(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】裏蓋ユニット、端末デバイス及び裏蓋ユニットの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/40 20060101AFI20240719BHJP
H01P 11/00 20060101ALI20240719BHJP
H01Q 1/44 20060101ALI20240719BHJP
H01Q 1/24 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
H01Q1/40
H01P11/00
H01Q1/44
H01Q1/24 Z
(21)【出願番号】P 2022576333
(86)(22)【出願日】2021-06-09
(86)【国際出願番号】 CN2021099088
(87)【国際公開番号】W WO2021249424
(87)【国際公開日】2021-12-16
【審査請求日】2022-12-09
(31)【優先権主張番号】202010519408.5
(32)【優先日】2020-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511151662
【氏名又は名称】中興通訊股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZTE CORPORATION
【住所又は居所原語表記】ZTE Plaza,Keji Road South,Hi-Tech Industrial Park,Nanshan Shenzhen,Guangdong 518057 China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】湯長權
【審査官】齊藤 晶
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0207208(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0009363(US,A1)
【文献】特開平11-127010(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0319907(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/40
H01P 11/00
H01Q 1/44
H01Q 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末デバイスに適用される裏蓋ユニットであって、
前記裏蓋ユニットの厚さ方向に沿って内から外へ順に設けられた裏蓋本体と、アンテナ層と、被膜層と、を含み、
前記アンテナ層に電気的に接続された第1端と、前記裏蓋本体を貫通し、前記裏蓋本体によって規定される空間内に位置する第2端と、を有する導電性コネクタをさらに含
み、
前記被膜層は、外から内へ順に積層されて設けられた紫外線硬化転写テクスチャ層と、光学めっき層と、下地層と、を含み、
前記アンテナ層は前記下地層上に形成される
裏蓋ユニット。
【請求項2】
前記アンテナ層は前記被膜層の内側にめっきされた金属層である
請求項1に記載の裏蓋ユニット。
【請求項3】
前記裏蓋本体は射出成形により得られ、且つ前記
導電性コネクタは、前記裏蓋本体を射出成形して得る過程で前記裏蓋本体に埋め込まれる
請求項1又は2に記載の裏蓋ユニット。
【請求項4】
前記アンテナ層は複数のアンテナパターンを含み、
複数の前記
導電性コネクタの第1端は複数の前記アンテナパターンと1対1で対応して電気的に接続される
請求項1~3のいずれか1項に記載の裏蓋ユニット。
【請求項5】
前記裏蓋ユニットは、ベースフィルムと、射出成形層と、シャワーコーティング層と、をさらに含み、
前記ベースフィルムは前記被膜層の前記裏蓋本体から離れた側に位置し、
前記射出成形層及び前記シャワーコーティング層は、前記ベースフィルムの前記被膜層から離れた側に順次形成される
請求項1~4のいずれか1項に記載の裏蓋ユニット。
【請求項6】
前記端末デバイスは前記裏蓋ユニットおよびデバイス本体を含み、
