(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】服薬収容容器体
(51)【国際特許分類】
A61J 7/00 20060101AFI20240722BHJP
【FI】
A61J7/00 L
A61J7/00 Z
(21)【出願番号】P 2019211891
(22)【出願日】2019-11-23
【審査請求日】2022-11-24
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520213388
【氏名又は名称】株式会社サンポーウェルズ
(74)【代理人】
【識別番号】719003396
【氏名又は名称】川村 典康
(72)【発明者】
【氏名】川村 典康
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0243170(US,A1)
【文献】米国特許第03549006(US,A)
【文献】米国特許第04274573(US,A)
【文献】特表2017-517446(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を一包化した薬包を複数帯状に連続して配置した薬包体を収容する服薬収容容器体であって、
収容開口を有する収容容器と、前記収容開口を閉じる蓋体とでなる容器本体を備え、前記容器本体の側面には、前記薬包体を引き出し可能とするスリット状取出し口が
設けられ、前記スリット状取出し口に関連して、引き出された前記薬包体が前記スリット状取出し口から前記容器本体内に逆戻りするのを防止するための逆戻り防止手段が
設けられており、
前記逆戻り防止手段は、前記薬包体を拘束せずに前記薬包体に接する接触体から構成され、前記接触体は、前記スリット状取出し口から外斜め下方向でかつ前記スリット状取出し口より離れる方向に延びる外斜面部と、前記外斜面部から前記容器本体内に連続して延設された内斜面部とを有しており、
更に、前記接触体の前記内斜面部には、前記薬包体が沿う形状の凹部が形成されていることを特徴とする服薬収容容器体。
【請求項2】
前記接触体の前記外斜面部と前記内斜面部との合計長さが前記薬包体の一つの薬包分の長さと等しい又はこの長さよりも長いことを特徴とする請求項
1に記載の服薬収容容器体。
【請求項3】
前記接触体は、前記容器本体内の前記スリット状取出し口の近傍に設けられ、少なくとも前記薬包体の一方の横端部に接する狭窄部を含んでいることを特徴とする請求項
1に記載の服薬収容容器体。
【請求項4】
前記接触体の前記外斜面部の先端部乃至その近傍に、前記薬包を切り離す際の滑り止めとなる
複数の小突起が設けられていることを特徴とする請求項
1に記載の服薬収容容器体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調剤された薬剤を一包化した複数の薬包を帯状に連続配置した薬包体を収容する服薬収容容器体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、薬局や医院で一包化された薬包を帯状に連続配置した薬包体を服用する際には、薬包体から薬包を一つ一つ切り離して服用するため、手間がかかり、高齢者では、朝昼夕に3回服用する場合などは、服用を忘れやすく、薬包を切り離した状態では、服用する薬剤自体を間違いやすいものであった。そこで、薬包体から切り離した薬包を、服用時点毎に区分けしたボックスに仕分けできるものがあったが、置くスペースを取りやすく、またそのボックス自体をひっくり返す恐れがあった。また、長い薬包体を折り畳んで箱体に詰めて取り出すものがあるが、薬が潰れやすく、また、カプセルの薬剤の場合には折り畳まれているため、取り出し口にひっかかり取り出しにくいなどの欠点があった。
