(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】ディスプレイパネル及びディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20240719BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20240719BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20240719BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240719BHJP
H10K 50/844 20230101ALI20240719BHJP
H10K 50/86 20230101ALI20240719BHJP
H10K 59/38 20230101ALI20240719BHJP
H10K 59/40 20230101ALI20240719BHJP
H10K 77/10 20230101ALI20240719BHJP
【FI】
G09F9/00 313
G02B5/20 101
G02B5/30
G09F9/00 302
G09F9/30 308Z
H10K50/844
H10K50/86
H10K59/38
H10K59/40
H10K77/10
(21)【出願番号】P 2022570720
(86)(22)【出願日】2021-05-20
(86)【国際出願番号】 CN2021094794
(87)【国際公開番号】W WO2021233367
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2022-12-26
(31)【優先権主張番号】202010435518.3
(32)【優先日】2020-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【氏名又は名称】野村 進
(72)【発明者】
【氏名】廖 峰
(72)【発明者】
【氏名】胡 云松
(72)【発明者】
【氏名】李 立▲勝▼
(72)【発明者】
【氏名】祝 明
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 林川
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/128171(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0309867(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0278900(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0321087(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109377889(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0367644(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110927834(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0392737(US,A1)
【文献】国際公開第2019/183985(WO,A1)
【文献】特開2017-173492(JP,A)
【文献】特開2010-243930(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B5/20-5/30
G09F9/00-9/46
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
H10K50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイパネルであって、前記ディスプレイパネルは、順次積層された、ディスプレイ層と、パッケージ層と、機能性フィルム層とを含み、前記ディスプレイ層は複数の発光デバイスを含み、前記機能性フィルム層は、前記パッケージ層の、前記ディスプレイ層から遠い側に位置し、前記機能性フィルム層は少なくとも1つの弾性回復層を含み、
前記ディスプレイパネルは曲げ可能領域を含み、前記曲げ可能領域内に前記弾性回復層が少なくとも配置され、
前記弾性回復層は、この順に配置された第1の構造層、第2の構造層、及び第3の構造層を少なくとも含み、
前記第1の構造層及び前記第3の構造層の接着性能は、前記第2の構造層の接着性能よりも大きく、
前記第2の構造層の弾性回復能力は、前記第1の構造層及び前記第3の構造層の弾性回復能力よりも
大きく、
前記弾性回復能力は、弾性回復率、弾性復元力及び弾性率のうち少なくとも1つを含む、ディスプレイパネル。
【請求項2】
前記機能性フィルム層は第1の保護層をさらに含み、前記第1の保護層は、前記弾性回復層の、前記パッケージ層から遠い側に位置する、
請求項1に記載のディスプレイパネル。
【請求項3】
前記機能性フィルム層は偏光子をさらに含み、前記偏光子は、前記弾性回復層の、前記第1の保護層から遠い側に位置する、
請求項2に記載のディスプレイパネル。
【請求項4】
前記第1の保護層と前記弾性回復層とは一体化され、前記弾性回復層と前記偏光子とは接着層を使用して結合される、
請求項3に記載のディスプレイパネル。
【請求項5】
前記第1の保護層と、前記弾性回復層と、前記偏光子とはすべて一体化される、請求項3に記載のディスプレイパネル。
【請求項6】
前記弾性回復層と前記偏光子とは一体化され、前記第1の保護層と前記弾性回復層とは接着層を使用して結合される、
請求項3に記載のディスプレイパネル。
【請求項7】
前記第1の保護層と前記弾性回復層とは接着層を使用して結合され、前記弾性回復層と前記偏光子とは接着層を使用して結合される、
請求項3に記載のディスプレイパネル。
【請求項8】
前記機能性フィルム層は偏光子をさらに含み、前記偏光子は前記第1の保護層と前記弾性回復層との間に位置する、
請求項2に記載のディスプレイパネル。
【請求項9】
前記ディスプレイパネルはタッチ構造層をさらに含み、前記タッチ構造層は、前記パッケージ層の、前記ディスプレイ層から遠い側に位置する、
請求項1から8のいずれか一項に記載のディスプレイパネル。
【請求項10】
前記タッチ構造層と前記パッケージ層とは一体化される、請求項9に記載のディスプレイパネル。
【請求項11】
前記ディスプレイパネルは、タッチ構造層とカラーフィルタ層とをさらに含み、前記カラーフィルタ層は、前記タッチ構造層の、パッケージ層から遠い側に位置し、前記カラーフィルタ層はカラーフィルタユニットと遮光部とを含み、前記カラーフィルタユニットは前記ディスプレイパネルに対して垂直な方向で発光デバイスに重なり、前記遮光部は隣接する2つのカラーフィルタユニットの間に位置し、
