(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】列車内座席の管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/40 20240101AFI20240722BHJP
G06Q 10/02 20120101ALI20240722BHJP
【FI】
G06Q50/40
G06Q10/02
(21)【出願番号】P 2020041439
(22)【出願日】2020-03-11
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉原 健爾
【審査官】加舎 理紅子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-030465(JP,A)
【文献】特開2007-156666(JP,A)
【文献】特開2004-227120(JP,A)
【文献】特開2004-171455(JP,A)
【文献】特開2020-010457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車の客室に設置され少なくとも車両識別情報を含む信号を送信可能な送信器と、列車の運行に係る情報を送受信するための無線通信を行う移動局と、を備えた車上システムと、
列車の運行を管理する運行管理装置と、列車の座席を管理する座席管理装置と、前記移動局を介した無線通信により各列車から在線位置情報を取得して記憶する在線位置管理用サーバと、を備えた列車運行系システムと、
インターネットに接続され、所定のアプリケーションプログラムがインストールされた利用者の携帯端末と前記インターネット及び公衆無線ネットワークを介して情報の送受信が可能な予約要求受付け用サーバと、
を備え、前記予約要求受付け用サーバが前記インターネットを介して前記列車運行系システムと情報の送受信が可能に接続されている列車内座席の管理システムであって、
前記予約要求受付け用サーバは、
走行している列車に乗車している乗客が保有している携帯端末から、当該携帯端末が前記送信器より受信した前記車両識別情報及び乗客が入力した情報を含む座席予約要求を、公衆無線ネットワークを介して受信すると、受信した前記車両識別情報を列車番号情報に変換して前記列車運行系システムへ送信可能に構成され、
前記送信器は、情報を含む信号を標識電波として送信可能なビーコンであり、
前記ビーコンは、前記客室内の座席ごとに設けられ、自身の機器識別情報及び車両識別情報を含む信号を送信し、
前記携帯端末は、前記送信器が送信した前記機器識別情報及び車両識別情報と乗客が入力した区間に関する情報とを含む座席予約要求を前記予約要求受付け用サーバへ送信し、
前記予約要求受付け用サーバは、受信した前記機器識別情報を座席番号情報に変換し、受信した前記車両識別情報を列車番号情報に変換して、前記区間に関する情報と共に前記列車運行系システムへ送信するように構成され、
前記列車運行系システムは、前記予約要求受付け用サーバからの情報に基づいて座席予約要求をした前記携帯端末に対する座席予約の可否を判定し、座席の空き情報を送信することなく直ちに座席予約の可否の判定結果を前記携帯端末へ送信可能に構成されていることを特徴とする列車内座席の管理システム。
【請求項2】
前記座席管理装置は、料金の決済を行うカード決済サーバに接続可能であり、予約の可否の判定に際して前記カード決済サーバへ座席予約の料金の決済を要求し、決済が完了した場合に前記携帯端末へ座席予約の成立を送信するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の列車内座席の管理システム。
【請求項3】
前記在線位置管理用サーバは、各列車から車両識別情報を取得してそのときの当該列車の位置情報を前記車両識別情報と紐付けて記憶し、
前記座席管理装置は、予約の可否の判定に際して前記在線位置管理用サーバから予約に係る列車の位置情報を取得して座席予約区間の判定を行うように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の列車内座席の管理システム。
【請求項4】
前記列車運行系システムは、自動運転のための情報を無線通信により送信するための自動運転用地上サーバと、複数の列車との間で自動運転のための情報の無線通信を行う閉域網無線ネットワークと、を備え、
前記列車は、前記閉域網無線ネットワークを介して受信した自動運転のための情報を記憶する自動運転用車上サーバと、を備え、
前記自動運転用車上サーバは、当該列車の在線位置情報を、前記閉域網無線ネットワークを介して前記自動運転用地上サーバへ送信し、
前記自動運転用地上サーバが前記在線位置管理用サーバとして機能するように構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の列車内座席の管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列車内座席の管理システムに関し、例えば座席指定券を持たずに列車に乗車した乗客が自己の携帯端末を用いて座席を予約することを可能にする列車内座席の管理システムに利用して有用な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現行の鉄道車両における列車内座席の管理システムには、列車の乗客が乗車前に端末を使用してインターネットを介して鉄道事業者が提供する座席予約管理システムにアクセスまたは駅の窓口に赴いて駅の係員に依頼して座席予約するか、座席指定券を持たずに列車に乗車した乗客が列車の乗務員(車掌)に依頼して座席券を発行してもらう方式が一般的である。
