(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】ゲーム機
(51)【国際特許分類】
A63F 9/00 20060101AFI20240722BHJP
【FI】
A63F9/00 512Z
(21)【出願番号】P 2024076275
(22)【出願日】2024-05-09
【審査請求日】2024-05-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】597009703
【氏名又は名称】北日本通信工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155181
【氏名又は名称】中 大介
(72)【発明者】
【氏名】阿部 勝則
【審査官】池田 剛志
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-344634(JP,A)
【文献】特開2009-070044(JP,A)
【文献】特開2002-177632(JP,A)
【文献】特開昭54-051900(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0099555(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/00- 9/20,
9/26-11/00
G07D 1/00- 3/16,
9/00-13/00
G07F 17/32-17/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
価値媒体を受け付けたことを条件として所定の遊戯を実行可能なゲーム機であって、
各種装置が収容される筐体と、
価値媒体を受け付けるためのセレクタと、
前記筐体内に設けられ、前記セレクタによって受け付けられた価値媒体を貯留する価値媒体貯留部と、
前記筐体内に設けられ、前記セレクタによって価値媒体が受け付けられた場合に数値の更新を行うとともに、その結果を表示可能な計数表示部とを備え、
前記価値媒体貯留部は、前記筐体から引き出されることで、貯留されている価値媒体を取り出し可能に構成されており、
前記価値媒体貯留部の位置に応じて、前記計数表示部を前記筐体内における第一の位置と、該第一の位置よりも該計数表示部が視認しやすい第二の位置との間で変位可能とする計数表示部変位手段を有
し、
前記計数表示部は、前記筐体内において前記価値媒体貯留部の背面側に配置され、
前記計数表示部変位手段は、前記計数表示部が取り付けられるベース体と、該ベース体に備えられて前記価値媒体貯留部に対して着脱可能な着脱手段とを有しており、該価値媒体貯留部が前記筐体内から引き出されると、該着脱手段により該価値媒体貯留部に取り付けられた該ベース体が該価値媒体貯留部の引出し方向に案内されながら該計数表示部を移動させることで、該計数表示部を前記第一の位置から前記第二の位置に変位させることを特徴とするゲーム機。
【請求項2】
価値媒体を受け付けたことを条件として所定の遊戯を実行可能なゲーム機であって、
各種装置が収容される筐体と、
価値媒体を受け付けるためのセレクタと、
前記筐体内に設けられ、前記セレクタによって受け付けられた価値媒体を貯留する価値媒体貯留部と、
前記筐体内に設けられ、前記セレクタによって価値媒体が受け付けられた場合に数値の更新を行うとともに、その結果を表示可能な計数表示部とを備え、
前記価値媒体貯留部は、前記筐体から引き出されることで、貯留されている価値媒体を取り出し可能に構成されており、
前記価値媒体貯留部の位置に応じて、前記計数表示部を前記筐体内における第一の位置と、該第一の位置よりも該計数表示部が視認しやすい第二の位置との間で変位可能とする計数表示部変位手段を有し、
前記計数表示部が前記第一の位置に到達した際の衝撃を緩衝するための緩衝手段を備えたことを特徴とするゲーム機。
【請求項3】
前記計数表示部が前記第二の位置において前記価値媒体貯留部が引出し方向に引き出されると、前記ベース体の移動が阻止されるとともに前記着脱手段による取付状態が解除されて該ベース体が前記価値媒体貯留部より分離されることを特徴とする請求項
1に記載のゲーム機。
【請求項4】
前記価値媒体貯留部は、磁着可能とされており、
前記着脱手段は、磁石を有して構成されてなることを特徴とする請求項
1に記載のゲーム機。
【請求項5】
