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特許7523797スクリーン洗浄装置、および、固液分離装置
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  • 特許-スクリーン洗浄装置、および、固液分離装置 図1
  • 特許-スクリーン洗浄装置、および、固液分離装置 図2
  • 特許-スクリーン洗浄装置、および、固液分離装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】スクリーン洗浄装置、および、固液分離装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 35/16 20060101AFI20240722BHJP
   B01D 29/00 20060101ALI20240722BHJP
   B01D 24/46 20060101ALI20240722BHJP
   B01D 29/62 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
B01D35/16
B01D23/02 A
B01D23/24 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021001637
(22)【出願日】2021-01-07
(65)【公開番号】P2022106550
(43)【公開日】2022-07-20
【審査請求日】2023-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】393008326
【氏名又は名称】東洋スクリーン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】的場 康人
(72)【発明者】
【氏名】奥田 隆昭
【審査官】伊藤 真明
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-126641(JP,A)
【文献】実開平01-163411(JP,U)
【文献】特開2000-301079(JP,A)
【文献】特開2003-175306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 24/00-37/04
B01D 46/00-46/90
B05B 12/16-12/36
B05B 14/00-16/80
B08B 3/00- 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固液混合物を固体と液体とに分離するためのスクリーンを高圧水によって洗浄するために固液分離装置に備えられるスクリーン洗浄装置であって、
前記高圧水を、前記固液分離装置の互いに対向する2つの仕切側壁の間の空間内に配置された前記スクリーンに噴射するために前記空間内に位置するノズルと、
前記高圧水を前記ノズルに供給するために一方の前記仕切側壁を貫通して水平に支持される供給管と、
前記ノズルを左右に揺動させるための左右揺動機構と、
前記左右揺動機構を駆動するために前記空間外に設けられる駆動装置と、を備え、
前記左右揺動機構は、
他方の前記仕切側壁を貫通して前記供給管と同軸に支持されるパイプ材と、
前記駆動装置によって前記パイプ材内で前記パイプ材に沿って往復移動する摺動体と、
前記摺動体の往復移動を前記ノズルに伝達して前記ノズルを左右に揺動させるために前記摺動体と前記ノズルとを繋ぐ接続体と、を備える、
ことを特徴とするスクリーン洗浄装置。
【請求項2】
スロットが、前記パイプ材の軸線方向に延在するように前記パイプ材の外周面に形成され、
前記接続体は、前記スロットを通じて前記摺動体と前記ノズルとに接続される、
請求項1に記載のスクリーン洗浄装置。
【請求項3】
前記接続体は、
前記摺動体に接続されかつ前記スロットに挿通される第1部材と、
前記パイプ材外で一端において前記第1部材に揺動可能にかつ他端において前記ノズルに揺動可能に接続される第2部材と、を備える、
請求項2に記載のスクリーン洗浄装置。
【請求項4】
前記左右揺動機構は、さらに、
