(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】情報処理装置、プログラム及び方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/16 20240101AFI20240722BHJP
G06Q 40/06 20120101ALI20240722BHJP
【FI】
G06Q50/16
G06Q40/06
(21)【出願番号】P 2021065594
(22)【出願日】2021-04-08
(62)【分割の表示】P 2020085301の分割
【原出願日】2020-05-14
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】520170645
【氏名又は名称】株式会社レアル
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】木本 昇明
【審査官】▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-323239(JP,A)
【文献】特開2018-013905(JP,A)
【文献】特開2004-303131(JP,A)
【文献】特開2012-078883(JP,A)
【文献】特開2011-048597(JP,A)
【文献】特開2002-207876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 -99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備え、ユーザに対して不動産投資情報を提供する情報処理装置であって、
前記制御部は、
ユーザから、1つ以上の所定の不動産に関する第1の情報
の入力を受け付ける受付ステップと、
前記入力された前記第1の情報に基づき、前記第1の情報に関する少なくとも1つの不動産の経営状況について分析処理を行う分析ステップと、
前記分析処理の結果を提示する分析結果提示ステップと、を行い、
前記分析ステップにおいて、前記第1の情報に関する少なくとも1つの不動産について収支分析を行い、複数の収支項目のそれぞれを分析し、
前記分析結果提示ステップにおいて、前記第1の情報に関する1つの不動産の各収支項目、又は、前記第1の情報に関する複数の不動産を組み合わせた場合の各収支項目を、所定標本数の不動産情報に基づいて算出された各収支項目の比較値と比較可能な形態で同一画面に提示する、情報処理装置。
【請求項2】
前記分析結果提示ステップにおいて、各収支項目の前記比較値として、前記所定標本数の不動産情報の平均に基づく値、または、前記所定標本数の不動産情報それぞれの各収支項目の値の大きさに基づき並べた場合の所定の位置の値、とからなる群のうち少なくとも1つを、前記第1の情報に関する不動産の前記収支項目と比較可能な形態で提示する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記分析結果提示ステップにおいて、各収支項目の前記比較値として、前記所定標本数の不動産情報に基づいて算出された各収支項目の第1四分位数、中央値、平均値、第3四分位数からなる群のうち少なくとも1つを、前記第1の情報に関する不動産の前記収支項目と比較可能な形態で提示する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記収支分析に基づき、前記第1の情報に関する前記少なくとも1つの不動産の収支状況を評価するパラメータを算出する、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記受付ステップにおいて受け付けた前記第1の情報をデータベースに記憶させ、
前記ユーザを被相続人とし、当該ユーザの相続人となるサブユーザを、前記ユーザと関連付けて登録可能であり、
所定の条件を満たすまでは、前記サブユーザから、前記データベースに記憶されており、かつ、当該サブユーザに関連付けられる前記第1の情報についてアクセスを受け付けず、前記所定の条件を満たした場合に当該アクセスを可能とする、請求項1から4のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記受付ステップにおいて受け付けた前記第1の情報をデータベースに記憶させ、
前記ユーザが、不動産管理会社の利用者であり、
前記ユーザと関連付けてサブユーザを登録可能であり、
前記データベースに記憶されている前記第1の情報について、前記ユーザと関連付けられる前記サブユーザのアクセス権限を管理しており、
前記ユーザに関連付けられるサブユーザとの関連付けを解除して、前記ユーザとは異なる他のユーザと、当該サブユーザとを関連付けることにより、前記ユーザと前記他のユーザとで前記サブユーザを譲渡する、請求項1から4のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記分析ステップにおいて、前記第1の情報に関する前記少なくとも1つの不動産について、借入状況分析を行い、
前記収支分析及び前記借入状況分析の分析結果に基づき、前記第1の情報に関する不動産について、将来の全体的なキャッシュフローを予測する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記受付ステップにおいて受け付けた前記第1の情報をデータベースに記憶させ、
前記ユーザに対し資金の提供を申し出る金融機関の端末装置からのアクセスを受け付け、
前記データベースに前記第1の情報が記憶されている不動産のうち前記少なくとも1つの不動産について、当該不動産の収支分析を含む分析処理の結果を、前記金融機関の端末装置の利用者に提示し、
前記ユーザと、前記金融機関とをマッチングさせる、請求項1から7のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記ユーザの借入状況分析を示す情報を、前記分析処理の結果として前記ユーザに対し資金の提供を申し出る金融機関の端末装置の利用者に提示し、
前記金融機関の利用者から、前記ユーザへのメッセージの送信を受け付ける、請求項1から8のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記受付ステップにおいて受け付けた前記第1の情報をデータベースに記憶させ、
前記ユーザに対し資金の提供を申し出る金融機関の利用者から、前記データベースに記憶される前記第1の情報に関する検索条件として、保有中の不動産情報、購入検討中の不動産情報、検討中止した不動産情報、売却済の不動産情報からなる群の少なくとも1つについての検索条件の入力を受け付けて、当該検索条件を満たす前記ユーザを、当該金融機関の端末装置に応答する、請求項1から9のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項11】
プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータに実行させ、ユーザに対して不動産投資情報を提供するためのプログラムであって、
前記プログラムは、前記プロセッサに、
ユーザから、1つ以上の所定の不動産に関する第1の情報
の入力を受け付ける受付ステップと、
前記入力された前記第1の情報に基づき、前記第1の情報に関する少なくとも1つの不動産の経営状況について分析処理を行う分析ステップと、
前記分析処理の結果を提示する分析結果提示ステップと、を行わせ、
前記分析ステップにおいて、前記第1の情報に関する少なくとも1つの不動産について収支分析を行い、複数の収支項目のそれぞれを分析し、
前記分析結果提示ステップにおいて、前記第1の情報に関する1つの不動産の各収支項目、又は、前記第1の情報に関する複数の不動産を組み合わせた場合の各収支項目を、所定標本数の不動産情報に基づいて算出された各収支項目の比較値と比較可能な形態で同一画面に提示する、プログラム。
【請求項12】
プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータにより実行され、ユーザに対して不動産投資情報を提供する方法であって、
前記方法は、前記プロセッサが、前記メモリに記憶されるプログラムを読み込んで実行することにより、
ユーザから、1つ以上の所定の不動産に関する第1の情報
の入力を受け付ける受付ステップと、
前記入力された前記第1の情報に基づき、前記第1の情報に関する少なくとも1つの不動産の経営状況について分析処理を行う分析ステップと、
前記分析処理の結果を提示する分析結果提示ステップと、を行い、
前記分析ステップにおいて、前記第1の情報に関する少なくとも1つの不動産について収支分析を行い、複数の収支項目のそれぞれを分析し、
前記分析結果提示ステップにおいて、前記第1の情報に関する1つの不動産の各収支項目、又は、前記第1の情報に関する複数の不動産を組み合わせた場合の各収支項目を、所定標本数の不動産情報に基づいて算出された各収支項目の比較値と比較可能な形態で同一画面に提示する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、プログラム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、資産運用の一形態として、アパートやマンション等の不動産を購入し、それを賃貸することによって投資した資金を回収することが行われている。そのような不動産のユーザに対して、Webサイトを介して不動産の管理情報を提供することは、一般的に行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、一人のユーザが複数の賃貸不動産を所有し、それを別々の管理業者に管理委託した場合であっても、各不動産の管理運営状況、具体的には収支状況を一つのウェブサイトで一括して閲覧することができる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、資産運用を行うに際して、不動産情報を投資情報として分析を行うことは容易ではない。具体的には、不動産情報を投資情報として活用するためには、現在保有中の不動産情報について、収支情報、複数の不動産の比較、及び借入状況を把握するとともに、購入や売却を検討している不動産情報と組み合わせて、将来の収支分析、複数の不動産の比較分析、借入状況分析などの分析処理を行う必要がある。
【0006】
特許文献1に記載のシステムでは、このような機能は備えておらず、購入や売却を検討している不動産情報と組み合わせて、不動産の経営状況について分析処理を行うことは容易ではない。
【0007】
そこで、現在保有中の不動産情報に加えて、購入や売却を検討している不動産情報を組み合わせて、不動産の分析処理を行い、不動産の投資に役立つ情報を提供することが可能なサービスが望まれている。
【0008】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、不動産の分析処理を行い、不動産の投資に役立つ情報を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施の形態によると、制御部と、記憶部とを備え、ユーザに対して不動産投資情報を提供する情報処理装置が提供される。記憶部は、ユーザが保有中の不動産情報である保有情報と、購入検討中の不動産情報である購入検討中情報とを区別して記憶し、制御部は、保有情報または購入検討中情報をユーザに提示する不動産情報提示ステップと、ユーザから、提示された保有情報または購入検討中情報に示される不動産を少なくとも1つ選択する操作を受け付ける選択受付ステップと、保有情報または購入検討中情報に基づき、選択された少なくとも1つの不動産の経営状況について分析処理を行う分析ステップと、分析処理の結果を提示する分析結果提示ステップと、を行う。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、不動産の分析処理を行い、不動産の投資に役立つ情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】不動産経営管理システム1の全体の構成を示す図である。
【
図2】第1の実施の形態の不動産経営管理システム1を構成するユーザの端末装置10のブロック図である。
【
図3】第1の実施の形態の不動産経営管理システム1を構成するサーバ20の機能的な構成を示す図である。
【
図4】サーバ20が記憶するユーザ情報データベース281、不動産情報データベース282のデータ構造を示す図である
【
図5】第1の実施の形態の不動産経営管理システム1により、ユーザが指定した保有中または購入検討中の少なくとも1つの不動産について分析処理を行う流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本開示の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0013】
<第1の実施の形態>
以下、ユーザが指定した保有中または購入検討中の少なくとも1つの不動産について分析処理を行う実施形態について説明する。
【0014】
<1 不動産経営管理システム1の全体構成>
図1は、不動産経営管理システム1の全体の構成を示す図である。
【0015】
不動産経営管理システム1は、不動産の経営について分析処理を行うためのシステムである。
図1に示すように、不動産経営管理システム1は、複数の端末装置(
図1では端末装置10Aおよび端末装置10Bを示している。以下、総称して「端末装置10」ということもある)と、サーバ20とを含む。端末装置10とサーバ20とは、ネットワーク80を介して通信接続する。ネットワーク80は、有線または無線ネットワークにより構成される。
【0016】
端末装置10は、不動産経営者のユーザが操作する装置である。端末装置10は、例えば据え置き型のPC(Personal Computer)、ラップトップPCなどにより実現される。