前記パッケージ層と、前記タッチ構造層と、前記カラーフィルタ層とはすべて一体化される、
請求項1又は2に記載のディスプレイパネル。
【請求項12】
前記弾性回復層の厚みはdであり、20μm≦d≦200μmである、請求項1に記載のディスプレイパネル。
【請求項13】
可視光に対する前記弾性回復層の光透過率は90%を超える、請求項1に記載のディスプレイパネル。
【請求項14】
前記弾性回復層の弾性回復率は95%を超える、請求項1に記載のディスプレイパネル。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載のディスプレイパネルを含むディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、2020年5月21日付で中国国家知識産権局に出願された、「DISPLAY PANEL AND DISPLAY APPARATUS」という名称の中国特許出願第202010435518.3号の優先権を主張するものである。
【0002】
本出願は、ディスプレイ技術の分野に関し、より詳細には、ディスプレイパネル及びディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0003】
ディスプレイ技術の発展に伴い、携帯電話及びタブレットコンピュータなどの携帯型ディスプレイ装置は、人々の生活に不可欠な製品となっている。大型のディスプレイ画面は、ユーザの視覚体験を向上させることができ、ユーザに深く好まれる。しかしながら、大型のディスプレイ画面は、ディスプレイ装置を携帯性の低いものにもし、そのため、折り畳み可能なディスプレイ装置が現れる。折り畳み可能なディスプレイ装置は、展開状態では大型のディスプレイ画面を有し、折り畳み状態では比較的小型のディスプレイ画面を有し、異なる用途シナリオに適用可能であり、その結果、折り畳み可能なディスプレイ装置は、比較的小さな体積を得ることができ、持ち運びが容易である。折り畳み可能なディスプレイ装置は、多機能な用途シナリオ及び視覚的インパクトをユーザにもたらす。実際の用途では、ディスプレイ画面は何度も折り畳み状態及び平坦化状態になる。ディスプレイ画面の曲げ部分は、繰り返される曲げに起因するフィルム層の剥離又は破断のリスクがある。平坦化状態では、曲げ部分のフィルム層は、アーチ状になったことが完全に平坦化されることができないという問題も抱えている。また、現在は、ディスプレイ画面への衝撃に起因するパッケージ故障による異常表示の問題もある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
こうした事情に鑑みて、本出願は、ディスプレイパネルの繰り返される曲げがフィルム層の剥離又は破断を引き起こし、また曲げ部分がアーチ状になったことが平坦化状態で回復されることができない、という問題を解決するため、及びディスプレイパネルの耐衝撃性を向上させるために、ディスプレイパネル及びディスプレイ装置を提供する。
【0005】
本出願の一実施形態は、ディスプレイパネルであって、ディスプレイパネルは、順次積層された、ディスプレイ層と、パッケージ層と、機能性フィルム層とを含み、ディスプレイ層は複数の発光デバイスを含み、機能性フィルム層は、パッケージ層の、ディスプレイ層から遠い側に位置し、機能性フィルム層は少なくとも1つの弾性回復層を含み、ディスプレイパネルは曲げ可能領域を含み、曲げ可能領域内に弾性回復層が少なくとも配置される、ディスプレイパネルを提供する。
【0006】
本出願のこの実施形態では、パッケージ層上に弾性回復層が設けられ、弾性回復層は変形後に初期状態に回復する比較的良好な能力を有する。ディスプレイパネルが曲げ状態から平坦化状態に変化するとき、弾性回復層は、曲げ後に、パネル内の別のフィルム層が、アーチ状態になったことからの回復を行うのを手助けすることができ、それによって、繰り返される曲げがフィルム層の剥離又は破断を引き起こす、及び曲げ部分のアーチ状になったことが平坦化状態において回復されることができない、というリスクを低減する。また、弾性回復層は、良好な制振性を有する。ディスプレイパネルが衝撃にさらされたとき、発光デバイス上のパッケージ層を保護してパッケージ故障に起因する異常表示を回避するように、弾性回復層が衝撃エネルギーを吸収することができ、それによってディスプレイパネルの耐衝撃性を向上させることができる。
【0007】
具体的には、機能性フィルム層は第1の保護層をさらに含み、第1の保護層は弾性回復層の、パッケージ層から遠い側に位置する。第1の保護層は、ディスプレイパネルの表示面側においてディスプレイパネルを保護するように構成される。
【0008】
具体的には、機能性フィルム層は偏光子をさらに含み、偏光子は、弾性回復層の、第1の保護層から遠い側に位置する。あるいは、偏光子は弾性回復層と第1の保護層との間に位置する。偏光子は、表示効果を向上させるように、ディスプレイパネルによる周囲光の反射を減らすことができる。
【0009】
任意選択的に、機能性フィルム層は接着層をさらに含み、機能性フィルム層内で隣接する2つのフィルム層は接着層を使用して結合される。任意選択的に、機能性フィルム層内の弾性回復層と、弾性回復層に隣接する少なくとも1つのフィルム層とは、互いに直接接触して一体化される。
【0010】
一実施形態では、機能性フィルム層内にある弾性回復層と偏光子とは一体化される。
【0011】
別の実施形態では、機能性フィルム層内にある弾性回復層と第1の保護層とは一体化される。
【0012】
別の実施形態では、機能性フィルム層内で順次積層された、第1の保護層と、弾性回復層と、偏光子とは、一体化される。
【0013】
具体的には、ディスプレイパネルは、タッチ構造層をさらに含み、タッチ構造層は、パッケージ層の、ディスプレイ層から遠い側に位置する。
【0014】
任意選択的に、タッチ構造層とパッケージ層とは一体化される。タッチ構造層とパッケージ層との間の接着層の配置が減らされ、このことが、ディスプレイパネルの厚みを減らすのに寄与する。
【0015】
具体的には、ディスプレイパネルは、タッチ構造層とカラーフィルタ層とをさらに含む。タッチ構造層はパッケージ層と直接接触しており、カラーフィルタ層はタッチ構造層と直接接触している。順次積層された、パッケージ層と、タッチ構造層と、カラーフィルタ層とは、すべて一体化される。カラーフィルタ層はカラーフィルタユニットと遮光部とを含む。ディスプレイパネルに垂直な方向で、カラーフィルタユニットは発光デバイスに重なり、遮光部は隣接する2つのカラーフィルタユニットの間に位置する。タッチ構造層とパッケージ層との結合工程に使用される接着層、及び、カラーフィルタ層とタッチ構造層との結合工程に使用される接着層が減らされる。そのため、ディスプレイパネル構造における接着層の使用が減らされ、このことはディスプレイパネルの厚みを減らすのに寄与する。また、カラーフィルタ層はタッチ構造層の上に設けられる。カラーフィルタ層は、発光デバイス及び金属配線による周囲光の反射を減らすことができ、タッチ構造層による周囲光の反射も減らすことができ、それによってディスプレイパネルの表示効果を向上させることができる。