駆動力を前記駆動装置から前記摺動体に伝達して前記摺動体を往復移動させるために前記空間外に設けられる伝達体を備える、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のスクリーン洗浄装置。
【請求項5】
前記ノズルを上下に揺動させるために前記空間外に設けられる上下揺動機構をさらに備え、
前記供給管および前記パイプ材は、一体的に軸線周りに回転可能であり、
前記上下揺動機構は、前記駆動装置によって駆動されて前記供給管および前記パイプ材を前記軸線周りに回転させることで、前記ノズルを上下に揺動させる、
請求項4に記載のスクリーン洗浄装置。
【請求項6】
前記摺動体の前記空間外に位置する一端部分はシャフト形状であり、
前記左右揺動機構は、さらに、
前記パイプ材内において前記摺動体に対して相対回転可能に前記一端部分を受容し、前記摺動体と一体的に前記パイプ材に沿って往復移動するように設けられた筒体を備え、
前記伝達体は、前記筒体に接続されており、
前記供給管、前記パイプ材、および、前記摺動体が前記上下揺動機構によって回転される際に、前記伝達体および前記筒体は回転されない、
請求項5に記載のスクリーン洗浄装置。
【請求項7】
固液分離装置であって、
互いに対向する2つの仕切側壁を含むケーシングと、
固液混合物を固体と液体とに分離するために前記ケーシング内に設けられたスクリーンと、
前記スクリーンを高圧水によって洗浄するためのスクリーン洗浄装置と、を備え、
前記スクリーン洗浄装置は、
前記高圧水を前記スクリーンに噴射するために前記ケーシング内に設けられたノズルと、
前記高圧水を前記ノズルに供給するために一方の前記仕切側壁を貫通して水平に支持された供給管と、
前記ノズルを左右に揺動させるための左右揺動機構と、
前記左右揺動機構を駆動するために前記ケーシング外に設けられた駆動装置と、を備え、
前記左右揺動機構は、
他方の前記仕切側壁を貫通して前記供給管と同軸に支持されたパイプ材と、
前記駆動装置によって前記パイプ材内で前記パイプ材に沿って往復移動する摺動体と、
前記摺動体の往復移動を前記ノズルに伝達して前記ノズルを左右に揺動させるために前記摺動体と前記ノズルとを繋ぐ接続体と、を備える、
ことを特徴とする固液分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固液混合物を固体と液体とに分離するためのスクリーンを洗浄するために固液分離装置に備えられるスクリーン洗浄装置に関する。また、本発明は、前記スクリーンおよび前記スクリーン洗浄装置を備える固液分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
固液分離装置は、例えば、ケーシングと、ケーシング内に収容されたスクリーンとを備え、ケーシング内にてスクリーンによって固液混合物を固体と液体とに分離する。このような固液分離装置には、スクリーン洗浄装置が備えられることがある。
【0003】
特許文献1に開示されたスクリーン洗浄装置は、高圧水をスクリーンに噴射してスクリーンを洗浄する。具体的には、スクリーン洗浄装置は、高圧水をスクリーンへ噴射するためのノズルと、ノズルを上下左右に揺動させるための揺動機構と、揺動機構を駆動する駆動装置と、を備える。スクリーン洗浄装置は、ノズルを上下左右に揺動させながら高圧水をノズルからスクリーンに向かって噴射して、スクリーンを全体的に洗浄する。
【0004】
ところで、特許文献1のスクリーン洗浄装置は、ケーシング内に配置されている。それゆえ、モータや減速機などといった駆動装置の電気的な構成要素の不具合が長期間の運転中に生じ得る。また、メンテナンスのためには、ケーシングのカバーを外して駆動装置にアクセスする必要がある。
【0005】
駆動装置は、ケーシング外に配置されてもよい。これにより、駆動装置に関する上記の問題は解決する。しかしながら、駆動力を駆動装置からノズルへ伝達してノズルを左右に揺動させるために、揺動機構の構成要素を、ケーシングを貫通するように配置する必要がある。そして、このために設けたケーシングの開口から水などが飛散しないように、パッキンなどを含む止水構造を当該開口に設ける必要がある。
【0006】
