(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】ルアー
(51)【国際特許分類】
A01K 85/16 20060101AFI20240722BHJP
A01K 85/00 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
A01K85/16
A01K85/00 G
(21)【出願番号】P 2021006275
(22)【出願日】2021-01-19
【審査請求日】2023-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】500411212
【氏名又は名称】株式会社デプス
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】奥村 和正
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-169686(JP,A)
【文献】特開2005-210951(JP,A)
【文献】国際公開第2016/092668(WO,A1)
【文献】特開2005-185257(JP,A)
【文献】特開2001-103872(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0208756(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 85/16
A01K 85/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フックが設けられるボディと、
着水時に前記フックが前記ボディの上側にある場合に、前記フックが前記ボディの下側に配置されるように前記ボディを自然に姿勢変化させる姿勢変化機構と、を備え
、
前記姿勢変化機構が、前記ボディ内に設けられた錘と、前記ボディの内部に設けられ、前記錘の移動を案内するガイド構造とを具備し、
前記ガイド構造が、前記ボディを回転させる回転力発生位置と、前記フックが前記ボディの下側に位置した状態で前記ボディの姿勢を保つ安定位置との間で前記錘の移動を案内するものであって、前記状態において、前記錘を前記安定位置に留めるポケットを有するものであることを特徴とするルアー。
【請求項2】
前記姿勢変化機構が
、着水後に重力による前記錘の移動によって前記ボディを回転させるように構成された請求項1記載のルアー。
【請求項3】
前記錘が球状をなし、
前記ガイド構造が、
前記フックが前記ボディの上側にある状態において、前記ボディの下側に凸となるように設けられた湾曲レールを具備する請求項
1又は2のいずれかに記載のルアー。
【請求項4】
前記ポケットが、
前記湾曲レールの頂点又はその近傍から当該湾曲レールの凸方向に突出させて形成され
ている請求項
3記載のルアー。
【請求項5】
前記湾曲レールの端部に前記回転力発生位置が設定され、
前記湾曲レールの頂点又はその近傍、あるいは、前記ポケットに前記安定位置が設定された請求項
3又は4のいずれかに記載のルアー。
【請求項6】
前記ボディが魚の形状を模しているとともに、当該ボディの側面部に前記フックが設けられており、
前記ボディの尾部と頭部を結ぶ全長方向に沿ってX軸を設定し、前記ボディの背中側と腹側を結ぶ体高方向に沿ってY軸を設定し、前記ボディの一対の側面部を結ぶ体幅方向に沿ってZ軸を設定した場合に、
前記湾曲レールが、前記Z軸方向に凸となるように湾曲するとともに、前記Y軸方向に沿って延びるように形成された請求項
3乃至5のいずれかに記載のルアー。
【請求項7】
前記ボディが魚又はカエルの形状を模しているとともに、当該ボディの腹側に前記フックが設けられており、
前記ボディの尾部と頭部を結ぶ全長方向に沿ってX軸を設定し、前記ボディの一対の側面部を結ぶ体幅方向に沿ってY軸を設定し、前記ボディの背中側と腹側を結ぶ体高方向に沿って
Z軸を設定した場合に、
前記湾曲レールが、前記Z軸方向に凸となるように湾曲するとともに、前記Y軸方向に沿って延びるように形成された請求項