また、老健など高齢者施設では、スタッフが複数の患者(住人)の薬を管理しているが、薬包体になったこの薬剤を管理することは、複雑となりがちであり、改善が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術として特許文献1に示されるように、処方された薬剤を一包化した帯状のシートを蛇腹状に折って収納し、上面の開口部からシートの端を引き出し、上面の開口部の横の2本の切れ込みを通すことによってシートを固定する「お薬便利ストッカー」があるが、使用初めに2本の切り込み口にシートを通す際、厚みのある薬剤が内包されているシートの場合には、通しにくい恐れがあり、不便なものであった。
他方、箱体に処方された薬剤を一包化した帯状のシートを渦巻き状のロール形式に巻いて収納し、開口部を上方や横方に位置させて、開口部からシートの端を引き出して使用した場合では、シートを引き出した際に、巻いた帯状のシート自体が巻かれた状態で開口部側に引き付けられて、一つの分包を切り離しシートから手を離すと、巻かれたシートの自重で下方に移動してしまい、シートの端が開口部から容器内に引き戻されて、次に使用する際にシートの端が持てず、非常に使いづらいものであった。
【0005】
本発明の目的は、シンプルで使いやすい薬包体を収容する服薬収容容器体を提供することである。具体的には、簡単に薬包体の薬剤を確認でき、取り出しやすく、薬包体が容器体内に引き戻されにくく、且つ日常生活の一部として溶け混む、例えば、卓上などに設置しやすい形状と、適度な強度を有し、しかも安価で導入しやすいものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の服薬収容容器体は、薬剤を一包化した薬包を複数帯状に連続して配置した薬包体を収容する服薬収容容器体であって、収容開口を有する収容容器と、前記収容開口を閉じる蓋体とでなる容器本体を備え、前記容器本体の側面には、前記薬包体を引き出し可能とするスリット状取出し口が設けられ、前記スリット状取出し口に関連して、引き出された前記薬包体が前記スリット状取出し口から前記容器本体内に逆戻りするのを防止するための逆戻り防止手段が設けられており、前記逆戻り防止手段は、前記薬包体を拘束せずに前記薬包体に接する接触体から構成され、前記接触体は、前記スリット状取出し口から外斜め下方向でかつ前記スリット状取出し口より離れる方向に延びる外斜面部と、前記外斜面部から前記容器本体内に連続して延設された内斜面部とを有しており、更に、前記接触体の前記内斜面部には、前記薬包体が沿う形状の凹部が形成されている。
【0007】
本発明の服薬収容容器体の逆戻り防止手段は、スリット状取出し口から引き出された薬包体を服薬収容容器体内に逆戻りさせる力より大きくなるように、薬包体を拘束せずに薬包体に接する接触体から構成されていることを特徴とする。また容器本体内に、渦巻き状に巻き付けられた薬包体からスリット状取出し口に向けて引き出される薬包体と巻き付けられた薬包体とを分離する分離接触体が設けられ、分離接触体が前記逆戻り防止手段として機能することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の服薬収容容器体は、収容容器本体内に収容された薬包体を取り出し口からスムーズに引き出しできるので、薬包体の薬剤を確認して取り出しやすく、収容容器本体内に引き出戻されようとする薬包体が収容容器本体内に引き戻されずに、次に使用するときに便利なものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】実施例1の容器本体である収容容器と蓋体を示す斜視図である。
【
図3】実施例1の容器本体に薬包体を収容した状態を示す側面図である。
【
図8】(a)は実施例2のスリット状取出し口の部分正面図、(b)は実施例2の収容容器と蓋体との係合部分の部分断面図である。
【
図11】実施例3の別の実施例の収容容器の側面図である。
【
図12】実施例3の収容容器と蓋体との係合部分の断面図である。
【
図14】実施例4の容器本体に薬包体を収容した状態を示す側面図である。
【
図15】(a)は薬包体の斜視図、(b)は薬包体の断面図である。
【
