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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】ヨーグルトの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23C 9/123 20060101AFI20240722BHJP
   A23C 9/13 20060101ALI20240722BHJP
   A23C 9/127 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
A23C9/123
A23C9/13
A23C9/127
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022192084
(22)【出願日】2022-11-30
(65)【公開番号】P2024079246
(43)【公開日】2024-06-11
【審査請求日】2023-12-12
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2021年12月1日に2021年12月号 広報西和賀にて発表 2021年12月2日に2021年12月2日付岩手日報、第15面にて発表 2022年1月20日にリンネル 2月号 65ページにて発表 2022年3月28日にMORE 5月号 No,538 至福の朝ごはんBook 95ページにて発表 2022年11月1日に製品カタログ 『YUDA』 見開き左ページにて発表 2021年12月1日にhttps://shop.yudamilk.com/にて発表 2021年12月1日にhttps://www.furusato-tax.jp/?headerにて発表 2021年12月1日にhttps://www.rakuten.co.jp/?l2-id=shop_header_logoにて発表 2021年12月1日にhttps://www.rakuten.ne.jp/gold/selectshop-tohoku/にて発表 2021年12月1日にhttps://furu-sato.com/にて発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2021年12月1日にhttps://shop.tokyu-bell.jp/tokyu-store/app/common/indexにて発表 2021年12月1日にhttps://www.radishbo-ya.co.jp/shop/にて発表 2022年11月1日にhttps://www.amazon.co.jp/ref=nav_logoにて発表 2021年12月1日にhttps://www.become.co.jp/にて発表 2021年12月1日にhttps://nishiwaga-choice.jp/にて発表 2021年12月1日にhttps://iwate.yogurt-summit.jp/にて発表 2021年12月1日にhttps://creators.yahoo.co.jp/にて発表 2022年4月1日に https://ameblo.jp/minayo-watanabe/entry-12735019125.htmlにて発表 2021年12月1日にhttps://ebuy.salebeltsm.com/にて発表 2021年12月1日にhttps://twitter.com/yudamilkにて発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2021年12月1日にhttps://www.facebook.com/yudamilkにて発表 2022年3月10日にテレビ東京 ソレダメ!アナタの常識は、非常識。にて発表 2022年6月26日にフジテレビ なりゆき街道旅にて発表 2022年11月19日にフジテレビ めざましどようび『キクエがキクヨ!』にて発表 2022年4月1日に情報誌 『ヨーグルトの本』74ページにて発表 2022年7月15日に情報誌 『乳酸菌ニュース』NO.517/2022/夏季号、21ページにて発表 2021年12月1日~に取扱店にて発表 2022年11月16日にhttps://www.instagram.com/iroakko_/にて発表 2022年11月7日にhttps://www.instagram.com/akinori.saito.121/にて発表 2022年8月12日にhttps://www.instagram.com/reruri7489/にて発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2022年8月11日にhttps://www.instagram.com/yacch83/にて発表 2022年8月9日にhttps://www.instagram.com/sakura.hearing.aid/にて発表 2022年8月7日にhttps://www.instagram.com/takashi.amano_/にて発表 2022年8月3日にhttps://www.instagram.com/seijo_ishii_otaku/にて発表 2022年8月2日にhttps://www.instagram.com/mamachiro1978.33/にて発表 2022年7月25日にhttps://www.instagram.com/saaaaaaaa123/にて発表 2022年7月24日にhttps://www.instagram.com/imomahi8/にて発表 2022年7月21日にhttps://www.instagram.com/macos___kitchen/にて発表 2022年7月18日にhttps://www.instagram.com/mcksgram/にて発表 2022年7月18日にhttps://www.instagram.com/k.weno/にて発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2022年7月11日にhttps://www.instagram.com/tomo_mix_/にて発表 