(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】自動車投光器用の照射装置
(51)【国際特許分類】
F21S 41/265 20180101AFI20240719BHJP
F21S 41/663 20180101ALI20240719BHJP
F21S 41/43 20180101ALI20240719BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20240719BHJP
G02B 3/08 20060101ALN20240719BHJP
F21W 102/135 20180101ALN20240719BHJP
【FI】
F21S41/265
F21S41/663
F21S41/43
F21V5/04 650
G02B3/08
F21W102:135
(21)【出願番号】P 2023517363
(86)(22)【出願日】2021-07-22
(86)【国際出願番号】 EP2021070589
(87)【国際公開番号】W WO2022063460
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-03-15
(32)【優先日】2020-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】マンドル、ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】ヘルツル、アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】シュタインケルナー、ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】パク、スンジュン
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-040527(JP,A)
【文献】実開平06-050109(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2019/0277478(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/265
F21S 41/663
F21S 41/43
F21V 5/04
G02B 3/08
F21W 102/135
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車投光器用の照射装置であって、前記照射装置(10)は、以下の構成を含む:
- 少なくとも1つの第1光源(110)と少なくとも1つの第2光源(120)を用いて配光を生成するための少なくとも1つの第1ライトモジュール(100)を含み、但し前記第1光源(110)は、光を第1放射方向(X1)に放出するように設けられており、また前記第2光源(120)は、光を第2放射方向(X2)に放出するように設けられており、前記第1放射方向(X1)と前記第2放射方向(X2)は、互いにゼロ度より大きい角度(W1)を成し、
- 光線絞り(300)を含み、但し前記光線絞り(300)は、明暗境界を生成するための光学的に関与する絞りエッジ(310)を含み、但し前記第1ライトモジュール(100)は、前記光線絞り(300)の上側に配設されており、前記光線絞り(300)の光学的に関与する前記絞りエッジ(310)との組み合わせにおいて、配光を生成するように作用し、
- 前記第1ライトモジュール(100)により生成可能な光を前記照射装置(10)の前方に結像するように設けられて光軸線(A)を有する投射レンズ(400)を含み、但し前記投射レンズ(400)は、フレネルレンズとして構成されており、前記フレネルレンズは、基体(410)と、前記基体(410)に配設された複数の環形状の段部(420)とを含み、これらの段部(420)は、
互いに同心に配設されており、各前記段部(420)は、前記照射装置(10)の前方に少なくとも1つの前記第1ライトモジュール(100)の光線を投射するための主面(420a)と、前記基体(410)から前記主面(420a)まで延在する傾斜面(420b)とを有し、前記傾斜面(420b)は、前記光軸線(A)に対して傾斜角(W2)を成し、また前記主面(420a)と前記傾斜面(420b)は、共通の面交線において段部エッジ(430)を形成する構成であり、
前記傾斜角(W2)は、前記段部エッジ(430)の環形状の周部に沿って連続的に変化すること、
