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特許7523784塗布量検査装置、塗布量検査方法、無線綴機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】塗布量検査装置、塗布量検査方法、無線綴機
(51)【国際特許分類】
   B42C 11/04 20060101AFI20240722BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
B42C11/04
B05C11/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020085547
(22)【出願日】2020-05-14
(65)【公開番号】P2021178478
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】593048043
【氏名又は名称】芳野YMマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 一海
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-170103(JP,A)
【文献】特開2006-007153(JP,A)
【文献】特開2016-203550(JP,A)
【文献】特開平07-174598(JP,A)
【文献】特開2002-331774(JP,A)
【文献】特開2007-168353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42B 2/00- 9/06
B42C 1/00-99/00
G01F 1/56- 1/90
B05C 5/00-21/00
B42D 1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本文の表紙に相当するシート状物であるワークに対して塗布される糊の塗布量を検査する塗布量検査装置であって、
前記ワークに対して糊を塗布する塗布部と、
糊を貯留する貯留槽と
前記貯留槽と前記塗布部とを接続して糊を該塗布部に供給する供給管と、
前記供給管に設けられ、前記塗布部により糊が塗布された際の糊の流量を測定する測定部と、
前記測定部により測定された糊の流量を取得し、該流量が所定の流量範囲内にあるか否かを判定する判定部と
を備え、
前記塗布部は、前記本文の表面側及び裏面に設けられた2枚の見返し紙葉のそれぞれを、前記ワークの2つの小口部のそれぞれに個別に貼り付けるために少なくとも2つ設けられそれぞれが前記ワークの2つの小口部に個別に糊を塗布し、
前記2つの前記塗布部にそれぞれ個別の前記供給管が接続され、
前記測定部は2つの供給管にそれぞれ設けられる
ことを特徴とする塗布量検査装置。
【請求項2】
前記糊の流量が前記流量範囲外であると判定された場合、前記糊の流量が判定されたワークが不良品であることを示すエラー信号を送出する送出部
を更に備えることを特徴とする請求項1記載の塗布量検査装置。
【請求項3】
前記ワークのサイズ及び種類の少なくともいずれか一方に応じた流量範囲を複数有する流量テーブルを記憶するテーブル記憶部
を更に備えることを特徴とする請求項1または請求項2記載の塗布量検査装置。
【請求項4】
前記ワークのサイズを検知する検知部を更に備え、
前記検知されたワークのサイズと、前記流量テーブルとに基づいて、前記流量範囲を選定する選定部
を更に備えることを特徴とする請求項3記載の塗布量検査装置。
【請求項5】
前記測定部は、前記供給管の外周に取り付けられ、超音波を用いて管内の糊の流量を測定する
ことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の塗布量検査装置。
【請求項6】
請求項1~請求項のいずれか一項に記載の前記塗布量検査装置と、
前記本文に対して製本加工を施すと共に、該本文に対して糊が塗布された表紙を貼り付ける加工貼り部と、
を備えることを特徴とする無線綴機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書に開示される技術は、表紙等のワークに塗布される糊の塗布量を検査する塗布量検査装置、塗布量検査方法、および塗布量検査装置を備える無線綴機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製本工程の一環として、内容が印刷された刷本等の紙葉類の束(紙葉束)を冊子本となるようにページ順に並べた折丁に対し、見返し紙葉を見返し貼り機等を用いて貼り付けて本文とし、本文の見返し紙葉を表紙の小口部に貼り付けることにより、本文と表紙とを一体化させる表紙貼りが行われている。この表紙貼りでは、表紙の本文への貼り合わせに先立って、表紙の小口部に対し、樹脂系等の接着剤である糊をローラ式またはノズル式の塗布具を用いて順次塗布するなどする糊付けが行われる。
