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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】ガスタービンの負荷/無負荷経路制御
(51)【国際特許分類】
   F02C 9/28 20060101AFI20240722BHJP
   F23R 3/28 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
F02C9/28 C
F23R3/28 D
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020002061
(22)【出願日】2020-01-09
(65)【公開番号】P2020118158
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2022-11-25
(31)【優先権主張番号】16/254909
(32)【優先日】2019-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン・ナサニエル・クック
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン・ディーン・フラー
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ジェイムズ・ウェナー
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-045331(JP,A)
【文献】特開2018-003848(JP,A)
【文献】特開平08-210641(JP,A)
【文献】特開2007-309279(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0107702(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 9/28
F23R 3/28
F23R 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービン(GT)システム(100)の運転方法であって、前記ガスタービンシステム(100)、タービン(120)に結合た燃焼セクション(106)に空気を供給する圧縮機(102104)を含み、前記燃焼セクション(106)、複数の燃焼器(106126)を含み、各燃焼器(106126)、第1の複数の燃料ノズル(140170176180182)を含む一次燃焼段(108)と、前記一次燃焼段(108)から下流の二次燃焼段(110)とを含み、前記二次燃焼段(110)、第2の複数の燃料ノズル(162)を含み、各燃焼器(106,126)が、前記一次燃焼段(108)と前記二次燃焼段(110)の間の燃焼ガス流の一次燃焼段出口温度を有しており、当該方法が、
数の進行性燃焼モードの各々を進行させステップであって、前記複数の進行性燃焼モードの各々が、前記一次燃焼段出口温度についてそれぞれ所定の目標範囲を定める、ステップと、
前記複数の進行性燃焼モードの各々を進行させる際に、前記燃焼ガス流の一次燃焼段出口温度を前記それぞれの所定の目標範囲内に制御するステップ
を含んでおり、
前記複数の進行性燃焼モードが、前記第1の複数の燃料ノズル(140,170,176,180,182)の一部だけが作動し、かつ前記第2の複数の燃料ノズル(162)の全部が作動しない第5のモード、前記第1の複数の燃料ノズル(140,170,176,180,182)の全部が作動し、かつ前記第2の複数の燃料ノズル(162)の全部が作動しない第6のモード、及び前記第1の複数の燃料ノズル(140,170,176,180,182)の全部が作動し、かつ前記第2の複数の燃料ノズル(162)の一部だけが作動する第7のモードを少なくとも含んでおり、
前記進行させるステップが、さらに、
前記第7のモードから、前記第6のモードへと、さらに前記第5のモードへと順次進行させることによって前記ガスタービンシステム(100)をアンローディングすること、及び
前記第5のモードから、前記第6のモードへと、さらに前記第7のモードへとへと順次進行させることによって前記ガスタービンシステム(100)をローディングすること
を含んでおり、
前記第6のモードから前記第7のモードへと進行させる前記ローディングの際に、前記第1の複数の燃料ノズル(140,170,176,180,182)への燃料流を減少させ、かつ前記第2の複数の燃料ノズル(162)への燃料流を増加させることによって、前記一次燃焼段(108)と前記二次燃焼段(110)の間の燃料の分割を修正し、もって前記燃焼ガス流の一次燃焼段出口温度を前記それぞれの所定の目標範囲内に制御する、方法。
【請求項2】
前記進行させステップが、
前記ガスタービンシステム(100)をローディングする際に、前記第7のモードから、前記第1の複数の燃料ノズル(140,170,176,180,182)の全部が作動し、かつ前記第2の複数の燃料ノズル(162)の全部が作動する第8のモードへと順次進行させることと、
前記ガスタービンシステム(100)をアンローディングする際に、前記第5のモードから、前記第5のモードよりも少ない数の第1の複数の燃料ノズル(140,170,176,180,182)が作動し、かつ前記第2の複数の燃料ノズル(162)の全部が作動しない第4のモードへと順次進行させること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の進行性燃焼モードの各々を進行させる際に、前記燃焼ガス流の一次燃焼段出口温度を前記それぞれの所定の目標範囲内に制御することが、前記圧縮機(104)から前記燃焼セクション(106)への空気流量を制御する入口ガイドベーン(123)の少なくとも1つの段の位置を制御することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ガスタービンシステム(100)をローディングする際に、前記第5のモードから前記第6のモードへと順次進行させることが、前記圧縮機(104)の圧縮機圧力比が閾値を超えることに応じたものである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
記複数の進行性燃焼モード
前記第5のモードよりも少ない数の第1の複数の燃料ノズル(140,170,176,180,182)が作動し、かつ前記第2の複数の燃料ノズル(162)の全部が作動しない第4のモード、前記第5のモード及び前記第6のモードを含む第1の一連の進行性燃焼モードと、
前記第7のモード及び第8のモードを含む第2の一連の進行性燃焼モードと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
記第1の一連の進行性燃焼モードが、さらに、
前記一次燃焼段(108)の第1の複数の燃料ノズル(140170176180182)の第1の数の燃料ノズル(140162170176180182)が作動される第1のモード、
前記一次燃焼段(108)の第1の複数の燃料ノズル(140170176180182)の第2の数が作動され、前記第2の数が前記第1の数よりも多い第2のモード、及び
前記一次燃焼段(108)の第1の複数の燃料ノズル(140170176180182)の第3の数が作動され、前記第3の数が前記第1及び第2の数よりも多く、かつ前記第4のモードで作動する第1の複数の燃料ノズル(140,170,176,180,182)よりも少ない第3のモード、
んでおり
前記第1の一連の進行性燃焼モード中、前記二次燃焼段(110)の第2の複数の燃料ノズル(162の全部が作動しない、請求項に記載の方法。
【請求項7】
記第2の一連の進行性燃焼モードの前記第8のモードにおいて、前記一次燃焼段(108)の第1の複数の燃料ノズル(140170176180182)の全部が作動され、前記二次燃焼段(110)の第2の複数の燃料ノズル(162)の全部が作動される、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記ガスタービンシステム(100)をアンローディングすることが、前記第7のモードから、前記第6のモードへと、さらに前記第5のモードへと順次進行させる前に、前記複数の進行性燃焼モードの第8のモードであって、前記第1の複数の燃料ノズル(140,170,176,180,182)の全部が作動し、かつ前記第2の複数の燃料ノズル(162)の全部が作動する第8のモードから前記第7のモードへと進行させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、ガスタービンシステムに関し、より具体的には、2段燃焼セクションを有するガスタービンシステムの負荷/無負荷経路制御プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンシステムは、多種多様な用途で発電に使用される。ガスタービンシステム(「GTシステム」)の動作において、空気が圧縮機を通って流れ、圧縮された空気が燃焼セクションに供給される。具体的には、圧縮された空気は、各々が燃料による燃焼プロセスで空気を使用する多数の燃料ノズル、すなわち、バーナを有する多数の燃焼器に供給される。圧縮機は、燃焼セクションへの空気流、したがって燃焼温度を制御するためにその角度を制御することができる多数の入口ガイドベーン(IGV)を含む。燃焼セクションは、燃焼ガス流の運動および熱エネルギーが機械的回転エネルギーに変換されるタービンセクションと流れ連通している。タービンセクションは、ロータに回転可能に結合し、ロータを駆動するタービンを含む。圧縮機もまた、ロータに回転可能に結合し得る。ロータは、発電機のような負荷を駆動することができる。
