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特許7523661電気外科用電極のための複合コーティング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】電気外科用電極のための複合コーティング
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
A61B18/14
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2023502649
(86)(22)【出願日】2020-07-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-10
(86)【国際出願番号】 CN2020102269
(87)【国際公開番号】W WO2022011627
(87)【国際公開日】2022-01-20
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】リウ, シンメン
(72)【発明者】
【氏名】シェン, トン
(72)【発明者】
【氏名】ジュ, リジュン
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ, ヨンミン
(72)【発明者】
【氏名】ゲン, ファン
(72)【発明者】
【氏名】ジャ, ペン
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/027341(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0111622(US,A1)
【文献】米国特許第04785807(US,A)
【文献】米国特許第05693050(US,A)
【文献】特開2010-284439(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12-18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気外科用電極であって、前記電気外科用電極は、
遠位端部分において作動部分を有する導電性ロッドと、
前記作動部分上に配置されている複合コーティングであって、前記複合コーティングは、前記作動部分の外面上に配置されている第1のコーティングと、前記第1のコーティングを覆うように配置されている第2のコーティングを含む、複合コーティング
備え
前記作動部分の前記外面は、約0.6Ra~約0.8Raの粗さを有する、電気外科用電極。
【請求項2】
前記第1のコーティングは、ポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項1に記載の電気外科用電極。
【請求項3】
前記第2のコーティングは、ペルフルオロアルコキシアルカンの粉体コーティングである、請求項1に記載の電気外科用電極。
【請求項4】
前記第1のコーティングは、約7μm~約9μmの厚さを有する、請求項1に記載の電気外科用電極。
【請求項5】
前記第2のコーティングは、12μm~約15μmの厚さを有する、請求項1に記載の電気外科用電極。
【請求項6】
前記複合コーティングは、約19μm~約24μmの厚さを有する、請求項1に記載の電気外科用電極。
【請求項7】
前記第2のコーティングは、約0.2Ra~約0.4Raの粗さを有する、請求項1に記載の電気外科用電極。
【請求項8】
電気外科用電極であって、前記電気外科用電極は、
導電性ロッドであって、前記導電性ロッドは、作動部分を有する遠位端部分と、電気外科用器具に結合するように構成されている近位端部分を含む、導電性ロッドと、
前記作動部分上に配置されている複合コーティングであって、前記複合コーティングは、前記作動部分の外面上に配置されている第1のコーティングと、前記第1のコーティングを覆うように配置されている第2のコーティングを含み、前記第1のコーティングは、第1のポリマーから形成されており、前記第2のコーティングは、前記第1のポリマーとは異なる第2のポリマーから形成されている、複合コーティング
備え
前記作動部分の前記外面は、約0.6Ra~約0.8Raの粗さを有する、電気外科用電極。
【請求項9】
前記第1のポリマーは、ポリテトラフルオロエチレンである、請求項に記載の電気外科用電極。
【請求項10】
前記第2のポリマーは、ペルフルオロアルコキシアルカンを含む、請求項に記載の電気外科用電極。
【請求項11】
前記第1のコーティングは、約7μm~約9μmの厚さを有する、請求項に記載の電気外科用電極。
【請求項12】
前記第2のコーティングは、12μm~約15μmの厚さを有する、請求項に記載の電気外科用電極。