【0003】
関連する技術に、印刷紙葉一端部を接着背固めした数置丁合の紙葉中央綴部をミシン綴あるいは針金綴した中綴本文紙葉の見返し紙葉に表紙を貼合せる表紙貼合せ方法において、本文見返し紙葉に貼合せる表紙裏面の緩和当部に、他の部分より厚膜の糊料を塗布して、該表紙裏面全面に糊料を塗布し、該表紙裏面と本文見返し紙葉とを全面貼合して、綴部な糊面めすることを特徴とする中綴冊子類の表紙貼合せ方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭59-93392
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、表紙に対して塗布された糊が適量か否かを判定できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る一態様は、ワークに対して塗布部により塗布される糊の塗布量を検査する塗布量検査装置であって、糊を貯留する貯留槽と前記塗布部とを接続して糊を該塗布部に供給する供給管に設けられ、前記塗布部により糊が塗布された際の糊の流量を測定する測定部と、前記測定部により測定された糊の流量を取得し、該流量が所定の流量範囲内にあるか否かを判定する判定部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、表紙に対して適切に糊付けがなされたかを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る無線綴機の構成を示すブロック図である。
図2】実施形態に係る無線綴機が備える各種ユニットの構成を模式的に示す模式図である。
図3】実施形態に係る糊付け装置を模式的に示す模式図である。
図4】実施形態に係る糊付け装置の制御系を示すブロック図である。
図5】実施形態に係る塗布量検査装置としての制御部の機能構成を示す機能ブロック図である。
図6】実施形態に係る塗布量検査処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態においては、本発明に係る塗布量検査装置が組み込まれた表紙貼りユニットを備える無線綴機を例にとり説明を行う。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0010】
(無線綴機の構成)
図1は、本実施形態に係る無線綴機の構成を示すブロック図である。無線綴機1は、不図示の丁合機によって丁合された折丁または紙葉類(例えば年賀状、アルバム用紙、印刷または無印刷紙葉等)の束である本文に、各種製本加工を施すことにより無線綴じを行い、表紙付き本文を作製するものである。本実施形態においては本文には、別丁としての見返し紙葉(仮表紙)がその表面側及び裏面側に位置するよう貼り付けられており、この見返し紙葉に表紙の小口部が貼り付けられる。
【0011】
図1に示されるように、無線綴機1は、本文を搬送する本文搬送ユニット10と、所定の製本加工を施す加工ユニット20と、表紙を搬送すると共に本文に対し表紙を貼り合わせる表紙貼りユニット30と、表紙が貼り合わされた本文を例えば後段の三方断裁機等に排出する排出ユニット40と、これら各種ユニットを駆動制御する制御部50とを備える。
【0012】
以下、上記各種ユニットの説明と共に、無線綴機1による製本工程について簡単に説明する。図2は、本実施形態に係る無線綴機が備える各種ユニットの構成を模式的に示す模式図である。
【0013】
(本文搬送ユニット10)
図2に示されるように、本文搬送ユニット10は、水平方向に循環(図中矢印で示される反時計回り方向で循環)するラウンド経路を形成するように、環状に配された搬送チェーン110を備える。この搬送チェーン110には、アクチュエータ等により本文A1の把持及び把持解除可能に構成された不図示のクランパが所定間隔毎に複数設けられている。本文A1は、不図示の入紙立上り部によりクランプ位置まで搬送されながら立上らされると共に、クランパにより把持され、搬送チェーン110が一方向に周回移動することによりラウンド経路に沿って搬送される。なお、搬送チェーン110に代えて、クランパを有するハンドユニットを備えるようにし、当該ハンドユニットにて本文A1を把持し、これを例えばリニア誘導モータ型のX-Yアクチュエータを複数組み合わせる等して鉛直方向を含む3次元方向に移動自在にして搬送するようにしてもよい。
【0014】
(加工ユニット20)
加工ユニット20は、搬送チェーン110が形成するラウンド経路上に配設されており、搬送チェーン110により順次搬送される本文A1に各種製本加工を施す。具体的には、搬送チェーン110の搬送方向上流側から下流側にかけて、本文A1の背面を断裁して背面を揃えるミーリングカッタ210、当該背面に筋溝を入れるガリカッタ220、背面近傍の両脇に糊を塗布する横糊付け機230、背面に糊を塗布する背糊付け機240を備える。ラウンド経路に沿って搬送される本文A1は、これらの装置を巡ることにより製本加工がなされた後、下流に位置する表紙貼りユニット30へ搬送される。
