(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】抗炎症剤および免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアによる組み合わせ処置に関連する方法および組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 38/44 20060101AFI20240722BHJP
A61K 31/436 20060101ALI20240722BHJP
A61K 31/165 20060101ALI20240722BHJP
A61K 31/192 20060101ALI20240722BHJP
A61K 31/445 20060101ALI20240722BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20240722BHJP
A61K 9/51 20060101ALI20240722BHJP
A61K 47/60 20170101ALI20240722BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20240722BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240722BHJP
A61P 19/06 20060101ALI20240722BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
A61K38/44
A61K31/436
A61K31/165
A61K31/192
A61K31/445
A61K31/573
A61K9/51
A61K47/60
A61K47/34
A61K47/10
A61P19/06
A61P43/00 121
(21)【出願番号】P 2019549532
(86)(22)【出願日】2018-03-11
(86)【国際出願番号】 US2018021897
(87)【国際公開番号】W WO2018169811
(87)【国際公開日】2018-09-20
【審査請求日】2021-03-03
(32)【優先日】2017-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511254321
【氏名又は名称】セレクタ バイオサイエンシーズ インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】SELECTA BIOSCIENCES,INC.
【住所又は居所原語表記】65 Grove Street,Watertown,MA 02472,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョンストン,ロイド
【審査官】春田 由香
(56)【参考文献】
【文献】Kishimoto, T. K. et al.,Improving the efficacy and safety of biologic drugs with tolerogenic nanoparticles,Nature Nanotechnology,2016年,Vol.11, No.10,p.890-899,doi:10.1038/nnano.2016.135
【文献】谷口 敦夫,Pegloticaseによる難治性痛風の治療,高尿酸血症と痛風,2014年,第22巻, 第2号,p.147-152
【文献】中島 亜矢子,高尿酸血症・痛風の検査・診断・治療 治療 薬物治療 痛風発作治療薬,日本臨床,2016年,第74巻, 増刊号9,p.221-224
【文献】室井 延之,痛風発作に用いる薬剤はどんなものがあるの?,Nutrition Care,2016年,第9巻, 第10号,p.934-935
【文献】藤森 新,痛風発作の治療 わが国のガイドラインと他国のガイドラインとの違い,高尿酸血症と痛風,2016年,第24巻, 第1号,p.30-34
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/00-38/58
A61K 45/00-45/08
A61K 31/00-31/80
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
PubMed
医中誌WEB
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i) 上昇した血清尿酸レベルおよび/または望ましくない尿酸沈着;および/または
(ii) 高尿酸血症;および/または
(iii)痛風または痛風に関連する状態
の処置を、これを必要とする対象においてする方法における使用のための、免疫抑制剤を含むポリマー性合成ナノキャリアを含む組成物であって、
方法が、前記対象に、
1)該組成物と、2)ペガドリカーゼを含む組成物とを併用投与すること
を含み;および、さらに、
3)抗炎症性治療剤を含む組成物を投与すること
を含み、
ここで、抗炎症性治療剤を含む組成物が、免疫抑制剤を含むポリマー性合成ナノキャリアを含む組成物およびペガドリカーゼを含む組成物と併用して投与され、
ここで、ポリマー性合成ナノキャリアが、PLAおよびPLA-PEGを含み、
ここで、免疫抑制剤が、ラパマイシ
ンであり、ならびに
ここで、抗炎症性治療剤が、コルヒチンまたはイブプロフェンである、前記組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の使用のための組成物であって、抗炎症性治療剤を含む組成物が、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物およびペガドリカーゼを含む組成物の前に投与される、前記組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の使用のための組成物であって、抗炎症性治療剤が、前に、少なくとも1回、任意に一週間前に投与される、前記組成物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の使用のための組成物であって、対象に、輸注反応治療剤を含む1つ以上の組成物を投与することをさらに含み、
任意にここで、輸注反応治療剤を含む1つ以上の組成物が、抗ヒスタミン剤および/または副腎皮質ステロイドを含み、例えば、抗ヒスタミン剤が、フェキソフェナジンであり、および/または副腎皮質ステロイドが、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、またはデキサメタゾンである、前記組成物。
【請求項5】
請求項4に記載の使用のための組成物であって、輸注反応治療剤を含む1つ以上の組成物が、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物およびペガドリカーゼを含む組成物よりも前に、少なくとも1回、投与され、任意にここで、
(a)輸注反応治療剤を含む組成物が、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物およびペガドリカーゼを含む組成物の前に、少なくとも2回、投与され;および/または
(b)輸注反応治療剤を含む組成物が、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物およびペガドリカーゼを含む組成物の24時間以内に投与される、前記組成物。
【請求項6】
対象が、
(a)ヒトであり;および/または
(b)急性痛風;痛風結節を伴うかまたはこれを伴わない慢性痛風;特発性痛風;慢性難治性痛風などの難治性痛風;続発性痛風;不特定痛風;心血管の状態、腎臓の状態、肺の状態、神経の状態、眼の状態、皮膚科学的状態または肝臓の状態に関連する痛風を有するか;または、痛風発作または痛風フレアを既に有した、
請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
1)、2)、および3)の組成物の投与が繰り返され、任意に、
(a)1)、2)、および3)の組成物の投与が、毎月繰り返され;および/または
(b)各繰り返し投与の抗炎症性治療剤を含む組成物が、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物およびペガドリカーゼを含む組成物の対応する繰り返し投与の時間に対して相対的に、請求項2または3において定義されるとおりに与えられ;および/または
(c)各繰り返し投与の抗炎症性治療剤を含む組成物が、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物およびペガドリカーゼを含む組成物の対応する繰り返し投与の時間に対して相対的に、請求項5において定義されるとおりに与えられる、
請求項1~6のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項8】
(i) 上昇した血清尿酸レベルおよび/または望ましくない尿酸沈着;および/または
(ii) 高尿酸血症;および/または
(iii)痛風または痛風に関連する状態
を処置するための組成物であって、組成物が、
1)免疫抑制剤を含むポリマー性合成ナノキャリアを含む組成物、および
2)ペガドリカーゼを含む組成物を含み;およびさらに
3)抗炎症性治療剤を含む組成物
を含み、
ここで、ポリマー性合成ナノキャリアが、PLAおよびPLA-PEGを含み、
ここで、免疫抑制剤が、ラパマイシ
ンであり、ならびに
ここで、抗炎症性治療剤が、コルヒチンまたはイブプロフェンである、前記組成物。
【請求項9】
対象が、
(a)ヒトであり;および/または
(b)急性痛風;痛風結節を伴うかまたはこれを伴わない慢性痛風;特発性痛風;慢性難治性痛風などの難治性痛風;続発性痛風;不特定痛風;心血管の状態、腎臓の状態、肺の状態、神経の状態、眼の状態、皮膚科学的状態または肝臓の状態に関連する痛風を有するか;または、痛風発作または痛風フレアを既に有した、
請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
輸注反応治療剤を含む1つ以上の組成物をさらに含み、
任意に、輸注反応治療剤を含む1つ以上の組成物が、抗ヒスタミン剤および/または副腎皮質ステロイドを含み、
例えば、抗ヒスタミン剤が、フェキソフェナジンであり、および/または副腎皮質ステロイドが、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、またはデキサメタゾンである、
請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
免疫抑制剤が
さらに、(a)ラパロ
グ、例えばテムシロリムス(CCI-779)、デフォロリムス、エベロリムス(RAD001)、リダフォロリムス(AP-23573)、もしくはゾタロリムス(ABT-578)
を含み;および/または
免疫抑制剤が、(b)合成ナノキャリア中に被包される、
請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
(a)ポリマー性合成ナノキャリアが
さらに、PLG、PLGA、またはポリカプロラクトンを含み;および/または
(b)ポリマー性合成ナノキャリアが、PEGをさらに含み、任意にPEGが
、PLG、PLGA、またはポリカプロラクトンに抱合しており、例えば、ポリマー性合成ナノキャリアが
さらに、PLG、PLGA、またはポリカプロラクトン、およ
びPLG、PLGA、またはポリカプロラクトンに抱合しているPEGを
含む、
請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
合成ナノキャリアの動的光散乱を用いて得られた粒子サイズ分布の平均値が、
(a)120、150、200、または250nmより大きな直径であり;および/または
(b)500、450、400、350、300、250、または200nmより小さい、
請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
合成ナノキャリアの免疫抑制剤の充填量が、7~12重量%または8~12重量%であり、任意に
(a)7~10重量%または8~10重量%であり;または
(b)7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、11重量%、または12重量%である、
請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2017年3月11日に出願された米国仮出願62/470,250の35 U.S.C.§119下における優先権の利益を主張し、当該仮出願の各々の全内容は、本明細書において参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
発明の分野
本明細書において提供されるのは、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物、およびウリカーゼを含む組成物、および抗炎症性治療剤を含む組成物に関連する、方法およびキットなどの組成物である。また本明細書において提供されるのは、ウリカーゼを用いる投与または処置を必要とする対象の処置のための方法および組成物である。
【発明の概要】
【0003】
発明の要旨
一側面において、それを必要とする対象に、1)免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物と2)ウリカーゼを含む組成物とを併用して(concomitantly)投与することを含み;およびさらに、3)抗炎症性治療剤を含む組成物を投与することを含み、ここで、抗炎症性治療剤を含む組成物が、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物およびウリカーゼを含む組成物と併用投与される、方法が提供される。
【0004】
本明細書において提供される方法または組成物のうちのいずれか1つの一態様において、抗炎症性治療剤を含む組成物は、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物、およびウリカーゼを含む組成物の前に投与される。本明細書において提供される方法または組成物のうちのいずれか1つの一態様において、抗炎症性治療剤は、少なくとも1回、前に投与される。本明細書において提供される方法または組成物のうちのいずれか1つの一態様において、抗炎症性治療剤は、1週間前に投与される。
【0005】
本明細書において提供される方法または組成物のうちのいずれか1つの一態様において、抗炎症性治療剤は、NSAIDである。本明細書において提供される方法または組成物のうちのいずれか1つの一態様において、抗炎症性治療剤は、コルヒチンまたはイブプロフェンである。
【0006】
本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、方法は、対象に、輸注反応治療剤を含む1つ以上の組成物を投与することをさらに含む。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、方法は、少なくとも2つの輸注反応治療剤の投与を含む。
【0007】
本明細書において提供される方法または組成物のうちのいずれか1つの一態様において、輸注反応治療剤は、抗ヒスタミン剤および/または副腎皮質ステロイドを含む。本明細書において提供される方法または組成物のうちのいずれか1つの一態様において、抗ヒスタミン剤は、フェキソフェナジンである。本明細書において提供される方法または組成物のうちのいずれか1つの一態様において、副腎皮質ステロイドは、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロンまたはデキサメタゾンである。
【0008】
本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、輸注反応治療剤を含む組成物は、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物およびウリカーゼを含む組成物と併用投与される。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、輸注反応治療剤を含む組成物は、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物およびウリカーゼを含む組成物よりも前に、少なくとも1回、投与される。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、輸注反応治療剤を含む組成物は、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物およびウリカーゼを含む組成物の前に、少なくとも2回、投与される。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、輸注反応治療剤を含む組成物は、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物およびウリカーゼを含む組成物の24時間以内に投与される。
【0009】
本明細書において提供される方法または組成物のうちのいずれか1つの一態様において、ウリカーゼは、ペグ化ウリカーゼである。本明細書において提供される方法または組成物のうちのいずれか1つの一態様において、ペグ化ウリカーゼは、ペグシチカーゼ(すなわち、ペガドリカーゼ(pegadricase))またはペグロチカーゼである。本明細書において提供される方法または組成物のうちのいずれか1つの一態様において、免疫抑制剤は、mTOR阻害剤である。本明細書において提供される方法または組成物のうちのいずれか1つの一態様において、mTOR阻害剤は、ラパログである。本明細書において提供される方法または組成物のうちのいずれか1つの一態様において、ラパログは、ラパマイシンである。
【0010】
本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、対象は、ヒトである。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、対象は、上昇した血清尿酸レベルおよび/または望ましくない尿酸沈着を有する対象である。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、対象は、高尿酸血症を有する。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、対象は、痛風または痛風に関連する状態を有する。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、対象は、急性痛風;痛風結節を伴うかまたはこれを伴わない慢性痛風;特発性痛風;慢性難治性痛風などの難治性痛風;続発性痛風;不特定痛風;心血管の状態、腎臓の状態、肺の状態、神経の状態、眼の状態、皮膚科学的状態または肝臓の状態に関連する痛風を有するか;または、痛風発作または痛風フレアを既に有している。
【0011】
本明細書において提供される方法または組成物のうちのいずれか1つの一態様において、免疫抑制剤は、合成ナノキャリア中に被包される。本明細書において提供される方法または組成物のうちのいずれか1つの一態様において、合成ナノキャリアは、ポリマー性合成ナノキャリアである。本明細書において提供される方法または組成物のうちのいずれか1つの一態様において、ポリマー性合成ナノキャリアは、疎水性ポリエステルを含む。本明細書において提供される方法または組成物のうちのいずれか1つの一態様において、疎水性ポリエステルは、PLA、PLG、PLGAまたはポリカプロラクトンを含む。本明細書において提供される方法または組成物のうちのいずれか1つの一態様において、ポリマー性合成ナノキャリアは、PEGをさらに含む。本明細書において提供される方法または組成物のうちのいずれか1つの一態様において、PEGは、PLA、PLG、PLGAまたはポリカプロラクトンに抱合している。本明細書において提供される方法または組成物のうちのいずれか1つの一態様において、ポリマー性合成ナノキャリアは、PLA、PLG、PLGAまたはポリカプロラクトン、およびPLA、PLG、PLGAまたはポリカプロラクトンに抱合しているPEGを含む。本明細書において提供される方法または組成物のうちのいずれか1つの一態様において、ポリマー性合成ナノキャリアは、PLAおよびPLA-PEGを含む。
【0012】
本明細書において提供される方法または組成物のうちのいずれか1つの一態様において、合成ナノキャリアの動的光散乱を用いて得られた粒子サイズ分布の平均値は、120nmより大きな直径である。本明細書において提供される方法または組成物のうちのいずれか1つの一態様において、直径は、120nmより大きい。本明細書において提供される方法または組成物のうちのいずれか1つの一態様において、直径は、200nmより大きい。本明細書において提供される方法または組成物のうちのいずれか1つの一態様において、直径は、250nmより大きい。本明細書において提供される方法または組成物のうちのいずれか1つの一態様において、直径は、500nmより小さい。本明細書において提供される方法または組成物のうちのいずれか1つの一態様において、直径は、450nmより小さい。本明細書において提供される方法または組成物のうちのいずれか1つの一態様において、直径は、400nmより小さい。本明細書において提供される方法または組成物のうちのいずれか1つの一態様において、直径は、350nmより小さい。本明細書において提供される方法または組成物のうちのいずれか1つの一態様において、直径は、300nmより小さい。本明細書において提供される方法または組成物のうちのいずれか1つの一態様において、直径は、250nmより小さい。本明細書において提供される方法または組成物のうちのいずれか1つの一態様において、直径は、200nmより小さい。
【0013】
本明細書において提供される方法または組成物のうちのいずれか1つの一態様において、合成ナノキャリアの免疫抑制剤の充填量(load)は、7~12重量%または8~12重量%である。本明細書において提供される方法または組成物のうちのいずれか1つの一態様において、合成ナノキャリアの免疫抑制剤の充填量は、7~10重量%または8~10重量%である。本明細書において提供される方法または組成物のうちのいずれか1つの一態様において、合成ナノキャリアの免疫抑制剤の充填量は、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、11重量%、または12重量%である。
【0014】
本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、組成物のセットのうちのいずれか1つの投与は、繰り返される。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、組成物の繰り返し投与は、毎月繰り返される。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、各繰り返し投与の抗炎症性治療剤を含む組成物は、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物およびウリカーゼを含む組成物の対応する繰り返し投与の時間に対して相対的に、本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つにおけるもののように投与される。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、各繰り返し投与の輸注反応治療剤を含む組成物は、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物およびウリカーゼを含む組成物の対応する繰り返し投与の時間に対して相対的に、本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つにおけるもののように投与される。
【0015】
