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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】衿芯
(51)【国際特許分類】
   A41B 9/00 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
A41B9/00 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023220774
(22)【出願日】2023-12-27
【審査請求日】2024-01-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】723017417
【氏名又は名称】松浦 美和子
(72)【発明者】
【氏名】松浦美和子
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】実公昭46-25859(JP,Y1)
【文献】実開昭54-105733(JP,U)
【文献】実公昭42-7941(JP,Y1)
【文献】実公昭47-5869(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41B9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
和服の下着の衿内に装入する横方向に細長い板状物であって、

前記板状物の横方向に対しての中央線を含む穴があり、

前記穴の横幅の値が100mm以上であり、前記穴の縦幅の値が3mm以上であることを特徴とする衿芯。
【請求項2】
前記穴の外周部と前記衿芯の縦外周辺の間に線状の折りたたみ部を有していることを特徴とする請求項1記載の衿芯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は和服を着用時に使用する衿芯に関する。
【背景技術】
【0002】
衿芯とは、和服の下に着る下着の衿の土台となる。

和服の下着を着用する時、土台となる衿芯がある事により着物の衿に沿うのでスッキリときれいに見せる効果がある。
衿芯は、細長い形状のまっすぐな衿芯、ややカーブした衿芯、花嫁用衿芯などがある。
衿芯の材質はポリエチレン、ナイロン、ポリプロピレン、奉書紙、紙芯、布芯などがある。
衿芯は着物全般、花嫁衣裳にも使用する。

従来の衿芯は、衿内に装入する。もしくは衿に衿芯を挟み、衿幅に折りたたみ縫い付ける縫着作業を必要とする。
衿に張りのある布製の衿芯を縫い付け着用する、外側衿(図7参照)に張りのある布製の衿芯を縫い付け着用することもある。
【0003】
特許文献1は、横長硬質芯板の衿巾中心部から両端にかけ略逆山状に切れ目があり、その衿芯を衿内に装入し切れ目に沿って縫着し折りたたむ襦袢用衿芯が開示されている。
【0004】
特許文献2は、衿芯本体の布片に衿中心に三日月形重合芯(本特許文献2の符号5)と左右両端部外側湾曲辺の間に若干の間隔をあけて短冊形重合芯(本特許文献2の符号9)で形成されている。短冊形重合芯は間隙に沿って二つ折りになる衿芯であり、三日月重合芯の中心部に切込み(本特許文献2の符号10)があることにより、衣紋部分がV字状に形成され、中心の目印になっている。尚、本切り込み部は、三日月形重合芯にのみ入っており、その下の布片には入ってない。即ち、本切込みによる、所謂穴は開いてない状態である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録 昭61-120702
【文献】実用新案登録 昭59-8961
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1は、衿芯を衿内に装入し折りたたむと切目(符号2及び符号3)だけでは衿に厚みがあるため、衿肩まわりの内側の衿芯がよれるのでシワ、ヒダがなくなることはなかった。
【0007】
特許文献1は、衿芯が動かないように縫着作業が必要であり、縫い付ける技術、手間、時間がかかるという問題があった。
【0008】
特許文献2は、布片と重合芯で形成されており、衿付側が布片なので衿と外側衿の間で広がりにくく、手間、時間がかかり、折りたたんでもシワ、ヒダがなくなることはなかった
【0009】
ここで、本発明は、特許文献1及び特許文献2により、容易に衿芯を衿内に装入することができ、縫着作業の必要がなくシワ、ヒダの改善を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本課題を解決するために発明者は日夜努力して以下の手段を発明した。尚、図1の右上にも方向線で縦方向及び横方向を示していることから、横幅とは本衿芯の長手方向についての幅であり、縦幅とは長手方向に直行する方向についての幅である。また、縦外周辺とは長手方向に直行する方向についての外周辺である。
【0011】
手段1として、
和服の下着の衿内に装入する横方向に細長い板状物であって、

