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特許7523880積層造形システム、物品、および物品を製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】積層造形システム、物品、および物品を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   B28B 1/30 20060101AFI20240722BHJP
   B22F 3/105 20060101ALI20240722BHJP
   B22F 3/16 20060101ALI20240722BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20240722BHJP
   B29C 64/329 20170101ALI20240722BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240722BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240722BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20240722BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20240722BHJP
【FI】
B28B1/30
B22F3/105
B22F3/16
B29C64/153
B29C64/329
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y70/00
B33Y80/00
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018006054
(22)【出願日】2018-01-18
(65)【公開番号】P2018149798
(43)【公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-01-07
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-16
(31)【優先権主張番号】15/420,939
(32)【優先日】2017-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】スリカーンス・チャンドルドゥ・コッティリンガム
(72)【発明者】
【氏名】プラピョット・シン
【合議体】
【審判長】宮澤 尚之
【審判官】小野 久子
【審判官】増山 淳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-20422(JP,A)
【文献】特表2016-534234(JP,A)
【文献】特表2015-531321(JP,A)
【文献】特開2006-205456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28B1/30
B29C64/153
B29C64/329
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y70/00
B33Y80/00
B22F3/105
B22F3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品(200)を積層造形する方法であって、当該方法が、
第1の特徴解像度に相当する45μm以上の第1の平均粒子サイズを有する第1の粉末材料分級物(301)による複数の第1の層の3次元印刷によって前記物品(200)の第1の部分(210)を形成するステップであって、前記複数の第1の層が第1の平均層厚を有する、ステップと、
前記第1の特徴解像度よりも高い第2の特徴解像度に相当する25μm未満未満の第2の平均粒子サイズを有する第2の粉末材料分級物(302)による複数の第2の層の3次元印刷によって前記物品(200)の第2の部分(220)を形成するステップであって、前記第2の部分(220)が少なくとも1つの特徴(230)を含み、前記複数の第2の層が、前記第1の平均層厚よりも小さな第2の平均層厚を有する、ステップと
を含んでおり、
前記第1の粉末材料分級物(301)が第1のホッパ(501)に蓄えられ、かつ前記第2の粉末材料分級物(302)が第2のホッパ(502)に蓄えられており、
前記第1の部分(210)を形成するステップ及び前記第2の部分(220)を形成するステップが、粉末送出アセンブリ(401)によって、前記第1の粉末材料分級物(301)を前記第1のホッパ(501)から印刷プラットフォーム(407)に及び前記第2の粉末材料分級物(302)を前記第2のホッパ(502)から前記印刷プラットフォーム(407)に選択的に送出することを含んでおり、前記粉末送出アセンブリ(401)が、前記印刷プラットフォーム(407)上の粉末層の表面(406)全体に、前記第1の粉末材料分級物(301)又は前記第2の粉末材料分級物(302)を焼結又は溶融すべき新たな層として堆積及び分散させる少なくとも1つの粉末材料フィーダ(405)を含んでおり、
前記第1の平均層厚が少なくとも45μmであり、前記第2の平均層厚が25μm以下である、方法。
【請求項2】
前記第1の部分(210)を形成するステップ及び前記第2の部分(220)を形成するステップが、粉末層処理と、直接金属レーザ溶融、直接金属レーザ焼結、選択的レーザ溶融、選択的レーザ焼結、電子ビーム溶融及びそれらの組合せからなる群から選択される技術とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の部分(210)及び前記第2の部分(220)を前記3次元印刷により形成した後に機械加工を伴わずに前記物品(200)を提供することをさらに含む、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の粉末材料分級物(301)及び前記第2の粉末材料分級物(302)の各々が、高温超合金、ニッケル系超合金、コバルト系超合金及びそれらの組合せからなる群から選択される粉末材料である、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
