(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】ホース連結部材、ホース連結部材を使用した送水装置及びホース連結部材を使用した送水装置を使用する送水工法。
(51)【国際特許分類】
F16L 23/02 20060101AFI20240722BHJP
F04D 29/60 20060101ALI20240722BHJP
F16L 1/12 20060101ALI20240722BHJP
F16L 23/04 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
F16L23/02 D
F04D29/60 B
F16L1/12 N
F16L23/04
(21)【出願番号】P 2022077144
(22)【出願日】2022-05-09
【審査請求日】2023-08-28
(73)【特許権者】
【識別番号】391028155
【氏名又は名称】株式会社山辰組
(74)【代理人】
【識別番号】100129676
【氏名又は名称】▲高▼荒 新一
(72)【発明者】
【氏名】馬渕 和三
(72)【発明者】
【氏名】馬渕 健
(72)【発明者】
【氏名】馬渕 剛
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-273853(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0285374(US,A1)
【文献】特開昭61-105392(JP,A)
【文献】実開昭57-068984(JP,U)
【文献】実開昭59-021190(JP,U)
【文献】実開昭50-156815(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 1/00 - 35/00
F04D 1/00 - 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形内周部材の一方の端部に設けられ、フランジ用固定部材を用いて緊結可能な連結孔を有するフランジと、
前記円筒形内周部材の他方を円筒形外周部材の一方の内部に挿入して前記円筒形内周部材の一部又は全体の外周を前記円筒形外周部材で覆い、前記円筒形外周部材の一方の側面には接着剤又はコーキング剤の充填用孔を有し、前記充填用孔から接着剤又はコーキング剤が前記円筒形内周部材との隙間に充填されて気密に固定されてなる円筒形外周部材と、を有してなるフランジ部材を有し、
前記円筒形外周部材に設けられた外周側固定用連結孔として兼用する前記充填用孔と、前記円筒形内周部材の側面に設けた内周側固定用連結孔とを、円筒用固定部材を貫通して堅固に固定されてなり、
前記円筒形内周部材の他方の先端部と、連結される筒状部
材の先端部とを向かい合わせた状態で、前記円筒形外周部材の他方側内部へ筒状部材を挿入し、
前記円筒形外周部材の長さが前記筒状部材の外周を前記円筒形外周部材内で密着して覆った状態で前記円筒形外周部材の外周を前記筒状部材とともに締め付けて固定する締結用固定部材を使用することができる長さを有していることを特徴とするホース連結部材。
【請求項2】
円筒形内周部材の一方の端部に設けられ、フランジ用固定部材を用いて緊結可能な連結孔を有するフランジと、
前記円筒形内周部材の他方を円筒形外周部材の一方の内部へ挿入して前記円筒形内周部材の一部又は全体の外周を前記円筒形外周部材で覆い、前記円筒形外周部材の一方の側面には外周側固定用連結孔を有する円筒形外周部材と、を有してなるフランジ部材を有し、
前記円筒形外周部材に設けた前記外周側固定用連結孔と、前記円筒形内周部材に設けた内周側固定用連結孔とを相互に合わせて円筒用固定部材を貫通して堅固に固定されてなり、
前記円筒形外周部材の一方の端部と、前記円筒形内周部材の一方の側面との境界に生じる外周に沿った隙間をテーピング材又はコーキング材
からなる密閉部材で密閉されてなり、
前記円筒形内周部材の他方の先端部と、連結される筒状部材の先端とを向かい合わせた状態で、
前記円筒形外周部材の長さが前記円筒形外周部材の