【0003】
燃焼セクションは、GTシステムの負荷を制御するために使用することができる多数の燃焼器、例えば、複数の円周方向に隔置された燃焼器「缶」を含む。技術の進歩により、2つの燃焼段を有する燃焼器が使用されるようになっている。ヘッダ(またはヘッドエンド)燃焼段は、各燃焼器の燃焼領域の上流端に位置決めされてもよい。ヘッダ燃焼段は、燃焼用の燃料を導入するように作用する多数の燃料ノズルを含む。高度なガスタービンシステムはまた、各燃焼器の燃焼領域でヘッダ燃焼段から下流にある、軸方向燃料ステージング(AFS)または遅延希薄噴射(LLI)燃焼段と呼ばれる第2の燃焼段を含む。AFS燃焼段は、AFS燃焼段での燃焼のためにヘッダ燃焼段から迂回(分割)された燃料を導入する多数の燃料ノズルまたは噴射器を含む。AFS燃焼段は、GTシステムの排気中の有害な排出量を削減する高い燃焼効率を確保することによって、効率を高め、GTシステムの排出規制適合を支援する。ヘッダ燃焼段の各燃料ノズルは、燃焼用の燃料の流れを制御するためにオンまたはオフに制御することができる。従来から、燃焼セクションの基準温度は、燃焼セクションを制御するために使用されている。燃焼セクションの基準温度は、タービンセクションに入る前の燃焼領域の出口での燃焼流の温度の推定値である。
【0004】
GTシステムのローディングまたはアンローディングは、GTシステムの電力出力が段階的に増加または減少することに伴い、排出量の制御に関する多数の課題を提示する。例えば、圧縮機が燃焼セクションに空気を流し始める速度(すなわち、パージ速度)に達するまで、モータによってロータを回転させて始動を始めることができる。速度は次に低下し得、その時点で燃焼セクションへの燃料流が開始され、燃料の燃焼が始まる。この時点で、GTシステムは、ヘッダ燃焼段の多数の燃料ノズルが動作する多くの「燃焼モード」を通過し、最終的にヘッダ燃焼段およびAFS燃焼段のすべての燃料ノズルが動作することになる。このプロセス中、空気流量を制御する圧縮機のIGVの段の角度を制御することによって、空気流の吸気が設定される。
【0005】
燃焼モードの進行中、特定の時間に排出量を制御することは非常に困難である。説明のために、図1は、排気温度(Tx)対全速無負荷(FSNL)(0%負荷)から定格動作の50%までの負荷をプロットした、負荷経路を伴う準定常状態でのGT排気中における一酸化炭素(CO)量の概略図を表す例示的な従来の始動負荷経路のグラフを示す。燃焼モードの変化は、負荷経路線上に垂直マークで示される。最初に、IGVは所望の角度に設定され、初期排気温度はFSNL(0%負荷)で達成される。始動が3つの例示的な燃焼モード(負荷経路上の垂直マーク)を0%から10%の負荷に進行すると、より多くの燃料ノズルが作動し、空気流が一定のまま正味の燃料流が増加するため、排気温度が上昇する。排気温度は、GTシステムの等温排気温度限界でプラトーに達するまで上昇する。CO排出量の概略図に示すように、ローディングが燃焼モードを進行するにつれて、CO量は、シーケンスの最終燃焼モードが用いられるまで、すなわち、ヘッダおよびAFS燃焼段のすべての燃料ノズルが作動されるまで異なるモードで上下する。各燃焼モードは、典型的には、少なくとも1つの期間を含み、その間、排出量は低負荷で望ましい値よりも高くなる。シーケンスの最終燃焼モードが開始されると、CO排出量がユニットの負荷に応じて準拠レベルに最終的に減少する。排出規制適合が満たされる最低負荷は、排出規制適合最小負荷(MECL)と呼ばれ、GTシステムのターンダウン能力を反映する。従来の負荷経路制御は、典型的には、IGVの段、入口抽気加熱、または圧縮機抽出流調節のための様々な制御戦略を利用して、例えば、ターンダウン中にGTシステムの低負荷能力を拡張する。そのような戦略を使用すると、周囲条件およびGTシステムで用いられる技術に応じて、定格電力の30%~45%の低負荷能力が得られる場合がある。
【発明の概要】
【0006】
本開示の第1の態様は、ガスタービンシステムのローディング/アンローディング方法を提供し、ガスタービンシステムは、タービンに結合された燃焼セクションに空気を供給する圧縮機を含み、燃焼システムは、複数の燃焼器を含み、各燃焼器は、第1の複数の燃料ノズルを含む一次燃焼段と、一次燃焼段から下流の二次燃焼段とを含み、二次燃焼段は、第2の複数の燃料ノズルを含み、方法は、ローディングまたはアンローディング中、異なる数の第1または第2の複数の燃料ノズルの少なくとも1つを順次作動させる複数の進行性燃焼モードの各々を進行することと、各燃焼モード中、ローディングまたはアンローディングに関係なく、燃焼ガス流の一次燃焼段出口温度をそれぞれの燃焼モードに対応する所定の目標範囲内に制御することとを含む。
【0007】
本開示の第2の態様は、ガスタービン(GT)システムであって、圧縮機と、複数の燃焼器を含む燃焼セクションであって、各燃焼器は、第1の複数の燃料ノズルを含む一次燃焼段と、一次燃焼段から下流の二次燃焼段とを含み、二次燃焼段は、第2の複数の燃料ノズルを含む燃焼セクションと、燃焼セクションの下流のタービンセクションと、燃焼セクションに結合され、GTシステムのローディングまたはアンローディング中、異なる数の第1または第2の複数の燃料ノズルの少なくとも1つを順次作動させる複数の進行性燃焼モードの各々を進行し、各燃焼モード中、ローディングまたはアンローディングに関係なく、燃焼ガス流の一次燃焼段出口温度をそれぞれの燃焼モードに対応する所定の目標範囲内に制御する制御システムとを備える、GTシステムを提供する。
【0008】
本開示の第3の態様は、ガスタービンシステムの制御システム用のコードを含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体を提供し、コードは、ガスタービンシステムの複数の燃焼器を含む燃焼セクションを制御するように構成され、各燃焼器は、第1の複数の燃料ノズルを含む一次燃焼段と、一次燃焼段から下流の二次燃焼段とを含み、二次燃焼段は、第2の複数の燃料ノズルを含み、コードは、ローディングまたはアンローディング中、異なる数の第1または第2の複数の燃料ノズルの少なくとも1つを順次作動させる複数の進行性燃焼モードの各々を進行することと、各燃焼モード中、ローディングまたはアンローディングに関係なく、燃焼ガス流の一次燃焼段出口温度をそれぞれの燃焼モードに対応する所定の目標範囲内に制御することとを行う。
【0009】
本開示の例示的な態様は、本明細書で説明される問題および/または検討されていない他の問題を解決するように設計されている。
【0010】
本開示のこれらおよび他の特徴は、本開示の様々な実施形態を示す添付の図面と併せて、本開示の様々な態様の以下の詳細な説明からより容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】排気温度(Tx)対FSNL(0%負荷)から50%までの負荷をプロットした、負荷経路に隣接する準定常状態でのGT排気中における一酸化炭素(CO)排出量の概略図を表す例示的な従来の始動負荷経路のグラフである。
図2】本開示の一実施形態による、ガスタービンシステムの部分断面側面図である。
図3図2のGTシステムで使用可能な燃焼セクションの燃焼器の断面側面図である。
図4】本明細書の第1の態様による、燃焼器の後端から上流を見た、図3の燃焼器のキャップアセンブリの平面図である。
図5】本明細書の第2の態様による、燃焼器の後端から上流を見た、図3の燃焼器の代替のキャップアセンブリの平面図である。
図6】本発明の様々な実施形態による、GTコントローラおよび負荷/無負荷制御システムを含む例示的な環境を示す図である。
図7】本開示の実施形態による、例示的なローディング方法のフロー図である。
図8】本開示の実施形態による、排気温度(Tx)対FSNL(0%負荷)から50%までの負荷をプロットした、負荷経路を伴う準定常状態でのGT排気中における一酸化炭素(CO)排出量の概略図を表す排出量に準拠した始動負荷経路のグラフである。
図9】本開示の実施形態による、排気温度(Tx)対50%からFSNL(0%負荷)までの負荷をプロットした、負荷経路を伴う準定常状態でのGT排気中における一酸化炭素(CO)排出量の概略図を表す排出量に準拠した無負荷経路のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の図面は、原寸に比例していないことに留意されたい。図面は、本開示の典型的な態様だけを示すことを目的としており、したがって、本開示の範囲を限定するものとみなすべきではない。図面では、図面間で類似する符号は、類似する要素を表す。
【0013】
最初の問題として、現在の開示を明確に説明するために、ガスタービン(GT)システム内の関連する機械構成要素を参照して説明するときに、特定の専門用語を選択することが必要になる。これを行う場合、可能な限り、一般的な工業専門用語が、その受け入れられた意味と同じ意味で使用および利用される。別途記載のない限り、このような専門用語は、本出願の文脈および添付の特許請求の範囲と一致する広義の解釈を与えられるべきである。当業者であれば、多くの場合、特定の構成要素がいくつかの異なるまたは重複する用語を使用して参照されることがあることを理解するであろう。単一の部品であるとして本明細書に記載され得るものは、複数の構成要素からなるものとして別の文脈を含み、かつ別の文脈で参照されてもよい。あるいは、複数の構成要素を含むものとして本明細書に記載され得るものは、単一の部品として他の場所で参照されてもよい。