3次元印刷システム(400)であって、当該3次元印刷システム(400)が、
印刷プラットフォーム(407)と、
第1の特徴解像度に相当する45μm以上の第1の平均粒子サイズを有する第1の粉末材料分級物(301)、又は第2の特徴解像度に相当する25μm未満未満の第2の平均粒子サイズを有する第2の粉末材料分級物(302)を前記印刷プラットフォーム(407)に制御可能かつ選択的に提供するように構成された粉末堆積アセンブリ(500)であって、前記第2の平均粒子サイズが前記第1の平均粒子サイズよりも小さい、粉末堆積アセンブリ(500)と、
前記印刷プラットフォーム(407)上の粉末材料に加熱エネルギーを供給するように構成された集束エネルギー源(310)と
を備えており、前記粉末堆積アセンブリ(500)が、
前記第1の平均粒子サイズを有する前記第1の粉末材料分級物(301)を蓄える第1のホッパ(501)と、
前記第2の平均粒子サイズを有する前記第2の粉末材料分級物(302)を蓄える第2のホッパ(502)と、
前記第1の粉末材料分級物(301)を前記第1のホッパ(501)から前記印刷プラットフォーム(407)に、又は前記第2の粉末材料分級物(302)を前記第2のホッパ(502)から前記印刷プラットフォーム(407)に選択的に送出する粉末送出アセンブリ(401)であって、該粉末送出アセンブリ(401)が、前記印刷プラットフォーム(407)上の粉末層の表面(406)全体に、前記第1の粉末材料分級物(301)又は前記第2の粉末材料分級物(302)を焼結又は溶融すべき新たな層として堆積及び分散させる少なくとも1つの粉末材料フィーダ(405)を含む、粉末送出アセンブリ(401)と
を備えており、
当該3次元印刷システム(400)が、前記第1の粉末材料分級物(301)及び前記第2の粉末材料分級物(302)から、
前記第1の特徴解像度に相当する前記第1の平均粒子サイズを有する前記第1の粉末材料分級物(301)による複数の第1の層を含む第1の部分(210)であって、前記複数の第1の層が第1の平均層厚を有する、第1の部分(210)と、
前記第1の特徴解像度よりも高い前記第2の特徴解像度に相当する前記第2の平均粒子サイズを有する第2の粉末材料分級物(302)による複数の第2の層を含む第2の部分(220)であって、前記第2の部分(220)が少なくとも1つの特徴(230)を含み、前記複数の第2の層が、前記第1の平均層厚よりも小さな第2の平均層厚を有する、第2の部分(220)と
を備える物品(200)を形成するように構成されており、前記第1の平均層厚が少なくとも45μmであり、前記第2の平均層厚が25μm以下である、3次元印刷システム(400)。
【請求項6】
前記3次元印刷システム(400)により形成される物品(200)のコンピュータモデルに基づいて前記加熱エネルギーを誘導する制御システム(505)をさらに備える、請求項5に記載の3次元印刷システム(400)。
【請求項7】
前記物品(200)が前記3次元印刷により形成した後の機械加工を伴っていない、請求項5又は請求項6に記載の3次元印刷システム(400)。
【請求項8】
前記第1の粉末材料分級物(301)及び前記第2の粉末材料分級物(302)の各々が、高温超合金、ニッケル系超合金、コバルト系超合金及びそれらの組合せからなる群から選択される粉末材料である、請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の3次元印刷システム(400)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、高い特徴忠実度を実現する、方法、システム、および物品を対象とする。より具体的に、本実施形態は、後の機械加工を伴わずに積層造形(additive manufacturing)により特徴忠実度の高い物品を実現する。
【背景技術】
【0002】
3次元(3D)印刷は、コンピュータ制御により材料の連続層を形成して3D構造体を作成することによって物品の作成を可能にする積層造形技術である。処理は、典型的に、粉末材料の層の一部を選択的に加熱して、従前に載置された層に対して粉末を溶融または焼結して、物品を層毎に形成することを含む。3D印刷によって、樹脂、セラミック、ガラス、および金属の粉末のそれぞれから樹脂、セラミック、ガラス、および金属製の物品を形成することができる。3Dプリンタが粉末材料を敷き、集束エネルギー源が、コンピュータ支援設計(CAD)ファイルによるモデルに基づいて予め定められた特定の位置で、その粉末材料を溶融または焼結する。加熱法としては、直接金属レーザ溶融(DMLM)、直接金属レーザ焼結(DMLS)、選択的レーザ溶融(SLM)、選択的レーザ焼結(SLS)、および電子ビーム溶融(EBM)が挙げられる。1つの層が溶融または焼結されて形成されると、3Dプリンタは、一度に1層ずつ、第1の層の上または別に指示された場所に材料の付加層を載置することによって、物品全体が製作されるまで処理を繰り返す。3D印刷は、粉末層処理または他の粉末処理法により実現することができる。
【0003】
金属3D印刷は、従来の鋳造技術で生成される最終用途金属物品よりもしばしば性能に優れた物品を製造者が作成することを可能にする。それらの物品は、最終用途のために備え付けられると、軽量、高強度、および精密な嵌め合いによってコストを削減し続ける。しかし、通常の物品製造では、3D印刷により形成された物品において、印刷による形成後に物品の機械加工を伴わずに高い特徴忠実度を実現するのは、不可能ではなくとも困難となることがある。+/-25μm(+/-1.0ミル)の範囲の許容誤差の特徴を有する金属物品の場合、通常、そのような高い特徴忠実度を金属3D印刷だけで実現するのは可能ではない。現在の下限は約76μm(3.0ミル)である。現在の通常の金属3Dプリンタでは、単一の粉末ホッパおよび単一の粉末分級物(cut)(粒子サイズ分布)が用いられる。DMLM用の通常の金属粉末分級物は、約30μm(約1.2ミル)の平均粒子サイズを有し、粒子サイズ分布が約10μm~約45μm(約0.4~約1.8ミル)の範囲である。そのような金属粉末分級物は、約50μm(2.0ミル)以上の形成層厚にとっては適当である。そのような形成層を用いて約76μm(3.0ミル)未満の許容誤差を実現するには、金属3D印刷後の機械加工工程が必要とされる。