前記裏蓋ユニットは内側が前記端末デバイスの前記デバイス本体に面するように前記デバイス本体と固定接続されるように構成され、
前記導電性コネクタの前記第1端近傍の部分は前記裏蓋本体に嵌め込まれ、
前記導電性コネクタの前記第2端近傍の部分は前記裏蓋本体から露出する
請求項1~5のいずれか1項に記載の裏蓋ユニット。
【請求項7】
デバイス本体及び裏蓋ユニットを含み、
前記裏蓋ユニットは請求項1~5のいずれか1項に記載の裏蓋ユニットであり、
前記デバイス本体はマザーボードを含み、
前記裏蓋本体は前記デバイス本体に固定接続され、
前記マザーボードは前記裏蓋本体によって規定される空間内に位置し、
前記導電性コネクタの第2端は前記マザーボードに電気的に接続される
端末デバイス。
【請求項8】
前記端末デバイスは、前記マザーボード上に設けられた導電性弾性片をさらに含み、
前記導電性コネクタの第2端は、前記導電性弾性片を介して前記マザーボードと電気的に接続される
請求項7に記載の端末デバイス。
【請求項9】
被膜層を形成するステップと、
前記被膜層の一方側にアンテナ層を形成するステップと、
前記アンテナ層の前記被膜層から離れた側に裏蓋本体とコネクタとの組み合わせ構造を形成し、前記裏蓋本体が前記アンテナ層に貼り合わせられ、且つ前記裏蓋本体にはコネクタが設けられ、前記コネクタの第1端が前記アンテナ層と電気的に接続され、前記コネクタの第2端は前記裏蓋本体を貫通するステップと、を含み、
前記被膜層を形成するステップは、
紫外線硬化転写テクスチャ層と、光学めっき層と、下地層と、を順に形成するステップと、
前記アンテナ層を前記下地層上に形成するステップと、を含む
裏蓋ユニットの製造方法。
【請求項10】
前記被膜層の一方側にアンテナ層を形成するステップは、
前記被膜層の一方側に、少なくとも1つのアンテナパターンを含む金属層をめっきするステップを含む
請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
前記裏蓋本体と前記コネクタとの組み合わせ構造を形成するステップは、
前記アンテナ層が形成された前記被膜層を射出成形金型内に配置するステップと、
前記アンテナ層の前記被膜層から離れた側に前記コネクタを設け、前記コネクタの第1端が前記アンテナ層に接触するステップと、
前記射出成形金型内に溶融したプラスチックを注入して、前記プラスチックが前記アンテナ層を覆うようにするステップと、
前記プラスチックを冷却して前記裏蓋本体を得るステップと、を含む
請求項9又は10に記載の製造方法。
【請求項12】
被膜層を形成する前記ステップは、
ベースフィルムを提供するステップと、
前記ベースフィルム上に前記被膜層を形成するステップと、を含み
前記製造方法は、前記裏蓋本体を形成した後に行う、前記被膜層上のベースフィルムを除去するステップをさらに含む
請求項9~11のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項13】
被膜層を形成する
前記ステップは、
ベースフィルムを提供するステップと、
前記ベースフィルム上に前記被膜層を形成するステップと、を含み、
前記製造方法は、前記裏蓋本体を形成した後に行う、前記ベースフィルムの前記裏蓋本体から離れた側に射出成形層を形成するステップと、
前記射出成形層上に紫外線硬化液をシャワーコーティングするという方法によりシャワーコーティング層を形成するステップと、をさらに含む
請求項9~12のいずれか1項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信デバイス分野に関するものであり、特に端末デバイス分野に関するものであるが、これらに限定されない。
【背景技術】
【0002】
端末デバイス、特に携帯電話などのモバイル端末デバイスの技術発展に伴い、関連する技術も急速なイテレーションが行われている。5G通信が端末デバイスに対してより高いデータ交換要求を求めるにつれて、端末デバイスのアンテナの各方面の性能(例えば、サイズ、周波数帯数など)に対する要求もさらに高まる。
【0003】