本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物およびウリカーゼを含む組成物の投与は、それぞれ、本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの用量および/または頻度および/またはタイミングに従う。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物、ウリカーゼを含む組成物、および抗炎症性治療剤を含む組成物の投与は、それぞれ、本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの用量および/または頻度および/またはタイミングに従う。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物、ウリカーゼを含む組成物、抗炎症性治療剤を含む組成物、および輸注反応治療剤を含む1つ以上の組成物の投与は、それぞれ、本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの用量および/または頻度および/またはタイミングに従う。それぞれの用量および/または頻度および/またはタイミングのうちのいずれか1つを、本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つのために、それぞれの組成物について、用いることができる。
【0016】
本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物およびウリカーゼを含む組成物の投与は、それぞれ、本明細書において提供されるレジメンのうちのいずれか1つに従う。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物、ウリカーゼを含む組成物、および抗炎症性治療剤を含む組成物の投与は、それぞれ、本明細書において提供されるレジメンのうちのいずれか1つに従う。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物、ウリカーゼを含む組成物、抗炎症性治療剤を含む組成物、および輸注反応治療剤を含む1つ以上の組成物の投与は、それぞれ、本明細書において提供されるレジメンのうちのいずれか1つに従う。それぞれのレジメンのうちのいずれか1つを、本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つのために、それぞれの組成物について、用いることができる。
【0017】
本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物の投与は、本明細書において提供される投与の様式のうちのいずれか1つに従って投与される。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、ウリカーゼを含む組成物の投与は、本明細書において提供される投与の様式のうちのいずれか1つに従って投与される。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、抗炎症性治療剤を含む組成物の投与は、本明細書において提供される投与の様式のうちのいずれか1つに従って投与される。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの一態様において、輸注反応治療剤を含む組成物の投与は、本明細書において提供される投与の様式のうちのいずれか1つに従って投与される。
【0018】
一側面において、1)免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物、および2)ウリカーゼを含む組成物を含み;およびさらに、3)抗炎症性治療剤を含む組成物を投与すること、を含む組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、DECTを用いて可視化された痛風結節/尿酸沈着を示す画像である。
【
図2】
図2は、SEL-212の成分の図示である。
【
図3】
図3は、第1a相臨床治験の5つのコホートにおける、ペグシチカーゼの単回の静脈内注入の後の、平均血清尿酸(sUA)レベルのグラフである。
【
図4】
図4は、第1b相臨床治験における第1a相臨床治験のコホート#3およびコホート#9、コホート#4、およびコホート#6における各々の対象についての血清尿酸レベルおよびウリカーゼ特異的ADAレベルを示す図面である。
【0020】
【
図5】
図5は、第1a相臨床からのコホート#3、ならびに第1b相臨床治験からのコホート#9、コホート#1、コホート#2、コホート#3、コホート#4、コホート#5およびコホート#6からの、血清尿酸レベルを示すグラフである。
【
図6】
図6は、左から右へ、2つの複製のKystexxa(登録商標)治験からのデータを示し、中央は、SVP-ラパマイシン単独に対してペグシチカーゼ単独(コホート#9)、および次いでラパマイシン単独に対してコホート#6(SEL-212コホート)のデータである。
【
図7】
図7は、単独での、またはラパマイシン(SVP-ラパマイシン)(0.1または0.3mg/kg)を含む合成ナノキャリアと組み合わせた、ペグシチカーゼで処置された対象の血清尿酸レベルを示す図面である。
【
図8】
図8は、第2相臨床治験についての用量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発明の詳細な説明
A.概略
抗薬物抗体(ADA)は、可溶性の治療用タンパク質による処置による合併症、例えば効力の低下の可能性となり得る。加えて、痛風に関連する状態を有する対象の処置の場合に、効力が増大される場合に、痛風フレアが増加し得る。驚くべきことに、抗炎症性治療剤を、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物およびウリカーゼを含む組成物と共に投与することにより、より良好な処置の効力ならびに痛風フレアの軽減をもたらし得ることを見出した。この予期されない結果は、表4において示すような他の治療よりも、著しく優れている。特に、フレアの頻度ならびに経時的な平均sUA(血清尿酸)レベルの曲線下面積の組み合わせ評価を行った。SEL-212の研究薬および抗炎症処置により改善された効力および軽減された痛風フレアの両方の知見は、驚くべきものであった。
【0022】
B.定義
「投与すること」または「投与」または「投与する」とは、対象において薬理学的結果が存在するように、対象に材料を与えることを意味する。これは、直接投与であっても、または間接投与、例えば、別の対象(別の医師もしくは対象自身を含む)を、投与を行うように、誘導もしくは指示をすることによるものなどのであってもよい。
【0023】
「有効量」とは、対象への投与のための組成物または用量に関して、対象において1つ以上の所望される応答をもたらす、組成物または用量の量を指す。いくつかの態様において、有効量とは、薬力学的に有効な量である。したがって、いくつかの態様において、有効量とは、本明細書において提供される組成物または用量の、任意の量であって、本明細書において提供されるような所望される治療効果および/または免疫応答のうちの1つ以上を提供するものである。この量は、in vitroまたはin vivoでの目的のためのものであってよい。in vivoでの目的のために、量は、医師が、それを必要とする対象のための臨床的利益を有し得ると考えるであろうものであってよい。本明細書において提供されるような、ラベル用量を含む組成物または用量のうちのいずれか1つは、有効量におけるものであってよい。
【0024】
有効量は、望ましくない応答のレベルを低下させることを含んでもよいが、いくつかの態様において、それは、望ましくない応答を完全に予防することを含む。有効量はまた、望ましくない応答の発生を遅延させることを含んでもよい。有効である量とはまた、所望される治療上のエンドポイントまたは所望される治療結果をもたらす量であってもよい。他の態様において、有効量は、治療上のエンドポイントまたは結果などの、所望される応答のレベルを増強することを含んでもよい。有効量は、好ましくは、本明細書において提供される対象のうちのいずれか1つにおいて、効力の改善と組み合わせて、治療結果またはエンドポイント、および/または処置に対するADAの減少もしく除去、および/または痛風フレアの頻度の低下をもたらす。前述のうちのいずれかの達成は、慣用的な方法によりモニタリングすることができる。
【0025】
有効量は、無論、処置されている特定の対象;状態、疾患または障害の重篤度;年齢、身体的条件、サイズおよび体重を含む個々の患者のパラメーター;処置の期間;併用治療(ある場合は)の性質;投与の具体的な経路、および健康管理者の知識および専門知識の範囲内における同様の要因に依存するであろう。これらの要因は、当業者に周知であり、慣用的な実験のみを用いて取り組むことができる。一般に、最大用量、すなわち、健全な医学的判断に従う最も高い安全な用量を用いることが好ましい。当業者は、患者が、医学的理由、心理学的理由のために、または実質的にあらゆる他の理由のために、より低い用量または耐用可能な用量を主張する場合があることを理解するであろう。
【0026】
本発明の組成物のうちのいずれか1つにおける、または本発明の方法のうちのいずれか1つにおいて用いられる、構成成分の用量とは、組成物における構成成分の量、投与された対象により受け取られるそれぞれの構成成分の実際の量、またはラベル上に現われる量(本明細書においてラベル用量としても言及される)を指し得る。用量は、所望される量の構成成分を提供する合成ナノキャリアの数に基づいて投与することができる。
【0027】
「抗ヒスタミン剤」とは、ヒスタミンの効果を遮断する剤を指す。
「結合する(attach)」または「結合している(attached)」または「カップリングする(couple)」または「カップリングしている(coupled)」(および類似のもの)は、1つの実体(例えば部分)を別のものに化学的に会合させることを意味する。いくつかの態様において、結合は、共有結合性のものであり、これは、結合が、2つの実体の間の共有結合の存在に関して起こることを意味する。非共有結合性の態様において、非共有結合は、電荷相互作用、アフィニティー相互作用、金属配位、物理的吸着、ホスト-ゲスト相互作用、疎水性相互作用、TTスタッキング相互作用、水素結合相互作用、ファンデルワールス相互作用、磁性相互作用、静電相互作用、双極子-双極子相互作用、および/またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、非共有結合性の相互作用により媒介される。態様において、被包(encapsulation)は、結合の一形態である。
「平均」とは、本明細書において用いられる場合、別段に記されない限り、算術平均を指す。
【0028】
「併用して(concomitantly)」とは、時間的に相関する、好ましくは生理学的または免疫学的応答の調節をもたらすために十分に時間的に相関する様式において、2つ以上の材料/剤を対象に投与することを意味し、さらにより好ましくは、2つ以上の材料/剤は、組み合わせて投与される。態様において、併用投与は、特定された期間内における、好ましくは1か月以内、より好ましくは1週間以内、なおより好ましくは1日以内、およびさらにより好ましくは1時間以内における、2つ以上の材料/剤の投与を包含し得る。態様において、2つ以上の材料/剤は、連続的に投与される。態様において、材料/剤は、繰り返して併用して投与され得る;すなわち、1回より多くの機会における併用投与である。
【0029】
「用量」とは、所与の時間にわたる対象への投与のための、薬理学的に活性な材料の特定の量を指す。別段に特定されない限り、ペグ化ウリカーゼを含む組成物について列挙される用量は、ウリカーゼの重量を指す(すなわち、PEGまたはペグ化ウリカーゼを含む組成物の任意の他の構成成分の重量を除いたタンパク質)。また、別段に特定されない限り、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物について列挙された用量は、免疫抑制剤の重量を指す(すなわち、合成ナノキャリア材料または合成ナノキャリア組成物の他の構成成分のうちのいずれかの重量を除く)。投与のための用量に言及する場合、本明細書において提供される方法、組成物またはキットのうちのいずれか1つの一態様において、本明細書において提供される用量のうちのいずれか1つは、ラベル上に現われるとおりの用量/ラベル用量である。
【0030】
「被包する(encapsulate)」とは、物質の少なくとも一部を合成ナノキャリア中に封入(enclose)することを意味する。いくつかの態様において、物質は、合成ナノキャリア中に完全に封入される。他の態様において、被包される物質のうちのほとんどまたは全ては、合成ナノキャリアにとって外部の局所環境に暴露されない。他の態様において、50%、40%、30%、20%、10%または5%(重量/重量)以下が、局所環境に暴露される。被包は、物質のうちのほとんどまたは全てを合成ナノキャリアの表面上に配置して、当該物質を合成ナノキャリアにとって外部の局所環境に暴露させたままでおく吸収とは異なる。本明細書において提供される方法または組成物のうちのいずれか1つの態様において、免疫抑制剤は、合成ナノキャリア中に被包される。
【0031】
「上昇した血清尿酸レベル」とは、対象の血清中の尿酸の任意のレベルであって、望ましくない結果をもたらし得るか、または医師により上昇したとみなされるであろうものを指す。一態様において、本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つの対象は、≧5mg/dL、≧6mg/dL、または≧7mg/dLの血清尿酸レベルを有していてもよい。かかる対象は、高尿酸血症の(hyperuremic)対象であってもよい。対象が上昇した血中尿酸レベルを有するか否かは、医師により決定され得、いくつかの態様においては、対象は、上昇した血清尿酸レベルを有するものとして同定したか、またはそのように同定するであろうものである。
【0032】
「痛風」は、一般に、組織および関節における尿酸の結晶の沈着、および/または臨床に関連性がある上昇した血清尿酸レベルなどの、尿酸の集積と関連する障害または状態を指す。尿酸の蓄積は、尿酸の過剰産生または尿酸の排出の低下に起因してもよい。痛風は、無兆候性から、重篤かつ有痛性の炎症状態までの範囲であり得る。「痛風に関連する状態」とは、対象における任意の状態であって、炎症および免疫応答を含む痛風の局所および/または全身効果を経験するもの、および当該状態が痛風により引き起こされるかまたは増悪される、または当該状態が痛風を引き起こし得るかまたはこれを増悪し得るものを指す。痛風フレアは、痛風の症状の「発作」または増悪であって、任意の時間に起こり得る。痛風フレアは、尿酸低下治療の投与の後で起こる痛風フレアを含み得る。
【0033】
「疎水性ポリエステル」とは、1つ以上のポリエステルポリマーまたはその単位を含み、疎水性の特徴を有する、任意のポリマーを指す。ポリエステルポリマーとして、これらに限定されないが、PLA、PLGA、PLGおよびポリカプロラクトンが挙げられる。「疎水性」とは、水への水素結合に実質的に関与しない材料を指す。かかる材料は、一般に非極性であるか、本来非極性であるか、または電荷において中性である。合成ナノキャリアは、疎水性ポリエステルまたはその単位から完全になっていてもよい。いくつかの態様においては、しかし、合成ナノキャリアは、疎水性ポリエステルまたはその単位を、他のポリマーまたはその単位と組み合わせて含む。これらの他のポリマーまたはその単位は、疎水性であってよいが、必ずしもそうでなくともよい。いくつかの好ましい態様において、合成ナノキャリアが、疎水性ポリエステルに加えて1つ以上の他のポリマーまたはその単位を含む場合、他のポリマーまたはその単位と疎水性ポリエステルとのマトリックスは、全体として疎水性である。本発明において用いることができ、疎水性ポリエステルを含む合成ナノキャリアの例は、米国公開番号2016/0128986およびUS 2016/0128987において見出すことができ、かかる合成ナノキャリアおよびかかる合成ナノキャリアの開示は、本明細書において参考として援用される。
【0034】
「免疫抑制剤」とは、本明細書において用いられる場合、本明細書においてまた「免疫抑制効果」としても言及される、抗原に対して特異的な免疫寛容原性の免疫応答を引き起こすことができる化合物を意味する。免疫抑制効果とは、一般に、抗原提示細胞(APC)による、望ましくない免疫応答を軽減、阻害または予防する、または特定の抗原に対する調節性免疫応答などの所望される免疫応答を促進する、サイトカインまたは他の因子の産生または発現を指す。APCが、このAPCにより提示される抗原を認識する免疫細胞に対して免疫抑制性機能を獲得する場合(免疫抑制効果の下において)、免疫抑制効果は、提示された抗原に対して特異的であると言われる。免疫抑制剤の例として、ホスファチジルイノシトール-3キナーゼ(PI3K)関連キナーゼ(PIKK)のファミリーに属するセリン-スレオニン特異的タンパク質キナーゼであるmTORを阻害する薬物のクラスである「mTOR阻害剤」が挙げられる。mTOR阻害剤として、これらに限定されないが、ラパマイシンなどのラパログ、ならびにmTORC1/mTORC2二重阻害剤などのATP競合的mTORキナーゼ阻害剤が挙げられる。
【0035】
本明細書において提供される方法、組成物またはキットのうちのいずれか1つの態様において、本明細書において提供される免疫抑制剤は、合成ナノキャリアに結合している。好ましい態様において、免疫抑制剤は、合成ナノキャリアの構造を構成する材料に加えられる要素である。例えば、合成ナノキャリアが1つ以上のポリマーから構成される一態様において、免疫抑制剤は、1つ以上のポリマーに加えられ、これに結合している化合物である。合成ナノキャリアの材料がまた免疫抑制効果をもたらすものなどの態様において、免疫抑制剤は、合成ナノキャリアの材料に加えて存在する要素であって、免疫抑制効果をもたらすものである。
【0036】
「輸注反応治療剤」は、輸注反応を軽減または予防することにおいて有益であり得る治療剤である。かかる治療剤の例として、副腎皮質ステロイドなどの抗炎症剤が挙げられる。
【0037】
「充填量」とは、合成ナノキャリアを含む組成物中に含まれる場合、例えばそれにカップリングされる場合、全合成ナノキャリア中の当該材料の全乾燥処方重量(重量/重量)に基づく、組成物中の免疫抑制剤の量である。一般に、かかる充填量は、合成ナノキャリアの集合全体の平均として計算される。一態様において、合成ナノキャリア全体の平均の充填量は、0.1%~15%である。別の態様において、充填量は、0.1%~10%である。さらなる態様において、充填量は、1%~15%である。さらにさらなる態様において、充填量は、5%~15%である。なおさらなる態様において、充填量は、7%~12%である。なおさらなる態様において、充填量は、8%~12%である。なお別の態様において、充填量は、7%~10%である。なお別の態様において、充填量は、8%~10%である。さらにさらなる態様において、充填量は、合成ナノキャリアの集合全体の平均で、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、または15%である。本明細書において提供される方法、組成物またはキットのうちのいずれか1つにおいて、ラパマイシンなどの免疫抑制剤の充填量は、本明細書において提供される充填量のうちのいずれか1つであってよい。
【0038】
懸濁液中のナノキャリアのラパマイシン(または他の免疫抑制剤)充填量は、試験物のHPLC分析により決定されるナノキャリアのラパマイシン含有量を、ナノキャリアの質量により除算することにより、計算することができる。総ポリマー含有量は、乾燥ナノキャリア質量の重量測定による収率により、またはナノキャリア溶液の総有機物含有量の決定と、その後の薬局方の方法により測定し、PVA含有量について補正する。
【0039】
「合成ナノキャリアの最大寸法」とは、合成ナノキャリアの任意の軸に沿って測定されるナノキャリアの最大の寸法を意味する。「合成ナノキャリアの最小寸法」とは、合成ナノキャリアの任意の軸に沿って測定される合成ナノキャリアの最小の寸法を意味する。例えば、球体の合成ナノキャリアについては、合成ナノキャリアの最大および最小寸法は、実質的に同一であり、その直径のサイズであろう。同様に、立方体状の合成ナノキャリアについて、合成ナノキャリアの最小寸法は、その高さ、幅または長さのうちの最小のものであり、一方、合成ナノキャリアの最大寸法は、その高さ、幅または長さのうちの最大のものであろう。一態様において、試料中の合成ナノキャリアの合計数に基づいて、試料中の合成ナノキャリアのうちの少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の最小寸法が、100nmに等しいかまたはこれより大きい。一態様において、試料中の合成ナノキャリアの合計数に基づいて、試料中の合成ナノキャリアのうちの少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の最大寸法が、5μmに等しいかまたはこれより小さい。好ましくは、試料中の合成ナノキャリアの合計数に基づいて、試料中の合成ナノキャリアのうちの少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の最小寸法が、110nmより大きく、より好ましくは120nmより大きく、より好ましくは130nmより大きく、より好ましくは150nmよりなお大きい。合成ナノキャリアの最大寸法と最小寸法とのアスペクト比は、態様に依存して変化し得る。例えば、合成ナノキャリアの最大寸法の最小寸法に対するアスペクト比は、1:1~1,000,000:1、好ましくは1:1~100,000:1、より好ましくは1:1~10,000:1、より好ましくは1:1~1000:1、なおより好ましくは1:1~100:1、さらにより好ましくは1:1~10:1で変化し得る。
【0040】
好ましくは、試料中の合成ナノキャリアの合計数に基づいて、試料中の合成ナノキャリアのうちの少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の最大寸法は、3μmに等しいかまたはこれより小さく、より好ましくは2μmに等しいかまたはこれより小さく、より好ましくは1μmに等しいかまたはこれより小さく、より好ましくは800nmに等しいかまたはこれより小さく、より好ましくは600nmに等しいかまたはこれより小さく、より好ましくはなお500nmに等しいかまたはこれより小さい。好ましい態様において、試料中の合成ナノキャリアの合計数に基づいて、試料中の合成ナノキャリアのうちの少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の最小寸法は、100nmと等しいかまたはこれより大きく、より好ましくは120nmと等しいかまたはこれより大きく、より好ましくは130nmと等しいかまたはこれより大きく、より好ましくは140nmと等しいかまたはこれより大きく、より好ましくは150nmとなお等しいかまたはこれより大きい。合成ナノキャリアの寸法(例えば有効直径)の測定値は、いくつかの態様において、液体(通常は水性)の媒質中に合成ナノキャリアを懸濁し、動的光散乱(DLS)を用いる(例えばBrookhaven ZetaPALS装置を用いる)ことにより得ることができる。例えば、合成ナノキャリアの懸濁液を、水性バッファーから精製水中に希釈して、約0.01~0.5mg/mLの最終的な合成ナノキャリア懸濁液濃度を達成することができる。希釈された懸濁液は、DLS分析のための好適なキュベットの内部で直接調製しても、これに移してもよい。キュベットを、次いで、DLS中に置き、制御された温度に平衡化させ、次いで、媒質の粘性および試料の屈折率についての適切なインプットに基づいて、安定かつ再現可能な分布を得るために十分な時間にわたりスキャンすることができる。有効直径、または分布の平均を、次いで報告する。高アスペクト比、または非球形の、合成ナノキャリアの有効サイズを決定することは、より正確な測定値を得るために、電子顕微鏡などの増加的な技術を必要とし得る。合成ナノキャリアの「寸法」または「サイズ」または「直径」は、例えば動的光散乱を用いて得られる、粒子サイズ分布の平均を意味する。
【0041】
「ペグ化ウリカーゼ」とは、1つ以上のPEG(ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)またはポリ(オキシエチレン))分子(すなわち、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)またはポリ(オキシエチレン)ポリマーまたはその単位)に結合している、任意のウリカーゼを指す。好ましくはいくつかの態様において、1つ以上のPEG分子は、ポリ(エチレングリコール)分子である。用語「ペグ化されている」または「ペグ化」とは、それぞれ、ウリカーゼの抱合された形態または抱合の作用を指す。かかる修飾されたウリカーゼは、ペグ化ウリカーゼと称される。ペグ化ウリカーゼとして、これらに限定されないが、ペグシチカーゼ(すなわち、ペガドリカーゼ)およびペグロチカーゼ(KRYSTEXXA(登録商標))が挙げられる。
