(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】光源ユニット、投影表示装置、光源ユニットの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01S 5/022 20210101AFI20240719BHJP
H01S 5/02253 20210101ALI20240719BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
H01S5/022
H01S5/02253
H04N5/74 Z
(21)【出願番号】P 2023031215
(22)【出願日】2023-03-01
(62)【分割の表示】P 2018247888の分割
【原出願日】2018-12-28
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100177910
【氏名又は名称】木津 正晴
(72)【発明者】
【氏名】小栗 明紘
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-207410(JP,A)
【文献】特開2015-225969(JP,A)
【文献】特開2016-006496(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0033979(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00-5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口が設けられたベースと、
前記開口において前記ベース上に位置する支持部と、
前記開口において前記支持部に固定された光源アセンブリと、
を備え、
前記光源アセンブリは、レーザ光を出射する光源と、前記光源を保持する保持部材と、を有し、
前記支持部は、レーザ光の光軸に平行な方向から見た場合に前記光軸を囲むように延在する受け面であって、前記光軸から遠ざかる側に向かって凸状に湾曲した前記受け面を有し、
前記保持部材が前記受け面との接触部において前記受け面に結合されることにより、前記光源アセンブリが前記支持部に固定されており、
前記受け面は、前記保持部材との結合箇所に対して前記光軸から遠ざかる側に位置する部分を有
し、
前記光軸に平行な方向における前記接触部から前記ベースまでの距離は、前記光軸に平行な方向における前記受け面の長さよりも大きい、光源ユニット。
【請求項2】
前記保持部材は、前記光軸を囲む筒状の本体部と、前記光軸から遠ざかるように前記本体部から突出した突出部と、を有し、前記突出部において前記受け面に接触して結合されている、請求項1に記載の光源ユニット。
【請求項3】
前記保持部材は、前記光軸に対して傾斜した傾斜面を有し、前記傾斜面において前記受け面に接触して結合されている、請求項1又は2に記載の光源ユニット。
【請求項4】
前記保持部材は、前記受け面と線接触している、請求項1~3のいずれか一項に記載の光源ユニット。
【請求項5】
前記保持部材は、凹状に湾曲した接触面を有し、前記接触面において前記受け面に接触して結合されている、請求項1又は2に記載の光源ユニット。
【請求項6】
前記保持部材は、レーザ溶接によって前記受け面に結合されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の光源ユニット。
【請求項7】
開口が設けられたベースと、
前記開口において前記ベース上に位置する支持部と、
前記開口において前記支持部に固定された光源アセンブリと、
を備え、
前記光源アセンブリは、レーザ光を出射する光源と、前記光源を保持する保持部材と、を有し、
前記支持部は、レーザ光の光軸に平行な方向から見た場合に前記光軸を囲むように延在する受け面であって、前記光軸から遠ざかる側に向かって凸状に湾曲した前記受け面を有し、
前記保持部材が前記受け面との接触部において前記受け面に結合されることにより、前記光源アセンブリが前記支持部に固定されており、
前記受け面は、前記保持部材との結合箇所に対して前記光軸から遠ざかる側に位置する部分を有し、
前記保持部材は、前記支持部によって画定された空間内に配置された第1部分を有している
、光源ユニット。
【請求項8】
前記保持部材は、前記ベースの前記開口内に配置された第2部分を有している、請求項7に記載の光源ユニット。
【請求項9】
前記保持部材が前記受け面に結合されていない状態において、前記開口の中心軸に対して前記光軸が徐々に傾くように前記保持部材を前記受け面に対して摺動させた場合に、前記第1部分における前記ベースとは反対側の部分が、前記第1部分における前記ベース側の部分よりも先に前記支持部に接触するように、前記光源アセンブリ及び前記支持部が構成されている、請求項7又は8に記載の光源ユニット。
【請求項10】
開口が設けられたベースと、
前記開口において前記ベース上に位置する支持部と、
前記開口において前記支持部に固定された光源アセンブリと、
を備え、
前記光源アセンブリは、レーザ光を出射する光源と、前記光源を保持する保持部材と、を有し、
前記支持部は、レーザ光の光軸に平行な方向から見た場合に前記光軸を囲むように延在する受け面であって、前記光軸から遠ざかる側に向かって凸状に湾曲した前記受け面を有し、
前記保持部材が前記受け面との接触部において前記受け面に結合されることにより、前記光源アセンブリが前記支持部に固定されており、
前記受け面は、前記保持部材との結合箇所に対して前記光軸から遠ざかる側に位置する部分を有し、
前記光源アセンブリは、前記光軸上に配置されたレンズを更に有し、前記保持部材は、前記光源及び前記レンズを保持しており、
前記保持部材は、前記光源を保持する光源ホルダと、前記レンズを保持するレンズホルダと、を有し、
前記光源ホルダには、第1螺合部が設けられており、前記レンズホルダには、前記光源ホルダと前記レンズホルダとが前記光軸に平行な方向において相対移動可能となるように前記第1螺合部と螺合する第2螺合部が設けられている
、光源ユニット。
【請求項11】
前記受け面は、球面に沿って延在しており、
前記光軸上における前記受け面の曲率中心から前記レンズまでの距離は、前記光軸上における前記光源の発光点から前記レンズまでの距離よりも短い、請求項10に記載の光源ユニット。
【請求項12】
前記保持部材は、前記支持部と同一の材料によって構成されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の光源ユニット。
【請求項13】
前記ベースは、取付面を有し、
前記支持部は、前記ベースとは別の部材として構成され、摺動面を有し、
前記摺動面は、前記取付面に接触している、請求項1~12のいずれか一項に記載の光源ユニット。
【請求項14】
前記レンズから出射した前記レーザ光が入射するダイクロイックミラーを更に備え、
前記ダイクロイックミラーは、樹脂により前記ベースに接着されている、請求項10又は11に記載の光源ユニット。
【請求項15】
開口が設けられたベースと、
前記開口において前記ベース上に位置する支持部と、
前記開口において前記支持部に固定された光源アセンブリと、
を備え、
前記光源アセンブリは、レーザ光を出射する光源と、前記光源を保持する保持部材と、を有し、
前記支持部は、レーザ光の光軸に平行な方向から見た場合に前記光軸を囲むように延在する受け面であって、前記光軸から遠ざかる側に向かって凸状に湾曲した前記受け面を有し、
前記保持部材が前記受け面との接触部において前記受け面に結合されることにより、前記光源アセンブリが前記支持部に固定されており、
前記受け面は、前記保持部材との結合箇所に対して前記光軸から遠ざかる側に位置する部分を有し、
前記保持部材が前記受け面に結合されていない状態において、前記開口の中心軸に対して前記光軸が最大限に傾く位置まで前記保持部材を前記受け面に対して摺動させた場合に、受け面が、全周にわたって、保持部材との接触部に対して光軸から遠ざかる側に位置する部分を有するように、前記光源アセンブリ及び前記支持部が構成されている
、光源ユニット。
【請求項16】
開口が設けられたベースと、
前記開口において前記ベース上に位置する支持部と、
前記開口において前記支持部に固定された光源アセンブリと、
を備え、
前記光源アセンブリは、レーザ光を出射する光源と、前記光源を保持する保持部材と、を有し、
前記支持部は、レーザ光の光軸に平行な方向から見た場合に前記光軸を囲むように延在する受け面であって、前記光軸から遠ざかる側に向かって凸状に湾曲した前記受け面を有し、
前記保持部材が前記受け面との接触部において前記受け面に結合されることにより、前記光源アセンブリが前記支持部に固定されており、
