(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】バッテリー放電装置およびその放電方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/44 20060101AFI20240722BHJP
H01M 10/42 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
H01M10/44 P
H01M10/42 P
(21)【出願番号】P 2023526965
(86)(22)【出願日】2021-11-02
(86)【国際出願番号】 KR2021015630
(87)【国際公開番号】W WO2022098029
(87)【国際公開日】2022-05-12
【審査請求日】2023-05-24
(31)【優先権主張番号】10-2020-0145232
(32)【優先日】2020-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0147721
(32)【優先日】2021-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520287367
【氏名又は名称】マルー オン インコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100187838
【氏名又は名称】黒住 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100220892
【氏名又は名称】舘 佳耶
(74)【代理人】
【識別番号】100205589
【氏名又は名称】日野 和将
(72)【発明者】
【氏名】ハン ヨンス
(72)【発明者】
【氏名】シン ウンソング
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-033029(JP,A)
【文献】国際公開第2013/153650(WO,A1)
【文献】特開2005-283592(JP,A)
【文献】国際公開第2014/125578(WO,A1)
【文献】特表2012-515414(JP,A)
【文献】特開2020-124107(JP,A)
【文献】特開2019-071701(JP,A)
【文献】特開2019-153529(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0191179(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/44
H01M 10/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メイン制御部と;
前記メイン制御部の制御によりバッテリーを放電開始電圧から放電完了電圧まで放電させる第1放電部と;
前記メイン制御部の制御により前記バッテリーを前記放電完了電圧から逆電位電圧まで放電させる第2放電部と;
前記バッテリーの電圧が前記逆電位電圧から増加して0Vになった時、前記メイン制御部の制御により前記バッテリーを短絡させる短絡スイッチを含む、バッテリー放電装置。
【請求項2】
前記第1放電部は、
前記バッテリーに連結されるスイッチング制御部と;
前記スイッチング制御部と前記バッテリーの間に連結されて異なる抵抗値を提供するロッド抵抗部を含む、請求項1に記載のバッテリー放電装置。
【請求項3】
前記スイッチング制御部は少なくとも一つの絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(insulated gate bipolar transistor:IGBT)を含む、請求項2に記載のバッテリー放電装置。
【請求項4】
前記ロッド抵抗部は、異なる抵抗値を有する多数の抵抗と、前記多数の抵抗の少なくとも一つの両端にそれぞれ連結される多数のスイッチを含む、請求項2に記載のバッテリー放電装置。
【請求項5】
前記第2放電部は、
前記バッテリーに連結される位相制御部と;
前記位相制御部に2次側が連結される変圧器と;
前記変圧器の1次側に連結される配電盤を含む、請求項1に記載のバッテリー放電装置。
【請求項6】
前記位相制御部は少なくとも一つのシリコン制御整流器(silicon-controlled rectifier:SCR)を含む、請求項5に記載のバッテリー放電装置。
【請求項7】
前記少なくとも一つの少なくとも一つのシリコン制御整流器は互いにブリッジ形態で連結される4個のシリコン制御整流器を含む、請求項6に記載のバッテリー放電装置。
【請求項8】
第1放電部によってバッテリーを放電開始電圧から放電完了電圧まで放電する段階と;
第2放電部によって前記バッテリーを前記放電完了電圧から逆電位電圧まで放電する段階と;
短絡スイッチによって前記バッテリーの電圧が前記逆電位電圧から増加して0Vになった時、前記バッテリーを短絡させる段階を含む、バッテリー放電方法。
