(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/192 20060101AFI20240722BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240722BHJP
A61K 31/17 20060101ALI20240722BHJP
A61K 31/522 20060101ALI20240722BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240722BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240722BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20240722BHJP
A61P 25/26 20060101ALI20240722BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240722BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
A61K31/192
A61K9/20
A61K31/17
A61K31/522
A61K47/02
A61K47/38
A61P25/20
A61P25/26
A61P29/00
A61P43/00 121
(21)【出願番号】P 2017209096
(22)【出願日】2017-10-30
【審査請求日】2020-09-02
【審判番号】
【審判請求日】2022-05-26
(31)【優先権主張番号】P 2016213327
(32)【優先日】2016-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000102496
【氏名又は名称】エスエス製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000590
【氏名又は名称】弁理士法人 小野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金丸 喜彦
(72)【発明者】
【氏名】宮台 信男
(72)【発明者】
【氏名】岡田 実
(72)【発明者】
【氏名】吉村 理
【合議体】
【審判長】前田 佳与子
【審判官】石井 徹
【審判官】吉田 佳代子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-201876(JP,A)
【文献】国際公開第2008/120765(WO,A1)
【文献】特表昭59-501459(JP,A)
【文献】特開2011-46666(JP,A)
【文献】特開平11-139971(JP,A)
【文献】特開2010-270019(JP,A)
【文献】特開2013-151485(JP,A)
【文献】薬理と治療,1977年,Vol.5,No.10,pp.69-76
【文献】CAPLUS on STN,1984年,AN1979:180248
【文献】薬の成分ディクショナリー,2015年,URL:https://web.archive.org/web/20151128131046/https://www.ssp.co.jp/dictionary/allyl-isopropyl-acetyl-urea/
【文献】「トレンド 「プラバスタチン、ラベプラゾールをOTC薬に」」,日経メディカル オンライン,2008年11月4日
【文献】「CQ I-14.市販薬による薬物療法をどのように計画するか」,慢性頭痛の診療ガイドライン2013,2013年5月15日,2013年版第1刷,p.39~41
【文献】「解熱鎮痛薬の製造販売承認基準について」,薬食発0325第30号,平成27年3月25日
【文献】「患者の訴えから考えるOTCセレクトガイド 第18回 頭痛」,NIKKEI Drug Information,2013年3月,p.068~072
【文献】「OTC BRAND PickUp」,NIKKEI Drug Information,2010年5月,p.060~064
【文献】「アダムA錠」,添付文書,2010年10月13日
【文献】「つらい頭痛に、“速さ、効きめ、やさしさ”を同時に追求 「ロキソニンSプレミアム」を新発売 発売日:2016年4月11日(月)」,第一三共ヘルスケア株式会社,2016年3月30日
【文献】「口腔内速崩壊錠の製剤設計 ―崩壊剤のスクリーニング―」,平成21年度三重県工業研究所研究報告No.34(2010),2010年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K31/00-33/44
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナプロキセン又はその薬学的に許容される塩、安息香酸ナトリウムカフェイン、カフェイン及び無水カフェインから選ばれる一種以上の化合物並びにアリルイソプロピルアセチル尿素のみを医薬成分として含有する鎮痛用医薬組成物(但し、ソーマチンを含有するものを除く)。
【請求項2】
さらにセルロース系水膨潤性高分子を含有する請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