他方側内部へ前記筒状部材を挿入し前記筒状部材の外周を密着して覆った状態で前記円筒形外周部材の外周を前記筒状部材とともに締め付けて固定する締結用固定部材を使用することができる長さを有していることを特徴とするホース連結部材。
【請求項3】
円筒形内周部材の一方の端部に設けられ、フランジ用固定部材を用いて緊結可能な連結孔を有するフランジと、
前記円筒形内周部材の他方を円筒形外周部材の一方の内部に挿入して前記円筒形内周部材の一部又は全体の外周を前記円筒形外周部材で覆い、前記円筒形外周部材の一方の側面には接着剤又はコーキング剤の充填用孔を有し、前記充填用孔から接着剤又はコーキング剤が前記円筒形内周部材との隙間に充填されて気密に固定されてなる円筒形外周部材と、を有してなるフランジ部材を有し、
前記円筒形外周部材に設けられた外周側固定用連結孔として兼用する前記充填用孔と、前記円筒形内周部材の側面に設けた内周側固定用連結孔とを、円筒用固定部材を貫通して堅固に固定されてなり、
前記円筒形外周部材の他方の先端側にも他方側固定用連結孔を設け、
前記フランジ部材の前記円筒形内周部材の他方の先端部と、取り付けられる筒状部材の先端部とを向かい合わせた状態で、前記フランジ部材の前記円筒形外周部材で前記筒状部材の外周の一部又は全体を密着して覆った状態とするとともに、前記円筒形外周部材の他方に設けた他方側固定用連結孔と前記筒状部材に設けられた筒状部材側固定用連結孔とを合わせて円筒用固定部材を貫通して堅固に固定するとともに、前記円筒形外周部材の長さが前記筒状部材を前記円筒形外周部材の内部に挿入してともに締め付けて固定する締結用固定部材を使用することができる長さを有していることを特徴とするホース連結部材。
【請求項4】
円筒形内周部材の一方の端部に設けられ、フランジ用固定部材を用いて緊結可能な連結孔を有するフランジと、
前記円筒形内周部材の他方を円筒形外周部材の一方の内部へ挿入して前記円筒形内周部材の一部又は全体の外周を前記円筒形外周部材で覆い、前記円筒形外周部材の一方の側面には外周側固定用連結孔を有する円筒形外周部材と、を有してなるフランジ部材を有し、
前記円筒形外周部材に設けた前記外周側固定用連結孔と、前記円筒形内周部材に設けた内周側固定用連結孔とを相互に合わせて円筒用固定部材を貫通して堅固に固定されてなり、
前記円筒形外周部材の一方の端部と、前記円筒形内周部材の一方の側面との境界に生じる外周に沿った隙間をテーピング材又はコーキング材
からなる密閉部材で密閉されてなり、
前記円筒形外周部材に設けられた外周側固定用連結孔として兼用する充填用孔と、前記円筒形内周部材の側面に設けた内周側固定用連結孔とを、円筒用固定部材を貫通して堅固に固定されてなり、
前記円筒形外周部材の他方の先端側にも他方側固定用連結孔を設け、
前記フランジ部材の前記円筒形内周部材の他方の先端部と、取り付けられる筒状部材の先端部とを向かい合わせた状態で、前記フランジ部材の前記円筒形外周部材で前記筒状部材の外周の一部又は全体を密着して覆った状態とするとともに、前記円筒形外周部材の他方に設けた他方側固定用連結孔と前記筒状部材に設けられた筒状部材側固定用連結孔とを合わせて円筒用固定部材を貫通して堅固に固定するとともに、前記円筒形外周部材の長さが前記筒状部材を前記円筒形外周部材の内部に挿入してともに締め付けて固定する締結用固定部材を使用することができる長さを有していることを特徴とするホース連結部材。
【請求項5】
前記筒状部材は、水中ポンプ等の動力駆動式送水装置の吐出口筒状部であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のホース連結部材。
【請求項6】
前記円筒形外周部材の両端にフランジ部材が備えられたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のホース連結部材。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか1項に記載のホース連結部材を送水装置の部材として使用したことを特徴とする送水装置。
【請求項8】