【請求項9】
前記第1放電部によって前記バッテリーを放電する段階は、
前記第1放電部のスイッチング制御部がオンの状態を有し、前記第2放電部の位相制御部がオフの状態を有するようにする段階と;
前記第1放電部のロッド抵抗部が異なる抵抗値を提供する段階を含み、
前記第2放電部によって前記バッテリーを放電する段階は、
前記第1放電部の前記スイッチング制御部がオフの状態を有し、前記第2放電部の前記位相制御部がオンの状態を有するようにする段階と;
前記バッテリーが前記逆電位電圧になった時、前記第2放電部の前記位相制御部がオフの状態を有するようにする段階を含む、請求項8に記載のバッテリー放電方法。
【請求項10】
前記第1放電部によって前記バッテリーを放電する段階と前記第2放電部によって前記バッテリーを放電する段階の間に、
前記第1および第2放電部を共に動作する段階と;
前記第1放電部を停止する段階をさらに含む、請求項8に記載のバッテリー放電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリー放電装置に関し、特に放電完了電圧未満である負極性の逆電位電圧まで放電が可能なバッテリー放電装置およびその放電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ガソリンや重油を主燃料として使う内燃エンジンを利用する自動車は、大気汚染などの公害の発生に深刻な影響を与えている。これに伴い、最近では公害の発生を減らすために、電気自動車またはハイブリッド(hybrid)自動車の開発に多くの努力を傾けている。
【0003】
特に、電気自動車は、バッテリー(battery)から出力される電気エネルギーによって動作するバッテリーエンジンを利用する自動車であって、充放電が可能な多数のバッテリーセル(cell)が一つのパック(pack)で形成されたバッテリーを主動力源として利用するので、排気ガスが全くなく、騒音が非常に小さい長所がある。
【0004】
2次畜電池であるバッテリーはテスト、再使用(reuse)またはリサイクル(recycle)のために放電装置を利用して放電する。
【0005】
例えば、問題が発生したバッテリーの性能テストを進めたり使用中のバッテリーを他の装置に再使用する場合、脱付着されたバッテリーを放電終止電圧まで放電して充電率0%である状態で運搬する。
【0006】
そして、寿命が完了したバッテリーを分解して材料をリサイクルする場合、脱付着されたバッテリーを放電終止電圧未満の電圧まで放電して総電圧0Vである状態で運搬する。
【0007】
このように、電気的安全性確保のために脱付着されたバッテリーは放電装置を通じて放電される。
【0008】
特に、材料リサイクルのためのバッテリーは塩水に漬けて放電するが、このような塩水浸水放電は作業性が悪く、放電時間が増加し、追加装備による放電費用が増加する問題がある。
【0009】
一方、バッテリーを総電圧0Vである状態に放電した後にも、放電装置を除去すると電圧が再び増加する現象が発生するが、このような現象を防止するために総電圧0Vである状態でバッテリーの正極端子および負極端子を短絡(short)させる。
【0010】
しかし、バッテリーの直列総電圧が0Vである状態においてもバッテリーの直列連結された多数のセル(cell)のうち一部は逆電位の状態であり得、この場合、正極端子および負極端子の短絡によって事故の危険性が存在する問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、このような問題点を解決するためのもので、放電完了電圧まで第1放電部を利用してバッテリーを放電し、放電完了電圧未満の負極性の逆電位電圧まで第2放電部を利用してバッテリーを放電することによって、安定性が向上し、放電時間および放電費用が減少し、便宜性が向上するバッテリー放電装置およびその放電方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、本発明は、メイン制御部と;前記メイン制御部の制御によりバッテリーを放電開始電圧から放電完了電圧まで放電させる第1放電部と;前記メイン制御部の制御により前記バッテリーを前記放電完了電圧から逆電位電圧まで放電させる第2放電部と;前記バッテリーの電圧が前記逆電位電圧から増加して0Vになった時、前記メイン制御部の制御により前記バッテリーを短絡させる短絡スイッチを含むバッテリー放電装置を提供する。
【0013】
そして、前記第1放電部は、前記バッテリーに連結されるスイッチング制御部と;前記スイッチング制御部と前記バッテリーの間に連結されて異なる抵抗値を提供するロッド抵抗部を含むことができる。
【0014】
また、前記スイッチング制御部は少なくとも一つの絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(insulated gate bipolar transistor:IGBT)を含むことができる。
【0015】