図1に示すように、端末装置10は、通信IF(Interface)12と、入力装置13と、出力装置14と、メモリ15と、記憶部16と、プロセッサ19とを備える。
【0017】
通信IF12は、端末装置10が外部の装置と通信するため、信号を入出力するためのインタフェースである。入力装置13は、ユーザからの入力操作を受け付けるための入力装置(例えば、タッチパネル、タッチパッド、マウス等のポインティングデバイス、キーボード等)である。出力装置14は、ユーザに対し情報を提示するための出力装置(ディスプレイ、スピーカ等)である。メモリ15は、プログラム、および、プログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものであり、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。記憶部16は、データを保存するための記憶装置であり、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)である。プロセッサ19は、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路などにより構成される。
【0018】
サーバ20は、各ユーザの情報、及び、各不動産の情報を管理する装置である。サーバ20は、ネットワーク80に接続されたコンピュータである。
【0019】
図1に示すように、サーバ20は、通信IF22と、入出力IF23と、メモリ25と、ストレージ26と、プロセッサ29とを備える。
【0020】
通信IF22は、サーバ20が外部の装置と通信するため、信号を入出力するためのインタフェースである。入出力IF23は、ユーザからの入力操作を受け付けるための入力装置、および、ユーザに対し情報を提示するための出力装置とのインタフェースとして機能する。メモリ25は、プログラム、および、プログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものであり、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。ストレージ26は、データを保存するための記憶装置であり、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)である。プロセッサ29は、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路などにより構成される。
【0021】
<1.1 端末装置10の構成>
図2は、第1の実施形態の不動産経営管理システム1を構成する端末装置10のブロック図である。
図2に示すように、端末装置10は、通信部110と、操作受付部130と、表示部140と、記憶部170と、制御部180と、を含む。端末装置10は、
図2では特に図示していない機能及び構成(例えば、電力を保持するためのバッテリー、バッテリーから各回路への電力の供給を制御する電力供給回路など)も有している。
図2に示すように、端末装置10に含まれる各ブロックは、バス等により電気的に接続される。
【0022】
通信部110は、端末装置10が他の機器と通信するための部品である。
【0023】
操作受付部130は、ユーザの入力操作を受け付けるための機構を有する。例えば、操作受付部130は、マウス、キーボード又はタッチパネルなどを含む。
【0024】
表示部140は、制御部180の制御に応じて、画像、動画、テキストなどのデータを表示する。表示部140は、例えば液晶ディスプレイによって実現される。
【0025】
記憶部170は、例えばフラッシュメモリ等により構成され、端末装置10が使用するデータおよびプログラムを記憶する。ある局面において、記憶部170は、ユーザ情報171と、不動産情報172とを記憶する。ユーザ情報171と、不動産情報172とは、サーバ20において管理される情報(後述するユーザ情報データベース281、不動産情報データベース282等)である。端末装置10は、ブラウザ等によりサーバ20へアクセスすることで、ユーザ情報171および不動産情報172に基づく処理が行われる。
【0026】
ユーザ情報171は、不動産経営管理システム1を用いて不動産経営を行うユーザの情報である。ユーザ情報171は、例えば、端末装置10により不動産経営管理システム1を利用しているユーザの情報である。ユーザ情報としては、ユーザを識別する情報(ユーザID)、ユーザが登録した不動産の情報等が含まれる。ユーザが登録した不動産については、不動産のステータス(保有中、売却済、検討段階、検討中止など)によってそれぞれの不動産の情報を記憶する。
【0027】
不動産情報172は、不動産経営管理システム1における不動産の情報である。不動産情報としては、各不動産を識別する情報(不動産ID)、各不動産の物的事項、権利態様、運営収益、運営費用、取得金額、借入状況などが含まれる。
【0028】
制御部180は、記憶部170に記憶されるプログラムを読み込んで、プログラムに含まれる命令を実行することにより、端末装置10の動作を制御する。制御部180は、プログラムに従って動作することにより、入力操作受付部181と、送受信部182と、表示制御部183と、不動産登録部184、不動産選択部185、分析処理指定部186としての機能を発揮する。
【0029】
入力操作受付部181は、マウス、キーボード等の入力装置に対するユーザの入力操作を受け付ける処理を行う。
【0030】
送受信部182は、端末装置10が、サーバ20等の外部の装置と、通信プロトコルに従ってデータを送受信するための処理を行う。
【0031】
表示制御部183は、表示部140の表示処理を制御する。
【0032】
不動産登録部184は、ユーザから、不動産を登録する操作を受け付ける処理を行う。例えば、不動産登録部184は、ユーザが保有中の不動産について、各不動産の物的事項、権利態様、運営収益、運営費用、取得金額、借入状況などの情報を登録する操作を受け付ける。また、不動産登録部184は、ユーザから、各不動産のステータスを、保有中、売却済、検討段階、検討中止などと指定する操作を受け付ける。
【0033】
不動産選択部185は、ユーザから、後述する分析処理の対象としたい不動産を選択する操作を受け付ける処理を行う。例えば、不動産選択部185は、不動産のステータスによってユーザが登録した全ての不動産を提示し、ユーザから、保有中の不動産または購入検討中の不動産を、少なくとも1つ選択する操作を受け付ける。
【0034】
分析処理指定部186は、ユーザから、選択した少なくとも1つの不動産について行いたい分析処理の種類を指定する操作を受け付ける。例えば、分析処理指定部186は、後述する実行可能な分析処理の種類を全て提示し、ユーザから、複数の不動産について収支分析を行うような指定を受け付ける。
【0035】
<1.3 サーバ20の機能的な構成>
