IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 岡本 應守の特許一覧

<>
  • 特許-簡易防災トイレ 図1
  • 特許-簡易防災トイレ 図2
  • 特許-簡易防災トイレ 図3
  • 特許-簡易防災トイレ 図4
  • 特許-簡易防災トイレ 図5
  • 特許-簡易防災トイレ 図6
  • 特許-簡易防災トイレ 図7
  • 特許-簡易防災トイレ 図8
  • 特許-簡易防災トイレ 図9
  • 特許-簡易防災トイレ 図10
  • 特許-簡易防災トイレ 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】簡易防災トイレ
(51)【国際特許分類】
   A47K 11/04 20060101AFI20240722BHJP
【FI】
A47K11/04
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2024039589
(22)【出願日】2024-03-14
【審査請求日】2024-03-14
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】712001195
【氏名又は名称】岡本 應守
(72)【発明者】
【氏名】岡本 應守
【審査官】村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-063204(JP,A)
【文献】特開2016-209223(JP,A)
【文献】特開2019-004933(JP,A)
【文献】特開2007-117284(JP,A)
【文献】特開平11-342164(JP,A)
【文献】特開2005-130985(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 11/00 - 11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便座と前記便座側の排便穴より内側の径全体が狭い、または内側の周囲にクビレや逆クビレがある、または漏斗状や逆漏斗状のように一部が狭い排便穴を持つ便座置台と、汚物類を収納する袋を設け、前記汚物類を収納する袋を密封し、切断する機能を設け、前記便座周辺に前記汚物入れ袋を順繰りに繰り出すことができる収納容器を設け、前記便座置台の内側に密封して、切断される汚物類を収納した使用済の袋内にある空気を排気する機能も兼ね備えた前記使用済みの袋用の引き出し容器とフラッパー弁が設けられていることを特徴とする簡易防災トイレ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易防災トイレに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に現在使用している簡易防災トイレについては、災害毎に多少進化してきているが、未だに人力作業(だから単発方式でのトイレ使用になる)に頼り切っている商品ばかりで、改善が行き詰っている状態まで来ている。食事面や睡眠面では、時間の経過と共に進化してきているが、トイレ面の既存の商品(概ね汚物入れ袋と凝固剤のセットのみ)については、構造上の関係(基本既設のトイレ便器を便座置台として使用しているため)から、汚物類を収納する袋自体が無駄に大きく、使用後に当事者自身が手作業で後処理(飛沫汚れの拡散付着の処理や臭気含みの空気の排出と密封搬出処理)をすることにより、特に目立った進化が無い。そのため精神衛生上のストレスが増加しており、使用を控えることによって健康を害している環境もある。このことは、寸胴型の簡易防災トイレも同じような大きさの汚物類を収納する袋を使用しているため、同様の問題が発生している。
【0003】
今後簡易防災トイレを更に発展させるためには、使用するにあたっての衛生面自体の向上はもちろんであるが、精神衛生上のストレスを減少させる環境を整える必要がある。特に人力作業を軽減させて、通常のトイレ使用時に近い環境にする必要がある。
【0004】
