IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社NTTドコモの特許一覧

<>
  • 特許-広告効果予測装置 図1
  • 特許-広告効果予測装置 図2
  • 特許-広告効果予測装置 図3
  • 特許-広告効果予測装置 図4
  • 特許-広告効果予測装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】広告効果予測装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0242 20230101AFI20240719BHJP
【FI】
G06Q30/0242
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023546824
(86)(22)【出願日】2022-07-27
(86)【国際出願番号】 JP2022028942
(87)【国際公開番号】W WO2023037780
(87)【国際公開日】2023-03-16
【審査請求日】2023-12-05
(31)【優先権主張番号】P 2021145299
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121980
【弁理士】
【氏名又は名称】沖山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100128107
【弁理士】
【氏名又は名称】深石 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】石井 誉仁
(72)【発明者】
【氏名】出水 宰
【審査官】野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-149171(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112101380(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111581510(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配信設定情報、配信原稿情報、および配信結果情報を取得する取得部と、
前記配信設定情報および前記配信原稿情報に基づいて、グラフニューラルネットワークに係る手法を用いて、配信原稿を読むユーザ動線に照らし合せて前記配信原稿のレイアウト情報をグラフ構造に変換し、変換後のグラフ構造における各ノードの特徴量を導出し、得られた各ノードの特徴量を説明変数とし、前記配信結果情報から得られる各配信のクリック率実績値を目的変数とする機械学習を行い、クリック率を予測するための予測モデルを構築する構築部と、
対象の配信に係るクリック率予測要求、配信設定情報および配信原稿情報を受け取り、前記配信設定情報および前記配信原稿情報に基づいて、グラフニューラルネットワークに係る手法を用いて、前記ユーザ動線に照らし合せて前記配信原稿のレイアウト情報をグラフ構造に変換し、変換後のグラフ構造における各ノードの特徴量を導出し、得られた各ノードの特徴量を前記予測モデルに入力することで、当該予測モデルから出力されるクリック率を、前記対象の配信に係るクリック率予測値とする予測部と、
を備える広告効果予測装置。
【請求項2】
前記予測部は、前記対象の配信に係るクリック率予測値を、前記クリック率予測要求の送信元へ出力する、
請求項1に記載の広告効果予測装置。
【請求項3】
前記構築部および前記予測部は、少なくとも、前記配信原稿のタイトルに関するテキスト情報及び前記配信原稿に含まれた画像情報を、グラフ構造への変換および各ノードの特徴量導出の対象とする、
請求項1に記載の広告効果予測装置。
【請求項4】
前記構築部および前記予測部は、さらに、前記配信原稿に含まれた本文テキスト情報を、グラフ構造への変換および各ノードの特徴量導出の対象とする、
請求項3に記載の広告効果予測装置。
【請求項5】
前記広告効果予測装置は、
前記配信設定情報、前記配信原稿情報、および前記配信結果情報を格納した配信情報格納部、
をさらに備え、
前記取得部は、前記配信情報格納部から前記配信設定情報、前記配信原稿情報、および前記配信結果情報を取得する、
請求項1に記載の広告効果予測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ユーザの動線を加味し、配信原稿に含まれる複数のコンテンツ間の相互の関係性を考慮して、広告効果としてのクリック率を予測する広告効果予測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザがインターネットを介してウェブページにアクセスし、そのウェブページに掲載された広告をクリック又はタップした(以後は便宜上「クリックした」と総称する)場合に、広告主のウェブページへユーザを誘導する広告配信の仕組みが採用されている。