及び、
前記段部(420)の前記傾斜角(W2)の最小値は、前記光軸線(A)からスタートして水平方向で増加すること、
を特徴とする照射装置。
【請求項2】
前記第1光源(110)と前記第2光源(120)は、自動車投光器内に前記照射装置(
10)が取り付けられた状態で水平面内に配設されていること、
を特徴とする、請求項1に記載の照射装置。
【請求項3】
前記光線絞り(300)は、長手軸線を有
し、前記光線絞り(300)の前記長手軸線は、自動車投光器内に前記照射装置(10)が取り付けられた状態で水平面内に配設されており、前記光線絞り(300)は、非対称の明暗境界を生成するための光学的に関与する絞りエッジ(310)を含み、前記第1ライトモジュール(100)は、前記光線絞り(300)の上側に配設されており、前記光線絞り(300)の光学的に関与する前記絞りエッジ(310)との組み合わせにおいて、ロービーム配光を生成するように作用すること、
を特徴とする、請求項1又は2に記載の照射装置。
【請求項4】
前記傾斜角(W2)は、前記段部エッジ(430)の環形状の周部に沿って、前記傾斜角(W2)の変化が正弦形状の経過をたどるように連続的に変化し、各前記段部(420)の前記傾斜角(W2)は、前記フレネルレンズの前記光軸線(A)と交差する垂直軸線(V1)に沿ってそれぞれの前記段部(420)の最大値を有し、また各前記段部(420)の前記傾斜角(W2)は、前記フレネルレンズの前記光軸線(A)と交差する水平軸線(H1)に沿ってそれぞれの前記段部(420)の最小値を有すること、
を特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項5】
前記段部(420)の前記傾斜角(W2)の最大値は、前記光軸線(A)からスタートして垂直方向で増加すること、
を特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項6】
前記照射装置(10)は、ハイビーム配光を生成するための少なくとも1つの光源を備えた少なくとも1つの第2ライトモジュール(200)を含むこと、
を特徴とする、請求項1~
5のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項7】
前記第2ライトモジュール(200)は、前記光線絞り(300)の下側に配設されており、ハイビーム配光を生成するように作用すること、
を特徴とする、請求項
6に記載の照射装置。
【請求項8】
水平軸線(H1)に沿った前記傾斜角(W2)の最小値は、1度から12度までであること、
を特徴とする、請求項1~
7のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項9】
垂直軸線(V1)に沿った前記傾斜角(W2)の最大値は、3度から12度まで、又は3度から6度まで、又は6度であること、
を特徴とする、請求項1~
8のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項10】
請求項1~
9のいずれか一項に記載の照射装置(10)を少なくとも1つ備えた自動車投光器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車投光器用の照射装置に関し、該照射装置は、以下の構成を含む:
- 少なくとも1つの第1光源と少なくとも1つの第2光源を用いて配光を生成するための少なくとも1つの第1ライトモジュールを含み、但し第1光源は、光を第1放射方向に放出するように設けられており、また第2光源は、光を第2放射方向に放出するように設けられており、第1放射方向と第2放射方向は、互いにゼロ度より大きい角度を成し、
- 光線絞りを含み、但し光線絞りは、明暗境界を生成するための光学的に関与する絞りエッジを含み、但し第1ライトモジュールは、光線絞りの上側に配設されており、光線絞りの光学的に関与する絞りエッジとの組み合わせにおいて、配光を生成するように作用し、
- 第1ライトモジュールにより生成可能な光を該照射装置の前方に結像するように設けられて光軸線を有する投射レンズを含み、但し投射レンズは、フレネルレンズとして構成されており、フレネルレンズは、基体と、基体に配設された複数の環形状の段部とを含み、これらの段部は、実質的に互いに同心に配設されており、各段部は、該照射装置の前方に少なくとも1つのライトモジュールの光線を投射するための主面と、基体から主面まで延在する傾斜面とを有し、傾斜面は、光軸線に対して傾斜角を成し、また主面と傾斜面は、共通の面交線において段部エッジを形成する。