図3は、サーバ20の機能的な構成を示す図である。
図3に示すように、サーバ20は、通信部201と、記憶部202と、制御部203としての機能を発揮する。
【0036】
通信部201は、サーバ20が外部の装置と通信するための処理を行う。
【0037】
記憶部202は、サーバ20が使用するデータ及びプログラムを記憶する。記憶部202は、ユーザ情報データベース281と、不動産情報データベース282等を記憶する。
【0038】
ユーザ情報データベース281は、不動産経営管理システム1を利用するユーザの情報を保持するためのデータベースである。詳細は後述する。
【0039】
不動産情報データベース282は、不動産経営管理システム1に蓄積されている不動産情報を保持するためのデータベースである。詳細は後述する。
【0040】
制御部203は、サーバ20のプロセッサがプログラムに従って処理を行うことにより、各種モジュールとして示す機能を発揮する。
【0041】
受信制御モジュール2031は、サーバ20が外部の装置から通信プロトコルに従って信号を受信する処理を制御する。
【0042】
送信制御モジュール2032は、サーバ20が外部の装置に対し通信プロトコルに従って信号を送信する処理を制御する。
【0043】
登録受付モジュール2033は、サーバ20が端末装置10から、不動産を登録する操作を受け付ける処理を制御する。
【0044】
不動産選択受付モジュール2034は、サーバ20が端末装置10から、後述する分析処理の対象としたい不動産を少なくとも1つを選択する操作を受け付ける処理を制御する。例えば、不動産選択受付モジュール2034は、端末装置10から、保有中の不動産または購入検討中の不動産を、少なくとも1つ選択する操作を受け付ける。
【0045】
分析処理指定受付モジュール2035は、サーバ20が、端末装置10から、後述する分析処理の種類を指定する操作を受け付ける処理を制御する。例えば、分析処理指定受付モジュール2035は、端末装置10から、複数の不動産について収支分析を行うような指定を受け付ける。
【0046】
分析処理モジュール2036は、サーバ20が、ユーザが選択した少なくとも1つの不動産について、所定の分析処理を行う処理を制御する。例えば、分析処理モジュール2036は、ユーザが選択した保有中の不動産と購入検討中の複数の不動産について、ユーザが指定した収支状況を分析する。
【0047】
<2 データ構造>
図4は、サーバ20が記憶するユーザ情報データベース281、不動産情報データベース282のデータ構造を示す図である。
【0048】
図4に示すように、ユーザ情報データベース281のレコードのそれぞれは、項目「ユーザID」と、項目「氏名」と、項目「登録した不動産」等を含む。
【0049】
項目「ユーザID」は、それぞれのユーザを識別する情報である。
【0050】
項目「登録した不動産」は、それぞれのユーザが不動産経営管理システム1を利用する際に登録した不動産の情報である。具体的に、「登録した不動産」としては、ユーザが指定した不動産のステータス(保有中、購入検討中、検討中止、売却済など)により、それぞれの不動産の不動産IDを記憶する。
【0051】
例えば、ユーザが保有中の不動産の詳細情報を登録した場合、サーバ20は、当該不動産を「保有中」の不動産として記憶する。また、ユーザは所定の検索条件(用途、住所、面積、築年数など)で、不動産経営管理システム1に蓄積されている不動産情報から検索し、当該検索条件を満たす不動産を購入検討中の不動産と指定した場合、サーバ20は、当該不動産を「購入検討中」の不動産として記憶する。
【0052】
また、ユーザ情報データベース281には、ユーザが保有中の不動産について、ユーザが売却を検討している不動産の情報を区別して、「売却検討中」の不動産として記憶する。
【0053】
不動産情報データベース282のレコードのそれぞれは、項目「不動産ID」と、項目「不動産名」と、項目「詳細情報」等を含む。
【0054】
項目「不動産ID」は、それぞれの不動産を識別する情報である。
【0055】
項目「詳細情報」は、それぞれの不動産に関する詳細情報であり、具体的には、それぞれの不動産の物的事項、権利態様、運営収益、運営費用、取得金額、借入状況などを含む。不動産の詳細情報は、不動産について分析処理を行うときに用いられる。
【0056】
項目「物的事項」は、それぞれの不動産を特定するための情報であり、具体的には、不動産名称、住所、主要用途、用途詳細、構造、階数、土地延べ面積、建物延床面積、竣工年月日などに関する情報を含む。
【0057】
項目「権利態様」は、それぞれの不動産にまつわる権利関係を示す情報であり、具体的には、土地権利、建物権利などを示す情報であり、土地権利、建物権利、テナント総数、賃貸可能面積、敷金、保証金、借地権などに関する情報を含む。
【0058】
項目「運営収益」は、それぞれの不動産を運営することにより得られる収益を示す情報であり、具体的には、貸室賃料収入、共益費収入、水道光熱費収入、駐車場収入、礼金・権利金収入、更新料収入、貸倒れ損失などに関する情報を含む。
【0059】
項目「運営費用」は、それぞれの不動産を運営することにより発生する費用を示す情報であり、具体的には、維持管理費、水道光熱費、修繕費、原状回復費、プロパティマネジメントフィ、テナント募集費用、公租公課、損害保険料、支払地代などに関する情報を含む。
【0060】
項目「取得価額」は、それぞれの不動産を購入する際に支払った金額を示す情報である。
【0061】
項目「借入状況」は、それぞれの不動産を取得するために金融機関から借り入れをした状況を示す情報であり、具体的には、借入日、借入金融機関、支店名、借入金額、契約借入期間、借入利息などに関する情報を含む。
【0062】
<3 動作>
以下、
図5を参照しながら、第1の実施の形態の不動産経営管理システム1により、不動産について分析処理を行う処理について説明する。
【0063】
図5は、端末装置10において、ユーザが指定した保有中または購入検討中の少なくとも1つの不動産について分析処理を行う流れの一例を示すフローチャートである。
【0064】
ステップS511において、端末装置10は、ユーザから、不動産を登録する操作を受け付ける。例えば、端末装置10は、ユーザから、保有中の不動産について詳細情報を入力する操作を受け付ける。または、端末装置10は、ユーザから、希望の購入条件を満たす不動産を「購入検討中」の不動産として指定する操作を受け付ける。
【0065】
ステップS521において、サーバ20は、ユーザによる不動産の登録に応じて、ユーザが保有している不動産情報である保有情報と、ユーザが購入を検討中の不動産情報である購入検討中情報とを区別して記憶する。
【0066】
例えば、サーバ20は、ユーザが指定した不動産のステータス(保有中、購入検討中、検討中止、売却済など)により、それぞれの不動産の情報を、ユーザ情報データベース281及び不動産情報データベース282に記憶し、「保有中の不動産」と「購入検討中の不動産」を区別して記憶する。