請求項7に記載の送水装置を使用したことを特徴とする水中ポンプ又はサイフォンによる送水工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホース連結部材、ホース連結部材を使用した送水装置及びホース連結部材を使用した送水装置を使用する送水工法に関する。
【背景技術】
【0002】
図9に示すように、従来の水中ポンプ160の吐出口筒状部161は、出口に向かって円錐状に細くなっているため、ホース130に挿入する取り付け作業は容易である反面、ホース130が抜けやすいという課題があった。また、ホース同士の連結金具についても、通称「タケノコ」と呼ばれるように連結金具の中央部が太く両先端に向かって細くなり前述と同様に「タケノコ」形状でホース内へ挿入し易い反面、抜け易い構造となっていたので施工途中にホースの場所替え作業や送水装置の始動時の水圧でホースが抜けて工事が中断するなどの原因となっていた。また、フランジ部材と円筒形外周部材との隙間から水が漏れ出す可能性もあるという問題もあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、フランジ部材と円筒形外周部材との隙間から水が漏れ出すことを防止することができるホース連結部材を提供する。また、水中ポンプに備えられている吐出口筒状部等のような送水ホースと連結される抜け易い構造の筒状部材の側面に円筒用固定部材によって固定するための固定用連結孔を設け、これに汎用の連結具のフランジを備えたフランジ部材を構成する円筒形外周部材を固定することができ、送水ホースを強固に水中ポンプに固定することができるホース連結部材、をも提供する。さらに、吐出口筒状部にホース連結部材を装着した水中ポンプと、水中ポンプの吐出口筒状部にホース連結部材を装着した水中ポンプを使用した送水装置及び該送水装置を使用した送水工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0005】
本発明にかかるホース連結部材は、円筒形内周部材の一方の端部に設けられ、フランジ用固定部材を用いて緊結可能な連結孔を有するフランジと、
前記円筒形内周部材の他方を円筒形外周部材の一方の内部に挿入して前記円筒形内周部材の一部又は全体の外周を前記円筒形外周部材で覆い、前記円筒形外周部材の一方の側面には接着剤又はコーキング剤の充填用孔を有し、前記充填用孔から接着剤又はコーキング剤が前記円筒形内周部材との隙間に充填されて気密に固定されてなる円筒形外周部材と、を有してなるフランジ部材を有し、
前記円筒形外周部材に設けられた外周側固定用連結孔として兼用する前記充填用孔と、前記円筒形内周部材の側面に設けた内周側固定用連結孔とを、円筒用固定部材を貫通して堅固に固定されてなり、
前記円筒形内周部材の他方の先端部と、連結される筒状部材の他方の先端部とを向かい合わせた状態で、前記円筒形外周部材の他方側内部へ筒状部材を挿入し、前記筒状部材の外周を前記円筒形外周部材内で密着して覆った状態で前記円筒形外周部材の外周を前記筒状部材とともに締め付けて固定する締結用固定部材を使用することができる長さを有していることを特徴とする。
【0006】
本発明にかかるホース連結部材によれば、側面に接着剤又はコーキング剤の充填用孔を有しているので、この充填用孔から接着剤又はコーキング剤を注入することによって、コーキング剤が円筒形内周部材と円筒形外周部材との隙間に充填され固定される。そのため、円筒形内周部材と円筒形外周部材が気密に強固に固定されるとともに、水中ポンプなど送水機器による送水作業時にこの隙間から水が漏れ出すことや、ホース内の水が満水状態ではないが速い流速で流れる状況の時にホース外部の空気を隙間から吸入する現象を防止することができる。また、本発明にかかるホース連結部材を装着したホースを使用してサイフォン作用による送水作業を行った場合にもホース内の負圧により隙間からホース外部の空気を吸収することを防止することができる。さらに、本発明にかかるホース連結部材によれば、円筒形内周部材の先端と吐出口筒状部とを向かい合わせた状態で、円筒形内周部材の外周と吐出口筒状部の外周とを円筒形外周部材によって一体化して覆うことができるので、円筒形外周部材の隙間から水が漏れるのを防ぐことができる。
【0007】
また、本発明にかかるホース連結部材において、