そして、前記ロッド抵抗部は、異なる抵抗値を有する多数の抵抗と、前記多数の抵抗の少なくとも一つの両端にそれぞれ連結される多数のスイッチを含むことができる。
【0016】
また、前記第2放電部は、前記バッテリーに連結される位相制御部と;前記位相制御部に2次側が連結される変圧器と;前記変圧器の1次側に連結される配電盤を含むことができる。
【0017】
そして、前記位相制御部は少なくとも一つのシリコン制御整流器(silicon-controlled rectifier:SCR)を含むことができる。
【0018】
また、前記少なくとも一つのシリコン制御整流器は互いにブリッジ形態で連結される4個のシリコン制御整流器を含むことができる。
【0019】
一方、本発明は、第1放電部によってバッテリーを放電開始電圧から放電完了電圧まで放電する段階と;第2放電部によって前記バッテリーを前記放電完了電圧から逆電位電圧まで放電する段階と;短絡スイッチによって前記バッテリーの電圧が前記逆電位電圧から増加して0Vになった時、前記バッテリーを短絡させる段階を含むバッテリー放電方法を提供する。
【0020】
そして、前記第1放電部によって前記バッテリーを放電する段階は、前記第1放電部のスイッチング制御部がオンの状態を有し、前記第2放電部の位相制御部がオフの状態を有するようにする段階と;前記第1放電部のロッド抵抗部が異なる抵抗値を提供する段階を含み、前記第2放電部によって前記バッテリーを放電する段階は、前記第1放電部の前記スイッチング制御部がオフの状態を有し、前記第2放電部の前記位相制御部がオンの状態を有するようにする段階と;前記バッテリーが前記逆電位電圧になった時、前記第2放電部の前記位相制御部がオフの状態を有するようにする段階を含むことができる。
【0021】
また、前記バッテリー放電方法は、前記第1放電部によって前記バッテリーを放電する段階と前記第2放電部によって前記バッテリーを放電する段階の間に、前記第1および第2放電部を共に動作する段階と;前記第1放電部を停止する段階をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、放電完了電圧まで第1放電部を利用してバッテリーを放電し、放電完了電圧未満の負極性の逆電位電圧まで第2放電部を利用してバッテリーを放電することによって、安定性が向上し、放電時間および放電費用が減少し、便宜性が向上する効果を有する。
【0023】
特に、既存の放電装置で不可能であった逆電位放電を通じてバッテリーの完ぺきな0V放電が可能であり、リサイクルのために塩水にバッテリーを沈殿させて完全放電する既存の放電方式に比べて時間的および経済的効果が優秀であることはもちろん、使われた塩水の処理問題も完ぺきに解決することができる。
【0024】
また、電気自動車で修理や取り替えのためにバッテリーを脱付着する場合、バッテリーの放電を必須的に実施しなければならず、この時、使用者が所望する一定の電流で所望する電圧まで放電が可能であるため、バッテリーの性能を点検することもできる。そして、バッテリーの再使用の可否を判断するために放電を実施し、必要性能に未達時に直ちに廃棄のための放電を追加で実施することもできる。これは電気自動車のバッテリーはもちろんエネルギー貯蔵装置などのバッテリーにも同一に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の第1実施例に係るバッテリー放電装置を図示したブロック図である。
【
図2】本発明の第1実施例に係るバッテリー放電装置を図示した回路図である。
【
図3-5】本発明の第1実施例に係るバッテリー放電装置の動作を説明するための図面である。
【
図6】本発明の第1実施例に係るバッテリー放電装置の放電方法を説明するためのフローチャートである。
【
図7】本発明の第2実施例に係るバッテリー放電装置の放電方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付した図面を参照して本発明を説明する。
【0027】
図1は、本発明の第1実施例に係るバッテリー放電装置を図示したブロック図である。
【0028】
図1に図示した通り、本発明の第1実施例に係るバッテリー放電装置110は、メイン制御部120、スイッチング制御部130、ロッド抵抗部132、位相制御部140、変圧器142、配電盤144、切り替えスイッチ150、電流検出部152、電圧検出部154、短絡スイッチ156を含むが、スイッチング制御部130およびロッド抵抗部132は第1放電部を構成し、位相制御部140、変圧器142および配電盤144は第2放電部を構成する。
【0029】
具体的には、メイン制御部120は、電圧検出部154および電流検出部152に連結されて検出されたバッテリー170の電圧および電流が伝達され、スイッチング制御部130および位相制御部140に連結されて検出されたバッテリー170の電圧および電流によりスイッチング制御部130および位相制御部140を制御する。
【0030】