【0004】
通常のセラミック粉末分級物は、従来の金属粉末分級物と同様の平均粒子サイズおよび粒子サイズ分布を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第9126167号明細書
【発明の概要】
【0006】
ある実施形態では、物品を積層造形する方法は、第1の特徴解像度に相当する第1の平均粒子サイズを有する第1の粉末材料分級物による複数の第1の層の3次元印刷によって物品の第1の部分を形成することを含む。第1の層は第1の平均層厚を有する。方法は、第1の特徴解像度よりも低い第2の特徴解像度に相当する第2の平均粒子サイズを有する第2の粉末材料分級物による複数の第2の層の3次元印刷によって物品の第2の部分を形成することも含む。第2の部分は少なくとも1つの特徴を含む。第2の層は、第1の平均層厚よりも小さな第2の平均層厚を有する。
【0007】
別の実施形態では、3次元印刷システムは、印刷プラットフォーム、粉末堆積アセンブリ、および集束エネルギー源を含む。粉末堆積アセンブリは、第1の特徴解像度に相当する第1の平均粒子サイズを有する第1の粉末材料分級物、または第2の特徴解像度に相当する第2の平均粒子サイズを有する第2の粉末材料分級物を印刷プラットフォームに制御可能かつ選択的に提供するように構成されている。第2の平均粒子サイズは、第1の平均粒子サイズよりも小さい。集束エネルギー源は、印刷プラットフォーム上の粉末材料に加熱エネルギーを供給するように構成されている。
【0008】
別の実施形態では、物品は、第1の特徴解像度に相当する第1の平均粒子サイズを有する第1の粉末材料分級物による複数の第1の層を含む第1の部分を含む。第1の層は第1の平均層厚を有する。物品は、第1の特徴解像度よりも低い第2の特徴解像度に相当する第2の平均粒子サイズを有する第2の粉末材料分級物による複数の第2の層を含む第2の部分も含む。第2の部分は少なくとも1つの特徴を含む。第2の層は、第1の平均層厚よりも小さな第2の平均層厚を有する。
【0009】
本発明の他の特徴および利点は、本発明の原理を例として示した添付の図面を伴って、以下のより詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施形態における3次元(3D)印刷システムの概略図である。
図2】本開示の実施形態における別の3D印刷システムの概略図である。
図3図1および図2の実施形態の印刷プラットフォーム、ホッパ、および粉末送出アセンブリを示す概略斜視図である。
図4図3の粉末送出アセンブリの概略斜視図である。
図5】本開示の実施形態における別の3D印刷システムの概略図である。
図6】本開示の実施形態における3D印刷される物品のモデルの概略図である。
図7】本開示の実施形態における図6のモデルと同様のモデルに基づいて3D金属印刷された物品の写真である。
図8図7の物品のうちの1つに形成された特徴を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
可能である場合、同じ部品を表すために図面を通して同じ参照数字を用いている。
【0012】
後の機械加工を伴わずに積層造形により高い特徴忠実度を実現する、方法、システム、および物品が提供される。
【0013】
本開示の実施形態は、例えば、本明細書に開示される特徴のうちの1つ以上を含まないコンセプトと比較して、より高い特徴忠実度を積層造形により実現すること、後の機械加工を伴わずに積層造形により高い特徴忠実度を実現すること、特徴忠実度の高い形成における機械加工を不要にすること、特徴忠実度の高い物品の形成のための製造時間を短縮すること、特徴忠実度の高い物品の製造コストを抑制すること、またはそれらの組合せを行う。
【0014】
本明細書で用いる場合、「高い忠実度」または「高い特徴忠実度」は、通常の3次元(3D)印刷された物品の許容誤差、例えば、金属の場合で約76μm(3.0ミル)、よりも小さな許容誤差を有する物品の特徴を指す。いくつかの実施形態では、忠実度の高い特徴は、70μm(2.8ミル)、代わりに65μm(2.6ミル)、代わりに60μm(2.4ミル)、代わりに55μm(2.2ミル)、代わりに50μm(2.0ミル)、代わりに45μm(1.8ミル)、代わりに40μm(1.6ミル)、代わりに35μm(1.4ミル)、代わりに30μm(1.2ミル)、代わりに25μm(1.0ミル)、代わりに20μm(0.8ミル)、またはそれらの間の任意の値の許容誤差を有する。
【0015】
いくつかの実施形態では、忠実度の高い特徴は、約25μm(約1.0ミル)、代わりに約20μm(約0.8ミル)、代わりに約15μm(約0.6ミル)、代わりに約10μm(約0.4ミル)、またはそれらの間の任意の値の平均粒子サイズを有する粉末分級物により形成される。
【0016】
いくつかの実施形態では、忠実度の高い特徴は、約10μm~約40μm(約0.4ミル~約1.6ミル)の範囲、代わりに約10μm~約35μm(約0.4ミル~約1.4ミル)の範囲、代わりに約10μm~約30μm(約0.4ミル~約1.2ミル)の範囲、代わりに約10μm~約25μm(約0.4ミル~約1.0ミル)の範囲、代わりに約10μm~約20μm(約0.4ミル~約0.8ミル)の範囲、代わりに約5μm~約15μm(約0.2ミル~約0.6ミル)の範囲、またはそれらの間の任意の範囲もしくは部分的範囲の粒子サイズ分布を有する粉末分級物により形成される。
【0017】
いくつかの実施形態では、忠実度の高い特徴は、約45μm(約1.8ミル)、代わりに約40μm(約1.6ミル)、代わりに約35μm(約1.4ミル)、代わりに約30μm(約1.2ミル)、代わりに約25μm(約1.0ミル)、代わりに約20μm(約0.8ミル)、またはそれらの間の任意の値の形成層厚により形成される。