円筒形内周部材の一方の端部に設けられ、フランジ用固定部材を用いて緊結可能な連結孔を有するフランジと、
前記円筒形内周部材の他方を円筒形外周部材の一方の内部へ挿入して前記円筒形内周部材の一部又は全体の外周を前記円筒形外周部材で覆い、前記円筒形外周部材の一方の側面には外周側固定用連結孔を有する円筒形外周部材と、を有してなるフランジ部材を有し、
前記円筒形外周部材に設けた前記外周側固定用連結孔と、前記円筒形内周部材に設けた内周側固定用連結孔とを相互に合わせて円筒用固定部材を貫通して堅固に固定されてなり、
前記円筒形外周部材の一方の端部と、前記円筒形内周部材の一方の側面との境界に生ずる外周に沿った隙間をテーピング又はコーキングなど密閉部材で密閉されてなり、
前記円筒形内周部材の他方の先端部と、連結される筒状部材の先端とを向かい合わせた状態で、前記円筒形外周部材内部へ前記筒状部材を挿入し前記筒状部材の外周を密着して覆った状態で前記円筒形外周部材の外周を前記筒状部材とともに締め付けて固定する締結用固定部材を使用することができる長さを有していることを特徴とする。
【0008】
本発明にかかるホース連結部材によれば、接着剤又はコーキング剤を注入することによって密閉するのに替わって、円筒形外周部材の他方側端部の外周と円筒形内周部材の側面外周との境界をテーピング又はコーキングなどの密閉部材で密閉することによって気密性を確保したものである。円筒形外周部材の他方側端部の外周と円筒形内周部材の側面外周との境界を外部側からテーピング又はコーキングなどを目視しながら施すことができるため、円筒形内周部材と円筒形外周部材が相互に強固に固定されるとともに、この隙間から水が漏れたり、空気が吸入されることを防ぐことが可能となる。この効果は従来の水中ポンプなど送水機器を使用して送水する場合のようにホース内に正の水圧が掛かる場合には、そのテーピング又はコーキングなどの密閉効果を発揮することとなる。また、サイフォン作用のようにホース内が負圧現象により作用する場合に対しても対応できるのが特徴である。つまり、従来の水中ポンプなど送水機器を使用して送水する場合はホース内部に正の水圧が発生するが、円筒形外周部材の他方側端部の外周と円筒形内周部材の側面外周との境界を外部側から全外周を連続してテーピング又はコーキングなどで気密状態に覆うことで、送水機器が備えた正の水圧に耐えることができる。また、サイフォンによる送水に使用した場合は、ホース内は負圧状態であるため、円筒形外周部材の他方側端部の外周と円筒形内周部材の側面外周との境界部に隙間がありそこから外部の空気を吸入しようとする作用が働く場合でも、円筒形外周部材の他方側端部の外周と円筒形内周部材の側面外周との境界部に外側からテーピング又はコーキングで気密に密閉されているため、ホース内部の負圧と合わせてホース外部の大気圧の作用により空気をホース内へ吸入する作用が働くが、円筒形外周部材の他方側端部の外周と円筒形内周部材の側面外周の境界部隙間の大きさより広くテーピング材又はコーキング材が施してあるためテーピング又はコーキングが細かな隙間の蓋の役目を果たすこととなるため、ホース内部からの負圧とホース外部からの大気圧が大きければ大きいほど、テーピング又はコーキングが逆止弁のような効果を発揮して隙間に密着するため気密度がいっそう高まることとなり、強固に空気の侵入を防ぐことができる特徴も備えることとなる。
【0009】
さらに、本発明にかかるホース連結部材において、円筒形内周部材の一方の端部に設けられ、フランジ用固定部材を用いて緊結可能な連結孔を有するフランジと、
前記円筒形内周部材の他方を円筒形外周部材の一方の内部に挿入して前記円筒形内周部材の一部又は全体の外周を前記円筒形外周部材で覆い、前記円筒形外周部材の一方の側面には接着剤又はコーキング剤の充填用孔を有し、前記充填用孔から接着剤又はコーキング剤が前記円筒形内周部材との隙間に充填されて気密に固定されてなる円筒形外周部材と、を有してなるフランジ部材を有し、
前記円筒形外周部材に設けられた外周側固定用連結孔として兼用する前記充填用孔と、前記円筒形内周部材の側面に設けた内周側固定用連結孔とを、円筒用固定部材を貫通して堅固に固定されてなり、
