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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】PBSスパンボンド不織布
(51)【国際特許分類】
   D04H 3/16 20060101AFI20240722BHJP
   A01G 13/02 20060101ALI20240722BHJP
   D01F 6/62 20060101ALI20240722BHJP
   D04H 3/011 20120101ALI20240722BHJP
   E02B 3/04 20060101ALN20240722BHJP
【FI】
D04H3/16
A01G13/02 101C
D01F6/62
D04H3/011
E02B3/04 301
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019208709
(22)【出願日】2019-11-19
(65)【公開番号】P2021080600
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】598110219
【氏名又は名称】株式会社アクシス
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】三輪 信一郎
【審査官】川口 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-191778(JP,A)
【文献】特開2011-117109(JP,A)
【文献】特開2007-197654(JP,A)
【文献】国際公開第2011/059013(WO,A1)
【文献】特開2007-063711(JP,A)
【文献】特開2000-034657(JP,A)
【文献】特開2001-336052(JP,A)
【文献】J-Net21 経営課題を解決する羅針盤、BreakThrough 企業インタビュー 新たな可能性を持つバイオプラスチックで、環境負荷の低減に取り組む[三菱ケミカル株式会社],2018年12月20日,<https://j-net21.smrj.go.jp/special/webmagazine/enterprise/20181220.html>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H 3/16
A01G 13/02
D01F 6/62
D04H 3/011
E02B 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物由来ポリブチレンサクシネート樹脂の溶融物を含む長繊維からなるウェブをシート状に結合してなるスパンボンド不織布からなる果物袋であって、JIS L1913(2010年)に従い測定される目付が10g/m以上103g/m以下であり、通気度が850(cc/(cm・秒))乃至2650(cc/(cm・秒))である、果物袋。
【請求項2】
植物由来ポリブチレンサクシネート樹脂の溶融物を含む長繊維からなるウェブをシート状に結合してなるスパンボンド不織布からなる補強シートであって、JIS L1913(2010年)に従い測定される目付が20g/m以上115g/m以下であり、通気度が300(cc/(cm・秒))乃至2600(cc/(cm・秒))である、補強シート。
【請求項3】
植物由来ポリブチレンサクシネート樹脂の溶融物を含む長繊維からなるウェブをシート状に結合してなるスパンボンド不織布からなる土嚢袋であって、JIS L1913(2010年)に従い測定される目付が15g/m以上115g/m以下であり、通気度が300(cc/(cm・秒))乃至2620(cc/(cm・秒))である、土嚢袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリブチレンサクシネート(PBS)のスパンボンド不織布に関する。詳しくは、植物由来ポリブチレンサクシネート樹脂からなるスパンボンド不織布に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スパンボンド不織布は、実質的に無端連続長繊維糸が堆積されてなるものであるため、ステープルファイバーのごとき短繊維が堆積されてなる、いわゆる短繊維不織布に比べて、強度の面で優れている。例えば、ポリプロピレン(PP)長繊維糸から形成されたスパンボンド不織布は、強度の面で非常に優れており、高強力が必要とされる用途分野での適用が盛んである。
【0003】
しかしながら、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート等の石油系プラスチックの合成繊維及び石油系プラスチック樹脂は、自然環境下においては生分解又は加水分解されないか、又は分解速度が極めて遅いために、ゴミ処理問題等、循環型社会を実践する上で大きな障害となっており、使用後埋設処理された場合は土中に残存したり、投棄された場合は景観を損ねたりすることがある。また、焼却処理された場合でも、有害なガスを発生したり、焼却炉を傷めたりするなどの問題がある。
【0004】
そこで上述の問題を解決する手段として、土中又は水中の微生物によって炭酸ガスと水に分解される生分解性を有する材料についての研究が数多くなされてきた。生分解性材料の代表例としては、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペートといった脂肪族ポリエステル樹脂やポリブチレンアジペートテレフタレートといった芳香族-脂肪族共重合ポリエステル系樹脂が挙げられる。
【0005】
その中でポリ乳酸は最も代表的なポリエステルの一つであるが、生分解性速度が極めて緩慢であることが大きな問題である(非特許文献1)。
【0006】
一方、上記の石油系プラスチックの合成繊維及び石油系プラスチック樹脂は原料が石油であるために、化石資源の枯渇の問題が懸念されている。
【0007】