【0002】
更に本発明は、本発明による照射装置を少なくとも1つ備えた自動車投光器に関する。
【背景技術】
【0003】
フレネルレンズ(より正確には:フレネルのステップレンズ)は、従来のレンズの重さと体積を伴うことなく、短い焦点距離を有する大きいレンズの構成を可能とする光学レンズである。
【0004】
フレネルレンズにおいて体積の減少は、複数の環形状(リング形状)の領域への分割により行われる。これらの領域の各領域において厚さが減少され、それによりレンズは、一連の環形状の段部(ステップ部)を有する。光は、レンズの主面でのみ屈折されるので、屈折角は、レンズの厚さに依存するのではなく、レンズの両方の表面の間の角度にのみ依存する。それ故、レンズは、その光学特性を維持し、この際、段部構造により画質は損なわれるが、このことは、多くの用途事例において重要なことではない。それに関する例は、あらゆる種類の投光器における照射光線路である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】欧州特許出願公開第2682671号
【文献】米国特許出願公開第2011/205748号
【文献】中国特許出願公開第108036277号
【文献】米国特許出願公開第2019/195455号
【文献】特開2008-181717号
【文献】米国特許出願公開第2019/024871号
【文献】米国特許出願公開第2015/003081号
【文献】独国特許出願公開第102016123002号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし各段部の傾斜面は、望まれない散乱光をもたらすことになり、このことは、多くの用途において、特に詳細な法的構成条件を満たさなければならない自動車投光器分野において、問題をもたらすことになる。
【0007】
本発明の課題は、改善された照射装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は、傾斜角が段部エッジの環形状の周部に沿って連続的に変化することにより解決される。
即ち本発明の第1の視点により、
自動車投光器用の照射装置であって、前記照射装置は、以下の構成を含む:
- 少なくとも1つの第1光源と少なくとも1つの第2光源を用いて配光を生成するための少なくとも1つの第1ライトモジュールを含み、但し前記第1光源は、光を第1放射方向に放出するように設けられており、また前記第2光源は、光を第2放射方向に放出するように設けられており、前記第1放射方向と前記第2放射方向は、互いにゼロ度より大きい角度を成し、
- 光線絞りを含み、但し前記光線絞りは、明暗境界を生成するための光学的に関与する絞りエッジを含み、但し前記第1ライトモジュールは、前記光線絞りの上側に配設されており、前記光線絞りの光学的に関与する前記絞りエッジとの組み合わせにおいて、配光を生成するように作用し、
- 前記第1ライトモジュールにより生成可能な光を前記照射装置の前方に結像するように設けられて光軸線を有する投射レンズを含み、但し前記投射レンズは、フレネルレンズとして構成されており、前記フレネルレンズは、基体と、前記基体に配設された複数の環形状の段部とを含み、これらの段部は、実質的に互いに同心に配設されており、各前記段部は、前記照射装置の前方に少なくとも1つの前記第1ライトモジュールの光線を投射するための主面と、前記基体から前記主面まで延在する傾斜面とを有し、前記傾斜面は、前記光軸線に対して傾斜角を成し、また前記主面と前記傾斜面は、共通の面交線において段部エッジを形成する構成であり、
前記傾斜角は、前記段部エッジの環形状の周部に沿って連続的に変化すること、
を特徴とする照射装置が提供される。
より詳しくは、前記第1の視点において、
自動車投光器用の照射装置であって、前記照射装置は、以下の構成を含む:
- 少なくとも1つの第1光源と少なくとも1つの第2光源を用いて配光を生成するための少なくとも1つの第1ライトモジュールを含み、但し前記第1光源は、光を第1放射方向に放出するように設けられており、また前記第2光源は、光を第2放射方向に放出するように設けられており、前記第1放射方向と前記第2放射方向は、互いにゼロ度より大きい角度を成し、