前記計数表示部が前記第一の位置に到達した際の衝撃を緩衝するための緩衝手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のゲーム機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のゲーム機は、例えば、ゲームセンター等の遊戯場に設置され、硬貨やメダル等の価値媒体を受け入れることで、所定の遊戯を実行可能に構成されている。受け入れた価値媒体は、例えば、筐体内に設けられる集金ボックスに回収される。
【0003】
このようなゲーム機は、施錠装置を用いて開錠することで集金ボックスを引き出し、集金ボックスに回収された価値媒体を回収することで集金作業を行うことができる。また、このようなゲーム機には、電磁式の売上カウンタを備えており、価値媒体を受け付けた際にインクリメントし、集金された価値媒体の数との整合性を確認するために用いられている。また、このような売上カウンタは、集金作業とカウンタの確認作業とを同時に行うことができるように、筐体内の集金ボックスの近傍に配置され、利便性が図られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年では、ゲーム機のコンパクト化が進んでいるが、上記特許文献1に記載のゲーム機では、売上カウンタの視認性の観点から集金ボックスの近傍に配置されているが、売上カウンタの配置スペースを要するため、コンパクト化を阻害する要因となっている。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、省スペース化を図ることができるゲーム機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を解決するため、請求項1に記載の発明は、価値媒体を受け付けたことを条件として所定の遊戯を実行可能なゲーム機であって、
各種装置が収容される筐体と、
価値媒体を受け付けるためのセレクタと、
前記筐体内に設けられ、前記セレクタによって受け付けられた価値媒体を貯留する価値媒体貯留部と、
前記筐体内に設けられ、前記セレクタによって価値媒体が受け付けられた場合に数値の更新を行うとともに、その結果を表示可能な計数表示部とを備え、
前記価値媒体貯留部は、前記筐体から引き出されることで、貯留されている価値媒体を取り出し可能に構成されており、
前記価値媒体貯留部の位置に応じて、前記計数表示部を前記筐体内における第一の位置と、該第一の位置よりも該計数表示部が視認しやすい第二の位置との間で変位可能とする計数表示部変位手段を有し、
前記計数表示部は、前記筐体内において前記価値媒体貯留部の背面側に配置され、
前記計数表示部変位手段は、前記計数表示部が取り付けられるベース体と、該ベース体に備えられて前記価値媒体貯留部に対して着脱可能な着脱手段とを有しており、該価値媒体貯留部が前記筐体内から引き出されると、該着脱手段により該価値媒体貯留部に取り付けられた該ベース体が該価値媒体貯留部の引出し方向に案内されながら該計数表示部を移動させることで、該計数表示部を前記第一の位置から前記第二の位置に変位させることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、価値媒体を受け付けたことを条件として所定の遊戯を実行可能なゲーム機であって、
各種装置が収容される筐体と、
価値媒体を受け付けるためのセレクタと、
前記筐体内に設けられ、前記セレクタによって受け付けられた価値媒体を貯留する価値媒体貯留部と、
前記筐体内に設けられ、前記セレクタによって価値媒体が受け付けられた場合に数値の更新を行うとともに、その結果を表示可能な計数表示部とを備え、
前記価値媒体貯留部は、前記筐体から引き出されることで、貯留されている価値媒体を取り出し可能に構成されており、
前記価値媒体貯留部の位置に応じて、前記計数表示部を前記筐体内における第一の位置と、該第一の位置よりも該計数表示部が視認しやすい第二の位置との間で変位可能とする計数表示部変位手段を有し、
前記計数表示部が前記第一の位置に到達した際の衝撃を緩衝するための緩衝手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のゲーム機において、
前記計数表示部が前記第二の位置において前記価値媒体貯留部が引出し方向に引き出されると、前記ベース体の移動が阻止されるとともに前記着脱手段による取付状態が解除されて該ベース体が前記価値媒体貯留部より分離されることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のゲーム機において、