前記円筒形外周部材の他方の先端側にも他方側固定用連結孔を設け、
前記フランジ部材の前記円筒形内周部材の他方の先端部と、取り付けられる前記筒状部材の先端部とを向かい合わせた状態で、前記フランジ部材の前記円筒形外周部材で前記筒状部材の外周の一部又は全体を密着して覆った状態とするとともに、前記円筒形外周部材の他方に設けた他方側固定用連結孔と前記筒状部材に設けられた筒状部材側固定用連結孔とを合わせて円筒用固定部材を貫通して堅固に固定するとともに、前記円筒形外周部材の長さが前記筒状部材を前記円筒形外周部材の内部に挿入してともに締め付けて固定する締結用固定部材を使用することができる長さを有していることを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかるホース連結部材において、円筒形内周部材の一方の端部に設けられ、フランジ用固定部材を用いて緊結可能な連結孔を有するフランジと、
前記円筒形内周部材の他方を円筒形外周部材の一方の内部へ挿入して前記円筒形内周部材の一部又は全体の外周を前記円筒形外周部材で覆い、前記円筒形外周部材の一方の側面には外周側固定用連結孔を有する円筒形外周部材と、を有してなるフランジ部材を有し、
前記円筒形外周部材に設けた前記外周側固定用連結孔と、前記円筒形内周部材に設けた内周側固定用連結孔とを相互に合わせて円筒用固定部材を貫通して堅固に固定されてなり、
前記円筒形外周部材の一方の端部と、前記円筒形内周部材の一方の側面との境界に生ずる外周に沿った隙間をテーピング材又はコーキング材など密閉部材で密閉されてなり、
前記円筒形外周部材に設けられた外周側固定用連結孔として兼用する前記充填用孔と、前記円筒形内周部材の側面に設けた内周側固定用連結孔とを、円筒用固定部材を貫通して堅固に固定されてなり、
前記円筒形外周部材の他方の先端側にも他方側固定用連結孔を設け、
前記フランジ部材の前記円筒形内周部材の他方の先端部と、取り付けられる前記筒状部材の先端部とを向かい合わせた状態で、前記フランジ部材の前記円筒形外周部材で前記筒状部材の外周の一部又は全体を密着して覆った状態とするとともに、前記円筒形外周部材の他方に設けた他方側固定用連結孔と前記筒状部材に設けられた筒状部材側固定用連結孔とを合わせて円筒用固定部材を貫通して堅固に固定するとともに、前記円筒形外周部材の長さが前記筒状部材を前記円筒形外周部材の内部に挿入してともに締め付けて固定する締結用固定部材を使用することができる長さを有していることを特徴とする。
【0011】
かかる構成を採用することによって、ホース連結部材に連結される筒状部材とも固定部材によって確実に固定することができる。
【0012】
さらに、本発明にかかるホース連結部材において、前記筒状部材は、水中ポンプ等の動力駆動式送水装置の吐出口筒状部であることを特徴とするものであってもよい。
【0013】
かかる構成を採用することによって、水中ポンプの吐出口筒状に対して確実に固定することができ、使用中に水中ポンプの吐出口筒状部材からホースが外れる可能性を低減することができる。
【0014】
さらに、本発明かかるホース連結部材において、
前記円筒形外周部材の両端にフランジ部材が備えられたことを特徴とするものであってもよい。
【0015】
さらに、本発明は、上述したホース連結部材を送水装置の部材として使用したことを特徴とする送水装置及び送水工法を提供する。
【0016】
さらに、本発明は、前記充填用孔又は前記外周側固定用連結孔から接着剤又はコーキング材を前記円筒形内周部材と前記円筒形外周部材との隙間に注入し充填した後に、前記外周側固定用連結孔の位置に合わせて新たに前記円筒形内周部材側面に内周側固定用連結孔を設けて外周側固定用連結孔と合わせて相互を緊結用固定部材で相互を貫通して固定することを特徴とするホース連結部材の作製方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1Aは、第1実施形態にかかるホース連結部材100を示す斜視図である。