2022年7月6日にhttps://www.instagram.com/subrin51/にて発表 2022年7月6日にhttps://www.instagram.com/kazumis06/にて発表 2022年7月5日にhttps://www.instagram.com/s.aka.meshi/にて発表 2022年6月30日にhttps://www.instagram.com/t.9000ikeo/にて発表 2022年6月29日にhttps://www.instagram.com/riepoyo888/にて発表 2022年6月28日にhttps://www.instagram.com/ayayan0921/にて発表 2022年6月26日にhttps://www.instagram.com/nanao.cocco/にて発表 2022年6月26日にhttps://www.instagram.com/conacona5757/にて発表 2022年6月26日にhttps://www.instagram.com/mandnek0249/にて発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2022年6月22日にhttps://www.instagram.com/nao.g.1206/にて発表 2022年6月11日にhttps:/www.instagram.com/minamiyan/にて発表 2022年6月9日にhttps://www.instagram.com/morishi_05271977/にて発表 2022年5月29日にhttps://www.instagram.com/hommepre/にて発表 2022年5月27日にhttps://www.instagram.com/ai.3.7/にて発表 2022年5月25日にhttps://www.instagram.com/masatomika7979/にて発表 2022年5月25日にhttps://www.instagram.com/maki_hibiya/にて発表 2022年5月24日にhttps://www.instagram.com/pumehanahulastudio/にて発表 2022年5月24日にhttps://www.instagram.com/htm.aaa/にて発表 2022年5月20日にhttps://www.instagram.com/akinori.saito.121/にて発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2022年5月19日にhttps://www.instagram.com/yuzu4chii/にて発表 2022年5月18日にhttps://www.instagram.com/jorine07040719/にて発表 2022年5月18日にhttps://www.instagram.com/moonruna118/にて発表 2022年5月17日にhttps://www.instagram.com/saika.w/にて発表 2022年5月15日にhttps://www.instagram.com/tigereye_600/にて発表 2022年5月14日にhttps://www.instagram.com/madoka_813/にて発表 2022年5月13日にhttps://www.instagram.com/saacuisines/にて発表 2022年5月11日にhttps://www.instagram.com/kats___ab/にて発表 2022年5月10日にhttps://www.instagram.com/ri622sas_/にて発表 2022年5月5日にhttps://www.instagram.com/myumyu3j/にて発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2022年5月4日にhttps://www.instagram.com/wajundo_clinic/にて発表 2022年4月29日にhttps://www.instagram.com/hanataro0303/にて発表 2022年4月29日にhttps://www.instagram.com/costco_hacker/にて発表 2022年4月24日にhttps://www.instagram.com/roko0308/にて発表 2022年4月22日にhttps://www.instagram.com/keikei.o/にて発表 2022年4月20日にhttps://www.instagram.com/norinoripy/にて発表 2022年4月16日にhttps://www.instagram.com/vihsoyv.0112/にて発表 2022年4月14日にhttps://www.instagram.com/yuda.akira/にて発表 2022年4月12日にhttps://www.instagram.com/kyao___a/にて発表 2022年4月12日にhttps://www.instagram.com/miyuknowton/にて発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2022年4月11日にhttps://www.instagram.com/salt_0303/にて発表 2022年4月11日にhttps://www.instagram.com/mocchinan/にて発表 2022年4月6日にhttps://www.instagram.com/megu.mog.megu/にて発表 2022年4月4日にhttps://www.instagram.com/ka_e_de__/にて発表 2022年3月28日にhttps://www.instagram.com/yukina.days/にて発表 