例えば、メイン制御部120は、検出されたバッテリー170の電圧が放電開始電圧と放電完了電圧の間の範囲である場合、スイッチング制御部130が動作し位相制御部140が動作を中止するように制御し、検出されたバッテリー170の電圧が放電完了電圧と負極性の逆電位電圧の間の範囲である場合、スイッチング制御部130が動作を中止し位相制御部140が動作するように制御することができる。
【0031】
ここで、放電完了電圧は放電終止電圧より小さい電圧であり、放電終止電圧は充電率0%の状態に対応する電圧であり得る。
【0032】
スイッチング制御部130はロッド抵抗部132および電流検出部152の間に連結されてメイン制御部120の制御によりロッド抵抗部132および電流検出部152の連結を制御する。
【0033】
例えば、スイッチング制御部130は、検出されたバッテリー170の電圧が放電開始電圧と放電完了電圧の間の範囲である場合、ロッド抵抗部132および電流検出部152が連結されるように制御することができる。
【0034】
このようなスイッチング制御部130は絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(insulated gate bipolar transistor:IGBT)のような大容量スイッチング素子を含むことができる。
【0035】
ロッド抵抗部132はスイッチング制御部130および切り替えスイッチ150の間に連結されてメイン制御部120の制御によりバッテリー170が最適な状態で放電されるようにロード抵抗の抵抗値を調節する。
【0036】
例えば、ロッド抵抗部132はバッテリー170の電流および電圧により異なる抵抗値を有することができる。
【0037】
位相制御部140はバッテリー170の正極端子(+)および電流検出部152に連結されてメイン制御部120の制御によりバッテリー170の正極端子(+)および電流検出部152の連結を制御する。
【0038】
例えば、位相制御部140は、検出されたバッテリー170の電圧が放電終止電圧未満の放電完了電圧と負極性の逆電位電圧の間の範囲である場合バッテリー170の正極端子(+)および電流検出部152が連結されるように制御することができる。
【0039】
ここで、放電完了電圧と逆電位電圧は大きさが同一で極性が反対である電圧であり得るが、放電開始電圧は約500Vであり、放電終止電圧は約250Vであり、放電完了電圧は約10Vであり、逆電位電圧は約-10Vであり得る。
【0040】
このような位相制御部140はシリコン制御整流器(silicon-controlled rectifier:SCR)のようなスイッチング素子を含むことができる。
【0041】
変圧器142および配電盤(電力グリッド)144は位相制御部140に順次連結されて位相制御部140に電源を供給する。
【0042】
切り替えスイッチ150はロッド抵抗部132およびバッテリー170の正極端子(+)の間に連結されてメイン制御部120の制御によりロッド抵抗部132およびバッテリー170の正極端子(+)の連結を制御することによって、第1および第2放電部の動作を切り替える。
【0043】
例えば、切り替えスイッチ150は、検出されたバッテリー170の電圧が放電開始電圧と放電完了電圧の間の範囲である場合、スイッチング制御部130およびロッド抵抗部132をバッテリー170に連結してバッテリー170が第1放電部によって放電されるようにしたり、検出されたバッテリー170の電圧が放電完了電圧と負極性の逆電位電圧の間の範囲である場合、メイン制御部120の制御によりスイッチング制御部130およびロッド抵抗部132をバッテリー170から分離してバッテリー170が第2放電部によって追加に放電されるようにすることができる。
【0044】
電流検出部152はバッテリー170の負極端子(-)に連結されてバッテリー170の電流を検出し、電圧検出部154はバッテリー170の正極端子(+)および負極端子(-)の間に連結されてバッテリー170の電圧を検出し、電流検出部152および電圧検出部154は検出されたバッテリー170の電圧および電流をメイン制御部120に伝達する。
【0045】
短絡スイッチ156はバッテリー170の正極端子(+)および負極端子(-)の間に連結されてメイン制御部120の制御によりバッテリー170の正極端子(+)および負極端子(-)の連結を制御する。
【0046】
例えば、短絡スイッチ156は、検出されたバッテリー170の電圧が放電開始電圧から放電完了電圧を通過して逆電位電圧まで減少してから再び増加して0Vになる前まにバッテリー170の正極端子(+)および負極端子(-)を断線(open)させ、検出されたバッテリー170の電圧が逆電位電圧から増加して0Vになる時にバッテリー170の正極端子(+)および負極端子(-)を短絡(short)させることができる。
【0047】