また、現行の座席管理システムでは、車掌が列車内で乗客からの要求に応じて座席券を発行する場合、各停車駅の発車前に乗務員端末によって座席予約管理サーバから取得した座席予約情報に基づいて、空き座席を調べて座席券を発行するようにしている。このような座席券の発行を可能にするシステムに関する発明としては、例えば特許文献1に記載されているものがある。
【0003】
上記現行座席管理システムの場合、車掌が乗務員端末によって座席予約管理サーバから取得した座席予約情報にはタイムラグがあり、前方の区間に関して地上側の端末によって座席予約が行われた場合、乗務員端末による座席予約と競合して同一座席が重複して予約される可能性がある。
一方、列車内で乗客からの要求を受けた車掌が座席券を発行する際に、無線により座席予約管理サーバへ通信を行なって座席を確保するとともに、非接触ICカードによる指定料金の精算を行なえるようにしたシステムに関する発明が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-330983号公報
【文献】特開2003-58610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に記載されている発明のような列車内座席管理システムによれば、同一座席の重複予約は回避できるものの、1つの列車に搭乗している車掌の人数はそれほど多くないので、座席券を希望する乗客が多数存在する場合に対応できないあるいは対応が遅れるという課題がある。
そのため、列車に乗車した乗客が列車内の混雑状況や空席状況を確認して、自己の携帯端末を使用して座席の予約を行なえるシステムが従前より要望されているが、実現されていないのが現状である。その理由としては、座席の予約を行うには当該列車の列車番号もしくはそれに相当する情報が不可欠であるが、列車に乗車した乗客に列車番号の入力を要求することは現実的ではないことがある。
【0006】
また、座席予約管理サーバからすると、座席の予約を要求して来た利用者(携帯端末)の現在位置が分からないと、予約を許可することは困難であるという課題がある。例えば列車に乗車する前に利用者が駅構内等で携帯端末を用いて座席予約要求をしてきた場合、座席予約完了後に利用者が希望する列車に乗り遅れることも考えられるため、現在位置が分からない利用者(携帯端末)に対して、安易に予約を許可することはできない。なお、携帯端末が有するGPS機能を利用して携帯端末の現在位置情報を取得して位置を確認することも考えられるが、利用者が携帯端末のGPS機能を有効にしていない場合もあり、それが原因で座席予約が行えなかったような場合に、利用者との間で無用なトラブルが生じるおそれがある。
【0007】
本発明は上記のような背景のもとになされたもので、座席指定券を持たずに列車に乗車した乗客が列車の乗務員(車掌)を介することなく、自己の携帯端末を用いて座席予約ないしは着席権の確保を行うことができる列車内座席の管理システムを提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、乗客が自己の携帯端末を用いて簡単な操作で座席予約ないしは着席権の確保を行うことができる列車内座席の管理システムを提供することにある。
本発明の他の目的は、乗客が自己の携帯端末を用いて座席予約ないしは着席権の確保および料金の精算を行うことができる列車内座席の管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本出願に係る発明は、
列車の客室に設置され少なくとも車両識別情報を含む信号を送信可能な送信器と、列車の運行に係る情報を送受信するための無線通信を行う移動局と、を備えた車上システムと、
列車の運行を管理する運行管理装置と、列車の座席を管理する座席管理装置と、前記移動局を介した無線通信により各列車から在線位置情報を取得して記憶する在線位置管理用サーバと、を備えた列車運行系システムと、
インターネットに接続され、所定のアプリケーションプログラムがインストールされた利用者の携帯端末と前記インターネット及び公衆無線ネットワークを介して情報の送受信が可能な予約要求受付け用サーバと、
を備え、前記予約要求受付け用サーバが前記インターネットを介して前記列車運行系システムと情報の送受信が可能に接続されている列車内座席の管理システムにおいて、
前記予約要求受付け用サーバは、
走行している列車に乗車している乗客が保有している携帯端末から、当該携帯端末が前記送信器より受信した前記車両識別情報及び乗客が入力した情報を含む座席予約要求を、公衆無線ネットワークを介して受信すると、受信した前記車両識別情報を列車番号情報に変換して前記列車運行系システムへ送信可能に構成され、
前記送信器は、情報を含む信号を標識電波として送信可能なビーコンであり、
前記ビーコンは、前記客室内の座席ごとに設けられ、自身の機器識別情報及び車両識別情報を含む信号を送信し、
前記携帯端末は、前記送信器が送信した前記機器識別情報及び車両識別情報と乗客が入力した区間に関する情報とを含む座席予約要求を前記予約要求受付け用サーバへ送信し、