そこで、樹脂フィルムの分野において、環境への負荷を低減するために、樹脂フィルムの原料の一部を、石油由来の樹脂から、植物由来成分とする樹脂(植物由来の樹脂)に置き換えることが報告されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2018-052120号公報
【非特許文献】
【0009】
【文献】未来材料,第1巻,第11号,31頁(2001)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
樹脂フィルムの分野に限らず、不織布の分野、特にスパンボンド不織布においても、原料が植物由来の樹脂に置き換えられ、かつ生分解性速度が常温において十分に速いスパンボンド不織布が求められていた。
【0011】
本発明は、斯かる事情を考慮してなされたものであって、その目的とするところは、高いバイオマス度であり、かつ生分解性速度が常温において十分に速い樹脂を含むスパンボンド不織布を提供することにある。
さらに、マルチシート、育苗ポッド、果物袋、水切り袋、ごみ袋、フィルター、乾燥食品袋、シーダーテープ、補強シート、エコバッグ、土嚢袋、払拭材に好適に使用できる十分な引き裂き強度と水はけ性を備えた上記のスパンボンド不織布を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、植物由来ポリブチレンサクシネート樹脂の溶融物を含む長繊維からなるウェブをシート状に結合してなるスパンボンド不織布が、高いバイオマス度と優れた生分解性速度を有すること及び概スパンボンド不織布の目付と通気度を調整することで、十分な引き裂き強度と水はけ性を有するスパンボンド不織布となることを見出し、本発明を完成させた。
【0013】
即ち、本発明は、以下の態様からなる。
(1)植物由来ポリブチレンサクシネート樹脂の溶融物を含む長繊維からなるウェブをシート状に結合してなるスパンボンド不織布。
(2)JIS L1913(2010年)に従い測定される目付が15g/m以上105g/m以下であり、通気度が750(cc/(cm・秒))乃至2620(cc/(cm・秒))である、マルチシート用の(1)に記載のスパンボンド不織布。
(3)JIS L1913(2010年)に従い測定される目付が18g/m以上180g/m以下であり、通気度が200(cc/(cm・秒))乃至2605(cc/(cm・秒))である、育苗ポッド用の(1)に記載のスパンボンド不織布。
(4)JIS L1913(2010年)に従い測定される目付が10g/m以上103g/m以下であり、通気度が850(cc/(cm・秒))乃至2650(cc/(cm・秒))である、果物袋用の(1)に記載のスパンボンド不織布。
(5)JIS L1913(2010年)に従い測定される目付が12g/m以上110g/m以下であり、通気度が500(cc/(cm・秒))乃至2640(cc/(cm・秒))である、水切り袋用の(1)に記載のスパンボンド不織布。
(6)JIS L1913(2010年)に従い測定される目付が15g/m以上110g/m以下であり、通気度が500(cc/(cm・秒))乃至2620(cc/(cm・秒))である、ごみ袋用の(1)に記載のスパンボンド不織布。
(7)JIS L1913(2010年)に従い測定される目付が10g/m以上100g/m以下であり、通気度が1000(cc/(cm・秒))乃至2660(cc/(cm・秒))である、フィルター用の(1)に記載のスパンボンド不織布。
(8)JIS L1913(2010年)に従い測定される目付が18g/m以上105g/m以下であり、通気度が750(cc/(cm・秒))乃至2605(cc/(cm・秒))である、乾燥食品袋用の(1)に記載のスパンボンド不織布。
(9)JIS L1913(2010年)に従い測定される目付が18g/m以上110g/m以下であり、通気度が500(cc/(cm・秒))乃至2605(cc/(cm・秒))である、シーダーテープ用の(1)に記載のスパンボンド不織布。
(10)JIS L1913(2010年)に従い測定される目付が20g/m以上115g/m以下であり、通気度が300(cc/(cm・秒))乃至2600(cc/(cm・秒))である、補強シート用の(1)に記載のスパンボンド不織布。
(11)JIS L1913(2010年)に従い測定される目付が20g/m以上113g/m以下であり、通気度が400(cc/(cm・秒))乃至2600(cc/(cm・秒))である、エコバッグ用の(1)に記載のスパンボンド不織布。
(12)JIS L1913(2010年)に従い測定される目付が15g/m以上115g/m以下であり、通気度が300(cc/(cm・秒))乃至2620(c
c/(cm・秒))である、土嚢袋用の(1)に記載のスパンボンド不織布。
(13)JIS L1913(2010年)に従い測定される目付が20g/m以上110g/m以下であり、通気度が500(cc/(cm・秒))乃至2600(cc/(cm・秒))である、払拭材用の(1)に記載のスパンボンド不織布。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、植物由来のポリブチレンサクシネート樹脂を高い配合率で含む、すなわち、高いバイオマス度を有するポリブチレンサクシネートスパンボンド不織布を含む。したがって、カーボンニュートラルの観点から、大気中のCO2量の増加を抑制し、且つ、石油資源利用の節約にも貢献する。
【0015】
なお、カーボンニュートラルとは、植物を燃やしても、その際に排出されるCO2量は、植物が生育時に吸収したCO2量と等しいため、大気中のCO2量の増減には影響を与えないことを指す。したがって、植物由来の原料を多く含むほど、CO2量の増加を抑制することができる。
【0016】
また、本発明のスパンボンド不織布は、高いバイオマス度でありながら優れた生分解性を備えることに加えて、目付及び通気度を調整して、十分な引き裂き強度と水はけ性を有するスパンボンド不織布にすることができる。