【0067】
また、サーバ20は、保有情報の中から、ユーザが売却を検討している不動産情報である売却検討中情報を区別して記憶することとしてもよい。例えば、ユーザが保有中の所定の不動産を売却検討中の不動産と指定した場合に、当該不動産のステータスを「売却検討中」とし、他の保有中の不動産と区別して記憶する。
【0068】
ステップS522において、サーバ20は、保有情報または購入検討中情報をユーザに提示する。例えば、サーバ20は、ユーザが保有中の不動産、または購入検討中の不動産の各種情報(物的事項、権利態様、運営収益、運営費用など)をユーザに提示する。
【0069】
ステップS512において、端末装置10は、ユーザから、提示された保有情報または購入検討中情報に示される不動産を少なくとも1つ選択する操作を受け付ける。例えば、ユーザは、保有中の全ての不動産に加えて、購入検討中の一部の不動産を購入した場合の経営状況を知りたい場合に、保有中の全ての不動産と、購入検討中の当該一部の不動産を選択する操作をする。
【0070】
ステップS523において、サーバ20は、保有情報または購入検討中情報に基づき、選択された少なくとも1つの不動産の経営状況について分析処理を行う。例えば、サーバ20は、以下のような分析処理を行う。
【0071】
(1)収支分析
サーバ20は、ユーザが選択した保有中または購入検討中の少なくとも1つの不動産について収支分析を行う。
【0072】
(1-1)各不動産についての収支分析
サーバ20は、ユーザが選択した保有中または購入検討中の各不動産の詳細情報に基づき、収支項目として、各不動産の運営収益、賃料水準、運営費用、損害保険料、修繕費、維持管理費などを算出し、各不動産について収支分析を行う。また、サーバ20は、ユーザが選択した各不動産の詳細情報に基づき、各不動産の単位面積(例えば、1平方メートル(1m2))あたりの運営収益、賃料水準、運営費用、損害保険料、修繕費、維持管理費などを算出し、各不動産について1平方メートルあたりの収支分析を行う。
【0073】
また、サーバ20は、ユーザが登録した不動産情報のほか、不動産経営管理システム1に蓄積されている不動産情報に基づき、所定標本数の不動産を抽出し、各収支項目(運営収益、賃料水準、運営費用、損害保険料、修繕費、維持管理費など)の第1四分位数、中央値及び第3四分位数を算出することで、ユーザが選択した保有中または購入検討中の各不動産の各収支項目と比較分析することとしてもよい。
【0074】
また、サーバ20は、ユーザが選択した保有中または購入検討中の各不動産の詳細情報に基づき、各不動産を評価するパラメータを算出することとしてもよい。例えば、サーバ20は、算出した各収支項目に基づき、各不動産の収支状況を総合的に評価し、数値形式で各不動産の収支総合評価パラメータを算出する。
【0075】
また、サーバ20は、ユーザが選択した保有中または購入検討中の各不動産の詳細情報に基づき、各不動産の将来の各収支項目(運営収益、賃料水準、運営費用、損害保険料、修繕費、維持管理費など)を予測し、各不動産について将来の収支分析を行うこととしてもよい。
【0076】
(1-2)複数の不動産についての収支分析
サーバ20は、ユーザが選択した保有中または購入検討中の複数の不動産の詳細情報に基づき、収支項目として、当該複数の不動産を組み合わせた場合の運営収益、賃料水準、運営費用、損害保険料、修繕費、維持管理費などを算出し、複数の不動産を組み合わせて収支分析を行う。また、サーバ20は、ユーザが選択した複数の不動産の詳細情報に基づき、当該複数の不動産を組み合わせた場合の1平方メートルあたりの運営収益、賃料水準、運営費用、損害保険料、修繕費、維持管理費などを算出し、複数の不動産を組み合わせて1平方メートルあたりの収支分析を行う。
【0077】
また、サーバ20は、ユーザが登録した不動産情報以外、他のユーザの保有中または購入検討中の不動産情報に基づき、所定標本数の不動産を抽出し、各収支項目(運営収益、賃料水準、運営費用、損害保険料、修繕費、維持管理費など)の第1四分位数、中央値及び第3四分位数を算出することで、ユーザが選択した保有中または購入検討中の複数の不動産を組み合わせた場合の収支項目と比較分析することとしてもよい。
【0078】
また、サーバ20は、ユーザが選択した保有中または購入検討中の複数の不動産の詳細情報に基づき、当該複数の不動産を組み合わせて評価するパラメータを算出することとしてもよい。例えば、サーバ20は、複数の不動産を組み合わせた場合の各収支項目に基づき、当該複数の不動産を組み合わせて収支状況を総合的に評価し、数値形式で複数の不動産を組み合わせた場合の収支総合評価パラメータを算出する。
【0079】
これにより、ユーザが選択した保有中または購入検討中の少なくとも1つの不動産について、各不動産別の収支分析を行うとともに、複数の不動産を組み合わせた場合の収支分析を行うことができる。例えば、保有中の不動産に加えて、購入検討中の不動産を購入した場合の収支分析を行うことができる。そのため、不動産の投資に役立つ情報を提供することができる。
【0080】
また、サーバ20は、ユーザが選択した保有中または購入検討中の複数の不動産の詳細情報に基づき、当該複数の不動産の将来の各収支項目(運営収益、賃料水準、運営費用、損害保険料、修繕費、維持管理費など)を予測し、複数の不動産を組み合わせて将来の収支分析を行うこととしてもよい。
【0081】
(1-3)選択した不動産と類似する不動産の抽出
サーバ20は、ユーザが選択した保有中の不動産または購入検討中の少なくとも1つの不動産に関する収支分析に基づき、選択された当該少なくとも1つの不動産に類似する不動産情報を、他のユーザの保有情報または購入検討中情報から抽出する。
【0082】
例えば、サーバ20は、ユーザが選択した購入検討中の不動産の収支状況に類似する不動産情報を、他のユーザの保有情報から抽出する。また、サーバ20は、抽出した類似不動産の情報に基づき、類似不動産の各収支項目(運営収益、賃料水準、運営費用、損害保険料、修繕費、維持管理費など)を算出し、ユーザが選択した不動産と比較可能に提示することとしてもよい。
【0083】
これにより、不動産経営管理システムに蓄積されている不動産情報から、ユーザが選択した不動産に類似する不動産情報を抽出し、不動産の投資に役立つ情報を提供することができる。
【0084】
(2)ポートフォリオ分析
サーバ20は、ユーザが選択した保有中または購入検討中の複数の不動産からなるポートフォリオについて、それぞれの不動産の分析処理の結果を比較可能に提示する。例えば、サーバ20は、ユーザが選択した保有中及び購入検討中の複数の不動産について、それぞれの取得価額、査定額、借入残高、相続税評価額、NOI(運営純収益)を特定して比較分析して、分析結果を1つのグラフに表示する。
【0085】