特許文献1のスクリーン洗浄装置では、高圧水をノズルに供給するための供給管がケーシングの両側の仕切側壁を貫通するように水平に支持されるので、2つの開口をケーシングに設ける必要がある。したがって、駆動装置をケーシング外に配置する場合、供給管のための2つの開口に加え、揺動機構の構成要素のための開口をケーシングに新たに設ける必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許5879119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、駆動装置がスクリーン配置用の空間外に配置されつつも開口の数が抑えられるスクリーン洗浄装置を提供することにある。また、本発明の目的は、このようなスクリーン洗浄装置を含む固液分離装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、固液混合物を固体と液体とに分離するためのスクリーンを高圧水によって洗浄するために固液分離装置に備えられるスクリーン洗浄装置が提供される。
前記スクリーン洗浄装置は、
前記高圧水を、前記固液分離装置の互いに対向する2つの仕切側壁の間の空間内に配置された前記スクリーンに噴射するために前記空間内に位置するノズルと、
前記高圧水を前記ノズルに供給するために一方の前記仕切側壁を貫通して水平に支持される供給管と、
前記ノズルを左右に揺動させるための左右揺動機構と、
前記左右揺動機構を駆動するために前記空間外に設けられる駆動装置と、を備える。
前記左右揺動機構は、
他方の前記仕切側壁を貫通して前記供給管と同軸に支持されるパイプ材と、
前記駆動装置によって前記パイプ材内で前記パイプ材に沿って往復移動する摺動体と、
前記摺動体の往復移動を前記ノズルに伝達して前記ノズルを左右に揺動させるために前記摺動体と前記ノズルとを繋ぐ接続体と、を備える。
【0010】
スロットが、前記パイプ材の軸線方向にのびるように前記パイプ材の外周面に形成されてよい。
前記接続体は、前記スロットを通じて前記摺動体と前記ノズルとに接続されてよい。
【0011】
前記接続体は、
前記摺動体に接続されかつ前記スロットに挿通される第1部材と、
前記パイプ材外で一端において前記第1部材に揺動可能にかつ他端において前記ノズルに揺動可能に接続される第2部材と、を備えてよい。
【0012】
前記左右揺動機構は、さらに、
駆動力を前記駆動装置から前記摺動体に伝達して前記摺動体を往復移動させるために前記空間外に設けられる伝達体を備えてよい。
【0013】
前記スクリーン洗浄装置は、
前記ノズルを上下に揺動させるために前記空間外に設けられる上下揺動機構をさらに備えてよい。
前記供給管および前記パイプ材は、一体的に軸線周りに回転可能でよい。
前記上下揺動機構は、前記駆動装置によって駆動されて前記供給管および前記パイプ材を前記軸線周りに回転させることで、前記ノズルを上下に揺動させてよい。
【0014】
前記摺動体の前記空間外に位置する一端部分はシャフト形状でよい。
前記左右揺動機構は、さらに、
前記パイプ材内において前記摺動体に対して相対回転可能に前記一端部分を受容し、前記摺動体と一体的に前記パイプ材に沿って往復移動するように設けられた筒体を備える。
前記伝達体は、前記筒体に接続されてよい。
前記供給管、前記パイプ材、および、前記摺動体が前記上下揺動機構によって回転される際に、前記伝達体および前記筒体は回転されない。
【0015】
本発明のさらに別の態様によれば、固液分離装置が提供される。
前記固液分離装置は、
互いに対向する2つの仕切側壁を含むケーシングと、
固液混合物を固体と液体とに分離するために前記ケーシング内に設けられたスクリーンと、
前記スクリーンを高圧水によって洗浄するためのスクリーン洗浄装置と、を備える。
前記スクリーン洗浄装置は、
前記高圧水を前記スクリーンに噴射するために前記ケーシング内に設けられたノズルと、
前記高圧水を前記ノズルに供給するために一方の前記仕切側壁を貫通して水平に支持された供給管と、
前記ノズルを左右に揺動させるための左右揺動機構と、
前記左右揺動機構を駆動するために前記ケーシング外に設けられた駆動装置と、を備える。
前記左右揺動機構は、