- 光線絞りを含み、但し前記光線絞りは、明暗境界を生成するための光学的に関与する絞りエッジを含み、但し前記第1ライトモジュールは、前記光線絞りの上側に配設されており、前記光線絞りの光学的に関与する前記絞りエッジとの組み合わせにおいて、配光を生成するように作用し、
- 前記第1ライトモジュールにより生成可能な光を前記照射装置の前方に結像するように設けられて光軸線を有する投射レンズを含み、但し前記投射レンズは、フレネルレンズとして構成されており、前記フレネルレンズは、基体と、前記基体に配設された複数の環形状の段部とを含み、これらの段部は、互いに同心に配設されており、各前記段部は、前記照射装置の前方に少なくとも1つの前記第1ライトモジュールの光線を投射するための主面と、前記基体から前記主面まで延在する傾斜面とを有し、前記傾斜面は、前記光軸線に対して傾斜角を成し、また前記主面と前記傾斜面は、共通の面交線において段部エッジを形成する構成であり、
前記傾斜角は、前記段部エッジの環形状の周部に沿って連続的に変化すること、及び、
前記段部の前記傾斜角の最小値は、前記光軸線からスタートして水平方向で増加すること、
を特徴とする。
更に本発明の第2の視点により、
前記照射装置を少なくとも1つ備えた自動車投光器が提供される。
尚、本願の特許請求の範囲に付記された図面参照符号は、専ら本発明の理解の容易化のためのものであり、図示の形態への限定を意図するものではないことを付言する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明において、以下の形態が可能である。
(形態1)
自動車投光器用の照射装置であって、前記照射装置は、以下の構成を含む:
- 少なくとも1つの第1光源と少なくとも1つの第2光源を用いて配光を生成するための少なくとも1つの第1ライトモジュールを含み、但し前記第1光源は、光を第1放射方向に放出するように設けられており、また前記第2光源は、光を第2放射方向に放出するように設けられており、前記第1放射方向と前記第2放射方向は、互いにゼロ度より大きい角度を成し、
- 光線絞りを含み、但し前記光線絞りは、明暗境界を生成するための光学的に関与する絞りエッジを含み、但し前記第1ライトモジュールは、前記光線絞りの上側に配設されており、前記光線絞りの光学的に関与する前記絞りエッジとの組み合わせにおいて、配光を生成するように作用し、
- 前記第1ライトモジュールにより生成可能な光を前記照射装置の前方に結像するように設けられて光軸線を有する投射レンズを含み、但し前記投射レンズは、フレネルレンズとして構成されており、前記フレネルレンズは、基体と、前記基体に配設された複数の環形状の段部とを含み、これらの段部は、実質的に互いに同心に配設されており、各前記段部は、前記照射装置の前方に少なくとも1つの前記ライトモジュールの光線を投射するための主面と、前記基体から前記主面まで延在する傾斜面とを有し、前記傾斜面は、前記光軸線に対して傾斜角を成し、また前記主面と前記傾斜面は、共通の面交線において段部エッジを形成する構成であり、
前記傾斜角は、前記段部エッジの環形状の周部に沿って連続的に変化すること。
(形態2)
前記第1光源と前記第2光源は、自動車投光器内に前記照射装置が取り付けられた状態で水平面内に配設されていること、が好ましい。
(形態3)
前記光線絞りは、長手軸線を有することができ、前記光線絞りの前記長手軸線は、自動車投光器内に前記照射装置が取り付けられた状態で水平面内に配設されており、前記光線絞りは、非対称の明暗境界を生成するための光学的に関与する絞りエッジを含み、前記第1ライトモジュールは、前記光線絞りの上側に配設されており、前記光線絞りの光学的に関与する前記絞りエッジとの組み合わせにおいて、ロービーム配光を生成するように作用すること、が好ましい。
(形態4)
前記傾斜角は、前記段部エッジの環形状の周部に沿って、前記傾斜角の変化が正弦形状の経過をたどるように連続的に変化し、各前記段部の前記傾斜角は、前記フレネルレンズの前記光軸線と交差する垂直軸線に沿ってそれぞれの前記段部の最大値を有し、また各前記段部の前記傾斜角は、前記フレネルレンズの前記光軸線と交差する水平軸線に沿ってそれぞれの前記段部の最小値を有すること、が好ましい。
(形態5)
前記段部の前記傾斜角の最大値は、前記光軸線からスタートして垂直方向で増加すること、が好ましい。
(形態6)
前記段部の前記傾斜角の最小値は、前記光軸線からスタートして水平方向で増加すること、が好ましい。
(形態7)
前記照射装置は、ハイビーム配光を生成するための少なくとも1つの光源を備えた少なくとも1つの第2ライトモジュールを含むこと、が好ましい。