このため、本発明のスパンボンド不織布は、特に農農業用資材(マルチシート、育苗ポッド、シーダーテープ、土嚢袋等)、各種食品、雑貨用等又は固形物を包装するための包装用資材(果物袋用、水切り袋、ごみ袋、乾燥食品袋、エコバッグ等)、フィルター、補強シート及び払拭材等に広く使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、植物由来ポリブチレンサクシネート樹脂の溶融物を含む長繊維からなるウェブをシート状に結合してなるスパンボンド不織布を対象とする。
更に詳細に本発明を説明する。
【0018】
本発明のスパンボンド不織布に用いられる植物由来ポリブチレンサクシネート樹脂は、植物由来のコハク酸を主成分とするジカルボン酸成分と植物由来又は石油由来の1,4-ブタンジオールを主成分とするジオール成分及び他の構成成分との共重合体である。
【0019】
本発明において、「植物由来」とは、植物資源由来の炭素を含むことを意味する。
【0020】
植物資源としては、例えば、木材、稲わら、籾殻、米ぬか、古米、とうもろこし、サトウキビ、キャッサバ、サゴヤシ、おから、コーンコブ、タピオカカス、バガス、植物油カス、芋、そば、大豆、油脂、古紙、製紙残渣、食品廃棄物等が挙げられる。この中でも木材、稲わら、籾殻、米ぬか、古米、とうもろこし、サトウキビ、キャッサバ、サゴヤシ、おから、コーンコブ、タピオカカス、バガス、植物油カス、芋、そば、大豆、油脂、古紙、製紙残渣が好ましく、より好ましくは、木材、稲わら、籾殻、古米、とうもろこし、サトウキビ、キャッサバ、サゴヤシ、芋、油脂、古紙、製紙残渣であり、最も好ましくはとうもろこし、さとうきび、キャッサバ、サゴヤシである。
【0021】
そしてこれらの植物資源は、特に限定はされないが、例えば酸やアルカリ等の化学処理、微生物を用いた生物学的処理、物理的処理等の公知の前処理・糖化の工程を経て炭素源へ誘導される。その工程には、例えば、通常、特に限定はされないが、植物資源をチップ化する、削る、擦り潰す等の前処理による微細化工程が含まれる。必要に応じて、更にグラインダーやミルで粉砕工程が含まれる。こうして微細化された植物資源は、更に前処理・糖化の工程を経て炭素源へ誘導されるが、その具体的な方法としては、硫酸、硝酸、塩
酸、燐酸等の強酸で酸処理、アルカリ処理、アンモニア凍結蒸煮爆砕法、溶媒抽出、超臨界流体処理、酸化剤処理等の化学的方法や、微粉砕、蒸煮爆砕法、マイクロ波処理、電子線照射等の物理的方法、微生物や酵素処理による加水分解等生物学的処理が挙げられる。
【0022】
上記の植物資源から誘導される炭素源としては、通常、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、タガトース等のヘキソース、アラビノース、キシロース、リボース、キシルロース、リブロース等のペントース、ペントサン、サッカロース、澱粉、セルロース等の2糖・多糖類、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、モノクチン酸、アラキジン酸、エイコセン酸、アラキドン酸、ベヘニン酸、エルカ酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リグノセリン酸、セラコレン酸等の油脂、フルフラール等のアルデヒド、グリセリン、マンニトール、キシリトール、リビトール等のポリアルコール類等の発酵性糖質が用いられ、このうちセルロース、グルコース、フルクトース、キシロースが好ましく、特にセルロース、グルコースが好ましい。
【0023】
これらの炭素源を用いて、微生物変換による発酵法や加水分解・脱水反応・水和反応・酸化反応等の反応工程を含む化学変換法並びにこれらの発酵法と化学変換法の組み合わせにより植物由来のコハク酸及び植物由来の1,4-ブタンジオールが合成される。さらに、例えば国際公開第2011/059013号等に詳細に記載されている方法でも合成される。
【0024】
一方、石油由来の1,4-ブタンジオールは植物原料に由来する炭素を含まず、従来どおり、例えば石油から得られるナフサを熱分解して得られるアセチレンから合成されるか、又は例えば、ブタジエンを基質とし、パラジウム触媒と酢酸で1,4-ジアセトキシ化した後、還元、加水分解を経て合成される。
【0025】
本発明において「植物由来のコハク酸を主成分とする」とは、植物由来のコハク酸及びコハク酸アルキルエステル等のコハク酸誘導体のうちの少なくとも1種を主成分とすることであって、「植物由来のコハク酸及びコハク酸アルキルエステル等のコハク酸誘導体の合計モル比率が、原料ジカルボン酸成分中で最も多いこと」を意味する。中でも植物由来ポリブチレンサクシネート樹脂の物性、生分解性の観点から、植物由来のコハク酸及びコハク酸アルキルエステル等のコハク酸誘導体の合計が、原料ジカルボン酸成分の合計に対して、50モル%以上であることが好ましく、より好ましくは60モル%以上、更に好ましくは70モル%以上、特に好ましくは90モル%乃至100モル%である。
【0026】
一方、本発明において、「1,4-ブタンジオールを主成分とする」とは、「1,4-ブタンジオールの合計モル比率が、原料ジオール成分中で最も多いこと」を意味する。中でも植物由来ポリブチレンサクシネート樹脂の物性、生分解性の観点から、1,4-ブタンジオールの合計が、原料ジオール成分の合計に対して、50モル%以上であることが好ましく、より好ましくは60モル%以上、更に好ましくは70モル%以上、特に好ましくは90モル%乃至100モル%である。
【0027】
<ジカルボン酸成分>
本発明の植物由来ポリブチレンサクシネート樹脂におけるジカルボン酸成分は、植物由来のコハク酸や無水コハク酸といったコハク酸成分を主成分とするものであり、その合計モル比率が原料カルボン酸成分中で最も多く用いられれば、通常ポリエステルの原料に用いられるものを特に制限無く使用することができる。
【0028】
コハク酸成分以外の脂肪族カルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、グ
ルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカジカルボン酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸の水素添加物が挙げられ、これらの中で、得られる植物由来ポリブチレンサクシネート樹脂の物性の面から、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸成分が好ましい。なお、これらは2種以上が併用されていてもよい。