このような広告配信の仕組みでは、広告を掲載した場合に期待される収益を予測する際に、ユーザが当該広告をクリックする確率であるクリック率(CTR:Click Through Rate)を予測し、当該予測値を収益予測に用いるのが一般的であり、例えば、収益予測のためクリック率を予測する技術が特許文献1に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-040386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1には、広告配信面における広告の表示位置(例えば画像の並びなど)に基づいてクリック率を予測する点は記載されているものの、ユーザの動線を加味し、広告配信原稿(以下「配信原稿」と称する)に含まれる複数のコンテンツ間の相互の関係性を考慮して、広告効果としてのクリック率を精度良く予測するといった着眼点は記載されていない。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するために成されたものであり、ユーザの動線を加味し、配信原稿に含まれる複数のコンテンツ間の相互の関係性を考慮して、広告効果としてのクリック率を精度良く予測することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
出願人は、上記目的を達成するための手法として、グラフ構造を扱える深層学習の一手法であるグラフニューラルネットワーク(GNN(Graph Neural Network))に注目し、グラフニューラルネットワークに係る手法を用いて、ユーザ動線に照らし合せて配信原稿のレイアウト情報をグラフ構造に変換することで、変換後のグラフ構造における各ノード(配信原稿に含まれる各コンテンツに対応するノード)間の相互の関係性およびユーザの動線を考慮して、広告効果としてのクリック率を精度良く予測する技術を発明した。
【0007】
本開示に係る広告効果予測装置は、配信設定情報、配信原稿情報、および配信結果情報を取得する取得部と、前記配信設定情報および前記配信原稿情報に基づいて、グラフニューラルネットワークに係る手法を用いて、前記配信原稿を読むユーザ動線に照らし合せて前記配信原稿のレイアウト情報をグラフ構造に変換し、変換後のグラフ構造における各ノードの特徴量を導出し、得られた各ノードの特徴量を説明変数とし、前記配信結果情報から得られる各配信のクリック率実績値を目的変数とする機械学習を行い、クリック率を予測するための予測モデルを構築する構築部と、対象の配信に係るクリック率予測要求、配信設定情報および配信原稿情報を受け取り、前記配信設定情報および前記配信原稿情報に基づいて、グラフニューラルネットワークに係る手法を用いて、前記ユーザ動線に照らし合せて前記配信原稿のレイアウト情報をグラフ構造に変換し、変換後のグラフ構造における各ノードの特徴量を導出し、得られた各ノードの特徴量を前記予測モデルに入力することで、当該予測モデルから出力されるクリック率を、前記対象の配信に係るクリック率予測値とする予測部と、を備える。
【0008】
上記の広告効果予測装置では、取得部が、配信設定情報、配信原稿情報、および配信結果情報を取得し、構築部が、取得された配信設定情報および配信原稿情報に基づいて、グラフニューラルネットワークに係る手法を用いて、配信原稿を読むユーザ動線に照らし合せて配信原稿のレイアウト情報をグラフ構造に変換し、変換後のグラフ構造における各ノードの特徴量を導出し、得られた各ノードの特徴量を説明変数とし、配信結果情報から得られる各配信のクリック率実績値を目的変数とする機械学習を行い、クリック率を予測するための予測モデルを構築する。そして、予測部が、対象の配信に係るクリック率予測要求、配信設定情報および配信原稿情報を受け取り、配信設定情報および配信原稿情報に基づいて、グラフニューラルネットワークに係る手法を用いて、ユーザ動線に照らし合せて配信原稿のレイアウト情報をグラフ構造に変換し、変換後のグラフ構造における各ノードの特徴量を導出し、得られた各ノードの特徴量を予測モデルに入力することで、当該予測モデルから出力されるクリック率を、対象の配信に係るクリック率予測値とする。このように、グラフ構造を扱えるグラフニューラルネットワークに係る手法を用いて、ユーザ動線に照らし合せて配信原稿のレイアウト情報をグラフ構造に変換し、変換後のグラフ構造における各ノードの特徴量を説明変数とし、各配信のクリック率実績値を目的変数とする機械学習を行って予測モデルを構築し、そして、構築された予測モデルを、対象の配信に係るクリック率予測に用いることにより、変換後のグラフ構造における各ノード(配信原稿に含まれる各コンテンツに対応するノード)間の相互の関係性およびユーザの動線を考慮して、広告効果としてのクリック率を精度良く予測することができる。また、グラフニューラルネットワークに係る手法を用いて配信原稿のレイアウト情報をグラフ構造に変換する際、変換対象となるデータ(配信原稿のレイアウト情報)を可変長にできるという特性があるため、さまざまなレイアウトに対応可能となり、制約の少ない自由度の高い処理が可能となり、処理の操作性および柔軟性が向上する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ユーザの動線を加味し、配信原稿に含まれる複数のコンテンツ間の相互の関係性を考慮して、広告効果としてのクリック率を精度良く予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】発明の実施形態に係る広告効果予測装置の機能ブロック構成図である。
図2】発明の実施形態において実行される処理内容を示すフロー図である。