また、サーバ20は、保有情報または購入検討中情報の所定の要素を抽出し、それぞれの不動産の当該所定の要素について、比重分析を行い、分析処理の結果を比較可能に提示する。例えば、サーバ20は、ユーザが選択した保有中及び購入検討中の複数の不動産からなるポートフォリオについて、それぞれの取得価額の比重分析を行い、複数の不動産の合計取得価額に占めるそれぞれの比重を1つのグラフに表示する。
【0086】
サーバ20は、ユーザが選択した保有中または購入検討中の複数の不動産からなるポートフォリオについて、それぞれの不動産の将来の経営状況に関する分析処理の結果を比較可能に提示することとしてもよい。例えば、サーバ20は、ユーザが選択した保有中及び購入検討中の複数の不動産について、それぞれの将来のNOI(運営純収益)を予測して比較分析して、複数の不動産の将来のNOI(運営純収益)を1つのグラフに表示する。
【0087】
これにより、ユーザが選択した保有中または購入検討中の複数の不動産からなるポートフォリオについての分析結果は、比較可能に提示することができるので、購入検討中の不動産と保有中の不動産を比較したり、不動産ポートフォリオの経営状況を評価したりするなど、不動産の投資に役立つ情報を提供することができる。
【0088】
(3)借入状況分析
サーバ20は、ユーザが選択した保有中または購入検討中の各不動産について、借入状況分析を行う。例えば、サーバ20は、各不動産の運営収益、運営費用、修繕費、所得税、経過年数、借入日、借入金額、契約借入期間、借入利息などに基づき、各不動産の借入残高、キャッシュフロー、累計キャッシュフローなどについて借入状況を分析する。
【0089】
また、サーバ20は、ユーザが選択した保有中または購入検討中の複数の不動産について、将来の全体的なキャッシュフローを予測するなど、全体の借入状況分析を行う。例えば、サーバ20は、ユーザが選択した各不動産の運営収益、運営費用、修繕費、所得税、経過年数、借入日、借入金額、契約借入期間、借入利息などに基づき、複数の不動産について、将来の全体的な借入残高、キャッシュフロー、累計キャッシュフローなどについて借入状況を分析する。
【0090】
これにより、ユーザが選択した保有中または購入検討中の少なくとも1つの不動産について、各不動産別の借入状況分析を行うとともに、複数の不動産を組み合わせた場合の借入状況分析を行うことができる。例えば、保有中の不動産に加えて、購入検討中の不動産を購入した場合の借入状況分析を行うことができる。そのため、不動産の投資に役立つ情報を提供することができる。
【0091】
ステップS524において、サーバ20は、分析処理の結果を端末装置10に送信する。例えば、サーバ20は、ユーザが選択した保有中の不動産と購入検討中の不動産を組み合わせた場合の収支分析の結果を端末装置10に送信する。
【0092】
ステップS513において、端末装置10は、分析処理の結果を表示してユーザに提示する。例えば、端末装置10は、ユーザが選択した保有中の不動産と購入検討中の不動産を組み合わせた場合の収支分析の結果を表示してユーザに提示する。
【0093】
上記一連の処理により、ユーザが選択した保有中または購入検討中の少なくとも1つの不動産について、各種の分析処理を行い、分析の結果をユーザに提示することができる。そのため、不動産の投資に役立つ情報を提供することができる。
【0094】
<変形例>
(1)金融機関への情報提示
サーバ20は、保有情報または購入検討中情報から選択された少なくとも1つの不動産に関する分析処理の結果を、金融機関に提示することとしてもよい。例えば、サーバ20は、所定のユーザの保有中の不動産の収支分析、借入状況分析を示す情報と、購入検討中の不動産に関する情報を金融機関に提供する。例えば、金融機関の端末装置において、不動産経営を行うユーザを検索するための検索条件の入力を、当該金融機関のユーザから受け付ける。サーバ20は、金融機関の端末装置で入力される検索条件に応答して、ユーザ情報データベース281、不動産情報データベース282を参照することにより、検索結果となる不動産経営を行うユーザの情報を、金融機関の端末装置に送信する。例えば、サーバ20は、金融機関のユーザから、ユーザ情報データベース281の各項目、または、不動産情報データベース282の各項目に基づく検索条件の入力を受け付ける。具体的には、サーバ20は、金融機関のユーザから、不動産経営を行うユーザが「購入検討中」の不動産についての検索条件の入力を受け付けることとしてもよい。例えば、「購入検討中」の不動産の取得に必要な借入金額などを、検索条件として受け付ける。
【0095】
また、サーバ20は、金融機関の端末装置に対し、不動産経営を行う各ユーザが各不動産に設定している「保有中」、「購入検討中」、「検討中止」、「売却済」等の情報を、ユーザ情報データベース281に基づき送信することとしてもよい。サーバ20は、金融機関のユーザから、不動産経営を行うユーザに対し、メッセージ等を送信可能としてもよい。これにより、金融機関のユーザは、不動産経営を行う各ユーザが保有している不動産、購入を検討している不動産の情報を確認しつつ、当該不動産経営を行うユーザに対し貸出希望等の申し出をすることができる。
【0096】
これにより、金融機関は、必要な不動産基本情報(賃貸借状況一覧・月次収支表・年度実績表・修繕等履歴表・借入状況一覧等)を簡単に確認することができる。また、金融機関は、当該ユーザの担保評価額が借入残高を大きな上回ると判断した場合に、当該ユーザへ融資を提案することができるので、購入資金借入希望がある不動産経営者と、貸出希望がある金融機関とのマッチングサービスを行うことができる。
【0097】
(2)サブユーザの登録
サーバ20は、ユーザから、自分のユーザID(メインユーザID)に紐付いたサブユーザIDを登録するための操作を受け付けて、サブユーザIDを少なくとも1つ作成することとしてもよい。例えば、ユーザがメールアドレスを入力すると、サーバ20は、当該メールアドレスに対応するサブユーザIDを作成する。これにより、サブユーザは、メインユーザの情報にアクセス可能となる。
【0098】
また、サーバ20は、メインユーザの設定により、各サブユーザの権限を管理することとしてもよい。例えば、メインユーザは、各サブユーザがアクセス可能な不動産情報の不動産IDを指定し、サブユーザは、メインユーザが保有中の特定の不動産のみにアクセス可能となる。また、メインユーザは、各サブユーザが不動産の情報に対して実行可能な操作を制限することとしてもよい。例えば、メインユーザの設定により、所定のサブユーザが、メインユーザが保有中の所定の不動産情報を閲覧したり、新しい不動産情報を登録したりすることを可能となる。
【0099】