(形態8)
前記第2ライトモジュールは、前記光線絞りの下側に配設されており、ハイビーム配光を生成するように作用すること、が好ましい。
(形態9)
水平軸線に沿った前記傾斜角の最小値は、1度から12度までであること、が好ましい。
(形態10)
垂直軸線に沿った前記傾斜角の最大値は、3度から12度まで、好ましくは3度から6度まで、特に6度であること、が好ましい。
(形態11)
前記照射装置を少なくとも1つ備えた自動車投光器。
【0010】
第1光源と第2光源は、自動車投光器内に照射装置が取り付けられた状態で水平面内に配設されていることができる。
【0011】
光線絞りは、長手軸線を有することができ、この際、光線絞りの長手軸線は、自動車投光器内に照射装置が取り付けられた状態で水平面内に配設されていることができ、この際、光線絞りは、非対称の明暗境界を生成するための光学的に関与する絞りエッジを含み、第1ライトモジュールは、光線絞りの上側に配設されており、光線絞りの光学的に関与する絞りエッジとの組み合わせにおいて、ロービーム配光を生成するように作用する。
【0012】
傾斜角は、段部エッジの環形状の周部に沿って、傾斜角の変化が正弦形状(サイン形状)の経過をたどるように連続的に変化することができ、この際、各段部の傾斜角は、フレネルレンズの光軸線と交差する垂直軸線に沿ってそれぞれの段部の最大値を有し、またこの際、各段部の傾斜角は、フレネルレンズの光軸線と交差する水平軸線に沿ってそれぞれの段部の最小値を有する。
【0013】
驚くべきことに、水平方向よりも垂直方向でより大きい傾斜角は、投射された配光内の散乱光を明らかに減少させることが分かった。
【0014】
全般的に、以下では、例えば「水平」、「垂直」、「水平方向」、「垂直方向」、「上方」、「下方」、「前方」、「後方」、「その下」、「その上」などのような場所又は向きに関する概念は、自動車投光器内の当該照射装置の規定どおりの取り付け位置に関するものである。
【0015】
段部の傾斜角の最大値は、光軸線からスタートして垂直方向で増加することができる。
【0016】
段部の傾斜角の最小値は、光軸線からスタートして水平方向で増加することができる。
【0017】
照射装置は、ハイビーム配光を生成するための少なくとも1つの光源を備えた少なくとも1つの第2ライトモジュールを含むことができる。
【0018】
第2ライトモジュールは、光線絞りの下側に配設されており、ハイビーム配光を生成するように作用することができる。
【0019】
水平軸線に沿った傾斜角の最小値は、1度から3度まで(ないし1度から12度まで)とすることができる。
【0020】
垂直軸線に沿った傾斜角の最大値は、3度から12度まで、好ましくは3度から6度まで、特に6度とすることができる。
【0021】
前記課題は、同様に、本発明による照射装置を少なくとも1つ備えた自動車投光器により解決される。
【0022】
以下、例示の図面に基づき、本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】第1ライトモジュールと、第2ライトモジュールと、フレネルレンズとして構成された投射レンズとを備えた、例示の一照射装置を垂直方向の横断面図として示す図であり、この際、フレネルレンズは、環形状に配設された複数の段部を備えた基体を有する。
【
図2】
図1の例示の照射装置を水平方向の横断面図として示す図である。
【
図3】1つの段部の詳細図を横断面図として示す図である。
【実施例】
【0024】
図1(垂直断面図)は、自動車投光器用の例示の照射装置10を示しており、照射装置10は、少なくとも1つの第1光源110と少なくとも1つの第2光源120を用いてロービーム配光を生成するための第1ライトモジュール100を含み、この際、第1光源110と第2光源120は、
図2(水平断面図)に見られるように、自動車投光器内に照射装置10が取り付けられた状態で水平面内に配設されている。
【0025】
第1光源110は、光を第1放射方向X1に放出するように設けられており、また第2光源120は、光を第2放射方向X2に放出するように設けられており、この際、第1放射方向X1と第2放射方向X2は、同様に
図2から明らかに見られるように、互いにゼロ度より大きい角度W1を成している。
【0026】
更に照射装置10は、ハイビーム配光を生成するための少なくとも1つの光源を備えた第2ライトモジュール200を含んでいる。(
図1)
【0027】