しかし、端末デバイスの軽量化及び端末デバイスの外形を次数が多い曲面とする造形要求の下で、端末デバイス内部のアンテナを製作できる空間はますます小さくなり、既存のアンテナ技術はボトルネックに陥っている。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、裏蓋ユニット、端末デバイス及び該裏蓋ユニットの製造方法を提供する。
【0005】
第1の態様によると、本開示の実施例は、端末デバイスに適用される裏蓋ユニットであって、前記裏蓋ユニットの厚さ方向に沿って内から外へ順に設けられた裏蓋本体と、アンテナ層と、被膜層と、を含み、前記アンテナ層に電気的に接続された第1端と、前記裏蓋本体を貫通し、前記裏蓋本体によって規定される空間内に位置する第2端と、を有する導電性コネクタをさらに含む裏蓋ユニットを提供する。
【0006】
第2の態様によると、本開示の実施例は、デバイス本体及び裏蓋ユニットを含み、前記裏蓋ユニットは前記第1の態様による裏蓋ユニットであり、前記デバイス本体はマザーボードを含み、前記裏蓋本体は前記デバイス本体に固定接続され、前記マザーボードは前記裏蓋本体によって規定される空間内に位置し、前記コネクタの第2端が前記マザーボードに電気的に接続される端末デバイスを提供する。
【0007】
第3の態様によると、本開示の実施例は、被膜層を形成するステップと、前記被膜層の一方側にアンテナ層を形成するステップと、前記アンテナ層の前記被膜層から離れた側に裏蓋本体とコネクタとの組み合わせ構造を形成し、前記裏蓋本体が前記アンテナ層に貼り合わせられ、且つ前記裏蓋本体にはコネクタが設けられ、前記コネクタの第1端が前記アンテナ層と電気的に接続され、前記コネクタの第2端が前記裏蓋本体を貫通するステップと、を含む裏蓋ユニットの製造方法をさらに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の実施例によって提供される裏蓋ユニットの構造概念図である。
【
図2】
図1における裏蓋ユニットの部分拡大概念図である。
【
図3】本開示の実施例によって提供される端末デバイスの裏蓋ユニットとデバイス本体との組立時の位置合わせ関係の概念図である。
【
図5】本開示の実施例によって提供される端末デバイスの構造概念図である。
【
図7】本開示の実施例によって提供される裏蓋ユニットにおける被膜層の各サブフィルム層間の相対位置を示す概念図である。
【
図8】本開示の実施例によって提供される裏蓋ユニットの構造概念図である。
【
図9】本開示の実施例によって提供される裏蓋ユニットの製造方法のプロセスステップの概念図である。
【
図10】本開示の実施例によって提供される裏蓋ユニットの製造方法のプロセスステップの概念図である。
【
図11】本開示の実施例によって提供される裏蓋ユニットの製造方法のプロセスステップの概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、本開示の具体的な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。ここに記載された具体的な実施形態は、本開示を説明及び解釈するためにのみ使用され、本開示を限定するためには使用されないことを理解されたい。矛盾しなければ、実施例又は実施例の特徴は任意に組み合わされてもよいと理解すべきである。
【0010】
本開示の実施例は端末デバイスの種類及び応用シーンについて具体的に限定しない。例えば、前記端末デバイスは、携帯電話、タブレット、データカード、腕時計、ウェアラブルデバイス、車載デバイスなどの製品であってもよい。
【0011】
端末デバイス用の既存の主流なアンテナタイプは、FPCアンテナ、LDSアンテナ、PDSアンテナを含む。
【0012】
FPC(Flexible Printed Circuit、フレキシブル回路基板)アンテナは、端末デバイスの裏蓋(電池蓋)内部のブラケットの表面に貼り付けることにより付着する。しかし、内部のブラケットは造形外観に合わせなければならないため、内部のブラケットの円弧曲面に貼り付けられたFPCアンテナは堅牢に付着せず、反りやすく、且つ貼り付け技術の精度が低いため、異なる端末デバイスにおけるアンテナの指標の一致性が劣る。
【0013】