前記受け面は、前記保持部材との結合箇所に対して前記光軸から遠ざかる側に位置する部分を有し、
前記受け面は、前記光軸に平行な方向から見た場合に、前記保持部材よりも外側に位置する部分を有している
、光源ユニット。
【請求項17】
前記光軸を含む断面において、前記保持部材と前記受け面との間の接触点における前記受け面の接線と、前記保持部材における前記接触点に連なる外側表面とは、鈍角を成している、請求項1~16のいずれか一項に記載の光源ユニット。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の光源ユニットと、
前記光源ユニットから出射された前記レーザ光を透過させて拡散させる光拡散部と、を備える、投影表示装置。
【請求項19】
レーザ光を出射する光源と、前記レーザ光の光軸上に配置されたレンズと、前記光源及び前記レンズを保持する保持部材と、を備える光源アセンブリの前記保持部材において、前記光源を保持する光源ホルダと前記レンズを保持するレンズホルダとの螺合量を調整することにより、前記光軸に平行な方向における前記光源と前記レンズとの間の距離を調整する距離調整ステップと、
前記距離調整ステップの後に、開口が設けられたベース上に位置し、前記光軸に平行な方向から見た場合に前記光軸を囲むように延在する受け面であって、前記光軸から遠ざかる側に向かって凸状に湾曲した受け面を有する筒状の支持部上に、前記受け面に前記保持部材が接触するように、前記光源アセンブリを配置する配置ステップと、
前記配置ステップの後に、前記保持部材を前記受け面に対して摺動させることにより、前記光源アセンブリの傾きを調整する傾き調整ステップと、
前記傾き調整ステップの後に、前記保持部材を前記受け面との接触部において前記受け面に結合することにより、前記開口において前記支持部に前記光源アセンブリを固定する固定ステップと、を備える、光源ユニットの製造方法。
【請求項20】
前記支持部は、前記ベースとは別の部材として構成されており、
前記光源ユニットの製造方法は、前記配置ステップと前記固定ステップとの間に、前記光源アセンブリと共に前記支持部を前記ベースに対して摺動させることにより、前記光源アセンブリの位置を調整する位置調整ステップを更に備える、請求項19に記載の光源ユニットの製造方法。
【請求項21】
前記固定ステップでは、前記受け面が、前記保持部材との結合予定箇所に対して前記光軸から遠ざかる側に位置する部分を有した状態で、前記保持部材を結合予定箇所において前記受け面に結合することにより、前記支持部に前記光源アセンブリを固定する、請求項19又は20に記載の光源ユニットの製造方法。
【請求項22】
前記固定ステップでは、レーザ溶接によって前記保持部材を前記受け面との接触部において前記受け面に結合することにより、前記支持部に前記光源アセンブリを固定する、請求項19~21のいずれか一項に記載の光源ユニットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源ユニット、投影表示装置、及び光源ユニットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光源ユニットとして、開口が設けられたベースと、開口においてベースに固定された筒状の支持部材と、開口において支持部材に固定された光源アセンブリと、を備えたものがある(例えば特許文献1,2参照)。光源アセンブリは、レーザ光を出射する光源と、レーザ光の光軸上に配置されたレンズと、を有している。光源から出射されたレーザ光は、レンズにより集光されてベースの開口を通過する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-263070号公報
【文献】特開2011-151308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような光源ユニットにおいては、レーザ光の光軸の位置に極めて高い精度が求められる。そこで、本発明は、レーザ光の光軸の位置精度が高められた光源ユニット及び投影表示装置、並びにそのような光源ユニットの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の光源ユニットは、開口が設けられたベースと、開口においてベースに固定された支持部材と、開口において支持部材に固定された光源アセンブリと、備え、光源アセンブリは、レーザ光を出射する光源と、レーザ光の光軸上に配置されたレンズと、光源及びレンズを保持する保持部材と、を有し、支持部材は、光軸に平行な方向から見た場合に光軸を囲むように、球面に沿って延在する凸状の受け面を有し、保持部材が受け面との接触部において受け面に結合されることにより、光源アセンブリが支持部材に固定されており、受け面は、保持部材との結合箇所に対して光軸から遠ざかる側に位置する部分を有している。
【0006】
この光源ユニットでは、支持部材が、レーザ光の光軸に平行な方向から見た場合に光軸を囲むように、球面に沿って延在する凸状の受け面を有している。そして、保持部材が受け面との接触部において受け面に結合されることにより、光源アセンブリが支持部材に固定されている。この光源ユニットを製造する際には、例えば、保持部材を受け面に対して摺動させることにより、光源アセンブリの傾きを調整することができる。また、光源アセンブリと共に支持部材をベースに対して摺動させることにより、光源アセンブリの位置を調整することもできる。したがって、レーザ光の光軸の位置を精度良く調整することができる。更に、この光源ユニットでは、受け面が、保持部材との結合箇所に対して光軸から遠ざかる側に位置する部分を有している。これにより、保持部材の受け面に対する結合を容易化することができ、保持部材を受け面に結合する際にレーザ光の光軸の位置がずれてしまうのを抑制することができる。以上より、この光源ユニットでは、レーザ光の光軸の位置精度が高められている。
【0007】
本発明の光源ユニットでは、保持部材は、光軸を囲む筒状の本体部と、光軸から遠ざかるように本体部から突出した突出部と、を有し、突出部において受け面に接触して結合されていてもよい。この場合、レーザ光の光軸の位置を一層精度良く調整することができると共に、保持部材の受け面に対する結合を一層容易化することができる。
【0008】
本発明の光源ユニットでは、保持部材は、光軸に対して傾斜した傾斜面を有し、傾斜面において受け面に接触して結合されていてもよい。この場合、レーザ光の光軸の位置をより一層精度良く調整することができると共に、保持部材の受け面に対する結合をより一層容易化することができる。
【0009】
本発明の光源ユニットでは、保持部材は、受け面と線接触していてもよい。この場合、レーザ光の光軸の位置をより一層精度良く調整することができると共に、保持部材の受け面に対する結合をより一層容易化することができる。
【0010】
本発明の光源ユニットでは、保持部材は、球面に沿って延在する凹状の接触面を有し、接触面において受け面に接触して結合されていてもよい。この場合でも、レーザ光の光軸の位置を精度良く調整することができると共に、保持部材の受け面に対する結合を容易化することができる。
【0011】
本発明の光源ユニットでは、保持部材は、レーザ溶接によって受け面に結合されていてもよい。この光源ユニットでは、レーザ溶接による保持部材の受け面に対する結合を容易化することができる。
【0012】
本発明の光源ユニットでは、保持部材は、支持部材によって画定された空間内に配置された第1部分を有していてもよい。この場合、光源ユニットを小型化することができる。
【0013】
本発明の光源ユニットでは、保持部材は、ベースの開口内に配置された第2部分を有していてもよい。この場合、光源ユニットを一層小型化することができる。
【0014】
本発明の光源ユニットでは、保持部材が受け面に結合されていない状態において、開口の中心軸に対して光軸が徐々に傾くように保持部材を受け面に対して摺動させた場合に、第1部分におけるベースとは反対側の部分が、第1部分におけるベース側の部分よりも先に支持部材に接触するように、光源アセンブリ及び支持部材が構成されていてもよい。この場合、保持部材を受け面に対して摺動させて光源アセンブリの傾きを調整する際に、第1部分におけるベース側の部分が支持部材に接触するのを抑制することができる。その結果、保持部材においてベース側に保持されたレンズの位置がずれるのを抑制することができる。
【0015】