【0016】
具体的には、弾性回復層の厚みはdであり、20μm≦d≦200μmである。
【0017】
具体的には、可視光に対する弾性回復層の光透過率は90%を超える。
【0018】
具体的には、弾性回復層の弾性回復率は95%を超える。
【0019】
本出願の一実施形態は、本出願の任意の実施形態で提供されるディスプレイパネルを含むディスプレイ装置をさらに提供する。
【0020】
本出願で提供されるディスプレイパネル及びディスプレイ装置は以下の有益な効果を有し、すなわち、パッケージ層上に弾性回復層が設けられ、弾性回復層は変形後に初期状態に回復する比較的良好な能力を有する。ディスプレイパネルが曲げ状態から平坦化状態に変化するとき、弾性回復層は、曲げ後に、パネル内の別のフィルム層が、アーチ状態になったことからの回復を行うのを手助けすることができ、それによって、繰り返される曲げがフィルム層の剥離又は破断を引き起こす、及び曲げ部分のアーチ状になったことが平坦化状態において回復されることができない、というリスクを低減する。また、弾性回復層は、良好な制振性を有する。ディスプレイパネルが衝撃にさらされたとき、発光デバイス上のパッケージ層を保護してパッケージ故障に起因する異常表示を回避するように、弾性回復層が衝撃エネルギーを吸収することができ、それによってディスプレイパネルの耐衝撃性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本出願の一実施形態に係るディスプレイパネルの平坦化状態の概略図である。
【
図2】本出願の一実施形態に係るディスプレイパネルの曲げ状態の概略図である。
【
図3】本出願の一実施形態に係るディスプレイパネルの屈げ領域におけるフィルム層構造の概略図である。
【
図4】本出願の一実施形態に係るディスプレイパネルの別のフィルム層構造の概略図である。
【
図5】本出願の一実施形態に係るディスプレイパネルの別のフィルム層構造の概略図である。
【
図6】本出願の一実施形態に係るディスプレイパネルの別のフィルム層構造の概略図である。
【
図7】本出願の一実施形態に係るディスプレイパネルの別のフィルム層構造の概略図である。
【
図8】本出願の一実施形態に係るディスプレイパネルの別のフィルム層構造の概略図である。
【
図9】本出願の一実施形態に係るディスプレイパネルの別のフィルム層構造の概略図である。
【
図10】本出願の一実施形態に係るディスプレイパネルの別のフィルム層構造の概略図である。
【
図11】本出願の一実施形態に係るタッチ構造層の局所的上面図の概略図である。
【
図12】本出願の一実施形態に係るディスプレイパネルの別のフィルム層構造の概略図である。
【
図13】本出願の一実施形態に係るディスプレイパネルの別のフィルム層構造の概略図である。
【
図14】本出願の一実施形態に係るディスプレイパネルの別のフィルム層構造の概略図である。
【
図15】本出願の一実施形態に係るディスプレイ装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
従来技術における問題に基づいて、本出願の実施形態はディスプレイパネル及びディスプレイ装置を提供する。ディスプレイパネルにおいてパッケージ層の上に弾性回復層が設けられる。曲がる際に弾性回復層はモジュール構造と共に曲がり、ディスプレイパネルが平坦化されたとき、弾性回復層は、曲げ後に、曲げ部分の別のフィルム層が、アーチ状態になったことからの回復を行うのを手助けすることができ、それによって、繰り返される曲げがフィルム層の剥離又は破断を引き起こす、及び曲げ部分のアーチ状になったことが平坦化状態において回復されることができない、というリスクを低減する。また、弾性回復層は、良好な制振性を有する。ディスプレイパネルが衝撃にさらされたとき、発光デバイス上のパッケージ層を保護してパッケージ故障に起因する異常表示を回避するように、弾性回復層が衝撃エネルギーを吸収することができ、それによってディスプレイパネルの耐衝撃性を向上させることができる。ディスプレイパネルのフィルム層構造において、弾性回復層と、弾性回復層に隣接するフィルム層とは、接着層を使用して結合され得る。あるいは、製造の際、ディスプレイパネルにおける接着層の使用を減らすように、弾性回復層は、一体化された複合フィルムを形成するために別のフィルム層と直接接触して、その複合フィルムが、次いでディスプレイパネルの別のフィルム層構造に結合さる。以下は、具体的なの実施形態を使用して、本出願を説明する。
【0023】
本出願の実施形態で提供されるディスプレイパネルは、曲げ可能領域を含み、曲げ可能領域は曲げ及び変形されることができる。ディスプレイパネルは、折り畳み状態及び平坦化状態を含む。折り畳み状態では、曲げ可能領域に曲げ変形が生じ、平坦化状態では、曲げ可能領域が変形から回復し、ディスプレイパネルが平坦化状態に回復される。
図1は、本出願の一実施形態に係るディスプレイパネルの平坦化状態の概略図であり、
図2は、本出願の一実施形態に係るディスプレイパネルの曲げ状態の概略図である。
図3は、本出願の一実施形態に係るディスプレイパネルの屈げ領域におけるフィルム層構造の概略図である。
図4は、本出願の一実施形態に係るディスプレイパネルの別のフィルム層構造の概略図である。
【0024】
ディスプレイパネルの曲げ可能領域10が
図1に示されており、曲げ状態が
図2に示されている。折り畳み状態では、曲げ可能領域10は変形させられており、これは、上下の積層構造を形成するためにディスプレイパネルが半分に折り畳まれて曲げられることに相当する。一実施形態では、曲げ可能領域10は、ディスプレイパネルの中央領域に位置する。ディスプレイパネルが半分に折り畳まれて曲げられたとき、上下の積層構造は互いに平行かつ面一になる。任意選択的に、曲げ可能領域10がディスプレイパネルの中央領域から逸脱している場合、ディスプレイパネルが半分に折り畳まれて曲げられたとき、上下の積層構造に特定のずれが存在する。
図1は、ディスプレイパネルが1つの曲げ可能領域10を含むことを示しているにすぎないことが留意されるべきである。本出願は、ディスプレイパネル内の曲げ可能領域の数量に制限を課さない。任意選択的に、ディスプレイパネルは、代替的に、2つ以上の曲げ可能領域を含み得る。たとえば、ディスプレイパネルは、2つの曲げ可能領域を含む。折り畳み状態で2つの曲げ可能領域に曲げ変形が生じたとき、ディスプレイパネルは3層の積層構造を形成し得る。
【0025】