特許文献1に開示された内容やその他類似したものは、使用毎に当事者が既存のトイレ便器や簡易防災トイレに商品を設置準備して、使用後に当事者が手作業で後処理をする内容である。そのため、トイレ便器毎で設置準備方法(トイレ便器の形状等の問題)にバラツキがあり、使用後も手作業で後処理をするため、特に精神衛生上のストレスが増加している。そのため使用回数自体を控えている使用者が目立ってきている。既存のトイレ便器や簡易防災トイレの便座置台自体を再検討(簡易防災トイレとして)しない限り、汚物類を収納する袋自体も非常に大きいままで、設置準備する手間、使用後の後処理についても袋自体が大きいことにより、ストレスを減少させることはできない。具体的な説明としては、汚物類を収納する袋自体が大きいということは、使用に伴う飛沫汚れの拡散付着処理(拡散範囲が広い)が大変で、臭気含みの空気が汚物類を収納する袋内に充満することによって、臭気含みの空気の排出作業、袋自体の密封から搬出処理までを手作業で行われるため、ストレスが軽減されることは無い。また使用者が手作業のため、汚物等を身体に付着する可能性も高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6817670号公報
【文献】実用新案登録第3144187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
臭気含みの空気の排出の低減と自動密封処理
上述のように一般的に使用している簡易防災トイレシステムについて、精神衛生上のストレスを軽減させて、通常のトイレ使用時に近い環境にすることが課題である。
【0007】
本発明は、上述の問題点を鑑みなされたものであり、トイレ使用前から使用後までの手作業を極力削減して、精神衛生上から来るストレスを減少させて、通常のトイレ使用時に近い環境にすることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するため、前記便座と前記便座側の排便穴より内側の径全体が狭い、または内側の周囲にクビレや逆クビレがある、または漏斗状や逆漏斗状のように一部が狭い排便穴を持つ便座置台と、汚物類を収納する袋(以下、汚物入れ袋で表記)と、前記汚物類入れ袋を密封や切断する設備(以下、前記密封設備や前記切断設備で表記)を設置している。詳細な内容としては、図2で示すように、前記便座置台の内側に前記汚物入れ袋と前記密封設備や切断設備を設置して、連続でも利用することを可能にするために、前記便座周辺に前記汚物入れ袋を順繰りに繰り出すことができる収納容器(以下、カートリッジで表記、詳細は段落番号0009で説明)を設置していることを特徴とする。尚、前記便座置台の内側については、段落番号0010にて改めて説明する。
【0009】
本発明において簡易防災トイレを使用する環境は、概ね通常のトイレ使用が困難な災害時の場合である。そのような環境では、不特定多数の人間が使用するので、連続利用を可能にする必要がある。その対策としては、図2から図9で示すように、前記汚物入れ袋(前記汚物入れ袋の初回の先端部分以外は基本底辺が密封されていない筒状の長い袋)を、口の開いた方の端から反対側の端に向かって丸める状態(丸める状態が幾重にも重なっている状態)で、カートリッジ内に収納して、前記カートリッジ内の汚物入れ袋が前記便座の下から設置準備されて、トイレを使用する毎に前記汚物入れ袋を順繰りに繰り出しができることと、前記便座置台の内側に段落番号0008でも述べているクビレ等が付いていること、同じく内側に前記汚物入れ袋用の引き出し容器と前記フラッパー弁が格納されていることを特徴とする請求項1に記載した簡易防災トイレである。
【0010】
連続利用を可能とするための補足として、段落番号0009の続きになるが、前記汚物入れ袋の量自体を前記カートリッジ内により多く収納する必要がある。その対策としては、前記便座側の排便穴より内側の径全体が狭い、または内側の周囲にクビレや逆クビレがある、または漏斗状や逆漏斗状のように一部が狭い排便穴を付けることによって、無駄な空間を削減することとなり、それが前記汚物入れ袋自体の縮小化となり、次に使用に伴う飛沫汚れの拡散付着を限定することができ、最後に臭気含みの空気の体積量の削減ができることを特徴とする請求項1に記載した簡易防災トイレである。