以上のように、本発明の第1実施例に係るバッテリー放電装置110では、スイッチング制御部130およびロッド抵抗部132の第1放電部によってバッテリー170が放電開始電圧から放電終止電圧を通過して放電完了電圧まで放電され、位相制御部140、変圧器142および配電盤144の第2放電部によって放電完了電圧から逆電位電圧までバッテリー170が追加に放電され、短絡スイッチ156によってバッテリー170の電圧が0Vになる時にバッテリー170の正極端子(+)および負極端子(-)が短絡される。
【0048】
したがって、バッテリー170の安定性が向上し、バッテリー170に対する放電時間および放電費用が減少し、バッテリー170放電工程の便宜性が向上する。
【0049】
このようなバッテリー放電装置110の例示的回路を図面を参照して説明する。
【0050】
図2は本発明の第1実施例に係るバッテリー放電装置を図示した回路図であって、
図1と同一部分に対する説明は省略する。
【0051】
図2に図示した通り、本発明の第1実施例に係るバッテリー放電装置110は、スイッチング制御部130、ロッド抵抗部132、位相制御部140、変圧器142、配電盤144、切り替えスイッチ150、電流検出部152、短絡スイッチ156、リアクター160、ダイオード162、メインリレー164、フューズ166を含む。
【0052】
スイッチング制御部130はメイン制御部(
図1の120)の制御により切り替えスイッチ150、電流検出部152、メインリレー164、フューズ166を通じてロッド抵抗部132およびバッテリー170の連結を制御する。
【0053】
例えば、スイッチング制御部130は互いに並列連結される多数の絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(insulated gate bipolar transistor:IGBT)を含むことができる。
【0054】
ロッド抵抗部132はメイン制御部120の制御によりバッテリー170に連結されるロード抵抗の抵抗値を調節する。
【0055】
例えば、ロッド抵抗部132は、直列または並列で連結されて異なる抵抗値を有する第1~第5抵抗R1~R5と、第1~第5抵抗R1~R5の両端に連結される第1~第4スイッチs1~s4を含むことができる。
【0056】
第1~第4抵抗R1~R4と3個の第5抵抗R5は切り替えスイッチ150に順次直列で連結され、第1~第3スイッチs1~s3はそれぞれ第2~第4抵抗R2~R4の両端に連結され、第4スイッチs4は3個の第5抵抗R5の両端に連結され得る。
【0057】
ロッド抵抗部132はメイン制御部120の制御による第1~第4スイッチs1~s4のオン/オフにより多様な抵抗値を具現することができる。
【0058】
例えば、第1~第4スイッチs1~s4がそれぞれオン、オフ、オン、オフである場合にはロッド抵抗部132が「R1+R3+3R5」の抵抗値を有し、第1~第4スイッチs1~s4がそれぞれオン、オン、オフ、オンの場合にはロッド抵抗部132が「R1+R4」の抵抗値を有することができる。
【0059】
スイッチング制御部130およびロッド抵抗部132は第1放電部を構成することができる。
【0060】
位相制御部140はメイン制御部120の制御により電流検出部152、メインリレー164、フューズ166を通じてバッテリー170の正極端子(+)および負極端子(-)の連結を制御する。
【0061】
例えば、位相制御部140は、互いにブリッジ(bridge)形態で連結される4個のシリコン制御整流器(silicon-controlled rectifier:SCR)を含むことができる。
【0062】
変圧器142はブリッジの入力端子に2次側が連結され、配電盤144は変圧器142の1次側に連結され得る。
【0063】
位相制御部140、変圧器142および配電盤144は第2放電部を構成する。
【0064】
位相制御部140は変圧器142と配電盤144を利用してバッテリー170の放電完了電圧を逆電位電圧まで減少させることができる。
【0065】
例えば、変圧器142は配電盤144の入力電圧により正極性および負極性の交流電圧を出力して位相制御部140のブリッジの入力端子に伝達する。そして、位相制御部140は、メイン制御部120の制御によりオンの状態となった後、バッテリー170の正極端子(+)の電圧が変圧器142の二次側電圧より大きい場合、バッテリー170の正極端子(+)および負極端子(-)を連結してオンの状態を維持してバッテリー170の正極端子(+)の電圧が減少し、バッテリー170の正極端子(+)の電圧が変圧器142の二次側電圧と同一または小さい場合、バッテリー170の正極端子(+)および負極端子(-)を遮断するオフの状態となってバッテリー170の正極端子(+)の電圧の減少が中止され得る。
【0066】
切り替えスイッチ150は、メイン制御部120の制御によりオンの状態となってバッテリー170がスイッチング制御部130およびロッド抵抗部132を含む第1放電部によって放電されるようにし、メイン制御部120の制御によりオフの状態となってバッテリー170が位相制御部140、変圧器142および配電盤144を含む第2放電部によって放電されるようにすることができる。