【0029】
ジカルボン酸成分に占めるコハク酸の割合は、得られる植物由来ポリブチレンサクシネート樹脂の生分解性、力学特性の観点から、全ジカルボン酸成分に対して50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上がより好ましく、特に好ましくは90モル%乃至100モル%である。
【0030】
また、脂肪族ジカルボン酸以外のジカルボン酸成分として、芳香族ジカルボン酸成分を併用してもよい。芳香族ジカルボン酸成分の具体的な例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸及びジフェニルジカルボン酸等が挙げられる。これらは、単独でも2種以上の混合物として上記脂肪族ジカルボン酸成分に加えて使用してもよい。
【0031】
なお、コハク酸だけでなく、例えば上記の脂肪族ジカルボン酸成分のうちの無水コハク酸、アジピン酸等を植物原料由来のものを使用することで、最終製品のバイオマス度をより一層高めることができる。
【0032】
<ジオール成分>
本発明の植物由来ポリブチレンサクシネート樹脂におけるジオール成分は、1,4-ブタンジオールを主成分とするものである。本発明では、1,4-ブタンジオールのモル比率が原料ジオール中で最も多く用いられれば、その他、通常ポリエステルの原料に用いられるジオール成分を制限無く併用することができる。
【0033】
1,4-ブタンジオール以外のジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、ネオペンチルグリコールなどのアルキレンジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどのオキシアルキレンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノールなどのシクロアルキレンジオールといった脂肪族ジオール成分が挙げられ、これらの中でも、得られる植物由来ポリブチレンサクシネート樹脂の物性の面から、エチレングリコール、1,3-プロパンジオールなどの炭素数6以下のアルキレンジオール、又は1,4-シクロヘキサンジメタノールなどの炭素数6以下のシクロアルキレンジオールが好ましい。なお、これらは2種以上が併用されていてもよい。
【0034】
ジオール成分に占める1,4-ブタンジオールの割合は、得られる植物由来ポリブチレンサクシネート樹脂の生分解性、力学特性の観点から全ジオール成分に対して50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上がより好ましく、特に好ましくは90モル%乃至100モル%である。
【0035】
なお、1,4-ブタンジオールだけでなく、例えば上記の脂肪族ジオール成分のうちのエチレングリコール、1,3-プロパンジオール等を植物原料由来のものを使用することで、最終製品のバイオマス度をより一層高めることができる。
【0036】
<他の構成成分>
本発明のスパンボンド不織布に使用される植物由来ポリブチレンサクシネート樹脂には、上記のジオール成分、ジカルボン酸成分以外の他の構成成分を共重合させても構わない。この場合に使用することのできる共重合成分としては、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシカプロン酸、2-ヒドロキシ-3,3-ジメチル酪酸、2- ヒドロキシ-3-メチル酪酸、2-ヒドロキシイソカプロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、クエン酸、フマル酸等のオキシカルボン酸、及びこれらオキシカルボン酸のエステルやラクトン、オキシカルボン酸重合体等、あるいはグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3官能以上の多価アルコール、あるいは、プロパントリカルボン酸、ピロメリット酸、トリメリット酸ベンゾフェノンテトラカルボン酸及びこれらの無水物などの3官能以上の多価カルボン酸又はその無水物等が挙げられる。
その使用量は全ジカルボン酸成分に対して、0.001モル%乃至5モル%であることが好ましく、より好ましくは0.05モル%乃至0.5モル%である。
【0037】
ポリブチレンサクシネート樹脂の製造方法については、公知の方法、例えば特開2018-150453号公報等に詳細に記載されている。
本発明において使用される植物由来ポリブチレンサクシネート樹脂としては、例えばPTTMCCBiochem社製、商品名:BioPBSTM等が挙げられる。
【0038】
一般的な不織布の製法としては例えば、ニードルパンチ不織布、湿式不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、レジンボンド不織布、ケミカルボンド不織布、サーマルボンド不織布、トウ開繊式不織布、エアレイド不織布等の種々の製法があるが、本発明ではスパンボンド不織布を対象とする。スパンボンド不織布は、生産性や機械的強度に優れ、また、長繊維からなるため短繊維不織布に比べて毛羽立ちしにくい特徴を有する。
【0039】
本発明のスパンボンド不織布は、原料である樹脂を溶融し、得られた溶融物を紡糸口金から紡糸した後、冷却固化して得られた糸条に対し、エジェクターで牽引し延伸して、ネット上に捕集して長繊維からなるウェブを形成させた後、該長繊維をシート状に結合させることで製造される。
【0040】