【0011】
段落番号0010の続きになるが、前記汚物入れ袋の縮小化が可能となることによって、臭気含みの空気の体積量が減ることに繋がり、排出作業自体が不要又は削減できることとなり、その後の手作業も極力機械化することを特徴とする請求項1に記載した簡易防災トイレである。
【0012】
既存の簡易防災トイレは、一般のトイレ便器を使用(便座置台の代用品として)するだけではなく、別途便座置台(便器を模した便座付きの簡易便器)を使用する場合もある。一般のトイレ便器も使用していることもあり、大きな汚物入れ袋が必須(概ね前記トイレ便器または前記便座置台の側面から底面まで前記汚物入れ袋を敷き詰めている)としている。そのことが逆に無駄な空間(そもそも簡易防災トイレ自体に洗浄等通常の便器と同じ空間は不要)を生み出して、飛沫汚れの拡散付着が目立ち、臭気含みの空気が前記汚物入れ袋の中一杯に充満する。使用後の後始末がストレスの一因になっている。そのことは、既存の簡易防災トイレの便座置台の場合も、便座置台の内側が概ね無駄に広い(前記便座側の排便穴以上に径が広い)寸胴状態であるので、前記トイレ便器と同じ問題が存在する。しかし本発明においては、前記便座置台の内側の径全体が狭い、または内側の周囲にクビレや逆クビレがある、または漏斗状や逆漏斗状のように一部が狭い排便穴であることにより、前記汚物入れ袋の縮小化、無駄な空間を減らすことにより飛沫汚れの拡散付着が限定、臭気含みの空気自体も削減されて、そのことが前記汚物入れ袋自体の製造コストの削減や精神衛生上のストレス減少の役割を果たすことができる。併せて前記便座置台の内側のクビレ部分に、前記密封設備や前記切断設備、前記フラッパー弁を格納することによって、簡易防災トイレ自体の小型化や軽量化の役割を果たすことができる。
【0013】
本発明においては、段落番号0012に続いてその後の手作業も極力機械化することによって、使用者が手作業で発生し得るであろう汚物等の付着する可能性も削減されて、トイレ使用前から使用後までの衛生面自体の維持の役割を果たすことができる。
【0014】
使用済の前記汚物入れ袋を前記便座置台より搬出した後の一次集積場所においても、収容量の増加に繋がり、また最終処分場への運搬や最終処理に伴うコスト削減の役割を果たすことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の効果は、既存の簡易防災トイレと異なり、設置準備が簡易的であるという効果を奏する。既存品は、使用毎に概ね側面から底面まで前記汚物入れ袋を敷き詰める必要があるが、本件は前記汚物入れ袋を前記便座周辺に取り付けるだけで良い。
【0016】
トイレ使用後の後処理が簡易的であるという効果を奏する。既存品は、前記汚物入れ袋を前記トイレ便器または前記便座置台から取り出して、大きな前記汚物入れ袋の中の飛沫汚れの拡散付着の処理や前記汚物入れ袋の中一杯に充満している臭気含みの空気を外部に排出する作業が手作業で行われるが、本件の前記汚物入れ袋は縮小化により、まず飛沫汚れの拡散付着が限定され、臭気含みの空気自体の体積量も縮小化により、大幅に削減される。よって不快感からくる精神衛生上のストレスも減少するという効果を奏する。
【0017】
段落番号0016の追記になるが、図4の時点で前記汚物入れ袋の底面を段落番号0012にも記載されている前記汚物入れ袋用の引き出し容器等を別の使用目的になるが、図5で示すように押し上げる機能も併せて持つことによって、前記汚物入れ袋内の汚水面が上昇(または汚水面積が広がる)するように見える。その時点で密封作業を行えば、臭気含みの空気自体の体積量も更に削減することができる。
【0018】