3乃至5のいずれかに記載のルアー。
【請求項8】
フックが設けられるボディと、
着水時に前記ボディが所定の姿勢とは異なる姿勢である場合に、前記ボディが前記所定の姿勢となるように前記ボディを自然に姿勢変化させる姿勢変化機構と、を備え、
前記姿勢変化機構が、
前記ボディ内に設けられた錘と、前記ボディの内部に設けられ、前記錘の移動を案内するガイド構造とを具備し、
前記ガイド構造が、前記ボディを回転させる回転力発生位置と、前記所定の姿勢となった状態で前記ボディの姿勢を保つ安定位置との間で前記錘の移動を案内するものであって、前記状態において、前記錘を前記安定位置に留めるポケットを有するものであることを特徴するルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばバス釣り等の各種釣りに用いられるルアーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
フィッシュイーターと呼ばれる主に小魚を捕食する大型の魚を対象とする場合、特許文献1に示されるような小魚の形を模した端部が丸まった細長い棒状のボディを備えたルアーが用いられることがある。このようなルアーでは、例えばボディにおける魚の腹側中央部に相当する部分と尻尾に相当する部分にフックが取り付けられている。
【0003】
また、ルアーを移動させる際に発生する波動や音を大きくして対象魚の捕食を促すために、横断面形状に縦横比に偏りのある扁平形状をなすボディを有したルアーが用いられつつある。
【0004】
具体的には、例えば体高よりも体幅のほうが大きいナマズのような魚や、カエル等を模したものがある。このような場合、平面状をなし、水面又は水中において下側となる腹側に対してフックが設けられる。また、体幅よりも体高のほうが大きい種々の魚をボディで模して、平面状をなしている側面部に対してフックが設けられることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ルアーをキャストすると、ボディにおいてフックが設けられている側が上側を向いて着水してしまうことがある。このような場合、ルアーの下側から食いつく魚にはフックがうまくかからなくなってしまう。
【0007】
しかしながら、ロッドやリールの操作によって、フックが下向きとなるように水面又は水中のルアーの向きを変更することは難しいことがある。特に上述したような扁平形状のボディを備えたルアーの場合、ボディの上側にあるフックを下側に戻すのは難しい。
【0008】
本発明は上述したような問題に鑑みてなされたものであり、着水時の姿勢によらず、最終的に想定されている姿勢、例えばフックが下側に配置されるような姿勢に変化するルアーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明に係るルアーは、フックが設けられるボディと、着水時に前記フックが前記ボディの上側にある場合に、前記フックが前記ボディの下側に配置されるように前記ボディを自然に姿勢変化させる姿勢変化機構と、を備えたことを特徴する。
【0010】
このようなものであれば、着水時に前記ボディの上側に向いてしまった場合には前記姿勢変化機構の作用により、ロッドやリールの操作を行わなくても自動的に前記フックが前記ボディの下側に配置されることが可能となる。したがって、ルアーのキャストをやり直すことなく、対象となる魚に対して前記フックを常に有効に作用するようにできる。また、仮に前記フックが前記ボディの下側に自然に配置されなかったとしても、ロッドやリールの操作をきっかけとして前記姿勢変化機構の作用により前記フックを前記ボディの下側に配置しやすくなる。
【0011】
ロッドやリールの操作を行わなくても、前記姿勢変化機構が特別な動力を必要とせず、簡単な構造で前記フックが前記ボディの下側となるように自然に前記ボディの姿勢変化が生じるようにするには、前記姿勢変化機構が、前記ボディ内に設けられた錘を具備し、着水後に重力による前記錘の移動によって前記ボディを回転させるように構成されたものであればよい。