【0015】
(表紙貼ユニット30)
表紙貼ユニット30は、搬送チェーン110のラウンド経路の返路との合流地点周辺まで略一方向に延在し、当該方向(以後、表紙搬送方向と称する)に表紙Bを搬送する搬送コンベア310を備える。搬送コンベア310の上流側には表紙フィーダ装置320が配設されており、表紙フィーダ装置320によって送り出された表紙Bは、搬送コンベア310により糊付け装置330、タイミングドラム340、同調部350、プレス部360へ順次搬送される。プレス部360以降は、表紙Bと本文A1とが搬送チェーン110により、小口接着部370へ搬送される。
【0016】
具体的には、表紙Bは、糊付け装置340により表紙Bの左右両端部の小口部に小口糊が塗布され、ラウンド経路の返路に搬送コンベア310が合流している部分に配設されたタイミングドラム部350により、本文A1の搬送に表紙Bの送給タイミングを合わせられて、同調部360により本文A1の背が表紙Bの中央部の背部分に重ね合わされる。表紙Bは重ね合わされた状態において、プレス部370により本文A1の背及びその横縁部に表紙Bが圧着され綴じられ、小口接着部380により背部に表紙Bが取り付けられた本文A1の表側と裏側にある見返し紙葉に表紙Bの小口部が接着され、表紙付き本文A2とされる。表記付き本文A2は、搬送チェーン110による搬送から不図示の搬送装置に受け渡されて排出ユニット40へ搬送される。なお、排出ユニット40をラウンド経路上に位置させて搬送チェーン110により排出ユニット40へ表紙付き本文A2を搬送するようにしてもよい。
【0017】
(排出ユニット40)
排出ユニット40は、表紙貼りユニット30の下流に位置し、表紙付き本文A2の重量判定を行うと共に、重量が所定の範囲内にあり且つ後述する塗布量検査処理により良品と判定された表紙付き本文A2を、後段の三方断裁機へ搬送する。三方断裁機へ搬送された表紙付き本文A2は、いわゆる天、地、小口の三方が裁断されることで製本として完成される。また、排出ユニット40は、重量が所定の範囲外、または塗布量検査処理により不良品と判定された表紙付き本文A2を後段の三方断裁機へ搬送する経路とは異なる経路に排出する。
【0018】
(制御部50)
図1に示すように、制御部50は、制御部50の主たる制御を行うCPU(Central Processing Unit)510と、RAM(Random access memory)及びROM(Read Only Memory)等の記憶装置であるメモリ520とを備え、本文搬送ユニット10、加工ユニット20、表紙貼りユニット30、及び排出ユニット40の駆動制御を行う。特に本実施形態に係る制御部50は、表紙貼りユニット30の糊付け装置330が備えるセンサからの信号に基づいて塗布量検査処理を行う。以下、糊付け装置330及び塗布量検査処理について詳細に説明する。
【0019】
(糊付け装置330)
図3は、本実施形態に係る糊付け装置の構成を模式的に示す模式図であり、図4は、本実施形態に係る糊付け装置の制御系を示すブロック図である。なお、図3に示される符号Cは表紙Bの小口部を示し、符号Dは搬送コンベア310の表紙搬送方向を示し、符号Eは塗布された糊を示している。
【0020】
図3に示されるように、糊付け装置330は、樹脂系等の接着剤である糊を貯留する貯留槽331と、糊を表紙Bの2つの小口部Cに向けて吐出する一対の吐出ノズル332と、表紙Bが糊の塗布開始位置及び終了位置にまで搬送されたことを検知する第1及び第2表紙センサ333a,333bと、糊の流量を検知する流量センサ334とを備える。これらの構成要素は、図4に示されるように制御部50にそれぞれ接続されており、制御部50はこれらの構成要素に対し、駆動を開始させる駆動信号や駆動を停止させる停止信号等を制御信号として送出することにより制御する。なお、流量センサ334については制御部50とは独立して駆動するようにしてもよい。
【0021】
図3に示されるように、一対の吐出ノズル332は、それぞれ個別の供給管335を介して貯留槽331と流体的に接続されており、供給管335を通じて貯留槽331が貯留する糊が供給される。また、吐出ノズル332にはコンプレッサ336(図4参照)が接続されている。吐出ノズル332は、コンプレッサ336による圧縮空気の供給に応じて貯液槽331の糊を吸い上げて表紙Bの小口部Cに塗布(散布)することができる所謂二流体ノズルである。また、一対の吐出ノズル332は、ガイドレール337に沿って互いに相対移動可能に設けられており、表紙Bのサイズに応じて互いの離間距離を調節することができる。この調節は、制御部50に表紙Bのサイズまたは種類を表紙情報として入力または予め記憶された表紙情報を選択することにより、アクチュエータ等を用いて自動になされるようにしてもよい。当該表紙情報は、制御部50が有するタッチパネルディスプレイ等の不図示の操作パネルを操作することにより入力されることが好ましい。一対の吐出ノズル332及びコンプレッサ336は、図4に示されるように、制御部50から送出される駆動信号により駆動される。