2022年3月25日にhttps://www.instagram.com/eateateat0218/にて発表 2022年3月23日にhttps://www.instagram.com/kaerugeko/にて発表 2022年3月22日にhttps://www.instagram.com/kokuchan2022/にて発表 2022年3月22日にhttps://www.instagram.com/shiro_narimitsu/にて発表 2022年3月15日にhttps://www.instagram.com/nananananachume/にて発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2022年3月4日にhttps://www.instagram.com/momota_aoinamida/にて発表 2022年3月4日にhttps://www.instagram.com/momokomiyano/ にて発表 2022年3月11日にhttps://www.instagram.com/kayako_black_pearl/にて発表 2022年3月9日にhttps://www.instagram.com/kikochantakechan0219にて発表 2022年3月9日にhttps://www.instagram.com/junlyokada/にて発表 2022年3月2日にhttps://www.instagram.com/rion.10_15/にて発表 2022年3月2日にhttps://www.instagram.com/miho_myth/にて発表 2022年2月28日にhttps://www.instagram.com/p/CacP2ZmvFpz/にて発表 2022年2月26日にhttps://www.instagram.com/nanao.cocco/にて発表 2022年2月25日にhttps://www.instagram.com/marble500/にて発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2022年2月16日にhttps://www.instagram.com/yoshiemama73/にて発表 2022年2月6日にhttps://www.instagram.com/___o3kumi/にて発表 2022年2月5日にhttps://www.instagram.com/p/CZkw-I9PXMo/にて発表 2022年1月20日にhttps://www.instagram.com/sum_nori/にて発表 2022年1月12日にhttps://www.instagram.com/ke__kooo.kubu/にて発表 2022年1月7日にhttps://www.instagram.com/aru_2009/にて発表 2022年12月29日にhttps://www.instagram.com/lily.of.the.valley0625/にて発表 2022年12月25日にhttps://www.instagram.com/mi._.ki._.11/にて発表 2022年12月9日にhttps://www.instagram.com/sugacchi4628/にて発表 2022年12月15日にhttps://www.instagram.com/fuwa_puri/にて発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2022年10月5日にhttps://www.instagram.com/hanhongmi/にて発表 2022年10月1日にhttps://www.instagram.com/nikukyu_obaba/にて発表 2022年9月18日にhttps://www.instagram.com/p/CmjNn2jy7mb/にて発表 2022年9月16日にhttps://www.instagram.com/roccoroko/にて発表 2022年12月7日にhttps://twitter.com/bakubaku_panにて発表 2022年11月28日にhttps://twitter.com/hideoharadaにて発表 2022年10月6日にhttps://twitter.com/vitaminnyanにて発表 2022年9月16日にhttps://twitter.com/truckmeimeiにて発表 2022年8月27日にhttps://twitter.com/iwate_aneccoにて発表 2022年8月21日にhttps://twitter.com/kaito_hiro77にて発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2022年7月31日にhttps://twitter.com/Yaaaaveにて発表 2022年7月23日にhttps://twitter.com/Maya_eclatにて発表 2022年6月8日にhttps://twitter.com/suzune12121にて発表 2022年5月19日にhttps://twitter.com/rie_kaigo/status/1527122020412329985/photo/1にて発表 2022年3月26日にhttps://twitter.com/kazumi22830912にて発表 2022年2月27日にhttps://twitter.com/monster_panic_Mにて発表 2022年12月17日にhttps://twitter.com/ult_setsukoにて発表
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503362876
【氏名又は名称】株式会社湯田牛乳公社
(74)【代理人】
【識別番号】100161355
【弁理士】
【氏名又は名称】野崎 俊剛
(72)【発明者】
【氏名】高橋 法子
【審査官】黒川 美陶
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-253214(JP,A)