図17】実施例5のスリット状取出し口12の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の服薬収容容器体の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1~15は、本発明の服薬収容容器体の実施例であり、図において、1は服薬収容容器体、10は容器本体、2は収容容器、3は蓋体、4は逆戻り防止手段、5は薬包体である。服薬収容容器体1は、
図10で示すように、薬剤を一包化した薬包50,50,50、・・・を複数帯状に連続して配置した薬包体5を収容するものであり、収容容器2と蓋体3とでなる容器本体10で形成されている。服薬収容容器体1は、プラスチック製や紙製などで形成されるものである。
【0011】
(実施例1)
図1~3に示されるように、本発明の容器本体10の収容容器2の一端面には、薬包体5を収容容器2内に収容するための収容開口21が形成されている。蓋体3はこの収容開口21を閉じるものであり、収容容器2の収容開口21の周縁部21aに蓋体3の開口31の周縁部31bが係合されて閉じられるものである。
【0012】
容器本体10の側面11には、容器本体2内に収容する薬包体5の先端を引き出し可能とするスリット状取出し口12が設けられている。スリット状取出し口12は、収容容器2の側面11aに設けられている取出し口12aと、蓋体3の側面11bに同様に設けられている取出し口12bとで構成されており、収容容器2と蓋体3とが係合された取出し口12aと取出し口12bとが一体となってスリット状取出し口12が形成されることになり、容器本体2内に収容されている薬包体5を引き出し可能となるものである。このスリット状取出し口12の短手方向の開口幅は、薬包体5の薬剤を一包化した薬包50の厚み以上であればよく、例えば、薬剤の厚さから少なくとも15~18mmであればよいものであり、またスリット状取出し口12の長手方向の開口幅は薬包体5の横幅とほぼ同じ長さであればよいものであり、一般的な薬包体5の横幅の約70mmであればよい。
【0013】
引き出された薬包体5がスリット状取出し口22から容器本体10内に逆戻りするのを防止する逆戻り防止手段4が、容器本体10に設けられている。スリット状取出し口12から引き出された薬包体5は、収容されている薬包体5の自重等による容器本体10内に逆戻りさせる力が働くが、逆戻り防止手段4は、その力より大きくなるように形成されているものであり、薬包体5を挟んだりせずに、即ち拘束せずに薬包体5に接する接触体40でなるものである。
【0014】
本発明の実施例1の逆戻り防止手段4である接触体40は、スリット状取出し口12の長手方向の一端より外斜め方向でかつスリット状取出し口12より離れる方向に延設された外斜面部41と、この外斜面部41から連続して容器本体10内に延設され内斜面部42とでなる。外斜面部41と内斜面部42とからなる接触体40の合計長さを、薬包体5の一つの薬包50分の長さと等しい又はこの長さよりも長いように設ければよいものである。この長さにすることによって、スリット状取出し口22から引き出された薬包体5を容器本体10内に逆戻りさせることがないものである。即ち、薬包体5が接触体40に接することにより、薬包体5の先の部分が容器本体10内に位置する薬包体5の自重等により引き戻されようとする力に抗して、引き出された状態を保つものである。
【0015】
収容容器2と蓋体3とが係合された際に、接触体40の外斜面部41は、収容容器2の外斜面部41aと蓋体3の外斜面部41bとにより形成され、同様に、内斜面部42は、収容容器2の内斜面部42aと蓋体3の内斜面部42bとにより形成されることになり、接触体40は、収容容器2の接触体40aと蓋体3の接触体40bとにより構成されることになる。
【0016】
接触体40の内斜面部42の容器本体10内の先部分には円柱形状でなる円弧状の先端部43が設けられており、引っ張り出される薬包体5を傷付けることなく、薬包体5の薬包50の袋自体を破れないようにすることができるものである。スリット状取出し口12の端部と内斜面部42や先端部43との開口間隔は、薬包体5の薬剤を一包化した薬包50の厚み以上であればよく、例えば、薬剤の厚さから15~18mmであればよいものである。
