(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】円筒状物品の認証搬送装置
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20240719BHJP
H01Q 9/30 20060101ALI20240719BHJP
B66F 9/12 20060101ALI20240719BHJP
B66C 1/24 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
G06K7/10 244
G06K7/10 224
H01Q9/30
B66F9/12 D
B66C1/24 D
(21)【出願番号】P 2024024092
(22)【出願日】2024-02-20
【審査請求日】2024-02-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000203977
【氏名又は名称】日鉄テックスエンジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【氏名又は名称】清井 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【氏名又は名称】中前 富士男
(72)【発明者】
【氏名】土田 秀明
(72)【発明者】
【氏名】竹田 宏孝
(72)【発明者】
【氏名】菖蒲谷 匡
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-263386(JP,A)
【文献】特許第7178451(JP,B1)
【文献】特開2007-079930(JP,A)
【文献】特開2009-265780(JP,A)
【文献】特開2002-265060(JP,A)
【文献】宇佐美 光雄,SMART TAG 第3回 ユビキタス社会における「ミューチップ」の役割,情報処理,日本,社団法人情報処理学会,2004年04月15日,第45巻 第4号,pp.410-413
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/10
H01Q 9/30
B66F 9/12
B66C 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状物品に形成された貫通孔の一側又は両側から挿入可能な挿入部を備える支持手段を有し、前記挿入部を前記貫通孔に挿入した際に、該貫通孔内に取付けられたRFタグの識別情報を読み取り、前記円筒状物品を前記支持手段で支持して移動させる認証搬送装置であって、
前記支持手段には、前記RFタグとの間で電磁波の送受信を行うアンテナ素子を先側に備える同軸ケーブルを用いたフレキシブルアンテナと、該フレキシブルアンテナの基側に接続された外部と無線通信するRFリーダとが設置され、前記挿入部に前記アンテナ素子が配置され
、
更に、前記挿入部の先側端部には、前記円筒状物品の前記貫通孔内面との距離が計測可能で、前記挿入部が前記貫通孔に挿入されたことを検知可能にするセンサが取付けられ、該センサが、前記挿入部が前記貫通孔に挿入されたことを検知した際に、前記フレキシブルアンテナから自動的に電磁波が照射されることを特徴とする円筒状物品の認証搬送装置。
【請求項2】
前記同軸ケーブルは、内部導体と、該内部導体の周囲表面を覆う筒状絶縁体と、該筒状絶縁体の周囲表面を覆う外部導体と、該外部導体の周囲表面を覆う外被とが同軸上に設けられ、
前記フレキシブルアンテナが、
1)前記同軸ケーブルの先側に、該同軸ケーブルの前記内部導体及び前記筒状絶縁体のみを延長して形成された素子部を有し、該素子部の基側が前記外部導体と導通する導電性のテープ又はチューブからなるバラン導体で覆われて、該バラン導体で覆われていない前記素子部の先側に前記筒状絶縁体の周囲表面が露出した前記アンテナ素子が形成されている、
又は、
2)前記内部導体のみを前記同軸ケーブルの先側から突出させて、前記筒状絶縁体、前記外部導体及び前記外被が存在しない素子部を形成し、該素子部の基側の前記内部導体の周囲表面は、樹脂部材を介して前記同軸ケーブルの前記外部導体と導通する導電性のテープ又はチューブからなるバラン導体で覆われて、該バラン導体で覆われていない前記素子部の先側を前記内部導体の周囲表面が露出した前記アンテナ素子とし、前記素子部のアンテナ性能を向上させ、かつ、前記同軸ケーブルにアンテナ機能を付与した、
ことを特徴とする請求項1記載の円筒状物品の認証搬送装置。
【請求項3】
前記支持手段が、クレーンに取付けられたC型フックであることを特徴とする請求項
1又は
2記載の円筒状物品の認証搬送装置。
【請求項4】
前記支持手段が、クレーンに取付けられたコイルリフターであり、前記挿入部が、前記コイルリフターの対となるアーム部下端の爪部であり、該対となる爪部のいずれか一方又は双方に前記アンテナ素子が配置されていることを特徴とする請求項
1又は
2記載の円筒状物品の認証搬送装置。
【請求項5】
前記支持手段が、フォークリフトの車体前方に設けられた昇降手段であり、前記挿入部が、前記昇降手段のフォークであることを特徴とする請求項
1又は
2記載の円筒状物品の認証搬送装置。
【請求項6】
前記円筒状物品が、鋼板コイル又は線材コイルであることを特徴とする請求項