【文献】特開2019-176847(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23C
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生乳を発酵させたヨーグルトの製造方法であって、
前記生乳を冷却して貯留する生乳の第1の冷却・貯乳工程と、
冷却・貯乳した前記生乳に100℃以上で加熱処理した第1の生クリームと100℃未満で加熱処理した第2の生クリームとを含む少なくとも2種類以上の生クリームを混ぜて65℃以上80℃以下で調合する調合工程と、
調合した前記生乳と前記生クリームを均質にする均質化工程と、
均質化された前記生乳及び前記生クリームを加熱殺菌する加熱殺菌工程と、
加熱殺菌した前記生乳及び前記生クリームを冷却する第2の冷却工程と、
冷却後の前記生乳及び前記生クリームに乳酸菌を植菌する植菌工程と、
植菌した前記生乳及び前記生クリームを撹拌する撹拌工程と、
撹拌した前記生乳及び前記生クリームを容器に充填する充填工程と、
充填した前記生乳、前記生クリーム及び前記乳酸菌を発酵させてヨーグルトを得る発酵工程と、
前記ヨーグルトを冷却して発酵を速やかに終了させる第3の冷却工程と、
を備えていることを特徴とするヨーグルトの製造方法。
【請求項2】
請求項1記載のヨーグルトの製造方法であって、
前記充填工程の後に、収納物が周囲の空気と接触可能な風通しのよいカゴ状のクレートに前記容器を詰めるカゴ詰め工程を備え、
前記発酵工程は、前記容器を前記クレートにカゴ詰めした状態で行うことを特徴とするヨーグルトの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のヨーグルトの製造方法であって、
前記発酵工程の後に、前記容器内の前記ヨーグルトのpHが4.9以下になったときに発酵を終了させる発酵確認工程を備えていることを特徴とするヨーグルトの製造方法。
【請求項4】
請求項1又は請求項2記載のヨーグルトの製造方法であって、
前記加熱殺菌工程は、前記生乳及び前記生クリームを85℃以上95℃以下で、5分~10分処理し、
前記第2の冷却工程は、前記生乳及び前記生クリームを35℃以上44℃以下で処理することを特徴とするヨーグルトの製造方法。
【請求項5】
請求項1又は請求項2記載のヨーグルトの製造方法であって、
前記発酵工程は、前記生乳、前記生クリーム及び前記乳酸菌を35℃以上44℃以下で処理することを特徴とするヨーグルトの製造方法。
【請求項6】
請求項1又は請求項2記載のヨーグルトの製造方法であって、
前記調合工程では、加糖練乳、グラニュー糖、脱脂粉乳を混ぜて調合することを特徴とするヨーグルトの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生乳を発酵させたヨーグルトの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ヨーグルトは、乳に乳酸菌等が作用することで発酵した食品であり、風味や健康への有効性から広く食されている。酸味、甘味、食感を調整するなど、品質の改善や従来製品と差別化するために、様々なヨーグルト及びヨーグルトの製造方法に関する発明が開示されている。
【0003】
濃厚でねっとりとした食感あるヨーグルトとしては、従来からいわゆるギリシャヨーグルトと呼ばれるものがある。一般的なギリシャヨーグルトは、生乳等を含むヨーグルトミックスを発酵させて得られたヨーグルトから、綿製のガーゼ等を用いて余分な水分やホエーを除去することで製造される。このような濃厚なヨーグルトの製造方法として、特許文献1のヨーグルトの製造方法が知られている。
【0004】
特許文献1のヨーグルトの製造方法は、乳発酵物から水性画分を除去した水切原料と、乳蛋白質とを含む濃厚ヨーグルトの製造方法であり、水切原料を準備する工程と、ヨーグルト製造用乳原料に乳蛋白質を添加する工程と、乳蛋白質が添加された乳原料に水切原料を添加する工程と、乳蛋白質と水切原料とが添加された乳原料を均質化する工程と、均質化した乳原料にヨーグルト製造用乳酸菌を接種して発酵される発酵工程とを備え、発酵工程で均質化した乳原料をpH4.9~5.2まで発酵させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6092907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ヨーグルトが苦手な方はねっとりとした食感や独特の香り、強い酸味、食べた後口にいつまでも残るザラツキのような後味が嫌でヨーグルトを好まない者が多く、特許文献1の方法で製造されたヨーグルトも濃厚であるため、消費者への訴求が難しいこともある。そのため、ヨーグルトが苦手な者に対しての訴求方法として、フレーバーを加えたり、フルーツソースや果肉等を加えたりし、独特の強い香りをマスキングした商品も販売されている。
【0007】
しかし、ヨーグルトの香りを消すことで、乳本来の美味しさやヨーグルト感も失われ、このような商品ではヨーグルトらしさがない商品となってしまう。
【0008】
本発明は、以上の点に鑑み、もっちりとした食感且つすっきりとした後味のヨーグルトの技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
生乳を発酵させたヨーグルトの製造方法であって、
前記生乳を冷却して貯留する生乳の第1の冷却・貯乳工程と、
冷却・貯乳した前記生乳に100℃以上で加熱処理した第1の生クリームと100℃未満で加熱処理した第2の生クリームとを含む少なくとも2種類以上の生クリームを混ぜて65℃以上80℃以下で調合する調合工程と、
調合した前記生乳と前記生クリームを均質にする均質化工程と、
均質化された前記生乳及び前記生クリームを加熱殺菌する加熱殺菌工程と、
加熱殺菌した前記生乳及び前記生クリームを冷却する第2の冷却工程と、
冷却後の前記生乳及び前記生クリームに乳酸菌を植菌する植菌工程と、
植菌した前記生乳及び前記生クリームを撹拌する撹拌工程と、