【0067】
リアクター160はバッテリー170の電流および電圧の高調波成分を除去する役割をし、ダイオード162はバッテリー170の逆電圧を遮断する役割をすることができる。
【0068】
メインリレー164はバッテリー放電装置110の作動を開始または停止させる役割をし、フューズ166は異常な電圧および電流の流入を遮断する役割をすることができる。
【0069】
このようなバッテリー放電装置110は、放電開始電圧から放電終止電圧を通過して放電完了電圧まで第1放電部によってバッテリー170を放電し、放電完了電圧から逆電位電圧まで第2放電部によってバッテリー170を追加に放電し、逆電位電圧から電圧が増加して0Vになる時に短絡スイッチ156によってバッテリー170を短絡させることができるが、これを図面を参照して説明する。
【0070】
図3~
図5は本発明の第1実施例に係るバッテリー放電装置の動作を説明するための図面であって、
図1および
図2と同一部分に対する説明は省略する。
【0071】
図3に図示した通り、本発明の第1実施例に係るバッテリー放電装置110を作動させると、スイッチング制御部130、切り替えスイッチ150およびメインリレー164がそれぞれオンの状態となり位相制御部140および短絡スイッチ156がオフの状態となり、バッテリー170がスイッチング制御部130およびロッド抵抗部132の第1放電部によって放電されてバッテリー170の電圧が最初の放電開始電圧から放電終止電圧を通過して放電完了電圧まで次第に減少する。
【0072】
例えば、放電開始電圧は約500Vであり、放電終止電圧は約250Vであり得、放電完了電圧は約10Vであり得る。
【0073】
この時、ロッド抵抗部132の第1~第4スイッチs1~s4はそれぞれオンの状態またはオフの状態を有することができる。
【0074】
図4に図示した通り、バッテリー170の電圧が放電完了電圧になると、スイッチング制御部130および切り替えスイッチ150がオフの状態となり、位相制御部140がオンの状態となり、メインリレー164がオンの状態を維持し、短絡スイッチ156がオフの状態を維持し、バッテリー170が位相制御部140、変圧器142および配電盤144の第2放電部によって放電されてバッテリー170の電圧が放電完了電圧から次第に減少する。
【0075】
以後、バッテリー170の電圧が逆電位電圧になると、スイッチング制御部130、切り替えスイッチ150および短絡スイッチ156がオフの状態を維持し、位相制御部140がオフの状態となり、メインリレー164がオンの状態を維持し、バッテリー170の電圧が逆電位電圧から次第に増加して0Vとなる。
【0076】
例えば、逆電位電圧は放電完了電圧と大きさが同一で極性が反対である電圧であり得、約-10Vであり得る。
【0077】
図5に図示した通り、バッテリー170の電圧が0Vになると、スイッチング制御部130、切り替えスイッチ150および位相制御部140がオフの状態を維持し、メインリレー164がオンの状態を維持し、短絡スイッチ156がオンの状態となり、バッテリー170の正極端子(+)および負極端子(-)が短絡(short)される。
【0078】
バッテリー170の正極端子(+)および負極端子(-)が短絡スイッチ156によって短絡された後、バッテリー放電装置110からバッテリー170を脱去しバッテリー170の正極端子(+)および負極端子(-)を短絡させる別途の短絡部(図示されず)をバッテリー170に付着して移送中であるバッテリー170の0Vを維持することができる。
【0079】
このような本発明の第1実施例に係るバッテリー放電装置110の放電方法を図面を参照して説明する。
【0080】
図6は本発明の第1実施例に係るバッテリー放電装置の放電方法を説明するためのフローチャートであって、
図1~
図5を共に参照して説明する。
【0081】
図6に図示した通り、本発明の第1実施例に係るバッテリー放電装置110が放電動作を開始する(st10)。
【0082】
まず、放電電圧および放電電流を設定し(st12)、スイッチング制御部130およびロッド抵抗部132の第1放電部の放電動作を開始する(st14)。
【0083】
以後、現在バッテリー170電圧が放電完了電圧より大きいかどうかを判断する(st16)。
【0084】
判断結果、現在バッテリー170電圧が放電完了電圧より大きい場合(はい)、第1放電部放電電流が設定放電電流より小さいかどうかを判断する(st18)。
【0085】
判断結果、第1放電部放電電流が設定放電電流より小さい場合(はい)、第1放電部電流制御デューティを増加させて(st20)第1放電部放電電流を増加させ、以後第1放電部の放電動作開始段階(st14)に戻る。
【0086】
判断結果、第1放電部放電電流が設定放電電流より小さくない場合(いいえ)、第1放電部放電電流が設定放電電流より大きいかどうかを判断する(st22)。
【0087】
判断結果、第1放電部放電電流が設定放電電流より大きい場合(はい)、第1放電部電流制御デューティを減少させて(st24)第1放電部放電電流を減少させ、以後第1放電部の放電動作開始段階(st14)に戻る。