前記価値媒体貯留部は、磁着可能とされており、
前記着脱手段は、磁石を有して構成されてなることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載のゲーム機において、
前記計数表示部が前記第一の位置に到達した際の衝撃を緩衝するための緩衝手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、省スペース化を図ることができるゲーム機を提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態に係るクレーンゲーム機の正面図である。
【
図6】キャッシュボックスを引き出した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態に係るゲーム機としてのクレーンゲーム機について、図面を参照しながら説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有するものについては、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0015】
先ず、
図1~
図5を参照しながら、本発明を適用することができるゲーム機の一例としてのクレーンゲーム機100の全体構成について説明する。以下の説明において、左右、前後、上下とは、クレーンゲーム機100のプレイヤーが正面側から見た状態を基準とした左右、前後、上下を意味する。
【0016】
クレーンゲーム機100は、例えば、縦長の直方体形状によって形成された筐体1を備えている。本実施形態に係るクレーンゲーム機100は、上下2段に構成されており、筐体1の上段には第1ゲーム部2が配され、筐体2の下段には第2ゲーム部3が配されている。また、クレーンゲーム機100は、底部に基台8が配されており、基台8には筐体1が載置されている。また、基台8の底面にはキャスタCAが適宜数取り付けられている。したがって、ゲームセンター等の遊戯場のスタッフが筐体1を押動することにより容易に搬送することができるようになっている。
【0017】
本実施形態に係るクレーンゲーム機100は、ゲーム部を上下2段に配された構成としたが、ゲーム部が上下方向に1段のみ配される態様(すなわち、上下方向にゲーム部が配されない態様)であってもよいし、ゲーム部が上下方向に3段以上配される態様であってもよい。また、ゲーム部が左右方向に複数配される態様であってもよい。
【0018】
第1ゲーム部2は、左上プレイ部4と右上プレイ部5とを備えて構成されている。左上プレイ部4は、第1ゲーム部2の左側に配置され、右上プレイ部5は、左上プレイ部4の右側に配置されており、それぞれにおいて遊戯が可能とされている。
【0019】
左上プレイ部4は、景品(図示せず)が収容されるプレイフィールド401と、プレイフィールド401内において前後左右に移動するとともに、把持アームによって景品を把持するための把持動作が可能な把持装置402とを備えている。左上プレイ部4の前面側には、プレイヤーによる操作が可能な操作部403が設けられており、操作部403を操作することにより、把持装置402に景品を取得するための動作を行わせることができる。
【0020】
プレイフィールド401の床面の左前部には、景品排出口404が開設されており、把持装置402によって移動された景品が落下可能とされている。景品排出口404から落下した景品は、景品取出室405に案内され、プレイヤーが扉部406を開放することにより景品を取り出すことができる。
【0021】
右上プレイ部5は、プレイフィールド501と、把持装置502とを備えており、右上プレイ部5の前面側には、操作部503が設けられている。また、プレイフィールド501の床面の右前部には、景品排出口504が開設されており、景品排出口504から落下した景品は、景品取出室505に案内され、プレイヤーが扉部506を開放することにより景品を取り出すことができる。なお、プレイフィールド501、把持装置502、操作部503、景品排出口504、景品取出室505及び扉部506は、左上プレイ部4に設けられたプレイフィールド401、把持装置402、操作部403、景品排出口404、景品取出室405及び扉部406と同様の構成であるため、詳細な説明を省略する。
【0022】