撹拌した前記生乳及び前記生クリームを容器に充填する充填工程と、
充填した前記生乳、前記生クリーム及び前記乳酸菌を発酵させてヨーグルトを得る発酵工程と、
前記ヨーグルトを冷却して発酵を速やかに終了させる第3の冷却工程と、
を備えていることを特徴とする。
【0010】
かかる構成によれば、冷却・貯乳した生乳に100℃以上で加熱処理した第1の生クリームと100℃未満で加熱処理した第2の生クリームとを含む少なくとも2種類以上の生クリームを混ぜて65℃以上80℃以下で調合する調合工程を備えている。生乳をベースとし、コクと風味が強い特徴の第1の生クリームと、粘性が低くあっさりとした特徴の第2の生クリームとの少なくとも2種類以上の生クリームを加え、乳脂肪のうま味をヨーグルトに加えている。これにより、乳脂肪のくどさが後味に残らず、フレーバーを使用せずとも、ヨーグルト特有の香りや生乳、生クリームの素材感もある、後味のスッキリとしたヨーグルトにすることができる。このように本発明によれば、もっちりとした食感且つすっきりとした後味のヨーグルトを製造することができる。
【0011】
好ましくは、前記充填工程の後に、収納物が周囲の空気と接触可能な風通しのよいカゴ状のクレートに前記容器を詰めるカゴ詰め工程を備え、
前記発酵工程は、前記容器を前記クレートにカゴ詰めした状態で行う。
【0012】
かかる構成によれば、収納物が周囲の空気と接触可能な風通しのよいカゴ状のクレートに容器を詰めるカゴ詰め工程を備え、発酵工程は、容器をクレートにカゴ詰めした状態で行う。一般的なヨーグルトのねっとりとした食感を苦手とする者もあることから、ねっとりよりも弾力があるもっちりとした食感を出す必要があるところ、本発明のカゴ詰め工程では、収納物が周囲の空気と接触可能な風通しのよいカゴ状のクレートに容器が詰められ、発酵工程では、容器をクレートにカゴ詰めした状態で行うので、ヨーグルト全体が安定的な温度で熱が均等に加わることにより乳酸菌が活性化し、しっかりとした組織が形成される。これにより、もっちりとした食感のヨーグルトにすることができる。このように本発明によれば、もっちりとした食感且つすっきりとした後味のヨーグルトを製造することができる。
【0013】
好ましくは、前記発酵工程の後に、前記容器内の前記ヨーグルトのpHが4.9以下になったときに発酵を終了させる発酵確認工程を備えている。
【0014】
かかる構成によれば、発酵確認工程ではヨーグルトのpHが4.9以下になったときに発酵を終了させるので、酸味を強くし過ぎない範囲で発酵を止めてヨーグルトの味をすっきりとすることができる。
【0015】
好ましくは、前記加熱殺菌工程は、前記生乳及び前記生クリームを85℃以上95℃以下で、5分~10分処理し、
前記第2の冷却工程は、前記生乳及び前記生クリームを35℃以上44℃以下で処理する。
【0016】
かかる構成によれば、加熱殺菌工程は、生乳及び生クリームを85℃以上95℃以下で、5分~10分処理するので、いわゆる高温殺菌することで適切にタンパク質を変性させ、貯蔵弾性率を高めることができる。第2の冷却工程は、生乳及び生クリームを35℃以上44℃以下で処理するので、乳酸菌を活性化させることができる。
【0017】
好ましくは、前記発酵工程は、前記生乳、前記生クリーム及び前記乳酸菌を35℃以上44℃以下で処理する。
【0018】
一般的に、高い温度では発酵が速くなる一方で酸味が強くなり、低い温度では発酵が遅くなりもっちりとした食感となる一方で酸味を抑えられる。かかる構成によれば、発酵工程は、生乳、生クリーム及び乳酸菌を35℃以上44℃以下で処理するので、酸味を抑えつつ適度なもっちりとした食感にすることができる。
【0019】
好ましくは、前記調合工程では、加糖練乳、グラニュー糖、脱脂粉乳を混ぜて調合する。
【0020】
かかる構成によれば、調合工程では、加糖練乳、グラニュー糖、脱脂粉乳を混ぜて調合するので、加糖タイプのヨーグルトであっても、もっちりとした食感且つすっきりとした後味のヨーグルトを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施例1に係るプレーンタイプのヨーグルトの製造方法を説明するフロー図である。
図2】本発明の実施例2に係る加糖タイプのヨーグルトの製造方法を説明するフロー図である。
図3図3(A)はプレーンタイプのヨーグルトの配合を説明する図である。図3(B)は加糖タイプのヨーグルトの配合を説明する図である。
図4】比較例、実施例1(プレーンタイプ)、実施例2(加糖タイプ)のヨーグルトそれぞれの渋味刺激と苦味雑味を説明する図である。
図5図5(A)は比較例1、実施例1(プレーンタイプ)、実施例2(加糖タイプ)のヨーグルトの7種類の各味覚の計測結果を説明する図である。図5(B)は比較例2、実施例1(プレーンタイプ)、実施例2(加糖タイプ)のヨーグルトの8種類の各味覚の計測結果を説明する図である。
図6】容器の平面図である。
図7】底を開いた状態の容器の斜視図である。
図8図8(A)は容器の本体の断面図である。図8(B)は容器の底の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明を実施するための形態を添付図に基づいて以下に説明する。
【実施例
【0025】
図1に示されるように、本発明の実施例1に係る生乳を発酵させたプレーンタイプのヨーグルトの製造方法は、STEP1(図ではSTEPをSと表記する)で生乳を10℃以下で受け入れる(生乳受入工程)。
【0026】
STEP2で生乳を10℃以下で冷却して貯留する(生乳の第1の冷却・貯乳工程)。STEP3で冷却・貯乳した生乳に100℃以上で加熱処理した第1の生クリームと100℃未満で加熱処理した第2の生クリームとを含む少なくとも2種類以上の生クリームを混ぜて65℃以上80℃以下で調合する(調合工程)。なお、実施例では、STEP3-1の生クリーム準備工程で第1の生クリームと第2の生クリームとの2種類の生クリームを準備したが、これに限定されず、STEP3-1の生クリーム準備工程で第3の生クリーム、第4の生クリームのように加熱殺菌温度や加熱殺菌時間の異なる生クリームを3種、4種と準備して、STEP3の調合工程で調合しても差し支えない。