【0042】
「薬学的に受入可能な賦形剤」または「薬学的に受入可能なキャリア」は、組成物を処方するために薬理学的に活性な材料と一緒に用いられる、薬理学的に不活性な材料を意味する。薬学的に受入可能な賦形剤は、当該分野において公知の多様な材料を含み、これは、多糖(例えばグルコース、ラクトースなど)、抗菌剤などの保存剤、再構成補助剤、着色剤、食塩水(例えばリン酸緩衝化食塩水)、およびバッファーを含むが、これらに限定されない。本明細書において提供される組成物のうちのいずれか1つは、薬学的に受入可能な賦形剤またはキャリアを含んでもよい。
【0043】
「ラパログ」とは、ラパマイシン(シロリムス)の(アナログ)に構造的に関連するラパマイシンおよび分子を指し、好ましくは疎水性である。ラパログの例として、限定することなく、テムシロリムス(CCI-779)、デフォロリムス、エベロリムス(RAD001)、リダフォロリムス(AP-23573)、ゾタロリムス(ABT-578)が挙げられる。ラパログのさらなる例は、例えば、WO公開WO 1998/002441および米国特許第8,455,510号において見出すことができ、かかるラパログの開示は、その全体において本明細書において参考として援用される。本明細書において提供される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つにおいて、免疫抑制剤は、ラパログであってよい。
【0044】
「対象」は、ヒトおよび霊長類などの温血哺乳動物;鳥類;ネコ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマおよびブタなどの飼育された家庭または農場の動物;マウス、ラットおよびモルモットなどの研究動物;魚類;爬虫類;動物園および野生の動物などを含む動物を意味する。本明細書において提供される方法、組成物およびキットのいずれか1つにおいて、対象は、ヒトである。本明細書において提供される方法、組成物およびキットのいずれか1つにおいて、対象は、本明細書において提供される対象のうちのいずれか1つ、例えば、それを必要とするもの、例えばウリカーゼによる処置を必要とするものである。
【0045】
「合成ナノキャリア」は、天然において見出されない分散した物体であって、サイズが5マイクロンより小さいかまたはこれと等しい少なくとも1つの寸法を有するものを意味する。合成ナノキャリアは、多様な異なる形状であってよく、これは、球体状、立方状、錐体状、長方形状、円柱状、環状体状などを含むが、これらに限定されない。合成ナノキャリアは、1つ以上の表面を含む。
【0046】
合成ナノキャリアは、これらに限定されないが、1つまたは複数の脂質ベースのナノ粒子(本明細書においてまた、脂質ナノ粒子、すなわち、それらの構造を構成する材料のうちの大部分が脂質であるナノ粒子としても言及される)、ポリマー性ナノ粒子、金属ナノ粒子、界面活性剤ベースのエマルジョン、デンドリマー、バッキーボール、ナノワイヤ、ウイルス様粒子(すなわち、ウイルスの構造タンパク質から主に構成されるが、感染性ではないか、低い感染性を有する粒子)、ペプチドまたはタンパク質ベースの粒子(本明細書においてまた、タンパク質粒子、すなわち、それらの構造を構成する材料のうちの大部分がペプチドまたはタンパク質である粒子としても言及される)(アルブミンナノ粒子など)、および/または脂質-ポリマーナノ粒子などのナノ材料の組み合わせを用いて開発されるナノ粒子であってよい。合成ナノキャリアは、球状、立方体状、錐体状、長方形、円柱状、環状体状などを含むがこれらに限定されない、多様な異なる形状であってよい。合成ナノキャリアの例として、以下が挙げられる:(1)Grefらに対する米国特許5,543,158において開示される生分解性ナノ粒子、(2)Saltzmanらに対する公開された米国特許出願20060002852のポリマー性ナノ粒子、(3)DeSimoneらに対する公開された米国特許出願20090028910のリソグラフィーにより構築されたナノ粒子、(4)von Andrianらに対するWO 2009/051837の開示、(5)Penadesらに対する公開された米国特許出願2008/0145441において開示されるナノ粒子、(6)P. Paolicelli et al.,「Surface-modified PLGA-based Nanoparticles that can Efficiently Associate and Deliver Virus-like Particles」Nanomedicine. 5(6):843-853 (2010)において開示されるナノ沈殿された(nanoprecipitated)ナノ粒子、および(7)Lookら、「Nanogel-based delivery of mycophenolic acid ameliorates systemic lupus erythematosus in mice」J. Clinical Investigation 123(4):1741-1749 (2013)のもの。
【0047】
合成ナノキャリアは、約100nmと等しいかまたはこれより小さい、好ましくは100nmと等しいかまたはこれより小さい最小寸法を有していてもよく、補体を活性化するヒドロキシル基を有する表面を含まないか、あるいは、補体を活性化するヒドロキシル基ではない部分から本質的になる表面を含む。一態様において、約100nmと等しいかまたはこれより小さい、好ましくは100nmと等しいかまたはこれより小さい最小寸法を有する合成ナノキャリアは、補体を実質的に活性化する表面を含まないか、あるいは、補体を実質的に活性化しない部分から本質的になる表面を含む。より好ましい態様において、約100nmと等しいかまたはこれより小さい、好ましくは100nmと等しいかまたはこれより小さい最小寸法を有する、本発明による合成ナノキャリアは、補体を活性化する表面を含まないか、あるいは、補体を活性化しない部分から本質的になる表面を含む。態様において、合成ナノキャリアは、ウイルス様粒子を除外する。態様において、合成ナノキャリアは、1:1、1:1.2、1:1.5、1:2、1:3、1:5、1:7より大きい、または1:10より大きいアスペクト比を有していてもよい。
【0048】
「処置すること」とは、対象が投与に起因する利益を有し得るという予測を伴う、1つ以上の治療剤の投与を指す。処置することはまた、本明細書において提供されるような状態の予防をもたらし得、したがって、処置することは、予防的処置を含む。予防的に用いられる場合、対象は、医師が、状態の発生または本明細書において提供されるような他の望ましくない応答の可能性が存在することを予測するものである。いくつかの態様において、痛風フレアを有すると予測される対象は、医師が、痛風フレアが起こるであろう可能性が存在すると考えるものである。処置することは、直接的であっても、または、別の医師もしくは対象自身を含む別の対象を、対象を処置するように誘導もしくは指示することによるもののように、間接的であってもよい。
【0049】
「重量%」または「重量による%」とは、1つの重量の別の重量に対する比を100倍したものを指す。例えば、重量による%は、1つの構成成分の重量の別のものに対する比を100倍したもの、または1つの構成成分の重量の、1つより多くの構成成分の全重量に対する比を100倍したものであってよい。一般に、重量%は、組成物または懸濁液中の合成ナノキャリアの集合全体の平均、または合成ナノキャリア全体の平均として測定される。
【0050】
C.方法及び関連する組成物
本明細書において他の場所で言及されるとおり、本明細書において提供される組成物および方法は、血清尿酸レベルを低下させることにおいて、ならびに痛風フレアの頻度を低下させることにおいて、現在利用可能な処置よりも、実質的により効果的であることが示された。
【0051】
ウリカーゼおよびペグ化ウリカーゼ
本明細書において記載される方法および組成物およびキットは、ウリカーゼを含む組成物を含む。ウリカーゼは、一般に、尿酸の可溶性であり排出され得るアラントインへの転換を触媒すると考えられる。ウリカーゼは、一般には、ヒトおよび特定の霊長類を除く全ての哺乳動物にとって内因性の酵素である。ウリカーゼ酵素をコードする遺伝子は、哺乳動物および微生物のソースを含む当該分野における任意のソースから、ならびに組み換えおよび合成技術により、得ることができる。当業者には明らかであろうが、ソースから遺伝子を得て、標準的な方法を用いて組み換えにより(または遺伝子導入により)別の生物において発現および産生させることができる。Erlich, H A(編)(1989)PCR Technology. Principles and Applications for DNA Amplification. New York: Stockton Press;Sambrook, Jら(1989)Molecular Cloning. A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor, N.Y.: Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照。例えば、米国特許第5,700,674号は、E. coli細胞におけるウリカーゼの組み換え産生を記載する。いくつかの態様において、酵素は、E. coliの発酵により産生される。
【0052】
いくつかの態様において、ウリカーゼをコードする遺伝子、またはその一部は、哺乳動物、例えばブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ヒヒ、サル、マウス、ウサギ、または飼育動物から得られる。いくつかの態様において、ウリカーゼをコードする遺伝子、またはその一部は、細菌または真菌(酵母を含む)などの微生物から得られる。いくつかの態様において、ウリカーゼをコードする遺伝子は、ストレプトマイセス属の種、バチルス属の種に属する細菌、またはE. coliなど細菌のソースから得られる。いくつかの態様において、ウリカーゼをコードする遺伝子は、真菌(酵母を含む)ソース、例えばカンジダ属(例えばCandida utilis)、アルスロバクター属(例えばArthrobacter globiformis)、サッカロミセス属、シゾサッカロミセス属、エメリセラ属、アスペルギルス属(例えばAspergillus flavus)およびアカパンカビ属の種から得られる。いくつかの態様において、ウリカーゼは、Candida utilisに由来する。いくつかの態様において、ウリカーゼは、ペグシチカーゼのものである(米国特許第6,913,915号において記載される3SBio、およびかかるウリカーゼおよびその記載は、本明細書において参考として援用される)。いくつかの態様において、ウリカーゼは、Aspergillus flavusに由来する。いくつかの態様において、ウリカーゼは、ラスブリカーゼ(ELITEK(登録商標);FASTURTEC(登録商標)、Sanofi Genzyme製)である。
【0053】
いくつかの態様において、ウリカーゼは、ウリカーゼをコードする遺伝子の一部が異なるソースから得られるキメラウリカーゼである。例えば、キメラウリカーゼをコードする遺伝子の一部を、1種類の生物から得て、キメラウリカーゼをコードする遺伝子の1つ以上の他の部分を、別の生物から得てもよい。いくつかの態様において、キメラウリカーゼをコードする遺伝子の一部をブタから得て、キメラウリカーゼをコードする遺伝子の別の部分を、ヒヒから得る。いくつかの態様において、キメラウリカーゼは、ペグロチカーゼ/KRYSTEXXA(登録商標)のものである。
【0054】
本発明の範囲内であるのは、バリアントウリカーゼであり、これは、1つ以上の変異(置換、挿入、欠失)を含んでもよい。変異は、ウリカーゼタンパク質をコードするヌクレオチド配列において行われ得、これは、アミノ酸変異をもたらすものであっても、もたらさないものであってもよい。一般的に、変異は、例えば、タンパク質の産生、タンパク質またはタンパク質をコードするmRNAの代謝回転/半減期を増強し、ウリカーゼの酵素活性を調節する(増強するかまたは低下させる)ために、行うことができる。
【0055】
他の態様において、ウリカーゼをコードする遺伝子は、ショウジョウバエまたはC. elegansなどの植物または無脊椎動物のソースから得られる。
【0056】
本明細書において記載されるウリカーゼタンパク質のいずれかは、ペグ化されていてもよい。ウリカーゼは、例えばPark et al, Anticancer Res., 1:373-376 (1981);およびZaplipsky and Lee, Polyethylene Glycol Chemistry: Biotechnical and Biomedical Applications, J. M. Harris, ed., Plenum Press, New York, Chapter 21 (1992)により記載されるような当該分野において公知の方法を用いて、生分解性の連結基を介してPEGに共有結合していてもよい。PEGをウリカーゼに共有結合により結合させるために用いられる連結基は、任意の生分解性の連結基であってよい。生分解性の連結基とは、非毒性の連結基であって、in vitroまたはin vivoで、有害効果を引き起こすことなく利用することができるものを意味する。あるいは、PEGは、ウリカーゼに直接的に、例えばウリカーゼのリジン残基に直接的に、抱合させてもよい。
【0057】
ウリカーゼは、ウリカーゼタンパク質の多くの異なるアミノ酸残基においてペグ化することができる。多数のPEG分子および/またはPEGが抱合する残基が、ウリカーゼの活性に影響を及ぼし得る。いくつかの態様において、ペグ化ウリカーゼは、少なくとも1つのPEG分子を含む。いくつかの態様において、ペグ化ウリカーゼは、ウリカーゼタンパク質1つあたり平均で少なくとも2、3、4、5、6、7,8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33,34、35、36、37、38、39、40、45、50個、またはそれより多くのPEG分子を含む。いくつかの態様において、ペグ化ウリカーゼは、ウリカーゼタンパク質1つあたり約20~25個のPEG分子を含む。
【0058】
平均で、PEGは、5kDa~100kDaの分子量を有する。用いられるPEGの分子量(サイズ)ならびにウリカーゼをペグ化するために用いられるPEG分子の数は、いずれも変化し得る。いくつかの態様において、PEGの平均分子量は、5kDa~100kDa、5kDa~75kDa、5kDa~50kDa、5kDa~30kDa、5kDa~20kDa、5kDa~10kDa、10kDa~75kDa、10kDa~50kDa、10kDa~30kDa、5kDa~30kDa、15kDa~50kDa、15kDa~30kDa、15kDa~25kDa、20kDa~75kDa、30kDa~80kDa、30kDa~70kDa、または30kDa~50kDaである。いくつかの態様において、PEGの分子量は、約5kDa、6kDa、7kDa、8kDa、9kDa、10kDa、11kDa、12kDa、13kDa、14kDa、15kDa、16kDa、17kDa、18kDa、19kDa、20kDa、21kDa、22kDa、23kDa、24kDa、25kDa、30kDa、35kDa、40kDa、45kDa、50kDa、55kDa、60kDa、65kDa、70kDa、75kDa、80kDa、85kDa、90kDa、95kDa、または100kDaである。一般的に、PEGは、当該PEGの分子量に基づいて言及される。例えば、PEG-20とは、20kDaの分子量のPEG分子を指し、PEG-5とは、5kDaの分子量のPEG分子を指す。いくつかの態様において、ウリカーゼは、20kDaの分子量を有するPEG分子(PEG-20)によりペグ化される。
【0059】
ペグ化ウリカーゼとして、限定することなく、ペグシチカーゼ(すなわち、ペガドリカーゼ)(3Sbioから市販されており、米国特許第6,913,915号において記載され、かかるペグ化ウリカーゼおよびその記載は、本明細書において参考として援用される)およびペグロチカーゼ/KRYSTEXXA(登録商標)(Horizon Pharmaceuticals)が挙げられる。
【0060】
好ましくは、本明細書において提供される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つのいくつかの態様において、ペグ化ウリカーゼは、ペグシチカーゼ(すなわち、ペガドリカーゼ)、複数の20kDaの分子量のポリ(エチレングリコール)分子に抱合した組み換えウリカーゼである。ペグシチカーゼのウリカーゼ構成成分は、酵母Candida utilisからクローニングして、E. coliにおいて産生のために発現させることができる。
【0061】
ペグ化ウリカーゼを含むウリカーゼの尿酸触媒活性は、当該分野において公知であるか、または本明細書において別段に提供されるような方法を用いて、評価することができる。
【0062】
合成ナノキャリア
多様な合成ナノキャリアを用いることができる。いくつかの態様において、合成ナノキャリアは、球体または球状体である。いくつかの態様において、合成ナノキャリアは、扁平または扁平な形状である。いくつかの態様において、合成ナノキャリアは、立方体または立方状である。いくつかの態様において、合成ナノキャリアは、楕円または長円である。いくつかの態様において、合成ナノキャリアは、円柱、円錐または錐体である。
【0063】
いくつかの態様において、サイズまたは形状に関して比較的均一であり、したがって各々の合成ナノキャリアが類似の特性を有する、合成ナノキャリアの集合を用いることが望ましい。例えば、合成ナノキャリアの総数に基づいて、合成ナノキャリアのうちの少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%が、合成ナノキャリアの平均直径または平均寸法の5%、10%、または20%に該当する最小寸法または最大寸法を有していてもよい。
【0064】
合成ナノキャリアは、固体または中空であってよく、1つ以上の層を含んでもよい。いくつかの態様において、各々の層は、他の層と比較して固有の組成および固有の特性を有する。一例のみを挙げると、合成ナノキャリアは、コア/シェル構造を有していてもよく、ここで、コアが1つの層であり(例えばポリマー性のコア)、シェルが第2層である(例えば脂質二重層または単層)。合成ナノキャリアは、複数の異なる層を含んでもよい。
【0065】
好ましい態様において、合成ナノキャリアは、本明細書において提供されるようなポリマーを含む。ポリマーは、天然または非天然(合成)ポリマーであってもよい。ポリマーは、2つ以上のモノマーを含むホモポリマーまたはコポリマーであってよい。配列に関して、コポリマーは、ランダム、ブロックであっても、ランダム配列とブロック配列との組み合わせを含んでもよい。典型的には、本発明によるポリマーは、有機ポリマーである。
【0066】
本明細書において提供されるような合成ナノキャリアは、好ましくは、疎水性ポリエステルを含む。かかるポリエステルとして、以下が挙げられる:本明細書において集合的に「PLGA」として言及される乳酸およびグリコール酸の単位を含むコポリマー、例えばポリ(乳酸-コ-グリコール酸)およびポリ(ラクチド-コ-グリコリド);ならびに本明細書において「PGA」として言及されるグリコール酸単位を含むホモポリマー、および本明細書において集合的に「PLA」として言及される乳酸単位を含むホモポリマー、例えばポリ-L-乳酸、ポリ-D-乳酸、ポリ-D,L-乳酸、ポリ-L-ラクチド、ポリ-D-ラクチドおよびポリ-D,L-ラクチド。いくつかの態様において、例示的なポリエステルとして、例えば、ポリヒドロキシ酸;PEGコポリマー、ならびにラクチドとグリコリドとのコポリマー(例えば、PLA-PEGコポリマー、PGA-PEGコポリマー、PLGA-PEGコポリマー、およびこれらの誘導体が挙げられる。いくつかの態様において、ポリエステルとして、例えば、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(カプロラクトン)-PEGコポリマー、ポリ(L-ラクチド-コ-L-リジン)、ポリ(セリンエステル)、ポリ(4-ヒドロキシ-L-プロリンエステル)、ポリ[α-(4-アミノブチル)-L-グリコール酸]、およびこれらの誘導体。
【0067】
いくつかの態様において、ポリエステルは、PLGAであってよい。LGAは、乳酸とグリコール酸との生体適合性かつ生分解性のコポリマーであり、PLGAの多様な形態が、乳酸:グリコール酸の比により特徴づけられる。乳酸は、L-乳酸、D-乳酸、またはD,L-乳酸であってよい。PLGAの分解速度は、乳酸:グリコール酸比を改変することにより調整することができる。いくつかの態様において、本発明により用いられるべきPLGAは、約85:15、約75:25、約60:40、約50:50、約40:60、約25:75、または約15:85の乳酸:グリコール酸比により特徴づけられる。
【0068】
合成ナノキャリアは、これもまた疎水性である1つ以上の非ポリエステルポリマーまたはその単位、および/または疎水性ではないポリマーまたはその単位を含んでもよい。いくつかの態様において、合成ナノキャリア全体が、疎水性ポリエステルを含むことが好ましく、いくつかの態様においては、それはそれ自体が疎水性である。
【0069】
合成ナノキャリアは、非メトキシ末端のプルプロニックポリマー、またはその単位である、1つ以上のポリマーを含んでもよい。「非メトキシ末端ポリマー」とは、メトキシ以外の部分で終了する少なくとも1つの末端を有するポリマーを意味する。いくつかの態様において、ポリマーは、メトキシ以外の部分で終了する少なくとも2つの末端を有する。他の態様において、ポリマーは、メトキシで終了する末端を有しない。「非メトキシ末端のプルプロニックポリマー」とは、両方の末端にメトキシを有する直鎖状プルプロニックポリマー以外のポリマーを意味する。
【0070】
合成ナノキャリアは、いくつかの態様において、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリアミド、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、シリコーン、フルオロポリマー、またはその単位を含んでもよい。本明細書において提供される合成ナノキャリアにおいて含まれ得るポリマーのさらなる例として、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエーテル、またはその単位が挙げられる。他の態様において、合成ナノキャリアのポリマーは、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリプロピレングリコール、またはその単位を含んでもよい。
【0071】
いくつかの態様において、合成ナノキャリアが、生分解性であるポリマーを含むことが好ましい。したがって、かかる態様において、合成ナノキャリアのポリマーは、ポリエーテル、例えばポリ(エチレングリコール)またはポリプロピレングリコールまたはその単位を含んでもよい。加えて、ポリマーは、ポリマーが生分解性となるように、ポリエーテルのブロックコポリマーおよび生分解性ポリマーを含んでもよい。他の態様において、ポリマーは、ポリエーテルまたはその単位、例えばポリ(エチレングリコール)またはポリプロピレングリコールまたはその単位を、それのみでは含まない。
【0072】
いくつかの態様において、本発明によるポリマーは、米国食品医薬品局(FDA)により21 C.F.R.§177.2600下においてヒトにおける使用のために承認されているポリマーを含む。
【0073】
合成ナノキャリアにおける使用のために好適なポリマーの他の例として、これらに限定されないが、ポリエチレン、ポリカーボネート(例えばポリ(1,3-ジオキサン-2オン))、ポリ無水物(例えばポリ(セバシン酸無水物))、ポリプロピルフマレート(polypropylfumerate)、ポリアミド(例えばポリカプロラクタム)、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリエステル(例えばポリラクチド、ポリグリコリド、ポリラクチド-コ-グリコリド、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシ酸(例えばポリ(β-ヒドロキシアルカノエート)))、ポリ(オルトエステル)、ポリシアノアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリホスファゼン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリウレア、ポリスチレン、およびポリアミン、ポリリジン、ポリリジン-PEGコポリマー、およびポリ(エチレンイミン)、ポリ(エチレンイミン)-PEGコポリマーが挙げられる。