1又は
2記載の円筒状物品の認証搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、鋼板(薄板)コイルや線材コイル、紙ロール等の円筒状物品の認証と移動を行うための円筒状物品の認証搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薄板製品や線材製品、紙製品等は、コイル状の荷姿(円筒状物品、以下コイルとも記載)にして屋内等に多数保管され、例えば、要求に応じて、対象となるコイルが天井クレーンに取付けられたC型フックやコイルリフター等の支持手段により支持され搬出されている(例えば、特許文献1、2参照)。
保管されるコイルにはRFタグ(RFIDタグとも称す)が貼付けられており、このRFタグに、その仕様等の識別情報(個別情報)が保持(記録)され、コイル搬出の際には、この識別情報を確認して、搬出対象となるコイルの認証を行っている。RFタグのコイルへの貼付けは、例えば、コイル状にした製品がその状態を維持するように拘束する結束バンドに対して行われる。
【0003】
RFタグの識別情報の確認には、例えば、
図9(a)、(b)に示す認証搬送装置90が使用されている。
認証搬送装置90は、クレーン(不図示)に取付けられた、コイル91を支持するC型フック92を備え、その上端部に、RFタグ93に保持された識別情報を読み取る平面アンテナ94が取付けられている。詳細には、C型フック92の上部に、その両側方へ突出するように金属製のフレーム95が取付けられ、このフレーム95の下側両端部に平面アンテナ94が取付け固定されている。
これにより、C型フック92がコイル91を支持した際に、平面アンテナ94が、コイル91に貼付けられたRFタグ93の上方に配置されるため、RFタグ93の識別情報を読み取ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-195583号公報
【文献】特開2019-167184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
RFタグ93は、例えば、コイル91が置場ヤードへ払い出される前に、作業者により手貼りされる。このとき、RFタグ93は、コイル91の上側へ貼るようになってはいるが、稀に略中央近傍に貼られる場合もあり、そのとき、コイル91の外径が大きいほど、認証漏れが発生し易くなる(
図9(a)参照)。
【0006】
また、コイル91をC型フック92で吊り上げる際は、
図10の上図から下図に示すように、C型フック92の向きを変える必要があるが、置場ヤードに保管される複数のコイル91は、隣接するコイル91列同士の間隔が狭いため、平面アンテナ94を取付けたフレーム95がコイル91に接触するおそれがある。
【0007】
更に、RFタグ93の貼付け位置は前記したように、コイル91を拘束する結束バンド96の上側領域であるが、
図11に示すように、結束バンド96は多くても2本しか使用されないため、RFタグ93が仮に平面アンテナ94から離れた側の結束バンド96(
図11中の二点鎖線)に取付けられた場合、検知範囲外となるケースもある。この
図11中の符号97は、C型フック92をクレーンにぶら下げるための取付け手段である。
【0008】
なお、RFタグの識別情報の読み取り(認証)は、平面アンテナから電磁波(具体的には電波、以下同じ)を照射することにより行われるが、電磁波の照射は、通常、クレーンの操縦者が端末を立ち上げた際に自動的に開始され、また、作業を終えて端末をシャットダウンした際に終了する。即ち、クレーンによる作業中は常時、電磁波を照射し続ける状態であるため、バッテリ(ポータブルバッテリやモバイルバッテリ等)の消費が早くなり、かつ、平面アンテナの位置によっては、他のコイルに貼り付けられたRFタグの識別情報を読み取るおそれもあり、この場合、C型フックにより一旦コイルを持ち上げ、他のコイルから離れた状態とした後、識別情報の読み取りを行う必要もあり、作業性が悪かった。
【0009】
本発明の課題は、円筒状物品の認証を高精度で実施でき、作業性の向上も図ることが可能な円筒状物品の認証搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を達成するために検討した結果、本発明者らは、以下の知見を見出し、本発明を完成するに至った。
平面アンテナとは異なる同軸ケーブルを用いたフレキシブルアンテナを、円筒状物品を支持する支持手段に取付けることにより、支持手段の形状に沿った(追従した)敷設が可能となるため、従来の平面アンテナ敷設用のフレーム等が一切不要となり、円筒状物品等との干渉のおそれがなくなる。
また、RFタグを円筒状物品の貫通孔内へ取付け、RFタグとの間で電磁波の送受信を行うフレキシブルアンテナのアンテナ部(素子とケーブル部)を、貫通孔に挿入する支持手段の挿入部に取付けることにより、RFタグの取付け位置に影響されることなく、識別情報の読み取りが可能になる。
更に、支持手段に取付けられ、フレキシブルアンテナの基側に接続されたRFリーダが、外部と無線通信可能な構成とすることにより、RFリーダと外部とを有線で接続した場合のように、有線が作業の邪魔になる(例えば、引っ掛かる)おそれ等がなくなる。
【0011】