段落番号0017に続くが、臭気含みの空気の排出作業後の作業についても、既存品は前記汚物入れ袋の密封作業並びに搬出作業を手作業で行われるが、本件においては段落番号0043から段落番号0045(密封切断搬出作業)に述べているように、その後の手作業も極力機械化(使用済の前記汚物入れ袋自体に触れることはない状態)することによって、使用者が手作業で発生し得るであろう汚物等の付着する可能性も削減されて、精神衛生上のストレスが減少するだけでなく、トイレ使用前から使用後までの衛生面自体の維持ができるという効果を奏する。
【0019】
段落番号0015から段落番号0018で述べていることによって、通常のトイレ使用に近い環境にすることができる。それが使用者自身の健康面においても良好にするという効果を奏する。
【0020】
前記便座置台の内側クビレ等を設置することによって、前記汚物入れ袋の縮小化だけでなく、その隙間空間を有効に活用することができる。前記密封設備や前記切断設備、前記フラッパー弁を格納することができる。その結果、簡易防災トイレ自体を小型化や軽量化できるという効果を奏する。
【0021】
特に段落番号0020で述べている各設備の項目を更に細分化した上で取捨選択(手動または機械化、機械化自体の内容の選択等)することにより、製造コスト自体を調整できるという効果を奏する。本発明の簡易防災トイレであっても、使用頻度はそれぞれの環境で異なる。不特定多数の人間が使用する環境もあれば、一般家庭で限られた近親者のみが使用する環境もあるので、設置する機械化自体の内容を使用者目線で取捨選択(家庭用や業務用等に分別)することで、製造コストを調整することができる。また電源についても、通常電源だけでなく、充電式や電池式の取捨選択をすることで、こちらも製造コストを調整することができる。
【0022】
段落番号0014で述べてことに重複するが、前記汚物入れ袋自体の縮小化と臭気含みの空気自体の体積量も削減も重なり、使用済の前記汚物入れ袋自体の使用量も削減されることで、前記便座置台より搬出した後の一次集積場所においても、収容量を増加することが可能となり、また最終処分場への運搬や最終処理に伴うコスト削減ができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
以下、図1図11は、本発明に係る簡易防災トイレの構成例を示す図面である。

図1】本発明に係る簡易防災トイレの上面図。
図2】本発明に係る簡易防災トイレのA-A断面図。
図3】本発明に係る簡易防災トイレのA-A断面図。
図4】本発明に係る簡易防災トイレのA-A断面図。
図5】本発明に係る簡易防災トイレのA-A断面図。
図6】本発明に係る簡易防災トイレのA-A断面図。
図7】本発明に係る簡易防災トイレのA-A断面図。
図8】本発明に係る簡易防災トイレのA-A断面図。
図9】本発明に係る簡易防災トイレのA-A断面図。
図10】本発明に係る簡易防災トイレの側面図。
図11】本発明に係る簡易防災トイレのA-A断面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
便座1と便座1側の排便穴より内側の径全体が狭い、または内側の周囲にクビレ8や逆クビレがある、または漏斗状や逆漏斗状のように一部が狭い排便穴を持つ便座置台2と、汚物入れ袋3と、汚物入れ袋3を密封や切断する設備(以下、密封設備4や切断設備5で表記)を設置している。詳細な内容としては、図2で示すように、便座置台2の内側に汚物入れ袋3と密封設備4や切断設備5を設置して、連続でも利用することを可能にするために、便座1周辺に汚物入れ袋3を順繰りに繰り出すことができる収納容器(以下、カートリッジ6で表記)を設置していることを特徴とする。トイレ使用後は、まずフラッパー弁10を開放して汚物入れ袋3自体がクビレ8部分の汚物入れ袋通し穴9内に落下する。その後密封設備4を用いて、汚物入れ袋3自体を密封、切断設備5で切断して、汚物入れ袋用の引き出し容器7にて収納する。またトイレ自体は不特定多数の人間が使用することもあるので、連続利用を考慮する必要がある。よって図6で示すように、汚物入れ袋3を密封する部分を上下二段若しくは密封する上下の幅面積を広くして密封を行い、汚水漏れ及び臭気漏れが無い箇所で切断する。尚、汚物入れ袋3(汚物入れ袋3の初回の先端部分以外は基本底辺が密封されていない筒状の長い袋)を、口の開いた方の端から反対側の端に向かって丸める状態(丸める状態が幾重にも重なっている状態)でカートリッジ6内に収納して、トイレを使用する毎に便座1の下から汚物入れ袋3を順繰りに繰り出して使用する。以下からの説明は、主として通常の簡易防災トイレの形態に関するものである。