前記板状物の横方向に対しての中央線を含む穴があり、

前記穴の横幅の値が100mm以上であり、前記穴の縦幅の値が3mm以上であることを特徴とする衿芯、

を提供する。
【0012】
手段2として、
前記穴の外周部と前記衿芯の縦外周辺の間に線状の折りたたみ部を有していることを特徴とする手段1記載の衿芯、

を提供する。
【0013】
ところで、和服の下着とは、衿がある和服の下着であればどのようなものでもよいが、例えば長襦袢、二部式襦袢、半襦袢、うそつき襦袢、うそつき衿などがある。
【0014】
板状物とは、所謂衿芯であり、ポリエチレン、ナイロン、ポリプロピレン、奉書紙、紙芯、布芯などの、少なくとも一部が硬い材質である。
【0015】
穴とは、表裏が貫通していればどのような形状でもよいが、最適な形状は、円形等ではなく、例えば図1または図2で示す通り横長の穴が好ましい。その端面図例は、図1のA―A′線端面図に示す。
【0016】
縦外周辺とは、図1で示す通り、衿芯の両縦の外周辺を言う。
横外周辺とは、図1で示す通り、衿芯の両横の外周辺を言う。
【0017】
中央線とは、衿芯の横方向の中央を横断する仮想的な線である。詳しく説明すると、図1または図3に示す通り、両端の縦外周辺間の中央を示す線である。更に詳しく説明すると、衿芯の上部の横外周辺の中央部と下部の横外周辺の中央部の2点を結ぶ線である。
【0018】
穴の横幅とは、穴の横方向の最大値を言う。
穴の縦幅とは、穴の縦方向の最大値を言う。
【0019】
ところで、穴の外周部とは穴の縁であるが、更に詳しく説明すると図2に示す通り穴の内側外周辺と穴の表側外周辺の合計部をいう。
ところで、穴とは、穴の外周部と穴の内部の合計部をいう。
ところで、穴の外周部の端部とは、図1または図2に示す通りである。
【0020】
縦方向と横方向、さらに上と下は図1に示す通りである。
【0021】
折りたたみ部とは、衿芯がその部分で折れればどのような構造でもよいが、例えば、紙と布を接着剤でラミネートしたものである。今回は、厚紙(厚さ約0.5mm)を芯材として、その両面に所謂接着芯をラミネートした構造である。その端面図例は、図1のB―B′線端面図に示す。
【発明の効果】
【0022】
本衿芯は衿の両側、衿元は衿の表側、内側、折山に接するので、スッキリときれいに見える効果がある。
【0023】
穴があるので、穴の内側外周辺より穴の表側外周辺を長くすることができ、衿や内側の衿芯がよれることなく穴に衿が挟まり折りたためるのでシワ、ヒダがでない効果がある。
【0024】
衿肩まわり部分の内側は体に沿うように下がり、表側は折山を押し上げるように上下にずれ、衿芯を衿内に装入し折りたたむと上下方向の応力となりシワ、ヒダがでない効果がある。
【0025】
折りたたみ部を表側の衿芯、内側の衿芯より薄くすることで折りたたみやすく、衿の表側、内側、折山に衿芯が沿うのでシワ、ヒダがなくスッキリときれいになる効果がある。
【0026】
和服の下着に衿芯を使う場合は縫着作業が必要であり、縫い付ける技術、手間、時間がかかるが縫着作業の必要がないという効果がある。
【0027】
縫着作業が必要ないので、折りたたんだ内側に隙間ができ、その隙間が遊びとなりシワ、ヒダがでない効果がある。
【0028】
板状物なので容易に衿芯を衿内に装入でき、折りたたむだけで着用できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の衿芯の平面図である。
図2】穴の平面図である。
図3】寸法記入平面図である。
図4】衿芯のみ使用時の形にした正面図である。
図5】衿芯のみ使用時の形のC―C′線の端面図である。
図6】衿芯のみ使用時の形にした衿肩まわりの右側面図である。
図7】本発明の衿芯を衿内に装入した時のC―C′線の端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態の一例を説明する。
図1に示す通り、本発明の典型的な衿芯の平面図であり、中央線から左右に向かってなだらかな傾斜を設けており、衿の表側、内側の両側に接する衿芯である。
【0031】
縦方向の下が表側の衿芯、縦方向の上が内側の衿芯であり、表側の衿芯と内側の衿芯の間に中央線を含む横長の穴があり、穴の外周部の端部から縦外周辺に線状の折りたたみ部を有している。