【0012】
前記フックが前記ボディの上側にある場合には前記ボディの回転を生じさせる回転力が発生し、前記フックが前記ボディの下側にある場合には前記ボディの姿勢を安定させるように前記錘を作用させるには、前記姿勢変化機構が、前記ボディの内部に設けられ、前記錘の移動を案内するガイド構造をさらに具備し、前記ガイド構造が、前記ボディを回転させる回転力発生位置と、前記フックが前記ボディの下側に位置した状態で前記ボディの姿勢を保つ安定位置との間で前記錘の移動を案内するように構成されたものであればよい。また、このような姿勢変化機構であれば前記ボディ内に設けられるので、前記ボディの外観や形状の自由度も高く保つことができる。
【0013】
前記フックが前記ボディの下側にある場合には、前記錘が前記ボディ内において姿勢を安定化させる位置に重力によって自然に配置されるようにするには、前記錘が球状をなし、前記ガイド構造が、前記フックが前記ボディの上側にある状態において、前記ボディの下側に凸となるように設けられた湾曲レールを具備したものであればよい。このようなものであれば、前記錘が前記湾曲レールを重力によって転がり、最終的には湾曲レールの頂点又はその近傍を揺動するようにして前記ボディの姿勢を前記フックが前記ボディの下側にある状態で安定させることができる。
【0014】
前記錘が前記湾曲レールの頂点又はその近傍において前記湾曲レールの延びている方向には移動しにくくして、前記ボディの姿勢の安定性をさらに高められるようにするには、前記ガイド構造が、前記湾曲レールの頂点又はその近傍から当該湾曲レールの凸方向に突出させて形成され、前記錘が前記湾曲レールとの間のみ移動可能に収容されるポケットをさらに具備したものであればよい。
【0015】
より具体的な前記姿勢変化機構の実施態様としては、前記湾曲レールの端部に前記回転力発生位置が設定され、前記湾曲レールの頂点又はその近傍、あるいは、前記ポケットに前記安定位置が設定されたものが挙げられる。
【0016】
例えば前記ボディが体幅よりも体高のほうが大きい扁平形状をなす魚を模したルアーを構成した場合に、着水後は前記ボディの下側に前記フックが自然と配置されるようにするには、前記ボディが魚の形状を模しているとともに、当該ボディの側面部に前記フックが設けられており、前記ボディの尾部と頭部を結ぶ全長方向に沿ってX軸を設定し、前記ボディの背中側と腹側を結ぶ体高方向に沿ってY軸を設定し、前記ボディの一対の側面部を結ぶ体幅方向に沿ってZ軸を設定した場合に、前記湾曲レールが、前記Z軸方向に凸となるように湾曲するとともに、前記Y軸方向に沿って延びるように形成されたものが挙げられる。なお、前記ボディの形状は魚を模した物に限られず、例えばカエル等であってもよいし、スプーン等の無生物を模したものであってもよい。これらのような扁平形状のボディを有したルアーであれば同様の構成を用いることで、着水後のルアーに所望の姿勢を取らせやすくできる。
【0017】
例えば前記ボディが体高よりも体幅のほうが大きい扁平形状をなす魚やカエル等を模したワイドフラットタイプのルアーを構成した場合に、着水後は前記ボディの下側に前記フックが自然と配置されるようにするには、前記ボディが魚又はカエルの形状を模しているとともに、当該ボディの腹側に前記フックが設けられており、前記ボディの尾部と頭部を結ぶ全長方向に沿ってX軸を設定し、前記ボディの一対の側面部を結ぶ体幅方向に沿ってY軸を設定し、前記ボディの背中側と腹側を結ぶ体高方向に沿ってY軸を設定した場合に、前記湾曲レールが、前記Z軸方向に凸となるように湾曲するとともに、前記Y軸方向に沿って延びるように形成されたものが挙げられる。
【0018】
フックが設けられるボディと、着水時に前記ボディが所定の姿勢とは異なる姿勢である場合に、前記ボディが前記所定の姿勢となるように前記ボディを自然に姿勢変化させる姿勢変化機構と、を備え、前記姿勢変化機構が、前記ボディが前記所定の姿勢である状態において、前記ボディの下側に凸となるように設けられた湾曲レールと、前記湾曲レールを転動する錘と、を具備することを特徴するルアーであれば、着水時に前記ボディが所定の姿勢とは異なる姿勢に向いてしまったとしても、前記錘の重力による移動によって前記ボディを前記所定の姿勢に自然に変化させることが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