本発明のスパンボンド不織布は物性や加工性等を調整する目的で、熱安定剤、酸化防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、結晶核剤、着色剤、顔料、難燃剤、帯電防止剤、離型剤、紫外線吸収剤、光安定剤、改質剤、架橋剤、可塑剤、充填材等の各種の添加剤が配合されてもよい。特に屋外での使用環境に対して物性維持のために紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤を配合することが好ましい。また、本発明の効果を阻害しない範囲でその他の樹脂望ましくはその他の生分解性樹脂、例えば、ポリアミド、ポリビニルアルコール、セルロースエステル等や、澱粉、セルロース、紙、木粉、キチン・キトサン質、椰子殻粉末、クルミ殻粉末等の動物/植物物質微粉末、或いはこれらの混合物を配合することもできる。その他の樹脂等は、本発明の効果発現を妨げない範囲で、通常、15質量%以下で配合される。
【0041】
本発明のスパンボンド不織布の原料である植物由来ポリブチレンサクシネート樹脂に対して上記の添加剤を使用する場合、その使用量は、植物由来ポリブチレンサクシネート樹脂100質量%に対して、0.01質量%乃至20質量%、好ましくは0.1質量%5質量%である。
【0042】
本発明のスパンボンド不織布は、適宜目付及び通気度を変化させて、引き裂き強度と水はけ性を調製し、様々な製品のための不織布として使用できる。例えば、農業用資材(マ
ルチシート、育苗ポッド、シーダーテープ、土嚢袋等)、各種食品、雑貨用等又は固形物を包装するための包装用資材(果物袋用、水切り袋、ごみ袋、乾燥食品袋、エコバッグ等)、フィルター、補強シート及び払拭材等に使用できる。特に好ましくは、農業用資材に使用できる。
【0043】
本発明のスパンボンド不織布をマルチシートとして使用する場合は、JIS L1913(2010年)に従い測定される目付が15g/m以上105g/m以下であり、通気度が750(cc/(cm・秒))乃至2620(cc/(cm・秒))である。好ましくは、目付が20g/m以上100g/m以下であり、通気度が1000(cc/(cm・秒))乃至2600(cc/(cm・秒))であり、特に好ましくは、目付が30g/m以上95g/m以下であり、通気度が1200(cc/(cm・秒))乃至2590(cc/(cm・秒))である。
【0044】
なお、本発明において、スパンボンド不織布の目付は、JIS L1913(2010年)の「6.2 単位面積当たりの質量」に従い、以下の手順によって測定される値を採用するものとする。
(1)スパンボンド不織布から50000mm以上の試験片を3枚以上採取する。
(2)標準状態における試験片の質量を測定する。
(3)単位面積当たりの質量を、(2)で測定した質量を(1)の試験片の面積で割ることによって算出し、平均値を求め,JIS Z8401の規則B(四捨五入法)によって有効数字3けたに丸める。
【0045】
なお、本発明において、通気度は、JIS L1913(2010年)の「6.8.1
フラジール形法」に従い、以下の手順によって測定される値を採用するものとする。
(1)スパンボンド不織布から幅150mm×150mmの試験片を3枚採取する。
(2)試験機の円筒の一端に試験片を取り付けた後,加減抵抗器によって傾斜形気圧計が125Paの圧力を示すように吸込みファン及び空気孔を調整し,そのときの垂直形気圧計の示す圧力を測る。
(3)測定した圧力と使用した空気孔の種類とから,試験機に附属の換算表によって試験片を通過する通気度(cc/(cm・秒))を求める。
(4)計算3回の試験結果の平均値を算出し,JIS Z8401の規則B(四捨五入法)によって整数に丸める。
【0046】
本発明のスパンボンド不織布用いたマルチシートは、畝にかぶせて、保湿・保温や雑草の抑制等のために用いるが、生分解性が高いために、土と一緒に耕してしまえば分解され土に還る。従って、従来のポリプロピレン製のマルチシートのように、農作物を収穫した後、マルチシートを回収し、廃棄するコストを削減することができる。
【0047】
本発明のスパンボンド不織布を育苗ポッドとして使用する場合は、JIS L1913(2010年)に従い測定される目付が18g/m以上180g/m以下であり、通気度が200(cc/(cm・秒))乃至2605(cc/(cm・秒))である。好ましくは、目付が25g/m以上105g/m以下であり、通気度が750(cc/(cm・秒))乃至2595(cc/(cm・秒))であり、特に好ましくは、目付が35g/m以上100g/m以下であり、通気度が1000(cc/(cm・秒))乃至2565(cc/(cm・秒))である。目付及び通気度は、上記の方法から算出される。
【0048】
本発明のスパンボンド不織布を果物袋として使用する場合は、JIS L1913(2010年)に従い測定される目付が10g/m以上103g/m以下であり、通気度が850(cc/(cm・秒))乃至2650(cc/(cm・秒))である。好ま
しくは、目付が15g/m以上95g/m以下であり、通気度が1200g/m乃至2620g/mであり、特に好ましくは、目付が20g/m以上90g/m以下であり、通気度が1400(cc/(cm・秒))乃至2600(cc/(cm・秒))である。目付及び通気度は、上記の方法から算出される。
【0049】
本発明のスパンボンド不織布を水切り袋として使用する場合は、JIS L1913(2010年)に従い測定される目付が12g/m以上110g/m以下であり、通気度が500(cc/(cm・秒))乃至2640(cc/(cm・秒))である。好ましくは、目付が20g/m以上100g/m以下であり、通気度が1000(cc/(cm・秒))乃至2600(cc/(cm・秒))であり、特に好ましくは、目付が30g/m以上95g/m以下であり、通気度が1200(cc/(cm・秒))乃至2590(cc/(cm・秒))である。目付及び通気度は、上記の方法から算出される。
【0050】
本発明のスパンボンド不織布をごみ袋として使用する場合は、JIS L1913(2010年)に従い測定される目付が15g/m以上110g/m以下であり、通気度が500(cc/(cm・秒))乃至2620(cc/(cm・秒))である。好ましくは、目付が20g/m以上100g/m以下であり、通気度が1000(cc/(cm・秒))乃至2600(cc/(cm・秒))であり、特に好ましくは、目付が30g/m以上95g/m以下であり、通気度が1200(cc/(cm・秒))乃至2590(cc/(cm・秒))である。目付及び通気度は、上記の方法から算出される。
【0051】