【請求項13】
前記複合コーティングは、約19μm~約24μmの厚さを有する、請求項に記載の電気外科用電極。
【請求項14】
前記第2のコーティングは、約0.2Ra~約0.4Raの粗さを有する、請求項に記載の電気外科用電極。
【請求項15】
電気外科用電極を作製するための方法であって、前記方法は、
電気外科用電極の作動部分をテクスチャリングすることであって、テクスチャリングすることは、約0.6Ra~約0.8Raの粗さを有するように前記作動部分をサンドブラストすることを含む、ことと、
前記作動部分の外面第1のコーティングを塗布することであって、前記第1のコーティングは、第1のポリマーから形成されている、ことと、
前記第1のコーティング上に第2のコーティングを塗布することであって、前記第2のコーティングは、前記第1のポリマーとは異なる第2のポリマーから形成されている、ことと
を含む、方法。
【請求項16】
前記第1のコーティングを塗布することは、前記第1のコーティングについて約7μm~約9μmの厚さを達成することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2のコーティングを塗布することは、前記第2のコーティングについて約19μm~約24μmの厚さを達成することを含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気外科用電極に関し、より具体的には、複合コーティングを含む電気外科用電極に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の背景)
電気外科手術は、高無線周波数(radio frequency、RF)電流を手術部位に印加して、組織を切断、切除、乾燥、又は凝固させることを伴う。単極電気外科手術において、ソース電極又は活性電極は、無線周波数交流電流を電気外科用発電機から標的組織に送達する。患者戻り電極は、活性電極から離れて配置されて、電流を発電機に伝導する。
【0003】
単極電極は、RF電気エネルギーを印加して、組織を加熱して、横切開又は止血を達成する。したがって、RFエネルギーの印加中に組織接着によって引き起こされる予期せぬ熱損傷及び二次的損傷を低減させることができるコーティングが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
電極表面上に直接配設されたポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、PTFE)コーティングは、RFエネルギーの印加中の高温及びアーク放電に起因して分解し、電極から剥がれる場合がある。これは、組織が電極の表面に付着することに起因して、ブレード性能の低下を引き起こし得る。
【0005】
本開示は、切開手術及び腹腔鏡手術において使用される単極ブレード電極などの、複合コーティングを有する電気外科用電極を提供し、これは、手術中の熱損傷及び組織接着によって引き起こされる二次的損傷を防止するために使用される。電極は、PTFEプライマーコーティングと、ヘキサフルオロプロピレン及びペルフルオロエーテルのコポリマーであるペルフルオロアルコキシアルカン(perfluoroalkoxy alkane、PFA)から形成された第2のコーティングとを有する複合コーティングを含む。従来のPTFEコーティングされた単極ブレードと比較して、複合コーティングは、より良好な表面接着性及び付着防止性能を有する。
【0006】
本開示の一実施形態によれば、電気外科用電極が開示されている。電極は、遠位端部分に作動部分を有する導電性ロッドを含む。電極はまた、作動部分上に配設された複合コーティングを含む。複合コーティングは、作動部分の外面上に配設された第1のコーティングと、第1のコーティングを覆って配設された第2のコーティングとを含む。
【0007】
本開示の別の実施形態によれば、電気外科用電極が開示されている。電極は、作動部分を有する遠位端部分と、電気外科用器具に結合するように構成された近位端部分とを含む導電性ロッドを含む。電極はまた、作動部分上に配設された複合コーティングを含む。複合コーティングは、作動部分の外側表面上に配設された第1のポリマーから形成された第1のコーティングと、第1のコーティングを覆って配設された第2のコーティングとを含み、第2のコーティングは、第1のポリマーとは異なる第2のポリマーから形成される。
【0008】
上記実施形態のいずれかの一態様によれば、作動部分の外面は、約0.6Ra~約0.8Raの粗さを有する。第1のコーティングは、ポリテトラフルオロエチレンを含んでもよい。第2のコーティングは、ペルフルオロアルコキシアルカンの粉体コーティングであってもよい。
【0009】