図3】配信原稿のグラフ構造化および各ノードの特徴量化を説明するための図である。
図4】処理に利用されるデータ例を示す図である。
図5】広告効果予測装置のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付図面を参照しながら本開示に係る発明の実施形態を説明する。
【0012】
図1に示すように、広告効果予測装置10は、配信情報格納部11、取得部12、構築部13、予測モデル格納部14、および予測部15を備える。以下、各部の機能について説明する。
【0013】
配信情報格納部11は、以下に説明する配信設定情報、配信原稿情報および配信結果情報を含んだ、各配信に関する配信情報を格納したデータベースである。図4に例示するように、配信設定情報は、各配信に関する対象性別、配信開始日などの情報を含み、配信原稿情報は、配信原稿の保存先を示す保存先URL(Uniform Resource Locator)、配信メールのメールタイトルなどの情報を含む。上記保存先URLに示すサイトには、配信原稿データが保存されており、この配信原稿データは、コンテンツデータ(画像データ、テキストデータ)およびコンテンツ配置に関するレイアウト情報などを含む。配信結果情報は、各配信に関する広告効果実績値としてのクリック率(CTR)の実績値の情報を含む。上記のような各配信に関する配信設定情報、配信原稿情報および配信結果情報は、ユニークな識別子をキーとして配信情報格納部11に格納されている。
【0014】
取得部12は、配信情報格納部11から配信設定情報、配信原稿情報、および配信結果情報を取得する機能部である。
【0015】
構築部13は、配信設定情報および配信原稿情報に基づいて、グラフニューラルネットワークに係る手法を用いて、配信原稿を読むユーザ動線に照らし合せて配信原稿のレイアウト情報をグラフ構造に変換し、変換後のグラフ構造における各ノードの特徴量を導出し、得られた各ノードの特徴量を説明変数とし、配信結果情報から得られる各配信のクリック率実績値を目的変数とする機械学習を行い、クリック率を予測するための予測モデルを構築する機能部である。このような構築部13による処理の詳細は後述する。
【0016】
予測モデル格納部14は、構築部13により構築された予測モデルを格納したデータベースである。
【0017】
予測部15は、対象の配信に係るクリック率予測要求、配信設定情報および配信原稿情報を情報端末20から受け取り、配信設定情報および配信原稿情報に基づいて、グラフニューラルネットワークに係る手法を用いて、ユーザ動線に照らし合せて配信原稿のレイアウト情報をグラフ構造に変換し、変換後のグラフ構造における各ノードの特徴量を導出し、得られた各ノードの特徴量を、予測モデル格納部14から読み出した予測モデルに入力することで、当該予測モデルから出力されるクリック率を、対象の配信に係るクリック率予測値とし、さらに、予測により得られたクリック率(クリック率予測値)を出力する機能部である。このような予測部15による処理の詳細は後述する。なお、本実施形態では、予測部15が、対象の配信に係るクリック率予測要求を情報端末20から受信する例を説明するが、この例以外にも、広告効果予測装置10の操作員により図示しない操作端末から入力された対象の配信に係るクリック率予測要求を受け取ってもよい。
【0018】
次に、図2のフロー図に沿って、広告効果予測装置10において実行される処理を説明する。この処理は、図2に示すように、前半の予測モデルの構築・更新(ステップS1~S4)を行うオフライン処理と、後半の予測モデルを用いたクリック率の予測(ステップS5~S8)を行うオンライン処理とに大別される。このうち、オフライン処理は、例えば予め定められた時刻に定期的に又は広告効果予測装置10の操作員が開始コマンドを入力したとき等に実行されるのに対し、オンライン処理は、クリック率予測の要求者(例えば情報端末20のユーザ)により送信されたクリック率予測要求を受信したことをトリガーにオンデマンドで実行される。
【0019】
前半のオフライン処理については、取得部12が、配信情報格納部11から配信設定情報、配信原稿情報、および配信結果情報を取得し(ステップS1)、構築部13が、グラフニューラルネットワークに係る手法を用いて、配信原稿を読むユーザ動線に照らし合せて、取得された配信原稿情報のメタ情報(ここでは、図4に例示した保存先URLのサイトに保存された配信原稿データに含まれたコンテンツデータ(画像データ、メールタイトルのテキスト情報)およびコンテンツ配置に関するレイアウト情報)を、グラフ構造に変換する(ステップS2)。例えば、図3の左側に示すように、メールタイトルと、配信原稿に含まれる画像A~Dとをグラフ構造におけるノードとし、コンテンツ配置に関するレイアウト情報に従って、ノード間をエッジで結ぶことで、配信原稿情報のメタ情報をグラフ構造に変換する。
【0020】
次に、構築部13は、変換後のグラフ構造における各ノードの特徴量を導出する(ステップS3)。例えば、図3の右側に示すように、メールタイトルのテキスト情報については、(1)テキスト情報の形態素解析を行うことで、メールタイトル「限定品!〇〇〇〇ピンバッジキャンペーン中」を、『限定品,!,〇〇〇〇ピンバッジ,キャンペーン,中』のように単語ごとに分離する。次に、(2)各単語をIDに変換してWord Embeddingを行う。例えば、上記の分離された各単語を、『1,0,4,12,6』というIDへ変換し、各IDをEmbedding Dimのベクトルへ変換する。さらに、(3)Embeddingした変換のベクトルを対象として畳み込み演算・線形変換を行うことで、1×128次元の特徴量とする。