セルロース系水膨潤性高分子が、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロース、結晶セルロース、アルファー化デンプンおよびカルボキシメチルスターチナトリウムよりなる群から選ばれたものである請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
内服固形製剤である請求項1~3何れかに記載の医薬組成物。
【請求項5】
ナプロキセン又はその薬学的に許容される塩、安息香酸ナトリウムカフェイン、カフェイン及び無水カフェインから選ばれる一種以上の化合物、アリルイソプロピルアセチル尿素並びに塩基性成分のみを医薬成分として含有する鎮痛用医薬組成物であって、前記塩基性成分が、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、ジヒドロキシアルミニウム・アミノ酢酸塩(アルミニウムグリシネート)、水酸化アルミニウムゲル、乾燥水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム混合乾燥ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウムの共沈生成物、水酸化アルミニウム・炭酸カルシウム・炭酸マグネシウムの共沈生成物、水酸化マグネシウム・硫酸アルミニウムカリウムの共沈生成物、炭酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、水酸化アルミナマグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、沈降炭酸カルシウム、無水リン酸水素カルシウムおよびリン酸水素カルシウムよりなる群から選ばれた化合物である
鎮痛用医薬組成物
(但し、ソーマチンを含有するものを除く)。
【請求項6】
さらにセルロース系水膨潤性高分子を含有する請求項
5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
セルロース系水膨潤性高分子が、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロース、結晶セルロース、アルファー化デンプンおよびカルボキシメチルスターチナトリウムよりなる群から選ばれたものである請求項
6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
内服固形製剤である請求項
5~
7の何れかに記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬組成物に関し、更に詳細には、OTC医薬品(一般用医薬品)として、従来のものに比べ、抗炎症作用、鎮痛作用及び解熱作用が一層向上し、取り扱いが容易で、自分自身で健康管理を行い、軽い病気の症状緩和などに活用しやすくセルフメディケーションに適すると共に、流通時にも取り扱いが容易で、安全性や安定性に優れた、ナプロキセンを含有する医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ナプロキセンは、プロピオン酸系の非ステロイド性解熱鎮痛消炎剤であり、発熱や炎症を引き起こす原因となるプロスタグランジンの生合成を抑制することによって、消炎、鎮痛、解熱作用を有する。
【0003】
そして、ナプロキセンは、上記のような薬理作用を有するが、さらに、ナプロキセン自体の有する薬効を高める試みがなされている。例えば、ナプロキセンと亜鉛の錯体(ナプロキセン‐亜鉛錯体)は、ナプロキセンの抗炎症効果が高まることが報告されている(特許文献1)。
【0004】
しかしながら、このナプロキセン‐亜鉛錯体を得るためには、まず、水性溶媒中でナプロキセンと亜鉛とを反応させ、次に、得られた沈殿物を洗浄して乾燥させるため、製造工程において手間がかかるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明は、簡単な手段によって、ナプロキセンの有する解熱鎮痛消炎効果をより高めた医薬組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行っていたところ、ナプロキセン又はその薬学的に許容される塩と、特定の医薬成分とを組み合わせることにより、ナプロキセンの解熱鎮痛消炎効果が増強され、より効果の高い医薬組成物が得られることを見出した。特に、ナプロキセンと上記医薬成分に、更に塩基性成分を配合することにより、経口投与の初期段階から優れた解熱鎮痛消炎効果が得られ、早く良く効く医薬組成物が得られることを見出した。また、このものに、更にセルロース系水膨潤性高分子を配合することにより、固形剤とした場合であっても、崩壊性の良い即効性のある医薬組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、ナプロキセン又はその薬学的に許容される塩と、中枢神経興奮薬、鎮静剤、胃粘膜保護薬、鎮痙剤、筋弛緩薬及び片頭痛薬から選ばれる医薬成分とを含有する医薬組成物である。
【0009】
また、本発明は、さらに塩基性成分を含有する上記医薬組成物である。
【0010】
更に、本発明は、さらにセルロース系水膨潤性高分子を含有する上記医薬組成物である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の医薬組成物は、ナプロキセン又はその薬学的に許容される塩と、中枢神経興奮薬、鎮静剤、胃粘膜保護薬、鎮痙剤、筋弛緩薬及び片頭痛薬から選ばれる医薬成分とを組み合わせることにより、ナプロキセンの有する解熱鎮痛消炎効果を高めたものである。