【0017】
内斜面部42の先端部43は、容器本体10内に突出した状態で形成されているため、
図3のように、容器本体10内において、渦巻き状に巻き付けられて収容されている薬包体5(一点鎖線にて示す)からスリット状取出し口12に向けて引き出される薬包体5aと巻き付けられた薬包体5とを分離する接触部分となり、薬包体5を引き出さす際に、この先端部43により巻き付けられた薬包体5が押し戻されて引き出される薬包体5と巻き付けられた薬包体5とを確実に分離することができる。そのため、スリット状取出し口12方向に引き寄せられる渦巻き状の薬包体5が押し戻されると同時に薬包体5の自重にて下方に移動して、薬包体5から薬包50を切り離した後に薬包体5から手を放しても、薬包体5自体の自重等の力が働かず、また、引き出されている薬包体5が接触体40、即ち外斜面部41、内斜面部42、先端部43とに接触することにより、薬包体5が容器本体10内には引き戻されずに、引き出された状態を保つものである。
【0018】
即ち、内斜面部42の先端部43は、渦巻き状に巻き付けられた薬包体5からスリット状取出し口12に向けて引き出される薬包体5aと巻き付けられた薬包体5とを分離する逆戻り防止手段として機能する分離接触体となるものである。
【0019】
接触体40の外斜面部41の先端部乃至その近傍の表面には小突起44が長手横方向に間隔を置いて複数形成されているものである。引き出された薬包体5から一つの薬包50を切り離す際に、薬包50、50間のミシン目51を外斜面部41の先端部分に合わせて薬包50を切り離す際に、横方向にずれにくく、薬包50の切り離しが容易になるものである。具体的には、例えば小突起4の幅2mm、高さ2mmの山形状に丸みを持って4mm間隔で形成されている。なお、すべり止めとして、ゴム材等の弾性体を用いても良いものである。
【0020】
接触体40自体は、容器本体10の外方に突出し、所謂くちばし形状に形成されており、外斜面部41の反対側にはへこみ部40aが形成されており、薬包体5から薬包50を切り離す際に、薬包体5を手の指にて外斜面部41に押し付ける際に、反対側のへこみ部40aに他の指を引っかけて押さえることができ、薬包50を安定的に切り離しが可能となる。
【0021】
(実施例2)
図4~8に示されるように、実施例1と同様に、本発明の容器本体10は収容容器2と蓋体3とでなる。容器本体10の収容容器2の一端面には、薬包体5を収容容器2内に収容するための収容開口21が形成されている。蓋体3はこの収容開口21を閉じるものであり、収容容器2の収容開口21の周縁部21aに蓋体3の開口31の周縁部31bが係合して閉じられるものである。容器本体10の側面11には、スリット状取出し口12が設けられ、収容容器2の側面に設けられている取出し口12aと、蓋体3の側面に設けられている取出し口12bとで構成されており、収容容器2と蓋体3とが係合された取出し口12aと取出し口12bとが一体となってスリット状取出し口12が構成されることになり、容器本体2内に収容されている薬包体5を引き出し可能となるものである。
【0022】
本発明の逆戻り防止手段4の接触体40は、スリット状取出し口12の長手方向の一端より外斜め方向でかつスリット状取出し口12より離れる方向に延設される外斜面部41が設けられ、この外斜面部41から容器本体10内に連続して延設される内斜面部42aが設けられている。内斜面部42aの先端には湾曲先端部43aが形成されており、湾曲先端部43aは実施例1の先端部43と同様の機能を有する。また、接触体40の長さ、即ち外斜面部41と内斜面部42との長さが薬包体5の一つの薬包50分の長さと等しい又はこの長さよりも長いように設ければよいものである。
【0023】
収容容器2と蓋体3とが係合された際に、接触体40の外斜面部41は、収容容器2の外斜面部41aと蓋体3の外斜面部41bとにより構成され、同様に、内斜面部42は、収容容器2の内斜面部42aと蓋体3の内斜面部43bとにより構成されることになり、また、湾曲先端部43aは、内斜面部42aの湾曲先端部43aaと内斜面部41bの湾曲先端部43bとで構成され、接触体40は、収容容器2の接触体40aと蓋体3の接触体40bとにより構成されることになる。