図3に示されるように、ディスプレイパネルは、順次積層された、アレイ基板101と、ディスプレイ層102と、パッケージ層103とを含む。ディスプレイ層102は複数の発光デバイス20を含み、図は、発光デバイス20が、アノード21と、発光層22と、カソード23とを含むことをさらに示している。アノード21は反射アノードであり、カソード23は透明カソードであり、発光層22はカソード23に向かって光を直接放出することができ、光のこの部分はカソード23から直接放出される。また、発光層22はアノード21に向かっても光を放出し、光のこの部分はアノード21によって反射され、次いでカソード23から放出される。したがって、ディスプレイ層102の発光面は、カソード23側の面であり、光はディスプレイ層102からパッケージ層103に向かって放出され、次いで、ディスプレイパネルから放出されるためにディスプレイパネルの別の構造層を貫通する。アレイ基板101は、複数の薄膜トランジスタ11と複数の信号線(図示せず)とを含む。薄膜トランジスタ11のドレイン(図示せず)は、発光デバイス20のアノード21に電気的に接続されている。図では、薄膜トランジスタ11はトップゲート構造として示されているにすぎない。パッケージ層103は、水及び酸素を隔離して発光デバイス20の耐用年数を確保するように、発光デバイス20のパッケージ保護を実行するように構成される。任意選択的に、パッケージ層103は、交互に積層された、有機パッケージ層と無機パッケージ層とを含む。図は、パッケージ層103が2つの無機パッケージ層31と1つの有機パッケージ層32とを含むことを示しているにすぎない。
【0026】
ディスプレイパネルは、機能性フィルム層104をさらに含み、機能性フィルム層104はパッケージ層103の、ディスプレイ層102から遠い側に位置する。機能性フィルム層104は少なくとも1つの弾性回復層41を含み、弾性回復層41は、曲げ後に初期状態に回復する比較的良好な能力を有し、曲げ後に、別のフィルム層が、アーチ状態になったことからの回復を行うのを手助けするために使用されることができる。本発明のこの実施形態では、弾性回復層41は曲げ可能領域10内に少なくとも設けられ、すなわち、弾性回復層41は、曲げ可能領域10内にのみ設けられてもよく、又は層全体の弾性回復層41が設けられてもよい。
図4に示されるように、曲げ可能領域10、及び全面に設けられた弾性回復層41が示されており、全面に設けられた弾性回復層104は、ディスプレイパネルの構造の平坦性を容易にすることができる。
【0027】
ディスプレイパネルの製造の際、ディスプレイモジュールを形成するために、基板が最初に用意され、アレイ基板、ディスプレイ層、パッケージ層等が基板上に順次製造される。本出願では、基板上に直接形成された構造層は、ディスプレイモジュールと総称され得る。ディスプレイモジュール上に機能性フィルム層が位置し、機能性フィルム層は、偏光子、保護層、及び接着層などの構造層を含む。機能性フィルム層は、接着層を使用してディスプレイモジュールに結合される。
【0028】
図3をさらに参照すると、
図3は、機能性フィルム層が第1の保護層42と偏光子43とをさらに含むことを示している。第1の保護層42は弾性回復層41の、パッケージ層103から遠い側に位置しており、偏光子43は弾性回復層41の、第1の保護層42から遠い側に位置している。第1の保護層42は超薄ガラス層又はポリイミドフィルムであり得、第1の保護層42はディスプレイパネル内の別のフィルム層を保護するように構成される。偏光子43は、表示効果を向上させるように、ディスプレイパネルによる周囲光の反射を減らすことができる。任意選択的に、第1の保護層42上に硬質被覆層がさらに設けられ、硬質被覆層の硬度は第1の保護層の硬度よりも大きい。硬質被覆層は、ディスプレイパネル内の別のフィルム層をさらに保護することができる。
【0029】
ディスプレイパネル構造では、パッケージ層の上に、偏光子、保護層、及び接着層等の、フィルム層がさらに設けられる必要がある。ディスプレイパネルが曲げ状態から平坦化状態に変化する過程において、異なるフィルム層の弾性回復能力は異なり、その結果、いくつかのフィルム層は初期の平坦化状態に回復されることができず、曲げ部がアーチ状になっていること、及びフィルム層の剥離、さらには破断、という現象が生じる。本出願のこの実施形態では、パッケージ層上に弾性回復層が設けられ、弾性回復層は変形後に初期状態に回復する比較的良好な能力を有する。ディスプレイパネルが曲げ状態から平坦化状態に変化するとき、弾性回復層は、曲げ後に、パネル内の別のフィルム層が、アーチ状態になったことからの回復を行うのを手助けすることができ、それによって、繰り返される曲げがフィルム層の剥離又は破断を引き起こす、及び曲げ部分のアーチ状になったことが平坦化状態において回復されることができない、というリスクを低減する。また、弾性回復層は、良好な制振性を有する。ディスプレイパネルが衝撃にさらされたとき、発光デバイス上のパッケージ層を保護してパッケージ故障に起因する異常表示を回避するように、弾性回復層が衝撃エネルギーを吸収することができ、それによってディスプレイパネルの耐衝撃性を向上させることができる。
【0030】
具体的には、可視光に対する弾性回復層の光透過率は90%より大きく、弾性回復層のヘイズは1.2%未満であり、その結果、弾性回復層が高い透明性を有することが確保される。弾性回復層はディスプレイ層の発光面側に設けられ、弾性回復層の高い透明性は、表示効果に影響を及ぼすことを回避することができる。
【0031】
具体的には、弾性回復層の弾性回復率は95%より大きく、弾性回復率は引張変形における回復可能部分の割合である。たとえば、弾性回復層が20%だけ予め引き伸ばされたとき、弾性回復層の弾性回復率は95%より大きい。弾性回復層の弾性回復率は比較的高く、このことで、ディスプレイパネルが使用のために繰り返し曲げられた後に、弾性回復層が、曲げ後に依然として非常に良好な回復能力を有することを確保することができる。
【0032】
弾性回復層の弾性復元力はFであり、10MJ・m-3≦F≦50MJ・m-3である。弾性復元力は、外力に起因する変形後の復元力である。本出願では、弾性回復層が、曲げ後に、別のフィルム層が、アーチ状態になったことからの回復を行うのを手助けすることができることを確保するために、ディスプレイパネルが曲げ状態から平坦化状態に移行するときに弾性回復層が十分に強い復元力を生成することができることを確保するように、弾性回復層の弾性復元力は特定の値の範囲を満たす。
【0033】
弾性回復層の弾性率は50~800MPaである。弾性率は、材料の弾性変形を生じにくい程度を測定するために使用される。本出願では、弾性回復層の弾性率は特定の範囲を満たし、その結果、弾性回復層が、特定の可撓性を有してディスプレイパネルと共に曲げられることができること、及び特定の剛性を有して、平坦化状態において、曲げ後に、別のフィルム層が、アーチ状態になったことからの回復を行うのを手助けすることができること、が確保される。
【0034】