即ち、本発明は、以下の通りのものである。
[1] 円筒状物品に形成された貫通孔の一側又は両側から挿入可能な挿入部を備える支持手段を有し、前記挿入部を前記貫通孔に挿入した際に、該貫通孔内に取付けられたRFタグの識別情報を読み取り、前記円筒状物品を前記支持手段で支持して移動させる認証搬送装置であって、
前記支持手段には、前記RFタグとの間で電磁波の送受信を行うアンテナ素子を先側に備える同軸ケーブルを用いたフレキシブルアンテナと、該フレキシブルアンテナの基側に接続された外部と無線通信するRFリーダとが設置され、前記挿入部に前記アンテナ素子が配置されていることを特徴とする円筒状物品の認証搬送装置。
【0012】
[2] 前記同軸ケーブルは、内部導体と、該内部導体の周囲表面を覆う筒状絶縁体と、該筒状絶縁体の周囲表面を覆う外部導体と、該外部導体の周囲表面を覆う外被とが同軸上に設けられ、
前記フレキシブルアンテナが、
1)前記同軸ケーブルの先側に、該同軸ケーブルの前記内部導体及び前記筒状絶縁体のみを延長して形成された素子部を有し、該素子部の基側が前記外部導体と導通する導電性のテープ又はチューブからなるバラン導体で覆われて、該バラン導体で覆われていない前記素子部の先側に前記筒状絶縁体の周囲表面が露出した前記アンテナ素子が形成されている、
又は、
2)前記内部導体のみを前記同軸ケーブルの先側から突出させて、前記筒状絶縁体、前記外部導体及び前記外被が存在しない素子部を形成し、該素子部の基側の前記内部導体の周囲表面は、樹脂部材を介して前記同軸ケーブルの前記外部導体と導通する導電性のテープ又はチューブからなるバラン導体で覆われて、該バラン導体で覆われていない前記素子部の先側を前記内部導体の周囲表面が露出した前記アンテナ素子とし、前記素子部のアンテナ性能を向上させ、かつ、前記同軸ケーブルにアンテナ機能を付与した、
ことを特徴とする上記[1]記載の円筒状物品の認証搬送装置。
【0013】
[3] 前記挿入部の先側端部には、該挿入部が前記貫通孔に挿入されたことを検知可能にするセンサが取付けられていることを特徴とする上記[1]又は[2]記載の円筒状物品の認証搬送装置。
【0014】
[4] 前記支持手段が、クレーンに取付けられたC型フックであることを特徴とする上記[1]~[3]のいずれか記載の円筒状物品の認証搬送装置。
[5] 前記支持手段が、クレーンに取付けられたコイルリフターであり、前記挿入部が、前記コイルリフターの対となるアーム部下端の爪部であり、該対となる爪部のいずれか一方又は双方に前記アンテナ素子が配置されていることを特徴とする上記[1]~[3]のいずれか記載の円筒状物品の認証搬送装置。
[6] 前記支持手段が、フォークリフトの車体前方に設けられた昇降手段であり、前記挿入部が、前記昇降手段のフォークであることを特徴とする上記[1]~[3]のいずれか記載の円筒状物品の認証搬送装置。
【0015】
[7] 前記円筒状物品が、鋼板コイル又は線材コイルであることを特徴とする上記[1]~[6]のいずれか記載の円筒状物品の認証搬送装置。
【発明の効果】
【0016】
本発明の円筒状物品の認証搬送装置によれば、円筒状物品の認証を高精度で実施でき、作業性の向上も図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る円筒状物品の認証搬送装置のC型フックの側面図である。
【
図2】(a)は、同円筒状物品の認証搬送装置に用いる第1、第2のフレキシブルアンテナの説明図、(b)は、同フレキシブルアンテナを斜視した説明図、である。
【
図3】(a)、(b)は、それぞれ同第1のフレキシブルアンテナを部分的に側断面視した説明図、同フレキシブルアンテナを平面視した説明図、である。
【
図4】(a)、(b)は、それぞれ同第2のフレキシブルアンテナを部分的に側断面視した説明図、同フレキシブルアンテナを平面視した説明図、である。
【
図5】(a)、(b)は、それぞれ変形例に係る円筒状物品の認証搬送装置のC型フックの使用状態を示す側面図、背面図、である。
【
図6】円筒状物品の認証搬送装置のシステム構成の説明図である。
【
図7】(a)~(c)は、それぞれ本発明の第2の実施の形態に係る円筒状物品の認証搬送装置のコイルリフターの正面図、使用状態の正面図、アーム部及び爪部の部分拡大正面図、である。
【
図8】(a)は、本発明の第3の実施の形態に係る円筒状物品の認証搬送装置を適用したフォークリフトを斜め前方から視た説明図、(b)は、同フォークリフトの昇降手段の説明図、(c)は、他の昇降手段の説明図、である。
【
図9】(a)、(b)は、それぞれ従来例に係る円筒状物品の認証搬送装置のC型フックの使用状態を示す背面図、同C型フックの側面図、である。
【
図10】同C型フックの使用状態を示す説明図である。
【
図11】同C型フックの他の使用状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1に示す、本発明の第1の実施の形態に係る円筒状物品の認証搬送装置(以下、単に認証搬送装置とも記載)10は、クレーン(不図示)と、クレーンに取付けられ、円筒状物品11に形成された貫通孔12に挿入可能な挿入部13を備えるC型フック(支持手段の一例)14とを有し、挿入部13を貫通孔12に挿入した際に、円筒状物品11に取付けられたRFタグ15の識別情報(個別情報)を読み取り、円筒状物品11をC型フック14で支持して移動させるものである。