このように本発明に係るルアーであれば、着水時に前記フックが前記ボディの上側に配置されてしまった場合でも、前記フックは前記ボディの下側に自然と配置されるので、例えばロッドやリールの操作では姿勢を変化させにくい形状のボディであっても常に対象となる魚に対して前記フックが有効に作用するようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態に係るルアーを示す模式的斜視図。
【
図2】同実施形態におけるボディの内部に設けられた姿勢変化機構のフックが設けられる側の構造を示す模式的斜視図。
【
図3】同実施形態におけるボディの内部に設けられた姿勢変化機構のフックが設けられない側の構造を示す模式的斜視図。
【
図4】同実施形態における着水時にフックがボディの上側に配置された場合の姿勢変化機構の動作を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態に係るルアー100について
図1乃至
図4を参照しながら説明する。
【0022】
<ルアー100の構成>
図1に示すように本実施形態のルアー100は、ルアーフィッシングに用いられるものであり、小魚の形態を模擬したフラットワイドのボディ1を備えたものである。対象魚としては、例えばブラックバス等のフィッシュイーターが挙げられる。以降の説明では、ボディ1の尾部と頭部を結ぶ全長方向に沿って設定されたX軸、ボディ1の背中側と腹側を結ぶ体高方向に沿って設定されたY軸、ボディ1の一対の側面部を結ぶ体幅方向に沿って設定されたZ軸も用いながら説明する。
【0023】
ボディ1は、例えば樹脂や木材等で形成された体幅よりも体高のほうが大きい扁平状をなすものであり、水面又は水中を魚が横向きとなった状態で進行するように用いられる。このため、ボディ1の一方の平面状をなす側面部(目、えら、側線等のある部位)に設けられた各フックアイFIに対してフックFが取り付けられる。言い換えると、ボディ1の一方の側面部にのみフックFが設けられ、他方の側面部にはフックFは設けられない。このため、常にフックFを対象魚に対して有効に作用させるために、ボディ1の着水後にフックFをボディ1の下側に配置する
図2乃至
図4に示すような姿勢変化機構2がボディ1の内部に設けてある。
【0024】
ボディ1についてさらに詳述すると、
図1に示すようにボディ1は4つのパーツから構成してある。ボディ1は、魚の頭部及び胴部の前方側の一部を模し、顎部分にラインアイLIが設けられた前方部11と、魚の胴部における後方側の一部を模した中央部12と、魚の尾部における胴部側を模した後方部13と、魚の尾部の尾ひれを模した尾ひれ部14と、を具備している。前方部11と中央部12との間、中央部12と後方部13との間はY軸周りに回転可能に軸支されており、後方部13と尾ひれ部14との間はZ軸周りに回転可能に軸支されている。なお、
図1において各軸については省略している。
【0025】
次に姿勢変化機構2についても
図2乃至
図4を参照しながら詳述する。
【0026】
姿勢変化機構2は、着水時にフックFがボディ1の上側に配置された場合に、フックFがボディ1の下側となるようにボディ1を自然に姿勢変化させるものである。より具体的には姿勢変化機構2は、ボディ1の内部に移動可能に設けられた錘21の位置変化によって、水面上又は水中においてフックFがボディ1の下側となるようにボディ1を重力の作用によって回転させるものである。また、姿勢変化機構2はフックFがボディ1の下側に配置された後は、その状態で安定させる。
【0027】
すなわち、姿勢変化機構2は、球状に形成された錘21と、錘21の移動を案内するガイド構造22と、を備えている。
【0028】
ガイド構造22は、ボディ1を回転させる回転力発生位置P1と、フックFがボディ1の下側に位置した状態でボディ1の姿勢を保つ安定位置P2との間で錘21の移動を案内する。本実施形態では