【0024】
収容容器2の湾曲先端部43aaの収容開口21側には、柱状部43sが突設されており、また、湾曲先端部43bの開口31側には円弧状内に係止孔43tが設けられている。収容容器2の収容開口21を閉じるように、蓋体3を収容容器2に係合する際に、湾曲先端部43bの係止孔43tに湾曲先端部43aa柱状部43sが挿入されて、係合するものであり、全体として係合状態を安定させるものである。
【0025】
容器本体1の内斜面部42には、凹部421が設けられている。引き出されている薬包体5が凹部421の凹部分の形状に沿うことにより、薬包体5の接触体40への接触長さが増え、容器本体10内に引き戻そうとする力に抗して、更に薬包体5が引き戻されないものである。
【0026】
スリット状取出し口12の両端近傍である収容容器2と蓋体3との内面には、薬包体5の両横端部分に接する狭窄部46、46が設けられており、
図8(a)のように、この狭窄部46、46間の幅sは、薬包体5の横幅より狭く形成されており、狭窄部46、46に薬包体5の横幅両端部が接触することにより、薬包体5を容器本体10内に引き戻そうとする力に抗して、薬包体5が引き戻されないものである。
【0027】
図8(b)は、実施例2の収容容器2と蓋体3との係合部分の部分断面図であり、収容容器2の収容開口21の周縁部21aに段差周部22が設けられ、この段差周部22に蓋体3の周縁部31bが係合され、収容容器2と蓋体3が係合されることになる。そして、段差周部22の外斜面部41が設けられている一辺の外面に係合突部23aが設けられ、その係合突部23aが設けられている位置に合うように、蓋体3の周縁部31bの内側面に係合凹部33b
が設けられている。収容容器2と蓋体3とを
係合させた際に、
図8(b)にように、係合突部23aと係合
凹部33bとが係合して、収容容器2と蓋体3の外れ防止となる。また、この係合突部23a、係合
凹部33bは、外斜面部41が設けられている反対側の辺が設けられており、より外れ防止となる。
【0028】
なお、接触体40は、内斜面部42を設けず、外斜面部41だけで構成しても良いものであり、その場合は、上述したように、外斜面部41の長さが薬包体5の一つの薬包50分の長さと等しい又はこの長さよりも長いように設ければよいものである。この場合、スリット状取出し口12の近傍に設けられ、少なくとも薬包体5の一方の横端部に接する狭窄部46を設ければ、相まって更に逆戻り防止手段4の効果を高めるものである。
【0029】
(実施例3)
図9、10に示されるように、本発明の逆戻り防止手段4の接触体40は、スリット状取出し口12の長手方向の一端より外斜め方向でかつスリット状取出し口12より離れる方向に延設される外斜面部41と、外斜面部41から容器本体10内に延設されスリット状取出し口12と距離をおいて対面する内斜面部42aとで形成されている。内斜面部42aの先端には湾曲先端部43aが形成されており、湾曲先端部43aは実施例1の先端部43と同様の機能を有する。また、接触体40の長さ、即ち外斜面部41と内斜面部42との長さが少なくとも薬包体5の一つ分の薬包50の長さ以上であることがよいものである。
【0030】
実施例3の接触体40の内斜面部42にて、引き出される薬包体5との接触長さが多くなるため、逆戻り防止の機能をより強化できるものである。また、内斜面部42がスリット状取出し口12と対面する形成されているために、外斜面部41に位置する薬包体5が内斜面部42aにて方向が変わり、薬包体5を容器本体10内に引き戻そうとする力に抗して、薬包体5がより引き戻されないものである。
【0031】
図11は、実施例2の別の実施例であり、接触体40の内斜面部42に凹部421が設けられている。引き出されている薬包体5が凹部421の凹部分の形状に沿うことにより、薬包体5の接触体40への接触長さが増え、容器本体10内に引き戻そうとする力に抗して、更に薬包体5が引き戻されないものである。
【0032】