LDS(Laser-Direct-structuring、レーザー直接成形)技術アンテナは、レーザー加工と化学めっき加工により端末デバイスの対応する構造上に作製される。LDS技術アンテナの構造は比較的柔軟であり、円弧曲面への付着力も比較的強い。しかし、LDS技術アンテナはブラケットの外面又は裏蓋の内面にしか作製できず、空間利用率は低い。加えてその製造技術には化学めっきが必要であり、環境保護に不利である。また、該技術はプラスチック粒子に対して比較的選り好みがあり、選択されるプラスチックペレットの型番は限られており、材料は脆く、製作した裏蓋の強度は比較的低い。
【0014】
上記二種類のアンテナ技術はいずれも裏蓋の内面上又はブラケット上にしか施すことができず、アンテナの有効空間が制限されている。PDS(PBINTI NG Direct Structure)アンテナは、金属製のアンテナ層を印刷技術により筐体表面に転写するアンテナ製作技術である。PDSアンテナの空間利用率は前述の二種類のアンテナ技術よりも高いが、その印刷技術は構造設計に対する要求が厳しすぎて、その設計と生産のコスト高騰を招く。
【0015】
[実施例1]
上記技術課題を解決するために、構造が簡単で、製造が容易で、アンテナ性能を向上させることができる端末デバイス構造を提供する。本開示の実施例は端末デバイスに適用される裏蓋ユニット10を提供する。
図1、
図2に示すように、前記裏蓋ユニット10は、厚さ方向に沿って内から外へ順に設けられた裏蓋本体100と、アンテナ層200と、被膜層300と、を含み、前記裏蓋ユニット10は導電性コネクタ400をさらに含み、前記コネクタ400の第1端が前記アンテナ層200に電気的に接続され、前記コネクタ400の第2端が前記裏蓋本体100を貫通し、前記裏蓋本体100によって規定される空間内に位置する。この時、コネクタ400の第1端近傍の部分(
図2における左部分)は、裏蓋本体100に嵌め込まれ、コネクタ400の第2端近傍の部分(
図2における右部分)、裏蓋本体100から露出して、端末デバイスのマザーボードと電気的に接続するために使用される(以下の文で詳細に述べる)。
【0016】
なお、裏蓋ユニット10は、端末デバイスのデバイス本体と固定接続してデバイス本体の裏面を覆うために用いられる。裏蓋本体(及び裏蓋ユニット)は、全体としてU字状又はアーチ状であってもよい。裏蓋本体100の内側とは、端末デバイスのデバイス本体20(
図3を参照)に固定接続された時に裏蓋本体100の該デバイス本体20を向いた側を指す。裏蓋本体100が規定する空間とは、裏蓋本体100がその内側に規定する(開放する)空間(つまり、前記空間は、裏蓋本体100の内側に位置する)を指す。被膜層300は、裏蓋本体100が規定する空間から離れた側の表面に位置し(つまり、被膜層300は裏蓋本体100の外側に位置する)、その上に、端末デバイスの色パターン又はブランドロゴ(logo)を形成することで、端末デバイスの裏蓋の外観を決定できる。
【0017】
本実施例では、アンテナ作製案と電池蓋被膜技術とを組み合わせて、裏蓋本体100と被膜層300との間にアンテナ層200を設けてアンテナを形成するとともに、裏蓋本体100を貫通するコネクタ400によりアンテナと端末デバイスの内部を導通することにより、被膜層300の視覚効果に影響を与えることなく、端末デバイス内部の限られた空間から端末デバイスの裏蓋のうち(被膜層を除く)最も外表面に近い位置にアンテナを移行し、アンテナの設置空間を大幅に増加させ、さらにはアンテナ性能を向上させ、アンテナ設計を構造設計の制約から脱却させて、従来技術における端末デバイスのアンテナ面での設計ボトルネックを突破した。
【0018】
本実施例は前記被膜層300の材料について具体的に限定しない。例えば、前記被膜層300は、紫外線硬化転写ゴム(UV転写ゴムともいう)によって硬化形成することが可能な紫外線硬化転写テクスチャ層(UV転写テクスチャ層)を含むことができる。
【0019】
本実施例は前記裏蓋本体100の材料について具体的に限定しない。いくつかの実施形態において、前記裏蓋本体100の材料はプラスチック(例えば、合成樹脂)であり、射出成形によって得られ、且つ前記コネクタ400は、前記裏蓋本体100を射出成形して得る過程で前記裏蓋本体100に埋め込まれる。本実施例は、前記コネクタ400の材料についても具体的に限定せず、例えば、前記コネクタ400の材料には金属が含まれる。