【0022】
第1表紙センサ333a及び第2表紙センサ333bは、図3に示されるように搬送コンベア310上に、且つ第1表紙センサ333aが第2表紙センサ333bよりも表紙搬送方向Dの上流側に位置するように配設されており、搬送される表紙Bを順次検知し、検知したことを示す第1及び第2検知信号を図4に示されるように制御部50へ送出する。このようなセンサとしては、例えば下方に照射した赤外線等の光の反射光を受光することにより表紙の有無を検知するフォトリフレクタを用いてもよく、その他表紙Bを検知可能なものであればどのようなセンサを用いてもよい。
【0023】
第1及び第2検知信号を取得した制御部50は、これらの取得タイミングに応じて糊の塗布を実行する。詳細に説明すると、制御部50は、第1表紙センサ333aから第1検知信号を取得すると、所定秒後に駆動信号を吐出ノズル332及びコンプレッサ336に送出し、糊の吐出を行わせる。その間も表紙Bは表紙搬送方向Dに沿って移動されるため、表紙Bの2つの小口部Cにそれぞれ糊Eが線状に塗布されることとなる。一方、第2表紙センサ333bから第2検知信号を取得すると、制御部50は、表紙情報に応じて取得直後または所定秒後に停止信号を吐出ノズル332及びコンプレッサ336に送出して糊の吐出を停止させる。この一連の作業により表紙Bの小口部に糊が一様に塗布される。
【0024】
流量センサ334は、図3に示されるように供給管335の外周に取り付けられ、供給管335外から供給管335内で流動する糊の流量を計測可能なものであり、制御部50と協働して本発明に係る塗布量検査装置を構成する。このような流量センサ334としては、超音波式のセンサを用いることが好ましい。具体的には、流量センサ334は、流体(糊)の流動方向に対して上流側と下流側の任意の位置に超音波をそれぞれ発信し、配管内で反射された反射波を受信することにより、受信タイミングの時間的ズレから流量を計測する。流量センサ334は、図4に示されるように、計測した流量値を示す流量信号を制御部50に送出する。本実施形態において流量センサ334は、一定周期、即ち糊の吐出周期で流量を測定し流量信号を送出し、つまり吐出ノズル332による糊の吐出が行われる度に流量信号を制御部50へ送出する。なお、常に糊の流量を測定し、流量の変化がある場合に流量信号を送出するようにしてもよく、流量測定のタイミングを制御部50により制御されるようにし、制御部50から入力される制御信号のタイミングで流量を測定するようにしてもよい。また、常に糊の流量を測定し、常時流量信号を制御部50に送出するようにしてもよい。
【0025】
次に、塗布量検査装置としての制御部50の機能構成について説明する。図5は、塗布量検査装置としての制御部50の機能構成を示す機能ブロック図である。図5に示されるように、制御部50は、流量センサ334から送出される流量信号に示される流量値を取得する情報取得部501と、糊の塗布量が正常値であるか否かを判定する流量判定部502と、エラー信号及び駆動信号を送出する信号送出部と503とを機能として備える、これら機能は制御部50が備えるCPU510及びメモリ520等のハードウェアが協働することにより実現される。
【0026】
(塗布量検査処理)
次に、上述した各種機能により実行される塗布量検査処理について詳細に説明する。図6は、本実施形態に係る塗布量検査処理を示すフローチャートである。本実施形態に係る塗布量検査処理は、流量センサ334からの流量信号の取得、換言すれば表紙Bへの糊の吐出(1枚の表紙Bへの吐出終了)をトリガとして実行される。また、表紙Bのサイズは、表紙情報として予め入力されており、当該サイズに応じた吐出ノズル322からの糊の吐出量(塗布量)も予め設定されていることとする。
【0027】
図6に示されるように、先ず情報取得部501は流量センサ334から流量信号を取得すると共に、当該流量信号に示される流量値を取得する(S101)。供給管335の内径は予め設定されているため、この流量値によれば、現サンプルにおいて表紙Bに塗布された糊の吐出量を把握することができる。なお、取得した流量値は制御部50の操作パネルのディスプレイ上に表示して作業者が適宜確認可能にしてもよい。
【0028】
流量値取得後、流量判定部502は、取得された流量値と流量値テーブル521とに基づいて、流量値が正常値であるか否かを判定する(S102)。流量値テーブル521は、図4に示されるようにメモリ520に予め記憶されており、糊が正常に吐出され表紙Bの小口部Cに適量の糊Eが塗布された場合に測定される流量値の上限値と下限値とからなる数値範囲である流量値範囲を含むものである。流量値がこの流量値範囲内にあれば塗布量が正常値であるとみなすことができる。一方、この数値範囲外であれば、供給管335内における糊の詰まりや、コンプレッサ336の故障が生じる等して糊が正常量吐出されなかった、即ち糊の塗布量が過剰または不足であるとみなすことができる。