【0018】
図1を参照すると、積層造形処理は、3D印刷システム400を用いて行うことができ、この場合、粉末堆積アセンブリ500は、第1のホッパ501、第2のホッパ502、粉末送出アセンブリ401、および集束エネルギー源310を含む。粉末送出アセンブリ401は、第1のホッパ501から第1の粉末材料分級物301を供給されるか、または第2のホッパ502から第2の粉末材料分級物302を供給される、少なくとも1つの粉末材料フィーダ405を含む。粉末材料フィーダ405は、第1の粉末材料分級物301または第2の粉末材料分級物302の材料を、焼結または溶融される新たな層として印刷プラットフォーム407上の粉末層の表面406全体に堆積および分散させる。ホッパ501、502は、新たな層の堆積中に粉末材料フィーダ405とともに移動してもよく、代わりに3D印刷システム400内に固定されてもよい。各ホッパ501、502について1つずつ、2つの粉末材料フィーダ405を図1に示しているが、1つの粉末分級物301、302のみが1度に送出されるので、代わりに、図2に示すように両方のホッパ501、502について単一の粉末材料フィーダ405を用いてもよい。
【0019】
3D印刷システム400は、樹脂粉末、金属粉末、セラミック粉末、またはガラス粉末を融合して物品200を形成するための集束エネルギー源310を含む。いくつかの実施形態では、集束エネルギー源310は高出力レーザである。いくつかの実施形態では、高出力レーザは二酸化炭素レーザである。いくつかの実施形態では、集束エネルギービーム409はパルスビームである。集束エネルギービーム409は、スキャナ320により誘導されて、物品200の3Dデジタル記述、例えば、CADファイルまたはスキャンデータなどにより生成される断面をスキャンすることにより印刷プラットフォーム407上の粉末層の表面にある粉末材料を選択的に融合する。各断面がスキャンされる前に、粉末層は、製作ピストン420を作動させて印刷プラットフォーム407を降下させることにより1層の厚さ分で降下され、粉末材料フィーダ405のうちの1つは、粉末層の上に粉末材料の新たな層として、第1のホッパ501から第1の粉末材料分級物301の材料を堆積させるか、または第2のホッパ502から第2の粉末材料分級物302の材料を堆積させるように作動する。処理は、物品200が完成するまで繰り返される。
【0020】
構成される物品200は、焼結していない粉末材料により常に囲まれており、このことは従前には不可能であった幾何形状の構成を可能にする。図1および図2における形成される物品200は、第2の特徴解像度に基づく第2の層厚を有する第2の部分220により隔てられた、第1の特徴解像度に基づく第1の層厚を有する2つの第1の部分210を含む。第2の部分220は、忠実度の高い特徴230を含む。
【0021】
図3は、図1および図2に概略的に示したシステムなど、3D印刷システム400の実施形態の内部の斜視図を示している。印刷プラットフォーム407、粉末材料フィーダ405、および第1のホッパ501に加えて、制御システム505、第1のホッパ501への粉末供給ライン510、および印刷プラットフォーム407を横切るように粉末材料フィーダ405を並進させるためのトラック520も見ることができる。いくつかの実施形態では、図3に示される粉末材料フィーダ405はレコーダと呼ばれる。
【0022】
図4は、図1および図2に示した第1のホッパなど、第1のホッパ501の実施形態の斜視図を示している。第1のホッパ501の粉末チャンバの下方の制御システム505は、第1の粉末材料分級物301の材料が第1のホッパ501から出て粉末材料フィーダ405に入ることを選択的に可能にする。
【0023】
3D印刷処理は、代わりに、図5に示されるような3D印刷システム400を用いて行ってもよく、この場合、粉末堆積アセンブリ500は、第1のホッパ501、第2のホッパ502、および粉末送出アセンブリ401を含む。粉末送出アセンブリ401は、第1のホッパ501から第1の粉末材料分級物301を供給されるか、または第2のホッパ502から第2の粉末材料分級物302を供給される、少なくとも1つの粉末材料フィーダ405と、第1の粉末材料分級物301または第2の粉末材料分級物302の材料を、印刷プラットフォーム407上の粉末層全体の上の層としての表面406に、焼結または溶融される新たな層として分散させる少なくとも1つのスプレッダ530とを含む。少なくとも1つのバルブ450が、第1の粉末材料分級物301が表面406に供給されるか、第2の粉末材料分級物302が表面406に供給されるか、または粉末材料が表面406に供給されないかを選択的に制御する。
【0024】
各ホッパ501、502について1つずつ、2つの粉末材料フィーダ405、2つのバルブ450、および2つのスプレッダ530を図5に示しているが、1度に1つの粉末分級物301、302のみを表面406に送出することが好ましいので、代わりに、ホッパ501、502の両方について、単一の粉末材料フィーダ405、単一のバルブ450、および/または単一のスプレッダ530を用いてもよい。スプレッダ530は、粉末材料を表面406全体に移動させて印刷プラットフォーム407上に層を形成可能な任意のデバイスとすることができる。いくつかの実施形態では、スプレッダ530はローラである。いくつかの実施形態では、スプレッダ530はブレードである。印刷プラットフォーム407の両側に粉末材料を堆積させるように粉末材料フィーダ405を示しているが、代わりに、第1の粉末材料分級物301および第2の粉末材料分級物302は、印刷プラットフォーム407の同じ側または印刷プラットフォーム407の直上に堆積されてもよい。
【0025】