【0012】
また、さらに塩基性成分を配合した本発明の医薬組成物は、経口投与の初期段階からナプロキセンの優れた解熱鎮痛消炎作用が得られたものである。さらにセルロース系水膨潤性高分子を配合した本発明の医薬組成物は、固形剤とした場合であっても、経口投与時の口腔内等での崩壊性が高まり、より速やかな薬効を得ることができたものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】鎮痛作用増強試験の結果を示した図面である。Aは1日目の結果を、Bは2日目の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の医薬組成物は、ナプロキセン又はその薬学的に許容される塩と、中枢神経興奮薬、鎮静剤、胃粘膜保護薬、鎮痙剤、筋弛緩薬及び片頭痛薬から選ばれる医薬成分を含有するものである。
【0015】
本発明の医薬組成物に用いられるナプロキセンは、その化学名が、(2S)-2-(6-メトキシナフタレン-2-イル)プロパン酸((2S)-2-(6-Methoxynaphthalen-2-yl)propanoic acid)であり、分子式がC14H14O3で、その分子量は230.26である。ナプロキセンは、プロピオン酸系の非ステロイド性消炎鎮痛剤としてすでに公知の消炎鎮痛剤であり、関節リウマチ、変形性関節症、痛風発作、強直性脊椎炎、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、腱・腱鞘炎、月経困難症、帯状疱疹の疾患の消炎、鎮痛、解熱や、外傷後並びに手術後の消炎、鎮痛、歯科・口腔外科領域における抜歯並びに小手術後の消炎、鎮痛などを目的として広く使用されているものである。
【0016】
本発明の医薬組成物におけるナプロキセンの薬学的に許容される塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、メグルミン塩、トリス塩、塩基性アミノ酸の塩等が挙げられる。
【0017】
本発明の医薬組成物におけるナプロキセン又は薬学的に許容される塩(以下、単に「ナプロキセン」ともいう)の配合量は、服用者の性別、年齢、症状等によって適宜決定すればよい。例えば、OTC医薬品としての有効性及び安全性の為、成人1日当たりの服用量として、通常10~1200mg、好ましくは15~900mg、より好ましくは20~600mgとなるように本発明の医薬組成物中に配合することが好ましい。また、本発明の医薬組成物の全質量に対するナプロキセンの含有量は、例えば、1~99質量%(以下、「%」という)が好ましく、5~95%がより好ましい。
【0018】
一方、本発明の医薬組成物においては、上記ナプロキセンに加えて、中枢神経興奮薬、鎮静剤、胃粘膜保護薬、鎮痙剤、筋弛緩薬及び片頭痛薬から選ばれる医薬成分の一種以上を配合する。
【0019】
このうち、中枢神経興奮薬としては、例えば、安息香酸ナトリウムカフェイン、カフェイン、無水カフェイン等が挙げられ、これらを単独で又はニ種以上組み合わせて使用することができる。これらの中でも、カフェイン及び無水カフェンが好ましい。
【0020】
上記中枢神経興奮薬の配合量としては、中枢神経興奮薬の種類によって異なるが、成人に対する1日服用量として15~1200mg程度、好ましくは50~300mg程度となるように本発明の医薬組成物中に配合することが好ましい。また、各中枢神経興奮薬の1日あたりの服用量として、カフェインと無水カフェインは、50~250mgとなるように本発明の医薬組成物中に配合することが好ましい。
【0021】
また、本発明の医薬組成物で用いられる鎮静剤としては、例えば、アリルイソプロピルアセチル尿素、ブロモバレリル尿素等が挙げられ、これらを単独で又はニ種組み合わせて使用することができる。
【0022】
鎮静剤の配合量としては、鎮静剤の種類によって異なるが、成人に対する1日服用量として15~1200mg程度、好ましくは30~600mg程度となるように本発明の医薬組成物中に配合することが好ましい。また、各鎮静剤の1日あたりの服用量として、アリルイソプロピルアセチル尿素は、30~180mg、ブロモバレリル尿素は、100~600mgとなるように本発明の医薬組成物中に配合することが好ましい。
【0023】
さらに、本発明の医薬組成物で用いられる胃粘膜保護薬としては、例えば、テプレノン、アルジオキサ、スクラルファート、セトラキサート、アズレン、レバミピド等が挙げられ、これらを単独で又はニ種以上組み合わせて使用することができる。これらの中でも、テプレノン及びアズレンが好ましい。
【0024】
胃粘膜保護薬の配合量としては、胃粘膜保護薬の種類によって異なるが、成人に対する1日服用量として0.5~3600mg程度、好ましくは1~1200mg程度となるように本発明の医薬組成物中に配合することが好ましい。また、各胃粘膜保護薬の配合量として、テプレノンは、15~150mg、アズレン(スルホン酸ナトリウムとして)は、0.5~6mgとなるように本発明の医薬組成物中に配合することが好ましい。
【0025】
また、さらに、本発明の医薬組成物で用いられる鎮痙剤としては、例えば、ブチルスコポラミン又はその塩、臭化チメピジウム、パパベリン塩酸塩、アミノ安息香酸エチル、ロートエキス等が挙げられ、これらを単独で又はニ種以上組み合わせて使用することができる。これらの中でも、ブチルスコポラミン又はその塩及びロートエキスが好ましい。