【0025】
便座1については、便座置台2と密着している。基本密着性は高いが、着脱可能な状態することもできることが望ましい。
【0026】
汚物入れ袋3自体については、縮小化と臭気含みの空気の流入を削減するために、便座置台2の内側は、無駄に広い寸胴の形状ではなく、便座1側の排便穴より内側の径全体が狭い、または内側の周囲にクビレ8や逆クビレがある、または漏斗状や逆漏斗状のように一部が狭い排便穴が付いている形状であることが望ましい。無駄な空間を削減することにより、汚物入れ袋3自体の縮小化、次に使用に伴う飛沫汚れの拡散付着を限定、最終的に臭気含みの空気の体積量が削減できる。
【0027】
汚物入れ袋3の素材については、使用用途の関係上、中身の見えない色付きで伸縮性がある程度あり、防臭耐湿耐水耐寒、耐衝撃耐摩耗な素材が望ましい。また使用済みの汚物入れ袋3の中身の対策として、凝固剤や消臭剤を投入することも有り得ることにより、耐薬品性もある素材が望ましい。例えばポリエチレン樹脂素材などで、密封設備(発熱圧着や結束設備)のことも考慮すれば、生活環境下においての耐熱性があることが望ましい。また汚物入れ袋3自体の形状については、伸縮する筒状の長い袋(図2から図9で示すように、汚物入れ袋3の初回の先端部分以外は基本底辺が密封されていない筒状の長い袋)を、口の開いた方の端から反対側の端に向かって丸める状態(丸める状態が幾重にも重なっている状態)が望ましい。
【0028】
段落番号0027の追記になるが、使用者の臀部から汚物入れ袋3の底面までの距離が短いため、使用者によっては汚物入れ袋3だけでなく、臀部に飛沫汚れの拡散付着も有り得る。そのためトイレ使用前にはトリガー式(清掃時の泡洗剤)やポンプ式(ハンドソープなどで使用)のスプレーボトルで外部から直接泡膜層を噴霧して、飛沫汚れの拡散付着の防止に役立てることができる。そのためにも改めて耐薬品性がある素材が望ましい。またその泡膜層自体は、飛沫汚れの拡散付着の防止だけでなく、トイレ使用で発生する音や臭いの防止対策になる。
【0029】
トイレ使用前の汚物入れ袋3の開封(便座置台2内)については、一般的に手押しによる方法以外に、別途専用用具等による道具押し方法、事前に汚物入れ袋3内へ凝固剤や消臭剤を投入して自重による開封方法、便座1用として新たに別途便座蓋を設置して、その上から送風による開封方法、またクビレ8周辺(便座置台2の壁面の隙間)に小型の吸引機を設置(多数の吸引口も設置して汚物入れ袋3自体を吸着する)して、その吸着力による開封方法等がある。手押しや道具押し方法の場合は、汚物等の付着する可能性も有り得るし、衛生面の観点からも極力機械化することが望ましい。
【0030】
密封設備4については、汚物入れ袋3自体を完全に密封する必要があるので、例えば発熱で密封するヒートシール(またはヘアアイロンのように発熱するコテの先端で汚物入れ袋3自体を挟む構造の設備)や超音波振動で密着するソニックシーラー、また結束バンドや密封テープを直接汚物入れ袋3自体に巻き付けて密封する結束設備(バックシーラー)を便座置台2の内側に設置する方法が望ましい。特に手動での密封作業が一番ストレスを感じ易いので、密封設備については極力機械化が望ましい。尚、後述の切断設備5については、手動または機械化でも良い。
【0031】