【0027】
STEP4で調合した生乳と生クリームを、ホモゲナイザーを用いて14.5Mpa~15.5Mpaで均質する(均質化工程)。なお、ホモゲナイザーとは、ピストンで送液を行うプランジャー式高圧ポンプの出口に、圧力調整可能なホモバルブを設け、流体の乳化・均質・分散などを行う均質機である。
【0028】
STEP5で均質化された生乳及び生クリームを加熱殺菌する(加熱殺菌工程)。加熱殺菌工程は、生乳及び生クリームを85℃以上95℃以下で、5分~10分処理する。
【0029】
STEP6で加熱殺菌した生乳及び生クリームを冷却する(第2の冷却工程)。第2の冷却工程は、生乳及び、生クリームを35℃以上44℃以下で処理する。
【0030】
STEP7で冷却後の生乳及び生クリームに乳酸菌、ビフィズス菌BB-12を植菌、乳糖分解酵素を添加する(植菌工程)。STEP8で植菌した乳酸菌、ビフィズス菌BB-12、乳糖分解酵素を撹拌する(撹拌工程)。
【0031】
STEP9で撹拌した生乳及び生クリームを容器に充填する(充填工程)。なお、容器は、アルミニウム箔を含んで構成される袋状のものである。STEP10で収納物が周囲の空気と接触可能な風通しのよいカゴ状のクレートに容器を詰める(カゴ詰め工程)。
【0032】
STEP11で充填した生乳及び生クリームを発酵させてヨーグルトを得る(発酵工程)。発酵工程は、容器をクレートにカゴ詰めした状態で行い、生乳、生クリーム及び乳酸菌を35℃以上44℃以下で発酵させる。STEP12で容器内のヨーグルトのpHが4.9以下になったときに発酵を終了させる(発酵確認工程)。STEP13でヨーグルトを10℃以下で冷却して発酵を速やかに終了させる(第3の冷却工程)。
【0033】
次に本発明の実施例2に係る生乳を発酵させた加糖タイプのヨーグルトの製造方法について説明する。
【0034】
図2に示されるように、実施例2の生乳を発酵させた加糖タイプのヨーグルトの製造方法STEP21~STEP33は、実施例1のプレーンタイプのヨーグルトの製造方法STEP1~STEP13と番号が同順で方法が同様であるため説明を省略し、異なる部分に関連するSTEP23及びSTEP23-1~STEP23-4のみ説明する。
【0035】
STEP23は冷却・貯乳した生乳に100℃以上で加熱処理した第1の生クリームと100℃未満で加熱処理した第2の生クリームとを含む少なくとも2種類以上の生クリームを混ぜて65℃以上80℃以下で調合する(調合工程)。
【0036】
以下にこのSTEP23の調合工程の前工程である調合する材料の準備工程について説明する。
【0037】
STEP23-1の加糖練乳準備工程では、よりコクのある甘さを出すための加糖練乳を準備する。
【0038】
STEP23-2の生クリーム準備工程では、100℃以上で加熱処理した第1の生クリームと100℃未満で加熱処理した第2の生クリームとを準備する。なお、STEP23-2の生クリーム準備工程で第1の生クリームと第2の生クリームとの2種類の生クリームを準備したが、これに限定されず、STEP23-2の生クリーム準備工程で第3の生クリーム、第4の生クリームのように加熱殺菌温度や加熱殺菌時間の異なる生クリームを3種、4種と準備して、STEP23の調合工程で調合しても差し支えない。
【0039】
STEP23-3のグラニュー糖準備工程では、上白糖と比較し、すっきりとした甘さのビートグラニュー糖を準備する。
【0040】
STEP23-4の脱脂粉乳準備工程では、比較的安価で安定して入手できる脱脂粉乳を準備する。
【0041】
次に実施例1のプレーンタイプのヨーグルトと実施例2の加糖タイプのヨーグルトの材料の配合について説明する。
【0042】
図3(A)に示されるように、実施例1のプレーンタイプのヨーグルトでは、生乳が96.000%、乳糖分解酵素ラクターゼが0.020%、乳酸菌が0.020%、ビフィズス菌が0.0025%配合される。また、100℃以上で加熱処理した第1の生クリーム(図では、生クリームA)が1.000%~2.000%、100℃未満で加熱処理した第2の生クリーム(図では、生クリームB)が1.000%~2.000%配合される。
【0043】
図3(B)に示されるように、実施例2の加糖タイプのヨーグルトでは、生乳が85.500%、砂糖が5.500%、脱脂粉乳が2.000%、加糖練乳が1.000%、乳酸菌が0.020%、ビフィズス菌が0.0025%配合される。また、100℃以上で加熱処理した第1の生クリーム(図では、生クリームA)が1.000%~2.000%、100℃未満で加熱処理した第2の生クリーム(図では、生クリームB)が1.000%~2.000%配合される。
【0044】
このように、本発明の実施例では生乳をベースとし、コクと風味が強い特徴の生クリームと、粘性が低くあっさりとした特徴のある生クリームを2種以上加え、乳脂肪のうま味をヨーグルトに加えてある。脱脂粉乳2.0%、加糖練乳1.0%を使用し、コクや味の奥行き、深みをだすことが可能となっている。また、甘さの後味もすっきり感の要因の一つとなるため、上白糖より純度が高く、雑味が少ないビートグラニュー糖5.5%を使用し、甘さが残らないように構成している。これにより、乳脂肪のくどさが後味に残らず、フレーバーを使用せずとも、ヨーグルト特有の香りや生乳、生クリームの素材感もある後味のすっきりしたヨーグルトにすることができる。
【0045】
次に、比較例1、比較例2、実施例1(プレーンタイプ)、実施例2(加糖タイプ)のヨーグルトそれぞれの酸味、甘味、苦味雑味について説明する。
【0046】