図2乃至
図4に示すようにY軸方向(体高方向)に沿って延びるとともに、Z軸方向(体幅方向)のフックF側に凸となるように形成された概略弓状をなす湾曲レール2Rと、湾曲レール2Rの頂点又はその近傍から当該湾曲レール2Rの凸方向に突出させて形成され、錘21が収容される概略円筒状のポケット2Pと、を具備している。湾曲レール2RにおけるX軸方向及びZ軸方向の幅及びポケット2Pの直径はほぼ錘21の直径と同じにしてある。言い換えると、湾曲レール2RはZ軸方向に離間した一対の弓状をなす曲面と、X軸方向に離間した一対の側壁とから構成されている。
【0029】
また、本実施形態では湾曲レール2RにおけるY軸方向の各端点が、回転力発生位置P1として設定されており、ポケット2Pに安定位置P2が設定されている。
【0030】
加えて、フックFがボディ1の下側となっている状態では、錘21は安定位置P2であるポケット2P内に完全に収容されているとともに、所定範囲までのボディ1の揺動ではポケット2P内から湾曲レール2Rへと錘21が飛び出さないように構成されている。さらに、フックFがボディ1の上側にある状態では、錘21はポケット2Pから湾曲レール2Rへと自重で落ちるとともに、最終的に湾曲レール2Rの曲面に沿って自重で転がって、ポケット2Pに対して下方にある回転力発生位置P1であるいずれかの端点へと移動する。
【0031】
<ルアー100の動作>
このように構成されたルアー100において、着水時にフックFがボディ1の上側に配置された場合の動作について
図4を参照しながら説明する。
【0032】
着水時にフックFがボディ1の上側に配置されてしまった場合、
図4(a)に示すようにボディ1の内部に設けられたガイド構造22は、ポケット2Pが上側で湾曲レール2Rも上側に凸となった状態となる。したがって、錘21は湾曲レール2Rの曲面に沿って転がり、最終的には回転力発生位置P1である湾曲レール2Rのいずれかの端点に到達する。
【0033】
すると、
図4(b)に示すようにボディ1の腹側又は背中側のいずれかに錘21によって重量が偏り、ボディ1はX軸周りに回転する(ボディ1にローリングが発生する)。
【0034】
さらに、
図4(c)に示すように湾曲レール2Rの端点にある錘21によってボディ1の腹側又は背中側が最下点に到達すると、フックFの重さによってさらにフックFが下側となるようにボディ1に倒れが生じる。すなわち、湾曲レール2Rの凸方向及びポケット2Pも下向きとなる。
【0035】
フックFがボディ1の下側に配置される、又は、その最中に錘21は重力によって湾曲レール2Rに沿って中央側に移動して、最終的には
図4(d)に示すようにポケット2P内へと収容される。錘21がポケット2Pに収容された状態ではボディ1に多少揺動が発生したとしても湾曲レール2Rに飛び出さない。また、仮に錘21がポケット2Pから湾曲レール2Rに飛び出したとしても、フックFがボディ1の下側にある限りは湾曲レール2Rにそって中央部側へと戻ることになる。すなわち、ポケット2Pを中心とした錘21の安定点が形成されているので、フックFがボディ1の下側に配置されている状態において錘21は姿勢を維持するバランサーとしての機能も発揮する。
【0036】
<ルアー100の効果>
このように本実施形態に係るルアー100によれば、ロッドやリールの操作を行わなくても、錘21にかかる重力による錘21の移動だけで、ボディ1の姿勢はフックFが下側となるように維持される。すなわち、ルアー100がキャストされて着水した時点ではフックFがボディ1の上側にあったとしても自然にフックFはボディ1の下側に配置され、しかもその状態が安定的に維持される。
【0037】
したがって、フラットワイドのボディ1を有していたとしても、常にフックFが対象魚に対して有効なボディ1の下側にある状態を維持できる。また、フラットワイドのボディ1として形成されているので、ルアー100を移動させる際に発生する波や音を大きくして対象魚の捕食を促すことができる。このようなフラットワイドによるルアー100との特性を享受しながら、姿勢変化機構2によって常にフックFをボディ1の下側に配置できるので、従来のものよりもルアーとしての使い勝手を向上できる。