前記予約要求受付け用サーバは、受信した前記機器識別情報を座席番号情報に変換し、受信した前記車両識別情報を列車番号情報に変換して、前記区間に関する情報と共に前記列車運行系システムへ送信するように構成され、
前記列車運行系システムは、前記予約要求受付け用サーバからの情報に基づいて座席予約要求をした前記携帯端末に対する座席予約の可否を判定し、座席の空き情報を送信することなく直ちに座席予約の可否の判定結果を前記携帯端末へ送信可能に構成したものである。
【0009】
上記のように構成された列車内座席の管理システムによれば、座席指定券を持たずに列車に乗車した乗客が、列車の乗務員(車掌)を介することなく、自己の携帯端末を用いて座席予約ないしは着席権の確保を行うことができる。また、予約要求受付け用サーバが、受信した前記車両識別情報を列車番号情報に変換する機能を備えるため、乗客は自己の携帯端末に列車番号を入力する必要がないので、携帯端末を用いて簡単な操作で座席予約ないしは着席権の確保を行うことができる。
【0011】
上記のような構成によれば、予約要求受付け用サーバが、受信したビーコン信号に含まれている座席の識別情報を座席番号情報に変換する機能を備えるため、乗客は自己の携帯端末に予約(着席)を希望する座席番号を入力する必要がないので、携帯端末を用いて簡単な操作で座席予約ないしは着席権の確保を行うことができる。また、乗客が携帯端末へ入力した区間に関する情報が予約要求受付け用サーバへ送信されるため、希望する乗車区間の座席予約ないしは着席権の確保を行うことができる。
【0012】
また、望ましくは、前記座席管理装置は、料金の決済を行うカード決済サーバに接続可能であり、予約の可否の判定に際して前記カード決済サーバへ座席予約の料金の決済を要求し、決済が完了した場合に前記携帯端末へ座席予約の成立を送信するように構成する。
かかる構成によれば、乗客が所有するカードによって料金の決済を行うことができるため、乗客が自己の携帯端末を用いて座席予約ないしは着席権の確保および料金の精算を行うことができるとともに、鉄道事業者は乗務員の手を煩わせることなく座席予約に関わる料金を徴収することができる。
【0013】
さらに、望ましくは、前記在線位置管理用サーバは、各列車から車両識別情報を取得してそのときの当該列車の位置情報を前記車両識別情報と紐付けて記憶し、
前記座席管理装置は、予約の可否の判定に際して前記在線位置管理用サーバから予約に係る列車の位置情報を取得して座席予約区間の判定を行うように構成する。
かかる構成によれば、在線位置管理用サーバが列車の位置情報を車両識別情報と紐付けて記憶しているため、座席管理装置は在線位置管理用サーバから予約に係る列車の位置情報を取得して列車の在線位置を把握することができ、それによって乗客が区間に関する情報を誤って入力した場合に、予約不可と判定することができる。また、乗客が座席予約をしたい区間のうち開始点(着席開始駅)の情報を入力するのを省略することができるため、簡単な操作で所望区間の座席予約ないしは着席権の確保を行うことができる。
【0014】
さらに、望ましくは、前記列車運行系システムは、自動運転のための情報を無線通信により送信するための自動運転用地上サーバと、複数の列車との間で自動運転のための情報の無線通信を行う閉域網無線ネットワークと、を備え、
前記列車は、前記閉域網無線ネットワークを介して受信した自動運転のための情報を記憶する自動運転用車上サーバと、を備え、
前記自動運転用車上サーバは、当該列車の在線位置情報を、前記閉域網無線ネットワークを介して前記自動運転用地上サーバへ送信し、
前記自動運転用地上サーバが前記在線位置管理用サーバとして機能するように構成する。
かかる構成によれば、自動運転用地上サーバは精度の高い列車在線位置情報を取得することができるため、列車運行系システムは正確な座席管理を実行することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る列車内座席の管理システムによれば、座席指定券を持たずに列車に乗車した乗客が列車の乗務員(車掌)を介することなく、自己の携帯端末を用いて座席予約ないしは着席権の確保を行うことができる。また、列車の乗客は、自己の携帯端末を用いて簡単な操作で座席予約ないしは着席権の確保を行うことができる。さらに、列車の乗客は、自己の携帯端末を用いて座席予約ないしは着席権の確保および料金の精算を行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る列車内座席の管理システムの一実施例を示すシステム構成図である。
【
図2】実施例の座席管理システムを構成する車上システムの構成例を示すシステム構成図である。
【
図3】実施例の座席管理システムにおいて乗客が携帯端末を使用して座席予約要求を行なった場合の予約処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図4】実施例の座席管理システムにおけるATO車上サーバによる処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図5】第1変形例の座席管理システムを構成する車上システムの構成例を示すシステム構成図である。
【
図6】