【0014】
加えて、本明細書ではいくつかの記述的用語を規則通りに使用することができ、このセクションの開始時にこれらの用語を定義することが有用であることが分かる。これらの用語およびその定義は、別途記載のない限り、以下の通りである。本明細書で使用する場合、「下流」および「上流」は、燃焼セクション内の燃焼ガス流などの流体の流れ、または例えば、圧縮機を通る空気の流れに対する方向を示す用語である。「下流」という用語は、流体の流れの方向に対応し、「上流」という用語は、流れの反対の方向を指す。「前方」および「後方」という用語は、別途指定のない限り、方向を指し、「前方」はエンジンの前方または圧縮機端を指し、「後方」はエンジンの後方またはタービン端を指す。多くの場合、中心軸線に関して異なる半径方向位置にある部品を記述することが要求される。「半径方向」という用語は、軸線に垂直な移動または位置を指す。このような場合、第1の構成要素が第2の構成要素よりも軸線に近接して位置する場合には、本明細書では、第1の構成要素は第2の構成要素の「半径方向内側」または「内方」にあると述べる。一方、第1の構成要素が第2の構成要素よりも軸線から遠くに位置する場合には、本明細書では、第1の構成要素は第2の構成要素の「半径方向外側」または「外方」にあると述べることができる。「軸方向」という用語は、軸線に平行な移動または位置を指す。最後に、「円周方向」という用語は、軸線周りの移動または位置を指す。このような用語は、タービンの中心軸線に関連して適用することができることが理解されよう。
【0015】
ある要素または層が別の要素または層に対して「上に」、「係合される」、「係合解除される」、「接続される」または「結合される」と言及される場合には、他の要素または層に対して直接上に、係合され、接続され、または結合されてもよいし、あるいは介在する要素または層が存在してもよい。逆に、ある要素が別の要素または層に対して「直接上に」、「直接係合される」、「直接接続される」または「直接結合される」と言及される場合には、介在する要素または層は存在しなくてもよい。要素間の関係について説明するために使用される他の語も、同様に解釈されるべきである(例えば、「~の間に」に対して「直接~の間に」、「~に隣接して」に対して「直接~に隣接して」など)。本明細書で使用する場合、「および/または」という用語は、関連する列挙された項目のいずれかおよび1つまたは複数のすべての組合せを含む。
【0016】
上記のように、本開示は、通常提供されない期間中の排出規制適合を可能にし得る、ガスタービン(GT)システムの負荷/無負荷方法を提供する。本開示はまた、タービンセクションに結合された燃焼セクションに空気を供給する圧縮機を含むGTシステムを含む。燃焼セクションは、複数の燃焼器を含み、各燃焼器は、第1の複数の燃料ノズルを含む一次燃焼段と、一次燃焼段から下流の二次燃焼段とを含む。二次燃焼段は、第2の複数の燃料ノズルを含む。したがって、燃焼セクションは、2段燃焼セクションである。本開示の実施形態によれば、ローディングまたはアンローディング中、方法は、異なる数の第1および第2の複数の燃料ノズルの少なくとも1つを順次作動させる複数の進行性燃焼モードの各々を進行する。すなわち、各進行性燃焼モードは、多かれ少なかれ燃料ノズルをオンにして、燃焼温度と燃焼流をそれぞれ増加または減少させる。ローディング中、方法は、より多くの数の第1および第2の複数の燃料ノズルの少なくとも1つを順次作動させる複数の進行性燃焼モードの各々を進行する。同様に、アンローディング中、方法は、より少ない数の第1および第2の複数の燃料ノズルの少なくとも1つを順次作動させる複数の進行性燃焼モードの各々を進行する。燃焼器の出口で温度を制御する現在の負荷/無負荷方法とは対照的に、各燃焼モード中、燃焼ガス流の一次燃焼段出口温度(すなわち、一次および二次燃焼段の間で、本明細書では一次燃焼段出口温度(PCSET)または中間燃焼器温度と呼ばれる)は、それぞれの燃焼モードに対応する所定の目標範囲内に制御される。その結果、排出量は、排出量に準拠した状態を維持するために良好に制御される。
【0017】
図2は、本開示の教示が用いられ得る例示的なGTシステム100の断面図を示す。図2において、GTシステム100は、吸気セクション102と、吸気セクション102から下流の圧縮機104とを含む。圧縮機104は、タービンセクション120に結合された燃焼セクション106に空気を供給する。圧縮機104は、入口ガイドベーン(IGV)123の1つまたは複数の段を含むことができる。当技術分野で理解されているように、IGV123の段の角度は、燃焼セクション106への空気流量、したがってとりわけ、セクション106の燃焼温度を制御するように制御することができる。燃焼セクション106は、複数の燃焼器126を含む。各燃焼器126は、第1の複数の燃料ノズルを含む一次燃焼段108と、一次燃焼段108から下流の二次燃焼段110とを含む。二次燃焼段110は、第1の複数の燃料ノズルとは異なる、第2の複数の燃料ノズルを含む。タービンセクション120からの排気は、排気セクション122を介して出る。共通のシャフトまたはロータ接続を通るタービンセクション120は、圧縮機104および負荷124を駆動する。負荷124は、発電機および機械的駆動用途のいずれかであり得、吸気セクション102の前方(示すように)または排気セクション122の後方に位置し得る。そのような機械的駆動用途の例は、油田で使用する圧縮機および/または冷凍で使用する圧縮機を含む。油田で使用する場合、用途は、ガス再噴射サービスであり得る。冷凍で使用する場合、用途は、液体天然ガス(LNG)プラントであり得る。さらに別の負荷124は、ターボジェットエンジン、ターボファンエンジンおよびターボプロップエンジンに見られ得るようなプロペラであってもよい。
【0018】
図2および図3を参照すると、燃焼セクション106は、複数の円周方向に隔置された燃焼器126の円形アレイを含むことができる。図3は、燃焼器126の断面側面図を示す。燃料/空気混合物が各燃焼器126で燃焼されて高温のエネルギー燃焼ガス流を発生し、この流れはトランジションピース128(図3)を通ってタービンセクション120のタービンノズル130(図3)に流れる。本説明の目的のために、1つの燃焼器126のみが示されているが、燃焼セクション106の周りに配置された他の燃焼器126はすべて、図示の燃焼器126と実質的に同一であることが理解される。図2は、複数の円周方向に隔置された燃焼器126を示し、図3は、燃焼器システムとして当技術分野で知られるようになった燃焼器126の断面側面図を示すが、本開示は、環状燃焼器システムを含むがこれに限定されない他の燃焼器システムと併せて使用することができると考えられる。
【0019】
ここで図3を参照すると、一次燃焼段108および二次燃焼段110を含むGTシステム100(図2)の燃焼器126が概して示されている。トランジションピース128は、高温燃焼ガス流をタービンノズル130およびタービンブレード(図示せず)に流す。一次燃焼段108は、ケーシング132、エンドカバー134、第1の複数の予混合燃料ノズル140(以下、単に「燃料ノズル140」)、キャップアセンブリ142、流れスリーブ144、および流れスリーブ144内の燃焼ライナ146を含むことができる。点火デバイス(図示せず)が設けられ、好ましくは、電気的に励起されるスパークプラグを備える。一次燃焼セクション108での燃焼は、燃焼ライナ146内で起こる。燃焼空気は、流れスリーブ144を介して燃焼ライナ146内に導かれ、キャップアセンブリ142に形成された複数の開口部を通って燃焼ライナ146に流入し得る。空気は、差圧下で燃焼ライナ146に流入し、燃焼ライナ146内の始動燃料ノズル(図示せず)および/または第1の複数の燃料ノズル140からの燃料と混合する。その結果、燃焼反応が燃焼ライナ146内で発生し、タービンセクション120(図2)を駆動する目的で熱を放出する。一次燃焼段108の高圧空気は、環状プレナム150から流れスリーブ144およびトランジションピース衝突スリーブ148に流入することができる。152の一連のベーンおよびブレードならびに図3のディフューザ154によって表される圧縮機104(図2)は、この高圧空気を供給する。
【0020】
一次燃焼段108の第1の複数の燃料ノズル140の各々は、様々な形態を取ることができる。図3の例では、各燃料ノズル140は、流入する空気に回転を加える複数の旋回ベーンと、回転する空気流中に燃料を分散する複数の燃料スポーク158とからなるスワーラ156を含むことができる。そして、燃料と空気は、一次反応ゾーン160内に達する前に燃料ノズル140内の環状通路で混合する。しかしながら、他の形態の(予混合)燃料ノズル140が用いられてもよい。
【0021】
図3に示すように、二次燃焼段110は、二次燃料混合物を一次燃焼段108の燃焼ガス流生成物に横方向に噴射するための第2の複数の燃料ノズル162を含む。燃料ノズル162は、第2の燃料混合物を噴射するための任意の種類および数の噴射要素を含むことができる。燃料ノズル162は、燃焼ガス流路内に半径方向に延びることができる。一例では、4つの円周方向に隔置された燃料ノズル162が用いられる。しかしながら、任意の数が可能であり得る。
【0022】