【0020】
本実施例において、前記アンテナ層200の材料は前記被膜層300の内側にめっきされた金属層である。前記アンテナ層200は、前記被膜層300の転写完了後に前記被膜層300の表面にめっきされる。その後、型内射出成形技術を用いて前記裏蓋本体100を注入し、前記コネクタ400、前記裏蓋本体100、前記アンテナ層200、前記被膜層300を一体に射出成形する。
【0021】
前記アンテナ層200は、注入する裏蓋本体100の充填作用により前記被膜層300上に圧着され、前記アンテナ層200を端末デバイス裏蓋のうち最も外表面に近い位置に保持するだけでなく、前記アンテナ層200におけるアンテナを前記被膜層300に密着させ、その形状が前記被膜層300の内表面と一致することを確保し、アンテナが造形曲面、構造設計の影響を受けないようにし、エッジ反りなどの従来技術に存在する欠陥が発生せず、さらにはアンテナの性能が向上し、アンテナの応用範囲を広げている。
【0022】
アンテナの信号送受信能力を向上させるために、いくつかの実施形態において、前記アンテナ層200は複数のアンテナパターンを含み、複数の前記コネクタ400の第1端は、1対1で対応して複数の前記アンテナパターンと電気的に接続される。
【0023】
本実施例において、前記アンテナ層200は複数のアンテナパターンを含み、複数の前記コネクタ400は、前記裏蓋本体100の内表面に複数のフィードポイントとして形成され、それぞれのアンテナパターンを対応する通信回路に接続することにより、複数のアンテナを形成し、それぞれ複数の周波数帯の信号送信及び信号受信のタスクを完了し、これによりアンテナの信号送受信能力を向上させている。
【0024】
本実施例では被膜層300を如何に作製するかについて具体的に限定せず、例えば、前記裏蓋ユニット10は、フィルム内装飾技術(IMT、Inner Molding Translate label)又はIBF技術によって作製することができる。前記被膜層300は、外から内へ順に積層して設けられた紫外線硬化転写テクスチャ層(UV転写テクスチャ層)、光学めっき層(めっき層)、下地層(印刷インキ層)を含んでもよく、前記アンテナ層200は前記下地層上に形成される。
【0025】
本実施例では被膜層300の表面に文字又はその他のパターンを如何に形成するかについて具体的に限定しない。いくつかの実施形態において、前記被膜層300は、被膜層300の表面にブランドlogo又はカラーパターンを形成するためのlogo層(印刷文字層)又はグラデーションカラー層をさらに含むことができる。
【0026】
図7はIBF技術により製造された被膜層300の一実施例を示す。該被膜層300は、UV転写テクスチャ層310、めっき膜層320、下地層330を含む。前記被膜層300の前記裏蓋本体100から離れた側には、logo層(印刷文字層)340が形成されていてもよい。
【0027】
図7に示すように、IBF技術による前記裏蓋ユニットの場合、前記裏蓋ユニットは、ベースフィルム800、射出成形層600、シャワーコーティング層700をさらに含んでもよく、前記ベースフィルム800は前記被膜層300の前記裏蓋本体100から離れた側に位置し、前記射出成形層600及び前記シャワーコーティング層700は、前記ベースフィルム800の前記被膜層300から離れた側に順に形成され、且つ前記シャワーコーティング層700は、紫外線硬化液をシャワーコーティングするという方法によって形成される。本実施例において、前記ベースフィルム800は前記被膜層300を作製するためのベースとして使用され、射出成形層600及びその表面のシャワーコーティング層700は、裏蓋表面全体に模倣ガラス効果を実現することができ、端末デバイスの美観性を向上させることができる。
【0028】
[実施例2]
本開示の実施例2は端末デバイスを提供する。
図3~
図6に示すように、前記端末デバイスはデバイス本体20及び裏蓋ユニット10を含み、前記裏蓋ユニット10は実施例1に記載の裏蓋ユニット10であり、前記デバイス本体20はマザーボード30を含み、前記裏蓋本体100は前記デバイス本体20に固定接続され、前記マザーボード30は前記裏蓋本体100によって規定される空間内に位置し、前記コネクタ400の第2端は前記マザーボード30に電気的に接続される。