【0026】
鎮痙剤の配合量としては、鎮痙剤の種類によって異なるが、成人に対する1日服用量として0.5~600mg程度、好ましくは1~400mg程度となるように本発明の医薬組成物中に配合することが好ましい。また、各鎮痙剤の配合量として、ブチルスコポラミン(臭化物として)は、1~100mg、ロートエキスは、3~90mgとなるように本発明の医薬組成物中に配合することが好ましい。
【0027】
本発明の医薬組成物で用いられる筋弛緩薬としては、例えば、メトカルバモール、トルペリゾン、クロルゾキサゾン、プリジノールメシル酸塩、クロルフェネシンカルバミン酸エステル、エペリゾン塩酸塩、アフロクアロン、チザニジン、バクロフェン等が挙げられ、これらを単独で又はニ種以上組み合わせて使用することができる。これらの中でも、メトカルバモール及びエペリゾン塩酸塩が好ましい。
【0028】
筋弛緩薬の配合量としては、筋弛緩薬の種類によって異なるが、成人に対する1日服用量として0.05~2000mg程度、好ましくは0.1~1500mg程度となるように本発明の医薬組成物中に配合することが好ましい。また、各筋弛緩薬の配合量として、メトカルバモールは、50~1500mg、エペリゾン塩酸塩は、5~150mgとなるように本発明の医薬組成物中に配合することが好ましい。
【0029】
本発明の医薬組成物で用いられる片頭痛薬としては、例えば、ゾルミトリプタン、スマトリプタン、ナラトリプタン、リザトリプタン、エレトリプタン、塩酸ロメリジン、ジメトチアジンメシル酸塩、ジヒドロエルゴタミン等が挙げられ、これらを単独で又はニ種以上組み合わせて使用することができる。これらの中でも、ゾルミトリプタン及びスマトリプタンが好ましい。
【0030】
片頭痛薬の配合量としては、片頭痛薬の種類によって異なるが、成人に対する1日服用量として0.05mg~40g程度、好ましくは0.1mg~25g程度となるように本発明の医薬組成物中に配合することが好ましい。また、各片頭痛薬の配合量として、ゾルミトリプタンは、0.25~10mg、スマトリプタンは、5~200mgとなるように本発明の医薬組成物中に配合することが好ましい。
【0031】
本発明の医薬組成物においては、上記した各医薬成分の他、必要に応じて製剤成分や、上記以外の他の医薬成分を配合してもよい。
【0032】
製剤成分としては、胃酸を中和する制酸剤としても知られる塩基性成分を本発明の医薬組成物中に配合することができ、これによりナプロキセンの消炎鎮痛効果の立ち上がりを早めることができる。
【0033】
このような塩基性成分の例としては、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、ジヒドロキシアルミニウム・アミノ酢酸塩(アルミニウムグリシネート)、水酸化アルミニウムゲル、乾燥水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム混合乾燥ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウムの共沈生成物、水酸化アルミニウム・炭酸カルシウム・炭酸マグネシウムの共沈生成物、水酸化マグネシウム・硫酸アルミニウムカリウムの共沈生成物、炭酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、水酸化アルミナマグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、沈降炭酸カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム等が挙げられる。これらは、単独でまたはニ種以上を組み合わせて使用することができる。
【0034】
上記の塩基性成分は、その種類によっても異なるが、成人に対する1日服用量として10~5000mg、さらに好ましくは16~4000mgとなるように本発明の医薬組成物中に配合することが好ましい。
【0035】
より詳細には、各塩基性成分の成人1日当たりの服用量として、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウムの共沈生成物は、30~900mg、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム及び水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム混合乾燥ゲルは、100~3000mg、合成ヒドロタルサイトは、133~4000mg、酸化マグネシウムは、16~500mg、ジヒドロキシアルミニウム・アミノ酢酸塩、水酸化アルミニウム・炭酸カルシウム・炭酸マグネシウムの共沈生成物、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、沈降炭酸カルシウム、及び、リン酸水素カルシウムは、50~1500mg、水酸化アルミニウムゲル及び乾燥水酸化アルミニウムゲルは、乾燥水酸化アルミニウムゲルとして33~1000mg、水酸化マグネシウム・硫酸アルミニウムカリウムの共沈生成物は、60~1800mg、炭酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム及び水酸化アルミナマグネシウムは、66~2000mg、水酸化マグネシウム及び無水リン酸水素カルシウムは、40~1200mg、炭酸水素ナトリウムは83~2500mgとなるよう本発明の医薬組成物中に配合することが好ましい。
