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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】スポーツシューズ用のソール
(51)【国際特許分類】
   A43B 13/41 20060101AFI20240722BHJP
【FI】
A43B13/41
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019084352
(22)【出願日】2019-04-25
(65)【公開番号】P2019193787
(43)【公開日】2019-11-07
【審査請求日】2022-04-01
(31)【優先権主張番号】18170671.4
(32)【優先日】2018-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】522091771
【氏名又は名称】エル・ティ・ダブリュ・エイチ・ピィ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】LTWHP, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンジェロ・マゾーン
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-307383(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0019729(US,A1)
【文献】国際公開第2006/038357(WO,A1)
【文献】特開2011-120915(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 13/00-13/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースまたはトレッド構成要素(3)と、
トップまたはミッドソール構成要素(4)と、
前記ベース構成要素(3)と前記トップ構成要素(4)との間に配置および包囲される、または前記トップまたはミッドソール構成要素(4)の上方に、すなわち前記トップまたはミッドソール構成要素(4)に関して前記ベースまたはトレッド構成要素(3)と対向して配置される少なくとも1つの中間または弾性緩衝構成要素(5)と
を含むスポーツシューズ用のソールであって、
少なくとも1つの前記中間または弾性緩衝構成要素(5)が一体の部品であり、前記ソールのヒールまたは後部(R)の高さに配置された後方部分(6)と、前記ソールのウエスト縁部または中間部分の領域を係合するため、前記後方部分(6)から前部(F)に向かって延伸する前方部分(8)とを含み、
前記中間または弾性緩衝構成要素(5)の前記後方部分(6)が、前記ソールのそれぞれの側部(11、12)で延伸する2つの側方管状部分(9、10)と、前記2つの側方管状部分(9、10)のブリッジ接続中央部分(13)とを含み、前記接続中央部分(13)が、前記2つの側方管状部分(9、10)とは異なる構成を有し、それによって使用時に、前記後方部分(6)の前記2つの側方管状部分(9、10)および前記接続中央部分(13)で異なるクッション性、弾性および安定性などの圧力または圧潰に反応する挙動を得、
前記側方管状部分が、前記ソールの後部(R)から前部(F)への方向に対して横方向または直交する長手方延伸軸線(x-x)の周りに延伸する長手方向開口部(LO)を画定し、各長手方向開口部(LO)は、前記ソールのそれぞれの側部(11、12)で外側に開口し、
各長手方向開口部(LO)が、それぞれの側方管状部分(9、10)の内側端部に、または前記接続中央部分(13)とそれぞれの側方管状部分(9、10)の内側端部との間で前記接続中央部分(13)内に画定されたそれぞれの排出溝または逃げ溝(EN1、EN2)に内部で開口し、前記排出溝または逃げ溝(EN1、EN2)が、前記トップ構成要素(4)に向かって開口し、
前記側方管状部分(9、10)が、実質的に円錐形の形状を有する、またはいずれの場合にも必要に応じて円形、楕円形もしくは多角形の断面を有し、前記接続中央部分(13)に接近すると縮小し、これにより1つまたはそれぞれの長手方向開口部(LO)が、前記ソールの長手方向中心または中心線に接近すると先細になる、ソール。
【請求項2】
前記中間または弾性緩衝構成要素(5)または前記後方部分(6)が板ばねを備え、前記接続中央部分(13)が前記板ばねの主要な弾性要素を構成し、前記側方管状部分(9、10)が前記板ばねの弾性的に圧潰可能な端部に相当する、請求項1に記載のソール。