3D印刷処理は、樹脂粉末、金属粉末、セラミック粉末、またはガラス粉末を融合して物品200を形成するための集束エネルギー源310を含む。いくつかの実施形態では、集束エネルギー源310は高出力レーザである。いくつかの実施形態では、高出力レーザは二酸化炭素レーザである。いくつかの実施形態では、集束エネルギービーム409はパルスビームである。集束エネルギービーム409は、スキャナ320により誘導されて、物品200の3Dデジタル記述、例えば、CADファイルまたはスキャンデータなどにより生成される断面をスキャンすることにより印刷プラットフォーム407上の粉末層の表面406にある粉末材料を選択的に融合する。各断面がスキャンされる前に、粉末層は、印刷プラットフォーム407を降下させるように製作ピストン420を作動させることにより1層の厚さ分で降下され、第1のホッパ501からの第1の粉末材料分級物301または第2のホッパ502からの第2の粉末材料分級物302は、粉末層の1層の厚さと約同等量の材料で表面406に導入され、スプレッダ530は、スプレッダ530による新たな層として粉末層の上に新たな材料を適用する。処理は、物品200が完成するまで繰り返される。
【0026】
構成される物品200は、焼結していない粉末材料により常に囲まれており、このことは従前には不可能であった幾何形状の構成を可能にする。図5における形成される物品200は、第2の特徴解像度に基づく第2の層厚を有する第2の部分220により隔てられた、第1の特徴解像度に基づく第1の層厚を有する2つの第1の部分210を含む。第2の部分220は、忠実度の高い特徴230を含む。
【0027】
図6は、管状の幾何形状を有する物品200のモデルを概略的に示している。物品200は、第2の特徴解像度に基づく第2の層厚を有する第2の部分220により隔てられた、第1の特徴解像度に基づく第1の層厚を有する2つの第1の部分210を含む。第2の部分220は、忠実度の高い少なくとも1つの特徴230を含む。第1の層厚は約50μm(2ミル)であり、第2の層厚は約20μm(0.8ミル)である。
【0028】
図7は、本明細書に開示されるシステムによる3D印刷により形成された複数の物品200の写真を示している。物品200は、円柱状の幾何形状を有し、第2の特徴解像度に基づく第2の金属層厚を有する第2の部分220により隔てられた、第1の特徴解像度に基づく第1の金属層厚を有する2つの第1の部分210を含む。第1の層厚は約50μm(2ミル)であり、第2の層厚は約20μm(0.8ミル)である。図7から分かるように、第1の部分210は、第1の部分210のより高い表面粗度に起因して、第2の部分220とは異なる外観を有し、両方の部分210、220は、機械加工された表面とは異なる表面性状および外観を有する。
【0029】
図8は、第2の層厚を伴う第2の部分220の忠実度の高い特徴230の拡大写真を示している。20μm(0.8ミル)の形成層厚により形成された特徴230は、50μm(2ミル)の形成層厚により形成された特徴よりも高い特徴忠実度を有する。同じ形成ジョブについて異なるサイズおよび分布の粉末材料の使用が可能となることで、機械加工仕上げと組み合わされた通常の金属3D印刷が場合によっては実現可能な性能も超えて、スタンドアローン製造処理としての金属3D印刷の性能が著しく向上する。
【0030】
いくつかの実施形態では、3D印刷システム400の印刷プラットフォーム407および/または粉末堆積アセンブリ500の移動が、CADモデルに基づいて処理を自動化するように、および/または物品200に付加された材料を形成するように構成されたソフトウェアにより制御される。いくつかの実施形態では、処理は自動化された3D印刷処理である。いくつかの実施形態では、印刷プラットフォーム407および/または粉末堆積アセンブリ500の相対移動は、少なくとも+/-25μm(+/-1ミル)の寸法精度をもたらす。フィードバックセンサ350は、堆積された層の実寸法を測定することによって、3D CADモデルによる物品200の層の寸法と比較して物品200の精密性を評価する。
【0031】
いくつかの実施形態では、粉末材料は金属粉末であり、3D印刷は金属3D印刷である。いくつかの実施形態では、金属粉末は高温超合金である。いくつかの実施形態では、金属粉末は、アルミニウム系合金、チタン系合金、スチール系合金、ニッケル系超合金、またはコバルト系超合金である。
【0032】
いくつかの実施形態では、粉末材料はセラミック粉末であり、3D印刷はセラミック3D印刷である。セラミック粉末の組成としては、非限定的に、ジルコニア、シリカ、およびアルミナが挙げられる。
【0033】
物品200を製造する方法は、任意の積層造形法または粉末材料の層の溶融もしくは焼結を含む技術によることができる。いくつかの実施形態では、3D印刷としては、選択的レーザ焼結(SLS)、直接金属レーザ焼結(DMLS)、選択的レーザ溶融(SLM)、直接金属レーザ溶融(DMLM)、電子ビーム溶融(EBM)、粉末層処理、またはそれらの組合せが挙げられる。いくつかの実施形態では、3D印刷としては、粉末層を用いたSLSが挙げられる。
【0034】
いくつかの実施形態では、SLS処理は、樹脂粉末、金属粉末、セラミック粉末、またはガラス粉末を融合して物品200を形成するための集束エネルギー源310を含む。いくつかの実施形態では、集束エネルギー源310は高出力レーザである。いくつかの実施形態では、高出力レーザは二酸化炭素レーザである。いくつかの実施形態では、集束エネルギービーム409はパルスビームである。集束エネルギービーム409は、物品200の3Dデジタル記述、例えば、CADファイルまたはスキャンデータなどにより生成される断面をスキャンすることにより印刷プラットフォーム407上の粉末層の表面406にある粉末材料を選択的に融合する。各断面がスキャンされた後に、粉末層は、印刷プラットフォーム407を降下させることにより1層の厚さ分で降下され、粉末材料の新たな層が上に適用され、処理は、物品200が完成するまで繰り返される。
【0035】
いくつかの実施形態では、DMLS処理は、金属粉末の層に熱を加える集束エネルギー源310を含む。いくつかの実施形態では、集束エネルギー源310は、イッテルビウム(Yb)繊維レーザ、より具体的には高出力200ワットYb繊維光学レーザである。集束エネルギー源310は、3D CADモデルにより定義された、空間中の点で自動的に着火されて、金属粉末を加熱し、形成される物品200に焼結させる。いくつかの実施形態では、コンピュータ上のコンピュータソフトウェアが、集束エネルギー源310を誘導する。成形チャンバ領域の内側では、粉末送出アセンブリ401は、スプレッダ530が新たな粉末材料を印刷プラットフォーム407の上に移動させるときに、金属粉末を印刷プラットフォーム407およびリコータブレードに分配する材料分配プラットフォームを含む。物品200は、層毎に付加的に形成される。いくつかの実施形態では、付加される材料の層厚は約20マイクロメートルである。