【0021】
一方、図3における画像A~Dの画像情報については、(1)画像サイズの変換として、(128×128)の画像にリサイズし、(2)リサイズ後の(128×128)の画像を対象として畳み込み演算/プーリング演算を行うことで、1×128次元の特徴量とする。
【0022】
さらに、構築部13は、各ノードの特徴量を説明変数とし、配信結果情報から得られる各配信のクリック率実績値を目的変数とする機械学習を行うことで、クリック率を予測するための予測モデルを新規に構築する又は既存の予測モデルを更新する(ステップS4)。なお、構築部13は、構築後又は更新後の予測モデルを予測モデル格納部14に格納する。以上のステップS1~S4によって、クリック率を予測するための予測モデルが構築又は更新され、予測モデル格納部14に格納される。
【0023】
次に、図2における後半のオンライン処理は、情報端末20からクリック率予測要求、対象の配信に係る配信設定情報および配信原稿情報が送信され(ステップT1)、予測部15がこれらのクリック率予測要求、対象の配信に係る配信設定情報および配信原稿情報を受信する(ステップS5)ことで、実行開始される。予測部15は、前述したステップS2と同様の手法で、グラフニューラルネットワークに係る手法を用いて、配信原稿を読むユーザ動線に照らし合せて、受信した配信原稿情報のメタ情報(ここでは、図4に例示した保存先URLのサイトに保存された配信原稿データに含まれたコンテンツデータ(画像データ、メールタイトルのテキスト情報)およびコンテンツ配置に関するレイアウト情報)を、グラフ構造に変換する(ステップS6)。例えば、図3の左側に示すように、メールタイトルと、配信原稿に含まれる画像A~Dとをグラフ構造におけるノードとし、コンテンツ配置に関するレイアウト情報に従って、ノード間をエッジで結ぶことで、配信原稿情報のメタ情報をグラフ構造に変換する。
【0024】
そして、予測部15は、前述したステップS3と同様の手法で、変換後のグラフ構造における各ノードの特徴量を導出し、得られた各ノードの特徴量を、予測モデル格納部14から読み出した予測モデルに入力することで、当該予測モデルから出力されるクリック率を、対象の配信に係るクリック率予測値とする(ステップS7)。さらに、予測部15は、予測により得られたクリック率(クリック率予測値)を、クリック率予測要求の送信元である情報端末20へ送信する(ステップS8)。これにより、クリック率予測値は、情報端末20により受信され、例えばディスプレイへ表示され(ステップT2)、情報端末20のユーザは、要求通り、クリック率予測値を確認することができる。
【0025】
以上説明した実施形態によれば、ユーザの動線を加味し、配信原稿に含まれる複数のコンテンツ間の相互の関係性を考慮して、広告効果としてのクリック率を精度良く予測することができる。また、グラフニューラルネットワークに係る手法を用いて配信原稿のレイアウト情報をグラフ構造に変換する際、変換対象となるデータ(配信原稿のレイアウト情報)を可変長にできるという特性があるため、さまざまなレイアウトに対応可能となり、制約の少ない自由度の高い処理が可能となり、処理の操作性および柔軟性が向上する。
【0026】
上記の実施形態では、構築部13および予測部15が、ユーザによるクリック動作への誘因となる必要最低限のコンテンツとして、配信原稿のタイトル(メールタイトル)に関するテキスト情報及び配信原稿に含まれた画像情報を、グラフ構造への変換および各ノードの特徴量導出の対象とする例を説明した。これらタイトルに関するテキスト情報及び画像情報を、グラフ構造への変換および各ノードの特徴量導出の対象とすることで、対象を最小限に絞ったうえで、ユーザの動線を加味し、配信原稿に含まれる複数のコンテンツ間の相互の関係性を考慮して、広告効果としてのクリック率を精度良く予測することができる。
【0027】
なお、構築部13および予測部15は、さらに、配信原稿に含まれた本文テキスト情報を、グラフ構造への変換および各ノードの特徴量導出の対象としてもよい。その場合、本文テキスト情報については、前述した配信原稿のタイトル(メールタイトル)のテキスト情報と同様の手法で、グラフ構造への変換および各ノードの特徴量導出を実行すればよい。実際に、ユーザが本文テキストを読むことでクリック動作へとつながる可能性も十分にあるため、さらに本文テキスト情報も対象とすることで、クリック率の予測精度を向上させることができる。
【0028】
また、上記の実施形態では、広告効果予測装置10が、配信設定情報、配信原稿情報および配信結果情報を格納した配信情報格納部11を備え、取得部12は、外部からでなく、配信情報格納部11から配信設定情報、配信原稿情報および配信結果情報を取得する例を説明した。このように、広告効果予測装置10が配信情報格納部11を、その内部に備えたことで、図2の処理実行時に、外部から配信設定情報、配信原稿情報および配信結果情報を取得する必要が無くなり、処理の迅速化に寄与することができる。
【0029】
(用語の説明、ハードウェア構成(図5)の説明など)