【請求項3】
前記接続中央部分が、板状または管状であるが、前記ソールの後部(R)から前部(F)の方向に直交する平面に沿った断面が、前記側方管状部分(9、10)の断面とは異なる、請求項1または2に記載のソール。
【請求項4】
前記接続中央部分(13)が、前記ベース構成要素(3)に面した凹部によって実質的に湾曲している、請求項3に記載のソール。
【請求項5】
前記側方管状部分(9、10)が、1つの第1湾曲部分、または、前記トップ構成要素(4)に向けられた凹部またはくぼみ領域を画定するように、相互(9a、10a)に対して傾斜した2つ以上の第1区分を有し、前記第1区分(9a、10a)が、前記ベース構成要素(3)に近接しており、前記側方管状部分が、前記ベース構成要素(3)に向けられた凹部またはくぼみ領域を画定するように、相互(9b、10b)に対して傾斜した1つの第2湾曲部分または複数の第2区分を有し、前記第2区分(9b、10b)が、前記トップ構成要素(4)に近接している、請求項1~4のいずれか1項に記載のソール。
【請求項6】
前記接続中央部分(13)が、前記側方管状部分(9、10)の前記第2区分(9b、10b)または前記第1区分(9a、10a)と実質的に位置合わせされている、または同じ高さにあり、その前記第1区分(9a、10a)と前記第2区分(9b、10b)のうちの他方が、異なる高さで、それぞれ前記接続中央部分(13)より前記ベース構成要素(3)に近い、またはより遠くに延伸する、請求項5に記載のソール。
【請求項7】
使用時に、前記側方管状部分(9、10)の一方または両方の外側端部(9c、10c)から延伸し、前記トップ構成要素(4)の対応する部分を包囲する少なくとも1つのタブ(16、17)を備え、前記少なくとも1つのタブ(16、17)が、上方に向かって、または前記ベース構成要素(3)から離れる方向へ、前記ソールの前記前部(F)または前記後部(R)に向かって延伸する、請求項1~6のいずれか1項に記載のソール。
【請求項8】
使用時に、前記ソールの側部(11)で側方管状部分(9)の外側端部(9c)から延伸する第1タブ(16)と、使用時に、前記ソール(1)の内側(12)で前記側方管状部分(10)の外側端部(10c)から延伸する第2タブ(17)とを備え、前記第1タブ(16)が、前記ベース構成要素(3)から離れ前記ソールの前記後部(R)に向かって延伸し、前記第2タブ(17)が、前記ベース構成要素(3)から離れ前記ソールの前記前部(F)に向かって延伸する、請求項7に記載のソール。
【請求項9】
前記中間または弾性緩衝構成要素(5)の前記前方部分(8)が実質的に板状であり、1つまたは複数のリブ(8a)または溝(8b)、またはいずれの場合にも前記ベース構成要素(3)または前記トップ構成要素(4)のそれぞれの開口部または突出部(3a、4a)に大きさを合わせてまたは緩く係合するよう設計された突起を有する、請求項1~8のいずれか1項に記載のソール。
【請求項10】
前記中間または弾性緩衝構成要素(5)の前記後方部分(6)と前記ベース構成要素(3)との間に配置され包囲されたヒールインサート(18)を備え、前記ヒールインサート(18)が、前記中間または弾性緩衝構成要素(5)を下から、またはいずれの場合にも前記中間または弾性緩衝構成要素(5)と前記ベース構成要素(3)との間の領域から支持するように設計されている、請求項1~9のいずれか1項に記載のソール。
【請求項11】
下方にあるかまたは前記ベース構成要素(3)に面している前記中間または弾性緩衝構成要素(5)の表面(5a)と接触している、所望であれば実質的に結合している、前記ベース構成要素(3)から遠位の第1表面(18a)を前記ヒールインサート(18)が画定する、請求項10に記載のソール。
【請求項12】
前記トップ構成要素(4)が、くぼみ状の型(M)を画定し、前記中間または弾性緩衝構成要素(5)が、実質的に大きさが合わされてまたは緩みを持って収容されている、請求項1~11のいずれか1項に記載のソール。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載のソールと、前記ソールの前記トップ構成要素(4)に拘束されたアッパ(21)とを備える靴。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポーツシューズ用のソール、ならびにそのようなソールを備えるスポーツシューズに関する。
【背景技術】
【0002】