左下プレイ部6は、プレイフィールド601と、把持装置602とを備えており、左下プレイ部6の前面側には、操作部603が設けられている。また、プレイフィールド601の床面の左前部には、景品排出口604が開設されており、景品排出口604から落下した景品は、景品取出室605に案内され、プレイヤーが扉部606を開放することにより景品を取り出すことができる。なお、プレイフィールド601、把持装置602、操作部603、景品排出口604、景品取出室605及び扉部606は、左上プレイ部4に設けられたプレイフィールド401、把持装置402、操作部403、景品排出口404、景品取出室405及び扉部406と同様の構成であるため、詳細な説明を省略する。
【0023】
右下プレイ部7は、プレイフィールド701と、把持装置702とを備えており、右下プレイ部7の前面側には、操作部703が設けられている。また、プレイフィールド701の床面の右前部には、景品排出口704が開設されており、景品排出口704から落下した景品は、景品取出室705に案内され、プレイヤーが扉部706を開放することにより景品を取り出すことができる。なお、プレイフィールド701、把持装置702、操作部703、景品排出口704、景品取出室705及び扉部706は、左上プレイ部4に設けられたプレイフィールド401、把持装置402、操作部403、景品排出口404、景品取出室405及び扉部406と同様の構成であるため、詳細な説明を省略する。
【0024】
第1ゲーム部2における左上プレイ部4の操作部403と右上プレイ部5の操作部503との間に2つのコインセレクタ407,507が左右に並べて設けられている。左側に配されたコインセレクタ407は、左上プレイ部4に対応するコインセレクタ407であり、このコインセレクタ407に価値媒体としての硬貨が投入されると、投入信号が制御部(図示しない)に出力され、これに基づいて左上プレイ部4における遊戯が可能となる。一方、右側に配されたコインセレクタ507は、右上プレイ部5に対応するコインセレクタ507であり、このコインセレクタ507に硬貨が投入されると、投入信号が制御部に出力され、これに基づいて右上プレイ部5における遊戯が可能となる。
【0025】
また、コインセレクタ407,507の下方には、価値媒体貯留部としてのキャッシュボックス811が設けられており、コインセレクタ407,507が受け入れた硬貨を貯留することができる。キャッシュボックス811には、施錠装置812が設けられており、例えば、オペレータによる開錠操作によって開錠されると、キャッシュボックス811を手前側に引き出すことができるようになっている。オペレータは、キャッシュボックス811を手前側に引き出すことで、貯留された硬貨を回収する集金作業を行うことができる。キャッシュボックス811は、例えば、磁着可能な金属(例えば、鉄)により形成されている。
【0026】
筐体1の内部であって、コインボックス811の背面側には、計数表示部としてのカウンタ408,508が配置されている。カウンタ408,508は、電磁カウンタにより構成されており、制御部から計数信号を入力すると、インクリメントするように構成されている。本実施形態では、コインセレクタ407により硬貨が受け付けられると、制御部から計数信号が出力され、カウンタ408がインクリメントし、コインセレクタ507により硬貨が受け付けられると、制御部から計数信号が出力され、カウンタ508がインクリメントする。なお、カウンタ408,508の構成については後述する。
【0027】
第2ゲーム部3における左下プレイ部6の操作部603と右下プレイ部7の操作部703との間に2つのコインセレクタ607,707が左右に並べて設けられている。左側に配されたコインセレクタ607は、左下プレイ部6に対応するコインセレクタ607であり、このコインセレクタ607に硬貨が投入されると、投入信号が制御部に出力され、これに基づいて左下プレイ部6における遊戯が可能となる。一方、右側に配されたコインセレクタ707は、右下プレイ部7に対応するコインセレクタ707であり、このコインセレクタ707に硬貨が投入されると、投入信号が制御部に出力され、これに基づいて右下プレイ部7における遊戯が可能となる。
【0028】
また、コインセレクタ607,707の下方には、キャッシュボックス821が設けられており、コインセレクタ607,707が受け入れた硬貨を貯留することができる。キャッシュボックス821には、施錠装置822が設けられており、例えば、
図3に示すように、オペレータによる開錠操作によって開錠されると、キャッシュボックス821を手前側に引き出すことができるようになっている。なお、