さらに図3の第1の複数の燃料ノズル140に関して、燃料ノズル140はまた、例えば、キャップアセンブリ142に対して様々なレイアウトを有してもよい。図4および図5は、燃焼セクション106の後端から上流方向を見た、燃焼器キャップアセンブリ142の代替の実施形態の平面図である。図3に示されるキャップアセンブリ142は、図4により詳細に示すものに対応するが、図5に示されるキャップアセンブリ142は、図3に示す燃焼セクション106に等しく良好に適合することを理解されたい。
【0023】
図4では、燃焼セクション106の中心線172の周りに配置された中心燃料ノズル170は、キャッププレート174のそれぞれの開口部(別個に符号が付けられていない)内に固着されている。複数(この例では、5つ)の外側燃料ノズル176が中心燃料ノズル170の周りに配置され、同様にキャッププレート174のそれぞれの開口部内に固着されている。各外側燃料ノズル176は、中心線172を有する。各燃料ノズル170、176は、共通の燃料プレナムを通って延びる複数の平行な非同心の混合管178を有する束ねられた管燃料ノズルである。キャッププレート174は、キャップ面の冷却を促進するために複数の冷却孔を含むことができ、および/またはキャップアセンブリ142は、キャッププレート174の上流表面に対して冷却流を導くためにキャッププレート174の上流に第2のプレートを含むことができる。
【0024】
図5では、中心燃料ノズル180は、複数(この場合、5つ)の外側燃料ノズル182によって囲まれている。各外側燃料ノズル182は、中心燃料ノズル180に近接して位置決めされ、ヘッドエンド面積の大部分を覆うことができるように、切頭くさび形状を有する。切頭くさび形状は、反対方向に延び、第1の(半径方向内側の)弓形側面186および第2の(半径方向外側の)弓形側面188によって接合される一対の半径方向側面184を有するものとして定義され得る。半径方向外側側面188は、燃料ノズル182、および集合的に、キャップアセンブリ142の半径方向外側周囲を画定する。各燃料ノズル182は、中心燃料ノズル180および燃焼セクション106の中心線172の半径方向外側にそれぞれの中心線172を有する。この例示的な構成では、各燃料ノズル180、182は、外側燃料ノズル182(くさび)または180(丸)の形状に対応する形状である、それ自体のそれぞれのノズル面189を有することができる。あるいは、各それぞれの燃料ノズル180、182の一部である管178は、共通のキャッププレート(図示せず)を通って延びてもよい。この構成では、外側燃料ノズル182は、くさび形状を画定するそれぞれの燃料プレナムを有し、中心燃料ノズル180は、丸形状を画定する燃料プレナムを有する。各燃料ノズル180、182の混合管178の上流端は、各燃料ノズル180、182のそれぞれの燃料プレナムを通って延びる。図(図4および図5を含む)に示す混合管178の具体的なサイズ、間隔、および数は、本発明の束ねられた管燃料ノズル170、176、180、182を表すことを意図しており、特定のサイズ、間隔、または数の管を有するものとして本発明の束ねられた管燃料ノズルを制限するように解釈されるべきではないことに留意されたい。さらに、単一の管直径である管を有するものとして本発明の束ねられた管燃料ノズルを制限するように解釈されるべきではない。
【0025】
図4および図5では、燃料ノズル170、176、180、182は各々、英数字の「PM」表記、例えば、PM1、PM2またはPM3で示されている。本明細書の他の場所で説明するように、これらの表記は、特定の「燃焼モード」中にどの燃料ノズルが作動または動作しているか、すなわち、燃料を燃焼しているかを示すために使用される。一次燃焼段108は6つの燃料ノズル170、176、180、182(図4図5)を含むように示され、二次燃焼段110は4つの燃料ノズル162(図3)を含むように示されているが、本開示の教示は、特定の数の燃料ノズルを有する段に限定されないことが強調される。さらに、特定のタイプの燃料ノズル140、162が本明細書で説明されてきたが、多種多様な燃料送達要素を用いることができることが強調される。
【0026】
当技術分野で理解されているように、複数のセンサ196は、GTシステム100の様々な動作条件、および/またはシステムの動作中の周囲環境を検出する。多くの場合、複数の冗長制御センサが同じ動作条件を測定することができる。例えば、冗長温度制御センサ196のグループは、周囲温度、圧縮機吐出温度、ターボ機械排気ガス温度、および/またはGTシステム100を通る燃焼ガス流(図示せず)の他の動作温度を監視することができる。同様に、他の冗長圧力制御センサ196のグループは、周囲圧力、圧縮機104の静圧および動圧レベル、GTシステム100の排気、ならびに/またはGTシステム100の他のパラメータを監視してもよい。制御センサ196は、限定はしないが、GTシステム100の動作中に様々な動作パラメータを検知するために使用することができる流れセンサ、圧力センサ、速度センサ、火炎検出器センサ、バルブ位置センサ、ガイドベーン角度センサ、および/または任意の他のデバイスを含んでもよい。
【0027】
さらに、いくつかのパラメータが測定され、すなわち、検知されて直接的に分かるが、他のパラメータはモデルによって計算され、したがって推定されて間接的に分かることが認識される。いくつかのパラメータはまた、ユーザ210(図6)によってGT制御システム194に最初に入力されてもよい。モデル化されたパラメータに関して、燃焼ガス流108の一次燃焼段出口温度(PCSET)(すなわち、図3の場所198で一次燃焼段108と二次燃焼段110との間に概念的に位置する)が本開示に適用可能であり、GTシステム100のモデルを使用して計算することができる。同様に、燃焼器出口温度、すなわち、概念的には図3の場所199のトランジションピース128の端部での温度は、GTシステム100のモデルを使用して計算することができる。従来から、限定はしないが、圧縮機圧力比(CPR)、圧縮機吐出温度(TCD)、排気温度(Tx)、およびGT出力電力を含む測定されたサイクルパラメータは、燃焼セクション106からの燃焼出口温度を予測するモデリング入力として使用されてきた。本開示の実施形態によれば、燃焼ガス流のPCSETは、排出量を制御するためにGTシステム100のローディングおよび/またはアンローディング中に燃焼モード内で制御される。
【0028】
負荷/無負荷制御システム192は、燃料バルブ190を制御することによって、燃料供給源(図示せず)から燃焼セクション106への、特に、燃料ノズル140(図3)(170、176、180、182(図4図5)、以下、簡潔にするために単に「燃料ノズル140」)および/または燃料ノズル162(図3)の各々への燃料流の量を調節する。各燃料バルブ190は、単一のタイプのバルブに限定されず、限定はしないが、燃料制御バルブおよび燃料停止バルブを含む様々なタイプを含んでもよい。負荷/無負荷制御システム192はまた、一次燃焼段燃料ノズル140と二次燃焼段燃料ノズル162との間で分割される燃料の量、および燃焼セクション106に流入する空気と混合される量を制御することができる。負荷/無負荷制御システム192は、燃焼段108と110との間の燃料の分割も制御することができる。常に適用可能であるわけではないが、負荷/無負荷制御システム192は、燃焼セクション106で使用する燃料のタイプを選択することもできる。負荷/無負荷制御システム192は、別個のユニットであってもよく、または例えば、GTコントローラ196(図6)の一部としての全体的なGT制御システム194(図6)の構成要素であってもよい。負荷/無負荷制御システム192は、本明細書でさらに説明されるように、本開示の実施形態による方法を実施することができる。
【0029】
図6は、少なくとも1つのコンピューティングデバイス200を介してGTシステム100(図1)と結合された負荷/無負荷制御システム192を実証する例示的な環境を示す。負荷/無負荷制御システム192は、モデル、センサ入力、計算、および/または人間のオペレータからの命令に少なくとも部分的に基づいてGTシステム100の動作を制御する動作を実行する、少なくとも1つのプロセッサ(処理構成要素212、図6)および少なくとも1つのメモリデバイス(記憶構成要素214、図6)を含むコンピュータシステム(コンピューティングデバイス200、図6)であり得る。負荷/無負荷制御システム192は、例えば、GTシステム100のモデルを含み得る。負荷/無負荷制御システム192によって実行される動作は、燃焼セクション106への燃料流を調節することなどによって、動作パラメータの検知もしくはモデル化、動作境界のモデル化、動作境界モデルの適用、またはGTシステム100の動作を制御するスケジューリングアルゴリズムの適用を含むことができる。負荷/無負荷制御システム192は、GTシステム100の動作パラメータを動作境界モデル、または負荷/無負荷制御システム192によって使用されるスケジューリングアルゴリズムと比較し、一次燃焼段108の燃焼ガス流のPCSETに基づいて、限定はしないが、燃料ノズル140(図3)および/または燃料ノズル162(図3)の作動を制御するバルブ190の制御命令などの制御出力を生成する。例えば、モデルは、圧縮機空気吐出温度(TCD)、燃料流、排気温度(Tx)、GTシステム出力電力などの入力として測定されたパラメータを受け入れ、一次燃焼段108の後の燃焼ガス流のPCSETを、限定はしないが、焼成温度(Tfire)および燃焼器出口温度(場所199(図3)における)などの制御に使用される他のパラメータと共に計算する。負荷/無負荷制御システム192によって生成されたコマンドにより、GTシステム100のバルブ190は、燃料流、燃料分割、および/または燃料供給源と燃焼器106との間を流れる燃料のタイプを選択的に調節することができる。アクチュエータにIGV123(図2)の段の相対位置を調整させるか、またはGTシステム100の他の制御設定を作動させるために、他のコマンドが生成されてもよい。