更に照射装置10は、長手軸線を有する光線絞り(ビームシェード)300を含み、この際、光線絞り300の長手軸線は、自動車投光器内に照射装置10が取り付けられた状態で水平面内に配設されており、この際、光線絞り300は、非対称の明暗境界を生成するための光学的に関与する絞りエッジ310を含み、この際、第1ライトモジュール100は、光線絞り300の上側に配設されており、光線絞り300の光学的に関与する絞りエッジ310との組み合わせにおいて、ロービーム配光を生成するように作用する。
【0028】
第2ライトモジュール200は、光線絞り300の下側に配設されており、ハイビーム配光を生成するように作用するために設けられている。
【0029】
更に照射装置10は、第1ライトモジュール100により生成可能な光を照射装置10の前方に結像するように設けられて光軸線Aを有する投射レンズ400を含み、この際、投射レンズ400は、フレネルレンズとして構成されており、このフレネルレンズは、基体(ベースボディ)410と、基体410に配設された複数の環形状の段部420とを含み(
図3)、これらの段部420は、とりわけ
図4に見られるように、実質的に互いに同心に配設されている。
【0030】
この際、各段部420は、照射装置10の前方に少なくとも1つのライトモジュール100の光線を投射するための主面420aと、基体410から主面420aまで延在する傾斜面420bとを有し、この際、傾斜面420bは、光軸線Aに対して傾斜角W2を成し、またこの際、主面420aと傾斜面420bは、
図3から詳細に見られるように、共通の面交線において段部エッジ430を形成する。この際、
図3に記入された光軸線Aは、フレネルレンズの光軸線と平行な軸線であり、傾斜角W2の形成を明示すべきものである。
【0031】
傾斜角W2は、段部エッジ430の環形状の周部に沿って、傾斜角W2の変化が正弦形状(サイン形状)の経過をたどるように連続的に変化し、この際、
図4から明らかに見られるように、各段部420の傾斜角W2は、フレネルレンズの光軸線Aと交差する垂直軸線V1に沿ってそれぞれの段部420の最大値を有し、またこの際、各段部420の傾斜角W2は、フレネルレンズの光軸線Aと交差する水平軸線H1に沿ってそれぞれの段部420の最小値を有する。
【0032】
(フレネルレンズの正面を示す
図4で見て)例えば水平軸線H1からスタートして段部420の段部エッジ430の環形状の延在形状ないし周部に沿って時計方向にまわる場合には、傾斜角W2は、直接的に水平軸線H1のところで最小値にあり、この際、当該段部420の傾斜角W2が垂直軸線V1のところで最大値を有するに至るまで、傾斜角W2は、引き続き、恒常的ないし連続的に増加する。段部420の周部を更に進むと、傾斜角W2が再び水平軸線H1に達して次の最小値を有するに至るまで、傾斜角W2は、この際には減少する。引き続き、傾斜角W2は、傾斜角W2が再び垂直軸線V1に達して次の最大値を有するに至るまで、再び増加する。
【0033】
更に段部420の傾斜角W2の最大値は、光軸線Aからスタートして垂直方向で(遠くなる程)増加し、即ち1つの段部420からスタートし、より大きい(段部エッジの)環形状の周部を有する直ぐ次の段部420は、より大きい最大の傾斜角W2をも有する。このことは、垂直方向で、ないし垂直軸線V1に沿って継続する。この際、垂直軸線V1に沿った傾斜角W2の最大値は、3度から10度まで、好ましくは3度から6度まで、変化することができる。
【0034】
更に段部420の傾斜角W2の最小値は、光軸線Aからスタートして水平方向で(遠くなる程)増加し、この際、前段落で述べたことが、最小値の場合として、水平方向における最小値の経過に対して該当する(即ち1つの段部420からスタートし、より大きい(段部エッジの)環形状の周部を有する直ぐ次の段部420は、より大きい最小の傾斜角W2をも有し、このことは、水平方向で、ないし水平軸線H1に沿って継続する。)。この際、水平軸線H1に沿った傾斜角W2の最小値は、1度から3度まで(ないし1度から12度まで)変化することができる。
【符号の説明】
【0035】
10 照射装置
100 第1ライトモジュール
110 第1光源
120 第2光源
200 第2ライトモジュール
300 光線絞り
310 絞りエッジ
400 投射レンズ
410 基体
420 段部
420a 主面
420b 傾斜面
430 段部エッジ
A 光軸線
X1 第1放射方向
X2 第2放射方向
W1 X1とX2の成す角度
W2 Aに対する傾斜角
V1 垂直軸線
H1 水平軸線