以下、詳しく説明する。
【0019】
クレーンとしては、C型フック14を取付け可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、倉庫等の屋内に設置された天井クレーン等が挙げられるが、屋外で使用される自走可能なクレーン等でもよい。
C型フック14は、クレーンに取付け手段14aを介して取付けられる従来公知のものであり、側面視してコ字状となって、その下側部分である挿入部13が、円筒状物品11に形成された貫通孔12の片側(一側)から挿入可能なものである。このC型フック14は、挿入部13の上面及び/又は底面が、円筒状物品11やC型フック14の損傷を防止するための外装カバーで覆われているのが一般的である。
【0020】
円筒状物品11としては、例えば、薄板製品や線材製品、紙製品(段ボールの原紙等)等をそれぞれ巻回してコイル状にしたもの、即ち、鋼板(薄板)コイルや線材コイル、紙ロール等が挙げられるが、円筒状のものであれば特に限定されるものではなく、例えば、非鉄金属(銅箔やアルミニウム箔)のコイルやタイヤ等でもよい。この円筒状物品11には、その軸心方向に貫通孔12が形成されている。
円筒状物品11は、上記した製品の種類に応じて梱包材や結束バンド等を使用し、コイル状の状態を維持しているが、不要であればなくてもよい。
【0021】
円筒状物品11の貫通孔12内には、RFタグ15が取付けられている。
RFタグ15の取付け位置は、例えば、円筒状物品11内面(貫通孔12内)の軸心方向端部近傍(挿入部13が接触する上端部を除く領域)であるが、円筒状物品のサイズ等によっては、軸心方向中央部でもよい。このRFタグ15には、例えば、シール式やマグネット式(磁石式)等のものがあるため、取付ける対象物(円筒状物品や結束バンドの材質等)に応じて、適宜選択できる。例えば、線材コイルは、鋼板コイルと比較して表面に凹凸があるので、平たい結束バンドを使用することにより、RFタグの取付け場所として使い易いため好ましい。
【0022】
RFタグ15は、円筒状物品11の仕様、例えば、材質や寸法等の識別情報(データ)を格納(保持、記録)した識別子であり、電磁波で質問波を受信すると識別情報を含む回答波を電磁波で送信するものである。
このRFタグ15の種類としては、例えば、電子タグ、ICタグ、IDタグ、トランスポンダ、無線タグ、無線ICタグ等が挙げられ、また、金属対応タグと非金属対応タグとに分けられる。
【0023】
RFタグ15は、後述する、フレキシブルアンテナ(以下、単にアンテナとも記載)16が接続されたRFリーダ(送受信器)17から供給される電力でのみ動作するパッシブ型(搭載電池:無)のものであることが好ましいが、RFリーダから供給される電力で交信動作するセミパッシブ型(搭載電池:有(センサ専用))や、内蔵(搭載)した電池から供給される電力で全て動作するアクティブ型(搭載電池:有(交信用及びセンサ用))のものでもよい。
【0024】
C型フック14には、フレキシブルアンテナ16と、その基側に接続されたRFリーダ17とが設置されている。このフレキシブルアンテナ16は、同軸ケーブル18を用い、RFタグ15との間で電磁波(特に電波、以下同じ)の送受信を行うアンテナ素子19を先側に備えたものであり、また、RFリーダ17は、外部と無線通信するものである。
フレキシブルアンテナ16としては、同軸ケーブル18を用いたものであれば特に限定されるものではないが、特許第7178451号公報に記載のケーブル型無指向性のフレキシブルアンテナを使用することが好ましい。
【0025】
以下、
図2(a)、(b)、
図3(a)、(b)、
図4(a)、(b)を参照しながら、本発明の円筒状物品の認証搬送装置10のフレキシブルアンテナ16として使用するフレキシブルアンテナ(以下、単にアンテナとも記載)20、20aと、RFリーダ17として使用するRFリーダ21について、簡単に説明する。
フレキシブルアンテナ20、20aは、RFリーダ21に接続可能な同軸ケーブル22(アンテナ化)を用いたものであり、円筒状物品11の貫通孔12内に取付けられたRFタグ15との間で電磁波の送受信を行うものである。
【0026】
アンテナ20(アンテナ20aも同様)に用いた同軸ケーブル22は、断面が同心円を何層にも重ねたような構造となっており、内部導体(芯線:軟銅線)23と、この内部導体23の周囲表面を覆う絶縁体(絶縁部材:ポリエチレン等)24と、この絶縁体24の周囲表面を覆う外部導体(網状の銅線等)25と、この外部導体25の周囲表面を覆う外被(保護被覆(絶縁体):ビニール)26とを同軸上に有する従来公知のものである。この同軸ケーブル22の太さは、例えば、2~20mm程度のものがある。
【0027】
同軸ケーブル22の先端面からは、絶縁体24で覆われた内部導体23が突出して素子部27が形成され、この素子部27は先側にアンテナ素子28を有している。
このアンテナ素子28は、RFタグ15との間で電磁波の送受信を行うものであり、電磁波の周波数に応じてアンテナ素子の長さも変更することができ、その長さL1は、例えば、20~100mmの範囲で調整できる。
【0028】
上記した素子部27の基側(アンテナ素子28を除く)は、
図2(a)、(b)に示すバラン本体(バラン導体)30となる部分であり、詳細には、