【0074】
合成ナノキャリアにおいて含めることができるポリマーのなお他の例として、アクリル性ポリマー、例えば、アクリル酸とメタクリル酸とのコポリマー、メチルメタクリレートコポリマー、エトキシエチルメタクリレート、シアノエチルメタクリレート、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミドコポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(メタクリル酸無水物)、メチルメタクリレート、ポリメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)コポリマー、ポリアクリルアミド、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、グリシジルメタクリレートコポリマー、ポリシアノアクリレート、前述のポリマーのうちの1つ以上を含む組み合わせが挙げられる。
【0075】
いくつかの態様において、合成ナノキャリアのポリマーは、会合してポリマー性マトリックスを形成する。広範なポリマーおよびそれらからポリマー性マトリックスを形成させるための方法は、従来から公知である。いくつかの態様において、疎水性ポリエステルを含む合成ナノキャリアは、合成ナノキャリア中に疎水性を有する。
【0076】
いくつかの態様において、ポリマーは、1つ以上の部分および/または官能基により修飾されていてもよい。多様な部分または官能基を、本発明により用いることができる。いくつかの態様において、ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)により、炭水化物により、および/または多糖から誘導されるアクリル製ポリアセタールにより修飾することができる(Papisov, 2001, ACS Symposium Series, 786:301)。ある態様は、Grefらへの米国特許第5543158号またはVon AndrianらによるWO公開WO2009/051837の一般的教示を用いてなすことができる。
【0077】
いくつかの態様において、ポリマーは、脂質または脂肪酸基により修飾してもよい。いくつかの態様において、脂肪酸基は、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、またはリグノセリン酸のうちの1つ以上であってよい。いくつかの態様において、脂肪酸基は、パルミトレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、アルファ-リノール酸、ガンマ-リノール酸、アラキドン酸、ガドレイン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、またはエルカ酸のうちの1つ以上であってよい。
【0078】
いくつかの態様において、ポリマーは、直鎖状または分枝状ポリマーであってよい。いくつかの態様において、ポリマーは、デンドリマーであってよい。いくつかの態様において、ポリマーは、互いに実質的に架橋されていてもよい。いくつかの態様において、ポリマーは、実質的に架橋を含まなくともよい。いくつかの態様において、ポリマーは、架橋ステップを経験することなく、本発明により用いることができる。さらに、合成ナノキャリアは、前述のポリマーのうちのいずれかと他のポリマーとのブロックコポリマー、グラフトコポリマー、ブレンド、混合物、および付加体(adduct)を含んでもよいことが、理解されるべきである。当業者は、本明細書において列記されるポリマーは、包括的なものではなく、所望される基準を満たすことを前提として本発明により使用することができるポリマーの例示的なリストを表すものであることを、認識するであろう。
【0079】
これらのおよび他のポリマーの特性ならびにそれらを調製するための方法は、は、当該分野において周知である(例えば、米国特許6,123,727;5,804,178;5,770,417;5,736,372;5,716,404;6,095,148;5,837,752;5,902,599;5,696,175;5,514,378;5,512,600;5,399,665;5,019,379;5,010,167;4,806,621;4,638,045;および4,946,929;Wang et al., 2001, J. Am. Chem. Soc., 123:9480;Lim et al., 2001, J. Am. Chem. Soc., 123:2460;Langer, 2000, Acc. Chem. Res., 33:94;Langer, 1999, J. Control. Release, 62:7;およびUhrich et al., 1999, Chem. Rev., 99:3181を参照)。より一般的には、特定の好適なポリマーを合成するための多様な方法は、Concise Encyclopedia of Polymer Science and Polymeric Amines and Ammonium Salts、Goethals編、Pergamon Press、1980年;Principles of Polymerization、Odian著、John Wiley & Sons、第4版、2004年;Contemporary Polymer Chemistry、Allcockら著、Prentice-Hall、1981年;Deming et al., 1997, Nature, 390:386において;ならびに、米国特許6,506,577、6,632,922、6,686,446および6,818,732において記載される。
【0080】
合成ナノキャリアは、当該分野において公知の多様な方法を用いて調製することができる。例えば、合成ナノキャリアは、ナノ沈殿、流体チャネルを用いるフローフォーカス(flow focusing)、スプレー乾燥、単一および二重のエマルジョン溶媒蒸発、溶媒抽出、相分離、粉砕(milling)(凍結粉砕を含む)、超臨界流体(例えば超臨界二酸化炭素)処理、マイクロエマルジョンの手法、微細加工、ナノ加工、犠牲層、単純および複雑なコアセルベーション、ならびに当業者に周知の他の方法などの方法により形成させることができる。あるいは、または加えて、単分散の半導体、伝導性、磁性、有機性および他のナノ材料のための水性および有機性の溶媒合成は記載されている(Pellegrino et al., 2005, Small, 1:48;Murray et al., 2000, Ann. Rev. Mat. Sci., 30:545;およびTrindade et al., 2001, Chem. Mat., 13:3843)。さらなる方法は、文献において記載されている(例えば、Doubrow編、「Microcapsules and Nanoparticles in Medicine and Pharmacy」、CRC Press, Boca Raton, 1992;Mathiowitz et al., 1987, J. Control. Release, 5:13;Mathiowitz et al., 1987, Reactive Polymers, 6:275;およびMathiowitz et al., 1988, J. Appl. Polymer Sci., 35:755;米国特許5578325および6007845;P. Paolicelliら、「Surface-modified PLGA-based Nanoparticles that can Efficiently Associate and Deliver Virus-like Particles」Nanomedicine. 5(6):843-853 (2010)を参照)。
【0081】
免疫抑制剤は、望ましい場合、以下を含むがこれらに限定されない多様な方法を用いて、合成ナノキャリア中にカプセル化することができる:C. Astete et al.,「Synthesis and characterization of PLGA nanoparticles」J. Biomater. Sci. Polymer Edn, Vol. 17, No. 3, pp. 247-289 (2006);K. Avgoustakis「Pegylated Poly(Lactide) and Poly(Lactide-Co-Glycolide) Nanoparticles:Preparation, Properties and Possible Applications in Drug Delivery」Current Drug Delivery 1:321-333 (2004);C. Reis et al.,「Nanoカプセル化I. Methods for preparation of drug-loaded polymeric nanoparticles」Nanomedicine 2:8- 21 (2006);P. Paolicelli et al.,「Surface-modified PLGA-based Nanoparticles that can Efficiently Associate and Deliver Virus-like Particles」Nanomedicine. 5(6):843-853 (2010)。材料を合成ナノキャリア中にカプセル化するために好適な他の方法もまた用いることができ、これは、限定されないが、Ungerに対して2003年10月14日に発行された米国特許6,632,671において開示される方法を含む。
【0082】
ある態様において、合成ナノキャリアは、ナノ沈殿のプロセスまたはスプレー乾燥により調製される。合成ナノキャリアを調製することにおいて用いられる条件は、所望されるサイズまたは特性(例えば、疎水性、親水性、外部の形態学、「粘着性(stickiness)」、形状など)の粒子を得るために、改変してもよい。合成ナノキャリアを調製する方法および用いられる条件(例えば、溶媒、温度、濃度、気流速度など)は、合成ナノキャリアおよび/またはキャリアマトリックスの組成物中に含まれるべき材料に依存し得る。
【0083】
上の方法のいずれかにより調製された合成ナノキャリアが、所望される範囲の外のサイズ範囲を有する場合、かかる合成ナノキャリアを、例えば篩を使用して、サイズ調整することができる。
【0084】
好ましくは、本明細書において提供される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つのいくつかの態様において、合成ナノキャリアは、PLAおよびPLA-PEGからなる合成ナノキャリアを含むものである。PLAは、30年を超えて商業的に使用されており、多数の承認された製品における処方構成成分である、より広いポリ(乳酸コグリコール酸)、またはPLGAの生分解性ポリマーのファミリーの一部である。ポリエチレングリコール、またはPEGは、臨床治験において広く研究されており、また多くの承認された生物製剤における処方構成成分である。
【0085】
例として、ラパマイシンを含む合成ナノキャリアは、以下の方法のうちの1つにより生成されるかまたは得られるものであってよい:
1)0.41dL/gの固有粘度を有するPLAを、Evonik Industries(Rellinghauser Strasse 1-11 45128 Essen, Germany)から、製品コードResomer Select 100 DL 4Aとして購入する。メチルエーテル末端を有する約5,000DaのPEGブロックおよび0.50DL/gの全体的な固有粘度を有するPLA-PEG-OMeブロックコポリマーは、Evonik Industries(Rellinghauser Strasse 1-11 45128 Essen, Germany)から、製品コードResomer Select 100 DL mPEG 5000(15wt%のPEG)として購入する。ラパマイシンは、Concord Biotech Limited(1482-1486 Trasad Road, Dholka 382225, Ahmedabad India)から、製品コードSIROLIMUSとして購入する。EMPROVE(登録商標)ポリビニルアルコール4-88、USP(85~89%加水分解されている、3.4~4.6mPa・s)は、MilliporeSigma(EMD Millipore, 290 Concord Road Billerica, Massachusetts 01821)から、製品コード1.41350として購入する。ダルベッコリン酸緩衝化食塩水1×(DPBS)は、Lonza(Muenchensteinerstrasse 38, CH-4002 Basel, Switzerland)から、製品コード17-512Qとして購入する。ソルビタンモノパルミテートは、Croda International(300-A Columbus Circle, Edison, NJ 08837)から、製品コードSPAN 40として購入する。溶液は、以下のとおり調製する。溶液1は、PLAを150mg/mLで、PLA-PEG-Omeを50mg/mLで、ジクロロメタン中で溶解することにより調製する。溶液2は、ラパマイシンを100mg/mLでジクロロメタン中で溶解することにより調製する。溶液3は、SPAN 40を50mg/mLでジクロロメタン中で溶解することにより調製する。溶液4は、PVAを75mg/mLで100mMのリン酸バッファー(pH8)中で溶解することにより調製する。O/Wエマルジョンは、溶液1(0.50mL)、溶液2(0.12mL)、溶液3(0.10mL)、およびジクロロメタン(0.28mL)を、厚壁ガラス圧力管中に加えることにより調製する。組み合わせた有機相溶液を、次いで繰り返しピペッティングすることにより混合する。この混合物に、溶液4(3mL)を添加する。圧力管を、次いでボルテックスで10秒間混合する。次に、粗エマルジョンを、Branson Digital Sonifier 250を用いて、1/8”テーパードチップにより、30%の振幅で1分間にわたり超音波処理によりホモジェナイズし、圧力管を氷水槽中に浸漬する。エマルジョンを、次いでDPBS(30mL)を含む50mLビーカーに加える。これを室温で2時間にわたり撹拌して、ジクロロメタンを蒸発させ、ナノキャリアを形成させる。ナノキャリア懸濁液を遠心管に移して、75,600×gで、4℃で50分間にわたり遠心分離し、上清を取り除き、0.25%w/vのPVAを含むDPBS中でペレットを再懸濁することにより、ナノキャリアの一部を洗浄する。洗浄の手順を繰り返し、ペレットを0.25%w/vのPVAを含むDPBS中で再懸濁して、ポリマーに基づいて10mg/mLの名目上の濃度を有するナノキャリア懸濁液を達成する。ナノキャリア懸濁液を、次いでMilliporeSigma製の0.22μmのPESメンブレンシリンジフィルター(EMD Millipore, 290 Concord Rd. Billerica MA, 製品コードSLGP033RB)を用いてろ過する。ろ過したナノキャリア懸濁液を、-20℃で貯蔵する。
【0086】
2)0.41dL/gの固有粘度を有するPLAを、Evonik Industries(Rellinghauser Strasse 1-11 45128 Essen, Germany)から、製品コードResomer Select 100 DL 4Aとして購入する。メチルエーテル末端を有する約5,000DaのPEGブロックおよび0.50DL/gの全体的な固有粘度を有するPLA-PEG-OMeブロックコポリマーを、Evonik Industries(Rellinghauser Strasse 1-11 45128 Essen, Germany)から、製品コードResomer Select 100 DL mPEG 5000(15wt%のPEG)として購入する。ラパマイシンは、Concord Biotech Limited(1482-1486 Trasad Road, Dholka 382225, Ahmedabad India)から、製品コードSIROLIMUSとして購入する。ソルビタンモノパルミテートは、Sigma-Aldrich(3050 Spruce St., St. Louis, MO 63103)から、製品コード388920として購入する。EMPROVE(登録商標)ポリビニルアルコール(PVA)4-88、USP(85~89%加水分解されている、3.4~4.6mPa・sの粘度)は、MilliporeSigma(EMD Millipore, 290 Concord Road Billerica, Massachusetts 01821)から、製品コード1.41350として購入する。ダルベッコリン酸緩衝化食塩水1×(DPBS)は、Lonza(Muenchensteinerstrasse 38, CH-4002 Basel, Switzerland)から、製品コード17-512Qとして購入する。溶液は、以下のとおり調製する:溶液1:ポリマー、ラパマイシン、およびソルビタンモノパルミテート混合物は、PLAを37.5mg/mLで、PLA-PEG-Omeを12.5mg/mLで、ラパマイシンを8mg/mLで、およびソルビタンモノパルミテートを2.5で、ジクロロメタン中で溶解することにより調製する。溶液2:ポリビニルアルコールを、50mg/mLで100mM(pH8)のリン酸バッファー中で調製する。O/Wエマルジョンは、溶液1(1.0mL)と溶液2(3mL)とを、小さいガラスの圧力管中で組み合わせて、ボルテックスにより10秒間混合することにより調製する。処方物を、次いでBranson Digital Sonifier 250を用いて、1/8”テーパードチップにより、30%の振幅で1分間にわたり超音波処理によりホモジェナイズし、圧力管を氷水槽中に浸漬する。エマルジョンを、次いで、DPBS(15mL)を含む50mLビーカーに加え、アルミニウムホイルで被覆する。第2のO/Wエマルジョンを、上と同じ材料および方法を用いて調製し、次いで同じビーカーに、フレッシュなDPBS(15mL)のアリコートを用いて加える。組み合わせたエマルジョンを、次いで被覆しないで室温で撹拌しながら2時間にわたり静置し、ジクロロメタンを蒸発させ、ナノキャリアを形成させる。ナノキャリア懸濁液を遠心管に移して、75,600×gで、4℃で50分間にわたり遠心分離し、上清を取り除き、0.25%w/vのPVAを含むDPBS中でペレットを再懸濁することにより、ナノキャリアの一部を洗浄する。洗浄の手順を繰り返し、ペレットを0.25%w/vのPVAを含むDPBS中で再懸濁して、ポリマーに基づいて10mg/mLの名目上の濃度を有するナノキャリア懸濁液を達成する。ナノキャリア懸濁液を、次いでMilliporeSigma製の0.22μmのPESメンブレンシリンジフィルター(EMD Millipore, 290 Concord Rd. Billerica MA, 製品コードSLGP033RB)を用いてろ過する。ろ過したナノキャリア懸濁液を、-20℃で貯蔵する。
【0087】
免疫抑制剤
本明細書において提供されるような任意の免疫抑制剤を、提供される方法または組成物のうちのいずれか1つにおいて用いることができ、これは、いくつかの態様においては、合成ナノキャリアに結合している。免疫抑制剤として、これに限定されないが、mTOR阻害剤が挙げられる。mTOR阻害剤の例として、ラパマイシンおよびラパログ(例えばCCL-779、RAD001、AP23573、C20-メタアリルラパマイシン(C20-Marap)、C16-(S)-ブチルスルホンアミドラパマイシン(C16-BSrap)、C16-(S)-3-メチルインドールラパマイシン(C16-iRap)(Bayle et al. Chemistry & Biology 2006, 13:99-107))、AZD8055、BEZ235(NVP-BEZ235)、クリソファン酸(クリソファノール)、デフォロリムス(MK-8669)、エベロリムス(RAD0001)、KU-0063794、PI-103、PP242、テムシロリムスおよびWYE-354(Selleck, Houston, TX, USAから入手可能)が挙げられる。
【0088】
好ましくは、本明細書において提供される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つのいくつかの態様において、免疫抑制剤は、ラパマイシンである。かかる態様のうちのいくつかにおいて、ラパマイシンは、好ましくは合成ナノキャリア中に被包される。ラパマイシンは、ヒトにおいて先に広範に使用されている免疫抑制剤であって、現在、13歳以上の腎移植患者における臓器拒絶の予防のためにFDAにより承認されている、ラパミューンの活性成分である。
【0089】
合成ナノキャリアにカップリングされる場合、全合成ナノキャリア中の材料の総乾燥処方重量に基づく、合成ナノキャリアにカップリングされる免疫抑制剤の量(重量/重量)は、本明細書において別の場所において記載されるとおりである。好ましくは、本明細書において提供される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つのいくつかの態様において、ラパマイシンまたはラパログなどの免疫抑制剤の充填量は、重量により7%~12%または8%~12%である。
【0090】
抗炎症性治療剤