本出願のこの実施形態では、弾性回復層を製造するための材料は、高分子ポリマー材料を含み、高分子ポリマー材料は、熱可塑性弾性材料又は熱硬化性弾性材料であり得る。熱可塑性弾性材料は、たとえば、熱可塑性ポリウレタン、ポリエン系エラストマー、及びポリエーテルエラストマーを含み、熱硬化性弾性材料は、たとえば、エチレン-酢酸ビニル共重合体、有機ケイ素系エラストマー、スルホン化ポリエーテルスルホン、及びポリアミド(ナイロン)を含む。
【0035】
一実施形態では、弾性回復層を製造するための材料は、熱可塑性ポリウレタンを含む。熱可塑性ポリウレタン材料は、広い硬度範囲を有し、Shore A 60~Shore D 80の範囲で高い弾性を有し、-40°C~120°Cの広い温度範囲で可撓性を有する。また、熱可塑性ポリウレタン材料は、耐候性及び高いエネルギー線耐性などの良好な性能、並びに高張力、高伸度、及び長期圧縮永久変形率が低いなどの利点を有する。熱可塑性ポリウレタン材料で作られている弾性回復層は、曲げ後に、パネル内の別のフィルム層が、アーチ状態になったことからの回復を行うのを効果的に手助けすることができ、ディスプレイパネルの耐衝撃性を向上させることができる。
【0036】
任意選択的に、硬度は、高分子ポリマー材料が製造されるときにソフトセグメントに対するハードセグメントの比率を制御することによって調整される。ハードセグメントは、高分子ポリマー材料中の、芳香族炭化水素などの比較的剛性の分子鎖セグメントであり、ソフトセグメントは、脂肪族炭化水素などの比較的柔軟な分子鎖セグメントである。たとえば、弾性回復層を製造するための材料は、熱可塑性ポリウレタンを含む。高い光透過率、紫外線に起因する無黄変、高靭性、高硬度状態での高弾性回復率の、特徴をさらに有するため、製造の際にソフトセグメントの割合を増加させるために脂肪族(高分子グリコール、ポリイソシアネート、鎖延長剤など)が使用され得る。
【0037】
具体的には、
図3に示されるように、弾性回復層41の厚みはdであり、20μm≦d≦200μmである。曲げ後に、別のフィルム層が、アーチ状態になったことからの回復を行うのを手助けするように、弾性回復層の厚みは、弾性回復層が比較的良好な弾性回復能力を有することを確実にするために特定の範囲を満たす。また、パッケージ故障に起因する異常表示を回避するように、弾性回復層の制振性は、外力の衝撃からパッケージ層を保護することができる。本出願は、弾性回復層を製造する方法をさらに提供する。具体的なプロセスは以下を含む。
【0038】
ステップS101:試料調製要件に基づいて所定量のエラストマー粒状材料を圧延機に供給する。熱溶融温度、フィルム形成温度、前処理条件などを含んで、材料の重要な物理特性テーブルは供給前に決定される必要がある。
【0039】
ステップS102:後のフィルム形成品質を確保するように、水分を除去するためにエラストマー粒状材料に乾燥処理を行う。エラストマー粒状材料の具体的な材料組成に基づいて、乾燥温度及び時間がもう一度乾燥処理において設定され得る。
【0040】
ステップS103:エラストマー顆粒を段階的に加熱及び溶融すことによってスラリを得る。エラストマー材料は高分子ポリマー材料であるため、比較的高い硬度状態で高い光透過率及び高い弾性回復率を依然として有するために、エラストマー材料の分子構造は特別に設計される必要があり、溶融過程の温度範囲は比較的大きく、その結果、領域毎にかつ段階的に加熱することによって均一な溶融状態のスラリが得られることができる。
【0041】
ステップS104:指定されたスリット幅を有するダイヘッドを使用して、熱溶融状態のスラリを噴射する。押出温度、押出速度、及び押出圧力は、エラストマー材料特性に基づいて設定される必要がある。
【0042】
ステップS105:熱溶融状態のスラリがダイヘッドから噴射され、次いで、凝結ローラ上に流れ、そこで凝結ローラは水冷によって凝結温度を確保する。フィルム形成凝結温度範囲は、一般に20°C~40°Cである。
【0043】
前述のステップS101からステップS105は、弾性回復層を製造する方法を提供する。弾性回復層のフィルム層が単独で製造されるとき、キャリア基板上に離型フィルムが最初に敷設され得、次いで、前述の方法を使用して離型フィルム上に弾性回復層が製造され、そして、弾性回復層上に離型フィルムが製造される。パネルの製造の際、弾性回復層の両側の離型フィルムは取り除かれ、弾性回復層とディスプレイパネルの構造層とが接着層を使用して結合される。
【0044】
一実施形態では、弾性回復層は、1つの材料で作られ、別の実施形態では、弾性回復層は2つ以上の材料で作られる。
【0045】
一実施形態では、弾性回復層は、1つの材料から作られている1層構造である。別の実施形態では、弾性回復層は、2層構造又は多層構造であり、2層構造又は多層構造も、同じ材料で作られ得る。あるいは、弾性回復層内の異なる構造層は、異なる材料で作られる。たとえば、弾性回復層は、順次積層された、第1の構造層と、第2の構造層と、第3の構造層とを含む。第1の構造層及び第3の構造層の両方の接着性能は、第2の構造層の接着性能よりも大きく、構造層において第2の構造層の弾性回復能力が最も強い。すなわち、弾性回復層が比較的強い弾性回復能力と比較的高い可視光透過率を有することを確保するように、弾性回復層を形成するために異なる物理特性を有するの2つ以上の構造層が協調させられ、このことで、弾性回復層がディスプレイパネル内の別のフィルム層との良好な結合信頼性を有することを確保することができる。
【0046】
弾性回復層が2層構造又は多層構造を含むとき、各構造層は前述のステップS101からステップS105の工程を参照しつつ製造され得る。たとえば、弾性回復層は、2つの構造層を含む。第1の構造層が製造された後、第1の構造層の上に第2の構造層が直接製造され、最終的に一体化された弾性回復層が形成される。すなわち、これは、製造工程に依存して形成される構造であり、隣接する構造層が互いに密着して結合され、一体化された弾性回復層内の隣接する構造層が互いに接触して固く結合される、構造体である。
【0047】
弾性回復層は、一体化された複合フィルムを形成するために別のフィルム層と一緒に製造され得る。たとえば、弾性回復層及び第1の保護層は、一体化された第1の複合フィルムを形成することができる。製造の際、第1の保護層はキャリア基板として使用され、前述のステップS101からステップS105の工程を使用して第1の保護層上に弾性回復層が製造される。一体化された第1の複合フィルムを得るために、弾性回復層と第1の保護層とが熱結合にさらされる。次いで、第1の複合フィルム上に離型フィルムが敷設される。ディスプレイパネルの製造の際、離型フィルムが取り除かれた後、第1の複合フィルムとディスプレイパネルの構造層とが接着層を使用して結合される。
【0048】