上記実施形態のいずれかの別の態様によれば、第1のコーティングは、約7μm~約9μmの厚さを有する。第2のコーティングは、12μm~約15μmの厚さを有する。複合コーティングは、約19μm~約24μmの厚さを有する。第2のコーティングは、約0.2Ra~約0.4Raの粗さを有する。
【0010】
本開示の更なる実施形態によれば、電気外科用電極を作製するための方法が開示されている。本方法は、電気外科用電極の作動部分をテクスチャリングし、作動部分の外面に第1のポリマーから形成された第1のコーティングを塗布し、かつ第1のコーティング上に、第1のポリマーとは異なる第2のポリマーから形成された第2のコーティングを塗布することを含む。
【0011】
上記実施形態の一態様によれば、テクスチャリングは、約0.6Ra~約0.8Raの粗さを有するように作動部分をサンドブラストすることを含む。第1のコーティングを塗布することはまた、第1のコーティングについて約7μm~約9μmの厚さを達成することを含み得る。第2のコーティングを塗布することはまた、第2のコーティングについて約19μm~約24μmの厚さを達成することを含み得る。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
電気外科用電極であって、
遠位端部分に作動部分を有する導電性ロッドと、
前記作動部分上に配設された複合コーティングであって、前記複合コーティングが、前記作動部分の外面上に配設された第1のコーティング、及び前記第1のコーティングを覆って配設された第2のコーティングを含む、複合コーティングと、備える、電気外科用電極。
(項目2)
前記作動部分の前記外面が、約0.6Ra~約0.8Raの粗さを有する、項目1に記載の電気外科用電極。
(項目3)
前記第1のコーティングが、ポリテトラフルオロエチレンを含む、項目1に記載の電気外科用電極。
(項目4)
前記第2のコーティングが、ペルフルオロアルコキシアルカンの粉体コーティングである、項目1に記載の電気外科用電極。
(項目5)
前記第1のコーティングが、約7μm~約9μmの厚さを有する、項目1に記載の電気外科用電極。
(項目6)
前記第2のコーティングが、12μm~約15μmの厚さを有する、項目1に記載の電気外科用電極。
(項目7)
前記複合コーティングが、約19μm~約24μmの厚さを有する、項目1に記載の電気外科用電極。
(項目8)
前記第2のコーティングが、約0.2Ra~約0.4Raの粗さを有する、項目1に記載の電気外科用電極。
(項目9)
電気外科用電極であって、
作動部分を有する遠位端部分、及び電気外科用器具に結合するように構成された近位端部分を含む、導電性ロッドと、
前記作動部分上に配設された複合コーティングであって、前記複合コーティングが、前記作動部分の外面上に配設された第1のポリマーから形成された第1のコーティング、及び前記第1のコーティングを覆って配設された第2のコーティングを含み、前記第2のコーティングが、前記第1のポリマーとは異なる第2のポリマーから形成されている、複合コーティングと、を備える、電気外科用電極。
(項目10)
前記作動部分の前記外面が、約0.6Ra~約0.8Raの粗さを有する、項目9に記載の電気外科用電極。
(項目11)
前記第1のポリマーが、ポリテトラフルオロエチレンである、項目9に記載の電気外科用電極。
(項目12)
前記第2のポリマーが、ペルフルオロアルコキシアルカンを含む、項目9に記載の電気外科用電極。
(項目13)
前記第1のコーティングが、約7μm~約9μmの厚さを有する、項目9に記載の電気外科用電極。
(項目14)
前記第2のコーティングが、12μm~約15μmの厚さを有する、項目9に記載の電気外科用電極。
(項目15)
前記複合コーティングが、約19μm~約24μmの厚さを有する、項目9に記載の電気外科用電極。
(項目16)
前記第2のコーティングが、約0.2Ra~約0.4Raの粗さを有する、項目9に記載の電気外科用電極。
(項目17)
電気外科用電極を作製するための方法であって、前記方法が、
電気外科用電極の作動部分をテクスチャリングし、
前記作動部分の外面に第1のポリマーから形成された第1のコーティングを塗布し、かつ
前記第1のコーティング上に、前記第1のポリマーとは異なる第2のポリマーから形成された第2のコーティングを塗布することを含む、方法。
(項目18)
テクスチャリングが、約0.6Ra~約0.8Raの粗さを有するように前記作動部分をサンドブラストすることを含む、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記第1のコーティングを塗布することが、前記第1のコーティングについて約7μm~約9μmの厚さを達成することを含む、項目17に記載の方法。