【0030】
図7は、負荷/無負荷制御システム192などのコンピューティングデバイスによって行うことができる、GTシステム100の負荷/無負荷方法を示すフロー図を示す。より具体的には、図7の例は、GTシステム100の始動などのローディング設定を示す。図8は、本開示の実施形態による、排気温度(Tx)対FSNL(0%負荷)から50%までの負荷をプロットした、排出量に準拠した始動(ローディング)負荷経路のグラフを示す。図8はまた、負荷経路を伴う準定常状態でのGT排気中における一酸化炭素(CO)量の概略図を含む。
【0031】
図2および図6図8を参照すると、負荷/無負荷制御システム192のためのコンピュータプログラム製品(例えば、非一時的コンピュータプログラム製品)として実装される、少なくとも1つのコンピューティングデバイス200を使用して負荷/無負荷方法を行う(例えば、実行する)ことができる。一般に、プロセスは、燃焼ガス流のPCSETを一定にまたはそれぞれの燃焼モードに対応する所定の目標範囲内に制御しながら、異なる数の第1または第2の複数の燃料ノズルの少なくとも1つを順次作動させる複数の進行性燃焼モードの各々を進行することを含む。例えば、ローディングのために、プロセスは、一次燃焼段108の燃焼ガス流のPCSETをそれぞれの燃焼モードに対応する所定の目標範囲内に制御しながら、より多くの数の第1または第2の複数の燃料ノズルの少なくとも1つを順次作動させる複数の進行性燃焼モードの各々を進行することを含む。本明細書で使用する場合、「燃焼モード」は、一次燃焼段108、または一次燃焼段108および二次燃焼段110の特定の数の燃料ノズルが作動または動作している、すなわち、燃料を燃焼している状態である。各燃焼モードはまた、限定はしないが、燃焼システム106への空気流を制御するためのIGV段123(図2)の位置決めなど、GTシステム100の多数の他の動作パラメータ設定を含んでもよい。
【0032】
図7に示すように、プロセスP1では、初期始動プロセスが行われ得る。初期始動は、本開示の実施形態による処理を含むことができ、燃焼ガス流のPCSETは、それぞれの燃焼モードに対応する所定の目標範囲内に維持されるか、またはプロセスP1は、従来のもの、すなわち、PCSET制御がないものとすることができる。例えば、始動は、ロータの反りを防止する速度でモータによってロータが回転され(すなわち、ギアの回転速度)、次に圧縮機102(図2)が燃焼セクション106に空気を流し始めることができる速度(すなわち、パージ速度)まで増加することから始まり得る。速度は次に低下し得、その時点で燃焼セクション106への燃料流が開始され、すなわち、負荷/無負荷制御システム192がバルブ190を介して燃料流を開始し、燃料の燃焼が始まる。この時点で、GTシステム100は、数が典型的には増加する一次燃焼段108の燃料ノズル170、176、180、182(図4図5)が作動する多数の「燃焼モード」を経ることができる。示す例では、本開示の教示とは別に、燃焼モード1、2および3が実施される。例えば、図4または図5を参照すると、燃焼モード1は、PM1で示される燃料ノズルを作動させることができ、燃焼モード2は、PM2で示される燃料ノズルを作動させることができ、燃焼モード3は、一次燃焼段108のPM1およびPM2(中心および外側の2つ)で示される燃料ノズルを作動させることができる。このとき、二次燃焼段燃料ノズル162は二次燃焼段110では作動しない。説明したように、プロセスP1は例示に過ぎず、本開示の教示を実施する前に、任意の現在知られているまたは今後開発される初期始動プロセスを用いることができることが強調される。
【0033】
プロセスP2では、同様にPCSETをそれぞれの燃焼モードに対応する所定の目標範囲内に制御しながら、異なる数の第1または第2の複数の燃料ノズルの少なくとも1つを順次作動させる複数の進行性燃焼モードの各々が進行する。ローディングのために、図8に示すように、複数の進行性燃焼モードの各々は、より多くの数の第1または第2の複数の燃料ノズルの少なくとも1つを順次作動させる。プロセスP2を通して、GTシステム100の燃料流および負荷出力は増加している。
【0034】
図8は、進行性燃焼モードを示している、燃焼ガス流のPCSETを制御する本開示の実施形態による負荷経路230(より暗い実線)を示す。説明されるように、進行性燃焼モードの一部は、PCSETの異なる所定の目標範囲を有する場合があり、例えば、燃焼モードM6のPCSETの所定の目標範囲は、燃焼モード5よりも高く、燃焼モード5のPCSETの所定の目標範囲は、燃焼モード4よりも高い。しかしながら、他の燃焼モード、例えば、モード6、6A2および6Aについての所定の目標範囲は、説明されるように、同じであり得る。特定の燃焼モードは、他の燃焼モードよりも大きいまたは小さい所定の目標範囲を有する場合がある。各燃焼モードのPCSETの所定の目標範囲は、限定はしないが、GTシステムのサイズ、場所/環境、政府の規制、使用燃料、または他の設定などの多数の要因の影響を受けることが理解されよう。その結果、各所定の目標範囲の正確な値の記述は、大きく異なる場合がある。所定の目標範囲に適用される「所定の」は、負荷/無負荷制御システム192が、例えば、上記の要因および特定の燃焼モードに基づいて、その実施態様に先立って許容範囲を計算することを単に示す。図8はまた、比較のために従来の負荷経路232(破線で示す)を示す。図8では、本開示の教示が適用され得る、すなわち、プロセスP1の後の例示的な次の燃焼モードは、燃焼モード4であり得る。別の燃焼モードもまた、本開示の教示が適用される点、例えば、燃焼モード3または5であり得ることに留意されたい。
【0035】
プロセスP2Aでは、負荷/無負荷制御システム192は、いくつかの方法で次の燃焼モードに進行するかどうかを決定することができる。一実施形態では、複数の燃焼モードの次の連続燃焼モードへの進行は、プロセスP2A1において、圧縮機104の圧縮機圧力比が現在の燃焼モードのそれぞれの閾値を超えること、または、プロセスP2A2において、PCSETが現在の燃焼モードのそれぞれの最大閾値を超えることのいずれかに応じて生じる。ここで、各燃焼モードは、事前に割り当てられた圧縮機圧力比(CPR)閾値、および最大PCSET閾値を有し得る。いずれかの閾値を超えるとき、すなわち、直接的に超えるかまたは許容できない範囲内にあるとき、負荷/無負荷制御システム192は、より多くの燃焼モードが存在する場合、GTシステム100を負荷経路230に沿って次の燃焼モードに移動させるためにより多くの燃料ノズルを作動させる。プロセスP2Bにおいて、負荷/無負荷制御システム192は、追加の燃焼モードが存在するかどうかを決定する。追加の燃焼モードがある場合、すなわち、プロセスP2BにおいてYesの場合、処理はプロセスP2Cに進む。そうでない場合、すなわち、プロセスP2BにおいてNoの場合、処理は本明細書の他の場所で説明されるプロセスP3に進む。現在の進行では、追加の燃焼モードが存在し、処理はプロセスP2Cに進む。
【0036】
図7のプロセスP2Cにおいて、負荷/無負荷制御システム192は、一次燃焼段108でPM1およびPM3(中心および外側の3つ)(図4図5)で示される燃料ノズルを作動させることによって、次の燃焼モード(例えば、燃焼モード4)を実施することができる。図8の線242は、一定のPCSET値ならびに燃焼モード4のPCSET制御目標を反映している。影付きの帯域は、燃焼モード4に準拠した排出量であり、PCSETが変化し得るPCSETの所定の目標範囲を示す。上述のように、PCSETの量は、限定はしないが、GTシステムのサイズ、場所/環境、政府の規制、使用燃料、または他の設定などの多数の要因に応じて異なり得る。PCSETは、図7のプロセスP2Cにおいて、任意の現在知られているまたは今後開発される様式で負荷/無負荷制御システム192によって燃焼モード4中に維持され得る。例えば、負荷/無負荷制御システム192は、それぞれの燃焼モード中に作動される各燃料ノズルの燃料流量(例えば、バルブ190を介して)、または圧縮機104から燃焼セクション106への空気流量を制御するIGV123(図2)の少なくとも1つの段の位置の少なくとも1つを制御することができる。図8に示す例では、IGV123の段の位置は、燃焼モード4での動作のためにPCSETを調節するために使用される。燃焼モード4に適した所定の目標範囲内にPCSETを維持すると、示されているローディングプロセス中の排出量制御が改善される(図8のほぼ一貫した準定常状態のCO排出量を参照)。
【0037】
その後、処理はプロセスP2Aに戻り(プロセスP2Cの後)、負荷/無負荷制御システム192は、再び次の燃焼モードに進行するかどうかを決定する。例えば、以下のいずれかに応じて決定される:プロセスP2A1において、圧縮機104の圧縮機圧力比が現在の燃焼モードのそれぞれの閾値を超えること、または、プロセスP2A2において、PCSETが現在の燃焼モードのそれぞれの最大閾値を超え得ること。閾値のいずれかを超えると、処理はプロセスP2Bに進行する。プロセスP2Bにおいて、負荷/無負荷制御システム192は、追加の燃焼モードが存在するかどうかを決定する。追加の燃焼モードがある場合、すなわち、プロセスP2BにおいてYesの場合、処理はプロセスP2Cに進む。そうでない場合、すなわち、プロセスP2BにおいてNoの場合、処理は本明細書の他の場所で説明されるプロセスP3に進む。