【0032】
外形の大きさは図3に示す通りである。
【0033】
穴は図2で示す通り横長の穴が好ましく、穴の横幅は100mm未満であれば衿芯の内側にシワ、ヒダが出る。穴の縦幅が3mm未満であれば衿芯の内側にシワ、ヒダが出る。
【0034】
好ましくは穴の縦幅は3mm以上であり、かつ横幅が100mm以上である。
【0035】
図2に示す通り、穴の内側外周辺より穴の表側外周辺が長く、その差が2mm以上でなければシワ、ヒダが出る。
【0036】
ところで、折りたたみ部とは表側の衿芯、内側の衿芯より薄い素材であり、図1に示す通り、穴の外周部の端部に接続されており、もう片方は縦外周辺に繋がっている部分である。
【0037】
この部分が折りたたみ部であり、その為にある幅(隙間)を有している。今回の折りたたみ部の幅として、穴の外周部の端部の幅は約2mmで縦外周辺は5mmとした。
【0038】
図5図6に示す通り、表側の衿芯と内側の衿芯が上下方向にずれ、また図5に示す通り表側の衿芯と内側の衿芯の間に穴がある。
【0039】
図7に示す通り、穴があるので表側の衿芯と内側の衿芯の間に衿が挟まり、衿内、すなわち衿と外側衿の間で衿芯が折りたたまれ、上下方向の応力でシワ、ヒダが出ない。
【0040】
本衿芯の材料としては、紙材料、プラスチック材料、布材料、それらの複合材料、更にはそれらの材料をラミネート等どのような材料でも使用できるが、今回使用した材料は、紙と布を接着剤でラミネートしたものである。
【0041】
具体的には、所定の大きさに切った二つの厚紙(厚さ約0.5mm)と市場で販売されている所謂接着芯を片面ずつアイロンで接着し、両面ラミネートした。
【0042】
その時のラミネート条件は、家庭用アイロン200度設定として、あて布をあて、5秒くらい圧力をかけたものである。
【0043】
最後に、余った縦外周辺、横外周辺部分と穴の内部を穴の外周部に沿って、はさみで図1に示す通りに切り落とした。
【0044】
本衿芯は、肩、首に沿うあたりの衿幅を狭くすることで、着用時衿が立ちにくくスッキリときれいに沿い、体の負担が少ないという効果がある。
【0045】
和服の下着を着用すると衿肩まわりが前によりやすいが、衿肩まわり内側の衿芯が体に沿うように下がるので着崩れしにくいという特徴がある。
【0046】
衿肩まわりの部分は丸みをおびたU字になり、体に沿いやすい。
【0047】
この衿芯の形状、接合部の幅、素材などを変えることで着物全般、花嫁衣裳に対応できる。
【0048】
この衿芯は、柔軟性、弾力性、形状記憶性、通気性などの優れた素材、生地から選定される。
【0049】
本明細書に開示した各実施例は、本発明に係る衿芯の理解を容易にするために例示したものであって、本発明はこれに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、特許請求の範囲を逸脱しない限り、衿芯の制作にあたって、適宜の設計変更が可能であることはいうまでもないことである。
【符号の説明】
【0050】
1 穴
2 表側の衿芯
3 内側の衿芯
4 折りたたみ部
5 厚紙
6 接着芯

【要約】      (修正有)
【課題】和服の下着の衿芯を容易に使用でき、衿がスッキリときれいにシワ、ヒダがでない衿芯を提供する。
【解決手段】本衿芯は衿の両側、衿元は衿の表側、内側、折山に接する板状物で、縦方向の下が表側の衿芯2、縦方向の上が内側の衿芯3であり、表側の衿芯と内側の衿芯の間に中央線を含む横長の穴1があり、穴の外周部の端部から縦外周辺に線状の折りたたみ部4を有している。穴の内側外周辺より穴の表側外周辺が長いので、衿や内側の衿芯がよれることなく穴に衿が挟まるので縫着作業の必要がなく、また衿肩まわり部分の内側は体に沿うように下がり、表側は折山を押し上げるように上下にずれ、衿内、所謂衿と外側衿の間に衿芯を装入し折りたたむと上下方向の応力となる。折りたたみ部は表側の衿芯、内側の衿芯より薄くすることで折りたたみやすく板状物なので衿内に容易に装入し折りたたむだけでシワ、ヒダがなく着用することができる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7