本発明の光源ユニットでは、保持部材は、光源を保持する光源ホルダと、レンズを保持するレンズホルダと、を有し、光源ホルダには、第1螺合部が設けられており、レンズホルダには、光源ホルダとレンズホルダとが光軸に平行な方向において相対移動可能となるように第1螺合部と螺合する第2螺合部が設けられていてもよい。この場合、光源ユニットを製造する際に、第1螺合部と第2螺合部との螺合量を調整することにより、光軸に平行な方向における光源とレンズとの間の距離を調整することができる。
【0016】
本発明の光源ユニットでは、光軸上における受け面の曲率中心からレンズまでの距離は、光軸上における光源の発光点からレンズまでの距離よりも短くてもよい。この場合、保持部材を受け面に対して摺動させて光源アセンブリの傾きを調整したときのレンズの移動量を小さくすることができる。
【0017】
本発明の光源ユニットでは、保持部材は、支持部材と同一の材料によって構成されていてもよい。この場合、保持部材及び支持部材の熱膨張係数が同一になるため、環境温度の変化による保持部材と支持部材との間の位置ずれを抑制することができる。
【0018】
本発明の光源ユニットは、レンズから出射したレーザ光が入射するダイクロイックミラーを更に備え、ダイクロイックミラーは、樹脂によりベースに接着されていてもよい。この場合、光源ユニットの製造を簡易化することができる。
【0019】
本発明の光源ユニットでは、保持部材が受け面に結合されていない状態において、開口の中心軸に対して光軸が最大限に傾く位置まで保持部材を受け面に対して摺動させた場合に、受け面が、全周にわたって、保持部材との接触部に対して光軸から遠ざかる側に位置する部分を有するように、光源アセンブリ及び支持部材が構成されていてもよい。この場合、レーザ光の光軸の位置をより一層精度良く調整することができると共に、保持部材の受け面に対する結合をより一層容易化することができる。
【0020】
本発明の光源ユニットでは、受け面は、光軸に平行な方向から見た場合に、保持部材よりも外側に位置する部分を有していてもよい。この場合、レーザ光の光軸の位置をより一層精度良く調整することができると共に、保持部材の受け面に対する結合をより一層容易化することができる。
【0021】
本発明の光源ユニットでは、光軸を含む断面において、保持部材と受け面との間の接触点における受け面の接線と、保持部材における接触点に連なる外側表面とは、鈍角を成していてもよい。この場合、レーザ光の光軸の位置をより一層精度良く調整することができると共に、保持部材の受け面に対する結合をより一層容易化することができる。
【0022】
本発明の投影表示装置は、上記光源ユニットと、光源ユニットから出射されたレーザ光を透過させて拡散させる光拡散部と、を備える。この投影表示装置では、上述した理由により、レーザ光の光軸の位置精度が高められている。
【0023】
本発明の光源ユニットの製造方法は、レーザ光を出射する光源と、レーザ光の光軸上に配置されたレンズと、光源及びレンズを保持する保持部材と、を備える光源アセンブリの保持部材において、光源を保持する光源ホルダとレンズを保持するレンズホルダとの螺合量を調整することにより、光軸に平行な方向における光源とレンズとの間の距離を調整する距離調整ステップと、距離調整ステップの後に、開口が設けられたベース上に、光軸に平行な方向から見た場合に光軸を囲むように、球面に沿って延在する凸状の受け面を有する筒状の支持部材を配置すると共に、受け面に保持部材が接触するように、支持部材上に光源アセンブリを配置する配置ステップと、配置ステップの後に、保持部材を受け面に対して摺動させることにより、光源アセンブリの傾きを調整する傾き調整ステップと、傾き調整ステップの後に、開口においてベースに支持部材を固定すると共に、保持部材を受け面との接触部において受け面に結合することにより、開口において支持部材に光源アセンブリを固定する固定ステップと、を備える。
【0024】
この光源ユニットの製造方法では、光源ホルダとレンズホルダとの螺合量を調整することにより、レーザ光の光軸に平行な方向における光源とレンズとの間の距離を調整する(距離調整ステップ)。これにより、光源とレンズとの位置関係を精度良く調整することができる。また、保持部材を受け面に対して摺動させることにより、光源アセンブリの傾きを調整した後に(傾き調整ステップ)、ベースに支持部材を固定すると共に、保持部材を受け面との接触部において受け面に結合することにより、支持部材に光源アセンブリを固定する(固定ステップ)。これにより、レーザ光の光軸の位置を精度良く調整したうえで、各要素を固定することができる。したがって、この光源ユニットの製造方法によれば、レーザ光の光軸の位置精度が高められた光源ユニットを得ることができる。
【0025】
本発明の光源ユニットの製造方法は、配置ステップと固定ステップとの間に、光源アセンブリと共に支持部材をベースに対して摺動させることにより、光源アセンブリの位置を調整する位置調整ステップを更に備えてもよい。この場合、レーザ光の光軸の位置を一層精度良く調整したうえで、各要素を固定することができる。
【0026】
本発明の光源ユニットの製造方法においては、固定ステップでは、受け面が、保持部材との結合予定箇所に対して光軸から遠ざかる側に位置する部分を有した状態で、保持部材を結合予定箇所において受け面に結合することにより、支持部材に光源アセンブリを固定してもよい。この場合、レーザ光の光軸の位置精度を一層高めることができる。
【0027】
本発明の光源ユニットの製造方法においては、固定ステップでは、レーザ溶接によって保持部材を受け面との接触部において受け面に結合することにより、支持部材に光源アセンブリを固定してもよい。この光源ユニットの製造方法によれば、レーザ溶接によって保持部材を受け面に結合する場合でも、レーザ光の光軸の位置精度を高めることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、レーザ光の光軸の位置精度が高められた光源ユニット及び投影表示装置、並びにそのような光源ユニットの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】実施形態に係る投影表示装置の概略構成図である。
【
図3】光源ユニットを一方側から見た斜視図である。
【
図4】光源ユニットを他方側から見た斜視図である。
【
図7】光源アセンブリの固定構造を示す断面図である。
【
図10】光軸に平行な方向から見た場合の光源ユニットを示す図である。
【
図11】光源アセンブリが傾けられた状態を示す断面図である。
【
図12】(a)は、レンズの集光距離が長い場合を示す図であり、(b)は、レンズの集光距離が短い場合を示す図である。
【
図13】(a)~(c)は、変形例を示す概略図である。
【
図14】(a)~(c)は、変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
[投影表示装置]
【0031】
図1に示されるように、投影表示装置1は、光源装置2と、光拡散部4と、を備えている。投影表示装置1は、例えば、自動車に搭載されるレーザ走査型プロジェクションディスプレー(ヘッドアップディスプレー)であり、自動車のフロントガラスに映像を投影表示する。光源装置2は、投影表示用のレーザ光Lを出射する。
【0032】
光源装置2は、走査用ミラー3を備えている。走査用ミラー3は、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術によって製造された電磁駆動式の光学ミラーである。走査用ミラー3は、ミラー3aを揺動させることで、光源装置2から出射されたレーザ光Lを反射して光拡散部4の所定領域において走査する。
【0033】
光拡散部4は、例えば、マトリックス状に配列された複数のマイクロレンズを有するマイクロレンズアレイであり、走査用ミラー3によって走査された投影表示用のレーザ光Lを透過させて拡散する。光拡散部4の入射面は、平坦面となっており、光拡散部4の出射面は、複数のマイクロレンズに対応した複数の凸面によって構成されている。光拡散部4によって拡散されたレーザ光Lは、例えば、複数のミラーを介して自動車のフロントガラスに導かれ、フロントガラスでの反射を介して、映像として運転者の眼に届く。
[光源装置]
【0034】
図1~
図5に示されるように、光源装置2は、走査用ミラー3に加えて、光源ユニット10と、走査用ミラー3及び光源ユニット10を収容する箱状の筐体6と、を備えている。筐体6には、光源装置2から外部に光が出射される光出射窓6aが設けられている。
【0035】
光源ユニット10は、ベース20と、3つの光源アセンブリ30A,30B,30Cと、3つの支持部材40A,40B,40Cと、3つのダイクロイックミラー50A,50B,50Cと、を備えている。各光源アセンブリ30A,30B,30C、支持部材40A,40B,40C及びダイクロイックミラー50A,50B,50Cは、ベース20に固定されている。