(項目20)
前記第2のコーティングを塗布することが、前記第2のコーティングについて約19μm~約24μmの厚さを達成することを含む、項目17に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本開示は、この後の詳細説明と併せて考えると、添付の図面を参照することにより理解することができる。
図1】本開示の実施形態による、電気外科システムの斜視図である。
図2】本開示の実施形態による、電極の斜視図である。
図3】断面線2-2に沿って取られた図2の電極の側面断面図である。
図4】本開示の実施形態による、図2の電極の電極コーティングの写真である。
図5図2の電極、コーティングされていない電極、PTFEコーティングされた電極、及びシリコーンコーティングされた電極で切断されたブタ肝臓組織の写真である。
図6図2の電極、コーティングされていない電極、PTFEコーティングされた電極、及びシリコーンコーティングされた電極で切断されたブタ肝臓組織の写真である。
図7図2の電極、コーティングされていない電極、PTFEコーティングされた電極、及びシリコーンコーティングされた電極で切断されたブタ肝臓組織の写真である。
図8図2の電極、コーティングされていない電極、PTFEコーティングされた電極、及びシリコーンコーティングされた電極で切断されたブタ肝臓組織の写真である。
図9図2の電極、コーティングされていない電極、PTFEコーティングされた電極、及びシリコーンコーティングされた電極で切断されたブタ肝臓組織の写真である。
図10図5図9の写真の観察結果をまとめた表である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の電気外科システムの実施形態は、図面を参照して詳細に説明され、図面において、同様の参照番号は、いくつかの図の各々において同一又は対応する要素を示す。本明細書で使用されるとき、用語「遠位」は、患者により近い外科用器具に結合された外科用器具の部分を指し、用語「近位」は、患者からより遠い部分を指す。
【0014】
以下の説明では、不必要に詳述することで本開示が曖昧になってしまうことがないように、周知の機能又は構成は、詳細には説明されない。当業者は、本開示が、内視鏡器具、腹腔鏡器具、又は開放器具のいずれかで使用するために適合され得ることを理解するであろう。異なる電気的及び機械的接続並びに他の考慮事項が、各特定のタイプの器具に適用され得ることも理解されるべきである。
【0015】
図1を参照すると、単極電気外科用器具20などの、本開示による電極を有する電気外科用器具で使用するための電気外科システム10。単極電気外科用器具20は、患者の組織を治療するための活性電極30(例えば、電気外科用切断ブレードなど)を含む。システム10は、使用時に、患者との全体的な接触面積を最大化することによって組織損傷の可能性を最小限に抑えるために患者上に配設される複数の戻り電極パッド26を含み得る。電気外科用交流RF電流は、供給ライン24を介して発電機100によって単極電気外科用器具20に供給される。交流RF電流は、戻りライン28を介して戻り電極パッド26を通って発電機100に戻される。
【0016】
図2を参照すると、電極30は、ステンレス鋼などの導電性タイプの材料から形成される。電極30は、器具20に結合するように構成された近位端34を有する長手方向ロッド32として成形され得る。電極30は絶縁部分36を有し、絶縁部分36は、近位端部分34及び遠位端部分35を露出させたまま、長手方向ロッド32の中央部分を覆って配設されたコーティング又は絶縁スリーブであってもよい。電極30はまた、その遠位端部分35に作動部分38を含む。作動部分38は、ブレード、又はヘら、フック、針などの任意の他の好適な構造のように成形され得る。
【0017】
作動部分38は、その外面に配設された複合コーティング40を含む。図3を参照すると、第1の(例えば、底部、内側)のコーティング42及び第2の(例えば、上部、外側の)コーティング44を有する複合コーティング40を備えた作動部分38の断面図。作動部分38は、第1のコーティング42のより良好な接着性を提供するために粗いテクスチャを有する。粗面化されたテクスチャは、作動部分38のサンドブラスト又はエッチングなどの任意の他の好適な技術によって達成され得る。作動部分38の表面は、約0.6Ra~約0.8Raの粗さを有し得る。
【0018】
作動部分38が粗面化された後、第1のコーティング42が、所望の厚さを達成するように塗布される。第1のコーティング42は、約7μm~約9μmの厚さを有することができる。第1のコーティング42は、PTFEなどのポリマーから形成され、これは、高圧空気供給を使用してPTFE溶液を霧化又はエアロゾル化し、作動部分38の表面上にPTFE溶液を噴霧することによって塗布され得る。その後、第1の被膜42は、乾燥され焼結される。