段落番号0030の追記になるが、汚物入れ袋3を不完全な状態で密封すると、汚水はもちろん臭気含みの空気も漏れることになる。主に発熱で密封するヒートシールや超音波振動で密着するソニックシーラーの場合、汚物入れ袋3の先端(投入部)及び末端(袋の底面部)を完全に密着するには、密封設備4の高温や高音と高圧な密着力が必要であると同時に、汚物入れ袋3の表面にシワ(マチ)を極力発生させない工夫が必要である。密封設備4については、図4から図6で示すように、並行状態である密封設備4の先端を左右から中心部でただ挟む方法だけでなく、密封設備4の先端を振動などによる微動で、汚物入れ袋3の表面にシワ(マチ)減らした後に挟む方法や逆にシワ(マチ)が存在することを前提で、便座置台2を上面から見た形で説明すると、左右から中心部で挟むのと同時に上下にも密封設備4の先端を設置して、それが中心部で挟む方法(四方からの複数密封)、また密封設備4の先端自体を楕円形や円形にして、その円の径を縮小しながら汚物入れ袋3を捻じり及び縛る密封方法(環状密封)もある。よって使用環境や製造コストなど状況に適した方法を取り入れることも良い。
【0032】
結束バンドや密封テープを直接汚物入れ袋3自体に巻き付けて密封する結束する方法については、まず定位置にバックシーラーを設置する。あとは段落番号0031と一部似ているが、汚物入れ袋3を捻じり及び縛り密封の方向に持っていき、その後汚物入れ袋3の先端部分の方向を制御する専用バー(便座置台2を上面から見た形で説明すると、左右及び上下の端に各専用バーを設置して、各専用バーが左から右に、上から下にスライドすることにより、クロスする中心部分に先端部分が集まる)で、先端部分を集約して、バックシーラーの定位置(今回の説明であれば、右下が定位置になる)に持っていき、その定位置で結束密封する方法もある。またバックシーラーの設置位置をヒートシールやソニックシーラーに代替設置する方法も有効である。
【0033】
切断設備5についても、段落番号0031と近い内容である。左右から中心部で切断する方法だけでなく、便座置台2を上面から見た形で説明すると、左右方向から中心部で切断するのではなく、上下方向のみ(密封設備4は左右、切断設備5は上下に設置する形で、切断接触面は小さいがその分切断距離が長い方法)に設置する方法や発熱している金属線による切断方法(ホットナイフなど発熱を利用した熱切断)、切断設備5について切断ではなく、ミシン目を付ける(密封設備の密封作業と同時に行い、手動での切断も有効である)方法もある。よってこちらも使用環境や製造コストなど状況に適した方法を取り入れることも良い。
【0034】
カートリッジ6については、段落番号0027と一部重複するが、図2から図9で示すように、通常汚物入れ袋3(汚物入れ袋3の初回の先端部分以外は基本底辺が密封されていない筒状の長い袋)を、口の開いた方の端から反対側の端に向かって丸める状態(丸める状態が幾重にも重なっている状態)でカートリッジ6内に収納して、便座1の下に設置準備している。そしてトイレを使用する毎に便座1の下から汚物入れ袋3を順繰りに繰り出して使用する。図4で示すように、フラッパー弁10が開放されると汚物入れ袋3は自重で落下することにより、汚物入れ袋3がカートリッジ6内より新たに順繰りに繰り出される。繰り出される量については、便座置台2を上面から見た形で説明すると、目視できる汚物入れ袋3のエリアが全てクビレ8部分の汚物入れ袋通し穴9内に落下(トイレ利用後の新たな汚物入れ袋3内に、臭気の発生源である飛沫汚れを残留させないため)することが望ましい。しかし極端な繰り出しを減らすために、便座1の下方部やカートリッジ6内にローラーやストッパーを設置することが望ましい。汚物入れ袋3より実際のトイレ使用での容量が逆に多い場合は、ストッパーを緩めて容量アップ(新たに汚物入れ袋3を繰り出し)や複数回利用(使用者によってトイレットペーパーの使用量が異なることと同じように)も有効である。また口の開いた方の端から反対側の端に向かって丸める状態での収納以外に、蛇腹のような折り重なる状態での収納も有効である。あとカートリッジ6自体が便座1を兼ねる(代替活用)ことがあっても良い。
【0035】