【0088】
一方、現在バッテリー170電圧が放電完了電圧より大きいかどうかに対する判断(st16)結果、現在バッテリー170電圧が放電完了電圧より大きくない場合(いいえ)、現在バッテリー170電圧と放電完了電圧が同一であるかどうかを判断する(st26)。
【0089】
判断結果、現在バッテリー170電圧と放電完了電圧が同一である場合(はい)、第1放電部の放電動作を停止する(st28)。
【0090】
以後、位相制御部140、変圧器142および配電盤144の第2放電部の放電動作を開始する(st30)。
【0091】
以後、現在バッテリー170電圧が逆電位電圧より大きいかどうかを判断する(st32)。
【0092】
判断結果、現在バッテリー170電圧が逆電位電圧より大きい場合(はい)、第2放電部放電電流が設定放電電流より小さいかどうかを判断する(st34)。
【0093】
判断結果、第2放電部放電電流が設定放電電流より小さい場合(はい)、第2放電部電流制御デューティを増加させて(st36)第2放電部放電電流を増加させ、以後第2放電部の放電動作開始段階(st30)に戻る。
【0094】
判断結果、第2放電部放電電流が設定放電電流より小さくない場合(いいえ)、第2放電部放電電流が設定放電電流より大きいかどうかを判断する(st38)。
【0095】
判断結果、第2放電部放電電流が設定放電電流より大きい場合(はい)、第2放電部電流制御デューティを減少させて(st40)第2放電部放電電流を減少させ、以後第2放電部の放電動作開始段階(st30)に戻る。
【0096】
一方、現在バッテリー170電圧が逆電位電圧より大きいかどうかに対する判断(st32)結果、現在バッテリー170電圧が逆電位電圧より大きくない場合(いいえ)、現在バッテリー170電圧と逆電位電圧が同一であるかどうかを判断する(st42)。
【0097】
判断結果、現在バッテリー170電圧と逆電位電圧が同一である場合(はい)、第2放電部の放電動作を停止する(st44)。
【0098】
以上のように本発明の第1実施例に係るバッテリー放電装置110では、放電開始電圧から放電終止電圧を通過して放電完了電圧までスイッチング制御部130およびロッド抵抗部132の第1放電部によってバッテリー170を放電し、放電完了電圧から逆電位電圧まで位相制御部140、変圧器142および配電盤144の第2放電部によってバッテリー170を追加に放電し、逆電位電圧から電圧が増加して0Vになる時に短絡スイッチ156によってバッテリー170を短絡させることができる。
【0099】
これに伴い、第1および第2放電部によって、バッテリー170に充電されたすべての電荷を安全に除去し、バッテリー170を完ぺきに0Vまで放電することができる。
【0100】
また、短絡スイッチ156によって、使用の便宜性を向上させることができる。
【0101】
ところで、本発明の第1実施例に係るバッテリー放電装置110では、第1放電部の放電完了電圧までの放電動作完了後第2放電部の放電動作開始前に第1放電部が停止(st28)されるが、この時、負荷がバッテリー170から分離されながらバッテリー170の電圧が放電完了電圧から一定量が増加して回復電圧となり得る。
【0102】
ここで、バッテリー170の回復電圧が第2放電部の変圧器142の二次側電圧より大きい場合、第2放電部の放電動作は開始され得ない。
【0103】
これを改善するために、第1放電部の放電完了電圧と第2放電部の変圧器142の二次側電圧の重なり範囲を高めて第2放電部がバッテリー170の回復電圧を収容するようにすることができるが、バッテリー170の容量などの特性により回復電圧を予想することが難しく、第1および第2放電部の動作電圧の重なり範囲が大きいほど第2放電部の変圧器142の容量が増加して製造費用が増加し得る。
【0104】
他の実施例では第1放電部の動作で第2放電部の動作への切り替え時、放電動作を停止せずに第1および第2放電部を共に動作するようにすることができるが、これを図面を参照して説明する。
【0105】
図7は本発明の第2実施例に係るバッテリー放電装置の放電方法を説明するためのフローチャートであって、バッテリー放電装置の構成は第1実施例と同一であるため、
図1~
図5を共に参照して説明する。
【0106】
図7に図示した通り、本発明の第2実施例に係るバッテリー放電装置110が放電動作を開始する(st110)。
【0107】
まず、放電電圧および放電電流を設定し(st112)、スイッチング制御部130およびロッド抵抗部132の第1放電部の放電動作を開始する(st114)。
【0108】
以後、現在バッテリー170電圧が放電完了電圧より大きいかどうかを判断する(st116)。
【0109】
判断結果、現在バッテリー170電圧が放電完了電圧より大きい場合(はい)、第1放電部放電電流が設定放電電流より小さいかどうかを判断する(st118)。
【0110】