【0029】
本実施例では、アンテナ作製案と電池蓋被膜技術とを組み合わせて、裏蓋本体100と被膜層300との間にアンテナ層200を設けてアンテナを形成するとともに、裏蓋本体100を貫通するコネクタ400によりアンテナと端末デバイスの内部を導通することで、被膜層300の視覚効果に影響を与えることなく、端末デバイス内部の限られた空間から端末デバイス裏蓋のうち最も外表面に近い位置にアンテナを移行し、アンテナの設置空間を大幅に増加させ、さらには端末デバイスにおけるアンテナ性能を向上させ、アンテナ設計を構造設計の制約から脱却させて、従来技術における端末デバイスのアンテナ面での設計ボトルネックを突破した。
【0030】
本実施例では前記裏蓋ユニット10のコネクタ400が前記マザーボード30と如何に電気的に接続されるかについて具体的に限定しない。例えば、いくつかの実施形態において、
図3~
図6に示すように、前記端末デバイスは導電性弾性片31をさらに含み、前記導電性弾性片31は前記マザーボード30上に設けられ、前記コネクタ400の第2端は前記導電性弾性片31を介して前記マザーボード30と電気的に接続される。
【0031】
前記裏蓋ユニット10と前記デバイス本体20とを固定接続する際には、先ず、前記裏蓋ユニット10と前記デバイス本体20とを位置合わせして、前記裏蓋ユニット10上の1つ又は複数のコネクタ400の位置と前記デバイス本体20上の1つ又は複数の導電性弾性片31の位置とを対向させ(例えば、
図3、
図4に示す通り)、次に、前記裏蓋ユニット10と前記デバイス本体20とを互いに接近させて相互結合し、導電性弾性片31は弾性力の作用によって前記コネクタ400の第2端を支え、これにより前記アンテナ層200におけるアンテナパターンと前記マザーボード30との電気的な接続を実現する(例えば、
図5、
図6に示す通り)。
【0032】
[実施例3]
本開示の実施例3は裏蓋ユニットの製造方法を提供し、前記製造方法は、被膜層300を形成するステップと、前記被膜層300の一方側にアンテナ層200を形成するステップと、前記アンテナ層200の前記被膜層300から離れた側に裏蓋本体100とコネクタ400との組み合わせ構造を形成し、前記裏蓋本体100が前記アンテナ層200に貼り合わせられ、且つ前記裏蓋本体100にはコネクタ400が設けられ、前記コネクタ400の第1端が前記アンテナ層200と電気的に接続され、前記コネクタ400の第2端が前記裏蓋本体100を貫通するステップと、を含む。
【0033】
本実施例によって提供される製造方法により製造された裏蓋ユニット10では、裏蓋本体100と被膜層300との間にアンテナ層200が設けられ、裏蓋本体100のコネクタ400を貫通してアンテナと端末デバイス内部を導通することにより、被膜層300の視覚効果に影響を与えることなく、端末デバイス内部の限られた空間から端末デバイス裏蓋のうち外表面に最も近い位置にアンテナを移行し、アンテナの設置空間を大幅に増加させ、さらには端末デバイスにおけるアンテナ性能を向上させ、アンテナ設計を構造設計の制約から脱却させて、従来技術における端末デバイスのアンテナ面での設計ボトルネックを突破した。
【0034】
本実施例では前記アンテナ層200の材料について具体的に限定せず、例えば、前記アンテナ層200の材料は金属であってもよい。前記被膜層の一方側にアンテナ層を形成するステップは、前記被膜層の一方側に、少なくとも1つのアンテナパターンを含む金属層をめっきするステップを含むことができる。
【0035】
本実施例では該アンテナパターンを如何に形成するかについて具体的に限定せず、例えば、先に、アンテナパターンの形成が必要な位置に電気めっきパターンを製作し、該電気めっきパターン上に金属材料を電気めっきしてアンテナパターンを得ることができる。或いは、前記被膜層の全面に金属層を形成してから、金属層をパターニングすることによりアンテナパターンを得ることができる。或いは、非アンテナパターン領域において絶縁インク層を製作してから、前記被膜層の全面に金属材料をスパッタリングすることにより、絶縁インクのない領域にアンテナパターンを得て、最後に、金属パターンが形成されていない絶縁インクをテープ貼付等の方法により除去することができる。