図1Bは、ホース連結部材100の分解斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態にかかるホース連結部材100を取り付けた水中ポンプ60を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、ホース連結部材100の別実施形態を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、ホース連結部材100のさらなる別実施形態を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、ホース連結部材100を水中ポンプ60に取り付ける方法を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、ホース連結部材100を水中ポンプ60に取り付ける別の方法を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、ホース連結部材100のさらなる別実施形態を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、ホース連結部材100を水中ポンプ60に取り付ける別の方法を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、従来の水中ポンプ160を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明にかかるホース連結部材100の実施形態について、図面に沿って詳細に説明する。
図1Aは、本発明にかかるホース連結部材100の斜視図であり、
図1Bは、分解斜視図である。なお、以下に説明する実施形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではない。また、各図において対応する構成要素には同一又は類似の符号が付されている。
【0019】
(第1実施形態)
第1実施形態にかかるホース連結部材100が示されている。ホース連結部材100は、主として、側面に内周側固定用連結孔14を有する円筒形内周部材21と、円筒形内周部材21の一方の端部に設けられ、ネジ又はボルト等の緊結用固定部材を挿入する連結孔22aを有するフランジ22と、を有するフランジ部材20と、円筒形内周部材21が挿入されて、円筒形内周部材21の一部又は全体の外周を密着して覆う円筒形外周部材30と、を備えている。
【0020】
円筒形内周部材21は、その外径が接続される筒状部材(本実施形態においては、水中ポンプ60(
図2参照)の吐出口筒状部61)の外径とほぼ同様の外径となる筒状に作製され、円筒形内周部材21の他方側先端部21aを水中ポンプ60の吐出口筒状部61の先端61aに突き合わせて使用される。円筒形内周部材21の側面には、円筒形外周部材30と円筒用固定部材45(例えば、ボルトとナット等)で固定するための内周側固定用連結孔14を複数設けてもよい。
【0021】
図1に示すようにフランジ22は、円筒形内周部材21の一方の端部に設けられており、
図2に示すように、下流部に水を送水するための送水ホース110に設けられたフランジ部材115のフランジ111に設けられた連結孔22a(図示しないが
図1のフランジ22の連結孔22aと同様)と重ね合わせて円筒用固定部材45で固定するための連結孔22a(
図1参照)が外周に沿って複数設けられており、フランジ部材115と堅固に固定することができる。
【0022】
図1に示すように、円筒形外周部材30は、サクションホースや塩ビパイプ等からなる筒状の部材であり、この円筒形外周部材30は、円筒形内周部材21の一部又は全体の外周を密着して覆うことができる内径に作製されており、円筒形外周部材30に円筒形内周部材21を挿入することで固定することができる。円筒形外周部材30の側面には、接着剤又はコーキング剤を充填するための充填用孔33が設けられており、この充填用孔33から接着剤又はコーキング剤を注入し、円筒形内周部材21と円筒形外周部材30との隙間に接着剤又はコーキング剤を隙間なく充填して固定することで、より強固に固定することができる。また、このように接着剤又はコーキング剤で固定することによって、円筒形内周部材21と円筒形外周部材30との隙間から水が漏れたり、空気がホース内へ吸入されることを防止することができる。