[光源アセンブリ]
【0036】
各光源アセンブリ30A,30B,30Cは、レーザ光Lを出射する光源31と、レーザ光Lの光軸A上に配置されたレンズ32と、光源31及びレンズ32を一体的に保持する保持部材33と、を有している。以下、
図6を参照しつつ光源アセンブリ30Aについて説明するが、光源アセンブリ30B,30Cについても光源アセンブリ30Aと同様の構成を有している。
【0037】
光源31は、例えば、赤色レーザダイオードであり、投影表示用のレーザ光Lを出射する。光源アセンブリ30Bの光源31は、例えば緑色レーザダイオードであり、光源アセンブリ30Cの光源31は、例えば青色レーザダイオードである。各レーザダイオードは、例えば、ステム7a及びキャップ7bからなるパッケージ7内にレーザチップ8が配置された構成を有しており、キャップ7bに設けられた光出射窓からレーザ光Lを出射する。レンズ32は、例えば凸レンズであり、レーザ光Lを集光させる集光レンズである。レンズ32は、所定のビーム特性(スポットサイズ)を得るために用いられる。
【0038】
保持部材33は、光源31を保持する光源ホルダ34と、レンズ32を保持するレンズホルダ35と、を有している。保持部材33は、例えばステンレス鋼等の金属材料によって構成されている。光源ホルダ34は、光源31が固定された固定部36と、固定部36から円筒状に延在する延在部37と、を有している。光源ホルダ34は、全体として略円筒状に形成され、光源31の光軸Aを囲んでいる。光源31は、固定部36に設けられた開口36aにおいて固定部36に固定されている。光源31は、レンズ32に向けてレーザ光Lを出射する。延在部37の内周面には、光軸A周りに螺旋状に延在するネジ溝(第1螺合部)37aが設けられている。
【0039】
固定部36の外周面には、光軸Aから遠ざかるように固定部36から突出した突出部38が設けられている。この例では、突出部38は、固定部36の外周面の全周にわたって配置され、略円筒状に形成されている。突出部38には、光軸Aに対して傾斜した傾斜面38aが設けられている。傾斜面38aは、例えば、平坦面であり、光軸Aに平行な方向(以下、「光軸方向」とも記す)から見た場合に円環状に延在している。傾斜面38aは、光軸Aから離れるほど、光出射側(光軸方向において光源31に対してレンズ32が位置する側)に向かうように、傾斜している。光軸Aを含む断面において傾斜面38aと光軸Aとが成す角は、例えば50度程度である。この例では、傾斜面38aの外縁は、突出部38の外面に直接に連なっている。
【0040】
レンズホルダ35は、全体として略円筒状に形成され、光軸Aを囲んでいる。レンズ32は、レンズホルダ35内に配置されてレンズホルダ35に固定されている。レンズホルダ35の外周面には、ネジ溝37aと螺合するネジ山(第2螺合部)35aが設けられている。ネジ山35aは、光軸A周りに螺旋状に延在している。レンズホルダ35の一部は光源ホルダ34の延在部37に挿入されており、ネジ山35aがネジ溝37aに螺合することにより、レンズホルダ35が光源ホルダ34に固定されている。ネジ山35aとネジ溝37aとの螺合量を調整することで、光軸方向において光源ホルダ34とレンズホルダ35とを相対移動させることができる。
【0041】
光源アセンブリ30Aを組み立てる際には、ネジ山35aとネジ溝37aとの螺合量を調整することにより、光源ホルダ34とレンズホルダ35とを相対移動させて、光軸方向における光源31とレンズ32との間の距離を調整することができる。調整の精度は、ネジ山35a及びネジ溝37aのピッチに依存する。例えば、ピッチが0.5mmである場合、1度の相対回転による距離調整量は、0.5mmを360度で除した約1.4μmとなる。したがって、例えば、1度程度の角度調整が可能な治具を用いることで、数μm程度の分解能で光源31とレンズ32との間の位置関係を調整することができる。
【0042】
この例では、光源ホルダ34とレンズホルダ35とは、ネジ山35aとネジ溝37aとの間に設けられた熱硬化性樹脂によっても、互いに固定されている。すなわち、光源アセンブリ30Aを組み立てる際には、ネジ山35aとネジ溝37aとの間に熱硬化性樹脂を予め塗布しておき、光源31とレンズ32との間の位置を調整した後に、熱硬化性樹脂を加熱及び硬化させてもよい。これにより、光源ホルダ34とレンズホルダ35とを一層強固に固定することができる。これに加えて又は代えて、ネジ山35a及びネジ溝37aの締付けトルクを一般的なネジ構造よりも大きくすることで、光源ホルダ34とレンズホルダ35とを一層強固に固定することもできる。
【0043】
以上説明したように、保持部材33は、光軸Aを囲む筒状の本体部と、光軸Aから遠ざかるように本体部から突出した突出部38と、を有している。この例では、本体部は、光源ホルダ34の固定部36及び延在部37、並びにレンズホルダ35によって構成されている。
【0044】
図5及び
図7に示されるように、光源アセンブリ30A,30B,30Cは、それぞれ、ベース20に設けられた3つの開口20aにおいてベース20に固定されている。ダイクロイックミラー50A,50B,50Cは、それぞれ、開口20aを介して光源アセンブリ30A,30B,30Cと向かい合うように配置されている。ダイクロイックミラー50A,50B,50Cは、それぞれ、樹脂によりベース20に接着されている。当該接着のための樹脂材料としては、例えば、熱硬化性を有するエポキシ系樹脂を用いることができる。
【0045】
光源アセンブリ30A,30B,30Cの光源31から出射したレーザ光Lは、それぞれ、レンズ32及び開口20aを介してダイクロイックミラー50A,50B,50Cに入射する。光源アセンブリ30A,30B,30Cからのレーザ光Lは、ダイクロイックミラー50Aにおいて合波(合成)され、上述した光出射窓6aを介して走査用ミラー3に至る。
【0046】
より具体的には、光源アセンブリ30Aの光源31から出射されたレーザ光Lは、ダイクロイックミラー50Aによって反射され、走査用ミラー3に至る。光源アセンブリ30Bの光源31から出射されたレーザ光Lは、ダイクロイックミラー50Bによって反射され、ダイクロイックミラー50Aを透過して走査用ミラー3に至る。光源アセンブリ30Cの光源31から出射されたレーザ光Lは、ダイクロイックミラー50Cによって反射され、ダイクロイックミラー50A,50Bを透過して走査用ミラー3に至る。
【0047】
合波されたレーザ光Lの一部は、ダイクロイックミラー50Aを透過する。光源ユニット10は、ダイクロイックミラー50Aを透過したレーザ光Lを検出する光量センサ9を更に備えている。光量センサ9は、例えばフォトダイオードであり、光源ユニット10から出射されるレーザ光Lの光量をモニタするために用いられる。この例では、光量センサ9は、ベース20に固定されている。
[光源ユニット]
【0048】
図7~
図11を参照しつつ、光源ユニット10について更に説明する。以下、光源アセンブリ30A及び支持部材40Aのベース20に対する固定構造について説明するが、光源アセンブリ30B,30C及び支持部材40B,40Cのベース20に対する固定構造についても同様に構成されている。
【0049】
光源アセンブリ30Aは、支持部材40Aを介してベース20に固定されている。支持部材40Aは、略円筒状の回転軸受であり、ベース20の取付面20bと光源アセンブリ30Aとの間に介在している。取付面20bは、例えば平坦面となっている。支持部材40Aは、例えば、保持部材33と同一の材料によって構成されている。
図7~
図9では、光源31の光軸Aがベース20の開口20aの中心軸Xと一致した状態が示されている。
【0050】
支持部材40Aは、円筒状の外周面に加えて、摺動面41と、受け面42と、を有している。摺動面41は、例えば平坦面となっており、取付面20bに接触している。受け面42は、支持部材40Aにおけるベース20とは反対側の表面の一部である。受け面42は、光軸方向から見た場合に円環状に延在して光軸Aを囲んでいる。受け面42は、球面に沿って延在する凸状の面であり、1つの曲率中心(球心)Cを有している。曲率中心Cは、光軸A上に位置する共に、レンズ32に対して光出射側に位置している。光軸A上における曲率中心Cからレンズ32までの距離L1は、光軸A上における光源31の発光点Qからレンズ32までの距離L2よりも短い。この例では、距離L1は、光軸A上における曲率中心Cからレンズ32における光源31とは反対側の表面までの距離である。距離L2は、光軸A上における発光点Qからレンズ32における光源31側の表面までの距離である。曲率中心Cがレンズ32上に位置する場合、距離L1はゼロである。距離L1は、レンズ32の厚さ以下であってもよい。この例では、受け面42の外縁は、支持部材40Aの外周面に直接に連なっている。