そして、サーバ20は、メインユーザの間でサブユーザIDを譲渡したり、サブユーザIDをメインユーザIDへ昇格させたりすることとしてもよい。例えば、メインユーザの間でサブユーザIDを譲渡する例としては、第1のメインユーザ「ユーザ1」、第2のメインユーザ「ユーザ2」、第1のメインユーザ「ユーザ1」に関連付けられる第1のサブユーザ「ユーザ3」があるとする。第1のメインユーザ「ユーザ1」が、第1のサブユーザ「ユーザ3」の不動産管理会社であるとする。第1のサブユーザ「ユーザ3」と、第1のメインユーザ「ユーザ1」との関連付けを解除して、第1のサブユーザ「ユーザ3」と、第2のメインユーザ「ユーザ2」とを関連付ける。例えば、第1のメインユーザ「ユーザ1」と第2のメインユーザ「ユーザ2」とが、同グループの会社や兄弟支店であるなどの何らかの関係性がある場合もあれば、そうでない場合もあり得る。例えば、第1のサブユーザ「ユーザ3」が、第2のメインユーザ「ユーザ2」へ管理管轄が変更される何らかの事情などが生じることにより、第1のサブユーザ「ユーザ3」が、第1のメインユーザ「ユーザ1」と第2のメインユーザ「ユーザ2」とで譲渡される。
【0100】
また、サーバ20は、所定の条件を満たすまではサブユーザがメインユーザの不動産の情報に対してアクセスできないこととしつつ、所定の条件を満たすことに応じて、サブユーザがメインユーザの不動産の情報にアクセスできるようにしてもよい。ここで、所定の条件を満たすとは、メインユーザが特定の状態に至っていることを含む。
【0101】
例えば、ここでいうメインユーザは被相続人であり、サブユーザは相続人であってよい。被相続人であるメインユーザは、少なくとも一人の相続人をサブユーザとして指定することで、相続人は、被相続人が保有中の不動産情報、購入検討中の不動産情報などにアクセスすることができる。これにより、メインユーザの不動産情報をサブユーザと簡単に共有し、相続協議に有益な情報を提供することができる。また、不動産の分析結果に基づき、相続対策として、不動産の売却、購入又は整理などを提案してユーザに有益な資料を提供することができる。ここで、サーバ20は、メインユーザがサブユーザに対し相続する状況であることを示す情報に応答して、サブユーザに対し、メインユーザの不動産の情報を共有可能としてもよい。例えば、被相続人であるメインユーザが亡くなった届け出があったことをサーバ20が受信することに応答して、サブユーザによるメインユーザの不動産の情報へのアクセスを可能にしてもよい。
【0102】
また、例えば、ここでいうメインユーザは不動産経営者であり、サブユーザは税理士、弁護士、不動産鑑定士、不動産管理会社などの専門家であってよい。不動産経営者であるメインユーザは、専門家をサブユーザとして指定することで、専門家は、不動産経営者が保有中の不動産情報、購入検討中の不動産情報などにアクセスすることができる。これにより、メインユーザの不動産情報をサブユーザと簡単に共有することができる。また、サーバ20は、同じ専門家サブユーザIDを、複数人のメインユーザIDと紐付くこととしてもよい。例えば、サーバ20は、同じ税理士に1つのサブユーザIDを付与し、複数人の不動産経営者のメインユーザIDと紐付いて、当該サブユーザIDに、各メインユーザIDのユーザ名を表示する。
【0103】
<4 画面例>
図6、7、8は、本開示の端末装置の画面例を示す図であり、それぞれの分析処理の結果を表示する画面例である。
【0104】
図6は、ユーザが選択した複数の不動産について収支分析を行った結果を表示する画面例である。
図6に示すように、端末装置10において、領域131には、不動産を選択するための領域は表示されている。ユーザが登録した不動産は、ステータス(保有中、購入検討中など)により提示され、ユーザが選択した不動産は、黒四角として表示されている(
図6においては保有中の物件1及び購入検討中の物件2は選択されている)。
【0105】
これにより、ユーザは分析したい不動産をステータスにより絞ることができて、異なるステータスにある複数の不動産を同時に指定して分析することができる。
【0106】
また、領域132には、ユーザが選択した複数の不動産の収支状況を総合的に評価するパラメータは表示されている。
図6においては、保有中の物件1及び購入検討中の物件2を組み合わせて収支状況を総合的に評価するパラメータである「収支総合評価」は、数値形式で表示されている。
【0107】
また、領域133には、ユーザが選択した複数の不動産の収支状況は、各収支項目(運営収益、賃料水準、運営費用、損害保険料、修繕費、維持管理費など)が同じグラフに表示されている。
図6においては、保有中の物件1及び購入検討中の物件2を組み合わせた場合の収支状況(対象不動産)は、収支項目別に1つのレーダーチャート(スコアマップという)に表示されており、各収支項目(運営収益、賃料水準、運営費用、損害保険料、修繕費、維持管理費)は、同じグラフに表示されている。また、不動産経営管理システム1に蓄積されている不動産情報から所定標本数の不動産を抽出して算出した各収支項目の第1四分位数、中央値及び第3四分位数は、ユーザが選択した複数の不動産の収支状況と同じグラフに表示されている。
【0108】
また、領域134には、ユーザが選択した複数の不動産の各収支項目は詳細に表示されている。
図6においては、保有中の物件1及び購入検討中の物件2を組み合わせた場合の収支状況(対象不動産)について、1平方メートルあたり運営収益は散布図に直線で表示されている。また、不動産経営管理システム1に蓄積されている地域別の不動産の1平方メートルあたり運営収益の第1四分位数、中央値、平均値及び第3四分位数は、それぞれ散布図に点で表示されて、対象不動産と比較可能に表示されている。1平方メートルあたり運営収益のほか、ユーザが選択した対象不動産について、運営費用(延床面積別の不動産との比較)、賃料水準(地域別の不動産との比較)、修繕費(築年数別の不動産との比較)、維持管理費(延床面積別の不動産との比較)、運営収支(地域別の不動産との比較)などを表示してもよい。
【0109】
これにより、ユーザが選択した保有中または購入検討中の複数の不動産について各収支項目の分析結果を表示しながら、総合的な収支分析結果は見やすく表示されており、ユーザはこれらの不動産の収支状況を簡単に把握することができる。
【0110】
図7は、ユーザが選択した複数の不動産について比較分析を行った結果を表示する画面例である。
図7に示すように、端末装置10において、領域131には、不動産を選択するための領域は表示されている。ユーザが登録した不動産は、ステータス(保有中、購入検討中、売却検討中など)により提示され、ユーザが選択した不動産は、黒四角として表示されている(
図7においては保有中の物件4、及び購入検討中の物件5、物件6は選択されている)。
【0111】
これにより、ユーザは分析したい不動産をステータスにより絞ることができて、異なるステータスにある複数の不動産を同時に指定して分析することができる。
【0112】
また、領域135には、ユーザが選択した複数の不動産からなるポートフォリオについて、それぞれの不動産の分析処理の結果を比較可能に提示されている。
図7においては、保有中の物件4及び購入検討中の物件5、物件6のそれぞれの1平方メートルあたり修繕費対賃料水準比は比較可能に1つのグラフに表示されているとともに、それぞれの1平方メートルあたり修繕費対賃料水準比から得られる回帰直線も1つのグラフに表示されている。1平方メートルあたり修繕費対賃料水準比のほか、ユーザが選択したポートフォリオ内のそれぞれの不動産について、NOI(運営純収益)対取得価額比、NOI利回り対取得価額利回り比、NOI利回り対賃料水準比、相続税評価額対査定額比などを表示してもよい。