図3(a)、(b)に示すように、基側の絶縁体24の周囲表面が、樹脂製のチューブ29で被覆され、このチューブ29の周囲表面がバラン導体30aで被覆されている。チューブ29とバラン導体30aは、同軸ケーブル22とは隙間を有して配置され、この隙間を介して、バラン導体30aと同軸ケーブル22の外部導体25とを半田付けし、この半田31により導通させている。
これにより、チューブ29とバラン導体30aは、バランとしての機能を備えて素子部27のアンテナ性能を向上させながら、同軸ケーブル22にも意図的に電流を流すことができ、同軸ケーブル22にアンテナ機能を付与できる。
【0029】
なお、
図2(a)、(b)に示すバラン本体(バラン導体)30となる部分に、上記した樹脂製のチューブ29を用いることなく、
図4(a)、(b)に示すフレキシブルアンテナ20aのように、素子部27の基側(アンテナ素子28を除く)の絶縁体24の周囲表面をバラン導体30b(バラン導体30aと同様の構成)で直接覆うこともできる(被覆できる)。なお、
図4(a)、(b)では、フレキシブルアンテナ20と同一部材には同一符号を付している。
【0030】
このバラン導体30bは、同軸ケーブル22とは隙間を有して配置され、この隙間を介して、バラン導体30bと同軸ケーブル22の外部導体25とを、例えば、半田付けし、この半田31により導通させている。
これにより、
図4(a)、(b)に示すアンテナ20aは、
図3(a)、(b)に示すアンテナ20より構成を簡単にできると共に、同軸ケーブル22側への漏洩電流を減少させることで、素子部17のアンテナ性能を向上させることができる。
【0031】
同軸ケーブル22の基端部は、
図2(a)に示すように、RFリーダ21に接続された給電線32(同軸ケーブル)に、コネクタ33を介して取付け取外し可能に接続される。
また、給電線32と同軸ケーブル22との接続部分であって、給電線32の先端部には、フェライトコア34が取付けられている。このフェライトコア34は、同軸ケーブル22を流れる漏洩電流が給電線32へ流れることを阻止する(縁切りする)ものであるため、給電線32と同軸ケーブル22との接続部分近傍であれば、例えば、同軸ケーブル22の基端部に取付けることもできるが、同軸ケーブル22を流れる漏洩電流の大きさによっては使用しなくてもよい。
【0032】
RFリーダ21は、所定の高周波電流をフレキシブルアンテナ20(フレキシブルアンテナ20aも同様)に送出するものであって、既存のRFタグリーダ(リーダ/ライタ)と同様の構成であり、RFタグに電力を供給するものであることが好ましいが、供給しないものでもよい。
このRFリーダ21は、RF-IDの仕組みを用いて、高周波電流をフレキシブルアンテナ20へ伝送し、電磁波として送出する。このフレキシブルアンテナ20から送出された電磁波をRFタグが受信することで、予め設定された識別情報(データ)を電磁波として返信する。この返信された電磁波をフレキシブルアンテナ20にて読取る。
【0033】
本発明の円筒状物品の認証搬送装置10は、
図1に示すように、フレキシブルアンテナ16が、C型フック14の形状に沿うように、基側(上側)から先側(下側)にかけて円筒状物品11が接触しない領域に配置され、RFリーダ17が、C型フック14の上側上面に配置されている。
フレキシブルアンテナ16は、具体的には、C型フック14の外周面(外表面)、及び/又は、側面(側部表面)に設置することができる。
【0034】
ここで、フレキシブルアンテナ16をC型フック14の外周面に設置するとは、C型フック14の上面から背面を経由して底面まで設置することを意味する(ケース1)。
この設置に際しては、C型フックを加工することなくそのままの状態で、C型フックの外周面に沿ってフレキシブルアンテナを湾曲させて取付け固定することができるが、例えば、C型フックの外周面は前記したように外装カバーで覆われているため、この外装カバーに溝加工を施し、形成した溝内にフレキシブルアンテナを設置することもできる。これにより、外装カバー表面からのフレキシブルアンテナの突出を防止できる。
【0035】
また、フレキシブルアンテナ16をC型フック14の側面に設置するとは、C型フック14の上側から下側へかけて、その側面に設置することを意味する(ケース2)。
この設置に際しては、C型フックを加工することなくそのままの状態で、C型フックの側面に沿ってフレキシブルアンテナを湾曲させて取付け固定することができる。なお、フレキシブルアンテナは、C型フックの一側面(片面)のみに設置してもよく、また、C型フックの両側面に設置してもよい。
なお、C型フックに複数のフレキシブルアンテナ16を設置する際は、複数のフレキシブルアンテナ16を1つのRFリーダ17に直接接続して、又は、分配器を介して接続して、使用することが好ましいが、複数のフレキシブルアンテナ16それぞれにRFリーダ17が接続された状態で使用することもできる(以下、同じ)。
【0036】
C型フック14の挿入部13の先側端部の両側面には、
図5(a)、(b)に示すように、センサ40を取付けることが好ましい。この場合、フレキシブルアンテナ16は、C型フック14の外周面に沿って設置する(ケース1)のが好ましい。
センサ40は、円筒状物品11の貫通孔12内面との距離(水平距離)が計測可能なものであり、このセンサとしては、例えば、超音波センサやレーザセンサが挙げられる。