【0038】
その他の実施形態について説明する。
【0039】
前記実施形態ではボディの形状は体幅よりも体高のほうが大きい魚を模したものであったが、例えば体高よりも体幅のほうが大きい、ナマズ等の魚を模したものであってもよい。また、ボディは魚を模したものに限られず、カエル等の様々な生物を模したものであってもよい。このような体高よりも体幅が大きい生物を模したフラットワイドのボディの場合には、腹側の中央部にフックを設けるとともに、記ボディの尾部と頭部を結ぶ全長方向に沿ってX軸を設定し、ボディの一対の側面部を結ぶ体幅方向に沿ってY軸を設定し、ボディの背中側と腹側を結ぶ体高方向に沿ってY軸を設定した場合に、湾曲レールが、Z軸方向でフック側に凸となるように湾曲するとともに、Y軸方向に沿って延びるように形成されていればよい。また、ボディは魚やカエル等の生物だけでなく、ワーム等をもしたものであってもよいし、スプーン等の無生物を模したものであってもよい。
【0040】
加えて、ボディの形状はフラットワイドに限られるものではなく、ペンシルタイプ等の種々の形状であってもよい。すなわち、ボディの形状によらず、姿勢変化機構によってフックがボディの下側に配置されるように構成できる。
【0041】
前記実施形態に示したボディの構成は一例であっても様々な形態を含み得る。例えばボディを4つのパーツで構成するのではなく、1つのパーツで形成してもよいし、2つ、3つあるいは5つ以上の複数のパーツで構成してもよい。また、ラインアイが設けられるのはボディにおける顎に相当する部分ではなく、他の部分に設けられても良い。また、フックアイの位置も適宜設定してもよい。
【0042】
本発明の別の実施態様としては、ガイド構造がポケットを有しておらず、湾曲レールのみで構成されたものが挙げられる。このようなものであっても、錘が湾曲レールの頂点近傍を揺動することで、ボディの姿勢が例えばフックが下側となるように姿勢を安定させることができる。また、本発明はボディの姿勢をフックが下側となるように自然にボディの姿勢を変化させるものに限られない。すなわち、水面又は水中において想定されている所定の姿勢に自然となるようにルアーを構成してもよい。具体的にこのようなルアーは、フックが設けられるボディと、着水時に前記ボディが所定の姿勢とは異なる姿勢である場合に、前記ボディが前記所定の姿勢となるように前記ボディを自然に姿勢変化させる姿勢変化機構と、を備え、前記姿勢変化機構が、前記ボディが前記所定の姿勢である状態において、前記ボディの下側に凸となるように設けられた湾曲レールと、前記湾曲レールを転動する錘と、を具備するものであればよい。
【0043】
姿勢変化機構についても前記実施形態で示したものに限られない。例えば錘がばね等で支持されてフックのボディの位置に応じて錘の位置が変更されて、着水時にフックがボディの上側にある場合に、自然にボディの下側にフックが配置されるようにしてもよい。また、錘の移動が錘の転がりを必要としない場合には、錘の形状は球状に限られない。
【0044】
フックの個数や形状も適宜用途や対象魚に応じて設定してもよい。対象魚はブラックバスに限られるものではなく、シーバスやその他の大型魚であってもよい。また、本発明のルアーは大型魚だけを対象とするものではなく、例えばタコやイカ等を対象とするエギ等に本発明の姿勢変化機構を適用してもよい。
【0045】
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて様々な実施形態の変形や、各実施形態の一部同士の組み合わせを行ってもよい。
【符号の説明】
【0046】
100 :ルアー
1 :ボディ
FI :フックアイ
LI :ラインアイ
F :フック
11 :前方部
12 :中央部
13 :後方部
14 :尾ひれ部
2 :姿勢変化機構
21 :錘
22 :ガイド構造
2P :ポケット
2R :湾曲レール
P1 :回転力発生位置
P2 :安定位置