【0038】
図8に戻ると、点234は、燃焼モード5が負荷/無負荷制御システム192によって図7のプロセスP2Cで実施されるときを示す。負荷/無負荷制御システム192は、燃焼モード5を実施するために、PM2およびPM3(外側の4つ)(図4および5)で示される燃料ノズルなど、一次燃焼段108のさらなる燃料ノズルを作動させ得る。加えて、負荷/無負荷制御システム192によって使用されるPCSETの目標は、燃焼モード5に適切なレベルに更新される。図8に示す例では、PCSETの所定の目標範囲、したがって排気温度Txは、線244によって示されるより高いレベルまで増加する。影付きの帯域は、燃焼モード5に準拠した排出量であり、PCSETが前述の要因に基づいて変化し得るPCSETの範囲を示す。PCSETは、図7のプロセスP2Cにおいて、任意の現在知られているまたは今後開発される様式の負荷/無負荷制御システム192によって、例えば、それぞれの燃焼モード中に作動される各燃料ノズルの燃料流量、または圧縮機104から燃焼セクション106への空気流量を制御するIGV123(図2)の少なくとも1つの段の位置の少なくとも1つを制御することによって、燃焼モード5中に維持され得る。図8に示す例では、IGV123の位置は、燃焼モード5での動作のためにPCSETを調節するために使用され得る。燃焼モード5に適した所定の目標範囲内にPCSETを維持すると、準定常状態のCO排出量線によって示されるように、示されているローディングプロセス中の排出量制御が改善される。
【0039】
図7に戻ると、プロセスP2A(プロセスP2Cの後)では、負荷/無負荷制御システム192は、存在すると仮定して次の燃焼モードに進行するかどうかを決定することができる(プロセスP2B)。
【0040】
図8に戻ると、点236は、燃焼モード6が負荷/無負荷制御システム192によって図7のプロセスP2Cで実施されるときを示す。負荷/無負荷制御システム192は、燃焼モード6を実施するために、PM1、PM2およびPM3(図4図5)(すべての一次段燃料ノズル)で示される燃料ノズルなど、一次燃焼段108のさらなる燃料ノズルを再び作動させ得る。加えて、負荷/無負荷制御システム192によって使用されるPCSETの目標は、燃焼モード6に適切なレベルに更新される。図8に示す例では、PCSETの目標、したがって排気温度Txは、より高いレベルまで増加する。線246は、一定のPCSET値ならびに燃焼モード6のPCSET制御目標を反映している。影付きの帯域は、PCSETが変化し得る燃焼モード6の所定の目標範囲を示す。再び、PCSETは、図7のプロセスP2Cにおいて、負荷/無負荷制御システム192によって、例えば、それぞれの燃焼モード中に作動される各燃料ノズルの燃料流量、および圧縮機104から燃焼セクション106への空気流量を制御するIGV123(図2)の少なくとも1つの段の位置の少なくとも1つを制御することによって、燃焼モード6中に維持され得る。図8に示す例では、IGV123の段の位置は、モード6での動作のためにPCSETを調節するために使用される。燃焼モード6に適した所定の目標範囲内にPCSETを維持すると、示されているローディングプロセス中の排出量制御が改善される。
【0041】
上記のプロセスは、注目すべき例外を除いて以前と同じように繰り返すことができ、燃焼モード6(一次燃焼段108のすべての燃料ノズルがアクティブである)になると、負荷/無負荷制御システム192は、二次燃焼段110の燃料ノズル162を作動させることを開始することができる。例えば、図8で6A2と呼ばれる第7の燃焼モードは、負荷/無負荷制御システム192に、一次燃焼段108のPM1、PM2およびPM3(図4図5)で示される燃料ノズル(すべての一次段燃料ノズル)、また二次燃焼段110の第2の複数の燃料ノズル162(図3)の少なくとも1つを作動させてもよい。一例では、燃料ノズル162の半分、例えば、4つのうち2つを作動させることができる。プロセスP2A(図7)の後、すなわち、負荷/無負荷制御システム192が、存在すると仮定して次の燃焼モードに進行するかどうかを決定することに応じて、遷移が生じ得る。遷移点は、図8の数字238で示されている。再び、PCSETは、図7のプロセスP2Cにおいて、負荷/無負荷制御システム192によって燃焼モード6A2中に維持され得る(線248参照)。一次燃焼段108の第1の複数の燃料ノズル140(図3)のすべておよび二次燃焼段110の第2の複数の燃料ノズル162(図3)の少なくとも1つがアクティブであるいずれかの燃焼モード中、負荷/無負荷制御システム192はまた、一次および二次燃焼段108、110の間の燃料流の分割を修正して一次燃焼段108の燃料ノズル140(図3)への燃料流を減少させ、二次燃焼段110の燃料ノズル162(図3)への燃料流を増加させることができる。燃料流の分割に関するこの修正を使用して、一次燃焼段108の燃焼ガス流のPCSETを実質的に一定に、すなわち、所定の目標範囲内に維持することができる。すなわち、以前の燃焼モードのようなIGV位置ではなく、燃料分割を使用してPCSETを調節することが可能である。これにより、IGV123の位置を他の制御用途に使用することが可能になり、この例では、一定の亜等温排気温度(sub-isotherm,exhaust temperature)を維持する。影付きで示されていないが、燃焼モード6A2(およびその後のモード6A)には、何らかの形の所定の目標範囲が許容されることを理解されたい。再び、燃焼モード6A2に適した所定の目標範囲内にPCSETを維持すると、示されているローディングプロセス中の排出量制御が改善される。
【0042】
図8で6Aと呼ばれる第8の最終燃焼モードは、負荷/無負荷制御システム192に、一次燃焼段108のPM1、PM2およびPM3(図4図5)で示される燃料ノズル(すべての一次燃焼段燃料ノズル)、また二次燃焼段110の燃料ノズル162のすべてを作動させてもよい。プロセスP2A(図7)の後、すなわち、負荷/無負荷制御システム192が、次の燃焼モードに進行するかどうかを決定することに応じて、遷移が生じ得る。遷移点は、図8の数字240で示されている。再び、PCSETは、図7のプロセスP2Cにおいて、負荷/無負荷制御システム192によって燃焼モード6A中に維持され得る(線249参照)。図8に示す例では、一次および二次燃焼段108、110の間の燃料分割を使用してPCSETを調節することができる。同時に、IGV123の段の位置は、排気温度を最大限度以下に保つために使用される。
【0043】
図7および図8によって示されるように、負荷/無負荷制御システム192によるローディングのために、複数の進行性燃焼モードの各連続燃焼モードは、先行する燃焼モードよりも多い数の一次燃焼段108の第1の複数の燃料ノズル170、176、180、182(図4図5)だけを最初に作動させる。これは、説明したように、燃焼モード1~6の場合であり、第1の一連の進行性燃焼モードを提供する。その後、複数の進行性燃焼モードの各連続燃焼モードは、次に一次燃焼段108の第1の複数の燃料ノズル140(図3)のすべておよび先行する燃焼モードよりも多くの二次燃焼段110の第2の複数の燃料ノズル162(図3)を作動させることができる。これは、説明したように、燃焼モード6A2および6Aの場合であり、第1の一連の進行性燃焼モードに続く第2の一連の進行性燃焼モードを生成する。
【0044】
本明細書で説明する燃焼モードは例示に過ぎず、説明した以外の燃焼モードのシーケンスを用いることができることが強調される。例えば、連続燃焼モードは、複数の追加の燃料ノズルを作動させることができる。さらに、第1の一連の進行性燃焼モードは、以下から選択される少なくとも2つの連続燃焼モードの任意の組合せを使用することができる:一次燃焼段の第1の複数の燃料ノズルの第1の数の燃料ノズルが作動される第1のモード、一次燃焼段の第1の複数の燃料ノズルの第2の数が作動される第2のモード(第1の数よりも多い第2の数)、一次燃焼段の第1の複数の燃料ノズルの第3の数が作動される第3のモード(第1および第2の数よりも多い第3の数)、一次燃焼段の第1の複数の燃料ノズルの第4の数が作動される第4のモード(第1、第2および第3の数よりも多い第4の数)、一次燃焼段の第1の複数の燃料ノズルの第5の数が作動される第5のモード(第1、第2、第3および第4の数よりも多い第5の数)、および一次燃焼段の第1の複数の燃料ノズルの全数が作動される第6のモード(全数は第1、第2、第3、第4および第5の数よりも多い)。上述のように、第1の一連の進行性燃焼モード中、二次燃焼段110の第2の複数の燃料ノズル162は、非アクティブである。上述のように、第2の一連の進行性燃焼モードは、一次燃焼段の第1の複数の燃料ノズルのすべてが作動され、二次燃焼段の第2の複数の燃料ノズルの一部の数が作動される第7のモード(一部の数は二次燃焼段の第2の複数の燃料ノズルのすべてよりも少ない)、および一次燃焼段の第1の複数の燃料ノズルのすべてが作動され、二次燃焼段の第2の複数の燃料ノズルのすべてが作動される第8のモードを含み得る。代替の実施形態では、一次燃焼ゾーン108の燃料ノズル140のすべてが完全に作動される前に、少なくとも1つの二次燃焼段110の燃料ノズル162を作動させることができる。
【0045】