これにより、C型フック14の挿入部13が貫通孔12に挿入されたことを検知できるため、挿入部13が貫通孔12に挿入されたか否かの判断を簡単かつ確実に行うことができる。
【0037】
ここで、挿入部13が貫通孔12に挿入されたか否かの判断は、挿入部13の両側面に取付けられた各センサ40の測定値A、Bが円筒状物品11の内径の1/2(半分)相当の値となるため、この測定値を基に、例えば、下式により行う。
「A」+「B」<「円筒状物品11の内径」+「許容値」
上記許容値としては、例えば、5mm~30mm程度の範囲内(ここでは20mm)で設定できる。
これにより、C型フック14の挿入部13が貫通孔12に挿入されたと判断した場合に、フレキシブルアンテナ16のアンテナ素子19からRFタグ15に向けて電磁波を照射することで、認証対象となる円筒状物品11に近接配置された他の円筒状物品のRFタグの識別情報を誤読するという問題を解消できるため好ましい。
【0038】
なお、
図5(a)中の符号41は、センサ40にケーブルを介して接続された小型PCを収容したケースであり、このケース41内に、RFリーダ17も収容されている。
また、ケース41には、上記したRFリーダ17や小型PC等に給電を行うためのバッテリ(例えば、モバイルバッテリ)と、RFリーダ17及び小型PCに接続されたアクセスポイントも収容されている。このアクセスポイントは、後述する倉庫内のクレーン操作室のクレーン用端末(外部)とは、アンテナを介して無線通信可能になっている。
【0039】
続いて、以上に示した円筒状物品の認証搬送装置10のシステム構成について、
図6を参照しながら説明する。
円筒状物品の認証搬送装置10は、事務所、事務所サーバ室、倉庫内、及び、倉庫前が、例えば、LANケーブルにて接続されている。
【0040】
ここで、事務所には、事務所内の作業者が、円筒状物品11の管理状況(搬入や搬出)等を確認するための事務所用端末(コンピュータ)が設置され、これがLANケーブルに接続されている。
また、事務所サーバ室には、円筒状物品の入出庫管理システムと置場システムサーバが設置され、これらがSW-HUB(スイッチングハブ、以下同じ)を介してLANケーブルに接続されている。なお、置場システムサーバには、UPS(無停電電源装置)が接続されている。
【0041】
倉庫内には、作業者が使用する入出庫管理システム用BCR(バーコードリーダ、以下同じ)と現場用タブレットがあり、これらがLANケーブルに接続されたアクセスポイント(無線機や無線NW)に無線で通信可能に接続されている。
一方、倉庫前には、LANケーブルに接続されたアクセスポイントが設置され、倉庫外(エプロン)の作業者が使用する入出庫管理システム用BCRと無線で通信可能に接続されている。
【0042】
以下、倉庫内のクレーン機上のシステムについて説明する。
クレーン操作室にはクレーン用端末(端末)が設置され、クレーンPLC(クレーン用制御装置)が円筒状物品の位置管理部として機能する。このクレーンPLCには、円筒状物品の置場位置(番地と段数)を計測する距離計(XY座標)、及び、荷重を計測するロードセルが接続され、これらの情報がクレーンPLCに入力される。なお、円筒状物品の高さ位置(積段)は、例えば、円筒状物品の外径等を用いた式で算出できるが、高さ計を用いることもできる。
クレーン用端末とクレーンPLCは、クレーン操作室に設置されたSW-HUBとクレーンPLCに接続されたSW-HUBを介して、LANケーブルにより接続されている。
【0043】
クレーン操作室に設置されたSW-HUBには、アンテナがアクセスポイント(AP)を介して接続され、クレーン用端末からの信号がアンテナを介して倉庫内へ発信可能、また、倉庫内の信号がアンテナを介してクレーン用端末で受信可能な構成となっている。
上記したアンテナは、前記したRFリーダ17に接続されたアクセスポイント(AP)と、無線により信号の送受信が可能になっている。なお、RFリーダ17やアクセスポイントには、バッテリが接続され、給電可能になっている。
【0044】
これにより、クレーン用端末がRFリーダ17に無線で接続されるため、クレーン用端末からの指示(操作)により、予め設定されたプログラムに基づいて、RFリーダ17とフレキシブルアンテナ16との間の操作、具体的には前記したRFリーダ21とフレキシブルアンテナ20との間の操作を自動的に所定の周期で繰り返し実施できる。このクレーン用端末には、RFリーダ17で読取ったデータの内容やRFリーダ17の動作状況等が送信され保存される。
【0045】
続いて、本発明の円筒状物品の認証搬送装置10の使用方法について、
図1を参照しながら説明する。
クレーンの操縦者は、C型フック14を目的とする(搬送対象となる)円筒状物品11の上方まで移動させる。ここでは、RFタグ15の識別情報の認証のための、フレキシブルアンテナ16からの電磁波の照射は行わない。
【0046】
次に、C型フック14を、その挿入部13が円筒状物品11の貫通孔12に挿入可能な位置まで降下させ、挿入部13を貫通孔12に挿入した後、クレーンの操縦者は、クレーン用端末を使用し、RFタグ15の識別情報の認証のために、フレキシブルアンテナ16からの電磁波の照射を行う。
一方、挿入部13の先側端部の両側面に、