本出願では、上記は「一体化された弾性回復層」及び「一体化された第1の複合フィルム」に関与し、以下は「隣接する層(又は構造)が一体化され、たとえば、弾性回復層と偏光子とが一体化される」にさらに関与する。「一体化された」とは、製造工程に依存して2つ又は3つのフィルム層が順次製造及び形成され、層が互いに密着して接着層を使用せずに結合される、構造と理解される。たとえば、一体化された第1の複合フィルムとは、弾性回復層と第1の保護層とが一体化され、弾性回復層と第1の保護層とが接着層を有さないことを意味する。以下の具体的な実施形態では、「一体化された」構造が関与するとき、理解のためにこの説明への参照がなされ得る。
【0049】
別の実施形態では、一体化された第1の複合フィルムが得られた後、第1の保護層、弾性回復層、及び偏光子を含む、一体化された第2の複合フィルムを形成するように、連続的に圧延工程を使用して第1の複合フィルムの弾性回復層の上に偏光子が製造され、弾性回復層が特定の温度で接着性能を有するという特性に基づいて偏光子と弾性回復層との間の結合が実施される。次いで、第2の複合フィルム上に離型フィルムが敷設される。ディスプレイパネルの製造の際、離型フィルムが取り除かれた後、第2の複合フィルムとディスプレイパネルの構造層とが接着層を使用して結合される。
【0050】
図3は、機能性フィルム層が、第1の保護層と、弾性回復層と、偏光子とを含むことを示しており、弾性回復層が第1の保護層と偏光子との間に位置し得るケースを示している。別の実施形態では、第1の保護層と弾性回復層との間に偏光子が位置し、すなわち、弾性回復層と偏光子との位置は入れ替わり得る。別の実施形態では、機能性フィルム層は第1の保護層と弾性回復層とを含み、すなわち、機能性フィルム層は偏光子を含まない。また、機能性フィルム層内で隣接する2つのフィルム層は接着層を使用して結合され得る。あるいは、弾性回復層は、一体化された構造を形成するために、弾性回復層に隣接するフィルム層と直接接触している。たとえば、弾性回復層と第1の保護層とは一体化される。接着のために弾性回復層と第1の保護層との間に接着層が設けられる必要はない。製造の際、第1の保護層はキャリア基材として使用され得、弾性回復層は一体化された複合フィルムを形成するために第1の保護層の上に直接製造され、次いで複合フィルムとディスプレイパネルの別の構造とが接着層を使用して結合される。機能性フィルム層の具体的な構造は、以下の実施形態の例を使用して詳細に説明される。
【0051】
一実施形態では、機能性フィルム層内の隣接する2つのフィルム層は接着層を使用して結合される。
図5は、本出願の一実施形態に係るディスプレイパネルの別のフィルム層構造の概略図である。機能性フィルム層104は、弾性回復層41と、第1の保護層42と、偏光子43とを有し、第1の保護層42と偏光子43との間に弾性回復層41が位置する。機能性フィルム層104は、少なくとも第1の接着層51と第2の接着層52とをさらに含む。第1の保護層42と弾性回復層41とは第1の接着層51を使用して結合され、弾性回復層41と偏光子43とは第2の接着層52を使用して結合される。第3の接着層53がディスプレイパネル内にさらに設けられ、第3の接着層53を使用して偏光子43と下方のモジュール構造とが結合される。
図5では、偏光子43の下方のモジュール構造がパッケージ層103である一例のみが使用されている。ディスプレイパネルの製造の際、パッケージ層103の工程が完了された後、第3の接着層53が製造され、次いで第3の接着層53の上に偏光子43が結合される。次いで、偏光子43の上に第2の接着層52が製造され、それから、第2の接着層52の上に弾性回復層41が結合される。次いで、弾性回復層41の上に第1の接着層51が製造され、第1の接着層51の上に第1の保護層42が結合される。この実施態様では、繰り返される曲げ後のフィルム層間のフィルム層剥離を防止するように、弾性回復層は、曲げ後に、機能性フィルム層内にある第1の保護層、偏光子、及び接着層が、アーチ状態になったことからの回復を行うのを手助けすることができる。また、パッケージ故障に起因する異常表示を回避するように、弾性回復層は外力の衝撃からパッケージ層を保護することができる。
【0052】
図5は、第1の保護層と偏光子との間に弾性回復層が位置していることを示しているにすぎない。別の実施形態では、機能性フィルム層において第1の保護層と弾性回復層との間に偏光子が位置し、機能性フィルム層内で隣接する2つのフィルム層が接着層を使用して結合される。さらなる概略図は、本明細書では示されない。
【0053】
別の実施形態では、機能性フィルム層内の弾性回復層と、弾性回復層に隣接する少なくとも1つのフィルム層とは一体化される。
図6は、本出願の一実施形態に係るディスプレイパネルの別のフィルム層構造の概略図である。機能性フィルム層は、弾性回復層41と、第1の保護層42と、偏光子43とを含む。第1の保護層42は、弾性回復層41と直接接触しており、第1の保護層42と弾性回復層41とは一体化されている。偏光子43は、弾性回復層41の、第1の保護層42から遠い側に位置している。機能性フィルム層は第4の接着層54をさらに含む。弾性回復層41と偏光子43とは第4の接着層54を使用して結合され、偏光子43と下方のモジュール構造とは第5の接着層55を使用して結合される。第1の保護層と弾性回復層とは一体化され、すなわち、第1の保護層と弾性回復層との間に接着層は設けられていないが、製造工程に依存して、第1の保護層と弾性回復層とが互いに直接接触して固く結合される一体化された構造が形成される。第1の保護層と弾性回復層とは、一体化された第1の複合フィルムである。一体化された第1の複合フィルムの製造方法については、弾性回復層の製造プロセスに関する前述の説明への参照がなされ得る。第1の保護層はキャリア基板として使用され、弾性回復層を製造するための材料が、一体化された第1の複合フィルムを形成するために、熱流延工程を使用して第1の保護層の上に直接製造され得る。この実施態様では、第1の保護層は弾性回復層と直接接触しており、その結果、ディスプレイパネル構造における接着層の使用が減らされ、ディスプレイパネルの厚みが減らされる。
図6では、偏光子43の下方のモジュール構造がパッケージ層103である一例のみが説明のために使用されている。ディスプレイパネルの製造の際、パッケージ層103の工程が完了された後、第5の接着層55が製造され、第5の接着層55の上に偏光子43が結合される。次いで、偏光子43上に第4の接着層54が製造され、第4の接着層の上に第1の複合フィルムが結合される。
【0054】
別の実施形態では、機能性フィルム層内の弾性回復層と、弾性回復層に隣接する2つのフィルム層とは直接接触している。