【0036】
本実施例において、前記裏蓋本体100と前記コネクタ400は1回の射出成形プロセスにより一体に形成される。具体的に、前記裏蓋本体100と前記コネクタ400との組み合わせ構造を形成するステップは、前記アンテナ層200が形成された前記被膜層300を射出成形金型内に配置するステップと、前記アンテナ層200の前記被膜層300から離れた側に前記コネクタ400を設け、前記コネクタ400の第1端が前記アンテナ層200に接触するステップと、前記射出成形金型内に溶融したプラスチックを注入して、前記プラスチックが前記アンテナ層を覆うようにするステップと、前記プラスチックを冷却して前記裏蓋本体100を得るステップと、を含むことができる。
【0037】
いくつかの実施形態において、本実施例によって提供される裏蓋ユニットの製造方法はフィルム内装飾技術(IMT、Inner Molding Translate label)又はIBF技術によって実現することができる。
【0038】
IMT技術を用いて前記裏蓋ユニットを製造する実施形態において、被膜層300を形成する前記ステップは、ベースフィルム800を提供するステップと、前記ベースフィルム800上に前記被膜層300を形成するステップと、を含む。前記製造方法は、前記裏蓋本体100を形成した後に行う、前記被膜層300上のベースフィルム800を除去する(例えば、
図10に示す通り)ステップをさらに含む。
【0039】
IMT技術を用いて前記裏蓋ユニットを製造する際に、ベースフィルム800は前記被膜層300を付着させるという役割を果たすだけであり、前記被膜層300上にアンテナ層200を形成して、裏蓋本体100を射出形成した後にベースフィルム800を引き裂くことにより、裏蓋ユニット完成品の全体的な厚さを効果的に低減しており、携帯電話などの端末デバイスの軽量化を実現している。
【0040】
本実施例では前記被膜層300の構造について具体的に限定せず、例えば、前記被膜層300を形成するステップは、前記ベースフィルム800上に紫外線硬化転写テクスチャ層(UV転写テクスチャ層)、光学めっき層(例えば、OPVDめっき膜層)、下地層(印刷インク層)を順に形成するステップを含むことができる。前記アンテナ層200は前記下地層に形成される。
【0041】
本実施例では被膜層300の表面に文字又は他のパターンを如何に形成するかについて具体的に限定せず、例えば、前記被膜層300は、logo層(印刷文字層)又はグラデーション色層を含むこともできる。
【0042】
当業者の理解を容易にするために、本実施例は、IMT技術を用いて前記裏蓋ユニットを製造する具体的な実施形態をさらに提供する。即ち、ベースフィルム800を提供するステップと、ベースフィルム800上に離型層を作製する(射出成形後、裏蓋本体100の完成後にベースフィルム800を引き裂くのを容易にするため)ステップと、離型層上に順にlogo層を作製し、UV転写テクスチャ層を作製し、OPVDめっき膜層を作製し、インキ層キャップ底を印刷し、工芸層(例えば、防滑層等)を作製することを含む、離型層上に被膜層300を作製するステップと、被膜層300の前記ベースフィルム800から離れた側にアンテナ層200をめっきするステップと、現在の複合フィルム層に対して熱圧/エッジ切断プロセスを行い、
図9の左側に示すような所定形状を有する複合フィルム層シートを得るステップと、
図9に示すように、該複合フィルム層シートを金型内に入れ、前記アンテナ層200の前記被膜層300から離れた側に前記コネクタ400を設け、前記金型内に溶融したプラスチックを注入し、冷却して前記裏蓋本体100と前記コネクタ400との組み合わせ構造を得るステップと、
図10に示すように、ベースフィルム800を研磨又は直接引き裂くことにより前記被膜層300の表面から剥離するステップと、
図11に示すように、被膜層300の裏蓋本体100から離れた側にスプレー塗布して塗布層500を得るステップと、コンピュータデジタル制御工作機械(CNC,Computerized Numerical Control Machine)を用いて複合フィルム層のエッジを切断し、裏蓋製品を得るステップと、を含む。
【0043】
