(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】貴金属製起き上がりこぼし
(51)【国際特許分類】
A63H 15/06 20060101AFI20240722BHJP
A63H 9/00 20060101ALI20240722BHJP
A63H 3/00 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
A63H15/06 Z
A63H9/00 L
A63H3/00 D
(21)【出願番号】P 2020197104
(22)【出願日】2020-11-27
【審査請求日】2023-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】592138824
【氏名又は名称】株式会社古屋
(74)【代理人】
【識別番号】100176072
【氏名又は名称】小林 功
(74)【代理人】
【識別番号】100080654
【氏名又は名称】土橋 博司
(72)【発明者】
【氏名】古屋 貴司
(72)【発明者】
【氏名】山村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】雨宮 正
【審査官】岸 智史
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-245026(JP,A)
【文献】特開2002-304177(JP,A)
【文献】実開昭59-182393(JP,U)
【文献】特開平8-257246(JP,A)
【文献】登録実用新案第3091116(JP,U)
【文献】登録実用新案第3218166(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部が中空でだるま形の貴金属製起き上がりこぼしであって、その正面及び背面の間で2分割されており、各分割体の底面にはロー付け用の小孔がそれぞれ形成されており、他方起き上がりこぼしの底部に取り付ける重りにはその底面に前記ロー付け用の小孔にはめ込む固定用のピンが取り付けられており、前記起き上がりこぼしの底部の小孔と、これに取り付ける重りの固定用のピンとは、所定の高さのスペーサーを介して連結されていることを特徴とする貴金属製起き上がりこぼし。
【請求項2】
前記起き上がりこぼしの底部に取り付ける重りは、ほぼ円盤状の形状に形成され、所定の高さのスペーサーを介して前記起き上がりこぼしの底部に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の貴金属製起き上がりこぼし。
【請求項3】
前記所定の高さのスペーサーは、前記起き上がりこぼしの底部に取り付ける重りの固定用のピンの周囲に装着されていることを特徴とする請求項1または2に記載の貴金属製起き上がりこぼし。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金や銀、プラチナ等の貴金属で作製され、ゆらゆらと首を振って楽しそうに見える貴金属製起き上がりこぼしに関する。
【背景技術】
【0002】
心癒すゆらゆらと首を振って楽しそうに見えるスイングの秘密は、熟練の職人の技術と経験でチューニングしているからであり、ぜひその楽しそうに見えるスイングの秘密を体感してもらいたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3186611号公報
【文献】特開平8-257246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許第3186611号公報(特許文献1参照)には、下方が略球形であって内部下方に錘部を内包させた芯体の表面を縮緬布で被覆したものであって、更に好ましくは、芯体の底部を表面の縮緬布を複数枚重ねで構成した底芯を装着したスイング動作が良好な起き上がりこぼしが提案されている。
【0005】
また特開平8-257246号公報(特許文献2参照)には、だるま本体を合成樹脂で形成し、だるま本体を縦方向に分割して複数の分割本体から構成し、だるま本体の下部位には重石部材を設けたことにより、従来のように型に和紙を貼り付ける等の必要がなく、だるまを簡単に構成し、また、重石部材によって転倒するのを防止し得る起き上がりこぼし様のだるまの構造が記載されている。
しかしながら、いずれのものもだるま本体の下部位には錘部ないし重石部材を設けるだけであり、起き上がりこぼしとしての動きがぎくしゃくとして短絡的で良好なスイング動作の起き上がりこぼしには程遠いものであった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって本発明の貴金属製起き上がりこぼしは、内部が中空でだるま形の貴金属製起き上がりこぼしであって、その正面及び背面の間で2分割されており、各分割体の底面にはロー付け用の小孔がそれぞれ形成されており、他方起き上がりこぼしの底部に取り付ける重りにはその底面に前記ロー付け用の小孔にはめ込む固定用のピンが取り付けられており、前記起き上がりこぼしの底部の小孔と、これに取り付ける重りの固定用のピンとは、所定の高さのスペーサーを介して連結されていることを特徴とするものである。
【0007】
また本発明の貴金属製起き上がりこぼしにおいて、前記起き上がりこぼしの底部に取り付ける重りが、ほぼ円盤状の形状に形成され、所定の高さのスペーサーを介して前記起き上がりこぼしの底部に固定されていることをも特徴とするものである。
【0008】
さらに、本発明の貴金属製起き上がりこぼしにおいて、前記所定の高さのスペーサーは、前記起き上がりこぼしの底部に取り付ける重りの固定用のピンの周囲に装着されていることをも特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、貴金属製起き上がりこぼしの底部に取り付ける重りの底面に前記ロー付け用の小孔にはめ込む固定用のピンが取り付けられており、前記起き上がりこぼしの底部の小孔と、これに取り付ける重りの固定用のピンとは、所定の高さのスペーサーを介して連結されているため、起き上がりこぼしの底部に取り付ける重りが所定の高さに保持されており、ぎくしゃくとした動きが緩和されてゆったりとした良好なスイング動作の起き上がりこぼしを提供することが可能となったのである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の貴金属製起き上がりこぼしに使用される重りを示す概略正面図である。