図7および図8に戻ると、プロセスP3では、負荷/無負荷制御システム192(またはGTコントローラ196)(図6)は、従来の様式でGTシステム100にさらなる負荷を加えることを進めてもよい。プロセスP3において、負荷が増加し、IGV123の段が開くと、排気温度Txは、等温限界から自然に減少し始める。ユニットのローディングのこの残りの期間、すなわち、ベース負荷動作が達成されるまで、負荷経路の軌道を管理する制限は、限定はしないが、燃焼器出口温度制限(場所199における、図3)、排気温度(Tx)目標、焼成温度目標、燃焼セクション106全体の温度上昇の制限、および/またはベース負荷制御設定を含んでもよい。
【0046】
上述のプロセスは、GTシステム100のアンローディングプロセスにも適用可能である。この場合、負荷/無負荷制御システム192が複数の進行性燃焼モードの各々を進行するとき、より少ない数の第1または第2の複数の燃料ノズルの少なくとも1つを順次作動させる。図9は、本開示の実施形態による、排気温度(Tx)対50%からの負荷をプロットした、負荷経路を伴う準定常状態でのGT排気中における一酸化炭素(CO)量の概略図を表す排出量に準拠した無負荷経路のグラフを示す。図9は、一般に、図8の逆である。アンローディング中、負荷/無負荷制御システム192は、一次燃焼段108の第1の複数の燃料ノズル140(図3)のすべてが作動され、各連続燃焼モードが第1の一連の進行性燃焼モードの先行する燃焼モードよりも少ない数の二次燃焼段110の第2の複数の燃料ノズル162(図3)を作動させる第1の一連の進行性燃焼モードを含む、複数の進行性燃焼モードを進行する。さらに、負荷/無負荷制御システム192は、第1の一連の進行性燃焼モードに続く第2の一連の進行性燃焼モードを実施し、二次燃焼段110の第2の複数の燃料ノズル162(図3)のすべてが非作動化され、各連続燃焼モードが第2の一連の進行性燃焼モードの先行する燃焼モードよりも少ない数の一次燃焼段108の第1の複数の燃料ノズル140(図3)を作動させる。各燃焼モード中、図9に示すように、PCSETは、任意の現在知られているまたは今後開発される様式で負荷/無負荷制御システム192によって維持され得る。例えば、負荷/無負荷制御システム192は、それぞれの燃焼モード中に作動される各燃料ノズルの燃料流量、段108、110の間の燃料分割、または圧縮機104から燃焼セクション106への空気流量を制御するIGV123(図2)の少なくとも1つの段の位置の少なくとも1つを制御することができる。図8と同様に、各燃焼モードは、負荷/無負荷制御システム192によって維持されるPCSETを有する。一実施形態では、複数の燃焼モードの次の連続燃焼モードへの進行は、圧縮機104の圧縮機圧力比が現在の燃焼モードのそれぞれの閾値を下回ることに応じて生じる。ここで、各燃焼モードは、事前に割り当てられた圧縮機圧力比(Pcd)閾値を有し得る。圧縮機圧力比が閾値を下回るとき、負荷/無負荷制御システム192は、より多くの燃焼モードが存在する場合、GTシステム100を図9に示す負荷経路250に沿って次の燃焼モードに移動させるためにより少ない燃料ノズルを作動させる。代替の実施形態では、特定の燃焼モードは、アンローディング中にさらなる燃料ノズルを一時的に作動させてもよい。
【0047】
本明細書で説明され、図6に示すように、GT制御システム194(負荷/無負荷制御システム192を含む)は、GTシステム100の制御に使用される従来の制御システム構成要素を含むことができる。例えば、GT制御システム194は、GTシステム100の1つまたは複数の構成要素を作動させるための電気的および/または電気機械的構成要素を含むことができる。制御システム194は、プロセッサ、メモリ、入力/出力、バスなどの従来のコンピュータ化されたサブ構成要素を含むことができる。GT制御システム194は、外部ソース(例えば、少なくとも1つのコンピューティングデバイス200)からの動作条件に基づいて機能を行うように構成(例えば、プログラム)することができ、および/またはGTシステム100のパラメータに基づいて事前にプログラムされた(エンコードされた)命令を含むことができる。
【0048】
本明細書で述べたように、GT制御システム194はまた、GTコントローラ196、負荷/無負荷制御システム192、およびバルブ190などのGTシステム100の他の部分と接続された(例えば、有線および/または無線で)少なくとも1つのコンピューティングデバイス200を含むことができる。様々な実施形態において、コンピューティングデバイス200は、例えば、本明細書に記載される流量計、温度センサなどの複数の従来のセンサを介して、バルブ190およびGTシステム100の他の部分と動作可能に接続される。コンピューティングデバイス200は、例えば、従来の有線および/または無線手段を介して、GTコントローラ196と通信可能に接続することができる。GT制御システム194は、様々な実施形態による動作中にGTシステム100を監視するように構成される。
【0049】
さらに、コンピューティングデバイス200は、ユーザ210と通信するように示されている。ユーザ210は、例えば、プログラマまたはオペレータであり得る。これらの構成要素とコンピューティングデバイス200との間の対話は、本出願の他の場所で説明される。
【0050】
本明細書で述べたように、本明細書に記載のプロセスの1つまたは複数は、例えば、本明細書に記載されるコンピューティングデバイス200などの少なくとも1つのコンピューティングデバイスによって行われ得る。他の場合、これらのプロセスの1つまたは複数は、コンピュータ実装方法に従って行うことができる。さらに他の実施形態では、これらのプロセスの1つまたは複数は、少なくとも1つのコンピューティングデバイス(例えば、コンピューティングデバイス200)でコンピュータプログラムコード(例えば、負荷/無負荷制御システム192)を実行することによって行われ、少なくとも1つのコンピューティングデバイスにプロセスを行わせる、例えば、本明細書に記載のアプローチに従って燃焼モードを進行させることができる。
【0051】
さらに詳細には、コンピューティングデバイス200は、処理構成要素212(例えば、1つまたは複数のプロセッサ)、記憶構成要素214(例えば、記憶階層構造)、入力/出力(I/O)構成要素216(例えば、1つまたは複数のI/Oインターフェースおよび/またはデバイス)、および通信経路218を含んで示されている。一実施形態では、処理構成要素212は、記憶構成要素214に少なくとも部分的に具体化される負荷/無負荷制御システム192などのプログラムコードを実行する。プログラムコードを実行中、処理構成要素212はデータを処理することができ、その結果、さらなる処理のために記憶構成要素214および/またはI/O構成要素216との間でデータの読み出しおよび/または書き込みを行うことができる。経路218は、コンピューティングデバイス200の構成要素の各々の間の通信リンクを提供する。I/O構成要素216は、1つまたは複数のヒューマンI/Oデバイスまたは記憶デバイスを備えることができ、これらはユーザ210がコンピューティングデバイス200および/または1つまたは複数の通信デバイスと対話し、ユーザ210および/または他のGT構成要素208が任意のタイプの通信リンクを使用してコンピューティングデバイス200と通信することを可能にする。この点で、GT制御システム194は、制御システム194との人間および/またはシステムの対話を可能にする1組のインターフェース(例えば、グラフィカルユーザインターフェース、アプリケーションプログラムインターフェースなど)を管理することができる。
【0052】
いずれにしても、コンピューティングデバイス200は、インストールされたプログラムコードを実行することが可能な1つまたは複数の汎用コンピューティング製品(例えば、コンピューティングデバイス)を備えることができる。本明細書で使用する場合、「プログラムコード」は、任意の言語、コードまたは表記法での任意の命令の集合であって、情報処理能力を有するコンピューティングデバイスに、特定の機能を、直接に、あるいは(a)別の言語、コードまたは表記法への変換、(b)異なる材料形態での再生、および/または(c)分解の任意の組合せの後に行わせる命令の集合を意味することを理解されたい。この点で、GT制御システム194(および負荷/無負荷制御システム192)は、システムソフトウェアおよび/またはアプリケーションソフトウェアの任意の組合せとして具体化することができる。いずれにしても、コンピューティングデバイス200の技術的効果は、本明細書の様々な実施形態によるGTシステム100の負荷/無負荷中に燃焼モードを進行することである。
【0053】
さらに、GT制御システム194(および負荷/無負荷制御システム192)は、1組のモジュール220を使用して実装することができる。この場合、モジュール220は、コンピューティングデバイス200がGT制御システム194によって使用される1組のタスクを行うことを可能にすることができ、GT制御システム194の他の部分とは別個に開発し、および/または実装することができる。GT制御システム194は、特定使用の機械/ハードウェアおよび/またはソフトウェアを備えるモジュール220を含むことができる。いずれにしても、2つ以上のモジュール、および/またはシステムは、そのそれぞれのハードウェアおよび/またはソフトウェアの一部/すべてを共有することができることを理解されたい。さらに、本明細書で説明する機能の一部は実装されない可能性があるか、または追加の機能がコンピューティングデバイス200の一部として含まれる可能性があることを理解されたい。