【0036】
いくつかの実施形態では、DMLM処理は、1つ以上の粉末材料フィーダ405を含む粉末送出アセンブリ401を用いて行われる。DMLM処理中、粉末材料フィーダ405は、粉末材料および/または任意の他の材料を、印刷プラットフォーム407上の粉末層上の新たな層として、または代わりに表面406に、選択的に直接送出し、この場合、少なくとも1つのスプレッダ530は、粉末材料を印刷プラットフォーム407に導入する。
【0037】
DMLM処理中の印刷プラットフォーム407および/またはスキャナ320の相対移動は、少なくとも25μm(1ミル)、少なくとも130μm(5ミル)、少なくとも250μm(10ミル)、25μm~250μm(1~10ミル)、25μm~130μm(1~5ミル)、またはそれらの任意の組合せ、部分的組合せ、範囲、もしくは部分的範囲の寸法精度をもたらすことができる。加えて、DMLM処理は、金属から形成される物品200内に完全に緻密な金属をもたらす。
【0038】
DMLM処理に適した集束エネルギー源310としては、粉末層上の第1の粉末材料分級物301または第2の粉末材料分級物302の層を溶融するための出力範囲および進行速度で動作する任意の集束エネルギー源310が挙げられる。いくつかの実施形態では、集束エネルギー源310はレーザである。一実施形態では、DMLM処理における集束エネルギー源310の出力範囲としては、非限定的に、100~3,000ワット、200~2,500ワット、300~2,000ワット、またはそれらの任意の組合せ、部分的組合せ、範囲、もしくは部分的範囲が挙げられる。別の実施形態では、進行速度としては、非限定的に、最高300mm/秒、1~300mm/秒、4~250mm/秒、またはそれらの任意の組合せ、部分的組合せ、範囲、もしくは部分的範囲が挙げられる。例えば、さらなる実施形態では、集束エネルギー源310は、300~2,000ワットの出力範囲、4~250mm/秒の進行速度で動作する。別の実施形態では、標準的なスチール、チタン、および/またはニッケル合金の堆積速度としては、例えば、最大1kg/時、最大0.75kg/時、最大0.5kg/時,0.1~0.5kg/時、最大0.4kg/時、最大0.3kg/時、またはそれらの任意の組合せ、部分的組合せ、範囲、もしくは部分的範囲が挙げられる。しかし、集束エネルギー源310のパラメータおよび堆積速度は、第1の粉末材料分級物301が供給されるか、第2の粉末材料分級物302が供給されるかに応じて、および/または層厚に応じて、調節および/または設定することができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、集束エネルギービーム409の誘導は、スキャナ320および/または印刷プラットフォーム407を互いに対して移動させることを含み、移動によって、物品200に付加される材料の形状および幾何形状がもたらされる。相対移動をもたらすために、印刷プラットフォーム407を固定し、スキャナ320を調節してもよく、スキャナ320を固定し、印刷プラットフォーム407を移動させてもよく、スキャナ320と印刷プラットフォーム407の両方を互いに独立して調節してもよい。例えば、一実施形態では、印刷プラットフォーム407は、スキャナ320に対して移動するための3つ以上の回転軸を含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、SLM処理は、デジタル情報源としての3D CADデータと、集束エネルギー源310とを含む。いくつかの実施形態では、集束エネルギー源310は高出力(数百ワット)レーザ、より具体的にはYb繊維レーザである。集束エネルギービーム409は、物品200を形成するように微細粉末材料を溶融する。粉末材料は層毎に付加され、層厚は、通常約20μm~100μm(0.8~4ミル)である。集束エネルギービーム409は、形成される物品200上に粉末材料フィーダ405により一様に分布された粉砕された微細粉末材料の薄層を選択的に溶融する。このことは、制御された不活性ガスチャンバ内で生じる。不活性ガスは、典型的に、アルゴンまたは窒素のいずれかであり、酸素レベルが500ピーピーエム未満である。集束エネルギー源310のエネルギーは、粉末材料粒子の完全な溶融を可能にするほど十分に高い。
【0041】
いくつかの実施形態では、EBM処理は、SLM処理と類似するが、集束エネルギービーム409としてレーザビームではなく電子ビームが用いられる。EBM処理は、例えば、最高1000℃(1830°F)など、より高い温度で稼働することができ、より高温の予熱性能を有する。
【0042】
いくつかの実施形態では、粉末層処理は、粉末材料を融合するための集束エネルギー源310を含む。粉末層処理は、典型的に約5μm~50μm(0.2~2ミル)のサイズの微細粉末による付加された材料200を層毎に形成する。粉末層システムは、典型的に、粉末供給部、印刷プラットフォーム407、粉末材料フィーダ405を含む粉末送出アセンブリ401、集束エネルギー源310としてのレーザ、およびレーザ誘導システムを含む。粉末材料フィーダ405は、粉末材料の薄層を印刷プラットフォーム407上の粉末層上に分散させる。レーザは、形成が行われる所定位置の粉末材料を溶融または焼結する。分散および溶融/焼結処理は、物品200が層毎に形成されるように繰り返される。
【0043】