図11に示されるように、容器本体10内に収容される薬包体5を巻き付ける芯体13を容器本体の中央部分の収容容器2と蓋体3の間に設けてよいものであり、薬包体5を容器本体10内に収容し易くするものである。芯体13自体は着脱式であっても良い。
【0033】
図12は、収容容器2と蓋体3との係合部分の部分断面図であり、収容容器2の収容開口21の周縁部21aと蓋体3の開口部31の周縁部31bとにそれぞれ段差周部22、32を形成して、段差周部22、32が係合されて収容容器2と蓋体3とが係合されることになる。そして、段差周部22、32の一辺に係合凹部23、係合凸部33を形成して、この係合凹部23と係合凸部33とが係合して、収容容器2と蓋体3の外れ防止となる。この係合凹部23、係合凸部33は、段差周部22、32が設けられている辺の反対側の辺にも設けられている。
【0034】
図9、10のように、係合凹部23、係合凸部33が形成されている収容容器2収容開口21の周縁部21aと蓋体3の収容開口31の周縁部31bの外側には、周方向に位置をずらして近接する突起部6、6が形成されている。この突起部6、6は、係合凹部23、係合凸部33が形成されている辺とは異なる辺に形成されており、収容容器2と蓋体3との係合を外す際に、指にて突起部6、6を反対方向の力を加えることにより、収容容器2と蓋体3との係合状態を外しやすくするものである。なお、突起部6、6を設けない場合は、スリット状取出し口12の開口部分に指を引っかけて係合状態を外しても良いものである。
【0035】
(実施例4)
図13,14に示されるように、本発明の実施例4では、逆戻り防止手段4の接触体4は、容器本体10内に、容器本体10の側面の内面より所定距離をおいて、スリット状取出し口12の長手方向で、収容容器2と蓋体3の内面間に設けられた接触支持杆45でなるものである。接触支持杆45は、
図14のように、接触支持杆45は、スリット状取出し口12の近傍で、外斜面部41の内方への延長線上の付近に形成されており、外斜面部41と相まって、薬包体5(一点鎖線で示す)が容器本体10内に引き戻されないように機能するものである。接触支持杆45は、
図14のように複数あっても良く、その場合は、接触支持杆45a、45bが連携するように配置するものであり、薬包体5における接触部分の長さが増してより良いものである。
【0036】
そして、接触支持杆45自体が、上記した実施例1、2、3に説明した接触体4の先端部43、43aに相当するものとなり、容器本体10内において、渦巻き状に巻き付けられて収容されている薬包体5からスリット状取出し口12に向けて引き出される薬包体5aと巻き付けられた薬包体5とを分離する接触部分となり、薬包体5を引き出さす際に、引き出される薬包体5と巻き付けられた薬包体5とを確実に分離することができるものである。即ち、また、接触支持杆45は実施例1、2、3の先端部43、43aと同様の機能を有する。
【0037】
図15(a)、(b)にて、薬包体5について述べる。薬包体5は、数種類の薬剤を一包化した薬包50、50、を複数帯状に連続して配置したものである。薬包体5を作製するのは自動的に薬剤を一包化する分包装置で行うものである。薬包体5は、薬包50の周囲を圧着部52で圧着されており、薬包50と薬包50との間はミシン目51が形成されていて、薬包体5から薬包50を切り離し可能となっているものである。
【0038】
図15(b)に示されるように、薬包50は圧着部52でシールされる前は、一端が袋状で他端が開放されており、その開放されている側の端部53を圧着して圧着部52を形成して、薬剤を薬包50内に内在させるものである。その際に端部53の外側部分には圧着部分がない部分がある。
【0039】
(実施例5)
図16、17に示されるように、本発明の実施例5では、逆戻り防止手段4の接触体4は、容器本体10内のスリット状取出し口12の内側近傍に設けられ、薬包体5の幅方向の両横端部に接する狭窄部46でなるものである。実施例4では、狭窄部46は、スリット状取出し口12の両側に設けられているが、片側だけでもよい。