【0051】
光源アセンブリ30Aの一部は、支持部材40A内及びベース20の開口20a内に配置されている。より具体的には、保持部材33は、支持部材40Aを貫通して開口20aに至るように配置されており、支持部材40Aによって画定された空間S内に配置された第1部分61と、開口20a内に配置された第2部分62と、を有している。この例では、第1部分61は、延在部37及びレンズホルダ35の一部によって構成され、第2部分62は、延在部37及びレンズホルダ35の他の一部によって構成されている。
【0052】
保持部材33は、突出部38の傾斜面38aにおいて、受け面42に接触している。より具体的には、保持部材33は、傾斜面38aの外縁の全周において、受け面42に接触している。すなわち、保持部材33は、受け面42と線接触している。光源アセンブリ30Aは、保持部材33が受け面42との接触部において受け面42に結合されることにより、支持部材40Aに固定されている。この例では、保持部材33は、レーザ溶接によって、傾斜面38aの外縁において、受け面42に結合されている。保持部材33は、例えば、
図10に示される4つの点状の結合箇所P1において、受け面42に結合されている。当該レーザ溶接におけるレーザ光の照射方向は、例えば、光軸方向に沿った方向である。
【0053】
支持部材40Aは、摺動面41が取付面20bに結合されることにより、ベース20に固定されている。この例では、摺動面41は、レーザ溶接によって、摺動面41の外縁において、取付面20bに結合されている。支持部材40Aは、例えば、
図10に示される4つの点状の結合箇所P2において、取付面20bに結合されている。当該レーザ溶接におけるレーザ光の照射方向は、例えば、光軸方向に沿った方向である。
【0054】
受け面42は、保持部材33との結合箇所P1に対して光源31の光軸Aから遠ざかる側に位置する外側部分42aを有している。外側部分42aは、例えば、光軸方向から見た場合に円環状に延在している。外側部分42aは、光軸方向から見た場合に、保持部材33よりも外側に位置している。外側部分42aは、保持部材33から露出している(保持部材33によって覆われていない)。光軸方向から見た場合、及び光軸Aに垂直な方向から見た場合のいずれにおいても、保持部材33の受け面42に対する結合箇所P1は露出している。光軸Aを含む断面(
図9に示される断面)において、保持部材33と受け面42との間の接触点P3における受け面42の接線Bと、保持部材33における接触点P3に連なる外側表面(この例では、突出部38の外周面38b)とが成す角θは、鈍角となっている。角θは、例えば130度程度である。
[光源ユニットの製造方法]
【0055】
光源ユニット10を製造する際には、まず、光源アセンブリ30Aを組み立てる(組立ステップ)。すなわち、光源31が保持された光源ホルダ34と、レンズ32が保持されたレンズホルダ35と、を準備して互いに組み付ける。続いて、ネジ山35aとネジ溝37aとの螺合量を調整することにより、光源ホルダ34とレンズホルダ35とを相対移動させて、光軸方向における光源31とレンズ32との間の距離を調整する(距離調整ステップ)。
【0056】
続いて、ベース20の取付面20b上に支持部材40Aを配置すると共に、受け面42に保持部材33が接触するように、支持部材40A上に光源アセンブリ30Aを配置する(配置ステップ)。続いて、保持部材33を受け面42に対して摺動させることにより、光源アセンブリ30Aの傾きを調整する(傾き調整ステップ)。より具体的には、突出部38の傾斜面38aの外縁を受け面42に対して摺動させることにより、光源アセンブリ30Aのベース20に対する傾きを調整する。これにより、開口20aの中心軸Xに対する光源31の光軸Aの傾斜角度を調整することができる。例えば、
図11には、光軸Aが中心軸Xに対して傾いた状態が示されている。
【0057】
続いて、光源アセンブリ30Aと共に支持部材40Aをベース20の取付面20bに対して摺動させることにより、光軸Aに垂直な方向における光源アセンブリ30Aのベース20に対する位置を調整する(位置調整ステップ)。これにより、中心軸Xに対する光軸Aの位置を調整することができる。
【0058】
傾き調整ステップ及び位置調整ステップは、中心軸Xに対する光軸Aの傾斜角度及び位置が所望の角度及び位置となるように、繰り返し実施されてもよい。傾き調整ステップ及び位置調整ステップは、それぞれ、一回実施されてもよいし、複数回実施されてもよい。傾き調整ステップ及び位置調整ステップは、任意の順序で実施されてよい。
【0059】
傾き調整ステップ及び位置調整ステップにより、中心軸Xに対する光軸Aの傾斜角度及び位置を所望の角度及び位置に調整することができる。これにより、例えば、レーザ光Lがダイクロイックミラー50Aに対して所定の角度及び位置で入射する。これらの調整は、光源アセンブリ30Aにおいては光軸Aの角度にばらつきが生じ得るため、必要となる。また、ベース20の加工精度に起因してダイクロイックミラー50Aの配置精度にばらつきが生じ得ることによっても、当該調整が必要となる。
【0060】
続いて、開口20aにおいてベース20に支持部材40Aを固定すると共に、開口20aにおいて支持部材40Aに光源アセンブリ30Aを固定する(固定ステップ)。固定ステップでは、レーザ溶接によって支持部材40Aの摺動面41をベース20の取付面20bに結合することにより、支持部材40Aをベース20に固定する。固定ステップでは、レーザ溶接によって保持部材33を受け面42との接触部において受け面42に結合することにより、支持部材40Aに光源アセンブリ30Aを固定する。このレーザ溶接は、受け面42が、保持部材33との結合予定箇所に対して光軸Aから遠ざかる側に位置する部分(外側部分42a)を有した状態で、保持部材33を結合予定箇所において受け面42に結合することにより、実施される。
【0061】
光源アセンブリ30B,30C及び支持部材40B,40Cについても同様に、組立ステップ、距離調整ステップ、配置ステップ、傾き調整ステップ、位置調整ステップ及び固定ステップにより、中心軸Xに対する光軸Aの傾斜角度及び位置が所望の角度及び位置に調整された状態で、ベース20に固定される。これにより、光源アセンブリ30A,30B,30C及び支持部材40A,40B,40Cについての光軸Aの傾斜角度及び位置を精度良く調整することができ、その結果、光源アセンブリ30A,30B,30Cからのレーザ光Lを精度良く合波することができる。なお、光源アセンブリ30A及び支持部材40Aをベース20に固定する前に、光源アセンブリ30B,30C及び支持部材40B,40Cについての光軸Aの傾斜角度及び位置の調整を実施し、光源アセンブリ30A,30B,30C及び支持部材40A,40B,40Cについての光軸Aの傾斜角度及び位置の調整が完了した後に、光源アセンブリ30A,30B,30C及び支持部材40A,40B,40Cについて固定ステップを実施してもよい。
【0062】
ここで、光源ユニット10では、保持部材33が受け面42に結合されていない状態(保持部材33が受け面42に結合される前の状態)において、開口20aの中心軸Xに対して光軸Aが最大限に傾く位置(
図11に示される位置)まで保持部材33を受け面42に対して摺動させた場合でも、受け面42が、全周にわたって、保持部材33との接触部に対して光軸Aから遠ざかる側に位置する部分(外側部分42a)を有するように、光源アセンブリ30A及び支持部材40Aが構成されている。すなわち、
図11に示される状態において、受け面42の外側部分42aは、全周にわたって、保持部材33から露出している(保持部材33によって覆われていない)。光源ユニット10では、保持部材33が受け面42に結合されていない状態において、中心軸Xに対して光軸Aが徐々に傾くように保持部材33を受け面42に対して摺動させた場合、
図11に示されるように、延在部37における固定部36との境界部分(基端部分)37cが支持部材40Aの内面に接触することで、保持部材33の摺動が規制される。すなわち、中心軸Xに対して光軸Aが徐々に傾くように保持部材33を受け面42に対して摺動させた場合、延在部37(第1部分61)におけるベース20とは反対側の部分が、延在部37におけるベース20側の部分よりも先に支持部材40Aに接触するように、光源アセンブリ30A及び支持部材40Aが構成されている。
[ベースの固定構造]
【0063】