図4に示されるように、ヨーグルトの酸味、甘味、苦味雑味を数値化して(座標とバブルの大きさとして)表したものであり、これらの数値は味認識装置TS-5000Z(株式会社インテリジェントセンサーテクノロジー製)を用いて測定したものである。比較例1として一般的なヨーグルトの酸味を0、甘味を0、苦味雑味を基準値とした場合、プレーンタイプのヨーグルト(実施例1)の酸味は約-0.2、甘味は約1.5であり、苦味雑味は比較例1より大きい。加糖タイプのヨーグルト(実施例2)の酸味は約0.1、甘味は約2.7であり、苦味雑味は比較例1より大きい。比較例2は、酸味が約1.2、甘味が約3.7、苦味雑味が比較例1よりかなり小さい、甘味と酸味が強いヨーグルトである。なお、バブルの大きさは苦味雑味を表しているところ、苦味雑味が大きいほど素材感があり、コクがあり、複雑さがあると捉えることができる。
【0047】
次に、実施例1(プレーンタイプ)、実施例2(加糖タイプ)のヨーグルトにおける様々な味覚について説明する。各味覚は、味認識装置TS-5000Z(株式会社インテリジェントセンサーテクノロジー製)を用いて測定したものである。
【0048】
図5(A)は比較する一般的なヨーグルト(比較例1)、プレーンタイプのヨーグルト(実施例1)、加糖タイプのヨーグルト(実施例2)の7種類の味覚(酸味、苦味雑味、渋味刺激、旨味、苦味、渋味、旨味コク)の計測結果を示す。プレーンタイプのヨーグルト(実施例1)は、苦味雑味が2.0~2.5、酸味が-0.5~-1.0である。加糖タイプのヨーグルト(実施例2)は、苦味雑味が2.0~2.5、酸味が0~-0.5である。
【0049】
図5(B)は比較する甘味と酸味が強いヨーグルト(比較例2)、プレーンタイプのヨーグルト(実施例1)、加糖タイプのヨーグルト(実施例2)の8種類の味覚(酸味、苦味雑味、渋味刺激、旨味、苦味、渋味、旨味コク、甘味)の計測結果を示す。プレーンタイプのヨーグルト(実施例1)を基準値(値が0)としたグラフである。加糖タイプのヨーグルト(実施例2)は、酸味が0~0.5、甘味が1.0~1.5である。甘味と酸味が強いヨーグルト(比較例2)は、酸味が約1.4、甘味が約2.2である。比較例2のヨーグルトは、味のインパクトは強くなるが、甘さや酸味が気になる者にとっては苦手要因となる可能性がある。この点、本発明の実施例1及び実施例2のヨーグルトは、酸味が非常に穏やかで、甘さも控えめであり、素材(生乳、クリーム等)感を損なわないものとすることができる。
【0050】
次に容器10について説明する。
図6図8に示されるように、容器10はアルミニウム箔を含み構成され、自立する袋状のいわゆるアルミパウチ容器と呼ばれるものである。
【0051】
容器10は、側面2枚から構成される本体11と、本体11の下端部に設けられた底21と、袋の上部に開口20を形成するための切取り線13と、袋を開けた時に上部の開口20を開閉可能に密閉するチャック12と、本体11の左右両端部及び底21の左右端部をそれぞれ接続する接続部14と、底21を広げた際に本体11の下部に形成される底部目安線15と、底21に設けられた折目線22とを備えている。
【0052】
側面視での本体11の形状は、上部に形成され横方向に延びる上部直線部16と、上部直線部16の両端から鉛直に下方へ延びる側部鉛直部17と、側部鉛直部17の下端から斜め内側へ延びる内側傾斜部18と、内側傾斜部18の下端間をつなぐ下部直線部19とからなる略6角形に形成されている。各辺の接続部分の角には、角取りされた円弧状のR部23が形成されている。また、側部鉛直部17と内側傾斜部18とは角度α1で接続され、内側傾斜部18と下部直線部19とは角度α2で接続されている。角度α1及び角度α2は任意の角度である。上部直線部15、側部鉛直部17、内側傾斜部18、下部直線部19の各直線と、R部23の円弧は接している。
【0053】
なお、実施例では、角度α1、角度α2を任意の角度としたが、例えば、角度α1と角度α2を同じ角度に設定してもよく、さらには角度α1に145度~175度のように範囲を設けてこの範囲内の角度にしてもよい。角度α1と角度α2を同じ角度に設定すると、底21を広げたときの容器10の容量を大きく確保できると共に、底21を広げても大きくなり過ぎずコンパクトにでき、広い配置スペースが不要となる。また、側部鉛直部17と内側傾斜部18の接続部分となるR部23は、145度~175度、より好ましくは155度~165度の角度を有する直線と円弧が接する円弧状としてもよい。このような形状にすることで、容器10は内容物(ヨーグルト)の重みにより安定して自立させることができる。
【0054】
図8(A)に示されるように、本体11の材料は、厚さ12μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)層、厚さ15μmのPE(ポリエチレン)層、厚さ7μmのAL(アルミニウム)層、厚さ20μmのPE(ポリエチレン)層、厚さ60μmのLLDPE(低密度ポリエチレン)層が順に積層されている。
【0055】
図8(B)に示されるように、底21の材料は、厚さ12μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)層、厚さ15μmのNY(ナイロン)層、厚さ7μmのAL(アルミニウム)層、厚さ20μmのPE(ポリエチレン)層、厚さ60μmのLLDPE(低密度ポリエチレン)層が順に積層されている。なお、底21の配置上、図面では本体11と逆に積層して表している。
【0056】
容器10にヨーグルトを充填した状態において、底21が棚等に接触するが、本体11の厚さ15μmのPE(ポリエチレン)層にあたる部分を、底21では厚さ15μmのNY(ナイロン)層としたことで強度を十分に保つことができる。また、本体11、底21共にAL(アルミニウム)層を設けたので、いわゆるバリア素材として優れた効果を発揮することができる。
【0057】
また、ヨーグルトのねっとりとした食感が苦手な者の対策として、ねっとりよりも弾力のある、もっちりとしたヨーグルトの食感を出すために、本発明ではアルミニウムのスタンドパウチ型の容器10を採用している。アルミニウム箔は、他のプラスチックフィルムと比較して水蒸気透過性(透湿度)を極めて小さくでき、透明性を必要としない場合はバリア素材として用いることができる。また、熱伝導率も高いアルミニウムを挟んでいるため、ヨーグルト全体を包み込むように一定の温度を保ちながら発酵することが可能となる。安定的な温度で熱が均等に加わることにより、乳酸菌が活性し、しっかりとした組織形成が行われる。