【
図7】本発明の貴金属製起き上がりこぼしに使用される重りとスペーサーを示す概略正面図である。
【
図10】重りとスペーサーを示す概略底面図である。
【
図11】重りとスペーサーを示す概略斜視図である。
【
図12】重りとスペーサーを示す概略中央断面斜視図である。
【
図13】本発明の貴金属製起き上がりこぼしの2分割体への重りの組付け方を示す概略斜視図である。
【
図14】本発明の貴金属製起き上がりこぼしの2分割体への重りの組付け方を示す概略斜視断面図である。
【
図15】本発明の貴金属製起き上がりこぼしの2分割体への重りの組付け方を示す概略斜視図である。
【
図16】本発明の貴金属製起き上がりこぼしの2分割体への重りの組付け状態を示す概略斜視断面図である。
【
図17】本発明の貴金属製起き上がりこぼしの2分割体の組付け後の概略中央断面図である。
【
図18】本発明の貴金属製起き上がりこぼしの概略正面図である。
【
図19】本発明の貴金属製起き上がりこぼしの概略透視正面図である。
【
図20】本発明の貴金属製起き上がりこぼしの概略側面図である。
【
図21】本発明の貴金属製起き上がりこぼしの概略透視側面図である。
【
図22】本発明の貴金属製起き上がりこぼしの概略中央断面図である。
【
図23】本発明の貴金属製起き上がりこぼしの概略平面図である。
【
図24】本発明の貴金属製起き上がりこぼしの概略透視平面図である。
【
図25】本発明の貴金属製起き上がりこぼしの概略底面図である。
【
図26】本発明の貴金属製起き上がりこぼしの概略透視底面図である。
【
図27】本発明の貴金属製起き上がりこぼしの概略斜視図である。
【
図28】本発明の貴金属製起き上がりこぼしの概略透視斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の貴金属製起き上がりこぼしの実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1ないし
図6は、本発明の貴金属製起き上がりこぼし11に内蔵する重り12を示す概略図である。
図において、重り12はほぼ中実の貴金属製円盤であり、その下面のほぼ両側には一対の固定用のピン13が下端を開くようにして配設されている。
【0012】
図7ないし
図12は、本発明の貴金属製起き上がりこぼし11に内蔵する重り12とスペーサー14との組み合わせを示す概略図である。
図において、スペーサー14は貴金属製円筒であり、前記一対の固定用のピン13のそれぞれの周囲に配設されている。もちろん、前記一対の固定用のピン13をまたぐようにした長い筒状のスペーサー14を作成し、これで一対の固定用のピン13をはさみ込んでもよい。
【0013】
図13ないし
図17は、本発明の貴金属製起き上がりこぼし11に重り12とスペーサー14とを内蔵する過程を示す概略図である。
図13ないし
図14において、スペーサー14は貴金属製円筒であり、前記一対の固定用のピン13の周囲にそれぞれ配設されている。
まず、
図13および
図14に示すように固定用のピン13を、本発明の貴金属製起き上がりこぼし11の2分割体に設けた小孔15にはめ込み、
図15ないし
図17に示すように固定用のピン13を2分割体に設けた小孔15にロー付け等によって固定する。
なお図において16は本発明の貴金属製起き上がりこぼし11の完成後に中空内部に溜まったゴミを除去したり、温度変化による変形を防止するためのゴミ除去孔である。
【0014】
図18ないし
図21は、本発明の貴金属製起き上がりこぼし11に重り12とスペーサー14とを内蔵した完成状態を示す概略図である。
図18の完成状態において、前記貴金属製起き上がりこぼし11の2分割体の正面側には達磨の絵が描かれている。もちろんこの達磨の絵に代えて「干支」や「動物」その他種々のモチーフを描いたものとすることができ、多様なデザインを採用することができる。
なおこの絵は、貴金属製起き上がりこぼし11の表面にフィルム製のカバーを貼付して砂掛けを行う等の手段によって形成されている。
そして、
図19および
図21に示すようにスペーサー14をはかせた固定用のピン13を、本発明の貴金属製起き上がりこぼし11の2分割体に設けた小孔15にはめ込み、固定用のピン13を2分割体に設けた小孔15にロー付け等によって固定している。
図22は固定用のピン13を2分割体に設けた小孔15にロー付け等によって固定した状態を示すものである。
【0015】
図23ないし
図26は本発明の貴金属製起き上がりこぼし11の完成状態を示すものである。本発明の貴金属製起き上がりこぼし11の2分割体のほぼ中央には重り12がスペーサー14を介して設置されており、前記起き上がりこぼし11の底部の小孔15と、これに取り付ける重り12の固定用のピン13とは、所定の高さのスペーサー14を介して連結されているため、起き上がりこぼし11の底部に取り付ける重り12が所定の高さに保持されており、ぎくしゃくとした動きが緩和されてゆったりとした良好なスイング動作の起き上がりこぼし11を提供することができる。
【0016】
図27および
図28は本発明の貴金属製起き上がりこぼし11の完成状態を示す立面図である。図に示すように、前記起き上がりこぼし11の底部の小孔15には、重り12が固定用のピン13が装着され、スペーサー14を介して所定の高さに保持されている。
そして、それによってぎくしゃくとした動きが緩和されてゆったりとした良好なスイング動作の起き上がりこぼし11を提供することができる。
【0017】
本発明の貴金属製起き上がりこぼし11は非常に簡単な構造でありながら、ぎくしゃくとした動きが緩和されてゆったりとした良好なスイング動作の非常に付加価値の高い貴金属製起き上がりこぼし11を提供することができるのである。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明によれば、貴金属製起き上がりこぼしを付加価値の高い置物としてのみならず、遊戯具としても効果的に遊ぶことができる貴金属製起き上がりこぼしが提供できるようになった。
【符号の説明】
【0019】
11 貴金属製起き上がりこぼし
12 重り
13 固定用のピン
14 スペーサー
15 小孔
16 ゴミ除去孔