ミッドソールと、トレッドパターンを有するアウタソールと通常を含むスポーツシューズが多く提案されている。
【0003】
欧州特許出願公開第2279678A1号明細書は、例えば、2つの部分のゴムまたは熱可塑性トレッドパターンによって形成されたソール、ヒールインサートと、第1ミッドソール要素と、第2ミッドソール要素とを有する靴を教示しており、この第1ミッドソール要素は、第2ミッドソール要素とヒールインサートとの間に締め付けされており、プラスチック材料の単一部品として形成されている。
【0004】
第1ミッドソール要素は、ソールの内側から側部への貫通開口部を形成する実質的に楕円形の部分を有する二重板ばね弾性構造を有する。
【0005】
前述の欧州特許出願に記載されているソールの構造は、特に第1ミッドソール要素における力の正しい分配を保証するものではない。
【0006】
さらに、このような要素では、クッション性、弾性および安定性が適切に差別化されることが可能でない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、スポーツシューズ用の改良されたソールを提供することである。
本発明の他の目的は、従来のソールに関して改善されたクッション性、弾性および安定性を保証する上記のようなソールを提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、ソールの機械的または構造的特徴によって高いクッション性、弾性および安定性を保証することができるソールを提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、経時的にその機械的特性を失うことのないソールを提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、内側から外側へクッション性、弾性および安定性が変化することを保証できるソールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様として、請求項1に記載のソールが提供される。
従属請求項は、本発明の好適および有利な実施形態を示す。
【0012】
本発明の他の特徴および長所は、添付の図面に例示されるソールの実施形態の説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明によるソールのわずかに上および側方から見た斜視図である。
図2】本発明によるソールのわずかに上および側方から見た斜視図である。
図3図1のソールの分解斜視図である。
図4図1のソールの分解斜視図である。
図5図1のソールの中間構成要素の斜視図である。
図6図1のソールの中間構成要素の斜視図である。
図7図5の中間構成要素の上下からの平面図である。
図8図5の中間構成要素の上下からの平面図である。
図9図5の中間構成要素の側面からの図である。
図10図5の中間構成要素の側面からの図である。
図11図5の中間構成要素の前後からの図である。
図12図5の中間構成要素の前後からの図である。
図13図8の線XIII‐XIIIに沿う断面図である。
図14】本発明による靴の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
添付の図面において、同一の部分または構成要素は、同一の参照番号によって区別される。
【0015】
図1図14を参照すると、ランニングシューズ、フットボールシューズ、またはテニスシューズなどのスポーツシューズ2用のソール1は、ベース構成要素または必要に応じてトレッド構成要素3、トップ構成要素またはミッドソール4、ベース構成要素3とトップ構成要素4との間に配置され包囲された少なくとも1つの中間構成要素または弾性緩衝構成要素5を備える。それほど好ましくない変形例によれば、弾性緩衝構成要素5は、トップ構成要素またはミッドソール4の上または上方に、すなわち、トップ構成要素またはミッドソール構成要素4に対してベースまたはトレッド構成要素3とは反対に、または使用時には、トップ構成要素4の内面4cの上方に配置され得る。
【0016】
より具体的には、中間または弾性緩衝構成要素5は、単一の部品であり、ソール1のヒールまたは後部Rレベルに配置された後方部分6と、後方部分6から始まって先端または前部Fに向かって延伸する前方部分8とを含み、これによりソールのウエスト縁部または中間部分の領域と係合する。
【0017】
中間構成要素5は、例えば、PEBAX(登録商標)またはポリアミド、熱可塑性ポリウレタンなどの熱可塑性材料からなる群から選択される材料で製造されることができる。