【0036】
このうち、より好ましいものとしては、二価あるいは三価の金属を含有する無機化合物が挙げられ、その具体例としては、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート、(乾燥)水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウム共沈物、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム混合乾燥ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム・炭酸カルシウム共沈物、水酸化マグネシウム・硫酸アルミニウムカリウムの共沈生成物、炭酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等を挙げることができる。
【0037】
また、前記製剤成分として、セルロース系水膨潤性高分子を本発明の医薬組成物中に配合することが望ましい。セルロース系水膨潤性高分子を配合することにより、本発明の医薬組成物を錠剤、カプセル剤、顆粒剤等の内服固形製剤とした際に、経口投与時の口腔内等での崩壊性や溶解性を高めることができる。
【0038】
このセルロース系水膨潤性高分子は、水と接触した際に膨潤し、製剤の崩壊を促進するものである。好ましいセルロース系水膨潤性高分子の例としては、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロース、結晶セルロース、アルファー化デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム等が挙げられる。これらは、単独で又はニ種以上組み合わせて使用することができる。
【0039】
これらのセルロース系水膨潤性高分子のうち、好ましいものとしては、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、結晶セルロース等を挙げることができる。
【0040】
セルロース系水膨潤性高分子として低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを用いる場合は、優れた形状および粒子径の経口固形組成物に加工しやすいという製造性の面からヒドロキシプロポキシ基が5.0~16.0 質量%であるものが好ましく、さらに7.0~13.0質量%であるものが好ましい。このような低置換度ヒドロキシプロピルセルロースとしては、例えば、信越化学(株)製、LH-31(ヒドロキシプロポキシ基10.0~12.9質量%)、NBD-022(ヒドロキシプロポキシ基7.0~9.9質量% ) が挙げられる。さらに、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの平均粒径はおよそ60μm以下が好ましく、55μm以下がより好ましい。
【0041】
また、セルロース系水膨潤性高分子として用いられるカルメロースカルシウムとしては、例えば、E.C.G-505(五徳薬品)が挙げられる。
【0042】
さらに、セルロース系水膨潤性高分子として用いられるクロスカルメロースナトリウムは白色から帯黄白色の粉末である。このようなクロスカルメロースナトリウムとしては、例えば、キッコレート(旭化成ケミカルズ)が挙げられる。
【0043】
また、さらに、セルロース系水膨潤性高分子として結晶セルロースを使用する場合、これには様々なグレードがあるが、粉体の嵩密度が0.10~0.55g/cm3、平均粒子径が20~300μmを示す高成形性の結晶セルロースを使用することが好ましい。より好ましくは嵩密度が0.10~0.43g/ml、平均粒子径が20~170μmである。市販品としては、例えば、セオラスKG-1000、セオラスUF-711、セオラスKG-802(商品名)(旭化成ケミカルズ)などが使用できる。
【0044】
上記セルロース系水膨潤性高分子の配合量は、製剤中、1~99%程度、好ましくは、5~85%である。
【0045】
一方、本発明の医薬組成物に任意に配合されうる他の医薬成分の例としては、ナプロキセンまたはその薬学的に許容される塩以外の他の抗炎症・解熱・鎮痛薬、生薬、ビタミン類、ムコ多糖類等を挙げることができる。
【0046】
ナプロキセンまたはその薬学的に許容される塩以外の他抗炎症・解熱・鎮痛薬としては、例えば、アセトアミノフェン、ラクチルフェネチジン、アスピリン、アスピリンアルミニウム、エテンザミド、サザピリン、サリチルアミド、サリチル酸ナトリウム、イソプロピルアンチピリン、イブプロフェン、アルミノプロフェン、ロキソプロフェン、トラネキサム酸等が挙げられる。これらの中枢神経興奮薬は、単独で又はニ種以上組み合わせて使用することができる。
【0047】
上記ナプロキセンまたはその薬学的に許容される塩以外の他抗炎症・解熱・鎮痛薬の配合量は、抗炎症・解熱・鎮痛薬の種類によって異なるが、成人に対する1日服用量として3~4500mg程度、好ましくは6~3000mg程度となるように本発明の医薬組成物中に配合することが好ましい。より詳細には、成人1日当たりの投与量として、アセトアミノフェンは30~1500mg、ラクチルフェネチジンは20~600mg、アスピリンは75~1500mg、アスピリンアルミニウムは100~2000mg、エテンザミドは50~1500mg、サザピリンは100~3000mg、サリチルアミドは100~3000mg、サリチル酸ナトリウムは100~3000mg、イソプロピルアンチピリンは15~450mg、イブプロフェンは15~600mg、アルミノプロフェンは20~600mg、ロキソプロフェンは(無水物として)6~180mg、トラネキサム酸は10~750mgとなるように本発明の医薬組成物中に配合することが好ましい。