図3において、二点鎖線で示す部分は、キャッシュボックス821が引き出された状態を示している。オペレータは、キャッシュボックス821を手前側に引き出すことで、貯留された硬貨を回収する集金作業を行うことができる。キャッシュボックス821は、例えば、磁着可能な金属(例えば、鉄)により形成されている。
【0029】
筐体1の内部であって、コインボックス821の背面側には、計数表示部としてのカウンタ608,708が配置されている。カウンタ608,708は、電磁カウンタにより構成されており、制御部から計数信号を入力すると、インクリメントするように構成されている。本実施形態では、コインセレクタ607により硬貨が受け付けられると、制御部から計数信号が出力され、カウンタ608がインクリメントし、コインセレクタ707により硬貨が受け付けられると、制御部から計数信号が出力され、カウンタ708がインクリメントする。なお、カウンタ608,708の構成については後述する。
【0030】
なお、本実施形態では、カウンタ408,508,608,708として電磁カウンタを用いたが、コインセレクタ407,507,607,707にそれぞれ受け付けられた価値媒体の計数結果を表示するものとしては他のものであってもよく、例えば、液晶表示装置等、表示状態が変化可能なものであればいずれのものについても適用可能である。
【0031】
また、カウンタ408,508,608,708はそれぞれ、コインセレクタ407,507,607,707に対応して設けられているが、複数のコインセレクタのいずれかで受け付けられた価値媒体の計数結果を一のカウンタで合算表示するようにしてもよい。
【0032】
次に、本実施形態に係るクレーンゲーム機100に適用されているカウンタの具体的構成について説明する。なお、本実施形態では、第1ゲーム部2におけるカウンタ408,508及びキャッシュボックス811の構成は、第2ゲーム部3におけるカウンタ506,708及びキャッシュボックス821と同様であるため、以下の説明では、第2ゲーム部3におけるカウンタ506,708及びキャッシュボックス821を例に説明する。
【0033】
図3~
図5に示すように、第2ゲーム部3の中央下部には、キャッシュボックス821を収容可能な収容空間31が形成されており、収容空間31に収容されたキャッシュボックス821の背面側にはカウンタ608,708が取り付けられたスライドベース831が配置されている。スライドベース831は、収容空間31内を前後方向に摺動可能とされている。収容空間31の前面開口の左右両側には、スライドベース831の収容空間31からの離脱を抑止するための当接部31aが形成されている。また、収容空間31の内周後面には、緩衝手段としての一対の緩衝ばね832,833が左右に並べて配置されている。緩衝ばね832,833は、例えば、圧縮コイルばねにより構成されている。
【0034】
スライドベース831は、カウンタ608,708が取り付けられるカウンタ取付部831aと、後端が立ち上げられるようにして折曲形成された後壁部831bと、左右両端が立ち上げられるようにして折曲形成された側壁部831cとを備えている。
【0035】
カウンタ取付部831aは、スライドベース831の前端中央に配置されており、後方に傾斜するように立上げ形成されている。カウンタ取付部831aは、立上げ部分に左右並べて方形状の開口が形成されており、これら開口のそれぞれに対してカウンタ608,708の本体部を挿通するようにしてカウンタ608,708が取り付けられる。このとき、カウンタ608,708の表示部608a,708aがカウンタ取付部831aの前面側に臨むように配置される。
【0036】
また、スライドベース831のカウンタ取付部831aの両側には、磁石834,835が取り付けられており、キャッシュボックス821の背面に対して磁着可能とされている。本実施形態では、磁石834,835は着脱手段として機能している。
【0037】
後壁部831bは、中央部分が凹状に切り欠かれており、カウンタ608,708の逃げ部分が設けられている。また、緩衝ばね832,833は、後壁部831bの後面と対向配置されており、スライドベース831が収容空間31の後端に達すると、後壁部831bが緩衝ばね832,833に当接し、スライドベース831に対する衝撃を吸収することができる。その結果、カウンタ608,708に対する衝撃を抑制することができるようになる。なお、本実施形態では、スライドベース831の衝撃を吸収する手段として圧縮コイルばねを採用したが、衝撃を吸収可能なものであれば、他のものを採用してもよく、例えば、他の種類のばねを採用してもよいし、ゴムや樹脂による緩衝部材を採用してもよい。また、例えば、摺動摩擦が漸次高まる構成としてブレーキをかけることで衝撃を吸収するようにしてもよい。