なお、上記の実施形態、変形例の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置又は上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
【0030】
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、割り振り(assigning)などがあるが、これらに限られない。たとえば、送信を機能させる機能ブロック(構成部)は、送信部(transmitting unit)、送信機(transmitter)と呼称される。いずれも、上述したとおり、実現方法は特に限定されない。
【0031】
例えば、本開示の一実施の形態における広告効果予測装置は、本実施形態における処理を行うコンピュータとして機能してもよい。図5は、本開示の一実施の形態に係る広告効果予測装置10のハードウェア構成例を示す図である。上述の広告効果予測装置10は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0032】
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。広告効果予測装置10のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0033】
広告効果予測装置10における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信を制御したり、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0034】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインタフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。
【0035】
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ1003及び通信装置1004の少なくとも一方からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態において説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001によって実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。
【0036】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本開示の一実施の形態に係る無線通信方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0037】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ1002及びストレージ1003の少なくとも一方を含むデータベース、その他の適切な媒体であってもよい。
【0038】
通信装置1004は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。
【0039】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。 また、プロセッサ1001、メモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007によって接続される。バス1007は、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
【0040】
本開示において説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0041】
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とするものであり、本開示に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0042】
本開示において説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0043】
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0044】
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0045】
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0046】
本開示において、例えば、英語でのa, an及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0047】
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
【符号の説明】
【0048】
10…広告効果予測装置、11…配信情報格納部、12…取得部、13…構築部、14…予測モデル格納部、15…予測部、20…情報端末、1001…プロセッサ、1002…メモリ、1003…ストレージ、1004…通信装置、1005…入力装置、1006…出力装置、1007…バス。
図1
図2
図3
図4
図5