【0018】
さらに、このような構成要素は、構成要素5全体を成形することによって単一の部品にする、または様々な部分を実現し、所望であれば接着によって、それらを互いに動かないように固定することもできる。
【0019】
中間構成要素5の後方部分6は、ソール1のそれぞれの側部11、12にそれぞれ延伸する2つの側方管状部分9、10と、2つの側方部分9、10を橋渡しする好ましくは板状の中央部分13とを含み、中央接続部分13は、2つの側方管状部分9、10とは異なる構成を有し、それによって、特に靴2に挿入される使用者の足によって加えられる圧力または衝撃に反応する挙動、例えば使用中のクッション性、弾性および安定性が、ソール1の一方の側部11から他方の側部12までの後方部分6の部分において異なるようにできる。
【0020】
前述のように、中央部分13は好ましくは板状であるが、それはまた管状である場合もあり、例えば横断面、すなわち後部Rから前部F方向に直交する平面に沿って取られた横断面が、側方管状部分9、10のうちの1つとは異なり、とりわけより低いかまたはより押しつぶされている。
【0021】
したがって、側方管状部分9、10は、中央部分13に関して互いに反対側にあり、それぞれ中央部分13の各端部から延伸する。必要に応じて、中央部分に対して互いに対向する側方管状部分の対がさらに多く設けられる。
【0022】
側方管状部分9、10はそれぞれ、後方部分6の幅の約1/4から1/3、例えば1/3の幅に、そしてソールの一方の側部11から他方の側部12への方向に延伸している。
【0023】
有利には、中央板状接続部分13は、ベース構成要素3の方を向けられた凹面で実質的に湾曲しており、さらにより有利には、底部、より具体的にはベース構成要素3の方へ開いており、すなわち、中間構成要素5は、中央板状接続部分13の下部閉鎖部は有していない。さらに、1つ、2つ、3つまたはそれ以上の第1貫通開口部FTOを中央部分13に形成することができ、その主延伸部は、ソール1の後部Rから前部Fの方向と実質的に位置合わせされている。第1貫通開口部FTOが設けられている場合は、これは必要に応じて、円形または長方形のような異なる幾何学的形状を有することができる。
【0024】
必要に応じて、管状部分9、10のそれぞれは、例えば、ソールの後部Rから前部F方向に対して横方向または直交する長手方向延伸軸線x‐x(特に図13を参照)の周りに延伸する長手方向開口部LOを画定する。2つの長手方向貫通開口部LOの長手方向延伸軸線x‐xは、同じであっても異なっていてもよく、例えば、長手方向開口部LOの長手方向延伸軸線は、互いに対して傾斜していてもよい。
【0025】
長手方向延伸軸線x‐xは、必ずしも管状部分9、10の長手方向対称軸線ではない。
長手方向開口部LOが設けられている場合は、各長手方向開口部LOは、ソール1のそれぞれの側部11、12で外側に開くことができ、必要に応じて、それぞれの管状部分9、10の内側端部、または中央接続部分13と対応する管状部分9、10の内側端部との間で中央接続部分13に画定または範囲が定められるそれぞれの排出溝または逃し溝EN1、EN2で内側に開くことができる。1つまたはそれぞれの排出溝または逃げ溝EN1、EN2もまた好ましくは、トップ構成要素4に向かって、またはベース構成要素3に向かって(図に示される実施形態の例によればトップ構成要素4に向かって)開いている。
【0026】
1つまたは複数の排出溝または逃げ溝EN1、EN2が設けられている場合、これは管状部分9、10および中央部分13の両方に、より大きい弾性または弾性変形の自由度を付与する。
【0027】
管状部分9、10は、トップ構成要素4に面する凹部またはくぼみ領域を画定するように、相互9a、10aに対して傾斜した第1湾曲区分または2つ以上の第1区分を有することができ、第1区分9a、10aはベース構成要素3に近接しており、管状部分は、ベース構成要素3に面する凹部またはくぼみ領域を画定するように、相互9b、10bに対して傾斜した第2湾曲区分または2つ以上の第2区分を有することができ、第2区分9b、10bはトップ構成要素4に近接している。
【0028】
区分9a、9b、10a、10bはそれぞれ、中央部分13のそれぞれの端部から延伸する。
【0029】
有利には、中央接続部分13は、管状部分9、10の第2区分9b、10bまたは第1区分9a、10aと実質的に位置合わせされているか、または同じ高さであり、その第1区分9a、10aと第2区分9b、10bのうちの他方は、異なる高さで、中央接続部分13よりベース構成要素3に近いか、またはより遠く延伸する。