【0029】
表紙Bのサイズや種類に応じて表紙Bの小口部Cに塗布する糊の塗布量は変化するため、流量値テーブル521には、表紙Bのサイズや種類毎に個別の流量値範囲が対応付けられていることが好ましい。したがって、表紙Bのサイズが入力された時点で流量値テーブル521の流量値範囲も選択されるようにしてもよく、入力情報に含まれる表紙Bのサイズから適切な流量値範囲、即ち予めサイズに対応付けられた流量値範囲を自動に選択するようにしてもよい。なお、流量値テーブル521は、作業者により流量値範囲を適宜設定変更可能とすることが好ましい。また、流量値テーブル521を用意せず、装置の電源投入時に、制御部50の操作パネルにより流量値範囲を手入力するようにしてもよい。
【0030】
流量値が正常値でないと判定された場合(S102,NO)、信号送出部503はエラー信号を生成し、流量値が正常値でないと判定された表紙Bが貼り付けられた表紙付き本文A2(以後、不良本文と称する)が排出ユニット40へ到達されたタイミングで排出ユニット40にエラー信号を送出し(S103)、本フローは終了となる。エラー信号を取得した排出ユニット40は、不良本文を不良品として三方断裁機へ搬送することなく別経路へ排出する。なお、上記エラー信号の送出タイミングは、排出ユニット40までの経路の長さや搬送速度を考慮し、事前に設定されていることとする。なお、手作業で不良本文を取り除く場合は、不図示のスピーカやランプにエラー信号を送出し、警告音やランプの点灯等で作業者に不良本文が発生したこと、及びこれが搬送されてくることを報知するようにしてもよい。
【0031】
以上に説明した本実施形態によれば、糊の流量を測定することにより糊の塗布量を判定、つまり表紙に対して塗布された糊が適量か否かを判定でき、作業者が目視で糊の塗布量を検査する場合と比較して極めて信頼性の高い検査を実現することができる。また、糊の塗布量を検査する検査者を用意する必要がないため、低コスト化及び検査作業の短縮も可能となる。さらに、流量センサ334は供給管335の外部に取り付けられた状態で供給管335内の糊の流量を測定することができるため、供給管335内部に取り付けるタイプの流量センサを比較して、糊の流動を妨げることがなく極めて高い精度で計測ができると共に、糊に直接接触することがないことからメンテナンス性も優れている。
【0032】
なお、以上に説明した本実施形態においては、流量センサ334により測定した流量信号を制御部50に送出し、制御部50側で流量値と流量値テーブルとに基づく流量値が正常値であるか否かの判定を行うと説明した。しかしながら、この判定を流量センサ334で行うようにしてもよい。即ち、流量値テーブル521を流量センサ334に設定し、図5に示される各種機能を流量センサ334に持たせればよい。この場合、エラー信号は流量センサ334から排出ユニット40へ送出してもよく、制御部50へ送出した後に制御部50から排出ユニット40へ送出するようにしてもよい。これはスピーカやランプにおいても同様である。
【0033】
また、本実施形態においては、予め表紙Bのサイズが作業者により入力されると説明したが、第1及び第2表紙センサ333a,333bの検知信号送出のタイミングズレと搬送コンベア310の搬送速度から表紙Bのサイズを算出するようにしてもよい。この時、算出した表紙Bのサイズから、適切な流量値範囲を自動に選定することが好ましい。
【0034】
また、本実施形態においては、流量信号には流量の値が示されていると説明したが、予め設定された流量の何%にあたる流量かを示す信号であってもよい。
【0035】
また、本実施形態においては、本発明に係る塗布量検査装置を無線綴機に組み込んだ例を説明したがこれに限定されるものではなく、表紙等のワークに対して流体を塗布する装置であれば、どのような装置にも組み込むことができることは言うまでもない。
【0036】
本発明に係る実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0037】
1 無線綴機
20 加工ユニット(加工貼り部)
30 表紙貼りユニット(加工貼り部)
330 糊付け装置(塗布量検査装置)
331 貯留槽
332 吐出ノズル(塗布部)
333a,333b 第1、第2表紙センサ(検知部)
334 流量センサ(測定部、判定部、送出部、塗布量検査装置)
335 供給管
50 制御部(判定部、選定部、塗布量検査装置)
502 流量判定部(判定部)
503 信号送出部(送出部)
520 メモリ
521 流量値テーブル
A1 本文
B 表紙(ワーク)
C 小口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6