他方の前記仕切側壁を貫通して前記供給管と同軸に支持されたパイプ材と、
前記駆動装置によって前記パイプ材内で前記パイプ材に沿って往復移動する摺動体と、
前記摺動体の往復移動を前記ノズルに伝達して前記ノズルを左右に揺動させるために前記摺動体と前記ノズルとを繋ぐ接続体と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】例示のスクリーン洗浄装置のノズルとスクリーンとの関係を示す立面図である。
図2図1の供給管直上のレベルでの固液分離装置の概略水平断面図である。
図3図2におけるD-D-E-E折線で見た概略立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、実施形態に係るスクリーン洗浄装置および固液分離装置が説明される。
【0018】
図1の通り、固液分離装置は、ケーシング1と、固液混合物を固体と液体とに分離するためのスクリーン2とを備える。ケーシング1は、その内部に、スクリーン2が配置されかつ固液分離が実施される空間10を規定している。スクリーン2は、ケーシング1内(即ち、空間10内)の所定の位置でケーシング1に支持されている。スクリーン2は、例えば弧状曲面を有する。スクリーン2は、例えばウェッジワイヤースクリーンであるが、他の種類のスクリーンが用いられてもよい。
【0019】
固液分離装置は、ケーシング1内にてスクリーン2を用いて固液混合物を固体と液体とに分離する。特許文献1と同様であるため、その詳細は省略されるが、固液分離装置は、固液混合物をスクリーン2上に供給し、弧状曲面上で流下させる。流下の際に、固液混合物の液体がスクリーン2の目を通り抜け、排出口から排出される一方、固液混合物の固体はスクリーン2の目を通り抜けずにスクリーン2の表面を滑り落ち、回収される。
【0020】
固液分離装置は、さらに、高圧水によってスクリーン2を洗浄するためのスクリーン洗浄装置3(以下、単に洗浄装置と称する)を備える。洗浄装置3は、高圧水をスクリーン2に噴射するための管状のノズル30と、高圧水をノズル30に供給するための供給管31とを備えている。ノズル30は、ケーシング1内に位置し、スイベルジョイント32を介して供給管31に接続されている。
【0021】
図2の通り、ケーシング1は、互いに対向してそれらの間に前記の空間10を規定するために設けられた2つの仕切側壁11,12を含む。供給管31は、仕切側壁11を貫通してケーシング1の内外に渡って水平に延在する。供給管31は、軸受け50によってその軸線31aの周りに回転可能に支持されている。
【0022】
供給管31は、仕切側壁11を貫通するが仕切側壁12を貫通しない。供給管31のケーシング1外(即ち、空間10外)に位置する端は開口している。特許文献1と同様に、洗浄水が昇圧されて高圧水となり、当該高圧水が当該開口を通じて供給管31に供給される。供給管31のケーシング1内に位置する端には、止水フランジ310が設けられており、当該端部は閉口している。
【0023】
ノズル30は、スクリーン2の中央鉛直線を通る鉛直中心平面2cと整合するように設けられている。高圧水は、ケーシング1外から供給管31を通じてケーシング1内のノズル30に供給され、ノズル30の噴射口300からスクリーン2に向って噴射される。
【0024】
洗浄装置3は、さらに、ノズル30を左右(即ち、スクリーン2の幅方向)に揺動させるための左右揺動機構4と、ノズル30を上下に揺動させるための上下揺動機構5と、左右揺動機構4および上下揺動機構5を駆動する駆動装置6とを備える。
【0025】
ノズル30は、前述のスイベルジョイント32(図1)により、当該スイベルジョイント32の軸線32aの周りに供給管31に対して左右に揺動可能である。
【0026】
左右揺動機構4は、パイプ材40を備える。パイプ材40は、仕切側壁12を貫通してケーシング1の内外に渡って水平に延在する。パイプ材40は、軸受け51によってその軸線40aの周りに回転可能に支持されている。
【0027】