【0038】
側壁部831cは、スライドベース831が前方に移動し、収容空間31の前面開口に到達すると当接部31aに当接することで、スライドベース831を収容空間31より離脱するのを抑制している。スライドベース831は、上述したようにして構成されているので、収容空間31の後端と前面開口との間でスライド可能に構成されている。これにより、カウンタ608,708の表示部608a,708aの位置を変位させることができるようになっている。すなわち、本実施形態において、スライドベース831は、計数表示部変位手段として機能している。
【0039】
本実施形態では、上述したように構成されているので、オペレータが施錠装置822を操作して開錠し、キャッシュボックス821を引き出すと、キャッシュボックス821の背面に対して磁着によりスライドベース831が取り付けられているので、キャッシュボックス821に案内されながらスライドベース831が前方に移動する。その後、
図3において二点鎖線で示すように、キャッシュボックス821が収容空間31から取り出されると、スライドベース831の側壁部831cが当接部31aに当接してスライドベース831の前方への移動が阻止される。その結果、キャッシュボックス821に磁着されていたスライドベース831の磁着状態が解消され、スライドベース831がキャッシュボックス821から分離される。すると、
図6に示すように、カウンタ608,708の表示部608a,708aが収容空間31の前面に位置し、オペレータによるカウンタ値の確認が容易になる。
【0040】
集金作業が終了し、キャッシュボックス821を収容空間31に収容すると、キャッシュボックス821の後面でスライドベース831が押圧される。その後、スライドベース831が収容空間31の後端に到達すると、後壁部831bが緩衝ばね832,833に当接し、スライドベース831の後方への移動が阻止されるとともに、スライドベース831に対する衝撃が緩衝ばね832,833により吸収される。
【0041】
本実施形態では、着脱手段として磁石を用いるようにしたが、キャッシュボックス821とスライドベース831とを着脱可能とする構成はこれに限らず、他の構成を採用してもよい。例えば、キャッシュボックス831とスライドベース831とを係脱自在な構成としてもよい。また、機械的に着脱可能とする構成としてもよいし、電気的手段を用いて着脱可能とする構成としてもよい。
【0042】
また、本実施形態では、カウンタ408,508,608,708を前後方向に移動させることで変位するようにしたが、例えば、キャッシュボックス811,821が収容空間31内にある場合には、キャッシュボックス811,821の移動範囲から退避する位置となり、キャッシュボックス811,821が収容空間31から取り出された場合に、キャッシュボックス811,821の移動範囲に進出する位置に変位する構成としてもよい。例えば、キャッシュボックス811,821が収容空間31内に収容されると、収容空間31内に進出していたカウンタ408,508,608,708が傾動してキャッシュボックス811,821の下方又は上方に退避し、キャッシュボックス811,821が収容空間31から引き出されると、付勢力によりカウンタ408,508,608,708が傾動し、キャッシュボックス811,821の移動範囲内に進出するようにしてもよい。
【0043】
以上説明したように、本実施形態によれば、クレーンゲーム機100は、硬貨を受け付けたことを条件として所定の遊戯を実行可能である。筐体1は、各種装置を収容する。セレクタ407,507,607,707は、硬貨を受け付ける。キャッシュボックス811,821は、筐体1内に設けられ、セレクタ407,507,607,707によって受け付けられた価値媒体を貯留する。カウンタ408,508,608,708は、筐体1内に設けられ、セレクタ407,507,607,707によって硬貨が受け付けられた場合にインクリメントするとともに、その結果を表示する。キャッシュボックス811,821は、筐体1から引き出されることで、貯留されている硬貨を取り出し可能に構成されている。スライドベース831は、キャッシュボックス811,821の位置に応じて、カウンタ408,508,608,708を収容空間31における後端位置(第一の位置)と、後端位置よりもカウンタ408,508,608,708が視認しやすい収容空間31における前端位置(第二の位置)との間で変位可能である。その結果、計数表示部の配置について省スペース化を図ることができ、必要に応じて計数表示部を視認しやすくなって利便性が高まるゲーム機を提供することができるようになる。