選択的制御によって、第1の粉末材料分級物301による第1の層厚の形成と、第2の粉末材料分級物302による第2の層厚の形成との間の切替が可能になる。いくつかの実施形態では、各層は、実質的に均一な層厚を与えるように、2つの粉末材料分級物301、302のうちの一方のみを用いて形成される。第1の層厚および第2の層厚は、約10μm~約100μm(0.4ミル~4ミル)の範囲であることが好ましい。第1の層厚は、少なくとも約40μm(1.6ミル)、代わりに約40μm~約100μm(1.6ミル~4ミル)の範囲、代わりに約50μm~約80μm(2ミル~3.2ミル)の範囲、代わりに約50μm~約70μm(2ミル~2.8ミル)の範囲、代わりに約40μm~約60μm(1.6ミル~2.4ミル)の範囲、またはそれらの間の任意の範囲もしくは部分的範囲とすることができる。第2の層厚は、約25μm(1ミル)以下、代わりに約10μm~約45μm(0.4ミル~1.8ミル)の範囲、代わりに約10μm~約35μm(0.4ミル~1.4ミル)の範囲、代わりに約10μm~約25μm(0.4ミル~1ミル)の範囲、代わりに約15μm~約25μm(0.6ミル~1ミル)の範囲、またはそれらの間の任意の範囲もしくは部分的範囲とすることができる。
【0044】
より高い忠実度の特徴230を実現するために、より小さな形成層厚ならびにより小さな対応する粒子サイズおよび分布がもたらされる。いくつかの実施形態では、3D印刷システムは、異なる2つの粒子サイズおよび分布を有する2つの粉末ホッパ501、502を含む。より微細なサイズおよび分布の金属粉末を有するホッパ502は、高い忠実度の特徴230が望まれる非常に特殊な層についてのみ用いることが好ましい。それらの特殊な層は、20μm(0.8ミル)、または20μm未満(0.8ミル未満)の形成層厚で形成することが好ましい。他の形成層は、必要または希望に応じて全て50μm(2ミル)以上の厚さを有することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、第1の粉末材料分級物301の層と、第2の粉末材料分級物302の層との両方について単一の集束エネルギー源310が用いられる。しかし、集束エネルギー源310のパラメータおよび堆積速度は、第1の粉末材料分級物301が供給されるか、第2の粉末材料分級物302が供給されるかに応じて、および/または層厚に応じて、調節および/または設定することができる。第1の粉末材料分級物301は、物品200の第1の部分210を素早く形成するために用いることが好ましい一方、第2の粉末材料分級物302は、より高い解像度が望まれる、物品200の第2の部分220を形成するために用いられる。
【0046】
いくつかの実施形態では、3D印刷システム400は、3D印刷システム400が、異なる2つの粉末分級物301、302を保持する2つのホッパ501、502と、2つのホッパ501、502から粉末材料を選択的に供給するための1つの、少なくとも1つの、または2つの粉末材料フィーダ405とを含む点を除いて、SLM280HLモデル(SLM Solutions GmbH、リューベック、独国)の選択的レーザ溶融システムと同様の方法で構成され動作する。いくつかの実施形態では、3D印刷システム400は、最大280mm×280mm×365形成エンベロープ、3Dスキャン光学素子を有する最大2つの繊維レーザ、最高55cm/時の形成速度、またはそれらの組合せを含む。
【0047】
異なる2つの粉末分級物301、302および分布を保持する2つのホッパ501、502を有する3D印刷システム400は、可変の形成層厚を可能にし、精細な忠実度を伴う特徴230を可能にする。粒子サイズが大きいほど、大きなばらつきが生じ、粉末直径自体が50μm(2ミル)に近いので、25μm(+/-1ミル)の許容誤差が要求される特徴230を不可能にする。より小さな形成層厚および対応するより小さな粉末粒子サイズを用いることによって、小さな許容誤差が実現される。異なる粉末材料分級物301、302を供給する2つのホッパ501、502を有することによって、より良好な忠実度の特徴230が、形成速度を妥協せずに実現される。異なる粉末材料分級物301、302は、同じ粉末組成でもよく、または異なる粉末組成でもよい。
【0048】
物品200は、物品200の少なくとも一部分に忠実度の高い少なくとも1つの特徴230を必要とする任意の部品とすることができる。いくつかの実施形態では、物品200は、タービンの高温ガス路部品である。いくつかの実施形態では、物品200は、ガスタービンシール、例えば燃料ノズルなどのガスタービン燃焼部品、または例えば、ガスタービンシュラウド、ガスタービンノズル、もしくはガスタービンブレードなどのガスタービン高温ガス路部品である。
【0049】
いくつかの実施形態では、そうでなければ機械加工が困難であるか不可能である、忠実度の高い特徴230が実現される。例えば、燃料孔の許容誤差は、非常に厳しく、到達が困難である位置に孔を機械加工することは高価となる。形成された状態で忠実度が高い燃料孔によって、機械加工の問題が取り除かれ、製造コストが抑えられる。
【0050】
本発明について1つ以上の実施形態を参照して記述してきたが、本発明の範囲から逸脱せずに、種々の変更を施してもよいこと、およびその要素を等価物に置換してもよいことが当業者にとっては理解されるであろう。加えて、特定の状況または材料に適応させるために、その本質的範囲から逸脱することなく、本発明の教示に多くの修正を行うことができる。したがって、本発明は、本発明を実施するために考えられる最良の形態として開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明は添付の特許請求の範囲に属する全ての実施形態を含むことを意図している。加えて、詳細な説明で特定される全ての数
値は、正確な値と近似値の両方が明示的に特定されているものと解釈されるべきである。
[実施態様1]
物品(200)を積層造形する方法であって、
第1の特徴解像度に相当する第1の平均粒子サイズを有する第1の粉末材料分級物(301)による複数の第1の層の3次元印刷によって前記物品(200)の第1の部分(210)を形成することであり、前記複数の第1の層は第1の平均層厚を有する、ことと、
前記第1の特徴解像度よりも低い第2の特徴解像度に相当する第2の平均粒子サイズを有する第2の粉末材料分級物(302)による複数の第2の層の3次元印刷によって前記物品(200)の第2の部分(220)を形成することであり、前記第2の部分(220)は少なくとも1つの特徴(230)を含み、前記複数の第2の層は、前記第1の平均層厚よりも小さな第2の平均層厚を有する、ことと