図5(a)、(b)に示すセンサ40が取付けられている場合は、挿入部13が貫通孔12に挿入され検知されたときに、フレキシブルアンテナ16から自動的に電磁波を照射し、上位システムからの指示材(目的とする円筒状物品11)との認証結果が通知される。
このように、電磁波の照射は、クレーンの操縦者が手動(自身の判断)で、又は、自動的に行うことができ、また、必ずしも上位システムを使用する必要もなく、クレーンの操縦者が円筒状物品11の置き場(配置環境)のレイアウトを確認しながら認証を行ってもよい。
【0047】
RFタグ15の識別情報の認証の結果、目的とする円筒状物品11である場合、この円筒状物品11をC型フック14で支持して移動させる。一方、目的とする円筒状物品ではない場合、C型フック14の挿入部13を貫通孔12から抜き、C型フック14を上昇させた後、目的とする円筒状物品の上方まで移動させ、降下させて、上記操作を繰返し行う。
そして、クレーンの操縦者は、C型フック14で目的とする円筒状物品11を吊上げ、移動させた後、円筒状物品11を倉庫前まで移動させて出荷する。なお、倉庫内及びエプロン(倉庫外)ではそれぞれ、作業者が、円筒状物品11にRFタグ15とは別途取付けられたバーコードに対し、入出庫管理システム用BCRを用いて、円筒状物品11の搬出等を確認し、事務所サーバ室の入出庫管理システムで管理される。
【0048】
次に、
図7(a)~(c)を参照しながら、本発明の第2の実施の形態に係る円筒状物品の認証搬送装置(以下、単に認証搬送装置とも記載)50について説明する。
認証搬送装置50は、クレーン(不図示)と、クレーンに取付けられた従来公知のコイルリフター(支持手段の一例)51を有している。このコイルリフター51は、対となるアーム部52と、その下端に折畳み可能に設けられた爪部(挿入部の一例)53とを有し、使用にあっては、各アーム部52がコイルリフター51を正面視してL字状となって、その下端に設けられた爪部53が、円筒状物品11に形成された貫通孔12の両側から挿入可能になっている。
【0049】
フレキシブルアンテナ16は、
図7(c)に示すように、アーム部52の形状に沿うように、その高さ方向中央部から爪部53にかけて、円筒状物品11が接触しない領域に配置され、フレキシブルアンテナ16の基側が接続されるRFリーダ17が、アーム部52の高さ方向中央部に配置されている。なお、RFリーダ17には、バッテリ及びアクセスポイント(不図示)等が接続されている。
具体的には、アンテナ素子19を除くフレキシブルアンテナ16とRFリーダ17は、コイルリフター51の正面又は側面(側部表面)となるアーム部52の面に取付け固定され、アンテナ素子19は、爪部53の底面(ケース1)又はコイルリフター51の正面となる面(ケース2)に配置される。
【0050】
上記したフレキシブルアンテナ16は、アンテナ素子19の感度が最も強く、かつ、RFタグ15は円筒状物品11内面の端部近傍に設置されているため、コイルリフター51の対となるアーム部52のいずれか一方のアーム部52のみに設置すればよいが、双方のアーム部52に設置することもできる。
これにより、RFタグ15の識別情報の認証精度を更に向上できる。
【0051】
使用にあっては、対向するアーム部52の間隔を広げた状態で、コイルリフター51を、目的とする(搬送対象となる)円筒状物品11の上方まで移動させた後、降下させる。
次に、対向するアーム部52を、円筒状物品11の軸心方向両側に位置するように移動させ、爪部53を折り畳まれた状態から開いた状態とし、円筒状物品11に形成された貫通孔12の両側から挿入する。そして、RFタグ15の識別情報の認証のために、フレキシブルアンテナ16からの電磁波の照射を行う。一方、前記したC型フック14と同様に、爪部53の「開」信号をトリガーにして、自動的な電磁波の照射方式を採用してもよい。
RFタグ15の識別情報の認証の結果、目的とする円筒状物品11である場合、この円筒状物品11をコイルリフター51で支持して移動させ、一方、目的とする円筒状物品ではない場合、コイルリフター51の爪部53を貫通孔12から抜き、コイルリフター51を上昇させた後、目的とする円筒状物品の上方まで移動させ、降下させて、上記操作を繰返し行う。
【0052】
続いて、
図8(a)~(c)を参照しながら、本発明の第3の実施の形態に係る円筒状物品の認証搬送装置(以下、単に認証搬送装置とも記載)について説明する。
認証搬送装置は、従来公知のフォークリフト60であり、車体前方には昇降手段(支持手段の一例)61が設けられている。昇降手段61は、2本のフォーク(挿入部の一例)62と、このフォーク(爪)62を昇降させるマスト63とを備え、各フォーク62がそれぞれ、円筒状物品11に形成された貫通孔12の一側から挿入可能になっている。なお、
図8(a)~(c)中の符号64は、フォーク62で支持した荷物がマスト63の後方へ落ちるのを防ぐためのバックレスト(荷受け枠)である。また、フォークリフトの種類は、円筒状物品の貫通孔の一側から挿入可能な挿入部を備えていれば、特に限定されるものではなく、例えば、1本のフォークを備えるものでもよい。
【0053】
フレキシブルアンテナ16は、