判断結果、第1放電部放電電流が設定放電電流より小さい場合(はい)、第1放電部電流制御デューティを増加させて(st120)第1放電部放電電流を増加させ、以後第1放電部の放電動作開始段階(st114)に戻る。
【0111】
判断結果、第1放電部放電電流が設定放電電流より小さくない場合(いいえ)、第1放電部放電電流が設定放電電流より大きいかどうかを判断する(st122)。
【0112】
判断結果、第1放電部放電電流が設定放電電流より大きい場合(はい)、第1放電部電流制御デューティを減少させて(st124)第1放電部放電電流を減少させ、以後第1放電部の放電動作開始段階(st114)に戻る。
【0113】
一方、現在バッテリー170電圧が放電完了電圧より大きいかどうかに対する判断(st116)結果、現在バッテリー170電圧が放電完了電圧より大きくない場合(いいえ)、現在バッテリー170電圧と放電完了電圧が同一であるかどうかを判断する(st126)。
【0114】
判断結果、現在バッテリー170電圧と放電完了電圧が同一である場合(はい)、第1および第2放電部の間の放電動作切り替えを開始する(st128)。
【0115】
以後、第1放電部の放電電流が0より大きいかどうかを判断する(st130)。
【0116】
判断結果、第1放電部の放電電流が0より大きい場合(はい)、第1放電部電流制御デューティを減少させて(st132)第1放電部放電電流を減少させる。
【0117】
以後、第2放電部放電電流が設定放電電流より小さいかどうかを判断する(st134)。
【0118】
判断結果、第2放電部放電電流が設定放電電流より小さい場合(はい)、第2放電部電流制御デューティを増加させて(st136)第2放電部放電電流を増加させる。
【0119】
一方、第1放電部の放電電流が0より大きいかどうかに対する判断(st130)結果、第1放電部の放電電流が0より大きくない場合(いいえ)、第1放電部の放電動作を停止する(st138)。
【0120】
以後、現在バッテリー170電圧が逆電位電圧より大きいかどうかを判断する(st140)。
【0121】
判断結果、現在バッテリー170電圧が逆電位電圧より大きい場合(はい)、第2放電部放電電流が設定放電電流より小さいかどうかを判断する(st142)。
【0122】
判断結果、第2放電部放電電流が設定放電電流より小さい場合(はい)、第2放電部電流制御デューティを増加させて(st144)第2放電部放電電流を増加させ、以後第1放電部の放電動作停止段階(st138)に戻る。
【0123】
判断結果、第2放電部放電電流が設定放電電流より小さくない場合(いいえ)、第2放電部放電電流が設定放電電流より大きいかどうかを判断する(st146)。
【0124】
判断結果、第2放電部放電電流が設定放電電流より大きい場合(はい)、第2放電部電流制御デューティを減少させて(st148)第2放電部放電電流を減少させ、以後第1放電部の放電動作停止段階(st138)に戻る。
【0125】
一方、現在バッテリー170電圧が逆電位電圧より大きいかどうかに対する判断(st140)結果、現在バッテリー170電圧が逆電位電圧より大きくない場合(いいえ)、現在バッテリー170電圧と逆電位電圧が同一であるかどうかを判断する(st150)。
【0126】
判断結果、現在バッテリー170電圧と逆電位電圧が同一である場合(はい)、第2放電部の放電動作を停止する(st152)。
【0127】
以上のように本発明の第2実施例に係るバッテリー放電装置110では、放電開始電圧から放電終止電圧を通過して放電完了電圧までスイッチング制御部130およびロッド抵抗部132の第1放電部によってバッテリー170を放電し、放電完了電圧から逆電位電圧まで位相制御部140、変圧器142および配電盤144の第2放電部によってバッテリー170を追加に放電し、逆電位電圧から電圧が増加して0Vになる時に短絡スイッチ156によってバッテリー170を短絡させることができる。
【0128】
これに伴い、第1および第2放電部によって、バッテリー170に充電されたすべての電荷を安全に除去し、バッテリー170を完ぺきに0Vまで放電することができる。
【0129】
また、短絡スイッチ156によって、使用の便宜性を向上させることができる。
【0130】
そして、第1放電部の放電動作完了時に第1放電部を停止する代わりに、第1および第2放電部を共に動作するようにし、第2放電部の放電動作開始以後に第1放電部の放電動作を停止することによって、第1および第2放電部の間の放電動作の切り替えを円滑にして製造費用を節減することができる。
【0131】
前記では本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、該当技術分野の熟練した当業者は下記の特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想および領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正および変更できることが理解できるであろう。