抗炎症性治療剤(すなわち、炎症を減少させるように作用することができる任意の治療剤)。抗炎症性治療剤として、これらに限定されないが、副腎皮質ステロイドまたはコルチゾールの誘導体(ヒドロコルチゾン)が挙げられる。副腎皮質ステロイドとして、これらに限定されないが、糖質コルチコイドおよび鉱質コルチコイドが挙げられる。副腎皮質ステロイドのなお他の例として、これらに限定されないが、以下が挙げられる:天然のもの(例えば11-デヒドロコルチコステロン(11-オキソコルチコステロン、17-デオキシコルチゾン)=21-ヒドロキシプレグン-4-エン-3,11,20-トリオン;11-デオキシコルチコステロン(デオキシコルトン、デスオキシコルトン;21-ヒドロキシプロゲステロン)=21-ヒドロキシプレグン-4-エン-3,20-ジオン;11-デオキシコルチゾール(コルトドキソン、コルテキソロン)=17α,21-ジヒドロキシプレグン-4-エン-3,20-ジオン;11-ケトプロゲステロン(11-オキソプロゲステロン;ケトゲスチン(Ketogestin))=プレグン-4-エン-3,11,20-トリオン;11β-ヒドロキシプレグネノロン=3β,11β-ジヒドロキシプレグン-5-エン-20-オン;11β-ヒドロキシプロゲステロン(21-デオキシコルチコステロン)=11β-ヒドロキシプレグン-4-エン-3,20-ジオン;11β,17α,21-トリヒドロキシプレグネノロン=3β,11β,17α,21-テトラヒドロキシプレグン-5-エン-20-オン;17α,21-ジヒドロキシプレグネノロン=3β,17α,21-トリヒドロキシプレグン-5-エン-20-オン;17α-ヒドロキシプレグネノロン=3β,17α-ジヒドロキシプレグン-5-エン-20-オン;17α-ヒドロキシプロゲステロン=17α-ヒドロキシプレグン-4-エン-3,11,20-トリオン;18-ヒドロキシ-11-デオキシコルチコステロン=18,21-ジヒドロキシプレグン-4-エン-3,20-ジオン;18-ヒドロキシコルチコステロン=11β,18,21-トリヒドロキシプレグン-4-エン-3,20-ジオン;18-ヒドロキシプロゲステロン=18-ヒドロキシプレグン-4-エン-3,20-ジオン;21-デオキシコルチゾール=11β,17α-ジヒドロキシプレグン-4-エン-3,20-ジオン;21-デオキシコルチゾン=17α-ヒドロキシプレグン-4-エン-3,11,20-トリオン;21-ヒドロキシプレグネノロン(prebediolone)=3β,21-ジヒドロキシプレグン-5-エン-20-オン;アルドステロン=11β,21-ジヒドロキシプレグン-4-エン-3,18,20-トリオン;コルチコステロン(17-デオキシコルチゾール)=11β,21-ジヒドロキシプレグン-4-エン-3,20-ジオン;コルチゾール(ヒドロコルチゾン)=11β,17α,21-トリヒドロキシプレグン-4-エン-3,20-ジオン;コルチゾン=17α,21-ジヒドロキシプレグン-4-エン-3,11,20-トリオン;プレグネノロン=プレグン-5-エン-3β-オール-20-オン;およびプロゲステロン=プレグン-4-エン-3,20-ジオン);合成であるもの、例えば、プロゲステロン型(例えばフルゲストン(Flugestone)(フルロゲストン)=9α-フルオロ-11β,17α-ジヒドロキシプレグン-4-エン-3,20-ジオン;フルオロメトロン=6α-メチル-9α-フルオロ-11β,17α-ジヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;メドリゾン(ヒドロキシメチルプロゲステロン)=6α-メチル-11β-ヒドロキシプレグン-4-エン-3,20-ジオン;および酢酸プレベジオロン(Prebediolone acetate)(21-アセトキシプレグネノロン)=3β,21-ジヒドロキシプレグン-5-エン-20-オン21-アセテート)およびプロゲステロン誘導体プロゲスチン(例えば酢酸クロルマジノン、酢酸シプロテロン、メドロゲストン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、および酢酸セゲステロン(segesterone acetate));ヒドロコルチゾン型(例えばクロロプレドニゾロン=6α-クロロ-17α,21-ジヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,11,20-トリオン;クロプレドノール=6-クロロ-11β,17α,21-トリヒドロキシプレグナ-1,4,6-トリエン-3,20-ジオン;ジフルプレドナート=6α,9α-ジフルオロ-11β,17α,21-トリヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン17α-ブチレート21-アセテート;フルドロコルチゾン=9α-フルオロ-11β,17α,21-トリヒドロキシプレグン-4-エン-3,20-ジオン;フルオシノロン=6α,9α-ジフルオロ-11β,16α,17α,21-テトラヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;フルペロロン=9α-フルオロ-11β,17α,21-トリヒドロキシ-21-メチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;フルプレドニゾロン=6α-フルオロ-11β,17α,21-トリヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;ロテプレドノール=11β,17α,ジヒドロキシ-21-オキサ-21-クロロメチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;メチルプレドニゾロン=6α-メチル-11β,17α,21-トリヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;プレドニカルベート=11β,17α,21-トリヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン17α-エチルカーボネート21-プロピオネート;プレドニゾロン=11β,17α,21-トリヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;プレドニゾロン=17α,21-ジヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,11,20-トリオン;チキソコルトール=11β,17α-ジヒドロキシ-21-スルファニルプレグン-4-エン-3,20-ジオン;およびトリアムシノロン=9α-フルオロ-11β,16α,17α,21-テトラヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン);メタゾン(methasone)型(16-メチル化)(例えばメタゾン(Methasone);アルクロメタゾン=7α-クロロ-11β,17α,21-トリヒドロキシ-16α-メチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;ベクロメタゾン=9α-クロロ-11β,17α,21-トリヒドロキシ-16β-メチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;ベタメタゾン=9α-フルオロ-11β,17α,21-トリヒドロキシ-16β-メチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;クロベタゾール=9α-フルオロ-11β,17α-ジヒドロキシ-16β-メチル-21-クロロプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;クロベタゾン=9α-フルオロ-16β-メチル-17α-ヒドロキシ-21-クロロプレグナ-1,4-ジエン-3,11,20-トリオン;クロコルトロン=6α-フルオロ-9α-クロロ-11β,21-ジヒドロキシ-16α-メチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;デスオキシメタゾン=9α-フルオロ-11β,21-ジヒドロキシ-16α-メチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;デキサメタゾン=9α-フルオロ-11β,17α,21-トリヒドロキシ-16α-メチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;ジフロラゾン=6α,9α-ジフルオロ-11β,17α,21-トリヒドロキシ-16β-メチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;ジフルコルトロン(Difluocortolone)=6α,9α-ジフルオロ-11β,21-ジヒドロキシ-16α-メチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;フルクロロロン=6α-フルオロ-9α,11β-ジクロロ-16α,17α,21-トリヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;フルメタゾン=6α,9α-ジフルオロ-11β,17α,21-トリヒドロキシ-16α-メチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;フルオコルチン=6α-フルオロ-11β,21-ジヒドロキシ-16α-メチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20,21-トリオン;フルオコルトロン=6α-フルオロ-11β,21-ジヒドロキシ-16α-メチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;フルプレドニデン=9α-フルオロ-11β,17α,21-トリヒドロキシ-16-メチレンプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;フルチカゾン=6α,9α-ジフルオロ-11β,17α-ジヒドロキシ-16α-メチル-21-チア-21-フルオロメチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;フロ酸フルチカゾン=6α,9α-ジフルオロ-11β,17α-ジヒドロキシ-16α-メチル-21-チア-21-フルオロメチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン17α-(2-フロエート);ハロメタゾン=2-クロロ-6α,9α-ジフルオロ-11β,17α,21-トリヒドロキシ-16α-メチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;メプレドニゾロン=16β-メチル-17α,21-ジヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,11,20-トリオン;モメタゾン=9α,21-ジクロロ-11β,17α-ジヒドロキシ-16α-メチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;フロ酸モメタゾン=9α,21-ジクロロ-11β,17α-ジヒドロキシ-16α-メチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン17α-(2-フロエート);パラメタゾン=6α-フルオロ-11β,17α,21-トリヒドロキシ-16α-メチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;プレドニリデン=11β,17α,21-トリヒドロキシ-16-メチレンプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;リメキソロン=11β-ヒドロキシ-16α,17α,21-triメチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン;およびウロベタゾール(ハロベタゾール)=6α,9α-ジフルオロ-11β,17α-ジヒドロキシ-16β-メチル-21-クロロプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン);アセトニドおよび関連物(例えばアムシノニド=9α-フルオロ-11β,16α,17α,21-テトラヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン環式16α,17α-アセタールに、シクロペンタノン、21-アセテートを加えたもの;ブデソニド=11β,16α,17α,21-テトラヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン環式16α,17α-アセタールに、ブチルアルデヒドを加えたもの;シクレソニド=11β,16α,17α,21-テトラヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン環式16α,17α-アセタールに、(R)-シクロヘキサンカルボキサルデヒド、21-イソブチレートを加えたもの;デフラザコート=11β,21-ジヒドロキシ-2’-メチル-5’H-プレグナ-1,4-ジエノ[17,16-d]オキサゾール-3,20-ジオン21-アセテート;デソニド=11β,16α,17α,21-テトラヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン環式16α,17α-アセタールに、アセトンを加えたもの;ホルモコータル(フルオロホルミロン(fluoroformylone)=3-(2-クロロエトキシ)-9α-フルオロ-11β,16α,17α,21-テトラヒドロキシ-20-オキソプレグナ-3,5-ジエン-6-カルボキサルデヒド環式16α,17α-アセタールに、アセトン、21-アセテートを加えたもの;フルクロロロンアセトニド(フルクロロニド(flucloronide))=6α-フルオロ-9α,11β-ジクロロ-16α,17α,21-トリヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン環式16α,17α-アセタールに、アセトンを加えたもの;フルドロキシコルチド(フルランドレノリド、フルランドレノリド)=6α-フルオロ-11β,16α,17α,21-テトラヒドロキシプレグン-4-エン-3,20-ジオン環式16α,17α-
アセタールに、アセトンを加えたもの;フルニソリド=6α-フルオロ-11β,16α,17α,21-テトラヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン環式16α,17α-アセタールに、アセトンを加えたもの;フルオシノロンアセトニド=6α,9α-ジフルオロ-11β,16α,17α,21-テトラヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン環式16α,17α-アセタールに、アセトンを加えたもの;フルオシノニド=6α,9α-ジフルオロ-11β,16α,17α,21-テトラヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン環式16α,17α-アセタールに、アセトンを加えたもの、21-アセテート;ハルシノニド=9α-フルオロ-11β,16α,17α-トリヒドロキシ-21-クロロプレグン-4-エン-3,20-ジオン環式16α,17α-アセタールに、アセトンを加えたもの;およびトリアムシノロンアセトニド=9α-フルオロ-11β,16α,17α,21-テトラヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン環式16α,17α-アセタールに、アセトンを加えたもの);ならびになお他のもの(例えばコルチバゾール=6,16α-ジメチル-11β,17α,21-トリヒドロキシ-2’-フェニル[3,2-c]ピラゾロプレグナ-4,6-ジエン-20-オン21-アセテート;およびRU-28362=6-メチル-11β,17β-ジヒドロキシ-17α-(1-プロピニル)アンドロスタ-1,4,6-トリエン-3-オン)。
【0091】
副腎皮質ステロイド、特に糖質コルチコイドは、抗炎症および免疫抑制効果を有し、これは、痛風、痛風フレア、および/または痛風に関連する状態に関連する疼痛および炎症を含む症状を管理することにおいて有効であり得る。副腎皮質ステロイドの投与はまた、1つ以上のさらなる治療、例えばウリカーゼ補充療法に関連する過敏性反応を軽減することにおいても役立ち得る。副腎皮質ステロイドのなお他の非限定的な例として、プレドニゾロン、プレドニゾロン、メドロールおよびメチルプレドニゾロンが挙げられる。
【0092】
輸注反応治療剤
輸注反応治療剤(すなわち、輸注反応を軽減または予防することにおいて有益であり得る任意の治療剤)もまた、本明細書において提供される組成物および関連する方法において含めることができる。かかる治療剤として、抗炎症剤、例えば、本明細書において提供される抗炎症剤のうちのいずれか1つ(例えば副腎皮質ステロイド、例えばメチルプレドニゾロン、プレドニゾロンまたはデキサメタゾン)が挙げられ得る。かかる治療剤としてまた、抗ヒスタミン剤が挙げられ得る。抗ヒスタミン剤は、ヒスタミンの生理学的効果を阻害することができる剤であって、ブロムフェニラミン、カルビノキサミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、ジフェンヒドラミン、ヒドロキシジン、トリプロリジン、セチリジン、デスロラタジン、フェキソフェナジン、レボセチリジン、ロラタジンなどを含む。
【0093】
用量
本明細書において別段に特定されない限り、ペグ化ウリカーゼを含む組成物の用量の量(重量による)、ならびに、本明細書において提供されるバイアルあたりの濃度は、それぞれ、ウリカーゼタンパク質に抱合しているPEG分子または組成物中に添加された任意の賦形剤を含まない、ウリカーゼタンパク質の量または濃度を指す。ペグ化ウリカーゼの実際の量は、かかる例において、ペグ化されたタンパク質の形態のより高い重量に起因して、用量よりも高いであろう。一例において、ペグ化ウリカーゼを含む組成物の0.4mg/kgの用量は、0.4mg/kgのウリカーゼタンパク質の用量を指す。
【0094】
したがって、対象への投与のためのペグ化ウリカーゼを含む組成物の用量は、本明細書において提供される用量および対象の重量に基づいて、以下の式に従って計算することができる:
(mg/kgにおける用量(これはウリカーゼタンパク質のものである))×(対象の重量(kg))/(バイアル中の1mLあたりの濃度(やはりこれもウリカーゼタンパク質のものである))=投与すべき容積
【0095】
例として、ペグ化ウリカーゼは、6mg/mLの濃度まで、無菌水中で再構成することができる。したがって、この例について、4mg/kgの用量が、体重90.7kg(200lbs)の対象に投与されるためには、6.048mLの再構成されたペグ化ウリカーゼ組成物を対象に投与すべきである:
(0.4mg/kg)×(90.7kg)/(6mg/mL)=6.048mL
【0096】
いくつかの態様において、例えば所望される期間(例えば60分間)にわたる対象への静脈内注入のために、ペグ化ウリカーゼを含む組成物の適切な容積を、薬学的に受入可能な賦形剤(例えば無菌食塩水)中で希釈する。
【0097】
同様に、本明細書において別段に特定されない限り、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物の用量の量(重量による)、ならびに本明細書において提供されるバイアルあたりの濃度は、それぞれ、合成ナノキャリア材料または組成物中に添加された任意の賦形剤または他の構成成分を含まない、免疫抑制剤の量または濃度を指す。免疫抑制剤を含む合成ナノキャリア組成物の実際の量は、合成ナノキャリア材料および組成物中に添加された任意の賦形剤または他の構成成分の添加された重量に起因して、記載された用量よりも高いであろう。一例において、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物の0.08mg/kgの用量は、0.08mg/kgの免疫抑制剤の用量を指す。
【0098】
したがって、対象への投与のための免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物の用量は、対象の重量に基づいて、以下の式に従って、計算することができる:
(mg/kgにおける用量(これは免疫抑制剤のものである))×(対象の重量(kg))/(バイアル中の1mLあたりの濃度(やはりこれも免疫抑制剤のものである)=投与すべき容積
【0099】
例として、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物は、2mg/mLの濃度におけるものである(やはりこれも免疫抑制剤の濃度である)。したがって、この例において、0.08mg/kgの用量が、体重90.7kg(200lbs)の対象に投与されるためには、3.6mLの組成物を対象に投与すべきである:
(0.08mg/kg)×(90.7kg)/(2mg/mL)=3.6mL
【0100】
免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアの免疫抑制剤(例えばラパマイシン)の充填量は、免疫抑制剤および合成ナノキャリアの両方に適合性の液体抽出(例えば合成ナノキャリアを含むポリマー)を用いて、合成ナノキャリアから免疫抑制剤を抽出し、抽出物を、分析物に対して特異的なUV検出による逆相液体クロマトグラフィーにより分析することにより、決定することができる。免疫抑制剤充填量(合成ナノキャリアの含有量)は、クロマトグラフィーおよびナノ粒子抽出の手順に適合性の状態において調製された定量され、併せて分析された参照標準の較正標準曲線から、正確に、かつ的確に、計算することができる。
【0101】
免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物の用量の量(重量による)は、免疫抑制剤用量の量(重量による)に基づいて、以下の式に従って計算することができる:
(1/免疫抑制剤の充填量)×(免疫抑制剤の量に基づいて与えられる用量)=免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアの量として与えられる免疫抑制剤の用量
【0102】
例として、合成ナノキャリア中の免疫抑制剤の充填量は、約10%であってよく、免疫抑制剤の0.08mg/kgの用量が所望される場合、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアの量として与えられる用量は、8mg/kgである。
【0103】
ペグ化ウリカーゼ中に存在するウリカーゼタンパク質の量は、当該分野において公知の方法、例えば比色分析、UV吸収、またはアミノ酸分析を用いて決定することができる。比色分析アプローチは、市販されている標準化されたキットに依存し、これは、ブラッドフォードまたはビシンコニン酸(BCA)アッセイについて記載されるものなどの、典型的な色素に基づく反応に梃入れするものである。ウリカーゼタンパク質の量は、好ましくは公定のソースから購入され、同じ分光光度計を用いて併せて分析された、定量されたタンパク質参照標準の較正標準曲線から正確にかつ的確に計算することができる。選択されたUV吸収における読み出しの一貫性を保証するために、同じアッセイ内で、類似のまたは異なる化学的特性の既知のタンパク質の単一または複数の点の較正を行ってもよい。また、薬品の酸の加水分解から得られるアミノ酸混合物を分析してもよく、これは、一般に、的確かつ正確な定量を提供する。アミノ酸混合物は、UVまたは蛍光検出のいずれかにより、クロマトグラフィー前またはクロマトグラフィー後の一級および二級アミンの誘導体化を用いて、HPLCにより分析される。一般的なアミノ酸の市販の混合物を、同じアッセイ内で分析して、個々のアミノ酸の較正曲線を構築し、それに対して各々のアミノ酸を定量する。いくつかの態様において、ウリカーゼタンパク質の量の決定は、酵素活性を測定することにより捕捉、これは、595nmにおけるUV吸収によりモニタリングされる過剰の尿酸の減少を測定することにより行うことができる。あるいはまたは加えて、ウリカーゼの活性は、市販のキットを用いて決定することができ、これは、例えば、酵素反応生成物を標識すること、および当該酵素の既知の量を分析することにより確立した較正曲線に対してウリカーゼの応答を測定することを含んでもよい。
【0104】
すぐ上の式と同様に、ペグ化ウリカーゼを含む組成物の用量の量(重量による)は、ウリカーゼ用量の量(重量による)に基づいて、以下の式に従って計算することができる:
(1/(ペグ化ウリカーゼのウリカーゼの重量/ペグ化ウリカーゼの重量))×(ウリカーゼの量に基づいて与えられる用量)=ペグ化ウリカーゼの量として与えられるペグ化ウリカーゼの用量
本明細書において提供される量は、組成物中のそれぞれの分子の集合に基づく平均量であってもよいことが、理解されるべきである。
【0105】
本明細書において提供されるようなウリカーゼ、例えばペグシチカーゼ(すなわちペガドリカーゼ)を含む組成物または方法のうちのいずれか1つのための例示的なウリカーゼの用量は、0.10mg/kg、0.11mg/kg、0.12mg/kg、0.13mg/kg、0.14mg/kg、0.15mg/kg、0.16mg/kg、0.17mg/kg、0.18mg/kg、0.19mg/kg、0.20mg/kg、0.21mg/kg、0.22mg/kg、0.23mg/kg、0.24mg/kg、0.25mg/kg、0.26mg/kg、0.27mg/kg、0.28mg/kg、0.29mg/kg、0.30mg/kg、0.31mg/kg、0.32mg/kg、0.34mg/kg、0.35mg/kg、0.36mg/kg、0.37mg/kg、0.38mg/kg、0.39mg/kg、0.40mg/kg、0.41mg/kg、0.42mg/kg、0.43mg/kg、0.44mg/kg、0.45mg/kg、0.46mg/kg、0.47mg/kg、0.48mg/kg、0.49mg/kg、0.50mg/kg、0.51mg/kg、0.52mg/kg、0.53mg/kg、0.54mg/kg、0.55mg/kg、0.56mg/kg、0.57mg/kg、0.58mg/kg、0.59mg/kg、0.60mg/kg、0.61mg/kg、0.62mg/kg、0.63mg/kg,0.64mg/kg、0.65mg/kg、0.66mg/kg、0.67mg/kg、0.68mg/kg、0.69mg/kg、0.70mg/kg、0.71mg/kg、0.72mg/kg、0.73mg/kg、0.74mg/kg、0.75mg/kg、0.76mg/kg、0.77mg/kg、0.78mg/kg、0.79mg/kg、0.80mg/kg、0.81mg/kg、0.82mg/kg、0.83mg/kg、0.84mg/kg、0.85mg/kg、0.86mg/kg、0.87mg/kg、0.88mg/kg、0.89mg/kg、0.90mg/kg、0.91mg/kg、0.92mg/kg、0.93mg/kg、0.94mg/kg、0.95mg/kg、0.96mg/kg、0.97mg/kg、0.98mg/kg、0.90mg/kg、1.0mg/kg、1.01mg/kg、1.02mg/kg、1.03mg/kg、1.04mg/kg、1.05mg/kg、1.06mg/kg、1.07mg/kg、1.08mg/kg、1.09mg/kg、1.10mg/kg、1.11mg/kg、1.12mg/kg、1.13mg/kg、1.14mg/kg、1.15mg/kg、1.16mg/kg、1.17mg/kg、1.18mg/kg、1.19mg/kg、または1.20mg/kgのウリカーゼであってよい。