また、このような接着剤又はコーキング剤の注入に使用する注入孔は外周側固定用連結孔31を充填用孔33と兼用としても良い。この場合、円筒形内周部材21の側面に設けられた内周側固定用連結孔14は接着剤又はコーキング剤の注入後に外周側固定用連結孔31と合わせた位置に設けられても良い。これにより、円筒形内周部材21と円筒形外周部材30との隙間に接着剤又はコーキング剤を隙間なく充填して固定する際に接着剤又はコーキング剤が内周側固定用連結孔14から漏れることなく全体を充填することができることとなる。その後円筒形外周部材30の側面に、前述した円筒形内周部材21の内周側固定用連結孔14の位置に対応するように、外周側固定用連結孔31を設け、円筒形外周部材30に円筒形内周部材21を挿入した状態で円筒形内周部材21の内周側固定用連結孔14と円筒形外周部材30の側面に設けた外周側固定用連結孔31を揃えて円筒用固定部材45を貫通して固定することによって円筒形外周部材30を円筒形内周部材21に確実に固定してもよい。円筒形外周部材30は、円筒形内周部材21の先端部21aよりも延設して形成される延設部32を有しており、
図2で示すように、水中ポンプ60の吐出口筒状部61の先端61aに円筒形内周部材21の先端部21aを突き合わせた状態又は向かい合わせた状態で、吐出口筒状部61の外周を覆い、鋼製緊結ベルト等の締結用固定部材50等で固定することができる長さ32(
図1A)を有している。
【0023】
なお、上述した実施形態において
図1で示したが、円筒形内周部材21の内周側固定用連結孔14と連結する接続用の孔を充填用孔33とは別に外周側固定用連結孔31を設けたが、
図3に示すように、充填用孔33と外周側固定用連結孔31は共通の孔とし、外周側固定用連結孔31のみを設けてもよい。すなわち、まず、この外周側固定用連結孔31を接着剤又はコーキング剤を挿入する孔として使用し、接着剤又はコーキング剤を挿入した後、内周側固定用連結孔14を外周側固定用連結孔31の位置に合わせて新たに設けて円筒用固定部材45で相互を貫通して固定してもよい。
【0024】
さらに、上述した実施形態においては、この充填用孔33から接着剤又はコーキング剤を注入し、円筒形内周部材21と円筒形外周部材30との隙間に接着剤を隙間なく充填して固定することで、より強固に固定するものとしたが、円筒形内周部材21と円筒形外周部材30との隙間に接着剤又はコーキング材を充填するのに替えて、
図4に示すように、円筒形外周部材30の端部36の外周と、円筒形内周部材21の側面外周との境界をテーピング材又はコーキング材などの密閉部材90で覆って密閉してもよい。これにより、円筒形外周部材30の端部36と、円筒形内周部材21の側面との境界隙間から水が漏れたり空気を吸入することを防ぐことが可能となる。つまり、水中ポンプなどで送水する場合は多少の水漏れがあっても送水機器が停止することはなく、送水作業そのものに影響が少ないので、水中ポンプによる送水作業を行う場合は少々の水漏れは気にしないのが一般的となっている。これに対して、サイフォン作用による送水を行う場合は、ホース内はサイフォンによる負圧状態となっているため、ホース接合部や接着材又はテーピング部分に隙間がある場合には、そこから空気を吸入することとなり、その空気の量によってはサイフォン送水作用そのものが停止してしまうこととなる。つまり、ホース内の負圧によりテーピング層又はコーキング層全体を隙間に向けて吸い付けると同時に、外気圧がテーピング層又はコーキング層全体を隙間の方向へ押しつける現象が働くこととなるが、テーピング層又はコーキング層が隙間の大きさに対して広く施してあることでテーピング層又はコーキング層に逆止弁のような空気遮断機能が働き、ホース内への空気の侵入を一層強固に防ぐことができることとなる。
【0025】
以上のように作製されたホース連結部材100は、
図5に示すように、水中ポンプ60に取り付けられる。まず、吐出口筒状部61(筒状部材)の先端61aに円筒形内周部材21の先端部21aを突き合わせるように吐出口筒状部61を円筒形外周部材30の内側に挿入する。これにより、