図17に示されるように、狭窄部46、46間の幅sは、薬包体5の横幅より狭く形成されており、狭窄部46、46に薬包体5の横幅両端部が接触することにより、薬包体5を容器本体10内に引き戻そうとする力に抗して、薬包体5が引き戻されないものである。そして、外斜面部41が形成されているので、更に薬包体5が引き戻されないものとなる。狭窄部46が容器本体10内に位置するために、スリット状取出し口12に向けて引き出される薬包体5aと巻き付けられた薬包体5とを分離する接触部分となりうる。
【0040】
具体的には、例えば薬包体5の幅方向の一般的な長さである70mmである場合には、上記狭窄部46、46間の幅sを68mmにすればよく、上述したように、
図15(b)に示される薬包体5の開放されている側の端部53が5mmでフリーな状態となっているため、薬包体5の両横端部が狭窄部46、46に接しても、自由に動ける余裕があり、薬包体5を無理なく引き出せて、薬包体5を引き出した状態で、狭窄部46、46に薬包体5の横幅両端部が接触することになり、容器本体10内に引き戻されることなく、保持できるものである。
【0041】
(実施例6)
図18~21に示すように、本発明の実施例6を説明する。実施例6は紙製であり、厚紙や段ボール紙で形成されているものであり、紙製であるので、組み立てる展開図にてレイザー加工や金型で切り取り、折り曲げや端を張り合わせて容器本体10を組み立てて形成することができ、安価に作成することができるものである。
【0042】
実施例6は、容器本体10である部品Aと接触体4となる部品Bとから組み立てられて形成される。部分Aは箱状に形成されており、上面には収納容器2の収納開口21が形成され、収納開口21の周縁部21aの一辺に蓋体3が一体的に延設されて形成されている。
【0043】
蓋体3は、収納容器2の収納開口部21を塞ぐように形成され、一体に形成されている収納開口部21の周縁部21aの辺と反対側に差し込み部3aが折れ曲がれるように延設され、この差し込み部3aが、蓋体3が収納開口21を塞ぐ際に、収納開口21の内側に差し込まれて係止するものである。また、蓋体3が設けられている収納開口21の周縁部21aの辺の隣接する辺には、蓋補助部3bが形成されている。蓋補助部3bは蓋体3が収納開口21を塞ぐ際に、蓋体3より先に折り曲げて蓋体3の内側に位置するものである。また、実施例6では、蓋補助部3bは一つであるが、収納開口21の周縁部21aの他の辺に設けてもよい。そして、閉じた蓋体3を開けやすいように、蓋体3が設けられている反対側の収納開口21の周縁部21aに切り込み部21bが設けられており、この切り込む部21bから蓋体3の蓋補助部3bを指で持ち上げて開けるものである。
【0044】
接触体4となる部品Bは、
図20に示すように、一枚に展開される紙製シートでできており、折り曲げ線Xにて折り曲げられて、
図18、19のように、収容容器2のスリット状取出し口12に内外に装着されるものである。
【0045】
接触体4となる部品Bは、外斜面部41と、外斜面部41から延設され先端に差し込み突片B2を有する斜面裏面部40bと、外斜面部41から斜面裏面部40bとは反対側に延設されスリット状差し込む口B3を有するベース部B1を備えている。このベース部B1の両側には折り曲げ可能となり長さの異なる狭窄部46、46が延設されている。なお、長さが異なるのは、部品Bが部品Aに装着した状況において、蓋体3を閉じた際に差し込み部3aの邪魔にならないように一方を短くしているものである。そして、スリット状差し込む口B3には、組立時に差し込み突片B2が差し込まれ、係止される。
【0046】
この部品Bを部品Aに組み込んで装着して配置するには、先ず、外斜面部41と斜面裏面部40bとをスリット状取出し口12の内側から外方に差し入れ、ベース部B1を部品Aなる容器本体2の側面11の内側に密着させて配置させ、斜面裏面部40bを折り曲げて、外斜面部41とでくちばし形状に形成し、斜面裏面部40bの差し込み突片B2を、容器本体2の側面11に形成されているスリット状差し込み口110とベース部B1のスリット状差し込む口B3とを同時に挿通させて係止させ、部品Bを部品Aに装着するものである。そして、ベース部B1の両側に形成されている狭窄部46、46が部品Aの容器本体10の内側に配置される。この狭窄部46、46は、スリット状取出し口12の内側の位置では、狭窄部46、46間を薬包体5の横幅より小さくして、薬包体5の両横側端部分に接するようになるものである。