汚物入れ袋用引き出し容器7については、現在のサニタリーボックスと同じような役割と、後述にもあるように外部への搬出の用途(塵取りに近い役割)も兼ねて設置している。下水管に繋がっている通常のトイレ便器と異なり、トイレ使用毎に汚物入れ袋3を便座置台2から搬出する必要がある。搬出先についても外部に汚物入れ袋3のみを集積する場所(一次集積場所)を設置する必要があるが、汚物入れ袋3自体の状態でそのまま搬出するには抵抗感を持つ使用者もいるので、その対策で設置している。汚物入れ袋用の引き出し容器7自体の形状については、まず汚物入れ袋3自体を外部の目に極力触れさせないようにすること、次に汚物入れ袋3自体を極力手で触れさせないようにすることが良い。よって便座置台2の一番下に汚物入れ袋用引き出し容器7を設置して、汚物入れ袋3が切断落下後、そのまま汚物入れ袋用引き出し容器7に収納、便座置台2の側面辺りから搬出される方法が望ましい。また非常時だけでなく、通常の生活でも別目的(サニタリーボックスの代替だけでなく、生ごみやペットの糞尿砂等のゴミ箱として)で活用できるように、収納能力の大きな汚物入れ袋用引き出し容器7が望ましい。最後に汚水や臭気漏れ防止の観点から密封済の汚物入れ袋3のまま(汚物入れ袋用引き出し容器7に収納した状態)で外部の一次集積場所へ搬出することも良いが、防止対策として新たに別の袋等で二重に密封(手作業での密封や簡易防災トイレに再投入して密封)することも有効である。
【0036】
段落番号0035の追記になるが、汚物入れ袋用の引き出し容器7について別目的の一助にも使用ができる。詳細は段落番号0017や図4で示す段階で、図5で示すように点線の矢印のような動きを汚物入れ袋用引き出し容器7が行えば、汚物入れ袋3が接触、その後汚物入れ袋3の底面が四方に広がり、汚物入れ袋3内の汚水面が上昇するように見える。文章的に説明すると、汚物入れ袋3の新たな隙間空間にも汚水が中心になるが広がっていく。それにより汚物入れ袋3自体は緩むが、臭気含みの空気の空間にも汚物や汚水が浸入し、汚水で汚物入れ袋3の内側を湿らせて、汚物入れ袋3自体を密着し易くする。その結果、臭気含みの空気の空間自体が減り、通常の密封より少しは臭気含みの空気自体の体積量を削減することが有り得る。またそれ以外の別目的として、汚物入れ袋用の引き出し容器7自体をフラッパー弁10の代替活用することも可能である。尚、汚物入れ袋用引き出し容器7の点線の矢印のような動きについては、機械化だけでなく手動化(例えば、ジャッキーや足踏みポンプを用いて、汚物入れ袋用引き出し容器7の下面に設置している風船等の膨らみ機能を活用)も容易である。
【0037】
便座置台2の内側にクビレ8等を設置して、その隙間空間に密封設備4や切断設備5、フラッパー弁10を格納することによって、隙間空間の有効活用につながり、簡易防災トイレ自体の小型化や軽量化が可能になる。尚、クビレ8等の主な種類については、図11で示している。図11のAが小口径型、Bがクビレ8型、Cが逆クビレ型、Dが漏斗型、Eが逆漏斗型である。
【0038】
以上のことによって、発明が解決しようとする課題で述べたことが可能である。手作業を削減することによって、不快感から来る精神衛生上のストレスが軽減され、併せて衛生面でも向上または維持される。その結果、通常のトイレ使用に近い環境となり、使用者自身の健康維持にもつながる。また機械化についても取捨選択できることにより、製造コストも削減され、最終処分に伴う汚物入れ袋の収容量アップ、処理に伴う費用の削減にもつながる。
【実施例
【0039】
以下、通常の簡易防災トイレの実施例に関する説明である。基本的には図2から図9で示すような流れで実施される。一例としての詳細な内容としては、便座1と便座1側の排便穴より内側の径全体が狭い、または内側の周囲にクビレ8や逆クビレがある、または漏斗状や逆漏斗状のように一部が狭い排便穴を持つ便座置台2(今回は図2で示すようにクビレで表記説明)と、汚物入れ袋3と、汚物入れ袋3を密封や切断する設備(以下、密封設備4について、今回はヒートシールの機能で、切断設備5について、今回は通常の水平切断の機能で表記説明)を設置している。詳細な内容としては、図2で示すように、便座置台2の内側に汚物入れ袋3と密封設備4や切断設備5と汚物入れ袋用引き出し容器7、フラッパー弁10が格納しており、連続で利用することを可能とするために、便座1周辺に汚物入れ袋3を順繰りに繰り出すことができるカートリッジ6を設置していることを特徴とする。トイレ使用後は、まずフラッパー弁10を開放して汚物入れ袋3自体がクビレ8部分の汚物入れ袋通し穴9内に落下(その時にカートリッジ6より、新たな汚物入れ袋3が繰り出される)する。その後密封設備4を用いて、汚物入れ袋3自体を密封、切断設備5で切断して、汚物入れ袋用引き出し容器7にて収納する形になっている。