パイプ材40は、仕切側壁12を貫通するが仕切側壁11を貫通しない。パイプ材40は、供給管31と同軸に支持されている。即ち、供給管31の軸線31aとパイプ材40の軸線40aとが一直線状に整列している。パイプ材40のケーシング1内に位置する端には、フランジ400が設けられている。パイプ材40のフランジ400と供給管31の止水フランジ310との連結によって、供給管31とパイプ材40が一体的にそれらの軸線31a,40aの周りに回転可能となっている。
【0028】
左右揺動機構4は、摺動体41と接続体42とをさらに備える。摺動体41は、シャフト形状である。摺動体41は、パイプ材40内に配置され、仕切側壁12の内外に渡って延在し、パイプ材40に沿って摺動可能に配置されている。摺動体41は、後述の通り、駆動装置6によってパイプ材40内でパイプ材40に沿って往復移動される。
【0029】
接続体42は、ケーシング1内に位置する。接続体42は、図2では簡略化されているが、摺動体41の往復移動をノズル30に伝達してノズル30を左右に揺動させるため摺動体41とノズル30とを繋いでいる。このために、スロット401(長孔)が、パイプ材40の軸線40aの方向に延在するようにパイプ材40の外周面に形成されている。接続体42は、スロット401を通じて摺動体41とノズル30とに接続される。
【0030】
図3は、図2のD-D-E-E折線で見た概略立面図である。図3の通り、接続体42は、摺動体41に接続され、スロット401に挿通されて、パイプ材40の内外に延在する第1部材420と、パイプ材40外において一端で第1部材420に揺動可能に接続され他端でノズル30の取付部301に揺動可能に接続された第2部材421とからなる。
【0031】
図2の通り、駆動装置6は、ケーシング1外に設けられている。駆動装置6は、駆動力を発生させるモータ60を備える。
【0032】
左右揺動機構4は、伝達体43、クランク板44、ローラ45、リニアガイド46をさらに備える。これらの構成要素は、駆動力を、駆動装置6からパイプ材40内の摺動体41に伝達して、摺動体41を往復移動させるためにケーシング1外に設けられている。
【0033】
図2図3を参照して、クランク板44は、モータ60の出力軸に装着されている。ローラ45は、モータ60の出力軸から、距離L、偏芯し、回転自在にクランク板44に支持されている。
【0034】
リニアガイド46は、伝達体43を水平に往復移動させるためのものである。リニアガイド46は、スライド板460と、スライド板460を水平に摺動可能に案内する上下一対のレール461とを含む。スライド板460は、レール461に緩く挟まれているので倒れたり傾いたりしない。スロット462が、スライド板460に形成されている。ローラ45は、このスロット462に僅かな隙間をもって挿通されている。
【0035】
図2の通り、左右揺動機構4は、筒体47をさらに備える。筒体47は、後述の通り、ノズル30の左右の揺動と上下の揺動とを同時に実施するために設けられている。摺動体41のケーシング1外に位置する一端部分410は、小径のシャフト形状である。筒体47は、パイプ材40内に設けられ、この一端部分410を受容している。連通口402が、ケーシング1外において、パイプ材40の外周面に形成されている。伝達体43は、その一端においてこの連通口402を通じて筒体47に接続されており、他端側においてスライド板460の穴に差し込まれることでスライド板460に接続されている。
【0036】
規制片48が一端部分410の先端に取り付けられており、筒体47は、規制片48と摺動体41の大径の主体部分411との間に位置している。これにより、筒体47は、摺動体41と共にパイプ材40に沿って往復移動するが、摺動体41に対して相対回転可能となっている。
【0037】
クランク板44のモータ60による回転に伴い、スライド板460がローラ45によって振幅Lで水平に往復移動する。したがって、伝達体43、筒体47、摺動体41、および、接続体42の第1部材420が一体的に振幅Lで往復移動する。そして、この往復移動によって、ノズル30は、鉛直中心平面2cを基準に左右にそれぞれ角度θで揺動する。こうして、左右揺動機構4は、モータ60の駆動力をノズル30まで伝達してノズル30を左右に揺動させる。
【0038】
ノズル30の揺動角度θは、スイベルジョイント32の回転中心(軸線32a)とノズル30の取付部301との距離R(図1図2参照)に依存するので、ノズル30の取付部301の位置を調整することで調整可能である。