図8(b)に示すように、一方又は双方のフォーク62下側の基端部(バックレスト側)から先端部にかけて、円筒状物品11が接触しない領域に配置されている。具体的には、フレキシブルアンテナ16が、フォーク62下側の側面又は底面に取付け固定され、フレキシブルアンテナ16のアンテナ素子19が、フォーク62の下側先部に配置される。
また、フレキシブルアンテナ16の基側が接続されるRFリーダ17は、フォーク62下側の基端部側面に配置されているが、バックレスト64に取付け固定することもできる。なお、RFリーダ17には、バッテリ及びアクセスポイント(不図示)等が接続されている。
【0054】
また、フレキシブルアンテナ16は、
図8(c)に示すように、マスト63の上側からフォーク62下側の先端部にかけて、円筒状物品11が接触しない領域に配置することもできる。
具体的には、RFリーダ17を、マスト63の上側側面に取付け固定し、アンテナ素子19を除くフレキシブルアンテナ16を、マスト63の側面を経由して、フォーク62下側の側面(側部表面)又は底面に取付け固定する。なお、アンテナ素子19は、フォーク62の下側先部に配置する。
【0055】
この場合、フォーク62の昇降の際に、アンテナ素子19を除くフレキシブルアンテナ16にたるみが生じて、昇降手段61等との干渉トラブルを招くおそれがある。そこで、フォーク62下側の基端部又はバックレスト64に、フレキシブルアンテナ16の巻取りドラム65を取付けて、フレキシブルアンテナ16のたるみを解消することが好ましい。この巻取りドラム65としては、例えば、フレキシブルアンテナ16の巻取り巻戻しを自動で行うものが好ましく、渦巻きバネ等を利用したものを挙げることができる。
【0056】
使用にあっては、フォークリフト60の操縦者は、フォークリフト60を操縦して目的とする(搬送対象となる)円筒状物品11まで移動させる。
次に、フォーク62の長さ方向を円筒状物品11の軸心方向に合わせながら、円筒状物品11の貫通孔12の一側からフォーク62を挿入する。そして、フォークリフト60の操縦者は、運転席に設置されたフォークリフト用端末66を操作して、RFタグ15の識別情報の認証のために、フレキシブルアンテナ16からの電磁波の照射を行う。一方、フォークの先側端部の両側面に、前記した
図5(a)、(b)に示すセンサ40が取付けられている場合は、フォークが貫通孔12に挿入され検知されたときに、フレキシブルアンテナから自動的に電磁波を照射する方式を採用してもよい。
RFタグ15の識別情報の認証の結果、目的とする円筒状物品11である場合、この円筒状物品11をフォーク62で支持した後、フォークリフト60を操縦して移動させ、一方、目的とする円筒状物品ではない場合、フォーク62を貫通孔12から抜き、フォークリフト60を搬送対象となる円筒状物品まで移動させて、上記操作を繰返し行う。
【0057】
以上、本発明を、一実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の円筒状物品の認証搬送装置を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
前記実施の形態においては、円筒状物品の認証搬送装置の支持手段が、C型フック、コイルリフター、フォークリフトの昇降手段である場合について説明したが、認証を必要とする円筒状物品を支持して移動させるものであれば、特に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、円筒状物品の認証を高精度で実施でき、作業性の向上も図ることが可能な円筒状物品の認証搬送装置を提供できることから、産業上有用である。
【符号の説明】
【0059】
10:円筒状物品の認証搬送装置、11:円筒状物品、12:貫通孔、13:挿入部、14:C型フック(支持手段)、14a:取付け手段、15:RFタグ、16:フレキシブルアンテナ、17:RFリーダ、18:同軸ケーブル、19:アンテナ素子、20、20a:フレキシブルアンテナ、21:送受信器、22:同軸ケーブル、23:内部導体、24:絶縁体、25:外部導体、26:外被、27:素子部、28:アンテナ素子、29:チューブ(樹脂部材)、30:バラン本体(バラン導体)、30a、30b:バラン導体、31:半田、32:給電線、33:コネクタ、34:フェライトコア、40:センサ、41:ケース、42:ケーブル、50:円筒状物品の認証搬送装置、51:コイルリフター(支持手段)、52:アーム部、53:爪部(挿入部)、60:フォークリフト、61:昇降手段(支持手段)、62:フォーク(挿入部)、63:マスト、64:バックレスト、65:巻取りドラム、66:フォークリフト用端末
【要約】
【課題】円筒状物品の認証を高精度で実施でき、作業性の向上も図ることが可能な円筒状物品の認証搬送装置を提供すること。
【解決手段】円筒状物品11に形成された貫通孔12の一側又は両側から挿入可能な挿入部13を備える支持手段14を有し、挿入部13を貫通孔12に挿入した際に、貫通孔12内に取付けられたRFタグ15の識別情報を読み取り、筒状物品11を支持手段14で支持して移動させる認証搬送装置10であり、支持手段14には、RFタグ15との間で電磁波の送受信を行うアンテナ素子19を先側に備える同軸ケーブル18を用いたフレキシブルアンテナ16と、その基側に接続された外部と無線通信するRFリーダ17とが設置され、挿入部13にアンテナ素子19が配置されている。
【選択図】
図1