【0054】
コンピューティングデバイス200が複数のコンピューティングデバイスを備えるとき、各コンピューティングデバイスは、具体化されるGT制御システム194(および/または負荷/無負荷制御システム192)の一部のみを有し得る(例えば、1つまたは複数のモジュール220)。しかしながら、コンピューティングデバイス200およびGT制御システム194は、本明細書に記載のプロセスを行うことができる様々な可能な等価のコンピュータシステムの代表例にすぎないことを理解されたい。この点で、他の実施形態では、コンピューティングデバイス200およびGT制御システム194によって提供される機能は、プログラムコードの有無にかかわらず、汎用のおよび/または特定用途のハードウェアの任意の組合せを含む1つまたは複数のコンピューティングデバイスによって少なくとも部分的に実装することができる。各実施形態では、ハードウェアおよびプログラムコードは、含まれている場合、標準的なエンジニアリングおよびプログラミング技術をそれぞれ使用して作成することができる。
【0055】
いずれにしても、コンピューティングデバイス200が複数のコンピューティングデバイスを含むとき、コンピューティングデバイスは、任意のタイプの通信リンクで通信することができる。さらに、本明細書に記載のプロセスを行いながら、コンピューティングデバイス200は、任意のタイプの通信リンクを使用して1つまたは複数の他のコンピュータシステムと通信することができる。いずれの場合でも、通信リンクは、様々なタイプの有線および/または無線リンクの任意の組合せを備えることができ、1つまたは複数のタイプのネットワークの任意の組合せを備えることができ、かつ/または様々なタイプの伝送技術およびプロトコルの任意の組合せを利用することができる。
【0056】
本明細書で説明されるように、GT制御システム194(および負荷/無負荷制御システム192)は、コンピューティングデバイス200が燃焼セクション106を制御および/または監視することを可能にする。GT制御システム194は、本明細書に記載の1つまたは複数のアクションを行うためのロジックを含むことができる。一実施形態では、GT制御システム194は、上述の機能を行うロジックを含むことができる。構造的には、ロジックは、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、または本明細書に記載の機能を実行することが可能な任意の他の特定使用の機械構造などの様々な形態のいずれかを取ることができる。ロジックは、ソフトウェアおよび/またはハードウェアなどの様々な形態のいずれかを取ることができる。しかしながら、例示のために、GT制御システム194(および負荷/無負荷制御システム192)およびそこに含まれるロジックは、特定使用の機械として本明細書で説明される。説明から理解されるように、ロジックは上述の機能の各々を含むものとして示されているが、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の教示によれば機能のすべてが必要ではない。
【0057】
様々な実施形態において、GT制御システム194は、本明細書で説明するように、燃焼セクション106、すなわち、その中の各燃焼器106の動作パラメータを監視するように構成することができる。加えて、GT制御システム194は、本明細書に記載の様々な機能に従って、燃焼セクション106を制御するように構成される。
【0058】
本明細書に示され記載されるフロー図において、図示していない他のプロセスを行うことができ、様々な実施形態に応じてプロセスの順序を再配置することができることを理解されたい。加えて、1つまたは複数の記載のプロセスの間に中間プロセスを行ってもよい。本明細書に示され記載されるプロセスのフローは、様々な実施形態の限定とみなすべきではない。
【0059】
例えば、GT制御システム194および負荷/無負荷制御システム192を含む本開示の様々な実施形態の技術的効果は、本明細書で説明されるように、GTシステム100の負荷/無負荷方法を実行することである。本開示の教示は、2つの燃焼段を有する任意のGTシステム100に適用され、低負荷で排出量を大幅に低下させることができる。ローディング中、例えば、本開示の教示は、始動時のCO排出量を最小化し、FSNLまでの排出規制適合を達成する。
【0060】
本明細書で使用される専門用語は、単に特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、本開示を限定するものではない。本明細書で使用する場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「この(the)」は、特に明示しない限り、複数形も含むことが意図される。「備える(comprise)」および/または「備えている(comprising)」という用語は、本明細書で使用する場合、記載した特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素が存在することを明示するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらの組が存在することまたは追加することを除外しないことがさらに理解されよう。「任意の(optional)」または「任意により(optionally)」は、後で述べられる事象または状況が起こってもよいし、または起こらなくてもよいことを意味し、またこの説明が、その事象が起こる場合と、起こらない場合とを含むことを意味する。
【0061】
本明細書および特許請求の範囲を通してここで使用される、近似を表す文言は、関連する基本的機能に変化をもたらすことなく、差し支えない程度に変動できる任意の量的表現を修飾するために適用することができる。したがって、「およそ」、「約」および「実質的に」などの用語によって修飾された値は、明記された厳密な値に限定されるものではない。少なくともいくつかの例では、近似を表す文言は、値を測定するための機器の精度に対応することができる。ここで、ならびに本明細書および特許請求の範囲を通して、範囲の限定は組合せおよび/または置き換えが可能であり、文脈および文言が特に指示しない限り、このような範囲は識別され、それに包含されるすべての部分範囲を含む。範囲の特定の値に適用される「約」は、両方の値に適用され、値を測定する機器の精度に特に依存しない限り、記載された値の+/-10%を示すことができる。
【0062】
添付の特許請求の範囲におけるミーンズプラスファンクションまたはステッププラスファンクションの要素すべての、対応する構造、材料、動作および均等物は、具体的に請求された他の請求要素と組み合わせてその機能を遂行するための、一切の構造、材料または動作を包含することが意図されている。本開示の記述は、例示および説明の目的で提示されたもので、網羅的であることも、または本開示を開示した形態に限定することも意図していない。当業者には、本開示の範囲および趣旨から逸脱することなく多くの修正および変形が明らかであろう。本開示の原理および実際の応用を最良に説明し、想定される特定の用途に適するように様々な修正を伴う様々な実施形態の開示を他の当業者が理解できるようにするために、本実施形態を選択し、かつ説明した。
【符号の説明】
【0063】
100 ガスタービン(GT)システム
102 吸気セクション、圧縮機
104 圧縮機
106 燃焼セクション、燃焼システム、燃焼器
108 一次燃焼段、一次燃焼セクション、燃焼ガス流、一次燃焼ゾーン
110 二次燃焼段
120 タービンセクション
122 排気セクション
123 入口ガイドベーン(IGV)、IGV段
124 負荷
126 燃焼器
128 トランジションピース
130 タービンノズル
132 ケーシング
134 エンドカバー
140 第1の複数の予混合燃料ノズル、一次燃焼段燃料ノズル
142 燃焼器キャップアセンブリ
144 流れスリーブ
146 燃焼ライナ
148 トランジションピース衝突スリーブ
150 環状プレナム
152 一連のベーン/ブレード
154 ディフューザ
156 スワーラ
158 燃料スポーク
160 一次反応ゾーン
162 二次燃焼段燃料ノズル
170 中心燃料ノズル、管燃料ノズル
172 中心線
174 キャッププレート
176 外側燃料ノズル、管燃料ノズル
178 混合管
180 中心燃料ノズル、管燃料ノズル
182 外側燃料ノズル、管燃料ノズル
184 半径方向側面
186 弓形側面
188 弓形側面、半径方向外側側面
189 ノズル面
190 燃料バルブ
192 負荷/無負荷制御システム
194 GT制御システム
196 冗長温度制御センサ、冗長圧力制御センサ、GTコントローラ
198 場所
199 場所
200 コンピューティングデバイス
208 GT構成要素
210 ユーザ
212 処理構成要素
214 記憶構成要素
216 入力/出力(I/O)構成要素
218 通信経路
220 モジュール
230 負荷経路
232 負荷経路
234 点
236 点
238 遷移点
240 遷移点
242 線
244 線
246 線
248 線
249 線
250 負荷経路
PM1 燃料ノズル
PM2 燃料ノズル
PM3 燃料ノズル
P1 プロセス
P2 プロセス
P2A プロセス
P2A1 プロセス
P2A2 プロセス
P2B プロセス
P2C プロセス
P3 プロセス
Tx 排気温度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9