【0040】
使用者がトイレに入室すると、図2で示すような形(今回は汚物入れ袋3に飛沫拡散防止も兼ねて消臭剤等も含まれている泡膜を含む空気が投入されて、その泡膜と空気力で汚物入れ袋3が開封する)にする。
【0041】
使用者がトイレを使用(用を足して、通常の簡易トイレと同じ後始末済)した後(図3参照)に、図4で示すようにフラッパー弁10を開放して、汚物入れ袋3自体がクビレ8部分の汚物入れ袋通し穴9内に落下する。その時にカートリッジ6より、新たな汚物入れ袋3が繰り出される。
【0042】
その後、機械化で汚物入れ袋用引き出し容器7を図5で示す点線の矢印のような動きを行えば、汚物入れ袋3の底面が接触、その後汚物入れ袋3の底面が四方に広がり、汚物入れ袋3内の水面が上昇するように見える。汚水で汚物入れ袋3の内側を湿らせて、汚物入れ袋3自体を密着し易くする。その結果、汚物入れ袋3自体は緩むが、臭気含みの空気の空間にも汚物や汚水の広がりだけでなく、汚物入れ袋3自体を密着し易くなることで、臭気含みの空気の空間自体が減り、通常の密封より少しは臭気含みの空気自体の体積量が削減する。しかし使用者やその場によって、汚物入れ袋3内の汚物容量が異なることから、段落番号0036に記載されていることを必ずしも行う必要はない。
【0043】
次に図6で示すように密封設備4(今回は発熱機能を持つヒートシール)で密封(熱圧着)する。その時は上下二段、左右の圧着機械の先端が同時にクビレ8内から汚物入れ袋通し穴9内に出てきて密封する。
【0044】
密封作業が完了したら、図7で示すように切断設備5(今回は水平切断の機能を持つ切断設備)で切断する。その時は左右の刃物の先端が同時にクビレ8内から汚物入れ袋通し穴9内に出てきて切断する。
【0045】
切断後は、図8及び図9で示すような形になり、汚物入れ袋用引き出し容器7にて収納する。その後は便座置台2の側面より汚物入れ袋用引き出し容器7自体を取り出して、汚物入れ袋3を集積する一次集積場所へ搬出する。
【0046】
次の使用者がトイレに入室すると、段落番号0040と同じ動作を行う。その後は以下繰り返しになる。
【0047】
トイレ使用に併せて、トイレットペーパーの補充が必要なように、汚物入れ袋3が収納されているカートリッジ6を使用状況に応じて交換する。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明による産業上の利用される可能性としては、従来品より機能が強化並びに進化しており、利便性がある。また従来品に本発明の機能を一部追加設置することで、従来品自体も進化または強化される。
【符号の説明】
【0049】
1 : 便座
2 : 便座置台
3 : 汚物入れ袋
4 : 密封設備
5 : 切断設備
6 : 汚物入れ袋を収納しているカートリッジ
7 : 汚物入れ袋用の引き出し容器
8 : クビレ部分
9 : 汚物入れ袋通し穴
10 : フラッパー弁
【要約】
【課題】
簡易防災トイレの機能を機械化で向上させて、通常のトイレ使用に近い環境を整え、使用者自身の健康が維持にもつながる簡易防災トイレを提供することを目的とする。

【解決手段】
便座1と便座1側の排便穴より内側の径全体が狭い、または一部が狭い排便穴を持つ便座置台2と、汚物入れ袋3と、密封設備4や切断設備5を設置している。また汚物入れ袋3を便座1周辺にてまとめて収納するカートリッジ6と汚物入れ袋用の引き出し容器7、フラッパー弁10も格納されていることを特徴とするものである。トイレ使用後、汚物入れ袋3自体がクビレ8部分の汚物入れ袋通し穴9内に落下、その後密封設備4を用いて汚物入れ袋3自体を密封、切断設備5で切断して、汚物入れ袋用引き出し容器7にて収納する形になっている。

【選択図】 図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11