図1の実施例の座席管理システムの第2の変形例を示すシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明に係る列車内座席の管理システムの実施形態について説明する。
図1は本発明の一実施例に係る列車内座席の管理システム全体の構成を示すシステム構成図、
図2は
図1の列車内座席の管理システムを構成する車上システムの構成例を示すシステム構成図である。なお、
図1のシステムは、自動運転可能な列車が走行する路線に適用した場合すなわち列車が自動運転制御機能を有するATO車上装置が搭載され、地上側にATO車上装置と通信を行い各列車へ制御情報を送信するATO地上装置が設置されている路線に適用した場合の構成例である。かかる路線を対象としたのは、ATO地上装置が正確な列車位置情報をリアルタイムで保有しているためである。
【0018】
図1に示すように、本実施例に係る列車内座席の管理システム(座席管理システム)は、列車Tに搭載された車上システム10と、鉄道沿線に設置された列車無線用の無線基地局BS1を介して上記車上システム10との間で無線通信可能な列車無線ネットワークNW1を備えた列車運行系システム20と、インターネット31やドコモのような移動体通信事業者が管理しLTE(Long Term Evolution)規格などによる無線通信サービスを提供する公衆無線ネットワーク32を含む系外ネットワークシステム30とから構成されている。列車無線には、例えば漏洩同軸ケーブル方式(LCX方式)や空間波無線方式の無線など既存のデジタル列車無線を利用することができる。
【0019】
上記列車運行系システム20には、上記列車無線ネットワークNW1および事業用閉域ネットワークNW2を介して、列車Tに搭載されたATO車上サーバと通信を行い各列車の在線位置を取得するとともに走行制御に関する情報を送信するATO地上サーバ21が設けられている。
また、列車運行系システム20には、列車の在線位置情報と実施ダイヤ情報に基づいて管轄内の全列車の位置を列車番号と紐づけて把握するとともに表示装置へ表示させる機能を有する運行管理装置22、乗車券や指定席券を発行する駅窓口端末23が設けられ、LANケーブル27bを介して事業用閉域ネットワークNW2に接続されている。
【0020】
本実施例においては、運行管理装置22は、事業用閉域ネットワークNW2を介して上記ATO地上サーバ21へ運行番号と列車番号毎に各駅出発時刻と次駅到着時刻、次駅到着時刻と予定時刻からの遅延時間に関する情報を含む実施ダイヤ情報を送信する機能も備えている。運行管理装置22からATO地上サーバ21へ列車番号と実施ダイヤ情報が送信されることにより、ATO地上サーバ21は、各列車の在線位置情報を列車番号と紐付けて把握することができる。
【0021】
さらに、列車運行系システム20には、列車内の乗務員端末や乗客が保有する携帯端末40とシステム内のサーバとの間の通信(データ送受信)を管理する車内端末管理サーバ24、駅窓口端末23または列車内の乗客の携帯端末40からの指定座席の予約要求を受けて予約処理および決済を行う予約決済管理サーバ25、走行中および走行予定の列車に関する予約済の座席情報および空き座席情報を管理する列車在庫管理装置26が設けられ、LANケーブル27aを介して事業用閉域ネットワークNW2に接続されている。
また、本実施例においては、列車在庫管理装置26は、事業用閉域ネットワークNW2を介してATO地上サーバ21へ、日付と列車番号、座席番号および区間を含む空席情報を送信する機能を備えており、これによりATO地上サーバ21は、走行中および走行予定の各列車の空席情報を把握することができる。
【0022】
なお、上記事業用閉域ネットワークNW2には、列車やバス、飛行機等の交通移動手段や宿泊施設の予約サービスを提供する旅行業者が保有する端末36が接続されている。また、予約決済管理サーバ25には、クレジットカード会社が管理するカード決済サーバ37が接続され、走行中の列車に乗車している乗客の携帯端末40からの要求に応じて座席予約処理を行う際に料金の決裁処理を行えるように構成されている。
ここで、上記各サーバは、マイクロプロセッサとROMやRAMなどのメモリを備えたコンピュータ装置と同様な構成を備えた情報処理装置であり、メモリに格納されたプログラムを実行することで、所定の機能を実現する。また、携帯端末40は、スマートホンやPDA(パーソナル・デジタル・アシスタント)、タブレット端末など無線通信機能を備えた携帯情報端末装置である。
【0023】
系外ネットワークシステム30を構成するインターネット31には、列車内に設けられている後述の乗客車両間インターフェイスシステムを構成する機器(例えばビーコン発信器)等の情報を管理する機能を有する乗客車両間I/Fサーバ33や、予め列車の利用者の携帯端末にインストールされ列車の運行や駅およびその周辺の施設に関する情報を提供するための専用のアプリケーションプログラム(以下、移動支援アプリと称する)による通信に関する処理を実行する移動支援アプリ対応サーバ34が接続されている。また、特に限定されるものでないが、この移動支援アプリ対応サーバ34には、検索エンジン35が接続または実装されており、利用者からの様々な情報の要求に対応できるように構成されている。また、インターネット31には一般ユーザのPC(パーソナルコンピュータ)38が接続されており、一般ユーザはインターネット31を介して列車運行系システム20のサーバ(列車在庫管理サーバ26)にアクセスして座席予約等のサービスを受けることができる。