【0044】
また、本実施形態によれば、カウンタ408,508,608,708は、筐体1内においてキャッシュボックス811,821の背面側に配置されている。スライドベース831は、カウンタ408,508,608,708が取り付けられるベース体と、カウンタ取付部831aに備えられてキャッシュボックス811,821に対して着脱可能な磁石834,835とを有しており、キャッシュボックス811,821が筐体1内から引き出されると、磁石834,835によりキャッシュボックス811,821に取り付けられたベース体がキャッシュボックス811,821の引出し方向に案内されながらカウンタ408,508,608,708を移動させることで、カウンタ408,508,608,708を収容空間31の後端位置から前端位置に変位させる。その結果、簡便な構成で実現することができ、また、操作性を向上させることができるようになる。
【0045】
また、本実施形態によれば、カウンタ408,508,608,708が収容空間31の前端位置においてキャッシュボックス811,821が引出し方向に引き出されると、スライドベース831の移動が阻止されるとともに、磁石834,835による取付状態が解除されてスライドベース831がキャッシュボックス811,821より分離される。その結果、操作を簡便にすることができるようになり、例えば、集金作業効率を向上させることができるようになる。
【0046】
また、本実施形態によれば、キャッシュボックス811,821は磁着可能とされている。着脱手段は、磁石834,835を有して構成されている。その結果、簡便な構成で実現でき、製造コスト及び/又は作業コストを低減できるようになる。
【0047】
また、本実施形態によれば、緩衝ばね832,833は、カウンタ408,508,608,708が収容空間31の後端位置に到達した際の衝撃を緩衝する。そのため、カウンタ等の部材に対するダメージを抑制することができるようになる。
【0048】
なお、本発明の実施の形態に記載された作用および効果は、本発明から生じる最も好適な作用および効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用および効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0049】
また、本実施形態に係る発明は、クレーンゲーム機等の景品取得ゲーム機に限らず、セレクタによって受け付けられた価値媒体を価値媒体貯留部に貯留可能であるとともに、計数表示部を有するゲーム機であればいずれのゲーム機についても採用することができ、例えば、ビデオゲーム機に適用することもできるし、メダルゲーム機に適用することもできる。
【符号の説明】
【0050】
100 クレーンゲーム機(ゲーム機)
1 筐体
407 セレクタ
507 セレクタ
607 セレクタ
608 カウンタ(計数表示部)
707 セレクタ
708 カウンタ(計数表示部)
811 キャッシュボックス(価値媒体貯留部)
821 キャッシュボックス(価値媒体貯留部)
831 スライドベース(計数表示部変位手段、ベース体)
834 磁石(着脱手段)
835 磁石(着脱手段)
832 緩衝ばね(緩衝手段)
833 緩衝ばね(緩衝手段)
【要約】
【課題】省スペース化を図ることができるゲーム機を提供する。
【解決手段】セレクタ607は、硬貨を受け付ける。キャッシュボックス821は、筐体1内に設けられ、セレクタ607によって受け付けられた価値媒体を貯留する。カウンタ608は、筐体1内に設けられ、セレクタ607によって硬貨が受け付けられた場合にインクリメントするとともに、その結果を表示する。キャッシュボックス821は、筐体1から引き出されることで、貯留されている硬貨を取り出し可能に構成されている。スライドベース831は、キャッシュボックス821の位置に応じて、カウンタ608を収容空間31における後端位置と、後端位置よりもカウンタ608が視認しやすい収容空間31における前端位置との間で変位可能である。
【選択図】
図3