本発明のスパンボンド不織布を用いた水切り袋及びごみ袋は、生分解性が高いために、主に生ごみと一緒に埋設処理した場合でもごみと一緒に分解され、焼却処理する必要がなく、そのコストを削減することができる。
【0052】
本発明のスパンボンド不織布をフィルターとして使用する場合は、JIS L1913(2010年)に従い測定される目付が10g/m以上100g/m以下であり、通気度が1000(cc/(cm・秒))乃至2660(cc/(cm・秒))である。好ましくは、目付が15g/m以上90g/m以下であり、通気度が1400(cc/(cm・秒))乃至2620(cc/(cm・秒))であり、特に好ましくは、目付が20g/m以上80g/m以下であり、通気度が1700(cc/(cm・秒))乃至2600(cc/(cm・秒))である。目付及び通気度は、上記の方法から算出される。
【0053】
本発明のスパンボンド不織布をフィルターとして使用する場合は、例えばエアーコンディショナー用のフィルター、換気扇フィルター及び掃除機のごみ捕集袋等に使用される。
【0054】
本発明のスパンボンド不織布を乾燥食品袋として使用する場合は、JIS L1913(2010年)に従い測定される目付が18g/m以上105g/m以下であり、通気度が750(cc/(cm・秒))乃至2605(cc/(cm・秒))である。好ましくは、目付が25g/m以上103g/m以下であり、通気度が850(cc/(cm・秒))乃至2595(cc/(cm・秒))であり、特に好ましくは、目付が30g/m以上93g/m以下であり、通気度が1250(cc/(cm・秒))乃至2590(cc/(cm・秒))である。目付及び通気度は、上記の方法から算出される。
【0055】
本発明のスパンボンド不織布を乾燥食品袋として使用する場合は、例えば茶葉が入れられたティーバッグ及び鰹節等が入れられた出汁パック等に使用される。
【0056】
本発明のスパンボンド不織布をシーダーテープとして使用する場合は、JIS L1913(2010年)に従い測定される目付が18g/m以上110g/m以下であり、通気度が500(cc/(cm・秒))乃至2605(cc/(cm・秒))である。好ましくは、目付が25g/m以上105g/m以下であり、通気度が750(cc/(cm・秒))乃至2595(cc/(cm・秒))乃至であり、特に好ましくは、目付が35g/m以上100g/m以下であり、通気度が1000(cc/(cm・秒))乃至2565(cc/(cm・秒))である。目付及び通気度は、上記の方法から算出される。
【0057】
本発明のスパンボンド不織布を補強シートとして使用する場合は、JIS L1913(2010年)に従い測定される目付が20g/m以上115g/m以下であり、通気度が300(cc/(cm・秒))乃至2600(cc/(cm・秒))である。好ましくは、目付が30g/m以上110g/m以下であり、通気度が500(cc/(cm・秒))乃至2590(cc/(cm・秒))であり、特に好ましくは、目付が40g/m以上105g/m以下であり、通気度が750(cc/(cm・秒))乃至2525(cc/(cm・秒))である。目付及び通気度は、上記の方法から算出される。
【0058】
本発明のスパンボンド不織布を補強シートとして使用する場合は、例えばクラフト紙のバッキング、及びマルチシートフィルムの補強シート等に使用される。
【0059】
本発明のスパンボンド不織布をエコバッグとして使用する場合は、JIS L1913(2010年)に従い測定される目付が20g/m以上113g/m以下であり、通気度が400(cc/(cm・秒))乃至2600(cc/(cm・秒))である。好ましくは、目付が30g/m以上108g/m以下であり、通気度が600(cc/(cm・秒))乃至2590(cc/(cm・秒))であり、特に好ましくは、目付が40g/m以上103g/m以下であり、通気度が850(cc/(cm・秒))乃至2525(cc/(cm・秒))である。目付及び通気度は、上記の方法から算出される。
【0060】
本発明のスパンボンド不織布を土嚢袋として使用する場合は、JIS L1913(2010年)に従い測定される目付が15g/m以上115g/m以下であり、通気度が300(cc/(cm・秒))乃至2620(cc/(cm・秒))である。好ましくは、目付が20g/m以上110g/m以下であり、通気度が500(cc/(cm・秒))乃至2600(cc/(cm・秒))であり、特に好ましくは、目付が25g/m以上105g/m以下であり、通気度が750(cc/(cm・秒))乃至2595(cc/(cm・秒))である。目付及び通気度は、上記の方法から算出される。
【0061】
本発明のスパンボンド不織布を払拭材として使用する場合は、JIS L1913(2010年)に従い測定される目付が20g/m以上110g/m以下であり、通気度が500(cc/(cm・秒))乃至2600(cc/(cm・秒))である。好ましくは、目付が30g/m以上105g/m以下であり、通気度が750(cc/(cm・秒))乃至2590(cc/(cm・秒))であり、特に好ましくは、目付が40g/m以上100g/m以下であり、通気度が1000(cc/(cm・秒))乃至2525(cc/(cm・秒))である。目付及び通気度は、上記の方法から算出される。
【0062】
本発明のスパンボンド不織布を払拭材として使用する場合は、例えば、おしぼり、フロ
ーリングワイパー用のシート、パソコンの液晶画面や光学機器を拭くためのシート及び清拭用のシート等に使用される。
【実施例
【0063】
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0064】
[実施例1]
MFR(190℃、2.16kg)が22g/10分、融点が115℃の植物由来ポリブチレンサクシネート樹脂[PTTMCCBiochem社製 BioPBS(登録商標)FZ78TB]を押出機で溶融し、孔径φが0.30mm、孔深度が2mmの矩形口金から、紡糸温度が235℃、単孔吐出量が0.32g/分の条件で紡出した。紡出した糸条を冷却固化した後、これを矩形エジェクターにおいて、エジェクター圧力を0.35MPaとした圧縮エアによって牽引、延伸し、移動するネット上に捕集して、堆積させた。そして、堆積された長繊維に対してエンボスロールで熱及び圧力を印加し、一部を溶融させて繊維を絡合し、目付が20g/m、通気度が2600(cc/(cm・秒))のスパンボンド不織布を得た。目付及び通気度に関しては上記に記載の方法で測定した。