【0048】
また、上記生薬としては、例えば、地竜、カンゾウ、ケイヒ、シャクヤク、ボタンピ、カノコソウ、サンシュウ、ショウキョウ、チンピ等が挙げられる。これらの生薬は、単独で又はニ種以上組み合わせて使用することができる。
【0049】
生薬の配合量は、生薬の種類によって異なるが、成人に対する1日服用量として原生薬換算量で0.05~9g程度となるように本発明の医薬組成物中に配合することが好ましい。より詳細には、原生薬換算量の1日服用量で、地竜は、0.2~4.5g、好ましくは0.4~3gであり、カンゾウは、0.05~7.5g、好ましくは0.1~5gであり、ケイヒは、0.1~7.5g、好ましくは0.2~5gであり、シャクヤクは、0.2~7.5g、好ましくは0.4~5gであり、ボタンピは、0.2~9g、好ましくは0.4~6gであり、カノコソウは、0.2~9g、好ましくは0.4~6gであり、サンシュユは、0.1~3g、好ましくは0.2~2gであり、ショウキョウは、0.05~4.5g、好ましくは0.1~3gであり、チンピは、0.15~7.5、好ましくは0.3~5gとなるように本発明の医薬組成物中に配合することが好ましい。
【0050】
さらに、ビタミン類としては、例えば、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC、ヘスペリジン等が挙げられ、これらのビタミン類は誘導体やその塩類であってもよい。具体的には、ビタミンB1及びその誘導体並びにそれらの塩類としては、チアミン、チアミン塩化物塩酸塩、チアミン硝酸塩、チアミンジスルフィド硝化物、チアミンジスルフィド、チアミンジセチル硫酸エステル塩、ジセチアミン塩酸塩水和物、フルスルチアミン塩酸塩、フルスルチアミン、オクトチアミン、シコチアミン、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、プロスルチアミン、ベンフォチアミン、コカルボキシラーゼ、ジベンゾイルチアミン等を挙げることができる。また、ビタミンB2及びその誘導体並びにそれらの塩類としては、リボフラビン、リボフラビン酪酸エステル、リン酸リボフラビンナトリウム、フラビンアデニンジヌクレオチド等を挙げることができる。さらに、ビタミンC及びその誘導体並びにそれらの塩類としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸金属塩(アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸マグネシウム、アスコルビン酸アルミニウムなど)等を挙げることができる。また、さらに、ヘスペリジン及びその誘導体並びにそれらの塩類としては、ヘスペリジン、αGヘスペリジン等を挙げることができる。これらのビタミン類は、単独で又はニ種以上組み合わせて使用することができる。
【0051】
これらビタミン類の配合量は、その種類によって異なるが、成人に対する1日服用量として0.1~3000mg程度、好ましくは1~2000mg程度となるように本発明の医薬組成物中に配合すれば良い。より詳細には、ビタミンB1は、成人に対する1日服用量として0.1~100mg、好ましくは0.5~50mg、さらに好ましくは1~25mgとなるように本発明組成物中に配合することが好ましい。また、B2は、成人に対する1日服用量として0.1~45mg、好ましくは1~30mg、さらに好ましくは2~12mgとなるように本発明組成物中に配合することが好ましい。さらに、ビタミンCは、成人に対する1日服用量として5~2000mg、好ましくは25~1000mg、さらに好ましくは50~500mgとなるように本発明組成物中に配合することが好ましい。また、さらに、ヘスペリジンは、成人に対する1日服用量として1~270mg、好ましくは9~180mg、さらに好ましくは18~90mgとなるように本発明組成物中に配合することが好ましい。
【0052】
前記ムコ多糖類としては、例えば、グルコサミン、コンドロイチン等が挙げられる。これらのムコ多糖類は、単独で又はニ種以上組み合わせて使用することができる。また、ムコ多糖類の配合量としては、ムコ多糖類の種類によって異なるが、成人に対する1日服用量として0.01mg~40程度g、さらに好ましくは0.1mg~25程度となるように本発明組成物中にに配合することが好ましい。各ムコ多糖類の配合量としては、グルコサミン(塩酸グルコサミンとして)は、10~1000mg、コンドロイチン(コンドロイチン硫酸ナトリウムとして)20~900mgとなるように本発明組成物中に配合するのが好ましい。
【0053】
また、本発明の医薬組成物には、塩基性成分として説明した胃酸を中和するタイプの制酸剤の他、胃酸の分泌を抑える制酸剤を添加しても良い。
【0054】
胃酸の分泌を抑える制酸剤の例としては、例えば、オメプラゾール、ランソプラゾール、ラべプラゾールナトリウム、エソメプラゾール、ファモチジン、ラニチジン、シメチジン、ロキサチジン、ニザチジン、ラフチジン、ピレンゼピン、チキジウム、プログルミ等が挙げられる。
【0055】