【0106】
本明細書において提供される免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物または方法のうちのいずれか1つのための、ラパマイシンなどの免疫抑制剤の例示的な用量は、0.050mg/kg、0.055mg/kg、0.060mg/kg、0.065mg/kg、0.070mg/kg、0.075mg/kg、0.080mg/kg、0.085mg/kg、0.090mg/kg、0.095mg/kg、0.100mg/kg、0.105mg/kg、0.110mg/kg、0.115mg/kg、0.120mg/kg、0.125mg/kg、0.130mg/kg、0.135mg/kg、0.140mg/kg、0.145mg/kg、0.150mg/kg、0.155mg/kg、0.160mg/kg、0.165mg/kg、0.170mg/kg、0.175mg/kg、0.180mg/kg、0.185mg/kg、0.190mg/kg、0.195mg/kg、0.200mg/kg、0.205mg/kg、0.210mg/kg、0.215mg/kg、0.220mg/kg、0.225mg/kg、0.230mg/kg、0.235mg/kg、0.240mg/kg、0.245mg/kg、0.250mg/kg、0.255mg/kg、0.260mg/kg、0.265mg/kg、0.270mg/kg、0.275mg/kg、0.280mg/kg、0.285mg/kg、0.290mg/kg、0.295mg/kg、0.300mg/kg、0.305mg/kg、0.310mg/kg、0.315mg/kg、0.320mg/kg、0.325mg/kg、0.330mg/kg、0.335mg/kg、0.340mg/kg、0.345mg/kg、0.350mg/kg、0.355mg/kg、0.360mg/kg、0.365mg/kg、0.370mg/kg、0.375mg/kg、0.380mg/kg、0.385mg/kg、0.390mg/kg、0.395mg/kg、0.400mg/kg、0.405mg/kg、0.410mg/kg、0.415mg/kg、0.420mg/kg、0.425mg/kg、0.430mg/kg、0.435mg/kg、0.440mg/kg、0.445mg/kg、0.450mg/kg、0.455mg/kg、0.460mg/kg、0.465mg/kg、0.470mg/kg、0.475mg/kg、0.480mg/kg、0.485mg/kg、0.490mg/kg、0.495mg/kg、0.500mg/kgの、ラパマイシンなどの免疫抑制剤であってよい。
【0107】
本明細書において提供されるようなラパマイシンなどの免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物の例示的な用量は、提供される組成物または方法のうちのいずれか1つのために、0.55mg/kg、0.56mg/kg、0.57mg/kg、0.58mg/kg、0.59mg/kg、0.60mg/kg、0.61mg/kg、0.62mg/kg、0.63mg/kg,0.64mg/kg、0.65mg/kg、0.66mg/kg、0.67mg/kg、0.68mg/kg、0.69mg/kg、0.70mg/kg、0.71mg/kg、0.72mg/kg、0.73mg/kg、0.74mg/kg、0.75mg/kg、0.76mg/kg、0.77mg/kg、0.78mg/kg、0.79mg/kg、0.80mg/kg、0.81mg/kg、0.82mg/kg、0.83mg/kg、0.84mg/kg、0.85mg/kg、0.86mg/kg、0.87mg/kg、0.88mg/kg、0.89mg/kg、0.90mg/kg、0.91mg/kg、0.92mg/kg、0.93mg/kg、0.94mg/kg、0.95mg/kg、0.96mg/kg、0.97mg/kg、0.98mg/kg、0.90mg/kg、1.0mg/kg、1.01mg/kg、1.02mg/kg、1.03mg/kg、1.04mg/kg、1.05mg/kg、1.06mg/kg、1.07mg/kg、1.08mg/kg、1.09mg/kg、1.10mg/kg、1.11mg/kg、1.12mg/kg、1.13mg/kg、1.14mg/kg、1.15mg/kg、1.16mg/kg、1.17mg/kg、1.18mg/kg、1.19mg/kg、1.20mg/kg、1.21mg/kg、1.22mg/kg、1.23mg/kg、1.24mg/kg、1.25mg/kg、1.26mg/kg、1.27mg/kg、1.28mg/kg、1.29mg/kg、1.30mg/kg、1.31mg/kg、1.32mg/kg、1.33mg/kg、1.34mg/kg、1.35mg/kg、1.36mg/kg、1.37mg/kg、1.38mg/kg、1.39mg/kg、1.40mg/kg、1.41mg/kg、1.42mg/kg、1.43mg/kg、1.44mg/kg、1.45mg/kg、1.46mg/kg、1.47mg/kg、1.48mg/kg、1.49mg/kg、1.50mg/kg、1.51mg/kg、1.52mg/kg、1.53mg/kg、1.54mg/kg、1.55mg/kg、1.56mg/kg、1.57mg/kg、1.58mg/kg、1.59mg/kg、1.60mg/kg、1.61mg/kg、1.62mg/kg、1.63mg/kg、1.64mg/kg、1.65mg/kg、1.66mg/kg、1.67mg/kg、1.68mg/kg、1.69mg/kg、1.70mg/kg、1.71mg/kg、1.72mg/kg、1.73mg/kg、1.74mg/kg、1.75mg/kg、1.76mg/kg、1.77mg/kg、1.78mg/kg、1.79mg/kg、1.80mg/kg、1.81mg/kg、1.82mg/kg、1.83mg/kg、1.84mg/kg、1.85mg/kg、1.86mg/kg、1.87mg/kg、1.88mg/kg、1.89mg/kg、1.90mg/kg、1.91mg/kg、1.92mg/kg、1.93mg/kg、1.94mg/kg、1.95mg/kg、1.96mg/kg、1.97mg/kg、1.98mg/kg、1.99mg/kg、2.00mg/kg、2.01mg/kg、2.02mg/kg、2.03mg/kg、2.04mg/kg、2.05mg/kg、2.06mg/kg、2.07mg/kg、2.08mg/kg、2.09mg/kg、2.10mg/kg、2.11mg/kg、2.12mg/kg、2.13mg/kg、2.14mg/kg、2.15mg/kg、2.16mg/kg、2.17mg/kg、2.18mg/kg、2.19mg/kg、2.20mg/kg、2.21mg/kg、2.22mg/kg、2.23mg/kg、2.24mg/kg、2.25mg/kg、2.26mg/kg、2.27mg/kg、2.28mg/kg、2.29mg/kg、2.30mg/kg、2.31mg/kg、2.32mg/kg、2.33mg/kg、2.34mg/kg、2.35mg/kg、2.36mg/kg、2.37mg/kg、2.38mg/kg、2.39mg/kg、2.40mg/kg、2.41mg/kg、2.42mg/kg、2.43mg/kg、2.44mg/kg、2.45mg/kg、2.46mg/kg、2.47mg/kg、2.48mg/kg、2.49mg/kg、2.50mg/kg、2.51mg/kg、2.52mg/kg、2.53mg/kg、2.54mg/kg、2.55mg/kg、2.56mg/kg、2.57mg/kg、2.58mg/kg、2.59mg/kg、2.60mg/kg、2.61mg/kg、2.62mg/kg、2.63mg/kg、2.64mg/kg、2.65mg/kg、2.66mg/kg、2.67mg/kg、2.68mg/kg、2.69mg/kg、2.70mg/kg、2.71mg/kg、2.72mg/kg、2.73mg/kg、2.74mg/kg、2.75mg/kg、2.76mg/kg、2.77mg/kg、2.78mg/kg、2.79mg/kg、2.80mg/kg、2.81mg/kg、2.82mg/kg、2.83mg/kg、2.84mg/kg、2.85mg/kg、2.86mg/kg、2.87mg/kg、2.88mg/kg、2.89mg/kg、2.90mg/kg、2.91mg/kg、2.92mg/kg、2.93mg/kg、2.94mg/kg、2.95mg/kg、2.96mg/kg、2.97mg/kg、2.98mg/kg、2.99mg/kg、3.00mg/kg、3.01mg/kg、3.02mg/kg、3.03mg/kg、3.04mg/kg、3.05mg/kg、3.06mg/kg、3.07mg/kg、3.08mg/kg、3.09mg/kg、3.10mg/kg、3.11mg/kg、3.12mg/kg、3.13mg/kg、3.14mg/kg、3.15mg/kg、3.16mg/kg、3.17mg/kg、3.18mg/kg、3.19mg/kg、3.20mg/kg、3.21mg/kg、3.22mg/kg、3.23mg/kg、3.24mg/kg、3.25mg/kg、
3.26mg/kg、3.27mg/kg、3.28mg/kg、3.29mg/kg、3.30mg/kg、3.31mg/kg、3.32mg/kg、3.33mg/kg、3.34mg/kg、3.35mg/kg、3.36mg/kg、3.37mg/kg、3.38mg/kg、3.39mg/kg、3.40mg/kg、3.41mg/kg、3.42mg/kg、3.43mg/kg、3.44mg/kg、3.45mg/kg、3.46mg/kg、3.47mg/kg、3.48mg/kg、3.49mg/kg、3.50mg/kg、3.51mg/kg、3.52mg/kg、3.53mg/kg、3.54mg/kg、3.55mg/kg、3.56mg/kg、3.57mg/kg、3.58mg/kg、3.59mg/kg、3.60mg/kg、3.61mg/kg、3.62mg/kg、3.63mg/kg、3.64mg/kg、3.65mg/kg、3.66mg/kg、3.67mg/kg、3.68mg/kg、3.69mg/kg、3.70mg/kg、3.71mg/kg、3.72mg/kg、3.73mg/kg、3.74mg/kg、3.75mg/kg、3.76mg/kg、3.77mg/kg、3.78mg/kg、3.79mg/kg、3.80mg/kg、3.81mg/kg、3.82mg/kg、3.83mg/kg、3.84mg/kg、3.85mg/kg、3.86mg/kg、3.87mg/kg、3.88mg/kg、3.89mg/kg、3.90mg/kg、3.91mg/kg、3.92mg/kg、3.93mg/kg、3.94mg/kg、3.95mg/kg、3.96mg/kg、3.97mg/kg、3.98mg/kg、3.99mg/kg、4.00mg/kg、4.01mg/kg、4.02mg/kg、4.03mg/kg、4.04mg/kg、4.05mg/kg、4.06mg/kg、4.07mg/kg、4.08mg/kg、4.09mg/kg、4.10mg/kg、4.11mg/kg、4.12mg/kg、4.13mg/kg、4.14mg/kg、4.15mg/kg、4.16mg/kg、4.17mg/kg、4.18mg/kg、4.19mg/kg、4.20mg/kg、4.21mg/kg、4.22mg/kg、4.23mg/kg、4.24mg/kg、4.25mg/kg、4.26mg/kg、4.27mg/kg、4.28mg/kg、4.29mg/kg、4.30mg/kg、4.31mg/kg、4.32mg/kg、4.33mg/kg、4.34mg/kg、4.35mg/kg、4.36mg/kg、4.37mg/kg、4.38mg/kg、4.39mg/kg、4.40mg/kg、4.41mg/kg、4.42mg/kg、4.43mg/kg、4.44mg/kg、4.45mg/kg、4.46mg/kg、4.47mg/kg、4.48mg/kg、4.49mg/kg、4.50mg/kg、4.51mg/kg、4.52mg/kg、4.53mg/kg、4.54mg/kg、4.55mg/kg、4.56mg/kg、4.57mg/kg、4.58mg/kg、4.59mg/kg、4.60mg/kg、4.61mg/kg、4.62mg/kg、4.63mg/kg、4.64mg/kg、4.65mg/kg、4.66mg/kg、4.67mg/kg、4.68mg/kg、4.69mg/kg、4.70mg/kg、4.71mg/kg、4.72mg/kg、4.73mg/kg、4.74mg/kg、4.75mg/kg、4.76mg/kg、4.77mg/kg、4.78mg/kg、4.79mg/kg、4.80mg/kg、4.81mg/kg、4.82mg/kg、4.83mg/kg、4.84mg/kg、4.85mg/kg、4.86mg/kg、4.87mg/kg、4.88mg/kg、4.89mg/kg、4.90mg/kg、4.91mg/kg、4.92mg/kg、4.93mg/kg、4.94mg/kg、4.95mg/kg、4.96mg/kg、4.97mg/kg、4.98mg/kg、4.99mg/kg、5.00mg/kg、5.01mg/kg、5.02mg/kg、5.03mg/kg、5.04mg/kg、5.05mg/kg、5.06mg/kg、5.07mg/kg、5.08mg/kg、5.09mg/kg、5.10mg/kg、5.11mg/kg、5.12mg/kg、5.13mg/kg、5.14mg/kg、5.15mg/kg、5.16mg/kg、5.17mg/kg、5.18mg/kg、5.19mg/kg、5.20mg/kg、5.21mg/kg、5.22mg/kg、5.23mg/kg、5.24mg/kg、5.25mg/kg、5.26mg/kg、5.27mg/kg、5.28mg/kg、5.29mg/kg、5.30mg/kg、5.31mg/kg、5.32mg/kg、5.33mg/kg、5.34mg/kg、5.35mg/kg、5.36mg/kg、5.37mg/kg、5.38mg/kg、5.39mg/kg、5.40mg/kg、5.41mg/kg、5.42mg/kg、5.43mg/kg、5.44mg/kg、5.45mg/kg、5.46mg/kg、5.47mg/kg、5.48mg/kg、5.49mg/kg、5.50mg/kg、5.51mg/kg、5.52mg/kg、5.53mg/kg、5.54mg/kg、5.55mg/kg、5.56mg/kg、5.57mg/kg、5.58mg/kg、5.59mg/kg、5.60mg/kg、5.61mg/kg、5.62mg/kg、5.63mg/kg、5.64mg/kg、5.65mg/kg、5.66mg/kg、5.67mg/kg、5.68mg/kg、5.69mg/kg、5.70mg/kg、5.71mg/kg、5.72mg/kg、5.73mg/kg、5.74mg/kg、5.75mg/kg、5.76mg/kg、5.77mg/kg、5.78mg/kg、5.79mg/kg、5.80mg/kg、5.81mg/kg、5.82mg/kg、5.83mg/kg、5.84mg/kg、5.85mg/kg、5.86mg/kg、5.87mg/kg、5.88mg/kg、5.89mg/kg、5.90mg/kg、5.91mg/kg、5.92mg/kg、5.93mg/kg、5.94mg/kg、5.95mg/kg、5.96mg/kg、5.97mg/kg、5.98mg/kg、5.99mg/kg、6.00mg/kg、6.01mg/kg、6.02mg/kg、6.03mg/kg、6.04mg/kg、6.05mg/kg、6.06mg/kg、6.07mg/kg、6.08mg/kg、6.09mg/kg、6.10mg/kg、6.11mg/kg、6.12mg/kg、6.13mg/kg、6.14mg/kg、6.15mg/kg、6.16mg/kg、6.17mg/kg、6.18mg/kg、6.19mg/kg、6.20mg/kg、6.21mg/kg、6.22mg/kg、6.23mg/kg、6.24mg/kg、6.25mg/kg、6.26mg/kg、6.27mg/kg、6.28mg/kg、6.29mg/kg、6.30mg/kg、6.31mg/kg、6.32mg/kg、6.33mg/kg、6.34mg/kg、6.35mg/kg、6.36mg/kg、6.37mg/kg、6.38mg/kg、6.39mg/kg、6.40mg/kg、6.41mg/kg、6.42mg/kg、6.43mg/kg、6.44mg/kg、6.45mg/kg、6.46mg/kg、6.47mg/kg、6.48mg/kg、6.49mg/kg、または6.50mg/kgであってよく、ここで、用量は、ラパマイシンなどの免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアのmgとして示される。
【0108】
ペグシチカーゼ(すなわち、ペガドリカーゼ)などのウリカーゼを含む組成物について本明細書において提供される用量のうちのいずれか1つを、本明細書において提供される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つにおいて用いることができる。ラパマイシンなどの免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物について本明細書において提供される用量のうちのいずれか1つを、本明細書において提供される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つにおいて用いることができる。抗炎症性治療剤を含む組成物について本明細書において提供される用量のうちのいずれか1つを、本明細書において提供される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つにおいて用いることができる。輸注反応治療剤を含む組成物について本明細書において提供される用量のうちのいずれか1つを、本明細書において提供される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つにおいて用いることができる。一般に、対象に投与されるべき用量に言及する場合、当該用量は、ラベル用量である。したがって、本明細書において提供される方法または組成物のうちのいずれか1つにおいて、用量は、ラベル用量である。
【0109】
本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つのいくつかの態様において、本明細書において提供される組成物のうちのいずれかを対象に投与するための注入ラインに注入(prime)するために、さらなる容積(注入(prime)容積)を用いてもよい。
【0110】
本明細書において提供されるのは、多数の可能な投与スケジュールである。したがって、本明細書において提供される対象のうちのいずれか1つを、本明細書において提供される投与スケジュールのうちのいずれか1つに従って処置することができる。例として、本明細書において提供される対象のうちのいずれか1つを、ペグ化ウリカーゼなどのウリカーゼを含む組成物、および/またはラパマイシンなどの免疫抑制剤を含む合成ナノキャリアを含む組成物、および/または抗炎症性治療剤を含む組成物、および/または輸注反応治療剤を含む組成物で、これらの投与スケジュールのうちのいずれか1つに従って処置することができる。
【0111】
提供される処置方法のうちのいずれか1つの組成物の投与の様式は、静脈内注入などの静脈内投与によるものであってよく、これは、例えば、約1時間にわたって行うことができる。加えて、本明細書において提供される処置の方法のうちのいずれか1つはまた、ウリカーゼなどの尿酸低下治療剤または抗痛風フレア予防処置などの、さらなる治療剤の投与を含んでもよい。さらなる治療剤の投与は、本明細書において提供される適用可能な処置レジメンおよび/または投与の様式のうちのいずれか1つに従う。
【0112】
好ましくは、いくつかの態様において、ラパマイシンなどの免疫抑制剤を含む合成ナノキャリア組成物と、ペグ化ウリカーゼなどのウリカーゼを含む組成物との組み合わせによる処置は、合成ナノキャリア組成物の3回の用量を、ウリカーゼ含有組成物と併せて含み、その後に、ウリカーゼの2回の用量を、免疫抑制剤を含む合成ナノキャリア組成物などの免疫抑制剤を含む組成物の併用投与なしで、さらなる治療剤の併用投与を用いてまたはこれを用いずに、含むことができる。かかる態様において、各々の用量は、2~4週間毎に投与することができる。一態様において、本明細書において提供される対象のいずれか1つが、1か月に1回、3か月にわたり、合成ナノキャリア組成物の3回の用量をウリカーゼ含有組成物と併用して投与される方法が提供される。別の態様において、この方法は、ウリカーゼ含有組成物の2、3、4、5、6、7、8、9または10回またはそれより多くの月毎の用量を、単独で、または免疫抑制剤を含む合成ナノキャリア組成物などの免疫抑制剤もしくはさらなる治療剤の併用投与なしで投与することをさらに含む。本明細書において提供される方法のうちのいずれか1つのいくつかの態様において、尿酸のレベルは、対象において、処置期間の前、その間、および/またはその後における1つ以上の時点において測定される。
【0113】
対象
本明細書において提供される対象は、本明細書において提供される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つに従う処置を必要としていてもよい。かかる対象として、上昇した血清尿酸レベルまたは尿酸沈着を有するものが挙げられる。かかる対象として、高尿酸血症を有するものが挙げられる。本明細書において提供されるような処置を必要とする対象を決定し得ることは、医師の技術の範囲内である。
【0114】
いくつかの態様において、提供される方法のうちのいずれか1つにおいて提供されるような処置のための対象のうちのいずれか1つは、痛風または痛風に関連する状態または本明細書において提供されるような別の状態を有する。いくつかの態様において、提供される方法のうちのいずれか1つにおいて提供されるような処置のための対象のうちのいずれか1つは、痛風フレアを既に有しているか、これを有することが予測される。
【0115】
いくつかの態様において、対象は、痛風に関連するびらん性骨疾患、痛風に関連する肝硬変もしくは脂肪性肝炎、または内臓(visceral)痛風を有するか、またはこれを有する危険性がある。
いくつかの態様において、対象は、上昇した尿酸レベル、例えば、上昇した血漿または血清尿酸レベルを有するか、またはこれを有する危険性がある。尿酸の血中レベルが生理学的な溶解度の限界を超え得る場合、尿酸は、関節を含む組織において結晶化し得、痛風および痛風に関連する状態を引き起こし得る。
【0116】
いくつかの態様において、≧5mg/dL、≧6mg/dL、または≧7mg/dLの血清尿酸レベルは、本明細書において記載される方法または組成物またはキットのうちのいずれか1つによる処置のための候補であり得ることの指標である。いくつかの態様において、かかる対象は、≧6mg/dL、例えば、6.1mg/dL~15mg/dL、6.1mg/dL~10mg/dL、7mg/dL~15mg/dL、7mg/dL~10mg/dL、8mg/dL~15mg/dL、8mg/dL~10mg/dL、9mg/dL~15mg/dL、9mg/dL~10mg/dL、10mg/dL~15mg/dL、または11mg/dL~14mg/dLの尿酸の血清レベルを有する。いくつかの態様において、対象は、約6.1mg/dL、6.2mg/dL、6.3mg/dL、6.4mg/dL、6.5mg/dL、6.7mg/dL、6.8mg/dL、6.9mg/dL、7.0mg/dL、7.1mg/dL、7.2mg/dL、7.3mg/dL、7.4mg/dL、7.5mg/dL,7.6mg/dL、7.7mg/dL、7.8mg/dL、7.9mg/dL、8.0mg/dL、8.1mg/dL、8.2mg/dL、8.3mg/dL、8.4mg/dL、8.5mg/dL、8.6mg/dL、8.7mg/dL、8.8mg/dL、8.9mg/dL、9.0mg/dL、9.1mg/dL、9.2mg/dL、9.3mg/dL、9.4mg/dL、9.5mg/dL、9.6mg/dL、9.7mg/dL、9.8mg/dL、9.9mg/dL、10.0mg/dL、10.1mg/dL、10.2mg/dL、10.3mg/dL、10.4mg/dL、10.5mg/dL、10.6mg/dL、10.7mg/dL、10.8mg/dL、10.9mg/dL、11.0mg/dL、11.1mg/dL、11.2mg/dL、11.3mg/dL、11.4mg/dL、11.5mg/dL、11.6mg/dL、11.7mg/dL、11.8mg/dL、11.9mg/dL、12.0mg/dL、12.1mg/dL、12.2mg/dL、12.3mg/dL、12.4mg/dL、12.5mg/dL、12.6mg/dL、12.7mg/dL、12.8mg/dL、12.9mg/dL、13.0mg/dL、13.1mg/dL、13.2mg/dL、13.3mg/dL、13.4mg/dL、13.5mg/dL、13.6mg/dL、13.7mg/dL、13.8mg/dL、13.9mg/dL、14.0mg/dL、14.1mg/dL、14.2mg/dL、14.3mg/dL、14.4mg/dL、14.5mg/dL、14.6mg/dL、14.7mg/dL、14.8mg/dL、14.9mg/dL、15.0mg/dLまたはそれより高い尿酸の血清レベルを有する。いくつかの態様において、対象は、5.0mg/dL、5.1mg/dL、5.2mg/dL、5.3mg/dL、5.4mg/dL、5.5mg/dL、5.6mg/dL、5.7mg/dL、5.8mg/dL、5.9mg/dL、6.0mg/dL、6.1mg/dL、6.2mg/dL、6.3mg/dL、6.4mg/dL、6.5mg/dL、6.6mg/dL、6.7mg/dL、6.8mg/dL、6.9mg/dL、または7.0mg/dLの血漿または血清尿酸レベルを有する。いくつかの態様において、対象は、5.0mg/dL、5.1mg/dL、5.2mg/dL、5.3mg/dL、5.4mg/dL、5.5mg/dL、5.6mg/dL、5.7mg/dL、5.8mg/dL、5.9mg/dL、6.0mg/dL、6.1mg/dL、6.2mg/dL、6.3mg/dL、6.4mg/dL、6.5mg/dL、6.6mg/dL、6.7mg/dL、6.8mg/dL、6.9mg/dL、または7.0mg/dLより高いかまたはこれに等しい血漿または血清尿酸レベルを有する。
