロールのエンボスパターンの総面積/第1ロールの総上部表面積×100)、エンボスパターン1個の平均面積、及びエンボスパターン1個の平均細長比(長軸長/短軸長)を測定し、その結果を下記表1に示した。
【0099】
【0100】
評価:不織布の物性評価
前述の実施例1~7及び比較例1~5で製造されたそれぞれの複合不織布の圧力損失、重量、圧力損失/重量、毛羽立ちサイズ、及び工程安定性を、下記のような方法で評価し、その結果を下記表2に示した。
【0101】
(1)測定装置:TSI社のTSI-8130モデルを使用した。
(2)エアロゾル形成:前記測定装置は、塩化ナトリウム水溶液と空気とを接触させた後、水を蒸発させ、空気中に分散された塩化ナトリウムを含む、平均粒径が0.3μmであり、塩化ナトリウム粒子濃度が18.5mg/m3であるエアロゾルを形成した。
(3)エアロゾル除去効率評価:エアロゾル透過流量は、95L/分であり、不織布の評価面積は、100cm2であった。
(4)圧力損失評価:エアロゾル透過流量は、30L/分であり、不織布の評価面積は、100cm2であった。
(5)重量評価:ASTM D 3776-1985によって測定した。
(6)毛羽立ちサイズ評価:「抗ピリング性」は、マーティンデール(Martindale)摩耗性試験を行って評価した。該試験は、摩耗剤との接触による摩耗により、不織布を構成する繊維が不織布表面に飛び出して毛羽が起こるか、あるいはもつれて小塊が生じた外観の状態を評価することにより、不織布の摩耗性に対する相対抵抗性を測定するものである。該試験は、James H. Heal & Company, Ltd., (West Yorkshire、イギリス)で市販されるモデル番号404のようなマーティンデール摩滅及び摩耗試験機器(Martindale Wear and Abrasion Tester)を使用して行われた。使用された摩耗剤は、シリコンゴムホイール(モデル名:86045K21-50A(VIP Rubber & Plastic Company. Inc.))であった。該摩耗性試験は、ASTM D 4966-98規格によって実施した。摩耗により、次のような外観変形が生じる。すなわち、外観変形は、ファジー(fuzzy)、ピル(pill(毛羽立ちが塊になった形態)、ロープ(rope)、及びクモ網(spider-web)の形態の順序で生じる。摩耗により、不織布表面で起こった短繊維をファジー(fuzzy)と言う。摩耗に対する抵抗性が低い不織布の場合、ピルサイズが5mm以上であるか、あるいはピルとファジーとが塊になり、5mm以上の高さのロープ(rope)形態であるか、クモ網(spider-web)形態が生じ、そのような形態を有する不織布は、マスク用として使用することができない。本明細書においては、「ピル」、「ロープ」及び「クモ網」を総称し、毛羽立ちと称する。本明細書に記載された毛羽立ちサイズ測定は、不織布上端面で塊になり、ピル、ロープまたはクモ網の形態に突出した塊状の高さを測定するものであり、測定時の基準面は、不織布上端面である。測定時、不織布に外圧を加えていない状態でもって、側面から定規を利用し、毛羽高を測定した。塊になっていない短繊維状のファジー(fuzzy)は、評価していない。
(7)工程安定性評価:熱融着工程を経て一体化された複合不織布を作製するとき、2つのカレンダーロール間を不織布が通過し、このとき、不織布に伝達される熱及び圧着力により、エンボスパターン状に熱融着が生じることになる。カレンダーロール表面に突出しているエンボスパターンの面積が狭くなれば、ロール間熱圧着時、複合不織布に形成されるエンボスパターンの形態が破損され、正常な熱圧着が不可能になるが、そのようなエンボスパターンの破損が生じるか否かということを観察し、発生していなければ、工程安定性が良好であると評価した。
【0102】
【0103】
前掲の表2を参照すれば、実施例1~7で製造された複合不織布は、圧力損失が5mmH2O以下と低く、毛羽立ちサイズも、5mm未満と小さく、工程安定性も良好であると示されている。
【0104】
しかしながら、比較例1,4及び5で製造された複合不織布は、圧力損失が5mmH2O以下と低く、工程安定性も良好であるが、毛羽立ちサイズが5mm以上と大きいと示されている。
【0105】
また、比較例2で製造された複合不織布は、毛羽立ちサイズが5mm未満と小さく、工程安定性も良好であるが、圧力損失が5mmH2Oを超え、高いと示されている。
【0106】
また、比較例3で製造された複合不織布は、圧力損失が5mmH2O以下と低く、毛羽立ちサイズも5mm未満と小さいが、エンボスパターンの破損が生じ、工程安定性が不良であると示されている。
【0107】
本発明は、図面及び実施例を参照して説明されたが、それらは、例示的なものに過ぎず、本技術分野の当業者であるならば、それらから、多様な変形、及び均等な他の具現例が可能であるという点を理解するであろう。従って、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって定められるものである。