【0024】
本実施例の座席管理システムにおいては、インターネット31と列車運行系システム10との間に、破線で示すように、ファイアウォールFWが設けられる。このようにファイアウォールFWが設けられることによって、列車内の乗客が携帯端末40から公衆無線ネットワーク32を介して、事業用閉域ネットワークNW2に接続されている列車運行系システム10内の装置やサーバに対する不正アクセスを防止することができる。また、携帯端末40からの要求に対する処理に移動支援アプリ対応サーバ34を介在させることで、携帯端末40から列車運行系システム20内のサーバに対する不正アクセスを防止し、セキュリティを高めることができる。
【0025】
なお、図示しないが、列車運行系システム20には、列車の位置や進路を把握しダイヤに従って走行しているか監視する駅保安システムが設けられており、駅保安システムは、レール間に電流を流して所定区間毎に列車の在線を検出する軌道回路設備と、軌道回路設備からの在線情報に基づいて信号機の現示を制御したり信号機と転てつ機を関連づけて全体的な保安機能を実現して列車を安全に走行させたりするための連動設備と、軌道回路設備からの在線情報や連動設備からの転てつ機状態情報に基づいて車上システム10へ列車の進路や停止ブロック(軌道回路単位の停止位置)等の情報を送信するATC地上装置などを備える。
【0026】
図2には、
図1の実施例の座席管理システムを構成する車上システム10の構成例が示されている。
図2に示すように、車上システム10には、車掌が保有する携帯端末(以下、乗務員端末と称する)11と、列車Tに搭載された自動運転制御機能を有するATO車上装置に対して走行パターン(ATOパターン)に関する情報を提供するATO車上サーバ12と、列車無線用の無線基地局BS1および列車無線ネットワークNW1を介して列車運行系システム20の車内端末管理サーバ24と乗務員端末11との間の無線通信を可能にするための列車無線用移動局13Aと、無線基地局BS2および閉域網無線通信ネットワークNW3を介してATO車上サーバ12とATO地上サーバ21との間の無線通信を可能にするためのATO通信用移動局13Bが設けられている。
【0027】
なお、本実施例においては、乗務員端末11は、無線基地局BS2とATO通信用移動局13Bとの間の無線通信によって、閉域網無線通信ネットワークNW3を介して乗客車両間I/Fサーバ33との間でもデータの送受信が行なえるように構成されている。
また、図示しないが、車上システム10は、走行駆動モータの回転数を検出する速度発電機を備えているとともに、ATO車上サーバ12に所定の駅間走行パターンが記憶されており、自動運転機能を有するATO車上装置は、速度発電機からの信号に基づいて算出した走行速度と上記走行パターンを比較しながら、走行駆動装置(モータ)およびブレーキ装置を制御することで走行パターンに従って列車を走行させる。
また、ATO車上サーバ12は、速度発電機からの信号に基づいて起点からの走行距離を算出し、算出した走行距離と起点の位置情報とから当該列車の在線位置情報を生成して列車のID(識別情報)とともにATO地上装置21へ送信する機能を有し、ATO地上装置21は受信した情報に基づいて各列車の位置をリアルタイムに把握することができる。
【0028】
さらに、車上システム10には、乗客車両間I/F・ID(もしくは座席ID)や車両IDなど固有情報を標識電波として発信する乗客車両間I/F機器としてのビーコン14が座席ごとに設けられている。ビーコン14は、各座席に設けられた携帯端末用の充電器に内蔵されるようにしても良い。ここで、ビーコン14の通信方式としては、例えばBluetooth(登録商標)通信やIEEE 802.11規格に従ったWiFi等の無線LAN、赤外線通信、可視光通信など公知の通信方式を利用することができる。
なお、各ビーコン14は、隣接する座席のビーコンから送信される電波との混信を回避するため、例えば電波到達距離が数10cm以下となるように送信電波強度が設定されている。各ビーコン14は、携帯端末からの信号を受信する機能を有していても良い。
【0029】
乗客が保有する携帯端末(ユーザ端末)40には、鉄道事業者が提供する移動支援アプリがインストールされており、この移動支援アプリを起動した状態でユーザ端末(40)をビーコン14に近づけるとビーコン信号を受信して、信号に含まれているID情報を抽出して座席予約画面を表示部に表示させる。そして、乗客がユーザ端末を使用して座席予約情報を入力して送信ボタンを操作すると、無線基地局BS3および公衆無線ネットワーク32を介して乗客車両間I/Fサーバ33との間に通信経路が確立して通信が行えるように構成されている。ユーザ端末(40)をビーコン14に近づけてビーコン信号を受信すると、ユーザ端末(40)にインストールされている移動支援アプリが起動されて、受信した信号に含まれているID情報を抽出して座席予約画面を表示部に表示させるように構成されていても良い。
【0030】
本実施例においては、乗客車両間I/Fサーバ33に、乗客車両間I/F・IDと座席番号との対応関係および車両IDと列車番号との対応関係を表わすテーブルデータが記憶されており、乗客車両間I/Fサーバ33は、上記テーブルを参照して乗客車両間I/F・IDを座席番号に変換し、車両IDを列車番号に変換することができるようになっている。
また、