図7は、本出願の一実施形態に係るディスプレイパネルの別のフィルム層構造の概略図である。機能性フィルム層は、順次積層された、第1の保護層42と、弾性回復層41、と偏光子43とを含む。第1の保護層42は弾性回復層41と直接接触しており、弾性回復層41は偏光子43と直接接触しており、第1の保護層42と、弾性回復層41と、偏光子43とはすべて一体化される。偏光子43と下方のモジュール構造とは、第6の接着層56を使用して結合される。この実施態様では、第1の保護層と、弾性回復層と、偏光子とは、一体化された第2の複合フィルムであり、すなわち、順次積層された、第1の保護層と、弾性回復層と、偏光子とにおいて、2つの隣接するフィルム層は、それらの間に接着層を伴って設けられる必要はない。一体化された第2の複合フィルムの製造方法については、弾性回復層の製造プロセスに関する前述の説明への参照がなされ得る。第1の保護層はキャリア基板として使用され、弾性回復層を製造するための材料が、熱流延工程を使用して第1の保護層の上に直接製造され得、次いで、圧延工程を使用して弾性回復層の上に偏光子が製造される。一体化された第2の複合フィルムを得るように、偏光子と弾性回復層との間の結合は、弾性回復層が特定の温度で接着性能を有するという特性に基づいて実施され、このことで、ディスプレイパネル構造における接着層の配置をさらに減らすことができ、ディスプレイパネルの厚みを減らすことをさらに容易にする。
図7では、偏光子43の下方のモジュール構造がパッケージ層103である一例のみが説明のために使用されている。ディスプレイパネルの製造の際、パッケージ層103の工程が完了された後、第6の接着層56が製造され、次いで第6の接着層56の上に、一体化された第2の復号フィルムが結合される。
【0055】
別の実施形態では、
図8は、本出願の一実施形態に係るディスプレイパネルの別のフィルム層構造の概略図である。機能性フィルム層は、順次積層された、第1の保護層42と、弾性回復層41、と偏光子43とを含む。弾性回復層41と偏光子43とは一体化され、弾性回復層41は偏光子43と直接接触しており、弾性回復層41と第1の保護層42とは接着層60を使用して結合される。この実施態様では、弾性回復層と偏光子とが一体化され、弾性回復層と偏光子とが、一体化された第3の複合フィルムを形成する。製造の際、偏光子はキャリア基板として使用され、第3の複合フィルムを形成するために、偏光子の上に弾性回復層が直接製造される。弾性回復層と偏光子とは、それらの間に接着層を必要とせず、一体化された構造を形成するために、互いに直接接触して固く結合される。
図8では、偏光子43の下方のモジュール構造がパッケージ層103である一例のみが説明のために使用されている。ディスプレイパネルの製造の際、パッケージ層103の工程が完了された後、第6の接着層56が製造され、次いで、第6の接着層56の上に、一体化された第3の復号フィルムが結合され、次いで、一体化された第3の復号フィルムの上に接着層60が製造され、第1の保護層42が接着層60の上に結合される。
【0056】
別の実施形態では、弾性回復層と偏光子とが一体化され、偏光子は弾性回復層と第1の保護層との間に位置し、第1の保護層と偏光子とは接着層を使用して結合される。さらなる概略図は、本明細書では示されない。製造工程については、理解のために
図8の実施形態に参照もなされ得る。ここでは詳細は繰り返されない。
【0057】
別の実施形態では、
図9は、本出願の一実施形態に係るディスプレイパネルの別のフィルム層構造の概略図である。
図9に示されるように、機能性フィルム層104は第1の保護層42と弾性回復層41とを含み、第1の保護層42は弾性回復層41と直接接触している。第1の保護層と弾性回復層とは一体化され、すなわち、第1の保護層と弾性回復層とは一体化された第1の複合フィルムを形成するために直接接触している。一体化された第1の複合フィルムの製造方法については、前述の実施形態における説明を参照されたい。ここでは詳細は繰り返されない。この実施態様では、第1の保護層と弾性回復層とは一体化され、その結果、ディスプレイパネル構造における接着層の使用が減らされ、ディスプレイパネルの厚みが減らされる。ディスプレイパネルは、カラーフィルタ層106をさらに含む。カラーフィルタ層106はカラーフィルタユニット61と遮光部62とを含む。ディスプレイパネルに垂直な方向eで、カラーフィルタユニット61は発光デバイス20に重なり、遮光部62は隣接する2つのカラーフィルタユニット61の間に位置する。カラーフィルタ層106と弾性回復層41とは、第7の接着層57を使用して結合される。カラーフィルタユニットは、赤色フィルタユニットと、青色フィルタユニットと、緑色フィルタユニットとを含む。発光デバイスは、赤色光を放出できる赤色発光デバイスと、緑色光を放出できる緑色発光デバイスと、青色光を放出できる青色発光デバイスとを含む。赤色フィルタユニットは赤色発光デバイスに重なり、緑色フィルタユニットは緑色発光デバイスに重なり、青色フィルタユニットは青色発光デバイスに重なっている。カラーフィルタユニットは、所定の波長範囲の可視光を透過させ得る。たとえば、赤色フィルタユニットは、赤色光を透過させ得、すなわち、カラーフィルタユニットは、所定の波長範囲以外の波長範囲の光の透過を阻止することができ、このことで、ディスプレイパネルによる周囲光の反射を減らすように、周囲光からデバイスパネルに入射する光を減らすことができる。また、ある色のカラーフィルタユニットを透過した光が、そのカラーフィルタユニットに重なる発光デバイスによって反射されて別の色のカラーフィルタユニットに向かって入射したとき、その光はその別の色のカラーフィルタユニットを透過することができずにディスプレイパネルから放出され、その結果、ディスプレイパネルによる周囲光の反射が減らされることができ、ディスプレイパネルの表示効果が向上されることができる。この実施態様では、ディスプレイパネルによる周囲光の反射を減らすように、ディスプレイパネル内にカラーフィルタ層が生成され、それによって偏光子の結合工程を減らす。
【0058】
別の実施形態では、機能性フィルム層は第1の保護層と弾性回復層とを含み、ディスプレイパネルはカラーフィルタ層を含む。
図9に対応する実施形態と異なり、第1の保護層と弾性回復層とは接着層を使用して結合される。さらなる概略図は、本明細書では示されない。
【0059】
本出願のこの実施形態で提供されるディスプレイパネルはタッチ構造層をさらに含む。
図10は、本出願の一実施形態に係るディスプレイパネルの別のフィルム層構造の概略図である。
図11は、本出願の一実施形態に係るタッチ構造層の局所的上面図の概略図である。
図10に示されるように、タッチ構造層107は、パッケージ層103の、ディスプレイ層102から遠い側に位置している。図は、タッチ構造層107とパッケージ層103とが第8の接着層58を使用して結合されることを示している。図は、タッチ構造層107と機能性フィルム層104とが第9の接着層59を使用して結合されることを示している。
図11は、タッチ構造層の構造を示している。タッチ構造層は複数の第1のタッチ電極71と複数の第2のタッチ電極72とを含み、タッチ構造層は複数の電極行と複数の電極列とを含む。複数の第1のタッチ電極71は、第1の方向xに沿って電極行に配列されており、1つの電極行内で隣接する2つの第1のタッチ電極71は電気的に接続されている。複数の第2のタッチ電極72は、第2の方向yに沿って電極列に配列されており、1つの電極列内で隣接する2つの第2のタッチ電極72は電気的に接続されている。この実施態様では、タッチ構造層と、タッチ構造層に隣接するフィルム層とは、接着層を使用して結合及び固定される。