【0047】
図19のように、容器本体10内に差し込まれて内側に突出する差し込み突片B2の先端は渦巻き状に巻かれた薬包体5に接触するものであり、引き出される薬包体5と巻かれた薬包体5とを分離することができ、逆戻り防止手段となるものである。そして、容器本体10の外側に位置する外斜面部41と相まって、逆戻り防止手段となるものである。そして、
図3、14とは反対方向に渦巻き状に巻かれた薬包体5(一点鎖線で示す)を容器本体10内に収容した場合には、内側に突出する差し込み突片B2はより薬包体5に接することになり、逆戻り防止の効果をより発揮するものである。また、差し込み突片B2を比較的長くすれば、より逆戻り防止の効果が大きいものとなる。
【0048】
図20に示される部品Cは、
図19のように、部品Aの下方となる内側に設置されるものであり、底面C1の両側には逆V形状となる横部C2、C2が形成されているものである。部品A内に配置された部品Cでは、横部C2の内側部分C3、C3が部品Aなる容器本体10内の隅部分の内側に斜めに配置されることになり、渦巻き状に巻き込まれた薬包体5(一点鎖線で示す)の外形の円弧状に沿うようになって、スムーズに引き出されることになるものである。なお、同様の機能を果たすものを、上述した実施例に適用しても良いものである。
【0049】
外斜面部41は、
図18、19に示されるように、ほぼ一直線上に形成されているが、先端部分を上方に反るように構成してもよく、その場合は、薬包体5から薬包50を切り離す際に、薬包体5のミシン目51をその先端に合わせやすくなるため、切り離しが容易になる。また、外斜面部41の先端部分の上面に、薄い板状部材を貼り付けてもよく、その場合には、板状部材の先端にミシン目51を合わせれば、同様に切り離しが容易となる。板状部材の先端をギザギザの刃形状にしてもよい。即ち、板状部材は切り取り補助具となるものである。また、板状部材の自体の色を変えることにより、複数の容器本体10を、例えば、朝昼晩のように色分けが可能となる。
【0050】
以上のように、本発明の服薬収容容器体の逆戻り防止手段は、スリット状取出し口から引き出された薬包体を服薬収容容器体内に逆戻りさせる力より大きくなるように、薬包体を拘束せずに薬包体に接する接触体と、収容容器本体内に、収容容器本体内に収容された薬包体からスリット状取出し口に向けて引き出される薬包体と収容容器本体内に収容された薬包体と分離する接触体と有してなる実施形態でもよいものである。即ち、服薬収容容器体の薬包体に接する接触体と、薬包体を分離する接触体が設けられれば、より効果を発揮するものである。
【0051】
本発明の服薬収容容器体1が使用される状態は、
図1、4、18にように、スリット状取出し口12を横方の位置になるように置いて使用しても、また、
図9、13のようにスリット状取出し口12が上方の位置になるように置いて使用しても良いものであり、使用者が使用し易いように利用できるものである。
そして、服薬収容容器体1内に収容される薬包体5は、渦巻き状に巻かれても、また折り畳まれた状態で収容されても良いものである。
本発明の服薬収容容器体1に動物やキャラクターをデザインしたカバー体を装着しても良く、その場合には、子供に馴染んでもらい、自らが薬を飲むきっかけとなる。また、服薬収容容器体1の側面に「お薬手帳」を保管する保管スペースを形成してもよい。
図示しないが、本発明の服薬収容容器体1同士を連結できるようにして、朝昼晩に服用する薬を区分けして保管しても良いものである。
【符号の説明】
【0052】
1 服薬収容容器体
10 容器本体
11 容器本体の側面
12 取出し口
2 収容容器
21 収容開口
3 蓋体
31 開口
4 逆戻り防止手段
40 接触体
5 薬包体
50 薬包