【0019】
第1のコーティング42が固化すると、第2のコーティング44が第1のコーティング42に塗布される。第2のコーティング44は、第1のコーティング42の第1のポリマーとは異なる第2のポリマーから形成されてもよい。第2のコーティング44は、PFA粒子から形成された粉体コーティングであってもよく、所望の厚さが達成されるまで第1のコーティング42上に噴霧することによって形成されてもよい。第2のコーティング44は、約12μm~約15μmの厚さを有することができる。複合コーティング40は、約19μm~約24μmの組み合わせた厚さを有することができる。
【0020】
図4を参照すると、コーティング40の拡大写真が示されており、コーティング40の表面粗さ及びその均一性を示している。第2のコーティング44の粗さは、約0.2Ra~約0.4Raであり得る。したがって、コーティング40は、作動部分38の基材よりも滑らかである。二重層コーティング40の比較的薄い厚さは、電極30の所望の電気的性能を可能にする一方で、組織付着を低減させる。加えて、コーティング40を有する電極30は、約260℃~約290℃の温度で連続的に使用され得る。
【0021】
以下の実施例は、本開示の実施形態を例示する。これらの実施例は、例示のみを意図しており、本開示の範囲を限定することを意図していない。また、割合及び百分率は、他に示されない限り重量による。本明細書で使用される場合、「室温」又は「周囲温度」は、約20℃~約25℃の温度を指す。
【0022】
実施例
実施例1
この実施例は、本開示による二重層PTFE/PFAコーティングの有効性を、コーティングされていない、シリコーンコーティングされた、及び単層PTFEコーティングされた電極と比較して説明する。
【0023】
本開示のコーティングの有効性を決定するために、コーティングされていない電極、シリコーンコーティングされた電極、PTFEコーティングされた電極、及び本開示による複合コーティングされた電極を含む4つの電極を使用した。電極の各々は、Minneapolis,MNのMedtronicから入手可能なVALLEYLAB(商標)FT10(登録商標)発電機を用いて、10ワット設定の手動切断モードで使用された。電極を使用してブタ肝臓組織に切開を行い、図5に示されている。複合コーティングを有する電極のブレード切断跡は、他の電極によって行われた切断と比較してより狭かった。また、切断性能の熱拡散も他の電極のものよりも小さかった。
【0024】
疲労試験もまた、4つの電極について実行されて、複数の切断後のそれらの有効性を判定した。コーティングされていない電極を、別のPTFEコーティングされた電極(PTFE2)と置き換えた。疲労試験については、20回の切断が各電極を用いて行われ、コーティングが破損するまで電極を試験して、コーティングの耐久性を評価した。電極をガントリシステムに取り付けて、切断の長さ、深さ、及び速度を制御した。具体的には、電極を使用して、約10mm/sの速度で、ほぼ2mmの深さを有する40mmの切断を行った。切断中、発電機は、15ワット設定の手動切断モードであった。図6図9は、5回の切断のグループで電極の各々によってブタ肝臓組織に行われた切断を示す。したがって、図6図9の各々は、5回の切断各々の4つのラウンドを示す。
【0025】
最初の1~15回の切断では、複合コーティングされた電極を用いて行われた切断の幅は、他のコーティングを有する電極を用いて行われたものよりも狭かった。更に、第1のPTFEコーティングされた電極(PTFE1)は、10回の切断後に故障した。20回の切断後、シリコーンコーティングされた電極は完全に切断するのに失敗し、途切れのない切断跡を形成することができなかったのに対して、複合コーティングされた電極は滑らかにかつ平坦に切断した。加えて、電極の各々の付着性及び洗浄性を評価し、結果を図10の表に含めた。複合コーティングされた電極はまた、他の3つのコーティングされた電極よりも性能が優れていた。
【0026】
本開示のいくつかの実施形態を図面で示し、及び/又は本明細書に説明してきたが、それによって本開示が限定されることを意図するものではなく、本開示が当該技術分野で可能な限り広い範囲を対象とすること、及び本明細書も同様に解釈されることが意図されている。したがって、上記の説明は、限定として解釈されるべきではなく、特定の実施形態の単なる例示として解釈されるべきである。当業者であれば、本明細書に添付される特許請求の範囲内での他の修正を想定するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10