【0117】
いくつかの態様において、対象は、高尿酸血症を有するか、またはこれを有する危険性がある。いくつかの態様において、対象は、痛風、急性痛風、急性間欠性痛風、痛風性関節炎、急性痛風性関節炎、急性痛風性関節症、急性多関節型痛風、反復性痛風性関節炎、慢性痛風(痛風結節を伴うかまたはこれを伴わない)、結節性痛風、慢性結節性痛風、慢性進行性痛風(痛風結節を伴うかまたはこれを伴わない)、慢性多関節型痛風(痛風結節を伴うかまたはこれを伴わない)、慢性痛風性関節症(痛風結節を伴うかまたはこれを伴わない)、特発性痛風、特発性慢性痛風(痛風結節を伴うかまたはこれを伴わない)、原発性痛風、慢性原発性痛風(痛風結節を伴うかまたはこれを伴わない)、難治性痛風、例えば慢性難治性痛風、体軸性痛風性関節症、痛風発作、痛風フレア、足部痛風(すなわち、母趾の単関節性関節炎)、手痛風(すなわち、手の単関節性関節炎)、膝痛風(すなわち、膝の単関節性関節炎)、痛風性滑液包炎, 痛風性脊椎炎, 痛風性滑膜炎, 痛風性腱鞘炎, 腱および靭帯に影響を及ぼす痛風, 鉛誘導性痛風(すなわち、鉛中毒性(saturnine)痛風)、薬物誘導性痛風、腎機能低下に起因する痛風、腎臓疾患に起因する痛風、腎機能低下に起因する慢性痛風(痛風結節を伴うかまたはこれを伴わない)、腎臓疾患に起因する慢性痛風(痛風結節を伴うかまたはこれを伴わない)、痛風に関連するびらん性骨疾患、痛風に関連する脳卒中、痛風に関連する血管粥腫、痛風に関連する肝硬変または脂肪性肝炎、肝臓に関連する痛風、偶発性および反復性痛風、痛風における膵臓への傷害に関連する糖尿病、痛風により増悪した一般的な炎症性疾患、他の続発性痛風、または不特定の痛風を有するか、またはこれを有する危険性がある。
【0118】
いくつかの態様において、対象は、腎臓系に関連する状態、例えば、痛風に起因する尿路の結石、尿酸尿路結石症、尿酸腎結石症、尿酸腎石、痛風性腎症、急性痛風性腎症、慢性痛風性腎症、尿酸(urate)腎症、尿酸(uric acid)腎症、および痛風性間質性腎症を有するか、またはこれを有する危険性がある。
【0119】
いくつかの態様において、対象は、神経系に関連する状態、例えば、痛風に起因する末梢自律神経ニューロパシー、痛風性ニューロパシー、痛風性魔性ニューロパシー、痛風性絞扼性ニューロパシー、または痛風性神経炎を有するか、またはこれを有する危険性がある。
【0120】
いくつかの態様において、対象は、心血管系に関連する状態、例えば、代謝症候群、高血圧症、肥満、糖尿病、心筋梗塞、脳卒中、脂質異常症、高トリグリセリド血症、インスリン耐性/高血糖症、冠動脈疾患/冠動脈心疾患、痛風または高尿酸血症に関連する冠動脈の疾患または封鎖、心不全、末梢動脈疾患、脳卒中/脳血管疾患、末梢血管疾患および痛風に起因する心筋症を有するか、またはこれを有する危険性がある。
【0121】
いくつかの態様において、対象は、例えば、痛風性虹彩炎、痛風により引き起こされる眼における炎症性疾患、ドライアイ症候群、眼の充血(red eye)、ぶどう膜炎、眼内圧上昇(intraocular hypertension)、緑内障、および白内障を含む、眼系に関連する状態を有するか、またはこれを有する危険性がある。
【0122】
いくつかの態様において、対象は、例えば、外耳の痛風、痛風性皮膚炎、痛風性湿疹、痛風性脂肪織炎、および汗疹性痛風を含む、皮膚に関連する状態を有するか、またはこれを有する危険性がある。
【0123】
組成物およびキット
本明細書において提供される組成物は、以下を含んでもよい:無機または有機の緩衝化剤(例えば、リン酸、炭酸、酢酸またはクエン酸のナトリウムまたはカリウム塩)およびpH調整剤(例えば、塩酸、水酸化ナトリウムまたはカリウム、クエン酸または酢酸の塩、アミノ酸およびそれらの塩)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、アルファ-トコフェロール)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン9-10ノニルフェノール、デオキシコール酸ナトリウム)、溶解および/または凍結/溶解(lyo)安定化剤(例えば、スクロース、ラクトース、マンニトール、トレハロース)、浸透圧調整剤(例えば、塩または糖)、抗菌剤(例えば、安息香酸、フェノール、ゲンタマイシン)、消泡剤(例えば、ポリジメチルシロキサン)、保存剤(例えば、チメロサール、2-フェノキシエタノール、EDTA)、ポリマー性安定化剤および粘性調整剤(例えば、ポリビニルピロリドン、ポロキサマー488、カルボキシメチルセルロース)および共溶媒(例えば、グリセロール、ポリエチレングリコール、エタノール)。
【0124】
本発明による組成物は、薬学的に受入可能な賦形剤を含んでもよい。組成物は、有用な投与形態に到達するための従来の医薬の製造および配合技術を用いて製造することができる。本発明を実施することにおける使用のために好適な技術は、Handbook of Industrial Mixing:Science and Practice、Edward L. Paul, Victor、A. Atiemo-ObengおよびSuzanne M. Kresta編、2004年、John Wiley & Sons, Inc.;およびPharmaceutics:The Science of Dosage Form Design、第2版、M. E. Auten編、2001年、Churchill Livingstoneにおいて見出すことができる。一態様において、組成物は、注射のための無菌の食塩水溶液中に保存剤と一緒に懸濁される。
【0125】
本発明の組成物は、任意の好適な様式において製造すること、および本発明は、決して、本明細書において記載される方法を用いて生成され得る組成物に限定されるものではないことが、理解されるべきである。適切な製造の方法の選択は、関連する特定の要素の特性に対する注意を必要とし得る。
【0126】
いくつかの態様において、組成物は、無菌条件下において製造されるか、最初にまたは最後に無菌化される。このことは、生じる組成物が無菌かつ非感染性であることを保証し、それにより、非無菌の組成物と比較した場合に、安全性を改善する。このことは、組成物を投与されている対象が、免疫欠損を有するか、感染症を罹患しているか、および/または感染に対して感受性である場合には特に、価値ある安全性の指標を提供する。いくつかの態様において、組成物は、凍結乾燥して、処方戦略に依存して、懸濁液中で、または凍結乾燥粉末として、長期にわたり活性を失うことなく貯蔵することができる。
【0127】
本発明による投与は、多様な経路によるものであってよく、これは、静脈内経路を含むが、これに限定されない。本明細書において言及される組成物は、従来の方法を用いる投与のために、製造および調製することができる。
【0128】
本発明の組成物は、有効量、例えば本明細書において別の場所に記載される有効量において投与することができる。本明細書において提供されるような組成物の用量は、様々な量の本発明による要素を含むことができる。投与のための組成物中に存在する要素の量は、それらの性質、達成されるべき治療上の利益、および他のかかるパラメーターにより変化し得る。投与のための組成物は、本明細書において提供される頻度のうちのいずれか1つに従って投与することができる。
【0129】
本開示の別の側面は、キットに関する。いくつかの態様において、キットは、本明細書において提供される組成物のうちのいずれか1つを含む。提供されるキットのうちのいずれか1つのいくつかの態様において、キットは、1つ以上の抗炎症性治療剤および/または輸注反応治療剤を含む組成物ならびに本明細書において提供される1つ以上の合成ナノキャリア組成物を含む組成物のうちのいずれか1つを含む。キットのうちのいずれか1つは、1つ以上のウリカーゼを含む組成物をさらに含んでもよい。組成物の型の各々は、キット中で、1つの容器中にあっても、1つより多くの容器中にあってもよい。提供されるキットのうちのいずれか1つのいくつかの態様において、容器は、バイアルまたはアンプルである。提供されるキットのうちのいずれか1つのいくつかの態様において、組成物は、後の時点においてそれらを再構成することができるように、別の容器中または同じ容器中で、各々凍結乾燥形態にある。提供されるキットのうちのいずれか1つのいくつかの態様において、組成物は、後の時点でそれらを再構成することができるように、各々が別の容器中または同じ容器中にある凍結懸濁液の形態である。キットのうちのいずれか1つのいくつかの態様において、凍結懸濁液は、PBSをさらに含む。キットのうちのいずれか1つのいくつかの態様において、キットは、PBSおよび/または0.9%の塩化ナトリウム、USPをさらに含む。
【0130】
提供されるキットのうちのいずれか1つのいくつかの態様において、キットは、再構成、混合、投与などのための指示をさらに含む。提供されるキットのうちのいずれか1つのいくつかの態様において、指示は、本明細書において記載される方法のうちのいずれか1つの説明を含む。指示は、任意の好適な形態であってよく、例えば、印刷された挿入物またはラベルとしての形態であってよい。提供されるキットのうちのいずれか1つのいくつかの態様において、キットは、組成物をin vivoで対象に送達することができる1つ以上のシリンジまたは他のデバイスをさらに含む。
【0131】
例
例1:SEL-212臨床治験結果、ヒト
第1a相臨床治験
SEL-212についての第1a相臨床治験は、5つのコホートに分けられた、6mg/dlよりも高くに上昇した血清尿酸レベルを有する22人の対象における、ペグシチカーゼ単独の漸増用量試験であった。各コホートは、以下の用量レベルにおいてペグシチカーゼの単一の静脈内注入を受けた:コホート#1については0.1mg/kg、コホート#2については0.2mg/kg、コホート#3については0.4mg/kg、コホート#4については0.8mg/kg、およびコホート#5については1.2mg/kg。投与は、最も低い用量から始め、コホート全体が安全に投与された後にのみ、次のコホートを始めた。注入後30日間の期間の間、対象をモニタリングし、来院は、第7、14、21日に行い、治験の最後の来院は第30日に行った。各患者の血液および血清を、血清尿酸、ADA(具体的には、抗peg、抗ウリカーゼおよび抗ペグシチカーゼ)ならびに安全性パラメーターについて評価した。ペグシチカーゼは、重篤な有害効果を示さず、試験された5つの用量レベルにおいて良好に耐用されることが観察された。加えて、ペグシチカーゼが、用量レベルに依存して、各コホートについて、14~30日間にわたり、平均血清尿酸レベルを6mg/dlより低くに迅速に(数時間以内に)低下させてこれを維持することが観察された。動物における前臨床研究と一致して、この第1a相治験において、ペグシチカーゼは、全ての対象において、ウリカーゼ特異的ADAを様々なレベルで誘導した。
【0132】
図3は、治験の開始におけるペグシチカーゼの単一の静脈内注入の後、30日間の期間の経過の間に異なる測定間隔(第7、14、21および30日)において試験された、第1a相臨床治験の5つのコホートの平均血清尿酸レベルを表す。
【0133】
血清尿酸レベルは、基線ならびに第7、14、21および30日において測定し、ウリカーゼ特異的ADAレベルは、基線ならびにペグシチカーゼの単一の静脈内注射の後第7、14および30日において測定した。第1a相臨床治験における第21日におけるウリカーゼ特異的ADAレベルは、測定しなかった。第1a相臨床治験からの結果に基づいて、耐用される用量でのペグシチカーゼは、30日間の期間にわたり、阻害性のウリカーゼ特異的ADAの不在下において、6mg/dlの標的より低くまでの血清尿酸の低下を達成してこれを維持することができることが観察された。
【0134】
第1b相臨床治験
6mg/dlより高い血清尿酸レベルを有する63人の患者を登録した第1b相臨床治験は11のコホートに分けた。以下の漸増用量レベルにおけるSVPラパマイシン単独での単一の静脈内注入を、4つのコホートに、低いものから順に投与した。各コホートは7人の患者からなり、彼らを、以下のとおり指定した:コホート#1(0.03mg/kg)、コホート#3(0.1mg/kg)、コホート#5(0.3mg/kg)およびコホート#7(0.5mg/kg)、集合的にSVPラパマイシンコホート。SVP-ラパマイシン単独のコホートに、SVPラパマイシンの対応する用量レベルを首尾よくかつ安全に投与した後、ペグシチカーゼの固定された用量(0.4mg/kg)を組み合わせた。組み合わせを、SVPラパマイシン注入と共に、ペグシチカーゼ注入に先立って、単一の静脈内注入として連続的に共投与した。6つのコホート(コホートあたり5人の患者)について、コホート指定は以下のとおりであり、これらは、コホート#2(SVPラパマイシン0.03mg/kg+0.4mg/kgのペグシチカーゼ)、コホート#4(SVPラパマイシン0.1mg/kg+0.4mg/kgのペグシチカーゼ)、コホート#6(SVPラパマイシン0.3mg/kg+0.4mg/kgのペグシチカーゼ)、コホート#10(0.4mg/kgのペグシチカーゼ+48時間空けて0.03mg/kgのSVPラパマイシン)、コホート#12(SVPラパマイシン0.15mg/kg+0.4mg/kgのペグシチカーゼ)およびコホート#14(SVPラパマイシン0.1mg/kg+0.4mg/kgのペグシチカーゼ)であり、集合的にSEL-212コホートであった。コホート#9において、0.4mg/kgの用量レベルにおけるペグシチカーゼ単独の固定された量を、5人の患者に投与し、これは、ペグシチカーゼコホートとして言及される。かかる処置の方法もまた、提供される。注入後30日間の期間の間、対象をモニタリングし、来院は、第7、14、21日に行い、治験の最後の来院は第30日に行った。。各患者の血液および血清を、血清尿酸、ADA(具体的には、抗PEG、抗ウリカーゼおよび抗ペグシチカーゼ)ならびに安全性パラメーターについて評価した。第1b相臨床治験の第1の目的は、SVPラパマイシンの、単独でおよびペグシチカーゼの固定された用量との組み合わせにおける安全性および耐用性を評価することであった。第二の臨床的目的は、ペグシチカーゼ単独の投与と比較した場合に、ペグシチカーゼと共投与されたSVPラパマイシンが、血清尿酸レベルを低下させ、ウリカーゼ特異的ADAの形成を軽減する能力を評価することであった。
【0135】
図4は、対象が、固定された量のペグシチカーゼ単独(同じ0.4mg/kgでのペグシチカーゼ)を投与される第1a相臨床治験からのコホート#3の血清尿酸レベルを示す。また最初のグラフにおけるのは、第1b相臨床治験のコホート#9(ペグシチカーゼ0.4mg/kg)からのデータである。このグラフは、2つの別々の研究にわたるデータの再現性を表す。両方のコホートにおいて、血清尿酸の初期の制御(レベルが6mg/dLより低くに維持されている)が存在するが、第14日を過ぎると、個体は酵素活性が緩む(loose)。また、
図4において、SVPラパマイシン単独コホートからのデータを呈示する。全ての値は、試験の30日間全体にわたり本質的に同じであり続け、このことは、SVPラパマイシン単独が、血清尿酸レベルに対して効果を有さないことを示している。ペグシチカーゼと共投与されたSVPラパマイシンの最も低い用量を投与された、第1b相臨床治験からのコホート#2について、試験された5人の対象のうちの4人が、21日間の治験を通して血清尿酸レベルを6mg/dlより低くに維持したことが観察された。また、ペグシチカーゼと共投与されたSVPラパマイシンの2番目に低い用量を投与された、第1b相臨床治験からのコホート#4における5人の対象のうちの4人が、30日間を通して0.1mg/dl未満の血清尿酸のレベルを維持したことが観察された。コホート#6(SEL-212コホート)については、(計画された5人のうちの)4人の対象が、21日間を通して0.1mg/dl未満の血清尿酸のレベルを維持し、(計画された5人のうちの)2人の対象が、30日間を通して0.1mg/dl未満の血清尿酸のレベルを維持したことが観察された。比較すると、コホート#9(ペグシチカーゼコホート)については、5人の対象のうちの4人は、第30日までに基線の血清尿酸レベルに戻った。
【0136】
図4は、第1a相臨床治験のコホート#3および第1b相臨床治験のコホート#9(ペグシチカーゼコホート)における各対象についての血清尿酸レベルおよびウリカーゼ特異的ADAレベルを、第1b相臨床治験におけるコホート#4(SEL-212コホート)における各対象についての血清尿酸レベルおよびウリカーゼ特異的ADAレベルとの比較のために示す。第1b相臨床治験からのコホート#4との比較を目的として、第1a相臨床治験からのコホート#3を、第1b相臨床治験からのコホート#9と共に表す。なぜならば、これらのコホート中の対象は、ペグシチカーゼの同じ固定された用量を投与されるからである。加えて、第1b相臨床治験からのコホート#4を、
図4において表す。なぜならば、第1b相臨床治験からのコホート#4における対象は、第1b相臨床治験からの30日間の観察期間のデータが利用可能であったもう一方のSEL-212コホートである第1b相臨床治験におけるコホート#2における対象が投与されるよりも高い用量のSVPラパマイシンを投与されるからである。
【0137】
図4において表されるとおり、第1a相臨床治験からのコホート#3および第1b相臨床治験からのコホート#9において、血清尿酸の基線レベルへの回復をもたらす第14日におけるウリカーゼ特異的ADA形成が観察された。比較すると、第1b相臨床治験からのコホート#4について、試験された5人の対象のうちの4人において、最少のウリカーゼ特異的ADA形成と、30日間を通しての対応する血清尿酸レベルの制御の維持が観察された。第1a相臨床治験において、第21日におけるウリカーゼ特異的ADAレベルは、測定しなかった。しかし、第1a相臨床治験を実施する経過において、第21日においてウリカーゼ特異的ADAレベルを測定することは、第14日と第30日との間のかかるレベルの任意の変動をより完全に理解するために有用であろうということを学習した。結果として、第1b相臨床治験については、第21日におけるウリカーゼ特異的ADAレベルを測定した。
【0138】
第30日において血清尿酸およびウリカーゼ特異的ADAレベルを有しなかったか、または非常に低い血清尿酸およびウリカーゼ特異的ADAレベルを有した、コホート#4(SEL-212コホート)中の対象のうちの3人について、第30日後のさらなる血清尿酸およびウリカーゼ特異的ADAデータを収集した。第37日においてこれらの対象のうちの3人全員について、3人の対象のうちの2人について第42日または第44日において再び、データを収集した。これらの3人の対象の各々は、適用可能である場合には、第37日、第42日または第44日において、ウリカーゼ特異的ADAレベルを有していないか、非常に低いウリカーゼ特異的ADAレベルを有した。血清尿酸レベルは、3人の対象全員において、第37日において、基線の下のままであった。第42日または第44日のデータが利用可能であった2人の対象に関して、血清尿酸レベルは、測定された最後の時点までに、基線に近づくかまたはこれを超えた。第1b相臨床治験データからの観察に基づいて、SEL-212は、コホート#4中の対象の大部分において、少なくとも30日間にわたり尿酸レベルを制御することが可能であることが見出された。
【0139】
組み合わせに基づいて、合計で85人の対象に、第1a相および第1b相臨床治験に関して、SEL-212(SVPラパマイシンおよびペグシチカーゼ)、SVPラパマイシン単独またはペグシチカーゼ単独のいずれかを投与した。SEL-212およびその構成成分であるSVPラパマイシンおよびペグシチカーゼが、良好に耐用されることが、一般に観察された。いずれも第1相臨床治験において、合計で4回の重篤な有害事象、またはSAEが存在した。全てのSAEを完全に解決した。
【0140】
図5は、第1a相臨床治験のコホート#3および第1b相臨床治験のコホート#9(ペグシチカーゼコホート)における各対象についての血清尿酸レベルおよびウリカーゼ特異的ADAレベルを、第1b相臨床治験におけるコホート#4(SEL-212コホート)およびコホート#6(SEL-212コホート)における各対象についての血清尿酸レベルおよびウリカーゼ特異的ADAレベルとの比較のために示す。第1a相臨床治験からのコホート#3をまた、第1b相臨床治験からのコホート#4およびコホート#6に対する比較を目的として、第1b相臨床治験からのコホート#9と共に表す。なぜならば、これらのコホート中の対象は、ペグシチカーゼの同じ固定された用量を投与されるからである。加えて、第1b相臨床治験からのコホート#4を表す。なぜならば、第1b相臨床治験からのコホート#4は、第1b相臨床治験におけるコホート#2における対象が投与されるよりも高い用量のSVP-ラパマイシンを投与されるからである。また含められるのは、第1b相臨床治験からのコホート#6である。なぜならば、これらの対象は、今日までに試験された最も高い(コホート#2および#4のいずれよりも高い)用量のSVP-ラパマイシンを投与されるからである。
【0141】
図6は、第1b相臨床治験のコホート#6におけるSEL-212の効力の、第1b相臨床治験のコホート#5との非対等(non-head-to-head)な比較、および、KRYSTEXXA(登録商標)の2つの複製の無作為化した二重盲検のプラセボ対照臨床治験からのデータ(2011年におけるJournal of the American Medical Associationにおいて報告されるとおり)を表す。これら2つのKRYSTEXXA(登録商標)臨床治験は、隔週で(biweekly)KRYSTEXXA(登録商標)の用量を投与された85人の患者、KRYSTEXXA(登録商標)の1か月1回の用量を投与された84人の患者、およびプラセボを投与された43人の患者を含んだ。
【0142】
KRYSTEXXA(登録商標)は、隔週での用量レジメンにおける難治性痛風の処置について承認されており、一方、KRYSTEXXA(登録商標)の1か月1回の用量レジメンは、上市について承認されていない。左のグラフは、1か月1回の用量を投与されたKRYSTEXXA(登録商標)臨床治験における対象のコホートからのKrystexxa(登録商標)の最初の用量の後4週間の期間にわたるデータを表す。
【0143】
図6において白丸で示されるプラセボ対照の対象は、4週間全体にわたって、6mg/dlより高い尿酸レベルを有した。KRYSTEXXA(登録商標)処置された対象であって、3か月目および6か月目において時間のうちの80%にわたり6mg/dlより低い尿酸レベルの維持により定義されるとおり、応答者となるように進んだものは、黒丸で示す。KRYSTEXXA(登録商標)処置された対象であって、3か月目および6か月目において時間のうちの80%にわたり6mg/dlより低い尿酸レベルを維持することができないことにより定義されるとおり、非応答者となるように進んだものは、黒三角で示す。1か月1回の投与のコホートにおいて、KRYSTEXXA(登録商標)処置された対象のうちの35%のみが、応答者として分類された。4週間目においてすら、平均尿酸レベルは、対象のうちの65%を表す非応答者において6mg/dlより高く、応答者においては4mg/dlより高かった。全てのKRYSTEXXA(登録商標)処置された対象のうちょの89%が、ADAを生じた。比較すると、