図10を参照しつつ、ベース20の固定構造について説明する。ベース20は、例えば、所定の筐体(図示省略)に対して、ボルト等の締結部材(図示省略)により固定されている。ベース20には、複数の貫通孔21a~21jが設けられている。光源アセンブリ30A,30B,30Cが並ぶ方向を第1方向とし、光軸方向から見た場合に第1方向に垂直な方向を第2方向とすると、貫通孔21a~21eは、光源アセンブリ30A,30B,30Cに対して第2方向における一方側に配置されており、貫通孔21f~21jは、光源アセンブリ30A,30B,30Cに対して第2方向における他方側に配置されている。この例では、第1方向は、ベース20の長手方向であり、第2方向は、ベース20の短手方向である。貫通孔21a~21jの大きさは、互いに異なっていてもよいし、同一であってもよい。
【0064】
本実施形態では、ベース20は、光源アセンブリ30Bの周囲に配置された貫通孔21b,21d,21g,21iにおいて、筐体に対して締結部材により固定されている。より具体的には、貫通孔21b,21d,21g,21iに通されたボルトがベース20に設けられた締結穴に締結されることにより、ベース20が筐体に固定されている。
【0065】
これにより、光源アセンブリ30A,30B,30C間で光軸Aの位置がずれるのを抑制することができ、レーザ光Lの光軸Aの位置精度を高めることができる。すなわち、例えばベース20の4つの隅部に配置された貫通孔21a,21e,21f,21jにおいてベース20が固定されると、熱等の影響によってベース20が反ってしまい、光源アセンブリ30A,30B,30C間で光軸Aの角度がずれるおそれがある。これに対し、本実施形態では、ベース20の温度が上昇した場合、ベース20における固定位置(貫通孔21b,21d,21g,21iの位置)よりも外側の部分が第1方向外側に伸びるように変形するだけであるので、光源アセンブリ30A,30B,30C間で光軸Aの角度がずれるのを抑制することができる。
【0066】
かかる作用効果を奏するためには、ベース20の筐体に対する複数の固定位置が、第2方向において光源アセンブリ30A,30B,30Cの1つを挟む固定位置の対のみを含んでいればよい。換言すれば、複数の固定位置が、第2方向において光源アセンブリ30A,30B,30Cの2つ以上を挟まない固定位置の対のみを含んでいればよい。他の例として、固定位置は、貫通孔21a,21jの位置であってもよい。固定位置は、貫通孔21b,21jの位置であってもよい。固定位置は、貫通孔21c,21hの位置であってもよい。固定位置は、貫通孔21d,21e,21f,21gの位置であってもよい。
[ダイクロイックミラーの固定構造]
【0067】
図4等を参照しつつ、ダイクロイックミラー50A,50B,50Cの固定構造について説明する。ダイクロイックミラー50A,50B,50Cは、それぞれ、ベース20に対して光源アセンブリ30A,30B,30Cとは反対側において、ベース20に固定されている。ベース20には、ダイクロイックミラー50A,50B,50Cを固定するための複数の固定部22が設けられている。上述したとおり、ダイクロイックミラー50A,50B,50Cは、樹脂により固定部22に接着されている。
【0068】
固定部22には、ダイクロイックミラー50A,50B,50Cで反射されたレーザ光Lが通過する光通過部23が設けられている。光通過部23は、レーザ光Lが向かう方向に開口すると共に、光軸方向にも開口している。すなわち、光通過部23は、光軸方向に開口した開口部23aを有している。
【0069】
ダイクロイックミラー50Aは、例えば矩形状に形成され、その4辺において固定部22に接着されているが、開口部23aに対応する第1辺50Aaの中間部においては固定部22に接触しておらず、接着もされていない。ダイクロイックミラー50Aは、第1辺50Aaとは反対側の第2辺50Abの中間部においても、固定部22に接触しておらず接着もされていない。換言すれば、固定部22は、ダイクロイックミラー50Aの第2辺50Abの中間部に接触しない形状を有している。
【0070】
これにより、ダイクロイックミラー50Aの位置がずれるのを抑制することができ、ダイクロイックミラー50Aの位置精度を高めることができる。すなわち、例えば、ダイクロイックミラー50Aが第1辺50Aaの中間部において固定部22に接着されていない一方で、第2辺50Abの全体において固定部22に接着されている場合、第1辺50Aa側と第2辺50Ab側とでダイクロイックミラー50Aの接着についてのバランスが崩れ、ダイクロイックミラー50Aの位置がずれるおそれがある。これに対し、本実施形態では、ダイクロイックミラー50Aは、第2辺50Abの中間部においても固定部22に接着されていないため、ダイクロイックミラー50Aの接着についてのバランスを向上することができ、その結果、ダイクロイックミラー50Aの位置がずれるのを抑制することができる。ダイクロイックミラー50B,50Cについても、ダイクロイックミラー50Aと同様に固定部22に接着されており、位置精度が高められている。なお、第1辺50Aaの全体が固定部22に接着されていなくてもよいし、第2辺50Abの全体が固定部22に接着されていなくてもよい。
[作用効果]
【0071】
以上説明したように、光源ユニット10では、支持部材40Aが、光軸方向から見た場合に光軸Aを囲むように、球面に沿って延在する凸状の受け面42を有している。そして、保持部材33が受け面42との接触部において受け面42に結合されることにより、光源アセンブリ30Aが支持部材40Aに固定されている。光源ユニット10を製造する際には、例えば、保持部材33を受け面42に対して摺動させることにより、光源アセンブリ30Aの傾きを調整することができる。また、光源アセンブリ30Aと共に支持部材40Aをベース20に対して摺動させることにより、光源アセンブリ30Aの位置を調整することもできる。したがって、レーザ光Lの光軸Aの位置を精度良く調整することができる。更に、受け面42が、保持部材33との結合箇所P1に対して光軸Aから遠ざかる側に位置する外側部分42aを有している。これにより、保持部材33の受け面42に対する結合を容易化することができ、保持部材33を受け面42に結合する際に光軸Aの位置がずれてしまうのを抑制することができる。以上より、光源ユニット10では、レーザ光Lの光軸Aの位置精度が高められている。更に、受け面42が外側部分42aを有しているため、保持部材33と受け面42との間の溶接代を十分に確保することができ、保持部材33を受け面42に安定的に結合することができる。
【0072】
保持部材33が、光軸Aを囲む筒状の本体部と、光軸Aから遠ざかるように本体部から突出した突出部38と、を有し、突出部38において受け面42に接触して結合されている。これにより、レーザ光Lの光軸Aの位置を一層精度良く調整することができると共に、保持部材33の受け面42に対する結合を一層容易化することができる。
【0073】
保持部材33が、光軸Aに対して傾斜した傾斜面38aを有し、傾斜面38aにおいて受け面42に接触して結合されている。これにより、レーザ光Lの光軸Aの位置をより一層精度良く調整することができると共に、保持部材33の受け面42に対する結合をより一層容易化することができる。
【0074】
保持部材33が、受け面42と線接触している。これにより、レーザ光Lの光軸Aの位置をより一層精度良く調整することができると共に、保持部材33の受け面42に対する結合をより一層容易化することができる。更に、保持部材33と支持部材40Aとの間の接触面積が小さくなるため、光源31で発生した熱を、ベース20側ではなく、ベース20とは反対側に配置された放熱部材(図示省略)側へ伝わり易くすることができる。その結果、光源31で発生した熱を効率的に放熱することができる。
【0075】
保持部材33が、レーザ溶接によって受け面42に結合されている。光源ユニット10では、レーザ溶接による保持部材33の受け面42に対する結合を容易化することができる。
【0076】
保持部材33が、支持部材40Aによって画定された空間S内に配置された第1部分61を有している。これにより、光源ユニット10を小型化することができる。保持部材33が、ベース20の開口20a内に配置された第2部分62を有している。これにより、光源ユニット10を一層小型化することができる。
【0077】
保持部材33が受け面42に結合されていない状態において、開口20aの中心軸Xに対して光軸Aが徐々に傾くように保持部材33を受け面42に対して摺動させた場合、延在部37(第1部分61)におけるベース20とは反対側の部分が、延在部37におけるベース20側の部分よりも先に支持部材40Aに接触するように、光源アセンブリ30A及び支持部材40Aが構成されている。これにより、保持部材33を受け面42に対して摺動させて光源アセンブリ30Aの傾きを調整する際に、延在部37におけるベース20側の部分が支持部材40Aに接触するのを抑制することができる。その結果、保持部材33においてベース20側に保持されたレンズ32の位置がずれるのを抑制することができる。