【0039】
次に、上下揺動機構5が説明される。上下揺動機構5も、モータ60の駆動力によって駆動される。図3の通り、駆動装置6は、減速機61をさらに備える。チェーン62(図3で簡略化されている)が、モータ60の出力軸に装着されたスプロケット(図示略)と、減速機61の入力軸に装着されたスプロケット63との間に掛け渡されている。
【0040】
上下揺動機構5は、クランク板52と、クランクレバー53とを備える。クランク板52が減速機61の出力軸に装着されており、クランクレバー53の基端が、当該出力軸から偏芯してボールジョイント530を介してクランク板52に取り付けられている。したがって、クランクレバー53は、モータ60によって減速機61を介して動かされる。これらは、特許文献1と実質的に同じであるので、その詳細は省略される。
【0041】
図2の通り、クランクレバー53の先端は、ボールジョイント531を介して、パイプ材40のケーシング1外に位置する端に取り付けられている。左右揺動機構4が、上記の軸受け50,51を備え、供給管31およびパイプ材40を、互いに一直線状に整列している軸線31a,40aの周りに回転可能に支持していることは、上記の通りである。
【0042】
従って、クランクレバー53がモータ60によって動かされると、供給管31およびパイプ材40が一体的に軸線31a,40aの周りに摺動体41と共に所定の角度範囲で往揺動回転する。この揺動回転によって、ノズル30が、接続体42やスイベルジョイント32と共に所定の角度範囲で上下に揺動する。実施形態では、図1の通り、ノズル30は、仰角αで俯角βで揺動角度γで上下に揺動する(即ち、2γ=α+β)。
【0043】
左右揺動機構4の上述構成により、上下揺動機構5が、供給管31、パイプ材40、および、摺動体41を回転させるとき、伝達体43および筒体47は上下揺動機構5によって回転されることはなく水平状態を維持する。したがって、上下揺動機構5がノズル30を上下に揺動させているときでも左右揺動機構4がノズル30を左右に揺動させることが保障されている。
【0044】
洗浄装置3は、このように、ノズル30を上下および左右に同時に揺動させることができる。洗浄装置3は、ノズル30を上下左右に揺動させつつ高圧水をノズル30からスクリーン2へ向って噴射することで、スクリーン2を全体的に洗浄する。
【0045】
上記洗浄装置3では、駆動装置6は、ケーシング1外に、すなわち、固液分離およびスクリーン2の洗浄が実施される空間10の外に配置されている。故に、長期間の運転における信頼性が高い。さらに、駆動装置6へのアクセスも容易であるので、メンテナンス性も改善されている。すなわち、モータ60や減速機61といった電気的な構成要素に対するメンテナンスが容易である。
【0046】
従来技術では、駆動装置をケーシング外に配置したときに、ケーシングに追加の開口が必要である。一方、実施形態の洗浄装置3では、パイプ材40が供給管31と同軸に設けられ、供給管31は一方の仕切側壁11を貫通し、パイプ材40が他方の仕切側壁12を貫通している。そして、駆動装置6の駆動力が、空間10外からパイプ材40内を通じて、空間10内のノズル30に伝達され、ノズル30が左右に揺動する。
【0047】
これにより、駆動装置6が空間10外に配置されているにもかかわらず、必要な開口は2つで足り、新たな開口を必要としない。こうして、開口の数を抑えることができ、それに伴い必要となる止水構造の数も抑えることができる。
【0048】
以上、実施形態が説明されたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0049】
1 ケーシング
10 スクリーンが配置される空間
11,12 仕切側壁
2 スクリーン
3 スクリーン洗浄装置
30 ノズル
31 供給管
4 上下揺動機構
40 パイプ材
401 スロット
40a パイプ材の軸線
41 摺動体
410 一端部分
42 接続体
43 伝達体
47 筒体
5 上下揺動機構
52 クランク板
53 クランクレバー
6 駆動装置
60 モータ
61 減速機
図1
図2
図3