【0030】
さらにより有利には、中央接続部分13は第2区分9b、10bと実質的に位置合わせされているかまたは同じ高さにあり、第1区分9a、10aは、中央部分13から出発してそれぞれの側部11、12に向かって、そしてベース構成要素3に向かって延伸する。
【0031】
好ましくは、管状部分9、10は、実質的に円錐形の形状を有するか、またはいずれの場合にも、円形または楕円形、もしくは多角形の断面を有し、所望であれば、中央接続部分13またはこれとのそれぞれの結合または接続端に向かって断面が縮小し、その際、1つまたは各長手方向開口部LOの幅は、ソール1の長手方向中心または中心線に近づくにつれて先細りになり、これにより中央接続部分13で、したがって第2区分9b、10bの内側端部に近接しているかまたは接触している第1区分9a、10aの内側端部で、実質的にゼロに等しくなる。明らかに、第1区分9a、10aおよび第2区分9b、10bの内側端部は、中央部分13の端部に対応する。
【0032】
この場合、1つまたはそれぞれの排出溝または逃げ溝EN1、EN2は、第1区分9a、10aまたは第2区分9b、10b、特にそれらのうちの一方の内側端部、すなわち中央部分13との接続または結合端で画定または範囲が定められる。
【0033】
中間構成要素5の1つまたは複数の要素、特に側方管状部分9、10および/または中央板状部分13の壁部の厚さは、一定、例えば1~10mmであることが好ましいが、一方から他方へ、および/または後部Rから前部Fへ、例えば1から10mmの間で可変でもあり得る。
【0034】
ソール1は、長手方向開口部LOの一方または両方へ延伸する歯またはリブを有することができ、これは好ましくは長手方向開口部LOを画定する壁部分から他の壁部分まで延伸し、したがって片持ち歯またはリブではない。
【0035】
さらに、長手方向開口部LOには、適切に柔らかい材料で充填部材を挿入することができる。
【0036】
中間構成要素5、より具体的にはそれぞれの後方部分6は、実際には板ばねを備え、中央部分13が板ばねの主要な弾性要素を構成し、側方管状部分9、10は板ばねの弾性圧潰可能な端部となる。
【0037】
これに関して、中央部分13は、例えば中央部分13がベース構成要素3の方を向いている凹部を画定する第1休止位置と、少なくとも1つの作業位置または圧潰位置との間で可動であり、中央部分13はベース構成要素3の方を向いている凸部または第1位置より低い実体の凹部を画定する。この動きは明らかに、靴2に挿入された使用者の足によってソールに加えられる圧力または圧潰によって制御される。
【0038】
使用者がソール1に圧力を加えると、代わりに側方管状部分9、10が圧潰し、それ故に長手方向開口部LOの幅が減少する。
【0039】
このような運動または圧潰に続いて、中央部分13と側方管状部分9、10との両方に弾性的に負荷がかけられ、例えば使用者が自分の足、そしてソール1を有する靴を上げたため、圧力が減少すると、部分9、10および13は、使用者の足に相対的な力を加えて、動いていないまたは圧潰されていない休止位置または初期位置に戻る傾向がある。そのような態様に関しては、よく理解されるように、部分9、10および13によって加えられる力は、それらに最初に加えられた圧力に応じた反力であり、さらに、各部分によって加えられる力は、後方部分6の構成によって、他から加えられる力とは無関係である。
【0040】
必要に応じて、中間構成要素5はまた、使用中に、側方管状部分9、10の一方または両方の外側端部9c、10cから延伸し、トップ構成要素4のそれぞれの部分を包囲する少なくとも1つのタブ16、17を備える。前記タブ16、17は、ベース構成要素3からソール1の前部Fまたは後部Rに向かって、上方または外側方向に延伸することができる。
【0041】
有利には、使用中に、ソールの側部11の側方管状部分9の外側端部9cから延伸する第1タブ16と、使用中に、ソール1の内側12の側方管状部分10の外側端部10cから延伸する第2タブ17とが設けられる。より具体的には、第1タブ16は上方へ向かって、またはベース構成要素3から離れるように、かつソール1の後部Rに向かって延伸し、第2タブ17は上方へ向かって、またはベース構成要素3から離れるように、かつソール1の前部Fに向かって延伸する。
【0042】
1つまたは各タブ16、17は、対応する第2区分9b、10bから延伸し、これと等しい延伸を有することができる。
【0043】
所望であれば、第1タブ16は、対応する第2区分9bから離れるにつれて徐々に減少する幅を有することができ、第2区分9bとの接続部分16aに対して、端部16bは約2/3から3/4の間にあることができる。