これらの胃酸分泌抑制タイプの制酸剤は、一種またはニ種以上を使用しても良く、その配合量は、制酸剤の種類によって異なるが、成人に対する1日服用量として2~1600mg、さらに5~1200mgとなるように本発明組成物中に配合することが好ましい。
【0056】
より詳細には、1日服用量が、オメプラゾールは、5~20mg、ランソプラゾールは、7.5~30mg、ラベプラゾールナトリウムは、5~20mg、エソメプラゾール(マグネシウム水和物として)は、5~20mg、ファモチジンは、10~40mg、ラニチジン(塩酸塩として)は、75~300mg、シメチジンは、200~800mg、ロキサチジン(酢酸エステル塩酸塩として)は、30~150mg、ニザチジンは、75~300mg、ラフチジンは、5~20mg、ピレンゼピン(塩酸塩水和物として)は、30~100mg、チキキジウム(水和物として)は、5~30mg、プログルミドは、300~1600mgとなるよう本発明組成物中に配合することが好ましい。
【0057】
本発明の医薬組成物は、ナプロキセン、中枢神経興奮薬、鎮静剤、胃粘膜保護薬、鎮痙剤、筋弛緩薬及び片頭痛薬から選ばれる医薬成分、必要に応じて上記した各種製剤成分や他の医薬成分および製剤分野で一般的に使用される製剤添加剤を組み合わせ、公知の方法で製剤化することにより調製される。
【0058】
使用される製剤添加剤の例としては、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤の他、各種担体、安定(化)剤、界面活性剤、可塑剤、滑沢化剤、可溶(化)剤、還元剤、緩衝剤、甘味剤、基剤、吸着剤、矯味剤、懸濁(化)剤、抗酸化剤、光沢化剤、コーティング剤、剤皮、湿潤剤、湿潤調整剤、充填剤、消泡剤、清涼化剤、着色剤、着香剤、香料、糖衣剤、等張化剤、軟化剤、乳化剤、粘稠化剤、粘稠剤、発泡剤、pH調整剤、稀釈剤、分散剤、崩壊補助剤、崩壊延長剤、芳香剤、防湿剤、防腐剤、保存剤、溶解剤、溶解補助剤、溶剤、流動化剤、帯電防止剤、増量剤、保湿剤、付湿剤等の製剤添加剤を挙げることができる。これらの添加剤の具体例は、薬食発1204第1号(薬事行政法令)、医薬品添加物事典2016(日本医薬品添加剤協会編集、薬事日報社)及び第8版食品添加物公定書(日本食品添加物協会)に記載されている。
【0059】
本発明の医薬組成物は、錠剤の他、カプレット、硬カプセル剤、軟カプセル剤、口腔内崩壊錠、チュアブル錠、トローチ剤、発泡錠、細粒剤、顆粒剤、散剤、ドライシロップ剤などの内服固形製剤や経口液剤、シロップ剤の剤形のものとして提供される。また、必要に応じてフィルムコーティングや糖衣を施し、上記製剤のコーティング製剤とすることもできる。これらの剤型には、通常行われている製剤化方法(津田恭介・上野寿著、「医薬品開発基礎講座XI 薬剤製造法(上)(下)」、地人書館、1971年発行;仲井由宣著、「製剤工学ハンドブック」、地人書館、1983年発行;仲井由宣著、「医薬品の開発11 製剤の単位操作と機械」、廣川書店、1989年発行;橋田充著、「経口投与製剤の設計と評価」、薬業時報社、1995年発行;橋田充著、「経口投与製剤の処方設計」、薬業時報社、1995年発行)により製造することができる。また、マイクロカプセル、ナノカプセル、マイクロスフィアー、ナノスフィアー、リポゾーム等の微小粒子を用いてもよい。
【0060】
更に、本発明の医薬組成物においては、所望により、有効成分の一部に徐放化処理を行い、1日2回或いは1日1回服用型の製剤とすることもできる。
【0061】
以上のようにして製造された本発明の医薬組成物は、ガラス瓶、プラスチックボトル、PTP包装、アルミヒートシール包装等の密閉容器に保存することでき、その際、必要に応じて、シリカゲル、活性炭などの乾燥剤を同封しても良い。
【0062】
かくして得られた本発明の医薬組成物は、通常、1日に2~3回に分け、3回を限度として、なるべく空腹時をさけて水又はぬるま湯で服用することが好ましい。2回に分ける場合、服用間隔は6時間以上とし、3回に分ける場合、間隔は4時間以上として服用する。
【実施例】
【0063】
以下、本発明について試験例、実施例、製剤例を示して具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら制約されるものではない。
【0064】
試 験 例 1
鎮痛作用増強試験:
ナプロキセンに無水カフェインを配合したもの(発明品1)及びナプロキセンに無水カフェインとアリルイソプロピルアセチル尿素を配合したもの(発明品2)の鎮痛作用の増強効果を、表1に記載の比較品1及び2との対比で調べた。試験は、各試料をモルヒネ退薬疼痛過敏モデルマウス(以下、「モデルマウス」という)に投与し、下記ホットプレート(Hot plate)法により疼痛反応の潜時を測定した。なお、モデルマウスは、マウスに飲水としてモルヒネ溶液を与え、モルヒネ処置開始日から15日目にモルヒネ処置を停止することで作成した。モルヒネ処置を停止した当日(1日目)と2日目のモデルマウスを用いて疼痛反応の潜時を測定した。
【0065】
【0066】
<ホットプレート法>
52℃に設定したホットプレート式鎮痛効果測定装置(HOTPLATE ANALGESIA METER MK-350D、室町機械株式会社製)にモデルマウスを置いた時に、装置の押しボタンを押し(またはフットスイッチを踏み)、潜時計測を開始した。モデルマウスが疼痛反応(足舐め、逃避行動)を示したら押しボタンを押し(またはフットスイッチを踏み)、表示された0.1秒単位の秒数を潜時(秒)とした。なお、モルヒネ停止日1日目については、表1に記載の試料を投与してから0.5、1、2及び4時間経過後に潜時を測定し、モルヒネ停止日2日目については、表1に記載の試料を投与してから0.5、1、2、4及び6時間経過後に潜時を測定した。