図2に示す本実施例の車上システム10には、乗務員端末11に接続された車内ネットワーク15が設けられている。上記ATO車上サーバ12とATO車上装置とは、車内ネットワーク15を介して接続されていても良い。さらに、ビーコン14が車内ネットワーク15に接続されるように構成しても良い。これにより、乗務員端末11により指定もしくは入力された情報をビーコン14より送信させることができる。
【0031】
なお、上記実施例では、列車運行系システム20の地上側の装置(ATO地上装置21)と車上側の装置(ATO車上サーバ12)が無線通信で情報を交換しながら列車の車両IDと在線位置情報を予約要求受付け用サーバに提供する場合のシステム構成について説明したが、本発明はそれに限定されるものでなく、デジタル無線等により列車の在線位置情報を車上側から地上側へ送信する機能を有するシステムであっても良い。
また、上記実施例では、車上側の装置(ATO車上サーバ12)が車軸に設けられている速度発電機からの信号に基づいて列車の在線位置を算出して地上側の装置(ATO地上サーバ21)へ位置情報を送信すると説明したが、列車にGPS(全地球測位システム)の信号を受信するGPS装置を搭載して、このGPS装置により取得した位置情報を地上側の装置へ送信するように構成しても良い。
【0032】
次に、
図1の座席管理システムにおいて列車客室の乗客が携帯端末40を使用して座席予約要求を行なった場合の処理の手順の一例を、
図3のフローチャートを用いて説明する。なお、以下に説明する座席予約処理とは別個に、列車在庫管理装置28からATO地上サーバ21および車内端末管理サーバ24へ各列車の座席情報が送信されるとともに、ATO車上サーバ12からATO地上サーバ21へ車両IDと列車の在線位置情報が、また運行管理装置22からATO地上サーバ21へ運行番号と列車番号と実施ダイヤ情報が、それぞれ周期的に送信する処理が実行される。また、ATO地上サーバ21は、受信した車両IDおよび在線位置と列車番号とを紐付ける処理を行う。
【0033】
列車の乗客が保有する携帯端末40にインストールされている移動支援アプリを起動した状態で、座席ごとに設けられているビーコン14のうち空席状態の座席のビーコンに携帯端末40を近づけると、携帯端末40がビーコン14からの信号を受信し(ステップS1)、着席を希望する区間の駅名(乗車駅と降車駅)等を入力する座席予約画面が携帯端末40の表示部に表示される。
この座席予約画面で乗客が駅名を入力して送信ボタンを操作すると、座席予約要求コマンドが乗客車両間I/Fサーバ33へ送信される(ステップS2)。ステップS1で受信したビーコン信号には、前述したように、当該ビーコンのID(乗客車両間I/F・ID)と車両IDが含まれており、座席予約要求コマンドに、乗客車両間I/F・IDと車両IDと着席希望区間情報が付加されて送信される。なお、携帯端末40から乗客車両間I/Fサーバ33への座席予約要求は、移動支援アプリ対応サーバ34を介して行うようにしても良い。
【0034】
これらの情報を乗客車両間I/Fサーバ33が受信すると、乗客車両間I/Fサーバ33は、テーブルを参照するなどして、乗客車両間I/F・IDを座席番号に変換するとともに、車両IDを列車番号に変換し、変換した情報と着席希望区間情報をATO地上サーバ21へ送信する(ステップS3)。
そして、ATO地上サーバ21が座席番号と列車番号と着席希望区間情報を受信すると、移動支援アプリ対応サーバ34を介して車内端末管理サーバ24へ空席照会を行う(ステップS4)。すると、車内端末管理サーバ24は、指定された座席の予約の可否を判断して、当該座席の予約(着席)が可能か既に予約済みであるかの応答をATO地上サーバ21へ送信する(ステップS5)。このように、車内端末管理サーバ24へ空席照会を行うようにしているのは、乗客の携帯端末40と乗務員端末11からの座席予約要求とが競合した場合に、同一座席に対して重複した予約が発生するのを回避するためである。
【0035】
その後、ATO地上サーバ21は、車内端末管理サーバ24からの応答内容に応じて、指定された座席への予約(着席)が可能であるのか不可であるのかを示す応答を、移動支援アプリ対応サーバ34を介して車内端末管理サーバ24へする(ステップS6)。予約(着席)が可能である応答を送信する場合には、区間情報も付加される。すると、車内端末管理サーバ24は、予約(着席)が可能である場合には、区間料金を算出して予約(着席)が可能であることを示す情報を区間料金とともに要求のあった乗客の携帯端末40へ送信する(ステップS7)。
なお、車内端末管理サーバ24から携帯端末40への情報送信は、移動支援アプリ対応サーバ34を介して行うようにしても良い。また、ATO地上サーバ21は、ステップS6で、当該列車の在線位置すなわち座席予約の要求を行なってきた乗客の位置を確認して、降車駅を過ぎてからの座席予約など不適切な座席予約の要求があった場合には、予約(着席)不可の応答を送信するようにしても良い。
【0036】
予約(着席)が可能であることを示す情報を受信した乗客の携帯端末40は、料金支払いのためのクレジットカード番号などの入力画面の表示を行い、送信ボタンが操作されると、発券要求コマンドを予約決済管理サーバ25へ送信する(ステップS8)。なお、携帯端末40から予約決済管理サーバ25への発券要求は、移動支援アプリ対応サーバ34を介して行うようにしても良い。そして、発券要求を受けた予約決済管理サーバ25は、カード決済サーバ37との間で決済処理を実行し、決済の結果に応じた応答(予約の成否)を乗客の携帯端末40へ送信する(ステップS9)。そして、応答を受信した携帯端末40は、予約の成否に応じた内容を表示部に表示する(ステップS10)。