【0065】
[実施例2]
実施例1と同様にして、目付が100g/m、通気度が1000(cc/(cm・秒))のスパンボンド不織布を得た。目付及び通気度に関しては上記に記載の方法で測定した。
【0066】
[実施例3]
実施例1のスパンボンド不織布を用いて四辺が1mの試験用マルチシートを作成した。
【0067】
[実施例4]
実施例2のスパンボンド不織布を用いて四辺が1mの試験用マルチシートを作成した。
【0068】
[実施例5]
実施例1のスパンボンド不織布を用いて直径が15cm、高さが15cmの試験用育苗ポッドを作成した。
【0069】
[実施例6]
実施例2のスパンボンド不織布を用いて直径が15cm、高さが15cmの試験用育苗ポッドを作成した。
【0070】
[実施例7]
実施例1のスパンボンド不織布を用いて幅が18cm、高さが20cmの試験用果物袋を作成した。
【0071】
[実施例8]
実施例2のスパンボンド不織布を用いて幅が18cm、高さが20cmの試験用果物袋を作成した。
【0072】
[実施例9]
実施例1のスパンボンド不織布を用いて幅が24cm、高さが26cmの試験用水切り袋を作成した。
【0073】
[実施例10]
実施例2のスパンボンド不織布を用いて幅が24cm、高さが26cmの試験用水切り袋を作成した。
【0074】
[実施例11]
実施例1のスパンボンド不織布を用いて幅が25cm、高さが35cmの試験用ごみ袋を作成した。
【0075】
[実施例12]
実施例2のスパンボンド不織布を用いて幅が25cm、高さが35cmの試験用ごみ袋を作成した。
【0076】
[実施例13]
実施例1のスパンボンド不織布を用いて四辺が30cmの試験用換気扇フィルターを作成した。
【0077】
[実施例14]
実施例2のスパンボンド不織布を用いて四辺が30cmの試験用換気扇フィルターを作成した。
【0078】
[実施例15]
実施例1のスパンボンド不織布を用いて幅が7cm、高さが10cmの試験用ティーバッグを作成した。
【0079】
[実施例16]
実施例1のスパンボンド不織布を用いて幅が7cm、高さが10cmの試験用ティーバッグを作成した。
【0080】
[実施例17]
実施例1のスパンボンド不織布を用いて幅が7cm、長さが1.2mの試験用シーダーテープを作成した。
【0081】
[実施例18]
実施例2のスパンボンド不織布を用いて幅が7cm、長さが1.2mの試験用シーダーテープを作成した。
【0082】
[実施例19]
実施例1のスパンボンド不織布を用いて幅が90cm、長さが1mの試験用補強シートを作成した。
【0083】
[実施例20]
実施例2のスパンボンド不織布を用いて幅が90cm、長さが1mの試験用補強シートを作成した。
【0084】
[実施例21]
実施例1のスパンボンド不織布を用いて幅が26cm、高さが34cm、持ち手幅3cm、持ち手長さ28cmの試験用エコバッグを作成した。
【0085】
[実施例22]
実施例2のスパンボンド不織布を用いて幅が26cm、高さが34cm、持ち手幅3cm、持ち手長さ28cmの試験用エコバッグを作成した。
【0086】
[実施例23]
実施例1のスパンボンド不織布を用いて幅が48cm、高さが62cmの試験用土嚢袋を作成した。
【0087】
[実施例24]
実施例2のスパンボンド不織布を用いて幅が48cm、高さが62cmの試験用土嚢袋を作成した。
【0088】
[実施例25]
実施例1のスパンボンド不織布を用いて四辺が20cmの試験用シート(払拭材)を作成した。
【0089】
[実施例26]
実施例2のスパンボンド不織布を用いて四辺が20cmの試験用シート(払拭材)を作成した。
【0090】
[比較例1]
実施例1と同様にして、目付が5g/m、通気度が2700(cc/(cm・秒))のスパンボンド不織布を得た。目付及び通気度に関しては上記に記載の方法で測定した。
【0091】
[比較例2]
実施例1と同様にして、目付が190g/m、通気度が5(cc/(cm・秒))のスパンボンド不織布を得た。目付及び通気度に関しては上記に記載の方法で測定した。
【0092】
[比較例3]
比較例1のスパンボンド不織布を用いて四辺が1mの比較試験用マルチシートを作成した。
【0093】
[比較例4]
比較例2のスパンボンド不織布を用いて四辺が1mの比較試験用マルチシートを作成した。
【0094】
[比較例5]
比較例1のスパンボンド不織布を用いて直径が15cm、高さが15cmの比較試験用育苗ポッドを作成した。
【0095】
[比較例6]
比較例2のスパンボンド不織布を用いて直径が15cm、高さが15cmの比較試験用育苗ポッドを作成した。
【0096】
[比較例7]
比較例1のスパンボンド不織布を用いて幅が18cm、高さが20cmの比較試験用果物袋を作成した。
【0097】
[比較例8]
比較例2のスパンボンド不織布を用いて幅が18cm、高さが20cmの比較試験果物袋を作成した。
【0098】
[比較例9]
比較例1のスパンボンド不織布を用いて幅が24cm、高さが26cmの比較試験用水切り袋を作成した。
【0099】
[比較例10]
比較例2のスパンボンド不織布を用いて幅が24cm、高さが26cmの比較試験用水切り袋を作成した。
【0100】
[比較例11]
比較例1のスパンボンド不織布を用いて幅が25cm、高さが35cmの比較試験用ごみ袋を作成した。
【0101】
[比較例12]
比較例2のスパンボンド不織布を用いて幅が25cm、高さが35cmの比較試験用ごみ袋を作成した。
【0102】
[比較例13]
比較例1のスパンボンド不織布を用いて四辺が30cmの比較試験用換気扇フィルターを作成した。
【0103】
[比較例14]
比較例2のスパンボンド不織布を用いて四辺が30cmの比較試験用換気扇フィルターを作成した。
【0104】
[比較例15]
比較例1のスパンボンド不織布を用いて幅が7cm、高さが10cmの比較試験用ティーバッグを作成した。