【0044】
第2タブ17は、対応する第2区分10bにおいて広いベースまたは結合部分17aを有することができ、したがって、ステム部分17bの幅が大幅に狭い、例えばベース部分16aに対して1/4から1/2の間であることができる。
【0045】
「側」部11とは、使用中に、ソールの外側、またはいずれの場合にも使用中に側方で、対のソールの他方のソールとは反対側を向く側を指す。一方、「内」側12は、使用中にソールの内側にある側、またはいずれの場合にも使用中に対のソールの他方のソール側を向いている側部を指す。
【0046】
他方で、中間構成要素5の前方部分8は実質的に板状であってもよく、任意選択で1つまたは複数のリブ8aまたは溝8b、またはいずれの場合にも、ベース構成要素3またはトップ構成要素4の開口部または突出部3a、4aに大きさが合わせられるか、緩く嵌合するように設計される突起を有することができる。
【0047】
さらに、前方部分8は、適切な形状の、例えば、必要に応じてソールの前部に面する凹部または凸部またはくぼみ領域8dを画定するように湾曲しているC字形の、先端または端部8cを有することができる。
【0048】
前方部分8は例えば、実質的に平らであり得る。
必要に応じて、前方部分8は、後方部分6から離れるにつれて、またはその長さの一部について幅が減少することができ、例えば、その幅の、または後方部分6の幅の1/3から2/3の間、または1/2から2/3の間の幅まで減少し、次いで先端8bまで増大する。前方部分8はまた、製造される靴の種類に応じて、ベース構成要素3と同じ幅および長さ、あるいは長方形の形状または他の形状を有することができる。
【0049】
ソール1は、中間構成要素5の後方部分6とベース構成要素3との間に配置され包囲されたヒールインサート18を備えることができる。ヒールインサート18はまた、ベース構成要素3またはトップ構成要素4と一体的に実現されることもできる。例えば、ヒールインサート18がトップ構成要素4と一体になっている場合、それらはそれぞれの端部でのみ拘束されて実現され得る。
【0050】
ヒールインサート18は、中間構成要素5を下方から、またはいずれの場合にも中間構成要素5とベース構成要素3との間の領域から、支持するように設計されている。所望であれば、下方にあるかまたはベース構成要素3に面する中間構成要素5の表面5aと接触している、また所望であれば、これと実質的に結合している、ベース構成要素3から遠位の第1表面18aをヒールインサート18が画定し、この面は、中央板状部分13と側方管状部分9、10の両方によって画定されている。第1表面18aは、トップ構成要素4に面する凹部によって湾曲していることができる。この点に関して、表面5aは、ヒールインサート18の前縁部、またはいずれ場合にも対応する部分に係合する段部またはそれと類似の部分5bを有することができる。
【0051】
必要に応じて、ヒールインサート18は、好ましくは非貫通の溝18bを画定し、これは第1表面18aに関連し得る。
【0052】
ヒールインサート18は、後部Rから前部Fへの方向に向かって変化する厚さ、より具体的には最初に減少しその後わずかに増加する厚さを有することができる。
【0053】
ヒールインサート18の第2表面18c、すなわち使用中にベース構成要素3の内面3cの近位側または内側と接触する面は、実質的に平坦であることができ、任意選択的に、表面3cの対応する部分と形状が(緩みを持ってまたは持たずに)係合する溝または突起を有する。
【0054】
ヒールインサート18が設けられている場合、それは、好ましくはEVA(エチレンビニルアセテート)、ポリウレタン(PU)、熱可塑性ゴム(TPR)、ゴム、熱可塑性ポリウレタン(TPU)フォーム、ゲルまたはそれらの混合物で作られる。
【0055】
ヒールインサート18は、ソール1の振動の吸収および弾性を改善することを保証するかまたはそれに寄与する。
【0056】
トップ構成要素4は、くぼみ状の型Mを画定することができ、中間構成要素5は、実質的に同じ大きさに、またはわずかに緩みを持って収容される。
【0057】
ベース構成要素3およびトップ構成要素4はそれぞれ、内面3c、4cおよび外面3d、4dである平坦またはわずかに湾曲した主表面と、それぞれの周囲全体にはない適切な隆起縁部3e、4eとを有するように適切に形成されたそれぞれのプレートを備える。
【0058】