【0037】
一方、予約決済管理サーバ25は、ステップS9でカード決済に成功すると、ステップS11へ進み、決済完了報告と座席番号を乗務員端末11へ送信する。すると、乗務員端末11は、座席情報の更新処理を実行する(ステップS12)。なお、予約決済管理サーバ25から携帯端末40への送信は、移動支援アプリ対応サーバ34を介して行うようにしても良い。
また、予約決済管理サーバ25は、ステップS11で決済完了報告と座席番号を乗務員端末11へ送信した後、列車番号と座席情報と区間情報を付加して列車在庫管理装置28へ座席情報の更新要求を行う(ステップS13)。すると、列車在庫管理装置28は、座席情報の更新処理を実行する(ステップS14)。上記処理により、乗務員端末11と列車在庫管理装置28において最新の座席情報を反映することができる。また、最新の座席情報は、列車在庫管理装置28から車内端末管理サーバ24へ送信される。なお、予約決済管理サーバ25が列車在庫管理装置28へ座席情報の更新要求を行う代わりに、乗務員端末11から列車在庫管理装置28へ座席情報の更新要求を行うようにしても良い。
【0038】
また、上述した乗客の携帯端末40による座席予約処理とは別個に、いつでも割込みで乗務員端末11による座席予約要求が行えるように構成されている。具体的には、
図3のステップS15に示すように、乗務員端末11により座席番号と列車番号および区間情報を付加して座席予約要求コマンド送信が行われると、そのコマンドは車内端末管理サーバ24へ送信される。そして、それ以降は、上述したステップS5~S7に従って処理が進み、予約(着席)が可能である場合には、車内端末管理サーバ24が区間料金を算出して、要求のあった乗務員端末11へ予約(着席)が可能であることを示す情報を区間料金とともに送信される。
すると、乗務員端末11は、ステップS16で発券と料金の精算処理を実行した後、ステップS12へ移行して、座席情報の更新処理を実行する。また、乗務員端末11から列車在庫管理装置26へ座席情報の更新要求が行われ、列車在庫管理装置26が座席情報の更新処理を実行する(ステップS14)。
【0039】
上記のように、本実施例の列車内座席の管理システムにおいては、乗客の携帯端末40が座席に設けられたビーコン14から車両IDを取得することができ、それを乗客車両間I/Fサーバ33へ送信して列車番号に変換して空席照会を行うため、乗務員端末11による座席予約はもちろんのこと、乗客の携帯端末40から直接座席予約を行うことができる。しかも、列車の在線位置をリアルタイムで追跡可能なATO地上サーバ21が設けられているため、座席予約の要求を行なってきた乗客の位置を正確に把握することができ、乗客の誤った入力操作によって不適切な座席予約が行われるのを回避することができる。
【0040】
次に、
図3のフローチャートに従った処理を実行する際に、ATO車上サーバ12により実行される具体的な処理の内容を、
図4を用いて説明する。
ATO車上サーバ12は、車上システム10の電源の投入により起動され、
図4に示すように、先ず、例えば自身のワークメモリあるいは履歴用メモリを参照するなどして所定のアドレス領域に格納されている位置情報を読み込み(ステップS21)、在線位置が確定しているか否か判定する(ステップS22)。具体的には、例えば読み込んだ位置情報が正規の範囲から外れている(ありえない位置に在線している)場合には位置が確定していない(位置不定)と判定し、正規の範囲に入っている場合には位置が確定していると判定する。
【0041】
ステップS22で、位置が確定していないつまり位置不定であると判定すると、ステップS23へ移行してATC地上子より位置補正電文を受信しているか判定する。そして、位置補正電文を受信している(Yes)と判定すると、ステップS24へ進んで、受信した位置補正電文の情報に基づいて在線位置を補正し、ステップS21へ戻る。
一方、ステップS22で位置が確定していると判定すると、ステップS25へ進み、車両情報記憶装置より、車両IDなど自列車に固有の車両情報および時刻情報を取得し、取得した固有車両情報と在線位置情報を、列車無線を使用し閉域網無線ネットワークNW3を介してATO地上サーバ21へ送信する(ステップS26)。その後、ステップS21へ戻って、在線位置が変化すると上記処理を繰り返し実行する。
【0042】
なお、車上システム10がATOパターンに基づく自動列車制御機能を有するATC車上装置を備えており、該ATC車上装置に当該列車の位置情報を取得する機能を持たせる場合には、
図4に示す処理をATC車上装置によって実行し、上記ATO車上サーバ11からの在線位置情報の要求があった場合に、ATC車上装置からATO車上サーバ11へ列車内ネットワーク(伝送ケーブル)を介して在線位置情報および車両IDを送信し、ATO車上サーバ11がATO地上サーバ21へ在線位置情報および車両IDを無線で送信するように構成しても良い。
【0043】
(変形例)
次に、上記実施例の列車内座席の管理システムの変形例について説明する。
図5には、第1の変形例における車上システム10の構成が示されている。
本変形例における車上システムと