IBF技術を用いて前記裏蓋ユニットを作製する場合、被膜層300を形成する前記ステップは、ベースフィルム800を提供するステップと、前記ベースフィルム800上に前記被膜層300を形成するステップと、を含み前記製造方法は、前記ベースフィルム800の前記被膜層300から離れた側に透明な射出成形層600を形成するステップと、前記射出成形層600上に紫外線硬化液をシャワーコーティングするという方法によってシャワーコーティング層700を形成するステップと、を含む。
【0044】
本実施例では前記被膜層300の構造について具体的に限定せず、例えば、前記被膜層300を形成するステップは、前記ベースフィルム800上に、logo層340、UV転写テクスチャ層310、めっき膜層320、下地層330を順に形成するステップを含むことができる。
図7に示すのは被膜層300における各サブフィルム層間の相対位置の概念図である。
【0045】
本実施例でIBF技術により製造された裏蓋ユニットにおいて、射出成形層600及びその表面のシャワーコーティング層700は、裏蓋表面全体に模倣ガラス効果を実現させ、端末デバイスの美観性を向上させることができる。
【0046】
当業者の理解を容易にするために、本実施例はIBF技術を用いて前記裏蓋ユニットを製造する具体的な実施形態をさらに提供する。即ち、ベースフィルム800を提供するステップと、前記ベースフィルム800上に、logo層340、UV転写テクスチャ層310、めっき膜層320、下地層330を順に形成することを含む、前記ベースフィルム800上に前記被膜層300を形成するステップと、前記下地層330上にアンテナ層200を形成するステップと、現在の複合フィルム層を金型内に入れ、前記アンテナ層200の前記被膜層300から離れた側に前記コネクタ400を設置し、前記コネクタ400の第一端を前記アンテナ層200に接触させ、打孔/材料投入をして裏蓋本体100を射出成形するステップと、ベースフィルム800の表面に透明射出成形層600を形成し、透明射出成形層600の表面に紫外線硬化液をシャワーコーティングしてシャワーコーティング層700を得るステップと、コンピュータデジタル制御工作機械(CNC,Computerized Numerical Control Machine)を用いて複合フィルム層の縁を切断し、裏蓋製品を得るステップと、得られた裏蓋製品の品質検査を行うステップと、を含む。
【0047】
[実施例4]
本開示の実施例4は端末デバイスの製造方法を提供し、前記端末デバイスは、デバイス本体20、マザーボード30、裏蓋ユニット10を含み、そのうち、前記製造方法は、前述の実施例に記載の裏蓋ユニットの製造方法を用いて裏蓋ユニット10を製造するステップと、前記裏蓋ユニット10を前記デバイス本体20に固定接続し、前記マザーボード30を前記裏蓋ユニット10のコネクタ400に電気的に接続するステップと、を含む。
【0048】
一実施形態において、前記裏蓋ユニット10を前記デバイス本体20に固定接続するステップは、前記裏蓋ユニット10と前記デバイス本体20とを位置合わせし、前記裏蓋ユニット10上の1つ又は複数のコネクタ400の位置と前記デバイス本体20上の1つ又は複数の導電性弾性片31の位置とを相対させるステップ(例えば、
図3、
図4に示す通り)と、前記裏蓋ユニット10と前記デバイス本体20とを互いに接近させて相互接続し、
図5、
図6に示すように、導電性弾性片31は弾性力の作用によって前記コネクタ400の第2端部を支え、これにより前記アンテナ層200におけるアンテナパターンと前記マザーボード30との電気的な接続を実現するステップと、を含む。
【0049】
以上の実施例/実施形態は、本開示の原理を説明するために採用された例示的な実施例/実施形態にすぎず、本開示はこれに限定されるものではないと理解できる。当業者にとっては、本開示の精神及び本質を逸脱することなく、種々の変形及び改良を行うことができ、これらの変形及び改良も本開示の保護範囲とみなされる。
【符号の説明】
【0050】
10:裏蓋ユニット
100:裏蓋本体
200:アンテナ層
300:被膜層
400:コネクタ
500:塗布層
600:射出成形層
700:シャワーコーティング層
800:ベースフィルム
20:デバイス本体
21:ディスプレイ
22:中枠
30:マザーボード
31:導電性弾性片