ベース構成要素3およびトップ構成要素4は相互に結合または拘束され、これは必要に応じて、それらの長さの一部ではそれぞれの内部主要面3c、4cの支持または接触によって、またベース構成要素3およびトップ構成要素4の一方の縁部分3fが、トップ構成要素4およびベース構成要素3の他方によって画定されたそれぞれの凹部またはキャビティ4f内での嵌合または支持によって行われる。
【0059】
ベース構成要素3およびトップ構成要素4は、糊および/または接着剤によって互いに強固に固定されていることが好ましい。
【0060】
これらの構成要素3、4は、中間構成要素5および、ヒールインサート18が設けられている場合にはヒールインサートの位置決め領域を互いに画定する。
【0061】
したがって、中間構成要素5は、必要に応じて、タブ16、17において、ベース構成要素3とトップ構成要素4とによって画定される領域に対して横方向および/または後部Rに突出することができる。
【0062】
ヒールインサート18が設けられている場合には、これはベース構成要素3とトップ構成要素4とによって画定される領域に対して横方向および/または後部Rに、特にソール1の後部Rに突出することができる。
【0063】
ベース構成要素3および/またはトップ構成要素4は、好ましくは、それぞれ一体品である。それほど好ましくない変形例によれば、ベース構成要素3とトップ構成要素4とが一体に作られ、中間構成要素5のそれらの間への挿入部(設けられている場合は)のために適切に切断されることができる。
【0064】
さらに、中間構成要素5が延伸していないかまたは設けられていないソール1の前側領域において、ベース構成要素3の内面3cは、使用中にトップ構成要素4の内面4cと接触していることが好ましい。これに関して、構成要素3、4の厚さは、可変でも一定でもよい。
【0065】
ベース構成要素3は、ゴム、TPR、TPU、PU、EVAまたはそれらの混合物からなる群から選択される材料から作製されることが好ましい。
【0066】
ベース構成要素3は、外側に複数のスタッドを有することができる。
トップ構成要素4は、好ましくは、EVA、PU、TPR、またはそれらの混合物からなる群から選択された材料でできている。
【0067】
本発明に係り、靴2も提供され(例えば図14を参照)、これは上述のようなソール1と、ソール1のトップ構成要素4に拘束された、特にその主外面4dで例えば前記構成要素に接着されたアッパ21とを備える。明らかに、アッパ21がソールに拘束されているとき、その表面4dはもはや外面または視野内にはない。弾性緩衝構成要素5がトップ構成要素またはミッドソール4の上方に配置される場合、アッパは弾性緩衝構成要素5に拘束されることもできる。
【0068】
靴2は、もちろんインソールを備えることもできる。
理解されるように、本発明によるソールによって、特にソール1の背面または後部において、正しい中央および横方向のクッション性を得ることが可能である。
【0069】
明らかに、中央緩衝部は主に中央部分13によって保証され、一方、測方緩衝部は側方管状部分9、10によって提供される。
【0070】
さらに、中間構成要素の後方部分の部分9、10および13、特にその異なる構成のおかげで、ソールの一方の側部11と他方の側部12とで異なるクッション性、弾性および安定性などの挙動が達成される。
【0071】
これは特に、中間構成要素5、より詳細にはその後方部分6の板ばね構成によるものである。
【0072】
前述のように、実際には、ソールの動きまたは圧潰により、中央部分13と側方管状部分9、10の両方に弾性的に負荷がかかり、例えば使用者が自分の足、そしてソール1を有する靴を上げたために圧力が減少すると、部分9、10、13は、使用者の足にそれぞれの(反)力を加えて、動いていないまたは圧潰されていない休止位置または初期位置に戻る傾向がある。
【0073】
これに関して、管状部分9、10の中央部分13の構造、および排出または逃し開口部EN1、EN2の位置によって、後方部分6の部分のクッション性、弾性および安定性を提供することが可能になる。
【0074】
これに関して、明らかに、足の内側と外側の圧力と挙動は異なるので、本発明によるソールの構造はこの点に適合し、これまでに提案されてきたソールよりも優れた性能を保証することを可能にする。
【0075】
したがって、優れた衝撃吸収性および弾性的な戻りが得られ、それは長手方向および横方向の両方に適切に分布している。
【0076】
本発明の改変および変形は、特許請求の範囲によって規定される保護範囲内で可能である。
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