図2に示す実施例の車上システムとの差異は、上記実施例では、各座席にそれぞれ座席IDと車両IDを含む電波を送信するビーコン14を設置しているのに対し、本変形例においては、客室(車両)ごとに車両IDを含む電波を送信するビーコン14’を設置している点と、各車両にWiFiルータ16を設けている点にある。ただし、WiFiルータ16を省略した構成も可能である。車上システム10を除く全体のシステムの構成は、
図1と同様で良い。
【0044】
本変形例においては、乗客が携帯端末40にインストールされている移動支援アプリを起動した状態で列車に乗車して客室(車両)に入ると、携帯端末40がビーコン14’からの信号を受信する。乗客が座席予約を行う場合、空いている座席を見つけてから携帯端末40で座席予約メニューを選択すると、座席番号と着席を希望する区間の駅名(乗車駅と降車駅)等を入力する座席予約画面が携帯端末40の表示部に表示される。
【0045】
この座席予約画面で乗客が駅名を入力して送信ボタンを操作すると、携帯端末40は、入力された情報とビーコン14’から受信した車両IDを、WiFiルータ16を介して乗客車両間I/Fサーバ33へ送信する。そして、乗客車両間I/Fサーバ33が受信した車両IDを列車番号に変換することによって、それ以降は
図3と同様な手順に従って座席予約を実行することができる。
また、本変形例を適用する場合、車両IDを列車番号に変換する機能を移動支援アプリ対応サーバ34に持たせることによって、
図1に示すシステムにおける乗客車両間I/Fサーバ33を省略した構成も可能である。
【0046】
なお、座席番号を乗客が入力する代わりに、各座席に2次元バーコードを付記しておいて、それを携帯端末40で読み込ませることで座席番号の入力を省略したり、2次元バーコードの読込みで移動支援アプリが立ち上がり、ビーコン14’からの車両IDを受信したりするように構成しても良い。また、携帯端末40から乗客が座席予約の要求を行う際に、携帯端末40の位置情報を付加して送信し、要求を受けたサーバは携帯端末40の位置と列車の位置を確認して一致する場合に予約を許可するように構成しても良い。
【0047】
図6には、前記実施例の列車内座席の管理システムの第2の変形例が示されている。
第2の変形例は、自動運転制御機能を有していない列車の座席予約を可能にするもので、車上システム10は、
図5に示す車上システム10からATO車上サーバ11とATO通信用移動局13BおよびATO車上装置を除いた構成を有している。
図6のシステムと
図1に示す実施例のシステムとの差異は、
図6のシステムにはATO地上サーバ21および閉域網無線ネットワークNW3と無線基地局BS2がなく代わりに列車の在線位置を追跡する在線管理サーバ28が設けられている点にある。
【0048】
在線管理サーバ28は、列車無線ネットワークNW1を介して列車無線によって各列車から得られる列車IDおよび位置情報に基づいて、列車IDと在線位置とを紐付けて記憶することで、各列車の在線位置を追跡する機能を有している。地上子を介して列車から得られる列車IDと、駅保安システム等から取得された在線位置情報とを紐付けて記憶するように、在線管理サーバ28を構成しても良い。
本変形例のシステムにおいては、
図3に示すフローチャートにおいて、ATO地上サーバ21の処理を在線管理サーバ28の処理に置き換えることによって、乗客の携帯端末40からの座席予約と乗務員端末11による座席予約を行うことができる。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形や変更が可能である。例えば、上記実施形態では、予約決済管理サーバ25は、クレジットカード会社が管理するカード決済サーバ37に接続され、クレジットカードによる料金の決裁処理を行うと説明したが、カード決済サーバ37には、スマートホンを用いた料金の支払いを代行するモバイル決済サーバやプリペードカードのチャージや料金の引き落としの処理を行う交通系カードの決済サーバが含まれていても良い。
【0050】
また、前記実施形態では、車両IDを列車番号に変換する機能を有する乗客車両間I/Fサーバ33を設けたものについて説明したが、車両IDを列車番号に変換する機能を移動支援アプリ対応サーバ34に持たせて、乗客車両間I/Fサーバ33を設けない構成のシステムとすることも可能である。
また、前記実施形態では、予約決済管理サーバ25と列車在庫管理装置26とを別個の装置として設けているが、それぞれの装置の機能を一つの管理装置に持たせるように構成しても良い。
【符号の説明】
【0051】
10 車上システム
11 乗務員端末
12 ATO車上サーバ(自動運転用車上サーバ)
13A 列車無線用移動局
13B ATO通信用移動局
14 ビーコン(送信器)
20 列車運行系システム
21 ATO地上サーバ(在線位置管理用サーバ)
22 運行管理装置
23 駅窓口端末
24 車内端末管理サーバ
25 予約決済管理サーバ(座席管理装置)
26 列車在庫管理装置
28 在線管理サーバ(在線位置管理用サーバ)
30 系外ネットワークシステム
31 インターネット
32 公衆無線ネットワーク
33 乗客車両間インターフェイスサーバ(予約要求受付け用サーバ)
34 移動支援アプリ対応サーバ
37 カード決済サーバ
NW1 列車無線ネットワーク
NW2 事業用閉域ネットワーク
NW3 閉域網無線ネットワーク