図2に示すように円筒形外周部材30が吐出口筒状部61の外周側に配置されるので、この状態で円筒形外周部材30の外周を締結バンド等の締結用固定部材50で円筒形外周部材30の内部に挿入した吐出口筒状部61とともに堅固に締め付けて固定する。
【0026】
以上、
図5で示したように、ホース連結部材100を水中ポンプ60の吐出口筒状部61に固定することによって、汎用性を有するフランジ111と固定可能なフランジ22が水中ポンプ60に装着されることとなるので、汎用品のフランジ111を備えた送水ホース110を容易にしかも堅固に水中ポンプに連結することができる。
【0027】
なお、
図5に示すように、ホース連結部材100の円筒形外周部材30と水中ポンプ60の吐出口筒状部61との隙間に弾性封止部材55を配置してもよい。弾性封止部材55は、いわゆるガスケット又はパッキンの機能を有したもののことであり、ホース連結部材100を水中ポンプ60の吐出口筒状部61に取り付け、水が隙間から漏れないように密閉する機能を有する。ゴムやエラストマーで作製されているものを使用するとよい。
【0028】
図5に示すように、こうして作製された水中ポンプ60は、前述したように、ホース連結部材100に設けたフランジ22と送水ホース110に設けられたフランジ部材115の汎用のフランジ111とを固定することで、送水ホース110を強固に水中ポンプ60に固定することができる。このような水中ポンプ60を使用して水を送水することによって、送水ホース110が外れる可能性を低減して、安定した送水を行うことができる。
【0029】
水中ポンプ60に固定するに際し、
図6に示すように、ホース連結部材100に備えた円筒形外周部材30の他方の先端側にも他方側固定用連結孔35を設けるとともに、吐出口筒状部61に筒状部材側固定用連結孔61bを設け、フランジ部材20の円筒形内周部材21の他方側先端部21aと、取り付けられる吐出口筒状部61の先端部とを向かい合わせた状態で、フランジ部材20の円筒形外周部材30を吐出口筒状部61の外周を密着して覆った状態で他方側固定用連結孔35と筒状部材側固定用連結孔61bとを合わせて固定部材を用いて貫通して堅固に固定してもよい。このようにすることで、水中ポンプとホース連結部材をさらに堅固に固定することができる。
【0030】
また、ホース連結部材100は、
図7に示すように、円筒形外周部材30にホースそのものを使用してもよい。また、ホース連結部材100は、ホースの両側に設けてもよい。このようにして作製されたホースは、
図8に示すように、ホース連結部材100を使用した送水装置(水中ポンプ60)に、さらに取り付けることで送水ホース110を水中ポンプ60に固定することができる。
【0031】
以上のような各実施形態にかかるホース連結部材を水中ポンプに連結して使用し、水を送水することによって、送水ホースが外れる可能性を低減して、安定した送水を行うことができる。また、同じ実施形態のホース連結部材を使用してサイフォン送水作業を行う場合はホース連結部材などの連結部から空気を吸入することなくサイフォン作用を安定して実施することができることとなった。
【0032】
なお、本発明は上述した各実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得る。
【産業上の利用可能性】
【0033】
上述した実施の形態で示すように、水中ポンプと汎用フランジを有する連結具とを連結するための部材として利用することができ、ホース連結部材同士を連結して水中ポンプ送水用のホースとして、又はサイフォン作用によるサイフォン送水装置用の送水ホースとして利用することもできる。
【符号の説明】
【0034】
14…内周側固定用連結孔、20…フランジ部材、21…円筒形内周部材、21a…他方側先端部、22…フランジ、22a…連結孔、30…円筒形外周部材、31…外周側固定用連結孔、32…延設部、33…充填用孔、35…他方側固定用連結孔、36…端部、45…円筒用固定部材、50…締結用固定部材、55…弾性封止部材、60…水中ポンプ、61…吐出口筒状部材、61a…先端、61b…筒状部材側固定用連結孔、90…密閉部材、100…ホース連結部材、110…送水ホース、111…フランジ、115…フランジ部材