【0067】
次いで、試験前の潜時時間(秒)をゼロとした変化時間をプロットして、グラフを作成し、面積(潜時変化値-時間曲線下面積)を求めた。モルヒネ退薬により痛みに過敏になったモデルマウスは、試験前より短い時間で疼痛反応を示すので、潜時変化値-時間曲線下面積では、マイナスの面積が大きいほど、痛みを感じやすいことが表わされる。1日目の潜時変化値-時間曲線下面積を
図1の右側に、2日目のそれを
図1の左側に示す。
図1より、測定1日目は、ナプロキセンに無水カフェインを配合したもの(発明品1)及びナプロキセンに無水カフェインとアリルイソプロピルアセチル尿素を配合したもの(発明品2)が、ナプロキセン単体(比較品1)よりも著しい鎮痛効果を発揮し、特にナプロキセンに無水カフェインを配合した発明品1は、顕著な鎮痛効果が確認された。
【0068】
また、痛みに過敏な状況から抜け出した状態と思われる測定2日目においても、ナプロキセン単体(比較品1)よりもナプロキセンに無水カフェインを配合した発明品1及びナプロキセンに無水カフェインとアリルイソプロピルアセチル尿素を配合した発明品2のほうが、鎮痛効果が高いことが確認された。また、測定2日目では、発明品1よりも発明品2のほうが鎮痛効果に良かった。
【0069】
製 剤 例 1
( 錠剤 )
1錠当たり、以下の処方となるよう各成分を配合、混合し、これを常法に従って打錠して錠剤を製造した。
【0070】
【0071】
製 剤 例 2
( 顆粒剤 )
1包当たり、以下の処方となるよう各成分を配合、混合し、これを常法に従って混錬、乾燥により顆粒化して顆粒剤を製造した。
【0072】
【0073】
製 剤 例 3
( 錠剤 )
1錠当たり、以下の処方となるよう各成分を配合、混合し、これを常法に従って打錠し、錠剤を製造した。
【0074】
【0075】
製 剤 例 4
( 顆粒剤 )
1包当たり、以下の処方となるよう各成分を配合、混合し、これを常法に従って混錬、乾燥により顆粒化して顆粒剤を製造した。
【0076】
【0077】
製 剤 例 5
( 錠剤 )
1錠当たり、以下の処方となるよう各成分を配合、混合し、これを常法に従って、打錠し、素錠を得た。この素錠に、ヒプロメロースを1錠あたり10mgコーティングし、フィルムコーティング錠を製造した。
【0078】
【0079】
製 剤 例 6
( 錠剤 )
1錠当たり、以下の処方となるよう各成分を配合、混合し、常法に従って、打錠し、素錠を得た。この素錠に、ヒプロメロースを1錠あたり10mgコーティングし、フィルムコーティング錠を製造した。
【0080】
【0081】
製 剤 例 7
( 散剤 )
1包当たり、以下の処方になるよう常法に従って各成分を配合、混合し、散剤を製造した。
【0082】
【0083】
製 剤 例 8
( 硬カプセル剤 )
1カプセル当たり、以下の処方となるよう各成分を配合、混合し、常法に従って顆粒剤を得た。この顆粒剤を硬カプセルに充填し、硬カプセル剤を製造した。
【0084】
【0085】
製 剤 例 9
( 錠剤 )
1錠当たり、以下の処方となるよう各成分を配合、混合し、常法に従って、打錠して錠剤を製造した。
【0086】
【0087】
製 剤 例 10
( 顆粒剤 )
1包当たり、以下の処方となるよう各成分を配合、混合し、常法に従って、顆粒化して顆粒剤を製造した。
【0088】
【0089】
製 剤 例11
( 錠剤 )
1錠当たり、以下の処方となるよう各成分を配合、混合し、常法に従って打錠して、錠剤を製造した。
【0090】
【0091】
製 剤 例 12
( 錠剤 )
1錠当たり、以下の処方となるよう各成分を配合、混合し、常法に従って打錠し、素錠を得た。この素錠に、ヒプロメロースを1錠あたり10mgコーティングし、フィルムコーティング錠を製造した。
【0092】
【0093】
製 剤 例 13
( 錠剤 )
1錠当たり、以下の処方となるよう各成分を配合、混合し、常法に従って打錠して、錠剤を製造した。
【0094】
【0095】
製 剤 例 14
( 錠剤 )
1錠当たり、以下の処方となるよう各成分を配合、混合し、これを常法に従って打錠して錠剤を製造した。
【0096】
【0097】
製 剤 例 15
( 錠剤 )
1錠当たり、以下の処方となるよう各成分を配合、混合し、常法に従って、打錠し、素錠を得た。この素錠に、ヒプロメロースを1錠あたり10mgコーティングし、フィルムコーティング錠を製造した。
【0098】
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明の医薬組成物によれば、ナプロキセンと、中枢神経興奮薬、鎮静剤、胃粘膜保護薬、鎮痙剤、筋弛緩薬及び片頭痛薬から選ばれる医薬成分とを組み合わせて使用することにより、ナプロキセンの解熱鎮痛消炎効果をより高めることができる。特に、ナプロキセンと塩基性成分とを組み合わせた場合には、投与初期の時点からナプロキセンの優れた解熱鎮痛消炎効果が得られるものである。
【0100】
また、さらに水膨潤性高分子化合物を配合した内服固形製剤は、これを経口摂取した場合の口腔内等での崩壊性が高まり、より速やかな薬効を得ることができる。
【0101】
従って、本発明の医薬組成物はOTC用製剤として有利に使用できるものである。