図6における右のグラフは、SVP-ラパマイシン単独の単一の用量を投与された第1b相臨床治験のコホート#5、およびSEL-212の単一の用量を投与された第1b相臨床治験のコホート#6からのデータを表す。SEL-212で処置された第1b相臨床治験のコホート#6における5人の対象は全て、30日間を通して0.1mg/dl未満の血清尿酸のレベルを維持した。SVP-ラパマイシン単独で処置された第1b相臨床治験のコホート#5における対象は、かかるレベルが30日間の期間にわたり比較的一定を維持したことから、尿酸レベルの著しい低下を経験した。また示されるのは、SVP-ラパマイシン単独の単一の用量を投与された第1b相臨床治験のコホート#5からのデータの、ペグシチカーゼ単独を投与された第1b相臨床治験のコホート#9との比較である。
【0144】
上の比較は、第1b相臨床治験のコホート#6の結果を評価することにおいて有用であると考えられる一方で、第1b相臨床治験およびKRYSTEXXA(登録商標)の臨床治験は、異なる研究者により異なる場所において実施された別個の治験であった。加えて、例えば、KRYSTEXXA(登録商標)臨床治験は、実質的な数の難治性痛風を有する患者を含む二重盲検治験であり、一方、第1b相臨床治験は、盲検化していない様式において、より少数の、上昇した尿酸レベルを有する対象において、SEL-212を評価したことを含む、実質的な差異が存在した。さらに、SEL-212は複数用量の臨床治験においては評価されていないので、KRYSTEXXA(登録商標)の最初の注射の後4週間の期間によるSEL-212の効力のみを比較し得た。
【0145】
第30日の後で、第30日において血清尿酸およびウリカーゼ特異的ADAレベルを有しなかったか、または非常に低い血清尿酸およびウリカーゼ特異的ADAレベルを有したコホート#4(SEL-212コホート)中の対象のうちの3人について、さらなる血清尿酸およびウリカーゼ特異的ADAデータを収集した。第37日においてこれらの対象のうちの3人全員について、第42日または第44日において3人の対象のうちの2人について再び、データを収集した。これらの3人の対象の各々は、適用可能である場合には、第37日、第42日または第44日において、ウリカーゼ特異的ADAレベルを有していないか、非常に低いウリカーゼ特異的ADAレベルを有した。血清尿酸レベルは、3人の対象全員において、第37日において、基線の下のままであった。第42日または第44日のデータが利用可能であった2人の対象に関して、血清尿酸レベルは、測定された最後の時点までに、基線に近づくかまたはこれを超えた。
【0146】
例2-第2相臨床治験
ここで表されるのは、SEL-212の第2相臨床治験である。本研究は、SEL-037の用量と併用して投与される複数の用量のSEL-212からなる。SEL-212は、SEL-037とSEL-110との組み合わせである。SEL-037は、ペグシチカーゼ(組み換えペグ化カンジダ尿酸オキシダーゼ)を含む。SEL-110は、ラパマイシンを被包するPLA(ポリ(D,L-ラクチド))およびPLA-PEG(ポリ(D,L-ラクチド)-ブロック-ポリ(エチレン-グリコール))を含むナノキャリアである。
【0147】
SEL-037は、リン酸バッファーおよび賦形剤としてマンニトールと共に提供され得る。投与の前に、ウリカーゼタンパク質として測定される6mgの凍結乾燥されたSEL-037を、1.1mlの注射用無菌水、USP(米国薬局方)で再構成することができ、これは、6mg/mLの濃縮溶液を形成する。十分な容積の再構成された、ウリカーゼタンパク質として測定される0.2mg/kgまたは0.4mg/kgにおけるSEL-037を、100mLの0.9%の注射用塩化ナトリウム、USP中で希釈し、単一の静脈内注入として、注入ポンプにより60分間かけて投与した。
【0148】
SEL-110は、ラパマイシン含有量に基づいて2mg/mLのPBS中の懸濁液として提供される。mg/kg単位でのSEL-110の適切な量をシリンジ中に引き込み、シリンジ注入ポンプによりIV注入として投与する。対象がコホート3、4、5、6、7および8の一部である場合は、SEL-037の前にSEL-110を投与する。SEL-110は、シリンジ注入ポンプにより、55分間の期間にわたりある用量の容積を送達するために十分な単一の安定した速度で、125mLの生理食塩水の60分間注入と同時に送達し、次いで、60分のマークにおいてSEL-037注入(コホート3、5および7については0.2mg/kg;コホート4、6および8については0.4mg/kg)を開始する。
【0149】
96人の対象を、11の用量コホートに分割した。コホート1は、SEL-037(ペグシチカーゼ単独、0.2mg/kg)を投与され、コホート2は、SEL-037(ペグシチカーゼ単独、0.4mg/kg)を投与され、コホート3は、SEL-212(0.05mg/kgのSEL-110+0.2mg/kgのペグシチカーゼと共に)を投与され、コホート4は、SEL-212(0.05mg/kgのSEL-110+0.4mg/kgのペグシチカーゼと共に)を投与され、コホート5は、SEL-212(0.08mg/kgのSEL-110+0.2mg/kgのペグシチカーゼと共に)を投与され、コホート6は、SEL-212(0.08mg/kgのSEL-110+0.4mg/kgのペグシチカーゼと共に)を投与され、コホート7は、SEL-212(0.1mg/kgのSEL-110+0.2mg/kgのペグシチカーゼと共に)を投与され、コホート8は、SEL-212(0.1mg/kgのSEL-110+0.4mg/kgのペグシチカーゼと共に)を投与され、コホート10は、SEL-212(0.125mg/kgのSEL-110+0.4mg/kgのペグシチカーゼと共に)を投与され、コホート11は、SEL-212(0.15mg/kgのSEL-110+0.2mg/kgのペグシチカーゼと共に)を投与され、コホート12は、SEL-212(0.15mg/kgのSEL-110+0.4mg/kgのペグシチカーゼと共に)を投与される。
【0150】
対象の分布
全ての登録された対象を、4つ全てのコホートについて合計が12人の対象に達した場合に、各コホートが3人の対象を有するように、初めに4つのコホートに無作為化する。少なくとも1回の処置サイクルの完了後に、対象の経験を評価し、その後、全てのコホートに対して登録をオープンにする。将来的な登録は、全てのオープンなコホートの間で無作為化する。
【0151】
研究薬処置のための前投薬
全ての対象は、研究薬を投与される前の晩(12h±2h)、および研究薬を投与される2±1時間前(すなわち、コホート1および2についてはSEL-037、またはコホート3~8、10、11および12についてはSEL-110の前)に再び、180mgのフェキソフェナジンを経口で投与された。加えて、彼らはまた、メチルプレドニゾロン40mg(または同等の薬物、例えばプレドニゾロン50mgのIVまたはデキサメタゾン8mgのIV)を、研究薬を投与される1±0.5時間前(すなわち、コホート1および2についてはSEL-037、またはコホート3~8、10、11および12についてはSEL-110の前)に静脈内投与された。このことは、研究薬の全ての処置の投与について行った(パートA、処置期間1~3、およびパートBについては、処置期間4および5)。
【0152】
痛風フレアのための前投薬
全ての包含または除外の基準を満たした全ての対象に、痛風フレア予防のための前投薬を投与した。レジメンは、研究薬の最初の投与の1週間前に始まり、対象が臨床研究において登録されている限り継続した。対象に、コルヒチン1.2mgを、単回投与量として投与した。次いで、彼らに、治験における彼らの参加の残り期間にわたり、コルヒチン0.6mgのQDを続けた。コルヒチンに対する禁忌が存在した場合、対象に、イブプロフェン600mgのTIDまたは同等の用量のNSAIDを投与した。コルヒチンに対する、およびNSAIDに対する禁忌が存在する場合、対象には、痛風フレアのための前投薬を投与しなかった。痛風フレア予防投薬は、対象が臨床研究において登録されている限り継続した。コルヒチンに対する禁忌に起因して、NSAIDを痛風フレア予防投薬として投与され始めた対象には、対象が研究において登録している限り、NSAIDを投与し続けた。
【0153】
コホート3、コホート4、コホート5、コホート6、コホート7、コホート8、コホート10、コホート11、およびコホート12についての処置の期間
処置期間1-パートA
対象を、投与の45日間以内にスクリーニングした。彼らが包含/除外の基準を満たし、全ての評価が受入可能であると考えられる場合、彼らに、痛風フレアの予防のための前投薬を開始するように指示した(日時および薬物、第-7日)。研究薬の最初の投与の日を、第0日と指定した。コホート3、4、5、6、7および8に割り当てられた適格な対象に、SEL-110の単一のIV注入を投与した(mg/kg単位の用量)。シリンジ注入ポンプにより、55分間の期間にわたりある用量の容積を送達するために十分な単一の安定した速度で、SEL-110を送達した。SEL-110の投与と同時に、対象に、125mLの生理食塩水を60分間にわたり投与した。この後に(±3分間)、注入ポンプにより送達される、100mLの生理食塩水中に希釈されたSEL-037の注入(コホート3、5および7については0.2mg/kg;コホート4、6および8については0.4mg/kg)を、60分間にわたり送達した。対象は、安全性評価およびPK採血のために、SEL-110の注入の開始後9時間にわたり病院に滞在し続けた。対象は、処置期間1、第1、7、14、21日においてPKおよびPD採血のために、および処置期間1、第7、14、21日において安全性および抗体採血のために、再来した。
【0154】
処置期間2-パートA
処置期間2、第0日の朝に、対象は、研究薬の投与のために来院した。コホート3、4、5、6、7および8に割り当てられた適格な対象に、SEL-110の単一のIV注入を投与した(mg/kg単位の用量)。シリンジ注入ポンプにより、55分間の期間にわたりある用量の容積を送達するために十分な単一の安定した速度で、SEL-110を送達した。SEL-110の投与と同時に、対象に、125mLの生理食塩水を60分間にわたり投与した。この後に(±3分間)、注入ポンプにより送達される、100mLの生理食塩水中に希釈されたSEL-037の注入(コホート3、5および7については0.2mg/kg;コホート4、6および8については0.4mg/kg)を、60分間にわたり送達した。対象は、安全性評価およびPK採血のために、SEL-110の注入の開始後9時間にわたり病院に滞在し続けた。対象は、処置期間2、第1、7、14および21日においてPKおよびPD採血のために、および処置期間2、第7、14および21日において安全性および抗体採血のために、再来した。
【0155】
処置期間3-パートA
処置期間3、第0日の朝に、対象は、研究薬の投与のために来院する。コホート3、4、5、6、7および8に割り当てられた適格な対象に、SEL-110の単一のIV注入を投与する(mg/kg単位の用量)。シリンジ注入ポンプにより、55分間の期間にわたりある用量の容積を送達するために十分な単一の安定した速度で、SEL-110を送達する。SEL-110の投与と同時に、対象に、125mLの生理食塩水を60分間にわたり投与する。この後に(±3分間)、注入ポンプにより送達される、100mLの生理食塩水中に希釈されたSEL-037の注入(コホート3、5および7については0.2mg/kg;コホート4、6および8については0.4mg/kg)を、60分間にわたり送達する。対象は、安全性評価およびPK採血のために、SEL-110の注入の開始後9時間にわたり病院に滞在し続ける。対象は、処置期間3、第1、7、14および21日においてPKおよびPD採血のために、処置期間3、第7、14および21日において安全性および抗体採血のために、再来する。
【0156】
処置期間4-パートB
処置期間4、第0日の朝に、対象は、研究薬の投与のために来院する。対象に、100mLの生理食塩水中に希釈されたSEL-037の単一のIV注入(コホート3、5および7については0.2mg/kg;コホート4、6および8については0.4mg/kg)を、60分間にわたり注入ポンプにより投与する。対象は、安全性評価およびPK採血のために、SEL-037の注入の開始後9時間にわたり病院に滞在し続ける。対象は、処置期間4、第1、7、14および21日においてPKおよびPD採血のために、処置期間4、第7、14および21日において安全性および抗体採血のために、再来する。
【0157】
処置期間5-パートB
処置期間5、第0日に、対象は、研究薬の投与のために来院する。対象に、100mLの生理食塩水中に希釈されたSEL-037の単一のIV注入(コホート3、5および7については0.2mg/kg;コホート4、6および8については0.4mg/kg)を、60分間にわたり注入ポンプにより投与する。対象は、安全性評価およびPK採血のために、SEL-037の注入の開始後9時間にわたり病院に滞在し続ける。対象は、処置期間5、第1、7、14および21日においてPKおよびPD採血のために、処置期間5、第7、14および21日において安全性および抗体採血のために、再来する。
【0158】
結果
例1において記載される第1相においてペグシチカーゼを単独で投与した場合、痛風の病歴を有するもののうちの24%(96人の患者のうちの23人)は、研究薬を投与された後最初の1か月において、痛風フレアの徴候を有した(表1)。対照的に、しかし、例3において記載される第2相治験においてラパマイシンを含むPLA/PLA-PEG合成ナノキャリアをペグシチカーゼと併用投与した場合、痛風の病歴を有する対象のうちの22%(90人の登録された患者のうちの20人)が、最初の1か月において痛風フレアを報告した(表2)。
【0159】
表1.痛風の病歴を有する対象におけるフレア
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0160】
表2.SEL-212対象におけるフレア
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【0161】
第2相研究を行った(例2)。本研究は、その安全性および耐用性を評価するために、ラパマイシンを含むPLA/PLA-PEG合成ナノキャリアの複数のIV注入の、ペグシチカーゼと一緒の投与を含んだ。96人の対象を無作為化して投与し、27人の対象(28%)が、コルヒチン/NSAIDによる痛風フレア予防薬を投与されるものとして報告した(表3)。
【0162】
表3.処置後に痛風フレアを罹患した対象
【表3-1】
【表3-2】
【0163】
上の対象におけるフレア率を、ペグシチカーゼ治験におけるフレア率と比較した。痛風フレア予防薬(コルヒチンまたはNSAIDSによるもの)を投与された対象のみを、ペグシチカーゼ対象の条件に合うように選択した。フレア頻度(患者1人あたり1か月あたりのフレアの数)を、フレア率を比較する基準として選択した。この基準は、治験のデータが5回の処置のサイクルをカバーしている一方で、ペグシチカーゼの治験は、長さが35日間(Sundy et al., Pharmacokinetics and pharmacodynamics of intravenous PEGylated recombinant mammalian urate oxidase in patients with refractory gout. Arthritis and Rheumatism. Vol. 56, No. 3, March 2007, pp 1021-1028)から6か月間まで異なるという事実に基づいて選択した(John S. Sundy, MD, PhD; Herbert S. B. Baraf, MD; Robert A. Yood, MD; et al. Efficacy and Tolerability of Pegloticase for the Treatment of Chronic Gout in Patients Refractory to Conventional Treatment: Two Randomized Controlled Trials. JAMA. 2011;306(7):711-720)。患者の月毎の率を、治験の間で比較できるように選択した。
【0164】
SEL-212の研究について、包含および除外の基準を満たす全ての対象に、痛風フレアを予防するために前投薬を投与した。前投薬レジメンは、研究薬の最初の投与の1週間前に開始し、臨床研究の期間にわたり継続した。対象に、コルヒチン(1.2mg)を、単回投与量として投与した。彼らに、次いで、治験における彼らの参加の残りの期間にわたり、コルヒチン(1日1回の0.6mgの用量)を投与し続けた。コルヒチンに対する禁忌が存在した場合、対象がNSAIDに対する禁忌を一般に有していない限り、対象にイブプロフェン(600mgのTID)または同等のNSAIDを投与した。対照がコルヒチンに対する、およびNSAIDに対する禁忌を有する場合、前投薬は投与しなかった。痛風フレア予防投薬は、臨床研究の期間にわたり継続した。コルヒチンに対する禁忌に起因して、またはこのプロトコルの以前のバージョンの下で、NSAIDを痛風フレア予防投薬として投与され始めた対象には、研究の期間にわたり、NSAIDを投与し続けた。
【0165】
また、輸注反応を軽減するために、対象に、180mgのフェキソフェナジン(経口)2回(研究薬を投与する前の夜(-12h±2h、自己投与)および-2h±1時間前)ならびに40mgのメチルプレドニゾロン(または同等の薬物、例えばプレドニゾン50mgのIVもしくはデキサメタゾン8mgのIV)を静脈内で研究薬を投与する-1h±0.5時間前(すなわち、コホート1および2についてはSEL-037および全てのコホートのパートBの前、またはコホート3~8、10、11および12についてはSEL-110の前)からなる、抗ヒスタミン剤およびステロイドによる前投薬を投与した。
【0166】
コホート3および4は、ラパマイシンを含む合成ナノキャリアの同じ用量(0.05mg/kg)を投与されているので、この分析については一緒の群にし、同様に、コホート5および6を、一緒の群にした(0.08mg/kgのラパマイシン用量を含む合成ナノキャリアによる)。コホート1~12において、96人の対象に、合計238回の処置サイクルを投与した。全ての対象が全ての処置を投与されたわけではなく、なぜならば、特定の対象は、プロトコルの変更の後で中断したからである。29人の対象は、238回の処置サイクルの間に、痛風フレアを報告した。このことは、1回の処置サイクルあたり21回のフレア;言い換えると、患者1人あたり1か月あたり0.21回のフレア頻度に等しい。
【0167】
比較のために、第3相ペグシチカーゼ治験(John S. Sundy, MD, PhD;Herbert S. B. Baraf, MD;Robert A. Yood, MDら、Efficacy and Tolerability of Pegloticase for the Treatment of Chronic Gout in Patients Refractory to Conventional Treatment: Two Randomized Controlled Trials. JAMA. 2011;306(7):711-720)を精査して、1か月あたりのフレアの数および経時的な(20週間までの)平均血清尿酸(sUA)レベルの曲線下面積(AUC)を決定した。対象に、1回目の注入の1週間前に、1日1回または2回、0.6mgのコルヒチン(または非ステロイド性抗炎症薬)を投与し、これを、研究を通して継続した。研究はまた、各注入の前の、輸注関連反応(infusion related reaction:IR)に対する予防薬を含んだ。対象に、注入の前の夜、および注入の直前に再び、経口のフェキソフェナジン(60mg)を投与し、ならびにアセトアミノフェン(1000mg)およびIVのヒドロコルチゾン(200mg)を、注入の直前に投与した。データポイントは、隔週/月毎の患者1人あたり1か月あたりのフレアを表す表2から得た。データポイントはまた、前述の参考文献の
図2についてグラフデジタイザーを用いて同定した。データは、20週間まで外挿した。経時的な(20週間までの)平均sUAレベルのAUCおよび患者1人あたり1か月あたりのフレアを、応答者および非応答者についてのsUAのAUCについての組み合わせた加重平均を用いて計算した。隔週群のAUCは、応答者の12.3であった;102.0が、20週間まででカットした非応答者隔週群のAUCであった。類似の計算を行って、月毎のデータを得た。
【0168】
プライマリーブランドの経口の尿酸低下薬であるフェブキソスタットによりさらなる比較を行うことができる。第3相の無作為化された二重盲検の多施設治験において、フェブキソスタットの安全性および効力を、52週間にわたり研究した(Michael A. Becker, M.D., H. Ralph Schumacher, Jr., M.D., Robert L. Wortmann, M.D., Patricia A. MacDonald, B.S.N., N.P., Denise Eustace, B.A., William A. Palo, M.S., Janet Streit, M.S., and Nancy Joseph-Ridge, M.D. Febuxostat Compared with Allopurinol in Patients with Hyperuricemia and Gout. N Engl J Med 2005;353:2450-2461December 8, 2005)。この分析のための比較期間は、その研究のうちの、痛風フレア予防薬(ナプロキセンまたはコルヒチン)を投与した最初の8週間のみを含んだ。データポイントは、上の参考文献の
図1についてグラフデジタイザーを用いて同定した。80mg/日の用量において、255人の対象のうちの55人は、少なくとも1回の痛風フレアのために処置を要求した。このことは、患者1人あたり1か月あたり少なくとも0.22回のフレア、および場合によってはそれより多くのフレア頻度と等価である。120mg/日の用量において、250人の対象のうちの90人が、少なくとも1回の痛風フレアのために処置を要求し、このことは、患者1人あたり1か月あたり0.36回のフレア、および場合によってはそれより多くのフレア頻度と等価である。
【0169】
異なる薬物の間のフレア頻度における比較を、それらの血清尿酸(sUA)を低下させることにおける効力と並べて概略する作表データを、表4において集める。
表4.他の尿酸低下処置と比較した患者1人あたり1か月あたりのフレア
【表4】
【0170】
ペグシチカーゼと併用投与されるラパマイシン含有ナノキャリアを投与された対象について、他の薬物の全てと比較して、フレア頻度は、明らかに低下する。この予想外の結果は、表4において示すとおり、他の治療よりも著しく優れている。このことはまた、ウリカーゼなどの尿酸低下治療に対する患者のアドヒアランスにとって利益を有する。なぜならば、アドヒアランスは、治療の開始の後でリバウンドのフレアが起こる場合に著しく低下するからである(Treatment of chronic gouty arthritis: it is not just about urate-lowering therapy. Schlesinger N - Semin. Arthritis Rheum. - October 1, 2012;42(2);155-65)。加えて、フレアの頻度ならびに経時的な平均sUAレベルの曲線下面積の組み合わせ評価は、
改善された効力および軽減された痛風フレアの両方を示す。典型的には、sUA除去における改善された効力は痛風フレアの増加をもたらし得ることから、この知見は驚くべきことであった。ここで、SEL-212研究薬および抗炎症処置により、効力および痛風フレアの軽減の両方を達成することができる。
【0171】
本明細書において開示される特徴の全ては、任意の組み合わせにおいて組み合わせることができる。本明細書において開示される各々の特徴は、同じ、同等または類似の目的に役立つ代替的な特徴により置き換えることができる。したがって、別段に明示的に記述されない限り、開示される各々の特徴は、一般的な一連の同等または類似の特徴の単なる例である。
【0172】
上の記載から、当業者は、本発明の本質的な特徴を容易に確認することができ、その精神および範囲から逸脱することなく、本発明を多様な用途および条件に適応させるために、本発明の多様な変更および修飾を行うことができる。したがって、他の態様もまた、請求の範囲の範囲内である。