【0058】
また、アルミニウム箔仕様のラミネート袋の容器10は、酸素を通しにくい性質もあるため、内容物の酸化防止や味の劣化を軽減することができ、嫌気性菌である乳酸菌にとって酸素を通しにくい環境で保存することにより開封後も味風味の変化の少ない商品とすることができる。
【0059】
ある程度高いゲル性を表現する乳酸菌を用いることで、粘性が高いヨーグルトを作り出すことは可能であるが、本発明では容器10の角を落としてRにすることで、内容物の重みにより自立性に優れている底21の素材を本体11とは異なるように変更した。本発明の実施例の容器10を使用することで、よりもっちりとした食感のヨーグルトを作り出すことができる。プレーンタイプ(砂糖なし)でも、もっちりとした食感は容器10の特性を活かして実現されている。すっきりとした後味においては、乳糖分解酵素を乳酸菌植菌
時に、0.02%添加することで乳糖をガラクトースとグルコースに分解する処理を行っている。これにより、ヨーグルトが苦手な者の原因が酸味を乳由来の甘さをカバーし、食べやすく、甘さを加えていないことで後味もすっきりとすることができる。
【0060】
以上に述べたヨーグルトの製造方法の作用、効果を説明する。
本発明の実施例は、冷却・貯乳した生乳に100℃以上で加熱処理した第1の生クリームと100℃未満で加熱処理した第2の生クリームとを含む少なくとも2種類以上の生クリームを混ぜて65℃以上80℃以下で調合する調合工程を備えている。生乳をベースとし、コクと風味が強い特徴の第1の生クリームと、粘性が低くあっさりとした特徴の第2の生クリームとの少なくとも2種類以上の生クリームを加え、乳脂肪のうま味をヨーグルトに加えている。これにより、乳脂肪のくどさが後味に残らず、フレーバーを使用せずとも、ヨーグルト特有の香りや生乳、生クリームの素材感もある後味のスッキリとしたヨーグルトにすることができる。このように本発明によれば、もっちりとした食感且つすっきりとした後味のヨーグルトを製造することができる。
【0061】
さらに、収納物が周囲の空気と接触可能な風通しのよいカゴ状のクレートに容器を詰めるカゴ詰め工程を備え、発酵工程は、容器をクレートにカゴ詰めした状態で行う。一般的なヨーグルトのねっとりとした食感を苦手とする者もあることから、ねっとりよりも弾力があるもっちりとした食感を出す必要があるところ、本発明のカゴ詰め工程では、収納物が周囲の空気と接触可能な風通しのよいカゴ状のクレートに容器が詰められ、発酵工程では、容器をクレートにカゴ詰めした状態で行うので、ヨーグルト全体が安定的な温度で熱が均等に加わることにより乳酸菌が活性化し、しっかりとした組織が形成される。これにより、もっちりとした食感のヨーグルトにすることができる。このように本発明によれば、もっちりとした食感且つすっきりとした後味のヨーグルトを製造することができる。
【0062】
さらに、発酵確認工程ではヨーグルトのpHが4.9以下になったときに発酵を終了させるので、酸味を強くし過ぎない範囲で発酵を止めてヨーグルトの味をすっきりとすることができる。
【0063】
さらに、加熱殺菌工程は、生乳及び生クリームを85℃以上95℃以下で、5分~10分処理するので、いわゆる高温殺菌することで適切にタンパク質を変性させ、貯蔵弾性率を高めることができる。第2の冷却工程は、生乳及び生クリームを35℃以上44℃以下で処理するので、乳酸菌を活性化させることができる。
【0064】
一般的に、高い温度では発酵が速くなる一方で酸味が強くなり、低い温度では発酵が遅くなりもっちりとした食感となる一方で酸味を抑えられる。かかる構成によれば、発酵工程は、生乳、生クリーム及び乳酸菌を35℃以上44℃以下で処理するので、酸味を抑えつつ適度なもっちりとした食感にすることができる。
【0065】
さらに、調合工程では、加糖練乳、グラニュー糖、脱脂粉乳を混ぜて調合するので、加糖タイプのヨーグルトであっても、もっちりとした食感且つすっきりとした後味のヨーグルトを製造することができる。
【0066】
さらに、ヨーグルトは、冷却・貯乳した生乳に100℃以上で加熱処理した第1の生クリームと100℃未満で加熱処理した第2の生クリームとを含む少なくとも2種類以上の生クリームが調合された生乳と、乳酸菌とを含むので、生乳をベースとし、コクと風味が強い特徴の第1の生クリームと、粘性が低くあっさりとした特徴の第2の生クリームとの少なくとも2種類以上の生クリームを含み、乳脂肪のうま味をヨーグルトに加えられている。これにより、乳脂肪のくどさが後味に残らず、フレーバーを使用せずとも、ヨーグルト特有の香りや生乳、生クリームの素材感もある後味のスッキリとしたヨーグルトにすることができる。このように本発明によれば、もっちりとした食感且つすっきりとした後味のヨーグルトにすることができる。
【0067】
尚、実施例では調合工程で、100℃以上で加熱処理した第1の生クリームと、100℃未満で加熱処理した第2の生クリームとの2種類の生クリームを混ぜたが、これに限定されず、100℃以上で加熱処理した第1の生クリーム2種類と、100℃未満で加熱処理した第2の生クリーム1種類との計3種類の生クリームを混ぜてもよく、さらには、00℃以上で加熱処理した第1の生クリーム2種類と、100℃未満で加熱処理した第2の生クリーム2種類との計4種類の生クリームを混ぜてもよく、生クリームの条件や種類は実施例に限定されない。
【0068】
即ち、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の技術は、生乳を発酵させたヨーグルトの製造方法に好適である。
【符号の説明】
【0070】
10… 容器
11… 本体
12… チャック
21… 底
23… R部
α1… 側部鉛直部と内側傾斜部の角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8