【0113】
また、領域136には、ユーザが選択した複数の不動産からなるポートフォリオについて、所定の要素を抽出し、それぞれの不動産の当該所定の要素について、比重分析を行い、分析処理の結果を比較可能に提示されている。
図7においては、保有中の物件4及び購入検討中の物件5、物件6の取得価額、査定額、借入残高および相続税評価額が全体に占めるそれぞれの比重は、ぞれぞれの円グラフに比較可能に表示されている。また、複数の項目についての比重分析は、1つのグラフに比較可能に表示することとしてもよい。例えば、各物件の取得価額についての比重分析と、各物件の借入残高についての比重分析は、1つの二重ドーナツグラフに表示してもよい。
【0114】
これにより、ユーザが選択した保有中または購入検討中の複数の不動産からなるポートフォリオについての分析結果は、比較可能に提示することができるので、購入検討中の不動産と保有中の不動産を比較するなど、不動産の投資に役立つ情報を提供することができる。また、ポートフォリオ内の複数の不動産についてのそれぞれの分析結果を同一の画面表に表示し、ユーザが視認しやすい態様で分析結果を提示することができる。
【0115】
図8は、ユーザが選択した複数の不動産について借入状況分析を行った結果を表示する画面例である。
図8に示すように、端末装置10において、領域131には、不動産を選択するための領域は表示されている。ユーザが登録した不動産は、ステータス(保有中、購入検討中など)により提示され、ユーザが選択した不動産は、黒四角として表示されている(
図8においては保有中の物件1及び購入検討中の物件2は選択されている)。
【0116】
これにより、ユーザは分析したい不動産をステータスにより絞ることができて、異なるステータスにある複数の不動産を同時に指定して分析することができる。
【0117】
また、領域137には、ユーザが選択した複数の不動産について、全体的な借入状況は提示されている。
図8においては、保有中の物件1及び購入検討中の物件2を組み合わせた場合の将来の全体的な借入残高(ローン残高)、キャッシュフロー、累計キャッシュフローは提示されている。
図8の例では、経過年数を横軸で表しており、各年において2種類の棒グラフを表示している。図示する例において、各年の左側の棒グラフが「借入残高(ローン残高)」を示し、右側の棒グラフが「累計キャッシュフロー」を示している。
【0118】
これにより、ユーザが選択した保有中または購入検討中の複数の不動産について全体的な借入状況の分析結果を提示することができるので、保有中に不動産に加えて購入検討中の不動産を組み合わせた場合のキャッシュフローシミュレーションを行うなど、不動産の投資に役立つ情報を提供することができる。
【0119】
<小括>
以上のように、本開示によると、ユーザが選択した保有中または購入検討中の少なくとも1つの不動産について、各種の分析処理を行い、分析の結果をユーザに提示することができる。そのため、不動産の投資に役立つ情報を提供することができる。
【0120】
<付記>
以上の各実施の形態で説明した事項を以下に付記する。
【0121】
(付記1)
制御部(203)と、記憶部(202)とを備え、ユーザに対して不動産投資情報を提供する情報処理装置であって、記憶部(202)は、ユーザが保有中の不動産情報である保有情報と、購入検討中の不動産情報である購入検討中情報とを区別して記憶し、制御部(203)は、保有情報または購入検討中情報をユーザに提示する不動産情報提示ステップ(S522)と、ユーザから、提示された保有情報または購入検討中情報に示される不動産を少なくとも1つ選択する操作を受け付ける選択受付ステップ(S512)と、保有情報または購入検討中情報に基づき、選択された少なくとも1つの不動産の経営状況について分析処理を行う分析ステップ(S523)と、分析処理の結果を提示する分析結果提示ステップ(S524)と、を行う、情報処理装置。
【0122】
(付記2)
記憶部(202)は、保有情報の中から、ユーザが売却を検討している不動産情報である売却検討中情報を区別して記憶する、付記1に記載の情報処理装置。
【0123】
(付記3)
分析ステップにおいて(S523)、保有情報または購入検討中情報から選択された少なくとも1つの不動産について、収支分析を行う、付記1又は2に記載の情報処理装置。
【0124】
(付記4)
収支分析に基づき、保有情報または購入検討中情報から選択された少なくとも1つの不動産の価値を評価するパラメータを算出する(S523)、付記3に記載の情報処理装置。
【0125】
(付記5)
収支分析に基づき、ユーザの保有情報または購入検討中情報から選択された少なくとも1つの不動産に類似する不動産情報を、他のユーザの保有情報または購入検討中情報から抽出する、付記3に記載の情報処理装置。
【0126】
(付記6)
分析ステップにおいて(S523)、保有情報または購入検討中情報から選択された複数の不動産について、それぞれの不動産の分析処理の結果を比較可能に提示する、付記1又は2に記載の情報処理装置。
【0127】
(付記7)
保有情報または購入検討中情報の所定の要素を抽出し、それぞれの不動産の当該所定の要素について、比重分析を行い、分析処理の結果を比較可能に提示する(S523)、付記6に記載の情報処理装置。
【0128】
(付記8)
分析ステップにおいて(S523)、保有情報または購入検討中情報から選択された少なくとも1つの不動産について、借入状況分析を行う、付記1又は2に記載の情報処理装置。
【0129】
(付記9)
収支分析及び借入状況分析の分析結果に基づき、ユーザが選択した複数の不動産について、将来の全体的なキャッシュフローを予測する(S523)、付記8に記載の情報処理装置。
【0130】
(付記10)
保有情報または購入検討中情報から選択された少なくとも1つの不動産に関する分析処理の結果を、金融機関に提示する、付記1から9のいずれかに記載の情報処理装置。
【0131】
(付記11)
制御部は、ユーザに対し資金の提供を申し出る他のユーザの端末装置からのアクセスを受け付け、ユーザと、前記他のユーザとをマッチングさせる、付記1から10のいずれかに記載の情報処理装置。
【0132】
(付記12)
制御部は、マッチングさせることにおいて、当該他のユーザから、前記記憶部に記憶される前記ユーザの不動産情報に関する検索条件の入力を受け付けて、当該検索条件を満たす前記ユーザを、当該他のユーザの端末装置に応答する、付記11に記載の情報処理装置。
【符号の説明】
【0133】
10 端末装置、20 サーバ、80 ネットワーク、22 通信IF、23 入出力IF、25 メモリ、26 ストレージ、29 プロセッサ、201 通信部、202 記憶部、281 ユーザ情報データベース、282 不動産情報データベース、203制御部。