【0078】
光源ホルダ34にはネジ溝37aが設けられており、レンズホルダ35には、光源ホルダ34とレンズホルダ35とが光軸方向において相対移動可能となるようにネジ溝37aと螺合するネジ山35aが設けられている。これにより、光源ユニット10を製造する際に、ネジ溝37aとネジ山35aとの螺合量を調整することにより、光軸方向における光源31とレンズ32との間の距離を調整することができる。
【0079】
ここで、
図12(a)及び
図12(b)を参照しつつ、ネジ溝37a及びネジ山35aの螺合により光源ホルダ34とレンズホルダ35とを固定することの利点を説明する。
図12(a)は、レンズの集光距離が長い場合を示す図であり、
図12(b)は、レンズの集光距離が短い場合を示す図である。例えばDVDのピックアップ等では、一般的に、
図12(b)に示されるように、レンズ132と集光点Rとの間の集光距離D2が例えば数mm程度と短く、光源131とレンズ132との間の距離D1に対する集光距離D2の比が小さい。一方、上述したような投影表示装置1では、
図12(a)に示されるように、レンズ32から集光点R(光拡散部4)までの集光距離D2が例えば150mm程度と比較的長く、光源31とレンズ32との間の距離D1に対する集光距離D2の比が大きい。したがって、上述したような投影表示装置1では、光源31に対するレンズ32の位置ずれが集光位置においては数十倍にも拡大されて表れ得るため、光源31に対するレンズ32の位置に極めて高い精度が求められる。
【0080】
この点、上述したとおり、光源アセンブリ30Aでは、ネジ山35aとネジ溝37aとの螺合によって光源ホルダ34とレンズホルダ35とを固定することにより、数μm程度の分解能で光源31とレンズ32との間の位置関係を調整することが可能となっている。その結果、例えば、UV樹脂の硬化による固定や、YAGレーザを用いた溶接による固定と比べて、光源31に対するレンズ32の位置精度を高めることができる。これは、UV樹脂による固定の場合、温度変化に起因するUV樹脂の膨張収縮により、レンズ32の位置が変動する可能性があり、YAGレーザを用いた溶接の場合、溶接箇所が極めて高温になるために位置ずれが生じ易く、要求される精度を実現することができないためである。
【0081】
なお、上述したように、光源アセンブリ30Aと支持部材40Aとの固定、及び、支持部材40Aとベース20との固定にはレーザ溶接が用いられているが、これらの固定箇所においては数μm程度といった高い精度は要求されない。これは、光源アセンブリ30Aの組立時に光源31とレンズ32との位置関係は既に固定されており、ベース20に対する固定時に光源アセンブリ30Aの位置にずれが生じたとしても、当該位置ずれが何倍にも拡大されて表れることはないためである。レーザ溶接では、樹脂による固定と比べて、固定後に温度変化が生じても位置ずれが生じ難い。
【0082】
光源ユニット10では、光軸A上における曲率中心Cからレンズ32までの距離L1が、光軸A上における光源31の発光点Qからレンズ32までの距離L2よりも短い。これにより、保持部材33を受け面42に対して摺動させて光源アセンブリ30Aの傾きを調整したときのレンズ32の移動量を小さくすることができる。傾き調整ステップにおけるレンズ32の移動量が小さいと、位置調整ステップにおいて光源アセンブリ30Aと共に支持部材40Aを平行移動させる量を小さくすることができる。その結果、光源ユニット10の小型化を図ることができる。
【0083】
保持部材33が、支持部材40Aと同一の材料によって構成されている。これにより、保持部材33及び支持部材40Aの熱膨張係数が同一になるため、環境温度の変化による保持部材33と支持部材40Aとの間の位置ずれを抑制することができる。
【0084】
ダイクロイックミラー50Aが、樹脂によりベース20に接着されている。これにより、光源ユニット10の製造を簡易化することができる。光源31で発生した熱はダイクロイックミラー50Aが配置された位置までは伝わり難いため、ダイクロイックミラー50Aのベース20への結合には樹脂を用いることができる。
【0085】
保持部材33が受け面42に結合される前の状態において、開口20aの中心軸Xに対して光軸Aが最大限に傾く位置まで保持部材33を受け面42に対して摺動させた場合でも、受け面42が、全周にわたって、保持部材33との接触部に対して光軸Aから遠ざかる側に位置する部分(外側部分42a)を有するように、光源アセンブリ30A及び支持部材40Aが構成されている。これにより、レーザ光Lの光軸Aの位置をより一層精度良く調整することができると共に、保持部材33の受け面42に対する結合をより一層容易化することができる。
【0086】
受け面42が、光軸方向から見た場合に、保持部材33よりも外側に位置する外側部分42aを有している。これにより、レーザ光Lの光軸Aの位置をより一層精度良く調整することができると共に、保持部材33の受け面42に対する結合をより一層容易化することができる。
【0087】
光軸Aを含む断面において、保持部材33と受け面42との間の接触点P3における受け面42の接線Bと、保持部材33における接触点P3に連なる外側表面(上記実施形態では、突出部38の外周面38b)とが、鈍角を成している。これにより、レーザ光Lの光軸Aの位置をより一層精度良く調整することができると共に、保持部材33の受け面42に対する結合をより一層容易化することができる。
【0088】
図9に示されるように、光源31が固定された固定部36が、光軸方向において光源31の固定箇所と傾斜面38aとの間に延在する部分36bを有している。これにより、光軸Aに垂直な方向における固定部36の厚さを厚くすることができ、固定部36の強度を向上することができる。更に、光源31からの熱によって固定部36の温度が上昇するのを抑制することができる。
【0089】
図9に示されるように、突出部38が、円筒状の第1部分38eと、第1部分38eから光軸方向に突出した第2部分38fと、を有している。傾斜面38aは、第2部分38fに設けられている。これにより、光軸方向における突出部38の厚さを厚くすることができ、突出部38の強度を向上することができる。更に、光源31からの熱によって突出部38の温度が上昇するのを抑制することができる。これにより、保持部材33が受け面42と線接触していることと相俟って、光源31で発生した熱がベース20側に伝わるのを効果的に抑制することができる。
【0090】
上述した製造方法では、光源ホルダ34とレンズホルダ35との螺合量を調整することにより、光軸方向における光源31とレンズ32との間の距離を調整する(距離調整ステップ)。これにより、光源31とレンズ32との位置関係を精度良く調整することができる。また、保持部材33を受け面42に対して摺動させることにより、光源アセンブリ30Aの傾きを調整した後に(傾き調整ステップ)、ベース20に支持部材40Aを固定すると共に、保持部材33を受け面42との接触部において受け面42に結合することにより、支持部材40Aに光源アセンブリ30Aを固定する(固定ステップ)。これにより、レーザ光Lの光軸Aの位置を精度良く調整したうえで、各要素を固定することができる。したがって、上述した製造方法によれば、レーザ光Lの光軸Aの位置精度が高められた光源ユニット10を得ることができる。
【0091】
上述した製造方法は、配置ステップと固定ステップとの間に、光源アセンブリ30Aと共に支持部材40Aをベース20に対して摺動させることにより、光源アセンブリ30Aの位置を調整する位置調整ステップを備えている。これにより、レーザ光Lの光軸Aの位置を一層精度良く調整したうえで、各要素を固定することができる。
【0092】
上述した製造方法においては、固定ステップでは、受け面42が、保持部材33との結合予定箇所に対して光軸Aから遠ざかる側に位置する外側部分42aを有した状態で、保持部材33を結合予定箇所において受け面42に結合することにより、光源アセンブリ30Aを支持部材40Aに固定する。これにより、レーザ光Lの光軸Aの位置精度を一層高めることができる。
【0093】
上述した製造方法においては、固定ステップでは、レーザ溶接によって保持部材33を受け面42との接触部において受け面42に結合することにより、光源アセンブリ30Aを支持部材40Aに固定する。上述した製造方法によれば、レーザ溶接によって保持部材33を受け面42に結合する場合でも、レーザ光Lの光軸Aの位置精度を高めることができる。
[変形例]
【0094】
図13(a)~
図13(c)に示される第1~第3変形例、又は
図14(a)~