【0105】
[比較例16]
比較例2のスパンボンド不織布を用いて幅が7cm、高さが10cmの比較試験用ティーバッグを作成した。
【0106】
[比較例17]
比較例1のスパンボンド不織布を用いて幅が7cm、長さが1.2mの比較試験用シーダーテープを作成した。
【0107】
[比較例18]
比較例2のスパンボンド不織布を用いて幅が7cm、長さが1.2mの比較試験用シーダーテープを作成した。
【0108】
[比較例19]
比較例1のスパンボンド不織布を用いて幅が90cm、長さが1mの比較試験用補強シートを作成した。
【0109】
[比較例20]
比較例2のスパンボンド不織布を用いて幅が90cm、長さが1mの比較試験用補強シートを作成した。
【0110】
[比較例21]
比較例1のスパンボンド不織布を用いて幅が26cm、高さが34cm、持ち手幅3c
m、持ち手長さ28cmの比較試験用エコバッグを作成した。
【0111】
[比較例22]
比較例2のスパンボンド不織布を用いて幅が26cm、高さが34cm、持ち手幅3cm、持ち手長さ28cmの比較試験用エコバッグを作成した。
【0112】
[比較例23]
比較例1のスパンボンド不織布を用いて幅が48cm、高さが62cmの比較試験用土嚢袋を作成した。
【0113】
[比較例24]
比較例2のスパンボンド不織布を用いて幅が48cm、高さが62cmの比較試験用土嚢袋を作成した。
【0114】
[比較例25]
比較例1のスパンボンド不織布を用いて四辺が20cmの比較試験用シート(払拭材)を作成した。
【0115】
[比較例26]
比較例2のスパンボンド不織布を用いて四辺が20cmの比較試験用シート(払拭材)を作成した。
【0116】
(引き裂き強度試験)
実施例3及び実施例4並びに比較例3及び比較例4のマルチシート、実施例5及び実施例6並びに比較例5及び比較例6の育苗ポッド、実施例7及び実施例8並びに比較例7及び比較例8の果物袋、実施例9及び実施例10並びに比較例9及び比較例10の水切り袋、実施例11及び実施例12並びに比較例11及び比較例12のごみ袋、実施例13及び実施例14並びに比較例13及び比較例14の換気扇フィルター、実施例15及び実施例16並びに比較例15及び比較例16のティーバッグ、実施例17及び実施例18並びに比較例17及び比較例18のシーダーテープ、実施例19及び実施例20並びに比較例19及び比較例20の補強シート、実施例21及び実施例22並びに比較例21及び比較例22のエコバッグ、実施例23及び実施例24並びに比較例23及び比較例24の土嚢袋、並びに実施例25及び実施例26並びに比較例25及び比較例26のシート(払拭材)の引き裂き強度を「JIS L 1096織物及び編物の生地試験方法」に基づいて以下の要領で評価した。結果を表1に示す。
○:流れ方向(MD方向)及び幅方向(CD方向)方向の引き裂き強度(N)の両方が3N以上である
×:流れ方向(MD方向)及び幅方向(CD方向)方向の引き裂き強度(N)の両方が1.5N以下である。
【0117】
(水はけ性試験)
実施例3及び実施例4並びに比較例3及び比較例4のマルチシート、実施例5及び実施例6並びに比較例5及び比較例6の育苗ポッド、実施例7及び実施例8並びに比較例7及び比較例8の果物袋、実施例9及び実施例10並びに比較例9及び比較例10の水切り袋、実施例11及び実施例12並びに比較例11及び比較例12のごみ袋、実施例13及び実施例14並びに比較例13及び比較例14の換気扇フィルター、実施例15及び実施例16並びに比較例15及び比較例16のティーバッグ、実施例17及び実施例18並びに比較例17及び比較例18のシーダーテープ、実施例19及び実施例20並びに比較例19及び比較例20の補強シート、実施例21及び実施例22並びに比較例21及び比較例22のエコバッグ、実施例23及び実施例24並びに比較例23及び比較例24の土嚢袋
、並びに実施例25及び実施例26並びに比較例25及び比較例26のシート(払拭材)の水はけ性を評価した。実施例3乃至実施例26及び比較例3乃至比較例26の各製品に約25mlの水道水を、袋状製品については袋の中に、シート状の製品については、袋状にしてその中にかけ流した。水道水をかけ流した後の水はけ性を以下の要領で評価した。結果を表1に示す。
○:かけ流した水が速やかに排水される
×:かけ流した水の一部が製品に残って排水されない。
【0118】
【表1】
【0119】
(生分解性試験)
[実施例27]
微生物活性した土に実施例3のマルチシートを12ヶ月間保管した後(評価温度は26℃乃至30℃とした)、外観観察、質量測定を行い、生分解性を確認したところ、完全に生分解されることがわかった。
【0120】
実施例3及び実施例4のマルチシート、実施例5及び実施例6の育苗ポッド、実施例7及び実施例8の果物袋、実施例9及び実施例10の水切り袋、実施例11及び実施例12のごみ袋、実施例13及び実施例14の換気扇フィルター、実施例15及び実施例16のティーバッグ、実施例17及び実施例18のシーダーテープ、実施例19及び実施例20の補強シート、実施例21及び実施例22のエコバッグ、実施例23及び実施例24の土嚢袋並びに実施例25及び実施例26のシート(払拭材)は、十分な引き裂き強度と良好な水はけ性を兼ね備えていた。
一方で、比較例3のマルチシート、比較例5の育苗ポッド、比較例7の果物袋、比較例9の水切り袋、実施例11のごみ袋、実施例13の換気扇フィルター、実施例15のティーバッグ、実施例17のシーダーテープ、実施例19の補強シート、実施例21のエコバッグ、実施例23の土嚢袋及び実施例25のシートは、十分な水はけ性を有していたものの、引き裂き強度が十分でなかった。
また、比較例4のマルチシート、比較例6の育苗ポッド、比較例8の果物袋、比較例10の水切り袋、実施例12のごみ袋、実施例14の換気扇フィルター、実施例16のティーバッグ、実施例18のシーダーテープ、実施例22のエコバッグ及び実施例24の土嚢袋は、十分な引き裂き強度を有していたものの、水はけ性が十分でなかった。なお、実施例20の補強シート、実施例26のシートについては、目付が大きくなることで軽量性が損なわれ、この点で製品としては不適なものであった。