図10では、たとえば、機能性フィルム層は、順次積層された、第1の保護層と、弾性回復層と、偏光子とを含む。繰り返される曲げ後のフィルム層間のフィルム層剥離を防止するように、弾性回復層は、曲げ後に、機能性フィルム層中にある第1の保護層と偏光子とが、アーチ状態になったことからの回復を行うのを手助けすることができる。また、パッケージ故障に起因する異常表示を回避するように、弾性回復層は外力の衝撃からパッケージ層を保護することができる。タッチ構造層内のタッチ電極、及びタッチ電極を接続するための接続配線は、金属材料で作られ得る。タッチ構造層は偏光子の下方に設けられる。ディスプレイパネルの表示効果を向上させるように、偏光子は、発光デバイス及び金属配線による周囲光の反射を減らすことができ、及び、タッチ構造層による周囲光の反射を減らすことができる。
【0060】
別の実施形態では、
図12は、本出願の一実施形態に係るディスプレイパネルの別のフィルム層構造の概略図である。タッチ構造層107はパッケージ層103と直接接触しており、タッチ構造層107とパッケージ層103とは一体化される。製造の際、パッケージ層103の工程の後、タッチ構造層107は、一体化された構造を形成するために、接着層を必要とせずにパッケージ層103の上に直接製造され、その結果、タッチ構造層107とパッケージ層103との間の接着層の配置が減らされ、このことで、ディスプレイパネルの厚みを減らすことを容易にする。
【0061】
図10及び
図12の前述の実施形態に示されるように、機能性フィルム層は、順次積層された、第1の保護層と、弾性回復層と、偏光子とを含む。実際には、
図5から
図8の前述の実施形態における機能性フィルム層は、
図10及び
図12の前述の実施形態に適用され得、ここではさらなる概略図は示されない。
【0062】
別の実施形態では、
図13は、本出願の一実施形態に係るディスプレイパネルの別のフィルム層構造の概略図である。ディスプレイパネルは、タッチ構造層107とカラーフィルタ層106とをさらに含み、カラーフィルタ層は、タッチ構造層107の、パッケージ層103から遠い側に位置する。タッチ構造層107はパッケージ層103と直接接触しており、カラーフィルタ層106はタッチ構造層107と直接接触しており、すなわち、パッケージ層103と、タッチ構造層107と、カラーフィルタ層106とはすべて一体化される。カラーフィルタ層106はカラーフィルタユニット61と遮光部62とを含む。ディスプレイパネルに垂直な方向eで、カラーフィルタユニット61は発光デバイス20に重なり、遮光部62は隣接する2つのカラーフィルタユニット61の間に位置する。機能性フィルム層104は第1の保護層42と弾性回復層41とを含み、弾性回復層41とカラーフィルタ層106とは第7の接着層57を使用して結合される。ディスプレイパネルの製造の際、パッケージ層の工程の後、タッチ構造層107がパッケージ層103の上に直接製造され、次いで、カラーフィルタ層106がタッチ構造層107の上に製造される。パッケージ層103と、タッチ構造層107と、カラーフィルタ層106とは一体化された構造を形成する。層の間に接着層が設けられる必要がなく、その結果、タッチ構造層とパッケージ層との結合工程において使用される接着層、及び、カラーフィルタ層とタッチ構造層との結合工程に使用される接着層が減らされる。そのため、ディスプレイパネル構造における接着層の使用が減らされ、このことで、ディスプレイパネルの厚みを減らすのを容易にする。また、カラーフィルタ層はタッチ構造層の上に設けられる。カラーフィルタ層は、発光デバイス及び金属配線による周囲光の反射を減らすことができ、タッチ構造層による周囲光の反射も減らすことができ、それによってディスプレイパネルの表示効果を向上させることができる。
【0063】
別の実施形態では、
図14は、本出願の一実施形態に係るディスプレイパネルの別のフィルム層構造の概略図である。
図14に示されるように、ディスプレイパネルは、第2の保護層91をさらに含む。第2の保護層91は、第1の保護層42の、弾性回復層41から遠い側に位置しており、第2の保護層91の上に硬質被覆層92がさらに設けられる。硬質被覆層92の硬度は、第1の保護層42の硬度よりも大きく、かつ、硬質被覆層92の硬度は、第2の保護層91の硬度よりも大きい。硬質被覆層92は、ディスプレイパネル内のフィルム層をさらに保護することができる。アレイ基板101の、ディスプレイ層102から遠い側に、下部保護層108がさらに設けられる。任意選択的に、下部保護層108は、基底層81と支持層82とを含み、基底層81と支持層82との間に接着層83が設けられ、下部保護層108とアレイ基板101とは、接着層84を使用して結合される。下部保護層は、ディスプレイパネルの背面側でディスプレイパネル内部のモジュール構造を保護するように構成される。
【0064】
同じ発明概念に基づいて、本出願の一実施形態はディスプレイ装置をさらに提供する。
図15は、本出願の一実施形態に係るディスプレイ装置の概略図である。
図15に示されるように、ディスプレイ装置は、本出願のいずれかの実施形態で提供されるディスプレイパネル100を含む。
図15に示されるディスプレイ装置は、概略的な説明にすぎない。ディスプレイ装置は、たとえば、車載用ディスプレイ装置、携帯電話、タブレットコンピュータ、ノートパソコン、電子書籍、テレビ、又はフレキシブルなウェアラブル製品であり得る。
【0065】
前述の説明は、本発明の具体的な実施態様にすぎず、本発明の保護範囲を限定することは意図されていない。本発明で開示された技術的範囲内で当業者によって容易に想到されるいかなる変形又は置換も、本発明の保護範囲内に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0066】
10 曲げ可能領域
11 薄膜トランジスタ
20 発光デバイス
21 アノード
22 発光層
23 カソード
31 無機パッケージ層
32 有機パッケージ層
41 弾性回復層
42 第1の保護層
43 偏光子
51 第1の接着層
52 第2の接着層
53 第3の接着層
54 第4の接着層
55 第5の接着層
56 第6の接着層
57 第7の接着層
58 第8の接着層
59 第9の接着層
60 接着層
61 カラーフィルタユニット
62 遮光部
71 第1のタッチ電極
72 第2のタッチ電極
81 基底層
82 支持層
83 接着層
84 接着層
91 第2の保護層
92 硬質被覆層
100 ディスプレイパネル
101 アレイ基板
102 ディスプレイ層
103 パッケージ層
104 機能性フィルム層
106 カラーフィルタ層
107 タッチ構造層
108 下部保護層