図14(c)に示される第4~第6変形例のように、光源アセンブリ30A及び支持部材40Aが構成されてもよい。
図13(a)~
図13(c)及び
図14(a)~
図14(c)では、保持部材33の突出部38及び支持部材40Aの受け面42の周辺が模式的に部分的に示されている。
【0095】
図13(a)に示される第1変形例では、突出部38の傾斜面38aは、光軸Aから離れるほど、光出射側とは反対側(光軸方向においてレンズ32に対して光源31が位置する側)に向かうように、傾斜している。保持部材33は、傾斜面38aの内縁において、受け面42に接触している。受け面42は外側部分42aを有している。保持部材33の受け面42に対する結合箇所P1は、光軸方向から見た場合には保持部材33と重なっており露出していないが、光軸Aに垂直な方向から見た場合には露出している。結合箇所P1は、光軸Aに垂直な方向に対して光出射側とは反対側に僅かに傾いた方向Yから見た場合に、露出している。すなわち、結合箇所P1は、光軸Aに直交し且つ結合箇所P1を通る直線に対して光出射側に離れた位置から見た場合に、露出している。光軸Aを含む断面において、保持部材33と受け面42との間の接触点P3における受け面42の接線Bと、保持部材33における接触点P3に連なる外側表面(この例では、傾斜面38a)とが成す角θは、鈍角となっている。
【0096】
図13(b)に示される第2変形例では、突出部38は、傾斜面38aを有しておらず、円筒部38cを有している。保持部材33は、円筒部38cの先端の内縁において、受け面42に線接触している。受け面42は外側部分42aを有している。保持部材33の受け面42に対する結合箇所P1は、光軸方向から見た場合には保持部材33と重なっており露出していないが、光軸Aに垂直な方向から見た場合には露出している。結合箇所P1は、光軸Aに垂直な方向に対して光出射側とは反対側に僅かに傾いた方向Yから見た場合に、露出していない。光軸Aを含む断面において、保持部材33と受け面42との間の接触点P3における受け面42の接線Bと、保持部材33における接触点P3に連なる外側表面(この例では、円筒部38cの先端面)とが成す角θは、鋭角となっている。
【0097】
図13(c)に示される第3変形例では、突出部38は、傾斜面38aに代えて、球面に沿って延在する凹状の接触面38dを有している。接触面38dの曲率中心は、受け面42の曲率中心と一致していない。保持部材33は、接触面38dの外縁において、受け面42に線接触している。受け面42は外側部分42aを有している。保持部材33の受け面42に対する結合箇所P1は、光軸方向から見た場合、及び光軸Aに垂直な方向から見た場合のいずれにおいても、露出している。光軸Aを含む断面において、保持部材33と受け面42との間の接触点P3における受け面42の接線Bと、保持部材33における接触点P3に連なる外側表面(この例では、突出部38の外周面)とが成す角θは、鈍角となっている。
【0098】
図14(a)に示される第4変形例は、突出部38の外側形状において第3変形例と相違している。受け面42は外側部分42aを有している。保持部材33の受け面42に対する結合箇所P1は、光軸方向から見た場合には保持部材33と重なっており露出していないが、光軸Aに垂直な方向から見た場合には露出している。結合箇所P1は、光軸Aに垂直な方向に対して光出射側とは反対側に僅かに傾いた方向Yから見た場合に、露出している。光軸Aを含む断面において、保持部材33と受け面42との間の接触点P3における受け面42の接線Bと、保持部材33における接触点P3に連なる外側表面(この例では、突出部38の外側面)とが成す角θは、鋭角となっている。
【0099】
図14(b)に示される第5変形例は、突出部38の外側形状において第3変形例と相違している。受け面42は外側部分42aを有している。保持部材33の受け面42に対する結合箇所P1は、光軸方向から見た場合には保持部材33と重なっており露出していないが、光軸Aに垂直な方向から見た場合には露出している。結合箇所P1は、光軸Aに垂直な方向に対して光出射側とは反対側に僅かに傾いた方向Yから見た場合に、露出していない。光軸Aを含む断面において、保持部材33と受け面42との間の接触点P3における受け面42の接線Bと、保持部材33における接触点P3に連なる外側表面(この例では、突出部38の先端面)とが成す角θは、鋭角となっている。
【0100】
図14(c)に示される第6変形例では、突出部38は、傾斜面38aに代えて、凹状の球面に沿った接触面38dを有している。接触面38dの曲率中心は、受け面42の曲率中心と一致している。保持部材33は、接触面38dにおいて、受け面42に面接触している。保持部材33は、接触面38dの外縁において、受け面42に結合されている。第6変形例においても、受け面42は外側部分42aを有している。第6変形例では、保持部材33の受け面42に対する結合箇所P1は、光軸方向から見た場合、及び光軸Aに垂直な方向から見た場合のいずれにおいても、露出している。第1~第6変形例によっても、上記実施形態と同様に、レーザ光Lの光軸Aの位置精度を高めることができる。
【0101】
各構成の材料及び形状には、上述した材料及び形状に限らず、様々な材料及び形状を採用することができる。例えば、上記実施形態では、突出部38が固定部36の外周面の全周にわたって配置されていたが、突出部38は、固定部36の外周面に周方向に沿って並設された複数の突出部によって構成されてもよい。すなわち、突出部38は、周方向に関して部分的に配置されていてもよい。保持部材33は、突出部38において受け面42に接触して結合されなくてもよい。例えば、レンズホルダ35におけるベース20側の端部において受け面42に接触して結合されてもよい。この場合、保持部材33には突出部38が設けられなくてもよい。受け面42の曲率中心Cは、レンズ32上に位置していてもよい。受け面42が外側部分42aを有していると、保持部材33の位置調整に係る調整代を確保することができ、保持部材33を位置決めし易い。
【0102】
保持部材33は、レーザ溶接以外の溶接手段、又は樹脂材料からなる接着材によって、受け面42に結合されていてもよい。支持部材40Aは、レーザ溶接以外の溶接手段、又は樹脂材料からなる接着材によって、ベース20に結合されていてもよい。保持部材33の受け面42に対する結合手段は、支持部材40Aのベース20に対する結合手段と異なっていてもよい。上記実施形態では、光源アセンブリ30A,30B,30Cの光軸Aが互いに平行であったが、光源アセンブリ30A,30B,30Cの少なくとも1つの光軸Aが、他の光源アセンブリ30A,30B,30Cの光軸Aと交差(例えば直交)していてもよい。この場合、ベース20(取付面20b)は、光軸Aに垂直な方向から見た場合にL字状又はU字状に形成されていてもよい。保持部材33が受け面42に結合されなくてもよい。この場合、保持部材33が支持部材40Aよりも外側においてベース20に直接に結合されることにより、光源アセンブリ30Aがベース20に固定されてもよい。受け面42における保持部材33と受け面42との間の接触点P3よりも内側(光軸Aに近づく側)の部分において、保持部材33が受け面42に結合されていてもよい。例えば、当該内側部分(及び接触点P3)に樹脂材料からなる接着材を塗布しておき、組付後に樹脂材を加熱して硬化させてもよい。
【0103】
受け面42は、光軸Aを囲むように延在していればよく、必ずしも全周にわたって光軸Aを囲んでいなくてもよい。例えば、受け面42に切欠き等が形成されることで、受け面42が周方向の一部において非連続となっていてもよい。すなわち、受け面42は、光軸Aを部分的に囲んでいてもよく、光軸Aの周りに延在していればよい。支持部材40Aは、必ずしも筒状に形成されなくてもよく、例えば、光軸方向から見た場合にC字状に形成されていてもよい。受け面42は、球面状を呈していればよい。かかる球面には、製造誤差等により、球面内の複数の点において曲率半径が異なっているものも含まれる。例えば、球面は、曲率半径が設定値の±0.1mmの範囲内にある面であってもよい。
【符号の説明】
【0104】
1…投影表示装置、4…光拡散部、10…光源ユニット、20…ベース、20a…開口、30A,30B,30C…光源アセンブリ、31…光源、32…レンズ、33…保持部材、34…光源ホルダ、35…レンズホルダ、35a…ネジ山(第2螺合部)、37a…ネジ溝(第1螺合部)、38…突出部、38a…傾斜面、40A,40B,40C…支持部材、42…受け面、42a…外側部分、50A,50B,50C…ダイクロイックミラー、61…第1部分、62…第2部分、A…光軸、B…接線、C…曲率中心、L…レーザ光、P1…結合箇所、P3…接触点、X…中心軸。