を含む方法。
[実施態様2]
前記第1の部分(210)を形成することおよび前記第2の部分(220)を形成することは、粉末層処理と、直接金属レーザ溶融、直接金属レーザ焼結、選択的レーザ溶融、選択的レーザ焼結、電子ビーム溶融、およびそれらの組合せからなる群から選択される技術とを含む、実施態様1に記載の方法。
[実施態様3]
前記第1の平均層厚は少なくとも40μmである、実施態様1に記載の方法。
[実施態様4]
前記第2の平均層厚は25μm以下である、実施態様1に記載の方法。
[実施態様5]
前記少なくとも1つの特徴(230)は、50μm未満の許容誤差を有する表面特徴を含む、実施態様1に記載の方法。
[実施態様6]
前記第1の部分(210)および前記第2の部分(220)を前記3次元印刷により形成した後に機械加工を伴わずに前記物品(200)を提供することをさらに含む、実施態様1に記載の方法。
[実施態様7]
前記第1の粉末材料分級物(301)および前記第2の粉末材料分級物(302)は、セラミック、高温超合金、アルミニウム系合金、チタン系合金、スチール系合金、ニッケル系超合金、コバルト系超合金、およびそれらの組合せからなる群から選択される粉末材料を含む、実施態様1に記載の方法。
[実施態様8]
印刷プラットフォーム(407)と、
第1の特徴解像度に相当する第1の平均粒子サイズを有する第1の粉末材料分級物(301)、または第2の特徴解像度に相当する第2の平均粒子サイズを有する第2の粉末材料分級物(302)を前記印刷プラットフォーム(407)に制御可能かつ選択的に提供するように構成された粉末堆積アセンブリ(500)であり、前記第2の平均粒子サイズは前記第1の平均粒子サイズよりも小さい、粉末堆積アセンブリ(500)と、
前記印刷プラットフォーム(407)上の粉末材料に加熱エネルギーを供給するように構成された集束エネルギー源(310)と
を備える3次元印刷システム(400)。
[実施態様9]
前記粉末堆積アセンブリ(500)は、
前記第1の平均粒子サイズを有する前記第1の粉末材料分級物(301)を蓄える第1のホッパ(501)と、
前記第2の平均粒子サイズを有する前記第2の粉末材料分級物(302)を蓄える第2のホッパ(502)と、
前記第1の粉末材料分級物(301)を前記第1のホッパ(501)から前記印刷プラットフォーム(407)に、または前記第2の粉末材料分級物(302)を前記第2のホッパ(502)から前記印刷プラットフォーム(407)に選択的に送出する粉末送出アセンブリ(401)と
を備える、実施態様8に記載の3次元印刷システム(400)。
[実施態様10]
前記3次元印刷システム(400)により形成される物品(200)のコンピュータモデルに基づいて前記加熱エネルギーを誘導する制御システム(505)をさらに備える、実施態様8に記載の3次元印刷システム(400)。
[実施態様11]
前記集束エネルギー源(310)は、レーザ生成器および電子ビーム生成器からなる群から選択される、実施態様8に記載の3次元印刷システム(400)。
[実施態様12]
前記第1の平均粒子サイズは少なくとも45μmである、実施態様8に記載の3次元印刷システム(400)。
[実施態様13]
前記第2の平均粒子サイズは25μm未満である、実施態様8に記載の3次元印刷システム(400)。
[実施態様14]
前記第1の粉末材料分級物(301)および前記第2の粉末材料分級物(302)は、セラミック、高温超合金、アルミニウム系合金、チタン系合金、スチール系合金、ニッケル系超合金、コバルト系超合金、およびそれらの組合せからなる群から選択される粉末材料を含む、実施態様8に記載の3次元印刷システム(400)。
[実施態様15]
3次元印刷により粉末材料から形成された物品(200)であって、
第1の特徴解像度に相当する第1の平均粒子サイズを有する第1の粉末材料分級物(301)による複数の第1の層を含む第1の部分(210)であり、前記複数の第1の層は第1の平均層厚を有する、第1の部分(210)と、
前記第1の特徴解像度よりも低い第2の特徴解像度に相当する第2の平均粒子サイズを有する第2の粉末材料分級物(302)による複数の第2の層を含む第2の部分(220)であり、前記第2の部分(220)は少なくとも1つの特徴(230)を含み、前記複数の第2の層は、前記第1の平均層厚よりも小さな第2の平均層厚を有する、第2の部分(220)と
を備える物品(200)。
[実施態様16]
前記第1の粉末材料分級物(301)および前記第2の粉末材料分級物(302)は、セラミック、高温超合金、アルミニウム系合金、チタン系合金、スチール系合金、ニッケル系超合金、コバルト系超合金、およびそれらの組合せからなる群から選択される粉末材料を含む、実施態様15に記載の物品(200)。
[実施態様17]
前記物品(200)は、前記3次元印刷により形成された後の機械加工を伴っていない、実施態様15に記載の物品(200)。
[実施態様18]
前記第1の平均層厚は少なくとも40μmである、実施態様15に記載の物品(200)。
[実施態様19]
前記第2の平均層厚は25μm以下である、実施態様15に記載の物品(200)。
[実施態様20]
前記少なくとも1つの特徴(230)は、50μm未満の許容誤差を有する表面特徴を含む、実施態様15に記載の物品(200)。
【符号の説明】
【0051】
200 物品、材料
210 第1の部分
220 第2の部分
230 特徴
301 第1の粉末材料分級物、粉末分級物
302 第2の粉末材料分級物、粉末分級物
310 集束エネルギー源
320 スキャナ
350 フィードバックセンサ
400 3D印刷システム
401 粉末送出アセンブリ
405 粉末材料フィーダ
406 表面
407 印刷プラットフォーム
409 集束エネルギービーム
420 製作ピストン
450 バルブ
500 粉末堆積アセンブリ
501 第1のホッパ
502 第2のホッパ
505 制御システム
510 粉末供給ライン
520 トラック
530 スプレッダ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8